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主文 一、 第一審被告Aの控訴を棄却する。二、 同被告の控訴費用は同被告の負担とする。三、 第一審原告の控訴に基き、同原告と第一審被告Bとの間の原判決を次の通り変更する。(イ) 第一審被告Bは第一審原告に対し、別紙第一目録記載建物につき、Aより第一審原告に対し、神戸地方法務局昭和三七年八月二一日受付第一四二二八号所有権移転請求権保全仮登記(原因、同月二〇日代物弁済予約)に基き、昭和三九年二月五日代物弁済を原因とする所有権移転登記をすることを承諾せよ。(ロ) 第一審被告Bは第一審原告が右(イ)の本登記を経由したときは、第一審原告に対し、前項の建物を明渡し、かつ右本登記完了の時以降右明渡済に至るまで、一ケ月金一万円の割合による金員を支払え。(ハ) 第一審原告の第一審被告Bに対するその余の請求を棄却する。(ニ) 同被告と第一審原告間の訴訟間の訴訟費用は、第一、二審ともこれを同被告の負担とする。(ホ) 右(ロ)(ニ)項に限り第一審原告において金一〇万円の担保を供するときは、仮りに執行することができる。事実 第一審原告代理人は第一審被告Bに対する控訴につき、主文第三項(イ)(ニ)同旨及び第一審被告Bは第一審原告に対し別紙第一目録記載建物を明渡し、かつ昭和三九年二月一五日以降右明渡済まで一ケ月金一万円の割合の金員を支払えとの判決及び明渡及び金員支払部分につき仮執行の宣言を求め、第一審被告Aの控訴につき、主文第一、二項同旨の判決を求め、第一審被告A代理人は「第一審原告と第一審被告Aとの間の原判決中、第一審被告Aの敗訴部分を取消す。第一審原告の第一審被告Aに対する請求を棄却する。第一審原告の当審における新訴を却下する。訴訟費用は 第一審被告A代理人は「第一審原告と第一審被告Aとの間の原判決中、第一審被告Aの敗訴部分を取消す。第一審原告の第一審被告Aに対する請求を棄却する。第一審原告の当審における新訴を却下する。 項同旨の判決を求め、第一審被告A代理人は「第一審原告と第一審被告Aとの間の原判決中、第一審被告Aの敗訴部分を取消す。第一審原告の第一審被告Aに対する請求を棄却する。第一審原告の当審における新訴を却下する。訴訟費用は 第一審被告A代理人は「第一審原告と第一審被告Aとの間の原判決中、第一審被告Aの敗訴部分を取消す。第一審原告の第一審被告Aに対する請求を棄却する。第一審原告の当審における新訴を却下する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出援用認否は、第一審原告代理人において、第一審原告はかねてより第一審被告Aの夫Cより別紙第二目録記載の建物の一部を賃借して麻雀荘を経営していたところ、Cは昭和三七年一月頃金員に窮して第一審原告に対し金員借入又は右建物が自己の所有であるからとしてこれが買取方を懇請したので、同月一五日第一審原告はCに対しとりあえず貸金として金一〇〇万円を交付し、もし将来右建物の売買契約ができた場合にはその代金の一部とする旨双方諒承した。そして同年八月二〇日に右建物を代金三〇〇万円で買受ける契約が成立したので、前記貸金一〇〇万円の債権を右代金の内金に振替え充当し残金のうち金一〇〇万円を現実に支払つたものである。はじめ第一審原告が右建物を賃借した当時は、Cの言により、右建物が同人の所有物と信じていたものであるが、その後、右建物は競売により第三者の手に競落され、その者等よりC及びAに対し家屋明渡の訴訟が提起されて来たが、C等はなおも右建物が自己の所有であるとし、右競落人及びその承継人等に対し、神戸地方裁判所に和解無効等の訴訟を提起し、第一審では敗訴したが、大阪高等裁判所に控訴中で、必ず勝訴すると称して、第一審原告に対し右建物の買取方を求めたのであつたが、第一審原告はC等が敗訴してその所有権を否認される場合もあり得ると考え、右の場合には、右売買代金として授受された金二〇〇万円を返還すべきこと(形式上消費貸借の目的とし、弁済期昭和三九年八月一九日、無利息とした)を約せしめ、そ その所有権を否認される場合もあり得ると考え、右の場合には、右売買代金として授受された金二〇〇万円を返還すべきこと(形式上消費貸借の目的とし、弁済期昭和三九年八月一九日、無利息とした)を約せしめ、その債務の担保として、第一審原告から交付した金員でC、A等がその移転先として買入れた別紙第一目録記載の建物につき、抵当権の設定を為さしめると同時に、代物弁済予約の目的として仮登記を受けたものである。 