主文 1 被告両名は,連帯して,原告に対し390万円,原告に対し60万円及びこれらに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告両名のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告と被告両名との間においては,これを100分し,その14を被告両名の負担,その余を原告の負担とし,原告と被告両名との間においては,これを10分し,その1を被告両名の負担,その余を原告の負担とする。 4 本判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 主位的請求 被告両名は,原告に対し,連帯して2650万円及びこれに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告両名は,原告に対し,連帯して550万円及びこれに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告両名の負担とする。 仮執行宣言 2 予備的請求 被告両名は,原告に対し,連帯して1100万円及びこれに対する平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告両名の負担とする。 仮執行宣言第2 事案の概要 1 原告両名の請求 原告両名は,bが,群馬県の本件小学校に在学中,同級生から陰湿かつ執拗ないじめを受けていたにもかかわらず,①本件小学校の校長や6年生時の担任教諭は,安全配慮義務に違反して,いじめを防止し,自死を回避する措置を講じなかったため,bは,平成22年10月23日,自ら首を吊って死亡(以下「本件自死」という。)し,②被告桐生市は,本件自死の原因等を調査報告せずに不誠実な対応をしたと主張し,被 死を回避する措置を講じなかったため,bは,平成22年10月23日,自ら首を吊って死亡(以下「本件自死」という。)し,②被告桐生市は,本件自死の原因等を調査報告せずに不誠実な対応をしたと主張し,被告桐生市に対しては国家賠償法1条1項に基づき,被告群馬県に対しては同法3条1項に基づき,連帯して以下の金員を支払うことを求めた。 主位的請求(本件自死についての請求)ア原告の請求原告は,上記①の違法行為によりbが自死するに至ったことによってbが被った損害の賠償として合計5294万9521円(死亡逸失利益3294万9521円と死亡慰謝料2000万円を原告が相続)のうち2000万円,原告固有の損害賠償として上記①の違法行為によりbが自死するに至ったことの精神的苦痛についての慰謝料400万円と上記②の違法行為による精神的苦痛についての慰謝料100万円の合計500万円及び弁護士費用150万円の合計2650万円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成23年1月20日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 イ原告の請求原告は,原告固有の損害賠償として,上記①の違法行為によりbが自死するに至ったことの精神的苦痛についての慰謝料400万円と上記②の違法行為による精神的苦痛についての慰謝料100万円の合計500万円及び弁護士費用50万円の合計550万円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成23年1月20日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 予備的請求(bがいじめを受けたことについての請求) 原告は,上記①のうち,安全配慮義務に違反していじめを防止する措置を講じなかった違法行為によりbが被った損害 延損害金の支払を求めた。 予備的請求(bがいじめを受けたことについての請求) 原告は,上記①のうち,安全配慮義務に違反していじめを防止する措置を講じなかった違法行為によりbが被った損害の賠償として慰謝料1000万円(原告が相続)及び弁護士費用100万円の合計1100万円並びに不法行為の後の日である平成23年1月20日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 2 被告両名の答弁被告両名は,上記①の違法行為については,bは,本件小学校に在学中,同級生から執拗かつ陰湿といえるほどのいじめは受けておらず,校長や6年生時の担任教諭は安全配慮義務に違反していない上,主位的請求については,安全配慮義務違反があったとしても,本件自死との間に因果関係がない等と主張し,上記②の違法行為については,本件自死の原因等を適切に調査報告しており,調査報告義務に違反していないと主張し,原告両名の請求を争った。 3 前提事実(次の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠と弁論の全趣旨により容易に認められる。) 当事者等(甲1,2の1・2,乙32)ア bと原告両名等 bは,y国籍を有し,平成20年,本件小学校に転入し,平成22年度は,本件クラスに在籍していた。 原告は,bの母親であり,y国籍を有する。 原告は,原告との間に,dをもうけ,婚姻届出をしたが,bとは,養子縁組届出をしていない。 イ被告両名等 被告桐生市は,本件小学校を設置及び管理する地方公共団体であり,本件小学校と桐生市教育委員会(以下「市教委」という。)の設置者である。 eは,平成20年4月1日から平成24年3月31日までの本件小学校の校長であり,fは,平成22年度の本件クラスの担任であった。 学校と桐生市教育委員会(以下「市教委」という。)の設置者である。 eは,平成20年4月1日から平成24年3月31日までの本件小学校の校長であり,fは,平成22年度の本件クラスの担任であった。 また,gは,bが4年生時に在籍したクラスの担任であり,hは,bが5年生時に在籍したクラスの担任である。 被告群馬県は,市町村立学校職員給与負担法1条により,本件小学校の教諭の給与等を負担する者である。 本件小学校転入までの状況等(甲7の1,乙5の1から4まで) bは,平成17年4月,t小学校に入学し,平成18年,同小学校を転出し,u小学校に転入した。その後,bは,平成19年,同小学校を転出し,v小学校に転入し,平成20年,同小学校を転出し,本件小学校に転入した。 本件自死(甲3)bは,平成22年10月23日,午後0時ころ,原告両名の自宅アパートにおける子ども部屋で,カーテンレールにかけたマフラーで首を吊った。 これを原告が発見し,bは,病院に搬送されたが,縊頸後短時間で窒息し,これが原因で,医師が蘇生を試みるも,同日午後1時12分ころ,死亡した。 本件自死後の経過(甲6,19)本件小学校は,市教委教育長に宛てて,平成22年11月7日付けで,bの在学中の様子や本件自死後の学校の対応,本件自死に対する校長の所見,再発防止に向けての取り組み等について記載した報告書(以下「校長報告書」という。)を作成した。 また,被告桐生市は,いじめと本件自死との因果関係について,第三者の立場から公平かつ客観的に調査を深め,その結果を報告することを目的として,市内小学校児童の自殺に関わる調査委員会(以下「第三者調査委員会」という。)を設置し,同委員会は,平成23年3月28日付け委員会報告書(以下「委員会報告書」という。) 果を報告することを目的として,市内小学校児童の自殺に関わる調査委員会(以下「第三者調査委員会」という。)を設置し,同委員会は,平成23年3月28日付け委員会報告書(以下「委員会報告書」という。)を作成した。 本件小学校における生活指導部会等(乙4の1,22,34,47,48)本件小学校においては,職員会議のほかに生活指導部会を開催しており,その中に,生徒指導部会と教育指導部会等を設け,学校を頻繁に休んだり問題行動を起こ したりする児童や家庭環境が複雑で生活リズムが乱れている児童を配慮児童として,どのように指導助言すればよいか話し合い,配慮児童について,無断欠席や無断遅刻があれば,学校カウンセラーと称する職種の者(以下,単に「学校カウンセラー」ということもある。)や教諭等が自宅に連絡したり,訪問したりしていた。 両部会の構成員は,校長,教頭,教務主任,生徒指導主任,教育相談主任,特別支援主任,学年主任であり,必要に応じて,担任,養護教諭,学校カウンセラー,生活指導員も加わり,定期的に会議を開催しており,両部会は,平成22年4月に統合された。 また,本件小学校においては,職員会議の最後に,各学年の生徒指導報告を口頭で行っていた。 y国市民法(甲4の1・2)y国市民法においては,相続権は,被相続人の死亡により発生し,相続は,まず直系卑属に属し,直系卑属を欠く場合は,両親等が相続する,父母が生存する場合は,各2分の1,どちらか一方が生存する場合は,その者が全てを相続するとされている。 4 争点(安全配慮義務違反について-主位的請求) bに対する同級生のいじめの内容等 本件自死の主たる原因 校長やfの安全配慮義務違反アいじめ防止義務違反(についての校長やfの認識や認識可能性)イ自死回 主位的請求) bに対する同級生のいじめの内容等 本件自死の主たる原因 校長やfの安全配慮義務違反アいじめ防止義務違反(についての校長やfの認識や認識可能性)イ自死回避義務違反(本件自死についての校長やfの予見可能性) 安全配慮義務違反と本件自死との相当因果関係 損害 過失相殺(安全配慮義務違反について-予備的請求) 校長やfの安全配慮義務違反 損害(調査報告義務違反について) 調査報告義務違反 損害 5 安全配慮義務違反(主位的請求)についての当事者の主張 争点(bに対する同級生のいじめの内容等)について(原告両名の主張)bは,本件小学校の同級生から,以下のアないしウのとおり,陰湿かつ執拗ないじめを受けていた。 ア 4年生 bは,同級生から,本件小学校に転入して間もない時期からいじめを受けていた。 bは,複数の同級生から,bの書道作品が金賞を受賞し,校内に展示された際,転校したばかりなのに金賞をとるなんておかしい,ひいきだ,転校生のくせに生意気だ等と悪口を言われた。 イ 5年生 bは,同級生から,林間学校の少し前ころから悪口を言われるようになった。そして,bは,林間学校の際,先頭になってbに対するいじめをしていた同級生のAほか3名の児童から,「きもい」,「ゴリラあっち行け」等の悪口を言われた。bは,後日,林間学校において撮影した集合写真の上記悪口を言った同級生15名の顔の部分に×印を書いた。 bは,複数の同級生から,原告両名が参加した授業参観の翌日に,「お前のお母さん外国人?」「なんで外国人なの?」「アフリカ人?」「ゴリラ見たことあ るの?」「黒人なの?」と言われた。 また,bは,1名の同級生から,お前の母さん 名が参加した授業参観の翌日に,「お前のお母さん外国人?」「なんで外国人なの?」「アフリカ人?」「ゴリラ見たことあ るの?」「黒人なの?」と言われた。 また,bは,1名の同級生から,お前の母さんが母ゴリラだから,お前は「○○ゴリ」だ,○○(名字)とゴリラで「○○ゴリ」だと言われ,他の同級生らも面白がって,「○○ゴリ」と口々に言われた。その後,bは,複数の同級生から「○○ゴリ」と呼ばれるようになっていった。 bは,腰の位置まである髪の毛を団子状にして後ろで結んでいたが,後ろの席の同級生から,「○○ゴリ,髪の毛が邪魔でうざい」と言われ,その後,髪の毛を結ばなくなった。 また,bは,上記発言をした同級生から,「○○ゴリ,臭い,お風呂入っているのか」と言われ,毎日のように,「きもい」,「臭い」等と悪口を言われた。さらに,便乗した他の同級生らも,「きもい」,「臭い」等と悪口を言うようになった。 bは,一部の同級生から,平成21年9月,運動会の組み体操の練習の際,汚いから一緒に組みたくないと言われ,一緒に組み体操をすることを拒まれた。 原告は,平成21年11月ころ行われた授業参観に参加したところ,児童20から,「ゴリラ,外国人」と面と向かって叫ばれた。 ウ 6年生 bに対する悪口等本件クラスにおけるbに対するいじめは,1学期の途中から徐々にエスカレートしていった。 ピンクの服bは,Aや児童20から,「○○ゴリ」と悪口を言われ,bがピンクの服を着ていくと,執拗に「ピンクの服を着てくるな」と言われた。 ばい菌また,Aや他の1名の同級生は,bをばい菌扱いするようになり,○○ゴリ菌と言うようになった。 くつ隠し,箸のケース捨て,プロフィール帳隠し bは,Aらから,1学期の途中から,くつを隠されたり た,Aや他の1名の同級生は,bをばい菌扱いするようになり,○○ゴリ菌と言うようになった。 くつ隠し,箸のケース捨て,プロフィール帳隠し bは,Aらから,1学期の途中から,くつを隠されたり,給食時に使用する箸のケースをゴミ箱に捨てられたりするようになった。また,bが友人からもらって大切にしていたプロフィール帳を誰かに隠されたこともあった。 手紙さらに,Aらは,授業中に,bの悪口を書いた手紙をb以外に回し,手紙を読んだ児童は,bを見ながらくすくす笑っていた。Aらは,男子児童にも手紙を回すようになり,bは,男子児童から,手紙にかかれたゴリラの絵を見せられ,「○○ゴリ,これお前だぞ」等と言われるようになった。 落書き本件クラスの児童は,bが休み時間に席を離れている間に,bの机にマジックでゴリラの落書きを書いたところ,別クラスの児童もその落書きを見に集まり,bの机の周りには人だかりができた。bは,泣きながら落書きを消したが,本件クラスの同級生は,bが落書きを消している様子を見て笑っていた。 修学旅行bは,修学旅行の班に入ることができず,教諭から空いている班に強引に入れられたが,先頭になってbをいじめている児童が3人入っている班であったため,班で行動していても孤立していた。bは,Aらから,修学旅行中,「○○ゴリ菌に感染するからバスに乗るな」,「お前の家は貧乏だろ」,「お小遣いないだろ」,「きもいからあっちへ行け」等の悪口を言われた。 7月ころからの孤立本件クラスの同級生である児童11や他の1名の児童は,bと友好的であったが,平成22年7月ころ,Aらが,上記児童に対し,「bと付き合うな」と言い,従わないときには暴力をふるったため,上記児童は,Aらを恐がり,bと付き合わなくなっていった。また,Aらは,bに 的であったが,平成22年7月ころ,Aらが,上記児童に対し,「bと付き合うな」と言い,従わないときには暴力をふるったため,上記児童は,Aらを恐がり,bと付き合わなくなっていった。また,Aらは,bに対しても,上記児童と「遊ぶな」等と言ったため,bは本件クラス内で孤立することが多くなった。 プール開放 bは,夏休みのプール開放行事に参加するために本件小学校に向かっていた際,同級生1名から「プール来るなよ。お前が来たらプールの水がばい菌でいっぱいになるだろう。○○ゴリ菌がうつる。お風呂入っていないんだからプールに入ると汚いだろう。」等と言われ,そのまま泣きながら帰宅した。 祭りや運動会bは,本件クラスの児童らから,祭りでbの書いた絵が佳作に選出されたことについて,「お前の絵が佳作?ありえねー。」等と言われた。また,bは,本件クラスの児童らから,運動会でbがリレーの選手に選出されたことについて,「ゴリラのくせに足が速いんだな。」