- 1 - 令和7年3月27日判決言渡令和5年(行ウ)第185号審査決定取消等請求事件 主文 1 α市長が令和4年5月1日付けで原告に対してした別紙1物件目録記載1ないし4の各土地に係る令和4年度の固定資産税及び都市計画税 の賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 α市長が令和5年5月1日付けで原告に対してした別紙1物件目録記載1ないし4の各土地に係る令和5年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、これを4分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項及び第2項と同旨 2 α市固定資産評価審査委員会が令和5年6月2日付けで原告に対してした別紙1物件目録記載1ないし4の各土地について固定資産課税台帳に登録された令和4年度の価格に係る原告の審査の申出を棄却する旨の決定をいずれも取り消す。 3 α市固定資産評価審査委員会が令和5年9月27日付けで原告に対してした 別紙1物件目録記載1ないし4の各土地について固定資産課税台帳に登録された令和5年度の価格に係る原告の審査の申出を却下する旨の決定をいずれも取り消す。 4 被告は、原告に対し、200万円を支払え。 第2 事案の概要 原告は、別紙1物件目録記載1ないし4の各土地(以下「本件各土地」とい- 2 - う。)の共有持分権者であるところ、α市長から、本件各土地に係る令和4年度及び令和5年度(以下「本件各年度」という。)の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の賦課決定処分(以下、年度順に「令和4年度賦課決定処分」などといい、併せて「本 係る令和4年度及び令和5年度(以下「本件各年度」という。)の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の賦課決定処分(以下、年度順に「令和4年度賦課決定処分」などといい、併せて「本件各賦課決定処分」という。)を受けた。 原告は、本件各年度の土地課税台帳に登録された本件各土地の価格(以下、年 度順に「令和4年度登録価格」などといい、併せて「本件各登録価格」という。)につき、α市固定資産評価審査委員会(以下「本件委員会」という。)にそれぞれ審査申出をしたが、本件委員会は、令和4年度登録価格に係る審査申出についてはこれを棄却する旨の決定を、令和5年度登録価格に係る審査申出についてはこれを却下する旨の決定をした(以下、併せて「本件各審査決定」という。)。 本件は、原告が、被告を相手に、①別紙1物件目録記載1及び3の画地は無道路かつ不整形の土地であるところ、本件各登録価格の算定には、上記画地の不整形地補正に係る想定整形地の設定に誤りがあるなどと主張して、本件各審査決定の取消しを求め、②本件各賦課決定処分には、固定資産税等の負担調整措置に係る地方税法附則の規定に従って本件各土地に係る課税標準額及び税額 を適正に算定していない違法があると主張して、本件各賦課決定処分の取消しを求めるとともに、被告に対し、③本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことは国家賠償法上違法であると主張して、同法1条1項に基づき、弁護士費用相当損害金200万円の支払を求める事案である。 1 関係法令等の定め(1) 宅地の価格評価のあり方等ア地方税法(令和6年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)の定め(ア) 地方税法349条1項は、基準年度(昭和31年度及び昭和33年度 の定め(1) 宅地の価格評価のあり方等ア地方税法(令和6年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)の定め(ア) 地方税法349条1項は、基準年度(昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過し たごとの年度をいう。同法341条6号)に係る賦課期日(当該年度の- 3 - 初日の属する年の1月1日。同法359条)に所在する土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)に登録されたもの(以下、これらの台帳に登録された価格を「登録価格」という。)とする旨規定し、同法341条5 号は、上記「価格」とは、適正な時価をいう旨規定する。 また、地方税法349条2項柱書き本文は、基準年度の土地に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準は、当該土地に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で土地課税台帳等に登録されたものとする旨規定し、同項ただし書及び同項1号は、基準年度の土 地に対して課する第二年度の固定資産税の賦課期日において、地目の変換その他これに類する特別の事情があるため、基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であると市町村長が認める場合には、当該土地に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準は、当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格で土 地課税台帳等に登録されたもの(以下「比準価格」という。)とする旨規定する。 そして、地方税法349条3項本文は、基準年度の土地に対して課する第三年度の固定資産税の課税標準は、当該土地に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎とな 準価格」という。)とする旨規定する。 そして、地方税法349条3項本文は、基準年度の土地に対して課する第三年度の固定資産税の課税標準は、当該土地に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格(第二年度において同条2項ただ し書に掲げる事情があったため、同項ただし書の規定によって当該土地に対して課する第二年度の固定資産税の課税標準とされた価格がある場合においては、当該価格とする。)で土地課税台帳等に登録されたものとする旨規定する。 (イ) 地方税法388条1項前段は、総務大臣は、固定資産の評価の基準並 びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)- 4 - を定め、これを告示しなければならない旨規定する。 イ固定資産評価基準(甲9、14、乙35)(ア) 宅地の評価基準年度である令和3年度に適用される固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。ただし、令和5年総務省告示第385号によ る改正前のもの。以下「評価基準」という。)第1章第3節一は、宅地の評価は、各筆の宅地について評点数を付設し、当該評点数を評点1点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法によるものとする旨定め、同二は、各筆の宅地の評点数は、市町村の宅地の状況に応じ、主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地 宅地評価法」によって付設するものとする旨定める。 そして、評価基準第1章第3節二(一)1は、市街地宅地評価法による宅地の評点数の付設の順序について、①市町村の宅地を商業地区、住宅地区、工業地区、観光地区等に区分し、当該各地区について、その状況が相当に相違する地域ごとに、その主要な街路に沿接する宅地のうちか ら標準宅地を選定し、②その標準宅地に の宅地を商業地区、住宅地区、工業地区、観光地区等に区分し、当該各地区について、その状況が相当に相違する地域ごとに、その主要な街路に沿接する宅地のうちか ら標準宅地を選定し、②その標準宅地について、売買実例価額から評定する適正な時価を求め、これに基づいて当該標準宅地の沿接する主要な街路について路線価を付設し、これに比準して主要な街路以外の街路(その他の街路)の路線価を付設し、③その路線価を基礎とし、「画地計算法」(別表第3)を適用して、各筆の宅地の評点数を付設するものとし ている。 (イ) 各筆の宅地の評点数の付設評価基準第1章第3節二(一)4は、各筆の宅地の評点数は、路線価を基礎とし、「画地計算法」を適用して付設するものとし、この場合において、市町村長は、宅地の状況に応じ、必要があるときは、「画地計算法」 の附表等につき、所要の補正をして、これを適用するものとする旨定め- 5 - る。 また、評価基準別表第3の1は、各筆の宅地の評点数は、各筆の宅地の立地条件に基づき、路線価を基礎とし、画地計算法として、①奥行価格補正割合法、②側方路線影響加算法、③二方路線影響加算法及び④不整形地、無道路地、間口が狭小な宅地等評点算出法をそれぞれ適用して 求めた評点数によって付設するものとする旨定める。そして、同別表第3の2は、各筆の宅地の評点数は、一画地の宅地ごとに画地計算法を適用して求めるものとし、この場合において、一画地は、原則として、土地課税台帳等に登録された一筆の宅地によるものとする旨、ただし、一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について、その形状、利用状況等 からみて、これを一体をなしていると認められる部分に区分し、又はこれらを合わせる必要がある場合においては、その一体をなしている部分の宅地ご 接する二筆以上の宅地について、その形状、利用状況等 からみて、これを一体をなしていると認められる部分に区分し、又はこれらを合わせる必要がある場合においては、その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする旨定める。 (ウ) 不整形地の評点算出法評価基準別表第3の7(1)は、不整形地(三角地及び逆三角地を含む。) の価額については、奥行価格補正割合法等によって計算した単位当たり評点数に「不整形地補正率表」(附表4)によって求めた不整形地補正率を乗じて当該不整形地の単位地積当たり評点数を求めるものとする旨定め(以下、この補正を「評価基準上の不整形地補正」という。)、同別表第3の附表4は、不整形地補正率は次の表のとおりとする旨定める。 地区区分 蔭地割合高度商業地区(Ⅰ、Ⅱ)、繁華街地区、普通商業地区、併用住宅地区、中小工場地区普通住宅地区、家内工業地区10%未満1.001.0010%以上20%未満0.980.9620%以上30%未満0.960.92- 6 - 30%以上40%未満0.920.8840%以上50%未満0.870.8250%以上60%未満0.800.7260%以上0.700.60そして、評価基準別表第3の附表4(注1)は、蔭地割合は、評価対象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の地積を算出した上で、次の算式により、算出する旨定める。 (算式) 蔭地割合=(想定整形地の地積-評価対象画地の地積)/想定整形地の地積また、評価基準別表第3の附表4(注3)は、蔭地割合方式によらない場合の不整 る。 (算式) 蔭地割合=(想定整形地の地積-評価対象画地の地積)/想定整形地の地積また、評価基準別表第3の附表4(注3)は、蔭地割合方式によらない場合の不整形地補正率の適用に当たっては、当該画地が所在する用途地区の標準的な画地の形状・規模からみて、不整形度(「普通」から「極 端に不整形」まで)を判断して、次の表により、不整形地補正率を定めることができるものとする旨定める。 地区区分 不整形度高度商業地区(Ⅰ、Ⅱ)、繁華街地区、普通商業地区、併用住宅地区、中小工場地区普通住宅地区、家内工業地区普通1.001.00やや不整形0.950.90不整形0.850.80相当に不整形0.800.70極端に不整形0.700.60(エ) 無道路地の評点算出法評価基準別表第3の7(2)は、無道路地の評点算出法につき、原則として、- 7 - 当該無道路地を利用する場合において、その利用上最も合理的であると認められる路線の路線価に奥行価格補正率表(附表1)によって求めた補正率、通路開設補正率表(附表9)によって求めた補正率及びその無道路地の近傍の宅地との均衡を考慮して定める無道路地補正率(下限0.60)を乗じて1㎡当たりの評点数を求め、これに当該無道路地の地積を乗じて 評点数を求めるものとする旨定め(以下、この補正を「無道路地補正」という。)、同別表の附表9は、通路開設補正率表は次のとおりとする旨定める。 奥行(近い奥行)10m以下10m超20m以下20m超30m以下30m超補正率0.90.80.70.6ウ α市固定資産事務取扱要領(甲10、11、乙 奥行(近い奥行)10m以下10m超20m以下20m超30m以下30m超補正率0.90.80.70.6ウ α市固定資産事務取扱要領(甲10、11、乙5、6)α市総務部資産税課が作成した「令和3年度固定資産事務取扱要領(土 地)」(以下「事務取扱要領」という。)の第1編(評価)のうち、第7章第2節2(7)⑪は、無道路地評点算出法につき、直接街路に接していない画地は、出入りが不便なこと等から一般的にその利用価値は減少することになるところ、無道路地は実際には他の土地の一部を通路として街路に接続しているものであるから、街路への通路の実態を調査し、「無道路地補正率表」 (別表10)によって求めた補正率でその評点数を補正する旨定める。 そして、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表10は、無道路地の補正率表を定めているところ、このうち区分「通行可」については、その補正率は、「遠い奥行」距離による奥行価格補正率に0.7を乗じて定めることとし、「筆固有の奥行補正」については「無」とされている 一方で、「不整形地補正」については「有」とされている。 (2) 土地に関する固定資産税等の負担調整措置ア負担水準及び比準課税標準額の意義- 8 - 地方税法附則17条8号柱書き、同号イ及びロは、固定資産税等に係る負担水準とは、土地に係る固定資産税に係る前年度課税標準額(令和3年度から令和5年度までの各年度において新たに固定資産税を課することとなる土地及び当該各年度に係る賦課期日において地目の変換等がある土地〔令和4年度及び令和5年度に係る賦課期日において地目の変換等がある ものについては、比準価格により価格評価されたものに こととなる土地及び当該各年度に係る賦課期日において地目の変換等がある土地〔令和4年度及び令和5年度に係る賦課期日において地目の変換等がある ものについては、比準価格により価格評価されたものに限る。〕については、当該土地の比準課税標準額)を、当該土地に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格(当該宅地等が当該年度分の固定資産税について地方税法349条の3の2の規定の適用を受ける宅地等であるときは、当該価格に同条に定める率を乗じて得た額。以下、この額のことを「特例 適用額」という。)で除して得た数値をいう旨規定する。 そして、地方税法附則17条7号は、比準課税標準額とは、土地について、当該土地に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に、当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの(以下「類似土地」という。)の前年度課税標準額(固定資産税にあって は、当該類似土地に係る固定資産税に係る前年度課税標準額とし、都市計画税にあっては、当該類似土地に係る都市計画税に係る前年度課税標準額とする。)を当該類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た額をいう旨規定する。 イ宅地等に関する固定資産税の負担調整措置 地方税法附則18条1項は、宅地等(農地以外の土地をいう。同法附則17条2号)に係る令和3年度から令和5年度までの各年度分の固定資産税の額は、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税額が、当該宅地等の当該年度分の固定資産税に係る前年度分の固定資産税の課税標準額(令和4年度において新たに固定資産税を課することとなる宅地等又は同年度に 係る賦課期日において地目の変換等がある宅地等については、令和4年度- 9 - に 度分の固定資産税の課税標準額(令和4年度において新たに固定資産税を課することとなる宅地等又は同年度に 係る賦課期日において地目の変換等がある宅地等については、令和4年度- 9 - につき、「当該宅地等の同年度の比準課税標準額」をいい、令和5年度につき、「当該宅地等の同年度の前年度課税標準額」をいう。同条6項柱書き、同項3号柱書き、同号イ及びロ)に、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格(当該宅地等が当該年度分の固定資産税について地方税法349条の3の2の規定の適用を受ける宅地等であると きは、特例適用額。以下同じ。)に100分の5(商業地等〔宅地等のうち住宅用地以外の宅地及び宅地比準土地をいう。