平成26(ワ)168 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年1月30日 津地方裁判所
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判決文本文33,492 文字)

平成29年1月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第168号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成28年9月5日 判決 主文 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して1512万2640円並びにこれに対する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して1554万5320円並びにこれに対する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告らは,原告Cに対し,連帯して1554万5320円並びにこれに対する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余は被告らの負担とする。 6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨被告らは,原告Aに対し,連帯して4598万2861円並びにこれに対 する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Bに対し,連帯して2495万7600円並びにこれ 被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Bに対し,連帯して2495万7600円並びにこれに対する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Cに対し,連帯して2495万7600円並びにこれに対する被告会社については平成24年5月15日から,被告D及び被告Eについては平成26年5月28日から,被告Fについては同月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被告会社の従業員であったG(平成24年5月15日死亡。以下「亡G」という。)の相続人である原告らが,被告会社が労働者の労働時間を適正に把握し,適正に管理する義務を怠り,亡Gを長時間労働等の過重な業務に従事させたため,亡Gが致死性不整脈により死亡したなどと主張して,被告会社に対し,不法行為による損害賠償として,亡G死亡時に被告会社の代表取締役であった被告D,被告E及び被告F(以下「被告代表者ら」という。)に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償として,原告Aは4598万2861円及びこれに対する遅延損害金,原告B及び原告Cはそれぞれ2495万7600円及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 2 請求原因 当事者等ア被告会社は,飲食店の経営等を業とする株式会社であり,三重県内でファー 2495万7600円及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 2 請求原因 当事者等ア被告会社は,飲食店の経営等を業とする株式会社であり,三重県内でファーストフード店ミスタードーナツ(以下「ミスタードーナツ」という。)等の店舗を経営している。 被告代表者らは,亡Gの死亡した平成24年5月15日当時,いずれも被告会社の代表取締役であった。 イ原告Aは,亡Gの配偶者であり,原告B及び原告Cは,亡Gの子である。 原告らは亡Gの相続人であり,法定相続分は,原告Aが2分の1,原告B及び原告Cは,それぞれ4分の1である。 亡Gの地位・業務内容等ア地位亡G(昭和37年4月7日生)は,昭和61年3月26日,被告会社に雇用され,平成24年5月15日に死亡するまで,被告会社のミスタードーナツにおいて,ドーナツの製造,販売及び店舗管理等の業務に従事した。 亡Gは,平成22年4月26日から,被告会社の店舗サービス事業部営業部MD課改善係課長代理(以下「課長代理」という。)兼ミスタードーナツ津サティショップ(現イオン津店。以下「イオン津店」という。)店長を務め,平成23年7月26日から,ミスタードーナツ津サンバレー店(以下「サンバレー店」という。)店長も兼務した。 イ業務内容亡Gの具体的な業務内容は,次のとおりであった。 ドーナツの製造午前6時に出勤後,午前9時の開店までの間に,最低20品目10トレーを準備し,売行きにより追加製造する。毎月10日間(5日間が2回),セール期間がある。 店舗管理アルバイトの勤務シフト作成,目標設定,部下の指導教育,売上管理及び原材料発注の業務をする。 課長代理としての業務三重県内にある9店舗の運営支援,店長のフォロー及び 。 店舗管理アルバイトの勤務シフト作成,目標設定,部下の指導教育,売上管理及び原材料発注の業務をする。 課長代理としての業務三重県内にある9店舗の運営支援,店長のフォロー及び店長不在時の代理等の業務をする。 ウ労働条件 所定労働時間a 1日8時間,1週間40時間b 所定始業時刻午前6時,所定終業時刻午後3時(所定休憩時間1時間) 所定休日週休2日制(日曜日及び1週1日の輪番制の休日) 亡Gの死亡亡Gは,平成24年5月15日午前5時30分頃,自宅から出勤するに当たり,自動車を運転していたが,同日午前7時頃,歩道の縁石に乗り上げた同車両の運転席内で心肺停止となっているところを発見された。 同日午前8時14分,三重大学医学部附属病院において,亡Gが致死性不整脈により死亡したことが確認された。 亡Gの死亡が業務によるものであることア長時間労働亡Gの死亡(発症)前1か月間から11か月間(平成23年6月20日から平成24年5月14日まで)の総労働時間数は,別紙1「労働時間」の「総労働時間数」欄記載のとおりであり,時間外労働時間数は,同「時間外労働時間数」欄記載のとおりであった。これは,亡Gが被告会社から支給され,時間管理に使われていたGPS機能付き携帯電話機(以下「G PS」という。)の記録に基づき計算したものである。このとおり,亡Gは,死亡前2か月間から6か月間以上にわたって,毎月120時間を超える時間外労働に従事し,恒常的な長時間労働になっていた。 イ業務の過重性亡Gは,①帰宅が午後10時頃になったり,店舗の体制等によっては,急に出勤する必要があり,休日になるかどうか を超える時間外労働に従事し,恒常的な長時間労働になっていた。 イ業務の過重性亡Gは,①帰宅が午後10時頃になったり,店舗の体制等によっては,急に出勤する必要があり,休日になるかどうかも前日までは分からないなど,不規則な勤務状況であったこと,②亡Gの死亡前1か月間から11か月間の拘束時間数は,別紙1「労働時間」の「拘束時間数」欄記載のとおりであり,拘束時間のうちの実労働時間数の占める割合が高いこと,③業務内容としても立ち仕事が多く,店長を務めるイオン津店及びサンバレー店の状況を把握するために2店舗を移動する必要もあり,精神的にも肉体的にも負担となっていたことから,著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労していたといえる。 ウ亡Gの既往症亡Gには心筋梗塞,1型糖尿病及び虚血性心筋症の既往症があり,心筋梗塞により,冠動脈バイパス術を受けたこともあった。 しかしながら,亡GのEF(左室駆出率。心臓のポンプ機能のこと。)値及びLVDd(左室拡張末期径)値は,良好な数値ないし基準値を若干上回る程度であり,平成23年5月2日受診の健康診断でも特別な異常は認められていなかったから,既往症の自然経過によって心臓疾患を発症させる寸前まで進行していたことはなかった。平成24年4月18日にEF値28%という数値が生じたのも,長時間労働による精神的・身体的負荷が原因であり,既往症の増悪ともいえない。 エ小括 以上のとおり,亡Gは,著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことで,致死性不整脈を発症して死亡したものであり,業務と死亡との間に因果関係がある。 被告会社の安全配慮義務違反-被告会社に対する請求ア安全配慮義務の発生被告会社は,亡Gの雇用主であるから して死亡したものであり,業務と死亡との間に因果関係がある。 被告会社の安全配慮義務違反-被告会社に対する請求ア安全配慮義務の発生被告会社は,亡Gの雇用主であるから,亡Gに対し,労働契約関係に基づく付随的義務として,亡Gの生命,身体及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っていた(労働契約法5条)。 具体的には,労働基準法及び労働安全衛生法の規定に照らして,使用者は,雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負う。その前提として,使用者には,労働者の労働時間を適正に把握する義務もある(厚生労働省労働基準局長「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」参照)。 イ安全配慮義務違反被告会社は,次のとおり,安全配慮義務を怠ったことで,亡Gを長期間の過重業務に就労させ,致死性不整脈により死亡させたから,亡G及び原告らに対し,不法行為による損害賠償責任を負う。 労働時間を把握する義務違反被告会社は,亡Gの勤務時間や勤務スケジュールを本人の裁量判断に任せており,亡Gの労働時間を把握していなかった。 