【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を山口地方裁判所に差し戻す。 理 由 弁護人辻富太郎の本件控訴趣意は別紙控訴趣意書並に追加控訴趣意書と題する書 面に
主文 原判決を破棄する。 本件を山口地方裁判所に差し戻す。 理由 弁護人辻富太郎の本件控訴趣意は別紙控訴趣意書並に追加控訴趣意書と題する書面に記載の通りである。 然し乍ら右追加控訴趣意書は控訴趣意書提出期間経過後に提出されたものであるから控訴趣意書として不適法であるから、之に記載の控訴の趣意は審判の限りでない。(但し後記の通り此の点につき職権で調査をした)尚当裁判所は本件については事実の取調をする必要があると考えたので刑事訴訟法第三百九十二条第一項本文に従つて事実の取調をすることとし弁護人申請の押収物件(証第二号の小刀一本、同第三号の匕首二口)の証拠調をし尚職権で右証拠物に関する被告人の陳述を聴いた。 職権を以て調査をするに、当番での右取調べの結果及び本件起訴状並びに追起訴状の各記載、原審公判調書並びに原判決の各記載を彼是綜合すれば、被告人Aに対する本件銃砲等所持禁止令違反事件として起訴せられて居るのは被告人が証第三号の匕首一口(初め二口として起訴されたが第三回の公判で一口と変更せられた)を不法に所持していたという事実であるのに拘らず原判決が認定しているのは被告人が証第二号の小刀一本を不法に所持していたという事実であるということが明瞭である。之は全く異つた二つの事実でおる。銃砲等所持禁止令違反事件において被告人が所持していた兇器等が甲の品であるか、乙の品であるかということは犯罪構成要件中最も重要な要素をなすものであることはいうまでもたい。甲の匕首なら刄渡り十五糎ないので犯罪にならないという場合もあり得ること勿論でおる。被告人は甲の匕首につき起訴せられて居ると思つて之について自己の利益を護るために反証など提出して争つて居るのに全然別個の乙の匕首について判決を下されたのでは被告人 いう場合もあり得ること勿論でおる。被告人は甲の匕首につき起訴せられて居ると思つて之について自己の利益を護るために反証など提出して争つて居るのに全然別個の乙の匕首について判決を下されたのでは被告人としての訴訟上の地位は全く無親せられたことになる。 <要旨第一>要するに原審は起訴状に訴因として掲げられて居る匕首の不法所持の事実については判決しないで却つて起訴</要旨第一>せられてゐない小刀一本の不法所持について判決をして居るものと言わねばならないそれで弁護人の控訴趣意(前記控訴趣意書に記載の分)については判断するまでもなく原判決には刑事訴訟法第三百七十八条第三号に<要旨第二>規定せられた事由があるものとして同法第三百九十七条第四百条本文に従い之を破棄した上原裁判所に差し戻</要旨第二>すこととした次第である。 (裁判所判事柳田躬則判事藤井寛判事永見真人)
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