同法附則17条4号〕に係る令和4年度分の固定資産税にあっては、100分の2.5)を乗じて得た額を加算した額を当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税額(以下「宅地等調整固定資 産税額」という。)を超える場合は、当該宅地等調整固定資産税額とする旨規定する。 また、地方税法附則18条3項は、同条1項の規定の適用を受ける宅地等に係る令和4年度分及び令和5年度分の宅地等調整固定資産税額は、当該宅地等調整固定資産税額が、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税 の課税標準となるべき価格に10分の2を乗じて得た額を当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税額に満たない場合には、同項の規定にかかわらず、当該固定資産税額とする旨規定する。 ウ宅地等のうち商業地等に関する固定資産税の負担調整措置 地方税法附則18条2項は、同条1項の適用を受ける商業地等に係る令和4年度分及び令和5年度分の とする旨規定する。 ウ宅地等のうち商業地等に関する固定資産税の負担調整措置 地方税法附則18条2項は、同条1項の適用を受ける商業地等に係る令和4年度分及び令和5年度分の宅地等調整固定資産税額は、当該宅地等調整固定資産税額が、当該商業地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に10分の6を乗じて得た額を当該商業地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額とした場合における固定資産 税額を超える場合には、同項の規定にかかわらず、当該固定資産税額とす- 10 - る旨規定する。 また、地方税法附則18条4項は、商業地等のうち当該商業地等の当該年度の負担水準が0.6以上0.7以下のものに係る令和3年度から令和5年度までの各年度分の固定資産税の額は、同条1項の規定にかかわらず、当該商業地等の当該年度分の固定資産税に係る前年度分の固定資産税の課 税標準額(この意義については、同条1項の場合と同じ。)を当該商業地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税額(商業地等据置固定資産税額)とする旨規定する。 そして、地方税法附則18条5項は、商業地等のうち当該商業地等の当該年度の負担水準が0.7を超えるものに係る令和3年度から令和5年度 までの各年度分の固定資産税の額は、同条1項の規定にかかわらず、当該商業地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に10分の7を乗じて得た額を当該商業地等に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税額(商業地等調整固定資産税額)とする旨規定する。 エ宅地等に係る都市計画税の負担調整措置宅地等に係る都市計画税の負担 課税標準となるべき額とした場合における固定資産税額(商業地等調整固定資産税額)とする旨規定する。 エ宅地等に係る都市計画税の負担調整措置宅地等に係る都市計画税の負担調整措置についても、固定資産税に係る前記イ及びウ記載の負担調整措置と同様の規定が設けられている(地方税法附則25条参照)。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容 易に認められる事実。なお、証拠番号は特記なき限り枝番号を含む。)(1) 原告(甲1、2)原告は、本件各土地の共有持分(持分割合10分の9)を有している者であり、本件各年度における本件各土地の固定資産税等の納税義務者である。 (2) 本件各土地及びこれに関する画地認定の変更(甲1、2、13、乙7、8) ア本件各土地は、α市β〇丁目内に所在する2筆の土地(以下、その地番- 11 - により「γの土地」及び「δの土地」という。)からなるところ、本件各土地については、平成27年12月28日の時点で、筆界にまたがって、その東側の一画が住宅の敷地として使用され、その余の部分が駐車場の敷地として使用されており、本件各土地に係る登録価格の算定に際しては、これらの住宅敷地及び駐車場敷地をそれぞれ一画地として価格評価が行われ ていた。 イ α市長は、令和3年12月28日までに、本件各土地の東側の住宅敷地と駐車場敷地との境界として設置されていたコンクリートブロックが除去されたことにより、本件各土地につき現況の変化があったことを理由として、令和4年度の賦課期日(令和4年1月1日)時点における本件各土地 の画地認定につき、従前、δの土地のうち住宅の敷地の一部と認定していた通路部分を、駐車場の敷地の一部へ あったことを理由として、令和4年度の賦課期日(令和4年1月1日)時点における本件各土地 の画地認定につき、従前、δの土地のうち住宅の敷地の一部と認定していた通路部分を、駐車場の敷地の一部へとその認定を変更する旨の画地認定及び地積認定の変更(以下「本件画地認定変更」という。その概要については、別紙3「α市β〇丁目γ及びδ 地番図・画地認定」〔乙8〕参照)をした。 本件画地認定変更後の本件各土地を構成する画地(合計2画地)の形状等は、別紙2「土地概要図(βの土地)」のとおりであり(以下、同別紙のうち、「β東側住宅」と表記された青色着色部分の画地〔別紙1記載1及び3の各土地。地積214.80㎡〕を「本件住宅画地」といい、「β駐車場」と表記された黄色着色部分の画地(別紙1記載2及び4の各土地。地積4 79.43㎡〕を「本件駐車場画地」という。)、本件画地認定変更により、本件住宅画地は、路線に面する通路部分を有する画地とされていたものが、路線に面しない無道路地とされることとなった。 (3) 本件各登録価格の決定(甲5、6)ア α市長は、令和4年4月1日付けで、本件各土地の令和4年度(第二年 度)の登録価格(令和4年度登録価格)について、本件住宅画地につき合- 12 - 計3045万6921円(別紙1記載1〔別紙2のT1部分〕につき2963万4528円、別紙1記載3〔別紙2のT2部分〕につき82万2393円)とし、本件駐車場画地につき合計8800万8965円(別紙1記載2〔別紙2のT3部分〕につき5690万6700円、別紙1記載4〔別紙2のT4部分〕につき3110万2265円)とする旨決定した(以 下、本件住宅画地に係る令和4年度の登録価格を「令和4年度住宅画地登録価格」という。)。 90万6700円、別紙1記載4〔別紙2のT4部分〕につき3110万2265円)とする旨決定した(以 下、本件住宅画地に係る令和4年度の登録価格を「令和4年度住宅画地登録価格」という。)。 令和4年度登録価格については、令和4年度の固定資産税の賦課期日における本件各土地の現況につき、上記(2)イのとおり本件画地認定変更が行われたため、地方税法349条2項ただし書により、比準価格により定め られた(関係法令等の定め(1)ア(ア)参照)。令和4年度登録価格の詳細な算出過程は別紙4記載1のとおりであるところ、本件住宅画地については、評価基準及び事務取扱要領に基づく無道路地補正(関係法令等の定め(1)イ(エ)及びウ)のほか、本件住宅画地が不整形であることに基づく補正(別紙4の1(2)ア(イ)参照。以下「本件不整形地補正」という。)も行われた。本 件不整形地補正において、本件住宅画地の蔭地割合を算定するための想定整形地は、別紙5「想定整形地」の実線で囲まれた範囲の土地(以下「本件想定整形地」という。)とされた。 イ α市長は、令和5年4月3日付けで、本件各土地の令和5年度(第三年度)の登録価格(令和5年度登録価格)を決定した。令和5年度登録価格 の決定に際しては、地方税法349条3項本文の規定により、第二年度である令和4年度の登録価格(令和4年度登録価格)が据え置かれた(別紙4記載2参照)。 (4) 本件各賦課決定処分(甲3、4)ア α市長は、令和4年5月1日付けで、原告に対し、本件各土地に係る令 和4年度の固定資産税等の賦課決定処分(令和4年度賦課決定処分)をし- 13 - た。令和4年度賦課決定処分に係る固定資産税等の額は、本件住宅画地につき合計9万6465円(別紙1記載1 和4年度の固定資産税等の賦課決定処分(令和4年度賦課決定処分)をし- 13 - た。令和4年度賦課決定処分に係る固定資産税等の額は、本件住宅画地につき合計9万6465円(別紙1記載1〔別紙2のT1部分〕につき9万3861円、別紙1記載3〔別紙2のT2部分〕につき2604円)、本件駐車場画地につき合計79万0442円(別紙1記載2〔別紙2のT3部分〕につき51万1101円、別紙1記載4〔別紙2のT4部分〕につき 27万9341円)であった。 上記税額の算定過程は別紙4記載3のとおりであるが、α市長は、本件各土地に係る令和4年度の固定資産税等の課税標準額の算定において、地方税法附則が定める固定資産税等の負担調整措置(関係法令等の定め(2)イ~エ)を適用する前提となる本件各土地の前年度の課税標準額につき、い わゆる「運用上のみなし方式」(地目の変換等があった後のそれぞれの土地につき、地目の変換等があった後の当該土地が過去から存在していたと仮定した場合の価格推移を算出し、各年度の負担水準を算出した上、当該地目の変換等があった後の当該土地の前年度の課税標準額を求める方法をいう。以下同じ。)を用いて算定した(別紙4記載3(1)参照)。 イ α市長は、令和5年5月1日付けで、原告に対し、本件各土地に係る令和5年度の固定資産税等の賦課決定処分(令和5年度賦課決定処分)をした。令和5年度賦課決定処分に係る固定資産税等の額は、本件住宅画地につき合計10万1891円(別紙1記載1〔別紙2のT1部分〕につき9万9141円、別紙1記載3〔別紙2のT2部分〕につき2750円)、本 件駐車場画地につき合計86万5248円(別紙1記載2〔別紙2のT3部分〕につき55万9471円、別紙1記載4〔別紙2のT4部分 41円、別紙1記載3〔別紙2のT2部分〕につき2750円)、本 件駐車場画地につき合計86万5248円(別紙1記載2〔別紙2のT3部分〕につき55万9471円、別紙1記載4〔別紙2のT4部分〕につき30万5777円)であった。 上記税額の算定過程は、別紙4記載4のとおりであり、その課税標準額については、上記アの方法で計算された本件各土地の令和4年度(前年度) の課税標準額を基礎として、地方税法附則18条6項3号ロ及び同条1項- 14 - により算定された(関係法令等の定め(2)イ及びエ、別紙4記載4(1)参照)。 (5) 本件各審査決定(甲7、8)ア原告は、令和4年7月25日、令和4年度登録価格につき不服があるとして、本件委員会に対し審査の申出をしたところ、本件委員会は、令和5年6月2日付けで、上記審査申出を棄却する旨の決定をし、原告は、同月 11日、その決定書謄本を受領した。 イ原告は、令和5年7月26日、令和5年度登録価格に不服があるとして、本件委員会の審査の申出をしたところ、本件委員会は、同年9月27日付けで、上記審査申出を却下する旨の決定をした。 (6) 本件各賦課決定処分に対する審査請求(弁論の全趣旨) 原告は、令和4年7月22日に令和4年度賦課決定処分について、令和5年7月24日に令和5年度賦課決定処分について、それぞれα市長に対し審査請求を行った。 (7) 本件訴えの提起(顕著な事実、弁論の全趣旨)原告は、令和5年12月5日、本件訴えを提起した。 なお、上記(6)の各審査請求に対する裁決は、本件訴え提起の時点でされていなかった。 3 本件各登録価格及び固定資産税等の金額の計算の算定過程本件各登録価格及び を提起した。 なお、上記(6)の各審査請求に対する裁決は、本件訴え提起の時点でされていなかった。 3 本件各登録価格及び固定資産税等の金額の計算の算定過程本件各登録価格及び本件各土地に係る本件各年度の固定資産税等の金額の算定過程は、別紙4記載のとおりである。 その計算の根拠となる金額及び計算方法は、後記4の争点に関する部分を除き、当事者間に争いがない。 4 争点(1) 本件各審査決定の取消請求関係本件住宅画地に係る価格評価の適法性(争点1) ア無道路かつ不整形の土地につき評価基準上の不整形地補正を行うことを- 15 - 要するかイ令和4年度住宅画地登録価格は評価基準によって決定された価格といえるか(2) 本件各賦課決定処分の取消請求関係本件各土地の課税標準額の算定の適法性、すなわち、本件各土地の令和4 年度の課税標準額の算出に当たり、いわゆる「運用上のみなし方式」を用いたことの適否(争点2)(3) 国家賠償請求関係ア本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことの国家賠償法上の違法性及び過失(争点3) イ損害の発生及びその額(争点4) 5 争点に関する当事者の主張別紙7「争点に関する当事者の主張」記載のとおり。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件住宅画地の価格評価の適法性)について (1) 登録価格の決定の適法性の判断枠組みア地方税法は、土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準を、当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとし(349条1項)、上記の価格とは「適正な時価」をいうと定めている(341 固定資産税の課税標準を、当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとし(349条1項)、上記の価格とは「適正な時価」をいうと定めている(341条5号)ところ、上記の適正 な時価とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうと解される。したがって、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば、その登録価格の決定は違法となる(最高裁平成15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。 イまた、地方税法は、固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準- 16 - 並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示に係る評価基準に委ね(388条1項)、市町村長は、評価基準によって、固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(403条1項)。これは、全国一律の統一的な評価基準による評価によって、各市町村全体の評価の均衡を図り、評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために、固定 資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨であると解され(前掲最高裁平成15年6月26日第一小法廷判決参照)、これを受けて全国一律に適用される評価基準として昭和38年自治省告示第158号が定められ、その後数次の改正が行われている。これらの地方税法の規定及びその趣旨等に鑑みれば、固定資産税の課税においてこの ような全国一律の統一的な評価基準に従って公平な評価を受ける利益は、適正な時価との多寡の問題とは別にそれ自体が地方税法上保護されるべきものということができる。したがって、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定され な評価を受ける利益は、適正な時価との多寡の問題とは別にそれ自体が地方税法上保護されるべきものということができる。したがって、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回 るか否かにかかわらず、その登録価格の決定は違法となるものというべきである。 ウそして、地方税法は固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを総務大臣の告示に係る評価基準に委任したものであること等からすると、評価対象の土地に適用される評 価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、かつ、当該土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には、その登録価格は、その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、同期日における当 該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと- 17 - 推認するのが相当である(最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決・集民210号283頁、最高裁平成21年6月5日第二小法廷判決・集民231号57頁参照)。 