め、そ その所有権を否認される場合もあり得ると考え、右の場合には、右売買代金として授受された金二〇〇万円を返還すべきこと(形式上消費貸借の目的とし、弁済期昭和三九年八月一九日、無利息とした)を約せしめ、その債務の担保として、第一審原告から交付した金員でC、A等がその移転先として買入れた別紙第一目録記載の建物につき、抵当権の設定を為さしめると同時に、代物弁済予約の目的として仮登記を受けたものである。そして又、右第一目録記載建物は、右の担保の目的物として提供を受けたものであるから、第一審原告は右建物の所有名義人となつた第一審被告Aに対し、右物件に対する賃貸借その他その担保価値を減少すべき権利を設定することを禁止し、これに違反したときは、前記訴訟の勝敗の如何に拘らず担保権を実行し、代物弁済予約を完結し得ることを約定した。ところが第一審被告Aは、前記売買契約より約七日後の昭和三七年八月二七日に第一審被告Bとの間に、右第一目録建物につき賃貸借、抵当権設定、代物弁済予約をなし、これに基く各登記、仮登記を為したのみならず、Bは原審被告Dに転貸し、同人に占有せしめるに至り、第一審原告とのさきの特約に違反したので、第一審原告は同年一一月一九日付書面により、同第一審被告に対し、代物弁済予約完結の意思表示を為したものである。その後昭和三八年四月五日に至り、前記訴訟は第一審被告A及びC等の敗訴に確定し、この理由により第一審原告に対する金二〇〇万円の返還義務の弁済期が到来したので、本訴において改めて代物弁済予約を完結したものである。第一審被告Bは第一目録建物の賃借人であり、転借人Dの手により間接に占有するものであるから、明渡並びに損害金の支払を請求する。また同第一審被告に対しては、原審における抹消登記の請求に代え、第一審被告Aから第一審原告への所有権移転登記に対する 借人Dの手により間接に占有するものであるから、明渡並びに損害金の支払を請求する。また同第一審被告に対しては、原審における抹消登記の請求に代え、第一審被告Aから第一審原告への所有権移転登記に対する同意の請求をするものである。と述べ、証拠として当審における第一審原告本人尋問の結果を援用し、第一審被告A代理人において、第一審原告の原審における請求は、第一審原告と第一審被告A及びCとの間の貸金二〇〇万円の代物弁済予約を原因とするものであつたところ、当審において、第一審原告は、Cが第二目録記載建物を自己の所有物でないのに拘らず、右の事実を秘して第一審原告との間に代金三〇〇万円で売買契約を結び、その後右建物が訴訟中の物件でCの所有でないことが判明したので、実質的には第一目録建物を担保とした右物件につき代物弁済予約をしたことを原因として本訴請求を為すのは、全く新たな請求原因であるから、訴の変更として許されないが故に却下を求める。 のであつたところ、当審において、第一審原告は、Cが第二目録記載建物を自己の所有物でないのに拘らず、右の事実を秘して第一審原告との間に代金三〇〇万円で売買契約を結び、その後右建物が訴訟中の物件でCの所有でないことが判明したので、実質的には第一目録建物を担保とした右物件につき代物弁済予約をしたことを原因として本訴請求を為すのは、全く新たな請求原因であるから、訴の変更として許されないが故に却下を求める。第一審原告は、第二目録建物を賃借した当時から右建物の所有権の帰属につき訴訟が係属中であることを知つており、訴訟の勝敗がいずれになろうともC、A等が右家屋より立退くときは、同人等に金三〇〇万円を立退料として贈与することを約したものである。