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平成17(ワ)207 保証債務履行請求

裁判所

平成18年1月11日 甲府地方裁判所

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10,122 文字

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。事実および理由第1 請求ア被告Aは原告に対し500万円とこれに対する平成15年12月6日から支払いずみまで年21.9%の割合による金員を支払え。イ被告Bは原告に対し500万円とこれに対する平成15年12月6日から支払いずみまで年21.9%の割合による金員を支払え。第2 事案の概要 1 基本的事実関係(当事者間に争いがないか,【】内の証拠により認める)(1) 原告は企業向けの融資業務を行う貸金業者である。(2) 原告は平成9年10月24日,被告Aとの間で,同被告が下記のとおり主債務者の債務を保証するとの内容の限度額根保証契約を締結した(以下「本件根保証契約1」という)。主債務者株式会社C社根保証限度額  500万円(利息,損害金はこの限度額に含まない)根保証期間平成9年10月24日から5年間根保証範囲主債務者が原告に対して本契約締結時点で負担している債務および上記根保証期間に負担する債務。損害金年40.004%(3) 原告は平成9年11月28日,被告Bとの間で,同被告が下記のとおり主債務者の債務を保証するとの内容の限度額根保証契約を締結した(以下「本件根保証契約2」という)。主債務者株式会社C社根保証限度額  500万円(利息,損害金はこの限度額に含まない)根保証期間平成9年11月28日から5年間根保証範囲主債務者が原告に対して本契約締結時点で負担している債務および上記根保証期間に負担する債務。損害金年40.004%(4) 被告AはC社の代表取締役Dの長女であり 根保証範囲主債務者が原告に対して本契約締結時点で負担している債務および上記根保証期間に負担する債務。損害金年40.004%(4) 被告AはC社の代表取締役Dの長女であり,被告BはDの二女の夫である【証人D,被告A,被告B】。(5) 被告らは平成17年7月29日の本件弁論準備手続期日において,原告に対し,本件各根保証契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした。 被告AはC社の代表取締役Dの長女であり 根保証範囲主債務者が原告に対して本契約締結時点で負担している債務および上記根保証期間に負担する債務。損害金年40.004%(4) 被告AはC社の代表取締役Dの長女であり,被告BはDの二女の夫である【証人D,被告A,被告B】。(5) 被告らは平成17年7月29日の本件弁論準備手続期日において,原告に対し,本件各根保証契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした。2 請求原因(原告の主張)(1) 原告は平成14年2月5日,C社に対し下記の約定で2960万円を貸し付けた。支払方法元利均等払い利息年1.000%(各月5日かぎり支払う)損害金年29.20%期限の利益元利金の支払いを1回でも怠ったときは期限の利益を喪失する。(2) C社は平成15年12月5日に支払うべき元利金の支払いを怠り,期限の利益を喪失したので,原告は被告らそれぞれに対し,本件各根保証契約に基づき,限度額である500万円とこれに対する期限の利益を喪失した日の翌日である平成15年12月6日から支払いずみまで約定の範囲内で利息制限法の制限利率である年21.9%の割合による遅延損害金の支払いを求める。3 請求原因に対する認否請求原因(1)の事実は知らない。4 抗弁(被告らの主張)(1) 錯誤または詐欺原告の従業員は,本件各根保証契約を締結する際,根保証の意味について被告らに十分な説明をせず,あたかも,被告Aについては平成9年10月24日にC社が借り入れる150万円についての,被告Bについては平成9年11月28日にC社が借り入れる350万円についての,通常の保証であるかのような説明をし,被告らをだまして根保証契約を締結させた。被告らは,根保証がどのようなものか理解せず,た については平成9年11月28日にC社が借り入れる350万円についての,通常の保証であるかのような説明をし,被告らをだまして根保証契約を締結させた。被告らは,根保証がどのようなものか理解せず,たんなる保証契約と理解して原告従業員の言うがままに書類に署名押印した。したがって本件各根保証契約は被告らの錯誤により無効である。かりに錯誤無効が成立しないとしても,本件各根保証契約は上記のとおり原告の詐欺により締結された。(2) 公序良俗違反または信義則違反原告はC社に対し次のとおりの貸付けをしている。