エ以上に鑑みると、土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは、当該登録価格が、①当該土地に適用される評価基準 の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき(上記イの場合)であるか、あるいは、②これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特 るか、あるいは、②これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合(上記ウの推認が及ばず、又はその推認が覆され る場合)であって、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るとき(上記アの場合)であるということができる(以上につき、最高裁平成25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。以上の理は、第二年度又は第三年度における評価替えを行うべき場合(地方税法349条2項ただし書又は3項ただし書により 比準価格を算定すべき場合)の登録価格についても同様である。 オそして、各市町村等において、評価基準の内容を具体化する評価要領等が定められている場合、その評価要領等の内容が、評価基準を具体化するものとして一般的な合理性を有する場合には、これらの評価要領等に従った評価は、評価基準に従ったものということができると解される(前掲最 高裁平成21年6月5日第二小法廷判決参照)。 (2) 無道路かつ不整形の土地につき評価基準上の不整形地補正を行うことを要するかについてアはじめに本件では、本件各登録価格の適否に関し、無道路かつ不整形の土地であ る本件住宅画地につき、本件不整形地補正の際に設定された本件想定整形- 18 - 地の適否が争われているが、その前提として、無道路かつ不整形の土地につき、不整形であることによる減価補正を行う場合のその補正の位置付け(評価基準上の不整形地補正として行われるべきものか、評価基準上の所要の補正として行われるべきものか)が争われているので、まずこの点について検討する。 とによる減価補正を行う場合のその補正の位置付け(評価基準上の不整形地補正として行われるべきものか、評価基準上の所要の補正として行われるべきものか)が争われているので、まずこの点について検討する。 イ無道路地に対する評価基準上の不整形地補正の適用の可否評価基準別表第3の7(1)(不整形地の評点算出法)は、不整形地(三角地及び逆三角地を含む。)の価額について、奥行価格補正割合法等によって計算した単位当たり評点数に「不整形地補正率表」(同別表の附表4)によって求めた不整形地補正率を乗じて当該不整形地の単位地積当たりの評 点を求めるものとする旨定める(関係法令等の定め(1)イ(ウ)参照)。 しかるところ、評価基準別表第3の7(1)(不整形地の評点算出法)において図示されている不整形地の具体例(評価基準別表第3の7(1)②ア~ウ、例題8~11)は、いずれも路線に接する画地であり、無道路地を想定した具体例は見当たらないし、無道路地についてどのように不整形地補 正を行うか(蔭地割合方式を用いることができるか、これができるとした場合に、想定整形地をどのように設定すべきかなど)は、評価実務上大いに疑義があり得るにもかかわらず、その具体的な方法が何ら示されていないことからすると、評価基準上の不整形地補正は、そもそも無道路地を想定していないものと解される。このような理解は、令和3年発行の固定資 産税務研究会編「固定資産評価基準解説(土地篇)」(乙22、23。以下「評価基準解説」という。)が、不整形地とは、「原則として普通地、準普通地、正台形地、正L字形地及び路線となす角が大きい平行四辺形地等を除いたもので、路線に一辺又は数辺が接する多辺数形の画地」をいうと解説していること(257頁。なお、「原則として」の語は、その 準普通地、正台形地、正L字形地及び路線となす角が大きい平行四辺形地等を除いたもので、路線に一辺又は数辺が接する多辺数形の画地」をいうと解説していること(257頁。なお、「原則として」の語は、その後に読点が ないことから、「普通地…等を除いたもの」を修飾するものと解される。も- 19 - し、無道路地が含まれるのであれば、「路線に一辺又は数辺が接する」との記載は不要なはずである。)からも裏付けられる。 また、評価基準別表第3の7(2)(無道路地の評点算出法)は、原則として、当該無道路地を利用する場合において、その利用上最も合理的であると認められる路線の路線価に奥行価格補正率表(附表1)によって求めた 補正率、通路開設補正率表(附表9)によって求めた補正率及びその無道路地の近傍の宅地との均衡を考慮して定める無道路地補正率(下限0.60)を乗じて1㎡当たりの評点数を求め、これに当該無道路地の地積を乗じてその評点数を求めるものとする旨定める(関係法令等の定め(1)イ(エ)参照)。このように、評価基準別表第3の7(2)(無道路地の評点算出法) は、無道路地の形状が不整形である場合につき、評価基準上の不整形地補正を適用すべきものとはしていないし、評価基準解説にもそのような記載は見当たらない。 これらによれば、評価基準上の不整形地補正は、無道路地を想定した定めではないと解すべきであり、無道路かつ不整形の土地につき、評価基準 上の不整形地補正の適用はないと解するのが相当である。 ウ事務取扱要領の記載の位置付けところで、α市総務部資産税課が作成した事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節の別表10(無道路地の補正率表)のうち、区分「通行可」については、「不整形地補正」について「有」とされている(関係 ころで、α市総務部資産税課が作成した事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節の別表10(無道路地の補正率表)のうち、区分「通行可」については、「不整形地補正」について「有」とされている(関係法 令等の定め(1)ウ参照)。上記イのとおり、無道路地について、評価基準上の不整形地補正の適用はないと解されるから、かかる記載は、無道路地につき、評価基準上の不整形地補正を適用する趣旨ではなく、宅地の状況に応じ、必要があるときに実施される「所要の補正」(評価基準第1章第3節二(一)4。関係法令等の定め(1)イ(イ)参照)として、当該土地の形状が 不整形であることに伴う減価補正を行うべきことを定める趣旨であると- 20 - 解される。 したがって、α市長が、本件住宅画地につき、事務取扱要領の記載に基づいて行った本件不整形地補正は、評価基準上の不整形地補正として行ったものではなく、評価基準上の「所要の補正」としての減価補正を行ったものと解される。 エ原告の主張について(ア) 原告は、評価基準においては、不整形地の評点算出法以外では、画地の形状が矩形であることを前提に補正率や加算率を乗じて1㎡当たりの評点を求め、これに当該画地の地積を乗じてその評点数を求めることとしていることからすれば、当該画地が不整形地である場合には、別途 評価基準上の不整形地補正の適用があることが当然であり、このことは、①評価基準上、側方路線影響加算法や二方路線影響加算法についての記載においても、不整形地補正について触れていないところ、側方路線や二方路線の場合にも評価基準上の不整形地補正の適用があるにもかかわらず、無道路地の場合にのみ評価基準上の不整形地補正を行わないこ とは不自然であること、②評価基準上、間口が狭小な宅地等 路線や二方路線の場合にも評価基準上の不整形地補正の適用があるにもかかわらず、無道路地の場合にのみ評価基準上の不整形地補正を行わないこ とは不自然であること、②評価基準上、間口が狭小な宅地等の評点算出の場合に、評価基準上の不整形地補正や無道路地補正の適用がないことが明記されている一方で、評価基準上の不整形地補正に関する記載においては、特に無道路地を除外する旨の記載がされていないことからも裏付けられる旨主張する。 しかし、前記イで述べたとおり、評価基準上の「不整形地」については、当該画地が路線に接していることが前提とされているというべきであり、側方路線や二方路線の場合に評価基準上の不整形地補正の適用があるからといって、無道路地の場合に評価基準上の不整形地補正を行わないことは不自然ではないし(上記①)、無道路地を除外する旨の記載が ないからといって、無道路地につき評価基準の不整形地補正を行うべき- 21 - 趣旨を見出すこともできない(上記②)。また、無道路かつ不整形の土地につき評価基準上の不整形地補正を適用すべきことが、評価基準の趣旨に照らして当然であるともいえない。 したがって、原告の上記主張はいずれも採用することができない。 (イ) 原告は、無道路かつ不整形の土地についても評価基準上の不整形地補 正の適用があることを前提に、①このような土地についても評価基準どおりに蔭地割合を求める必要があり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきであるとか、②仮に想定整形地の設定方法について評価基準に別段の定めがないとしても、相続税の財産評価と同様に、正面路線に面する想定整形地を設定すべきなどと主張する。 しかし、前記イで述べたとおり、無道路地について、評価基準上の不整形地補正の適 の定めがないとしても、相続税の財産評価と同様に、正面路線に面する想定整形地を設定すべきなどと主張する。 しかし、前記イで述べたとおり、無道路地について、評価基準上の不整形地補正の適用はないというべきであるから、上記主張はいずれもその前提を欠くものであって採用することができない。また、評価基準上の不整形地補正の適用はないから、想定整形地の設定方法が評価基準どおりでないからといって、租税法律主義に抵触するものではない。 なお、無道路かつ不整形の土地につき所要の補正として行う不整形地補正(本件不整形地補正)において、正面路線に面しない想定整形地を設定する方法に合理性があるか(正面路線に面する想定整形地を設定する必要があるか)については、後記(3)において検討する。 (3) 本件住宅画地の令和4年度の登録価格は評価基準によって決定された価格 といえるかについてア 「所要の補正」と「評価基準によって決定された価格」との関係評価基準第1章第3節二(一)4は、市街地宅地評価法による宅地の評点数の付設につき、「各筆の宅地の評点数は、路線価を基礎とし、『画地計算法』を適用して付設するものとする。この場合において、市町村長は、 宅地の状況に応じ、必要があるときは、『画地計算法』の附表等について、- 22 - 所要の補正をして、これを適用するものとする。」と定めている(関係法令等の定め(1)イ(イ)参照)。このような「所要の補正」は、単なる便宜的な取扱いではなく、評価基準が定める評価方法の一つであって、「所要の補正」として行われた個別の補正が、当該土地の特別の価格事情による影響を踏まえ、評価の均衡を確保するものとして合理性があるといえる場合には、 当該補正は評価基準に従ったものと評価する 、「所要の補正」として行われた個別の補正が、当該土地の特別の価格事情による影響を踏まえ、評価の均衡を確保するものとして合理性があるといえる場合には、 当該補正は評価基準に従ったものと評価することができ、当該補正を経て算出された当該土地の登録価格は、評価基準によって決定された価格であると認められるものと解される。 そして、α市長が行った本件不整形地補正につき、不整形地補正を行うこと自体の合理性は争われていないと考えられるので、以下、その補正の 方法(想定整形地の設定方法)の合理性について検討する。 イ本件不整形地補正の方法(想定整形地の設定方法)の合理性α市長が行った本件不整形地補正は、無道路地である本件住宅画地について、本件住宅画地を囲み、本件住宅画地のうち評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分(事務取扱要領上の無道路地の「間口」。すなわち、 本件住宅画地のうち評価上使用する路線に最も近い部分)に面する矩形を想定整形地(本件想定整形地。別紙5参照)として、かかる本件想定整形地の地積に基づき、評価基準上の不整形地補正の場合と同様に蔭地割合(21%)を算出し、これに、評価基準上の不整形地補正に係る蔭地割合方式による不整形地補正率表(評価基準別表第3の附表4)を当てはめて、補 正率(0.96)を算出するというものである(別紙4の1(2)ア(イ)参照)。 このような本件不整形地補正の方法(想定整形地の設定方法)は、無道路かつ不整形の土地について、評価基準の定める蔭地割合方式による不整形地補正率の決定方法に準じて、評価対象画地そのものを囲む想定整形地を設定し、これに基づく蔭地割合を算定してその不整形度を測定し、これ に基づく減価補正を行うものであって、無道路かつ不整形の土地に 補正率の決定方法に準じて、評価対象画地そのものを囲む想定整形地を設定し、これに基づく蔭地割合を算定してその不整形度を測定し、これ に基づく減価補正を行うものであって、無道路かつ不整形の土地につき、- 23 - その特別の価格事情による影響を踏まえ、他の不整形でない無道路地や路線に面する不整形地等との評価の均衡を確保するものとして合理性があるといえる(なお、原告が主張する想定整形地の設定方法に合理性がないことは、後記ウのとおり。)。 また、本件不整形地補正の方法(想定整形地の設定方法)が所要の補正 として合理的なものであることは、①大阪府内に所在する被告以外の他の市町村も、無道路かつ不整形の土地について不整形地補正を行う場合には、本件不整形地補正と同様に、路線に面する想定整形地を設定するのではなく、画地を囲む最小の矩形又は正方形を想定整形地として設定し、蔭地割合方式を準用して補正を行っている旨回答していること(乙36)や、② 本件不整形地補正に係る補正率(0.96)は、事務取扱要領における「蔭地割合方式によらない不整形地補正率表」(第2編〔事務処理〕の第3章第1節別表9)に係る「やや不整形」の場合の補正率(地区区分「併用住宅」に係る補正率0.95~0.99)の範囲内であること(乙6。なお、本件住宅画地の形状は、別紙2のとおり、やや「くの字」状に折れ曲がった ような形状をしているものの、それほどいびつな形の画地ではなく、同表にいう「不整形」以上の補正率を適用すべきであるとはいえない。)からも裏付けられている。 したがって、α市長が行った本件不整形地補正の方法(想定整形地の設定方法)は、無道路かつ不整形の土地の特別の価格事情による影響を踏ま え、評価の均衡を確保するものとして合理性 る。 したがって、α市長が行った本件不整形地補正の方法(想定整形地の設定方法)は、無道路かつ不整形の土地の特別の価格事情による影響を踏ま え、評価の均衡を確保するものとして合理性があるということができ、このような方法により算定された令和4年度住宅画地登録価格は、評価基準によって決定された価格であると認められる。 なお付言するに、上記②のとおり、本件不整形地補正に係る補正率(0. 96)は、事務取扱要領の「蔭地割合方式によらない不整形地補正率表」 の補正率の範囲内であることから(この補正率は評価基準上の補正率を修- 24 - 正したものであるが、きめ細かく補正率を定める趣旨のものであり、所要の補正として合理性があると認められる。)、仮に無道路地について評価基準上の不整形地補正が適用されると解したとしても、本件不整形地補正は、蔭地割合方式によらない場合の補正率を用いたものとして、評価基準に反しないというべきである。 ウ原告の主張について(ア) 原告は、無道路かつ不整形の土地に係る想定整形地の設定方法につき、相続税の財産評価においては、評価対象画地の全域を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地で想定整形地を作成することとされているのであるから、無道路かつ不整形の土地につき不整形地補正を行う場 合にも、相続税の財産評価と同様に、正面路線に面する想定整形地を設定すべきなどと主張する。 しかし、固定資産税と相続税とでは、税の目的が異なる上、無道路地について、それぞれ財産評価のあり方(いかなる補正が適用されるか)も異なるから、相続税の財産評価の方法を、当然に固定資産税の価格評 価において援用すべきものではない。 そもそも、相続税の財産評価において 評価のあり方(いかなる補正が適用されるか)も異なるから、相続税の財産評価の方法を、当然に固定資産税の価格評 価において援用すべきものではない。 そもそも、相続税の財産評価において、無道路地につき不整形地補正が行われるのは、必ずしも評価対象土地そのものの形状に着目した補正ではなく、無道路地に通路を開設すると不整形地(袋地・旗竿地)になることから、前面道路までの土地を蔭地とみなして不整形地補正を行う ものであり(すなわち、無道路地が不整形でなくとも、無道路地であることに伴う補正として不整形地補正が行われる。)、「画地の形状が悪いことによって画地の全部が宅地として十分に利用できないという利用上の制約を受けるための減価補正」(評価基準解説269頁)という評価基準上の不整形地補正の趣旨とは異なるものである。むしろ、通路開設 後に旗竿地となる場合の仮定的な不整形に係る減価補正であるから、評- 25 - 価基準上の無道路地補正とその趣旨を共通にするものであり、原告が主張するような正面路線に面する想定整形地を設定すると、評価基準上の無道路地補正と同種の減価補正を二重に行うことになり、適切ではない。 この点については、「ここが知りたい最新税務Q&A 固定資産税(評価)関係無道路地の評価」(月刊税2019年10月号。