- 1 - 主 文 被告人を懲役12年に処する。 未決勾留日数中540日をその刑に算入する。 京都地方検察庁で保管中の果物ナイフ1本(同庁令和3年領1787 号符号1)を没収する。 理 由 【罪となるべき事実】 第1 (令和2年9月18日付け起訴状「京都の路上強盗事件」) 1 被告人は、帰宅途中のAから金品を強取する目的で、令和2年3月13日午 前3時40分頃、京都市内の歩道上において、同人(当時35歳)に対し、そ の背後から抱き付いて手でその口を塞ぎ、同人を路上に引き倒し、包丁様の刃 物をその顔に突き付け、「騒いだら顔刺すぞ」と言うなどの暴行脅迫を加え、 その反抗を抑圧した上、同人から同人所有又は管理の現金約9000円及びキ ャッシュカード等16点在中の手提げ鞄(時価合計約2万3000円相当)を 強取した。 2 被告人は、前記1の犯行により強取したキャッシュカードを使用して現金を 窃取しようと考え、同日午前4時21分頃、同市内のコンビニエンスストアB 店において、同所に設置された現金自動預払機に前記キャッシュカードを挿入 して同機を作動させ、株式会社C銀行お客さまサービス部長D管理の現金8万 3000円を引き出してこれを窃取した。 第2(令和2年7 月30日付け起訴状「マンション強盗事件」) 1 被告人は、帰宅途中のEから金品を強取しようと考え、令和2年4月13日 午後9時37分頃、京都市内のマンションのエレベーター内において、同人(当 時28歳)に対し、その背後から抱き付いて手でその口を塞ぎ、包丁様の刃物 をその腹部に突き付け、「動くな」「騒いだら殺すぞ」などと言うなどして、 同人に前記マンション同人方まで案内させ、その頃、同人から金品を強取する - 2 - 目的で、同人に解錠させた玄関扉から同人方に侵入した上、引き続き、同人方 だら殺すぞ」などと言うなどして、 同人に前記マンション同人方まで案内させ、その頃、同人から金品を強取する - 2 - 目的で、同人に解錠させた玄関扉から同人方に侵入した上、引き続き、同人方 玄関内において、同人に対し、前記包丁様の刃物をその胸元に近付け、「刺し といた方がよかったか」「殺されたいんか」「金出せ」「キャッシュカード出 せ」と言うなどの暴行脅迫を加え、その反抗を抑圧し、同人所有又は管理の現 金2万円及びキャッシュカード1枚を強取し、その際、前記暴行脅迫により、 同人に加療約15日間を要する両手切創の傷害を負わせた。 2 被告人は、前記第2、1の犯行により強取したキャッシュカードを使用して 現金を窃取しようと考え、同日午後9時59分頃、同市内のコンビニエンスス トアF店において、同所に設置された現金自動預払機に前記キャッシュカード を挿入して同機を作動させ、株式会社C銀行お客さまサービス部長D管理の現 金50万円を引き出してこれを窃取した。 第3(令和3年3月29日付け起訴状「横浜の路上強盗事件」) 1 被告人は、通行人から金品を強取しようと考え、令和2年4月19日午後7 時51分頃、横浜市内の路上において、Gに対し、背後からその口を右手で塞 ぎ、左手に持った果物ナイフ(刃体の長さ約9.7センチメートル。京都地検 令和3年領1787号符号1)を示しながら、「動くな。声を出すな。」と言 い、同人の顔面付近を拳で2回殴るなどの暴行脅迫を加え、その反抗を抑圧し た上、同人から手提げかばんを強取しようとしたが、同人に抵抗されたため、 その目的を遂げず、その際、同人に加療約17日間を要する左手切創等の傷害 を負わせた。 2 被告人は、業務その他正当な理由による場合でないのに、前記第3、1記載 の日時場所において、前記第3、1 記載の果物ナイフ1本を携帯し 、同人に加療約17日間を要する左手切創等の傷害 を負わせた。 2 被告人は、業務その他正当な理由による場合でないのに、前記第3、1記載 の日時場所において、前記第3、1 記載の果物ナイフ1本を携帯した。 第4(令和2年5月29日付け起訴状「コンビニ強盗事件」) 被告人は、現金を強取する目的で、令和2年5月7日午前2時24分頃、株 式会社HのCVS事業部部長Iが看守する京都市内のコンビニエンスストアJ 店に、同店南西出入口から侵入し、その頃、同所において、同店従業員Kに対 - 3 - し、持っていたナイフの刃を突き付け、「札を全部出せ」などと言い、同ナイ フで同人の両手を数回切り付けるなどの暴行脅迫を加え、同人の反抗を抑圧し て現金を強取しようとしたが、レジスターのキャッシュドロアーを開けられな かったためにその目的を遂げず、その際、前記暴行により、同人に加療約25 日間を要する右手背切創及び左手背切創等の傷害を負わせた。 