平成9(行ツ)62 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年10月3日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所 平成7(行コ)23
ファイル
hanrei-pdf-52623.txt

判決文本文9,121 文字)

主文 1 原判決中被上告人B1建設株式会社,同株式会社B2,同B3建設株式会社,同B4建設株式会社,同株式会社B5,同B6建設株式会社,同B7建設工業株式会社,同B8建設株式会社,同B9建設株式会社,同B10,同B11及び同B12について財産の管理を怠る事実に係る相手方としてされた損害賠償請求に関する部分を破棄し,第1審判決中同部分を取り消し,同部分につき本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。 2 上告人らのその余の上告を棄却する。 3 前項に関する上告費用は,上告人らの負担とする。 理由 第1 上告代理人高山光雄,同今井安栄,同小関敏光,同佐久間信司,同新海聡,同進藤裕史,上告人兼上告代理人杉浦英樹,同鈴木良明,同滝田誠一,上告代理人竹内浩史,上告人兼上告代理人柘植直也,上告代理人中根紀裕,上告人兼上告代理人西野昭雄,上告代理人平井宏和,同福島啓氏,同増田聖子,同松川正紀及び同山根尚浩(以下「上告代理人ら」という。)の上告理由第一の一について 1 本件は,愛知県(以下「県」という。)の住民である上告人らが,県が主文第1項記載の被上告人ら(B10,B11及びB12を除く。以下「被上告会社9社」という。)から成る共同企業体との間で,D文化センターの建設工事(以下「本件工事」という。)の工事代金額を増額する等の工事請負変更契約を締結し,代金増額分を全額支払ったことに関し,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して,被上告会社9社,県知事であった被上告人B13,建築部長であったB14その他県の担当職員等に対し,損害賠償等を請求している事案である。論旨は,県の被上告会社9社に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする監査請求に- 1 -ついて,これを 部長であったB14その他県の担当職員等に対し,損害賠償等を請求している事案である。論旨は,県の被上告会社9社に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする監査請求に- 1 -ついて,これを不適法とした原審の判断に法令の解釈適用の誤りがあるというのである。 2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。 (1) 県は,被上告会社9社から成る共同企業体との間で,本件工事を内容とする請負契約を締結していたが,平成3年7月9日,工事内容の一部変更,追加工事代金29億5853万8010円の支払等を内容とする契約(以下「本件変更契約」という。)を締結し,同4年3月31日までに追加工事代金を全額支払った。 (2) 上告人らは,平成6年10月5日,本件変更契約が違法,不当で無効なものであり,県に損害が生じているなどと主張し,被上告会社9社,県知事,副知事,建築部長,総務部次長その他担当職員に対する損害賠償請求等を内容とする住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。 3 上記事実関係の下において,原審は,次の理由により,本件監査請求中被上告会社9社に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分に法242条2項本文の規定(以下「本件規定」という。)の適用があり,本件監査請求の時点においては,1年の監査請求期間を経過していたことになると判断した。 財務会計上の行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求については,当該行為のあった日又は終わった日を基準として本件規定を適用すべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。本件における県の被上告会社9社に対する損害賠償請求権は,本件変更契約の違法,無効にかかわ である(最高裁昭和57年(行ツ)第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。本件における県の被上告会社9社に対する損害賠償請求権は,本件変更契約の違法,無効にかかわるか又はそれを前提として発生するものである。このことは,本件変更契約締結の基になった見積書の内容が虚偽であり,かつ,その作成に関与したのが被上告会社9社だけであって,県の職員はそれに関与しなかったという場合も同様である。そうだとすれば,上記損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る本件監査請求- 2 -については,本件変更契約の締結及びこれに基づく増額分の支払終了の日から本件規定の定める監査請求期間が進行し,本件監査請求の時点においては,1年の監査請求期間を経過していたことになる。 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 (1) 本件規定は,監査請求の対象事項のうち財務会計上の行為については,当該行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることができないものと規定しているが,上記の対象事項のうち法242条1項にいう怠る事実については,このような期間制限は規定されておらず,怠る事実が存在する限りはこれを制限しないこととするものと解される。