平成12(行ウ)18等 公金違法支出損害賠償請求事件(甲事件),公金違法出損害賠償請求事件(乙事件),福岡県違法公金支出返還請求事件(丙事件)

裁判年月日・裁判所
平成15年3月25日 福岡地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文34,785 文字)

主文 1 甲事件について甲事件原告らの請求を棄却する。 2 乙事件について被告は,福岡県に対し,金1億0005万5128円及びこれに対する平成13年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件について被告は,a及びbに対して,金8704万0595円及びこれに対する平成14年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して支払えとの請求をせよ。 4 甲,乙及び丙事件について訴訟費用は,甲事件については甲事件原告らの,乙事件については乙事件被告及び参加人の,丙事件については丙事件被告の各負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 甲,乙及び丙事件原告ら(以下「原告ら」という。)(甲事件につき)被告は,福岡県に対し,金1億1363万1426円及びこれに対する平成12年6月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (乙及び丙事件につき)主文2,3項同旨(甲,乙及び丙事件につき)訴訟費用は被告の負担とする。 2 甲,乙及び丙事件被告(以下「被告ら」という。)(甲,乙及び丙事件につき)(1) 本案前の答弁原告らの訴えをいずれも却下する。 (2) 請求の趣旨に対する答弁ア原告らの請求をいずれも棄却する。 イ訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 事案の概要甲及び乙事件は,いずれも福岡県の住民が福岡県知事である被告に対し,福岡県が現職の教諭を福岡県同和教育研究協議会(以下「県同教」という。)に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことにつき,同派遣従って給与支払は違法であり,被告は,この違法性を知っていたか又は知らなかったことに過失があるから,福岡県が被った損害を賠償する義務があるとして,平成11年3月17日から平成12年3月16日まで 遣従って給与支払は違法であり,被告は,この違法性を知っていたか又は知らなかったことに過失があるから,福岡県が被った損害を賠償する義務があるとして,平成11年3月17日から平成12年3月16日までに派遣教諭に給与として支払われた合計金1億1363万1426円(甲事件)と平成12年8月から平成13年7月までに派遣教諭に給与として支払われた合計金1億0005万5128円(乙事件)の賠償を福岡県に対して支払うよう求めた事案である。 丙事件は,福岡県の住民が福岡県知事に対し,福岡県が現職の教諭を県同教に研修名目で派遣してその給与を支出してきたことにつき,同派遣従って給与支払は違法であり,福岡県知事であったaは,この違法性を知っていたか又は知らなかったことに過失があり,福岡県教育委員会(以下「県教委」という。)委員長であったbは上記派遣及び給与の支出に関わった者であり,福岡県が被った損害を賠償する義務があるとして,福岡県がa及びbに対して,平成13年9月から平成14年8月までに派遣教諭に給与として支払われた合計金8704万0595円の賠償請求を行うよう求めた事案である。 1 当事者間に争いのない事実(1) 原告らは,いずれも福岡県の住民である。 (2) 甲及び乙事件被告及び丙事件におけるaは,平成7年4月から福岡県知事の職にあり,給与等の公金支出につき最終の権限を有するものである。bは,平成13年7月16日から現在まで県教委委員長の職にあり,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)第23条により,学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること(同条3号),校長,教員その他の教育関係職員の研修に関すること(同条8号),その他当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること(同条19号)を管理,執行す 免その他の人事に関すること(同条3号),校長,教員その他の教育関係職員の研修に関すること(同条8号),その他当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること(同条19号)を管理,執行する権限を有する教育委員会を代表する者である。 (3) 福岡県は,別紙「福岡県同和教育研究協議会の役員・研修員の勤続年表」記載のとおり,長年にわたって,現職の教諭を県同教に派遣し,かつその給与を支出してきた。なお,平成10年度ないし平成14年度の派遣職員は別紙「平成10年度ないし平成14年度の県同教事務局派遣職員名簿」記載のとおりである。 上記派遣教諭に対し平成11年3月17日から平成12年3月16日までに支払われた給与は合計金1億1363万1426円,平成12年8月から平成13年7月までに支払われた給与は合計1億0005万5128円,平成13年9月から平成14年8月までに支払われた給与は合計金8704万0595円である。 (4) 県同教は,「部落解放の教育を確立する同和教育の研究と実践につとめ,真の民主教育の実現を期することを目的」として,昭和36年1月27日に発足した,法人格のない民間の研究団体である。 その組織は,上記目的に賛同する郡市町村単位の同和教育団体,公立高等学校及び私立学校同和教育研究団体並びに特別会員からなっており,現在,90の同和研究団体から構成されている。 (5) 甲事件原告らは平成12年3月16日に,乙事件原告らは平成13年7月27日に,丙事件原告らは平成14年8月30日に,甲,乙及び丙事件それぞれに対応する公金支出につき,福岡県監査委員に対し,地方自治法第242条第1項に基づく監査請求を行ったところ,同監査委員は,甲事件に対応する監査請求については平成12年5月15日に,乙事件に対応する監査請求については平成13年9月 監査委員に対し,地方自治法第242条第1項に基づく監査請求を行ったところ,同監査委員は,甲事件に対応する監査請求については平成12年5月15日に,乙事件に対応する監査請求については平成13年9月21日に,丙事件に対応する監査請求については平成14年10月29日に各監査請求を棄却する旨の通知を行った。 2 争点(1) 甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及びbが地方自治法第242条の2第1項第4号の職員に当たるか否か。 (被告らの主張)政令指定都市である福岡市の県費負担教職員については福岡市教育委員会が,同様に北九州市の県費負担教職員については北九州市教育委員会が,地教行法第58条第1項の規定により,それぞれ任命権を有し,県立学校職員については同法第34条により,政令指定都市以外の市町村立学校職員については同法第37条第1項により,県教委が任命権を有する。また,公立学校教員の研修は,地方公務員法(以下「地公法」という。)第39条,教育公務員特例法(以下「教特法」という。)第19条,第20条,地教行法第23条第8号及び第58条第2項によって任命権者が行うものとされる。福岡県においては,県教委が,地方自治法第180条の5第1項第1号に規定する執行機関であり,同法第180条の8及び地教行法第23条により同和教育を含めた教育に関する事務を管理し及び執行する権限を有する。そして,県教委は県立学校教論に対し,政令指定都市の教育委員会は当該市の県費負担教職員に対し,また,政令指定都市以外の関係市町村教育委員会は,地教行法第43条及び第45条第2項の規定により,服務監督権者として当該市町村の県費負担教職員に対し,職務命令により研修を命じたものである。 次に,教員の給与については,地公法24条6項及び教特法25条の5(県被負担教職員については地教 により,服務監督権者として当該市町村の県費負担教職員に対し,職務命令により研修を命じたものである。 次に,教員の給与については,地公法24条6項及び教特法25条の5(県被負担教職員については地教行法42条)により条例で定めることとされ,その適用条令は福岡県公立学校職員の給与に関する条例であり,同条例6条3項によって,県教委が任命権を有している教員の給与の支給については県教委が責任をもって支給している。さらに,教員の給与は,予算事務については県教委の内部組織である財務課が所管し,給与の具体的な支出については,財務関係に関する知事の事務の専決として,教職員課が所管している。 このように,福岡県知事には,教員に対し,研修を命ずる権限はないのであるから,各任命権者が研修を命じたことは,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの関知しないところであり,かつ,研修を命ぜられた職員の給与については,給料月額及び諸手当並びに給与支払事務手続に何ら変動はないので,福岡県知事は,給与の支払の当否について関知しうる立場にないのであるから,その責任を問われる理由はない。 また,bは県教委の委員長であるところ,同委員長は教育委員会の会議を主宰するにすぎず,地教行法12条3項が定めている「代表」権限についても,教育委員会の権限に属する事務を委員長単独で行いうるものではなく,又委員長が事務の執行者となるものでもない。なお,地教行法26条1項は,教育委員会は,規則で定めるところにより,その権限に属する事務の一部を教育長に委任することができるものとされ,県教委にあっては「福岡県教育委員会の事務委任等に関する規則」によって,教員の研修及び当該教員の給与の支給については教育長に委任されており,bが実務に関与しうる立場になく,その責任を問われる理由はない。 以上のとおり 岡県教育委員会の事務委任等に関する規則」によって,教員の研修及び当該教員の給与の支給については教育長に委任されており,bが実務に関与しうる立場になく,その責任を問われる理由はない。 以上のとおりであるから,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及びbは,地方自治法第242条の2第1項第4号に規定する当該職員に該当せず,被告適格を欠く。 (原告らの主張)地方自治法第242条の2第1項第4号の「当該職員」とは,「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来有するとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして同権限を有するに至った者を広く意味」すると解されている(最高裁昭和62年4月10日判決・民集41巻3号239頁)。長の権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為をあらかじめ特定の吏員に委任することとしている場合であっても,あるいは特定の補助職員に専決させることとしている場合であっても,長が「当該職員」に該当することに変わりはない(最高裁平成3年12月20日判決・民集45巻9号1455頁,同平成5年2月16日判決・民集47巻3号1687頁)。そして,地方公共団体の長は,当該地方公共団体の事務等を管理し,これを執行する権限,予算執行権限及び支出命令権を有するとされており(地方自治法第148条,第149条),しかも派遣教諭らへの違法な給与支出が問題となっている本件との関連でいえば,地方公共団体の長は,教育委員会の所掌に係る事項について予算執行に関する事務を管理し及び執行すると規定されている(地教行法第24条)ことからすれば,地方公共団体の長である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが,正に「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来有するとされている者 24条)ことからすれば,地方公共団体の長である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが,正に「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来有するとされている者」に該当することは明らかである。したがって,福岡県知事である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは上記「当該職員」に該当し,被告らの本案前の抗弁は何ら理由がない。 また,県教委が現職教諭の県同教への派遣及び給与支出の実務についての責任を有する機関であることからすると,県教委の委員であり,しかも委員長として,県教委の決定に対し責任を負う立場にあるbが,上記「当該職員」に該当することは明らかであって,被告らの本案前の抗弁は理由がない。 (2) 丙事件におけるbに関し,監査請求前置の手続が採られたといえるか。 (bの主張)地方自治法242条の2第1項4号による請求は,同法242条1項の規定による請求をした場合においてなしうるものであるところ,原告らの監査請求は,「教育長は現職教諭の県同教派遣の一切をただちに取りやめること」というにあって,県教委はおろか同委員長が監査請求の対象者となっておらず,更に請求の趣旨も損害賠償を求めるものとなっていないことからすると,丙事件のうちbを対象とした部分は,監査請求前置の手続が採られたとはいえない。 (丙事件原告らの主張)住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異なるものを相手方として同措置の内容と異なる請求をすることも許されると解すべきであって(最高裁判所平成10年7月3日第2小法廷判決),監査請求では,「今後教員らへの給与支払いはやめること。既に支給した分については,公金支出の最終権限者たる県 求をすることも許されると解すべきであって(最高裁判所平成10年7月3日第2小法廷判決),監査請求では,「今後教員らへの給与支払いはやめること。既に支給した分については,公金支出の最終権限者たる県知事に対して支出相当額の損害賠償を求めること。現職教員の県同教派遣の一切をただちに取りやめること。」を求めていたものであって,監査請求前置を欠くものではない。 (3) 公金支出の違法性(原告らの主張)① 同和教育行政の不要性について国や地方自治体は,同和問題(部落問題)解決のために,これまで様々な特別の行政施策を実施してきた。行政の一分野である教育行政においても,同和問題に起因する教育上の諸問題(同和地区児童・生徒の長期欠席,不就学及び低学力等)解決のために,「同和教育加配教員」制度の実現及び「同和奨学金」制度の実施等,同和地区児童・生徒のための特別施策が実施されてきた。 しかるに,社会・経済の発展と永年の同和施策の結果,住民の融合・混住が進み,格差・差別意識は消滅(又は著しく減少)し,特別の行政施策としての同和行政は不必要となった。加えて,住民の融合・混住により,同和地区の実態は大きく変貌しており,特別施策の対象となる住民を特定すること自体も不可能となっている。 このような現状を踏まえて,「同和行政」という行政上の特別措置は,平成9年3月末をもって若干の経過措置を残して原則的に終了し,平成14年3月末にはすべて廃止し,一般対策によって対処することになった。総務省大臣官房地域改善対策室は,平成13年1月26日付けの文書「今後の同和行政について」において,同和特別対策を基本的に終了し,一般対策に移行する主な理由として,(ア)特別対策は,本来臨時的なものであり,これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化しているこ において,同和特別対策を基本的に終了し,一般対策に移行する主な理由として,(ア)特別対策は,本来臨時的なものであり,これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化していること,(イ)特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではないこと,(ウ)人口移動が激しい状況の中で,同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難であることを挙げている。 このことは行政の一分野である教育行政にも当然に当てはまることである。すなわち,貧困及び学力不足等同和地区の子供達が抱える問題は,同和地区の子供達に特有なものではなく,子供達一般にみられる問題となっている。同和問題に起因する教育上の諸問題は既になくなり,また,同和地区児童・生徒の特定も不可能となっている今日,福岡県において,もはや同和教育行政は不要となっている。このような現状を無視して,特別施策としての同和教育行政に対する公費の支出を続けることは,公費の無駄遣いといわざるを得ない。 ② 県同教の性格と活動内容について昭和28年に結成された全国同和教育研究協議会(以下「全同教」という。)は,民主的な教師達による同和教育運動として全国に広がったが,福岡県でも昭和36年1月27日に県同教として発足した。全同教や各地の県同教は,不就学の子供をなくす運動,教科書無償の実現運動,低学力の克服運動及び就職差別反対の運動等,子供の教育権を保障するための積極的で民主的な活動を展開してきた。 部落解放同盟(以下「解同」という。)は,昭和35年の大会で部落解放運動を広範な国民の民主的運動の一環としてとらえ,国民の団結と統一戦線の力によって部落問題を解決することを強調する要綱を確立したが,一部の幹部が「部落民以外は差別者」という部落排外主義を運動に持ち込むようになり,昭和 民主的運動の一環としてとらえ,国民の団結と統一戦線の力によって部落問題を解決することを強調する要綱を確立したが,一部の幹部が「部落民以外は差別者」という部落排外主義を運動に持ち込むようになり,昭和44年3月に矢田事件,昭和49年11月に八鹿高校集団暴力事件を引き起こし,部落解放運動を分裂させた。すなわち,国民融合論の立場に立つ全国部落解放運動連合会(以下「全解連」という。)と部落排外主義の立場に立つに至った解同とに組織が分裂した。 解同は,部落排外主義的運動方針により,「解放教育」と称して,同和教育を解同の指導と援助によって推進される反教育的な運動に変質させたのである。具体的には,「語り」,「部落民宣言」,「狭山教育」及び「確認・糾弾」等が解放教育の名のもとに全国的に行われるようになった。県同教が「同和教育」の名のもとにすすめてきたのも,この解放教育であった。 県同教は,部落解放基本法制定を求める解同の方針を一貫して支持し,その実現のために解同と共同闘争を行ってきた。すなわち,県同教は,毎年部落解放基本法の制定を活動方針に挙げ,昭和61年からは「部落解放基本法制定要求国民運動福岡県実行委員会」の事務局を勤め,実行委員会の副会長には県同教の会長が就任したほか,解同福岡県委員長と連名で,県教委に対して「1994年度解放教育の推進に関する要求書」を提出しているが,要求の第一が部落解放基本法制定に向けての行政への協力要請である。さらに,平成7年12月と平成8年5月には,上記福岡県実行委員会として部落解放基本法制定を求める意見広告が西日本新聞に掲載されたが,その連絡先には県同教事務局がなっている。 組織的にも,県同教は常に解同の幹部をその副会長として抱え,部落解放や同和教育の方針においても解同と同じ立場に立ち,更に,その実践においても解同と れたが,その連絡先には県同教事務局がなっている。 組織的にも,県同教は常に解同の幹部をその副会長として抱え,部落解放や同和教育の方針においても解同と同じ立場に立ち,更に,その実践においても解同と一体となって活動してきたのであり,まさに県同教は,解同の解放運動の方針を教育の分野で実践するための運動団体といわざるをえない。 ③ 研修手続について教育公務員は学校現場における生徒・児童に対する教育を本来的な職務内容としている。したがって,これらの教育公務員に対する研修はその本来的職務内容と同視しうるもの,もしくは少なくともその研修の成果を学校教育現場に還元しうるものでなければならない。それ故に教特法や福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則(以下「長期研修規則」という。)は,研修についての手続・期間,研修計画及び研修報告書の提出等を厳格に規定し,その反面において研修期間の給与を保障しているものである。即ち,長期研修規則の定める期間の制限や研修目的の明確化といった手続的規制は,教育現場への還元という本来の研修の目的を通じて正しく理解できるものである。 しかしながら,派遣教諭の中には研修終了後に地方議会の議員となる者や定年を迎える者もおり,これらの教諭だけを例にとっても学校教育への還元など全くなされていない。さらに,教育現場への還元という観点からすると,本来一つの研修テーマが終わると教育現場に戻るべきであるのに,次々と新しいテーマを設定して,県同教で同じ教諭が派遣され続けることも「研修の目的」に反するはずである。 