,「外人は足が速いんだよ。」等と言われた。 bの給食時の様子等bは,2学期の9月末ころから,同級生から給食のグループに入れてもらえず,一人で給食を食べていた。 また,bは,本件クラスの児童から,給食当番をしている際,「○○ゴリ菌がうつるから食器に触るな。」,「お前が食器を触ると給食が食べられなくなるだろう。」,「○○ゴリが触った物なんか食べられるか。」等と言われた。 さらに,bは,本件クラスの複数の児童から,給食時に,「お前が近寄ると食欲なくなるよな。」,「近くにいると給食がまずくなる。」,「あっち行け,廊下で食べろ。」,「お前はしゃべるな,ばい菌が飛ぶから。」等と悪口を言われた。 加えて,本件クラスの児童がbの給食の中に消しゴムのかすを入れたが,bは,気づかずに給食と一緒に 。」,「あっち行け,廊下で食べろ。」,「お前はしゃべるな,ばい菌が飛ぶから。」等と悪口を言われた。 加えて,本件クラスの児童がbの給食の中に消しゴムのかすを入れたが,bは,気づかずに給食と一緒に消しゴムのかすを食べたところ,bは,上記児童から,「お前は何でも食べるんだな。やっぱりゴリラじゃねえの。」と言われた。 bの校外学習日(平成22年10月21日)当日の様子等bは,本件クラスの半数以上の児童から,「何でこんなときだけ学校へ来るんだ,いつも学校をさぼっているくせに。」,「何で学校に来るんだ,帰れ。」等と言われた。教務主任であるwは,嫌がるbをむりやり引っ張って校外学習に参加させた。 bは,昼食の弁当の際,一人で弁当を食べた。fやwは,bのそばで一緒に弁当 を食べただけだった。 エ証拠について iの調査結果(甲23,26)これらは,本訴と利害関係のないiが,本訴提起当時の原告両名訴訟代理人弁護士から,本件自死後,bに対するいじめの実態調査を依頼され,その結果をまとめたもので,信用できる。 児童11からの手紙(甲10の1)これは,bが親しかった児童11からの手紙であるが,「最近遊べなくてゴメンネ」と記載されており,Aからbと付き合わないよう強要されたことを示している。 プールの出席表(甲9の1・2)bはプールで泳ぐこと等が好きであるにもかかわらず,夏休みのプール開放に平成22年7月22日にしか参加していないことは,同日,誰かからbにとって嫌なことを言われる等したことを示している。 (被告両名の主張)bが本件小学校の同級生から受けたいじめの態様等は,以下のとおりである。 ア 4年生bが本件小学校に転入して間もない時期については,同級生のbに対するいじめはなく,書道作品が金賞を受賞したことにつ が本件小学校の同級生から受けたいじめの態様等は,以下のとおりである。 ア 4年生bが本件小学校に転入して間もない時期については,同級生のbに対するいじめはなく,書道作品が金賞を受賞したことについて悪口を言われたこともない。 bは,男子児童から,3学期に,「どけ」と乱暴な言葉を言われたことはあった。 イ 5年生bは,同級生から悪口や嫌なことを言われたことはあったが,原告両名主張の同級生からの悪口については,言われていない。また,bは,髪の毛を団子状に結んでいなかった。 ウ 6年生 bに対する悪口等bのことを「ばい菌」と言った児童や,修学旅行の際,「あっちに行け」と言 った児童がいたことは認めるが,bが同級生から「○○ゴリ」「○○ゴリ菌」と言われ,「ピンクの服を着てくるな」,プリントを後ろに回すだけで「こっちを向くな」と悪口を言われていたことや,靴やプロフィール帳を隠匿され,箸のケースを捨てられたこと,悪口を書いた手紙を回されたこと,机に落書きをされたことは否認する。机にマジックで落書きをしたのであれば,消しきれずに残り,教諭らも容易に認識できるはずであるが,教諭らは落書きを見ていない。また,Aがbと友好的だった児童11らに対し,「bと付き合うな」等と言ったことや,bが,「夏休みのプール開放に来るな」と言われたり,まつりでbが描いた絵が佳作に選出されたことや運動会でリレーの選手に選出されたことについて悪口を言われたりしたことは,否認する。 また,本件クラスは,平成22年6月末ころから学級崩壊の状態となった。特にAや児童20が荒れており,誰かれ構わず,fに対しても,「臭い」,「きもい」等と悪口を言い,他のクラスの児童の短パンを下ろしたり,水筒を放り投げて,他の児童の頭にあて,数針縫うけがを負わせたこともあ Aや児童20が荒れており,誰かれ構わず,fに対しても,「臭い」,「きもい」等と悪口を言い,他のクラスの児童の短パンを下ろしたり,水筒を放り投げて,他の児童の頭にあて,数針縫うけがを負わせたこともあった。 bの給食時の様子等bが,平成22年9月28日以降,一人で給食を食べるようになったのは,本件クラスの児童が好きな児童と一緒に給食を食べることに強い関心をもっており,他方,bも自分から積極的にグループに加わろうとしなかったからである。本件クラスの児童が意図的にbを仲間はずれにしていたわけではない。 fがbに対し,「一人でがんばっているね」と声をかけたのは,bがグループに入れず一人で給食を食べている状況を不憫に思ったからであり,bが他の児童から仲間はずれにされていたとは認識していなかった。 また,原告両名主張の本件クラスの児童のbに対する悪口等は,否認する。fは,児童と一緒に給食を食べていたが,原告両名主張の悪口等を聞いたことはない。 bの校外学習日当日の様子等Aがbに対し,学校を2日も休んでおいて何で今日出てこられるのかと聞いたの は,Aが,bが欠席した平成22年10月19日に,bをレンタルビデオショップで見かけたため,bが学校をさぼっているのではないかと思ったからである。そうすると,Aの上記発言には,相応の理由があるから,Aがbに対し,悪質ないじめをしていたということはできない。 fとwは,昼食の時間に,bが他の児童と一緒に食べられるように,一つのグループの輪を広げさせ,そこに,bを入れようとした。しかし,輪が広がらず,そのグループの近くでfとwがbの横について昼食をとった。 争点(本件自死の主たる原因)について(原告両名の主張)ア bは,4年生時から,Aら複数の同級生からの陰湿かつ執拗ないじめ ず,そのグループの近くでfとwがbの横について昼食をとった。 争点(本件自死の主たる原因)について(原告両名の主張)ア bは,4年生時から,Aら複数の同級生からの陰湿かつ執拗ないじめを受け,精神的に追い詰められ,自死するに至った。 したがって,本件自死の主たる原因は,同級生のいじめである。 イ原告は,本件自死当日,dとけんかをしたbが「もう私,一生学校行かない。二度と行かない。」と言い出したため,「今,学校は関係ないでしょ。dと一緒に遊びに行くか行かないかの話をしているんでしょ。」となだめ,bとdを引き離したが,bに特別な叱責はしていない。また,原告もbを怒鳴ったり,特段叱責をしたりしたことはなかった。 ウしたがって,原告両名の家庭内の出来事は,少なくとも本件自死の主な原因ではない。 (被告両名の主張)原告両名は,平成22年10月24日当時,本件自死当日の朝,bと原告が言い争いになり,その後,bは,自室に戻ったが,部屋からテレビの音が聞こえなかったことから原告が様子を見に行ったところ,bが首を吊っていたと述べていた。 上記経緯からすると,本件自死の主たる原因は,同級生のいじめではない。 原告がbと本件自死当日言い争いをしたことは,本件自死発覚直後の平成22年10月31日作成の書面(乙10)に記載されており,校長の記憶も確かである。 争点(校長やfの安全配慮義務違反)ア(いじめ防止義務違反)について(原告両名の主張)ア校長やfは,bが4年生時以降,同級生から執拗かつ陰湿ないじめを受けていると認識し,又は認識可能であったにもかかわらず,何らの対策を講じなかったばかりか,校外学習日については,嫌がるbをむりやり引っ張って参加させて,いじめによるbの精神的苦痛を助長し,安全配慮義務 ていると認識し,又は認識可能であったにもかかわらず,何らの対策を講じなかったばかりか,校外学習日については,嫌がるbをむりやり引っ張って参加させて,いじめによるbの精神的苦痛を助長し,安全配慮義務(いじめ防止義務)に違反した。 イ小学校の校長や教諭らが負ういじめ防止義務の内容等 小学校の設置者は,安全配慮義務の具体的内容として,いじめ防止義務を負う。また,いじめ防止義務の一環として,小学校の校長や教諭らは,日頃から生徒の動静を観察し,児童や保護者から,いじめについて具体的な申告がない場合であっても,児童や保護者に対して事情聴取をする等して,早期にいじめの実態を調査し,実態に応じた適切な防止措置をとる義務を負う。 具体的ないじめ防止義務の内容 児童や保護者に対する指導小学校の教諭らは,児童に対し,いじめが被害者の自死等をもたらしかねないことを理解させ,いじめをしないことや,いじめに発展しうる状況があれば,教諭等に伝えるよう指導すべき義務がある。 また,小学校の教諭らは,いじめを発見した場合,加害者自身とその保護者,被害者自身とその保護者やその他関係者に対し,事情聴取等を行い,正確かつ迅速に事実関係を把握する義務がある。 さらに,小学校の教諭らは,いじめの加害者に対し,いじめが重大な人権侵害であり,許されないことを理解させ,心から反省悔悟するよう指導すべき義務がある。 また,いじめの加害者の保護者に対し,今後いじめを繰り返させないために,家庭内で防止するよう指導する義務がある。 加えて,小学校の教諭らは,いじめが収束した後も,いじめの再発を防止するため,引き続き慎重に児童を観察する等して情報収集を行う義務がある。 報告体制の確立等小学校の教諭らは,児童に対し,定期的に,かつ,必要に応じて,いじめの 収束した後も,いじめの再発を防止するため,引き続き慎重に児童を観察する等して情報収集を行う義務がある。 報告体制の確立等小学校の教諭らは,児童に対し,定期的に,かつ,必要に応じて,いじめの有無等についてアンケート調査を実施し,常にいじめの発見と予防に配慮する義務がある。 また,小学校の教諭らは,保護者等からいじめの存在をうかがわせる情報を得た場合やいじめを発見した場合,謙虚に事情を聞き,その内容を速やかに校長に報告し,これを受けた校長は,全教諭に周知する等し,さらに教諭間においても情報交換を図る等して報告体制を整備する義務がある。 さらに,小学校の教諭らは,いじめを発見した場合,速やかに校長に報告し,校長を含む全教諭をもって,いじめに対応し解決すべき義務がある。 ウいじめの認識及び認識可能性校長やfは,以下のとおり,bが陰湿かつ執拗ないじめを受けていることを認識し,又は認識可能であったというべきである。 4年生原告は,gに対し,bがいじめを受けていることを伝えていた。 5年生原告は,hに対し,林間学校の後,bが複数の同級生から悪口を言われ,いじめを受けていることや,「○○ゴリ」と言われ,からかわれていること,同級生の1名から「臭い」と言われていることを相談した。 また,原告両名は,hに対し,平成21年6月ころ,本件小学校を訪問して,「bがいじめを受けて学校に行きたくない。」と言っていると相談した。 6年生 bに対する悪口等について原告は,fに対し,平成22年4月30日,家庭訪問の際,「bが5年生時に いじめられていたことを知っているか。」と尋ねたところ,fは,「知っている。」と答えたのだから,fは,bが6年生に進級した当初から,5年生時にいじめられていたことを認 問の際,「bが5年生時に いじめられていたことを知っているか。」と尋ねたところ,fは,「知っている。」と答えたのだから,fは,bが6年生に進級した当初から,5年生時にいじめられていたことを認識していた。 また,fは,bが「○○ゴリ」,「○○ゴリ菌」,「こっちを向くな」等の悪口を言われているのを現認しており,bからも,Aらから「○○ゴリー」と悪口を言われていることや,後ろの席の児童に対しプリントを回そうとした際,「きもい,こっちを向くな」等と言われたと報告を受けていた。 さらに,原告は,fに対し,電話をかけて,bが複数の児童から暴言を吐かれていると相談した。 bの給食時や校外学習日当日の様子等についてfは,bが一人で給食を食べていることを現に見ており,校外学習の日に,Aらに悪口を言われたことをbから聞いている。 認識可能性仮に,fが,本件クラスの児童からbがいじめられていることを認識していなかったとしても,上記bに対する悪口等や,給食時,校外学習日当日の様子等によれば,通常の教師であれば,bがいじめられていることを認識することが可能であった。 また,本件クラスは,学級崩壊の状況であったところ,学級崩壊の背後には,いじめがあることが多いのであるから,校長もbがいじめられていることを認識することが可能であった。 エ校長やfのいじめ防止義務違反 児童や保護者に対する指導の欠如bに対する「ゴリラ」,「○○ゴリ」という悪口は,bの母がy人で,日本人に比して肌が黒いことに由来すると考えられ,根底に人種差別の思考があることが明らかである。したがって,fは,上記悪口を言った児童に対し,人種差別の防止という観点からも指導をすべきであった。 また,給食は,教育の一環であるから,児童が勝手にグループを作り,孤 ることが明らかである。したがって,fは,上記悪口を言った児童に対し,人種差別の防止という観点からも指導をすべきであった。 また,給食は,教育の一環であるから,児童が勝手にグループを作り,孤立する児童が生じた状態で給食を食べることを許すべきではない。 しかし,fは,上記指導をしなかったほか,本件クラスの児童に対し,いじめが被害者の自死等をもたらしかねないことについて指導せず,bに対するいじめをやめるよう指導もしなかった。 また,fは,bに対するいじめを認識していたにもかかわらず,原告両名やbに対し,bの自宅を訪問する等して事実関係を確認しようとしなかった。また,本件クラスの児童や保護者から事情を聞くこともしなかった。 さらに,fは,bに対するいじめの首謀者がAであることを認識していたにもかかわらず,Aに対し,事実関係を確認したり,Aやその保護者に対し,いじめをしないよう指導したりしなかった。 以上によれば,fは,bに対するいじめ防止義務を怠ったというべきである。 また,f個人で,上記指導をすることが困難な場合,校長が主導して上記指導をすることができるようにする必要がある。そして,fは,当時抑うつ状態であり,担任としての能力がなかったのであるから,fは,自身の状況を校長に伝えるべきであり,校長は,これを把握した上で,担任を変えるか,常時副担任に補佐をさせる等対応策をとるべきであったにもかかわらず,これを怠った。 報告体制の未確立本件小学校は,児童に対し,いじめについてのアンケートを実施しておらず,文部科学省(以下「文科省」という。)が全国の小中高校に対し,平成22年9月14日に実施を依頼した「いじめの実態把握のためのアンケート」さえ実施していなかった。 また,fは,bに対するいじめを認識していたにもかかわらず,校長や う。)が全国の小中高校に対し,平成22年9月14日に実施を依頼した「いじめの実態把握のためのアンケート」さえ実施していなかった。 また,fは,bに対するいじめを認識していたにもかかわらず,校長や教頭のr,他の教諭らに対し,報告しなかった。他方,校長は,本件クラスが学級崩壊の状態であったことを認識しながら,fに対し,いじめの有無等を確認せず,漫然と放置した。 