もっとも,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象として監査請求がされた場合には,これについて上記の期間制限が及ばないとすれば,本件規定の趣旨を没却することとなる。したがって,このような場合には,当該行為のあった日又は終わった日を基準として本件規定を適用すべきものである(前掲第二小法廷判決参照)。 しかし,怠る事実については監査請求期間の制限 却することとなる。したがって,このような場合には,当該行為のあった日又は終わった日を基準として本件規定を適用すべきものである(前掲第二小法廷判決参照)。 しかし,怠る事実については監査請求期間の制限がないのが原則であることにかんがみれば,監査委員が怠る事実の監査をするに当たり,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にない場合には,当該怠る事実を対象としてされた監査請求に上記の期間制限が及ばないものとすべきであり,そのように解しても,本件規定の趣旨を没却することにはならない(最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法廷判決・裁判所時報1318号1頁〔編注:民集56巻6号1049頁〕参照)。 (2) 記録によれば,本件監査請求は,県建築部及び総務部の幹部が,被上告会社9社の要請を受け,本件工事に関し,単価の水増し等の操作により設計変更予算- 3 -案を違法に作成し,県議会に対してその事実を隠ぺいしたため,増額変更予算の執行議案が原案どおり可決承認され,29億円余を不当に追加する本件変更契約が締結されたとして,財務会計職員その他の職員等による本件変更契約の締結その他これにかかわる行為等を対象としているが,そのほか,被上告会社9社が,県に対し,本件工事に関し不当に水増し請求をするなどし,県に本来支払う義務のない工事代金29億円余を余分に支払わせたとし,県は,被上告会社9社に対しこの不法行為により受けた損害である上記金員相当額を賠償させるべきであるのに,当該請求権の行使を怠っているという事実を対象に含んでいることが明らかである。本件監査請求中上記怠る事実について監査を遂げるためには,監査委員は,被上告会社9社について上記行為が認められ,それが不法行為法上違法の評価を受けるものであるかどうか 含んでいることが明らかである。本件監査請求中上記怠る事実について監査を遂げるためには,監査委員は,被上告会社9社について上記行為が認められ,それが不法行為法上違法の評価を受けるものであるかどうか,これにより県に損害が発生したといえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。本件監査請求には,財務会計職員その他の職員が被上告会社9社の要請を受けて本件変更契約の締結その他これにかかわる行為を行ったなどとする部分が含まれているが,このことによって上述したことは左右されない。県の被上告会社9社に対する損害賠償請求権は,本件変更契約が違法,無効であるからこそ発生するものではない。したがって,上記監査請求について本件規定の適用がないものと認めても,本件規定の趣旨が没却されるものではなく,監査請求期間の制限が及ばないものと解するのが相当である。 そうすると,本件監査請求中,本件工事に関し,前記不法行為により,県に本来支払う義務のない工事代金を余分に支払わせた被上告会社9社に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分は,監査請求期間を徒過した不適法なものということはできない。論旨はこの趣旨をいうものとして理由がある。これと異なる判断の下に,本件訴えのうち被上告会社9社に対する怠る事実に係る相手方に対するものとしてされた損害賠償請求に関する部分を不適法として却下すべきものと- 4 -した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,同部分につき原判決は破棄を免れない。そして,第1審判決中同部分を取り消した上で,同部分につき本件を第1審に差し戻すべきである。 第2 職権による検討 1 被上告人B10に対する請求(1) 「当該職員」に対するものとしてされた損害賠償請求記録によれば,被上告人B10は,本件変更契約締結当時 1審に差し戻すべきである。 第2 職権による検討 1 被上告人B10に対する請求(1) 「当該職員」に対するものとしてされた損害賠償請求記録によれば,被上告人B10は,本件変更契約締結当時副知事であったところ,本件変更契約締結につき法令上本来的権限を有する知事から委任を受け,又は専決する権限を付与されていたものと認めることはできない。したがって,本件訴えのうち上告人らの被上告人B10に対する上記請求に係る部分は,不適法として却下すべきである。この部分についての原審の判断は結論において是認することができるから,同部分に対する上告を棄却すべきである。 (2) 怠る事実に係る相手方に対するものとしてされた損害賠償請求記録によれば,本件監査請求は,本件工事に関し,被上告人B10が,被上告会社9社による前記不法行為に違法に荷担したとし,県が被上告人B10に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができる。本件監査請求中上記怠る事実について監査を遂げるためには,監査委員は,被上告人B10について上記行為が認められ,それが不法行為法上違法の評価を受けるものであるかどうか,これにより県に損害が発生したといえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。