その理由は、第一審原告が右建物につき前記訴訟が係属中のため、右建物の敷地を時価よりも著しく廉価に買入れることができ、右立退料支払の約定成立当時には、その敷地時価は買受価格の七、八倍以上に騰貴して第一審原告は莫大な利益を得ていたのと、なお第一審原告は右建物で麻雀荘を営みながら警察署に対する表面上の営業人はAの娘Eとし、所得税も甚だしく軽減せられていた事情があつたからである。右金員の返還義務の担保のための代物弁済予約の成立は否認する。と述べ、証拠として当審証人Cの証言を援用し、甲第二、三号 の営業人はAの娘Eとし、所得税も甚だしく軽減せられていた事情があつたからである。右金員の返還義務の担保のための代物弁済予約の成立は否認する。と述べ、証拠として当審証人Cの証言を援用し、甲第二、三号証はいずれもその中官署作成部分のみ成立を認め、第一審被告A名下の印影及びその余の部分の成立は否認する。第四号証は、官署作成部分の成立を認め、その余の部分は不知、と述べたほか原判決事実摘示と同一(但し、原判決四枚目表末行に「八月二日」とあるを「八月二〇日」と訂正)であるから、これを引用する。理由 先ず第一審原告の第一審被告Aに対する請求につき判断する。成立に争のない甲第一号証、乙第一号証、第一審原告本人の供述(当審)により、A名義部分は同人が作成し、C名義部分はAが代つて作成したと認められる甲第五号証、右乙第一号証中のA名下印影の存在と第一審原告本人の供述(当審)とにより真正の成立を認められる甲第二、三号証(但し、官署作成部分は成立に争なきもの)、証人Fの証言、第一審原告本人尋問の結果(原審、当審)と第一審被告A本人尋問の結果(原審)の一部を綜合すると、第一審原告は昭和三七年八月二〇日第一審被告A及びその夫C(代理人A)との間に、当時第一審原告がその一部を賃借中であつた別紙第二目録記載建物をCより代金三〇〇万円を以て買受けることとし、右内金一〇〇万円は、さきに同年一月一五日に貸金名義で授受されていた金一〇〇万円の債権を振替え充当し、内金一〇〇万円は右同日に交付し、残金一〇〇万円は右物件に関し、右C、第一審被告A等が訴外西播金融株式会社等に対し、右物件に関する右Cの所有権を主張して提起していた和解無効確認等の訴訟において、Cの勝訴が確定したときに支払うことと定めるとともに、もし右訴訟においてCが敗訴したときは、右売 ることとし、右内金一〇〇万円は、さきに同年一月一五日に貸金名義で授受されていた金一〇〇万円の債権を振替え充当し、内金一〇〇万円は右同日に交付し、残金一〇〇万円は右物件に関し、右C、第一審被告A等が訴外西播金融株式会社等に対し、右物件に関する右Cの所有権を主張して提起していた和解無効確認等の訴訟において、Cの勝訴が確定したときに支払うことと定めるとともに、もし右訴訟においてCが敗訴したときは、右売 金融株式会社等に対し、右物件に関する右Cの所有権を主張して提起していた和解無効確認等の訴訟において、Cの勝訴が確定したときに支払うことと定めるとともに、もし右訴訟においてCが敗訴したときは、右売買は無効となるものとして、右売買代金として授受された金二〇〇万円はCにおいて第一審原告へ直ちに返還すべきものとし、右返還義務を担保するため、第一審被告Aの所有する別紙第一目録記載建物につき第一審原告を権利者として、債権額二〇〇万円、弁済期を昭和三九年八月一九日(形式上消費貸借債務)とする抵当権を設定し、かつ代物弁済予約を為し、同月二一日右抵当権設定登記及び右予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記を経由したことが認められ、右認定に反する当審証人Cの証言及び第一審被告A本人の供述部分は、右各証拠に対比して措信するに足らず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。第一審被告Aは、右売買代金と称する金三〇〇万円は立退料としての贈与金であつて、訴訟の勝敗の如何に拘らず既払金二〇〇万円の返還義務はなく、従つて右の代物弁済予約は通謀虚偽表示で無効であると主張するけれども、右金員が立退料としての贈与金であるとする当審証人Cの証言、第一審被告Aの供述(原審)は、いずれも前掲各証拠によつて認められる前認定事実と明らかに矛盾して到底措信し難い。