派遣の決定についても,長期研修規則に規定する「公募」や「志望」ではなく,いわば校長の推薦で決定されているほか,長期研修規則によれば研修を受ける場合には研修の題目とか研修の場所等を記載して,その承認を受けることになっているの 修規則に規定する「公募」や「志望」ではなく,いわば校長の推薦で決定されているほか,長期研修規則によれば研修を受ける場合には研修の題目とか研修の場所等を記載して,その承認を受けることになっているのに,研修を受ける者によっては,これが明確でない者もいる。さらに,研修の期間についても,長期研修規則に規定する期間以上に研修を受けている者がほとんどであり,派遣期間についても,平均で会長が6年,事務局長が4年となっているだけでなく,10年を超えるものも少なくない。 辞令についても「教育委員会の事務局職員に任命する」というものであるが,教育職の職員は,一般職の職員とは任命権者も職員採用手続も異なるものであって,辞令には研修の内容が明示されず,研修報告書も,平成元年から平成7年までは出されておらず,平成8年以降からようやく提出されるようになったものであって,その報告書も同じ資料が使われる等研修と認められるものではない。 ④ 研修及び派遣の実態について派遣教諭によって,派遣先である県同教という民間団体が運営され,組織活動が成立しており,しかも,派遣教諭は,専ら県同教の運営に従事し,年中県同教,全同教及び福岡県高等学校同和教育研究協議会(以下「高同教」という。)の活動のために県内及び全国を飛び回っており,その出張日数は少ない者でも90日,多い者で142日と異常に多く,教育公務員としての任務を果たしていない。しかも,その出張目的は,「高同教役員選打ち合わせ」や「基本法制定中央実行委員会」等民間団体の役員選挙のための出張や法律制定運動の実行委員会への出席で,到底研修といえるものではない。さらに,派遣教諭の一部は,派遣先とは異なる民間団体である高同教の運営・活動にも従事している。「研修先」として派遣された民間団体以外の団体の業務に従事し,その活動のために出 修といえるものではない。さらに,派遣教諭の一部は,派遣先とは異なる民間団体である高同教の運営・活動にも従事している。「研修先」として派遣された民間団体以外の団体の業務に従事し,その活動のために出張等をすることは明らかに兼職禁止に抵触する。兼職の場合は任命権者の承諾が必要であるが,そのような手続も一切取られていない。また,派遣教諭らが法律の制定運動などといった極めて政治的な運動を主体的に行っていることも「研修」とはいえないばかりか,教育の中立性・公共性に反する。 (被告らの主張)① 同和教育の必要性と県同教について県教委は,昭和36年に,同和教育を組織的及び計画的に推進することを目的とした「同和教育5か年計画」を策定し,その中において,各地区段階及び県段階における同和研究団体の育成と指導者の養成を図ることなどを定め,昭和37年から県内唯一の同和教育研究団体である県同教に対する補助金を交付するとともに,県同教とともに各種事業を開催するなど,県同教を教育研究団体として育成に努めることにした。 県同教は,昭和31年以後結成されていた県内数箇所の同和教育研究団体を中心にして,福岡県における同和教育の研究と推進を図ることを目的として,昭和36年5月に発足した。県同教は,現在,郡市町村単位の同和教育研究団体,公立高校及び私立学校同和教育研究団体並びに特別会員をもって構成される組織であり,その目的・事業は会則に明示されている。総会・評議会・代表者会・事務局会等の機関を定め,会員の総意を反映するとともに,総合調整しながら研究実践の推進・充実を図っている。役員は,会長1名,副会長8名(平成12年度からは4名)及び監査2名で,事務局は,事務局長1名,事務局次長2名,会計1名及び事務局員6名で構成されている。会員数は,保育所・幼稚園及び小・中・高等学 。役員は,会長1名,副会長8名(平成12年度からは4名)及び監査2名で,事務局は,事務局長1名,事務局次長2名,会計1名及び事務局員6名で構成されている。会員数は,保育所・幼稚園及び小・中・高等学校の教職員及び各市町村行政職員を中心にして,PTA関係者及び大学教員等を含めて2万人を超えている。 一方,昭和40年,同和対策審議会設置法で設置された同和対策審議会(以下「同対審」という。)が答申を出し,「同和問題は基本的人権が侵されているというもっとも深刻にして重大な社会問題」であり,同和問題の早急な解決は「国の責務であり,同時に国民的課題」であるという認識に立って,課題解決の具体的方策の1つとして,同和教育研究団体等の行う研究に対して助成措置を講じることを明記するとともに,同和問題に関して深い認識と理解をもつ指導者の不足と同和教育に関し教育研究団体等の行う研究に対し,補助を行うことを指摘した。また,昭和44年には「同和対策事業特別措置法」が施行され,対象地域における教育の充実等の目標を達成するために,高等学校等の進学奨励費補助事業など必要な措置が講じられることになった。 県教委は,同対審答申の趣旨に基づいて,昭和45年3月に「福岡県同和教育基本方針」を策定し,全ての学校及び地域社会において同和教育を積極的に推進するとともに,意欲と実践力に富む指導者の養成と同和教育研究団体の育成を図ることを定めた。加えて,県同教は,同年,県同教が県内唯一の同和教育研究団体であることから,管下教職員の県同教及び各地区同和教育研究会への積極的参加を促して現在に至っている。 平成8年の地域改善対策協議会(以下「地対協」という。)の意見具申は,「同和開題は多くの人々の努力によって,解決へ向けて進んでいるものの,残念ながら依然として我が国における重要な課題とい ている。 平成8年の地域改善対策協議会(以下「地対協」という。)の意見具申は,「同和開題は多くの人々の努力によって,解決へ向けて進んでいるものの,残念ながら依然として我が国における重要な課題といわざるを得ない」とし,今後の重点施策の方向として,「公的な性格を有する民間団体,社会教育関係団体や民間企業も,今後の教育及び啓発において重要な役割を担うことが期待される」と,差別意識の解消に向けた教育・啓発の推進にとって民間団体が担う役割の重要性を述べている。この意見具申を踏まえ,県教委は平成9年に「今後の同和教育推進についてー指針ー」を策定した。その中では,同和教育を深化・充実させるうえで同和教育研究団体が果たしている役割は大きく,今後とも,課題解決のための教育活動や同和問題・人権問題に係る教育及び啓発活動の改善・充実が積極的に推進されるよう研究団体の育成に努める必要があるとしている。 上記方針に基づき,県教委では,(ア)県同教は結成以来,国民的課題である同和問題の解決に向け,教育の側面から研究実践を進めている教育研究団体であり,約40年に及ぶ研究実践の蓄積を有していること,(イ)県内の教職員及び行政関係者を中心に2万人を超す会員が加入しており,県内各地の同和教育研究団体等の協議の場を保障し総合的調整をすることのできる組織実態をもった幅広い組織であること,(ウ)その研究実践はさまざまな研究会や研究成果物として県の同和教育の推進に寄与していること,(エ)同和教育の推進に貢献する多くの指導者を輩出していること,等の理由から引き続き県同教を積極的に育成していくこととした。 さらに,県教委では次のような理由及び必要性にかんがみ,教員を県同教において研修させ,学校同和教育・人権教育の深化・充実のための指導者の養成を図っているものである。すなわち,( ていくこととした。 さらに,県教委では次のような理由及び必要性にかんがみ,教員を県同教において研修させ,学校同和教育・人権教育の深化・充実のための指導者の養成を図っているものである。すなわち,(ア)県同教は,結成以来約40年間,国民的課題である同和問題の解決に向け,教育の側面から研究実践を進めている教育研究団体であって,豊富かつ有効な資料や出版物を有しており,県内各地の同和教育研究団体等の協議の場を保障し,総合的調整をすることのできる組織実態をもった幅広い組織であることから,より広範な県民の理解と協力のもと,大学等の研究者と連携して同和教育を推進し,研究実践を深めることが可能な研究団体であること,(イ)県同教における研修員の研究主題は,「低学力の子どもを中心にした豊かな授業創造についての研究」,「保幼・小・中・高の連携した進路・学力保障の取組みに関する研究」,「福岡県同和教育副読本「かがやき」の活用促進の方法の研究」及び「福岡県同和教育副読本「かがやき」高等学校用の活用に関する研究」等,同和地区児童生徒をはじめとしたすべての児童生徒の学力向上,進路保障及び差別事象の克服に向けた人権尊重の精神の育成という福岡県の学校同和教育の重要課題の解決に寄与する研究であって,その研究実践によって,研修員は同和問題に関する科学的認識や調査分析能力を身に付けるとともに,その成果を学校における校内研修・授業研究での助言や意見交流を通して学校現場に活かし,またさまざまな研究大会,研修会での提案・報告等を通して学校に還元していること,(ウ)同和教育・人権教育の学習に際しては,地域の人材をはじめ人権に関し幅広い識見のある人材を活用するとともに,そのような指導者層の充実を図ることが必要であるとともに,県同教における研修員は,自らの研究を通してその資質や能力を高 に際しては,地域の人材をはじめ人権に関し幅広い識見のある人材を活用するとともに,そのような指導者層の充実を図ることが必要であるとともに,県同教における研修員は,自らの研究を通してその資質や能力を高めているのであって,その研究成果は,県教委が主催する研修事業や学校教育・社会教育における同和教育研修会等の内容や方法の構成及び同和教育副読本の活用促進等に活かされており,本県の同和教育を推進するための指導者としての力量を身に付けていること,(エ)県同教における研究実践は,同和問題をはじめ人権問題に関する多様な議題の研究,興味及び意欲を喚起し,「生きる力」の育成につながる学習方法の研究及び体験的活動等を取り入れた学習形態の研究,学校・家庭・地域の連携や地域の教育力の向上に関する研究等であって,それらの成果は,福岡県同和教育研究大会,福岡県同和教育夏期講座,同和教育副読本「かがやき」実践研修会及び学力保障実践交流会等の各種研究集会並びに研究大会において発表され交流されているところ,研修員は,これらの研究大会等の企画運営及び各地区における研究実践の収集・分析・検討等,具体的・実践的な活動に携わることを通して,自らの研修を深め発展させるとともに,同和教育の指導者として必要な情報収集能力・分析能力・研修企画能力・教育実践能力・コミュニケーション能力・豊かな人間性等を身に付けており,このことからしても,多くの教職員・行政関係者・県民が参加する研究大会等の企画運営ができる県同教において研究実践を行うことは,同和教育の指導者としての能力を育成する上で必要であること,(オ)県同教における研修を終了した研修員は,小・中・高等学校の校長・教頭や同和教育担当者として学校における同和教育推進の指導的役割を担ったり,教育委員会等において同和教育の深化・充実のための指導 (オ)県同教における研修を終了した研修員は,小・中・高等学校の校長・教頭や同和教育担当者として学校における同和教育推進の指導的役割を担ったり,教育委員会等において同和教育の深化・充実のための指導者として研究成果の還元に努めている。 