県の被上告人B10に対する損害賠償請求権は,本件変更契約が違法,無効であるからこそ発生するものではない。したがって,上記監査請求については本件規定による監査請求期間の制限が及ばないものと解するのが相当である。 そうすると,本件監査請求中被上告人B10に対する損害賠償請求権の行使を怠- 5 -る事実を対象とする部分は,監査請求期間を徒過した不適法なものということはできない。これと異なる判断の下に,本件訴えのうち被上告人B10に対する怠る事実に係る る損害賠償請求権の行使を怠- 5 -る事実を対象とする部分は,監査請求期間を徒過した不適法なものということはできない。これと異なる判断の下に,本件訴えのうち被上告人B10に対する怠る事実に係る相手方に対するものとしてされた損害賠償請求に関する部分を不適法として却下すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,同部分につき原判決は破棄を免れない。そして,第1審判決中同部分を取り消した上で,同部分につき本件を第1審に差し戻すべきである。 2 被上告人B11に対する請求記録によれば,本件監査請求は,当時県議会議員であった被上告人B11が被上告会社9社による前記不法行為に違法に荷担したとして,県が被上告人B11に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができる。上記監査請求は,前記1(2)と同様に,監査請求期間を徒過した不適法なものということはできない。これと異なる判断の下に,本件訴えのうち被上告人B11に対する請求に関する部分を不適法として却下すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,同部分につき原判決は破棄を免れない。そして,第1審判決中同部分を取り消した上で,同部分につき本件を第1審に差し戻すべきである。 3 被告人B15に対する請求(1) 「当該職員」に対するものとしてされた損害賠償請求記録によれば,被上告人B15は,本件変更契約締結前の平成2年4月から同3年3月まで県建築部長であったところ,平成3年7月9日の本件変更契約締結の時点では既に同部長の職にはなく,本件変更契約につき,その時点で,法令上本来的権限を有する知事から委任を受け,又は専決する権限を付与されていたものと認めることはできない。した 日の本件変更契約締結の時点では既に同部長の職にはなく,本件変更契約につき,その時点で,法令上本来的権限を有する知事から委任を受け,又は専決する権限を付与されていたものと認めることはできない。したがって,本件訴えのうち上告人らの被上告人B15に対する上記請求に関する部分は,不適法として却下すべきである。この部分についての- 6 -原審の判断は結論において是認することができるから,同部分に対する上告を棄却すべきである。 (2) 怠る事実に係る相手方に対するものとしてされた損害賠償請求記録によれば,本件監査請求は,本件工事に関し,被上告人B15が,平成3年2月ころ,本件変更契約につき専決権限を有する県建築部長として単価の水増し等の操作による違法な設計変更予算案の作成等の本件変更契約締結の準備行為をし,その結果,同年7月,29億円余を不当に追加する本件変更契約が締結されたとして,県が被上告人B15に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものということができる。 【要旨1】特定の財務会計上の行為が行われた場合において,これにつき権限を有する職員又はその前任者が行ったその準備行為は,財務会計上の行為と一体としてとらえられるべきものであり,準備行為の違法が財務会計上の行為の違法を構成する関係にあるときは,準備行為が違法であるとし,これに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象としてされた監査請求は,実質的には財務会計上の行為を違法と主張してその是正を求める趣旨のものにほかならないと解される。 したがって,上記のような監査請求が本件規定の定める監査請求期間の制限を受けないとすれば,法が本件規定により監査請求に期間制限を設けた趣旨が没却されるといわざるを得ないから,上記監査請求には当該財務会計上の て,上記のような監査請求が本件規定の定める監査請求期間の制限を受けないとすれば,法が本件規定により監査請求に期間制限を設けた趣旨が没却されるといわざるを得ないから,上記監査請求には当該財務会計上の行為のあった日又は終わった日を基準として本件規定を適用すべきである。 上記事実によれば,被上告人B15は,本件変更契約締結当時の県建築部長の前任者と認められるところ,本件監査請求において被上告人B15のした本件変更契約締結の準備行為で違法とされているものは,本件変更契約の違法を構成する関係にあるから,本件監査請求中,上記準備行為の違法を理由とする損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については,本件変更契約の締結日を基準として- 7 -本件規定を適用すべきである。この点に関する原審の判断は,是認することができる。 4 被上告人B16,同B17,同B12及び同B18に対する請求(1) 記録によれば,本件監査請求は,本件工事に関し,同被上告人らが,平成3年2月ころ,単価の水増し等の操作による違法な設計変更予算案の作成等の本件変更契約締結の補助行為をし,その結果,同年7月,29億円余を不当に追加する本件変更契約が締結されたとして,県が同被上告人らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っているという事実を対象に含むものであるところ,同年2月当時,被上告人B16は県建築部技監,同B17は県建築部営繕課長,同B12は県総務部次長,同B18は県建築部建設専門監であり,いずれも本件変更契約締結の権限を有する財務会計職員ではなかったことが認められる。 