尤も第一審原告本人の供述(当審)によれば、右売買代金の一部に振替えられた最初の貸金一〇〇円万は、無利息であるのみならず、期限の定めも明らかでなく、かつ右貸与の代償として第一審原告は別紙第二目録記載建物のうち、さきの賃借部分に加え、新たに三階の二室を借受ける約が成立したことが認められるから、右貸金には若干権利金的な意味が含まれていたことは考えられぬ訳ではないが、右貸金を本件売買代金に振替えることをCやAにおいて承諾し、しかも 新たに三階の二室を借受ける約が成立したことが認められるから、右貸金には若干権利金的な意味が含まれていたことは考えられぬ訳ではないが、右貸金を本件売買代金に振替えることをCやAにおいて承諾し、しかも売買不成立の場合にこれが返還を約した事実に徴すると、右貸金が返還を要しない趣旨の完全な権利金又は立退料の性質を有したものとは到底認め難く、その余の残金二〇〇万円についでも、これが単純な立退料であること、これらの返還義務に関する約定及びその担保契約がすべて仮装のものであることについては、これを確認するに足る証拠(前掲措信し難いCの証言、A本人の供述を除く)は存在しない。 をCやAにおいて承諾し、しかも売買不成立の場合にこれが返還を約した事実に徴すると、右貸金が返還を要しない趣旨の完全な権利金又は立退料の性質を有したものとは到底認め難く、その余の残金二〇〇万円についでも、これが単純な立退料であること、これらの返還義務に関する約定及びその担保契約がすべて仮装のものであることについては、これを確認するに足る証拠(前掲措信し難いCの証言、A本人の供述を除く)は存在しない。よつて、本件代物弁済予約を仮装無効とする第一審被告Aの主張は採用に由がない。なお、第一審被告Aは、右売買契約とその不成立の場合の返還義務を原因とする請求は、原審における貸金を原因とする請求とは全く請求原因を異にし、不当な訴の変更として許されない旨抗弁するけれども、右の売買契約に基く主張は、第一審原告が夙に原審において為しているところでもあり、また、第一審原告の主張の全趣旨によれば、第一審原告が当初(訴状において)主張した貸金契約は、右売買契約の際に、売買不成立の場合の代金返還義務を形式上消費貸借として取扱つたもので、基礎事実としでは同一の事実を指し、請求の基礎に変動がないから、右請求原因の変更は訴の変更と見ても当然許容せらるべきものに属するから、第一審被告Aの右の点の主張も亦理由がない。そこで、右代物弁済予約の完結の成否について見るに、第一審原告は、第一審被告Aが特約に違反して、担保物件につき価値を減少せしめる行為をしたので、昭和三七年一一月一九日前記代物弁済予約完結の意思表示をなした旨主張し、弁論の全趣旨により成立を認める甲第四五証によれば同日右意思表示がなされたことがで 保物件につき価値を減少せしめる行為をしたので、昭和三七年一一月一九日前記代物弁済予約完結の意思表示をなした旨主張し、弁論の全趣旨により成立を認める甲第四五証によれば同日右意思表示がなされたことができるけれでも、後記の如く、C等が訴訟に敗訴し前示売買代金内金二〇〇万円の返還義務が具体的に発生したのは昭和三八年三月一九日以後であるから、それ以前になされた右予約完結の意思表示は無効である。次に昭和三九年二月五日付代物弁済の成立について検するに、第一審原告が昭和三八年一二月九日付準備書面を昭和三九年二月五日の本件口頭弁論(原審)において陳述することにより、第一審被告A(右代物弁済予約上の債務者)に対して右予約完結の意思表示がなされたことは、本件記録に徴して明白であるところ、成立に争のない甲第六、七、八号証と第一審原告本人尋問の結果(原審、当審)によれば、右予約の被担保債権の発生につき条件となつていたC外三名から西播金融株式会社外三名(外にその引受人三名)に対する和解無効確認等請求訴訟(第一審被告Aは、右債権の発生の条件とされた訴訟は、右訴訟以外の別の訴訟である旨主張するが、にわかに措信し難い第一審被告Aの供述を除きこれを確認するに足る証拠はない)は、第二審たる大阪高等裁判所においても昭和三八年三月一九日C等の敗訴(訴却下と請求棄却)の判決が言渡され、右判決に対して上告の提起なく同年一〇月一六日以前に確定したことが認められるから、本件売買代金既払分二〇〇万円の返還義務は、右判決確定と同時に発生し、特約なき限り同時に履行期が到来したものと認むべきであるところ、第一審被告Aは、右債務の期限は昭和三九年八月一九日と特約せられている旨抗弁し、第一審原告も右期限の定めの存在を認めて争わないところであるが、反面において、前掲甲第二、三号証に徴すれば、前 