1 令和5年3月7日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第26762号 特許料請求事件令和4年(ワ)第9812号 損害賠償等請求反訴事件口頭弁論終結日 令和4年12月16日判 決5本訴原告・反訴被告Aⅰ(以下「原告」という。)本訴被告・反訴原告三菱ケミカル株式会社(以下「被告三菱ケミカル」という。)本訴被告・反訴原告三菱ケミカルインフラテック株式会社10(以下「被告インフラテック」という。)上記両名訴訟代理人弁護士城山康文 村岡智彦主 文1 原告の本訴請求をいずれも棄却する。 152 被告らの反訴請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを27分し、その26を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。 事 実 及 び 理 由第1 請求201 本訴請求被告らは、原告に対し、連帯して、2億2517万6677円及びこれに対する平成30年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 反訴請求(1) 原告は、被告三菱ケミカルに対し、230万円及びこれに対する令和3年2510月15日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 (2) 原告は、被告インフラテックに対し、460万円及びこれに対する令和3年10月15日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 (3) 原告は、被告三菱ケミカルに対し、別紙特許権目録記載の特許権につき、特許法74条1項 460万円及びこれに対する令和3年10月15日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 (3) 原告は、被告三菱ケミカルに対し、別紙特許権目録記載の特許権につき、特許法74条1項を原因とする移転登録手続をせよ。 第2 事案の概要等5事案の要旨(1) 本訴事件本訴事件は、原告が、発明の名称を「地盤安定化薬液用硬化剤および地盤安定化薬液」とする特許第6350985号の特許(以下「本件特許」という。)に係る別紙特許権目録記載の特許権(以下「本件特許権」という。)の10特許権者であり、被告らによる地盤安定化薬液用硬化剤の製造販売が本件特許権を侵害すると主張して、被告らに対し、特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として、損害金2億2517万6677円及びこれに対する平成30年8月13日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案であ15る。 (2) 反訴事件反訴事件は、被告らが、原告による本訴の提起は、不当訴訟に当たるもので、被告らに対する不法行為を構成し、本訴事件の応訴に要した弁護士費用相当額の損害が生じたと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、原告20に対し、被告三菱ケミカルについては損害金230万円、被告インフラテックについては損害金460万円及びこれらに対する令和3年10月15日(本訴の提起日)から各支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告三菱ケミカルが、本件特許は原告の冒認出願によりされたと主張して、原告に対し、特許法74条1項に基づ25き、本件特許権について同項を原因とする移転登録手続をすることを求める3 事案である。 前提事実(当事者間に争いの 冒認出願によりされたと主張して、原告に対し、特許法74条1項に基づ25き、本件特許権について同項を原因とする移転登録手続をすることを求める3 事案である。 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア 原告は、昭和39年から平成12年1月15日まで、日東化学工業株式5会社(以下「日東化学」という。)及び同社を承継した三菱レイヨン株式会社(以下「三菱レイヨン」という。)において勤務していた者である。 原告は、日東化学及び三菱レイヨンにおいて研究開発に携わっており、遅くとも平成3年初め頃以降、両社の中央研究所の研究部長を務めていた。 イ 被告三菱ケミカルは、総合化学品の製造販売を目的とする株式会社であ10る。 三菱レイヨンは、平成10年10月、日東化学を吸収合併し、同社の権利義務を承継した。三菱レイヨンは、平成29年4月1日、「三菱ケミカル株式会社」(被告三菱ケミカルの現在の商号)に商号変更した(乙3)。 ウ 被告インフラテックは、土木・建築用資材の製造、加工及び販売等を目15的とする株式会社で、被告三菱ケミカルの子会社である。 被告インフラテックは、令和3年10月、株式会社菱晃(以下「菱晃」という。)を吸収合併した。 (2) 本件特許権ア 出願及び登録の経緯20原告は、平成26年7月2日、本件特許権に係る発明(以下、本件特許権に係る特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1により特定される発明を「本件特許発明1」、請求項2により特定される発明を「本件特許発明2」、請求項3により特定される発明を「本件特許発明3」といい、これらを総称して「本件特許発明」 範囲の請求項1により特定される発明を「本件特許発明1」、請求項2により特定される発明を「本件特許発明2」、請求項3により特定される発明を「本件特許発明3」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)について、原告を発明者とし25て特許出願し(以下、「本件出願」といい、本件出願の願書に添付した明細4 書を「本件明細書」という。)、平成30年6月15日、本件特許権の設定登録を受けた(甲2)。 原告は、現在、本件特許に係る特許登録原簿に、権利者として登録されている(甲19)。 イ 特許請求の範囲5(ア) 本件特許発明1珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得10たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強15剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。 (イ) 本件特許発明2アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム20等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化 カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム20等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 (ウ) 本件特許発明3請求項1または2に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ25水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 5 ウ 本件特許発明の構成要件の分説本件特許発明は、次のとおり構成要件に分説することができる(以下、分説に係る各構成要件を頭書の符号に対応させて「構成要件A」、「構成要件B1」などという。)。 (ア) 本件特許発明15A 珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、B1 フッ酸副生石膏((a)成分)と、B2 フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、10B3 混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物と、C 該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と15D (c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、E 必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、F 地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安20定化薬液用硬化剤。 (イ) 本件特許発明2G アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭 ることを特徴とする地盤安20定化薬液用硬化剤。 (イ) 本件特許発明2G アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである25H 請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 6 (ウ) 本件特許発明3I 請求項1または2に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、J 珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 (3) 日東化学従業員作成の研究月報記載の硬化剤の処方日東化学従業員のBⅰ(以下「Bⅰ」という。)及びCⅰ(以下「Cⅰ」と5いう。)が平成3年10月28日に作成した同月度研究月報(以下「平成3年10月度月報」という。)により、「エヌタイトGS」という銘柄に係る次の処方が報告された(乙12)。 ア 硬化剤原単位●(省略)●10 ●(省略)●Ⅱ型無水石膏●(省略)● ●(省略)●●(省略)●●(省略)●15 ●(省略)●合計1000kgイ 標準配合A液 200リットルJIS3号水ガラス80リットル20水120リットルB液 200リットルエヌタイトGS19kg×3袋 57kg水177リットル(4) 被告らによる地盤安定化薬液用硬化剤の製造販売25ア 日東化学及び三菱レイヨンは、平成3年11月から平成13年3月まで、7 「エヌタ kg水177リットル(4) 被告らによる地盤安定化薬液用硬化剤の製造販売25ア 日東化学及び三菱レイヨンは、平成3年11月から平成13年3月まで、7 「エヌタイトGS硬化剤」という名称の製品(以下、単に「GS硬化剤」という。)を製造販売していた。 三菱レイヨンは、平成13年3月9日、菱晃に対し、GS硬化剤を含む土質安定剤の製造販売に関する事業を譲渡した(乙5)。菱晃及び同社を承継した被告インフラテックは、同月以降、GS硬化剤を製造販売している。 5イ GS硬化剤は、酸化アルミニウム、消石灰(水酸化カルシウム)、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び無水石膏を含有する白色粉末である(乙1、2)。 ウ GS硬化剤は、少なくとも本件特許発明1及び本件特許発明2の技術的範囲に属する。 10(5) 日東化学における職務発明に関する定め日東化学の平成7年8月1日改訂前職務発明取扱規程(以下「本件職務発明取扱規程」という。)には、次の定めがある(乙9)。 ア この規定で「発明」とは発明・考案および意匠の創作をいう。(2条1項)イ この規定で「職務発明」とは社員がした発明であって、その内容が性質15上会社の業務範囲に属し、かつその発明をするに至った行為が会社におけるその者の現在または過去の職務に属するものをいう。(2条2項)ウ 研究部長は、職務発明報告書について、職務発明審査会を招集して審査し、その結果に基づいて職務発明の認否、出願の要否等を決定する。(4条)エ 職務発明と認定された発明についてはその発明者は特許(略)を受ける20権利を会社に譲渡しなければならない。(略)(8条)(6) 原告作成に係る誓約書原告が、平成12年1月15日に三菱レイヨンを 発明と認定された発明についてはその発明者は特許(略)を受ける20権利を会社に譲渡しなければならない。(略)(8条)(6) 原告作成に係る誓約書原告が、平成12年1月15日に三菱レイヨンを退職する際、同社に提出した誓約書(以下「本件誓約書」という。)には、次の記載がある(乙10)。 ア 貴社及び貴社の関係会社の営業秘密(略)を、自ら使用したり、他の第25三者に開示、漏洩しない(略)。 