【要旨2】特定の財務会計上の行為が行われた場合において,これにつき権限を有する職員を補助する職員が行ったその補助行為は,財務会計上の行為と一体としてとらえられるべきものであり,補助行為の れる。 【要旨2】特定の財務会計上の行為が行われた場合において,これにつき権限を有する職員を補助する職員が行ったその補助行為は,財務会計上の行為と一体としてとらえられるべきものであり,補助行為の違法が財務会計上の行為の違法を構成する関係にあるときは,補助行為が違法であるとし,これに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象としてされた監査請求は,実質的には財務会計上の行為を違法と主張してその是正を求める趣旨のものにほかならないと解される。 したがって,上記のような監査請求が本件規定の定める監査請求期間の制限を受けないとすれば,法が本件規定により監査請求に期間制限を設けた趣旨が没却されるといわざるを得ないから,上記監査請求には当該財務会計上の行為のあった日又は終わった日を基準として本件規定を適用すべきである。 (2) 上記事実によれば,被上告人B16,同B17及び同B18は,県建築部長を補助する職員と認められるところ,本件監査請求において上記3名のした本件変- 8 -更契約締結に関する事務の補助行為で違法とされているものは,本件変更契約の違法を構成する関係にあるから,本件監査請求中,上記補助行為の違法を理由とする損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については,本件変更契約の締結日を基準として本件規定を適用すべきである。この点に関する原審の判断は,是認することができる。 (3) これに対し,被上告人B12は,職制上,県建築部長を補助する職員ではなく,その行為が本件変更契約締結に関する事務を補助する行為に当たると認めるべき特段の事情もいまだ確定されていないから,本件監査請求中,被上告人B12の行為の違法を理由とする損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については,本件規定は直ちには適用されないものというべき 特段の事情もいまだ確定されていないから,本件監査請求中,被上告人B12の行為の違法を理由とする損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については,本件規定は直ちには適用されないものというべきである。そうすると,上記監査請求は,前記1(2)と同様に,監査請求期間を徒過した不適法なものと断ずることはできず,これと異なる判断の下に,本件訴えのうち被上告人B12に対する請求に関する部分を不適法として却下すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,同部分につき原判決は破棄を免れない。そして,第1審判決中同部分を取り消した上で,同部分につき本件を第1審に差し戻すべきである。 第3 上告代理人らの上告理由第一の二について前記事実関係によれば,被上告人B13,同B14,同B15,同B16,同B17及び同B18について,本件監査請求の時点において本件規定の定める監査請求期間が経過していたことになるとした原審の判断は,正当として是認することができる。原審の上記判断は,所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は,採用することができない。 第4 上告代理人らの上告理由第二について普通地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為が秘密裡にされた場合に- 9 -限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成10年 が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成10年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日第一小法廷判決・裁判所時報1323号4頁〔編注:民集56巻7号1481頁〕参照)。 これと同旨の見解に基づき本件監査請求につき法242条2項ただし書にいう正当な理由がないとした原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。上記判断は,所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は採用することができず,この点に関する上告は棄却すべきである。 第5 結論以上によれば,原判決中被上告会社9社,被上告人B10,同B11及び同B12について財産の管理を怠る事実に係る相手方としてされた損害賠償請求に関する部分は,前記第1の4(2),第2の1(2),2,4(3)のとおりこれを破棄し,第1審判決中同部分を取り消した上で同部分につき本件を第1審に差し戻すべきであるが,それ以外の部分については,上告を棄却すべきである。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官藤井正雄裁判官井嶋一友裁判官町田顯裁判官横尾和子)- 10 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る