平成23(ワ)5742 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年11月8日 大阪地方裁判所
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判決文本文18,585 文字)

- 1 -平成24年11月8日判決言渡同日判決原本交付裁判所書記官平成23年ワ第5742号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成24年8月24日判決 原告株式会社リフレプロジャパン 同訴訟代理人弁護士小原 望同古川智祥同妹尾 悟同飯塚一雄同岡 井 加女代同山本晃三 被告バン産商株式会社 同訴訟代理人弁護士田澤孝行 主文 1 被告が,不正競争防止法2条1項1号又は同条同項2号該当を理由に,同法3条1項に基づいて,原告に対し,別紙被告製品図記載の製品と同じ形態の巻き爪矯正具を製造,販売することを差し止める権利を有しないことを確認する。 2 被告は,その製造,販売に係る巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」の表示を,ウェブサイトを含む広告宣伝に使用してはならない。 - 2 - 3 被告は,原告に対し,30万円及びこれに対する平成23年5月25日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用はこれを3分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)主文第1項と同旨(2)被告は,その製造,販売に係る巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用 ができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)主文第1項と同旨(2)被告は,その製造,販売に係る巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」,「VHO式矯正技術」,「VHO」の表示を,ウェブサイトを含む広告宣伝に使用してはならない。 (3)被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成23年5月25日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は被告の負担とする。 (5)(3)につき仮執行宣言 2 被告(1)原告の請求をいずれも棄却する。 (2)訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,リラクゼイションサロンの経営,整髪剤,洗髪剤,洗顔クリー- 3 -ム等美容用品,理容用品の販売等を目的とする株式会社である。 被告は,くつ,医療用繊維製品類,理容,美容用機械器具,医療用健康機器,医療用くつ,附属消耗品の製造,国内及び国外販売等を目的とする株式会社である。 (2)被告製品及び被告ウェブサイト上の記載被告は,別紙被告製品図記載の巻き爪矯正具を製造,販売している(以下,被告が販売する巻き爪矯正具を「被告製品」という。)。被告製品は,爪の側縁端が内側に巻き込むように爪と指頭間の肉部に食い込む爪の変形,いわゆる巻き爪等を矯正するものである。 被告は,被告製品を用いた巻き爪矯正施術をVHOと呼び,自社のウェブサイトでも,その旨の記載をしている(甲8,9,12~14,乙57)。また,同ウェブサイトでは,平成22年12月29日の時点において,自社の巻き爪矯正具を「VHOワイヤー,ループ」と呼称し,国際的な特許で保護さ の旨の記載をしている(甲8,9,12~14,乙57)。また,同ウェブサイトでは,平成22年12月29日の時点において,自社の巻き爪矯正具を「VHOワイヤー,ループ」と呼称し,国際的な特許で保護されているとの記載や特許を取得している専用のワイヤーであると記載していた(甲8,12~14)。 (3)原告製品及び原告の特許原告は,かねてから,「巻き爪矯正ワイヤー・インベント」との名称で,被告製品と同じ形態の巻き爪矯正具(以下「原告製品」という。)を製造,販売している。 また,原告は,発明の名称を「爪の変形を直す矯正具」とする特許(特許第3530901号,出願日平成12年3月30日,登録日平成16年3月12日。以下「原告特許」という。)に係る特許権を有している。 (4)被告からの差止請求等原告は,原告製品の販売に当たり,(3)の特許表示を付していたが,被告は,原告に対し,平成21年10月2日付の内容証明郵便にて,原告特許が冒認出願を理由として無効とされるべきものであるとし,原告製品に- 4 -つき,そのような特許表示を一切中止するよう求めた(甲1)。以後,原告製品の形態やその表示を巡り,原告と被告との間で交渉が重ねられたが,合意には至らなかった。 