平成13(行ウ)1 不許可処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年9月10日 和歌山地方裁判所 警察関係
ファイル
hanrei-pdf-15320.txt

判決文本文13,911 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 被告が,平成12年9月8日付けで原告に対してした一般廃棄物(し尿)収集運搬業の不許可処分及び浄化槽清掃業の不許可処分をいずれも取り消す。 (2) 訴訟費用は,被告の負担とする。 2 被告主文と同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨原告は,原告が被告に対してした一般廃棄物(し尿)収集運搬業及び浄化槽清掃業の各許可申請はいずれも許可要件を充たしたものであったのに,それに対して被告がした各不許可処分が違法であるとして,その取消しを求めた。 これに対し,被告は,原告の上記各許可申請はいずれも許可要件を充たしておらず,被告がした各不許可処分は適法であると主張して争っている。 2 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,本件記録上明らかな事実である。 (1) 原告は,一般廃棄物(し尿)の収集・運搬等を目的とする有限会社である。 被告は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)上,一般廃棄物(し尿)収集運搬業の許可等の権限を有する者であり,浄化槽法上,浄化槽清掃業の許可等の権限を有する者である。 (2) 原告は,平成12年8月2日,被告に対して,一般廃棄物(し尿)収集運搬業及び浄化槽清掃業の各許可を申請した。被告は,後者の許可申請は別として,前者のそれにつき,行政手続法5条所定の審査基準を定めなかった。原告は,浄化槽清掃業の許可申請に際し,他の許可業者との間で汚泥等の運搬・処理の業務委託契約を締結することはなかった。 被告は,平成12年9月8日,原告の上記各許可申請に対し,一般廃棄物(し尿)収集運搬業の許可申請については,廃掃法7条3項2号に該当せず,浄化槽清掃業の許可申請について を締結することはなかった。 被告は,平成12年9月8日,原告の上記各許可申請に対し,一般廃棄物(し尿)収集運搬業の許可申請については,廃掃法7条3項2号に該当せず,浄化槽清掃業の許可申請については,浄化槽法36条2号ホに該当するとの理由により,それぞれ不許可処分とした(以下,一般廃棄物(し尿)収集運搬業の許可申請及び同不許可処分を順に「本件許可申請(1)」「本件不許可処分(1)」といい,浄化槽清掃業の許可申請及び同不許可処分を順に「本件許可申請(2)」「本件不許可処分(2)」といい,両者を一括していう場合にはそれぞれ「本件各許可申請」「本件各不許可処分」という。)。 原告は,平成12年11月2日,被告に対して,本件各不許可処分について異議の申し出を行った。 被告は,平成12年12月15日,上記異議申し出を棄却するとの決定をし,同月16日,原告にその旨通知した。 原告は,平成13年2月27日,本件訴えを提起した。 (3) 串本町は,古座町,古座川町とともに,「串本町・古座町・古座川町衛生施設事務組合」を設置し,昭和63年に,廃掃法6条1項にいう「一般廃棄物の処理に関する計画」として,「し尿処理施設整備計画」(乙1)を策定した(以下「本件計画」という。)。 本件計画の内容のうち,本件において主に問題となる点を抽出すれば以下のとおりである。すなわち,本件計画においては,以後,人口の減少に伴い,し尿・汚泥の要処理量も減少することが見込まれるということを前提に,新規に建設するし尿処理施設の処理規模を1日当たり40キロリットル(し尿28キロリットル,浄化槽汚泥12キロリットル)とすることとし,この計画に基づいてA環境管理センターを建設した。 (4) 串本町における人口の推移等は別表のとおりである。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 浄化槽汚泥12キロリットル)とすることとし,この計画に基づいてA環境管理センターを建設した。 (4) 串本町における人口の推移等は別表のとおりである。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件許可申請(1)は廃掃法7条3項2号に該当しないか。 (被告の主張)① 本件計画の根拠等本件計画(乙1)において,新規に建設するし尿処理施設の処理規模を1日当たり40キロリットルとするとしたのは,以下の理由に基づく。