平成20(行ウ)110 公文書非開示処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年8月23日 名古屋地方裁判所 情報公開
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判決文本文25,394 文字)

主文 本件訴えのうち,公文書一部非開示処分による非開示部分の開示の義務付けを求める訴えを却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求の趣旨 処分行政庁が平成19年10月16日付けでした公文書一部非開示処分(ただし,平成20年6月30日付け異議決定により一部取り消された後のもの)のうち,別紙1公文書目録記載の公文書に関する部分を取り消す。 処分行政庁は,原告に対し,別紙1公文書目録記載の公文書のうち,別紙2開示部分目録記載の部分以外の部分を開示せよ。 第2事案の概要 本件は,原告が,岡崎市情報公開条例(平成11年岡崎市条例第31号。以下「本件条例」という。)に基づき,処分行政庁に対し,(仮称)岡崎市新一般廃棄物中間処理施設(以下「本件施設」という。)に関する公文書の開示を請求したところ,処分行政庁が一部のみを開示したので,公文書一部非開示処分(ただし,平成20年6月30日付け異議決定により一部取り消された後のもの)のうち,別紙1公文書目録記載の公文書(以下「本件文書」という。)に関する部分の取消し及びその取消請求に係る非開示部分の開示の義務付けを求める事案である(なお,上記公文書一部非開示処分においては,本件文書以外の公文書も非開示とされているが,原告は,本件文書に関する部分のみを本件訴訟の対象にしているものと解される。)。 関係法令の定め本件条例(甲1)のうち関係部分の定めは,別紙3のとおりである。 前提事実(以下の事実は,当事者間に争いのない事実及び後掲の証拠から容易に認定できる事実である。) (1) 被告は,現在岡崎市α地内に本件施設を建設中であるところ,この工事請負に おりである。 前提事実(以下の事実は,当事者間に争いのない事実及び後掲の証拠から容易に認定できる事実である。) (1) 被告は,現在岡崎市α地内に本件施設を建設中であるところ,この工事請負に関しては,A株式会社(以下「A社」という。)及びB株式会社(以下「B社」という。)の2社が,被告に建設工事技術提案審査に関する図書(電磁的データ物)を提出した。本件文書は,この提出図書である。 本件文書は,被告が予め示した様式に従って,当該様式の記載欄に被告が求めた事項について,A社及びB社が,自社の提案内容を具体的に記入する方式で作成されたものである(乙1。なお,以下では,本件文書の部分を特定する場合,4-1ないし4-16という様式番号で特定することとする。)。 (2) 原告は,平成19年10月2日,処分行政庁に対し,本件条例に基づき本件文書等の開示を請求したところ,処分行政庁は,同月16日,請求に係る文書の一部については開示するが,本件文書については,「当該法人の生産技術に関する情報が記録されており,公にすることにより,当該法人の今後の工事受注業務において利益を害するおそれがある」ことを理由に,本件条例7条3号ア(以下「本件非開示条項」ということもある。)に該当するとして,非開示とする処分をした。 (3) 原告は,平成19年11月15日,行政不服審査法6条に基づき,上記処分についての異議申立てをした。これに対し,処分行政庁は,岡崎市情報公開・個人情報保護審査会に諮問したところ,同審査会は,平成20年6月10日,処分行政庁に対し,本件文書の一部(別紙2開示部分目録記載の部分)を開示すべきである旨の答申をした。 また,処分行政庁は,原告から異議申立てがあった後,A社及びB社に対して,本件文書の開示の可否について問い合わせをしたところ,B社 (別紙2開示部分目録記載の部分)を開示すべきである旨の答申をした。 また,処分行政庁は,原告から異議申立てがあった後,A社及びB社に対して,本件文書の開示の可否について問い合わせをしたところ,B社は,同年1月29日付けで,本件文書の一部にはB社が保有する廃棄物処理施設の施設性能並びに建設及び維持管理などに関するノウハウが含まれており,公開されると競業他社が知ることになり,競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるとして,当該部分の開示に反対する旨の意見書を提出し,A社においても,B社と同様に開示に反対する旨の意見書を提出した(乙3,弁論の全趣旨)。 (4) 処分行政庁は,原告の異議申立てに対し,平成20年6月30日付けで,上記(2)の公文書一部非開示処分のうち,本件文書の別紙2開示部分目録記載の部分を非開示とした部分を取り消して,これを開示し,その余の異議申立てを棄却する旨の決定をした(以下,この異議決定により一部取り消された後の上記(2)の公文書一部非開示処分を「本件処分」といい,本件文書のうち本件処分によって非開示とされた部分を「本件非開示部分」という。)。 争点及び当事者の主張本件の争点は,本件非開示部分の情報が本件条例7条3号所定の非開示情報に該当するか否かであり,それに対する当事者の主張は,次のとおりである。 (被告の主張)(1) 本件条例7条3号アの「害するおそれがあるもの」とは,文言上「害すると認められるもの」など,非開示の範囲を強く限定する文言が用いられていないことなどから,法人等の権利が,いつ,どこで,どのように害されるのかなど,具体的な侵害の強い蓋然性が明らかにされなければ非開示とすることはできないというような厳格な解釈は採用できない。また,開示の当否が問題となっている文書について,訴訟上の主張 ように害されるのかなど,具体的な侵害の強い蓋然性が明らかにされなければ非開示とすることはできないというような厳格な解釈は採用できない。また,開示の当否が問題となっている文書について,訴訟上の主張立証の過程において結果的に当該文書の開示が要求されることになることも避けなければならず,「害するおそれがあるもの」の判断に当たっては,当該情報が,どのような法人等に関するどのような種類のものであるかなどといった一般的な性質から当該法人等の権利利益等を害するおそれがあるか否かを客観的に判断するのが相当である。 (2) 本件文書は,本件施設の技術仕様等に関するものであり,本件施設のような一般廃棄物処理施設の設計施工を行う企業は,日本にはわずかしかなく,被告に提案を行った2社は,常に自治体から契約受注を得るために競争状態にあるものである。したがって,もし,技術説明や提案などに,競争相手がいまだ有していない技術情報が含まれていたり,個々の技術は一般的であっても,その組合せによって新規性のある技術となったり,新たな利用方法となる情報が含まれることもあるから,このような 情報が競争相手に知られると,別の受注競争では,競争相手は同じ技術を持っていると説明することになると容易に予想でき,その場合には,それまで保っていた優位性が崩れることになる。また,数値データにしても,技術の到達レベルやそのヒントを競争相手に分からせてしまう可能性がある。 本件文書は,本件施設の技術提案書であり,企業独自の技術やノウハウ,それらに基づくアイデアが多く含まれる性質のものである。そして,技術提案書は,受注獲得を目指す企業が,発注者が求める様々な仕様,条件に対応するために,その企業が保有する独自の技術・ノウハウ,それらに基づくアイデアを集約したものであり,発注者へ当該企業の技術 ,技術提案書は,受注獲得を目指す企業が,発注者が求める様々な仕様,条件に対応するために,その企業が保有する独自の技術・ノウハウ,それらに基づくアイデアを集約したものであり,発注者へ当該企業の技術力,経営力などをアピールすべき創意工夫がされているものである。