2 原告の請求原告は,① 被告が,不正競争防止法2条1項1号又は同条同項2号への該当を理由に,同法3条1項に基づいて,原告に対し,別紙被告製品図記載の製品と同じ形態の巻き爪矯正具を製造,販売することを差し止める権利を有しないことの確認を求めるとともに,② 被告に対し,被告のウェブサイトにおいて,その製造,販売する巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」,「VHO式矯正技術」,「VHO」といった表示をすることが,不正競争防止法2条1項1 トにおいて,その製造,販売する巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」,「VHO式矯正技術」,「VHO」といった表示をすることが,不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当するとして,同法3条1項に基づき,広告宣伝におけるそれら表示の使用差止めを求め,さらに,③ 同法4条,又は,被告が原告に対して原告特許の表示の中止,配布先の顧客情報開示,原告製品の形態変更等の不当な要求をしたとの不法行為に基づき,1000万円の損害賠償のうち500万円及びこれに対する平成23年5月25日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めている。 なお,原告は,被告製品に係る上記表示が不当景品類及び不当表示防止法4条1項1号に違反することも同表示差止め及び損害賠償請求の根拠としているが,同法同条項自体はそのような請求の根拠になるものではない。 3 争点(1)原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)に該当するか (争点1)(2)原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項2号(著名表示冒用行為)に該当するか (争点2)- 5 -(3)被告によるウェブサイト上の記載が不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当するか (争点3)(4)被告の原告に対する要求が不法行為に当たるか (争点4)(5)原告の損害及び被告の故意又は過失 (争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項1号[周知表示混同惹起行為]に該当するか)について【被 故意又は過失 (争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項1号[周知表示混同惹起行為]に該当するか)について【被告の主張】(1)商品等表示性と周知性被告は,被告製品の製造元であるドイツ連邦共和国(以下「ドイツ」という。)の  (以下「VHO社」という。)から,日本国内における被告製品の独占販売権を取得し,平成9年2月ころにその販売を開始した。被告製品は,販売当初から,短時間で施術可能で,かつ,爪や皮膚に損傷を与えることなく巻き爪を改善できる画期的な矯正方法とも相まって,他に類をみない新規かつ極めて特徴的な外観を有する巻き爪矯正具として大きな注目を集めた。 そして,被告製品については,パンフレット等の印刷物,業界紙や雑誌での広告,展示会等への出展,ウェブサイト,セミナーといった広告宣伝活動が重ねられたこと,被告製品は平成9年2月の発売開始から平成23年12月までの間に少なくとも約22万セット販売されており,巻き爪治療経験者のうち,年間約10%~15%が,被告製品を利用しているものと考えられること,被告製品は,被告開催のセミナー受講修了者のみに被告製品を販売しているが,そのセミナーでは,被告製品の使用方法,取扱方法,品質,形態の有する意味合い等を含めた詳細な指導がなされていることからすると,被告製品の形態は,被告との関係において,商品の出所又は営業の主体を表示する商品等表示として周知となったことは明らかで- 6 -ある。 (2)混同原告製品は,被告製品と比較すると,形態そのものからサイズに至るまで同一であり,いわゆるデッドコピーというべきものであるが,その結果として,被告の商品又は営業と 6 -ある。 (2)混同原告製品は,被告製品と比較すると,形態そのものからサイズに至るまで同一であり,いわゆるデッドコピーというべきものであるが,その結果として,被告の商品又は営業との混同を生じさせている。 したがって,原告による原告製品の製造,販売は,不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)所定の不正競争行為に該当する。 【原告の主張】(1)商品等表示性と周知性商品の形態が「商品等表示」に当たるには,① 特定の商品の形態が同種の商品と識別しうる独自の特徴を有し,かつ,② それが長期間にわたり継続的かつ独占的に使用され,又は短期間であっても強力に宣伝されるなどして使用された結果,それが商品自体の機能や美観等の観点から選択されたという意味を超えて,自他識別機能又は出所表示機能を有するに至り,需要者の間で広く認識された場合でなければならないが,被告製品形態が,自他識別機能又は出所表示機能を有するに至り,需要者の間で広く認識されたといった事情は全く見当たらない。被告が提出する証拠においてさえ,被告製品の形態を認識できるものはごく一部に限られている。 また,被告製品の形態がそのような技術的機能的形態であるとすれば,同種の商品に共通してその特有の機能及び効用を発揮するために必然的,不可避的に採用せざるを得ない商品形態として,やはり商品等表示性は認められない。 そもそも,被告が被告製品の販売を開始したのは平成15年のことであるが,同一形態の矯正具は1988年(平成10年)にドイツで開発され,既に公知の形態となっていた。被告製品の形態は,そのような公知形態を模倣したに過ぎないのであるから,不正競争防止法で保護されることはあ- 7 -り得ない。 (2)混同原告製品は,被告製品と異なり「インベント」 ていた。被告製品の形態は,そのような公知形態を模倣したに過ぎないのであるから,不正競争防止法で保護されることはあ- 7 -り得ない。 (2)混同原告製品は,被告製品と異なり「インベント」という商品名を用いて,原告自身が販売しており,被告と営業主体の混同(狭義の混同)が生じることはない。 また,原告製品は,被告製品のようにVHOの表示もなく,被告と営業上の関係や同一のグループに属する関係があるといった混同(広義の混同)が生じることもない。 2 争点2(原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項2号[著名表示冒用行為]に該当するか)について【被告の主張】争点1の被告の主張欄(1)に記載の理由により,被告製品の形態は,被告との関係において,商品の出所又は営業の主体を表示する商品等表示として著名となったことが明らかである。 原告は,このような被告製品と形態そのものからサイズに至るまで同一のデットコピーというべき原告製品を製造,販売しているのであるから,不正競争防止法2条1項2号(著名表示冒用行為)所定の不正競争行為に該当するというべきである。 【原告の主張】争点1の原告の主張欄(1)に記載のとおり,被告製品の形態には,商品等表示性がないし,そもそも公知形態として不正競争防止法の保護対象ではない。また,著名性が認められるためには,特定の分野に属する取引者,需要者に留まらず,特定者を表示するものとして世間一般に知られていなければならないが,そのような事情もおよそ認められない。 3 争点3(被告によるウェブサイト上の記載が不正競争防止法2条1項13号[品質等誤認惹起行為]に該当するか)について- 8 -【原告の主張】(1)「VHO」の表示巻き爪矯正法であるVHOは,1979年(昭和54年)にP1 載が不正競争防止法2条1項13号[品質等誤認惹起行為]に該当するか)について- 8 -【原告の主張】(1)「VHO」の表示巻き爪矯正法であるVHOは,1979年(昭和54年)にP1により開発された。年々改良が重ねられ,1988年(昭和63年)に被告製品と同じ形態となった(以下「従来型」という。)が,2000年(平成12年)から2002年(平成14年)にかけて大幅な改良が行われて新たな形態となった(以下「改良型」という。)。 そして,2001年(平成13年)8月18日,P1 と,従来型を販売していたVHO社らとの間で合意書が締結され,VHO社は2002年(平成14年)1月1日以降,「VHO」や「VHO-オストホルド-シュパンゲ」という名前を使用してはならないことが合意された。つまり,2002年(平成14年)以降,従来型はVHO社が社名変更をした (以下「3TO社」という。)が,改良型は「VHO」として,P1 と新たに契約した  (以下「メコトレード社」という。)が製造・販売することとなったが,従来型を製造,販売する3TO社は,VHOの名称を使用することはできなくなったものである。 このような経過がありながら,被告は,従来型と同じ形態である被告製品につき,改良型とは品質も形態も異なるにもかかわらず,「VHO」と表示して広告宣伝し,改良型である「VHO」と誤認させて販売しているところ,これが不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当することは明らかである。 (2)特許の表示被告は,自社ウェブサイトにおいて,被告製品について「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」といった表示をしていたが,一般消費者は,こ とは明らかである。 (2)特許の表示被告は,自社ウェブサイトにおいて,被告製品について「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」といった表示をしていたが,一般消費者は,このような表示から,被告が特許権又はライセンス- 9 -を取得していると読み取るのが通常である。 しかし,従来型である被告製品にかかる特許は,過去にドイツ及びアメリカ合衆国(以下「米国」という。)において付与されたことがあったものの,それぞれ2004年(平成16年)1月15日及び2006年(平成18年)8月1日に失効している。 したがって,被告製品に関する上記表示は虚偽であり,消費者に誤認を与えるものであるから,不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当する。 【被告の主張】(1)「VHO」の表示3TO社製の被告製品に「VHO」の表示をすれば,メコトレード社製の製品であるかのような誤認を惹起するというのであれば,少なくともメコトレード社の「VHO」製品が日本国内で販売されている等の実績があり,かつ,日本国内で「VHO」と言えば「メコトレード社製」と言えるほどの事情が必要であるが,メコトレード社が「VHO」製品を日本国内で販売している事実は過去・現在においても一切存在しない。2002年(平成14年)から10年以上経過した現在においてもメコトレード社が日本で「VHO」の商標を出願していないことからすれば,そもそも同社は日本市場に対する興味すら持っていない。 このような状況において,被告が「VHO」なる表示を用いたとしても,日本国内においてその存在すら全く知られていないメコトレード社の「VHO」製品との関係において誤認混同を惹起するおそれは皆無である。 また,被告製品はP1 が開発した巻き爪矯正技術を具 も,日本国内においてその存在すら全く知られていないメコトレード社の「VHO」製品との関係において誤認混同を惹起するおそれは皆無である。 