以上によれば,本件小学校においては,いじめについての報告体制が確立されておらず,fや校長は,いじめ防止義務を怠ったというべきである。 結果回避可能性fや校長がいじめ防止義務を履行し,本件小学校の報告体制が確立していれば,bに対するいじめを防止することができた可能性が高いというべきである。 (被告両名の主張)ア校長やfは,bに対する同級生からの悪口等について,以下のとおり,必要な対策を講じており,安全配慮義務(いじめ防止義務)に違反していない。 イ小学校の校長や教諭らが負ういじめ防止義務の内容等原告両名主張の措置をとることが,常にいじめ防止義務の内容となるということはできない。いじめ防止義務の内容は,いじめの程度によって異なるというべきである。 ウいじめの認識及び認識可能性校長や教諭らは,以下のとおり,bが陰湿かつ執拗といえるほどのいじめを受けているとは認識しておらず,認識可能でもなかった。 4年生gは,原告と3学期に電話で話した際,原告から,「bが,学校に行くと嫌なことがあるから行きたくないと話している。」と言われたが,bにその事実を確認したところ,グループで楽器練習をしている際,「どけ」と乱暴な言葉を言われたことが原因であると判明した。 5年生hは,bが悪口や嫌なことを言われたことは認識しており,原告 確認したところ,グループで楽器練習をしている際,「どけ」と乱暴な言葉を言われたことが原因であると判明した。 5年生hは,bが悪口や嫌なことを言われたことは認識しており,原告から,平成21年6月12日,電話で話した際,「bが,後ろの席の児童から,頭が臭いと言われているから学校に行きたくない。」と言っているとの相談を受けたことはある。 また,学校カウンセラーとして勤務していたjは,平成21年6月23日,原告と面談をした際,bが「臭い」,「きもい」と言われている,「仲間はずれにさ れて嫌だった。」と話していると伝えられた。 さらに,hが,平成21年11月16日,bの自宅に電話をかけてもbが登校しないため,jがbを自宅に迎えに行ったところ,bは,jに対し,「保健委員会でAに仲間はずれにされたから,学校に行きたくない。」と言った。 しかし,hは,林間学校の後,bが,複数の同級生から悪口を言われ,いじめを受けていることや,「○○ゴリ」と言われ,からかわれていることをbらから相談されたことはなく,bがいじめを受けていることを認識してもいなかった。 6年生 bに対する悪口等についてfは,原告から,家庭訪問の際,「bが5年生時にいじめられていたことを知っているか。」と尋ねられたことはない。 また,fは,hから,引き継ぎの際,bを含む児童について申し送りを受けたが,bについては,不登校気味であること等のほかは,深刻ないじめを受けているとの報告は受けなかった。 fは,原告から,1学期に,bが何か嫌なことを言われているとの報告は受けたが,bが「○○ゴリ」と呼ばれていたことは,当時認識しておらず,本件自死後に被告桐生市の調査の結果,認識するに至ったものにすぎない。 bの給食時の様子等についてfら れているとの報告は受けたが,bが「○○ゴリ」と呼ばれていたことは,当時認識しておらず,本件自死後に被告桐生市の調査の結果,認識するに至ったものにすぎない。 bの給食時の様子等についてfらが,bが給食を一人で食べることについて,大変な苦痛を感じていることを認識したのは,校外学習日にbが泣き叫んで行くことを拒む出来事があってからである。 エ校長やfのいじめ防止義務違反の不存在 4年生gは,bに対して乱暴な言葉を使った男子児童に対し,「同じ言葉を言っても気にする人と気にしない人がいるのだから,言葉遣いに気をつけるように。」と指導した。 また,gは,bに対し,「学校で嫌なことがあったら先生に話して,時には意地悪をするつもりがなくても乱暴な言葉を使う人もいるので,あまり気にしすぎないように。」と話した。 5年生hは,bの後ろの席の児童や周囲の児童に対し,「頭が臭い」との発言について聞いたところ,bではない児童のことであるとのことであったため,bに対し,誤解であると話した。hは,クラス全体に対し,誰のことであっても,人の嫌がることは言わないようにと指導した。 また,hは,Aを含む保健委員を集め,bを仲間はずれにしたことについて話し合いをしたところ,Aとしては,仲間はずれにしたつもりはないとのことであり,bもAに声をかけておらず,互いにコミュニケーションが取れていない様子だったため,bとA双方にこれからは互いに気をつけようと指導した。 6年生 bに対する悪口についてfは,bや原告から,bが他の児童から何か嫌なことを言われているとの報告を受けた際,上記児童に対し,指導をした。 bの給食時の様子についてfは,bから「給食を食べる際に一人になってしまう。」と相談を受けた際,bに の児童から何か嫌なことを言われているとの報告を受けた際,上記児童に対し,指導をした。 bの給食時の様子についてfは,bから「給食を食べる際に一人になってしまう。」と相談を受けた際,bに対し,「誘ってもらうのを待つのではなく,自分からもグループに入れてもらうよう言ってみたら。」と指導した。 また,fは,平成22年10月14日に席替えをして,本件クラスの児童全員が班ごとに給食を食べるように指導し,同月15日には,本件クラスの児童の一人に対し,bと一緒に給食を食べるよう声をかけた。 bの校外学習当日の様子についてfは,Aに対し,校外学習から帰った後,相手の気持ちを考えて言葉を使うように指導した。 また,fは,原告から,電話で,bが友達に言われて辛かったことや給食も一人で食べているとの相談を受け,翌日,校長や教頭と相談し,本件クラスの児童全員に対し,前を向いて給食を食べさせることを決め,実際にそのようにした。 教諭らは,bをむりやり校外学習に参加させたものではないから,bを校外学習に参加させたことは問題ない。 さらに,本件小学校の教諭らは,bが校外学習の翌日,連絡もせずに欠席したため,心配して,bの自宅に電話をかけた。また,教頭と学校カウンセラーのkは,午前中,bの欠席理由の確認や,bを迎えに行くために,bの自宅を2回訪問したが,bは出てこなかった。fは,午後6時ころ,bの自宅に電話をかけ,留守番電話に,「いろいろと指導しました。これからも指導します。」と入れ,午後7時30分ころ,bの自宅を訪問したが,応答はなかった。 学級崩壊について本件小学校においては,本件クラスについて,1学期から学級崩壊の兆候が見られたため,夏休みに,全ての教諭で本件クラスの改善の方策について研修を行った。 また,月に った。 学級崩壊について本件小学校においては,本件クラスについて,1学期から学級崩壊の兆候が見られたため,夏休みに,全ての教諭で本件クラスの改善の方策について研修を行った。 また,月に1回の職員会議や,教育相談部会,生徒指導部会においても,本件クラスの改善の方策として,①ルール作成,②fに加えて他の教諭が授業をするチーム・ティーチングの実施,③交換授業等を検討し,実行しており,学級崩壊の状態を放置していない。 争点(校長やfの安全配慮義務違反)イ(自死回避義務違反)について(原告両名の主張)ア校長やfは,以下のとおりbが執拗かつ陰湿ないじめにより自死するに至ることが予見可能であったにもかかわらず,自死を回避するための適切な対応をとらなかったばかりか,校外学習日については,嫌がるbをむりやり引っ張っていって参加させて,いじめによるbの精神的苦痛を助長し,安全配慮義務(自死回避義務)に違反した。 イ本件自死の予見可能性bに対するいじめは,小学校におけるいじめのうち,最も発生率の高い時期である小学校5,6年生時に行われた,最も発生率の高い態様であるからかい,仲間はずれ等であり,小学校におけるいじめの典型的なものである。そして,bに対するいじめは,暴力行為こそ伴っていないものの,長期間にわたり,bの人間の尊厳を継続的に傷つけるような誹謗中傷であり,人種差別も伴っていたのであるから,これによりbが受けた精神的打撃は,計り知れない。そして,子どもの自殺の特徴の一つに衝動性が挙げられ,特に小学生等でその傾向が顕著であることや,子どもの自殺に特に見られる共通の心理として攻撃願望があることを併せると,bのように執拗かつ陰湿ないじめを受ければ,自死するに至ることは通常であるところ,校長やfは,bが上記いじめを であることや,子どもの自殺に特に見られる共通の心理として攻撃願望があることを併せると,bのように執拗かつ陰湿ないじめを受ければ,自死するに至ることは通常であるところ,校長やfは,bが上記いじめを受けていることや,校外学習日に,Aから何でこういう日にだけ来るんだと言われたことに対し,bは泣いて取り乱していたことを認識していたのであるから,安全配慮義務に違反して,いじめについて対策を講じないことによる本件自死は予見可能であった。 (被告両名の主張)ア校長やfは,以下のとおり本件自死を予見することはできず,安全配慮義務(自死回避義務)に違反していない。 イ本件自死の予見可能性校長やfは,bが給食を一人で食べていた原因は,必ずしも本件クラスの児童から拒絶されていたことにあるのではなく,その期間も合計9日間と長期にわたるものではないこと,校外学習の際,Aらが,bは,学校をさぼっていると考え,何でこんなときだけ来るのかと言ったことについては,bが深く傷つくほどの言動ということはできず,これにより本件自死を予見することはできなかった。 争点(安全配慮義務違反と本件自死との相当因果関係)について(原告両名の主張)校長やfは,安全配慮義務に違反した上,本件自死を予見可能であったのであ るから,上記義務違反と本件自死との間には,相当因果関係がある。 (被告両名の主張)アいじめを受けた児童が自死することは,統計的にも非常に例外的であるから,通常損害ということはできない。 イそして,校長やfが安全配慮義務に違反したとしても,本件自死を予見することはできなかったのであるから,上記義務違反と本件自死との間には,相当因果関係はない。 争点(損害)について(原告両名の主張)ア原告の損害(合計58 としても,本件自死を予見することはできなかったのであるから,上記義務違反と本件自死との間には,相当因果関係はない。 争点(損害)について(原告両名の主張)ア原告の損害(合計5844万9521円。本訴は,その一部請求) 相続したbの損害(合計5294万9521円)(内訳)全労働者(男女計)の全年齢平均賃金で算出すると,bの死亡による逸失利益は,3294万9521円である。 死亡慰謝料 2000万円そして,bには,法律上の父親はいないため,原告が上記bの損害をすべて相続する。 原告固有の損害bの死亡についての精神的苦痛(400万円) 弁護士費用(150万円)イ原告の損害 原告固有の損害bの死亡についての精神的苦痛(400万円)原告は,bと養子縁組をしてはいないが,bが2歳のころから,事実上の父親として養育してきたのであるから,bの死亡により,遺族固有の慰謝料請求権を取得したというべきである(民法711条類推)。 弁護士費用(50万円)(被告両名の主張)ア原告の損害 相続したbの損害争う。 死亡による逸失利益は,女性労働者学歴計の平均年収額により算出すべきであり,2372万5472円である。 また,bには,法律上の父親が存在するはずであるから,原告の相続は,2分の1の割合で相続する。 原告固有の損害争う。 弁護士費用争う。 イ原告の損害 原告固有の損害原告は,bと親子関係がないのであるから,民法711条を類推適用することはできず,固有の慰謝料は認められない。 弁護士費用争う。 争点(過失相殺)について(被告両名の主張)仮に被告両名に責任があるとしても, ら,民法711条を類推適用することはできず,固有の慰謝料は認められない。 弁護士費用争う。 争点(過失相殺)について(被告両名の主張)仮に被告両名に責任があるとしても,本件自死には,bのもともとの性格や,同級生の筆箱や金銭を盗む等したことや,転校を繰り返し,家事都合による欠席が多い等の原告両名の家庭内の問題が極めて大きな影響を与えているのであるから,大幅な過失相殺がされるべきである。 (原告両名の主張) bが内向的な性格になったのは,いじめが原因であり,先天的な性格ではない。 また,転校歴が多く,家事都合による欠席が多いことは,他県の小学校に在学していた当時はいじめられたことはなかったのであるから,関係がない。 6 安全配慮義務違反(予備的請求)についての当事者の主張 争点(校長やfの安全配慮義務違反)について争点(校長やfの安全配慮義務違反)ア(いじめ防止義務違反)と同じ。 争点(損害)について(原告の主張)bが本件クラスの児童から受けたいじめの態様や期間を考慮すると,これによって受けたbの精神苦痛を慰謝するための慰謝料は,1000万円を下らないというべきである。 そして,原告は,上記bの損害賠償請求権1000万円を相続した。 また,本件と因果関係がある弁護士費用は,100万円が相当である。 (被告両名の主張)争う。 7 調査報告義務違反についての当事者の主張 争点(調査報告義務違反)について(原告両名の主張)ア学校や教育委員会が負う調査報告義務の内容等学校は,児童の保護者から教育の委託を受けているのであるから,児童が,学校と時間的場所的に近接した範囲で生命身体等に対する侵害を受けた場合,上記侵害の原因を詳細に調査し,調査結果や対象 務の内容等学校は,児童の保護者から教育の委託を受けているのであるから,児童が,学校と時間的場所的に近接した範囲で生命身体等に対する侵害を受けた場合,上記侵害の原因を詳細に調査し,調査結果や対象方法等について,児童の保護者に報告する義務がある。 イ本件小学校や市教委の調査報告義務違反本件小学校や市教委は,本件自死の経過や原因について,原告両名,加害児童やその他の児童に対し,詳細な聞き取りをして事実関係を確認し,その上で公表すべ きであるにもかかわらず,これをせず,校長は,平成22年10月25日に本件自死について会見をした際,いじめの事実さえも否定していた。 したがって,本件小学校や市教委の上記不誠実な対応は,調査報告義務に違反するものである。 ウまた被告桐生市は,近隣住民からの電話聞き取り(乙9)等自らに有利になると考える証拠をことさらに収集したり,学校カウンセラーの記録についても多くを抜粋したりしており,調査報告義務を尽くしたということはできない。 (被告両名の主張)ア校長は,平成22年10月25日に本件自死について会見をした際,いじめはないと述べたのではなく,本件自死から2日しか経過しておらず,事実確認ができていなかったため,現時点では,いじめの事実はなかったと把握している,事実関係の確認は続けていると述べた。 そして,本件小学校においては,本件自死を受けて,臨時職員会議や学年主任会議,緊急対策会議等を連日開催し,平成22年10月29日,学校生活アンケートを実施し,同年11月4日,6年生全員を対象として児童に個別に面接を行う等学校全体で,bの死の原因究明と今後の対策に取り組んだ。 また,被告桐生市は,bが本件小学校に転入する前の小学校に対し,bの学校生活の様子を照会し,当時の担任からbや学級の様子を聴 別に面接を行う等学校全体で,bの死の原因究明と今後の対策に取り組んだ。 