すなわち,行政区域内人口等の推計を行い,し尿と浄化槽人口を推計し,し尿処理施設での要処理量の推移を予測したところ,処理量のピーク年が昭和67年(平成4年)となり,その時の1日当たりの要処理量が34キロリットルとなるため,これに変動係数1.15を乗じた量(39.1キロリットル)をもとに,処理規模を1日当たり40キロリットルとしたのである。 なお,本件計画に基づいて建設されたA環境管理センターでは,1日40キロリットルを超える処理が可能ではあるが,地元地区との協定により,1日40キロリットルを最高限度としている。 この計画と処理実績との関係をみたとき,処理量の推移は前記前提事実(4)にかかる別表のとおりであって,平成10年度ないし11年度にピークに達した後(生し尿処理量のピークは平成10年度,汚泥処理量及び合計処理量のピークは平成11年度),平成12年度には減少し,今後も減少し続けることが予想される。 ② 新規業者の参入が不必要であること上記のとおり,新規に建設するし尿処理施設の処理規模を1日当たり40キロリットルとしたのは人口推計を根拠としているところ,現実の人口推移は昭和62年に策定された処理計画における人口推計を常に下回っていたから,人口増大によるし尿の増大はなく,本件計画を変更する必要はなかったし,昭和63年当時のし を根拠としているところ,現実の人口推移は昭和62年に策定された処理計画における人口推計を常に下回っていたから,人口増大によるし尿の増大はなく,本件計画を変更する必要はなかったし,昭和63年当時のし尿処理許可業者は,串本町2業者(古座町2業者,古座川町1業者)であったが,以下に述べるとおり,新規業者を増やす必要もなかった。すなわち,し尿及び浄化槽汚泥の量は予測よりも増加しているが,この増加に対しては,串本町の許可業者であるC衛生舎において,平成3年には4トン車を1台増やし,平成7年には4トン車を2台増やすとともに従業員をそれまでの10名から15名に増員し,平成10年には2トン車を4台から5台に増やし,同じくD衛生において,平成7年に従業員を2名から3名に増員した。このように,既存の許可業者が収集運搬態勢を強化することにより,し尿及び浄化槽汚泥の増加に対応しているのであって,新規業者を増やす必要はなかった。 仮に新規業者の参入を認め業者数が増えた場合,競争原理によって(し尿の収集運搬に関する)手数料額が低下するという関係にあるのであれば,住民の利益にかなうことにはなるが,現実には,手数料額は条例で定められており,新規業者の参入を認めたとしても手数料額が低下することにはならない。 ③ 新規業者の参入を認めた場合の弊害新規業者の営業を許可すると,将来のさらなる人口減少や公共下水道整備によるし尿及び浄化槽汚泥の収集運搬事業の縮小に伴う補償等により,町財政に負担がかかることも予想されるし,既存業者の経営を圧迫する結果,業者間の過度の競争により,生活環境の確保と公衆衛生の推進を阻害するおそれがある。また,上記のとおり,A環境管理センターの処理能力には限界があるから,新規業者の営業を許可すると,同センターへの搬入車両の増加をもたらし,同センターで 境の確保と公衆衛生の推進を阻害するおそれがある。また,上記のとおり,A環境管理センターの処理能力には限界があるから,新規業者の営業を許可すると,同センターへの搬入車両の増加をもたらし,同センターでの処理業務に混乱を生じさせることになる。 ④ 結論以上の事情を考慮して,原告に一般廃棄物収集運搬業の許可を与えることは,一般廃棄物処理計画(のうちのし尿処理計画)に適合しない(廃掃法7条3項2号に該当しない)ため不許可としたのであり,本件不許可処分(1)は適法である。 (原告の主張)① 現実のし尿処理量は,本件計画におけるし尿処理予測を上回っている。その予測が現実と合致しなくなった以上,その予測を前提とする本件計画をもって,廃掃法7条3項2号にいう計画適合性の判断資料とすることはできない。したがって,本件計画により同号にいう計画不適合の判断をした本件不許可処分(1)は,裁量権の範囲を逸脱ないし濫用したものであって違法である。 被告は平成12年度の処理実績が減少したことを根拠のひとつとするが,本件は平成12年11月になされた不許可処分の適法性が争われているのであるから,その時点における計画適合性を問題とすべきであって,平成12年度の処理実績が減少したことは,本件とは関連性を有しない。 ② 被告は,既存業者の処理態勢の増強をひとつの根拠とするが,C衛生舎についていえば,従業員15名のうち,くみとり業務に従事するのは10名であり,作業地域によっては1台のバキュームカーに2名以上が乗り込んで作業する必要があるから,7台のバキュームカーをフル稼働させることはもともと不可能であって,必ずしも処理態勢の増強に結びついているわけではない。現実に,C衛生舎に対する住民の苦情があるのも,処理態勢が十分ではないことを示すものである。 ③ 新規業者の参入を認めたと もともと不可能であって,必ずしも処理態勢の増強に結びついているわけではない。現実に,C衛生舎に対する住民の苦情があるのも,処理態勢が十分ではないことを示すものである。 ③ 新規業者の参入を認めたとしても,混乱が生じることはなく,上記のとおり,串本町内の業者が町民の要望に対して的確に対応できていないことからみれば,むしろ,新規参入を認めない現状において,町民が衛生上混乱を来しているものである。 ④ 以上述べたことからすると,廃掃法7条3項2号に該当しないとした判断は誤りであり,本件不許可処分(1)は違法である。 (2) 本件不許可処分(1)は行政手続法5条に反しないか。 (被告の主張)原告は,後記のとおり,行政手続法5条違反を主張する。 しかしながら,同法5条1項の審査基準については,法令の規定により当該許認可等の基準が具体的なものとして明確に定められており,これによって判断することができる場合には,判断基準が法令の定めに尽くされているので,行政庁は別個に審査基準を定めることを必要とするものではない。 一般廃棄物収集運搬業の許可基準(審査基準)は,廃掃法7条3項によって具体的かつ明確に定められているから,これによってその許可基準(審査基準)は尽くされているというべきである。 行政手続法5条2項が要求する審査基準の具体性については,行政庁に広範な裁量が認められている許認可の場合や,その性質上個々の申請について個別具体的な基準を定めることが困難であると認められる場合には,審査基準を定めることを要しないと考えられるところ,廃棄物処理法7条3項2号にいう「その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること」との要件については,行政庁に広範な裁量が認められているから,審査基準を定めることを要しない場合に該当する。 また,行政手続法5 いう「その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること」との要件については,行政庁に広範な裁量が認められているから,審査基準を定めることを要しない場合に該当する。 また,行政手続法5条3項の「公にしておく」とは,申請人の公開請求権または行政庁の積極的周知義務まで認めたものとはいえず,本件で問題となる一般廃棄物収集運搬業の許可の関係では,前記のとおり,許可基準(審査基準)は法令によって原告に対しても明確にされていたから,仮に被告が原告に許可基準(審査基準)を積極的に告知しなかったとしても,これをもって違法とはいえず,取消事由には当たらない。 仮に行政手続上何らかの瑕疵があったとしても,その瑕疵は軽微なものにとどまるし,また,本件不許可処分(1)は実体的には適法なものであるから,軽微な手続上の瑕疵を理由に取り消されるべきではない。 (原告の主張)行政手続法5条によれば,行政庁たる被告は,本件不許可処分(1)のような処分を行う際には,その審査基準を公にしなければならないにもかかわらず,本件不許可処分(1)にかかる審査基準を役場担当部局に備えることもなく,原告を代理した原告代表者の夫の要求に対してもその審査基準を示すことはなかった。 被告は,廃掃法上の許可基準(審査基準)自体が具体的かつ明確であったと主張するが,本件で問題となる同法7条3項2号の文言上は「申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合する」と規定されているだけで,処理計画のいかなる部分が,どのような観点から申請の内容との適合性を審査されるのか全く不明であるから,審査基準が具体的,明確であるとはいえない。また,もともと行政手続法5条が行政庁に裁量のあることを前提とし,裁量権行使の基準を設けることを規定しているものであることからすると,行政庁に広範な裁量が認められていると 的,明確であるとはいえない。また,もともと行政手続法5条が行政庁に裁量のあることを前提とし,裁量権行使の基準を設けることを規定しているものであることからすると,行政庁に広範な裁量が認められているとしても,これをもって同条の義務が免除されることにはならない。 (3) 本件許可申請(2)は,浄化槽法36条2号ホに該当するか。 (被告の主張)原告は一般廃棄物収集運搬業の許可を有せず,また,他の一般廃棄物収集運搬業者に業務委託することなどにより適切に処理する方法も有していないのであるから,「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由」があるというべきであり,浄化槽法36条2号ホ所定の事由がある。 (原告の主張)一般廃棄物収集運搬業と浄化槽清掃業とが別個の許可にかからしめ,それぞれ独立して存在する資格である以上,浄化槽清掃業者が一般廃棄物収集運搬業の許可を得ていないという事態も当然想定されているはずである。