、右判決に対して上告の提起なく同年一〇月一六日以前に確定したことが認められるから、本件売買代金既払分二〇〇万円の返還義務は、右判決確定と同時に発生し、特約なき限り同時に履行期が到来したものと認むべきであるところ、第一審被告Aは、右債務の期限は昭和三九年八月一九日と特約せられている旨抗弁し、第一審原告も右期限の定めの存在を認めて争わないところであるが、反面において、前掲甲第二、三号証に徴すれば、前 るところ、第一審被告Aは、右債務の期限は昭和三九年八月一九日と特約せられている旨抗弁し、第一審原告も右期限の定めの存在を認めて争わないところであるが、反面において、前掲甲第二、三号証に徴すれば、前記代物弁済予約の成立に際して、債権者の承諾を得ないで目的物件上に義務を負担する契約を為さないこと、右に違反したときは、即時に期限の利益を失うことを債務者たる第一審被告Aにおいて約定していることが認められ、右認定に反する証拠はなく、しかも同第一審被告は昭和三七年八月二七日付契約、同月二八日付登記により第一審被告Bに対して右予約目的物件につき賃貸借契約、抵当権設定契約、代物弁済予約を為し、その登記、仮登記手続を為したことは、第一審被告Aの認めて争わないところで、右の行為が第一審原告の承諾の下になされた形跡は見当らないから、前記特約に違反する行為たることは明白であり、また、本件特約の趣旨は、債権発生の基本契約が成立している以上、具体的債権発生の前後を問わず、期限前に不信行為のあつたときは、約定期限の利益を喪失させる趣旨と解することができるから、第一審被告Aの抗弁は理由なく、第一審原告の為した前記昭和三九年二月五日の代物弁済予約完結の意思表示は有効と認むべく、これにより第一審被告Aは、別紙第一目録物件につき、第一審原告に対して、右同日付代物弁済を原因として、さきの仮登記(昭和三七年八月二一日付)に基く所有権移転の本登記を為すべき義務があると共に、右建物を他人に賃貸した後でも、間接占有者として所有者となつた第一審原告に対する明渡義務を負担するものというべきである(同第一審被告に対する損害金請求についでは、第一審原告に不服がないので判断しない)。次に第一審原告の第一審被告Bに対する請求につき審按する。第一審原告本人の供述(当審)により真正の成立を認める る(同第一審被告に対する損害金請求についでは、第一審原告に不服がないので判断しない)。 に、右建物を他人に賃貸した後でも、間接占有者として所有者となつた第一審原告に対する明渡義務を負担するものというべきである(同第一審被告に対する損害金請求についでは、第一審原告に不服がないので判断しない)。次に第一審原告の第一審被告Bに対する請求につき審按する。第一審原告本人の供述(当審)により真正の成立を認める る(同第一審被告に対する損害金請求についでは、第一審原告に不服がないので判断しない)。次に第一審原告の第一審被告Bに対する請求につき審按する。第一審原告本人の供述(当審)により真正の成立を認める甲第二、三号証、A名義部分は同人が作成し、C名義部分はAが代つて作成したと認められる甲第五号証、成立に争のない甲第一、六、七、八号証、証人Fの証言、第一審原告本人尋問の結果(原審、当審)を綜合すると、第一審原告と訴外C、第一審被告Aとの間に、第一審原告主張の通りの別紙第二目録記載建物に関する売買契約、代金の授受、C等の敗訴の場合に、右売買代金二〇〇万円を返還すべき約定、右約定を担保するために別紙第一目録記載建物に対する代物弁済予約が成立し、仮登記(昭和三七年八月二一日付)がなされた事実、右返還義務発生の条件となつた訴訟がC等の敗訴となり確定した事実、第一審原告が本訴において昭和三九年二月五日右代物弁済予約完結の意思表示を為した事実が認められ、右認定に反する証拠はなく、右認定事実によれば、右代物弁済予約の完結は適法有効と認むべく、これにより第一審被告Aは第一審原告に対し、右代物弁済を原因として、さきの仮登記に基く所有権移転本登記を為すべき義務を負担したものというべきである。