長時間労働等による過重負担を放置したことによる義務違反被告会社は,亡GにGPSを持たせており,勤務時間を把握し得たにもかかわらず,漫然と長期にわたって,1か月120時間を超える時間外労働を放置した。 ⑹ 被告代表者らの任務懈怠行為-被告代表者らに対する請求被告代表者らは,被告会社に前記イの不法行為を行わせた任務懈怠行為があり,これについて悪意又は重大な過失があった。 したがって,被告代表者らは亡G及び原告 任務懈怠行為-被告代表者らに対する請求被告代表者らは,被告会社に前記イの不法行為を行わせた任務懈怠行為があり,これについて悪意又は重大な過失があった。 したがって,被告代表者らは亡G及び原告らに対し,会社法429条1項による損害賠償責任を負う。 ⑺ 損害ア亡Gの損害 逸失利益 4983万0403円亡Gの平成23年分の年収は631万4144円であった。したがって,死亡当時50歳であった亡Gの逸失利益は,次のとおり,4983万0403円(1円未満切捨て)である。 631万4144円(亡Gの年収)×0.7(生活費控除率0.3)×11.2741(労働能力喪失期間17年に相当するライプニッツ係数)=4983万0403円 慰謝料 3000万円亡Gの慰謝料としては,3000万円が相当である。 小計 7983万0403円 相続a 原告A 3991万5201円原告Aは,前記の2分の1である3991万5201円(1円未満切捨て)の亡Gの損害賠償請求権を相続した。 b 原告B及び原告C 各1995万7600円原告B及び原告Cは,前記の各4分の1である1995万7600円(1円未満切捨て)の亡Gの損害賠償請求権を相続した。 イ原告ら固有の損害 慰謝料 300万円 原告ら固有の慰謝料としては,各300万円が相当である。 葬儀・葬祭関係費 396万0760円原告Aは,葬儀・葬祭関係費として,合計396万0760円を負担した。 ウ損益相殺原告Aは,次のとおり,葬祭料及び遺族補償年金を受領した。 葬祭料 89万5080円遺族補償年金 399万8020円 6万0760円を負担した。 ウ損益相殺原告Aは,次のとおり,葬祭料及び遺族補償年金を受領した。 葬祭料 89万5080円遺族補償年金 399万8020円a 平成25年10月15日 319万8416円b 同年12月13日 39万9802円c 平成26年2月13日 39万9802円エ小計前記ア及びイを合算し,原告Aについて前記ウの金額を控除すると,原告らの損害は,次のとおりとなる。 原告A 4198万2861円(計算式:3991万5201円+300万円+396万0760円-89万5080円-399万8020円=4198万2861円)原告B及び原告C 各2295万7600円(計算式:1995万7600円+300万円=2295万7600円)オ弁護士費用原告Aにつき400万円,原告B及び原告Cにつき各200万円が相当である。 カ合計前記エ及びオを合算すると,原告らの損害は,次のとおりとなる。 原告A 4598万2861円原告B 2495万7600円 原告C 2495万7600円まとめよって,原告らは,被告会社に対しては不法行為による損害賠償として,被告代表者らに対しては会社法429条1項による損害賠償として,連帯して,ア原告Aにつき4598万2861円,イ原告Bにつき2495万7600円,ウ原告Cにつき2495万7600円,及びこれらに対する被告会社については不法行為の日である平成24年5月15日から,被告D,被告Eについては訴状送達の日の翌日である平成26年5月28日から,被告Fについては訴状送達の日の翌日である同月29日から各支払済み 社については不法行為の日である平成24年5月15日から,被告D,被告Eについては訴状送達の日の翌日である平成26年5月28日から,被告Fについては訴状送達の日の翌日である同月29日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 請求原因に対する認否等-被告ら 請求原因の事実は認める。ただし,被告会社の主たる業務は菓子類・デザート類の製造である。 請求原因についてア同アの事実は認める。ただし,亡Gは,平成24年4月26日,イオン津店及びサンバレー店店長の職を解かれており,同日以降,課長代理の職のみとなっていた。 イ同イの事実のうち,亡Gがイオン津店において,ドーナツの製造及び店舗管理を行っていたこと,平成24年4月26日以降,課長代理としての業務を開始したことは認め,その余は否認する。 ウ同ウの事実は否認する。後記4アのとおり,亡Gは管理監督者に当たるから,被告会社の就業規則上の労働条件は適用されない。 請求原因の事実のうち,亡Gが平成24年5月15日に車両を運転して いたこと,同日午前8時14分,三重大学医学部附属病院において,致死性不整脈による亡Gの死亡が確認されたことは認め,その余は不知。 請求原因についてア同アの事実のうち,別紙1「労働時間」の計算方法は知らず,その余は否認して争う。 イ同イの事実は否認して争う。 ウ同ウの事実のうち,亡Gには,心筋梗塞及び糖尿病の既往症があったこと,心筋梗塞により冠動脈バイパス術を受けたことがあったこと,平成23年5月2日受診の健康診断でも特別な異常は認められなかったこと,平成24年4月18日には亡GのEF値が28%であったことは認め,虚血性心筋症の既往症があったこと,既往症の自然経過によって心臓 成23年5月2日受診の健康診断でも特別な異常は認められなかったこと,平成24年4月18日には亡GのEF値が28%であったことは認め,虚血性心筋症の既往症があったこと,既往症の自然経過によって心臓疾患を発症させる寸前まで進行していたことはなかったことは知らず,その余は否認する。 請求原因についてア同アの主張は一般論としては認め,本件への適用は争う。 イ同イの事実のうち,被告会社が亡Gの勤務時間や勤務スケジュールを本人の裁量に委ねていたことは認め,その余は否認する。 同イの事実のうち,被告会社が亡GにGPSを持たせており,勤務時間を把握し得たことは認め,その余は否認する。 ⑹ 請求原因⑹の主張は争う。 ⑺ 請求原因⑺の事実は不知ないし争う。 4 被告らの主張 亡Gの死亡は業務によるものではないことア亡Gの労働時間GPSの記録には信用性がないこと 原告は,GPSの記録(甲18)に基づいて労働時間を計算している。 しかしながら,GPSによる出社及び退社の記録は,本人が入力して送信することにより記録されるから,必ずしも実際の業務の開始及び終了時刻を表すものではない。このことは,①上記記録のうち,パチンコ店と思料される場所で退社となっていたり,津競艇場と思料される場所に居た後に退社となっていたりすること(パチンコ店と思慮される「国23小野江」と記録されたのが12回,津競艇場と記録されたのが24回である。),②イオン津店の従業員出入口の定時の開錠時刻は午前5時30分である(ただし,事前申請をすれば午前5時に出勤することは可能である。)のに,これより早い出勤時間が記録されていることからも明らかである。 亡Gが漫然と在店していたことイオン津店の所 30分である(ただし,事前申請をすれば午前5時に出勤することは可能である。)のに,これより早い出勤時間が記録されていることからも明らかである。 亡Gが漫然と在店していたことイオン津店の所定の店長業務に要する時間は,通常期で平日7時間30分,土日9時間,セール期で平日9時間30分,土日10時間である。 したがって,亡Gは,午前6時に業務を開始すれば,通常期の平日は午後2時30分,土日は午後4時に,セール期の平日は午後4時30分,土日は午後5時には退店できる。これを踏まえて亡Gの労働時間を算出すると,実際の時間外労働時間数は,死亡前6か月間において1か月当たり80時間を超えることは一度もなかった。 亡Gの業務外行為GPSの記録によると,亡Gの退社時刻は,前記の退店時刻よりも相当遅い時刻となっているが,亡Gが漫然と在店していたことが窺われ,実質的な労働が伴っていなかったというほかない。 また,亡Gには,私的にドーナツを受注・製造したり,イオン津店の金員を横領し,これを隠蔽するために現金出納帳の管理等をするなどの業務外行為をしていた疑いがあり,このため,業務上の必要がないのに イオン津店に長時間滞在していたと考えられる。 イ亡Gの業務実質的な兼務ではなかったこと亡Gは,平成23年7月26日より,課長代理,イオン津店店長及びサンバレー店店長を兼務していた。 しかしながら,サンバレー店において,ドーナツの製造及び店舗管理を行っていたのは,被告会社の従業員であるHであり,亡Gは名目上の店長にすぎず,実質的な労働も伴っていなかった。 また,亡Gは,平成24年4月25日に店長職を解かれるまで,課長代理としての業務をほとんど行っていなかった。 したがって,平成23年7月26日から平成24年4月25 質的な労働も伴っていなかった。 また,亡Gは,平成24年4月25日に店長職を解かれるまで,課長代理としての業務をほとんど行っていなかった。 したがって,平成23年7月26日から平成24年4月25日までの間に亡Gが行っていた業務は,イオン津店の店長業務がほとんどであった。 肉体的精神的負担の大きい業務ではなかったこと亡Gは,イオン津店店長として,ドーナツの製造業務及びデスクワークを行っていたが,ドーナツの製造担当者は4,5名おり,分担して行えるものであるうえ,デスクワークは30分ないし1時間30分程度で済ますことのできる業務にすぎない。かえって,亡Gは,業務中に喫煙するため店外に行くなど作業を怠けていることがあり,手際良く作業を行おうとしなかった。また,亡Gに,不規則な勤務や交替制勤務・深夜勤務はなく,出張もなかったし,イオン津店に対するクレームはあまりなく,亡Gがクレーム対応に追われることもなかった。したがって,イオン津店の店長業務は,過重な業務ではない。 