以上のことから,県教委は,同和問題をはじめとする様々な人権問題の解決に向けた教育を推進するという行政目的を達成するために重要な役割を担う公益性の高い同和教育研究団体として,県同教の育成を図っている。 ② 県同教における研修内容及び研修成果について県同教における研修に従事する教諭の研修内容は,同和教育推進に必要な事項の調査研究,同和教育の内容及び方法の研究,同和教育の研究交流,同和教育に関する研究資料の収集及び記録に加えて,「人権教育のための国連10年福岡県行動計画」等を踏まえ,同和問題の解決を図ることを目的に,「在日外国人児童生徒の人権に関する研究」等障害者・外国人に関する人権問題等も積極的に取り入れたものとなっている。県同教における研究の成果は,県教委が実施している同和教育推進上の課題の解決へ向けた研修事業等を構成する際の参考にされるとともに,市町村教育委員会及び学校における教職員に対する同和教育関連の指導・助言等の際に活かされている。研修に従事する教諭にとっては,市町村教育委員会,学校及び同和教育研究団体の主催する同和教育研修会における指導・助言の要請を受ける機会を通じて,その際,県同教における研修の成果を活用して,同和教育の深化・充実を図っている。さらに,研修の成果は,県同教の機関紙・誌,各種研究紀要及び実践資料集等に十分反映されている。なお,平成10年度及び平成11年度に県同教において研修した14名の教諭の研究主題等は別紙「福岡県同和教育研究協議会における研修員(平成10~11年度)に係る研究成 践資料集等に十分反映されている。なお,平成10年度及び平成11年度に県同教において研修した14名の教諭の研究主題等は別紙「福岡県同和教育研究協議会における研修員(平成10~11年度)に係る研究成果の発表等一覧」記載のとおりであり,平成13年度及び平成14年度に県同教における各研修員の研究主題は別紙「平成13年度及び平成14年度研修員研究主題一覧」記載のとおりであって,その研修内容及び成果物についても同和教育の目的に沿ったものである。 ③ 研修手続について本件で原告らが問題視する派遣(以下「本件派遣」という。)は,教特法第20条第3項,長期研修規則及び「福岡県同和教育研究協議会長期研修実施要項」(平成14年度は同和教育課の名称変更及び県同教の名称,会則の変更に伴い,上記実施要項の一部が修正され「福岡県人権・同和教育研究協議会長期研修実施要項」と変更された。以下「改正前研修実施要項」,「改正後研修実施要項」といい,変更された実施要項を含む場合単に「研修実施要項」という。)に基づき適正に実施されている研修である。 すなわち,本件派遣は,まず,県立学校にあっては県教委において研修に相応しい候補者を,関係市町立学校にあっては県教委と関係市町教育委員会との協議により研修に相応しい候補者を推薦し,県教委教育長が選考決定して,教諭本人に対する本属長たる校長より口頭内示を経て,県立学校教諭については県教委より,関係市町立学校教諭については関係市町教育委員会より,教論本人に対する口頭又は文書による研修命令を発する(平成13年度及び平成14年度は研修員を公募し,研修志願書,実績証明書及び推薦書について審査し,県教育長が決定し,関係市町村教育委員会委員長等に通知を行う。)とともに,教諭の服務上の問題解決の必要性から,教諭に同和教育課職員との「兼任」発令 ,研修志願書,実績証明書及び推薦書について審査し,県教育長が決定し,関係市町村教育委員会委員長等に通知を行う。)とともに,教諭の服務上の問題解決の必要性から,教諭に同和教育課職員との「兼任」発令を行い,同和教育課長は職務命令を発して,本件派遣(県同教での同和教育に関する研修)に従事させている。研修期問は,「必要とみとめる期間」(研修実施要項5)とされ,又「県教育長が必要と認めるときは,研修期間を延長することができる。」(研修実施要項8(2))とされている。これまで述べたように,同和問題の早期解決を図る上で教育の果たす役割は大きく,同和教育推進上の課題及び研修内容を考慮したことから,本件派遣の平均研修従事期間が約4.4年となったものである。なお,研修を命じられた教諭らは,教特法等の規定に基づき,現職のまま研修に従事しており,身分については兼任発令されているものの,教諭の本務である身分の変更はされていないので,福岡県公立学校職員の給与に関する条例が適用されるものである。 (4) 責任(原告らの主張)① 本件派遣の不合理性について今日において同和教育は不必要,むしろ有害無益となっていることは明らかであり,また,派遣教諭の派遣先とされている県同教の性格と活動内容についても,民間団体に過ぎない解同の解放運動の方針を教育の分野で実践するための運動団体であって,この県同教の運動が福岡県の教育現場に大きな悪影響を及ばしていることも明白となっている。そして,本件派遣の性格ないしその実態は,およそ研修と呼べるようなものではなく,単に県同教の活動を担わせるために派遣されているに過ぎないものであって,そのような派遣自体が違法であることは明白である。そうである以上,このような実態を有する県同教に派遣した教諭達にその給料を税金から支出することが違法である めに派遣されているに過ぎないものであって,そのような派遣自体が違法であることは明白である。そうである以上,このような実態を有する県同教に派遣した教諭達にその給料を税金から支出することが違法であることは明らかである。 そうすると,本件派遣は正に「著しく合理性を欠きそのために予算執行の適正確保の見地から看過しえない瑕疵の存する場合」に該当するものであることはいうをまたない。したがって,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは知事として,県教委の独自性を理由としてその違法な処分に従って当然に予算執行をすることが許容されるべきではなく,予算執行の適正確保のために必要な措置を講じるべき責任が生じていると解されるべきである。したがって,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは,県教委に対して県同教への教諭らの派遣の問題点を指摘して適切な協議を求めたり,県議会などにおいて本件派遣が違法なものであるとの認識を明確に答弁するなどして,派遣を中止させ処分の瑕疵の解消に努め,それでも是正されない場合には予算執行権の行使として給与支払の差止めを行うべきであった。それにもかかわらず,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaはこのような努力を全く行っておらず,むしろ,後述するように,県議会等で本件派遣の問題点が繰り返し指摘されてきたにもかかわらず,今日に至るまで一向に何らの措置をも執ろうとしていないのであり,したがって甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及びbは何らかの改善をしようにもできなかったというようなものではなく,正に確信犯的な態度であるといわざるをえない。 ② 甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの故意又は過失について福岡県及び県教委は,昭和35年5月の県同教の発足と同時に,県同教を「県内唯一の同和教育研究団体」と位置づけ補助金の交付,各種事業の ② 甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの故意又は過失について福岡県及び県教委は,昭和35年5月の県同教の発足と同時に,県同教を「県内唯一の同和教育研究団体」と位置づけ補助金の交付,各種事業の共催及び教諭の派遣等を積極的に行ってきた。そして,昭和40年の国の同対審の答申に基づき,福岡県は,昭和45年3月に「福岡県同和教育基本方針」を策定して以来,管下教職員の県同教及び各地区同和教育研究会への積極的参加を促して現在に至っている。 このような福岡県における同和問題の位置づけからするならば,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは県知事として,本件派遣の実態を十分に知りうる立場にあったことは明らかである(bは県教委の委員長として,本件派遣の実態を十分に知りうる立場にあったことはもちろんである。)。さらに,本件派遣の問題点に関しては,昭和61年からこれまで5回にわたり県議会で取り上げられ議論され,特に,平成8年県議会12月定例会では,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは知事として同和教育のあり方など同和教育全般につき関心を持って取り組むことを述べ,平成11年6月及び同年12月の定例会では,県同教への本件派遣問題が直接の議題となっており,その是正を求める内容になっている。その間,会計検査院がその決算検査報告において,教育関係団体に派遣され,その事務に従事している者の給与費等が国庫負担の対象とならないとして,平成6年度における鹿児島県,平成9年度に広島県及び熊本県の各事例が指摘されている。このほか県議会以外でも,全解連は,県知事及び県教委委員長宛に毎年のように同和の名において子どもたちを分け隔て,特別扱いする「同和教育」を廃止することを求め,かつ,同和教育の研究団体でありながら特定の運動団体の社会運動方針を活動の目的にしている県同教に対す 毎年のように同和の名において子どもたちを分け隔て,特別扱いする「同和教育」を廃止することを求め,かつ,同和教育の研究団体でありながら特定の運動団体の社会運動方針を活動の目的にしている県同教に対する教諭の派遣を廃止することも要請している。甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは,県同教に対する教諭の派遣が違法であることを知っていたか,少なくとも知ることが出来たという点において過失があるというべきである。 (被告らの主張)本件派遣は,県教委がその権限に基づき,教特法,長期研修規則及び研修実施要項に則った適正な手続で実施している研修であり,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは,本件研修の実施及び給与の支出に実質上関与しうる立場になく,これに関する指揮監督上の義務があるとまではいえず,もとより故意又は過失があるということもできない。 第3 争点に対する判断 1 本案前の抗弁について(1) 被告適格(地方自治法第242条の2第1項第4号に規定する「当該職員」の該当性)につき被告らは,県立学校職員及び政令指定都市以外の市町村立学校職員の任命権並びに同和教育を含めた教育に関する事務を管理及び執行する権限を有するのは県教委であって,福岡県知事である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及び県教委の委員長ではあるが県教委の会議を主宰し県教委を代表するに過ぎないbには,その権限はなく,本件研修及び給与の支払の当否について関知しうる立場にないのであるから,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及びbは,地方自治法第242条の2第1項第4号に規定する「当該職員」に該当せず,被告適格を欠く旨主張する。 確かに,県教委は,地方自治法第180条の5第1項第1号に規定する執行機関であり,地教行法第23条第3号及び第34条第1項によって,教員の任命権を有 該職員」に該当せず,被告適格を欠く旨主張する。 確かに,県教委は,地方自治法第180条の5第1項第1号に規定する執行機関であり,地教行法第23条第3号及び第34条第1項によって,教員の任命権を有し,更に,地公法第39条,教特法第19条,第20条及び地教行法第23条第8号によって教員の研修を命じることができることはいうまでもない。そして教員の給与については,地公法第24条第6項及び教特法第25条の5により県の条例である福岡県公立学校職員の給与に関する条例によるべきところ,同条例第6条第3項によって任命権者である県教委が責任をもって支給するものとされていることが認められる。 しかしながら,地方自治法第242条の2第1項第4号の「当該職員」とは,当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来有するとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして同権限を有するに至った者を意味するところ,地方公共団体の長は,当該地方公共団体の事務等を管理し,これを執行する権限,予算執行権限及び支出命令権を有するとされており(地方自治法第148条,第149条),しかも派遣教諭らへの違法な給与支出が問題となっている本件との関連でいえば,地方公共団体の長は,教育委員会の所掌に係る事項に関する予算執行に関する事務を管理し及び執行すると規定されている(地教行法第24条)ことからすれば,地方公共団体の長である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは,「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来有するとされている者」すなわち上記「当該職員」に該当するものといわなければならない。 また,丙事件におけるbに関しては,県教委が県同教への教諭の派遣更に派遣された教諭の給与支出を行っていることは明 するとされている者」すなわち上記「当該職員」に該当するものといわなければならない。 また,丙事件におけるbに関しては,県教委が県同教への教諭の派遣更に派遣された教諭の給与支出を行っていることは明らかであって,県教委を構成するbが「当該職員」に該当することは明らかである。被告らは,bが県教委の委員長であって,会議を主宰し,県教委を代表するにすぎず,委員長の権限で県同教への教諭の派遣更に派遣された教諭の給与支出を行ってはいない旨主張するところ,権限を有する委員会の委員を「当該職員」から排除する理由はない。 (2) 監査請求前置につきbは,監査請求前置の手続を経ていない旨主張するところ,証拠(甲170)によれば,確かに丙事件原告らはbを監査請求の対象者としておらず,監査請求の趣旨は「福岡県知事は,今後,県同教に派遣された教諭らへの給与支払いはやめること。既に支給した分については,公金支出の最終権限者たる県知事に対して支出相当額の損害賠償を求めること。教育長は現職教員の県同教派遣の一切をただちに取りやめること。」というものであり,その理由は県同教への教諭の派遣が違法であるというものであることが認められる。 しかしながら,住民訴訟において前置すべき監査請求については,住民が監査の対象である財務会計上の行為又は怠る事実を特定して必要な措置を講ずべきことを請求すれば足りるのであって,措置の内容及び相手方を具体的に明示することは必須ではなく,住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方と異なる者を相手方として,上記監査請求において求めた措置の内容と異なる請求をすることも許される(最高裁判所平成10年7月3日第2小法廷判決)のであって,前記認 において求められた具体的措置の相手方と異なる者を相手方として,上記監査請求において求めた措置の内容と異なる請求をすることも許される(最高裁判所平成10年7月3日第2小法廷判決)のであって,前記認定の監査請求の趣旨及び理由からすると,bについて,監査請求前置を欠くものとはいえない。 2 給与支出の違法性本件訴訟は,県同教という民間団体へ派遣された教諭が普通地方公共団体である福岡県から派遣中に給与を受けていたことにつき,上記派遣が違法であることから,その給与支払も違法であるというものであって,給与の支払自体が法令に違反するというものではなく,その原因行為に法令違反があるというものである。原因行為と給与支払との関係及び原因行為の違法性いかんによっては,給与の支払が違法性を帯びるとともに地方公共団体の長の責任が発生することになることから,まず原因行為である教諭派遣の違法性について検討する。 (認定事実)(1) 部落解放運動について同和地区居住者を中心とする戦後の部落解放運動は,昭和21年2月に結成された「部落解放全国委員会」(後に解同)に始まり,行政闘争を中心に同和地区を基盤として組織は拡大された。一方,昭和35年5月には,同和地区住民を中核とし,全国民運動をめざす「全日本同和会」が結成された。2つの団体は,それぞれの立場から,総合的な同和対策を国策として樹立し同和問題の根本的解決を図るよう政府と国会に対して要請するようになり,昭和35年に同和対策審議会設置法が成立し,昭和40年に同対審答申がなされた。解同内においては,同答申の評価を巡って対立が発生し,昭和44年に発生したいわゆる矢田事件を契機に対立は決定的となって,昭和45年に解同の一部組織や会員らが「部落解放同盟正常化全国連絡会議」(後に全解連)を結成した。解同と全解連は,いわゆ 立が発生し,昭和44年に発生したいわゆる矢田事件を契機に対立は決定的となって,昭和45年に解同の一部組織や会員らが「部落解放同盟正常化全国連絡会議」(後に全解連)を結成した。解同と全解連は,いわゆる八鹿高校事件を巡って激しく対立し,狭山事件を教育に持ち込む狭山教育及び部落解放基本法の制定等に関し見解が対立している。(甲77,丙3,原告c本人,弁論の全趣旨)(2) 同和問題に関する国及び県の取組について① 国の取組戦後のわが国の同和対策は,昭和28年に厚生省が隣保館設置費補助金を計上したことに始まり,昭和35年,国会において「同和対策審議会設置法」が制定され,昭和40年の同対審の答申を受けて,昭和41年に同和対策協議会を設置し,昭和42年に全国同和地区実態調査を実施した。その後,昭和44年に制定された「同和対策事業特別措置法(以下「同対法」という。)」,昭和57年に制定された「地域改善対策特別措置法(以下「地対法」という。)」,昭和62年に制定された「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(以下「地対財特法」という。)に基づいて,様々な関係施策が講じられてきた。平成8年3月,地対協は,平成5年に実施された国の「同和地区実態把握等調査」の結果を踏まえて,これまでの施策等の課題を整理し,同和問題の解決に向けた今後の方策の在り方について意見具申(「地域改善対策協議会総括部会報告」)を行った。この意見具申では,地域改善対策特定事業は一般対策へ移行することが謳われ,特定事業は平成9年3月で原則的に終了し,平成14年3月末までには全て終了した。 (甲9,77ないし79,丙2ないし6,15,16,42,原告c本人,証人d)② 県の取組県は,同対法,その後に制定された地対法及び地対財特法に則り同和対策を行ってきたが,その間 て終了した。 (甲9,77ないし79,丙2ないし6,15,16,42,原告c本人,証人d)② 県の取組県は,同対法,その後に制定された地対法及び地対財特法に則り同和対策を行ってきたが,その間,昭和55年9月の定例県議会で「同対法の国会附帯決議の早期完全実施に関する意見書」を,昭和60年2月の定例県議会で「同和対策の充実強化に関する意見書」を,昭和61年9月の定例県議会で「部落問題解決のための基本的法律の制定並びに地域改善対策に関する意見書」をそれぞれ可決し,国に提出している。さらに,県は,平成元年には同和問題についての県民意識調査,平成2年には同和地区生活実態調査,平成3年には同和対策事業の残事業調査等を実施するとともに,県・市町村の代表者で構成する「福岡県同和問題早期解決のための基本的法律制定実現期成会」や全国の関係都道府県で構成する「全日本同和対策協議会」に参加して,同対法・地対法・地対財特法の各時限法失効後の法的措置を実現するために国及び国会に対して要請を行った。また,県は,平成5年に同和地区実態把握等調査を行い,平成7年に結婚や就職に際しての同和地区にかかる調査を規制する「福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例」を制定し,平成9年には人権に配慮した施策及び人権教育の推進,同和対策の推進等のための事業計画を明らかにした「ふくおか新世紀計画」を策定し,平成10年には同和問題をはじめとしたさまざまな人権問題の解決を図るための教育・啓発の在り方に関する方向性を示した「人権教育のための国連10年福岡県行動計画」を策定した。