また,被告桐生市は,bが本件小学校に転入する前の小学校に対し,bの学校生活の様子を照会し,当時の担任からbや学級の様子を聴取した上,児童指導要録,学校カウンセラーの記録,平成20年と平成21年の教育相談部会及び生徒指導部会の記録,平成22年の生活指導部会の記録及び職員会議の記録等を収集しまとめて,平成22年11月7日,校長報告書(甲6)を作成した。校長は,平成22年11月8日,校長報告書の内容を説明するために原告両名の自宅を訪問したが,原告両名が非常に興奮していたため説明をすることができず,その後も説明をすることができる状況ではなかったため説明していない。もっとも,原告両名又は原告両名の関係者は,情報公開請求により,校長報告書の交付を受けている。 さらに,被告桐生市は,平成22年11月ころ,警察の教諭に対する同年10月 23日の事情聴取の結果をまとめ,本件自死の原因を解明するため,校医に対し,bの健康状態を聴取したり,近隣住民から情報提供を受けたりもしている。 加えて,被告桐生市は,平成22年12月8日から平成23年3月19日まで,各分野の専門家を委員として選任し,中立的な立場による判断を得るため,第三者調査委員会を設置し,本件自死の原因について調査を行い,同月28日,委員会報告書の提出を受けた。 イ本件小学校においては,被告両名にとって有利不利を問わず,証拠を収集し,それを取捨選択することなく,市教委や第三者調査委員会に対し,提出した。被告桐生市が第三者調査委員会に対して提出した主な資料は,本訴における乙1ないし8(但し乙4の10を除く。また,乙2,3については原本の写しを提出。),10ないし16,19,35,39,41ないし68及び本訴と関係のない児 員会に対して提出した主な資料は,本訴における乙1ないし8(但し乙4の10を除く。また,乙2,3については原本の写しを提出。),10ないし16,19,35,39,41ないし68及び本訴と関係のない児童についてのカウンセラーの記録や文献等である。 学校カウンセラーの記録を抜粋したのは,b以外の児童の記載について,プライバシー保護の観点から配慮したためである。 第三者調査委員会の調査においては,関係者の事情聴取等も行われたが,原告両名は,訴訟で争うことを理由に,同委員会の調査への協力要請に応ずることを拒み,資料の提出及び事情聴取に応じなかった。 以上のとおり,被告桐生市においては,本件自死後,詳細かつ適切な調査を行い,原告両名に対しても必要な報告をしており,調査報告義務違反はない。 争点(損害)について(原告両名の主張)原告両名が,被告桐生市の調査報告義務に違反する不誠実な対応により受けた精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は,原告両名各自について,100万円を下らない。 (被告両名の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 4年生及び5年生時のいじめの内容及び校長の安全配慮義務違反について(争点,ア及びの関係) 本件小学校転入時(甲7の1,21,22,乙3,4の6,5の4,7,12,13,63の1・2,68の1・2,原告及び原告各本人)ア bは,平成20年10月20日,4年生の2学期の途中で,本件小学校に転入したが,それまで,他の児童からのいじめが顕在化したことはなかった。 イ交友関係等bは,4年生時,互いの自宅が近い児童11とよく遊んでいた。 Aも,4年生時に本件小学校に転入したが,bとは違うクラスだった。 ウ bの出欠状況bは,小学校を,1年生時39日,2年生時34日,3年生時 年生時,互いの自宅が近い児童11とよく遊んでいた。 Aも,4年生時に本件小学校に転入したが,bとは違うクラスだった。 ウ bの出欠状況bは,小学校を,1年生時39日,2年生時34日,3年生時35日と欠席し,4年生時は,転校前に19日欠席し,本件小学校に転入してから,授業日数97日のうち,病欠を理由に16日,家事都合を理由に14日欠席した。 エ 4年生時の出来事と教諭の対応等 bの書道作品が,平成21年1月の校内書き初め大会において,金賞を受賞し展示された(弁論の全趣旨)。 原告は,gに対し,3学期,「bが,学校に行くといじめられるから行きたくない。」と話していると伝えた。これを受けて,gがbから詳しい事情を聞いたところ,グループで楽器練習をしているときに,「どけ」,「どけよ」と言われたと話した。 そこでgは,bに対し,学校であったことは話してほしいことや,いじわるをするつもりがなくても乱暴な言葉を使う人もいるからあまり気にしすぎないようにと話した上,「どけよ」等と発言した児童に対し,同じ言葉を言っても気にする人と気にならない人がいるから言葉遣いに気をつけるよう指導した。 gは,教育相談部会において,次のとおり報告した。 bは,まじめで理解力もある,まだ慣れないのか友達が少ない,友達とあまりしゃべらない,いじめられるので登校したくないと言っていたことが2回あった,dが休む時は一緒に休んで面倒を見ていることもある,家に連絡がとれないことがある。 5年生時(甲7の2,8,11の1ないし4,12の1・2,21ないし23,28の1・2,乙3,4の1・4・5・8,5の4,6ないし8,10,11,13,23,33,34,39,証人j,同h,同e,同f,原告及び原告各本人)ア引き継ぎgは,hに対し, 23,28の1・2,乙3,4の1・4・5・8,5の4,6ないし8,10,11,13,23,33,34,39,証人j,同h,同e,同f,原告及び原告各本人)ア引き継ぎgは,hに対し,bが5年生に進級する際,欠席が多いことや,b自身の体調が特に悪くなくても,具合が悪いdの面倒を見ていて二人とも欠席することがあったと引き継いだ。 イ交友関係bとAは,5年生時,同じクラスで,Aの母親がbをキャンプに連れて行ったこともあった。 また,bは,5年生の最初は,児童11,12と一緒におり,児童11は,児童FやAとも一緒にいた。しかし,bは,1学期の夏休み直前から一人でいることが多くなり,3学期になると児童11ともあまり話さなくなった。 ウ出欠状況bは,5年生の授業日数202日のうち,学級閉鎖等による出席停止9日を除くと,病気を理由に14日,家事都合を理由に5日欠席した。 エ学校カウンセラーjとmは,bが5年生であった平成22年3月まで,曜日ごとに勤務日を分けて,本件小学校を含む被告桐生市において,学校カウンセラーと称する職種として勤務していた。jとmは,互いに相談を受けた内容を一つのノートに記録していた。 jは,幼稚園での勤務経験があり,桐生市立教育研究所で相談員の資格を取得し たが,臨床心理士等心理専門職の資格は有しておらず,本件小学校において学校カウンセラーとして勤務していた他の者も,心理専門職の資格は有していなかった。 オ 5年生時の出来事と教諭の対応等 作文「5年生になって」bは,平成21年4月10日,「5年生になって」と題する作文において,「学校は楽しいので休みたくないです。5年生での思い出がたくさんできるといいです。 これからのクラスが楽しみです。」等と記載した。 連絡帳bは,hに ,「5年生になって」と題する作文において,「学校は楽しいので休みたくないです。5年生での思い出がたくさんできるといいです。 これからのクラスが楽しみです。」等と記載した。 連絡帳bは,hに提出する連絡帳に,平成21年4月13日,「5年生は,みんなが優しくていじめのない生活が続きました。4年生のときに少しいじめられていたから5年生になったらもっといじめられるかと思いましたが全然いじめがなくなりました。これからが楽しみです。」と記載した。 hは,bに対し,上記連絡帳の記載に花丸をつけて,特にコメントをせず返却した。 mは,bに対し,平成21年4月13日,bが20分休みに校庭で,一人で鉄棒をしていたことから,「困ったことがあったらおいで。」と声をかけた。 林間学校bは,平成21年5月21日と同月22日,林間学校に参加し,クラスで集合写真を撮影した。 bは,林間学校において,児童11やFと同じ班になったが,班とは別に部屋割りを決める際,同じ部屋になる児童が決まらず,児童Fとともに残ってしまった。 また,bは,林間学校の際,悩んでいるように見えることがあった。 プールbとdは,平成21年6月10日,二人だけで,プールに遊びに行ったが,帰りに迷子になってしまい,警察に連れられて帰宅した。 校長やh等は,翌日,原告とこの件について話し合ったが,原告は,プール の場所を知らなかったものの自宅から近いと思い,bとdに対し,二人だけで行ってよいと伝えてしまったと話すだけで,警察の世話になったこと等を気にしていない様子であった。 臭い等と言われたこと原告は,hに対し,bが,他の児童から嫌なことを言われるから学校に行きたくないと言っていると伝えたため,hは,bに対し,平成21年6月12日,確認したところ,b た。 臭い等と言われたこと原告は,hに対し,bが,他の児童から嫌なことを言われるから学校に行きたくないと言っていると伝えたため,hは,bに対し,平成21年6月12日,確認したところ,bは,後ろの席の児童に臭いと言われたと話した。 そこで,hは,bの後ろの席や隣の席の児童に確認したが,bのことではなく,別の児童のことを言ったとのことであったため,後ろの席の児童等に対し,誰のことでも人が傷つくようなことは言わないようにと指導し,bに対し,bのことを言ったのではないと伝え,bから「分かった」との返事を得て,校長に報告した。 Aは,bに対し,「汚い」,「臭い」と言うことがあった。 原告の相談原告は,jに対し,平成21年6月23日,bとdのけんかがひどく,bがdに対し,「きもい」,「死ね」,「0点女」等と言い,叩き,dがあざだらけである,bがdに対し,やきもちやいらいら,学校でのストレスを原告両名がいないときにあたる,bをどう育てていいのか分からなくなったと相談し,bが,同級生から「臭い,きもいと言われる」,「転校したい」と話していること等も相談した。 jは,原告に対し,bとdがけんかをしても,原告は中に入らないようにすること等をアドバイスした。jは,bがdにやきもちをやくのは,dには友達がすぐにできたのに,bにはなかなかできないことからと理解していた。 また,jは,校長や教頭,h等に対し,bが「臭い,きもい」と言われ,「転校したい」と話しており,傷ついているから対処してほしいと伝えた上,hに対し,bが頭を洗っていないのではないかと思うことがあったため,髪を洗うよう伝えてほしいと依頼し,これを受けてhは,自身としてもbの髪が長く,衛生的でないと感じられることがあったため,bに対し,髪を洗うよう伝えた。 宿 ないかと思うことがあったため,髪を洗うよう伝えてほしいと依頼し,これを受けてhは,自身としてもbの髪が長く,衛生的でないと感じられることがあったため,bに対し,髪を洗うよう伝えた。 宿題を学校でやってはだめと言われたことbは,jに対し,平成21年7月6日,「宿題を学校でやっていたことについて,Aを含む3名の児童からだめだと言われ不満である。」と打ち明けた。 jは,bに対して「宿題は本来学校でするものではないから,bだけでも学校でしないようにしよう。」と指導した。そして,hに対し,bがAらから上記のとおり言われたことについて不満に思っているから,クラス全体に対して,宿題は本来学校でするものではないということを言ってほしいと伝えた。 作文「一学期を振り返って」bは,「一学期を振り返って」と題する作文において,①「あまり楽しくなかったです。理由は,心に傷つくことを言われたからです。例えば本読みを忘れたときに,学校で書いちゃだめだよって言っているのに,自分は「意味プリ」を忘れて,人のを見て,うつしていました。なのに,人に言うなんておかしいと思いました。」と記載した一方で,②「楽しいことはみんなと遊ぶことです。一番楽しいことは,全員と遊ぶお楽しみ会です。なぜかと言うと全員と遊ぶとなぜかうれしくなるんです。なので,2学期もお楽しみ会でたくさん遊びたいです。」と記載した。 hは,上記bの作文について,①についてはコメントせず,②について,「二学期も楽しいお楽しみ会をやりましょう!!」とコメントした。 相談ポスト本件小学校においては,児童に悩み事等があったらメモを入れるための相談ポストを設置し,生活相談員が対応していた。 bは,1学期,相談ポストに,友達ができにくいので友達の作り方を相談したいと,相談メモを入れたことが ては,児童に悩み事等があったらメモを入れるための相談ポストを設置し,生活相談員が対応していた。 bは,1学期,相談ポストに,友達ができにくいので友達の作り方を相談したいと,相談メモを入れたことがあり,これを確認した生活相談員が何回か友達の作り方について相談にのったところ,bは「自分でも頑張ってみる。」と言った。 bは,1学期,学習に励み,7月には「まじめに取り組み,成績もよい。漢字チャレンジはほとんど100点」と評価されたが,夏休みの宿題は「ほとんどやっていない」と評価される状態であった。hはその原因をbに尋ね,自分で画用紙 や原稿用紙を用意する必要があるものについては,どのように用意すればよいか分からなかった旨聴取した。 プロフィール帳bは,平成21年10月29日,dが持っているプロフィール帳のbの頁に,「もしも一つだけ願いが叶うなら。」との質問に対し,「学校を消す」と記載し,「持ち主の第一印象」は「うざい」,「今の印象」は「すぐ調子にのるけど優しい」と記載した。 鉛筆をまねしないでと言われたことbは,Aから,「私の鉛筆をぱくった(まねした)でしょ。ぱくらないでよね。」と言われたことがあり,hは,Aに対し,指導した。 保健委員会で仲間はずれにされたと感じたことjが,平成21年11月16日,bが登校しないため,自宅に迎えに行ったところ,bは,「保健委員会でAに仲間はずれにされたから行きたくない。」と言ったため,jは,bが大人しく,自分から言い出せないところがあると考え,bに対し,「私もまぜてと言ったらどう。」と話し,hに対して報告した。 そこで,hは,保健委員を集めて確認したところ,ある児童が持っていた本を周りの児童が自然に集まってきて見ていただけで,bを仲間はずれにしたつもりはないとのことであり, と話し,hに対して報告した。 そこで,hは,保健委員を集めて確認したところ,ある児童が持っていた本を周りの児童が自然に集まってきて見ていただけで,bを仲間はずれにしたつもりはないとのことであり,bもAに声をかけていなかったため,bに対しては,見せてというように,Aに対しては,そういう態度は友達が傷つくので気をつけるよう指導した。 保健委員会には,Aのほかに,児童11等が所属していた。 筆箱bは,平成21年12月2日,クラスの児童の筆箱を盗り,後日,その中から鉛筆等を盗って残りを返した。 bは,hから盗ったのか聞かれた当初,「dにもらった。」,「自分で買った。」と言っていたが,最終的には盗ったことを認め,hは,校長に対し,報告した。 原告は,hに対し,上記が発覚した際,「bが自分の言うことを聞かない。私が虐待されている(罰を受けているという趣旨)ようだ。施設に入れないとわからないのではないか。」等と訴えた。 作文「二学期を振り返って」bは,二学期を振り返ってと題する作文において,「二学期は嫌なこともあったしうれしいこともあったので,楽しかったです。