亡Gが死亡前の約1か月間に行っていた課長代理業務は,店長不在時の店長業務や,店長の教育・指導,人員配置や原材料調達等に関する店舗・店長間の調整等であるが,これも特に過重な業務ではない。 ウ亡Gの既往症 致死性不整脈の発症原因致死性不整脈は,誰にでも起こりうる一般的な死亡原因であるが,その発症原因となる危険因子は,高年齢,性別(男性の方が危険),突然死の家族歴,生活習慣(喫煙・食事等),高血圧症,糖尿病及び左室肥大等が挙げられる。特に,糖尿病の合併,EF値の低下及びLVDdの拡大の3要素が主要な原因であり,これらの危険因子を2つ以上有する者は,突然死の危険リスクが有意に高い。 病及び左室肥大等が挙げられる。特に,糖尿病の合併,EF値の低下及びLVDdの拡大の3要素が主要な原因であり,これらの危険因子を2つ以上有する者は,突然死の危険リスクが有意に高い。 また,心筋梗塞の既往症のある糖尿病罹患患者は,冠動脈疾患によって死亡する確率は,心筋梗塞の発症約10年目で約50%に上るとされている。 亡Gの有する危険因子亡G(死亡時50歳の男性)には,心筋梗塞(平成13年11月発症),脂質異常症,糖尿病及び高血圧症の基礎疾患があり,かつ,冠動脈バイパス術の施術歴及び心機能の低下等の心疾患があったうえ,EF値の低下(基準値60~80%のところ,平成24年4月18日時点で,28. 1%であった。),左室肥大(基準値40~55㎜のところ,平成24年3月5日時点で,63㎜であった。)が認められていた。また,亡Gの父は心臓病であった。 加えて,亡Gは,平成23年5月2日の定期健康診断において,「太りすぎ」と指摘されていたにもかかわらず,特に節制せず,禁止されている喫煙をするなど,自身の病気に無頓着で健康管理を怠っていた。 したがって,亡Gは,致死性不整脈の危険因子を全て有しており,亡Gの死因となった致死性不整脈は,これらの基礎疾患が最も有力な原因となって発症したものであるから,恒常的な長時間労働は基礎疾患より も相対的に有力な原因とはなっておらず,亡Gの死亡と業務に因果関係はない。 被告会社に安全配慮義務違反はないことア亡Gは管理監督者に当たること亡Gは,店長としてアルバイト従業員等の雇用について全面的に決定権限を有し,指導・監督を行い,従業員の勤務スケジュール等を自らの裁量判断で決定し管理する一方,自身の勤務時間については,被告会社にタイムカード等の時 てアルバイト従業員等の雇用について全面的に決定権限を有し,指導・監督を行い,従業員の勤務スケジュール等を自らの裁量判断で決定し管理する一方,自身の勤務時間については,被告会社にタイムカード等の時間管理をされることはなかった。したがって,亡Gは,労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあり,出退勤について厳格な規制を受けずに自己の勤務時間について自由裁量を有する者であって,管理監督者(労働基準法41条2号)あるいは管理監督者に準ずる者に該当する。 イ管理監督者に対する安全配慮義務管理監督者は,自己の裁量により業務遂行や時間配分を調整でき,自らの健康保持について自立的な管理が要請されるから,使用者は,管理監督者に対して労働時間を適正に把握すべき義務を負わない。 したがって,被告会社は,管理監督者である亡Gに対しては,労働安全衛生法上の定期健康診断の実施と本人の健康状態に関する申告を前提に安全配慮義務を負うにとどまる。 被告会社は,従業員に対し,年1回健康診断を実施し,また,健康に不安のある者が産業医に相談できる体制を採用し,従業員に周知していた。 しかし,被告会社は亡Gから体調不良や業務負担の軽減等を申告されたことはない。 したがって,被告会社に安全配慮義務違反はない。 損害についてア逸失利益 亡Gの素因からすれば,就労可能年数として考慮すべきは10年が限度である。これに従って計算すると,逸失利益は,次のとおり,3413万0474円(1円未満切上げ)となる。 631万4144円(亡Gの年収)×0.7×7.722(労働能力喪失期間10年に相当するライプニッツ係数)=3413万0474円イ慰謝料原告らの主張する慰謝料は高額に過ぎ 切上げ)となる。 631万4144円(亡Gの年収)×0.7×7.722(労働能力喪失期間10年に相当するライプニッツ係数)=3413万0474円イ慰謝料原告らの主張する慰謝料は高額に過ぎ,亡G及び原告らの固有分の慰謝料を合計しても,2800万円を超えることはない。 ウ葬儀・葬祭関係費本件と相当因果関係が認められる葬儀・葬祭関係費は,150万円が限度である。 エ合計以上の点を考慮すると,仮に,被告らの責任が認められるとしても,本件と相当因果関係のある損害は,合計6363万0474円である。 過失相殺-抗弁仮に被告らに責任が認められるとしても,亡Gの素因や亡G自身が危険性を招いたこと,被告会社において必要な安全配慮がなされていたこと等に鑑みれば,公平の観点から,過失相殺の規定が類推適用されるべきであり,亡Gの過失割合は8割を下らない。そうすると,被告らの負担する損害額は,認められた損害額の2割に止まる。 ⑸ 損益相殺-抗弁ア原告Aに対しては,平成25年7月29日に遺族補償年金(給付基礎日額1万4918円)の支給が決定されている。 本件口頭弁論終結時(平成28年9月5日)において,合計999万5050円の遺族補償年金が支給済みであると見込まれるから,過失相殺後の原告らの損害にこれを充当すべきである。 イ被告らは,労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)附則64条に基づき,遺族補償年金前払一時金の最高限度額である1491万8000円(給付基礎日額の1000日分。同法60条1項・2項)から亡Gの死亡日から支給決定日までの上記金額の法定利息90万1210円(441日分)を控除した金額1401万6790円を限度として,損害賠償の履行が猶予される。 本件にお 同法60条1項・2項)から亡Gの死亡日から支給決定日までの上記金額の法定利息90万1210円(441日分)を控除した金額1401万6790円を限度として,損害賠償の履行が猶予される。 本件においては,999万5050円は既に支給済みであるから,1401万6790円から支給済み分の金額を控除した402万1740円につき,支払が猶予される。 ウ原告らは葬祭料89万5080円を受領しているから,過失相殺後の葬儀・葬祭関係費に充当されるべきである。 5 抗弁に対する認否等-原告ら 過失相殺について被告らの主張の事実は否認する。 労働者の不注意等を過失相殺として考慮しうるとしても,それは,労働者が故意に使用者の指示に反する行為をとったとか,使用者が通常予見しうる範囲を超える特異な行動をとったような場合に限られるところ,本件ではそのような事情は認められない。 損益相殺についてア被告らの主張⑸の事実は否認ないし争う。 イ労災保険法附則64条で猶予又は免責の対象となるのは,事業主である被告会社に限られる。被告代表者らは対象とはならない。 ウ被告会社が猶予を主張することができるのは,前払一時金最高限度額1491万8000円から保険給付の最初の支払日である平成25年10月15日までの法定利息(1年154日分)を控除した1392万7791円である。 エ労災保険法附則64条は,権利阻止規定であるから,猶予される分については,遺族補償年金の受給権者である原告Aの遺族補償年金を受ける権利が消滅することを条件として支払を命じるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 補償年金を受ける権利が消滅することを条件として支払を命じるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 亡Gの経歴亡Gは,昭和61年3月26日付けで被告会社に雇用され,平成20年10月26日以降,次のとおり,被告会社の役職を務めた。(甲3,5,乙18,弁論の全趣旨)。 ア平成20年10月26日から平成22年4月25日までイオン津店店長イ平成22年4月26日から平成23年7月25日まで課長代理,イオン津店店長ウ平成23年7月26日から平成24年4月25日まで課長代理,イオン津店店長,サンバレー店店長エ平成24年4月26日以降課長代理 亡Gの業務内容等アイオン津店の店長業務等被告会社は,平成24年3月まで,イオン津店に正社員を2名(うち店長1名)配置していた。同店には,他にパート・アルバイト従業員が20数名所属していた。(乙5,証人I)イオン津店の営業時間は,午前9時から午後9時である(乙6)。 被告会社の正社員であるIは,平成21年3月頃から平成22年7月 頃の間,亡Gと共にイオン津店に勤めていた。また,平成24年4月からはイオン津店の店長を務めた。 Iが店長を務めていた際の勤務形態等は,次のとおりであり,亡Gが店長を務めていた際と特段変わるところはなかった。 a 店長業務の内容は,ドーナツの製造・販売の統括や従業員の労務管理,人員や原材料が不足した場合の各店舗間での協力・調整等である。 従業員の労務管理とは,店長及び全従業員の勤務スケジュールの決定,勤怠・勤務時間・休日の管理,パート従業員及びアルバイト従業員 労務管理,人員や原材料が不足した場合の各店舗間での協力・調整等である。 従業員の労務管理とは,店長及び全従業員の勤務スケジュールの決定,勤怠・勤務時間・休日の管理,パート従業員及びアルバイト従業員の募集・採用等である。パート従業員及びアルバイト従業員の募集・採用に当たっては,募集,採用及び労働条件等の決定を行う権限を有していた。一方,パート従業員及びアルバイト従業員の給与については,予算が決められており,本部との折衝が必要であった。 また,他店と比べるとイオン津店は,客からのクレーム対応が多かった。 店長業務の他には,ドーナツ製造について,フライヤー(ドーナツを揚げる作業)及びドーナツの材料の発注を担当していた。 