また,被告製品はP1 が開発した巻き爪矯正技術を具現化したものであるが,その形態を考案し,商品化したのは,P1 から巻き爪矯正技術のライセンスを取得したVHO社(3TO社)である。被告はそのVHO社(3TO社)から,被告製品の日本国内における独占販売- 10 -権を取得し,VHO表示の使用許諾を得たのであるから,被告製品につき,「VHO」の表示をすることは,品質等について何らかの誤認を惹起させる行為とはいえない。 (2)特許の表示原告の指摘する「国際的な特許で保護」等の記載について,被告自身が特許権又はライセンスを取得していると読み取られるのが通常であることを前提に,品質等誤認惹起行為に当たる旨主張するが,被告ウェブサイトの文章全体を通読すれば,そのような意味を読み取ることはできず,原告の主張は前提を誤っている。 すなわち,上記記載は,被告製品に関する技術について,ドイツ及び米国において特許権が付与された事実を,事実のままに表示するものであり,そこに誤りはない。また,上記記載には特許番号が付されておらず,「Q自分で針金を作ってできるのではないですか。」との問いへの答えとして位置づけられていることからすると,被告の権利主張を目的とするものではなく,被告製品が「国際的な特許で保護」されている程の,簡単には模倣できない高度な技術によることを示し,模倣品を用いて引き起こされる事故の防止を企図したものと読み取るのが通常であり,原告の主張は失当である。 なお,原告は,ドイツ及び米国での特許が既に失効している旨主張するが,上記記載の趣旨からして,これら特許が失効しているか否かは 止を企図したものと読み取るのが通常であり,原告の主張は失当である。 なお,原告は,ドイツ及び米国での特許が既に失効している旨主張するが,上記記載の趣旨からして,これら特許が失効しているか否かは無関係であり,虚偽表示には当たらない。 4 争点4(被告の原告に対する要求が不法行為に当たるか)について【原告の主張】被告は,原告に対し,平成21年10月2日から平成22年12月6日にかけて,原告製品の製造,販売につき,① 広告宣伝物への特許表示中止と配布先の顧客情報開示,② 原告製品の形態変更,③ 特許の訂正審判請求と- 11 -特許権の無償移転による共有化,④ 被告製品と同一又は類似の製品形態の実施禁止,承諾を得ることなく実施した場合の違約金支払,といった要求をしてきたが,いずれも不正競争防止法などの法的根拠を欠く不当なものであった。また,被告は,原告が非正規品を販売しているかのような風評も流した。これらによって,原告の営業活動は萎縮するとともに,原告の信用は失墜したものである。 被告のこのような行為は,原告に対する不法行為を構成する。 【被告の主張】原告は,被告による不当要求として,上記①から④を挙げるが,そのような不当要求自体存在しない上,②及び③については,原告自身が提示した解決案であり,不実な主張であることは明らかである。 また,原告は①から④の要求に何1つ応じていないし,風評被害が生じたということもない。 したがって,不法行為が成立しないことは明らかである。 5 争点5(原告の損害及び被告の故意又は過失)について【原告の主張】争点3の原告の主張欄に記載の故意若しくは過失による不正競争行為(品質等誤認惹起行為)又は争点4の原告の主張欄に記載の不法行為によって,原告の被った損害は,以下の合計5 ついて【原告の主張】争点3の原告の主張欄に記載の故意若しくは過失による不正競争行為(品質等誤認惹起行為)又は争点4の原告の主張欄に記載の不法行為によって,原告の被った損害は,以下の合計503万5152円に併せ,弁護士費用(報酬金)及び被告の不当要求による原告製品の販売減少額を加えると1000万円を下らない。 (1)弁理士費用 39万6521円被告の警告書等に対する回答書作成のため生じた。 (2)VHO調査費用 96万3631円原告は,被告製品が従来型と同一の形態であることやVHOの名称を使用する権利がないことに関する証拠を収集するため,交渉及び文書翻訳費- 12 -用として75万9771円,航空運賃として20万3860円の合計96万3631円を要した。 (3)弁護士費用(着手金) 367万5000円本件に係る弁護士費用(着手金)は,訴訟前交渉時が52万5000円,訴訟提起時が315万円で,合計367万5000円である。 【被告の主張】争う。 第4 当裁判所の判断 1 前提事実,証拠(甲1~10,12~14,39~42,44,45~48,53,乙1~21,23,43,44,57,61~64[枝番省略])及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)VHO施術と矯正具の開発P1 (以下「P1 」という。)は,1979年(昭和54年),ドイツにおいて,いわゆる巻き爪などの爪の変形を矯正する施術を開発した。この施術は,  ! ! "#  の頭文字をとってVHOと名付けられたが,  !  はドイツ語で「名人,大家,巨匠」といった の変形を矯正する施術を開発した。この施術は,  ! ! "#  の頭文字をとってVHOと名付けられたが,  !  はドイツ語で「名人,大家,巨匠」といった意味,! は「人間の,人間的な」といった意味,"#  は,ギリシア語の(まっすぐ)と"#(爪)を組み合わせた造語であり,  ! ! "#  全体としては,「熟練の技による人間的な巻き爪矯正法」といった意味になると被告のウェブサイトでは説明されている(乙43)。 P1 は,VHO施術に使用される巻き爪矯正具につき,1992年(平成4年)3月12日ドイツにおいて,同年7月23日米国において,それぞれ特許出願したところ,後日それぞれ特許査定を受け,その旨登録された(ドイツ:DE4207797,米国:US5318508。 - 13 -以下,それぞれ「本件ドイツ特許」「本件米国特許」という。)。 ドイツを本店所在地とする  (VHO社)は,1993年(平成5年)7月,P1 から,巻き爪矯正具に係る上記発明につきライセンスを取得した上で,その技術的範囲に属する巻き爪矯正具の製造,販売を開始した(乙63の1・2。以下,この巻き爪矯正具を「矯正具A」という。)。 被告は,平成9年2月,VHO社との間で,矯正具Aにつき,日本での独占販売権を有する旨の契約(以下「本件独占販売契約」という。)を締結した(乙61の1・2)。被告は,この契約に基づいて,日本国内における被告製品の製造,販売を開始し,現在までこれを継続しているものであるが,被告製品の形態は,矯正具Aと同一である。また,VHO社は,平成13年6月15日,日本において, 約に基づいて,日本国内における被告製品の製造,販売を開始し,現在までこれを継続しているものであるが,被告製品の形態は,矯正具Aと同一である。また,VHO社は,平成13年6月15日,日本において,指定商品を医療用機械器具として,「- -」の文字を横書きしてなる商標につき,登録査定を受け,その旨登録された(乙17)。 P1 とVHO社は,平成13年8月18日に合意書を交わし,両者間のライセンス契約が解約されている旨確認するとともに,VHO社において,引き続き矯正具Aの取引をすることができる一方,平成14年1月1日以降,「VHO」の名称を使用してはならないことを合意した(甲42の1・2)。 VHO社は,同合意を踏まえ,社名を「 」に変更し(乙55。以後,同社を「3TO社」という。),日本でも,平成17年9月16日,指定商品を医療用機械器具として,「-」の文字を横書きしてなる商標につき,新たに登録査定を受け,その旨登録された。また,3TO社と被告との間で平成18年11月18日に交わされた覚書(乙23の1・2)においては,矯正具Aは「 」と表現された。 - 14 -一方,P1 は,VHO社との上記合意から間もない2001年(平成13年)8月28日には新たな形態の巻き爪矯正具を開発し,以後メコトレード社が,ドイツ国内にて,「VHO」名称下でその販売をするようになった。ただ,P1 やメコトレード社は,日本において,「VHO」あるいはこの文字列を含んだ商標の登録を受けていない。 本件ドイツ特許は2004年(平成16年)1月15日に,本件米国特許は2006年(平成18年)6月7日,それぞれ特許料不払を理由として消滅した(甲4 この文字列を含んだ商標の登録を受けていない。 本件ドイツ特許は2004年(平成16年)1月15日に,本件米国特許は2006年(平成18年)6月7日,それぞれ特許料不払を理由として消滅した(甲40,41の各1・2)。 (2)被告による被告製品の販売等被告は,平成9年2月の本件独占販売契約締結以降,日本国内において,被告製品を用いた巻き爪矯正施術を「VHO」と呼び,医師や医療機関などを対象に,当該施術のセミナー及び被告製品の販売を行ってきた(乙25~43,47~54)。 被告は,自社ウェブサイトにおいても,「VHO」との名称で被告製品を用いた巻き爪矯正施術を紹介してきた。また,同ウェブサイトでは,平成22年12月29日の時点において,被告製品を「VHOワイヤー,ループ」と呼称し,国際的な特許で保護されているとの記載や特許を取得している専用のワイヤーであるとの記載をしていた(甲12~14)。 (3)原告による原告製品の販売等原告は,平成12年7月24日,発明の名称を「爪の変形を直す矯正具」とする特許を出願し,平成16年3月12日,特許権の設定登録を受けた(甲3。原告特許)。この特許発明の実施例として明細書に図示されている巻き爪矯正具の形態は,被告製品の形態と同一であり,また,特許公報の発明者欄に記載されている人物は,平成11年に,被告の開催する巻き爪矯正施術のセミナーを受講したことがあった(乙44,45,乙64の1~5)。 - 15 -原告は,医師や医療機関などを対象に,被告製品と同一形態の原告製品を製造,販売してきたが,平成21年4月及び6月に医療機関向けに送った書面は,原告特許の表示を付して原告製品を宣伝する内容であった。 なお,原告は,P1 やメコトレード社との間で,巻き爪矯正具の製造,販売に関し, 平成21年4月及び6月に医療機関向けに送った書面は,原告特許の表示を付して原告製品を宣伝する内容であった。 なお,原告は,P1 やメコトレード社との間で,巻き爪矯正具の製造,販売に関し,何らかの契約を締結しているわけではなく,「VHO」の表示を使用したこともない。 (4)原告及び被告間の交渉経過被告の代理人弁理士は,原告に対し,平成21年10月2日付の内容証明郵便にて,原告特許が冒認出願を理由として無効とされるべきものであるとし,原告製品につき,原告特許の表示を一切中止することなどを求めた(甲1)。 その後,原告の代理人弁理士と被告の代理人弁理士との間で,主に書面やEメールを通した交渉が重ねられたが,原告は当初から,原告製品の販売に当たって原告特許の表示を中止すること,原告製品の形態を変更することを受け入れていた。また,原告は,平成22年2月には,原告特許につき,請求項1ないし3項を削除して請求項4項のみを残す訂正審判を請求した上,訂正後の特許権を被告との共有とすること,被告製品と同一又は類似形態の製品を製造販売し,これに違反した場合には違約金を支払うことも受け入れていた。