8 イ 貴社及び貴社の関係会社の営業秘密についてその(略)無体財産権が貴社及び貴社の関係会社に帰属していることを確認する(略)。 争点(1) 被告らによる本件特許発明の実施の有無ア GS硬化剤の製造販売以外の態様による本件特許発明の実施の有無(争5点1-1)イ GS硬化剤は本件特許発明3の技術的範囲に属するか(争点1-2)(2) 本件特許は、特許法123条1項6号に基づき、特許無効審判により無効とされるべきものか(争点2)(3) 被告インフラテックは本件特許権について先使用による通常実施権を有す10るか(争点3)(4) 原告に生じた損害の有無及びその額(争点4)(5) 本訴提起による不法行為の成否(争点5)(6) 被告らに生じた損害の有無及びその額(争点6)争点に関する当事者の主張15(1) 争点1-1(GS硬化剤の製造販売以外の態様による本件特許発明の実施の有無)(原告の主張)被告らは、別紙被告製品目録記載の各製品(以下、これらを総称して「本件製品」という。)を製造販売している。 20そして、別紙対比表1及び同2のとおり、本件製品は、いずれも本件特許発明1ないし3の技術的範囲に属する。 したがって、被告らは、本件製品の製造販売により本件特許発明を実施 している。 20そして、別紙対比表1及び同2のとおり、本件製品は、いずれも本件特許発明1ないし3の技術的範囲に属する。 したがって、被告らは、本件製品の製造販売により本件特許発明を実施している。 (被告らの主張)25被告三菱ケミカルは、本件特許の登録日から現在に至るまで、本件製品を9 いずれも製造販売していない。 また、菱晃及び被告インフラテックは、本件特許の登録日から現在に至るまで、GS硬化剤を除き、本件製品をいずれも製造販売していない。 (2) 争点1-2(GS硬化剤は本件特許発明3の技術的範囲に属するか)について5(原告の主張)GS硬化剤は、本件特許発明3の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)GS硬化剤は、地盤安定化薬液でないから、本件特許発明3の技術的範囲に属しない。 10(3) 争点2(本件特許は、特許法123条1項6号に基づき、特許無効審判により無効とされるべきものか)について(被告らの主張)ア 本件特許発明は、日東化学の従業員であったBⅰ及びCⅰが平成3年10月に完成させたものである。 15すなわち、Bⅰ及びCⅰは、GS硬化剤の開発に関し、平成3年10月度月報において、「エヌタイトGS」という銘柄の処方(以下、同処方により特定される硬化剤に係る発明を「本件硬化剤発明」という。)を完成させた。本件特許発明と本件硬化剤発明とは、一部の構成要件において形式的な相違があるものの、これらは、以下のとおり、いずれも実質的な相違点20ではなく、両発明の同一性を損なうものではない。 (ア) アルカリ性物質の添加量(構成要件B2)について本件硬化剤発明において、無水石膏組成物のpHは●(省略)●とされ 0ではなく、両発明の同一性を損なうものではない。 (ア) アルカリ性物質の添加量(構成要件B2)について本件硬化剤発明において、無水石膏組成物のpHは●(省略)●とされている。これに対し、本件特許発明の構成要件B2は、「中和する量以上~500質量部以下」のアルカリ性物質を添加することを定めている。 25本件明細書の段落【0013】及び表1aの記載に照らせば、pHを●10 (省略)●に当たるから、本件硬化剤発明においても、●(省略)●といえる。 ●(省略)●を原料として利用する際には、●(省略)●が必要である。そして、日東化学における過去の研究により、●(省略)●が既に明らかとなっていた。したがって、本件硬化剤発明においても、●(省5略)●ことが必須であるものの、それを超えて添加することは当然に許容されていた。 本件明細書においても、アルカリ性物質の添加に関し、●(省略)●の意義や効果は何ら記載されていない。 したがって、構成要件B2におけるアルカリ性物質の添加量に関する10相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明の実質的な相違点ではない。 (イ) 無水石膏組成物の比表面積(構成要件B3)について本件硬化剤発明において、無水石膏組成物のブレーン値、すなわちブレーン法による比表面積は●(省略)●cm2/gとされている。これに対し、本件特許発明の構成要件B3は、ブレーン値の数値範囲を「451500~15000cm2/g」と定めている。 ●(省略)●であるところ、粉砕・分級を繰り返されて無水石膏組成物の粉体が小さくなり、その比表面積が大きくなるほど、十分な中和反応が得られることは、技術常識である。他方で、無水石膏組成物の粒径を小さくして比表面積を大きくするためには、粉砕・分級工 無水石膏組成物の粉体が小さくなり、その比表面積が大きくなるほど、十分な中和反応が得られることは、技術常識である。他方で、無水石膏組成物の粒径を小さくして比表面積を大きくするためには、粉砕・分級工程により多20くの時間と手間を要するため、無水石膏組成物の調達コストが増大する。 そのため、性能向上には比表面積の大きな無水石膏組成物が好ましいことを前提として、反応性とコストとの兼ね合いから比表面積の下限値はどの程度まで許容されるのかということが重要となる。すなわち、無水石膏組成物の比表面積の数値範囲に何らかの技術的意義があるとすれば、25それはその下限である。本件硬化剤発明において、無水石膏組成物のブ11 レーン値は●(省略)●cm2/gとされているが、これは、●(省略)●無水石膏組成物も利用可能であることを当然の前提として、それと代替可能であることを意味するにすぎない。そして、本件硬化剤発明において無水石膏組成物のブレーン値に何らかの上限があるとすれば、それは、通常の調達手段で入手できる範囲を超えて高いブレーン値のⅡ型無5水石膏を原料として利用しても性能が向上することはなく不経済であるという観点からの上限ということになる。 本件明細書において、「12000cm2/gを超えて15000cm2/gにしても効果それほど上がらず、粉砕・分級の費用だけ上昇し不経済である。」(【0037】)との記載があることや、ブレーン値が1501000cm2/gを超える試料との比較が一切行われていないことに照らすと、本件特許発明が定めるブレーン値の上限も、ただ単に、通常の調達手段で入手できる範囲を超えた高いブレーン値のⅡ型無水石膏を原料として利用しても効果の向上はなく不経済であるという観点から範囲を定めたにすぎず、その上限に新たな技術的 の上限も、ただ単に、通常の調達手段で入手できる範囲を超えた高いブレーン値のⅡ型無水石膏を原料として利用しても効果の向上はなく不経済であるという観点から範囲を定めたにすぎず、その上限に新たな技術的意義はない。 15したがって、構成要件B3におけるブレーン値の●(省略)●に関する相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明との実質的な相違点ではない。 (ウ) 界面活性剤の添加量(構成要件C)について本件硬化剤発明において、界面活性剤(分散剤又は安定剤とも呼ばれる。)の量は、●(省略)●とされている。これに対し、本件特許発明の20構成要件Cは、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して0.35以上1.25質量部以下の界面活性剤を添加することを定めている。 界面活性剤の役割は、硬化剤を水に溶解して生成するB液の粘度を適切な数値以下とすることにある。GS硬化剤の開発に当たっては、●25(省略)●が検討されたところ、●(省略)●が判明し、一旦、●(省12 略)●する案が示されたものの、最終的に●(省略)●する処方となった。このように、本件硬化剤発明は、●(省略)●ものではない。 本件明細書においても、界面活性剤の使用量について、「好ましくは0. 5質量部以上1質量部以下」と、●(省略)●を好ましいものとする一方で、上限を1.25質量部とする理由については、それを超えて界面5活性剤を使用しても効果の向上はなく「無駄となるので好ましくない」とするにとどまり(【0015】)、1.25質量部を超える量の界面活性剤が使用された比較例の検討はされていない。 したがって、構成要件Cにおける界面活性剤の添加量の相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明の実質的な相違点ではない。 10(エ) 消泡剤の添加量(構成要件D)について 較例の検討はされていない。 したがって、構成要件Cにおける界面活性剤の添加量の相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明の実質的な相違点ではない。 10(エ) 消泡剤の添加量(構成要件D)について本件硬化剤発明において、消泡剤の量は、●(省略)●とされている。 これに対し、本件特許発明の構成要件Dは、使用する消泡剤の量について、界面活性剤((ⅽ)成分)100質量部に対して0.51以上200質量部以下とすることを定めている。 15消泡剤の役割は、界面活性剤の使用に伴う発泡を抑制することにある。 GS硬化剤の開発に当たっては、他社の競合製品が消泡剤によって発泡を抑制していたことに対抗するため、消泡剤を添加することの効果が検討された。その結果、●(省略)●の消泡剤の添加により、効果が認められることが確認された。平成3年4月19日作成の同月度研究月報20(以下「平成3年4月度月報」という。)及び同年10月度月報において、消泡剤の量を増減する検討はされていないが、それは、消泡剤を添加する目的が界面活性剤の使用に伴う発泡の抑制にあり、発泡が抑制できていることが目視で確認できれば十分だからである。●(省略)●したがって、本件硬化剤発明が定める消泡剤の量とは、界面活性剤の使用に伴25う発泡の抑制ができる最低限度の量をいう。 13 本件明細書においても、消泡剤の使用量について、「好ましくは1質量部以上100質量部以下」と、GS硬化剤における実際の添加量を好ましいものとする一方で、上限を200質量部とする理由については、「添加量が多く無駄である。」とするものの(【0016】)、200質量部を超える量の消泡剤が使用された比較例との検討はされていない。また、5本件明細書記載の実施例からしても、消泡剤の使用量と消泡時間との間に関連が ある。」とするものの(【0016】)、200質量部を超える量の消泡剤が使用された比較例との検討はされていない。また、5本件明細書記載の実施例からしても、消泡剤の使用量と消泡時間との間に関連があることは一切うかがわれない。 したがって、構成要件Dにおける界面活性剤の添加量の相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明の実質的な相違点ではない。 (オ) アルカリ性物質の種類(構成要件B2及びG)について10本件硬化剤発明において、無水石膏組成物は炭酸カルシウム●(省略)●されている。これに対し、本件特許発明の構成要件B2はアルカリ性物質の種類について限定しておらず、構成要件Gは「アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複15塩またはセメントである」と広く定めている。 前記(ア)において主張したとおり、日東化学は、調達する無水石膏組成物●(省略)●ことを必須としていたが、●(省略)●を硬化剤に用いるためには、いずれかの●(省略)●で●(省略)●されていれば足りると認識していた。実際、●(省略)●について、炭酸カルシウムのみ20ならず、水酸化カルシウムや酸化カルシウムを●(省略)●として用いることが可能であることも確認済みであった。平成3年4月度月報において特にアルカリ性物質の種類の検討を行わず、炭酸カルシウムにより●(省略)●された●(省略)●をGS硬化剤の原料として使用することとしたのは、当然に上記の知見を踏まえたものであって、本件硬化剤25発明は、他の●(省略)●を●(省略)●として利用することもその範14 囲に含むものである。 本件明細書においても、中和剤として用いるアルカリ性物質の種類についての技術的意 件硬化剤25発明は、他の●(省略)●を●(省略)●として利用することもその範14 囲に含むものである。 本件明細書においても、中和剤として用いるアルカリ性物質の種類についての技術的意義は開示されていない。 したがって、構成要件B2及びGにおけるアルカリ性物質の種類に関する相違は、本件特許発明と本件硬化剤発明の実質的な相違点ではない。 