平成22年(モ)第919号,平成23年(モ)第310号文書提出命令申立事件(基本事件平成22年(ワ)第5047号国家賠償請求事件)決定 主文 相手方は,本決定が確定した日から7日以内に,別紙1文書目録記載番号1ないし8の各文書を当裁判所に提出せよ。 理由 第1 申立ての趣旨及び理由等 1 申立ての趣旨主文と同旨 2 申立ての理由等別紙1文書目録記載番号1ないし8の各文書について,以下では,これらをまとめて「本件各文書」といい,それぞれの文書を,番号にしたがって「本件文書1」などという。 文書の所持者相手方 証明すべき事実ア本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)愛知県春日井警察署(以下「春日井署」という。)が,申立人に対する逮捕状等の請求当時,どのような資料等に基づいて,どのような根拠で「申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」や逮捕,勾留,捜索差押え,身体検査等強制捜査の必要性があると考えていたかイ本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)春日井署が,申立人の自宅(以下「申立人宅」という。)及び申立人の 使用車両(以下「申立人使用車両」という。)を捜索すべき場所として捜索差押許可状を請求した事実,春日井署が,各捜索差押許可状請求書に何を「差し押えるべき物」(刑事訴訟法(以下「刑訴法」という。)219条1項)として記載したか,どのような資料等に基づいて,どのような根拠で各捜索差押許可状を請求したか,申立人宅及び申立人使用車両に対して実施したと考えられる捜索差押えが,どの 訴法」という。)219条1項)として記載したか,どのような資料等に基づいて,どのような根拠で各捜索差押許可状を請求したか,申立人宅及び申立人使用車両に対して実施したと考えられる捜索差押えが,どのような捜索差押許可状に基づき,どのように行われ,どのような証拠が差し押さえられたかウ本件文書6(身体検査令状請求書)春日井署が,申立人の陰茎について身体検査令状を請求した事実,身体検査令状請求書に何を「身体の検査を必要とする理由」(刑訴法218条5項)として記載したか,どのような資料等に基づいて,どのような根拠で身体検査令状を請求したかエ本件文書8(関係書類追送書)春日井署が平成23年2月24日に本件文書6(身体検査令状請求書)を名古屋地方検察庁(以下「名古屋地検」という。)検察官に送致した事実,名古屋地検検察官への送致が大幅に遅れた理由 文書の提出義務の原因民事訴訟法(以下「法」という。)220条3号後段第2 事案の概要 1 本件の基本事件は,18歳に満たない児童である当時16歳の少女(以下「A子」という。)と性交類似行為をしたとして,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春等処罰法」という。)違反で逮捕,勾留,起訴され,その後,無罪判決が言い渡されて確定した申立人が,相手方及び愛知県に対し,逮捕,勾留請求,起訴等の違法を理由として,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償等を請求している事案である。 2 本件申立てに関係する前提事実(手続の経過等) 春日井署は,平成20年8月12日,申立人に対する児童買春等処罰法違反の被疑事実に基づき,春日井簡易裁判所(以下「春日井簡裁」という。)裁判官に対し,逮捕状,身体検査令状及び捜索差押許可状の発付を請求し(逮捕状 成20年8月12日,申立人に対する児童買春等処罰法違反の被疑事実に基づき,春日井簡易裁判所(以下「春日井簡裁」という。)裁判官に対し,逮捕状,身体検査令状及び捜索差押許可状の発付を請求し(逮捕状について甲39(以下「本件逮捕状請求書」という。)),身体検査令状について本件文書6,捜索差押許可状について本件文書5により請求した。 なお,本件逮捕状請求書(甲39)の写しを,別紙2として本決定に添付した。春日井署は,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)を上記各請求の資料等として春日井簡裁裁判官に提出した。 春日井簡裁裁判官は,平成20年8月12日,申立人に対する児童買春等処罰法違反の被疑事実について,申立人に対する逮捕状(甲38。以下「本件逮捕状」という。),検査すべき身体を申立人の陰茎とする身体検査令状(甲52。以下「本件身体検査令状」という。)及び本件文書4(捜索差押許可状)を発付した。なお,本件身体検査令状(甲52)の有効期間は,平成20年8月19日までであり,本件身体検査令状(甲52)には,「有効期間経過後は,この令状により身体の検査をすることができない。この場合には,これを当裁判所に返還しなければならない。有効期間内であっても,身体の検査の必要がなくなったときは,直ちにこれを当裁判所に返還しなければならない。」との記載がされていた。 春日井署警察官及び愛知県警察本部刑事部機動捜査隊の警察官は,平成20年8月13日,申立人宅に赴き,申立人に本件文書4(捜索差押許可状)を示して,申立人宅及び申立人使用車両に対する捜索等を行った(以下「本件捜索差押え」という。)。 春日井署は,平成20年8月13日,申立人を通常逮捕し(以下「本件 に本件文書4(捜索差押許可状)を示して,申立人宅及び申立人使用車両に対する捜索等を行った(以下「本件捜索差押え」という。)。 春日井署は,平成20年8月13日,申立人を通常逮捕し(以下「本件逮捕」という。),同月14日,申立人を名古屋地検検察官に送致する手続をした(甲38,39)。 名古屋地検検察官は,平成20年8月14日,申立人を,前記の被疑事実で勾留請求し(以下「本件勾留請求」という。),名古屋地方裁判所(以下「名古屋地裁」という。)裁判官は,同日,申立人を,同日から春日井署留置施設に勾留する旨の決定をし,申立人は,春日井署留置施設に勾留された(甲40。以下「本件勾留」という。)。 名古屋区検察庁(以下「名古屋区検」という。)検察官は,平成20年8月22日,申立人について,児童買春等処罰法違反の公訴事実で略式命令を請求し(以下「本件略式請求」という。),名古屋簡易裁判所(以下「名古屋簡裁」という。)裁判官は,同日,申立人を,罰金40万円に処する略式命令を発し,申立人は,罰金40万円を仮納付した(甲19,乙イ23)。 申立人は,平成20年8月28日,前記の略式命令について,名古屋簡裁に,正式裁判の請求をし,同年9月24日,申立人に対する児童買春等処罰法違反被告事件は,名古屋地裁において審理されることとされた。 名古屋地裁は,平成21年12月4日,前記の被告事件について,申立人を無罪とする判決を言い渡し,同判決は,同月19日,確定した(以下,申立人に対する以上の児童買春等処罰法違反の刑事事件を「本件刑事事件」という。)。 申立人は,平成22年7月23日,相手方及び愛知県に対し,損害賠償等を求める基本事件の訴えを提起した。 申立人は,基本事件において,平成22年11月18日付け 件刑事事件」という。)。 申立人は,平成22年7月23日,相手方及び愛知県に対し,損害賠償等を求める基本事件の訴えを提起した。 申立人は,基本事件において,平成22年11月18日付け「準備書面(1)」を提出し,相手方に対し,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書),3(運転者台帳等の捜査報告書),4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び6(身体検査令状請求書)のほか,「捜索差押許可状請求書(原告の自宅,使用車両)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」,「身体検査 令状(原告の陰茎)」(本件身体検査令状(甲52))及び「身体検査令状請求書(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」の任意提出を求めた。 春日井署は,平成22年11月29日,本件身体検査令状(甲52)が未執行であるとして,身体検査令状返還書(甲51)とともに本件身体検査令状(甲52)を春日井簡裁に返還した。 申立人の前記の任意提出の要請に対し,相手方は,基本事件において,平成22年12月13日付け「被告国第2準備書面」を提出し,前記の各文書は,名古屋地検が保管する刑事確定記録ではない不提出記録中に存在するか,名古屋地検に存在しない書類であることから,いずれについても任意提出の要請には応じられないなどと応答した。 申立人は,平成22年12月17日の基本事件の第3回口頭弁論期日において,相手方に対して任意提出を求めている文書について,任意提出をしてもらえないのであれば,文書提出命令の申立てを検討している,愛知県において上記文書を保管しているのであれば,任意提出を求める旨述べた。 これに対し,相手方は,現時 いる文書について,任意提出をしてもらえないのであれば,文書提出命令の申立てを検討している,愛知県において上記文書を保管しているのであれば,任意提出を求める旨述べた。 これに対し,相手方は,現時点では任意では回答できない,文書提出命令の申立てがあれば,対応を検討する旨述べ,愛知県は,申立人から任意提出の要請を受けた文書について,任意では提出に応じられない旨述べた。 申立人は,平成22年12月22日付け「文書提出命令申立書」を提出し,相手方に対し,前記の各文書の提出を求めた(平成22年第919号(本件))。 前記の申立てに対し,相手方は,平成23年2月3日付け「文書提出命令に対する意見書」を提出し,「身体検査令状(原告の陰茎)」(甲 52),「身体検査令状請求書(原告の陰茎)」(本件文書6)及び「身体検査令状請求書(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」については,春日井署から名古屋地検検察官に送致されておらず,名古屋地検において保管していないなどと主張した。 春日井署は,平成23年2月24日,本件文書6(身体検査令状請求書)を名古屋地検検察官に送致した。 申立人は,平成23年2月25日付け「文書提出命令申立書(2)」を提出し,愛知県に対し,「身体検査令状(原告の陰茎)」,「身体検査令状請求書(原告の陰茎)」(本件文書6),「身体検査令状請求書(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」及び「身体検査令状(原告の陰茎)についての令状請求簿(犯罪捜査規範137条3項)」の提出を求めた(平成23年第142号)。 前記の申立てに対し,愛知県は,平成23年3月10日付け「意見書」を提出し,前記(春日井簡裁への本件身体検 状請求簿(犯罪捜査規範137条3項)」の提出を求めた(平成23年第142号)。 前記の申立てに対し,愛知県は,平成23年3月10日付け「意見書」を提出し,前記(春日井簡裁への本件身体検査令状の返還)及び(名古屋地検への本件文書6(身体検査令状請求書)の送致)の事実を主張して,相手方は,本件身体検査令状(甲52),本件文書6(身体検査令状請求書)及び「身体検査令状請求書(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」を所持していない旨主張し,「身体検査令状(原告の陰茎)についての令状請求簿(犯罪捜査規範137条3項)」については,取調べの必要がないなどと主張した。 申立人は,前記の愛知県の主張を受けて,基本事件において,平成23年3月23日付け「文書送付嘱託申立書」を提出し,本件身体検査令状(甲52)及びこれと同時に春日井署から春日井簡裁に送付された送付 書等の書類の春日井簡裁への送付嘱託を申し立てた。 相手方は,前記の送付嘱託の申立てについて,基本事件において,平成23年3月25日付け「文書送付嘱託申立てに対する意見書」を提出し,証拠として取り調べる必要がないなどと主張して,申立ての却下を求めた。 当裁判所は,基本事件において,平成23年3月29日,前記の春日井簡裁に対する送付嘱託を採用した。 平成23年4月15日,春日井簡裁から送付された本件身体検査令状(甲52)及び身体検査令状返還書(甲51)が,当裁判所に到着し,これらの書類は,平成23年5月13日の基本事件の第5回口頭弁論期日において提示された。 申立人は,平成23年5月9日,前記の相手方に対する文書提出命令の申立て(平成22年第919号)のうち,「捜索差押許可状請求書(原告の自宅,使 件の第5回口頭弁論期日において提示された。 申立人は,平成23年5月9日,前記の相手方に対する文書提出命令の申立て(平成22年第919号)のうち,「捜索差押許可状請求書(原告の自宅,使用車両)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」,「身体検査令状(原告の陰茎)」及び「身体検査令状(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」についての申立てを取り下げたが,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書),3(運転者台帳等の捜査報告書),4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び6(身体検査令状請求書)についての申立ては維持した。 また,申立人は,同日,前記の愛知県に対する文書提出命令の申立て(平成23年第142号)のうち,「身体検査令状(原告の陰茎)」,「身体検査令状請求書(原告の陰茎)」及び「身体検査令状請求書(原告の陰茎)添付資料のうち本件訴訟において未だ書証として提出されていないもの」についての申立てを取り下げたが,「身 体検査令状(原告の陰茎)についての令状請求簿(犯罪捜査規範137条3項)」の申立ては維持した。 そして,申立人は,同日付け「文書提出命令申立書(3)」を提出し,相手方に対し,本件文書7(捜索・差押調書)及び8(関係書類追送書)の提出を求めた(平成23年第310号(本件))。 3 当事者の主張 本件各文書の取調べの必要性ア申立人 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)基本事件において,申立人は,本件逮捕,本件勾留請求及び本件略式請求等 文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)基本事件において,申立人は,本件逮捕,本件勾留請求及び本件略式請求等の違法性を主張している。したがって,これらの違法を明らかにするためには,申立人について犯罪の嫌疑の相当性並びに逮捕及び勾留請求の必要性があったか否かなどについて,A子の供述の信用性,その裏付けの有無,これらに関する捜査官の判断の合理性を捜査の過程に即して検討する必要がある。そして,このためには,申立人に対する逮捕状の請求時及び執行時,勾留及び略式命令の請求時等に,その根拠資料等としてどのようなものが存在したのかが具体的に明らかにされなければならず,当時の客観的資料である本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)を取り調べることが必要不可欠であり,逮捕を請求した捜査官の陳述書ないし証人尋問等によって,上記客観的捜査資料の記載内容を詳細かつ正確に明らかにすることは極めて困難であるから,捜査官の証人尋問等によって客観的捜査資料である本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)の取 調べを代替できるものではない。 なお,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)について,相手方が主張するような内容が記載されているかどうかは明らかではなく,相手方が一方的に推認しているにすぎないし,仮にそのような内容が記載されていたとしても,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は3通あることなどからすると,相手方の主張する内容のみが記載されているとは限らないのであり,取 いし,仮にそのような内容が記載されていたとしても,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は3通あることなどからすると,相手方の主張する内容のみが記載されているとは限らないのであり,取調べの必要がある。 また,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)について,仮に相手方が主張する内容が記載されていたとしても,相手方の主張する内容のみが記載されているとは限らず,愛知県が主張するような申立人との間で争いのない事実のみが記載されているといえるものでもなく,取調べの必要がある。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)申立人は,基本事件において,本件逮捕,本件勾留請求及び本件略式請求の違法性や,自白の強要による取調べの違法性のほか,申立人が事件当日タクシー内で頭痛薬(バファリン)を飲んでいたにすぎないのに,捜査官が,A子が申立人が車内でバイアグラを飲んでいたと供述したことを軽信し,バイアグラを押収しようとする目的で,申立人にこの点の事情を聞くことなく,強引に強制捜査に及んだのは,申立人のプライバシーを何ら考慮しない違法な捜索差押えであり,また,捜索差押許可状の請求時点で申立人には犯罪の嫌疑の相当性はなかったなどとして,本件捜索差押えの違法を主張している。 そして,基本事件においては,本件捜索差押えがどのように行われ,結果として何が差し押さえられたのかなどが全く明らかになっていないところ,本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書) は,本件捜索差押えが刑訴法及び刑事訴訟規則(以下「刑訴規則」という。)に従って執行されたか否かを明らかにする客観的な証拠であり,本件捜索差押えの執行に違法性があったか否かを判断するために,取調べの ,本件捜索差押えが刑訴法及び刑事訴訟規則(以下「刑訴規則」という。)に従って執行されたか否かを明らかにする客観的な証拠であり,本件捜索差押えの執行に違法性があったか否かを判断するために,取調べの必要性があり,捜査官の陳述書や証人尋問等によって,客観的捜査資料である本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書)の取調べを代替できるものではない。 また,本件文書7(捜索・差押調書)については,上記の事実を明らかにすることに加え,本件文書4(捜索差押許可状)に基づく本件捜索差押えの結果,どのような証拠が差し押さえられたかなどを明らかにすることにより,検察官が不十分な証拠しか手元になかったにもかかわらず本件略式請求をしたという点等の違法性を解明することも目的としており,本件捜索差押え,本件略式請求及びその後の公訴維持の違法性を明らかにするためには,本件捜索差押えに関わる客観的資料そのものの内容が明らかにされることが必要であり,捜査官の陳述書や証人尋問等によって,客観的捜査資料の記載内容を詳細かつ正確に明らかにすることは極めて困難であることからすると,本件文書7(捜索・差押調書)の取調べに代替できるものではなく,本件文書7(捜索・差押調書)の取調べは必要不可欠である。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)申立人は,基本事件において,春日井簡裁への本件身体検査令状(甲52)の返還が,発付日(平成20年8月12日)から2年以上が経過した平成22年11月29日になってから行われたこと,本件文書6(身体検査令状請求書)も,他の一件記録とともに直ちに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったのに,平成23年2月24日になって送致されたという異常な経緯があり,申立人は,春日井署が本件身体検査令状(甲 令状請求書)も,他の一件記録とともに直ちに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったのに,平成23年2月24日になって送致されたという異常な経緯があり,申立人は,春日井署が本件身体検査令状(甲52)を事実上執行したものの,捜査目的に合わなかった(申 立人の陰茎にイボのないことが判明した結果,A子の供述の信用性に疑問が生じた)ため,令状を執行していない扱いとし,本件身体検査令状(甲52)が発付された事実についても隠蔽するため,本件身体検査令状(甲52)を意図的に春日井簡裁に返還せず,本件文書6(身体検査令状請求書)についても意図的に名古屋地検検察官に送致しなかったなどと主張し,愛知県及び相手方は,これを争っている。 