すなわち,本件文書は,一般に公にされていない企業独自の技術情報,経営戦略など,当該企業にとって,競合相手には知られたくない極めて秘匿性の高い情報が記録されたものなのである。 したがって,本件文書は,個別の評価項目ごとに「おそれ」の有無を検討するまでもなく,本件非開示条項に該当することは明らかである。 (3) 各非開示部分ごとの非開示事由に当たる事情は,別表のとおりである。 (4) 原告は,被告が原告ほか2名に対し本件文書を全面開示したことがある旨主張するが,原告の主張は,事実に反するものである。 すなわち,被告は,平成19年6月に本件施設の建設工事契約をB社と締結した。 被告は,その後,原告に対し,本件施設建設工事の契約までの経過やA社を失格とした理由について口頭で説明をしてきたが,原告の理解が得られなかった。同年9月ころ,原告からA社が失格した理由について,改めて説明してほしい,併せて発注仕様書などの関係書類を見せてほしい旨の要望が口頭であったので,被告は,同年10月2日,岡崎市役所市政情報コーナーで説明することにした。そして,被告は,その説明の際,一方を失格とした判断の妥当性を説明するためには,本件文書を使用して説明する必要があると判断し,失格理由に関係する「ライフサイクルコストの薬剤に関する部分」などを原告らに閲覧させて,説明した。 したがって,被告は,原告らに本件文書のすべてを自由に閲覧させたものではなく,必要最小限度の部分を参照させたにとどまり,しかも,原告らが閲覧した部分は本 部分」などを原告らに閲覧させて,説明した。 したがって,被告は,原告らに本件文書のすべてを自由に閲覧させたものではなく,必要最小限度の部分を参照させたにとどまり,しかも,原告らが閲覧した部分は本件非開示部分には含まれないものである。 (原告の主張)(1) 本件条例7条3号アの規定(本件非開示条項)は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)5条2号イの規定に相当する。ところで,情報公開法は,同条2号イで「おそれ」を,同条3号(防衛外交情報),4号(公安情報)で「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」ことを要件としているところ,3号,4号については,開示・非開示の判断に高度の専門性や政策判断が必要であることにかんがみ,行政機関側の立証の負担を軽減したものである。このように,情報公開法が5条3号,4号の非開示事由についての結果発生の蓋然性が高いことについての立証を軽減していることに対比すると,同条2号の「おそれ」については,行政機関の長が結果発生について蓋然性の程度までの立証を求められていると解するのが相当である。 よって,情報公開法5条2号イの規定にいう「おそれ」,したがって,本件非開示条項にいう「おそれ」は,その権利,競争上の地位その他正当な利益が具体的に侵害される危険性の存することが客観的に認められる場合をいい,その危険性は,単なる確率的可能性では足りず,法的保護に値する蓋然性を持ったものでなくてはならず,被告は,法人等に生じることが予想される利益侵害の危険性を具体的に主張,立証することが必要というべきである。 (2)ア本件非開示条項に該当するためには,本件文書に記載されている情報が,①法人その他の団体の事業に関する情報であること,②公開によって,法人の権利,競争上の地位その他 とが必要というべきである。 (2)ア本件非開示条項に該当するためには,本件文書に記載されている情報が,①法人その他の団体の事業に関する情報であること,②公開によって,法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることの2点の要件を満たすことが必要であり,さらに,これらの要件を充足しても,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため公にすることが必要であると認められる」ものについては,非開示とすることは許されない。 イ被告の主張する非開示事由(別表に記載されたもの)は,①企業独自の技術を記載したとするもの,②技術を記載したとするもの,③企業独自の見解を記載したとするもの,④算定した数値を記載したとするもの,⑤計画を記載したとするもの,⑥企業独自の取組みを記載したとするもの,の6種類に分類できる。しかし,以下のとおり,いずれも非開示事由に当たらない。 (ア) ②に属する情報は,A社又はB社の独自の技術を記載したものではないから,これを公開したとしても,競争上の地位には関係しない。また,自社独自の取組みを記載した⑥は,企業姿勢や実績を宣伝するものであり,技術の具体的内容が記載されているものとは言い難く,これを公開したとしても,競争上の地位には関係しない。 企業独自の見解を記載した③や計画を記載した⑤は,技術についての具体的記載ではなく,むしろ各社の製品の優位性や企業姿勢を示したものであり,これを公開したとしても,独自の技術を開示したことにはならず,競争上の地位には関係しない。 (イ) 非公開となっている算定数値(④)は,いずれもCO2削減量や電力消費量などであり,経済性・リサイクル性に関する技術提案の内容を示すものであって,本件施設の建設に当たって,被告のみならず,全国の自治体で提出が求められている一般的データであり,これ自体 減量や電力消費量などであり,経済性・リサイクル性に関する技術提案の内容を示すものであって,本件施設の建設に当たって,被告のみならず,全国の自治体で提出が求められている一般的データであり,これ自体が企業のノウハウを構成するものではない。また,測定値は技術の結果であり,測定値が公開されたからといって技術が外部に流出することにはならない。よって,企業が算定した数値を公開したとしても,競争上の地位には関係しない。 (ウ) 被告が企業独自の技術と主張する部分(①)については,企業独自の技術という情報の質を主張しただけで,その情報の公開が企業の競争上の地位を害する情報となるとの結論につながるものではない。その情報の具体性や新規性,業界での当該情報の扱われ方などの観点から,当該情報の公開が極めて高い蓋然性で当該企業のノウハウの侵害につながることの主張,立証が必要である。 また,実際企業独自の技術情報は,パンフレットにも多々記載されており,企業独自の技術情報といっても,営業活動や選定プロセスにおいて開示することが予想され ている情報といえるものである。したがって,①の非開示部分が非開示情報に当たるというためには,単に企業独自の情報であると主張するだけでは足りない。 仮に,①に属する情報のうち,開示をすることによって,企業の競争上の地位を害するおそれを生じさせるものがあったとしても,記録されている情報は,いずれも市民や周辺住民の安全,環境にかかわるものであり,本件条例7条3号ただし書の「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる」情報に当たる。 (3) B社製のガス化溶融炉を導入しているC組合は,原告の要請に対し,被告が非開示とした全データを公表した。したがって,被告が,本件非開示部分を開示できないわけがない。 れる」情報に当たる。 (3) B社製のガス化溶融炉を導入しているC組合は,原告の要請に対し,被告が非開示とした全データを公表した。したがって,被告が,本件非開示部分を開示できないわけがない。 (4) 原告は,平成19年9月ころ,被告(岡崎市環境部ごみ対策課)に対して,口頭で本件施設建築工事技術提案審査に関する提出書類の閲覧を申し入れたところ,同年10月2日午前9時に市政情報コーナーで閲覧に供する旨の連絡を受けた。 そこで,原告は,原告が代表を務める団体「D」のメンバー2人とともに,上記日時に,指定の場所で被告職員立会いの下で,本件文書を閲覧した。そして,原告は,被告に対し本件文書のコピーの交付を請求したところ,被告は,「とりあえず情報公開請求書を出してください。」と指示したので,本件文書等の情報公開請求書を提出した。 被告は,上記のとおり,原告を含む3名に対し本件文書を閲覧に供する方法で全面開示していたにもかかわらず,原告が本件条例に基づき情報公開請求をしたところ,開示を拒否したものである。したがって,被告には,本件非開示部分の開示を拒む何ら正当な理由はない。 第3当裁判所の判断 「公にすることにより,当該法人等又は当該事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(本件非開示条項)の該当性についての判断方法 (1) 本件条例は,「市民の知る権利を尊重し,公文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに,情報公開の総合的な推進を図ることにより,市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにし,もって市政に対する市民の理解と信頼を深め,公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする」ものであり(本件条例1条),その規定する内容は,公開を求められた公文書に本件条例7条に規定する非開示情報が記録 政に対する市民の理解と信頼を深め,公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする」ものであり(本件条例1条),その規定する内容は,公開を求められた公文書に本件条例7条に規定する非開示情報が記録されている場合を除き,被告(実施機関)が保有する公文書の開示を義務付けるものであるから,上記の非開示情報該当性については,被告がその主張立証責任を負うものである。 しかし,当該文書に記録されている情報が非開示情報に該当することを立証するために,被告に結果的にその情報自体を推知できることになる程度の立証の負担を課すことは,条例により非開示情報を定めた意味を没却することになるから,上記の非開示情報該当性の判断は,当該情報の内容,性質に照らして,一般的,類型的な形でせざるを得ないものである。これを本件非開示条項所定の非開示情報についてみると,当該情報が「公にすることにより,当該法人等又は当該事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に当たるとの主張立証としては,その情報の内容,性質に照らし,それを開示することにより,一般的に見て,当該法人に競争上の地位等正当な利益が害されるおそれがあることを主張立証すれば足り,それ以上,個別具体的に,当該情報が開示された場合に,当該法人のどのような具体的利益がどのように侵害される危険があるかという事実まで主張立証する必要はないというべきである。もとより,上記の「おそれ」は,一般的に見て,当該企業の正当な利益を害する客観的な可能性があると認められることが必要であり,当該企業の主観的なものでは足りないものである。 そして,これらの判断は,当該情報が記録されている文書の趣旨,作成の目的,記載内容等の客観的事情から,当該情報の趣旨や性質,その重要性や価値等を推論し,それを前提として,当該情報 りないものである。 そして,これらの判断は,当該情報が記録されている文書の趣旨,作成の目的,記載内容等の客観的事情から,当該情報の趣旨や性質,その重要性や価値等を推論し,それを前提として,当該情報が公開された場合に,当該法人等又は当該事業を営む個人の権利,地位その他正当な利益を害するおそれがあるか否かを,社会通念に従って 判断するほかないというべきである。 (2) これに対し,原告は,本件非開示条項にいう「おそれ」は,当該法人の正当な利益が具体的に侵害される危険性の存することが客観的に認められることが必要であると主張する。しかし,当該法人の正当な利益が具体的に侵害される危険性までの主張立証が必要と解すれば,当該情報の内容を相当程度具体的に主張立証する必要が生じるので,結果的に非開示情報を開示するに等しい結果となる危険性が高いというべきであり,採用することはできない。 2(1) 証拠(乙1,4,6)及び弁論の全趣旨によれば,本件文書が被告に提出された経緯等は,次のとおりであると認められる。 被告は,平成14年度から平成17年度にかけ,新たなごみ処理施設に係る方式(機種)の選定作業を行い,平成19年の時点では,本件施設における方式(選定機種)をガス化溶融施設,シャフト炉式(分類:コークスベッド式)に決めた。これに対し,A社及びB社が,その受注を目指していた。なお,シャフト炉式(分類:コークスベッド式)には,大きく分けて,充填層型と流動層型の2つの方式がある。 被告は,本件施設の発注方法として,本件施設が高度な化学機械であるゴミ処理施設で,特殊な設備を含む高度な技術の集合体であり,技術的にも経験的にも乏しい地方公共団体が独自に詳細な設計を行うことは極めて困難であること,さらには,被告が詳細な設計をして方式や型式を明示すれば,メーカーを指定す 備を含む高度な技術の集合体であり,技術的にも経験的にも乏しい地方公共団体が独自に詳細な設計を行うことは極めて困難であること,さらには,被告が詳細な設計をして方式や型式を明示すれば,メーカーを指定することになる場合もあり,経済性や公平性を損なうおそれがあることを考慮して,本件施設の建設においては,被告が実現しようとする施設の性能(機能・能力,制約条件を含む。)を契約前に各事業者に提示し,それを受けて,建築工事の請負を希望する企業が提示された性能を満たす設計を提案し,それらの提案に対し,性能の良否と価格を総合的に評価することによって請負者を決定する方式を採ることにした。そして,具体的な評価の方法としては,技術評価に関しては,「安全」,「安定」,「経済性・リサイクル性」の3つの観点を設け,各観点ごとに評価項目を定め,その要素及び評価の着眼点を定めて各評価項目ごとに予め点数を割り振り,評価基準に応じて各項目ごとに得点 を決めて,その合計点を算出し(最高は100点),価格評価に関しても予め定めた基準に従い得点を算出し(最高は50点),その合計点の高い事業者を契約予定者とするものであり,その後,被告は,契約予定者と改めて価格交渉をして,随意契約で契約を締結することにしていた。 被告は,本件施設建設の受注者を決めるための建築工事技術提案審査の文書(資料)の書式として,「(仮称)岡崎市新一般廃棄物中間処理施設建設工事様式集」を作成した。その様式集には,上記評価項目ごとに様式を定め,様式ごとに,記載すべき事項及び評価の着眼点が記載されている。本件文書は,この様式に従って,A社及びB社が提出したものである。 被告は,本件文書を基にA社及びB社に対し,ヒアリングを行い,上記技術評価を行った。 (2) 以上の事実関係によれば,本件文書は,被告にとっては 様式に従って,A社及びB社が提出したものである。 被告は,本件文書を基にA社及びB社に対し,ヒアリングを行い,上記技術評価を行った。 (2) 以上の事実関係によれば,本件文書は,被告にとっては,本件施設の建設業者を選定するための極めて重要な資料であり,その受注を目指すA社及びB社にとっては,自社の技術等が他社よりも優れていることを示すための資料であるといえ,この趣旨は,A,B両社とも理解していたものと認められる。