したがって,一般廃棄物収集運搬業の許可を得ていないことをもって直ちに浄化槽清掃業の不許可事由とするような論理には飛躍があり,違法である。 また,仮に,原告が,一般廃棄物収集運搬業の許可を得ることなく,浄化槽清掃業の許可を受けた場合には,汚泥の運搬等を他業者に依頼する必要があるが,浄化槽清掃業の許可を得た後で一般廃棄物の収集運搬許可業者に委託すれば足りるのであるから,この点を不許可事由とすることはできない。 (4) 本件不許可処分(2)は行政手続法9条に反しないか。 (被告の主張)原告は,後記のとおり,行政手続法9条違反を主張する。 しかしながら,同法9条は努力義務を定めた規定であり,仮にこれに違反する行為があったとしても,これによって本件不許可処分(2)が違法となるものではない。 原告は,争点(3) 9条違反を主張する。 しかしながら,同法9条は努力義務を定めた規定であり,仮にこれに違反する行為があったとしても,これによって本件不許可処分(2)が違法となるものではない。 原告は,争点(3)の原告の主張にいう「委託契約」の点は,不許可処分がなされた後,その説明を求めた際にはじめて言及されたものである旨主張するが,これは事実に反する。原告代表者の夫(原告の実質上の代表者)は,平成12年8月1日に要望書(乙18)を提出し,翌2日に一般廃棄物し尿処理業の許可申請書(甲1)を串本町長に提出した。そして,原告代表者の夫は,本件不許可処分(2)がなされた平成12年9月8日までに数回串本町役場を訪れ,廃棄物係の担当者と面談するとともに,1度は被告とも面談しており,それらの際,新規に許可を受けることは難しい旨の説明や,平成2年度から平成11年度までのA環境管理センター生し尿・浄化槽汚泥実績表(乙19)の交付を受けたりしたほか,浄化槽清掃の許可が出たとしても,浄化槽清掃に伴って出る浄化槽汚泥の収集運搬をどうするのかとの質問を受けたのであって,原告としては,浄化槽清掃の許可を受ける前提として,浄化槽汚泥の収集運搬の方法を明確にする必要があったことはわかっていたはずである。 仮に行政手続上何らかの瑕疵があったとしても,その瑕疵は軽微なものにとどまるし,また,本件不許可処分(2)は実体的には適法なものであるから,軽微な手続上の瑕疵を理由に取り消されるべきではないことは,一般廃棄物収集運搬業の許可について述べたとおりである。 (原告の主張)「委託契約」の点については,不許可処分がなされた後,その説明を求めた際にはじめて言及されたものであり,それ以前には一切原告に対してその提出を促したこともなく,原告に何ら追完の機会を与えないまま本件不許可処分(2)が ついては,不許可処分がなされた後,その説明を求めた際にはじめて言及されたものであり,それ以前には一切原告に対してその提出を促したこともなく,原告に何ら追完の機会を与えないまま本件不許可処分(2)がなされた。以上の点は行政手続法9条に反し違法である。 (5) 本件不許可処分(2)は行政手続法5条に反しないか。 (被告の主張)原告は,後記のとおり,行政手続法5条違反を主張する。 しかしながら,同法5条については,上記(2)の被告の主張のとおり解釈すべきである。 浄化槽清掃業の許可基準(審査基準)は,浄化槽法36条及び省令によって具体的かつ明確に定められているから,これらによってその許可基準(審査基準)は尽くされているというべきである。 浄化槽法36条2号ホの「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」との要件については,個別具体的な基準を定めることが困難であるから,審査基準を定めることを要しない場合に該当する。 また,①浄化槽清掃業の許可に関して,申請人の公開請求権や行政庁の積極的な告知義務があるわけではないから,申請人に当該基準が積極的に告知されなかったとしても,それが違法事由(取消事由)になるわけではないこと,②仮に行政手続上何らかの瑕疵があったとしても,その瑕疵は軽微なものにとどまるし,また,本件不許可処分(2)は実体的には適法なものであるから,軽微な手続上の瑕疵を理由に取り消されるべきではないことは,いずれも一般廃棄物収集運搬業の許可について述べたとおりである。 (原告の主張)行政手続法5条によれば,行政庁たる被告は,本件不許可処分(2)のような処分を行う際には,その審査基準を公にしなければならないにもかかわらず,本件不許可処分(2)にかかる審査基準を役場担当部局に備えること 続法5条によれば,行政庁たる被告は,本件不許可処分(2)のような処分を行う際には,その審査基準を公にしなければならないにもかかわらず,本件不許可処分(2)にかかる審査基準を役場担当部局に備えることもなく,原告を代理した原告代表者の夫の要求に対してもその審査基準を示すことはなかった。 