本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)について手続違背があったことは明らかであり,基本事件において,この点に関する客観的資料である本件文書6(身体検査令状請求書)の取調べが必要不可欠である。 また,本件文書8(関係書類追送書)を取り調べることによって,本件文書6(身体検査令状請求書)の名古屋地検検察官への送致が遅れた事実を明らかにする必要性は極めて大きいし,本件文書8(関係書類追送書)には,送致が大幅に遅れた理由について何らかの記載等がされている可能性があり,これを明らかにする意味でも取調べの必要がある。 イ相手方 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)愛知県は,基本事件において,本件逮捕に国家賠償法1条1項の違法性がないことを主張し,この主張の中で,警察官が,本件逮捕状(甲38)の請求当時,申立人について罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めた根拠についても 本件逮捕に国家賠償法1条1項の違法性がないことを主張し,この主張の中で,警察官が,本件逮捕状(甲38)の請求当時,申立人について罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めた根拠についても具体的に主張し,根拠となる捜査資料として,A子の警察官調書(乙イ1,4,5.7ないし9),A子の携帯電話の着信履歴の撮影に係る写真撮影報告書(乙イ2),申立人のタクシーの乗務日報及びA子に対する被害関係場所の確認に係る各捜査報告書(乙イ3,6)等を証拠として提出している。これらの書証によ り,本件逮捕状(甲38)の請求時点で,警察官が申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を認めた根拠資料が相当程度明らかとなっている。 また,警察官がどのような根拠資料をもとに罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると考えていたかという点は,正に捜査官の認識,判断であるから,そのような判断の適否が争点となっている基本事件については,直接的に,逮捕状を請求した捜査官の陳述書を作成するか,証人尋問等を実施するのが最も有用であるはずであり,仮に,申立人が当該捜査官の陳述書ないし証人尋問等の内容に疑義を抱いたならば,適宜,その旨を指摘し,主張すればよいのである。捜査官の証人尋問等を行わずに,その記載内容をして捜査機関の認識が間接的に推認されるにすぎない本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)の取調べが不可欠であるということはできず,その取調べの必要性は高くない。 特に,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)について,愛知県は,「6月20日,C巡査部長が原告勤務先所長に対して,5月29日深夜,春日井市内から小牧市内まで乗客を乗せた件に 特に,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)について,愛知県は,「6月20日,C巡査部長が原告勤務先所長に対して,5月29日深夜,春日井市内から小牧市内まで乗客を乗せた件に関してタクシー運転手と乗客との間でトラブルがあったか否か電話にて事情聴取した。原告勤務先所長は,トラブルがあった事実を認めた上で,そのトラブルの内容が,同営業所のタクシー運転手が乗客の若い女性の体を触った等と乗客から言われたこと,その運転手が原告であること,5月29日にその乗客の女性と交際相手が原告勤務先を訪問し,これに同所長と原告が対応したこと,その対応の際,原告が相手の言い分を認めなかったため話が物別れに終わったことを説明した。」と主張しているから(愛知県第1準備書面22,23頁),本件文書2(タクシー会社関 係事項聴取の電話通信書)には,上記主張が記載されているものと推認される。そして,申立人は,上記愛知県の主張について,「認める。」としており(申立人準備書面(2)19頁),申立人と愛知県との間で争いがないし,相手方も争うものではない。このように,申立人,愛知県及び相手方の間で愛知県主張の上記事実に争いがない以上,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を更に取り調べる必要はない。 また,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)について,愛知県は,「6月23日,C巡査部長は,原告勤務先所長から本件刑事事件に関する原告の乗務員日報(甲6),運転者台帳,始業終業乗務員点検簿,顧客情報の任意提出を受けたことから,これらを領置し,それぞれ謄本を作成した。これらの記録によれば,5月29日午前1時31分に春日井市(以下略)所在のD店までタクシーの迎車を要請する電話が原告勤務先に入り,これに原告が対応したこと,本件タクシーが同 それぞれ謄本を作成した。これらの記録によれば,5月29日午前1時31分に春日井市(以下略)所在のD店までタクシーの迎車を要請する電話が原告勤務先に入り,これに原告が対応したこと,本件タクシーが同日午前1時44分,春日井市(以下略)において客1名を乗車させ,同日午前2時7分に小牧市(以下略)で降車させたこと,同日午前2時32分に交際相手から原告勤務先に電話がかかってきたことが判明した。ただし,上記乗務時間の『午前1時44分』と降車時間の『午前2時7分』は甲6,3枚目の『乗車』欄及び『降車』欄により判明したものであるが,C巡査部長は,甲6の任意提出を受けた際,この『乗車』及び『降車』欄の時間はタクシー運転手の手書きの記録が基になっており,必ずしも正確とはいえないとの説明を受けている。」と主張しているから(愛知県第1準備書面23頁),本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,愛知県の上記主張において申立人勤務先所長から任意提出を受け,領置したとされる「運転者台帳」及び「始業終業乗務員点検簿」の「謄本」が添付された捜査報告書と推認される。そして,申立人は,上記愛知県の 主張について,「ただし,上記乗務時間の『午前1時44分』と降車時間の『午前2時7分』は甲6,3枚目の『乗車』欄及び『降車』欄により判明したものであるが,C巡査部長は,甲6の任意提出を受けた際,この『乗車』及び『降車』欄の時間はタクシー運転手の手書きの記録が基になっており,必ずしも正確とはいえないとの説明を受けている。」との事実は否認しているものの,その他の事実については争っていない。 このうち,争いのある事実については,既に証拠として提出されている甲6号証の内容に係る事実であり,これに関連する内容が本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)に記載されているとは,本件文 っていない。 このうち,争いのある事実については,既に証拠として提出されている甲6号証の内容に係る事実であり,これに関連する内容が本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)に記載されているとは,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)の表示及び趣旨から見ても考えられないから,取調べの必要がないし,申立人が争っていない事実については,相手方もこれを争うものではなく,申立人,愛知県及び相手方の間で愛知県主張の上記事実に争いがない以上,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)を更に取り調べる必要はない。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)について申立人は,愛知県に対する損害賠償請求の違法原因として,本件逮捕,本件勾留請求及び自白の強要による取調べの違法性等を主張するが,この点は,愛知県が,本件逮捕に違法がないこと,警察官による申立人に対する取調べにも違法がないこと等を具体的に主張し(愛知県第1準備書面18~44頁),基本事件においては,その根拠となる捜査資料として,前記のほか,申立人の警察官に対する弁解録取書(甲13,乙イ10),「私のやったこと」と題する申立人の上申書(甲12,乙イ14),申立人の警察官調書(甲11,16,17,18,乙イ11,15,16及び18),捜査報告書(引き当たり捜査報告(甲22,乙イ17),申立人に対する被告人質問調書(甲10,42,乙イ21, 24),取調べ状況報告書(乙ロ1),被留置者名簿(乙ロ2)が提出されている。申立人は,これらの書証を引用し,本件逮捕当時,犯罪の嫌疑の相当性や逮捕の必要性がなかったことや,警察官による申立人の取調べ状況を明らかにすることが可能であるから,その上更に本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書)を取り 時,犯罪の嫌疑の相当性や逮捕の必要性がなかったことや,警察官による申立人の取調べ状況を明らかにすることが可能であるから,その上更に本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書)を取り調べることが必要不可欠とはいえない。 特に,本件文書5(捜索差押許可状請求書)は,検察官,検察事務官又は司法警察員が,犯罪の捜査をするについて必要があるときに,裁判官に対して捜索差押えの許可を請求する(刑訴法218条1,3項)際に提出する書面(刑訴規則139条1項)であるところ,その記載要件は,「差し押さえるべき物又は捜索…すべき場所,身体若しくは物」,「請求者の官公職氏名」,「被疑者又は被告人の氏名」,「罪名及び犯罪事実の要旨」等にすぎないし(刑訴規則155条1項),本件文書4(捜索差押許可状)も,裁判官が検察官らの請求に基づき発する令状であり(刑訴法218条1項),その記載要件は,「被疑者若しくは被告人の氏名」,「罪名」,「差し押さえるべき物,捜索すべき場所,身体若しくは物」等にすぎない(刑訴法219条)。 また,基本事件において申立人が主張する本件捜索差押えの違法の主張は,あいまいかつ不明確であり,申立人が従前主張していた,基本事件の争点である警察官による申立人及びA子の供述の信用性の評価の当否や警察官による申立人の具体的な取調べ状況等とどのように関係するのかも明らかではない。したがって,申立人の愛知県に対する請求との関連で,本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書)を取り調べる必要はない。 なお,捜索の結果,現に証拠品が差し押さえられたのであれば,刑訴法220条,120条に基づき,被押収人である申立人に対して押収品 目録が交付されていると解されるから,申立人は,押収品目録を書証として提出すれば足り,さ が差し押さえられたのであれば,刑訴法220条,120条に基づき,被押収人である申立人に対して押収品 目録が交付されていると解されるから,申立人は,押収品目録を書証として提出すれば足り,さらに本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)を取り調べる必要はない。 申立人が,本件文書4(捜索差押許可状)の請求段階における申立人の犯罪の嫌疑の相当性がなかったことを主張するものであるとしても,証明すべき事実である「捜索差押えの結果,どのような証拠が差し押さえられたのか」という事情は,愛知県が捜索差押許可状を請求した時点以後の事情となるから,上記争点に関する具体的事情を立証するものとはいえず,本件文書7(捜索・差押調書)について,証拠調べの必要はない。また,本件捜索差押えの結果差し押さえられた証拠が明らかとなったとしても,捜査機関の証拠収集手段は捜索差押えに限定されないから,この点をもって,検察官が不十分な証拠しか手元になかったにもかかわらず起訴をしたことが立証できるものではなく,検察官は,A子の供述調書(甲2,3,4,20,21,23,乙イ1,4,5,7ないし9),申立人の自白にかかる上申書及び供述調書(甲12,16ないし18,25,乙イ14ないし16,18及び19)並びに捜査報告書(甲7,乙イ6)等の十分な証拠に基づいて起訴を行ったのであり,捜索差押えの結果のみをもって起訴の違法性を主張することはできない。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)について愛知県は,春日井署警察官が,本件身体検査令状(甲52)の発付を受けたものの,これを執行していないと主張しているところ(愛知県第1準備書面33頁),申立人も,「春日井署は陰茎について検査令状をとったにも関わらず 井署警察官が,本件身体検査令状(甲52)の発付を受けたものの,これを執行していないと主張しているところ(愛知県第1準備書面33頁),申立人も,「春日井署は陰茎について検査令状をとったにも関わらず,令状を執行しなかった」(申立人準備書面(2)22頁)などと主張しており,春日井署が身体検査令状を請求し,春日井簡裁裁判官から発付を受けたが執行していない点について積極的に争 っていないことがうかがわれるのであり,相手方もこれを争う旨の主張はしていない。そして,本件逮捕,本件勾留請求及び取調べの違法性や本件文書6(身体検査令状請求書)等の取扱いに関する手続違背等の各争点については,愛知県が,本件逮捕に国家賠償法1条1項の違法性がないこと,警察官による申立人の取調べが適法に行われたことを具体的に主張し(愛知県第1準備書面18~44頁),前記のとおり,根拠資料となる相当数の捜査資料が証拠として提出されている。 したがって,申立人は,これらの書証を引用し,本件逮捕当時,犯罪の嫌疑の相当性や逮捕の必要性がなかったことや,警察官による申立人の取調べ状況を明らかにすることが可能であるから,その上,更に本件文書6(身体検査令状請求書)を取り調べることが必要不可欠とはいえない。 また,本件文書8(関係書類追送書)について申立人が証明すべき事実として主張する,「春日井警察署が平成23年2月24日に本件身体検査令状請求書を名古屋地検検察官に送致した事実」は,当事者間に争いがない。すなわち,相手方は,平成23年3月8日付け「文書提出命令に対する意見書」において,「名古屋地検が,平成23年2月24日,愛知県春日井警察署からその送致を受けて受理した」旨述べ,愛知県も平成23年3月10日付け「意見書」においてその旨述べている。 したがって,このように当事 いて,「名古屋地検が,平成23年2月24日,愛知県春日井警察署からその送致を受けて受理した」旨述べ,愛知県も平成23年3月10日付け「意見書」においてその旨述べている。 したがって,このように当事者間で争いとなっていない事実を立証するために本件文書8(関係書類追送書)を取り調べる必要はない。 なお,申立人は,本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(本件身体検査令状請求書)の取扱いに違法,不当な点があったと主張するようであるが,このような申立人の主張と,本件文書8(関係書類追送書)の上記証明すべき事実との関連性は明らかではないし,申立人の主張する請求原因事実との関係も明らかとはなっていない。このように当事者 間に争いがなく,かつ申立人の請求原因事実との関連性も不明確である上記事実を立証するため,本件文書8(関係書類追送書)を取り調べる必要はない。 法220条3号後段該当性ア申立人 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)本件逮捕状(甲38)は,相手方所属の裁判官が逮捕状を発することにより,申立人の身体の自由を制約して,申立人にこれを受忍させるという相手方と申立人との間の法律関係を生じさせる文書であり,また,本件逮捕状請求書(甲39)は,本件逮捕状(甲38)の発付を求めるために,刑訴規則142条により,作成を要することとされている文書であるから,いずれも相手方と申立人との間の法律関係文書に該当する。 そして,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,本件逮捕状(甲38)の請求にあたって,刑訴規則143条所定の資料と 文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,本件逮捕状(甲38)の請求にあたって,刑訴規則143条所定の資料として春日井署が裁判官に提供したものであり,相手方所属の裁判官の発した逮捕状の基礎となった資料であるところ,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,捜査官がどのような資料等をもとに本件逮捕や本件捜索差押え等の強制捜査が必要であると判断したのかが直接に記載されていると考えられ,挙証者と所持者との間の法律関係に関連のある事項を記載した文書であって,挙証者と所持者との間の法律関係それ自体又はその法律関係の基礎となったり,裏付けとなったりする事項を明らかにする目的で作成されるものであり,法律関係文書に該当する。 また,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は,そ の表示から,捜査官が本件刑事事件当時申立人が勤務していたタクシー会社であるE株式会社春日井営業所(以下「春日井営業所」という。)から電話で事情聴取した件に関する電話通信書であると考えられ,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,その表示から,捜査官が春日井営業所から提供を受けた申立人の勤務状況に関する書類についての捜査報告書であると考えられ,これらはいずれも捜査官が本件逮捕に当たって犯罪の嫌疑の相当性及び逮捕の必要性があると判断した際の重要な根拠資料の1つであり,申立人と相手方との間の法律関係それ自体又はその法律関係の基礎となったり,裏付けとなったりする事項を明らかにする目的で作成されるものであり,法律関係文書に該当する。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)本件文書4(捜索差押許可状)は,こ らかにする目的で作成されるものであり,法律関係文書に該当する。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)本件文書4(捜索差押許可状)は,これを相手方所属の裁判官が発することにより,申立人が有する「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」(憲法35条1項)を制約して,捜査機関に申立人宅及び申立人使用車両を捜索し,物を差し押さえる権限を付与し,申立人にこれを受忍させるという申立人と相手方との法律関係を生じさせる文書であり,本件文書5(捜索差押許可状請求書)は,本件文書4(捜索差押許可状)の発付を求めるために法律上作成を要することとされている文書である(刑訴法218条3項,刑訴規則155条1項)から,これらは,いずれも,法律関係文書に該当する。 また,本件文書7(捜索・差押調書)は,捜索差押えを行った場合に作成することが犯罪捜査規範149条1項,153条により義務づけられている文書であり,相手方所属の裁判官の発した本件文書4(捜索差押許可状)が適正に執行されたか否か及び本件文書4(捜索差押許可状)の執行の結果,いかなる証拠が差し押さえられたのか等に関する基礎的 な資料であるから,申立人と相手方との間の法律関係文書に該当する。