主文 被告人を懲役2年に処する。 未決勾留日数中90日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 公安委員会の運転免許を受けないで,平成15年2月19日午後零時1分ころ,京都府向日市a町bc番地のd付近道路において,普通乗用自動車を運転した第2 A及びBと共謀の上,C方に押し入って金員を強取する目的で,同年11月14日午後10時10分ころ,兵庫県川西市ef丁目g番h号所在のC方前路上において,自動装てん式けん銃1丁(平成16年押第20号の1)及びガムテープ等を携帯して,金員強取の機会をうかがい,もって,強盗の予備をしたものの,被告人においては,A及びBが上記自動装てん式けん銃1丁及びけん銃実包5発(同押号の2,ただし,うち2発は鑑定試射済み)を携帯していることを認識していなかったものである。 (証拠の標目)―括弧内は証拠等関係カードの検察官請求証拠甲乙の番号省略(補足説明) 1 弁護人は,判示第2の事実について,強盗予備罪の成立自体は争わないものの,被告人の強盗の目的は未必的なものに止まる旨主張し,被告人も当公判廷においてこれに沿う供述をするところ,当裁判所は,被告人の強盗の目的は確定的なものであったと認定したので,以下その理由を補足して説明する。 2 証人A及び同Bの当公判廷における各供述(以下それぞれ「A証言」,「B証言」という。)は,①A及びBは,強盗をして大金を得ようと企て,Aがそれに用いるための道具としてけん銃等を用意し,Bが強盗の仲間としてD及びDを介して被告人を呼 供述(以下それぞれ「A証言」,「B証言」という。)は,①A及びBは,強盗をして大金を得ようと企て,Aがそれに用いるための道具としてけん銃等を用意し,Bが強盗の仲間としてD及びDを介して被告人を呼び寄せたこと,②最初に強盗の標的としたのは,山口県徳山市に住む人物であったが,その家に下見に行く際の自動車の中で,Aが標的とする人物を脅して金のありかを言わせ,Bが家の中に他に人がいるかどうかを確認し,被告人が標的とする人物をガムテープで縛るとの各人の役割の説明がなされ,被告人もそれに異論をはさまなかったこと,③被告人,A及びBは,山口県徳山市に住む人物に対する強盗及び次いで標的とした広島市に住む人物に対する強盗が実行できなかったことから,本件で強盗の標的とした兵庫県川西市の人物の家に向かうことにしたが,広島駅付近に停めた自動車の中で,今度も山口県徳山市に住む人物のときと同様の役割分担で実行する旨の説明がなされ,被告人はこれに異論をはさまなかった旨それぞれいうものであるほか,A証言は,更に,被告人に対し,ウイークリィマンションの中で,広島市に住む人物に対する犯行の方法について説明したところ,被告人が同マンションに置かれていた包丁を示して,こんなのがある旨言ってきたというのである。 A証言及びB証言の内容は,詳細かつ具体的である上,各人の役割分担を被告人に説明したのがAとBのいずれであるのかという点を除けば,ほぼ一致しているのであって,Aは,本件以前には被告人とほとんど面識がなく,また,Bは,本件まで被告人と親しい関係にあり,両名が被告人にとって不利となる虚偽の供述をする理由は見当たらないこと,A及びBは,捜査段階から一貫して自分達がけん銃等を携帯していることを被告人に教えなかった旨供述するなど,A及びBの供述態度からは,被告人に責任を転嫁 となる虚偽の供述をする理由は見当たらないこと,A及びBは,捜査段階から一貫して自分達がけん銃等を携帯していることを被告人に教えなかった旨供述するなど,A及びBの供述態度からは,被告人に責任を転嫁するような姿勢がうかがわれないこと,被告人もまた,広島市のウイークリィマンションでAに包丁を見せたことについては,捜査段階では否認していたものの,公判廷ではこれを認めるかのような供述をするに至っていることなどからすると,上記のようなA証言及びB証言はともに信用することができるというべきである。 3 これに対し,被告人は,当公判廷において,当初から泥棒に入ると聞かされていたし,その後も,AやBから各人の役割を教えられたり,自分からAやBに尋ねることもなかったので,本件においても泥棒をするのだろうと思っていたが,AやBの会話や様子等から,家に人がいたときには,開き直って居直り強盗に至るかもしれないと思っていたなどと供述するけれども,その内容は,A証言及びB証言と相反するばかりでなく,他人の住居に侵入して窃盗をするという目的で,約3日間にわたってA及びBらと行動を共にしていたというのに,各人の役割分担を全く知らなかったというのは,その一連の行動の目的に照らして,不自然であるといわざるを得ないこと,広島市に住む人物を標的にして強盗をしようとした際,Aに包丁を見せたという点については,前述のように,捜査段階では明確に否定しながら,公判廷においては,そのような事実があったことを認めるかのような供述をしたり,更には,強盗の目的について,公判の途中で認否を変更したりするなど,被告人の供述には重要な部分で変遷がみられることなどからすると,上記のような被告人の公判供述をそのままに信用することはできない。 