a 平成 9年10月24日  150万円b 平成 9年11月28日  350万円c 平成10年 7月 6日  400万円d 平成10年11月 9日  100万円e 平成10年11月26日  100万円f 平成10年12月 1日  900万円g 平成11年 1月 6日  300万円h 平成11年 1月13日  450万円C社はbの借入れの後経営不振に陥り,a,bの借入金の返済もほとんどしていない。 。a 平成 9年10月24日  150万円b 平成 9年11月28日  350万円c 平成10年 7月 6日  400万円d 平成10年11月 9日  100万円e 平成10年11月26日  100万円f 平成10年12月 1日  900万円g 平成11年 1月 6日  300万円h 平成11年 1月13日  450万円C社はbの借入れの後経営不振に陥り,a,bの借入金の返済もほとんどしていない。ところが,原告は,経営破綻状態にあるC社に対しわずか1年半の間に2250万円もの過剰な融資を行っている。C社には連帯保証人がいることから,原告は,主債務者であるC社から回収するのが困難であることを承知で,もっぱら保証人から回収する目的で追加融資したのであり,異常な過剰融資である。そして,原告は,これらの追加融資について,被告らに対しいっさいの連絡や通知をしていない。また,貸金業の規制等に関する法律(貸金業法)の平成11年の改正により,貸金業者は,根保証をした者に対して,既存の融資金額にとどまらず,根保証の後にされる融資についても,これを個別に説明する書面を交付しなければならないとされた。しかし,原告は被告らに対し貸金 により,貸金業者は,根保証をした者に対して,既存の融資金額にとどまらず,根保証の後にされる融資についても,これを個別に説明する書面を交付しなければならないとされた。しかし,原告は被告らに対し貸金業法17条の書面を交付していない。このように貸金業法に違反する原告の被告らに対する保証債務の履行請求は公序良俗に反し無効である。かりにそうでないとしても,原告が被告らに対し本件各根保証契約に基づき履行請求することは信義則に違反し許されない。5 抗弁に対する認否反論(1) 錯誤または詐欺に対し錯誤または詐欺の主張を基礎づける事実はいずれも否認する。(2) 公序良俗違反または信義則違反に対しC社が経営破綻状況に陥っていたことは否認する。融資金額のみを根拠に過剰融資ということはできない。かりに過剰融資であったとしても,それだけでは公序良俗違反にはならないし,信義則違反ということもできない。第3 当裁判所の判断 1 認定事実証拠(【】内に掲げるもののほか,乙13ないし15,証人D,被告A,被告B)と弁論の全趣旨により以下の事実を認める。(1) C社の経営C社はEが昭和56年頃に設立した,土木,建設や不動産業を目的とする小規模な会社である。 額のみを根拠に過剰融資ということはできない。かりに過剰融資であったとしても,それだけでは公序良俗違反にはならないし,信義則違反ということもできない。第3 当裁判所の判断 1 認定事実証拠(【】内に掲げるもののほか,乙13ないし15,証人D,被告A,被告B)と弁論の全趣旨により以下の事実を認める。(1) C社の経営C社はEが昭和56年頃に設立した,土木,建設や不動産業を目的とする小規模な会社である。Dは昭和50年頃からEと内縁関係にあり,C社の経営には当初は関与していなかったが,昭和60年頃から経理などを担当することになった。昭和63年頃には,代表取締役であったEが脳出血で倒れて入院し,退院後の経過もよくなかったため,同社の経営はDがEと相談しながら行うようになった。Eは平成8年頃からはほぼ寝たきりになり,平成10年頃にはDがC社の代表取締役になった。Eは平成14年に死亡した。平成15年秋頃,C社の経営は極端に苦しくなり,平成16年12月頃までには事実上倒産状態に陥った。はほぼ寝たきりになり,平成10年頃にはDがC社の代表取締役になった。Eは平成14年に死亡した。平成15年秋頃,C社の経営は極端に苦しくなり,平成16年12月頃までには事実上倒産状態に陥った。(2) 被告らの経歴被告Aは,専門学校を卒業した後,建設会社に11年ほど勤務をして事務職をした経験がある。その後は主婦をしながらパート勤務をして働いており,平成9年当時もそのような状況だった。被告Bは工業高校を卒業した後,社会に出た。平成9年以前から建設会社の従業員として働いており,おもに重機のオペレーションの仕事をしている。(3) C社と原告との取引の開始【乙2,6】C社は,平成9年,運転資金に窮し,原告から金を借り入れることにした。Eはその頃すでに寝たきりだったから,原告と交渉をしたのはDである。原告の担当者はFという者だった。Dは,とりあえず150万円を借りることにし,Fに申し込んだところ,Fから保証人を要求された。