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)本件身体検査令状(甲52)は,これを相手方所属の裁判官が発することにより,申立人の身体の自由を制約して,捜査機関に申立人の陰茎を検査する権限を付与し,申立人にこれを受忍させるという申立人と相手方との法律関係を生じさせる文書であり,本件文書6(身体検査令状請求書)は,本件身体検査令状(甲52)の請求書であり,春日井署が身体検査令状(甲52 与し,申立人にこれを受忍させるという申立人と相手方との法律関係を生じさせる文書であり,本件文書6(身体検査令状請求書)は,本件身体検査令状(甲52)の請求書であり,春日井署が身体検査令状(甲52)の発付を請求した文書であるから,申立人と相手方との間の法律関係文書に該当する。 また,本件文書8(関係書類追送署)は,春日井署が,法律関係文書である本件文書6(身体検査令状請求書)を,本来,他の一件記録とともに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったところ,本件刑事事件の確定から1年以上経過した時期に送致したことに関する送致書であり,本件文書6(身体検査令状請求書)の違法な取扱いに関わる数少ない客観的な文書であり,本件身体検査令状(甲52)の発付,執行の違法に関わる文書であるから,申立人と相手方との間の法律関係それ自体又はその法律関係に関連のある事項を記載した文書として,法律関係文書に該当する。 なお,相手方は,本件文書8(関係書類追送書)が法律関係文書に該当しないことは,既に最高裁判所の判例(最高裁平成13年7月13日第二小法廷決定。最高裁判例解説民事平成17年度(下)532頁及び南山法学27巻1号41頁参照)において確定しているなどと主張するが,申立人は,基本事件において,本件略式請求やその後の公訴維持の違法性だけでなく,申立人に対する身体検査に関わる違法性も主張しており,前掲最高裁平成13年7月13日決定とは事案を異にしているから,その射程外と考えるべきである。 イ相手方 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)法220条3号後段の「について作成された」との規定は,①挙証者と文書の所持者との法律関係自 査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)法220条3号後段の「について作成された」との規定は,①挙証者と文書の所持者との法律関係自体,ないしは,その法律関係の構成要件事実の全部又は一部が記載され,かつ,当該法律関係自体の発生,変更及び消滅を直接に証明することができる場合には,作成目的を問わないが,②法律関係の発生,変更及び消滅を間接に証明することができるにすぎない場合には,特に,その法律関係を明らかにする目的で作成されたことを要すると解するのが相当であり,ここでいう目的とは,単に作成者の主観的あるいは直接の意図のみを指すものではなく,作成に係る法令の定めや,文書提出命令申立人と所持人との関係,作成時期,内容等の諸般の事情を総合的に勘案した上,客観的にみてその法律関係を明らかにする目的が存するといえる程度の関連性が認められるか否かという観点から判断されるべきである。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,本件逮捕状請求書(甲39)の疎明資料とされており,逮捕状請求前に作成されているものの,そもそも令状請求の場面において,法律上作成が求められるものではない。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,本件逮捕状請求書(甲39)とともに裁判官に提供された逮捕の必要性及び理由を直接的に疎明する資料を総括的に記載した上で,捜査官が強制捜査の必要性について,主観的な意見を報告する内部文書的な性質を有する内容であるところ,裁判官がこのような報告書により逮捕の必要性及び理由を判断することはあり得ず,飽くまでそこに引用された原証拠資料を 直接に検討し,逮捕 見を報告する内部文書的な性質を有する内容であるところ,裁判官がこのような報告書により逮捕の必要性及び理由を判断することはあり得ず,飽くまでそこに引用された原証拠資料を 直接に検討し,逮捕の必要性及び理由を判断するものである。したがって,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,逮捕の必要性及び理由を判断する疎明資料として不可欠の資料ではなく,逮捕の必要性及び理由を疎明する資料として間接的,二次的,補助的なものにすぎず,逮捕状の発付要件の存否の判断に直接影響を及ぼす事項が記載されたものではない。 また,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,申立人の嫌疑の相当性,逮捕の必要性を直接に推認させる事情が記載されているとはいえず,飽くまで申立人の嫌疑の相当性を根拠付けるA子の供述の存在を前提とした上で,これを裏付ける二次的,補助的な疎明資料にすぎないのであり,逮捕状の発付要件の存否の判断に直接影響を及ぼす事項が記載されたものとはいえない。 したがって,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)には逮捕状の発付要件の存否の判断に直接影響を及ぼす事項が記載されているということはできないから,法220条3号後段の法律関係文書に該当しない。 本件文書8(関係書類追送書)について本件文書8(関係書類追送書)は,司法警察員が検察官に関係書類を送付する際に作成される文書で,証拠資料が列挙されて記載される(犯罪捜査規範195条,196条2項)ものであるが,これは,事件送致の手続及び内容を明確にし,事件処理の円滑を図るために,相互の連絡用の文書として作成し,授受されるもの 資料が列挙されて記載される(犯罪捜査規範195条,196条2項)ものであるが,これは,事件送致の手続及び内容を明確にし,事件処理の円滑を図るために,相互の連絡用の文書として作成し,授受されるものであり,挙証者と所持者との間で,逮捕,勾留及び捜索差押えのような,刑訴法上の権限行使とそれに対応する受忍義務の発生,変更及び消滅といった個別の権利義務の関係 が生ずるものではない。また,関係書類追送書の内容は,通常,当該被疑者の氏名,送致罪名,送致年月日と送致される捜査書類の目録が記載されるにすぎず,強制捜査の令状発付要件を疎明するための資料として用いられるものでもないから,挙証者と所持者との間で,逮捕,勾留及び捜索差押えのような,刑訴法上の権限行使とそれに対応する受忍義務の発生,変更及び消滅といった個別の権利義務を間接的にも証明するものとはいえない。 なお,本件文書8(関係書類追送書)が法律関係文書に該当しないことは,既に前掲最高裁平成13年7月13日決定において確定している。 したがって,いずれにしても本件文書8(関係書類追送書)は,法律関係文書に該当しない。 (3) 文書保管者の裁量権の濫用ア申立人 刑訴法47条は,「訴訟に関する書類は,公判の開廷前には,これを公にしてはならない。但し,公益上の必要その他の事由があって,相当と認められる場合は,この限りでない。」と定める一方,刑訴法53条1項は,「何人も,被告事件の終結後,訴訟記録を閲覧することができる。但し,訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは,この限りでない。」と定めており,刑訴法47条は公判開廷前に関する規定,刑訴法53条1項は公判終了後に関する規定と読むべきである。そうすると,本件のように申立人の無 検察庁の事務に支障のあるときは,この限りでない。」と定めており,刑訴法47条は公判開廷前に関する規定,刑訴法53条1項は公判終了後に関する規定と読むべきである。そうすると,本件のように申立人の無罪判決が確定して公判手続が終了している事案においては,刑訴法47条の適用はなく,刑訴法53条1項の適用があると考えるべきである。 そして,刑事事件記録は,公判終了後は一般的に公開すべきだという刑訴法53条1項の趣旨からすれば,同条にいう「訴訟記録」は,「裁判所不提出記録」も含まれるから,本件各文書は,刑訴法53条1項の 「訴訟記録」に該当し,同条に基づいて公開がされるべきである。 仮に,本件各文書が,刑訴法47条の「訴訟に関する書類」に該当するとした場合,本件各文書の所持者である相手方が,本件各文書の提出を拒否したことが,裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであったかどうかが問題となる。 この点について,本件各文書は,前記アのとおり,いずれも取調べの必要がある。また,本件刑事事件は,平成21年12月4日に言い渡された無罪判決の確定によって全て終了しているから,本件各文書を開示することによる本件刑事事件への弊害は皆無であり,捜査,公判の運営等に支障を生じさせるおそれはない。その上,本件各文書について以下のないしの各事情が認められることも考慮すれば,相手方による本件各文書の提出の拒否は,相手方の裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであることは明らかである。 したがって,相手方が,本件各文書の提出を拒否することは許されず,提出の義務がある。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)A子及びA子の知人の男性(以下「B」という。)については,本件刑事事件の公判においてそれぞれ自らの体験等を詳細に証 の義務がある。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)A子及びA子の知人の男性(以下「B」という。)については,本件刑事事件の公判においてそれぞれ自らの体験等を詳細に証言しており,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示することによって,A子及びBのプライバシーを侵害するような新たな事実が明らかになるとは考えられない。 また,春日井営業所の関係者については,春日井営業所の所長Fの供述書(甲53)が本件刑事事件及び基本事件の証拠として採用されていることからすれば,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示することによって,春日井営業所関係者のプライバシーを侵害するような新たな事実が明らかになるとは考えられない。 また,基本事件では,正に本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を作成した時点で本件逮捕に踏み切った捜査官の判断の適法性が問われているのであるから,相手方が主張するような,抽象的な同種事件における捜査,公判の運営等に支障を生ずる弊害の生ずるおそれを理由として本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示できないとすることは許されない。 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)に記載されている内容は,相手方が主張するような第三者のプライバシーに関する情報ではなく,春日井営業所所属のタクシー運転手の勤務状況等に関する事務的な情報であると考えられ,相手方が主張するように,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)を開示することによって,春日井営業 手の勤務状況等に関する事務的な情報であると考えられ,相手方が主張するように,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)を開示することによって,春日井営業所関係者のプライバシーを侵害するような新たな事実が明らかになるとは考えられない。万が一,第三者のプライバシーに関する情報が記載されている場合は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)を開示した上で,第三者の閲覧制限をすることも可能である。 仮に,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)が,本件刑事事件において証拠として提出されていたならば,基本事件においても開示されていたはずであるところ,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,本件刑事事件において証拠として提出された文書と質的に異なるほど,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある事項が記載されているとは到底考えられない。 本件文書4(捜索差押許可状)申立人が,本件文書4(捜索差押許可状)について開示による弊害のおそれを何ら主張しないように,基本事件において本件文書4(捜索差押許可状)を開示することによる弊害は,何ら存在しない。 本件文書5(捜索差押許可状請求書)基本事件では,春日井署が,本件逮捕状(甲38)と併せて本件文書4(捜索差押許可状)及び本件身体検査令状(甲52)を請求したことが明らかとなっており,本件文書5(捜索差押許可状)及び6(身体検査令状請求書)の添付資料も,本件逮捕状請求書(甲39)の添付資料と同一と考えられる。 以上からすれば,本件文書5(捜索差押許可状)を開示する なっており,本件文書5(捜索差押許可状)及び6(身体検査令状請求書)の添付資料も,本件逮捕状請求書(甲39)の添付資料と同一と考えられる。 以上からすれば,本件文書5(捜索差押許可状)を開示することによって,新たに捜査官において,どのような証拠が揃った場合に,どのような判断の下に,どのようなタイミングで捜索差押えないし身体検査を実施しようとするのかが明らかになるとは考えられず,同種事件における罪証隠滅,犯人の逃亡を容易にするおそれがあるとは考えられない。 本件文書6(身体検査令状請求書)前記と同様,本件文書6(身体検査令状請求書)を開示することによって,新たに捜査官において,どのような証拠が揃った場合に,どのような判断の下に,どのようなタイミングで捜索差押えないし身体検査を実施しようとするのかが明らかになるとは考えられず,同種事件における罪証隠滅,犯人の逃亡を容易にするおそれがあるとは考えられない。 本件文書7(捜索・差押調書)相手方が,本件文書7(捜索・差押調書)について開示による弊害のおそれを何ら主張しないように,基本事件において本件文書7(捜索・差押調書)を開示することによる弊害は,何ら存在しない。 本件文書8(関係書類追送書) 本件文書8(関係書類追送書)は,春日井署が,本件文書6(身体検査令状請求書)を名古屋地検検察官に送致した際の送致書であり,送致が大幅に遅れた理由について触れられている可能性があるが,相手方が主張するような,本件刑事事件と何ら関わりのない第三者の氏名や同人から得られた証拠資料の概要が明らかにされるような内容が記載されていることはおよそ考えられない。そもそも,相手方の主張によれば,本件文書8(関係書類追送書)は,通常,当該被疑者の氏名,送致罪名,送致年月日と送 証拠資料の概要が明らかにされるような内容が記載されていることはおよそ考えられない。そもそも,相手方の主張によれば,本件文書8(関係書類追送書)は,通常,当該被疑者の氏名,送致罪名,送致年月日と送致される捜査書類の目録が記載されているにすぎないのだから,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがあるとする相手方の主張は理由がない。 イ相手方 刑訴法53条は,裁判の公開の原則を拡張し,裁判の公正を担保し,かつ,裁判に対する国民の理解を深めるという趣旨に基づくものであり,裁判手続に利用されていない公判不提出記録については,たとえ当該被告事件が確定した後であっても,刑訴法53条所定の「訴訟記録」に含まれる余地はない。他方,刑訴法47条は,訴訟に関する書類が公開の法廷で公にされる前に公にされることによる弊害を防止する趣旨に基づくものであり,当該書類が公判で公にされるまでは,同条の禁止の趣旨は及ぶから,確定した被告事件に係る公判不提出記録であってもその適用を受ける。 したがって,本件各文書に刑訴法53条の適用はなく,本件各文書は,刑訴法47条の「訴訟に関する書類」にあたる。 そして,本件各文書の申立てに係る文書の提出について,前記イのとおり,本件各文書は,取調べの必要がないこと及び本件各文書について以下のないしの事情があることからすると,刑訴法47条ただし書が規定する場合には該当せず,文書の所持者である相手方(保管検察 官)において刑訴法47条本文に基づきその提出を拒否することが,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用することにはならないというべきである。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)について本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,強制捜査 ,又はこれを濫用することにはならないというべきである。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)について本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,強制捜査の必要性を網羅的に記載した捜査報告書及びいわゆる総括報告書と考えられるが,同報告書については,実務上,作成までに収集された証拠資料をその証拠価値の程度にかかわらず総括的に記載されることが通常であるから,被疑者,被告人及び被害者といった当該刑事事件の当事者から得られた証拠資料のみならず,当該刑事事件とは直接関係のない第三者から得られた証拠資料に関する記載も含まれるのが通常であり,このような文書を開示することによって,当該第三者から得られた証拠資料の内容も明らかにされることとなり,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがある。また,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,捜査関係者,当該刑事事件の令状担当裁判官及び公訴提起後の係属裁判所の者に呈示することが通常予定されており,それ以外の者への呈示が予定されているものではなく,犯罪事実や証拠隠滅,逃亡のおそれ等についての捜査官の判断,今後の捜査方針等が記載されていることも多く,これが開示されれば,捜査官において,どのような証拠が揃った場合に,どのようなタイミングで強制捜査に着手するのかが明らかになることから,その開示により今後の同種事件における捜査,公判の運営等に支障を生じさせるおそれがある。 なお,仮に本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に申立人が主張するような本件刑事事件の証拠であるA子及びBの証言内容やFの供述書の内容と同様の内容が記載されているとしても,当該第三者が刑事事件の公判で証言をしたり,当該第三者の供述書が提出され たことをもって,これらの者 の証拠であるA子及びBの証言内容やFの供述書の内容と同様の内容が記載されているとしても,当該第三者が刑事事件の公判で証言をしたり,当該第三者の供述書が提出され たことをもって,これらの者が当該証拠資料記載に係る事項に関するプライバシーを放棄しているとは直ちにいえない。また,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に記載されている第三者のプライバシーの内容が,申立人が指摘する事項にとどまっているかどうかも明らかではなく,異なっている可能性もある。したがって,申立人が主張する上記事実があるからといって,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示することにより第三者のプライバシーを侵害するおそれがないとはいえない。 