浄化槽清掃業の許可に関して,一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者との委託契約の不存在をもって不許可処分の理由としているが,このこと自体は,法令に何らの規定もなく,また,事前に開示されていない。 以上からして,本件不許可処分(2)は行政手続法5条に違反した違法なものである。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件許可申請(1)の廃掃法7条3項2号不該当)について(1) 廃掃法7条1項の一般廃棄物処理業の許可は,一般廃棄物の処理が市町村固有の事務であって本来市町村だけがそれを行い得るものであるところ,そのすべてを市町村自ら又は委託により行うことが困難な場合もあることから,そのような場合に,私人に対し一般廃棄物処理業の営業の一般的禁止を解除するというものである。そして,どのような場合に上記の一般的禁止を解除するのが適当かという判断については,市町村が生活環境保全上の支障を生じさせないように定めた一般廃棄物処理計画に適合する必要があることに照らすと(廃掃法6条1項),許可権者には,専門技術的政策的判断が尊重される広範な裁量権に委ねられているといえるから,当該処分は,許可権者の裁量権の行使が著しい逸脱ないし濫用に当たる場合でなければ,違法とはならないと解すべきである。 (2) 前記前提事実,証拠(乙1ないし3,5ないし8,10,12,14,16,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 串本町・古座町・古座川町衛生施設事務組合は,行政区域内 。 (2) 前記前提事実,証拠(乙1ないし3,5ないし8,10,12,14,16,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 串本町・古座町・古座川町衛生施設事務組合は,行政区域内人口等の推計を行い,し尿と浄化槽人口を推計し,し尿処理施設での要処理量の推移を予測したところ,処理量のピーク年が昭和67年(平成4年)で,その時の1日当たりの処理量が34.0キロリットルとなるため,これに変動係数1.15を乗じた量(39. 1キロリットル)から,処理施設の規模を1日当たり40キロリットルとすることなどを内容とする本件計画を策定し,同計画に基づいてA環境管理センターを建設した。 実際には,行政区域内人口は推計以上の減少を示したものの,反面,世帯数が増加したこと等に伴い,別表のとおり,し尿の量は平成4年以降も増加の一途をたどり,平成12年にようやく減少した。 串本町の許可業者であるC衛生舎では,平成3年から平成10年にかけてバキューム車及び従業員を増やしており,平成12年3月31日現在,2トン積みバキューム車5台,4トン積みバキューム車2台,軽バキューム車1台,一般廃棄物(し尿)処理業の作業員13名,浄化槽清掃業の作業員15名を有し,1日当たり8台分56トンのし尿・汚泥の収集能力がある。同じく許可業者であるD衛生では,平成7年に従業員を増員しており,平成12年3月31日現在,2トン積みバキューム車2台,作業員3名を有し,1日当たり1台につき1車2トンのし尿・汚泥の収集能力がある。 平成7年から平成12年までの間(ただし,平成8年を除く),A環境管理センターでの1日平均の処理量が40キロリットルを上回っていたことが明らかになったため,地元との協定どおりこれを40キロリットルとすることが確認され,超過分については海洋投棄をすること ,A環境管理センターでの1日平均の処理量が40キロリットルを上回っていたことが明らかになったため,地元との協定どおりこれを40キロリットルとすることが確認され,超過分については海洋投棄をすることになった。 (3) 以上の事実をもとに判断するに,平成3年以降,現実の要処理量は,本件計画の前提となった要処理量の推計を上回っており,結果としてこのように推計に誤りが生じた一因としては,世帯数の増加に対する配慮が十分でなかったことが考えられるものの,その誤差は,処理の面においては海洋投棄等により,収集・運搬の面においては既存の許可業者の収集・運搬能力の強化により,それぞれ対応可能な程度であって,本件計画はなお相応の合理性を有しているといえる(なお,原告の主張中には,住民の苦情が多数存することをもって既存の許可業者による収集・運搬能力が不十分であることを示すものである旨述べる部分があるが,苦情の内容及びその背景には種々のものが考えられるのであって,これをもって直ちに既存の許可業者による収集・運搬能力が不十分であるとはいえない。)。また,仮に本件許可申請(1)を認めて原告に許可を与え,収集・運搬の許可業者を増やすことにより,収集・運搬能力の拡充を図ったとしても,その際にはA環境管理センターにおける処理能力の面で問題が生ずることも考えられないではない。