【証拠の標目】 (略) 【累犯前科】 1 平成25年5月10日に東京地方裁判所立川支部で宣告 詐欺罪により懲役1年6月 平成28年8月11日刑の執行終了 2 平成29年2月14日に大津地方裁判所彦根支部で宣告 1の刑執行終了後に犯した詐欺罪により懲役2年10月 令和元年10月7日刑の執行終了 【法令の適用】 罰 条 第1の1 刑法236条1項 第1の2、第2の2 刑法235条 第2の1 住居侵入の点につき刑法130条前段 強盗致傷の点につき同法240条前段 第3の1 刑法240条前段 第3の2 銃砲刀剣類所持等取締法31条の18第2項 2号、22条 第4 盗致傷の点につき同法240条前段 第3の1 刑法240条前段 第3の2 銃砲刀剣類所持等取締法31条の18第2項 2号、22条 第4 建造物侵入の点につき刑法130条前段 強盗致傷の点につき同法240条前段 科刑上一罪の処理 - 4 - 第2の1 住居侵入と強盗致傷との間には手段結果の関 係があるので、刑法54条1項後段、10条 により1罪として重い強盗致傷罪の刑によ り処断する。 第4 建造物侵入と強盗致傷との間には手段結果の 関係があるので、刑法54条1項後段、10 条により1罪として重い強盗致傷罪の刑に より処断する。 刑 種 の 選 択 第2の1、第3の1、第4 いずれも有期懲役刑 第1の2、第2の2、第3の2 いずれも懲役刑 累 犯 加 重 いずれも刑法59条、56条1項、57条(3 犯の加重。第1の1、第2の1、第3の1、 第4につき同法14条2項の制限内で) 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(刑及 び犯情の最も重い第4の罪の刑に同法14 条2項の制限内で法定の加重) 未決勾留日数 刑法21条 没 収 刑法19条1項2号、2項本文 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書 【量刑の理由】 被告人は、約2か月の間に、強盗をするために、予め自宅からナイフ等の刃物を 持ち出し、一人歩きの女性を物色することを複数回繰り返す中で、強盗致傷3件及 び強盗1件等の犯行に及んでおり、常習的な犯行である。京都の路上強盗事件とマ ンション強盗事件では、刃物を示して現金やキャッシュカードを奪うだけでなく、 キャッシュカ 複数回繰り返す中で、強盗致傷3件及 び強盗1件等の犯行に及んでおり、常習的な犯行である。京都の路上強盗事件とマ ンション強盗事件では、刃物を示して現金やキャッシュカードを奪うだけでなく、 キャッシュカードを用いた窃盗を確実に行うべく、被害者の身分証明証を利用し、 - 5 - 暗証番号が違っていたら更に危害を加える旨脅迫するなどして、正しい暗証番号を 聞き出し、窃盗を遂げている。コンビニ強盗事件では、緊急事態宣言下で出歩く女 性がいなかったことからコンビニ強盗に変更し、現金を差し出さない被害者の両手 を複数回に渡って意図的に切り付けている。いずれの事件でも金員奪取に向けた強 固な犯意が認められる上、刃物を利用した危険性の高い犯行であり、特に刃物で意 図的に傷付けたコンビニ強盗事件は悪質である。また、マンション強盗事件では被 害者方に押し入り、横浜の路上強盗事件では、助けを呼ぶ被害者の頭を殴り付けて もいて、ナイフを示すことにとどまらない恐怖心を被害者に与えている。横浜の路 上強盗事件とコンビニ強盗事件の各被害者は、刃物による傷で後遺症や目立つ傷跡 を残しており、傷害結果を軽く見ることはできない。また、京都の路上強盗事件と マンション強盗事件については、当初から被害者の銀行預金等も狙った犯行である ところ、窃盗も含めた被害額は多額である。 被告人は、コンビニ強盗事件を除き十分な収入がある中で、遊興費欲しさから各 犯行に及んでいる。被告人は、他人の人生に自分という存在を刻み付けたいとの承 認欲求もあったなどと述べるが、いずれにしても身勝手な動機である。また、被告 人は、約15年前ではあるものの、刃物を用いた女性に対する強盗致傷という同種 前科を有する上、その後も服役を繰り返しながら、直近の刑執行終了から半年程度 で各犯行に及んでいる。前科の多くは金目当ての犯行であり、 15年前ではあるものの、刃物を用いた女性に対する強盗致傷という同種 前科を有する上、その後も服役を繰り返しながら、直近の刑執行終了から半年程度 で各犯行に及んでいる。前科の多くは金目当ての犯行であり、被告人が各犯行に及 んだことには、厳しい非難が妥当する。 以上を踏まえ、被告人がした罪の重さを検討すると、同種事案(刃物を用いた強 盗致傷の単独犯であって、処断罪と同種の罪の件数が2~4件の事案)の中で相当 重い部類といえる。 そして、再犯可能性についてみると、常習性や前科関係からすると、再犯のおそ れは低くない。もっとも、被告人は起訴後に罪を認め、自分のずれた価値観等を改 めたい旨述べるなど更生の意欲を示しており、このことは被告人に有利に考慮する ことができる。 - 6 - 以上より、被告人に対しては、主文の刑を科すのが相当であると判断した。 (求刑 懲役18年及び主文掲記の没収、弁護人の科刑意見 懲役8年) 令和4年7月20日 京都地方裁判所第3刑事部 裁判長裁判官 安 永 武 央 裁判官 村 川 主 和 裁判官 大 野 友 己
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