b 通常,始業時刻は午前7時,終業時刻は午後4時(休憩1時間の8時間勤務)で,週休2日である。 GPSによる時間管理は,亡Gが課長代理を兼務していたために行われていたものであり,イオン津店店長のみであれば,各従業員と同様,自身でパソコンに入力して自主管理していた。 c 被告会社の指示により,毎月の前半と後半にそれぞれ平日3日間及び土日2日間の合計10日間のセールが開催されていた。この間は,午前5時に出勤し,午後4時ないし7時に退勤となり,実労働時間数が2ないし5時間増加した。 (以上につき,乙6,11,43,証人I) 亡Gは,平成21年3月頃から平成22年7月頃の間,午前6時(セールの日は午前5時)に出勤し,早いときは午後2時過ぎ,遅いときは午後7時過ぎに帰宅していた。亡Gは,いつも朝は一番早く出勤していたが,人を使うのが苦手な方で,自分一人で仕事をしてしまうところがあり,時間がかかることもあった。 亡Gは,正月と年1回自分の実家から頼まれた特注品を,夜中に泊まり込んで く出勤していたが,人を使うのが苦手な方で,自分一人で仕事をしてしまうところがあり,時間がかかることもあった。 亡Gは,正月と年1回自分の実家から頼まれた特注品を,夜中に泊まり込んで,ドーナツ製造をしていた。 (以上につき,乙6,8,9,11,43,証人I)イサンバレー店の店長業務亡Gは,平成23年7月26日から平成24年4月25日まで,サンバレー店店長を務めていた。同店の店長業務は,被告会社の従業員であるHが行っていた。これは,ミスタードーナツの店長となるためにはライセンスが必要であるところ,Hが取得していなかったため,亡Gを名目上店長とする必要があったためであった。(甲18,乙1,12,44,証人J)亡Gは,Hの先輩店長として,同店に立ち寄り,アドバイス等をすることがあった。また,サンバレー店のシフトを作成することもあった。(甲18,乙11,証人J)ウ課長代理の業務課長代理の業務は,各フランチャイズ店の店長の指導教育及び支援である。具体的には,店長の教育指導,店長不在時の代行,店舗間の人員調整等である。 亡Gは,平成24年5月9日以降,課長代理の業務として,サンバレー店の店長業務を行った。ただし,サンバレー店の売上規模はイオン津店よりも少ないため,業務量も少ない。 (以上につき,甲18,証人J)エ亡Gの賃金 亡Gは,平成24年1月26日から同年4月25日までの3か月の間,次のとおり,賃金を受給していた(甲4)。 平成24年1月26日から同年2月25日まで44万8390円(内訳:基本賃金33万9640円,役割手当6万円,家族手当1万5000円,通勤手当3万3750円) 平成24年2月26日から同年3月25 年2月25日まで44万8390円(内訳:基本賃金33万9640円,役割手当6万円,家族手当1万5000円,通勤手当3万3750円) 平成24年2月26日から同年3月25日まで45万3390円(内訳:基本賃金33万9640円,役割手当6万円,家族手当2万円,通勤手当3万3750円) 平成24年3月26日から同年4月25日まで45万4250円(内訳:基本賃金34万0500円,役割手当6万円,家族手当2万円,通勤手当3万3750円) 亡Gの労働時間等ア被告会社は,平成16年5月以降,原則は本社勤務だが,直接各店舗へ出勤するなど事業所間での移動が多い課長代理等の社員については,GPSを用いて労働時間を管理していた。亡Gは,課長代理を務めた平成22年4月26日以降,GPSによる労働時間管理の対象となった。(乙44,証人J)GPSによる労働時間管理は,本人が「出社」・「退社」等の項目を選択してデータ送信することにより行われている。また,午前8時から午後6時の間は,30分毎に定期検索が行われ,自動的にデータ送信もされる。 データ送信をした時点に居た場所については,「付近ランドマーク名」として記録されるが,その地名には誤差があり,イオン津店に居たとしても,津社会保険事務所と記録されることもある。(甲17,18,証人J)GPSにより記録された亡Gの労働時間については,亡Gの上司に当たるJほか1名が確認していた。Jは,亡Gの労働時間が長すぎるため,亡Gに労働時間を減らすように注意したことがあったが,出勤時間が早い理 由を聴取したのみで(亡Gの回答は,「朝が得意です」,「ラッシュに巻き込まれたくないから早く来ている」といったものであっ Gに労働時間を減らすように注意したことがあったが,出勤時間が早い理 由を聴取したのみで(亡Gの回答は,「朝が得意です」,「ラッシュに巻き込まれたくないから早く来ている」といったものであった。),退勤時間が遅い理由を特段聴取することはなかった。(乙12,証人J)イイオン津店の従業員出入口の定時の開錠時間は,午前5時30分であり,これより早く入店するには,前日までに指定書面(時間外作業届書)による事前申請が必要であった。亡Gは,平成23年6月から平成24年5月までの間,別紙2「早朝入店時刻」のうち,「5:00」と記録された日については事前申請をしていた。(甲30)ウサンバレー店の従業員出入口の定時の開錠時間は,午前4時30分であり,これよりも早く入店することはできなかった(甲31)。 エ四日市労働基準監督署は,亡Gの労働時間につき,GPSによる位置管理情報の記録(「出社」時刻と「退社」時刻)と,イオン津店の時間外作業届書等から労働時間を推計した。具体的には,始業時刻については,所定始業時刻又は時間外作業届書記載の時刻のいずれか早い方を採用して計算した。(甲11)推計された労働時間は,別紙3「労働時間集計表」(以下「別紙3」という。)のとおりである(甲19)。 亡Gの既往歴等ア亡Gは,平成13年11月12日から同月29日まで(計18日間),精査目的で伊勢赤十字病院(当時山田赤十字病院)に入院した。 同病院における診断の結果,主病名はうっ血性心不全(CHF)であり,他にも高血圧症(HTN),糖尿病(DM),睡眠時無呼吸症候群(OSAS),重度の動脈硬化性心疾患(severe ASHD)が認められた。家族歴として,父が経皮的冠動脈形成術(PTCA)を受けており,冠危険因子(心臓へ ),糖尿病(DM),睡眠時無呼吸症候群(OSAS),重度の動脈硬化性心疾患(severe ASHD)が認められた。家族歴として,父が経皮的冠動脈形成術(PTCA)を受けており,冠危険因子(心臓へ酸素を供給する冠動脈に,動脈硬化を起こす要因となるもの)として,糖尿病(DM),高血圧症(HTN),肥満(obesity),家族歴 (FH),喫煙(smoking)が認められた。その他,平成13年12月19日付け診断書(甲27)により虚血性心疾患と診断された。 亡Gは,平成14年2月12日,冠動脈バイパス術(CABG)を受けた。 (以上につき,甲11,27,乙20)イ亡Gは,平成22年頃までには,高脂血症及び陳旧性心筋梗塞の既往症を有していた(乙16)。 ウ亡Gは,平成23年5月2日,四日市社会保険病院健康管理センターにおいて,被告会社の定期健康診断を受診した。同診断の結果は,身体計測(身長174.4㎝,体重90.7㎏)につき太りすぎであること,胸部X線により軽度異常があるが心配はないこと,平成14年頃(当時40歳)から治療中であった高血圧症,糖尿病及び脂質異常症につき,現在の治療を続けるようにとのコメントが付されたほか,特別な異常を認めるものではなかった。(甲20)エ亡Gは,平成24年1月23日,背中の痛みが時々あると訴え,伊勢赤十字病院を受診した。同病院の医師は,同年3月又は4月に冠動脈造影(心臓カテーテル検査)を行うこととしたが,亡Gが仕事の都合上,日帰りでの検査でないと無理であるというので,三重ハートセンターを紹介した。 (甲11,27)亡Gは,同年4月18日,三重ハートセンターを受診し,検査を受けた。 その検査結果は,次のとおりである。(甲11,29) 3本のバイパス血管のうちRA- ーを紹介した。 (甲11,27)亡Gは,同年4月18日,三重ハートセンターを受診し,検査を受けた。 その検査結果は,次のとおりである。(甲11,29) 3本のバイパス血管のうちRA-HL(橈骨動脈-高位側壁枝),LITA-LAD(左内胸動脈-左前下行枝)についてはflow(流れ)もよく良好な開存が認められた。SVG-4PD(大伏在静脈グラフト-後下行枝)については開存しているが,静脈グラフト(バイパス術に使った血管が静脈であること)のため変性が認められ,局所的な50%狭 窄が認められるものの冠動脈形成術を要するまでの部位はなかった。 左室造影では,左室壁運動はびまん性に低下しており,severehypokinesis(重度の運動低下)を呈し,EF値28%と著明に低下を認めた。 オ EF値の基準値は50から80%であり,LVDd値の基準値は40から55㎜であるところ,平成13年11月12日から平成24年3月5日までの間に,伊勢赤十字病院にて計測された亡Gの各数値及び医師の所見は,次のとおりである(甲27,28)。 平成13年11月12日EF値36%,LVDd値60㎜〔左心室はびまん性に運動低下(diffusehypokinesis)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成14年1月8日EF値60%,LVDd値58㎜〔左心室の一部は軽度の運動低下(mildhypo)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 同年2月25日EF値66% 同年7月29日EF値65%,LVDd値55㎜〔左心室下部は重度の運動低下(severehypokinesis),エコー輝度亢進,軽度 同年2月25日EF値66% 同年7月29日EF値65%,LVDd値55㎜〔左心室下部は重度の運動低下(severehypokinesis),エコー輝度亢進,軽度の左心拡張を認める〕 平成15年1月6日EF値58%,LVDd値55㎜〔左心室下部はhypo菲薄化があるがViabilityは認める。