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)には,本件刑事事件とは何ら関わりのない通話の相手方である第三者との生のやり取りが記載されており,関係者の名誉,プライバシーに関する事項が含まれる可能性があり,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を開示することは,関係者の名誉,プライバシーを侵害するおそれがあるとともに,本件刑事事件にのみ使用されるという前提で任意に捜査に協力した第三者の信頼を裏切ることになり,ひいては,将来の捜査において国民一般の協力を得られなくなるというおそれがある。 また,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,春日井署が,第三者から,本件刑事事件に使用するとの前提で提出された内容を含むものであって,これを安易に開示することは,任意に捜査に協力した第三者の信頼を裏切るものであって,ひいては,将来の捜査への国民の協力に悪影響を及ぼす可能性も否定できない。また で提出された内容を含むものであって,これを安易に開示することは,任意に捜査に協力した第三者の信頼を裏切るものであって,ひいては,将来の捜査への国民の協力に悪影響を及ぼす可能性も否定できない。また,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)には,被疑者・被告人のみならず,第三者である乗務員の情報も含まれる可能性が高いから,これを開示すれば,第三者のプライバシーを侵害するおそれなどの弊害も否定できない。 なお,仮に本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)に,Fの供述書と同様の内容が記載されているとしても,Fの供述書が提出されたことをもって,Fが当該証拠資料記載に係る事項に関するプライバシーを放棄しているとは直ちにいえないし,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)に記載されている内容が事務的な情報であるか否かの問題は,第三者のプライバシーに係る事項に当たるか否かの問題とは次元を異にする。 また,法92条1項は,「当事者」の秘密が記載されている部分の閲覧制限ができることを定めた規定であり,第三者のプライバシーに関連する記載部分の閲覧制限をすることはできないから,申立人の,第三者に関するプライバシーを侵害する恐れのある事項が記載されている場合は,文書を開示した上,閲覧制限をすることも可能であるとの主張は,失当である。 本件文書5(捜索差押許可状請求書)について一般に,捜索差押許可状請求書は,処分を受ける者に対して呈示されることは予定されていないし,捜査,公判の運営等に支障を生じさせるおそれのある事項が記載されており,開示することによる弊害のおそれもあり,仮に公開されれば,捜査官においてどのようなタイミングで捜索差押ないし身体検査を実施しようとするのかが明らかになることとなり おそれのある事項が記載されており,開示することによる弊害のおそれもあり,仮に公開されれば,捜査官においてどのようなタイミングで捜索差押ないし身体検査を実施しようとするのかが明らかになることとなり,同種事件における罪証隠滅,犯人の逃亡を容易にするおそれがある。 本件文書6(身体検査令状請求書)について本件文書6(身体検査令状請求書)は,通常,処分を受ける者への呈示が予定されておらず,捜査,公判の運営等に支障を生じさせるおそれのある事項が記載されており,開示することによる弊害のおそれもあり,仮に公開されれば,捜査官においてどのようなタイミングで身体検査を実施しようとするのかが明らかになることとなり,同種事件における罪 証隠滅,犯人の逃亡を容易にするおそれがある。 本件文書8(関係書類追送書)について送致書や本件文書8(関係書類追送書)には,送致される捜査書類の目録が記載されるのが通常であるところ,このような捜査書類目録中の文書の標目には,作成者が,いかなる者からいかなる証拠資料を得たかとの情報が判明するものも少なくないのであって,このような文書を開示することによって,本件刑事事件と何ら関わりのない第三者の氏名や,同人から得られた証拠資料の概要が明らかにされることとなり,これに第三者のプライバシーに関する事項が含まれる結果,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがあるし,ひいては,任意で捜査に協力して証拠資料の提出をした当該第三者の信頼を裏切る行為として,将来の捜査への国民の協力に悪影響を及ぼすおそれがある。 第3 当裁判所の判断 1 一件記録によると,前記第2の2の「本件申立てに関係する前提事実(手続の経過等)」に加え,以下の事実が認められる。 申立人は,平成20年5月29日午前1 がある。 第3 当裁判所の判断 1 一件記録によると,前記第2の2の「本件申立てに関係する前提事実(手続の経過等)」に加え,以下の事実が認められる。 申立人は,平成20年5月29日午前1時40分ころ,愛知県春日井市(以下略)付近路上で,小牧市内の自宅へ帰るA子を客としてタクシーに乗車させ,午前2時ころ,A子の自宅付近において下車させた。 A子は,同日午後5時ころ,Bとともに,春日井営業所を訪れ,申立人がA子の体を触ったなどと苦情を述べ,F及び申立人と話をしたが,申立人は,A子の言い分を認めず,話が進まなかった。Fは,A子に対し,被害があったのであれば警察に届けるように言った。 A子は,平成20年5月29日午後6時過ぎころ,Bとともに春日井署を訪れ,申立人が,タクシーの中でA子の乳房を触る,A子に口淫させるなどの性交類似行為を行った旨の申告をした。そのため,春日井署は,上記事実について捜査を開始した。 春日井署は,平成20年6月20日,Fに対し,前記のA子の申告について,電話で事情聴取した。Fは,申立人とA子との間でトラブルがあったこと,同年5月29日に申立人の乗客であった若い女性(A子)とその交際相手が春日井営業所を訪問して,乗客であるA子の体を申立人が触ったなどと言ったこと,これにFと申立人が対応したが,申立人はA子の言い分を認めなかったため,話が物別れに終わったことなどを説明し,春日井署は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)のうち少なくとも1通を作成した。 春日井署は,平成20年6月23日,Fから申立人の乗務員日報,運転者台帳,始業終業乗務員点検簿及び顧客情報の任意提出を受けたことから,それぞれ謄本を作成し,乗務員日報,運転者台帳及び始業終業乗務員点検簿の謄本を添 20年6月23日,Fから申立人の乗務員日報,運転者台帳,始業終業乗務員点検簿及び顧客情報の任意提出を受けたことから,それぞれ謄本を作成し,乗務員日報,運転者台帳及び始業終業乗務員点検簿の謄本を添付した各捜査報告書(乗務員日報につき甲6,運転者台帳及び始業終業乗務員点検簿につき本件文書3)を作成した。 春日井署は,A子の事情聴取や,タクシーの走行経路についてのA子の引き当たり捜査等を行い,平成20年8月12日,春日井簡裁裁判官に対し,申立人が,「平成20年5月29日午前1時55分ころ,愛知県春日井市(以下略)から愛知県小牧市(以下略)を走行中の普通乗用自動車(登録番号以下略)内において,A子が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,現金1万円の対償を供与した上,自己の性的好奇心を満たす目的で,同児童の乳房を弄び,膣内に手指を挿入し,自己の陰茎を同児童に口淫させるなどし,もって,児童買春をしたものである。」との被疑事実による申立人の逮捕状を請求するとともに,検査すべき身体を申立人の陰茎とする身体検査令状及び捜索すべき場所を申立人宅及び申立人使用車両とする捜索差押許可状の発付を請求した(逮捕状について本件逮捕状請求書(甲39,別紙2),身体検査令状について本件文書6,捜索差押許可状について本件文書5により請求)。 春日井簡裁裁判官は,同日,本件逮捕状(甲38),本件身体検査令状(甲52)及び本件文書4(捜索差押許可状)を発付した(甲38,39,52)。 春日井署警察官及び愛知県警察本部刑事部機動捜査隊の警察官は,平成20年8月13日,申立人宅に赴き,申立人に本件文書4(本件捜索差押許可状)を示して,申立人宅及び申立人使用車両に対する捜索等を行った(本件捜索差押え)。 春日井署は,同日,申立人を通 官は,平成20年8月13日,申立人宅に赴き,申立人に本件文書4(本件捜索差押許可状)を示して,申立人宅及び申立人使用車両に対する捜索等を行った(本件捜索差押え)。 春日井署は,同日,申立人を通常逮捕し(本件逮捕),同月14日,申立人を名古屋地検検察官に送致する手続をし,名古屋地検検察官は,同日,申立人を,勾留請求し(本件勾留請求),名古屋地裁裁判官は,同日,申立人を春日井署留置施設に勾留する旨の決定をし,申立人は,同日から春日井署留置施設に勾留された(本件勾留。甲38,39,40)。 名古屋区検検察官は,平成20年8月22日,申立人を,「平成20年5月29日午前1時55分ころ,愛知県小牧市(以下略)付近路上を走行中の普通乗用自動車内において,A子が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,現金1万円を対償として供与して,同児童に自己の陰茎を口淫させるなど性交類似行為をし,もって児童買春をしたものである。」との公訴事実で略式命令を請求し(本件略式請求),名古屋簡裁裁判官は,同日,申立人を罰金40万円に処する略式命令を発し,申立人は,罰金40万円を仮納付した(甲19,乙イ23)。 申立人は,平成20年8月28日,名古屋簡裁に,前記の略式命令について正式裁判の請求をし,その後,本件刑事事件は,名古屋地裁において審理され,申立人は,無罪を主張し,A子の供述の信用性,申立人の捜査段階での自白の任意性及び信用性等を争った。 A子は,申立人の陰茎について,捜査段階において,春日井署司法警察員に対しては,以下のアないしウのとおり,一貫して申立人の陰茎にイボがあった旨の供述をし,その図面まで作成していたのを,名古屋地検検察官に対 しては,以下のエのとおり,イボがあったとは自信を持っていえないなどと供 いしウのとおり,一貫して申立人の陰茎にイボがあった旨の供述をし,その図面まで作成していたのを,名古屋地検検察官に対 しては,以下のエのとおり,イボがあったとは自信を持っていえないなどと供述を変遷させ,本件刑事事件の公判期日においては,以下のオのとおり,上記のように供述を変えた理由について証言するなどした。 ア平成20年5月29日(甲20,乙イ1。司法警察員に対し。)「フェラチオをするときに分かったのですが,亀頭のカリの部分に,何個かのイボイボがあったので,イボか出来物かなと思いました。」(12,13頁)イ平成20年7月25日(甲4,乙イ7。司法警察員に対し。)「チンコの先っぽの方にイボイボが10個くらいあるなんでイボイボがあるんだろうと思っていたのでした。」(2,3頁)ウ平成20年8月5日(甲21,乙イ8。司法警察員に対し。)「チンコの先っぽの少し下に小さなイボが10個くらいあったことを目では見てはいませんが,唇や舌で感じたのでした。」(2頁),「これまでチンコにイボが付いている人はいなかったので,チンコにイボイボがあるなんて初めてだと思い,とても印象に残っているのです。」(2,3頁)などと述べ,さらに,「イボの状況」と題する図面を書き,イボの形状を具体的に説明するなどした。 エ平成20年9月4日(甲26,乙イ20。検察官に対し。)「私は,警察官に運転手のおじさんのチンコの先っぽのほうに,イボが10個くらいあったとお話ししましたが,タクシーの中はとても暗く,目で見て直接確認したわけではありません。私がフェラチオをしているときに,口や舌の感覚でイボがあると感じただけで,男の人のチンコの形が状況によって変わることからしても,イボがあったとは自信を持って言えません。」(7,8頁)オ平成 私がフェラチオをしているときに,口や舌の感覚でイボがあると感じただけで,男の人のチンコの形が状況によって変わることからしても,イボがあったとは自信を持って言えません。」(7,8頁)オ平成21年8月26日の第1回公判期日(甲27,乙イ22)「で,9月4日の検察官調書を見ると,検察官調書では,何て答えたか覚 えていますか。」との質問に対して,「・・・なかった。」と証言し,「これを見ると,いぼがあったか自信を持って言えませんというふうになってますよね。で,検察官の取調べのときに,いぼについて,何か言われたんですか。」との質問に対して,「言われました。」と証言し,さらに,「何て言われたんですか。」との質問に対して,「調べるとか。」と証言し,「調べて,どうだと言われましたか。」との質問に対して,「違ったと。」と証言した(43,44頁)。 A子は,タクシーの中で母親から電話があった時間について,捜査段階では,以下のアないしカのとおり供述し,当初は,フェラチオ(口淫)を止めたところで電話があった旨の供述をしていたのを,その後,これを変更し,フェラチオの最中に電話があった旨の供述を繰り返していたのに,本件刑事事件の公判期日においては,さらに,これを変更して,以下のキのとおり証言した。 ア平成20年5月29日(甲20,乙イ1。司法警察員に対し。)「フェラチオはしてあげたのですが,(中略)全然元気にならないので,少ししてフェラチオを止めました。そうこうしているところで,私の携帯電話に母ママから電話が掛かってきました。」(13頁)イ平成20年7月16日(甲2,乙イ4。司法警察員に対し。)「写真番号24番には,『母ちゃん』とありますが,これは私の母の使っている携帯電話番号で,私がタクシーの中で運転手にフェラ 3頁)イ平成20年7月16日(甲2,乙イ4。司法警察員に対し。)「写真番号24番には,『母ちゃん』とありますが,これは私の母の使っている携帯電話番号で,私がタクシーの中で運転手にフェラさせられている最中に母から架かって来た電話なのです。それが,5月29日午前1時55分であることが確認できます。」(4頁)ウ平成20年7月16日(甲3,乙イ5。司法警察員に対し。)「電話が鳴っていたのでフェラを止めて,電話の相手を確認すると母からだったのですが(中略),その時に,Gだと思った覚えがあり,そう思っているとタクシーはじきにHに着いた覚えですので,母から電話 が入ってきた午前1時55分ころ,私が申立人にフェラさせられていたのは,申立人さんが運転するタクシーが愛知県小牧市地内を走行中であったことは間違いないのです。」(5頁)エ平成20年7月25日(甲4,乙イ7。司法警察員に対し。)「私は,好きでもない人のチンコをしゃぶらされ,本当に涙が出るくらいイヤな気持ちだったのです。そうしている時に,私の携帯電話が振動したので,私は,自分の携帯電話を手に取り確認したのです。すると,母から私に架かってきた電話でしたので出るのをやめたのでした。」(3頁)オ平成20年8月5日(甲23,乙イ9)「フェラさせられている最中の午前1時55分ころには,私の携帯電話に母から電話が入ってきたことは前にお話ししたとおりです。私は,母からの電話を区切りにフェラを止めたのですが,フェラを止めるとじきに私が降車場所として指定したH店の前に着いたのでした。」(4頁)カ平成20年9月4日(甲26,乙イ20。検察官に対し。)「私がフェラチオをしているとき,私が鞄の中に入れておいた携帯電話に着信があり,振動しているのがわかりま 着いたのでした。」(4頁)カ平成20年9月4日(甲26,乙イ20。検察官に対し。)「私がフェラチオをしているとき,私が鞄の中に入れておいた携帯電話に着信があり,振動しているのがわかりました。(中略)このとき,タクシーの外を見ると,私の家の近くにあるGという大きな工場があるのが見えました。」(8頁)キ平成21年8月26日の第1回公判期日(甲27,乙イ22)「お母さんからの電話の着信があったとき,あなたは,何をしていたんですか。」との質問に対し,「・・・何もしていないとき。」と証言し,「前の話では,あなたがフェラをしていたときに,鳴ったということだったようですが,そこのところも,ちょっと違ってくるんですかね。」との質問に対し,「はい。」と証言し,「何もしていない状態のときに,鳴ったと。」との質問に対し,「はい。」と証言し,「今です ね,着信があったときの状況を話してもらったんですけども,なぜそういうふうに思い出したんでしょうか。なぜ今ね,停止したときに着信があったというふうにお答えになったんですけども,なぜそういうふうに思ったんでしょう?」との質問に対し,「思い出したからです。」と証言した(59,61頁)。 名古屋地裁は,平成21年12月4日,本件刑事事件について,A子の供述及び申立人の捜査段階での自白の信用性をいずれも否定し,申立人がA子と性交類似行為等をしたと認めるについては合理的疑いを差し挟む余地があり,公訴事実について犯罪の証明がないなどとして,申立人に対し,無罪判決を言い渡し,同判決は,同月19日,確定した(甲1)。 申立人は,基本事件の平成22年7月23日付け「訴状」において,「8月19日の取調べについては,原告は,『もう私はそのときはぜんぜんわかりません』という状況の下で行われ 日,確定した(甲1)。 申立人は,基本事件の平成22年7月23日付け「訴状」において,「8月19日の取調べについては,原告は,『もう私はそのときはぜんぜんわかりません』という状況の下で行われた。取調べ中検事から電話があり,『原告の陰茎にイボがあるかどうか』という問い合わせがあった。そこで原告は自ら陰茎をI刑事に見せイボのないことを確認させたが,これらは調書には書いてもらえなかった(甲18号証)。」(14,15頁),「J検察官はその供述が信用できるかを確かめるべく,8月19日,原告が当時勾留されていた春日井警察署に電話をし,I刑事らに,被告人のイボがあるかないかの問い合わせをした。そして,I刑事は,原告の陰茎を実際に見て,イボのないことを確認し,それはJ検察官に伝えられた」(17頁)などと主張した。 これに対し,相手方は,平成22年10月1日付け「被告国第1準備書面」において,「J検察官が,警察官において原告を取り調べていることを認識した上,警察官に対して原告の陰茎のイボの有無を問い合わせた事実はない。なお,J検察官が平成20年8月20日までの間に,原告の陰茎を確認したか否かを電話で警察官に尋ねた事実はあるが,その際,応 対した警察官からは,『確認していない』旨の回答を受けたにとどまる。 その後もJ検察官は,警察官からの原告の陰茎を実際に見てイボがないことを確認したなどという報告を受けておらず,また,警察官に対して原告の陰茎のイボに係る調査を指示した事実もなかった。」(5,6頁)などと主張した。 愛知県は,平成22年10月1日付け「第1準備書面」において,「8月19日の取調べ中に検察官から電話があり,『原告の陰茎にイボがあるかどうか』という問い合わせがあった事実,原告がI巡査に陰茎を見せイボのないことを確認さ 0月1日付け「第1準備書面」において,「8月19日の取調べ中に検察官から電話があり,『原告の陰茎にイボがあるかどうか』という問い合わせがあった事実,原告がI巡査に陰茎を見せイボのないことを確認させたが,これらは調書に書いてもらえなかった事実はいずれもない。上記取調べにおいて,I巡査は『チンコに特徴があるのか。他人と違うところとか,大きいとか小さいとか。』と原告に尋ねたところ,原告はズボンを降ろしてその陰茎を見せようとした。本来であれば,被疑者の陰茎を確認するような行為は身体検査令状に基づきなされるべきであり,令状の執行なしに原告の陰茎を確認すれば,捜査の任意性を疑われるおそれがあったことから,I巡査は原告の陰茎を確認することなく,原告にズボンを上げるよう指示しており,その陰茎にイボがあったかどうかまでは確認していない。」(12頁),「この取調べにおいて,I巡査は原告に『チンコに特徴があるのか。他人と違うところとか,大きいとか小さいとか。』とその陰茎の特徴を尋ねたところ,原告は『いやないですよ。そりゃあ,大きくはないですけど,男同士なら別に恥ずかしくないから見せます。』等と言って椅子に座ったまま横を向き,椅子から立ち上がりながらズボンを下げようとした。本来であれば,被疑者の陰茎を確認するような行為は身体検査令状に基づきなされるべきであり,令状の執行なしに原告の陰茎を確認すれば,捜査の任意性を疑われるおそれがあったことから,I巡査は原告の陰茎を確認することなく,原告にズボンを上げるよう指示したところ,原告はこれに応じた。