5イ 原告は、日東化学の研究所において、Bⅰ及びCⅰの上司に当たる地位にあり、両名が完成させた本件特許発明を同人らから直接又はその他の日東化学の書類や従業員を介して知得したにすぎず、本件特許発明の発明者ではない。そして、Bⅰ及びCⅰが完成させた本件特許発明に関する特許を受ける権利は、本件職務発明取扱規程に従って日東化学に承継されたの10であり、原告がこれを譲り受けたことはない。 ウ 仮に本件特許発明と本件硬化剤発明が同一でないとしても、本件硬化剤発明をその範囲に含む本件特許発明は、本件硬化剤発明に関する日東化学の営業秘密(●(省略)●)を利用した発明であることは明らかである。 これに対し、原告は、日東化学従業員として、就業規則及び本件誓約書に15基づき、日東化学及び三菱レイヨンの営業秘密を退職後も自己の目的に利用したり第三者に開示したりしてはならない義務を負っていた。そのような原告が、被告らに権利を行使する目的で本件特許発明について特許出願をし、本件特許権を取得したことは、就業規則及び本件誓約書において禁じられた「自己の目的」への利用そのものである上、特許出願に伴う公開20を通じた第三者への開示にも該当する。 このように、本件特許発明が本件硬化剤発明に関する日東化学の営業秘密を利用してされたものである以上、原告は、本件特許発明について、特許を受ける権利を有しない。また、原 第三者への開示にも該当する。 このように、本件特許発明が本件硬化剤発明に関する日東化学の営業秘密を利用してされたものである以上、原告は、本件特許発明について、特許を受ける権利を有しない。また、原告の秘密保持義務違反によってされた利用発明である本件特許発明についての特許を受ける権利は、条理上、25本件硬化剤発明に関する営業秘密の保有者であった日東化学、ひいてはそ15 の権利義務を承継した被告三菱ケミカルに帰属するというべきである。 エ したがって、本件特許は、特許を受ける権利を有しない者による出願、すなわち冒認出願に対してされたものであって、特許法123条1項6号に基づき、特許無効審判により無効とされるべきものであるから、原告は、被告らに対し、本件特許権を行使することができない。 5また、日東化学の権利義務を承継した被告三菱ケミカルは、Bⅰ及びCⅰが完成させた本件特許発明について特許を受ける権利を有するから、特許法74条1項に基づき、原告に対し、本件特許権の移転を請求する権利を有する。 (原告の主張)10Bⅰらは、硬化剤の原料の代替品を検討したにすぎず、何らの発明も完成させていない。 なお、本件職務発明取扱規程2条2項に該当する職務発明について、当該発明に関する特許を受ける権利が日東化学に承継されることになるとの被告らの主張は特に争わない。 15(4) 争点3(被告インフラックは本件特許権について先使用による通常実施権を有するか)について(被告インフラテックの主張)仮に、本件特許が冒認出願によるものではなかったとしても、菱晃は、本件特許出願の際、現に日本国内において、本件特許発明の実施に該当するG20S硬化剤の製造販売事業をしていた。被告インフラテックは、菱晃を吸収合 が冒認出願によるものではなかったとしても、菱晃は、本件特許出願の際、現に日本国内において、本件特許発明の実施に該当するG20S硬化剤の製造販売事業をしていた。被告インフラテックは、菱晃を吸収合併したから、特許法79条により、本件特許権について、GS硬化剤の製造販売をその範囲に含む通常実施権を有する。 したがって、原告は、被告インフラテックに対し、本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償を請求することはできない。 25(原告の主張)16 争う。 (5) 争点4(原告に生じた損害の有無及びその額)について(原告の主張)ア 主剤及び硬化剤の製造販売数量被告らが製造販売する主剤の量は年間3930トン、硬化剤の量は年間5平均2000トンである。 イ 主剤及び硬化剤等からなる注入液1リットル当たりの販売価格代表的な銘柄であるエヌタイトGSを例に挙げる。 JIS3号水ガラス80リットル(比重1.4)112kgで、主剤であるA液を200リットル調製できる。また、硬化剤57kgで、B液を10200リットル調製できる。 そして、A液200リットルの価格は、JIS3号水ガラス80リットル×1.4(比重)×35.7円≒4000円となる。また、B液200リットルの価格は、硬化剤57kg×70.2円≒4000円となる。 したがって、注入液400リットルの価格は、A液4000円+B液415000円=8000円となる。 以上によれば、注入液1リットル当たりの販売価格は、8000円÷400リットル=20円/リットルとなる。 ウ 調製可能な注入液の年間数量水ガラス及び硬化剤から調製可能なA液及びB液の数量に照らせば、水20ガラス3930トン及び硬化剤2000トンから、A液及びB液を 0円/リットルとなる。 ウ 調製可能な注入液の年間数量水ガラス及び硬化剤から調製可能なA液及びB液の数量に照らせば、水20ガラス3930トン及び硬化剤2000トンから、A液及びB液を年間701万7545リットルずつ調製できるので、両液を合計した注入液量は年間1403万5090リットルである。 エ 実施料本件特許発明が属する土木分野、水ガラス系注入材分野における相当な25実施料率に照らせば、本件特許発明の実施料率は販売価格の5パーセント17 である。前記イのとおり、注入液1リットル当たりの販売価格は20円であるから、注入液1リットル当たりの実施料は1円となる。 オ 特許法102条3項により算定される損害額したがって、平成30年6月15日(登録日)から同月30日までに生じた実施料相当額の損害は61万5237円(≒1403万5090円×516日÷365日)となる。 また、同年7月1日から令和16年6月26日までに生じた又は生じ得る実施料相当額の損害は2億2456万1440円(=1403万5090円×16年)となる。 (被告らの主張)10否認ないし争う。 (6) 争点5(本訴提起による不法行為の成否)について(被告らの主張)本訴事件に係る原告の請求は、冒認出願人である原告が、本件特許発明につき特許を受ける権利の保有者である被告三菱ケミカル及び先使用による通15常実施権者である被告インフラテックに対し、特許権侵害を主張して損害賠償を求めるものである。 そして、当該冒認出願は、原告が負っていた秘密保持義務に違反してされたものである。また、原告は、日東化学の研究部長として、Bⅰ及びCⅰがした職務発明について、出願の要否等を決定する立場にあり、Bⅰ及びCⅰ20 認出願は、原告が負っていた秘密保持義務に違反してされたものである。また、原告は、日東化学の研究部長として、Bⅰ及びCⅰがした職務発明について、出願の要否等を決定する立場にあり、Bⅰ及びCⅰ20による職務発明である本件特許発明について、特許出願をするのではなく営業秘密として保持する判断を自ら行った。それにもかかわらず、原告は、秘密保持義務に違反してされた冒認出願に基づく特許権を、まさに当該秘密保持義務の相手方に対して行使したものであり、この点において、本訴提起はより一層強く非難されなければならない。 25原告は、本件特許発明が完成した当時、日東化学の中央研究所の研究部長18 を勤め、日東化学が三菱レイヨンに吸収合併されたことに伴って同社に入社したのであるから、被告らが本件特許発明に係る特許を受ける権利及び先使用による通常実施権を有することを当然知っていたはずである。さらに、原告は、本訴提起前に、菱晃の代理人弁護士からの書簡により、本件特許発明は原告が日東化学に在職していた当時から同社によって実施されていたもの5であること、菱晃は日東化学の当該事業を承継していること等の指摘を明示的に受けていた。すなわち、原告は、本件特許権に基づく権利行使が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知っていたものである。 したがって、原告による本訴提起は、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものといえ、不法行為を構成する。 10(原告の主張)争う。 (7) 争点6(被告らに生じた損害の有無及びその額)について(被告らの主張)被告三菱ケミカルは、原告による本訴提起によって、その防御のために弁15護士費用相当額として230万円の損害を被った。 被告インフラテックは、原告による本訴提起によって、その防 被告らの主張)被告三菱ケミカルは、原告による本訴提起によって、その防御のために弁15護士費用相当額として230万円の損害を被った。 被告インフラテックは、原告による本訴提起によって、その防御のために弁護士費用相当額として460万円の損害を被った。 (原告の主張)否認ないし争う。 20第3 当裁判所の判断1 本件明細書の記載事項等について(1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、次のような記載がある。 ア 【技術分野】【0001】25本発明は、地盤安定化のため、珪酸アルカリ水溶液を主剤とした地盤安19 定化薬液および該地盤安定化薬液に用いる硬化剤に関する。 【背景技術】【0002】従来、軟弱地盤を強化したり、漏水地盤を止水したりするために、種々の地盤安定化薬液を地盤内に注入して地盤内でゲル化させる地盤安定化工5法が知られている。 薬液としては、安価であることから、珪酸アルカリ水溶液を主剤とし、これに硬化剤成分の水溶液または水に分散した懸濁溶液を組合せた薬液である珪酸アルカリ系地盤安定化薬液が広く使用されている。 イ 【発明が解決しようとする課題】10【0006】従来から、地盤安定化用薬液は、安価で性能に優れたもの、特に、多様化し、複雑化した地盤にも対応できる様に多目的・多用途用の硬化剤が望まれている。 …15本発明の目的は、珪酸アルカリ水溶液と混合した際に、上記の3件の特許文献に記載の高価なⅡ型無水石膏を使用しなくとも、多様化し、複雑化した地盤の安定化に対応できる、安価で、環境に易しい、省資源が望まれている産業副生物の有効活用を図り、硬化剤量を任意に調節することで硬化時間を長結から瞬結まで可能で、圧縮強度は高強度から実用強 雑化した地盤の安定化に対応できる、安価で、環境に易しい、省資源が望まれている産業副生物の有効活用を図り、硬化剤量を任意に調節することで硬化時間を長結から瞬結まで可能で、圧縮強度は高強度から実用強度まで得20られ、多目的・多用途にも多角的に活用できる地盤安定化薬液用硬化剤及び地盤安定化薬液を提供することにある。 ウ 【課題を解決するための手段】【0008】すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。 25(1)珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、フッ酸副生石膏((a)成分)20 とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、5界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化10剤。 (2)アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである 請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 15(3)(1)または(2)に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 エ 【発明の効果】【0009】 請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 15(3)(1)または(2)に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 エ 【発明の効果】【0009】本発明の地盤安定化薬液用硬化剤は、珪酸アルカリ水溶液と混合した際20に、高価なII型無水石膏を使用しなくとも、安価な産業副生物のフッ酸副生石膏を活用することで地盤中への浸透性に優れ、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の使用量を調節することで、硬化時間は長結の20分台~瞬結工法の数秒台に調節すること可能であり、強度は実用強度の0.01N/mm2から高強度の6N/mm2 が得られる。