軽度の左心拡張を認める〕 同年10月6日EF値55%,LVDd値55㎜〔左心室下部はhypo菲薄化があるがViabilityは認める。軽度の左心拡張を認める〕 平成16年6月14日EF値54%,LVDd値53㎜〔左心室下部はhypo菲薄化があるがViabilityは認める。軽度の左心拡張を認める〕 平成18年10月19日EF値58%,LVDd値55㎜〔左心室下部は軽度菲薄化が見られ運動低下(hypokinesis)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成19年9月3日EF値52%,LVDd値56㎜〔左心室下部は運動低下(hypo),菲薄化があるがViabilityは認める。 軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成20年4月21日EF値69%,LVDd値54㎜〔左心室下部は菲薄化し,運動低下(hypo)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成21年7月6日EF値65%,LVDd値58㎜〔左心室下部は菲薄化し,軽度の運動低下(mildhypo)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成23年1月17日EF値46.7%,LVDd値5 〔左心室下部は菲薄化し,軽度の運動低下(mildhypo)。軽度の左心拡張(milddilatation)を認める〕 平成23年1月17日EF値46.7%,LVDd値59㎜ 〔左心室下部は菲薄化し運動低下(hypokinesis)。軽度の左心拡張を認める〕 平成24年3月5日EF値54.1%,LVDd値63㎜〔左心室下部は菲薄化し重度の運動低下(severehypokinesis)。軽度の左心拡張を認める〕 亡Gの死亡等ア亡Gは,平成24年5月15日午前5時30分頃,自宅から出勤するに当たり,車両を運転していたが,同日午前7時頃,亡Gの運転する車両が歩道の縁石に乗り上げており,その運転席内で心肺停止となっているところを発見された(甲14,原告A本人)。 同日午前8時14分,三重大学医学部附属病院において,亡Gが致死性不整脈により死亡したことが確認された(甲13の1ないし3)。 イ三重大学医学部附属病院の医師は,冠動脈疾患の加療歴と亡Gの死因の関連は不明との所見を示した(乙28の2)。 2 請求原因ないしについて請求原因の事実は当事者間に争いがない。 ⑵ 請求原因の事実は,同ウの事実を除き,当事者間に概ね争いがないか,前記1アないしウのとおり認められる。請求原因ウの事実については,被告は,亡Gが管理監督者に当たるから,被告会社の就業規則に定める労働条件は適用されないと主張するが,後記4で検討する。 請求原因の事実は前記1⑸のとおり認められる。 3 請求原因(亡Gの死亡が業務によるものであること)について認定基準厚生労働省は,脳・心臓疾患の労災認定基準を定め,平成13年12月12日付け基発第1063 ⑸のとおり認められる。 3 請求原因(亡Gの死亡が業務によるものであること)について認定基準厚生労働省は,脳・心臓疾患の労災認定基準を定め,平成13年12月12日付け基発第1063号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因す るものを除く。)の認定基準について」(以下「認定基準」という。甲15)を発した。 これによれば,脳・心臓疾患(致死性不整脈を含む。)の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷の要因として,発症前の長期間にわたって,著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことが挙げられており,業務の過重性の具体的な評価に当たっては,労働時間,不規則な勤務,拘束時間の長い勤務,出張の多い業務,交替制勤務・深夜勤務,作業環境,精神的緊張を伴う業務という負荷要因を十分検討することとされている。 労働時間については,発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて,発症前2か月間ないし6か月間にわたって,1か月当たり概ね80時間を超える時間外労働(1週間当たり40時間を超えて労働した時間数)が認められる場合は,業務と発症との関連性が強いと評価できるとされている。 亡Gの労働時間ア基準となる労働時間前記1アのとおり,被告会社は,亡Gの労働時間をGPSにより管理していたところ,Jの供述によれば,亡Gは被告会社において管理監督者として扱われ,残業代の支給対象となっていなかったこと,そのため,亡Gが労働時間を過大に申告する利点はなかった(長時間労働が上司に対するアピールともならないことはJも認めるところである。)ことが認められる。また,イオン津店において亡Gと共に勤めていたKは,通常は午後3時,セールの日は午後5時には退勤していたところ,亡GがKよりも先に帰宅することはなかったと陳述 めるところである。)ことが認められる。また,イオン津店において亡Gと共に勤めていたKは,通常は午後3時,セールの日は午後5時には退勤していたところ,亡GがKよりも先に帰宅することはなかったと陳述しており(乙11),GPSの記録と概ね合致する。イオン津店において亡Gと共に勤めていたLは,午後5時30分に出勤した際に亡Gと一緒になることはあまりなかったと陳述する(乙8)が,前記1イのとおり,亡Gは,サンバレー店店長も兼務し,同店の実質的店長であるHの先輩店長としてサンバレー店に立ち寄るなど していたこと,店長として本部会議に出席していたこともあること(証人J)からすると,亡Gが「退社」と送信した時刻に,イオン津店に出勤したLと会っていないことはあり得る(実際に,発症前4か月のうち,平成24年1月16日,19日,26日,2月2日,5日,7日,9日,13日,14日,発症前3か月のうち,同月22日,28日,3月5日,8日,12日,13日については,亡Gが「退社」と送信した場所はイオン津店以外の場所である。甲18)。 したがって,亡Gの労働時間は,基本的にはGPSによる記録に基づいて推計された四日市労働基準監督署作成の別紙3を修正して認定する。 イ始業時刻について 前記1イのとおり,イオン津店の従業員出入口の定時の開錠時間は午前5時30分であり,これよりも早く入店することは可能であるが,その場合には前日までに書面による事前申請が必要であって,これを提出した場合には午前5時に入店することが可能である。そうすると,亡Gの同店における始業時刻については,GPSの「出社」時刻と定時の開錠時間である午前5時30分(書面による事前申請が提出された場合には午前5時)のいずれか遅い方を採用すべきである。 前記1ウのとおり, における始業時刻については,GPSの「出社」時刻と定時の開錠時間である午前5時30分(書面による事前申請が提出された場合には午前5時)のいずれか遅い方を採用すべきである。 前記1ウのとおり,サンバレー店の従業員用出入口の定時の開錠時間は午前4時30分である。証拠(甲18)によれば,亡Gは,平成24年4月29日,同月30日,同年5月1日,同月3日,同月9日ないし13日,サンバレー店に出勤したと認められる。 したがって,上記各日については,GPSの「出社」時刻と定時の開錠時間のいずれか遅い方を採用すべきである。 平成24年1月15日及び同年4月20日については,別紙3の始業時刻よりも,原告らは,遅い時間を主張するので,原告らの主張する時間を採用すべきである。 ウ終業時刻について別紙3によれば,平成23年11月24日の終業時刻は,午後7時50分とされている。しかしながら,GPSの記録によれば,同時刻の記録は,「国23小野江」とされており,亡Gの帰路の途中であると認められる(甲18,弁論の全趣旨)。これは,亡Gが退社の記録を忘れたために,帰路の途中で「退社」の記録を送信したものと認められるから,同日の終業時刻は,イオン津店付近の「津社会保険事務所」と記録された午後6時2分と認めるのが相当である。 別紙3によれば,平成23年12月15日の終業時刻は,午後7時36分とされている。しかしながら,GPSの記録によれば,同時刻の記録は,「国23津雲出本郷」とされており,亡Gの帰路の途中であると認められる(甲18,証人J)。これは,前記と同様,亡Gが退社の記録を忘れたために,帰路の途中で「退社」の記録を送信したものと認められるから,同日の終業時刻は,イオン津店付近の「津社会保険事務所」と記 れる(甲18,証人J)。これは,前記と同様,亡Gが退社の記録を忘れたために,帰路の途中で「退社」の記録を送信したものと認められるから,同日の終業時刻は,イオン津店付近の「津社会保険事務所」と記録された午後6時2分と認めるのが相当である。 エ泊まり込みについて別紙3によれば,亡Gは,平成23年12月31日,午前6時に出勤し,午後5時37分に退社した後,同日午後7時50分に出社し,翌日である平成24年1月1日午後1時23分まで就業したとされている。 証拠(乙11,証人I)によれば,イオン津店において,泊まり込みは可能であること,平成23年以前の元旦では,朝からドーナツを製造しても間に合わないため,深夜から製造していたことがあったこと,平成24年の元旦では,売上が落ちていたこともあり,深夜の製造をしないように被告会社が指示していたこと,亡Gはそれに従わず,深夜から製造していたことが認められる。このように亡Gが被告会社の指示に従わずに深夜製造をしたことに加え,亡Gが就寝を一度もせずにドーナツ製造し続けたと 認めるに足りる証拠はないことからすれば,平成23年12月31日の亡Gの労働時間は,イオン津店の閉店時刻である午後9時(前記1ア)からその片付け作業等に要すると認められる1時間後までを就業時間と認めるのが相当である。