例えば,理科のときは○○ちゃんがいろいろ教えてくれたのでうれしかったです。三学期は休まず行きたいです。 嫌なことがあっても先生に言えば解決してくれるので,うれしいです。あと,学校に行かないとみんなが進んでいるところも,わたしは進まないで遅れてしまうからです。」等と記載した。 hは,上記bの作文に,「その通りですね。皆勤賞目指してがんばろう。」とだけ記載した。 上履きjは,平成22年1月26日,bが前日から登校しないため迎えに行ったところ,bは,「上履きをお母さんが隠しちゃったから,学校に行けない。」と話した。jは,原告に電話を架けたが,通じなかったた jは,平成22年1月26日,bが前日から登校しないため迎えに行ったところ,bは,「上履きをお母さんが隠しちゃったから,学校に行けない。」と話した。jは,原告に電話を架けたが,通じなかったため,部屋に上がった。bは,jと共に上履きを探し,自ら室内で見つけてきたものの,さらに,jに対し,ひもが切れてしまった通学帽を差し出し,「帽子はどうするん。」と聞いたため,jは,「針と糸があればやってあげるよ。」と言い,ひもをつけてあげ,bは,4時間目から登校した。 同日は火曜日であり,bは前日の月曜日から欠席し,前の週に,上履きを洗うために自宅に持ち帰っていたものであるが,jは,bが発見した上記上履きが洗ってあったかどうかを確認していない。 お年玉bは,平成22年2月1日,児童Fの家に遊びに行った際,お年玉が置いてある場所を聞き,児童Fがトイレに行っている間にその中から1万円を抜き出し,この うち数千円を,児童Fに知らせることなく,児童Fと一緒に使ってしまった。 hは,校長に対し,これを報告し,bは,原告とともに,後日,児童Fの家に謝りに行った。 原告両名は,未だ1万円を弁償していない。その理由について,原告は,bに対し,児童Fの家に謝りに行った帰りに,1万円を盗ったのか確認したところ,黙り込んだことや,原告から,1万円がなくなった際,その場にb以外の児童もいたと聞いたことから,bが盗ったのではないと考えたからと述べる(原告本人調書添付速記録37頁ないし39頁。以下尋問調書については,全て速記録の頁で表示する。)が,原告は,bに対し,原告の上記発言について確認していない。 hは,bについて,教育相談部会や生徒指導部会において,プールにdと二人だけで遊びに行き迷子になってしまったことや,後ろの座席の児童に臭いと言 bに対し,原告の上記発言について確認していない。 hは,bについて,教育相談部会や生徒指導部会において,プールにdと二人だけで遊びに行き迷子になってしまったことや,後ろの座席の児童に臭いと言われたり,保健委員会で仲間はずれにされたりし,学校に行きたくないと言っていたことがあったこと,筆箱やお年玉を盗ったことを報告していた。 また,bとdは,平成21年2月ころ,教育相談部会で,欠席が多いことが問題になり,その原因が,病気によるものだけではなさそうであったため,要配慮児童として,bやdが連絡なく遅刻欠席した場合は,学校カウンセラーや生活相談員が迎えに行くこととなった。 上記事実認定に関し,若干付言する。 原告両名は,bが,林間学校の集合写真(甲8)のbの悪口を言った15名の児童の顔の部分に×印をつけたと主張し,×印を付けられた児童には,A及び児童20が含まれる(弁論の全趣旨)ものの,×印がつけられた時期や経緯が明らかではないから,少なくとも上記写真をもって,bが5年生時に,15名もの児童から悪口を言われていたと認めることはできない。 また,原告両名は,hやjに対し,bが,5年生時,○○ゴリ,ゴリラと言われている等と伝えたと主張し,原告や原告は,これにそう供述をする(甲21,原告本人調書5頁及び6頁)が,そもそもbが5年生時に○○ゴリと言われてい たと認めるに足りる証拠はないから,上記主張は,採用することができない。 以下は,前記前提事実及び上記認定の事実を基に検討を進める。 原告両名は,校長及びfの安全配慮義務違反を主張するところ,fは,原告両名の主張上,bの4,5年生時のいじめに全く関係していないから,bの4,5年生時については,校長の安全配慮義務違反の有無が問題となる。 ア 4年生時のいじめの有無及びその 張するところ,fは,原告両名の主張上,bの4,5年生時のいじめに全く関係していないから,bの4,5年生時については,校長の安全配慮義務違反の有無が問題となる。 ア 4年生時のいじめの有無及びその内容等bは,小学4年生の2学期半ばに本件小学校学校に転入してきたところ,自分から積極的に他の児童に話しかける等することが苦手であったこともあり,クラスになじむことが難しい状況であったと推認されるが,担任に対し,いじめられると話した具体的な内容は,一度,他の児童から,「どけ」と言われたこと程度であり,乱暴な言葉遣いによりbが不快に感じたと窺われるものの,bが他の児童から,悪口等を言われていたと認めるに足りる証拠はない。 そうすると,bの4年生時,その時点で校長にいじめ防止義務違反があったということはできない。 イ 5年生時のいじめの有無及びその内容等 bは,5年生になった平成21年5月の林間学校の際,同じ部屋になる児童がなかなか決まらず,同年6月ころ,後ろの席の児童に臭いと言われ,Aからも「臭い」,「汚い」,「きもい」と言われることがあり,夏休み直前から一人でいることが多くなったものである。 jやhは,bが臭いと言われたことと,bに髪を洗うよう伝えることを関連づけていることから,臭い等の上記発言は,bの髪の毛が衛生的ではないと感じられることがあったことから発せられたものと考えられる。 bは,同級生から臭いと直接的に指摘されてしまったものであり,臭いと言われた平成21年6月ころ,学校で感じたストレスをdにあたることで解消していると原告が感じる状態で,転校したいとも話していたこと,「汚い」,「きもい」と言われたことについても,多感な時期にある女子であることから,傷ついたであ ろうことは想像に難くない。 以上のとおり,bは,5 感じる状態で,転校したいとも話していたこと,「汚い」,「きもい」と言われたことについても,多感な時期にある女子であることから,傷ついたであ ろうことは想像に難くない。 以上のとおり,bは,5年生時,同級生から悪口を言われるといういじめを受け,精神的苦痛を感じていたということができる。 もっとも,bは,Aを含む他の児童から,自分はやっているにもかかわらず学校で宿題をやってはいけないと言われたり,鉛筆をまねしないでと言われたことがあったが,これらの発言は,bを不愉快にさせるものであったとはいえるものの,bを中傷したり,人格を否定するようなものとはいえず,校長に具体的な法的義務を発生させる内容のものということはできない。 ウいじめ防止義務違反等 前項で検討したとおり,bは,5年生時,他の児童から臭い等の悪口を言われ,精神的苦痛を受けたものである。 しかし,その頻度等は明らかではなく,顕在化した部分については,hがその都度,担任として対処し,校長にそれぞれ報告していたものである。 そうすると,bの5年生時,上記各報告の各時点において,さらにbに対して精神的苦痛が与えられる事態が発生するおそれがあったということはできず,校長において,具体的にbの精神的苦痛を取り除くための措置を講じる義務があったということはできない。 以上のとおり,bの4年及び5年生時の時点で,校長にいじめ防止義務違反があったということはできない。 エ bにおける5年生時の出来事が6年生時に与えた影響等 5年生の時点において,bに対し,「汚い」,「臭い」,「きもい」と言った児童として具体的に判明しているのは,Aのほか後ろの席の児童だけであり,Aとは一緒にキャンプに行ったこともあり,関係が特段悪化していたと窺うことはできないから,bが一人でいるこ ,「きもい」と言った児童として具体的に判明しているのは,Aのほか後ろの席の児童だけであり,Aとは一緒にキャンプに行ったこともあり,関係が特段悪化していたと窺うことはできないから,bが一人でいることが多くなっていったのは,他の児童が意図的にbを孤立させた結果ではなく,もともと親しく付き合う友人が少なかったところ,他の児童の上記言動によりbが心を閉ざし,児童Fのお年玉を盗ったことにより,一 緒に過ごすことのあった児童F等とも疎遠になっていったからであると推認される。 hは,学習に励んでいたbが夏休み中の宿題をほとんどやってこなかったこと及びその理由として述べた内容は,夏休み中のbの家庭環境,特に原告両名の養育態度について疑問を生じさせるものと考えられるが,hが問題意識を持って,bあるいは原告両名に対し,何らかの指導や助言あるいは配慮等をした形跡はない。 そして,hは,bから悪口を言われる等と訴えられた都度,対応していたが,bが,「4年生のとき少しいじめられていた。」,「心に傷つくことを言われた。」,「嫌なことがあっても先生に言えば解決してくれる。」等と連絡帳や作文に記載し,他の児童の言動によって傷ついていることを伝えるサインを送っていたにもかかわらず,上記記載について一切コメントをせず,bから訴えがあったもののほかにも何か言われているのか確認した形跡がない。 hは,自ら,bの髪が長く衛生的でないと感じられることがあったと証言するのであるから,bから後ろの席の児童に臭いと言われたと訴えられた際,bの言い分どおりbに対して発せられた言葉である可能性が高いと考えるのが自然であるにもかかわらず,bではない児童のことを言ったとの後ろの席の児童の言い分を採用し,bに「分かった」と言わせて納得したことにし(bが真に誤解であったと納得したので る可能性が高いと考えるのが自然であるにもかかわらず,bではない児童のことを言ったとの後ろの席の児童の言い分を採用し,bに「分かった」と言わせて納得したことにし(bが真に誤解であったと納得したのであれば,dに対して八つ当たり等はしないと考えられる。原告も納得していない(甲22)。),表面的に事態の解決を図ろうとしたと評価できる。hは,指導はするものの,都合の悪いことにあまり目を向けず,抜本的対策を取ろうとしない,真の問題解決を回避する行動傾向が顕著であり,それはhの証言態度にも表れている。 bは,「嫌なことがあっても先生に言えば解決してくれるのでうれしい。」等と作文に記載しているが,当時小学5年生のbにとっては,hが表面的にであっても対処してくれることに感謝していた,あるいはより多く解決してくれることを期待して記載したとも考えられ,これをもって,hの対応が十分であったということはできない。むしろ,hは,bに対して,本件小学校においては,教諭にとって都合 の悪いことは,あえて存在しないものとして扱われるとの印象を与えていた可能性,及び「臭い」と言った児童らに対して,「bのことを言ったのではない。」などと話をすり替えれば,簡単に言い逃れが可能であり,叱責や注意が軽くなるといった学習をさせてしまった可能性がある。 jは,学校カウンセラーの職種についていたものの,心理専門職の資格を有しておらず,以下のとおり,bや原告に対し,専門的知見に基づくアドバイスをすることができていなかったと考えられる。 jは,原告からbとdの姉妹げんかが酷いと相談を受けた際,原告は中に入らないようにとアドバイスしており,jは,これについて,一方の味方にならないという趣旨であると証言する(証人j調書32頁)が,少なくとも原告に,上記アドバイスの趣旨 相談を受けた際,原告は中に入らないようにとアドバイスしており,jは,これについて,一方の味方にならないという趣旨であると証言する(証人j調書32頁)が,少なくとも原告に,上記アドバイスの趣旨が正確に伝わったかは疑問であり,原告がbの心情を知ろうと努めることとは全く逆の効果になるアドバイスをしてしまった可能性が高い。 また,jは,bから,原告に上履きを隠されたと言われた際,上履きを隠されたとの言い分が欠席するための口実にすぎないのか,bに実母である原告との関係について何か伝えたいことがあるのかについて,bや原告に確認することさえしていない。 さらに,bや原告から相談を受ける前提として,bの家庭環境を踏まえる必要があるにもかかわらず,jは,原告とbに血縁関係がないことを本件自死まで知らなかったという状態であった。 そして,jが本件小学校の学校カウンセラーの職種にあったのは,平成22年3月までであったから,後任者であるkに対して,bが6年生に進級してからも,学校カウンセラーの方から声をかけて継続的に様子を見ていく必要があると引き継ぐべきであるのに,生活が夜型,無断欠席無断遅刻が多いと引き継ぐにとどまり,この点も対応が不十分であった。 仮に,hが,bの訴え等に真摯に向き合い,出来事を正確に把握して児童らを指導し,jが十分な対応をして,bの心情に配慮することができていたら,児童ら の言動が健全なものへと導かれた可能性やbが教諭や原告両名が見守っていてくれるという安心感を持てた可能性を否定できないから,hがbの発したサインを受け取ることなく表面的な対応に終始し,jが不十分な対応を続けたことは,不適切なことであった。 校長は,①hから,原告からbが他の児童から嫌なことを言われるから学校に行きたくないと言っている け取ることなく表面的な対応に終始し,jが不十分な対応を続けたことは,不適切なことであった。 校長は,①hから,原告からbが他の児童から嫌なことを言われるから学校に行きたくないと言っていると聞き,それが後ろの席の児童に臭いと言われたことであることを聴取して,それは他の児童について言ったものであるという説明を採用したこと,②jから,bが「臭い,きもい」と言われ傷ついているから対処してほしいとの報告を受けているのであるから,報告を受けた時点で,いじめ防止義務自体は発生しないにせよ,報告を受けた後は,それらの事実を念頭において,対応すべきことになった。 2 6年生時のいじめの内容等(争点及びの関係)についてbが受けた6年生時のいじめの内容については,本件クラスの状況と学校側の対応, bの生育歴,性格及び家庭環境等を踏まえて,6年生時の出来事等を判示し,証拠判断について若干付言し,において検討結果を判示することにする。本項以下は,特に明記しない限り,平成22年中の出来事である。 本件クラスの状況と学校側の対応(甲6,乙2,3,4の1・3・6・8・10,7,16ないし18,19の1ないし3,22,26,27,33,34,38,40,証人h,同e,同f)アクラス編制6年生のクラス編制にあたっては,○○部所属の男子児童11名の中に,発言力が強い児童sがいたため,sを含む3名とその他の8名にクラスを分け,校長は,fの教諭歴が長かったこと等を考慮して,sを含む3名の児童が含まれる本件クラスの担任をfとした。本件小学校は,低学年7学級,中学年6学級,高学年5学級及び特別支援学級の計19学級という規模であり,6年生が2学級と最も少なく,本件クラスは,39名(男子22名,女子17名)であった。 fは,本件クラスの 学年7学級,中学年6学級,高学年5学級及び特別支援学級の計19学級という規模であり,6年生が2学級と最も少なく,本件クラスは,39名(男子22名,女子17名)であった。 fは,本件クラスの担任になるまで,bの5年生時の理科の授業を担当していたが,bとは授業内容以外の会話をしたことがほとんどなかった(乙22)。 