この様な事から、多様化、25複雑化した地盤をより確実に、より安全に地盤の安定化が可能となり多目21 的・多用途へ応用することができる。 オ 【発明を実施するための形態】【0010】[地盤安定化薬液用硬化剤]本発明の土質安定化薬液に用いる硬化剤は、珪酸アルカリ水溶液を主剤5とした土質安定化薬液に用いる硬化剤であって、フッ酸副生石膏((a)成分)にアルカリ性物質((b)成分)を添加し、混合、粉砕・分級して得た無水石膏組成物と、該無水石膏組成物に対して、界面活性剤((c)成分)と、消泡剤((d)成分)とを含有し、必要により硬化促進増強剤((e)成分)を含有する。 10【0011】[フッ酸副生無水石膏]フッ酸副生石膏は、本発明の硬化剤として使用する無水石膏組成物を調製する際の主原料として使用するものである。 通常、フッ酸副生石膏は、螢石を高温下に於いて硫酸で分解してフッ酸15を製造する際、ロータリーキルンの出口から弗化水素酸と石膏(以下フッ酸副生石膏という)が生成する。 このフッ酸副生石膏中には、通常、遊離酸 膏は、螢石を高温下に於いて硫酸で分解してフッ酸15を製造する際、ロータリーキルンの出口から弗化水素酸と石膏(以下フッ酸副生石膏という)が生成する。 このフッ酸副生石膏中には、通常、遊離酸が0.2~5重量%(硫酸として)含まれている。そのため酸性が強く、pHは1.0前後の強酸性である。…20【0012】[アルカリ性物質]本発明で使用するアルカリ性物質は、本発明で使用するフッ酸副生石膏がpHが1前後の強酸性を示すため、取り扱い安全性、取扱い作業性、作業環境等の向上、輸送設備関連の腐食防止、関連設備投資の低減、製品の25包装を安価なクラフト製袋にも適応できるように調製するためと、水に分22 散して使用するため安価な鉄製の調合槽、注入管、注入ポンプ、計装関連機器等の注入関連設備が腐食しないようにするとともに、硬化時間の調節と硬化体の強度の増強を図ることを目的として添加する。 本発明で使用するアルカリ性物質は、無水石膏組成物の主原料であるフッ酸無水石膏中に遊離の硫酸が多量に存在するために、これを中和するた5めに用いるのである。 本発明で使用するアルカリ性物質としては、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、及び該化合物の複塩またはセメントが挙げられ、これら化合物を一種または二種以上混合して使用することができる。 10これらのアルカリ性物質の内、水に不溶性の酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、セメント等が多用途の施工場面に応用できるので好適に使用できる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の水溶性のアルカリ性物質はフッ酸無水石膏中に含有する遊離の硫酸を中和する以上の多量を使用 施工場面に応用できるので好適に使用できる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の水溶性のアルカリ性物質はフッ酸無水石膏中に含有する遊離の硫酸を中和する以上の多量を使用しても無駄とな15るので多量用いたとしても中和量の2~3倍程度に留めておくのが好ましい。これ以上の使用量は、製品の紙袋の安定化、製造装置、輸送装置、注入装置等の金属類の防食に対して極めて有効であるが、硬化時間の遅延と強度低下を招くので好ましくないのである。 …20【0013】[無水石膏組成物の調製方法]アルカリ性物質の添加量は、フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏中に含まれる酸の含有量によって異なり、少なくともこの遊離の硫酸の含有量を中和する以上500質量部以下を添加する。 25該無水石膏組成物1質量部に水2.5質量部を加えて懸濁液をつくった23 場合、液のpHが4.5以上になるように無水石膏組成物の調製を行う。 これは上記無水石膏組成物のpHが4.5以下の場合は酸性が強く、輸送装置、運搬装置、配管、混合機、粉砕機、分級機等の腐食を招いたり、硬化剤の包装紙の破袋を招いたり、硬化剤の鉄製の溶解槽を腐食させたり、安価な鉄製の注入ポンプの腐食を招いたり、注入管の先端装置を腐食させ5たり、計装関連機器を腐食させる等の問題点を有する。 そのため、無水石膏組成物の調製に当たり、アルカリ性物質を適宣変化させて無水石膏組成物のpHを4.5以上するのである。これによりフッ酸副生石膏に含有する硫酸、フッ素分の安定化と無害化、取扱い安全性、取扱い作業性、作業環境等の向上も同時に行うことができる。 10…【0014】無水石膏組成物の調製方法は、以下の原料組成物の混合工程と粉砕・分級工程か 安定化と無害化、取扱い安全性、取扱い作業性、作業環境等の向上も同時に行うことができる。 10…【0014】無水石膏組成物の調製方法は、以下の原料組成物の混合工程と粉砕・分級工程から構成される。 (1)混合工程15本発明の無水石膏組成物は、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質をフッ酸副生石膏の遊離の硫酸を中和する以上のアルカリ性物質との混合を行い、中和反応が確実に行われる条件を作るために設けた工程である。 従って、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合は、フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸とアルカリ性物質との固相反応を適切に行い、中和20反応を確実に行うために設けるのである。 フッ酸副生石膏100質量部に対するアルカリ性物質の添加量は、フッ酸副生石膏に含有する硫酸を中和するに必要な質量部以上500質量部以下を添加すれば本発明の目的を達成することができる。 中和量以下では、安価な混合機、粉砕機、分級機等の腐食、フッ酸副生25石膏の輸送系統の腐食、配管系統の腐食、紙袋の破袋、調合槽の腐食、注24 入設備の腐食等の数多くの課題を解決しなければならないので、設備に多額の投資を必要とするので好ましくない。 一方、500質量部以上は、紙袋の破袋は認められないこと、硬化時間の短縮ができることで好ましいが、強度低下、無駄となるので好ましくない。 中和量以上のアルカリ性物質を使用する場合は、酸化カルシウム、水酸5化カルシウム、炭酸カルシウム、セメント等が大きな効果を発揮するが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等は大きな効果が得られ難いので中和量の2~3倍程度を使用すれば カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等は大きな効果が得られ難いので中和量の2~3倍程度を使用すれば、本発明が規定する性能基準を十分満足する効果が10得られる。 …(2)粉砕・分級工程フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合を適切に行った後、本発明が規定する性能基準を確実に満足させるために設けるのである。 15本発明で使用する粉砕機としては、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質との混合を行い、フッ酸副生石膏中に含有する硫酸とアルカリ性物質との固相反応を確実に行い、安価な紙袋の保存を長期間持続させること、配管・輸送関連設備の腐食防止、硬化剤の調合容器の腐食防止すこと、注入ポンプ・注入設備、計装関連機器等の腐食の防止を図り、硬化剤を安価にする20ばかりでなく、硬化時間の短縮、ゲル強度の増強を図るために設けた工程である。本発明で使用する無水石膏組成物の粒度は、ブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gのものを使用できる。好ましくは6500~8500cm2/gである。4500cm2/g未満は、強度が低くなるので好ましくない。15000cm2/gを超えても、硬化時25間の短縮、ゲル強度の増強効果が小さく、粉砕・分級の費用が高価になり、25 不経済となるので好ましくない。 …【0015】[界面活性剤]本発明で使用する界面活性剤は、硬化剤液の粘度低下と均質化、ゲルタ5イムの変動をなくすること、固結効率の向上を図ること等のために使用する。 …界面活性剤の使用量は、硬化剤の種類、硬化剤懸濁液の濃度、使用する界面活性剤種類により特定することが難しいが、無水石膏組成物と硬化促 、固結効率の向上を図ること等のために使用する。 …界面活性剤の使用量は、硬化剤の種類、硬化剤懸濁液の濃度、使用する界面活性剤種類により特定することが難しいが、無水石膏組成物と硬化促10進増強剤の合計量100質量部に対して0.35以上1.25質量部である。好ましくは0.5質量部以上1質量部以下が好ましい。0.35質量部未満は、硬化剤液の粘度が高くなり均質性は良くなるが、浸透性が悪くなり固結効率の低下を招くこと、硬化時間と強度がバラツイタリするので好ましくなくない。また、1.25質量部超えて添加することで硬化時間15と強度のバラツキが認められなくなるが、硬化剤液の粘性の低下が認められなかったり、浸透性の向上が認められなかったり、無駄となるので好ましくないのである。 【0016】[消泡剤]20消泡剤を添加する目的は、界面活性剤を添加した硬化剤液を調製すると、硬化剤液表面と液中に多量の泡を発生させて、消泡する迄に長時間を有したり、取り扱い作業性が悪くなったり、主剤液と硬化剤液とを混合すると気泡巻き込んで硬化するので強度の低下を招いたり、硬化時間がバラツイタリしたりする等の問題点を有するので好ましくないのである。本発明の25消泡剤は、このような上記問題点を解決するためと硬化剤液の粘度の低下26 を図り浸透性を向上させるために添加するのである。本発明で使用する消泡剤は、通常セメント混和剤として用いられる消泡剤を含有させる。 …本発明で使用する消泡剤の使用量、本発明の界面活性剤100質量部に対して0.51以上200質量部以下の範囲である。好ましくは1質量部5以上100質量部以下である。0.51質量部未満は、硬化剤液の均質化ができるが、消泡に長時間を有するので作業性が悪く、硬化時間と して0.51以上200質量部以下の範囲である。好ましくは1質量部5以上100質量部以下である。0.51質量部未満は、硬化剤液の均質化ができるが、消泡に長時間を有するので作業性が悪く、硬化時間と硬化体の強度がバラツキを生じるので好ましくない。200質量部超えると硬化剤液の表面と液中の泡は瞬間的になくなり、粘性も低くなり浸透性がよくなる方向に進むが、添加量が多く無駄である。 10【0017】[硬化促進増強剤]本発明の硬化促進増強剤を使用する目的は、硬化剤としての無水石膏組成物の更なる硬化時間の短縮と硬化体の強度の増強を図るために添加する。 本発明で使用する硬化促進増強剤としては、カルシウムの酸化物、水酸15化物、炭酸塩、硫酸塩等とセメントを挙げることができ、一種以上添加して使用することができる。…これらの硬化促進増強剤は、 更に粉砕・分級して使用しても良い。その粒度は、ブレーン法に依る比表面積で3000~12000cm2/gのものを使用できる。好ましくは4500~9500cm2/g、更に好20ましくは6500から8500cm2/gである。3000cm2/g未満は、強度が低くなるので好ましくない。15000cm2/g超えると均質化が図れるが粘性が高くなり浸透性が損なわれる等の性能面の向上が認められなく、結局、粉砕・分級の費用ばかり高価になり、不経済となるので好ましくない。 25(2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件特許発明に関し、以下27 のとおりの開示があると認められる。 ア 従来、軟弱地盤を強化したり、漏水地盤を止水したりするために、種々の地盤安定化薬液を地盤内に注入して地盤内でゲル化させる地盤安定化工法が知られており、薬液としては、安価であることから、珪酸アル ア 従来、軟弱地盤を強化したり、漏水地盤を止水したりするために、種々の地盤安定化薬液を地盤内に注入して地盤内でゲル化させる地盤安定化工法が知られており、薬液としては、安価であることから、珪酸アルカリ水溶液を主剤とし、これに硬化剤成分の水溶液又は水に分散した懸濁溶液を5組み合せた薬液である珪酸アルカリ系地盤安定化薬液が広く使用されている(【0002】)。この地盤安定化用薬液については、安価で性能に優れたもの、特に、多様化し、複雑化した地盤にも対応できるように多目的・多用途用の硬化剤が望まれており、高価なⅡ型無水石膏を使用しなくとも、多様化し、複雑化した地盤の安定化に対応でき、安価で、環境に優10しい、産業副生物の有効活用を図り、硬化時間は長結から瞬結まで可能で、圧縮強度は高強度から実用強度まで得られ、多目的・多用途にも多角的に活用できる地盤安定化薬液用硬化剤及び地盤安定化薬液を提供することが課題であった(【0006】)。 イ 「本発明」は、前記アの課題を解決するため、①珪酸アルカリ水溶液か15らなるA液と、フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物20と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注 部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化25させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤、②アルカリ性物質がカ28 ルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである上記①に記載の地盤安定化薬液用硬化剤、③上記①又は②に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液を提供するものであり、「本発明」の地盤安定化薬液用硬5化剤は、珪酸アルカリ水溶液と混合した際に、高価なⅡ型無水石膏を使用しなくとも、安価な産業副生物のフッ酸副生石膏を活用することで、地盤中への浸透性に優れ、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の使用量を調節することで、硬化時間は長結の20分台から瞬結工法の数秒台に調節することが可能であり、強度は実用強度の0.01N/mm2から高強度の6N/10mm2が得られることから、多様化、複雑化した地盤をより確実かつ安全に安定化することが可能となり、多目的・多用途へ応用することができるとの効果を奏する(【0008】、【0009】)。 2 争点1-1(GS硬化剤の製造販売以外の態様による本件特許発明の実施の有無)について15(1) 証拠(甲12、13、20)によれば、日東化学は、かつて、エヌタイト-SG、エヌタイト-SGⅠ、エヌタイト-SGⅡ、エヌタイト-SGP及びエヌタイト-SGP2という名称の製品を製造販売していたことが認められる。しかし、これらの製品が製造販売されていたことを示す資料は、最も新 タイト-SGⅠ、エヌタイト-SGⅡ、エヌタイト-SGP及びエヌタイト-SGP2という名称の製品を製造販売していたことが認められる。しかし、これらの製品が製造販売されていたことを示す資料は、最も新しいものでも平成5年に作成されたものにとどまり、被告らが、本件特許20権の設定登録日である平成30年6月15日以降も、これらの製品を製造販売していたと認めるに足りる証拠はない。 また、日東化学は、遅くとも平成5年には、エヌタイトGSという名称の製品を(甲13、乙1)、平成7年頃には、エヌタイトGSⅡという名称の製品をそれぞれ製造販売し(乙2)、その後、三菱レイヨン及び菱晃が、エヌタ25イトGS(Ⅰ・Ⅱ)、エヌタイトGS-Ⅰ及びエヌタイトGS-Ⅱという名称29 の製品を製造販売していたところ(乙4、6、7)、これらの製品は、GS硬化剤と珪酸ナトリウム水溶液(水ガラス)とを別個に梱包したものを同梱した製品であると認められる。そうすると、日東化学、三菱レイヨン及び菱晃によるこれらの製品の製造販売は、被告らが自認するGS硬化剤の製造販売(前提事実(4)ア)にほかならない。 5したがって、被告らは、GS硬化剤の製造販売以外の態様で、本件特許発明を実施していると認めることはできない。 (2) 前提事実(4)アのとおり、本件特許権の設定登録日である平成30年6月15日以降にGS硬化剤を製造販売しているのは、菱晃及び同社を承継した被告インフラテックであるから、その余の点について判断するまでもなく、原10告の被告三菱ケミカルに対する請求はいずれも理由がない。 3 争点1-2(GS硬化剤は本件特許発明3の技術的範囲に属するか)について本件特許発明3に係る特許請求の範囲の請求項の記載は、前提事実(2)イ(ウ)のとお に対する請求はいずれも理由がない。 3 争点1-2(GS硬化剤は本件特許発明3の技術的範囲に属するか)について本件特許発明3に係る特許請求の範囲の請求項の記載は、前提事実(2)イ(ウ)のとおりである。 15そして、GS硬化剤は、地盤安定化薬液用硬化剤であって、これを水に分散させて作成したB液と、珪酸アルカリ水溶液からなるA液とを混合して、地盤安定化薬液を作製するものであるとされているところ(乙1、2、4、6、7)、GS硬化剤が、珪酸アルカリ水溶液を含有する地盤安定化薬液であることを認めるに足りる証拠はない。 20したがって、GS硬化剤は、構成要件Jを充足すると認めることができないから、本件特許発明3の技術的範囲に属するものとはいえない。 4 争点2(本件特許は、特許法123条1項6号に基づき、特許無効審判により無効とされるべきものか)について(1) 前提事実及び後掲各証拠によれば、次の事実が認められる。 25ア GS硬化剤開発の経緯等30 (ア) 日東化学は、平成3年4月頃、薬液注入工法等に用いる土質安定剤の従来品であるエヌタイト-SGシリーズでは、無水石膏組成物、●(省略)●及び●(省略)●がそれぞれ別個に梱包されており、現場において混錬する際に煩雑であるとの理由から、●(省略)●水ガラス系土質安定剤の開発を行っていた(甲20、乙22・J-103)。 5(イ) 日東化学は、●(省略)●無水石膏組成物として、●(省略)●を使用していた。 ●(省略)●管理基準において定められている特性は次のとおりである。 pH ●(省略)●10ブレーン値(cm2/g) ●(省略)●(以上、乙11、13ないし17)イ 本件硬化剤発明の技術的意義 定められている特性は次のとおりである。 pH ●(省略)●10ブレーン値(cm2/g) ●(省略)●(以上、乙11、13ないし17)イ 本件硬化剤発明の技術的意義本件硬化剤発明は、水ガラスと混合し、薬液注入工法等に用いる土質安定剤として使用する、Ⅱ型無水石膏、●(省略)●、●(省略)●及び●15(省略)●からなる硬化剤に係る発明である(乙12、22)。 Ⅱ型無水石膏には、●(省略)●消石灰は、硬化性能を向上する目的で添加されており、その含有割合は●(省略)●して決定されている(乙22・J-103、104、図1ないし6)。 20界面活性剤は、粘度を低下させる目的で添加されており、その含有割合は、●(省略)●して決定されている(乙22・J-103、105、図7)。 消泡剤は、界面活性剤による発泡を防止する目的で添加されている(乙22・J-103、105)。 25(2) 本件特許発明と本件硬化剤発明との対比31 本件特許発明と本件硬化剤発明が同一であるか否かについて、以下、本件特許発明に係る構成要件ごとに検討する。 ア 構成要件A前提事実(3)イのとおり、本件硬化剤発明は、標準配合としてJIS3号水ガラス80リットルと水120リットルとを配合してなるA液を用いる5ものである。そして、本件明細書には、構成要件Aが定める「珪酸アルカリ」の例として、「JIS」「3号珪酸ソーダ」が記載されているから(【0019】。なお、水ガラスと珪酸ソーダ水溶液及び珪酸ナトリウム水溶液は同義である。)、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Aに係る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 10イ 構成要件B1本件硬化剤発明が規定するⅡ型無水石膏●(省 ある。)、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Aに係る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 10イ 構成要件B1本件硬化剤発明が規定するⅡ型無水石膏●(省略)●は、●(省略)●ところ、これは、前記(1)ア(イ)のとおり、●(省略)●であるから、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件B1に係る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 15ウ 構成要件B2(ア) 本件明細書には、構成要件B2が定める「アルカリ性物質((b)成分)」の例として、「カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等の化合物、及び該化合物の複塩またはセメント」が記載されており、これらを添加する目的として、20「無水石膏組成物の主原料であるフッ酸無水石膏中に遊離の硫酸が多量に存在するために、これを中和するために用いる」ということに加え、「硬化時間の調節と硬化体の強度の増強を図ること」が記載されている(【0012】)。 この点に関し、本件明細書には、「酸化カルシウム、水酸化カルシウム、25炭酸カルシウム」について、「中和量以上のアルカリ性物質を使用する場32 合は、」「大きな効力を発揮する」(【0014】)とされるとともに、「硬化促進増強剤」(【0017】)としても掲げられているのに対し、「水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の水溶性のアルカリ性物質」については、「フッ酸無水石膏中に含有する遊離の硫酸を中和する以上の多量を使用しても無駄となる」(【0012】)と5か、「水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム 量を使用しても無駄となる」(【0012】)と5か、「水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等は大きな効果が得られ難い」(【0014】)との記載がされている。これらの記載から、本件特許発明は、アルカリ性物質としてカルシウム塩を用いるか否かにより硬化性能の点10で差異があることを前提として、当該アルカリ性物質としてカルシウム塩以外のものを使用できる構成を含むものと理解できる。 (イ) これに対し、前記(1)ア(イ)のとおり、本件硬化剤発明が規定するⅡ型無水石膏●(省略)●は、pHが●(省略)●とされているところ、●(省略)●には、●(省略)●されていたことが認められるものの(乙1518・4枚目)、それ以外の物質が●(省略)●されていたことはうかがわれない。 また、平成3年10月度月報にも、●(省略)●アルカリ性物質として、●(省略)●以外の物質が利用可能であることは全く示されていない。 20(ウ) 以上によれば、本件特許発明は、構成要件B2のうち、●(省略)●アルカリ性物質として●(省略)●以外のものを含む構成を有する点において、本件硬化剤発明と相違するというべきである。 エ 構成要件B3(ア) 前記(1)ア(イ)のとおり、本件硬化剤発明が規定するⅡ型無水石膏●25(省略)●は、ブレーン法による比表面積が●(省略)●cm2/gとな33 るように粉砕・分級処理して得られた無水石膏であることが認められる(ブレーン法による比表面積を問題とする以上、粉砕、分級工程を経ていることは明らかである(本件明細書の段落【0014】参照))。したがって、本件特許発明と本件硬化剤発明は 石膏であることが認められる(ブレーン法による比表面積を問題とする以上、粉砕、分級工程を経ていることは明らかである(本件明細書の段落【0014】参照))。したがって、本件特許発明と本件硬化剤発明は、ブレーン法による比表面積●(省略)●であるとの点で、両者は相違している。 5(イ) 比表面積が大きくなるほど、含有成分相互の反応性が良くなる一方、粉砕コストが嵩み、粉砕物の取扱いが困難となることは技術常識であると認められる(本件明細書の段落【0014】、乙36)。そして、本件明細書上、「本発明で使用する無水石膏組成物の粒度は、ブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gのものを使用できる。好ま10しくは6500~8500cm2/gである。