ところで第一審被告Bが別紙第一目録記載物件につき、さきの仮登記の後である昭和三七年八月二七日付を以て賃借権の設定、抵当権の設定、代物弁済予約の各契約を為し、同月二八日付を以て右賃借権、抵当権の各設定登記、右予約に基く所有権移転請求権保全の仮登記をしたこと、及び右建物を同年一〇月中原審被告Dに賃料月一万円の約で転貸したことは当事者間に争がないから、第一審被告Bは、第一審原告が第一審被告Aに対して請求する右物件に対する前記本登記の履践につき、その承諾を要する利害関係人に該当す 審被告Dに賃料月一万円の約で転貸したことは当事者間に争がないから、第一審被告Bは、第一審原告が第一審被告Aに対して請求する右物件に対する前記本登記の履践につき、その承諾を要する利害関係人に該当することは明白であり、第一審被告Bとしでは右承諾を拒否すべき正当の事由となる何等の事実をも主張立証するところがないから、第一審原告に対して右の承諾を為すべき義務があるものというべきである。 利害関係人に該当す 審被告Dに賃料月一万円の約で転貸したことは当事者間に争がないから、第一審被告Bは、第一審原告が第一審被告Aに対して請求する右物件に対する前記本登記の履践につき、その承諾を要する利害関係人に該当することは明白であり、第一審被告Bとしでは右承諾を拒否すべき正当の事由となる何等の事実をも主張立証するところがないから、第一審原告に対して右の承諾を為すべき義務があるものというべきである。よつて第一審原告の第一審被告Bに対するさきに請求した抹消登記の請求に代る右本登記に対する承諾の請求は理由がある。そこで、第一審被告Bに対する明渡並びに損害金の請求の当否につき検討する。第一審被告Bは、第一審原告の別紙第一目録記載建物に対する所有権に基く明渡請求に対し、前記争なき賃借権を以て、その占有の正権原と主張するものと考えられるところ、第一審被告Bの賃借権は第一審被告Aから設定を受けたものであり、しかもその設定の当時である昭和三七年八月二七日においては、第一審被告Aはその目的物件の所有者であつたことは、第一審原告もその弁論の全趣旨により認めるところであるから、右賃貸借は少くともその成立当時の状況においでは有効であり、しかも登記を経由し、かつ目的物の引渡を受けているから、第三者に対する対抗力をも有していたことは明白である。しかし前叙の如く、第一審原告は右賃貸借の成立、登記並びに目的物の引渡前に、本件建物につき代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記を受けているものであり、かつその後に右仮登記に基く本登記をなすに必要な要件を具備するに至つたものであるから、この場合の右賃貸借権の第一審原告に対する対抗力について考えるに、「同一の不動産に関して登記した権利の順位につき法律に別段の定めがないときは、その順位は登記の前後に依り」(不動産登記法六条一項) ら、この場合の右賃貸借権の第一審原告に対する対抗力について考えるに、「同一の不動産に関して登記した権利の順位につき法律に別段の定めがないときは、その順位は登記の前後に依り」(不動産登記法六条一項)、「仮登記をした場合においては本登記の順位は仮登記の順位に依る」(同法七条二項)べきところ、第一審原告の右仮登記の日時は第一審被告Bの賃借権設定登記の日時に先立つているから、登記の前後という観点から見ると、右仮登記が本登記に高められた場合には、第一審原告の権利は第一審被告Bの権利に優先すること明らかであるが、一方「建物の賃貸借はその登記なきも建物の引渡ありたるときには爾後その建物につき物権を取得した者に対し効力を生ずる」(借家法一条一項)ものであり、第一審被告Bが第一審被告Aより本件建物を賃借し、その引渡を受けたのは、第一審原告が本件建物につき代物弁済予約完結の意思表示をなし、本登記をなすにおいては本件建物の所有権取得をもつて第三者に対抗し得べき時期である昭和三九年二月五日より以前であるから、第一審被告Bは右借家法の規定に基き本件建物の賃借権をもつて第一審原告に対抗し得るのではないかと考える余地がある(原審はこの見解に従つた)。 )ものであり、第一審被告Bが第一審被告Aより本件建物を賃借し、その引渡を受けたのは、第一審原告が本件建物につき代物弁済予約完結の意思表示をなし、本登記をなすにおいては本件建物の所有権取得をもつて第三者に対抗し得べき時期である昭和三九年二月五日より以前であるから、第一審被告Bは右借家法の規定に基き本件建物の賃借権をもつて第一審原告に対抗し得るのではないかと考える余地がある(原審はこの見解に従つた)。しかしながら所有権移転請求権保全仮登記は元来本登記までの間になさるべきことあるべき請求権自体の完全な実現の妨害となるすべての中間処分を排除するために認められた制度(一種の仮処分的機能を持つもの)であつて、単に登記の順位先占の効力のみを定めたものではなく、従つて不動産登記法所定の本登記に対する順位保全の効力規定は、右目的達成のための法律技術的規定に外ならないものと解するを相当とするから、仮登記に基き本登記がなされ、またはなさるべき段階に達した場合には、これと牴触する中間処分(必ずしも物権行為に限らず仮登記権利の完全な実 めの法律技術的規定に外ならないものと解するを相当とするから、仮登記に基き本登記がなされ、またはなさるべき段階に達した場合には、これと牴触する中間処分(必ずしも物権行為に限らず仮登記権利の完全な実現の妨害となるべき債権行為も含む)は、所有権に対する制限としては、すべて効力を失うものと解すべく、この理は建物の賃貸借が中間処分としてなされ、目的物の引渡が行われた場合においでも異らないものと解すべきである(もししからされば、仮登記権利者は賃借権設定のため目的物の価値が減少し、不測の損害を蒙つでもこれを甘受しなければならないことになり、抵当権設定登記後の賃貸借について制限規定(民法三九五条)が設けられていることと対比しでも権衡を失するであろう。一方賃借人は登記簿を閲覧することにより仮登記の存在を知ることができるから不測の損害を蒙ることもない)。<要旨>しかしながら、右の第一審被告Bの賃借権を否認し得る効果は、第一審原告がその仮登記に基き、本登記を</要旨>経由することを前提として付与せられるものであつて、本登記請求に必然的に関連する承諾請求以外の請求就中、所有権に基く明渡並びにこれが不履行に因る損害金の請求は、第一審原告において本登記を完了し、第三者に対する対抗要件を具備して初めてこれを為し得るものと解すべく、従つて第一審原告が現在の請求としてこれを求めることは許されない。 の賃借権を否認し得る効果は、第一審原告がその仮登記に基き、本登記を</要旨>経由することを前提として付与せられるものであつて、本登記請求に必然的に関連する承諾請求以外の請求就中、所有権に基く明渡並びにこれが不履行に因る損害金の請求は、第一審原告において本登記を完了し、第三者に対する対抗要件を具備して初めてこれを為し得るものと解すべく、従つて第一審原告が現在の請求としてこれを求めることは許されない。しかし第一審原告の申立の全趣旨によれば、第一審原告は即時右履行請求が許されない場合には、予備的に本登記を経由することを条件とする将来の請求としてでもこれを求める意思であることを認めるに難くないから、第一審原告の本請求は、同原告が本件建物につき所有権移転の本登記を経由することを条件として、第一審被告Bに対し本件建物の明渡を求める限度で理由があり(同被告が本件建物につき間 認めるに難くないから、第一審原告の本請求は、同原告が本件建物につき所有権移転の本登記を経由することを条件として、第一審被告Bに対し本件建物の明渡を求める限度で理由があり(同被告が本件建物につき間接占有を有していることは同被告の明らかに争わぬところであり、且つ同被告が第一審原告に対し賃借権を以て対抗しえないことは前記のとおりである)、且つ損害金としては、本件建物の賃料額として争のない一ヶ月金一万円の割合による賃料相当の損害金を、本登記完了の時から右建物明渡の時までこれが支払を求め得るものというべきである。