イ本件クラスの児童は,4月の全校集会の際,真っ直ぐ並ぶこともできず,話を聞いていない状態であったが,fは,児童に注意していなかった。 また,本件クラスの児童は,そのころ,授業の始めと終わりの挨拶をせず,授業中の出歩き等がみられた。 さらに,本件クラスの児童は,4月23日に実施された学習参観において,落ち着きがなく,姿勢が悪い児童が目立ち,Aは,5月の終わりころから,特に反抗的になってきた。 ウ fは,6月7日,職員会議の生徒指導報告において,Aについて,「時々おかしな行動をとる。」,「今日も『クラスの児童が何かする。』と稚拙な訴えをしてきた。」等と報告した。 また,fは,hや生徒指導主任であるn等に対し,6月,Aの行動がおかしい,自分の言うことを聞かないと繰り返し相談し,hやnは,fに対し,Aだけが問題ではない様子がみられると伝えた上,グループエンカウンター(児童をグループに分け,その中で趣味や好きな食べ物など様々な質問をし,答えを出していくことによって参加者の相互理解を深め仲良くさせる方法)等を勧めたが,fは,行わなかった。 そのころ,他の教諭からも,本件クラスの児童について,出歩きや私語が多く,落ち着きがないと指摘されており,6月15日の学校訪問日は,終了間近になると消しゴムが飛んでいる状況であった。 また,本件クラスのAや児童25等一部の児童は,fに対し,6月下旬ころから,暴言を吐く等して反抗するようにな れており,6月15日の学校訪問日は,終了間近になると消しゴムが飛んでいる状況であった。 また,本件クラスのAや児童25等一部の児童は,fに対し,6月下旬ころから,暴言を吐く等して反抗するようになり,全体的に騒がしくなることが増えた。 エ fは,7月1日,教諭間の打ち合わせの際,本件クラスの児童に,最近,きれやすい児童がおり,学習に気持ちが向いていない等と報告し,nに対し,同月,fが教室の席を決めていることについて,昨年はくじ引き等だったのに等と逆らう 児童が増えた,児童25の態度が悪く,暴言を吐くようになったと相談した。 これを受けて,nは,fに対し,席替えの意図を伝え,きちんと学習ができなかったら元に戻すことを条件に自分たちで席を考えて決めさせてはどうかと提案した。 fは,7月12日,職員会議の生徒指導報告において,児童25が,1年生の児童に2回程度わざとドッジボールをあてたため指導した,本件クラスは,授業開始時に静まるまでに時間がかかる,fが決めた席に不満があるようであり,全体的に学習に気持ちが向いていない,女子児童が1年生の教室に行き,抱きついたりおんぶをしたり,手を引いて引き回したりしている場面をよく見かける,これについて校長が赤ちゃん扱いをしてはいけないと指導した等と報告した。 fは,nに対し,7月ころ,児童25,A,ほか2名の児童が言うことを聞かない,特に児童25は乱暴で態度も悪い,fが教室を離れると,本件クラスの児童がfの指導に従っていない様子が見られ,危機感を感じた等と相談した。 これを受けて,nは,fに対し,教室が散らかっていることが多くなり,複数の児童に乱れた様子が見られたので,夏休みに入る前に学級の様子をQ-U(楽しい学校生活を送るためのアンケート)で調べ,夏期休業中に学級のアセスメントをしてはどうかと らかっていることが多くなり,複数の児童に乱れた様子が見られたので,夏休みに入る前に学級の様子をQ-U(楽しい学校生活を送るためのアンケート)で調べ,夏期休業中に学級のアセスメントをしてはどうかと勧めたが,7月の生活指導部会でのQ-Uの実施は見送られた。 オ生活指導部会においては,7月13日,何人かの子が担任にやや反発的な行動をとっており,傍観的な子が大勢いる,私語が多いとの報告があり,本件クラスの指導体制を検討し,①学年集会において,6年生に求めることについての校長講話の実施,②1学期中の校長を中心としたチームティーチングによる指導の実施,③夏期休業中にfが児童の現状を分析し,それをもとに生活指導部会において具体策を検討することとした。 校長は,翌14日,体育館で6年生の学年集会をし,最高学年としての自覚を持つように講話した。 また,校長は,7月13日の生活指導部会の後,数回,本件クラスの様子を見に行き,本件クラスの帰りの会を見た際,起立しない児童に対し,起立させて挨拶を やり直させる等の指導をしたことがあったものの,給食時の様子を見に行ったことは一度もなかった。 カ学級の見立てfとnは,8月,本件クラスについて,学級の見立てを作成し,以下のとおり記載した。 問題と感じている事集団行動への切りかえが遅く,並ぶだけでもとても時間がかかる。 自分から行動しようとする姿勢がない。または,姿勢を見せない。 6月下旬ころから,授業中の私語を注意してもすぐに教師の指示を聞かない児童が増え,全体的に騒がしくなってしまうことが増えた。 真面目なリーダーがみんなの前に出にくい状況である。 学級の公的リーダー2名の児童について,みんなをリードすることを忘れてしまうところがある,リーダーになりきれず学級内での活躍は薄い た。 真面目なリーダーがみんなの前に出にくい状況である。 学級の公的リーダー2名の児童について,みんなをリードすることを忘れてしまうところがある,リーダーになりきれず学級内での活躍は薄い。 本件クラスで影響力の大きい児童sは,現在,仕切るわけではないが攻撃的で誰も逆らわない,児童20は,教師の指示をわざと聞き入れないような態度をとることが多い。 態度や行動が気になる児童等上記2名のほか,児童25とAを含む5名の児童。 児童9は,みんなの前では教師に反抗的な態度をとることが多い,人気者。児童25は,わざと大きな声を出したり出歩いたりするときがある,孤立してはいないが誰からも非難されない。Aは,学習意欲が低く反抗的な態度をとる,規範意識が低く,万引きをしたり,物を盗ったりしたことにより生徒指導で名前が出ている。 児童7は学習意欲にむらがあり,きまりを守らない(A,児童7及び31は,女子3人グループを形成している。)。 他の児童は,学習意欲が低く姿勢を崩し,幼稚な行動をとる。 学校評価アンケートからの抜粋等 授業があまり楽しくないとした8名中,児童6,9及び20は,学力が高い(児童6,20及び32は,いつも一緒に行動する女子グループを形成し,児童9と仲がよい。児童6及び32は学級内の仕事等を真面目にやる。)授業がぜんぜん楽しくないとした2名のうち,1名は,学習意欲の低い児童31。 友達とあまり仲良く楽しくできないと回答した児童がbを含め3名いる。 3名とも教室で特定の児童といることはなく,bは,「要支援児童,外国籍,家庭への要配慮(授業への満足群に属する)」。ある児童は,ボランティア精神が高く,リーダーの資質があるが,sに言葉で攻撃され,前に出にくく,児童20にも攻撃されることがある。児童25 児童,外国籍,家庭への要配慮(授業への満足群に属する)」。ある児童は,ボランティア精神が高く,リーダーの資質があるが,sに言葉で攻撃され,前に出にくく,児童20にも攻撃されることがある。児童25は,言葉で攻撃されることがある,授業中の行動に問題がある。 学級経営の方針いつも担任から指示を出すだけではなく,児童同士で必要なことに気づけるようにしていきたい。 やってみたらできた,やってよかったという小さな体験を積み重ね,自信を持たせていきたい。 個人,グループ,だんだん大きなまとまりで活動できるようにしていきたい。リーダー,リーダーの補佐的な役目を果たせるリーダーを育てたい。 児童10及び13(いずれも後出)はどの欄にも記載がない。 キ学級経営アセスメント研修校長は,8月23日,本件小学校において,教諭を対象とし,fの上記学級の見立てをもとにして,①学級の現状を把握し,②問題点を焦点化し,③実態から手立てを考え,④手立てをまとめる学級経営アセスメント研修を実施した。 教諭らは,本件クラスの問題点として,幼稚である,クラスを良くしたいという気持ちが希薄,集団として動けないという点等を挙げ,これに対する対策として,児童らの長所が認められる場を設ける,目指す人物像を具体的に示す,担任以外の 教諭も話しかけ色々な話を聞く,話し合いの場を設けルール作りをする,様々なグルーピングをする等して様々な考えの児童と対応させる等を挙げた。 ク本件小学校においては,運動会を赤城団,榛名団及び妙義団の3つの組に別れて行っているところ,8月26日,6年生に自主的に活動をさせ,団別活動を主導したり,低学年の面倒を見させたりすることにより,自尊心や自己肯定感,充実感を味わわせるために,学年の異なる児童が共に活動する縦割り団別活動を実施す 6日,6年生に自主的に活動をさせ,団別活動を主導したり,低学年の面倒を見させたりすることにより,自尊心や自己肯定感,充実感を味わわせるために,学年の異なる児童が共に活動する縦割り団別活動を実施することが提案され,具体的な活動内容は各団で6年生が自分で考えることとして,実施することとした。 ケしかし,本件クラスの一部の児童は,fに対し,8月下旬には,反抗的な態度をとったり,fの発言のあげあしをとったり,指示を無視したりし,本件クラスはますますまとまりが欠けるようになった。 児童20は,fに意見を言ってもどうにもならず,fは自分から何かをしない,fの話し方を,6年生の児童に対して,低学年の扱いをするものと感じていた。 また,本件クラスは,9月ころには,教室が非常に汚く,乱れていることが多くなり,児童が授業中に立ち歩く等fの統制がきかない状態になり,数名の児童が,oに対し,授業にならないことがあると相談したことがあった。 さらに,fは,校長や教頭に対し,9月18日の運動会の後,本件クラスについて相談をすることが増えた。 コ本件ルール作りnは,fが疲れている様子で,他の職員から心配の声が多く聞かれるようになったが,本件クラスの児童の学習態度やfへの態度が改善せず,エスカレートしていく一方であったため,fに対し,9月21日,交換授業やチームティーチングを入れることを提案した。 これを受けて,fは,nに対し,その前に「学級崩壊予防・回復マニュアル」(乙38)をもとに,クラスをリセットするためのルール(以下「本件ルール」という。)作りをしたいと提案した。 fは,本件クラスの児童に対し,9月24日(金曜日)の朝,学級生活を振り返るアンケート(以下「振り返りアンケート」という。)を実施し,この結果をもとに,同日の6時間目,教頭及 いと提案した。 fは,本件クラスの児童に対し,9月24日(金曜日)の朝,学級生活を振り返るアンケート(以下「振り返りアンケート」という。)を実施し,この結果をもとに,同日の6時間目,教頭及びnの立会のもと,本件ルール作りを行い,3つのルールを決めた。 振り返りアンケートの結果概要は以下のないしのとおりであるが,bが回答した内容は,本訴において,集計結果(乙40)だけが提出されて,回答書が提出されず,fも覚えていない(証人f調書28頁)ため,不明である。 本件クラスが明るく楽しいクラスだとまったく思わないと回答した児童が1名,あまり思わないと回答した児童が3名いた。 本件クラスの人達が助け合っているとまったく思わないと回答した児童が2名,あまり思わないと回答した児童が24名いた。 本件クラスの人達があなたに親切してくれるとまったく思わないと回答した児童が5名,あまり思わないと回答した児童が12名いた。 最近の学級について思っていること 授業中について授業中うるさい・さわいでいる18人,出歩いている人がいる2人,うるさいので授業がストップしてしまう,先生にため口をきいている,席替えばかりして授業がつぶれる等。 クラスについて色々なことに誘ってくれる友達がいない,先生がみんなの意見をきいてくれない,先生に対して態度や言葉遣いが悪い3人,先生の話を聞かない2人,事故が多い等。 最近の学級について改善した方がいいと思うこと 授業中について授業中に出歩きやおしゃべりをしない,授業に集中して明るく楽しいクラスにする,静かにする,授業中しゃべらない,授業をもっと楽しくする等。 生活全体について 先生の話を良く聞いてうるさくしない,先生に対する態度を直す,席替えして変わらなかったので自分 ラスにする,静かにする,授業中しゃべらない,授業をもっと楽しくする等。 生活全体について 先生の話を良く聞いてうるさくしない,先生に対する態度を直す,席替えして変わらなかったので自分では何も考えられない,先生が生徒の意見を無視しない等。 先生への注文全ての授業をコース別にする,席替えのときくじ引きとかではなく,先生が決める席にしてほしい,クラスの人を少しかえる,クラスがえ,週に1回程度レクを入れてほしい,男子がけんかしてたら止めるけど女子が泣いてても気づかないし話しも聞かない,もっと怒ればみんな静かになると思う,今までの先生は「とってもこわい」と言ってもよいほど怒るのが怖かった,f先生は甘いと思う,うるさい人を怒って,それでもだめなら廊下に出してもいいと思う,他の先生を連れてきてもいいと思う,困っている生徒の意見を聞いて何とかしてほしい,先生に自分から何かしてほしい,その場で注意してほしい,明るく授業してほしい等。 以上サ fは,振り返りアンケート回答中の先生への注文のうち,レクリエーションを入れてほしいとの要望に応じたが,そのほかには特段の対応をしなかった。 また,fは,校長等に対し,振り返りアンケートの結果を報告し,その後,2,3日に1回程度,本件クラスがうまくいかないと報告するようになった。 校長は,本件クラスの状況について,群馬県教育委員会からの代理教師の派遣制度を利用することなく,校内の人員で対応しようと考え,学校外に援助を求めなかった。 シ fは,本件クラスが落ち着かず,Aらから,人に頼らないと何もできない,自分じゃできないと言われ,9月27日(月曜日),1,2時間目の様子を見て,校長に対し,決められたルールが守られていない,守ろうとしている児童が少ない旨を報告した。 そこで,校長,教頭, きない,自分じゃできないと言われ,9月27日(月曜日),1,2時間目の様子を見て,校長に対し,決められたルールが守られていない,守ろうとしている児童が少ない旨を報告した。 そこで,校長,教頭,n,別クラス担任は,同日,3時間目に本件クラスに入り,自分たちで決めたルールは守るべきである等と指導したが,その際も8人横並びの状態の席で隣同士がくっつき合い,手悪さや私語が続いたので,校長らは,6人横並びで隣同士がくっつかない座席にするのがよいのではないかと話し合った(本件 ルールの内容は,f自身が覚えておらず(証人f調書38頁及び39頁),不明であるが,本件ルール作り後に周りの者に対して注意するようになった旨述べた児童が存在する(乙3)ことからすると,そのうちの一つは,「児童同士注意する。」というものであった可能性がある。また,本件ルール後ずっとよくなったが,先生へのため口を言う子もいる旨述べた児童が存在する(乙3)ことからすると,本件ルールの一つは,「先生にため口をきかない。」,「口のききかたをなおす。」,あるいは「先生に対する態度をなおす。」というものであった可能性がある。更に,上記6人横並びを提案した理由が,手悪さや私語が続いたことにあることからすると,「授業中静かにする。」,あるいは「授業中しゃべらない。」というものであった可能性がある。)。 fは,同日,職員会議の生徒指導報告において,Aが9月14日,教室の前方から,後方にある自分の机の隣の児童に対し,机に置いといてと言って水筒を投げようとしたところ,その児童は,「とれるわけないだろう。」