してみると,本件不許可処分(1)には,許可権者である被告が裁量権を行使するにつき,著しい逸脱ないし濫用があるとはいえないから,これがあることを前提とする原告の主張は失当である。 原告は,更に,本件計画がし尿・汚泥の減少を予測し,減少することを前提に策定されたものであるところ,現実のし尿処理量は本件計画におけるし尿処理予測を上回っているのであって,本件計画における予測が現実と合致しなくなった以上,その 汚泥の減少を予測し,減少することを前提に策定されたものであるところ,現実のし尿処理量は本件計画におけるし尿処理予測を上回っているのであって,本件計画における予測が現実と合致しなくなった以上,その予測を前提とする本件計画をもって,廃掃法7条3項2号にいう計画適合性の判断資料とすることはできないと主張する。しかしながら,仮に本件計画を放棄し,収集・運搬業者の新規参入を認めたとしても,その後の処理をどうするかという点が解決されなければ全体を通じての円滑な運営は図られず,その処理をどうするかに関わるのが本件計画なのであるから,結局,本件計画を離れて,し尿・汚泥の収集・運搬業の許可を与えるか否かを判断することはできないといわざるを得ず,予測が外れたことだけで,本件計画が判断資料(基準)となり得ないとする原告の主張は採用することができない。 2 争点(2)(本件許可処分(1)の行政手続法5条違反)について(1) 本件で問題となる廃掃法7条3項2号所定の「その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること」との要件は,前記1(1)のとおり,許可権者に専門技術的政策的判断が尊重される広範な裁量権が委ねられており,具体的な基準を定めることは困難であって,以上認定の事実関係からすれば,基本的方針や考慮事項を定めることが可能とまではいえない。そうとすると,前記前提事実(2)のとおり,被告は本件許可申請(1)を審査するにあたって審査基準を定めなかったことをもって,行政手続法5条に違反しないというべきである。 (2) のみならず,仮に被告が本件許可申請(1)について審査基準を定めなかったことが行政手続法5条に違反すると仮定しても,同条違反が当該申請に対する不許可処分の取消しの理由にはならないというべきである。すなわち,行政手続法5条が,審査基準の作成を いて審査基準を定めなかったことが行政手続法5条に違反すると仮定しても,同条違反が当該申請に対する不許可処分の取消しの理由にはならないというべきである。すなわち,行政手続法5条が,審査基準の作成を義務づけ(1項),これを公にすることを義務づけている(3項)趣旨は,行政庁内部における申請の適切な処理を確保するとともに,申請をしようとする者に対し,許認可等を受けることができるか否かについて一定の予見可能性を与えようとする点にあると解されるところ,かかる趣旨からすれば,個々の申請との関係においては,遅くとも当該申請がなされるまでに審査基準を作成し,これを公にすることが必要であり,それを欠く場合には違法との評価がなされることになるが,仮にこの違法を理由として当該申請拒否処分が取り消された場合,行政庁としては,事後この違法を治癒することができず,当該申請の実体的な理由の有無にかかわらず,申請拒否処分をなし得ないことになりかねないが,法がこのような事態を想定しているとは考えられない(なお,申請者は,上記違反を理由に国家賠償を請求しうるもので,行政手続法5条が制定されたことによる申請者の権利はこれに止まると解するのが相当である。)。また,審査基準の作成・公開自体は,個々の許可申請ないし不許可処分に至る一連の手続に内在するものではなく,その手続との間に一対一の関係にあるものでもないことからすれば,審査基準の作成・公開を欠いたとしても,これをもって,処分取消しの理由とすることはできないと解すべきである。 (3) よって,行政手続法5条違反をもって本件不許可処分(1)の処分取消しの理由とする原告の主張は採用することができない。 3 争点(3)(本件許可申請(2)の浄化槽法36条2号ホ該当)について原告は,浄化槽の清掃により生ずる汚泥等の収集・運搬につき, 1)の処分取消しの理由とする原告の主張は採用することができない。 3 争点(3)(本件許可申請(2)の浄化槽法36条2号ホ該当)について原告は,浄化槽の清掃により生ずる汚泥等の収集・運搬につき,これをするために必要な一般廃棄物処理業の許可を有せず(この事実は弁論の全趣旨に照らし明らかである。),また,前記前提事実のとおり,他の一般廃棄物処理業者に業務委託することもしていないのであるから,原告には,浄化槽の清掃等の業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由があり,浄化槽法36条2号ホ所定の事由があるというべきである。 