4500cm2/g未満は、強度が低くなるので好ましくない。」(【0014】)とされている一方で、「6500~8500cm2/g」を上回る比表面積を採用することの技術的意義は明らかでない。また、本件硬化剤発明が規定するブレーン法による比表面積についても、これを上回るような組成物を排除する目的15で定められたことを認めるに足りる証拠はない。 そうすると、本件特許発明においても、本件硬化剤発明においても、ブレーン法による比表面積の上限値は、特段の技術的意義を有しない形式的なものにすぎないというべきである。 (ウ) 以上によれば、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件B3に係20る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 オ 構成要件C(ア) 前提事実(3)アのとおり、本件硬化剤発明に係る硬化剤は、●(省略)●を含有するものであるから、●(省略)●と認められる。 これに対し、本件特許発明が規定する界面活性剤の含有量は、無水石25膏組 提事実(3)アのとおり、本件硬化剤発明に係る硬化剤は、●(省略)●を含有するものであるから、●(省略)●と認められる。 これに対し、本件特許発明が規定する界面活性剤の含有量は、無水石25膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、0.35以上34 1.25質量部以下とされている(構成要件C)。 そうすると、本件硬化剤発明の界面活性剤の含有量は、本件特許発明が規定する界面活性剤の含有量●(省略)●ものの、●(省略)●という点において、両者は相違しているということになる。 (イ) 前記(ア)の点について更に検討すると、平成3年4月度月報によれば、5本件硬化剤発明に係る硬化剤の開発に当たっては、●(省略)●これにより実用的な地盤安定化薬液用硬化剤として備えるべき性能を有しないことになると認めるに足りる証拠はない(前記(1)イのとおり、界面活性剤は、粘度を低下させる目的で添加されるものであるところ、●(省略)●)。 10また、従来品であるLAG用エヌタイト-SGにおいては、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対する界面活性剤の含有量が1.25質量部とされていたことが認められる(乙22の表1)。 以上によれば、本件硬化剤発明においても、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対する界面活性剤の含有量を少なくとも15●(省略)●ないし1.25質量部の範囲とする着想は既に具体化されており、本件硬化剤発明において●(省略)●とされたのは、●(省略)●して、●(省略)●した結果によるものと認められる。 そうすると、本件硬化剤発明において●(省略)●というべきであるから、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Cに係る構成を備え20るという点において一致するものと認められる。 カ る。 そうすると、本件硬化剤発明において●(省略)●というべきであるから、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Cに係る構成を備え20るという点において一致するものと認められる。 カ 構成要件D(ア) 前提事実(3)アのとおり、本件硬化剤発明は、●(省略)●と規定しているから、●(省略)●と認められる。しかし、平成3年4月度月報によれば、本件硬化剤発明に係る硬化剤の開発に当たり、消泡剤を添加し25ない場合と消泡剤を●(省略)●添加する場合について検討がされてい35 たと認められるものの(乙22)、それ以外の含有量について検討がされていたと認めるに足りる証拠はない。 消泡剤を添加する目的は、界面活性剤を添加した硬化剤液の表面や液中に多量の泡が生じるため、消泡する迄に長時間を要して作業性が悪くなったり、泡が生じたまま硬化することによる強度低下や硬化時間がば5らついたりすることを防止するためであると認められる(本件明細書の段落【0016】参照)。そして、消泡剤は、A液を硬化させるための成分ではないから、その含有量を増加させることは、むしろ硬化性能に悪影響を及ぼす可能性があるといえる。それにもかかわらず、平成3年4月度月報には、●(省略)●とした場合以外に、消泡剤の含有量を増減10させた場合の硬化性能等について検討した形跡は見当たらないから、本件硬化剤発明を確立させるに当たり、界面活性剤100質量部に対する消泡剤の含有量を0.51以上200質量部以下という広範囲にわたって変動させることについて検討がされていたと認めることはできない。 (イ) 以上によれば、本件特許発明は、構成要件Dのうち、消泡剤の含有量15を0.51以上200質量部以下とする構成を有する点において、本件硬化剤発明と相違す たと認めることはできない。 (イ) 以上によれば、本件特許発明は、構成要件Dのうち、消泡剤の含有量15を0.51以上200質量部以下とする構成を有する点において、本件硬化剤発明と相違するものと認められる。 キ 構成要件E前提事実(3)ア及びイ並びに前記(1)イのとおり、本件硬化剤発明は、硬化促進増強剤となる消石灰を含有すると規定しており、かつ、同発明に係20る硬化剤を水に分散させて地盤中に注入して使用するものであるから、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Eに係る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 ク 構成要件F前記(1)イのとおり、本件硬化剤発明は、地盤中で硬化させて地盤を安定25化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤に係る発明であるから、36 本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Fに係る構成を備えるという点において一致するものと認められる。 ケ 構成要件G前記ウ(イ)のとおり、本件硬化剤発明は、●(省略)●することを規定しているものの、●(省略)●アルカリ性物質として、●(省略)●以外の5物質を予定していることを認めるに足りる証拠はない。また、平成3年4月度月報及び同年10月度月報においても、●(省略)●アルカリ性物質として炭酸カルシウム以外の物質が利用可能であることは示されていない。 以上によれば、本件特許発明は、構成要件Gのうち、アルカリ性物質として、炭酸カルシウム以外のアルカリ性物質も含む構成を有する点におい10て、本件硬化剤発明と相違するものと認められる。 コ 構成要件H前記ウ、カ及びケのとおり、本件特許発明は、構成要件B2、D及びGにおいて、本件硬化剤発明と相違すると認められるから、構成要件Hにおいても、本件 と相違するものと認められる。 コ 構成要件H前記ウ、カ及びケのとおり、本件特許発明は、構成要件B2、D及びGにおいて、本件硬化剤発明と相違すると認められるから、構成要件Hにおいても、本件硬化剤発明と相違するものと認められる。 15サ 構成要件I前記ウ、カ、ケ及びコのとおり、本件特許発明は、構成要件B2、D、G及びHにおいて、本件硬化剤発明と相違すると認められるから、構成要件Iにおいても、本件硬化剤発明と相違するものと認められる。 シ 構成要件J20前提事実(3)イ及び前記(1)イのとおり、本件硬化剤発明は、薬液注入工法等に用いる土質安定剤として使用する硬化剤に係る発明であって、標準配合としてJIS3号水ガラス80リットルと水120リットルとを配合してなるA液と混合して使用するものであるから、当該硬化剤と珪酸アルカリ水溶液であるA液(前記ア)とを混合した地盤安定化薬液としての構25成も含むものと認められる。 37 したがって、本件特許発明と本件硬化剤発明は、構成要件Jに係る構成を備えるという点において一致する。 ス 小括以上によれば、本件硬化剤発明は、構成要件B2、D、G、H及びIにおいて、本件特許発明に包含されるものであって、両者はそれらの点で相5違するものと認められるから、本件特許発明と本件硬化剤発明が同一のものであるということはできない。 (3) 本件特許発明の発明者についてア 発明者とは、特許請求の範囲の記載に係る発明の構成のうち、従来技術に見られない課題解決手段を基礎づける部分を着想し、それを具体化して10完成させるための創作活動に寄与した者をいうと解すべきである。 そして、前記(2)のとおり、本件特許発明と本件硬化剤発明が同一のものであ 段を基礎づける部分を着想し、それを具体化して10完成させるための創作活動に寄与した者をいうと解すべきである。 そして、前記(2)のとおり、本件特許発明と本件硬化剤発明が同一のものであるということはできないところ、Bⅰ及びCⅰが、本件特許発明と本件硬化剤発明との相違点に係る構成を着想し、それを具体化して本件特許発明を完成させるための創作活動に寄与したと認めるに足りる証拠はなく、15本件全証拠によっても、両名が本件特許発明を発明したと認めることはできない。 したがって、本件特許発明の発明者がBⅰ及びCⅰであったとは認められない。 イ(ア) 被告らは、原告が、日東化学の研究所において、Bⅰ及びCⅰの上司20に当たる地位にあり、両名が完成させた本件硬化剤発明と同一の本件特許発明を同人らから直接又はその他の日東化学の書類や従業員を介して知得したにすぎないと主張する。 しかし、本件特許発明の発明者がBⅰ及びCⅰであったとは認められることができないのは、前記アにおいて説示したとおりである。 2538 確かに、原告は、遅くとも平成3年初め頃以降、日東化学の中央研究所の研究部長を務めており(前提事実(1)ア)、平成3年4月度月報及び同年10月度月報には、原告の姓を示す「Aⅰ」との印が押されていることが認められる(乙12、22)。そうすると、原告は、平成3年当時、Bⅰらによる本件硬化剤発明に係る報告内容を把握し得る立場にあったとは5いえるが、本件硬化剤発明は、複数の含有物を異なる割合で混合するというものであるから、上記各月報を一瞥しただけでその内容を完全に記憶することは必ずしも容易ではないと考えられる。そして、本件証拠上、原告が、上記各月報を具体的にどのような態様で閲読したのかは明らかでなく ものであるから、上記各月報を一瞥しただけでその内容を完全に記憶することは必ずしも容易ではないと考えられる。そして、本件証拠上、原告が、上記各月報を具体的にどのような態様で閲読したのかは明らかでなく、Bⅰらによる研究内容をどの程度具体的に把握していたのかも明らかでは10ない。 したがって、原告が本件特許発明をBⅰらから知得したと認めることはできない。 (イ) また、被告らは、本件特許発明は、本件硬化剤発明に関する日東化学の営業秘密●(省略)●を利用した発明であるから、原告は本件特許発明15について特許を受ける権利を有しないと主張する。 そこで検討すると、原告は、従前、日東化学及び三菱レイヨンにおいて、地盤安定化剤、床用石膏プラスター組成物の研究開発に携わっており、その過程で、自らが発明者又は研究従事者として、①珪酸ソーダ水溶液からなるA液と、石灰、Ⅱ型無水石膏及び界面活性剤の混合物の水20性スラリーからなるB液とを混合した薬液を地盤中に注入して硬化させる地盤安定化法(甲17)、②フッ酸副生無水石膏に、苛性カリ(水酸化カリウム)、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、消石灰、炭酸カルシウム等のアルカリ性物質を添加して中和すること(乙48、49)、③●(省略)●といった、本件特許発明を構成する具体的な技術事項を把握する25に至っていたと認められる。 39 しかし、上記①及び②に係る技術事項は、特許公報等により公開されているものであるし、本件証拠上、本件特許発明を構成するその余の技術事項が日東化学及び三菱レイヨンの営業秘密に属するものと認めることができないから、原告が、三菱レイヨンを退職した後に、公知の刊行物等を参照しつつ、日東化学及び三菱レイヨンの営業秘密に属しない技5術事項を組み合わせる レイヨンの営業秘密に属するものと認めることができないから、原告が、三菱レイヨンを退職した後に、公知の刊行物等を参照しつつ、日東化学及び三菱レイヨンの営業秘密に属しない技5術事項を組み合わせるなどして本件特許発明を着想し、それを具体化して本件特許発明を完成することができたとしても、直ちに不自然であるとはいえない。 (ウ) よって、被告らの前記各主張を採用することはできない。 (4) 小括10以上によれば、本件特許発明と本件硬化剤発明との相違点に係る構成について、原告以外の者が完成させたものであると認めることはできず、その余の事実関係に照らしても、本件特許が特許を受ける権利を有しない者の特許出願、すなわち冒認出願に対してされたものであるということはできない。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、被告らの冒認出願15を理由とする無効の抗弁を採用することはできない。また、被告三菱ケミカルの特許法74条1項に基づく本件特許権の移転請求も理由がない。 5 争点3(被告インフラテックは本件特許権について先使用による通常実施権を有するか)について(1) GS硬化剤と本件硬化剤発明に係る硬化剤とは、主たる物質として消石灰、20炭酸カルシウム及び無水石膏を含有し、主剤として珪酸ナトリウム水溶液を用いる組成となっている点や、消石灰、炭酸カルシウム及び無水石膏を予め混合した形となっているとの点で同一であること(前提事実(3)、(4)イ、前記4(1)イ、乙1、2、12)、日東化学は、平成3年10月度月報による報告がされた直後の同年11月からGS硬化剤を製造販売していたところ(前提25事実(4)ア、乙12)、他にGS硬化剤の直接の基礎となった発明の存在をう40 かがわせる事情がないことからすると、GS硬 た直後の同年11月からGS硬化剤を製造販売していたところ(前提25事実(4)ア、乙12)、他にGS硬化剤の直接の基礎となった発明の存在をう40 かがわせる事情がないことからすると、GS硬化剤は、本件硬化剤発明の実施に係るものと認めるのが相当である。そして、本件硬化剤発明は、遅くとも、GS硬化剤という具体的な製品が現実に製造された時点である平成3年11月までに完成していたものと認められる。 また、前提事実(4)アのとおり、菱晃及び被告インフラテックは、平成135年3月以降、日東化学及び三菱レイヨンからGS硬化剤を含む土質安定剤の製造販売に係る事業を譲り受け、それぞれGS硬化剤を製造販売していたというのであるから、菱晃は、本件特許の出願日である平成26年7月2日当時、日本国内において本件硬化剤発明の実施の事業をしていた者に当たる。 そして、GS硬化剤を含む土質安定剤の製造販売に係る事業を譲り受け、10これを製造販売していたとの事実からうかがわれる菱晃の目的及び被告インフラテックの目的(前提事実(1)ウ)に照らせば、本件硬化剤発明の実施が同社らの事業の目的の範囲内のものであることは明らかである。 (2) さらに、前記4(1)において説示した本件硬化剤発明がされた経緯に照らせば、日東化学は、職務発明である本件硬化剤発明を、発明者であるBⅰ及び15Cⅰから知得したと認められる。 これに対し、原告が本件特許を出願したのは、三菱レイヨンを退職した14年以上後であって、前記4(3)イのとおり、原告が日東化学及び三菱ケミカルを退職した後に本件特許発明を完成させた可能性が否定できないことからすると、被告らにおいて本件特許発明の内容を認識していなかったものと認20めるのが相当である。 (3) もっとも、前記4 ルを退職した後に本件特許発明を完成させた可能性が否定できないことからすると、被告らにおいて本件特許発明の内容を認識していなかったものと認20めるのが相当である。 (3) もっとも、前記4(1)及び(2)において説示したとおり、本件特許発明と本件硬化剤発明とは、その目的や各含有成分の種類及び量の点において技術的思想を共通にするものの、本件硬化剤発明は、構成要件B2、D、G、H及びIにおいて、本件特許発明に包含される関係にあり、本件特許発明の一部25を構成するものである。 41 そして、前提事実(4)アのとおり、GS硬化剤を含む土質安定剤の製造販売に関する事業は、日東化学から、三菱レイヨン、菱晃及び被告インフラテックに順次承継され、本件特許が設定登録された平成30年6月15日以降は、菱晃及び被告インフラテックがGS硬化剤を製造販売している。 そうすると、菱晃及び被告インフラテックは、本件特許発明のうち本件硬5化剤発明の範囲について先使用による通常実施権(特許法79条)を有するものと認められる。 (4) したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告インフラテックに対する請求はいずれも理由がない。 6 争点5(本訴提起による不法行為の成否)について10(1) 前記2及び5において説示したとおり、本訴に係る原告の請求はいずれも理由がない。 もっとも、法的紛争の当事者が紛争の解決を求めて訴えを提起することは、原則として正当な行為であり、訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、15法律的根拠を欠くものである上、提訴者が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起した 訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、15法律的根拠を欠くものである上、提訴者が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁昭和60年(オ)第122号同63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁、20最高裁平成7年(オ)第160号同11年4月22日第一小法廷判決・裁判集民事193号85頁、最高裁平成21年(受)第1539号同22年7月9日第二小法廷判決・裁判集民事234号207頁各参照)。 (2) これを本件についてみると、前記4(3)イにおいて説示したとおり、原告は、平成3年当時、平成3年4月度月報及び同月10月度月報により、Bⅰらに25よる本件硬化剤発明に係る報告内容を把握し得る立場にあったといえるもの42 の、Bⅰらによる研究内容をどの程度具体的に把握していたのかについては、本件証拠上明らかとはいえず、かえって、原告が、三菱レイヨンを退職した後に、公知の刊行物等を参照しつつ、かつて従事していた開発、研究業務等を通じて獲得した日東化学の営業秘密に属しない技術事項を組み合わせるなどして本件特許発明を着想し、それを具体化して本件特許発明を完成するこ5とができた可能性も否定できないから、本件特許に係る出願がいわゆる冒認出願であると断ずることはできない。 また、菱晃は、原告からの本訴事件に係る請求と同旨の特許料支払請求に対し、代理人である弁護士及び弁理士を通じて、平成30年7月18日付けの書面により、本件特許発明に関係し得るのは「エヌタイト」シリーズのご10く一部のグレードにすぎない上、日東化学は、当該グレードに 、代理人である弁護士及び弁理士を通じて、平成30年7月18日付けの書面により、本件特許発明に関係し得るのは「エヌタイト」シリーズのご10く一部のグレードにすぎない上、日東化学は、当該グレードについては、原告が日東化学に在職して「エヌタイト」シリーズの開発業務に従事している時から、事業として本件特許発明を実施しているため、同社から事業を承継した菱晃は、「先使用権の抗弁」を主張でき、原告に特許料を支払う義務がない旨を通知したことが認められる(甲3、乙35)。しかし、上記通知におい15て、「エヌタイト」シリーズのうち、どのグレードが本件特許発明に関係し得るのかや、どのグレードについて先使用による通常実施権を主張できるのかについては、具体的に特定されていなかったものである。 さらに、本件全証拠によっても、原告が、本訴において主張した特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権が事実的、法律的根拠を欠くことを知20っていたか、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて訴えを提起したと認めることはできない。 これらの事実関係に照らせば、原告による本訴提起について、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものということはできず、よって、被告らに対する違法な行為であるということはできない。 2543 (3) 以上によれば、原告による本訴提起が被告らに対する不法行為に当たるとはいえないから、その余の点について判断するまでもなく、被告らの原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求はいずれも理由がない。 第4 結論以上によれば、原告の本訴請求及び被告らの反訴請求は、いずれも理由がな5いから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官10 よれば、原告の本訴請求及び被告らの反訴請求は、いずれも理由がな5いから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官10 國 分 隆 文 裁判官15 間 明 宏 充 裁判官20 バ ヒ ス バ ラ ン 薫 44 別紙特許権目録 特許番号 特許第6350985号発明の名称 地盤安定化薬液用硬化剤および地盤安定化薬液5出願日 平成26年7月2日出願番号 特願2014-147190登録日 平成30年6月15日以上45 別紙被告製品目録 1 硬化剤が、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質(カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩の一種または二種以上)とを混合し、粉砕・分級処理して得られた無5水石膏組成物、硬化促進増強剤の消石灰、界面活性剤、消泡剤等を配合し、混合して調製した1剤系硬化剤。 エヌタイトGS系のエヌタイトGS、エヌタイトGSⅡの2銘柄及びニトロックGS1銘柄。 (1) エヌタイトGS10標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)80リットル水 残B液 200リットル15無水石膏組成物、硬化促進増強剤の消 主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)80リットル水 残B液 200リットル15無水石膏組成物、硬化促進増強剤の消石灰、界面活性剤、消泡剤の混合品19kg袋 3袋 57kg水 残(2) エヌタイトGSⅡ標準配合 400リットル20A液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)70リットル水 残B液 200リットル無水石膏組成物、硬化促進増強剤の消石灰、界面活性剤、消泡剤の混合25品19kg袋 3袋 57kg46 水 残(3) ニトロックGS標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 Na2O1モルに付きSⅰO23.8~4.2モルの割合で含む珪5酸ソーダ 特公昭58-56393に記載されている珪酸ソーダ 80リットル水 残B液 200リットル消石灰、無水石膏組成物、硬化促進増強剤、界面活性剤、消泡剤の混合10品の硬化剤19kg袋 3袋 57kg水 残 2 硬化剤が、フッ酸副生石膏とアルカリ性物質とを混合、粉砕・分級処理して得られた無水石膏組成物である硬化剤B、硬化促進増強剤が消石灰である硬化剤を15使用する2剤系の硬化剤に、界面活性剤、消泡剤等を配合する商品。 ポルトランドセメント無配合のエヌタイト-SG系は、エヌタイト-SG、エヌタイト-SGⅠ、エ 促進増強剤が消石灰である硬化剤を15使用する2剤系の硬化剤に、界面活性剤、消泡剤等を配合する商品。 ポルトランドセメント無配合のエヌタイト-SG系は、エヌタイト-SG、エヌタイト-SGⅠ、エヌタイト-SGⅡの3銘柄。 ポルトランドセメント配合のエヌタイト-SGP系は、エヌタイト-SGP、エヌタイト-SGP2の2銘柄。 