乙26)47頁の 表において、無道路地の各種補正に関し、財産評価基本通達においては、不整形地補正につき「通路開設後の袋地を想定した補正」とされ、無道路地補正につき「規定がない」とされているのに対し、評価基準においては、不整形地補正につき「規定がない(通路開設後の袋地を想定した不整形の減価を無道路地補正で考慮)」とされ、無道路地補正につき「下 限0.6として補正」とされていることや、同47頁にお おいては、不整形地補正につき「規定がない(通路開設後の袋地を想定した不整形の減価を無道路地補正で考慮)」とされ、無道路地補正につき「下 限0.6として補正」とされていることや、同47頁において、「(不整形地補正と無道路地補正は、)どちらも通路開設後の形状(袋地)を想定した減価であるため表裏一体の関係性が認められる。」とされていることからも明らかである。 さらにいうと、原告が主張する想定整形地の設定方法(正面路線に面 する想定整形地を設定する方法)によると、評価対象画地そのものの不整形度が小さい(矩形に近い)場合であっても、正面路線までの距離が遠ければ遠いほど蔭地割合が大きくなり、形状から見た実際の不整形度と不整形地補正率との間に大きな乖離が生じ、かえって評価の均衡を失することとなる(例えば、無道路地が矩形又は正方形の場合、路線まで の距離がいくら遠くても不整形地補正は行われないが、わずかに不整形である場合、路線までの距離が遠いというだけで、0.6や0.7といった不整形地補正率が適用されることになる。)。 したがって、無道路かつ不整形の土地につき所要の補正として行う不整形地補正において、原告が主張する想定整形地の設定方法は、かえっ て評価の均衡を失するものであり、合理性がないというべきである。原- 26 - 告の上記主張は採用することができない。 (イ) 原告は、①α市長は、本件住宅画地の正面路線に近い部分(辺)を間口であるとして、本件想定整形地を設定しているところ、不動産鑑定評価基準(甲15)や「土地価格比準表の手引き」(甲16)の記載によれば、無道路地の間口とは、当該無道路地の通路部分で路線に接する面と すべきであるから、被告が本件不整形地補正の際に設定した本件想定 基準(甲15)や「土地価格比準表の手引き」(甲16)の記載によれば、無道路地の間口とは、当該無道路地の通路部分で路線に接する面と すべきであるから、被告が本件不整形地補正の際に設定した本件想定整形地は不適切である、②無道路地については、通路を開設したとしても袋地となることに変わりがないところ、「土地価格比準表の手引き」によれば、その評価は、住宅地として利用するために最も適した道路に至る取付通路を想定して、袋地の評価方法に準じて評価額を求め、この額か ら通路開設に要する費用を差し引いて価額を求めることとされているのであるから、無道路地について行う不整形地補正における想定整形地についても、袋地について実施される不整形地補正と同様に、評価基準が定める想定整形地、すなわち、「評価対象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地」とすることが妥当である旨主張する。 しかし、上記①については、事務取扱要領上の間口とは、無道路地の場合、「利用形態に関わらず、評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分」とされており、これは評価基準や不動産鑑定評価基準の間口の定義とは異なるが、これは単に「間口」という用語の使い方の差異にすぎず、本件不整形地補正の想定整形地の設定方法(事務取扱要領上の間 口に面する想定整形地を設定する方法)に合理性があるとの上記イの判断を左右するものではない。 また、上記②については、「土地価格比準表の手引き」は、国土利用計画法16条1項所定の規制区域内に所在する土地の権利の移転等の許可の基準等に関し、その該当性審査を適切に実施するために策定された 土地価格比準表について、その運用の留意点等を記した書籍であって- 27 - (甲16・338頁参照)、土地価格比準表に 可の基準等に関し、その該当性審査を適切に実施するために策定された 土地価格比準表について、その運用の留意点等を記した書籍であって- 27 - (甲16・338頁参照)、土地価格比準表により行う土地評価と、固定資産税の課税の前提となる価格評価とはその評価の目的や方法が異なるから、上記書籍の記載をもって、本件不整形地補正の想定整形地の設定方法に合理性があるとの上記イの判断が左右されるものではない。 したがって、原告の上記主張はいずれも採用することができない。 (ウ) また、主張の趣旨が分かりにくいが、原告は、原告が主張する想定整形地の設定方法(正面路線に面する想定整形地を設定する方法)によると無道路地補正と同種の減価を二重に行うことになるという指摘(上記(ア))に関し、これに反論する趣旨で、要旨、事務取扱要領上の無道路地補正は、「通行可」の場合に合理的な根拠なく無道路地補正率を0.6で はなく0.7としており、通路開設補正率の適用もなく、一律の補正率であり正面道路から評価対象画地までの距離に応じた減価もされないことなどから、事務取扱要領上の無道路地補正は、通路開設後の袋地(不整形地)を想定した不整形の減価を十分に考慮しておらず、同種の減価を二重に行うという上記指摘は当たらない旨主張し、さらに、このよう な事務取扱要領の内容からすれば、無道路地補正は不整形地補正を別途適用することを前提としている(無道路地補正率は不整形地補正を行うことを前提に設定されている)旨主張するようである。 しかし、原告の上記主張は、無道路地については、不整形地ではなくとも、原告が主張する方法での不整形地補正を必ず行うという趣旨をい うもののように思われるが、そのような解釈は、評価基準のみ しかし、原告の上記主張は、無道路地については、不整形地ではなくとも、原告が主張する方法での不整形地補正を必ず行うという趣旨をい うもののように思われるが、そのような解釈は、評価基準のみならず事務取扱要領の解釈としても無理があるといわざるを得ない。また、原告が主張する上記の事情を考慮しても、無道路地補正が通路開設後の袋地(不整形地)を想定した不整形の減価を考慮する趣旨を含むものであることは前述のとおりであるし、事務取扱要領が定める無道路地補正等の 具体的な内容から、原告が主張する方法での不整形地補正が適用される- 28 - ことが予定されているとはいえない(なお、事務取扱要領上の無道路地補正に係る区分「通行可」について定められた補正率等が、評価基準に反するとも、合理性を欠くとも認められない。)。原告の上記主張は採用することができない。 (4) 小括 以上で検討したところによれば、令和4年度住宅画地登録価格の算定に関し、α市長が行った本件不整形地補正は、評価基準にいう「所要の補正」として行われたものであって、かかる補正は、本件住宅画地の特別の価格事情による影響を踏まえ、評価の均衡を確保するものとして合理性があるから、令和4年度住宅画地登録価格は、評価基準によって決定された価格であると 認められる(なお、原告は、令和4年度登録価格のうち本件駐車場画地に係る価格の適否については、特に争っていない。)。 そして、原告は、本件において、令和4年度登録価格につき、評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情がある旨の主張立証はしておらず、記録を検討しても、かかる特別 の事情があることはうかがわれない。 そうすると、令和4年度登録価格 は適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情がある旨の主張立証はしておらず、記録を検討しても、かかる特別 の事情があることはうかがわれない。 そうすると、令和4年度登録価格は、評価基準の定める評価方法によって決定される価格を上回らないものと認められると同時に、本件各土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認することができるから、令和4年度登録価格の決定は、適法である。 そして、令和5年度登録価格は、令和5年度(第三年度)の賦課期日時点において、本件各土地の現況が、令和4年度(第二年度)の賦課期日時点の現況と変化が生じていなかったことから、地方税法349条3項本文により、令和4年度登録価格がそのまま据え置かれたものであるところ(別紙4の2参照)、上記のとおり、令和4年度登録価格の決定は適法であるから、これを 据え置いた令和5年度登録価格の決定も適法である。 - 29 - したがって、原告の本件各審査決定の取消請求は、いずれも理由がない。 2 争点2(運用上のみなし方式の適否)について(1) はじめに本件各土地は、令和4年度(第二年度)の賦課期日時点の現況において、本件画地認定変更により、令和3年度(基準年度)の賦課期日時点から現況 の変化が生じている(前提事実(2)イ)ところ、本件画地認定変更が地方税法附則17条5号にいう「地目の変換等」に該当することは当事者間に争いがない。 したがって、地方税法附則17条2号にいう「宅地等」に該当する本件各土地に係る令和4年度の固定資産税等の課税標準額及び税額を求めるには、 まず、本件各土地の同法附則18条1項にいう「前年度分の固定資産税の課税標準額」として、同法附則17条7号 該当する本件各土地に係る令和4年度の固定資産税等の課税標準額及び税額を求めるには、 まず、本件各土地の同法附則18条1項にいう「前年度分の固定資産税の課税標準額」として、同法附則17条7号にいう比準課税標準額(本件各土地の令和4年度の比準課税標準額)を求め(同法附則18条6項3号イ)、これに基づき、本件各土地の令和4年度の負担水準を算出した上で、同法附則18条各項に定めるところにより、負担調整措置を適用して、本件各土地の令 和4年度の課税標準額及び税額を求めるべきこととなる(関係法令等の定め(2)参照)。そして、本件各土地の令和5年度(第三年度)の固定資産税等の課税標準額及び税額については、本件各土地の令和5年度の前年度課税標準額、すなわち、上記の本件各土地の令和4年度の比準課税標準額を基礎として求められた本件各土地の令和4年度の課税標準額をもって、「前年度分の 固定資産税の課税標準額」として、負担水準を算出し、これらを基に、同法附則18条各項の定める負担調整措置を適用して、課税標準額及び税額を求めることとなる。 しかるところ、α市長は、本件各土地の令和4年度の課税標準額を求めるに当たり、いわゆる「運用上のみなし方式」を採用し、本件各土地につき、 本件画地認定変更後の本件各土地が令和3年度(令和4年度の前年度)以前- 30 - から存在しているものと仮定して、いわゆる本則課税(住宅用地である本件住宅画地については特例適用額を課税標準とする課税、商業地等である本件駐車場画地については登録価格の70%を課税標準額とする課税)が実現した課税年度にまで遡り、その時点から、本件画地認定変更がされた令和4年度までの各課税年度につき、本件画地認定変更後の本件各土地が各課税年度 において存在したと仮定し 税標準額とする課税)が実現した課税年度にまで遡り、その時点から、本件画地認定変更がされた令和4年度までの各課税年度につき、本件画地認定変更後の本件各土地が各課税年度 において存在したと仮定した場合の負担水準及び課税標準額を算出する方法により、本件各土地の令和4年度の課税標準額を求めている(別紙4記載3(1)参照)。 そこで、α市長が、本件各土地の令和4年度の課税標準額につき、運用上のみなし方式を採用してこれを算定したことが、上記地方税法附則の規定に 反しないかが問題となる。 (2) 運用上のみなし方式の適法性ア負担水準算定の前提となる「比準課税標準額」とは、地方税法附則17条7号によれば、土地につき、当該土地に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に、当該土地の類似土地の前年度課税標準額を、 当該類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た額をいうとされている(関係法令等の定め(2)ア参照)から、比準課税標準額を算出するためには、地目の変換等があった土地(当該土地)の類似土地を選定する必要がある。 そして、ここでいう「類似土地」とは、地方税法附則17条7号によれ ば、「当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの」と定義されている(関係法令等の定め(2)ア参照)から、比準課税標準額を求めるために選定すべき類似土地に該当するには、その文理上、①地目の変換等があった土地(当該土地)に類似する土地であること、及び②当該類似する土地が当該地目の変換等があった年度(当該年度)の前 年度に係る賦課期日において所在(存在)していたことのいずれをも満た- 31 - す必要があると解される。 び②当該類似する土地が当該地目の変換等があった年度(当該年度)の前 年度に係る賦課期日において所在(存在)していたことのいずれをも満た- 31 - す必要があると解される。 他方で、運用上のみなし方式は、地目の変換等があった土地(当該土地)について、当該地目の変換等があった課税年度の前年度以前から、当該地目の変換等があった後の土地として存在していたと仮定した場合の価格推移を算出し、各年度の負担水準を算出した上、当該地目の変換等があった 後の当該土地の前年度の課税標準額を求める方法である(前提事実(4)ア)。 このような運用上のみなし方式による課税標準額の算定方法は、いわば、比準課税標準額を求めるための「類似土地」として、地目の変換等があった後の当該土地そのものを、「当該土地に類似する土地」として選定する(地目の変換等があった後の当該土地を類似土地と「みなして」いる)ものと いえるところ、地目の変換等があった後の当該土地は、地方税法附則17条7号がいうところの「当該土地」そのものであり、「当該土地に類似する土地」とはいえない(上記①を満たさない)。また、地目の変換等があった後の当該土地は、その前年度の賦課期日時点では、当該地目の変換等はまだ行われていなかったのであるから、当該前年度の賦課期日時点において、 当該地目の変換等があった後の土地として所在(存在)していたとはいえず(上記②を満たさない)、そのような課税標準額の算定のために便宜上設定された架空の土地である「前年度の賦課期日時点で存在した(地目の変換等があった後の)当該土地」について、比準課税標準額を求める前提となる「前年度課税標準額」が存在したということもできない。 そうすると、運用上のみなし方式は、地方税法 (地目の変換等があった後の)当該土地」について、比準課税標準額を求める前提となる「前年度課税標準額」が存在したということもできない。 そうすると、運用上のみなし方式は、地方税法附則17条7号の定めるところに従い、地目の変換等があった当該土地の「類似土地」を選定しているものとはいえないし、かかる類似土地の前年度課税標準額等から比準課税標準額を算出しているものともいえない。 イまた、地方税法附則18条の3第1項は、要旨、令和3年度から令和5 年度までの各年度に係る賦課期日において所在する宅地等で、その賦課期- 32 - 日における用途(小規模住宅用地、一般住宅用地及び非住宅用宅地等の3種類)が前年度の賦課期日における用途と異なるもの(用途変更宅地等)については、当該用途変更宅地等に係る同法附則17条6号に規定する前年度課税標準額は、当該用途変更宅地等の前年度分の課税標準の基礎となった価格に、当該用途変更後の用途に係る当該市町村内に所在する全ての 土地の前年度の課税標準額の総額を固定資産税の課税標準の基礎となった価格の総額で除して得た数値(すなわち、当該用途変更後の用途に係る前年度課税後時点での負担水準に相当する数値の加重平均)を乗じて得た額とする旨規定する(平均負担水準方式)。 その一方で、令和3年法律第7号の附則14条1項は、用途変更宅地等 に対して課する固定資産税等の特例に関する経過措置として、市町村は、令和3年度から令和5年度までの各年度分の固定資産税等について、条例で定めるところにより、地方税法附則18条の3の規定を適用しないことができる旨規定し、令和3年法律第7号の附則14条2項は、同条1項の場合においては、令和3年度から令和5年度までの各課税年度において用 ころにより、地方税法附則18条の3の規定を適用しないことができる旨規定し、令和3年法律第7号の附則14条2項は、同条1項の場合においては、令和3年度から令和5年度までの各課税年度において用 途変更が生じた宅地(用途変更宅地等)の固定資産税については、当該用途変更宅地等が当該用途変更が生じた課税年度の前年度から当該用途変更後の用途の宅地等であったものとみなして、地方税法附則17条及び18条所定の規定を適用する旨規定する(条例によるみなし方式)。 これらによれば、地方税法(制定附則及び改正附則を含む。)上、いわゆ る「みなし方式」については、宅地等の用途が前年度の用途とは異なる場合(用途変更宅地等の場合)における平均負担水準方式を用いた課税標準額の算出(地方税法附則18条の3)の例外として、改正附則により、条例に定めを置くことを要件として、上記みなし方式(条例によるみなし方式)の手法による課税標準額の算出をすることができることとしているも のと解される(この趣旨は、負担水準にばらつきの残る市町村においては、- 33 - 平均負担水準方式を適用すると、用途変更後の当該土地と同用途の周辺の土地の税負担を比較した場合に税負担のバランスを欠くことがあり得ること等から、経過措置として、例外的に、条例によりみなし方式を適用することができることとすることにあると解される。 「令和3年度版要説固定資産税」〔甲21・339頁〕参照)。