したがって,本件文書には,その文書を作成した事業者が,他の事業者に比べ,優れた技術力を有し,被告が求める本件施設をより的確に建設する能力を有していることを根拠付ける具体的な事実が記載されることになる。そうすると,本件文書は,当該企業独自の技術や独創性のあるアイデアなどが記載されていることが推測され,本件文書に記録された情報は,一般的に見て「公にすることにより,当該法人等又は当該事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当する可能性が高いものといえる。 そこで,以下では,個別的に,各様式に記録された情報について,本件非開示条項所定の非開示情報に該当するか否かについて検討する。なお,本件文書のうち,別紙2開示部分目録記載の部分は,そこに記録された情報が処分行政庁等により既に公表されているか又は公表された内容と同程度のものであり,上記非開示情報に該当 しないとして,異議決定により開示すべきものとされている(甲4)。したがって,以下の検討は,本件文書のうち上記の開示部分を除いた部分である本件非開示部分について行うものである。 (1) 様式4-1について(ア) 様式4-1は,周辺地域に配慮した環境保全対策の妥当性について記載が求められるものであり,評価の着眼点は,「環境保全性能は,環境影 示部分について行うものである。 (1) 様式4-1について(ア) 様式4-1は,周辺地域に配慮した環境保全対策の妥当性について記載が求められるものであり,評価の着眼点は,「環境保全性能は,環境影響評価での要求・要件を満足していることが前提であるが,これらの環境保全対策が他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づく経験を踏まえて開発・実証がされたものであるかを評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-1の本文において,①排ガス,排水,騒音,振動及び悪臭に関する環境保全対策として,自社独自の技術を記載し,②環境保全対策の実績として,自社における他施設の実績に基づき,環境保全対策の実施に関する企業独自の技術を記載し,③工事期間中の環境保全対策として,企業独自の見解を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の見解等を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-1の本文において,①環境に対する安全性に関する取組み,②排ガス環境対策として,ダイオキシン類,塩化水素等及び窒素酸化物に対する対策,③飛灰発生量の低減並びに④臭気及び騒音・振動対策として,自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 様式4-1の本文及び添付資料に記録された情報は,いずれも技術情報であり,本件施設等の廃棄物処理施設を建設する事業者にとっては,極めて重要な情報であり,また発注する地方公共団体などにとっても高い関心を持つ情報であると認められる。 したがって,これらの情報が公にされると,当該企業の環境対策に関する技術力が明らかにされることになり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあ これらの情報が公にされると,当該企業の環境対策に関する技術力が明らかにされることになり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると 認められる。 (2) 様式4-2について(ア) 様式4-2は,安全にかかわる技術の成熟度の記載が求められており,その評価の着眼点は,「他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づき,炉の停止に至るような重大な故障が過去において発生していないか,又,発生したとしてもその事故原因を追及し,その後の施設構成・技術開発に反映され,安全な技術として成熟しているかを評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-2の本文において,①ガス化溶融炉の安全性,②爆発・ガス漏れに関する対策,③可燃性ガス漏洩対策,④操業安定性と緊急時の安全性,⑤出滓方式による安全性,⑥水蒸気爆発防止対策及び⑦安全に対する技術改善経緯に関する自社独自の技術を記載し,また,⑧メンテナンス体制に関する自社独自の見解を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-2の本文において,①ガス化溶融技術に関する取組み経緯として,実用化以降における主な技術課題についての自社独自の技術改善の内容を記載し,②炉規模のスケールアップに関して,実績から得られた自社独自の知見に基づく考え方を記載し,③処理の安全性・安定性に関し,自社における他施設の稼働実績に基づき,長期安定運転の効果を記載し,④リスク対策として自社独自の技術を記載し,⑤労働安全衛生対策として自社独自の見解を記載し,⑥非常時における安全性に関し,自社における他施設 る他施設の稼働実績に基づき,長期安定運転の効果を記載し,④リスク対策として自社独自の技術を記載し,⑤労働安全衛生対策として自社独自の見解を記載し,⑥非常時における安全性に関し,自社における他施設の実績に基づき,自社独自の技術を記載し,⑦耐震性に関する自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 様式4-2の本文及び添付資料に記録された情報は,いずれも本件施設等の廃棄物処理施設を建設する事業者にとっては,施設自体の安全性の根幹を成す極めて重要な情報であり,また発注する地方公共団体などにとっても高い関心を持つ情報であると認められる。また,評価の着眼点の記載にあるとおり,それまでに生じた重大事故の原因を踏まえてどのように安全性を確立したのかという観点からの記載が求めら れているから,その記載内容は,過去に生じた事故という自社製品の文字どおりの弱点の記載及びその改善方法,そして現在の技術の到達点に及んでいると認められる。 したがって,これらの情報が公にされると,当該企業の安全対策に関する弱点も含めた技術力が明らかにされることになり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (3) 様式4-3について(ア) 様式4-3は,運転時のCO2排出量(副資材等からのCO2排出量,発電によるCO2削減量)の記載が求められており,評価の着眼点は,「ガス化溶融施設(シャフト炉式)は,ごみ処理に要するコークスを使用するのが特徴であることから,運転時のCO2排出量の違いを地球環境保全の観点から定量 削減量)の記載が求められており,評価の着眼点は,「ガス化溶融施設(シャフト炉式)は,ごみ処理に要するコークスを使用するのが特徴であることから,運転時のCO2排出量の違いを地球環境保全の観点から定量的に評価する。また,発電量が大きければCO2削減効果が見込まれることから,排出量と削減量を総合的に評価する。なお,評価は,負荷の大きい運転時のみとする。