Dは,自分の身のまわりにいて保証人になってくれそうな者として娘の被告Aの名前を出した。Fは,被告Aの職業を聞き,主婦であることを知ったが,それでもかまわないとして融資の手続を進めた。そこで,Dは,被告Aに連絡をし,「150万円を借りるので保証人になってほしい」と言って頼みこんだ。被告Aは,150万円であれば自分でも保証人になれると考え,了承した。 し,Fに申し込んだところ,Fから保証人を要求された。Dは,自分の身のまわりにいて保証人になってくれそうな者として娘の被告Aの名前を出した。Fは,被告Aの職業を聞き,主婦であることを知ったが,それでもかまわないとして融資の手続を進めた。そこで,Dは,被告Aに連絡をし,「150万円を借りるので保証人になってほしい」と言って頼みこんだ。被告Aは,150万円であれば自分でも保証人になれると考え,了承した。(4) 150万円の借入れと本件根保証契約1【甲1,3,乙2,6】平成9年10月24日,DとEの自宅をFが訪れ,被告Aも同席のうえ,本件根保証契約1が締結された。この日は,原告からC社に対して150万円が融資されることになっており,そこに集まっただれもがそのように認識していた。被告Aは,その場で契約書の連帯保証人欄に署名し,その横に実印を押したほか,Fに言 日は,原告からC社に対して150万円が融資されることになっており,そこに集まっただれもがそのように認識していた。被告Aは,その場で契約書の連帯保証人欄に署名し,その横に実印を押したほか,Fに言われるまま,根保証限度額欄に「金五百萬円」(ただし,「円」はあらかじめ印字されていた),「¥5,000,000-」と,根保証期間欄に「平成9年10月24日から5年間」(ただし,「平成」「年」「月」「日から5年間」はあらかじめ印字されていた)と記入し,さらにその下の空欄に「上記根保証金額及び契約内容について承諾しました」と書いてその横に署名押印をした。もっとも,Fは,上記のとおりに書くよう求めただけで,その意味について被告Aに説明することはなかった。被告Aが,150万円ではなく500万円と書かされることについて疑問を口にしたところ,Fは,C社が今日借りるのは150万円だが,借りられる枠は500万円である,という趣旨の説明をした。被告Aはそれで何となく納得し,それ以上質問はしなかった。契約書類を作成した後,原告からC社に対して150万円の融資が実行された。(5) 350万円の借入れと本件根保証契約2【甲2,4,乙2,6】C社はその後また資金繰りに窮し,Dは原告からさらに借入れをすることにした。Dは,それまでのFとの会話から,C社が原告から借りられる枠は500万円と考えていたので,10月24日の150万円を差し引いた350万円を借り入れることにして,Fに申し込んだ。 はしなかった。契約書類を作成した後,原告からC社に対して150万円の融資が実行された。(5) 350万円の借入れと本件根保証契約2【甲2,4,乙2,6】C社はその後また資金繰りに窮し,Dは原告からさらに借入れをすることにした。Dは,それまでのFとの会話から,C社が原告から借りられる枠は500万円と考えていたので,10月24日の150万円を差し引いた350万円を借り入れることにして,Fに申し込んだ。Fはまた保証人を要求し,今度はサラリーマンの男性がいいと言った。そこでDは,娘の夫である被告Bを保証人にすることを考え,頼みこんだ。その際,Dは,「500万円の枠があり,150万円を被告Aの保証で借りたので,残りの350万円を被告Bの保証で借りたい」という趣旨の説明をした。被告 ある被告Bを保証人にすることを考え,頼みこんだ。その際,Dは,「500万円の枠があり,150万円を被告Aの保証で借りたので,残りの350万円を被告Bの保証で借りたい」という趣旨の説明をした。被告Bは,350万円という金額と,義姉である被告Aがすでに150万円の保証人になっているとの説明を考えあわせ,保証人になることを承諾した。平成9年11月28日,原告からC社に対して350万円の融資が実行されることになり,同日,その前提として本件根保証契約2が締結された。契約書類の作成は被告Bが仕事をしている現場の仮事務所で行われた。同席したのは,D,F,被告Bである。被告Bは,その場で契約書の連帯保証人欄に署名し,その横に実印を押したほか,Fに言われるまま,根保証限度額欄に「金五百萬円也」,「¥5,000,000」と,根保証期間欄に「平成9年11月28日から5年間」(ただし,「平成」「年」「月」「日から5年間」はあらかじめ印字されていた)と記入し,さらにその下の空欄に「上記根保証金額及び契約内容について承諾しました」と書いてその横に署名押印をした。もっとも,Fは,被告Aの場合と同じく,その意味について被告Bに説明することはなかった。