(甲81,丙7ないし12,15,42,45,原告c本人,証人d)③ 県教委の取組県教委が同和教育の推進を重要施策としたのは,昭和34年の,県教委及び県内各界の代表者や学識経験者による「福岡県同和教育推進協 7ないし12,15,42,45,原告c本人,証人d)③ 県教委の取組県教委が同和教育の推進を重要施策としたのは,昭和34年の,県教委及び県内各界の代表者や学識経験者による「福岡県同和教育推進協議会」(発足当初は「福岡県同和教育研究協議会」という名称であったが,昭和37年から改称して現在に至っている。)の発足からで,昭和36年には「同和教育5か年計画」を,更に,昭和45年には「福岡県同和教育基本方針」を策定し,その中で,同和教育研究団体の育成を図ることを定めるとともに,同年,教育長通達「昭和45年度高等学校における同和教育の推進について」をもって管下教職員の県同教への積極的参加を指導してきた。さらに,県教委は,毎年度「福岡県教育行政の目標と主要課題」の1つとして「基本的人権の尊重に徹する同和教育の推進」(平成10年度からは,「人権が尊重される教育の推進」)を挙げ,(ア)同和教育推進体制の充実,(イ)同和教育の研修及び啓発事業の拡充(平成9年度からは,「同和問題をはじめとする人権問題に関わる研修及び啓発事業の拡充」に改変),(ウ)同和教育推進のための諸条件の整備充実,(エ)同和教育研究団体等の育成の4項目を示していたが,平成10年度からは,4項目に加え「人権教育のための国連10年」の趣旨を踏まえたさまざまな人権問題に関する教育・啓発の5項目を示して現在に至っている。また,県教委は,平成元年の県の「同和問題についての意識調査」,平成2年の県教委の「同和教育実態調査」(「同和教育実態調査報告書(概要)」)及び平成5年の国の「同和地区実態把握等調査」の結果を踏まえ,平成9年4月に「今後の同和教育推進についてー指針ー」を策定した。(丙1,13,14,23ないし25,33,42,45,証人d)④ 同和教育等に関する国及び県の答申又は方針等 」の結果を踏まえ,平成9年4月に「今後の同和教育推進についてー指針ー」を策定した。(丙1,13,14,23ないし25,33,42,45,証人d)④ 同和教育等に関する国及び県の答申又は方針等昭和40年に同対審が出した答申では,「同和問題は基本的人権が侵されているというもっとも深刻にして重大な社会問題」であり,同和問題の早急な解決は「国の責務であり,同時に国民的課題」であるという認識に立って,課題解決の具体的方策の1つとして,同和教育研究団体等の行う研究に対して助成措置を講じることを明記するとともに,同和問題に関して深い認識と理解をもつ指導者の不足を指摘し,同和教育に関し教育研究団体等の行う研究に対し,補助を行うことを提言した。昭和44年に制定された同対法では国の施策として,対象地域の住民に対する学校教育及び社会教育の充実を図るため,進学の奨励,社会教育施設の整備等の措置を講じることが挙げられ,高等学校等進学奨励費補助事業など必要な措置が講じられることになった。平成8年の地対協の意見具申は,「同和問題は多くの人々の努力によって,解決へ向けて進んでいるものの,残念ながら依然として我が国における重要な課題といわざるを得ない」とし,今後の重点施策の方向として,「公的な性格を有する民間団体,社会教育関係団体や民間企業も,今後の教育及び啓発において重要な役割を担うことが期待される」とし,公務員研修等を通じた指導者の育成,優れた教材や手法を開発するための調査研究の必要が挙げられているが,地域改善対策特定事業は一般対策へ移行することが謳われている。なお,行政の主体性確立に関し,教育の中立性確保に関する指導が指摘されている。また,平成10年の文部省(後に「文部科学省」)による人権教育資料では,同和教育を進めるに当たり,同和教育と政治運動や社会運動 行政の主体性確立に関し,教育の中立性確保に関する指導が指摘されている。また,平成10年の文部省(後に「文部科学省」)による人権教育資料では,同和教育を進めるに当たり,同和教育と政治運動や社会運動との関係を明確に区別し,教育の中立性が守られるよう留意するよう指摘されている。 県教委が昭和36年に作成した「同和教育5か年計画」では,目標事業項目として(ア)同和地区の実態調査,(イ)指導資料の作成,(ウ)研究資料の整備,(エ)同和教育指導者養成,(オ)同和教育研究集会の実施,(カ)各地区同和教育研究組織の育成,(キ)諸団体学級講座の育成強化,(ク)研究指定,(ケ)県外研修生の派遣及び(コ)施設の充実が挙げられてきた。また,県教委は,同対審の答申を踏まえ,昭和45年3月に「福岡県同和教育基本方針」を策定し,全ての学校及び地域社会において同和教育を積極的に推進するとともに,意欲と実践力に富む指導者の養成と同和教育研究団体の育成を図ることを定め,同年,管下教職員の県同教及び各地区同和教育研究会への積極的参加を促した。さらに,県教委は,地対協の意見具申を踏まえ,平成9年に「今後の同和教育推進についてー指針ー」を策定し,その中で,教職員の同和教育に関わる研修を組織的・計画的に行うとともに,意欲の高揚と指導力の向上を目的に諸研修を実施する必要があり,研究団体等については,学校及び社会教育における同和教育を深化・充実させるうえで同和教育研究団体が果たしている役割は大きく,今後とも,研究団体の育成に努める必要があるとしている。(丙1,3,4,13,16,22,25,45,証人d)⑤ 県同教の組織及び事業県同教は,昭和31年以後結成されていた県内数箇所の同和教育研究団体を中心にして,「部落解放の教育を確立する同和教育の研究と実践につとめ,真の民主教育 5,45,証人d)⑤ 県同教の組織及び事業県同教は,昭和31年以後結成されていた県内数箇所の同和教育研究団体を中心にして,「部落解放の教育を確立する同和教育の研究と実践につとめ,真の民主教育の実現を期すこと」を目的として,昭和36年5月に発足した。現在,89の各郡市町村の同和教育研究団体等の90団体で,会員は保育所・幼稚園及び小・中・高等学校の教職員,各市町村行政職員,PTA関係者並びに大学教員等2万人を超えている。 事業は,(ア)同和教育の内容推進に必要な事項の研究調査,(イ)同和教育の内容及び方法の研究並びに実践の交流,(ウ)研究成果及び研究資料の交換,収集及び発行及び(エ)関係諸団体との連絡交渉等であって,機関としては,総会,評議員会,代表者会,事務局会,特別委員会,専門部会及び同和教育推進者会がある。総会は,郡市町村単位の同和教育研究団体(以下「各地同研」という。),公立高等学校同和教育研究団体(以下「県高同教」という。)及び私立学校同和教育研究団体(以下「私学同研」という。)により,会員30名に1名の割合で選出された代議員をもって構成され,会務の報告及び承認並びに活動計画の審議及び決定等を行う最高の議決機関である。評議員会は,各地同研,県高同教及び私学同研から各2名の割合で選出された評議員で構成され,総会より付託された事項の審議及び決定並びに総会提出議案の審議等を行う議決機関である。代表者会は,各地同研,県高同教及び私学同研から各1名の割合で選出された評議員で構成され,会の活動計画の推進及び同和教育実践の交流にあたるものである。事務局会は,会長,副会長及び事務局員で構成され,会の決定事項の執行にあたるものである。役員は,会長が1名で,会を代表して会務を総理するものであり,会長を補佐する副会長及び会計を監査する監査がそ 。事務局会は,会長,副会長及び事務局員で構成され,会の決定事項の執行にあたるものである。役員は,会長が1名で,会を代表して会務を総理するものであり,会長を補佐する副会長及び会計を監査する監査がそれぞれ若干名とされており,副会長の1名は解同の指定ポストとなっている。事務局は,会長が委嘱する事務局員をもって構成し,会の業務を処理するものとされ,事務局長1名,事務局次長2名,会計1名及び事務局員若干名で構成されている(平成14年度の県同教の組織は,会長1名,副会長4名,監査2名,事務長1名の合計8名で構成するものとされ,会長と事務長の2名を県同教が独自に雇用しており,この外に研修常務に従事するものとして派遣された教諭8名がいる。)。なお,これまで県同教に派遣された教諭名等は別紙「福岡県同和教育研究協議会の役員・研修員の勤続年表」(ただし,同表のeはいずれも事務局長である。)のとおりであって,県同教には,上記派遣された教諭以外,常駐の職員は専ら会計に携わる1又は2名の女子職員(平成13年度は会計,書記,事務局員各1名合計3名が県同教独自に雇用した者である。)がいるだけである。 県同教は,各種研究集会及び研究出版広報事業を行っており,主な研究集会としては,福岡県同和教育研究大会,福岡県同和教育夏期講座,同和教育副読本「かがやき」実践研修会,高等学校進路保障研究集会,部落解放をめざす社会啓発研究集会(以上年1回)及び学力保障実践交流会(年3回)が県内各地で開催され,また,主な研究出版広報事業の成果物としては,機関誌「かいほう」,機関誌「WINDS」,「福岡の「同和」教育」(研究大会報告集)及び「ACT」小学校版・中学校版(学力保障実践集)等がある。 県同教の活動は,昭和61年からは部落解放基本法の制定を求め,同年から平成9年3月までは「部落 「福岡の「同和」教育」(研究大会報告集)及び「ACT」小学校版・中学校版(学力保障実践集)等がある。 県同教の活動は,昭和61年からは部落解放基本法の制定を求め,同年から平成9年3月までは「部落解放基本法制定要求国民運動福岡県実行委員会」の事務局となり,県同教の会長が解同福岡県連合会委員長とともに同実行委員会の副会長に就任している。また,平成5年には,県教委に対し,平成6年度の「解放教育の推進に関する要求書」を解同福岡県連合会と連名で提出しているが,その要求項目の中には「部落解放基本法制定へ向けての行政としての基本的な考え方と今後の具体的な行動」が挙げており,平成7年の活動方針は「部落解放基本法」の制定とそのための運動と教育の結合等である。(甲3,5ないし8,73ないし76,168,丙27ないし29,45,原告c本人,証人d)⑥ 県同教への派遣・研修ア研修の根拠規定福岡県には,教育公務員の長期にわたる研修につき,長期研修規則が定められており,県同教への派遣については,平成10年4月1日作成の研修実施要項があり,これらはいずれも教特法第20条3項の「教育公務員は,任命権者の定めるところにより,現職のままで,長期にわたる研修を受けることができる。」との規定を根拠としている。長期研修規則及び研修実施要項の詳細は別紙「福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則」(長期研修規則)並びに「福岡県同和教育研究協議会派遣研修実施要項」(改正前要項)及び「福岡県人権・同和教育研究協議会における長期研修実施要項」(改正後要項)記載のとおりである。