このように、地方税法上、みなし方 式を用いることができる場合が明文で定められており、かつ、その要件として条例の定めが必要とされていることからすると、このような明文も条例の定めもないのに、地方税法附則17条5号所定の地目の変換等があった土地について、「運用上のみなし方式」によりその課税 その要件として条例の定めが必要とされていることからすると、このような明文も条例の定めもないのに、地方税法附則17条5号所定の地目の変換等があった土地について、「運用上のみなし方式」によりその課税標準額を算出することは、同法に反するといわざるを得ない。 ウ以上に述べたところに加え、被告の課税事務担当者も、原告がした審査請求に係る口頭意見陳述において、被告において採用されている運用上のみなし方式は、法令には規定されておらず、被告の条例や事務取扱要領にも規定されていないとの発言をしていること(甲18)も踏まえれば、α市長が、本件各土地の令和4年度の固定資産税等の課税標準額につき、運 用上のみなし方式を採用してこれを算定したことは、その算定結果が原告にとって有利なものか不利なものかどうかはともかく、地方税法附則17条7号及び同法附則18条の各規定に反し、違法といわざるを得ない。 (3) 被告の主張についてア地方税法附則17条7号に反しない旨の主張について 被告は、運用上のみなし方式につき、地目の変換等が生じた後の当該土地についてみれば、当該土地そのものは、前年度の賦課期日にも所在している一方で、当該土地は、前年度の賦課期日の時点では、地目の変換等が生じる前の状態であったのであるから、(地目の変換等があった後の)当該土地そのものであるともいえないから、かかる土地(地目の変換等があっ た後の当該土地)は、前年度の賦課期日に所在する類似土地に該当すると- 34 - いえ、運用上のみなし方式は、地方税法附則17条7号に反しない旨主張する。 しかし、地方税法附則17条7号にいう類似土地とは、「当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの」であり、 方式は、地方税法附則17条7号に反しない旨主張する。 しかし、地方税法附則17条7号にいう類似土地とは、「当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの」であり、当該土地とは別の、当該土地に類似する実在の土地を想定しているというべ きであって、現実には存在しない類似土地(地目の変換等が過去にされていたと仮定した場合の当該土地)を用いる運用上のみなし方式は、前記(2)アで詳述したとおり、地方税法17条7号の文理に反するといわざるを得ない。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 イ運用上のみなし方式には合理性及び妥当性がある旨の主張について(ア) 被告は、①類似土地の選定においては、同一街路上に複数の類似土地が存する場合や、同一街路上に当該土地と同様の条件を満たす類似土地が存しない場合など、適正な類似土地の選定判断が困難な場合があり、担当職員の判断に委ねられる部分が大きく、恣意的課税につながるおそ れが否定できない、②類似土地は、当該土地が過去から存在したと仮定した場合の価格の水準と同じ価格推移をたどってきたと認められる土地を選ぶことが望ましいと考えられるなどと指摘し、運用上のみなし方式は、正に地目の変換等があった後の当該土地が過去から存在していたと仮定した場合の価格推移と同一の価格推移に基づき、課税標準額を算 出することとなるため、比準課税標準額の算定に当たって最適な方法であり、合理性が認められる旨主張する。 そこで検討するに、地方税法附則17条7号所定の類似土地の定義をみても、どのような基準を満たせば「当該土地に類似する土地」といえるのかについて具体的な定めは置かれていないところ、類似土地の選定 につき、「ここが知りたい最新税 条7号所定の類似土地の定義をみても、どのような基準を満たせば「当該土地に類似する土地」といえるのかについて具体的な定めは置かれていないところ、類似土地の選定 につき、「ここが知りたい最新税務Q&A 固定資産税(評価)関係類- 35 - 似土地の選定」(月刊税2021年12月号・46頁以下。乙28)では、「類似土地は、当該土地が過去から存在していたと仮定した場合の価格の推移と同じ価格推移をたどってきたと認められる土地を選ぶことが望ましいと考えられる。この観点から、類似土地は、原則として、同一状況類似地区に存し、できる限り同一街路沿いに存する土地を選定する ことが望ましいと考えられる。また、画地の形状や接道状況、利用上の便等についても、できる限り当該土地と同様のものを選定することが望ましい。」などと解説されている(乙28・61頁)。これによれば、地目の変換等があった土地につき、当該地目の変換等があった後の土地が当該地目の変換等があった課税年度の前年度以前から存在するものと 仮定して、遡及計算することにより課税標準額を算出する運用上のみなし方式には、一定程度合理性があるものと考えられる。 しかし、上記(2)で述べたとおり、かかる手法は地方税法附則17条7号の文理に反するといわざるを得ないのであり、運用上のみなし方式に一定程度合理性があるからといって、あるいは、本来の方式より合理的 であるとすらいえるからといって、それにより運用上のみなし方式が適法ということにはならない。運用上のみなし方式が制度趣旨等に照らしてより合理的なのであれば、みなし方式を用いることができるよう地方税法を改正すべきであり、運用として法令上認められていない方式を用いることは違法である。 したがって、被告が指摘する てより合理的なのであれば、みなし方式を用いることができるよう地方税法を改正すべきであり、運用として法令上認められていない方式を用いることは違法である。 したがって、被告が指摘する事情(運用上のみなし方式の合理性等)は、地目の変換等があった土地の固定資産税等の課税標準額につき、運用上のみなし方式を採用して算出することが許される根拠となるものではなく、被告の上記主張は採用することができない。 (イ) また、被告は、比準価格の算定の際、地目の変換等があった土地(当 該土地)自体を類似土地として再評価することは、当該土地の類似土地- 36 - の基準年度の価格から比準する方法と実質的にその評価の内容が同一であるといえ、それ自体違法なものではないところ、地方税法附則17条7号が、比準課税標準額の算出に当たり類似土地を用いることとしたのは、地方税法349条と平仄を合わせたものであり、地方税法附則17条7号にいう類似土地と、地方税法349条にいう「類似する土地」 とは同意義であると解されることからすれば、課税標準の算定についても、対象地そのものを類似土地として算定すること(運用上のみなし方式を用いること)には合理性があるといえる旨主張する。 そこで検討するに、地方税法349条2項ただし書等の規定により比準価格を算定する場合において、比準価格とは、当該土地に類似する土 地の基準年度の価格を基礎として、その価格に、当該土地の第二年度又は第三年度の賦課期日における現況に基づく価格形成要因と、類似土地の基準年度における価格形成要因との相違を反映させることにより、価格水準としては基準年度の賦課期日時点のものとしつつ、当該土地の第二年度又は第三年度の賦課期日時点における現況を反映した価格を算 定するも おける価格形成要因との相違を反映させることにより、価格水準としては基準年度の賦課期日時点のものとしつつ、当該土地の第二年度又は第三年度の賦課期日時点における現況を反映した価格を算 定するものであり、このことは、言い換えれば、第二年度又は第三年度の土地が、基準年度の賦課期日時点において既に存在していたものとして、基準年度に類似土地を評価したのと同じ基準で評価することと同じ意味であると考えられる。そうすると、当該土地が市街地宅地評価法を適用する区域に存する場合には、基準年度の土地を評価するのと同様の 手順で、当該土地が存する状況類似土地の主要な街路の路線価に比準して評定された路線価を基礎とし、画地計算法を適用して評価することにより、当該土地に類似する土地に比準して評価した場合と同様の結果を得ることができるものと考えられる(以上につき、一般財団法人地方財務協会編「固定資産税逐条解説」〔乙4〕160頁、乙28・47、52 ~53頁参照)。 - 37 - これに対し、課税標準額の算定に当たって用いられる比準課税標準額とは、当該土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に、当該土地の類似土地の前年度課税標準額を、当該類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た額と定義されているところ(地方税法附則17条7号)、これを言い換 えると、比準課税標準額とは、類似土地の前年度課税標準額を元に、類似土地と当該土地との価格の差異を反映して算定した額であるということができる(すなわち、比準課税標準額は、類似土地の前年度課税標準額に、当該土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格を類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除 して得た数値を わち、比準課税標準額は、類似土地の前年度課税標準額に、当該土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格を類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除 して得た数値を乗じて得た額と同義である。)から、類似土地としていかなる土地を選定するか(類似土地の前年度課税標準額がいくらであるか)により、当該土地に係る税額も左右されることになると考えられる(被告が提出する文献〔乙28〕も、比準課税標準額の算定に係る類似土地の選定については、「類似土地の選定は納税者が負担する税額に直結す る重要な事項と考えられ」る旨解説している〔乙28・60頁〕)。 そうであれば、地目の変換等があった土地の課税標準額を算出するに当たり、類似土地を選定して比準課税標準額を算出する場合と、運用上のみなし方式を採用して算出する場合とで、同じ結果となる場合もあるかもしれないが、前者が後者より税額が低くなる場合も、逆に前者が後 者より税額が高くなる場合も、いずれもあり得ると考えられる(なお、本件各土地が上記のいずれの場合に該当するかは、本件各土地につき類似土地を選定して比準課税標準額を算定した場合の課税標準額及び税額の計算結果が提出されていない以上、不明というほかない。)。 そうすると、比準価格を算定する場合に、当該土地につき、基準年度 の土地を評価するのと同様の手順で評価することで、比準価格を求める- 38 - ことができるからといって、比準課税標準額の算定に当たっても、運用上のみなし方式を採用することが許されるものと解することはできない。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) さらに、被告は、全国の大多数の自治体では、負担水準にばらつきが 残る中で、地目の変換等があった地 のと解することはできない。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) さらに、被告は、全国の大多数の自治体では、負担水準にばらつきが 残る中で、地目の変換等があった地域における類似土地の選定方法や課税標準額の算定方法につき、運用上のみなし方式が採用されており、かかる算定方法は、広く一般に用いられているのであって、この意味でも、運用上のみなし方式には合理性があるといえる旨主張する。 しかし、前記(2)で詳述したとおり、運用上のみなし方式を採用して課 税標準額を算定する手法は、地方税法附則17条7号等の規定に反するといわざるを得ず、多数の自治体で同様の手法が採用されているからといって、運用上のみなし方式を採用することが同法に反しないとはいえない。前述のとおり、運用上のみなし方式の合理性は、法令違反を治癒する事情とはいえない。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 (4) 小括以上によれば、α市長が、運用上のみなし方式により計算した本件各土地の令和4年度の固定資産税等に係る課税標準額及び税額は、地方税法附則の各規定の定める方法により計算されたものではないから、かかる課税標準額 及び税額を決定してされた令和4年度賦課決定処分は、違法であり、取消しを免れない。 また、本件各土地の令和5年度の固定資産税等の課税標準額及び税額は、上記のとおり違法に算出された本件各土地の令和4年度の課税標準額を基礎として、地方税法附則18条を適用して算出されたものである(別紙4の 4参照)から、かかる課税標準額及び税額を決定してされた令和5年度賦課- 39 - 決定処分も違法であり、取消しを免れない。 3 争点3(本件委員会が本件各審査決定をした (別紙4の 4参照)から、かかる課税標準額及び税額を決定してされた令和5年度賦課- 39 - 決定処分も違法であり、取消しを免れない。 3 争点3(本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことの国家賠償法上の違法性及び過失)について(1) 判断枠組みア国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員 が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものであるから、公務員による公権力の行使に同項にいう違法があるというためには、当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情があることが必要で ある(最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁、最高裁令和5年10月26日第一小法廷判決・集民270号215頁等参照)。 イまた、ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し、実務上の取扱いも分かれていて、そのいずれについても相当の根拠が認められる場 合に、公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を執行したときは、後にその執行が違法と判断されたからといって、直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当ではない(最高裁昭和46年6月24日第一小法廷判決・民集25巻4号574頁、最高裁昭和49年12月12日第一小法廷判決・民集28巻10号2028頁等参照)。 (2) 本件についての具体的検討アまず、前記1のとおり、α市長による本件各登録価格の決定は適法であるから、本件委員会が本件各審査決定をしたことは、国家賠償法上違法であるとは認められない (2) 本件についての具体的検討アまず、前記1のとおり、α市長による本件各登録価格の決定は適法であるから、本件委員会が本件各審査決定をしたことは、国家賠償法上違法であるとは認められない。 イ他方で、前記2のとおり、α市長がした本件各賦課決定処分には、地方 税法附則の規定に従って課税標準額を算定しなかった違法がある。 - 40 - しかし、本件各賦課決定処分がされた時点(令和4年5月1日ないし令和5年5月1日)までに、地目の変換等があった土地に係る課税標準額の算定につき、運用上のみなし方式を採用してこれを算出することが違法である旨を判示した最高裁判例や下級審裁判例は見当たらない。かえって、運用上のみなし方式を採用した課税標準額の算定については、運用上のみ なし方式の適否が争点となっているものではないものの、これを適法とした下級審裁判例(広島地裁平成12年3月1日判決。乙29)や、土地区画整理法に基づく仮換地指定がされたやや特殊な事案であるものの、これを適法とした審査請求に係る裁決(平成30年3月23日ε市長裁決。乙30)がみられる。また、運用上のみなし方式を採用した課税標準額の算 出は、多数の自治体で行われており、被告が行った調査では、調査対象の9割以上の自治体が運用上のみなし方式を採用していたことがうかがわれる(乙31)。 これらによれば、少なくとも、α市長が本件各賦課決定処分をした時点において、地目の変換等があった土地につき、運用上のみなし方式を採用 して課税標準額を算出することが許されないとの解釈が確立していたとはいえず、かえって、これを採用して課税標準額を算出することにも相応の根拠があったといえる。したがって、前記(1)イで述べたところに照らし、α市長が、 出することが許されないとの解釈が確立していたとはいえず、かえって、これを採用して課税標準額を算出することにも相応の根拠があったといえる。したがって、前記(1)イで述べたところに照らし、α市長が、本件各土地につき、運用上のみなし方式を採用して課税標準額及び税額を算定し、本件各賦課決定処分を行ったことにつき、職務上通常 尽くすべき注意義務違反があるとは認められない。したがって、α市長が本件各賦課決定処分をしたことが国家賠償法上違法であるとはいえず、また、α市長に過失があるとも認められない。 (3) 小括以上によれば、本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件 各賦課決定処分をしたことは、国家賠償法上違法であるとはいえず、そのこ- 41 - とにつき過失があるともいえないから、争点4(損害の発生及び数額)について判断するまでもなく、原告の国家賠償請求(第1の4)は理由がない。 