なお,原告に対する身体検査 令状の執行の当否につき,春日井署は原告が既に犯行を認め,その状況を詳細に供述していたことから,敢えて原告の陰茎を確認してこれを証拠化することは,原告に精神的・身体的苦痛を与えるとし 検査 令状の執行の当否につき,春日井署は原告が既に犯行を認め,その状況を詳細に供述していたことから,敢えて原告の陰茎を確認してこれを証拠化することは,原告に精神的・身体的苦痛を与えるとして執行しなかった。」(33頁)などと主張した。 2 本件各文書の取調べの必要性 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)一件記録によれば,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,本件刑事事件の逮捕状,捜索差押許可状及び身体検査令状の請求時までの捜査についての総括的な内容が記載された捜査報告書及び申立人に対する上記のような各令状に基づく強制捜査の必要性に関する春日井署捜査官の意見等が記載された捜査報告書であることが認められる。本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,本件逮捕状請求書(甲39)において,別紙2のとおり,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の疎明資料として,真っ先に掲げられ,その後に,その他の資料が箇条書きで挙げられており,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」について,本件逮捕状請求書(甲39)には,文章による説明は全くないから,本件逮捕状の請求に当たっての重要な疎明資料として裁判官に提出され,かつ,本件逮捕状請求書(甲39)の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」を具体的に文章で説明し,本件逮捕状請求書(甲39)の記載を補完等するものとして裁判官に提出されたものであることが認められる。 そして,申立人は,基本事件において,本件逮捕及び本件勾留請求の違法性等を主張しているのであるから,これらの違法性等を判断するにあたっては,本件逮捕及び本件勾留請求の各時点での,申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由や,本件逮捕及び本件勾留請求の 求の違法性等を主張しているのであるから,これらの違法性等を判断するにあたっては,本件逮捕及び本件勾留請求の各時点での,申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由や,本件逮捕及び本件勾留請求の必要性について,A子の供述の信用性,その裏付け資料の有無や,これらに関する捜査官の判断 の合理性を捜査の過程に即して詳細に検討する必要があり,そのためには,上記各時点において,捜査官が,どのような資料をもとに,どのような事実を把握し,それに基づきどのような判断をしていたのかを,当時作成された資料等に基づいて,具体的に明らかにする必要がある。例えば,本件逮捕状請求書(甲39)には,別紙2のとおり,「被疑者の逮捕を必要とする事由」として,「被疑者は違法性を十分認識したうえで本件犯行を敢行しており」などと記載されているところ,具体的にどのような事実から「被疑者は違法性を十分認識し」ていたとしているのか,本件逮捕状請求書(甲39)自体では明らかにされておらず,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を取り調べることによって明らかにする必要がある。そして,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」については,本件逮捕状請求書(甲39)には,別紙2のとおり上記のような記載さえも全くないのであるから,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を取り調べることによって,これを具体的に明らかにすることが不可欠である。 ちなみに,犯罪捜査規範において,「逮捕権は,犯罪構成要件の充足その他の逮捕の理由,逮捕の必要性,これらに関する疎明資料の有無,収集した証拠の証明力等を充分に検討して,慎重適正に運用しなければならない。」(118条)とされ,「通常逮捕状を請求するときは,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること及 料の有無,収集した証拠の証明力等を充分に検討して,慎重適正に運用しなければならない。」(118条)とされ,「通常逮捕状を請求するときは,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること及び逮捕の必要があることを疎明する被害届,参考人供述調書,捜査報告書等の資料を添えて行わなければならない。」(122条1項)とされているのであり,「捜査報告書」は,逮捕状請求における資料として明示的に列挙されているのである。 さらに,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,本件文書5(捜索差押許可状請求書)及び6(身体検査令状請求書)とともに春日井簡裁裁判官に提出されているのであるから,申立人宅及び申立人使用車両に対する捜索差押えや申立人の陰茎に対する身体検査の必要性等について も記載されている可能性が高く,この点でも基本事件の審理において極めて重要な証拠である。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,上記のとおり,正に捜査官が本件逮捕状(甲38)を請求するにあたって作成した資料であり,逮捕状発付にあたって裁判官が閲読して検討する疎明資料である。逮捕状請求時点での,捜査官の把握していた資料や,それについての捜査官の認識を明らかにするためには,上記のとおり,その当時作成された客観的資料を取り調べることが必要不可欠であって,捜査官がその後に作成した陳述書や,捜査官の証人尋問によって代替できるものではない。捜査官の陳述書や証人尋問においては,時間の経過による記憶の減退や,陳述書作成時ないし証言時における捜査官の主観が混入することにより,当時の客観的な状況を再現できるとは限らないし,前記第2の2,及びないしのような,刑訴法219条1項及び犯罪捜査規範196条2項に反する本件身体検査令状(甲52)及び本 混入することにより,当時の客観的な状況を再現できるとは限らないし,前記第2の2,及びないしのような,刑訴法219条1項及び犯罪捜査規範196条2項に反する本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の不正な取扱いの状況等に鑑みると,偽証等の可能性も否定できないからである。 そして,陳述書を作成したり証人として証言したりするについて,捜査官が,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を閲読したりすることもその内容を代理人等から教示されたりすることもなく陳述書の作成や証言をするとすれば,上記のとおり陳述書や証言は不正確なものとならざるを得ないものであるし,捜査官が,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を閲読したり,その内容を代理人等から教示されたりした上で陳述書を作成したり証言したりするとすれば,申立人やその訴訟代理人が本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を閲読できず,その内容を知ることができない場合には,証拠の偏在により極めて不公平な事態が生じることになるのであって,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の提出なしに基本事件の審理を行うことは,民事訴訟におけ る武器平等の原則に反することになって,公正,誠実ではないことになり,裁判所及び当事者の責務(法2条)にも反するもので,民事訴訟手続として到底容認できるものではない。 したがって,基本事件において,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を取り調べる必要がある。 相手方は,基本事件における争点との関係では,逮捕状を請求した捜査官の陳述書を作成するか,証人尋問等を実施するのが最も有用であり,申立人が捜査官の陳述書や証言内容に疑義を抱いたら,その旨を指摘し,主張すればよく,捜査官の証人尋 との関係では,逮捕状を請求した捜査官の陳述書を作成するか,証人尋問等を実施するのが最も有用であり,申立人が捜査官の陳述書や証言内容に疑義を抱いたら,その旨を指摘し,主張すればよく,捜査官の証人尋問を行わずに,その記載内容をして捜査機関の認識が間接的に推認されるにすぎない本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の取調べが不可欠ということはできず,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を取り調べる必要性は高くないなどと主張する。 しかし,基本事件において逮捕や勾留請求の違法性等が争点とされている場合において,その当時作成された客観的な資料と,捜査終了後に作成される陳述書等の証拠や証言との間には,上記のとおり,証拠としての価値に質的な違いがあるのであり,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の取調べは,捜査官の陳述書や証人尋問によって代替できるものではあり得ない。また,相手方は,「捜査官の証人尋問を行わずに」などと主張するが,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の提出については,捜査官の証人尋問をしないことが前提となっているものではなく,捜査官の証人尋問を行う前提であっても,上記のとおり,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の取調べは必要不可欠であり,相手方の主張はその前提においても誤っている。 以上のとおり,相手方の主張は,申立人に基本事件の審理に必要な資料を渡さず,いわばブラックボックスにしておいて,それを探り当てて,攻撃し てみよと言うに等しいものであって,理由がない。 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)一件記録によれば,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は,春日井署が春日井営業所から聴取した内容についての電話通信書であ 。 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)一件記録によれば,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は,春日井署が春日井営業所から聴取した内容についての電話通信書であることが認められる。本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は,別紙2のとおり,本件逮捕状請求書(甲39)において,申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由の疎明資料として掲げられており,本件逮捕状(甲38)の請求に当たって,疎明資料として裁判官に提出されたものであり,本件逮捕及び本件勾留請求の違法性等を判断するに際して重要な資料である。 したがって,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)と同様,基本事件において本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を取り調べる必要がある。 相手方は,前記と同様,捜査官の陳述書や証人尋問等によって本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)の取調べを代替できるなどと主張する。しかし,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)は,逮捕状等の請求当時に捜査官が有していた客観的資料であり,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)と同様に,捜査官の陳述書や証人尋問によって代替できるものではない。 また,相手方は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)に記載されていると推認される内容は,申立人と愛知県との間で争いがなく,相手方も争うものではないから,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を取り調べる必要はないなどと主張する。しかし,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)に,申立人と愛知県や相手方との間で争いのない事項のみが記載されているとは限らないのであり,基本事件において本件逮捕及び本件勾留請求の違法性等を判 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)に,申立人と愛知県や相手方との間で争いのない事項のみが記載されているとは限らないのであり,基本事件において本件逮捕及び本件勾留請求の違法性等を判断するにあたって,当 時の原資料である本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を証拠として取り調べる意義は大きく,取調べの必要がある。また,申立人と相手方や愛知県の主張が一致しているのは概括的な部分であり,基本事件の性質上,概括的なところで主張が一致しているからといって,具体的な資料の検討を不要とすることはできず,相手方がこれを嫌うのは,そこに相手方や愛知県に不利ないし不利となる可能性のある記載があり,これを発見されるのを恐れているといった可能性もある。しかも,A子の供述は,前記1及びのとおり変遷しているなど,その信用性については全体として疑問があるものであり,最初の段階で春日井営業所を訪れたときに,A子がどのようなことを述べていたのかなどについての資料(とりわけ早い段階のもの)は,これらをA子の後の供述と対比させる必要性も高く,極めて重要である。 そして,これらを取り調べない場合には,基本事件の審理を進めるに当たって,これらを閲読することができ,その内容を知ることができる相手方と,それができない申立人との間に看過できない不公平が生じることは前記と同様である。 したがって,相手方のこの点に関する主張は,理由がない。 本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)一件記録によれば,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,春日井署が春日井営業所から任意提出を受けて謄本を作成した運転者台帳及び始業終業乗務員点呼簿に基づいて作成した捜査報告書であることが認められる。 本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,別紙2のとお 日井署が春日井営業所から任意提出を受けて謄本を作成した運転者台帳及び始業終業乗務員点呼簿に基づいて作成した捜査報告書であることが認められる。 本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,別紙2のとおり,本件逮捕状請求書(甲39)における「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の疎明資料として掲げられており,本件逮捕状(甲38)の請求に当たっての疎明資料として裁判官に提出されたものであり,本件逮捕及び本件勾留請求の違法性等を判断するための重要な資料である。 また,基本事件において,申立人は,警察官及び検察官が,A子の携帯電 話の着信履歴(甲5)及び乗務員日報(甲6)と,A子の走行経路に関する引き当たり捜査の結果(甲7)を比較して,口淫の最中に母親から電話があり,母親から電話があった際,車の外を見ると,Gの大きな工場が見えたというA子の供述の信用性について検討すべきところ,検察官はこれを怠ったなどと主張していること(平成22年7月23日付け訴状22頁),A子のこの点に関する供述は,前記1のとおり変遷していることからすると,基本事件において,本件逮捕,本件勾留請求及び本件略式請求等の違法性を判断する方法の1つとして,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)により,タクシーの走行経路やA子の乗車,降車時間及びこれに関連する客観的な状況をできるだけ明らかにし,A子の供述と対比することなどにより,本件逮捕等の必要性,相当性を検討する必要があり,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,基本事件の争点について,極めて重要な証拠となる可能性がある。 したがって,基本事件において,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)を取り調べる必要がある。 相手方は,前記と同様,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)の内容は,捜査官の陳述書 がある。 したがって,基本事件において,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)を取り調べる必要がある。 相手方は,前記と同様,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)の内容は,捜査官の陳述書や証人尋問等で代替できるなどと主張するが,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)は,逮捕状等の請求当時に捜査官が有していた客観的資料であり,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)及び2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)と同様,捜査官の陳述書や証人尋問によって代替できるものではなく,相手方の上記主張は,理由がない。 また,相手方は,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)について,春日井署がFから乗務員日報(甲6),運転者台帳,始業終業乗務員点検簿,顧客情報の任意提出を受け,これらを領置し,それぞれ謄本を作成したことや,これらの書類に基づくものと推認される愛知県の主張等について争いは ないから,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)を取り調べる必要はないなどと主張する。 しかし,そもそも,基本事件において,A子のタクシーへの乗車時間や降車時間等の客観的な事実は必ずしも具体的に特定され,明らかになっているとはいえないし,申立人と相手方や愛知県との間で争いのない事項のみが記載されているとは限らないのであり,前記のとおり,相手方や愛知県に不利な記載がされている可能性もあるのであって,基本事件において本件逮捕,本件勾留請求及び本件略式請求等の違法性を判断するにあたって,当時の原資料である本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)を証拠として直接取り調べることが不可欠である。また,これを取り調べないことによって生じる相手方と申立人との間の不公平等は前記及びで述べたところと同様である。 