(乙12,丙30,丁14,証人d)イ研修の手続本件派遣・研修の手続は,平成13年度までは,まず,県立学校にあっては県教委において当該研修に相応しい候補者を,市町立学校にあっては県教委と関係市町 12,丙30,丁14,証人d)イ研修の手続本件派遣・研修の手続は,平成13年度までは,まず,県立学校にあっては県教委において当該研修に相応しい候補者を,市町立学校にあっては県教委と関係市町教育委員会との協議により当該研修に相応しい候補者を推薦し,県教委教育長が選考決定して,教諭本人に対する本属長たる校長より口頭内示を経て,県立学校教諭については県教委より,関係市町立学校教諭については,関係市町教育委員会より教論本人に対する口頭又は文書による研修命令を発し,平成14年度からは,公募と推薦によるものとし,応募者に研修志願書,実績証明書,推薦書を各所属長を経由して福岡県教育庁教育振興部人権・同和教育課長に提出させ,県教委教育長が決定するものとされ,派遣が決定される,教諭に同和教育課職員との「兼任」発令を行い,同和教育課長(平成14年度からは人権・同和教育課長)は職務命令を発して,県同教で同和教育に関する研修に従事させている。(甲107ないし110(枝番を含む。),丁14,証人d,同f)ウ研修の実情昭和36年から平成11年までの間の県同教の役員の推移は別紙「福岡県同和教育研究協議会(県同教)役員名簿」記載のとおりであって,そのうち派遣された教諭の総数は65名であり,その中には研修期間が4年以上の教諭が41名(うち20年以上の教諭が2名,10年以上15年以下の教諭が7名)である。なお,福岡県教育要覧に記載された平成9年度から平成12年度までの長期研修派遣状況は別紙「福岡県教育要覧にみる長期研修派遣状況」記載のとおりである。平成2年度から平成13年度の県同教に対する派遣教諭の推移は別紙「福岡県同和教育研究協議会の研修員の推移」記載のとおりである。そして,上記派遣された教諭の県同教における平均派遣年数は,平成12年度が約3.7年,平 平成13年度の県同教に対する派遣教諭の推移は別紙「福岡県同和教育研究協議会の研修員の推移」記載のとおりである。そして,上記派遣された教諭の県同教における平均派遣年数は,平成12年度が約3.7年,平成13年度が約2.8年,平成14年度が1.5年となっている。平成13年度までの県同教の会長,副会長及び事務局長は,前記役員名簿記載のとおりであって,会長及び事務局長は派遣教諭がほとんどこれを占めている(平成5年度ないし平成7年度以外はいずれも派遣教諭が会長となり,派遣教諭が会長にも副会長にもなっていない年度は上記平成5年度ないし平成7年度だけである。なお,平成14年度からは派遣教諭は県同教の役員にはなっていない。)。派遣教諭の中には研修終了直後に退職した教諭(g,h及びi)もいる。県同教に派遣された教諭は,平成13年以前だけでなく平成14年度も同じく,県内で開催される同和教育研究大会等の企画・運営・評価に関する業務を行い,また,県同教が実施する各種会議の開催に従事したり,研究実践の計画作成等に携わっており,県内各地へ出張しているところ,平成7年度の県同教に派遣された教諭の旅行命令書による出張実績は別紙「平成7年度福岡県同和教育研究協議会派遣教員旅行命令書にみる出張実績」記載のとおりであり,平成8年度ないし平成11年度,平成13年度及び平成14年度の派遣教諭の研修報告書の研究主題は別紙「各年度研修報告書記載の研究主題」記載のとおりである。派遣教諭であるfは,平成元年度から平成11年度まで県同教に派遣され,平成8年度には県同教副会長,同年5月には高同教の会長(平成10年5月以降は同副会長),平成9年6月からは全同教の委員長となった者であるが,同人の平成元年度から平成11年度までの研修計画書及び報告書の内容は別紙「f氏(県同教研修員)の年度別研修 会長(平成10年5月以降は同副会長),平成9年6月からは全同教の委員長となった者であるが,同人の平成元年度から平成11年度までの研修計画書及び報告書の内容は別紙「f氏(県同教研修員)の年度別研修計画書及び報告書(含む研究テーマ)」記載のとおりであり,また,同人の平成11年度の出張実績は別紙「f氏平成11年度出張実績」記載のとおりである。 県同教の事務所は同和教育課の建物とは別であって,出勤簿の管理,出張命令書及び年休届等は同和教育課の職員が週1回程度県同教事務所に赴いて受渡しを行っており,実際に出勤してきているか否かの確認を行う者はいない。派遣教諭が県同教の役員,高同教又は全同教等他の団体の役員になる場合,同和教育課長の承認を得たことはない。(争いのない事実,甲77,111(枝番を含む。),112ないし114,118ないし121(枝番を含む。),123(枝番を含む。),124,128ないし131,134ないし136(枝番を含む。),138ないし142,143の1,144(枝番を含む。),147,167,170,丙45,46,54,証人j,同f,同d,同k)(判断)原告らは,同和問題に起因する教育上の諸問題は既になくなり,また,同和地区児童・生徒の特定も不可能となっている今日,福岡県において,もはや同和教育行政は不要となっているのにもかかわらず,このような現状を無視して,特別施策としての同和教育行政に対する公費の支出を続けることは,公費の無駄遣いであり,更に,県同教が部落解放基本法制定を求める解同の方針を一貫して支持し,その実現のために解同と共同闘争を行うとともに,組織的にも,県同教は,常に解同の幹部をその副会長として抱え,部落解放や同和教育の方針においても解同と同じ立場に立ち,更に,その実践においても解同と一体となって活動して 解同と共同闘争を行うとともに,組織的にも,県同教は,常に解同の幹部をその副会長として抱え,部落解放や同和教育の方針においても解同と同じ立場に立ち,更に,その実践においても解同と一体となって活動してきており,県同教が解同の解放運動の方針を教育の分野で実践するための運動団体となっているといわざるをえないことからすると,県同教への研修派遣に係る公金支出の無駄遣いであるだけでなく,有害であって,その違法性の程度は著しい旨主張する。 同和問題が憲法の保障する基本的人権の侵害に係る深刻かつ重大な問題であって,その解決が図られなければならないことはいうまでもない。 ところで,平成8年の地対協総括部会報告書では,同和問題は国及び地方公共団体並びに関係者の努力によって解決に向かっているものの,教育,就労及び産業等の面でなお残された問題があり,この解決のためには,一般対策として対応するという基本姿勢に立つべきであるとしているが,一方,なお残された同和問題の解決のために,より徹底した対策を取るべきであって部落解放基本法を制定すべきであるという見解もある。このように問題解決のための政策が対立している場合,司法がその当否を判断できるものではなく,又すべきものでもない。 また,原告らは,県同教が部落解放基本法制定だけでなく,部落解放や同和教育の方針においても解同と同じ立場に立ち,更に,その実践においても解同と一体となって活動していて問題である旨主張するが,民間団体である県同教の行動方針は,本来同団体が決定すべき問題であって,基本法制定,部落解放及び同和教育等の方針が解同と同一であるからといって,そのことから当然に本件研修が違法となるものではない。 もっとも,本件派遣は,後述のとおり,被告らの主張する教特法第20条第3項及び長期研修規則による長期研修に当たる派 同と同一であるからといって,そのことから当然に本件研修が違法となるものではない。 もっとも,本件派遣は,後述のとおり,被告らの主張する教特法第20条第3項及び長期研修規則による長期研修に当たる派遣とはいえず,教育公務員としての給与を受けながら県同教でその運営を担う,すなわち県同教に勤務していたと同様の実態がある。そうすると,派遣された教諭が,「部落解放基本法制定要求国民運動福岡県実行委員会」の事務局の事務を担当し,基本法制定中央委員会に出張旅費をもらって出張することは,教育公務員に課されている政治運動の制限に違反して違法であり,また,同実行委員会の副会長に県同教の会長が就任することは妥当でない。もっとも,派遣された教諭の実行委員会事務局における仕事及びfの上記実行委員会への出張は,いずれも本件違法公金が問題となっている平成11年3月17日以前の支出である。 ところで,当裁判所は,県同教への教諭の派遣が教特法第20条第3項の定める研修の範囲を超えていると判断するものであるが,それは,研修名目の本件派遣が実際は県同教の運営を担っている実態があるからである。なぜならば,研修とは,教育公務員がその職責を遂行するために務める研究と修養を意味するものである(教特法第19条)ところ,本件派遣では,これまで研修を終了したと同時に定年で退職した教諭が存在するだけでなく,これでは研修を終了しても,学校教育においてその成果が活かされることにはならない。次に,平成8年度ないし平成11年度,平成13年度及び平成14年度の派遣教諭の研修報告書の研究主題並びにfの平成元年度から平成11年度までの研修計画書及び報告書の内容からしても,研究主題が変わっているのに研修を継続している教諭も少なくなく,研修の成果が派遣された教諭の職責にそのまま活かされることにはなってい 元年度から平成11年度までの研修計画書及び報告書の内容からしても,研究主題が変わっているのに研修を継続している教諭も少なくなく,研修の成果が派遣された教諭の職責にそのまま活かされることにはなっていない。さらに,県同教に常駐している者は,研修中の教諭を除くと県同教が雇用した1又は2名(平成13年度が3名)の職員だけであって,県同教を実質的に運営しているのは派遣された教諭というしかない。そして,派遣教諭が県同教の実施する各種会議の開催に従事し,研究実践の計画作成等に携わるとともに,県同教の加盟団体への出張を派遣教諭が頻繁に行っていること,更に,平成13年度までは派遣教諭が会長,副会長及び事務局長等の役員となり,県同教を代表して県同教に加盟していない団体等への会合にも参加している実情がある。これらの事情からすると,平成13年度以前はもとより,平成14年度においても派遣教諭が県同教の職務を行い,県同教を運営していると認めざるをえず,教特法第20条第3項が規定する研修の趣旨を逸脱している。 被告らは,国及び福岡県の同和教育に関する指針で,教職員の同和教育に関わる研修を組織的・計画的に行うとともに,同和教育研究団体の育成及び指導者の育成に努める必要があるとされており,県教委は本件派遣をその必要性に基づき教特法,長期研修規則及び研修実施要項に則った適正な手続で実施した研修であって,本件派遣に違法性はない旨主張する。