また,平成24年1月1日の始業時刻は,事前申請をした場合の開錠時刻である午前5時からの出勤であったと認めるのが相当である。 オまとめ以上の点を修正した亡Gの労働時間集計表は,別紙4「労働時間集計表(裁判所認定)」(以下「別紙4」という。)のとおりである(なお,別紙3と異なる認定した部分は網掛けとなっている)。 すなわち,亡Gの時間外労働時間数は,致死性不整脈の発症前1か月間 労働時間集計表(裁判所認定)」(以下「別紙4」という。)のとおりである(なお,別紙3と異なる認定した部分は網掛けとなっている)。 すなわち,亡Gの時間外労働時間数は,致死性不整脈の発症前1か月間に59時間57分であり,同2か月間の平均が93時間11分,同3か月間の平均が104時間10分,同4か月間の平均が112時間35分,同5か月間の平均が112時間02分,同6か月間の平均が112時間35分であることが認められる。 カ被告らは,①パチンコ店と思慮される「国23小野江」が12回,津競艇場が24回記録されていること,②イオン津店の従業員出入口の定時の開錠時刻午前5時30分(事前申請をした場合は午前5時)よりも早い出勤時間が記録されていることから,GPSの記録(甲18)に信用性はないと主張する。 しかしながら,平成23年11月17日から平成24年5月14日までの間では,パチンコ店と思慮される「国23小野江」が5回,津競艇場が9回記録されているにすぎず,亡Gが「出社」ないし「退社」を記録するまでの間に記録されたのは,平成23年11月24日のみであって,わずか1回の記録にすぎない。なお,前記ウのとおり,同日の退社時刻については,別紙4に考慮済みである。 また,証拠(甲18,30)によれば,亡Gがイオン津店の従業員出入口の定時の開錠時刻午前5時30分(事前申請をした場合は午前5時)よりも早い出勤時間を記録したのは,いずれも事前申請をした日時であって,その時刻も概ね午前4時30分以降であることが認められる。これは,亡Gが,出勤可能時間の30分程度前に同店の駐車場に着き,開錠までの間に出社を記録したものと認められる。実際の労働時間として考慮するのは相当でないとしても(別紙4のとおり,同日の出社時刻は午 れは,亡Gが,出勤可能時間の30分程度前に同店の駐車場に着き,開錠までの間に出社を記録したものと認められる。実際の労働時間として考慮するのは相当でないとしても(別紙4のとおり,同日の出社時刻は午前5時として認定した。),これをもって亡GがGPSの記録を不誠実に行っていたとは認められない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 キ被告らは,イオン津店の所定の店長業務に要する時間は概ね定まっているから,これを超えて勤務していた亡Gは漫然と在店しており,所定時間を超える時間については実質的な労働が伴っていなかったと主張する。 亡Gは,平成21年3月から平成22年7月までイオン津店店長のみを務めていた際,前記1アのとおり,セール期間中は午前5時に出勤し,午後7時過ぎに退社し,通常の期間は午前6時に出勤し,早くとも午後2時以降に退社していた。 しかし,前記1イのとおり,亡Gがサンバレー店店長を兼務してからは,Hの先輩店長として,サンバレー店に立ち寄り,アドバイス等をすることがあったなど,上記期間の頃に比べて業務量が増えたと認められる(Jは,このようなアドバイスは課長代理の業務ではないと供述するが,他方で課長代理の業務のメインは店長の教育だと相反する供述をしており,信用できない。)。加えて,前記1アのとおり,亡Gは,仕事ぶりは真面目であるものの,人を使うのが苦手で,自分一人でしてしまうところがあったため,その分時間がかかることもあった。 したがって,亡Gの勤務時間が増えた原因はこれらの事情にあると認め られ,亡Gが漫然と在店しており,所定時間を超える時間については実質的な労働が伴っていなかったと認めるに足りる証拠はないから,被告らの上記主張は採用できない。 ク被告らは,亡Gが漫然と在 られ,亡Gが漫然と在店しており,所定時間を超える時間については実質的な労働が伴っていなかったと認めるに足りる証拠はないから,被告らの上記主張は採用できない。 ク被告らは,亡Gが漫然と在店していた理由として,私的なドーナツの製造・受注や横領行為の隠蔽等を主張する。 しかしながら,イオン津店のパート従業員であるL(乙8),M(乙9)並びにIの陳述(乙7)及び供述によっても,亡Gが私的にドーナツの製造・受注をしたのは年に1回程度のことであり,前記エのとおり,労働時間の認定においても考慮している。また,上記陳述等によれば,レジの釣銭が合わないことがあったなどの状況があったこと等は認め得るが,亡Gがレジの釣銭を抜き取ったとか,これを隠蔽するために在店していたと認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 基準の適用前記1で認定した亡Gの業務内容からすると,業務内容自体が過重な業務であるとは認められないものの,前記のとおり,亡Gは,致死性不整脈の発症前2か月間ないし6か月間にわたって,1か月当たり平均80時間を超える時間外労働をしたと認められる。 したがって,亡Gの業務は,著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務と評価できるから,致死性不整脈の発症との関連性は強いと評価できる。 亡Gの既往症前記1ア及びイのとおり,亡Gには,虚血性心疾患,うっ血性心不全,高脂血症及び陳旧性心筋梗塞の既往症があり,冠動脈バイパス術の手術歴があった。また,亡Gには,冠危険性因子として,糖尿病,高血圧症,肥満,家族歴及び喫煙が存在した。さらに,亡Gの死亡1か月前である平成24年4月18日の三重ハートセンターでの左室造影検査によりEF値が28%と 測定された。 しかしながら,同 高血圧症,肥満,家族歴及び喫煙が存在した。さらに,亡Gの死亡1か月前である平成24年4月18日の三重ハートセンターでの左室造影検査によりEF値が28%と 測定された。 しかしながら,同ウのとおり,平成23年5月2日の定期健康診断において,高血圧症,糖尿病及び脂質異常症については治療を継続とされているほか特段再検査等の指示がなかった。また,同エのとおり,亡Gの死亡1か月前である平成24年4月18日の三重ハートセンターでの心臓カテーテル検査においては,3本のバイパス血管に冠動脈血管を形成するまでの部位は発見されなかった。そうすると,亡Gの既往症が,自然経過によって致死性不整脈を発症させるほど進行していたと窺わせるような事情は認められない。 また,基準値を大幅に下回るEF値が測定されている点については,平成24年4月18日時点において,別紙4のとおり,少なくとも約5か月間,亡Gは,平均月120時間以上の時間外労働を続けていたのであるから(原告の主張を加味すると,約10か月ほど平均月120時間以上の時間外労働を続けていたことになる。別紙1参照),既往症の影響よりも,むしろ長期かつ長時間の過重労働が強く影響していた可能性も高い。 したがって,亡Gの既往症は,自然経過によって致死性不整脈を発症させるほど進行していたとは認められない。 ⑸ 亡Gの死因三重ハートセンターにおいて亡Gを担当したN医師は,人間は,過労等により心身に負荷がかかると,カテコラミンという物質を分泌し,心臓や脳等に酸素やエネルギー供給の増加を促すので,心臓に対して負荷を強いることにより,不整脈を誘発する可能性が高くなるところ,基礎疾患のある亡Gが,長時間の時間外労働をすることは心身に対する負荷となり,心臓に影響を与え,通常の生活では出現しない致死性不整脈を 荷を強いることにより,不整脈を誘発する可能性が高くなるところ,基礎疾患のある亡Gが,長時間の時間外労働をすることは心身に対する負荷となり,心臓に影響を与え,通常の生活では出現しない致死性不整脈を発症した原因の1つである可能性があるとの見解を述べる(甲32)。 前記及びのとおり,亡Gが極めて長時間の労働に従事していたことからすると,前記の既往症が素因として影響を及ぼしてはいるものの,亡G は,長時間労働により心身に負荷がかかり,致死性不整脈を発症して死亡に至ったものであり,業務と死亡との間に因果関係を認めるのが相当である。 ⑹ 被告らの主張について被告らは,亡Gの有していた基礎疾患が最も有力な原因となって死亡に至ったと主張し,名古屋大学循環器内科O医師は,これに沿う意見書(乙30)を提出する。 まず,糖尿病,EF値の低下(45%以下),LVDdの拡大(60㎜以上)のいずれかの条件を満たす患者では,突然死のハザード比が有意に高いとされている(乙32)が,亡GのEF値及びLVDdの数値がこの条件を満たすのは,平成14年2月12日の冠動脈バイパス術以降,発症前3か月前である平成24年3月5日にLVDd値63㎜,発症前1か月前である同年4月18日にEF値28%を記録するほか,他に認められない(前記1オ。これらは,亡Gの時間外労働時間が認定基準を優に超える時期のものである。)。 また,前記1オのとおり,亡Gの左心室は冠動脈バイパス術後である平成14年7月29日以降,軽度の左心室拡張が認められ,左心室下部の壁運動は低下していたが,亡Gを診察したN医師は,他の心臓壁の運動は良好で,心臓の機能は全体的に保たれており,平成24年4月18日に冠動脈造影検査をした結果,亡Gの症状が極めて重篤であり,直ちに何らかの処置を取る ていたが,亡Gを診察したN医師は,他の心臓壁の運動は良好で,心臓の機能は全体的に保たれており,平成24年4月18日に冠動脈造影検査をした結果,亡Gの症状が極めて重篤であり,直ちに何らかの処置を取ることが必要であるとの結論に到らなかったと判断しており(甲32),これを覆すに足りる証拠はないから,亡Gの基礎疾患が憎悪していたと認めるには足りない。 