と言ったが,Aは,「水筒をとれねぇのか。」と言って強引に投げたもののその児童は受け止められず,ロッカー前にいた児童25の頭にあたり,数針縫うけがを負わせた,運動会(9月18日)前日準備の際 う。」と言ったが,Aは,「水筒をとれねぇのか。」と言って強引に投げたもののその児童は受け止められず,ロッカー前にいた児童25の頭にあたり,数針縫うけがを負わせた,運動会(9月18日)前日準備の際,別クラスの児童の短パンをおろした等と報告した。 ス nは,9月,教頭と相談し,6年生の体育を合同で行うことを提案し,同月29日,合同で体育を行ったが,あまりにもひどい状態で,別クラスの担任がもうできないと言うほどだった。また,10月5日,同月6日,同月13日,体育をチームティーチングで指導した。 教頭は,oに対し,9月,本件クラスの理科の授業を見に行ってほしいと頼んだ。 本件クラスの児童は,9月末ころには,給食をとりにいって配膳し片付けをする一連の作業を進んでやらず,さぼったりぐずったりする児童が数名おり,給食の終了時間までに終了しないことも生じていた。 本件クラスの児童は,給食を食べているときは,給食の準備中や授業中の状態よりは比較的静かであり,fに対して暴言を言うこともなかった。 セ生活指導部会において,10月5日,本件クラスの指導体制について検討し,①空き時間の教諭がチームティーチングとして全時間入る,②wがチームティーチングとして全時間入る等の案も出されたが,結局,③本件クラスの体育や国語についてf以外の教諭が受け持つ交換授業を行うこととした。 fは,他の教諭に対し,10月,座席の並び方が異常である,交換授業が始まってからよけい言うことを聞かなくなった,女子児童の訴えにより席替えをしたが未だひどい状況であると話し,他の教諭は,席替えは2週間に1回,月に1回等と決めてしまい,児童の訴えには従わないよう提案した。 ソ fは,校長に対し,10月7日,本件ルール作りから2週間たったため振り返りを行った方がよいか相談し,校長は, 替えは2週間に1回,月に1回等と決めてしまい,児童の訴えには従わないよう提案した。 ソ fは,校長に対し,10月7日,本件ルール作りから2週間たったため振り返りを行った方がよいか相談し,校長は,アンケート形式で行うようアドバイスした。 これを受けて,fは,本件クラスの児童に対し,同日6時間目に,本件ルール作りの振り返りのためのアンケートをとったが,本件クラスの児童は,本件ルールを守っていないにもかかわらず,自分なりにできた,良くできた等と回答していた。 タ児童のfに対する暴言の内容等 A及び児童20は,fのことを「カッパ」と言い,児童25は,fに対して「顔きもい」,「先生に言ったんじゃない」と言い,「気持ち悪い」,「ふざけんな」,「くそ,ばばあ」,「何なんだよ」,「しゃべるな」等と言っていた。 bが,fの悪口を言ったり,fに対して反抗的な態度をとったことはない。 Aがb以外の女子児童と仲が良くなり,bと疎遠になった時期と,Aが中心の女子3人グループがfに対して反抗的になった時期は,ほぼ同時期である。 チ fの経歴や本件クラスにおける対応等 fは,教諭歴約24年で専攻は理科であり,理科の授業を受け持ちながら,校長に請われて平成20年度及び21年度に学校行事や年間の計画を立てる等する教務主任をしたときは担任を受け持っていなかった。 fは,30歳前後に2回,小学校6年生の担任を受け持ったほか,小学校1,2 年生等を受け持ったこともあった。そして,fは,小学校1,2年生を受け持った際,学校のルールを細かく指導する必要があり大変だと思うときもあった一方で,5,6年生を受け持った際,思春期に入った児童の扱い等が難しいと思うこともあったが,従前,児童が統制のきかない状況になる等して学級が荒れたことはなく,指導方法や学級運営 だと思うときもあった一方で,5,6年生を受け持った際,思春期に入った児童の扱い等が難しいと思うこともあったが,従前,児童が統制のきかない状況になる等して学級が荒れたことはなく,指導方法や学級運営について問題が生じたことはなかった。 fは,本件クラスの児童から,児童同士のけんかを止めるように言われても,自ら止めず,児童9(fが,みんなの前で教師に反抗的な態度をとることが多い,学力が高いと評価し,1学期末の学校評価アンケートで授業が楽しくないと回答した児童)に止めてと頼んでいた。 また,fは,校長から,「本件クラスの中に,反発する児童等がいるが,その対象が特定の児童に集中していないか。」と確認された際,「自分に向かっているようだ。」と答えた。 fは,bについて,6月7日,職員会議の生徒指導報告において,同年5月の終わりにdとけんかして遅刻した等と報告し,8月25日には問題なく登校していると報告しただけで,bが悪口を言われている等と報告したことはなかった。 fは,本件自死後の11月12日から病気休暇をとった上,平成23年5月11日から現在まで休職しており,平成24年12月20日,うつ病と診断され,平成25年6月10日,うつ病の感情障害,意欲障害,思考障害が認められ,感情障害として,本件自死やその後の状況により苦しみ,抑うつ感,感情喪失感がある等とされた。 fは,本件自死後,家族から,fは本件自死前から抑うつ状態だった旨言われた。 本件クラスは,fの代わりに新しく教諭が来た後,静かになった。 ツ本件小学校においては,校長が着任した平成20年4月1日以降,児童を対象として,1学期に1回学校評価アンケートを実施していたものの,本件自死以前に,いじめの有無を確認するためのアンケートを実施したことはなかった。 本件小学校は, した平成20年4月1日以降,児童を対象として,1学期に1回学校評価アンケートを実施していたものの,本件自死以前に,いじめの有無を確認するためのアンケートを実施したことはなかった。 本件小学校は,本件自死の後である10月29日,6年生を対象に,学校生活ア ンケートを実施したが,これに回答した本件クラスの児童37名の結果(乙2)は,「今の学年になってから, 友達から悪口を言われたり,仲間はずれにされたことのある者10名 友達からぶたれたり,蹴られたりしたことのある者15名 友達に対して悪口を言ったり友だちを仲間はずれにしたことのある者16名 友達をぶったり,蹴ったりしたことのある者14名 友達から悪口を言われたり,仲間はずれにされたりしている人を見たことのある者31名 友達からぶたれたり,蹴られたりしている人を見たことのある者32名」というものであり,「ふざけて」と回答した児童も複数いたが,具体例として「仲間はずれにされて口をきいてもらえなかった。」,「休み時間にドッジボール,野球にまぜてやらなかった。」,「バカはふつうに言われる。」等と書いた児童,「よくいじめられる。」と回答した児童もいた。 児童11は,この学校生活アンケートを基にした聞き取り調査において,「別クラスの子で避けられている子がいる。私はその子と仲がいいから,普通にしているんだけど,みんなはよけて『きもい』とか言う。男も女もみんな廊下を通るとよける。あまり注意ができないので,その子は元気そうだけど,本当は辛いと思う。注意したいけど,言うのが怖い。何かされそう。」と述べた。 テ Aの性格等やAと児童25等の態度等 Aの性格等Aの家庭は,母子家庭で,母は,ダンプカーの運転手をしており,Aに対して厳しく怒ることが多々あった。Aは, 。何かされそう。」と述べた。 テ Aの性格等やAと児童25等の態度等 Aの性格等Aの家庭は,母子家庭で,母は,ダンプカーの運転手をしており,Aに対して厳しく怒ることが多々あった。Aは,自己顕示欲が強く,元気がよくあまり考えずに発言してしまい,周りの様々な児童とトラブルを起こすことがあり,4年生時,万引きをしたり物を盗ったりしたことがあった。また,学力が低く,運動が苦手で,教室から出てうろついていることがあった。 hは,5年生時,Aのことを問題のある児童であると認識し,特によく注意をし て指導していた。 Aは,bに対してだけでなく,児童12に「うざい」,別クラスの児童に「きもい」,児童30に「いじめてあげる」等と言い,児童10を一方的に蹴ったり,殴ったりし,別クラスの児童のズボンを脱がし,「いじけ虫」等と言うことがあった。 Aは,女子3人グループの他の構成員から好かれていたわけではなく,児童7はAから持ってくるように言われた漫画を持って来なかったとき,Aから蹴られたことがある。Aに対する文句を,児童7は言うことがあったが,児童31は言えず,児童31は,仲間だと思われたくない場面でそっと離れる程度であった。 Aは,悪口や攻撃の対象がころころ変わると評されていた。 児童25は,bだけでなく,他の児童に対して「バカ」,「泣き虫」と言ったり,児童10をぶったり蹴ったりすることがあった。 Aや児童25は,b以外の児童に対して,「ゴリラ」と言うことがあった。 本件クラスの児童は,A,児童25や児童9等に対し,注意をすると,「黙れ」,「うるさい」,「死ね」等と言われたりすること等から怖くて注意することができなかった。お喋りをして注意されると,注意された側がまとまって「うるせえよ」と言い返していた。そして,怖い先生が来たり,叱ら 「うるさい」,「死ね」等と言われたりすること等から怖くて注意することができなかった。お喋りをして注意されると,注意された側がまとまって「うるせえよ」と言い返していた。そして,怖い先生が来たり,叱られているときだけ静かにしていた。 児童13は,別クラスの児童にトイレの用具入れに閉じこめられたり,「トイレットペーパーを食え」と言われたり,ハンカチをとられ,本件クラスの児童に突然頬をつねられるなどし,児童25から暴力をふるわれ,Aに「泣いてんじゃねーよ。」,児童7に「弱虫」と言われた。また,児童13の上記状況について,周りで児童20らがはやしたてたが,なぐさめる児童もいた。 bの性格,生育歴及び家庭環境等(甲5,7の1・2,14の1ないし3,15,21,22,24の1ないし3,乙3,4の1・3ないし10,5の1ないし4,6ないし8,10,12ないし15,23,33,39,63の1・2,68の1・2,証人j,同h,同f,原告及び原告各本人) ア bの性格等bは,しっかりしていてまじめで,不平等を嫌うところがあり,宿題や課題に丁寧に取り組むことができ,苦手な科目もあったものの,基礎的なことはよくでき,5年生時の漢字テストはほとんど100点で,文字も丁寧に書くことができた。また,運動会のリレーの選手に選ばれるほど走ることが得意で,絵も表彰されるほど上手に書くことができ,手先が器用で家庭科でも作業が早く,整理整頓も得意であった。 また,dを含め年下の児童の面倒をみるのが上手で,特別支援学級の児童の面倒をみることもあった。 相手から話しかけてくる等して慣れると自分の気持ちを伝えることができたが,大人しく,自分から積極的に他の児童に話しかける等することは苦手で,傷つきやすいところがあった。 イ dの性格等dは,大人しく,自 しかけてくる等して慣れると自分の気持ちを伝えることができたが,大人しく,自分から積極的に他の児童に話しかける等することは苦手で,傷つきやすいところがあった。 イ dの性格等dは,大人しく,自分から他人と積極的にかかわろうとしない性格で,聞きとることができないほどの小さな声で話すこともあったが,仲が良い友人が3名いた。 宿題忘れを理由に登校を渋ることがあり,勉強をせずテストで点が取れないが,文字を丁寧に書くことができた。 ウ家庭環境等 原告とbの容貌原告は,y国籍を有し,平成5年ころ来日し,肌が若干色黒で,一見して本件クラスの児童の保護者の多くとは異なる容貌であったが,bは,指摘されるまでハーフであると気づかなかったと述べる児童がいたほど,本件クラスの児童の多くとほぼ同様の容貌であった。 原告は,原告及びbと,bが1歳であった平成11年10月から同居し始め,bやdに日本語を教えたのは原告であった。bの実父は,日本人であるが,原告と婚姻しておらず,bの認知もしていなかった。bは,保育園や幼稚園 には通園しないまま,小学生となった。 原告両名とbやdは,日本語で会話をしていたが,原告は,日本語を書くことはできず,読めない漢字もあり,込み入った話を日本語ですることは困難で,bと会話していても単語が分からず原告に聞くことがあった。fは,原告と話をして,半分程度通じるという印象を持っていた。 bは,原告両名の仕事の都合で転校を繰り返しており,欠席日数が多かった。原告は,bが本件小学校に転入する前は働いていなかったが,朝起きてこないbやdを起こして学校に行かせるということをしないことがあった。 原告両名は,bやdが本件小学校に転入後,不定期であるものの派遣社員としてパチンコ店や弁当屋等で勤 ていなかったが,朝起きてこないbやdを起こして学校に行かせるということをしないことがあった。 原告両名は,bやdが本件小学校に転入後,不定期であるものの派遣社員としてパチンコ店や弁当屋等で勤務するようになり,早いときには午前8時15分ころ自宅を出て,遅いときには午後9時ころ帰宅していた。原告らの自宅であるアパートの室内は,ゴミ等が散らかり足の踏み場もない状況(乙10)のときもあった。 bとdは,寝るのが夜遅くなったために翌朝起きられず,欠席したことがたびたびあり,原告両名は,bやdを起こさずに仕事に行ってしまうこともあった。 また,bは,本件小学校に転入後,朝食を食べずに登校したことがあり,原告から頼まれて,帰宅後,ご飯を炊く等家事の手伝いもしており,原告両名不在のときに具合の悪いdの面倒をbがみるために,dと共に欠席したこともあった。bは,登下校時はいつもdと一緒で,bが,登校を渋るdを促して登校させたこともあった。 原告両名は,本件小学校の授業参観日に,原告がbのクラスに,原告がdのクラスに赴く等手分けをして参加したこともあったが,学校に対し,欠席の連絡をしないこともたびたびあった。 bの4年生時及び5年生時における各あゆみ(通知票)の各学期の「家庭から」の欄には,いずれも全く記入がない。 原告両名は,市税,国民健康保険税,家賃だけではなく,bとdの給食費も滞納しており,bは,5年生時,学校に行かない理由として,「集金が払えないか ら。」と答えたことがあった。 bとdは,治療はしているものの,虫歯が多く,本件小学校の学校歯科医師は,平成22年の歯科検診後,校長に対して,特にdの歯がぼろぼろであるとして,ネグレクトを疑ったほうがよいのではないかと話している。 6年生時の出来事等(甲3,5,6,7の3 学校の学校歯科医師は,平成22年の歯科検診後,校長に対して,特にdの歯がぼろぼろであるとして,ネグレクトを疑ったほうがよいのではないかと話している。 6年生時の出来事等(甲3,5,6,7の3,9の1・2,10の1ないし3,14の2・3,21ないし23,25,26,乙3,4の2・3・5・9・10,7,10,13,17,22,34,35,37,42ないし44,証人h,同e,同f,原告及び原告各本人)ア引継ぎhは,fに対し,bが6年生に進級する際,5年生の初めは欠席が多かったが,3学期には欠席がなくなってきたこと,筆箱やお年玉を盗ってしまった児童とは別のクラスにしたこと,bが仲良くしていて面倒をよく見てくれる児童11を同じクラスにしたことを引き継いだ。 