したがって,相手方のこの点に関する主 として直接取り調べることが不可欠である。また,これを取り調べないことによって生じる相手方と申立人との間の不公平等は前記及びで述べたところと同様である。 したがって,相手方のこの点に関する主張は,いずれも理由がない。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)一件記録によれば,申立人は,基本事件において,本件捜索差押えは申立人のプライバシーを何ら考慮しない不当,違法なものであり,また,捜索差押許可状請求当時に犯罪の嫌疑の相当性もなく,捜索,差押えの必要性もなかったなどとして,本件捜索差押えの違法を主張し,愛知県はこれを争っている。 したがって,基本事件において,本件捜索差押えの違法性等を判断するためには,捜索差押許可状の請求当時,捜査官がどのような資料を所持し,どのような資料に基づいて,どのような理由により捜索差押許可状を請求したのか,そもそもどのような内容の捜索差押許可状を請求し,発付を受けたのか,何を「差し押さえるべき物」としたのか,どのような態様の捜索差押えを行ったのかなど,本件捜索差押えについての客観的状況等を明らかにする 必要がある。 本件文書4(捜索差押許可状)は,正に本件捜索差押えを春日井署が行う根拠となった客観的な書類である。そして,本件文書5(捜索差押許可状請求書)には,「差し押さえるべき物」,「捜索すべき場所,身体若しくは物」等を記載すべきものとされ,(犯罪捜査規範46条に基づく司法警察職員捜査書類基本書式例(最高検察庁企第54号。以下「書式例」という。)様式第24号),本件文書7(捜索・差押調書)には,「捜索差押えの場所,捜索した身体又は物」,「捜索の目的たる人又は捜索差押えの目的たる物」,「捜索差押えの立会人」,「差押えをした物」,「捜索差押 様式第24号),本件文書7(捜索・差押調書)には,「捜索差押えの場所,捜索した身体又は物」,「捜索の目的たる人又は捜索差押えの目的たる物」,「捜索差押えの立会人」,「差押えをした物」,「捜索差押えの経過」等を記載すべきものとされており(書式例様式第31号),「捜索差押えの経過」としては,物の所在発見場所,発見者,発見の経緯等を含め,捜索差押えの経過及び結果などを具体的に記載することが求められていると解される。そうすると,基本事件においては,何を「差し押さえるべき物」としたのか,どのような捜索差押えをしたのかなどの本件捜索差押えについての客観的状況等を明らかにするために,本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)を取り調べる必要がある。 相手方は,申立人の愛知県に対する損害賠償請求の違法原因として本件捜索差押えの違法性を主張するのかが不明確であり,その内容もあいまいであるなどと主張するが,申立人の主張は上記のとおりと解されるのであるし,申立人は本件勾留請求や本件略式請求の違法性も主張しているのであり,これらを判断するためには,本件捜索差押えの態様や結果がどうであったかなども重要な事実なのであるから,相手方の主張は理由がない。 また,相手方は,本件文書5(捜索差押許可状請求書)の記載内容は,刑訴規則155条1項所定の事項にすぎず,本件文書6(身体検査令状請求書)の記載内容も,刑訴法219条所定の事項にすぎないから,取調べの必要はないなどと主張するが,基本事件においては,上記のとおり,捜索,差押え の具体的,客観的な状況を明らかにする必要性が高いのであり,この点に関する相手方の主張は,理由がない。なお,相手方は,捜索の結果,現に証拠品が差し押さえられたのであれば,刑訴法220条,120条に の具体的,客観的な状況を明らかにする必要性が高いのであり,この点に関する相手方の主張は,理由がない。なお,相手方は,捜索の結果,現に証拠品が差し押さえられたのであれば,刑訴法220条,120条に基づき,被押収人である申立人に対して押収品目録が交付されていると解されるから,申立人が主張するように,結果として何が差し押さえられたのかが全く明らかになっていないということはないなどと主張するが,押収品目録には,押収された物の品名や数量,被差押人,差出人又は遺留者の住居,氏名及び所有者の住居,氏名等が記載されるにすぎないところ(書式例第33号),上記のとおり,本件文書5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)のうち,本件文書5(捜索差押許可状請求書)には,「差し押さえるべき物」,「捜索すべき場所,身体若しくは物」等を記載すべきものとされ,本件文書7(捜索・差押調書)には,「捜索差押えの場所,捜索した身体又は物」,「捜索の目的たる人又は捜索差押えの目的たる物」,「捜索差押えの立会人」,「差押えをした物」,「捜索差押えの経過」等を記載すべきものとされており,「捜索差押えの経過」としては,物の所在発見場所,発見者,発見の経緯等を含め,捜索差押えの経過及び結果などを具体的に記載することが求められていると解されるのであって,これらの記載内容を比較すれば,本件捜索差押えの客観的,具体的な状況を明らかにするために,申立人が押収物目録を基本事件において書証として提出したとしても,それだけでは捜索差押えの具体的経過等,本件捜索差押えの具体的,客観的な状況が明らかになるとはいえず,不十分であり,このような本件捜索差押えの客観的状況を明らかにするためには,上記のとおり本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)を取 明らかになるとはいえず,不十分であり,このような本件捜索差押えの客観的状況を明らかにするためには,上記のとおり本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)を取り調べることが必要なのであり,相手方の主張は理由がない。 そのほか,相手方は,本件捜索差押えの結果差し押さえられた証拠が明らかとなったとしても,捜査機関の証拠収集手段は捜索差押えに限定されない から,この点をもって,検察官が不十分な証拠しか手元になかったにもかかわらず本件略式請求をしたことが立証できるものではなく,検察官は,A子の供述調書(甲2,3,6,20,21,23,乙イ1,4,5,7ないし9),申立人の自白にかかる上申書及び供述調書(甲12,16ないし18,25,乙イ14ないし16,18及び19)並びに捜査報告書(甲7,乙イ6)等の十分な証拠に基づいて本件略式請求を行ったのであり,捜索差押えの結果のみをもって本件略式請求の違法性を主張することはできないなどと主張する。しかし,検察官は,例えば,本件文書5(捜索差押許可状請求書)で差押えの許可を求めた目的物が存在しなかったとすれば,そのような事実等も考慮した上で,勾留請求するか否かや,起訴するか否かの判断をすべきものであり,この点に関する客観的資料である本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)を隠しつつ上記のように十分な証拠に基づいて起訴したなどとする相手方の主張は,自分に都合のよい証拠のみを開示し,都合の悪い証拠を隠そうとしていることも疑われるもので,到底容認できるものではなく,失当と言わざるを得ない。また,これらを取り調べないことによって生じる相手方と申立人との間の不公平等は前記ないしで述べたところと同様である。 本件 もので,到底容認できるものではなく,失当と言わざるを得ない。また,これらを取り調べないことによって生じる相手方と申立人との間の不公平等は前記ないしで述べたところと同様である。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)一件記録によれば,前記1及びのとおり,基本事件において,I巡査が,申立人に,申立人の陰茎に特徴があるのか尋ねたこと,申立人は,ズボンを下げてIに陰茎を見せようとしたこと,この際,本件身体検査令状(甲52)が申立人に呈示されていなかったことは争いがないけれども,Iが,実際に申立人の陰茎のイボの有無を確認し,「普通のチンチンだな,変なチンチンではないな。」などと発言したか,申立人がIに上記やり取りを調書に取って欲しいと頼んだか,取調べ中などに,検察官からIに,申立人の陰茎を確認したかを尋ねる電話があったか,Iが,検察官に対し,申立 人の陰茎を確認したことを返答したか等については争いがあることが認められる。 さらに,前記第2の2ないしのとおり,春日井簡裁への本件身体検査令状(甲52)の返還が,刑訴法219条1項に反して,基本事件の訴えが提起され,申立人から基本事件においてその提出を求められた後,発付日(平成20年8月12日)から2年以上も経過した平成22年11月29日になってから行われたこと,本件文書6(身体検査令状請求書)も,他の一件記録とともにただちに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったのに,犯罪捜査規範196条2項に反して,基本事件においてその提出等が問題となった後の平成23年2月24日になって送致されたという経緯がある。そして,このような本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の不正かつ不可解な取扱いがあったことについて,申立人は た後の平成23年2月24日になって送致されたという経緯がある。そして,このような本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の不正かつ不可解な取扱いがあったことについて,申立人は,基本事件において,春日井署が本件身体検査令状(甲52)を事実上執行したものの,捜査目的に合わなかった(申立人の陰茎にイボのないことが判明した結果,A子の供述の信用性に疑問が生じた)ため,令状を執行していない扱いとし,本件身体検査令状(甲52)が発付された事実についても隠蔽するため,本件身体検査令状(甲52)を意図的に春日井簡裁に返還せず,本件文書8(関係書類追送書)についても意図的に名古屋地検検察官に送致しなかったと主張し,愛知県及び相手方はこれを争っている。 このように,基本事件では,本件身体検査令状(甲52)が申立人に呈示されていない等の事実は当事者間で争いがないとしても,上記のとおり,Iが申立人の陰茎を実際に確認したかや,検察官が春日井署に申立人の陰茎について確認したかなどの点は争いがあり,本件身体検査令状(甲52)の取扱い,執行状況に関連する事実が明らかになっているとは言い難い。そして,基本事件において,申立人は,本件身体検査令状(甲52)の取扱いや執行状況の違法,不当を主張するにとどまらず,本件身体検査令状(甲52)の 取扱い,執行状況に関連する事実を明らかにすることで,捜査機関が平成20年8月19日の取調べの時点で把握していた事実等を主張して,検察官の本件略式請求や,その後の正式裁判における公訴維持が違法であった旨主張し,相手方は,申立人の主張を争っている。このような争点との関係でも,平成20年8月19日の時点で捜査機関,特に申立人の起訴不起訴の決定権限を持つ検察官が,申立人の陰茎のイボについてどのような認識を有して 手方は,申立人の主張を争っている。このような争点との関係でも,平成20年8月19日の時点で捜査機関,特に申立人の起訴不起訴の決定権限を持つ検察官が,申立人の陰茎のイボについてどのような認識を有していたのかなどの事実が極めて重要である。もし,検察官が,申立人の陰茎について,警察官に確認させるなどして,イボがないことを認識していたとすれば,A子の供述の信用性について重大な疑問が生じるのであるから,この点に関する補充捜査等を行うことなく漫然と申立人に対する略式命令を請求し(本件略式請求),正式裁判の請求後も公訴を維持したものとして,検察官の行為が違法とされる可能性が高くなるのである。 本件文書6(身体検査令状請求書)は,本件身体検査令状(甲52)の発付の原因となった身体検査令状請求書という客観的資料であり,「身体検査を必要とする理由」等が記載されること(書式例様式第42号),本件文書8(関係書類追送書)は,春日井署が名古屋地検検察官に本件文書6(身体検査令状請求書)を送致する際に送付された文書であって,いずれも本件身体検査令状(甲52)の取扱い,執行状況等に関連する客観的資料であるから,基本事件においてこれを取り調べる必要がある。 また,本件文書8(関係書類追送書)について,相手方は,前記第2の3イのとおり,捜査関係目録中の文書の標目から,作成者がいかなる者からいかなる証拠資料を得たかの情報が判明して,第三者のプライバシーに関する事項が含まれる結果,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがあるなどと主張しており,そうすると,本件文書8(関係書類追送書)とともに春日井署が名古屋地検検察官に送致した書類には,本件文書6(身体検査令状請求書)以外の書類が存在することが推認されるのであり,そうすると, 本件身体検査令状(甲52)及 書類追送書)とともに春日井署が名古屋地検検察官に送致した書類には,本件文書6(身体検査令状請求書)以外の書類が存在することが推認されるのであり,そうすると, 本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)以外にも,春日井署が隠すなどしていた書類が存在する可能性が高いことになるのであって,このような書類は,経験則上,嫌疑を否定する方向の書類である可能性が高いことからすると,本件文書8(関係書類追送書)を取り調べる必要性は一層高くなる。 さらに,本件文書8(関係書類追送書)については,なぜ送致が遅れたかといった理由やなぜこの時期に送致するのかといった事情が記載されている可能性もあるし,これらの事情を説明する書類が添付されたり,送付されたりしている可能性もあるのである。そして,このような事情は,愛知県及び相手方の主張や,捜査官の陳述書や証言の信用性を検討する上でも重要な補助事実であり,これらを検討するために,本件文書8(関係書類追送書)の取調べの必要がある。 相手方は,前記第2の3イのとおり,申立人は,春日井署が身体検査令状を請求し,春日井簡裁裁判官から発付を受けたが執行していないとの愛知県の主張について積極的に争っていないことがうかがわれ,相手方もこれを争うものではなく,本件逮捕,本件勾留請求及び取調べの違法性等の争点について,申立人は,愛知県が提出した相当数の捜査資料を書証として引用するなどして逮捕の必要性や取調べ状況等を明らかにすることが可能であり,その上更に本件文書6(身体検査令状請求書)を取り調べることが必要不可欠とはいえないし,本件文書8(関係書類追送書)について申立人が証明すべき事実として主張する,「春日井警察署が平成23年2月24日に本件身体検査令状請求書を名古屋地検検察官に送致した事実」 必要不可欠とはいえないし,本件文書8(関係書類追送書)について申立人が証明すべき事実として主張する,「春日井警察署が平成23年2月24日に本件身体検査令状請求書を名古屋地検検察官に送致した事実」は,当事者間に争いがないから,取り調べる必要がないなどと主張する。 しかし,申立人は,基本事件において,単に本件身体検査令状(甲52)の取扱い,執行状況の違法,不当のみを主張するものではなく,上記のとおり,本件身体検査令状(甲52)で検査すべき身体とされた「申立人の陰茎」 についてのIによる確認や,その結果の検察官への連絡等の事実を主張して,本件略式請求や,その後の正式裁判における公訴維持が違法であったことを主張しているのであり,相手方や愛知県はこれを争っているのであるから,基本事件についてこれらの点が明らかになっているということはできず,本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(身体検査令状請求書)を取り調べる必要がある。そして,これらを取り調べないことによって生じる相手方と申立人との間の不公平等は前記ないしで述べたところと同様であり,本件身体検査令状(甲52)や本件文書8(関係書類追送書)の取扱いが明らかに不正でおかしく,その提出が問題とされる都度,春日井簡裁や名古屋地検検察官に送付するなど,その後の対応も不可解であることからすると,これらの取調べの必要性は高いものである。 したがって,この点に関する相手方の主張は,いずれも理由がない。 3 法220条3号後段該当性 法220条3号後段の法律関係文書とは,挙証者と文書の所持者との間の法律関係それ自体ないしそれに関連する事項を記載した文書であって,所持者が専ら自己の利用を目的として作成した内部文書を含まないと解される(最高裁平成12年3月10日第一小法廷決定・裁 所持者との間の法律関係それ自体ないしそれに関連する事項を記載した文書であって,所持者が専ら自己の利用を目的として作成した内部文書を含まないと解される(最高裁平成12年3月10日第一小法廷決定・裁判集民事197号341頁)。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)本件逮捕状(甲38)は,これを相手方所属の裁判官が発し,捜査機関により執行されることで,申立人の身体の自由を制約して,申立人にこれを受忍させるという申立人と相手方との法律関係を生じさせる文書である。そして,本件逮捕状請求書(甲39)は,逮捕状の発付を求めるために,刑訴規則142条により,捜査機関が作成することを義務づけられている文書であり,相手方所属の裁判官が逮捕状を発する前提となる請求書であるから,本 件逮捕状請求書(甲39)は,相手方と申立人との間の法律関係文書に該当する。 また,逮捕状請求に当たって,刑訴規則143条の資料として,裁判官に提供された書類についても,相手方と申立人との間の法律関係文書に該当する。これは,逮捕状の請求をするためには,刑訴規則142条により「逮捕の理由及び逮捕の必要があることを認めるべき資料」を裁判官に提供することが法令上義務づけられており,裁判官は,逮捕状請求書に添付された書類を閲読し,検討して,逮捕状を発付するか否かの判断をしているからである。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,別紙2のとおり,いずれも本件逮捕状請求書(甲39)の添付資料として,申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由や逮捕の必要性についての疎明資料ないしこ )及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,別紙2のとおり,いずれも本件逮捕状請求書(甲39)の添付資料として,申立人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由や逮捕の必要性についての疎明資料ないしこれらを説明する文書として添付された書類であり,申立人と相手方との法律関係に関連する事項が記載された文書であるから,法律関係文書に該当する。 相手方は,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,本件逮捕状請求書(甲39)の疎明資料とされているが,法律上作成が求められるものではないし,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,申立人の嫌疑の相当性を根拠付けるA子の供述の存在を前提とした上で,これを裏付ける二次的,補助的な疎明資料にすぎず,逮捕状の発付要件の存否の判断に直接影響を及ぼす事項が記載されたものとは認められないなどとして,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は法律関係文書にあたらない旨主張する。 しかし,仮に法律上作成が求められているものでないとしても,捜査機関が作成し,別紙2のとおり,自ら本件逮捕状請求書(甲39)に法令上添付が必要とされる資料として実際に添付した以上,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は法律関係文書にあたるというべきである。 そして,相手方は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)について,「二次的,補助的な疎明資料にすぎず」などと主張する 書にあたるというべきである。 