O医師は,亡Gのように,心筋梗塞の既往があり,糖尿病を合併すると,7年間の経過で45%の患者が心筋梗塞を再発すると見解を述べるが,単なる可能性の指摘にすぎず,長時間の時間外労働の影響なしに亡Gが致死性不整脈を発症したと認めるには足りない。 また,O医師は,心筋梗塞の既往症のある糖尿病罹患患者は,冠動脈疾患によって死亡する確率は,心筋梗塞の発症約10年目で約50%に上るとも指摘するが,死亡する確率が上がることと亡Gの実際の基礎疾患の自然憎悪状況は必ずしも関連性を有せず,亡Gの既往症が自然経過によって致死性不整脈を発症させるほど進行していたとは認められないことは,前記で認定のとおりである。 以上のとおり,O医師の意見書によっても,亡Gの基礎疾患が最も有力な原因となって死亡に至ったとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 4 請求原因(被告会社の安全配慮義務違反)について 使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり,使用者に代わって労働者に対し,業務上の指揮監督を行う権限を有する者は使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきである(最高裁 うことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり,使用者に代わって労働者に対し,業務上の指揮監督を行う権限を有する者は使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきである(最高裁平成12年3月24日第2小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照)。 前記1アのとおり,亡Gの労働時間が長期にわたり長時間に及んでいるにもかかわらず,亡Gの上司であるJは,口頭聴取をしたのみで,具体的な改善策を講じなかったうえ,退勤時間が遅くなっている理由については特段の聴取すらしなかったことが認められる。そうすると,被告会社は,亡Gの労働時間が長期にわたり長時間に及んだ原因を特段分析もしておらず,また,亡Gの業務を軽減する措置を採っていないといわざるを得ない。かえって,Jは,後輩への指導は,後輩の指導を業務とする課長代理の業務ではなく単に亡Gが自主的に行ったものであると供述するなど,被告会社においては,個々の労働者に負担を掛ける業務態勢となっていたことが窺える。 したがって,被告会社が定期健康診断を実施したり(前記1ウ),口頭聴取をした(同ア)というだけでは,被告会社が安全配慮義務を尽くしたとはいえず,被告会社には安全配慮義務違反が認められる。 被告らは,亡Gが管理監督者であるか少なくともそれに準ずる立場であるから,前記の安全配慮義務は負わない旨主張するので検討する。 ア管理監督者について,労働基準法の労働時間等に関する規定の適用が除外される(同法41条2号)のは,管理監督者が経営者と一体的な立場にあり,同法所定の労働時間の枠を超えて事業活動をすることが要請されるような重要な職務と権限を付与され,一般の労働者と比し,賃金等の待遇や勤務態様につき,優遇措置が取られているので,労働時間等に関する規 ,同法所定の労働時間の枠を超えて事業活動をすることが要請されるような重要な職務と権限を付与され,一般の労働者と比し,賃金等の待遇や勤務態様につき,優遇措置が取られているので,労働時間等に関する規定を適用しなくても,当該労働者の保護に欠けるところがないという趣旨によるものと解される。 そこで,亡Gが管理監督者に当たるといえるためには,店長の名称だけでなく,①職務内容,権限及び責任に照らし,労務管理を含め,企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか,②その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か,③給与(基本給,役付手当等)等において,管理監督者にふさわしい待遇がされているか否かなどの点から判断すべきであるといえる。 イ前記1アによれば,イオン津店店長は,同店のパート従業員及びアルバイト従業員の募集,採用及び労働条件の決定等を含めて,被告会社における労務管理の一端を担っていることは否定できないものの,あくまでも同店舗内の労務管理にすぎず,経営者と一体的立場にあったとは言い難い。亡Gが,被告会社全体の事業経営に関する重要事項に関与していたと認めるに足りる証拠もない。 また,被告会社における店長業務については,セール時期も含めて,概ね所定の労働時間が定められており,亡Gは,概ね被告会社の定める所定 の労働時間よりも早い時間に出勤し,これよりも遅い時間に退勤していたのであるから,亡Gに出退勤を含む労働時間について自由裁量があったとは認められない。 さらに,前記1エのとおり,亡Gは,平成24年1月26日から同年4月25日の間,基本賃金に加え,役割手当等を受給し,平均月額45万2010円の賃金を受給していたが,役割手当は月6万にすぎず,別紙4のとおり,月100時間を超える時間外労働の 年1月26日から同年4月25日の間,基本賃金に加え,役割手当等を受給し,平均月額45万2010円の賃金を受給していたが,役割手当は月6万にすぎず,別紙4のとおり,月100時間を超える時間外労働の勤務実態を考慮すると,この程度の給与では労働基準法の労働時間等に関する規程の適用除外となる管理監督者に相応する待遇を受けていたとはいえない。 ウ以上のとおり,亡Gは,労働条件の決定その他労働管理について経営者と一体的な立場にあり,労働基準法所定の労働時間の枠を超えて事業活動をすることが要請されるような重要な職務と権限を付与されていたとはいえず,同法41条2号所定の管理監督者あるいはそれに準ずる立場に該当するとは認められないから,被告らの上記主張は採用できない。 5 請求原因⑹(被告代表者らの任務懈怠行為)について会社法429条1項にいう取締役の会社に対する善管注意義務は,会社の使用者としての立場から遵守されるべき被用者の安全配慮義務の履行に関する任務懈怠をも包含すると解するのが相当である。 証拠(甲10,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社は,平成25年2月時点で,正社員78名,パート・アルバイト従業員676名の合計754名の従業員を雇用していること,取締役は4名であり,そのうち代表取締役は,被告代表者ら3名であること,各店舗の運営は,正社員である各店舗の店長が行っていることが認められる。このような被告会社の規模・陣容,店長の職務内容に照らせば,正社員である亡Gに対して被告会社が負う安全配慮義務は,被告会社の代表取締役である被告代表者らの業務執行を通じて実現されるべきものであると認められる。 そして,前記1アによれば,亡Gの上司であるJは亡Gの労働時間を把握しているから,代表取締役である被告代表者らもJから報告を らの業務執行を通じて実現されるべきものであると認められる。 そして,前記1アによれば,亡Gの上司であるJは亡Gの労働時間を把握しているから,代表取締役である被告代表者らもJから報告を受けることで亡Gの労働時間及びその労務の過重性を認識し得たといえる。したがって,被告代表者らには,被告会社が適宜適切に安全配慮義務を履行できるように業務執行すべき注意義務を負担しながら,重大な過失によりこれを放置した任務懈怠があり,その結果,第三者である亡Gの死亡という結果を招いたから,被告代表者らも会社法429条1項に基づき,亡Gに対し,被告会社と同一の責任を負担するというのが相当である。 6 請求原因⑺(損害)について亡Gの損害ア逸失利益証拠(甲21)によれば,亡Gが死亡した前年(平成23年)分の年収額は631万4144円であるから,これを基礎収入とする。生活費控除率は30パーセントが相当であり,67歳までの就労可能年数17年(死亡当時50歳)に対するライプニッツ係数は11.2741である。これらに基づいて計算すると,次のとおり,4983万0403円(1円未満切捨て。以下も同じ。)となる。 631万4144円×0.7×11.2741=4983万0403円イ慰謝料亡Gの死亡当時の年齢,家族構成,死亡直前の稼働状況,その他本件に顕れた一切の事情を斟酌すれば,亡Gの死亡による精神的苦痛を慰謝するための金額としては,2700万円が相当である。 ウ小計 7683万0403円相続原告Aは,亡Gの妻であり,原告B及び原告Cは,亡Gの子らであるから,各法定相続分に応じて前記ウの損害賠償請求権を相続した。 原告らが相続した損害賠償請求権の額は,原告Aが3841万5201円[逸失利益249 ,原告B及び原告Cは,亡Gの子らであるから,各法定相続分に応じて前記ウの損害賠償請求権を相続した。 原告らが相続した損害賠償請求権の額は,原告Aが3841万5201円[逸失利益2491万5201円(4983万0403円の2分の1),慰謝料1350万円(2700万円の2分の1)],原告B及び原告Cが各1920万7600円[逸失利益各1245万7600円(4983万0403円の4分の1),慰謝料各675万円(2700万円の4分の1)]である。 原告ら固有の損害ア慰謝料本件に顕れた一切の事情を勘案すると,原告らが亡Gの死亡により受けた精神的苦痛に対する慰謝料は,各100万円が相当である(民法711条)。 イ葬儀・葬祭関係費証拠(甲22の1ないし13)によれば,原告Aは亡Gの葬儀・葬祭関係費として合計396万0760円を支出したことが認められるが,そのうち,150万円を被告らの安全配慮義務違反と因果関係がある損害と認めるのが相当である。 