被告Bが,350万円ではなく500万円と書かされることについて疑問を口にしたところ,Fは,被告Aが保証した150万円とあわせて500万円になる,という趣旨の説明をした。被告Bはそれで何となく納得し,それ以上質問はしなかった。契約書類を作成した後,原告からC社に対して350万円の融資が実行された。 に署名押印をした。もっとも,Fは,被告Aの場合と同じく,その意味について被告Bに説明することはなかった。被告Bが,350万円ではなく500万円と書かされることについて疑問を口にしたところ,Fは,被告Aが保証した150万円とあわせて500万円になる,という趣旨の説明をした。被告Bはそれで何となく納得し,それ以上質問はしなかった。契約書類を作成した後,原告からC社に対して350万円の融資が実行された。(6) その後のC社への融資【乙2,6】Dは,上記合計500万円の融資を受ければ当面はC社の経営はしのげると考えており,被告らに対してその後保証人になってもらうつもりはなかった。実際にも被告らに対してそのように 社への融資【乙2,6】Dは,上記合計500万円の融資を受ければ当面はC社の経営はしのげると考えており,被告らに対してその後保証人になってもらうつもりはなかった。実際にも被告らに対してそのように説明していた。ところが,平成10年の後半以降,C社はまた資金繰りに窮し,平成10年7月6日,原告から400万円を借りることになった。この400万円の融資について,Fはまた保証人を要求し,サラリーマンで男性という条件を出した。Dは,被告Bに保証人を依頼するつもりはなかったので,同被告以外でこの条件をみたす知人のGを保証人にした。以後,平成11年1月まで,C社は原告からくりかえし金を借りた。当初の貸付け以降すべてのものを掲げると次のようになる。a 平成 9年10月24日  150万円b 平成 9年11月28日  350万円c 平成10年 7月 6日  400万円d 平成10年11月 9日  100万円e 平成10年11月26日  100万円f 平成10年12月 1日  900万円g 平成11年 1月 6日  300万円h 平成11年 1月13日  450万円このうち,c以降の貸付けについて原告から被告らに対して通知がされたことはなかった。(7) 借換え【乙2】C社は,原告からの借入れについて,利払いはしたものの元本の返済はできなかった。平成14年2月5日には,それまでの借入総額について借換えをし,あらたに2960万円の消費貸借契約を締結した。同年5月31日にはこれに基づき公正証書を作成した。この2960万円についてC社の保証人になったのは,Dのほか,G,H,Hの経営する有限会社Iであった。 被告らに対して通知がされたことはなかった。(7) 借換え【乙2】C社は,原告からの借入れについて,利払いはしたものの元本の返済はできなかった。平成14年2月5日には,それまでの借入総額について借換えをし,あらたに2960万円の消費貸借契約を締結した。同年5月31日にはこれに基づき公正証書を作成した。この2960万円についてC社の保証人になったのは,Dのほか,G,H,Hの経営する有限会社Iであった。2 Fの説明について原告はFの証人尋問の申出をしておらず,本件各根保証契約締結の際にFがどのような説明をしたかにつ 社の保証人になったのは,Dのほか,G,H,Hの経営する有限会社Iであった。2 Fの説明について原告はFの証人尋問の申出をしておらず,本件各根保証契約締結の際にFがどのような説明をしたかについては,Dの証言と被告らの供述があるのみである。そして,Dの証言と各被告の供述には微妙なくいちがいがある。当裁判所は,それぞれの述べるところを吟味したうえ,確実に認定できるところとして1のとおり認定した。1で認定した事実に加え,被告らが証拠として提出した,原告にかつて勤務していた者の警察官に対する供述調書写し(乙10),原告の営業の実態を報道する雑誌・新聞の写し(乙11,12)の内容をも考慮すると,Fの説明については,すくなくとも次の点を指摘することができる。ア被告Aが本件根保証契約1を締結する際,Dも,被告Aも,同被告は150万円の借入れの保証人になると認識していた。Fも,Dと被告Aがそのように認識していることを知りながら,それを訂正するようなことは言わなかった。イ Fは,自分が言うとおりに契約書類を作成するよう被告Aに求めたが,なぜ150万円ではなく500万円という金額を書きこむのかという被告Aの疑問に対して正面から答えず,かえって,500万円はC社が原告から借入れをする枠である,というようなまちがった説明をした。ウ被告Bが本件根保証契約2を締結する際,Dも,被告Bも,同被告は350万円の借入れの保証人になると認識していた。Fも,Dと被告Bがそのように認識していることを知りながら,それを訂正するようなことは言わなかった。