これに対し,原告は,一般廃棄物収集運搬業の許可を得ていないことをもって直ちに浄化槽清掃業の不許可事由とするような論理には飛躍があると主張するが,上記認定判断は,他の一般廃棄物処理業者との業務委託契約の有無を考慮に入れていることから明らかなように,一般廃棄物収集運搬業者でなければ浄化槽清掃業の許可を得られないとしたものではないから,原告の上記主張は当を得たものとはいえない。また,原告は,浄化槽清掃業の許可を得た後で一般廃棄物の収集運搬業許可業者に委託すれば足りるのであるから,この点を不許可事由とすることはできない旨主張するが,一般廃棄物の収集運搬業許可業者に委託するのであれば,むしろ浄化槽清掃業の許可申請の際に既に委託契約を締結しておけばよいのであって,これをしないでした浄化槽清掃業の許可申請に対して許可を与えることにより,汚泥の収集・運搬をなし得ないにもかかわらず浄化槽の清掃をなし得る状態に置くことに対して,不安ないし疑念を抱くのは相当というべきであって,この点に関する原告の上記主張も採用の限りではない。 よって,本件において浄化槽法36条2号ホ所定の事由が認められるとした本件不許可処 とに対して,不安ないし疑念を抱くのは相当というべきであって,この点に関する原告の上記主張も採用の限りではない。 よって,本件において浄化槽法36条2号ホ所定の事由が認められるとした本件不許可処分(2)は相当である。 4 争点(4)(本件不許可処分(2)の行政手続法9条違反)について行政手続法9条は,1項・2項を問わず,「努めなければならない」と規定されていることから明らかなように,行政庁に対して努力義務を定めた規定と解すべきであるから,同条違反をもって,直ちに処分取消しの理由とすることはできないというべきである。 したがって,以上を理由として本件不許可処分(2)の取消しを求める原告の主張は採用の限りでない。 5 争点(5)(本件不許可処分(2)の行政手続法5条違反)について本件で問題となる浄化槽法36条2号ホ所定の「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」との要件について審査基準を定めなかったことが行政手続法5条に違反するかはともかく,仮に被告に同法5条違反があったと仮定しても,それが処分取消しの理由となり得ないことは前記2のとおりである。したがって,以上を理由として本件不許可処分(2)の取消しを求める原告の主張は採用することができない。 6 結論以上によれば,本件各不許可処分にはいずれも原告主張の取消理由がないから,原告の本件請求はいずれも理由がない。よって,原告の本件請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 和歌山地方裁判所第二民事部裁判長裁判官礒尾正裁判官間史恵裁判官田中幸大(別表) 人口の推移等年度人口推計人口実数要処理量生し尿処理汚泥処理合計処理世帯数(推計)  量(実数) 史恵裁判官田中幸大(別表) 人口の推移等年度人口推計人口実数要処理量生し尿処理汚泥処理合計処理世帯数(推計)  量(実数)  量(実数)  量(実数) (実数)(人) (人)  (kl/日)(kl) (kl) (kl) (戸)S63 18089 18012 22.76571H1  17964 17911 22.46576H2  17839 17707 22.1 5117.2 2725.342.5  6609H3  17715 17553 21.8 6136.7 3056.493.1  6624H4  17592 17324 21.5 6009.1 3079.788.8  6636H5  17470 17084 21.1 6279.0 3174.653.6  6640H6  17349 16967 21.0 6116.9 3309.1 26 6663H7  17228 16861 20.7 6302.5 3400.402.9  6707H8  17109 16669 20.5 6169.0 2807.776.7  6729H9  16990 16483 6724.7 3156.080.7  6740H10 16872 16372 6983.5 3118.9102.4 6782H11 16755 16161 6844.2 3610.4454.6 6789H12 16638 16083 6569.5 3572.7142.2 4 6782H11 16755 16161 6844.2 3610.4454.6 6789H12 16638 16083 6569.5 3572.7142.2 6837

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る