そして,相手方は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)について,「二次的,補助的な疎明資料にすぎず」などと主張するが,第三者的な立場にある者の供述や運転者台帳及び始業終業乗務員点検簿といった資料は,当事者的立場にあるA子の供述の信用性等を検討するための資料として極めて重要なものであって,裁判官も逮捕状等を発付するか否かを判断するために閲読し,検討するものであり,「二次的,補助的」などとしてこれらの客観的資料を軽視しようとする相手方の態度自体問題なのであり,むしろこのような点をきちんと検討しなかったことが過誤につながっている可能性があるのであるし,また,相手方は,「逮捕状の発付要件の存否の判断に影響を及ぼす事項が記載されたものとは認められない。」などと主張するが,これらを開示しないまま自分勝手な認定をしているもので,上記のようなこれらの文書の持つ資料としての重要性を認識できていない失当なものである。 そのほか,相手方は,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)について,強制捜査の必要性について主観的な意見を報告する内部文書的な性質を有するもので,裁判官がこれにより逮捕の必要性及び理由を判断することはあり得ないなどと主張する。相手方は,「内部文書的な性質を有する」などとあいまいな主張をしているが,法律上も事実認定上も意味を持ち得ない主張である。そして,相手方の主張するように,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)が,捜査官が資料を総括的に記載した 上で,強制捜査の必要性について主観的な意見を報告する文書であるとすれば,それは本件逮捕状請求書(甲39)に記載すべき内容の一部を捜査報告書に記載しているということになるのであり,別 した 上で,強制捜査の必要性について主観的な意見を報告する文書であるとすれば,それは本件逮捕状請求書(甲39)に記載すべき内容の一部を捜査報告書に記載しているということになるのであり,別紙2のとおり,本件逮捕状請求書(甲39)の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」として真っ先に掲げられ,その後に,その他の資料が箇条書きで列挙され,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」について,文章による説明が全くないことからすると,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,本件逮捕状請求書(甲39)の一部ないしこれを補完する性質を有する文書と認められるのであって,法220条3号後段所定の法律関係文書に該当することは明らかである。また,相手方は,「裁判官がこのような報告書により逮捕の必要性及び理由を判断することはあり得ず」などと主張するが,上記のとおり,本件逮捕状請求書(甲39)には,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」について文章による説明は全くないのであるし,前記2のとおり,「被疑者の逮捕を必要とする事由」についても,本件逮捕状請求書(甲39)には,「被疑者は違法性を十分認識したうえで本件犯行を敢行しており」などと抽象的な記載しかなく,具体的な内容については分からないのであるから,裁判官は,まず,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を閲読することにより,事案の概要を把握し,そこに記載されている説明等を参照してその他の資料を検討していくのであり,資料が不足していたり,これを得るために強制捜査が必要であったりする根拠については,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に記載されている説明自体が相当か否かを検討して,これを相当と認めた場合に令状を発付するのであって めに強制捜査が必要であったりする根拠については,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に記載されている説明自体が相当か否かを検討して,これを相当と認めた場合に令状を発付するのであって(一般的に行われている裁判官による令状発付に関する事務処理として当裁判所に顕著である。),相手方の上記主張は,令状発付の実態について虚偽の主張を行っているものである。 以上のとおり,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書),2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,いずれも逮捕状等の発付要件の存否の判断に直接影響を及ぼす事項が記載されているものであり,この点に関する相手方の主張は理由がない。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)捜索差押許可状(本件文書4)は,これを相手方所属の裁判官が発し,捜査機関により執行されることで,申立人が有する「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」(憲法35条1項)を制約して,捜査機関に申立人宅及び申立人使用車両を捜索し,物を差し押さえる権限を付与するものであり,申立人と相手方との間の法律関係文書に該当するし,捜索差押許可状請求書(本件文書5)も,捜索差押許可状の発付を求めるために法律上作成を要することとされている文書であり(刑訴法218条3条,刑訴規則155条1項),申立人と相手方との間の法律関係文書に該当するものというべきである(最高裁平成17年7月22日第二小法廷決定・最高裁民事判例集59巻6号1837頁参照)。 したがって,本件文書4(捜索差押許可状)及び本件文書5(捜索差押許可状請求書)は,申立人と相手方との法律関係それ自体が記載された文書であり,いず 定・最高裁民事判例集59巻6号1837頁参照)。 したがって,本件文書4(捜索差押許可状)及び本件文書5(捜索差押許可状請求書)は,申立人と相手方との法律関係それ自体が記載された文書であり,いずれも法律関係文書に該当する。 また,本件文書7(捜索・差押調書)は,警察官が,捜索差押えを行った場合に作成することが犯罪捜査規範149条1項,153条により義務づけられている文書で,捜索差押えの状況を明らかにするために作成される文書であり,捜索差押許可状が適正に執行されたかや,捜索差押許可状(本件文書4)の執行の結果等を明らかにする客観的な資料であって,捜索差押によって生じた申立人と捜査機関(愛知県所属の春日井署警察官)との法律関係 や,それに関連する事項を記載した文書であるから,本件文書7(捜索・差押調書)は,本件文書4(捜索差押許可状)及び5(捜索差押許可状請求書)と同様に,法律関係文書に該当する。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)本件身体検査令状(甲52)は,これを相手方所属の裁判官が発し,捜査機関により執行されることで,申立人の身体の自由を制約して,身体の検査を受忍させるという,申立人と相手方との間の法律関係を生じさせる文書であり,身体検査令状請求書(本件文書6)は,本件身体検査令状(甲52)の発付を求めるために法律上作成を要することとされている文書で(刑訴法218条3項,刑訴規則155条1項),相手方所属の裁判官が身体検査令状を発する前提となる請求書であるから,法律関係文書に該当する。 また,送致書は,刑訴法246条により,司法警察員から検察官に事件が送致される際に,犯罪捜査規範195条により作成が義務づけられている捜査書類であり,司法警察員から検察官に送られた証拠資料が列挙されて記載 致書は,刑訴法246条により,司法警察員から検察官に事件が送致される際に,犯罪捜査規範195条により作成が義務づけられている捜査書類であり,司法警察員から検察官に送られた証拠資料が列挙されて記載してあり,送致書が作成された段階における検察官が有していた証拠を明らかにしたものであるから,基本事件のように本件略式請求やその後も公訴を維持した検察官の判断の違法性が問題となる場合においては,送致書は,申立人と相手方との間の略式請求や公訴維持についての法律関係について記載された,法律関係文書ということができる。なお,司法警察員は,警察法により設置された警察庁又は都道府県警察に所属する警察官などであるのに対し,検察官は,検察庁法により設置された検察庁に所属している検事などであるから,両者は全く別の組織に属するし,検察官は,司法警察員が行った逮捕手続の適否や勾留の要件を独立した立場で判断すべきものであって,制度上も一体のものであってはならないことからすると,送致書が捜査機関の内部文書にあたるということはできない。 関係書類追送書は,司法警察員が検察官に事件を送致した後,犯罪捜査規 範196条2項により,検察官に関係書類を送付する際に作成することが義務づけられている捜査書類であり,追送された証拠及び資料を特定し,相手方所属の検察官に送られる捜査関係書類を特定し,その授受に遺漏がないようにする目的で作成される文書である。そして,本件文書8(関係書類追送書)は,春日井署が,法律関係文書である本件文書6(身体検査令状請求書)を,本来,他の一件記録とともに,送致書にも記載した上,直ちに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったにもかかわらず,犯罪捜査規範196条2項に違反して,本件刑事事件の確定から1年以上経過した時期に送致したことに関する文 に,送致書にも記載した上,直ちに名古屋地検検察官に送致しなければならなかったにもかかわらず,犯罪捜査規範196条2項に違反して,本件刑事事件の確定から1年以上経過した時期に送致したことに関する文書である。 そうすると,本件文書8(関係書類追送書)は,作成時期等は異なるものの,送致書と一体となる書類であって,送致書と同じ性質を有する法律関係文書である。そして,送致書に記載されて送致書とともに検察官に送付されるべき書類が除外されることによって,その書類を送付するために作成され,送付される書類が記載される関係書類追送書が法律関係文書でなくなることは背理であり,作成時期の違い等によって性質が異なってくるものではないというべきである。 さらに,申立人は,基本事件において,前記第2の3アのとおり,春日井署から,相手方所属の検察官に送致されるべき捜査関係書類である本件文書6(身体検査令状請求書)の送致等の過程に問題があったとして,愛知県に対する関係で,本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の取扱い,執行状況についての不当,違法を主張するにとどまらず,相手方に対し,相手方所属の検察官の本件略式請求や,その後の正式裁判における公訴維持が違法であった旨主張し,相手方は,申立人の主張を争っているところ,この争点との関係でも,申立人の起訴不起訴の決定権限を持つ検察官が,申立人の陰茎のイボについてどのような認識を有していたのか,どのような証拠を有していたのか等の事実が重要である。 本件文書8(関係書類追送書)は,本件略式請求やその後の公訴維持の違法という上記争点において重要な事実となっている,捜査官による申立人の陰茎のイボの確認の有無に密接に関係する,本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の やその後の公訴維持の違法という上記争点において重要な事実となっている,捜査官による申立人の陰茎のイボの確認の有無に密接に関係する,本件身体検査令状(甲52)及び本件文書6(身体検査令状請求書)の取扱いに関連して作成された文書であるから,申立人と相手方との間の法律関係に関連する事項が記載された文書ということができ,法律関係文書に該当する。また,本件文書8(関係書類追送書)は,相手方所属の裁判官が発した本件身体検査令状(甲52)を捜査機関である春日井署の警察官が事実上執行したのか否か(本件身体検査令状(甲52)を示して行うべき申立人の陰茎についての身体検査を,これを示さずに行ってしまったのか否か)という法律関係に関連する事項が記載された文書でもあるのであって,この点からも法律関係文書に該当するものである。 相手方は,本件文書8(関係書類追送書)は,事件送致の手続及び内容を明確にし,事件処理の円滑を図るために,相互の連絡用の文書として作成し,授受されるもので,申立人と相手方との間での個別の権利義務の関係が生ずるものではなく,送致書の内容は,通常,当該被疑者の氏名,送致罪名,送致年月日と送致される捜査書類の目録が記載されるにすぎず,強制捜査の令状発付要件を疎明するための資料として用いられるものでもないから,本件文書8(関係書類追送書)は法律関係文書に該当しないなどと主張する。 しかし,本件文書8(関係書類追送書)の性質や記載内容が相手方の主張するようなものであったとしても,関係書類追送書は,上記のとおり,送致書と一体となって一件記録を構成する文書であり,特に本件では本件文書6(身体検査令状請求書)及び本件身体検査令状(甲52)の取扱い,執行状況に関連する事実に関する文書として,本件文書6(身体検査令状請求書)及び本件身体検査令状(甲5 書であり,特に本件では本件文書6(身体検査令状請求書)及び本件身体検査令状(甲52)の取扱い,執行状況に関連する事実に関する文書として,本件文書6(身体検査令状請求書)及び本件身体検査令状(甲52)についての法律関係に関連のある事項が記載された,法律関係文書というべきである。 したがって,相手方のこの点に関する主張は理由がない。 以上のとおり,本件各文書は,いずれも法220条3号後段の法律関係文書に該当する。 4 文書保管者(相手方)の裁量権の濫用について 刑訴法47条本文が「訴訟に関する書類」を公にすることを原則として禁止しているのは,それが公にされることにより,被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーが侵害されたり,公序良俗が害されることになったり,捜査や刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が発生するのを防止することを目的とするものであり,同条ただし書が,公益上の必要その他の事由があって,相当と認められる場合における例外的な開示を認めていることにかんがみると,同条ただし書の規定による「訴訟に関する書類」を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は,当該「訴訟に関する書類」を公にする目的,必要性の有無,程度,公にすることによる被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーの侵害,捜査や刑事裁判への影響等の上記の弊害発生のおそれの有無等諸般の事情を総合的に考慮してされるべきものであり,当該「訴訟に関する書類」を保管する者の合理的な裁量にゆだねられているものと解すべきである。 そして,民事訴訟の当事者が,法220条3号後段の規定に基づき,刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書の提出を求める場合においても,当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが,当該文書が法 事者が,法220条3号後段の規定に基づき,刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書の提出を求める場合においても,当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが,当該文書が法律関係文書に該当する場合であって,その保管者が提出を拒否したことが,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,その裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであると認められるときは,裁判所は,当該文書の提出を命ずることができるものと解するのが相当である(最高裁平成16年5月25日第三小法廷決定・最高裁民 事判例集58巻5号1135頁,前掲最高裁平成17年7月22日決定,最高裁平成19年12月12日第二小法廷決定・最高裁民事判例集61巻9号3400頁)。 本件各文書は,いずれも,申立人に対する被疑事件に関して作成された書類であり,かつ,本件刑事事件の公判において提出されなかった書類であるから,刑訴法47条の「訴訟に関する書類」にあたる。 申立人は,本件各文書が刑訴法47条の「訴訟に関する書類」にあたらない旨主張するが,刑事事件の確定後であっても当該刑事事件の公判で公にされなかった書類(不提出書類)が「訴訟に関する書類」にあたることは明らかであり(前掲最高裁平成16年5月25日決定参照),この点に関する申立人の主張は,理由がない。 そこで,以下に,本件各文書について,相手方の提出拒否の判断が,裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるかを検討する。 なお,以下の検討に当たっては,公訴の提起等の違法性の判断について,無罪の判決が確定したというだけでは直ちに公訴の提起等が違法となるものではなく,公訴の提起等の捜査機関の心証は,判 検討する。 なお,以下の検討に当たっては,公訴の提起等の違法性の判断について,無罪の判決が確定したというだけでは直ちに公訴の提起等が違法となるものではなく,公訴の提起等の捜査機関の心証は,判決時における裁判官の心証とは異なり,上記時点における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑等があれば足りること(いわゆる職務行為基準説),上記証拠資料として,捜査機関が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料が含まれることを重視すべきである。上記のような判断構造を採用する以上,各時点において捜査機関が収集していた証拠資料や,収集しようとしたのに収集できなかった資料がどのようなものであったかなどの点を,これが争われている民事事件の審理において,具体的,客観的に明らかにすることが必要不可欠なのであって,捜査官の証人尋問等によって代替できるものではない。そして,刑訴法47条を理由に,捜査機関に上記のような証拠の秘匿を認めることは,当時収集さ れていた捜査機関に不利な証拠等を提出せず,有利な証拠のみを提出し,これに沿った捜査官の証言に対する有効な反対尋問の手がかりを被告人であった者等に与えないでおくことを許すことになってしまうのである。 しかも,再審によるものも含め無罪が言い渡された事件においては,捜査機関が,被疑事実と矛盾する証拠を有していることや,被疑事実があったとすれば当然存在すべき証拠が存在しないことを把握していたり,把握すべきものを見落としていたりする可能性があるが,このような事情は,捜査機関が保有している情報であり,いわゆる捜査の秘密によって守られているものであるから,このような性質上,被疑者・被告人とされていた者の側では当然に知り得る事実ではなく,具体的に主張す な事情は,捜査機関が保有している情報であり,いわゆる捜査の秘密によって守られているものであるから,このような性質上,被疑者・被告人とされていた者の側では当然に知り得る事実ではなく,具体的に主張することが性質上困難である。このような情報であるからといって,直ちに全ての証拠の開示が必要とされるものではないが,基本事件において明らかとなったように,捜査機関において,令状やその請求書について不正な取扱いが行われていたような場合などには,被疑事実と矛盾する証拠の存在や,存在すべき証拠の不存在が隠されている可能性が高いのであるから,公判に提出されなかった書類の開示の必要性はより高くなるのである。 相手方は,犯罪事実や証拠隠滅,逃亡のおそれ等についての捜査官の判断や今後の捜査方針等が記載されている文書等の開示により,捜査官においてどのような証拠が揃った場合に,どのようなタイミングで強制捜査に着手するのかが明らかになるため,今後の同種事件における捜査,公判の運営等に支障を生じさせるおそれがあるなどと抽象的な主張を繰り返している。 