20(1) ポルトランドセメント無配合系ア エヌタイト-SG標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)100リットル25水残47 B液 200リットル硬化剤A 消石灰 20kg袋 2袋 40kg硬化剤B 無水石膏組成物 20kg袋 2袋 40kg界面活性剤と消泡剤の混合品 1kg水残5イ エヌタイト-SGⅠ標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)100リットル水残10B液 200リットル硬化剤A 消石灰 20kg袋 2袋 40kg硬化剤B 無水石膏組成物 20kg袋 1袋 20kg界面活性剤と消泡剤の混合品 0.5kg水残15ウ エヌタイト-SGⅡ標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス) 80リットル水 残20B液 200リットル 00リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス) 80リットル水 残20B液 200リットル硬化剤A 消石灰 20kg袋 2袋 40kg硬化剤B 無水石膏組成物 20kg袋 2袋 20kg界面活性剤と消泡剤の混合品 1kg水 残25 48 (2) ポルトランドセメント配合系ア エヌタイト-SGP標準配合 400リットルA液 200リットル主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)100リットル5水 残B液 200リットル硬化剤A 消石灰 20kg袋 1袋 20kg硬化剤B 無水石膏組成物 20kg袋 1袋 20kg界面活性剤と消泡剤の混合品 1kg10ポルトランドセメント 80kg水 残イ エヌタイト-SGP2標準配合 400リットルA液 200リットル15主剤 珪酸ナトリウム(JIS3号水ガラス) 50リットル水 残B液 200リットル硬化剤A 消石灰 20kg袋 1袋 20kg硬化剤B 無水石膏組成物 20kg袋 1袋 20kg20界面活性剤と消泡剤の混合品 1kgポルトランドセメント 80kg水 残以上 g20界面活性剤と消泡剤の混合品 1kgポルトランドセメント 80kg水 残以上 2549 別紙対比表11 本件特許発明1構成要件 構成エヌタイトGS系ニトロックGSA珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、主剤けい酸ナトリウム(JIS3号水ガラス)主剤Na2O1モルに付きSⅰO23.8~4.2モルの割合で含む珪酸ソーダで特公昭58-56393に記載。 B1 B2 B3 フッ酸副生石膏((a)成分)と、フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、 混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で450フッ酸副生石膏 フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質(生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの1種または2種以上)を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で450フッ酸副生石膏 フッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質(生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの1種または2種以上)を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~150 C D E ムの1種または2種以上)を添加して、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~150 C D E F 0~15000cm2/g の無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、 地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤0~15000cm2/g の無水石膏組成物と、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、硬化促進増強剤((e)成分)の消石灰を混合して一剤系の硬化剤を調製し、この一剤系の硬化剤を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤5000cm2/g の無水石膏組成物と、無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と (c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、硬化促進増強剤((e)成分 )成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と (c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、硬化促進増強剤((e)成分)の消石灰を混合して一剤系の硬化剤を調製し、この一剤系の硬化剤を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤 51 2 本件特許発明2構成要件構成エヌタイトGS系ニトロックGSG H アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 アルカリ性物質がカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩 無水石膏組成物、アルカリ性物質、 硬化促進増強剤、界面活性剤から成る硬化剤。 アルカリ性物質がカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩 無水石膏組成物、アルカリ性物質、 硬化促進増強剤、界面活性剤から成る硬化剤。 3 本件特許発明3構成要件構成エヌタイトGS系ニトロックGSI 請求項1または2に記載の地盤安定化薬液用硬化剤と、 フッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合、粉砕・分級処理して得た無水石膏組成物、界面活性剤、消泡剤からなフッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合、粉砕・分級処理して得た無水石膏組成物、界面活性剤、消泡剤からなる地盤安定52 J 珪酸アルカリ水溶液とを含有す 泡剤からなフッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合、粉砕・分級処理して得た無水石膏組成物、界面活性剤、消泡剤からなる地盤安定52 J 珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 る地盤安定化薬液用硬化剤と主剤けい酸ナトリウム(JIS3号水ガラス) 化薬液用硬化剤と 主剤Na2O1モルに付きSⅰO23.8~4.2モルの割合で含む珪酸ソーダで特公昭58-56393に記載。 以上 53 別紙対比表21 本件特許発明1構成要件構成ポルトランドセメント無配合エヌタイト-SG系ポルトランドセメント配合エヌタイト-SGP系A 珪酸アルカリ水溶液からなるA液と、主剤一般名JIS3号水ガラス(水ガラス)主剤一般名JIS3号水ガラス(水ガラス)B1 B2 フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)を1種または2種以上を添加して、 フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)のカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩の1種または2種以上を添加して、 フッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)のカルシウムの酸化 ッ酸副生石膏((a)成分)とフッ酸副生石膏100質量部に対して、該フッ酸副生石膏に含有する遊離の硫酸を中和する量以上~500質量部以下のアルカリ性物質((b)成分)のカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩の1種または2種以上を添加して、 54 B3 C D E 混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物と、該無水石膏組成物と硬化促進増強剤の合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と (c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、必要に応じて硬化促進増強剤((e)成分)を水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物である硬化剤Bと、無水石膏組成物である硬化剤Bと無硬化促進増強剤が消石灰である硬化剤Aの合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、 硬化促進増強剤((e)成分)消石灰である硬化剤Aを水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物である硬化剤Bと、無水石膏組成物である硬化剤Bと硬化促進増強剤が消石 に注入し、混合、粉砕・分級処理して得たブレーン法に依る比表面積で4500~15000cm2/gの無水石膏組成物である硬化剤Bと、無水石膏組成物である硬化剤Bと硬化促進増強剤が消石灰である硬化剤Aの合計100質量部に対して、界面活性剤((c)成分)の含有量を0.35以上1.25質量部以下と、(c)成分100質量部に対して消泡剤((d)成分)の含有量を0.51以上200質量部以下を含有し、 硬化促進増強剤((e)成分)が消石灰である硬化剤Aを水に分散してなる水性スラリーのB液を地盤中に注入し、55 F 地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。 地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。 地盤中で硬化させて地盤を安定化させることを特徴とする地盤安定化薬液用硬化剤。 2 本件特許発明2構成要件構成ポルトランドセメント無配合エヌタイト-SG系ポルトランドセメント配合エヌタイト-SGP系G H アルカリ性物質がカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等からなる化合物、これら該化合物からなる複塩またはセメントである請求項1に記載の地盤安定化薬液用硬化剤。 アルカリ性物質がカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩。 ポルトランドセメント無配合の地盤安定化薬液用硬化剤。 アルカリ性物質がカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩。 ポルトランドセメント配合の地盤安定化薬液用硬化剤。 3 本件特許発明3構成要件構成 化薬液用硬化剤。 アルカリ性物質がカルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩。 ポルトランドセメント配合の地盤安定化薬液用硬化剤。 3 本件特許発明3構成要件構成56 ポルトランドセメント無配合エヌタイト-SG系ポルトランドセメント配合エヌタイト-SGP系I J請求項1または2に記載の地安定化薬液用硬化剤と 珪酸アルカリ水溶液とを含有する地盤安定化薬液。 水ガラス(珪酸ナトリウム)及びフッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合、粉砕・分級処理して得た 無水石膏組成物から成る硬化剤B、硬化促進増強剤が消石灰である硬化剤A、界面活性剤、消泡剤ら成る地盤安定化薬液用硬化剤と水ガラス(珪酸ナトリウム)水ガラス(珪酸ナトリム)及びフッ酸副生石膏とアルカリ性物質を混合、粉砕・分級処理して得た 無水石膏組成物から成る硬化剤B、硬化促進増強剤が消石灰である硬化剤A、界面活性剤、消泡剤、ポルトランドセメントから成る地盤安定化薬液用硬化剤と水ガラス(珪酸ナトリウム)以上
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