第4 結論よって、本件各賦課決定処分の取消請求はいずれも理由があるからこれを認容し、原告のその余の請求(本件各審査決定の取消請求及び国家賠償請求)は いずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官徳地淳 裁判官三木裕之 裁判官牛濵裕輝(別紙1~3、別紙5、別紙6、別紙8省略) - 42 - (別紙4) 本件各登録価格及び本件各年度の固定資産税等の金額の算定過程 1 令和4年度登録価格について (1) 紙1~3、別紙5、別紙6、別紙8省略) - 42 - (別紙4) 本件各登録価格及び本件各年度の固定資産税等の金額の算定過程 1 令和4年度登録価格について (1) 路線価の決定等本件各土地の所在する地区は併用住宅地区に区分されるところ、同地区のうち、本件各土地の所在する状況類似地域について選定された標準宅地の基準年度の初日の属する年の前年(令和2年1月1日時点)の1㎡当たりの鑑定評価価格の7割の価額は21万1000円であること等から、上記標準宅地に沿接 する主要な街路の令和4年度の路線価を21万1000点と付設した。これに基づき、本件各土地が沿接する街路の路線価をいずれも21万1000点と付設した。 (2) 本件各土地の登録価格の算出過程についてア本件住宅画地について (ア) 無道路地補正本件住宅画地は無道路地であるが、原告自身が共有持分を有する土地である本件駐車場画地を利用して街路へ通行することができるため、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表10が定める無道路地の補正率表のうち、区分「通行可」に該当する。そのため、その無道路地補 正率は、「遠い奥行」距離による奥行価格補正率に0.7を乗じて定めることとなるところ、本件住宅画地に係る「遠い奥行」は、26.80m(乙16)であるから、「遠い奥行」距離による奥行価格補正率は、1.00となる。したがって、本件住宅画地に係る無道路地補正率は、0.70(1. 00×0.70)とした。 (イ) 無道路地に係る不整形地補正(本件不整形地補正)- 43 - 本件住宅画地については、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表10の区分「通行可」に係る不整形地の補正の 無道路地に係る不整形地補正(本件不整形地補正)- 43 - 本件住宅画地については、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表10の区分「通行可」に係る不整形地の補正の適用があるところ、この場合、間口(道路に直接接しない土地については、利用形態に関わらず、評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分をいう。事務取扱要領の第1編(評価)の第7章第2節2(7)③カ参照)に面する矩形又は 正方形の土地を想定整形地とすることとなる。 本件住宅画地については、本件想定整形地(別紙5参照。地積:20. 8m×15.4m=320.32㎡)を設定したところ、これによる蔭地割合は下記計算式のとおり21%となる。そして、かかる蔭地割合を、評価基準別表第3の附表4の不整形地補正率表に当てはめて、不整形地補正 率を0.96とした。 【計算式】(320.32㎡―252.68㎡〔本件住宅画地の現況地積〕)/320.32㎡(ウ) 評価額の決定前記(1)並びに上記(ア)及び(イ)によれば、本件住宅画地の単位地積当た りの評点数は、14万1792点(21万1000点〔評価上使用される路線に係る路線価〕×0.70〔無道路地補正率〕×0.96〔無道路地の不整形地補正率〕。小数点以下切捨て)となる。 そして、本件住宅画地の評点数については、上記の単位地積当たりの評点数に、それぞれの土地の地積を乗じて、次のとおり算出した。 別紙2のT1部分(γ):2963万4528点(14万1792点×209.00㎡)別紙2のT2部分(δ):82万2393点(14万1792点×5.80㎡)そして、本件住宅画地の評価額については、上記本件住宅画地の評点数 に評点1点当たりの価額1円を乗じて 別紙2のT2部分(δ):82万2393点(14万1792点×5.80㎡)そして、本件住宅画地の評価額については、上記本件住宅画地の評点数 に評点1点当たりの価額1円を乗じて、次のとおり算出した。 - 44 - 別紙2のT1部分:2963万4528円別紙2のT2部分:82万2393円イ本件駐車場画地について(ア) 奥行価格補正率本件駐車場画地は、評価基準の定める不整形地に該当するところ、その 形状等を考慮し、その奥行価格補正率については、評価基準別表第3の7(1)②イに定める、不整形地の地積をその間口距離で除して得た計算上の奥行距離(想定整形地の奥行距離が上限となる。)を基礎として評点数を求める方法により算出することとした。 本件駐車場画地の現況地積が534.55㎡(別紙2のT3部分365. 12㎡+T4部分169.43㎡)で、間口距離が35m(乙15の座標B21からB22までの距離)であることから、計算上の奥行距離は15. 20m(534.55㎡÷35m)となる。したがって、本件駐車場画地の奥行価格補正率は、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表1に基づき、1.00とした。 (イ) 不整形地補正率上記(ア)のとおり、本件駐車場画地については評価基準上の不整形地補正の適用があるところ、本件駐車場画地に係る想定整形地(乙17参照)の現況地積は1044.00㎡(29.00m×36.00m)であるから、本件駐車場画地に係る蔭地割合は、下記計算式のとおり、概ね48% となる。そして、かかる蔭地割合を、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表8の不整形地補正率表に当てはめて、不整形地補正率を0.87とした。 、下記計算式のとおり、概ね48% となる。そして、かかる蔭地割合を、事務取扱要領の第2編(事務処理)の第3章第1節別表8の不整形地補正率表に当てはめて、不整形地補正率を0.87とした。 【計算式】(1044.00㎡―534.55㎡)/1044.00㎡ (ウ) 評価額の決定- 45 - 前記(1)並びに上記(ア)及び(イ)によれば、本件駐車場画地の単位地積当たりの評点数は、18万3570点(21万1000点〔正面路線価〕××0.87〔不整形地補正率〕。小数点以下切捨て)となる。 そして、本件駐車場画地の評点数については、上記の単位地積当たりの評点数に、それぞれの土地の地積を乗じて、次のとおり算出した。 別紙2のT3部分(γ):5690万6700点(18万3570点×310.00㎡)別紙2のT4部分(δ):3110万2265点(18万3570点×169.43㎡)そして、本件駐車場画地の評価額については、上記本件駐車場画地の評 点数に評点1点当たりの価額1円を乗じて、次のとおり算出した。 別紙2のT3部分:5690万6700円別紙2のT2部分:3110万2265円 2 令和5年度登録価格について 令和5年度(第三年度)の賦課期日(令和5年1月1日)時点において、本件各土地の現況は、令和4年度の賦課期日(令和4年1月1日)時点の現況と何ら変化が生じていなかったことから、地方税法349条3項本文の規定により、本件各土地の令和5年度の登録価格については、第二年度である令和4年度の登録価格(令和4年度登録価格。比準価格)を据え置いた。したがって、本件各土地 の令和5年度の登録価格は、次のとおりである。 件各土地の令和5年度の登録価格については、第二年度である令和4年度の登録価格(令和4年度登録価格。比準価格)を据え置いた。したがって、本件各土地 の令和5年度の登録価格は、次のとおりである。 別紙2のT1部分(γ):2963万4528円別紙2のT2部分(δ):82万2393円別紙2のT3部分(γ):5690万6700円別紙2のT2部分(δ):3110万2265円 - 46 - 3 令和4年度賦課決定処分に係る本件各土地の固定資産税等の税額について(1) 課税標準額の算定本件各土地については、令和4年度の賦課期日において本件画地認定変更を行っており、地方税法附則18条6項3号にいう「地目の変換等」がある宅地等に該当することから、課税標準額の算定については、比準課税標準額(地方 税法附則17条7号)を用いて負担水準を算定し、これに基づき、宅地等(住宅用地及び商業地等を含む。)に関する税負担調整措置(関係法令等の定め(2)イ~エ)を適用して、本件各土地に係る令和4年度の固定資産税等の課税標準及び税額を算定することとなる。 この点につき、α市長は、本件各土地に係る令和4年度の固定資産税等の課 税標準額につき、運用上のみなし方式を採用して算出した。具体的には、本件各土地につき、本件画地認定変更後の本件各土地が令和4年度の賦課期日以前にも存在しているものと仮定して、いわゆる本則課税(住宅用地である本件住宅画地については特例適用額を課税標準とする課税、商業地等である本件駐車場画地については、登録価格の70%を課税標準額とする課税)が実現した課 税年度にまで遡り、その時点から、本件画地認定変更がされた令和4年度までの各課税年度につき、(本件画地認定変更後の本件各土地が各課税 ては、登録価格の70%を課税標準額とする課税)が実現した課 税年度にまで遡り、その時点から、本件画地認定変更がされた令和4年度までの各課税年度につき、(本件画地認定変更後の本件各土地が各課税年度において存在したと仮定した場合の)負担水準及び課税標準額を算出した。 しかるところ、本件住宅画地(土地概略図のT1部分及びT2部分。住宅用地)については、本則課税(特例適用額を課税標準とする課税)が実現してい る課税年度は平成20年度であることから、同年度から令和4年度までの各課税年度につき、各課税年度における路線価格を基に、本件画地認定変更後の本件住宅画地が存在したと仮定した場合の評価額及び課税標準額を計算した。その詳細は、別紙6「令和4年度課税標準額算定」の1~2及び4~5丁のとおりであり、これらによれば、本件住宅画地のうち、別紙2のT1部分(γ) の令和4年度の固定資産税の課税標準額は、469万3092円となり、都市- 47 - 計画税の課税標準額は、938万6183円となる。また、本件住宅画地のうち、別紙2のT2部分(δ)の令和4年度の固定資産税の課税標準額は、13万0238円となり、都市計画税の課税標準額は、26万0477円となる。 他方、本件駐車場画地(土地概略図のT3及びT4部分。商業地等)についても、本則課税(登録価格の70%を課税標準額とする課税)が実現している 課税年度は平成20年度であることから、同年度から令和4年度までの各課税年度につき、各課税年度における路線価格を基に、本件画地認定変更後の本件駐車場画地が存在したと仮定した場合の評価額及び課税標準額を計算した。その詳細は、別紙6「令和4年度課税標準額算定」の3及び6丁のとおりであり、これらによれば、本件駐車場画地のうち、別紙 後の本件駐車場画地が存在したと仮定した場合の評価額及び課税標準額を計算した。その詳細は、別紙6「令和4年度課税標準額算定」の3及び6丁のとおりであり、これらによれば、本件駐車場画地のうち、別紙2のT3部分(γ)の令和 4年度の固定資産税等の課税標準額は、いずれも3006万4807円となる。 また、本件駐車場画地のうち、別紙2のT4部分(δ)の令和4年度の固定資産税等の課税標準額は、いずれも1643万1871円となる。 (2) 税額の決定上記(1)で求めた本件各土地の令和4年度の固定資産税等の課税標準額に基 づき、地方税法350条1項及び702条の4により、本件各土地の令和4年度の固定資産税等の金額を算出すると、次のとおりとなる(いずれも1円未満切捨て)。 ア別紙2のT1部分(γ)固定資産税:469万3092円×1.4%=6万5703円 都市計画税:938万6183円×0.3%=2万8158円イ別紙2のT2部分(δ)固定資産税:13万0238円×1.4%=1823円都市計画税:26万0477円×0.3%=781円ウ別紙2のT3部分(γ) 固定資産税:3006万4807円×1.4%=42万0907円- 48 - 都市計画税:3006万4807円×0.3%=9万0194円エ土地概略図のT4部分(δ)固定資産税:1643万1871円×1.4%=23万0046円都市計画税:1643万1871円×0.3%=4万9295円 4 令和5年度賦課決定処分に係る本件各土地の固定資産税等の税額について(1) 課税標準額の計算について本件各土地の令和5年度の固定資産税等の課税標 0.3%=4万9295円 4 令和5年度賦課決定処分に係る本件各土地の固定資産税等の税額について(1) 課税標準額の計算について本件各土地の令和5年度の固定資産税等の課税標準については、地方税法附則18条6項3号ロ及び同条1項により、前記3(1)で求めた本件各土地の令和4年度分(前年度分)の固定資産税等の課税標準額に、本件各土地の令和5 年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格に100分の5を乗じて得た額を加算した額となる(関係法令等の定め(2)イ及びエ)。 これによれば、本件各土地の令和5年度の固定資産税等の課税標準額は、次のとおりとなる。 ア別紙2のT1部分(γ)(乙21の1) 固定資産税の課税標準額:495万7086円都市計画税の課税標準額:991万4171円イ別紙2のT2部分(δ)(乙21の4)固定資産税の課税標準額:13万7564円都市計画税の課税標準額:27万5129円 ウ別紙2のT3部分(γ)(乙21の2)固定資産税等の課税標準額:いずれも3291万0142円エ別紙2のT4部分(δ)(乙21の3)固定資産税等の課税標準額:いずれも1798万6984円(2) 税額の決定 上記(1)で求めた本件各土地の令和5年度の固定資産税等の課税標準額に基- 49 - づき、地方税法350条1項及び702条の4により、本件各土地の令和5年度の固定資産税等の金額を算出すると、次のとおりとなる(いずれも1円未満切捨て)。 ア別紙2のT1部分(γ)固定資産税:495万7086円×1.4%=6万9399円 都市計画税:991万4171円×0. のとおりとなる(いずれも1円未満切捨て)。 ア別紙2のT1部分(γ)固定資産税:495万7086円×1.4%=6万9399円 都市計画税:991万4171円×0.3%=2万9742円イ別紙2のT2部分(δ)固定資産税:13万7564円×1.4%=1925円都市計画税:27万5129円×0.3%=825円ウ別紙2のT3部分(γ) 固定資産税:3291万0142円×1.4%=46万0741円都市計画税:3291万0142円×0.3%=9万8730円エ別紙2のT4部分(δ)固定資産税:1798万6984円×1.4%=25万1817円都市計画税:1798万6984円×0.3%=5万3960円 (以上) - 50 - (別紙7) 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件住宅画地の価格評価の適法性)について (被告の主張)(1) 本件住宅画地につき評価基準上の不整形地補正の適用はないことア評価基準にいう不整形地とは、原則として普通地、準普通地、正台形地、正L字形地及び路線となす角が大きい平行四辺形地等を除いたもので、路線に一辺又は数辺が接する多辺数形の画地をいうと定義されており(乙22)、 評価基準上の不整形地補正は、画地が路線に接していることを前提とした上で、敷地の利用効率が劣り、土地取引に当たって減価が認められる場合に補正の適用が必要となるものである。その上で、評価基準上の不整形地補正として、蔭地割合方式を採用する場合には、その蔭地割合を算定する前提としての想定整形地は、「評価対象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形 の土地」と定義されてい 評価基準上の不整形地補正として、蔭地割合方式を採用する場合には、その蔭地割合を算定する前提としての想定整形地は、「評価対象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形 の土地」と定義されているのである。 これらによれば、評価基準における不整形地や、評価基準上の不整形地補正における想定整形地(評価基準が定める想定整形地)は、いずれも正面路線に面していることを前提として定義されているから、直接道路に接していない画地である無道路地については、評価基準に定義される蔭地割合方式を 用いた補正を行うことは想定されておらず、評価基準上の不整形地補正の直接の適用はないというべきである。 イしかるところ、被告が、事務取扱要領上の無道路地の補正率表(第2編〔事務処理〕の第3章第1節別表10)において、不整形地補正を「有」と定めているのは、評価基準上の不整形地補正は、画地の形状が悪いことによって 画地の全部を宅地として十分に利用することができないという利用上の制- 51 - 約を受けることを理由とする減価補正であるから、無道路地であっても、その画地自体の形状が不整形である場合には、評価基準を補填する所要の補正として、画地の形状が不整形であることによる補正を適用することが合理的であると考えられるからである。 したがって、α市長が本件住宅画地について行った本件不整形地補正は、 評価基準上の不整形地補正として行ったものではなく、評価基準上の所要の補正として行ったものである。 (2) 本件住宅画地につき実施した不整形地補正(本件不整形地補正)は評価基準上の所要の補正として適法であることア上記(1)イのとおり、α市長が本件住宅画地について行った本件不整形地 補正は、評価基準上の不整形地補正ではな 地補正(本件不整形地補正)は評価基準上の所要の補正として適法であることア上記(1)イのとおり、α市長が本件住宅画地について行った本件不整形地 補正は、評価基準上の不整形地補正ではなく、所要の補正として行ったものであるところ、α市長は、本件不整形地補正に当たり、無道路地である本件住宅画地につき、本件住宅画地を囲み、評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分に面する矩形又は正方形を想定整形地として蔭地割合を求め、この蔭地割合に評価基準上の不整形地補正率表(評価基準別表第3の附表4) を当てはめて補正率を算出することとし、具体的には、本件想定整形地(別紙5参照)を設定した上で蔭地割合21%と算出し、これに上記不整形地補正率表を当てはめて、補正率を0.96としたものである。 かかる手法は、①本件と同様の事案に係る裁判例(乙3)においても適法とされた手法であること、②本件不整形地補正に係る補正率(0.96)は、 仮に本件住宅画地につき、評価基準及び事務取扱要領の定める蔭地割合によらない不整形地補正を適用した場合の補正率と同じであること、③近隣他市町においても、無道路かつ不整形の土地について、全て被告と同様の手法により不整形地補正を適用していること(乙36)などから、合理的なものである。そうすると、α市長が本件住宅画地について行った本件不整形地補正 は、所要の補正として適法なものであるから、本件住宅画地の令和4年度の- 52 - 登録価格は、評価基準に従って適正に算定されたものであるといえる。したがって、本件各登録価格は適法である。 イこれに対し、原告は、無道路地である本件住宅画地に係る不整形地補正についても、評価基準が定めるとおり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきである旨主張する 、本件各登録価格は適法である。 イこれに対し、原告は、無道路地である本件住宅画地に係る不整形地補正についても、評価基準が定めるとおり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきである旨主張する。しかし、不整形地補正の趣旨は、画地の形状が悪い ことによって画地の全部が宅地として十分に利用できないという利用上の制約を受けるための減価補正であって、当該画地以外の土地を考慮するものではない。また、無道路地補正の趣旨は、無道路地につき、専用通路開設の実現の不確実性や、道路に面していないことにより建築等使用収益が不可能であることによる減価、専用通路を開設したとしても、路地状部分の価値が 劣ること及び有効宅地部分についても標準的な画地に比べて環境条件等が劣ること等による減価を反映した補正をすることであり、無道路地補正率は、取付道路開設方式及び鑑定評価先例等の試算により定められているところ、原告が主張するように、無道路地に係る不整形地補正につき、当該画地(無道路地)のみならず別画地部分も想定整形地に含めて蔭地割合を算出して不 整形度を求めることは、旗竿地となる場合に仮定的に不整形となることの減価(無道路地補正)と趣旨が重複し、二重の減価となるものである。さらに、本件住宅画地につき、原告の主張のとおりに想定整形地を設定した場合(別紙8「確定図」参照)には、その想定整形地は、本件住宅画地の画地単位から逸脱し、別の画地である本件駐車場画地も一画地に含めた形状で想定整形 地を作成しているものであって、このような想定整形地の設定の仕方は、一画地を単位として画地計算法が適用されるとの評価基準の規定にもそぐわない。そうすると、本件住宅画地に係る想定整形地につき、評価基準が定めるとおり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきであるとする原 画地を単位として画地計算法が適用されるとの評価基準の規定にもそぐわない。そうすると、本件住宅画地に係る想定整形地につき、評価基準が定めるとおり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきであるとする原告の上記主張は失当である。 また、原告は、事務取扱要領の定める無道路地補正に係る補正率について- 53 - 批判するが、登録価格の決定が違法となる場合との関係において主張の位置付けが不明である。この点を措いても、無道路地補正において、無道路地の土地所有者の意思によらない遮蔽物等の阻害要因によって出入りが容易でない場合の無道路地補正率を、評価基準に規定される下限0.6とした場合には、実態的に通行が可能である無道路地については、専用通路開設の実現 の不確実性等による減価率は当然低くなるため、事務取扱要領では、「通行可」の場合の補正率を0.7と規定しているのであって、このことは評価基準に反するものではない。そして、本件住宅画地については、前面土地である本件駐車場画地も原告の所有である上、通路部分が確保されていた令和3年度以前と比べても、設置されていたコンクリートブロックを除去したのみであ り、前面道路からの出入りは依然として容易であるから、本件住宅画地につき、建築等使用収益が不可能であることによる減価はないに等しく、無道路地補正を行うに当たり、その補正率を下限の0.6とすれば過大な減価となることは明らかである。そうすると、本件住宅画地に係る無道路地補正率が0.7であることが合理的でないとする原告の主張は失当である。 (原告の主張)(1) 本件住宅画地につき評価基準上の不整形地補正の適用があることアそもそも、評価基準では、画地計算法の説明として、不整形地の評点算出法以外では画地の形状が矩形で (原告の主張)(1) 本件住宅画地につき評価基準上の不整形地補正の適用があることアそもそも、評価基準では、画地計算法の説明として、不整形地の評点算出法以外では画地の形状が矩形であることを前提に、補正率や加算率を乗じて1㎡当たりの評点を求め、これに当該画地の地積を乗じてその評点数を求め ることとしていることからすれば、当該画地が不整形地である場合には、別途評価基準上の不整形地補正の適用があることが当然である。 このことは、①評価基準は、無道路地の評点算出法(無道路地補正)に関する記載において、評価基準上の不整形地補正について触れていないが、このような記載ぶりは、側方路線影響加算法や二方路線影響加算法などでも同 様であり、側方路線や二方路線の場合にも評価基準上の不整形地補正の適用- 54 - があるにもかかわらず、無道路地の場合にのみ評価基準上の不整形地補正を行わないことは不自然であること、②評価基準上、間口が狭小な宅地等の評点算出法については、「間口が狭小な画地又は奥行きが長大な画地(不整形地及び無道路地は除く。)」と記載されており、間口が狭小な宅地等の評点算出の場合に、評価基準上の不整形地補正や無道路地補正の適用がないことが明 記されている一方で、評価基準上の不整形地補正に関する記載においては、特に無道路地を除外する旨の記載がされていないことからも裏付けられる。 したがって、評価基準上の不整形地補正は、評価対象画地が無道路地の場合であっても適用されるものと解すべきである。 イ評価基準上の不整形地補正を行う場合には、無道路地であっても、評価基 準どおりに蔭地割合を求める必要がある。また、評価基準は、評価対象画地の無道路地が不整形地の場合の想定整形地の取り方について、 価基準上の不整形地補正を行う場合には、無道路地であっても、評価基 準どおりに蔭地割合を求める必要がある。また、評価基準は、評価対象画地の無道路地が不整形地の場合の想定整形地の取り方について、別段の定めを置いていないとしても、相続税の財産評価においては、この点の明確な解釈が示されており、無道路地以外の場合と同様に、評価対象画地の全域を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地で想定整形地を作成することとさ れているのであるから、無道路地につき、評価基準上の不整形地補正を適用する場合にも、相続税の財産評価と同様の方法で、想定整形地を設定すべきである。したがって、無道路地について不整形地補正を適用する場合でも、その蔭地割合の求め方は、「評価対象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地」(評価基準が定める想定整形地)の地積を算出して、当該地積 から評価対象画地の地積を控除したものを上記想定整形地の地積で除することが必要である。 したがって、評価基準上の不整形地補正の適用がある場合に、蔭地割合の算定の前提となる想定整形地の設定の仕方につき、α市長が本件不整形地補正において行ったように、「評価対象画地を囲む、間口に面する矩形又は正方 形」の土地を設定するものに勝手に変更することは許されない。このような- 55 - 想定整形地の設定方法は、納税者も覚知することができず、納税者の経済活動における法的安定性と予測可能性を害し、課税要件明確主義に反し、憲法84条が定める租税法律主義に反するものであって、違法である。 ウ上記ア及びイによれば、本件不整形地補正に係る蔭地割合の算出の前提となる想定整形地の設定には違法があるところ、不整形地である本件住宅画地 につき、評価基準に従った正しい想定整形地を設 ウ上記ア及びイによれば、本件不整形地補正に係る蔭地割合の算出の前提となる想定整形地の設定には違法があるところ、不整形地である本件住宅画地 につき、評価基準に従った正しい想定整形地を設定すると、別紙8「確定図」の赤色線で囲まれた範囲のとおりであり、その地積は415.80㎡(15. 4m×27.0m)となる。そして、本件住宅画地の地積は252.68㎡であるから、蔭地割合は39.2%となり、これを評価基準上の不整形地補正率表(評価基準別表第3の附表4)に当てはめると、本件住宅画地に係る 不整形地補正率は0.92となる。 これによれば、本件住宅画地の本件各年度における評価単価は、13万5884円(正面路線価21万1000円×奥行価格補正率1.00×無道路地補正率0.70×不整形地補正率0.92)となるから、本件各年度の本件住宅画地の評価額は、合計で2918万7883円(別紙2のT1部分に つき2839万9756円、T2部分につき78万8127円)となり、これは本件住宅画地の本件各年度における登録価格3045万6921円(別紙2のT1部分につき2963万4528円、T2部分につき82万2393円)を下回っているから、本件各登録価格の算定は違法である。 (2) 本件住宅画地につき評価基準上の不整形地補正の適用がないとしても、被告 が設定した想定整形地(本件想定整形地)は違法であることア被告は、事務取扱要領において、間口の定義を「画地の路線に接する部分をいい、道路に直接接しない土地については、利用形態に関わらず、評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分とする」旨定めており、本件住宅画地につき、本件想定整形地を設定する際には、本件住宅画地の正面路線に 近い面を間口であるとして、「評価対象画 らず、評価上使用する路線に対し最有効利用となる部分とする」旨定めており、本件住宅画地につき、本件想定整形地を設定する際には、本件住宅画地の正面路線に 近い面を間口であるとして、「評価対象画地を囲む、間口に面する矩形又は正- 56 - 方形」の土地を想定整形地(本件想定整形地)として設定している。しかし、不動産鑑定評価基準(甲15)は、「最有効使用の原則」について、「最有効使用とは、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである」としていることからすれば、無道路地の最有効使用とは、「土地価格比準 表の手引き」(甲16)に記載されているとおり、住宅地として利用するために最も適した道路に至る幅2ないし4mの通路を取り付けて、袋地(旗竿地)とすることであって、本件住宅画地の正面路線に近い面(幅11.6m)の全面にわたり正面路線に接するよう通路を設置することは、相当の通路開設費用が必要であり、最有効使用になり得ない。そうすると、無道路地の間口 とは、当該無道路地の通路部分で路線に接する面とすべきであって(なお、本件住宅画地については、被告自身も、通行可の通路が存在すると認定している。)、路線に接しない面を間口とすべきであるとの上記主張は失当である。 したがって、仮に、無道路かつ不整形の土地である画地につき、評価基準上の不整形地補正の適用がないとしても、被告が本件不整形地補正の際に設 定した本件想定整形地は不適切というべきである。 イまた、無道路地については、幅2ないし4mの通路を開設したとしても袋地となることは変わりがないところ、袋地は、進入路となる路地状部分と建物等の敷地となる有効宅地部分により構成される画地であり、路 イまた、無道路地については、幅2ないし4mの通路を開設したとしても袋地となることは変わりがないところ、袋地は、進入路となる路地状部分と建物等の敷地となる有効宅地部分により構成される画地であり、路地状部分は、通常建物等の敷地として利用できないことにより、また、有効宅地部分は一 般的に直接道路に接面する標準的な画地より快適性、利便性において劣ることにより減価が生じることとなる。そして、無道路地については、無道路地が道路に接していないことにより住宅地としての一般的な使用は現実には不可能であるが、通路開設により使用可能となることに鑑み、住宅地として利用するために最も適した道路に至る取付道路を想定して、袋地の評価方法 に準じて評価額を求め、この額から当該取付道路用地の取得原価等の通路開- 57 - 設に要する費用の額を差し引いて無道路地の価額を求めることとなる(「土地価格比準表の手引き」〔甲16〕参照)。そうすると、無道路地については、「袋地の評価方法に準じて評価額を求める」のであるから、無道路地について行う不整形地補正における想定整形地についても、袋地について実施される不整形地補正と同様に、評価基準が定める想定整形地、すなわち、「評価対 象画地を囲む、正面路線に面する矩形又は正方形の土地」とするのが妥当である。 ウさらに、無道路地補正につき、被告の定める事務取扱要領においては、①「通行可」の場合には、「通行不可」の場合と比べて合理的な根拠なく無道路地補正率が0.7と低く設定され、通路開設補正率の適用もないところ、事 務取扱要領上、無道路地について不整形地補正の適用があることを明確に規定していることからすれば、上記無道路地補正率は、評価基準上の不整形地補正の適用を前提に設定されており、通路開設後の袋地を想 務取扱要領上、無道路地について不整形地補正の適用があることを明確に規定していることからすれば、上記無道路地補正率は、評価基準上の不整形地補正の適用を前提に設定されており、通路開設後の袋地を想定した不整形の減価が十分に考慮されておらず、正面道路から評価対象画地までの距離に応じた評価対象画地の減価も適切に反映されていないと考えられること、②事 務取扱要領を前提とした場合の本件住宅画地の無道路地補正率(「通行可」の場合の0.7)と、本件住宅画地につき評価基準上の不整形地補正を適用した場合の補正率(前記(1)ウの0.92)を合わせても、その補正率は0.644にとどまり、評価基準が定める無道路地補正率の下限0.6を下回ることはなく、評価基準上の不整形地補正を適用しても補正割合が過大となるも のではないことからすれば、本件住宅画地に関する不整形地補正についても、評価基準のとおり、正面路線に面する想定整形地を設定すべきである。 エ以上によれば、無道路地につき、評価基準上の不整形地補正の適用がなく、所要の補正として不整形地補正を行う場合であっても、本件住宅画地に係る想定整形地については、評価基準が定める想定整形地(評価対象画地を囲む、 正面路線に面する矩形又は正方形の土地)を設定すべきである。 - 58 - そして、前記(1)ウのとおり、本件住宅画地につき、評価基準上の想定整形地を設定した場合には、本件住宅画地の価格は、本件住宅画地の本件各年度の登録価格を下回っているから、本件各登録価格の算定は違法である。 2 争点2(いわゆる「運用上のみなし方式」の適否)について(被告の主張) 被告は、当該年度の賦課期日において、宅地の地積、形状等につき当該宅地の当該年度の前年度の賦課期日における現況 争点2(いわゆる「運用上のみなし方式」の適否)について(被告の主張) 被告は、当該年度の賦課期日において、宅地の地積、形状等につき当該宅地の当該年度の前年度の賦課期日における現況から変更があることにより、地目の変換等(地方税法附則17条5号。なお、農地から宅地等への地目変更のように課税標準額の算定方法自体が変更される場合を除く。)がある場合には、運用上のみなし方式を用いて、当該土地の当該年度の課税標準額を算出しているところ、以 下のとおり、上記の場合に、運用上のみなし方式を用いて課税標準額を算出することは、地方税法に反するものではなく、適法である。 (1) 運用上のみなし方式は地方税法附則17条7号に反しないこと当該年度の賦課期日において地目の変換等がある土地については、当該土地の課税標準額を算定するに当たって前提とすべき前年度課税標準額は、地方税 法附則17条7号により、当該土地に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に、類似土地の前年度課税標準額を当該類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た額(比準課税標準額)をもって定めるべきとされているところ、ここでいう「類似土地」とは、「当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在 するもの」と定義される。