4 そうすると,A証言及びB証言のいうとおり,被告人は,A及 るなど,被告人の供述には重要な部分で変遷がみられることなどからすると,上記のような被告人の公判供述をそのままに信用することはできない。 4 そうすると,A証言及びB証言のいうとおり,被告人は,A及びBとともに,家人を緊縛するためのガムテープ等を用意し,強盗を実行する際の各人の役割を決めるなどして,当初から強盗の実行に向けて準備を行い,強盗の標的を次々と替えるうちに本件に至ったものと認めるのが相当であるから,A及びBだけでなく,被告人もまた確定的に強盗の目的を有していたものと認めることができる。弁護人の上記主張は採用できない。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は道路交通法117条の4第1号,64条に,判示第2の所為は刑法60条,237条にそれぞれ該当するところ,判示第1の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で,被告人を懲役2年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中90日をその刑に算入し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。 (量刑の理由)本件は,被告人が,普通乗用自動車を無免許運転したという道路交通法違反(判示第1)及び共犯者2名と共謀の上,強盗の標的とする人物の住宅前の路上において,強盗の機会をうかがったという強盗予備(判示第2)の事案である。 まず,判示第1の犯行についてみるに,被告人は,平成12年12月に無免許運転(免許停止処分中の運転)の罪で罰金刑に処せられ,平成13年1月には運転免許取消の行政処分を受け,平成15年1月には再度無免許運転の罪で罰金刑に処せられ るに,被告人は,平成12年12月に無免許運転(免許停止処分中の運転)の罪で罰金刑に処せられ,平成13年1月には運転免許取消の行政処分を受け,平成15年1月には再度無免許運転の罪で罰金刑に処せられたにもかかわらず,その約1か月後に判示第1の犯行に及んだものであって,上記の無免許運転以外にも多数の交通違反歴があることを考え併せると,被告人の交通法規軽視の態度には看過できないものがあるから,犯情はよくなく,判示第1の犯行の刑事責任は軽くないというべきである。 次に,判示第2の犯行についてみるに,被告人は,手っ取り早く金銭を得ようと考えて,共犯者からの誘いに安易に応じて強盗に加担することを決意し,当初の強盗の計画が失敗してもなお計画を放棄することなく,標的とする人物を次々と替えるうちに本件に至ったものであって,その経緯や身勝手な動機に酌量の余地はないこと,被告人らはあらかじめ各自の役割を決め,被告人もガムテープや指紋を残さないための手袋等を携帯するなど,強盗の実行に向けて準備をしていたこと,被告人は,強盗の実行の際にはガムテープで家人を緊縛するという役割を担当することになっていたのであって,その関与の程度は決して低いものではないこと,被告人は,公判廷においても,当初は強盗の目的を否認して刑事責任を免れようとし,その後も強盗の目的が未必的なものであったと主張して刑事責任を軽減しようとしていることなどを考え併せると,犯情はよくなく,判示第2の犯行の刑事責任は重いというべきである。 しかしながら,判示第2の犯行については,強盗の実行に至る前に警察官に発覚し,幸いにも予備の段階に止まっていること,被告人らは,標的とする人物の名前や居宅の所在地等を正確には把握していないなど,強盗の計画にはずさんな点も多々あったこと,被告人は,共犯者間においては従属 し,幸いにも予備の段階に止まっていること,被告人らは,標的とする人物の名前や居宅の所在地等を正確には把握していないなど,強盗の計画にはずさんな点も多々あったこと,被告人は,共犯者間においては従属的な立場にあり,また,共犯者らがけん銃等を携帯していることまでは認識していなかったこと,被告人は,判示第1の犯行は認めており,判示第2の犯行についても,公判の途中からは事実関係を概ね認めているのであって,一応は反省の態度がうかがわれること,被告人の交際相手が,被告人の社会復帰後は一緒に生活し,監督する旨述べていること,被告人は25歳といまだ若年であり,これまでに禁錮以上の刑に処せられた前科がないこと,本件により6か月半以上(本件前の逮捕勾留を含めれば7か月以上)の期間身柄拘束を受けていることなどの,被告人のために酌むべき事情もまた認められるので,今回は,被告人を主文の刑に処した上,その刑の執行を猶予することとする。 (検察官の科刑意見懲役2年)よって,主文のとおり判決する。 平成16年6月23日神戸地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官森岡安廣裁判官川上宏裁判官酒井孝之
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