エ Fは,自分が言うとおりに契約書類を作成するよう被告Bに求めたが,なぜ350万円ではなく500万円という金額を書きこむのかという被告Bの疑問に対して正面から答えず,かえって,500万円というのは被告Aの 保証契約2を締結する際,Dも,被告Bも,同被告は350万円の借入れの保証人になると認識していた。Fも,Dと被告Bがそのように認識していることを知りながら,それを訂正するようなことは言わなかった。エ Fは,自分が言うとおりに契約書類を作成するよう被告Bに求めたが,なぜ350万円ではなく500万円という金額を書きこむのかという被告Bの疑問に対して正面から答えず,かえって,500万円というのは被告Aの ,自分が言うとおりに契約書類を作成するよう被告Bに求めたが,なぜ350万円ではなく500万円という金額を書きこむのかという被告Bの疑問に対して正面から答えず,かえって,500万円というのは被告Aの保証する借入れと被告Bが保証する借入れの合計額である,というようなまちがった説明をした。3 法的判断ここまでに述べたところに基づき判断する。原告は,本件において,原告のC社に対する平成14年2月5日の2960万円の貸付け(1(7)で認定したとおり,これは借換えである)について被告らの保証責任を追及している。本件各根保証契約は,いずれも契約日から5年の間にC社が原告に対して負担する債務全額について,500万円の限度(ただし利息,損害金は含まない)で保証をするというものであり,平成14年2月5日はいずれの契約日からも5年以内であるから,契約内容を文字どおりに理解すれば,原告の主張するとおり,本件各根保証契約の効力はこの原告の主張する貸付けに及ぶことになる。契約書にはたしかに根保証のことが明記してあるし(甲1,2),被告らもそれぞれ自分で根保証限度額の500万円という金額を書き入れ,契約書の内容を承諾したと書いているのだから,契約書どおりの責任を負わされてもやむをえないという考え方もあるかもしれない。しかし,この結果は被告らにとっては予想外であり,かつ著しく不利益である。被告Aは平成9年10月24日の150万円の貸付けについて,被告Bは同年11月28日の350万円の貸付けについて,それぞれ保証をするつもりだったのであり,それ以上の責任を負うつもりはなかったのだからである。このことは,被告らに保証人を依頼したDも同じ認識であった。一方で,原告の担当者のFは,融資手続の過程で,Dがこのような認識をもっていることに気づいていたのに,このDの はなかったのだからである。このことは,被告らに保証人を依頼したDも同じ認識であった。 ,被告Bは同年11月28日の350万円の貸付けについて,それぞれ保証をするつもりだったのであり,それ以上の責任を負うつもりはなかったのだからである。このことは,被告らに保証人を依頼したDも同じ認識であった。一方で,原告の担当者のFは,融資手続の過程で,Dがこのような認識をもっていることに気づいていたのに,このDの はなかったのだからである。このことは,被告らに保証人を依頼したDも同じ認識であった。一方で,原告の担当者のFは,融資手続の過程で,Dがこのような認識をもっていることに気づいていたのに,このDの誤った認識をただそうとしていない。しかも,本件各根保証契約締結の際,限度額根保証の意味について被告らにまったく説明をしていないし,かえって,上記のような被告ら(およびD)の思いこみを逆に補強するようなまちがった説明をしている。その後の経過をみても,原告は,上記の合計500万円の貸付けをした後,約7か月たってからまたC社に対する融資を始めたが,それについては被告らに対して通知をせず,かつ,被告ら以外の保証人を立てさせて融資をしたのである。平成14年になって借換えをした際も,被告ら以外でそれまでC社の保証人になっていた者をその保証人とし,これに基づき公正証書まで作成している。このような経緯からすると,原告自身,被告らが限度額根保証の責任を負うことを前提とした行動をとっているとはいいがたい。以上の事実関係によれば,原告は,被告Aに対しては平成9年10月24日貸付けの150万円についての保証責任を,被告Bに対しては同年11月28日貸付けの350万円についての保証責任を問うことができるが,これを超えた責任を問うことは信義則上許されないと解すべきである。すでに述べたとおり,本件において原告が請求の根拠とするのは,C社に対する平成14年2月5日の2960万円の貸付けについての被告らの保証責任である。この責任を問うことは,以上述べたように,信義則上許されないことであるから,結局,原告の請求はいずれも理由がないというほかない。甲府地方裁判所民事部裁判官倉地康弘 ことであるから,結局,原告の請求はいずれも理由がないというほかない。甲府地方裁判所民事部裁判官倉地康弘

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