そして、地方税法附則の規定上、類似土地をどのような基準で選定するのかということまで詳細に定められているわけではなく、その選定に係る判断は行政に委ねられている。 しかるところ、運用上のみなし方式は、地目の変換等があった後の土地につき、地目の変換等があった後の当該土地が過去から存在していたと仮定した場 合の価格推移を算出し、各年度の負担水準を算出した上、当該地目の変換等 上のみなし方式は、地目の変換等があった後の土地につき、地目の変換等があった後の当該土地が過去から存在していたと仮定した場 合の価格推移を算出し、各年度の負担水準を算出した上、当該地目の変換等が- 59 - あった後の当該土地の前年度の課税標準額を求める方法であるが、地目の変換等(地積や画地の変更)が生じた後の当該土地についてみれば、当該土地そのものは、前年度における賦課期日にも所在している一方で、当該土地は、前年度における賦課期日の時点では、地目の変換等が生じる前の状態であったのであるから、(地目の変換等があった後の)当該土地そのものであるともいえず、 かかる土地(地目の変換等があった後の当該土地)は、前年度の賦課期日に所在する類似土地に該当するといえる。したがって、運用上のみなし方式は、地方税法附則17条7号に反するものではない。 (2) 運用上のみなし方式には合理性及び妥当性が認められること比準課税標準額の算定の前提となる類似土地は、地目の変換等があった土地 と価格事情が類似する土地を選定する必要があり、できる限り同一の路線価を用いて評価を行っているものを選定し、かつ対象地が正面にのみ路線に面しているものである場合には、類似土地についても同一のもの、また個別の補正についてもできる限り同一のものが望ましいと考えられるところ、同一街路上に複数の類似土地が存する場合や、同一街路上に当該土地と同様の条件を満たす 類似土地が存しない場合などに関しては、適正な類似土地の選定判断が困難な場合が生じ、担当職員の判断に委ねられる部分が大きく、恣意的課税につながるおそれが否定できない。また、地目の変換等がない通常の土地については、負担水準は、過去からの負担調整措置の積み重ねの結果として表れるものであり、それは に委ねられる部分が大きく、恣意的課税につながるおそれが否定できない。また、地目の変換等がない通常の土地については、負担水準は、過去からの負担調整措置の積み重ねの結果として表れるものであり、それは、その土地の価格の変遷の仕方によって異なるものであるところ、 類似土地は、当該土地が過去から存在したと仮定した場合の価格の水準と同じ価格推移をたどってきたと認められる土地を選ぶことが望ましいと考えられる。 これらによれば、運用上のみなし方式は、正に地目の変換等があった後の当該土地が過去から存在していたと仮定した場合の価格推移と同一の価格推移に基づき、課税標準額を算出することとなるため、比準課税標準額の算定に当たっ て最適な方法であり、合理性が認められる。 - 60 - また、第二年度及び第三年度の賦課期日において地目の変換等が生じた土地の価格評価については、「当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格」を算定することになる(地方税法349条2項、3項及び5項各ただし書)ところ、ここでいう「比準する」とは、同一の街路(路線)に面する(価格水準が同一である)土地を類似土地として選定し、その類似土地と当該土地 の形状等の個別事情に応じた補正を行って(地目等の異同を是正して)、当該土地の価格評価をすることを意味するから、上記価格評価の際、当該土地自体を類似土地として再評価することは、上記方法(類似土地の基準年度の価格から比準する方法)と実質的にその評価の内容が同一であるといえ、それ自体違法なものではない。そして、地方税法附則17条7号が、比準課税標準額の算出 に当たり類似土地を用いることとしたのは、同法349条と平仄を合わせたものであり、同法附則17条7号にいう類似土地と、同法349条にいう「類似する土地」 則17条7号が、比準課税標準額の算出 に当たり類似土地を用いることとしたのは、同法349条と平仄を合わせたものであり、同法附則17条7号にいう類似土地と、同法349条にいう「類似する土地」とは同意義であると解される。これらによれば、上記地方税法349条2項ただし書等に基づく価格評価に際し、類似する土地に比準して価格を求めることと、対象地そのものを類似土地として価格を算出することは同じで あるから、課税標準額の算定についても、対象地そのものを類似土地として算定すること(運用上のみなし方式を用いること)は合理性があるといえる。 さらに、地目の変換等があった土地における類似土地の選定方法及び課税標準額の算定方法に関し、全国の中核市61市に対して照会文書を送付したところ、これに回答した59市のうち、前年度に係る賦課期日に所在する土地を類 似土地として選定している5市を除いて、9割以上の自治体(54市)が、被告と同様に当該土地自体を類似土地として運用上のみなし方式を採用している(乙31)。そうすると、全国の大多数の自治体では、負担水準にばらつきが残る中で、地目の変換等があった地域における類似土地の選定方法や課税標準額の算定方法につき、被告と同様の方法(運用上のみなし方式)が採用されてお り、かかる算定方法は、広く一般に用いられているのであって、この意味でも、- 61 - 運用上のみなし方式には合理性があるといえる。 なお、原告は、地方税法附則17条7号が、地目の変換等があった土地について類似土地を用いた比準課税標準額を算定することとしている趣旨は、付近の土地との税負担の均衡を図ることにあるところ、運用上のみなし方式は、かかる地方税法の趣旨に適合していない旨主張する。しかし、土地の価格を算出 する 税標準額を算定することとしている趣旨は、付近の土地との税負担の均衡を図ることにあるところ、運用上のみなし方式は、かかる地方税法の趣旨に適合していない旨主張する。しかし、土地の価格を算出 するための路線価は、標準宅地の適正な時価から算出され、これに基づいて当該標準宅地の沿接する街路について路線価を付設し、これを基礎として、宅地の利用上の便等を総合的に考慮してその他の路線価を付設することから、同一の路線に面している土地間の価格に対する課税標準の割合は近似するといえる。 そうすると、当該土地を類似土地として選定し、これが過去から存在したと仮 定した場合の価格推移を算出する運用上のみなし方式においては、正面路線に面する付近の土地との負担水準の均衡はおおむね図られているといえる。 (3) 運用上のみなし方式が租税法律主義に反するとはいえないこと前記(1)で述べたとおり、運用上のみなし方式は、地方税法附則17条7号に反するとはいえない。 また、上記(2)で述べたとおり、運用上のみなし方式は、地目の変換等があった土地について、過去から存在していたとみなした場合の価格の推移を基に当該土地そのものの正確な負担水準を求めることができ、最も適切な課税標準額を算定できることから、決して恣意的課税となるものではない上、逆に状況によっては当該土地以外の類似土地を選定することが恣意的課税につながるおそ れがあることからすれば、租税の公平負担を図る適正な手段としての意義は明確であり、租税法律主義の精神を没却するものではない。さらに、納税義務者から、その所有する土地の課税標準額や税額等について、説明を求められたり、疑義が生じたりした場合等については、当該土地の負担水準を基に算出された前年度の価格や課税標準、税額と比較して説明す 税義務者から、その所有する土地の課税標準額や税額等について、説明を求められたり、疑義が生じたりした場合等については、当該土地の負担水準を基に算出された前年度の価格や課税標準、税額と比較して説明することができるから、納税義 務者にとって必ずしも法的安定性や予測可能性を害するものとはいえない。こ- 62 - れらによれば、仮に、運用上のみなし方式につき、地方税法附則17条7号の文言にそぐわない面があるとしても、かかる方式を採用することが租税法律主義に反するとまでいうことはできない。 (原告の主張)以下のとおり、被告が、地目の変換等が生じた本件各土地の課税標準額の算定 について、運用上のみなし方式を採用したことは、地方税法に反するものであって、違法である。 (1) 運用上のみなし方式は租税法律主義に違反すること地方税法附則17条7号にいう類似土地とは、「当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの」であるところ、運用上のみ なし方式は、地目の変換等があった土地につき、地目の変換等があった後の当該土地が前年度の賦課期日に存在していたものとみなして、当該土地の価格推移を再計算するものであるが、地目の変換等があった後の当該土地は、前年度の賦課期日には存在していなかったのであるから、地方税法附則17条7号にいう「類似土地」の定義に当てはまらないことは明らかである。 また、地方税法附則18条の3は、用途変更宅地等(令和3年度から令和5年度までの各年度の賦課期日において所在する宅地等で、その賦課期日における用途が前年度の賦課期日における用途と異なるもの)に係る前年度課税標準額につき、いわゆる平均負担水準方式(当該土地の前年度の課税標準額に、当該変更後の用途に係る当 する宅地等で、その賦課期日における用途が前年度の賦課期日における用途と異なるもの)に係る前年度課税標準額につき、いわゆる平均負担水準方式(当該土地の前年度の課税標準額に、当該変更後の用途に係る当該市町村に所在する全ての土地の前年度課税標準額の 総額を固定資産税の評価額の総額で除して得た数値を乗じて得た額とする方式)を採用している一方で、経過措置として、市町村の条例で定めるところにより、上記規定を適用せず、前年度から変更後の用途であったものとみなして負担調整措置を適用することとしている(いわゆる「条例によるみなし方式」。令和3年法律第7号附則14条)。この一方で、地方税法附則において、用途変更宅地 等に該当しない通常の地目の変換等の場合に、用途変更宅地等の場合に認めら- 63 - れるみなし方式(条例上のみなし方式)の適用を認める規定はない。 さらに、被告自身も、運用上のみなし方式について、法令に規定はなく、条例にも、事務取扱要領にも規定されていないことを認めている(甲18)。 これらによれば、運用上のみなし方式は、地方税法等の法令に規定がないだけでなく、被告の条例や事務取扱要領等にも一切記載はなく、納税義務者も確 認することができない独自の方法で、α市長が課税標準額を算定するものであって、納税義務者の経済活動における法的安定性と予測可能性を害しており、課税要件明確主義に反し、租税法律主義に反して違憲であることは明白である。 (2) 運用上のみなし方式には合理性がないこと被告は、運用上のみなし方式には合理性があるなどと主張する。しかし、そ もそも、課税標準額や税額は、法令の規定に基づいて算定してこそ正しいものとなるのであって、法令に規定されていない運用上のみなし方式により算定された課 は合理性があるなどと主張する。しかし、そ もそも、課税標準額や税額は、法令の規定に基づいて算定してこそ正しいものとなるのであって、法令に規定されていない運用上のみなし方式により算定された課税標準額は正しいものではないから、運用上のみなし方式に合理性があり、これを採用することが法令に反しない旨の上記主張は、本末転倒である。 この点を措いても、地方税法は、税負担の調整措置において、同一の用途の 宅地についてはできるだけ同一の負担水準であるべきとする考え方から、負担水準の均衡化を重視しており、地目の変換等があった場合に、比準課税標準額を用いて「前年度分の課税標準額」を算定するのは、付近の土地との税負担の均衡を図ることにその目的があると解される。しかるに、運用上のみなし方式は、当該土地の過去の課税標準額の算定過程をたどるのみで、付近の土地の負 担水準等を考慮していない上、地方税法の規定のとおり比準課税標準額を用いれば、当該土地の負担水準は類似土地のものと同一となるところ、運用上のみなし方式を用いたのでは、当該土地につき必ずしも付近の土地と負担水準の均衡が図られるとは限らない。そうすると、運用上のみなし方式は、負担水準の均衡化を重視する地方税法附則の趣旨に適合しているともいえない。 また、被告は、運用上のみなし方式を用いる理由として、負担水準にばらつ- 64 - きが生じることから、類似土地の選定が困難であることを挙げる。しかし、そもそも、被告は、純粋な地目変更の場合を除き、個々の土地ごとに類似土地の選定の困難性を何ら検討しないまま、原則として、運用上のみなし方式を採用しているのであり、こうした運用は、地方税法附則17条7号の規定を蔑ろにするもので、法令の趣旨に反して違法であることは明らかである。こ 困難性を何ら検討しないまま、原則として、運用上のみなし方式を採用しているのであり、こうした運用は、地方税法附則17条7号の規定を蔑ろにするもので、法令の趣旨に反して違法であることは明らかである。この点を措 いても、同じ標準宅地を基に街路の路線価が付設されている地域の宅地であれば、宅地の利用状況が同一であり、宅地の利用上の便等がさほど相違しない地域であることから、同地域内で類似土地の選定が難しくなる場合がそれほど多いとは考えられない。そして、本件各土地については、正面路線が「主要な街路」となっており、同路線上に標準宅地も存在しているから、少なくとも、本 件各土地について、類似土地の選定が困難である事情は一切ない。かえって、上記のように、同じ標準宅地を基に街路の路線価が付設されている地域内では、負担水準を同一にして均衡化を図ることが、税負担の公平性の観点から重要であり、負担水準にばらつきがあるからこそ、その均衡化のため類似土地を選定するのであって、運用上のみなし方式を用いると、付近の土地との負担水準の 均衡化を図ることができず、地方税法の趣旨に反する不当な結果となる。 さらに、被告は、運用上のみなし方式は、被告以外の多数の自治体でも採用されているなどと主張するが、かかる主張は、赤信号みんなで渡れば怖くないと主張するようなものであり、地方税法の規定がないことに変わりはなく、上記の事情が、運用上のみなし方式の合理性の根拠となることはあり得ない。 3 争点3(本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことの国家賠償法上の違法性及び過失)について(原告の主張)前記1及び2のとおり、本件各登録価格及び本件各賦課決定処分に係る固定資産税等の金額は、いずれも法律上の根拠なく算定さ 処分をしたことの国家賠償法上の違法性及び過失)について(原告の主張)前記1及び2のとおり、本件各登録価格及び本件各賦課決定処分に係る固定資産税等の金額は、いずれも法律上の根拠なく算定されたものであり、違法である。 そして、上記2のとおり、被告は、運用上のみなし方式が、法令や被告の条例、- 65 - 事務取扱要領等に規定されていないことを認識していたのであるから、法令に規定のない方法で違法に課税標準額を算定したことについては、α市長に故意が認められる。また、α市長が行った本件住宅画地に関する本件不整形地補正の前提としての想定整形地(本件想定整形地)の設定や、運用上のみなし方式は、事務取扱要領等の文書等に全く記載されておらず、納税者が知る術のない方法で、不 意打ち的に本件各土地の登録価格や課税標準額を算定するものであって、課税要件明確主義に反することは明らかであるから、本件委員会及びα市長には、少なくとも重大な過失が認められるというべきである。 したがって、本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことは、いずれも、本件委員会及びα市長の負うべき職務上の法 的義務に違背していることは明白であり、国家賠償法上違法であるほか、この点につき本件委員会及びα市長には少なくとも過失がある。 (被告の主張)前記1及び2のとおり、本件各土地の登録価格の決定及び本件各賦課決定処分に係る固定資産税等の金額の算定については、法令等に則り、適正にされている から、本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことは、国家賠償法上違法とはいえず、本件委員会及びα市長に過失があるともいえない。 4 争点4(損害の発生及びその数額)について(原告の主張 定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことは、国家賠償法上違法とはいえず、本件委員会及びα市長に過失があるともいえない。 4 争点4(損害の発生及びその数額)について(原告の主張) 原告は、本件委員会が本件各審査決定をしたこと及びα市長が本件各賦課決定処分をしたことにより、弁護士に依頼して、本件訴訟の提起を余儀なくされ、弁護士費用に相当する損害を被った。もっとも、かかる損害は、行政処分の取消訴訟という特殊の類型に基づくものであり、その額を立証することが困難であるため、民事訴訟法248条に基づき、相当な損害額を認定するべきであるが、上記 損害額は、200万円程度が相当と考える。 - 66 - (被告の主張)争う。
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