単に提案される副資材の使用量のみを評価するのではなく,他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づき,使用量の低減を図ることが可能な技術提案がなされているかを含め評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-3の本文において,①副資材等からのCO2排出量について,自社独自のごみ処理システムにおける副資材使用量及びCO2排出量を算定して記載し,さらに,コークス使用量低減対策(実炉での適用試験中)が採用可能となった場合の副資材使用量及びCO2排出量を算定して記載し,②発電によるCO2削減量について,自社独自のごみ処理システムにおける年間発電量及びCO2削減量を記載し,③副資材等からのCO2排出量及び発電によるCO2削減量を踏まえたトータルのCO2削減量について,自社独自のごみ処理システムにおけるトータルのCO2削減量を算定して記載するとともに,コークス使用量低減対策が採用可能となった場合のト ータルのCO2削減量を算定して記載し,④副資材の使用量低減対策として,自社独自の技術を記載した。他方,B社は,様式4-3の本文において,①副資材等からのCO2排出量について,自社独自のごみ処理システムにおける副資材使用量及びCO2排出量を算定して記載し,②発電によるCO2削減量について,自社独自のごみ処理システムにおける年間発電量及びCO2削減量を算定して記載し,③副資材使用量の設定根拠につ における副資材使用量及びCO2排出量を算定して記載し,②発電によるCO2削減量について,自社独自のごみ処理システムにおける年間発電量及びCO2削減量を算定して記載し,③副資材使用量の設定根拠について,自社における他施設の稼働実績に基づき,その根拠,考え方を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 評価の着眼点として「使用量の低減を図ることが可能な技術提案がなされているかを含めて評価する」ことが掲げられていることに照らしてみても,A社及びB社による上記の記載は,CO2削減量について単なる計算結果を記載したものではなく,その技術的裏付けをも記載したものであると認められる。CO2排出量の削減は,現代社会の重要な課題であり,各企業も緊急の課題としてこれに取り組んでいる現状に照らせば,競合他社がどのような技術に基づき,どの程度のCO2を削減できる能力を持っているかは,重大な関心事であると認められるところ,様式4-3の本文及び添付資料に記録された情報が公にされると,当該企業のCO2排出量削減に関する技術力が明らかにされることになり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (4) 様式4-4について(ア) 様式4-4は,施設全体の配置・動線計画に関する記載が求められており,評価の着眼点は,「施設全体の配置,車両動線,見学動線等について,計画が適切で安全性が考慮されているかを評価する」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-4の本文において,施設デザイン,施設全体配置計画,車両 動線計 置,車両動線,見学動線等について,計画が適切で安全性が考慮されているかを評価する」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-4の本文において,施設デザイン,施設全体配置計画,車両 動線計画及び見学者動線計画に関し,自社独自の見解に基づいた計画を記載し,併せて,添付資料として,自社独自のシステムによる外観デザイン計画等を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-4の本文において,全体配置・動線計画及び見学者動線計画に関し,自社独自の見解に基づいた計画を記載し,併せて,添付資料として,自社独自の見解に基づいた全体配置・動線計画を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) これらの配置・動線計画は,本件施設の効率的な運用にかかわるものであり,こうした配置・動線計画については,各企業のノウハウの蓄積によるところが大きいと考えられる。そうすると,様式4-4の本文及び添付資料に記録された情報が公にされると,各企業がそれまでに蓄積したノウハウが明らかにされることになり,企業の競争上の利益が害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (5) 様式4-5について(ア) 様式4-5は,ごみ質の変化への適応可能性(軽負荷運転及び高負荷運転への対応の考え方,他所灰受入変動への対応の適切性,災害発生時における受入れごみの制約条件)についての記載が求められており,評価の着眼点は,「被告が設定するごみ質(低位発熱量や他所灰を含むような特徴のある条件)に対し,他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づき,ごみ量やごみ質の変化に対応して適応可能なものとなっているかを評価する。また,災害発生時におけるごみの受入れに関連して,どこまでの余力があるのか確認し評価する。 合)等での実施工・稼働実績に基づき,ごみ量やごみ質の変化に対応して適応可能なものとなっているかを評価する。また,災害発生時におけるごみの受入れに関連して,どこまでの余力があるのか確認し評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-5の本文において,①軽負荷運転及び高負荷運転への対応の考え方に関し,ごみ量及びごみ質の変化への対応として自社独自の技術を記載し,②自社における他施設の実績に基づき,他所灰等の受入変動への対応の適切性及び災害発生時におけるごみの制約条件について,自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した。他方, B社は,様式4-5の本文において,①自社独自のごみ処理システムの一部であるガス化溶融炉の特徴的な技術を記載し,②軽負荷運転及び高負荷運転への対応として,企業独自の技術を記載し,③他所灰等の受入れ変動への対応の適切性について,自社における他施設の実績に基づき,自社独自の技術を記載し,④災害時における受入れごみの制約条件のうち,災害ごみの処理について,自社における他施設の実績に基づき記載し,⑤災害時における受入れごみの制約条件のうち,災害発生時におけるごみの受入れに関する余力について,自社における他施設における稼働実績に基づき記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 様式4-5の本文及び添付資料に記録された情報は,A社及びB社の提案するごみ処理施設の能力に関するものであることは明らかであり,各企業の現在の技術水準を示すものであるといえ,これらの情報が公にされると,その情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあ は明らかであり,各企業の現在の技術水準を示すものであるといえ,これらの情報が公にされると,その情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (6) 様式4-6について(ア) 様式4-6は,安定稼働のための合理的なシステム構成についての記載が求められており,評価の着眼点は,「システム全体の設置機器点数が少なく,運転管理・保守点検の容易性が,他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づく経験を踏まえ,安定的な稼働を確保するための合理的なシステム構成となっているかを評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-6の本文において,①自社独自のごみ処理システムの一部であるガス化溶融炉の合理性に関する技術を記載し,②自社独自のごみ処理システムの一部である他所灰受入供給設備の合理性に関する技術を記載し,③出滓作業の合理性に関する自社独自の技術を記載し,④自社独自のごみ処理システムの一部であるスラ グ搬送設備の合理性に関する技術を記載し,⑤自社独自のごみ処理システムの一部である副資材受入供給設備の合理性に関する技術を記載し,⑥自社独自のごみ処理システムの一部である排ガス処理設備の合理性に関する技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-6の本文において,①自社独自のごみ処理システムにおける運転管理の容易性に関する技術を記載し,②自社独自のごみ処理システムにおける設備維持管理の容易性に関する技術を記載し,③自社における他施設の実績に基づき,維持管理の容易性に関する自社独自の技術を記載し,併せて,添 性に関する技術を記載し,②自社独自のごみ処理システムにおける設備維持管理の容易性に関する技術を記載し,③自社における他施設の実績に基づき,維持管理の容易性に関する自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 評価の着眼点に「他市町村(組合)等での実施工・稼働実績に基づく経験を踏まえ」とあるように,この様式では,自社のこれまでのノウハウ等の蓄積に基づいた技術を記載することが求められているといえる。そうすると,様式4-6の本文及び添付資料に記録された情報を公にすることは,蓄積された自社のノウハウ等を明らかにすることにつながり,企業の競争上の利益が害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (7) 様式4-7について(ア) 様式4-7は,副資材の質の変動にかかわらない安定稼働及び副資材の供給体制についての記載が求められており,評価の着眼点は,「ガス化溶融施設(シャフト炉式)の安定稼働に必要な副資材(コークス,石灰石)について,実績等を踏まえ,どのような品質の副資材(コークス,石灰石)での運転が可能かを評価する。また,副資材(コークス,石灰石)の供給体制についての提案を評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-7の本文において,①副資材の質の変動にかかわらない安定稼働に関する自社独自の取組みを記載し,②副資材の安定供給に関する自社独自の供給体制を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技 術を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-7の本文において,①自社における他施設の稼働実績に基づき,副資材の質の変動時の安定稼働性に関する 付資料として,これらの事項につき自社独自の技 術を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-7の本文において,①自社における他施設の稼働実績に基づき,副資材の質の変動時の安定稼働性に関する自社独自の技術を記載し,②副資材の安定供給に関する現状及び企業独自の供給体制や取組み方策に係る考え方を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 評価の着眼点に「どのような品質の副資材(コークス,石灰石)での運転が可能か」とあるように,本件施設の運転に必要な副資材の質が問題となっているところ,これは,当該企業の技術力を示すものであると認められる。また,副資材の供給体制は,当該企業の競争力にかかわる事柄であって,競業他社には知られたくない情報である。様式4-7の本文及び添付資料に記録された情報を公にすると,自社の技術力等が明らかにされることになり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が競争上不利な地位に置かれるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (8) 様式4-8から4-14までについて(ア) 様式4-8から4-14までは,運転・維持管理費についての記載が求められており,評価の着眼点は,「稼働後において,運転・維持管理費,光熱水費,薬品費,消耗品費等が多岐にわたり発生することを踏まえ,建設費以外の必要経費をトータルコストの削減に関する事項として評価する。」とされている(乙1,4)。 (イ) A社及びB社は,それぞれ,様式4-8から4-14までの本文において,①自社独自のごみ処理システムの運転に必要な費目(電力費等),年度ごとのランニングコストを算定したも ている(乙1,4)。 (イ) A社及びB社は,それぞれ,様式4-8から4-14までの本文において,①自社独自のごみ処理システムの運転に必要な費目(電力費等),年度ごとのランニングコストを算定したものを記載し,②自社独自のごみ処理システムの運転に必要な人員を算定したものを記載し,③提案したランニングコストを担保するための自社独自の見解を記載し,④自社独自のごみ処理システムにおける年間電力使用量及び年間電力費を算定したものを記載し,⑤年間電力使用量及び年間電力費の算定における自社独 自の見解を記載し,⑥自社独自のごみ処理システムにおける年間燃料使用量及び年間燃料費を算定したものを記載し,⑦年間燃料使用量及び年間燃料費の算定における自社独自の見解を記載し,⑧自社独自のごみ処理システムにおける用水使用量及び年間用水費を算定したものを記載し,⑨年間用水使用量及び年間用水費の算定における自社独自の見解を記載し,⑩自社独自のごみ処理システムにおける年間薬剤使用量及び年間薬剤費を算定したものを記載し,⑪年間薬剤使用量及び年間薬剤費の算定における自社独自の見解を記載し,⑫自社独自のごみ処理システムにおける稼働後20年間の交換部品費を算定したものを記載し,⑬自社独自のごみ処理システムにおける稼働後20年間の点検整備費を算定したものを記載した。また,これらの添付資料として,A社は,主な機器の点検補修スケジュールに関する自社独自の見解を記載した資料を提出し,他方,B社は,安全・安定稼働と経済性の両立に関する自社独自の取組みを記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 様式4-8から4-14までの本文及び添付資料に記録された情報は,各企業が提案する施設の能力(効率性)を推認させるものであり,各企業の技術力を示すものであるといえる。そうすると,これら )。 (ウ) 様式4-8から4-14までの本文及び添付資料に記録された情報は,各企業が提案する施設の能力(効率性)を推認させるものであり,各企業の技術力を示すものであるといえる。