確かに,国及び福岡県の指針では,被告らが主張するように教職員の研修並びに同和教育団体の育成,学校教育及び社会教育における指導者の育成の必要性が謳われているが,教職員の研修と同和教育団体の育成及び社会教育における指導者の育成は本来別のものであって,それぞれの目標はそのために予定された法的手段で実現すべきであるところ,法の趣旨を逸脱して, 謳われているが,教職員の研修と同和教育団体の育成及び社会教育における指導者の育成は本来別のものであって,それぞれの目標はそのために予定された法的手段で実現すべきであるところ,法の趣旨を逸脱して,本件派遣を同和教育団体の育成や社会教育における指導者の育成のために利用することを教特法第20条等の研修の範囲内と認めることはできない。 3 甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるa及びbの責任(故意又は過失)地方公共団体の長は教育委員会の所掌に係る事項について予算執行に関する事務を管理し及び執行する(地教行法第24条)が,教育委員会が学校職員の任命及び服務監督に関する権限を有し,本件派遣を命じたのも県教委であることは,前記認定のとおりである。このような地方公共団体の長と教育委員会との権限の配分関係にかんがみると,教育委員会が行った教特法第20条に定める事務については,地方公共団体の長は,同処分が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,同処分を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないと解するのが相当である。ただし,普通地方公共団体の長等によって委任され,若しくは専決を任された職員が当該委任若しくは専決に係る財務会計上の行為を処理した場合においては,普通地方公共団体の長等は,同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により同職員が財務会計上の違法行為を阻止しなかったときに限り,自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして,普通地方公共団体に対し,同違法行為により当該地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である。 本件派遣は,研修名目で教諭が派遣されているものの,その実質は 行ったものとして,普通地方公共団体に対し,同違法行為により当該地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である。 本件派遣は,研修名目で教諭が派遣されているものの,その実質は県同教の運営を行っているものであって,教特法第20条の研修の趣旨を逸脱したものであることは前記認定のとおりである。教育公務員については,研修が教諭の義務として課されているものの,研修名目で他の団体の運営を行うことは許されず,この瑕疵は,仮にその派遣に研修的側面があったとしても,法秩序を逸脱したものであるだけでなく,教育公務員に課されている義務に反するものとして,著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在する場合に当たるといわなければならない。そして,その瑕疵の程度及び内容と給与支払との関係からすると,研修命令の違法性は,公金支出の違法性に影響するものであるといわなければならない。 本件研修が法の趣旨を逸脱して運用されていることは前記のとおりであって,知事である甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは,そのために支出されている給与の支払を阻止すべき指揮監督上の義務があり,故意又は過失で給与の支出行為を阻止すべき措置を怠ったときは,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの責任が問われることなる。 甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが福岡県知事に就任したのは平成7年4月からであり,一方,本件派遣は昭和36年から開始されており,しかも研修を命じたのは任命権を有する県教委であって知事ではないことからすると,違法性の指摘があったからといって直ちに知事の責任が発生するものではなく,調査・検討・改善の措置に必要不可欠な期間を徒過したにもかかわらず,その改善措置がとられなかった時から甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの責 たからといって直ちに知事の責任が発生するものではなく,調査・検討・改善の措置に必要不可欠な期間を徒過したにもかかわらず,その改善措置がとられなかった時から甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの責任が発生すると解すべきである。 そこでまず,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaの故意又は過失について検討するに,証拠(甲12ないし21,26,30ないし53)によれば,県同教への教諭の派遣については,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが知事に就任する以前の昭和61年9月定例県議会で取り上げられてはいるが,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが知事就任後は平成11年の6月定例県議会と同年12月定例県議会からであって,これらはいずれも県同教への本件派遭問題を直接取り上げ,派遣期間の長期化・派遣手続への疑問を指摘し,特に12月定例県議会では派遣された教諭が各地同研に勤務している実態があると指摘し,その是正を求める内容となっていること,更に,全解連福岡県連は,同和問題に関して毎年のようにその解決を求める要請書を福岡県知事と県教委に対して提出してきたところ,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaが福岡県知事に就任した後も,毎年福岡県知事と県教委の双方を相手に「部落問題の早期解決をもとめる要求書」,「同和問題の早期解決をもとめる要求書」,「同和行政の終結と一般行政への移行で同和問題の早期解決をもとめる要請書」及び「特別扱いの同和行政と「同和」教育の終結で同和問題の早期解決をもとめる2000年度の予算編成のための協議にかかわる要請書」を提出したが,県同教への教諭の派遣の廃止を要請しているのは平成7年と平成8年の県教委宛要求項目だけであって,知事部局宛要求項目には同様の要求項目の記載はなかったことが認められる。 以上認定の事実によれば,甲及び乙 教への教諭の派遣の廃止を要請しているのは平成7年と平成8年の県教委宛要求項目だけであって,知事部局宛要求項目には同様の要求項目の記載はなかったことが認められる。 以上認定の事実によれば,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは知事として出席した県議会において,平成11年の6月及び同年12月定例県議会の質疑を通じて,県同教へ派遣されている教諭の派遣期間が長期に及んでいること及び派遣された教諭が各地同研に勤務している実態があると指摘されているのであって,県同教に研修として派遣された教諭の研修実態の異常を知り得る機会があったものといわなければならない。もっとも,その実態把握のための調査及びその違法性の検討並びに改善のために必要とする最小限の期間等を考慮すると,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaは遅くても平成12年4月までには本件研修にかかる違法性阻止の措置を講ずべきであったものと認めざるをえず,それ以前に違法性阻止の措置を講ずべきであるとの点については,甲及び乙事件被告並びに丙事件におけるaに故意又は過失があったと認めることはできない。 また,bは,委員長として県教委を構成しており,違法な給与支出を行ったものとして,その責任は免れない。被告らは,bが県教委の委員長であって合議制の会議を主宰し,委員会を代表するだけであって,委員長として予算執行権はない旨主張するところ,県教委が教諭の派遣を行い,給与を支出する権限を有することは争いのない事実であって,委員長として単独で予算執行権がないからといって,県教委の決定に参画しているbに責任がないとすることはできない。 第4 結論以上によれば,原告らの被告らに対する請求のうち,平成11年3月17日から平成12年3月16日までに派遣教諭に支払われた合計金1億1363万1426円とこれに対する訴状 とはできない。 第4 結論以上によれば,原告らの被告らに対する請求のうち,平成11年3月17日から平成12年3月16日までに派遣教諭に支払われた合計金1億1363万1426円とこれに対する訴状送達の日の翌日である平成12年6月11から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を被告は福岡県に対して支払えとの請求(甲事件)は理由がないので棄却し,平成12年8月から平成13年7月までに派遣教諭に支払われた合計金1億0005万5128円とこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成13年11月3日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を被告aは福岡県に対して支払えとの請求(乙事件),丙事件被告である福岡県知事は,a及びbに対し,福岡県に対する損害賠償として連帯して金8704万0595円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成14年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよとの請求(丙事件)は理由があるのでいずれも認容し,行政事件訴訟法第7条,民事訴訟法第64条,第65条,第61条に従い,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第2民事部裁判長裁判官横山秀憲裁判官野村朗裁判官中川卓久

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