しかし,捜査機関の側の一般的・抽象的な主張によって開示を免れさせることは,前記の判断について具体的な利益衡量等を行うことなく,文書の一般的な類型によって判断するのに等しいことになってしまうのであって,相当でない。刑事訴訟に関する書類であるからといって,神聖視されるべきものではないのである。本件の基本事件に即して考えると,基本事件の証拠 として提出されたものを,本件刑事事件の被疑事実と同様の児童買春等処罰法違反等の罪を犯そうとする者が閲覧するなどして自己の犯行の隠蔽に役立てようとすることなどは考え難いことであり,犯罪の重大性や罪質の違いを考慮することなく行われた抽象的な主張が重視されてはならないのである。 ま 犯そうとする者が閲覧するなどして自己の犯行の隠蔽に役立てようとすることなどは考え難いことであり,犯罪の重大性や罪質の違いを考慮することなく行われた抽象的な主張が重視されてはならないのである。 また,捜査官の判断の誤りにより被害を被ったと主張する被疑者・被告人を,上記のような判断構造(職務行為基準説)の下で,適切な証拠に基づいた審理を行って救済すべきか否かの判断を行うことは,個人の救済にとどまらない司法の適正を確保する公的な利益があるのであるし,何よりも,公的機関の行為による個人の被害の救済の必要性それ自体も前記の判断に当たって重視されるべきものであって,上記のような相手方の主張する抽象的なおそれが優先されてはならないのである。すなわち,基本事件のような捜査機関の行為や判断の違法性が争われている事案について,捜査によって得られた資料が,たまたま民事事件の証拠にもなるといった事案と同列に論じられてはならないのである。 そして,相手方は,上記のように,捜査官においてどのような証拠が揃った場合に,どのようなタイミングで強制捜査に着手するのかが明らかになると主張して開示を拒みながら,他方では,前記第1の3イのとおり,どのような根拠資料をもとにして罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると考えていたかという点について,逮捕状を請求した捜査官の陳述書を作成するか,証人尋問等を実施するのが最も有用である旨主張している。捜査官が逮捕状等の請求当時の認識を正確に陳述書に記載したり証言したりするのであれば,捜査報告書等の逮捕状に添付した資料等を開示するのと同じことになるのであるから,上記のような主張によって開示を拒む理由はないはずであり,もし,上記のような資料等と異なることを陳述書に記載したり証言したりするのであれば,それは,当時の判断の誤 るのと同じことになるのであるから,上記のような主張によって開示を拒む理由はないはずであり,もし,上記のような資料等と異なることを陳述書に記載したり証言したりするのであれば,それは,当時の判断の誤りを示すことになったり,逆に偽証等の可能性もあることになるのであって,いずれにせよ開示を 拒むことを正当とする理由にはなり得ないのである。 そのほか,相手方は,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある記載があり得ることを主張するが,上記と同様に,一般的,抽象的な主張であり,具体性を持ったものではない。また,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある記載があったとしても,その部分を黒塗りするなど除外して提出することも可能なのであるから(最高裁平成13年2月22日第一小法廷決定・最高裁裁判集民事201号135頁),このような措置を具体的に検討することなく,第三者のプライバシーを理由にして,民事訴訟の審理に必要な文書の提出を免れさせることがあってはならないのであって,上記のような一般的,抽象的な理由で文書全部の提出の拒否を認めることは相当でない。 そして,A子やBによる本件刑事事件に関する部分の供述については,それ自体の性質上A子らのプライバシーに関わるものであるといえるが,A子の供述等の信用性に関わるものであるから,本件のようなA子の供述等の信用性が重要な争点である事案においては,A子らのプライバシーを理由に提出の拒否を認めることは相当でない。 さらに,相手方は,第三者からの事情聴取の結果等が記載された書類について,本件刑事事件にのみ使用されるという前提で任意で捜査に協力した第三者の信頼を裏切ることになり,ひいては,将来の捜査において国民一般の協力を得られなくなるというおそれがあるなどと主張する。 しかし,国民が任意で捜査機関の捜査 るという前提で任意で捜査に協力した第三者の信頼を裏切ることになり,ひいては,将来の捜査において国民一般の協力を得られなくなるというおそれがあるなどと主張する。 しかし,国民が任意で捜査機関の捜査に協力するのは,提供した情報や資料等によって,刑事司法が適正かつ公平に運用されることを期待しているからであって,提供したものが犯罪の嫌疑を否定するような情報や資料である場合には,そのようなものとして被疑者・被告人に有利に使用されることを期待しているものであり,被疑事実を裏付けるものとして検察官により公判に提出されたり,逮捕状請求や勾留請求の資料として裁判官に提出されたりすることのみを期待しているものではない。捜査機関が収集した証拠のうち, 公判に提出される証拠は,通常,公訴事実を立証するものとして検察官から提出されるものであり,公判に提出されない証拠はこのようなものではない証拠であることからすると,刑訴法47条を理由として,公判不提出記録の開示をしないことは,捜査機関の都合により,一方当事者である被疑者・被告人であった者の利用を妨げ,国民が協力して得られた情報や資料が偏頗に使用されることになるのであって,国民一般は,このような偏った使われ方を期待しているものではないというべきである。むしろ,国民から提供された情報や資料が,被疑者・被告人や被疑者・被告人であった者にも開示され,公平・公正な刑事司法の運営や,基本事件のようなこれを当事者の主張,立証を通じて検証することとなる民事訴訟においても役立てられることで,将来における国民一般の協力が得られることになるというべきである。なお,捜査機関に協力したことが被疑者・被告人の側に知られることなどにより,協力者が身の危険を感じるような事態が生じる可能性がある場合もあるものといえるが,このような ることになるというべきである。なお,捜査機関に協力したことが被疑者・被告人の側に知られることなどにより,協力者が身の危険を感じるような事態が生じる可能性がある場合もあるものといえるが,このような事案であることは,相手方において具体的に主張すべきであり,本件において,このような事案であることをうかがわせるような事情は認められない。 本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)について本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)は,捜査官が春日井署の捜査について総括的な内容を記載した捜査報告書と,申立人に対する強制捜査の必要性について記載した捜査報告書であり,かつ,別紙2のとおり,本件逮捕状請求書(甲39)の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」として真っ先に掲げられた資料であり,本件逮捕状請求書(甲39)等に記載すべき内容が実質的に記載されている書類であって,前記2のとおり,基本事件において,取り調べる必要性が高い。 また,A子及びBは,本件刑事事件の公判においてそれぞれ本件に関する自らの体験等を詳細に証言するなどしており(甲27,41),本件文書1 (総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示することによって,基本事件において,さらにA子及びBのプライバシーを侵害するような新たな事実が明らかになる可能性は低いし,仮に第三者のプライバシーを侵害するおそれのある記載があったとしても,前記のとおり,その部分を除いて提出することも可能なのである。そして,もし本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に記載されているA子やBの供述等が,基本事件で提出されている書証にあるものと異なっているとすれば,それによって,A子の供述等の信用性にさらに疑問が生じてくる可能性があるから,むしろ取調べの 告書)に記載されているA子やBの供述等が,基本事件で提出されている書証にあるものと異なっているとすれば,それによって,A子の供述等の信用性にさらに疑問が生じてくる可能性があるから,むしろ取調べの必要性がより高くなるのである。また,基本事件では,Fの「供述書」(甲53)が証拠として提出されており,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示することによって,春日井営業所関係者のプライバシーを侵害するような新たな事実が明らかになる可能性は低い。また,申立人に対する本件刑事事件の捜査及び公判手続は,無罪判決の確定によって終了しているから,今後の捜査や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)には,作成までに収集された証拠資料を証拠価値の程度にかかわらず総括的に記載されるのが通常であるから,その開示により,第三者から得られた証拠資料の内容も明らかにされることになり,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがある旨主張する。しかし,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)に,上記相手方主張のような記載があったとすると,それは別紙2の本件逮捕状請求書(甲39)の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」として列挙した資料についてのものであると考えられるが,その内容が適切に引用されているのであれば,これらの資料が開示されること以上のプライバシー侵害のおそれはないし,もしその内容の引用が不適切であったり,列挙されていない資料に基づく記載であったりするのであれば,故意又は過失によって,裁判官の判断を誤らせたり,裁判官が閲読して検討 することのできない資料に基づいて逮捕状等を得ようとしていたことになるのであるから,むしろ,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の 失によって,裁判官の判断を誤らせたり,裁判官が閲読して検討 することのできない資料に基づいて逮捕状等を得ようとしていたことになるのであるから,むしろ,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)の取調べの必要性は極めて高いことになるのであって,相手方が上記のような事態が明らかになることを恐れて開示を拒否するのであれば,それは正当なものとは認められないのである。 また,相手方は,本件文書1(総括及び強制捜査の必要性の捜査報告書)を開示すると,捜査官において,どのような証拠が揃った場合にどのようなタイミングで強制捜査等に着手するかが明らかとなるから,今後の同種事件の捜査や運営等に支障を生じるなどと主張するが,抽象的なおそれをいうにすぎないし,基本事件では正にこのような捜査官の判断の適否が争点となっているのであるから,前記2のとおり,それ自体理由のないものであるし,これを取り調べない場合には,相手方や愛知県と申立人との間に,看過できない不公平が生じるのであって,相手方の上記主張は理由がない。 本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)について本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)は,前記2のとおり,取調べの必要性が高い。 また,一件記録を検討しても,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)及び3(運転者台帳等の捜査報告書)の開示により関係者や第三者のプライバシーを侵害する等のおそれがあることはうかがわれない。また,申立人に対する捜査及び公判手続は,無罪判決の確定によって終了しているから,今後の捜査や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を開示すること 人に対する捜査及び公判手続は,無罪判決の確定によって終了しているから,今後の捜査や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書2(タクシー会社関係事項聴取の電話通信書)を開示することは,関係者の名誉,プライバシーを侵害するおそれがあるとともに,本件刑事事件にのみ使用されるという前提で任意で捜査に協力した第三者の信頼を裏切ることになり,ひいては,将来の捜査において国民一般の協力 を得られなくなるおそれがあり,本件文書3(運転者台帳等の捜査報告書)には,第三者である乗務員の情報も含まれる可能性が高いから,これを開示すれば,第三者のプライバシーを侵害するおそれなどの弊害が否定できないなどと主張しているが,いずれも抽象的なおそれにとどまるものであり,相手方のこの点に関する主張は理由がない。また,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある記載があったとしても,前記のとおり,その部分を除いて提出することが可能なのであり,第三者の信頼や国民一般の協力についても,前記のとおり相手方の主張は理由のないものであって,提出を拒否する理由にはならないというべきである。 本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)について本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)は,前記2のとおり,基本事件において,取調べの必要性が高い。 また,一件記録を検討しても,本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)の開示により関係者や第三者のプライバシーを侵害する等のおそれがあることはうかがわれない(しかも,相手方は,本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)については,このようなおそれを何 者のプライバシーを侵害する等のおそれがあることはうかがわれない(しかも,相手方は,本件文書4(捜索差押許可状),5(捜索差押許可状請求書)及び7(捜索・差押調書)については,このようなおそれを何ら主張していない。)。また,申立人に対する捜査及び公判手続は,無罪判決の確定によって終了しているから,今後の捜査や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書5(捜索差押許可状請求書)が開示されると,捜査官において,どのような判断の下に,どのようなタイミングで捜索差押えを実施しようとするのかが明らかになり,同種事件における罪証隠滅,犯人の逃亡を容易にするおそれがあるなどと主張するが,抽象的なおそれをいうにすぎないし,基本事件ではまさに捜査官のこのような判断の適否が争点となっ ているのであるから,前記2のとおり,それ自体理由がないものであるし,これを取り調べない場合には,相手方や愛知県と申立人との間に看過できない不公平が生じるのであって,この点に関する相手方の主張は理由がない。 本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)について前記2のとおり,基本事件において,本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)を取り調べる必要性は高い。 また,一件記録を検討しても,本件文書6(身体検査令状請求書)及び8(関係書類追送書)を開示することで,関係者や第三者のプライバシーを侵害する等のおそれがあることはうかがわれないし,申立人に対する捜査及び公判手続は,無罪判決の確定によって終了しているから,今後の捜査や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書6(身体検査令状請求書)を開示することにより,新たに捜査官において,どのような証拠が揃った場合に,どのような判断の下に,どのようなタイ や公判への悪影響を考慮する必要もない。 相手方は,本件文書6(身体検査令状請求書)を開示することにより,新たに捜査官において,どのような証拠が揃った場合に,どのような判断の下に,どのようなタイミングで身体検査を実施しようとするのかが明らかになると主張するが,抽象的なおそれをいうにすぎない。 また,相手方は,本件文書8(関係書類追送書)には,送致される捜査書類の目録が記載されるのが通常であるところ,このような捜査書類目録中の文書の標目にある作成者名から,いかなる者からいかなる証拠資料を得たかとの情報が判明するものも少なくないことから,本件文書8(関係書類追送書)を開示することにより本件刑事事件と何ら関わりのない第三者の氏名や同人から得られた証拠資料の概要が明らかにされることとなり,第三者のプライバシーが侵害されるおそれがあるし,ひいては,任意で捜査に協力して証拠資料を提出した当該第三者の信頼を裏切る行為として,将来の捜査への国民の協力に悪影響を及ぼすおそれがあるなどと主張する。しかし,捜査書類の目録の記載から,相手方が主張するように第三者のプライバシーを侵害する具体的なおそれがあるとはいえず,相手方の主張は抽象論をいうものに すぎない。また,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある記載があったとしても,前記のとおり,第三者のプライバシーを侵害するおそれのある部分を除いて提出することも可能であるし,第三者の信頼や国民一般の協力についても,前記のとおり,相手方の主張は理由のないものである。 前記2のとおり本件文書8(関係書類追送書)の取調べの必要性は高く,上記のような抽象論でこれを妨げることはできないというべきであるが,さらに,本件文書8(関係書類追送書)とともに,春日井署から名古屋地検検察官に送付された書類が本件文 送書)の取調べの必要性は高く,上記のような抽象論でこれを妨げることはできないというべきであるが,さらに,本件文書8(関係書類追送書)とともに,春日井署から名古屋地検検察官に送付された書類が本件文書6(身体検査令状請求書)だけであったとすると,相手方の第三者のプライバシーを侵害するおそれがあるとする主張は,虚偽の主張になるのであり,本件文書6(身体検査令状請求書)のほかに,本件文書8(関係書類追送書)とともに春日井署から名古屋地検検察官に送付された書類があったとすると,春日井署はその書類についても直ちに送付すべきであったのにこれを送付していなかったことになるのであり,さらに不正を重ねていたことになるのであって,相手方が,捜査書類の目録の記載から,他に隠すなどしていた書類のあることが判明することを恐れているのだとしても,そのような相手方の利益は正当なものとは認められないのである。 したがって,この点に関する相手方の主張は理由がない。 以上によれば,本件各文書の提出を拒否する相手方の判断は,いずれも裁量権の範囲を逸脱し,かつこれを濫用したものというべきであり,相手方は,本件各文書の提出義務がある。 第4 結論以上のとおり,相手方は,法220条3号後段に基づいて本件各文書の提出義務があり,本件申立てはいずれも理由があるから,主文のとおり決定する。 平成24年2月24日名古屋地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官長谷川恭弘 裁判官鈴木陽一郎 裁判官中畑章生 申し訳ありませんが、テキストが不完全なため、整形を行うことができません。もう一度、整形したいテキストを提供してください。
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