そうすると,これらの情報を公にすることは,自社の技術力を明らかにすることにつながり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,企業の競争上の利益が害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (9) 様式4-15について(ア) 様式4-15は,副生成物の有効利用(スラグ,メタル,飛灰等の発生量(比率),副生成物の有効利用に向けた高品質化,有価性)についての記載が求められており,評価の着眼点は,「ごみ処理に伴って発生する副生成物(スラグ,メタル,飛灰等)について,最終処分量の低減を図るとともに,スラグやメタルの有効利用に向けた高品質化,有用性及び飛灰の山元還元について,具体的な提案を評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-15の本文において,①スラグ,メタル,飛灰の発生量(比率)について,自社独自のごみ処理システムにおける副生成物の発生量(比率)を算定したものを記載し,②副生成物有効利用に向けた高品質化,有価性のうち,スラグ,メタルの品質について,高品質にするための自社独自の技術を記載し,③副生成物有効利用に向けた高品質化,有価性のうち,副生成物の有効利用体制について,自社独自の体制を記載し,④副生成物有効利用に向けた高品質化,有価性のうち,実績工場での有効活用について,自社における他施設の実績に基づき,副生成物の有効利用に関する自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の体制を記載した資料を提出した。 績工場での有効活用について,自社における他施設の実績に基づき,副生成物の有効利用に関する自社独自の技術を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の体制を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-15の本文において,①副生成物の発生量について,自社独自のごみ処理システムにおける副生成物の発生量(比率)を算定したものを記載し,②自社独自の技術である可燃ダクト吹込みによる最終処分量の低減技術を記載し,③スラグ,メタルを高品質にするための自社独自の技術を記載し,④スラグ,メタルを有効に利用するための自社独自の計画を記載し,⑤飛灰処理の環境負荷低減について,自社における他施設の稼働実績に基づき,自社独自の見解を記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の技術等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) ごみ処理システムにおいて,どのような副生成物がどの程度生じるのかは,当該ごみ処理システムそのものの性能と関連するものであるところ,これらの情報が明らかになることは,そのごみ処理システムを製造した企業の技術力が明らかになることにつながる。また,副生成物の有効利用の方法は,それまで蓄積したノウハウの有無等に左右されるものである。そうすると,様式4-15の本文及び添付資料に記録された情報が公にされることは,自社の技術力やノウハウの有無等を公にすることにつながり,これらの情報を収集した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,企業の競争上の利益が害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (10)様式4-16について(ア) 様式4-16は,発電による余剰電力量,その他の余熱利用についての記載が求められており,評価 本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (10)様式4-16について(ア) 様式4-16は,発電による余剰電力量,その他の余熱利用についての記載が求められており,評価の着眼点は,「本件施設が190t×2炉構成であることを踏まえて,計画ゴミ処理量と施設補修計画の関係から最適な発電容量の設定がなされ,年間を通じて発生する余剰電力量が多い計画となっているかを評価する。なお,本市が計画する余熱利用施設について,発電利用後の温水等を利用した具体的提案となっているかを評価する。」とされている(乙1)。 (イ) A社は,様式4-16の本文において,①発電による余剰電力量に関しては,年間発電量を最大にするための自社独自の設計の考え方を記載し,②敷地内外におけるその他の余熱利用に関しては,自社独自のアイデアを記載し,併せて,添付資料として,これらの事項につき自社独自の設計の詳細等を記載した資料を提出した。他方,B社は,様式4-16の本文において,①年間余剰電力量の最大化に向けて年間総発電量が最大となる設計に関して,自社独自の設計の考え方を記載し,②その他の余熱利用に関しては,発電後の余熱利用に関する自社独自のアイデアを記載し,併せて,添付資料として,発電後の余熱利用に関する自社独自のアイデア等を記載した資料を提出した(以上につき乙11)。 (ウ) 年間発電量又は年間余剰電力量の最大化は,当該施設の発電能力によるところは大きいが,ごみの処理量や運転日数等の運転条件によっても左右されるものと考えられる。そして,運転条件をどのようにするかについては,それまでのノウハウの蓄積によるところが大きいといえる。また,余熱の利用方法についても,それまでのノウハウの蓄積によるところが大きいことは明らかである。そうすると,様式4-16の本文 かについては,それまでのノウハウの蓄積によるところが大きいといえる。また,余熱の利用方法についても,それまでのノウハウの蓄積によるところが大きいことは明らかである。そうすると,様式4-16の本文及び添付資料に記録された情報が公にされることは,ノウハウ等を公にすることにつながり,企業の競争上の利益が害されるおそれがあるものと認められる。 したがって,上記情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に該当すると認められる。 (11)上記2で判示したとおり,本件文書に記録された情報は,本件文書の趣旨な どに照らし,一般的に見て本件非開示条項所定の非開示情報に該当する可能性が高いものといえ,個別的に見ても,以上のとおり,本件非開示部分に記録された情報は,いずれも本件非開示条項所定の非開示情報に当たるものと認められる。 (12)そこで,上記認定判断にかかわる原告の主張を検討する。 (ア) 原告は,被告が,別表において,「自社の独自の技術」とではなく,単に「技術」を記載したとするもの,企業独自の見解を記載したとするもの,計画を記載したとするもの,企業独自の取組みを記載したとするものについては,被告の主張によっても,A,B両社の独自の技術を記載したものではないので,本件非開示条項所定の非開示情報に該当しない旨主張する。 しかし,本件非開示条項は「公にすることにより,(中略)権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」というものであり,確かに,他社に知られていない「独自の技術」であれば,これを公にすることにより,当該企業の正当な利益が害されるおそれがあると認められるが,例えば,ノウハウ,企画力等,「独自の技術」以外の情報であっても,これを公にすることにより,公にされた情報を悪用されること等により,当該企業の正当な利益が害さ 益が害されるおそれがあると認められるが,例えば,ノウハウ,企画力等,「独自の技術」以外の情報であっても,これを公にすることにより,公にされた情報を悪用されること等により,当該企業の正当な利益が害されるおそれがあると認められるものがあるのである。そして,これまで検討してきたとおり,本件においては,「独自の技術」以外の情報であっても,その情報の性質上,これを公にすることにより,競合他社による対抗的な事業活動が行われることなどにより,当該企業の正当な利益が害されるおそれがあると認められるから,原告の上記主張は採用できない。 (イ) 原告は,非公開となっている算定数値は,経済性・リサイクル性に関する技術提案の内容を示すものであり,これ自体が企業のノウハウを構成するものではなく,公開されたとしても競争上の地位には関係しない旨主張する。 