このような交渉経過の中,原告は,平成21年12月には,実際にも原告製品について原告特許の表示を中止した上,被告に対し,平成22年4月には,原告製品の新しい形態をサンプル及び図面で提案し,同年6月には訂正審判請求書の案も提示していた(乙2~16)。 しかし,原告代表者は,平成23年1月,被告から最終的な解決の枠組みとして提示された特許権譲渡契約書案(甲2,乙11)が受け入れがたい内容であると考え,被告に対し,同月21日到達の書面にて,「できう- 16 -ることならば円満解決をしたいとの希望からいろいろな譲歩提案も行って参りました。」との前 甲2,乙11)が受け入れがたい内容であると考え,被告に対し,同月21日到達の書面にて,「できう- 16 -ることならば円満解決をしたいとの希望からいろいろな譲歩提案も行って参りました。」との前置きをしつつ,上記特許権譲渡契約書案は一方的,不合理な内容で受け入れられないこと,これまで自身の弁理士を通じて行ってきた譲渡提案を全て撤回することを通知した(甲4)。以後,原告代表者と被告の代理人弁理士との間で交渉が継続された。 一方,原告は,平成23年2月10日付の書面において,被告に対し,被告のウェブサイト上で記載されている被告製品に係る「特許」につき,「どの国の特許で,権利者,特許番号,発明の名称,有効期間及び貴社と権利者の関係を開示」するよう求めたが(甲6),被告から具体的な情報の開示はなかった。もっとも,同年4月28日までに,被告のウェブサイトにおいて,被告製品に係る特許の記載は削除された。 原告及び被告間の交渉は平行線を辿った上で決裂し,同年5月6日の本訴に至った。 2 争点1(原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項1号[周知表示混同惹起行為]に該当するか)について(1)被告製品の形態の商品等表示性被告は,被告製品の形態が「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)に当たると主張するところ,一般に商品の形態は,商品の機能を実現し,あるいは,美感を高めるといった目的のために選択されるものであり,商品の出所表示を目的とするものではないが,形態の独自性や取引の実情などによっては,商品の形態が識別力を取得することもあり,その場合には,当該形態をもって「商品等表示」に該当するということができる。 そこで被告製品の形態について検討するに,被告が平成9年2月に3TO社との間で本件独占販売契約を締結して以来,被告製品を の場合には,当該形態をもって「商品等表示」に該当するということができる。 そこで被告製品の形態について検討するに,被告が平成9年2月に3TO社との間で本件独占販売契約を締結して以来,被告製品を日本国内で製造,販売し続けてきたことは確かであるし,証拠(甲8,9,12~16,39,50,51,乙25~43,47~54,57~60[枝番省- 17 -略])によれば,被告が,自社ウェブサイトや医学分野の学会誌などで被告製品を用いた巻き爪矯正施術及びその技術習得のためのセミナーを宣伝してきたことも認められる。 しかし,本件ドイツ特許及び本件米国特許の各公報(乙20,21の各1・2)及び前記1で認定の事実経過によれば,被告製品の形態は,簡便かつ効果的に巻き爪などを矯正するという技術的な機能実現のために得られたものであることが認められ,かかる機能的な意味合いを有しない特徴的部分は見当たらない。そのため,被告製品の形態は,機能実現のために他に選択の余地がないものとまでいえるかはともかく,需要者との関係で,巻き爪矯正具としての機能という意味を超えて識別力を持ち得る余地の小さい形態であるといえる。 また,被告製品は,店頭販売などされておらず,需要者が直接その形態を見て商品選択することは想定できない上,証拠として提出されている上記多数の宣伝媒体を精査しても,巻き爪矯正施術の過程や被告製品を爪に装着した状態,あるいは,被告製品の一部を写真や図面で表示したものはあるものの,別紙被告製品図のような被告製品全体の形態が分かるように表示されているものは見当たらない(「」と題する医学雑誌の2004年5月号[乙32]本文には,被告製品の形態全体が写った写真が掲載されているが,あくまで爪矯正処置法の医学的解説の一環としての掲載であり,商品等表示 らない(「」と題する医学雑誌の2004年5月号[乙32]本文には,被告製品の形態全体が写った写真が掲載されているが,あくまで爪矯正処置法の医学的解説の一環としての掲載であり,商品等表示性の根拠とすることは困難である。)。一方で,前記認定のとおり,被告製品については,もっぱら「VHO」の文字標章が「商品等表示」として使用されてきた。これらの事情からすれば,被告製品の形態が,被告製品の出所表示として使用されてきたとはいえないし,そのような機能を果たしている実態があるともいえない。 以上を総合して考えれば,被告製品の形態が,巻き爪矯正具の機能の観点から選択されたという意味を超え,「商品等表示」たり得るだけの識別- 18 -力を有するに至ったとはいえないものである。 (2)小括したがって,原告製品の形態は被告製品の形態と同一ではあるものの,そもそも被告製品の形態は,「商品等表示」に該当しないため,不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)に基づく被告の主張は採用できない。 3 争点2(原告製品の製造,販売が不正競争防止法2条1項2号[著名表示冒用行為]に該当するか)について前記2で論じたとおり,被告製品の形態は「商品等表示」に該当しないため,その余の要件を検討するまでもなく,不正競争防止法2条1項2号(著名表示冒用行為)に基づく被告の主張は採用できない。 