過失相殺-抗弁ア被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度等に照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,民法722条2項の規定を類推適用して,被害者の疾患をしんしゃくすることができる(最高裁平成4年6月25日第1小法廷判決・民集46巻4号400頁参照)。このことは,労災事故による損害賠償請求の場合においても,基本的に同様であると解される(最高裁平成20年3月27日第1小法廷判決・裁判集民事227号585頁)。 イ前記3⑸のとおり,亡Gが致死性不整脈により死亡したことについては, いても,基本的に同様であると解される(最高裁平成20年3月27日第1小法廷判決・裁判集民事227号585頁)。 イ前記3⑸のとおり,亡Gが致死性不整脈により死亡したことについては, 長時間労働により心身に負荷がかかったことが主たる原因と認められる。 しかしながら,兼務の解消により死亡1か月前の業務時間は軽減されていたこと(別紙4の発症前1か月を参照),亡Gが複数の冠危険因子を有していたこと(前記3),これら冠危険因子は業務と関連性がないこと,喫煙をやめるように指摘されていたのに亡Gが喫煙を続けていたこと(乙8,9,11,証人I,原告A本人),運動をするように指摘されていたのに亡Gが運動もせず肥満を解消することもなかったこと(甲20,27,29,乙18),亡Gが食事制限もせずに脂っこい食事や甘い飲料を日常的に摂取していたこと(乙8,9,証人I)からすると,被告会社及び被告代表者らに亡Gの死亡による損害の全部を賠償させることは,公平を失するものといわざるを得ない。 したがって,過失相殺の規定を類推適用して,前記及びの損害額から3割を控除すべきである。 ウ亡Gの過失割合3割を前記及びの損害額から控除すると,原告らの損害賠償請求権の額は,原告Aが2864万0640円(逸失利益1744万0640円,慰謝料1015万円,葬儀・葬祭関係費105万円),原告B及び原告Cが各1414万5320円(逸失利益872万0320円,慰謝料542万5000円)となる。 ⑸ 逸失利益に関する損益相殺-抗弁ア既払分について証拠(甲24,25)及び弁論の全趣旨によれば,原告Aは,遺族補償年金として999万5050円(平成25年10月から平成28年8月まで)の支給を受けたことが認められるので,原告Aが承継した亡Gの逸失 拠(甲24,25)及び弁論の全趣旨によれば,原告Aは,遺族補償年金として999万5050円(平成25年10月から平成28年8月まで)の支給を受けたことが認められるので,原告Aが承継した亡Gの逸失利益の損害の填補に充てられたと解するのが相当である。 イ支払猶予の抗弁について労災保険法附則64条1項は,労働者又はその遺族が障害補償年金若 しくは遺族補償年金又は障害年金若しくは遺族年金(以下「年金給付」という。)を受けるべき場合であって,同一の事由について,当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から民法その他の法律による損害賠償については,事業主は,当該労働者又はその遺族の年金給付を受ける権利が消滅するまでの間,その損害の発生時から当該年金給付にかかる前払一時金給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該前払一時金給付の最高限度額に相当する額となるべき額の限度で,その損害賠償の履行をしないことができ,また,前記猶予がされている場合に年金給付又は前払一時金給付の支給がなされた場合には,前記猶予額の限度で,その損害賠償の責めを免れることを定める。 よって,本件において,本件口頭弁論終結時にその支給が確定していない遺族補償年金について,損益相殺的な調整を図ることは認められないが,遺族補償年金前払一時金の最高限度額に相当する金額よりその損害の発生時から当該年金給付に係る前払一時金給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を差し引いた額(現実に年金給付又は前払一時金給付の支給が行われたか,又はその支給が確定したことにより損害賠償の責めを免れたときは,その免れた額を控除した額)については,労災保険法附則64条1項1号により,原告Aの遺族補償年金を受ける権利が消 付の支給が行われたか,又はその支給が確定したことにより損害賠償の責めを免れたときは,その免れた額を控除した額)については,労災保険法附則64条1項1号により,原告Aの遺族補償年金を受ける権利が消滅するまでの間,被告会社はその損害賠償の履行が猶予され,その後当該猶予額について遺族補償年金等として現実に支給がなされれば,当該猶予額の限度で被告はその損害賠償の責めを免れることとなる。 a 証拠(甲24)によれば,本件における遺族補償年金前払一時金の最高限度額は,給付基礎日額1万4918円の1000日分に相当する金額(1491万8000円)であると認められる。 b 労災保険法附則64条1項1号にいう「損害の発生時」は,亡Gの死亡時である平成24年5月15日であり,同号にいう「当該年金給付に係る前払一時金給付を受けるべき時」は,遺族補償給付の支給決定がされた平成25年7月26日であると認められる(甲24)。 c したがって,損害賠償の履行猶予が認められる額は,前払一時金の最高限度額である1491万8000円(前記a)から,損害の発生時から当該年金給付に係る前払一時金給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額(1491万8000円×438日÷365日×5%=89万5080円)を差し引いた1402万2920円となる。 d 前記アのとおり,本件口頭弁論終結時までに,原告Aが既に支給を受け,又は支給が確定した遺族補償年金は999万5050円であるから,前記1402万2920円からこれを差し引いた402万7870円について,被告会社はその履行の猶予を求めることができる。 そして,遺族補償年金によって填補される損害は,逸失利益のみであるから,原告Aが相続した逸失利益のうち,402万7870円については,その損害賠償の履行が猶予さ の履行の猶予を求めることができる。 そして,遺族補償年金によって填補される損害は,逸失利益のみであるから,原告Aが相続した逸失利益のうち,402万7870円については,その損害賠償の履行が猶予されることとなる。 原告らは,労災保険法附則64条により猶予される分については,原告Aが遺族補償年金を受ける権利が消滅することを条件として支払を命じるべきであると主張するが,独自の見解であって採用できない。 また,原告らは,被告代表者らは支払猶予の抗弁の対象とならないと主張するが,上記支払猶予の抗弁は,損害賠償請求権と労災保険の給付受給権の二重填補の調整規定であること,被告代表者らは被告会社と亡G及び原告らの有する損害賠償請求権を連帯負担することからすれば,被告代表者らについても,「事業主」に当たるとして,上記支払猶予の抗弁を認めるのが相当である。 ウまとめ 以上のことから,現時点において原告Aが相続した逸失利益1744万0640円のうち,被告らに対してその支払を求めることができる額は,損益相殺の対象となる999万5050円及び支払猶予の抗弁が認められる402万7870円を差し引いた341万7720円である。 ⑹ 葬祭料に関する損益相殺-抗弁証拠(甲23)によれば,原告Aは,亡Gの死亡を原因として,労災保険による葬祭料(保険給付一時金)として89万5080円を受給したから,これを原告Aの葬儀・葬祭関係費に係る損害額(105万円)から控除すべきである。同控除後の損害額は,15万4920円となる。 ⑺ 小計ア原告Aの請求にかかる損害額亡Gから相続した死亡逸失利益から,損益相殺的な調整がなされた後の残額 341万7720円亡Gから相続した死亡慰謝料 945万円原告A固有の損害 計ア原告Aの請求にかかる損害額亡Gから相続した死亡逸失利益から,損益相殺的な調整がなされた後の残額 341万7720円亡Gから相続した死亡慰謝料 945万円原告A固有の損害額a 慰謝料 70万円b 葬儀,葬祭費用(損益相殺後) 15万4920円 小計 1372万2640円イ原告B及び原告Cの請求にかかる各損害額亡Gから相続した死亡逸失利益 872万0320円亡Gから相続した死亡慰謝料 472万5000円原告B及び原告C固有の損害額 70万円 小計 1414万5320円弁護士費用本件事案の内容,訴訟の経過等一切の事情を考慮に入れると,被告らが負担すべき弁護士費用は,原告らそれぞれにつき各140万円とするのが相当 である。 合計以上によれば,被告らの負担する損害賠償請求額は,原告Aについて1512万2640円,原告B及び原告Cについてそれぞれ1554万5320円となる。 7 まとめよって,原告らは,被告会社に対しては不法行為による損害賠償請求として,被告代表者らに対しては会社法429条1項による損害賠償請求として,連帯して,⑴ 原告Aにつき1512万2640円,原告Bにつき1554万5320円,原告Cにつき1554万5320円,及びこれらに対する被告会社については不法行為の日である平成24年5月15日から,被告D,被告Eについては訴状送達の日の翌日である平成26年5月28日から,被告Fについては訴状送達の日の翌日である同月29日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり 主文 の翌日である同月29日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 理由 津地方裁判所民事部 裁判長裁判官岡田治 裁判官瀬戸さやか 裁判官大久保陽久

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