本件処分において非公開とされた算定数値は,副資材等からのCO2排出量,発電によるCO2削減量,トータルCO2削減量,ランニングコスト,運転人員,年間電力消費量等,年間燃料使用量等,年間用水使用量等,年間薬剤使用量等,20年間の部品交換費,20年間の点検整備費,スラグ・メタル・飛灰の発生率であるところ, これらの数値は,各企業が提案する施設の処理能力,経済性,効率性等の能力を示すものである。したがって,これらの数値を明らかにすることは,競合他社に対して,自社の現在の技術水準を明らかにすることとなり,これを公にすることにより,当該企業の正当な利益が害されるおそれがあると認められるから,原告の上記主張は採用できない。 (ウ) 原告は,被告が「企業独自の技術」と主張しても,企業独自の技術情報はパンフレットなどに記載されており,営業活動などの途中で開示が予定されたものである旨主張する。 A社及びB社のパンフレットである乙1 原告は,被告が「企業独自の技術」と主張しても,企業独自の技術情報はパンフレットなどに記載されており,営業活動などの途中で開示が予定されたものである旨主張する。 A社及びB社のパンフレットである乙12,13号証を見ると,各企業のガス溶融炉の仕組みの概略やごみ処理のプロセスの概略についての記載はあるが,処理能力,処理に要するコスト,処理の結果生じる廃棄物の量や質など,各企業が提案する施設の具体的な技術水準についての言及がなく,原告の上記主張は,採用できない。 また,本件施設の技術面の検討作業に当たった建設技術委員会委員長のEは,その陳述書(甲12)において,本件文書には,個別項目についての数値は記載されていたが,その数値を達成するための詳細な技術情報の記載はなく,ガス化溶融施設に係る企業独自の技術は記載されていなかった旨陳述している。 しかし,仮に企業独自の技術でなくとも,例えば,当該企業の技術水準,あるいはその企業のノウハウや企画力等,当該企業の競合他社が通常知り得ない情報が競合他社に判明することになれば,それ以降,その情報を利用した競合他社による対抗的な事業活動が行われ,当該企業が入札などで不利な立場に立たされるおそれがあることは明らかであり,企業独自の技術に関する情報でなければ本件非開示条項所定の非開示情報に該当しないということにはならない。したがって,甲12号証を前提としても,前記認定を左右するものではない。 (エ) 原告は,たとえ,被告の独自の技術に関する情報であっても,本件施設に関する情報である以上,本件条例7条3号ただし書の「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に該当する旨主張する。 本件条例7条3号ただし書の「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要で 康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に該当する旨主張する。 本件条例7条3号ただし書の「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に該当するというためには,当該情報が非開示とされることによって,現実に人の生命等に侵害が発生しているか,又は将来これらが侵害される蓋然性が高く,当該情報を開示することによってこれらの侵害が除去される蓋然性がある場合であることが必要である。しかし,本件においては,本件非開示部分に記録された情報が開示されないことにより,本件施設付近の住民の生命,健康,生活又は財産等が現実に侵害され又は侵害される蓋然性が高い状況に置かれていることを示す的確な証拠はない。 よって,原告の上記主張は採用できない。 (オ) 原告は,C組合に問い合わせたところ,同組合は,既に営業運転をしているごみ処理施設(ガス化溶融炉式)のデータを公開していたことを根拠に,本件施設に関しても非開示情報を開示すべきである旨主張する。 稼働施設での実績データは,各施設ごと,施設規模,運転条件,ごみの質,設備仕様等の諸条件が異なるので,競合他社がこれらの数値から,納入企業が提案した数値を算定することは困難である。しかし,本件文書などの技術提案書における数値は,発注者が一定の条件を示して,それを前提とした数値を算出して記載しているため,競合他社が技術提案書に記載された数値を見れば,前提条件と相まって当該企業の技術力を推認することが可能となるので,その後の入札において,当該企業がどのような条件を提示するのか予測することが容易になると認められる。そうすると,稼働施設における実績データと技術提案書(本件文書)における一定の条件の下に算定された数値データとでは,その意味合いが明らかに異 な条件を提示するのか予測することが容易になると認められる。そうすると,稼働施設における実績データと技術提案書(本件文書)における一定の条件の下に算定された数値データとでは,その意味合いが明らかに異なり,前者が公表されているからといって,そのことは後者を開示すべきであることの根拠とはならないというべきである。 よって,原告の上記主張は採用できない。 また,原告は,被告が本件処分をする前の平成19年10月2日に,本件文書について,事実上全面開示をしたので,本件非開示部分を非開示とする利益はない旨 主張する。そこで,以下検討する。 証拠(甲6,7)及び弁論の全趣旨によれば,①原告を含む「D」のメンバーは,平成19年9月ころ,岡崎市ごみ対策課に対し,本件施設の発注仕様書の情報提供と,A社が失格となった理由の説明を求めたところ,同課の職員は,原告に対し,同年10月2日に情報提供を行うと連絡したこと,②同年10月2日,原告らは,岡崎市役所市政情報コーナーにおいて,上記情報提供を受けたこと,③その際,被告の職員は,A社を失格とした判断の妥当性を説明するため,本件文書のうちの一部を原告らに閲覧させた上で,説明をしたこと,④原告らは,上記説明後,被告の職員に対して,本件文書のコピーの交付を要求したこと,⑤被告は,原告の上記要求に対し,直ちにこれに応じることはせず,本件条例に基づき請求することを勧めたこと,⑥原告は,そこで,本件条例に基づく本件文書の開示請求をしたことの各事実が認められる。なお,原告は,この閲覧により全面開示を受けたと主張しているが,閲覧した内容を具体的に主張していない。 以上の事実によれば,被告は,原告らに対し,A社を失格とした判断の説明の便宜のため,本件文書の一部を閲覧させたものと認められ,本件文書を全面開示したものとは認められ 内容を具体的に主張していない。 以上の事実によれば,被告は,原告らに対し,A社を失格とした判断の説明の便宜のため,本件文書の一部を閲覧させたものと認められ,本件文書を全面開示したものとは認められない。仮に,上記閲覧が,事実上,開示と同視し得るとしても,閲覧により,現実に情報の内容が原告に伝わっていない以上,本件非開示条項により本件非開示部分を非開示にしておく利益は依然存在すると認められる。よって,原告の上記主張は採用できない。 結論 以上によれば,本件非開示部分には本件非開示条項所定の非開示情報が記録されているものというべきであるから,本件非開示部分を非開示とする本件処分は適法であると認められる。よって,原告の訴えのうち,本件処分の取消しを求める請求は,理由がなく,本件非開示部分の開示の義務付けを求める訴えは,行政事件訴訟法37条の3第1項2号所定の要件を欠くことになり,不適法であるので,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官増田稔裁判官鳥居俊一裁判官杉浦一輝

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