4 争点3(被告によるウェブサイト上の記載が不正競争防止法2条1項13号[品質等誤認惹起行為]に該当するか)について(1)特許の表示ア前記1のとおり,被告は,少なくとも平成23年4月28日以前の一定期間,自社のウェブサイトにおいて,被告製品につき,「国際的な特許で保護されている」「特許を取得している専用のワイヤーである」との記載を付してい り,被告は,少なくとも平成23年4月28日以前の一定期間,自社のウェブサイトにおいて,被告製品につき,「国際的な特許で保護されている」「特許を取得している専用のワイヤーである」との記載を付していた。この点,被告製品は,巻き爪矯正具につき,ドイツのP1 の発明の実施品であり,その発明は,かつてドイツ及び米国で特許を受けていたものであるが,本件米国特許は2004年(平成16年)1月15日に,本件ドイツ特許は2006年(平成18年)6月7日にそれぞれ失効した。 一般に商品に付された特許の表示は,需要者との関係において,当該商品が特許発明の実施品であると受け取られるため,当該商品が独占的に製造,販売されているものであることや,商品の技術水準に関する情報を提供するものとして,「品質」(不正競争防止法2条1項- 19 -13号)の表示といえる。しかし,上記のとおり,被告は,被告製品につき,実際には特許発明の実施品ではなくなったにもかかわらず,国際的な特許で保護されている,特許を取得している専用のワイヤーであるといった表示を付し,少なくともいずれかの国・地域の特許発明の独占的実施品であるかのような情報を需要者に提供したものであるところ,かかる行為は,「品質」を誤認させるような表示をした不正競争行為(不正競争防止法2条1項13号)に該当するというべきである。 イこの点,被告は,「国際的な特許で保護」などの記載につき,被告製品が簡単には模倣できない高度な技術によることを示し,模倣品を用いて引き起こされる事故の防止を企図したものと読み取るのが通常である旨主張するが,上記表示をそのような限定した意味で受け取る理由はない。需要者にとって「品質」としての意味を持つ特許の表示に誤りがあった以上,不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起 通常である旨主張するが,上記表示をそのような限定した意味で受け取る理由はない。需要者にとって「品質」としての意味を持つ特許の表示に誤りがあった以上,不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)の該当性は否定できず,その主張は採用できないというべきである。 (2)「VHO」の表示ア一方,原告は,被告において,被告製品に「VHO」の表示を付して製造,販売していたことも不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当する旨主張する。 しかし,「VHO」は,それ自体アルファベット大文字の「V」と「H」と「O」を組み合わせたものでしかなく,前記1で認定した事実経過に照らすと,日本国内の需要者との関係において,被告製品あるいはそれを利用した施術の名称として受け取られることこそあれ,それを超えて何かの意味を有する単語ではない上,特段の信用が化体している表示と認めるに足りる証拠もないのであるから,被告製品の- 20 -品質や内容に関する情報を提供するものとはいえない。また,「VHO」は,「  !  ! "# 」の頭文字からなる文字列であり,その日本語訳は「熟練の技による人間的な巻き爪矯正法」であると被告のウェブサイト上では説明されているが,それでも巻き爪矯正施術の名称の域を出ておらず,それを超えて被告製品の品質や内容に関する格別の情報を提供するものではないし,そもそも,「VHO」のアルファベット三文字のみから,「  !  ! "# 」といった外国語表記や「熟練の技による人間的な巻き爪矯正法」といった日本語訳を,日本国内の需要者が想起するものでもない。 したがって,被告製品に付された「VHO」は,そもそも商品の「品質」や「内容」など(不正競争防止 熟練の技による人間的な巻き爪矯正法」といった日本語訳を,日本国内の需要者が想起するものでもない。 したがって,被告製品に付された「VHO」は,そもそも商品の「品質」や「内容」など(不正競争防止法2条1項13号)の表示ではなく,被告が,メコトレード社との関係において,「VHO」との表示を使用する権限があるか否かを論じるまでもなく,「VHO」表示が不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)に該当する余地はないというべきである。 イこの点,原告は,被告が本件独占販売契約を締結した相手方である3TO社が,P1 との間で,被告製品と同一形態である矯正具Aにつき,「VHO」名称を使用しない旨合意したことを指摘する。 確かに,前記認定のとおり,かかる合意がなされたことは認められるが,原告も被告も,合意を交わした当事者ではなく,両者間の法律関係に直接影響を与えるものではない。そして,前記のとおり,「VHO」なる表示は,被告製品の品質や内容に関する情報を提供するものではないのであるから,上記合意の解釈如何にかかわらず,不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認惹起行為)上の問題とする前提を欠くというべきである。 したがって,原告の主張は採用できない。 - 21 -(3)小括したがって,不正競争防止法3条1項に基づく原告の差止請求は,被告の製造,販売にかかる巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」の表示を,ウェブサイトを含む広告宣伝に使用することの差止めを求める限りにおいて理由がある(被告は既にかかる使用を停止しているが,本訴における主張内容等に照らせば,かかる表示をするおそれはなお否定できない。)。 5 争点4(被告の原告に対する要求が不法行為に当たるか)について原告は 告は既にかかる使用を停止しているが,本訴における主張内容等に照らせば,かかる表示をするおそれはなお否定できない。)。 5 争点4(被告の原告に対する要求が不法行為に当たるか)について原告は,平成21年10月2日から平成22年12月6日にかけての被告からの要求が不当なものであり,不法行為を構成する旨主張する。 しかし,前記認定のとおり,上記期間における原告及び被告間の交渉は,双方とも弁理士を代理人とし,主に書面やEメールを交わす形で行われており,また,原告代表者自身も,円満解決の観点から様々な譲歩提案をしてきた(甲4)というのであるから,被告の交渉の態様に格別不当,違法な点があったとはいえないし,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 被告の要求内容について考えても,被告が,原告製品につき,① 原告特許の表示の中止,② 原告製品の形態変更,③ 特許の訂正審判請求と特許権の無償移転による共有化,④ 被告製品と同一又は類似の製品の製造,販売禁止などを求めていたことは確かであるが,原告製品の形態や原告特許の内容など前記認定の事実経過に照らして考えれば,被告の要求の全てが法的な根拠を有していたといえるかはともかく,原告に求めること自体が不法行為を構成するような要求内容であったとはいえない。 また,原告は,被告において,原告が非正規品を販売しているかのような風評も流した旨主張するが,被告が違法な態様でそのような行為に及んだことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告の上記主張は採用できず,不法行為に基づく損害賠償請- 22 -求は,損害の点について検討するまでもなく理由がない。 6 争点5(原告の損害及び被告の故意又は過失)について(1)損害前記5のとおり,被告による不法行為の成立は認められないものの,前記4で は,損害の点について検討するまでもなく理由がない。 6 争点5(原告の損害及び被告の故意又は過失)について(1)損害前記5のとおり,被告による不法行為の成立は認められないものの,前記4で認めた限りにおいて,被告の不正競争行為が認められるので,かかる行為によって原告が被った損害を検討する。 ア原告は,被告の警告書等に対する回答書作成のため生じた費用39万6521円をもって損害と主張するが,被告の上記不正競争行為によって生じた損害とは認められない。 イ原告は,被告製品が矯正具Aと同一の形態であることやVHOの名称を使用する権利がないことに関する証拠を収集するための費用96万3631円が損害である旨主張するが,被告の上記不正競争行為によって生じた損害とは認められない。 ウ原告は,被告の不当要求による原告製品の販売減少額も損害である旨主張するが,かかる販売減少を認めるに足りる証拠がない上,前記5の不法行為が成立することを前提とした損害の主張であり,被告の上記不正競争行為による損害と認める余地はない。 エ最後に原告は,本訴に要した弁護士費用をもって原告の損害と主張するが,本訴のうち,上記不正競争行為に関する諸般の事情に鑑みると,30万円の限りで,上記不正競争行為と因果関係のある損害と認めるのが相当である。 オ上記不正競争行為によって,他に原告が損害を被ったと認めるに足りる証拠はない。 (2)過失そして,上記不正競争行為が,特許の有無という公開情報に関するものであったことに加え,被告が,ドイツで矯正具Aを使用した事業を行う3- 23 -TO社と本件独占販売契約を締結する関係にあったことに照らせば,上記不正競争行為につき,被告の過失も肯定されるというべきである。 (3)小括したがって,原告の損害賠償請求は う3- 23 -TO社と本件独占販売契約を締結する関係にあったことに照らせば,上記不正競争行為につき,被告の過失も肯定されるというべきである。 (3)小括したがって,原告の損害賠償請求は,不正競争防止法4条に基づき,30万円の支払を求める限度で理由がある。 第5 結論以上の次第で,原告の請求は,① 被告が,不正競争防止法2条1項1号又は同条同項2号該当を理由に,同法3条1項に基づいて,原告に対し,別紙被告製品図記載の製品と同じ形態の巻き爪矯正具を製造,販売することを差し止める権利を有しないことの確認,② 不正競争防止法3条1項に基づき,被告の製造,販売にかかる巻き爪矯正具につき,「国際的な特許で保護」,「特許を取得している専用のワイヤー」の表示を,ウェブサイトを含む広告宣伝に使用することの差止め,③ 不正競争防止法4条に基づき,30万円の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年5月25日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官松川充康 - 24 -裁判官西田昌吾 - 25 -(別紙)被告製品図

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