けだし、仮登記権利者(第一審原告)が本登記を完了するまでは、右本登記によつて優先される従前の所有者(本件では第一審被告A)又はその登記ある所有権承継人(本件では該当者なし)は、何びとに対しでも対抗し得る完全な所有者であるから、後にさきの仮登記に基く本登記権利者が出現しても、右の出現までの経過期間中の所有権能及びその行使の効果を当然には覆滅せらるべきものではないのみならず、右所有権行使の効果を受けた第三者としても、さきの所有権の覆滅否認による自己の損害を理由なく甘受すべき筋合はない筈であつて、仮登記制度の期待する仮登記権利者の保護は、これらの影響を最少限度に止め、しかもなお仮登記権利者の順位保全の効果を全うする点に求めらるべく、この趣旨と、仮登記の保全する権利が必ずしも物権に限られず、物権取得のための債権的請求権(その物権効の発生時点は外部より確認困難な場合も多く、また右の時点を仮登記自体から予知できない)をも対象としている点に徴すると、仮登記による順位保全という意味は、さきになされた仮登記と、後に予定された物権変動との結合によつて(後の物件変動との結合を要せず、それ自体で直ちに効力を発揮する仮処分とは、この点において異なる)、後の 登記の保全する権利が必ずしも物権に限られず、物権取得のための債権的請求権(その物権効の発生時点は外部より確認困難な場合も多く、また右の時点を仮登記自体から予知できない)をも対象としている点に徴すると、仮登記による順位保全という意味は、さきになされた仮登記と、後に予定された物権変動との結合によつて(後の物件変動との結合を要せず、それ自体で直ちに効力を発揮する仮処分とは、この点において異なる)、後の 記による順位保全という意味は、さきになされた仮登記と、後に予定された物権変動との結合によつて(後の物件変動との結合を要せず、それ自体で直ちに効力を発揮する仮処分とは、この点において異なる)、後の物権変動が、その対抗力の点において、それまでの中間に為された右物権に関する処分行為の対抗力を一切凌駕する効力が、本登記で後の物権変動を対抗すると同時に(対抗力そのものは本登記によつて生ずる)、即ち右の対抗力の優越効は本登記の時点において初めて一時に発生し、将来に向つてのみ効力を持つことに在ると解すべきであつて、かかる意味における順位保全の効力(即ち、物権変動の発生の具体的時点についての効力そのものの保全でも対抗でもない)を是認するこを以て必要かつ充分であると考えるものである。そらすると、第一審原告の第一審被告Bに対する明渡、損害金支払請求は、右の限度においてのみ正当として認容することができ、その余は失当として棄却すべきである。してみると、第一審被告Aに対する第一審原告の請求を認容した原判決は正当であるから、同被告の控訴は理由なしとして棄却すべく、また第一審被告Bに対する第一審原告の請求は、前記の限度で理由があるからこれを全部棄却した原判決は一部失当として変更すべく、訴訟費用につき民事訴訟法第八九条第九六条第九二条を、仮執行宣言につき同法第一九六条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官岡垣久晃裁判官宮川種一郎裁判官奥村正策)第一目録神戸市a区bc丁目d番地上家屋番号 e番のf一、木造瓦葺二階建居宅一棟建坪七坪八合三勺二階建五坪八合三勺第二目録神戸市g区hi丁目j番地k 地上家屋 建居宅一棟建坪七坪八合三勺二階建五坪八合三勺第二目録神戸市g区hi丁目j番地k 地上家屋番号 l番のm一、木造亜鉛綱板葺三階建店舗兼居宅一棟建坪二三坪三合一勺二階建二三坪三合一勺三階建二〇坪二合六勺
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