fは,家庭訪問の際,原告から「5年生のときのことは聞いていますか」と尋ねられ,「はい,聞いております。安心してよこしてください。」と言った。 イ交友関係bは,6年生に進級してからもAと同じクラスで,Aと一緒に別クラスの児童の家で遊んだことがあり,夏祭りもAと一緒に行った。 しかし,1学期前半にAに仲の良い児童ができ,bとAはあまり一緒にはいなくなってきた。 また,bは,休み時間にdや1年生と遊ぶことはあったが,本件クラス内では一人でいることが多かった。 ウ出欠状況等bは,1学期は,5月28日及び同月31日に遅刻したほか,8月30日まで欠席しなかった。 bは,夏休みのプール開放行事に,7月22日に参加したほかは参加しなかった。 bは,8月30日に欠席したほか,10月7,8,19,20,22日に欠席した。 また,bは,6年生時,4月から本件小学校の学校カウンセラーであったkに一度も相談をしておらず,kも,bが欠席した際に様子を見に行くことは したほか,10月7,8,19,20,22日に欠席した。 また,bは,6年生時,4月から本件小学校の学校カウンセラーであったkに一度も相談をしておらず,kも,bが欠席した際に様子を見に行くことはあったものの,bに対し,積極的に,何かあったら相談に来るよう声をかけたことはなかった。 エ校外学習日翌日までの出来事と教諭の対応等 修学旅行の班分けfは,4月から5月ころ,修学旅行の班分けをする際,bが一人になりそうであったため,時間をかけて,本件クラスの児童に対し,bが一人になることのないよう班分けをさせた。 作文「お父さんいつもありがとう」bは,6月,父の日に向けて書いた「お父さんいつもありがとう」と題する作文において,「私をここまで育ててくれてありがとうございました。これからも悪いことばかりするかもしれないけどよろしくね。日曜日はいつも遊んでくれてありがとう。お父さんは自分が大変なときでも相談にのってくれます。真剣に聞いてくれてすごくうれしいです。」等と記載した。 bは,8月15日に開催された祭りにおいて,ポスターが佳作に選出されて表彰され,9月18日に開催された運動会において,リレーの選手に選出された。 bに対する悪口等(以下「本件悪口」という。) 本件悪口の内容Aは,bに対し,1学期から週に1,2回,「臭い」と言い,bが近くを通ったときや,自らbの後ろを通って,「汚い」,「きもい」,「うざい」と言い,周囲の児童に対し,bの頭を見て,こそこそと,「ふけがいっぱいある」と言ったことがあった。また,Aは,bのことを,b本人の前では,「bさん」,たまに,「◎◎(名前の愛称)ちゃん」と言い,本人のいないところでは,「○○(名字の呼び捨て)」,「ゴリラ族」と言っていた。 児童25もbに対し,1学期の初 とを,b本人の前では,「bさん」,たまに,「◎◎(名前の愛称)ちゃん」と言い,本人のいないところでは,「○○(名字の呼び捨て)」,「ゴリラ族」と言っていた。 児童25もbに対し,1学期の初めころから継続的に,「気持ち悪い」,「きもい」等と言い,「臭い」,「こっちくるな」と言って,bが近くに来たときは嫌そうな顔をしたこともあった。また,「バカ」,「原始人」,「汚い」,「臭い」,「近寄るな」と言い,すれ違いざまに,「あっちいけ」と言ったこともあった。 また,児童25は,1学期が始まってすぐ,bのことを仲間内で,名字とゴリラの「ゴリ」を合わせて「○○ゴリ」と呼ぶようになり,そのように呼ぶと周りの児童が笑い,Aも「○○ゴリ」と呼んでいた。 さらに,本件クラスの他の数人の児童も,bに対し,「ばい菌」,「きもい」,「うざい」,「あっち行け」と言い,bについて「加齢臭がする」と言う児童もおり,女子児童が「暗いよね」と教室やトイレ,廊下で言っていた。また,1学期のコース別授業の際,bの隣に座ろうとした別クラスの児童に対し,「隣に座らない方がいいよ」と言った児童もいた。 本件クラスの児童には,bが学校を欠席した日や翌日に「何で出かけているんだよ」と言った者がおり,bに聞こえていた可能性があった。 bや原告両名の訴えとこれに対する対応等bは,fに対し,Aに何か嫌なことを言われたと2,3回訴え,児童25等から悪口を言われると相談し,fは,これを受けて,Aや児童25等に対し,そういうことは言うものではないと指導したが,Aや児童25等の保護者に連絡をしたことはなかった。 原告は,bに対し,「悪口を言われていることをfに言いなさい。」と言ったことがあったが,bは,「先生もいじめられているから言えない。」,「先生はみんなにばかにされているから たことはなかった。 原告は,bに対し,「悪口を言われていることをfに言いなさい。」と言ったことがあったが,bは,「先生もいじめられているから言えない。」,「先生はみんなにばかにされているから無駄」と答えた。 原告は,fに対し,1学期,電話で話している際,bが本件クラスの児童から嫌なことを言われているようだと相談し,bを早退のために迎えに行った際にも同様の相談をした(弁論の全趣旨)。 給食時の状況等 児童25と思われる児童は,席替えを実施した9月28日(火曜日),給食時のグループについて指示されていなかったことから,fに対し好きな児童と食べてもいいかと聞き,fが明確に否定しなかったため「ヤッター」という状況の中,本件クラスの児童は,勝手にグループごとに机を寄せて給食を食べるようになった。Aは,席を女子3人グループの他の児童のそばに移して食べ,fや周囲の者が注意してもきかなかった。 bは,誰からも一緒に食べようと声をかけられず,b自らも声をかけなかったところ,どのグループにも入ることができず,同日,一人で給食を食べることになってしまった。fは,その後も本件クラスの児童の勝手な行動を是正せず,グループごとに給食を食べる状況が続いた。 ある児童は,bから「グループにまぜて」,「だめだと思うが一応聞いてみて」と言われ,Aに尋ねたが,「だめ」と言われて,そのままになってしまい,本件クラス女子はほとんどAのいうことを聞いてしまう,注意すると,変なことを言われるので黙っておこうということになると感じていた。 翌29日及び30日,翌週の10月4日から同月6日までも一人で給食を食べた。 bは,同月7日及び8日に欠席し,さらに翌週の同年10月12日及び13日も一人で給食を食べた。一人で食べるbの表情は暗かった。原告がbに対して 翌週の10月4日から同月6日までも一人で給食を食べた。 bは,同月7日及び8日に欠席し,さらに翌週の同年10月12日及び13日も一人で給食を食べた。一人で食べるbの表情は暗かった。原告がbに対して,励ます意味で「一人ぼっちでもいいじゃない。」と言うと,bは「一人じゃイヤなんだ。」と言っていた。 そこで,fは,本件クラスの児童に対し,班ごとに給食を食べさせ,bが一人で給食を食べることのないようにするため,10月14日,席替えを実施した。bは,同日,班で給食を食べたが,翌15日には,再び一人になってしまいそうであった。 そのため,fは,本件クラスの児童に対し,「bちゃんが一人になっちゃうよ。」と言ったところ,児童11がbと一緒に給食を食べた。本件クラスの児童が,fに対し,「席替えをするのはbが一人で食べているからか。」と尋ねたが,fは,「そういう訳ではありません。」と答えた。 しかし,bは,週明けの10月18日,再び一人で給食を食べることになってしまい,fから「一人になってしまったけど,がんばっているね」と声をかけられ(乙4の2),翌19日及び同月20日,欠席した。 bが一人で給食を食べた状況については別紙1のとおり合計9回であり,席替えを実施した9月28日以降,一人でなかったのは,再び席替えをした10月14日と児童11と食べた翌15日の2回だけである。 bのほかに一人で給食を食べていた児童はおらず,本件クラスの児童は,bが一人で食べているのを見て,あちこちで「よく一人で食べられるよね。」とひそひそ声で話していたことがあった。bが一人で食べていることに気付いても声をかけることができなかった児童や,bは入れてといえない様子だったという児童がいる。 fは,教室内で本件クラスの児童と一緒に給食を食べていたため,上記bの様子を認識してい べていることに気付いても声をかけることができなかった児童や,bは入れてといえない様子だったという児童がいる。 fは,教室内で本件クラスの児童と一緒に給食を食べていたため,上記bの様子を認識していたが,bが一人で給食を食べることになった経緯を調べたり,bに対し,一人で食べる気持ちを聞いてフォローしたりすることができず,他の児童に一緒に食べるよう声かけすることも一度しかできず,グループごとに食べることを止めさせることもなかった。 また,fは,10月26日から28日までに,市教委から本件自死について聴取された際,「bが給食を一人で食べていた際,余裕がなくbの気持ちを聞いたりすることができなかった。十分な対応ができなかったのは,他の児童への対応に追われて,休みがちと申し送りのあったbが登校していることに安心してしまっていたのかもしれない。」等と述べた。 bは,dに対し,10月16日,bが書いた「やっぱり『友達』っていいな」と題する,大人しそうに見えるが元気で運動神経抜群な5年生の女の子と,大人しくて恥ずかしがり屋だがみんなの人気者の転校生の5年生の女の子を主人公とする漫画を見せた。この漫画には,朝,チャイム後,私語を続ける児童,追いかけっこをする児童らがいるところに,女性の教諭が入室して転校生の名を黒板に書くと,教室内が静まり,女の子が紹介されて,挨拶する場面までが描かれている。 校外学習日の様子等 前々日及び前日bは,「給食で一人ぼっちになっておりもう学校に行きたくない」と言い,原告から「それだったらもう学校には行かなくてもいい」と言われて,校外学習日(10月21日)の前日は家事都合を理由に,前々日は病気を理由に欠席した。そのため,fは,原告に対し,校外学習日の前日,校外学習(当庁及び群馬県庁の見学。電車及び てもいい」と言われて,校外学習日(10月21日)の前日は家事都合を理由に,前々日は病気を理由に欠席した。そのため,fは,原告に対し,校外学習日の前日,校外学習(当庁及び群馬県庁の見学。電車及び徒歩によるもの。)に参加するか否かの確認の電話をしたところ,bは,「給食もないし,一人ぼっちにならないかな。」と言って参加する意向を示した。 Aは,10月19日,学校を欠席したにもかかわらず,bをレンタルビデオショップで見かけたと思い,翌20日,自分の席について大きな声で,「昨日bが休んだのにレンタルビデオショップにいた。」と言った。 集合後bは,校外学習日に,登校したところ,Aや児童25を含む本件クラスの児童数人から,「校外学習の日だけ学校に来るのか。」,「2日も休んで何で今日来られるんかね。」と皆に聞こえるように言われた。Aは「何でこんな時だけ来るんかねえ。」といろいろな人に言っていた。 児童20は,bが校外学習だから来たと思っており,Aから「何でこんな時だけ来るんかね」と尋ねられ,「ねー」と言った(後に,この尋ねられた理由を想像して,児童20は「児童11が,bが欠席した日にプリントを届けたら,bが公園で遊んでいたことを聞いていたから」と述べている。)。 bは,教室で出席確認等した後,教室を出るのを渋り,その理由について,fや養護教諭であるp,事務主任であるqに対し,「Aらから『何でこんな時だけ来るのか』等と言われたから,校外学習に行きたくない。」と話して泣いた。 fは,既に整列していた児童に対応するため,bをpとqに任せ,同教諭らはbをなだめたり励ましたりしながら玄関へ向かって歩いていた。 しかし,bは,他の6年生の児童が来たため影に隠れたところ,wから出発時刻が迫っていると告げられたため,wらに対し,「いつも一人で給 をなだめたり励ましたりしながら玄関へ向かって歩いていた。 しかし,bは,他の6年生の児童が来たため影に隠れたところ,wから出発時刻が迫っていると告げられたため,wらに対し,「いつも一人で給食を食べている。 こんな学校はもう行きたくない。大嫌いだ。」と大声で泣きながら訴えて,動こうとしなかった。これは,bを自宅に5回ほど迎えに行ったこともあるqが,これまでにみたことのない姿というものであり,pは,これでは行けないかもしれないと思って,校長に言いに行ったところ,校長は,bに行くよう説得するため玄関に来た。校長等は,bに対し,せっかく用意してきたから行こうとなだめ説得し,wがbの手をひいて整列場所に行き,bは,泣きながら列に並んだ。 bは,駅のホームでも泣いており,Aに対し,泣いているのはAのせいだと言った。 昼食の時間bは一人で食べ,近くでfやwが食べた。 児童7は,bに対し,昼食時,bが同児童やAらが一緒に食べている方を見ていたため,「なんでこっち向いてるん。bさんのことを言ってるんじゃないからこっち見ないで。」と強く言った。 校外学習の最中本件クラスのAや児童20,25を含む数人の児童は,校外学習の最中も,bのことを,「きもい」,「うざい」,「ゴリラ」,「向こう行け」(これを聞いたのは児童11)と言った。そして,Aを含む女子3人グループは,「何でこんな日ばっかり来てんだよ」と何度も言い,これは,周囲の者にも,bにも聞こえていたが,本件クラスの児童らは,誰も止めず,引率の教諭にも言わなかった。 校長は,校外学習を通して,一斉行動をする全体を見てはいたが,bに対しては,「お昼は食べられた?」と一度聞いただけであり,bの様子には気付いていなかった。 帰校後の経過fは,Aに対し,bに対する朝の言動について確 ,一斉行動をする全体を見てはいたが,bに対しては,「お昼は食べられた?」と一度聞いただけであり,bの様子には気付いていなかった。 帰校後の経過fは,Aに対し,bに対する朝の言動について確認すると,Aは,「うん,だっ て学校を休んでも夕方,公園なんかで遊んでいることがあったんだよ。」と話したため,「言われた人の気持ちを考えて話そう。」と指導した。また,fは,bに対し,Aに対する指導が終了した後に声をかけようと考えていたが,bが,Aに指導している間に帰ってしまったため,話ができなかった。 bは,原告両名に対し,校外学習から帰宅した際,「Aに「『休んでるのに何でこういうときだけ来るの。』と言われた。電車の中でも泣いていてはずかしかった。 校外学習に行かなきゃ良かった,弁当も一人で食べた。」等と話し,これを受けて,原告は,fに対し,同日中に電話をかけ,bが給食を一人で食べていることや,同日,嫌なことを言われて辛かったようであること,今までも何か言われることがあったようだと話した。fは,「相手の児童は,人の気持ちを考えずに発言してしまうことがあるため指導する。」と答えた。 fは,校長に対し,帰校後に,給食の際に班が乱れて,好きな者どうしで食べることになってしまい,bが一人で食べることになってしまった等と報告し,校長は,fに対し,列ごとに前を向いた状態で給食を食べさせるよう伝えた。 校外学習日翌日の経過fは,本件クラスの児童に対し,校外学習日翌日,給食時は全員前を向いて食べるよう指導した。 bは,同日,原告両名が出勤し,dは登校したため,一人で原告両名宅にいた。 教頭とkは,同日,bが登校しないため,午前8時40分ころ,原告両名宅を訪問したが,誰も出てこなかった。 fは,同日,午後6時ころ,原告両名宅に電話をかけたが,誰 たため,一人で原告両名宅にいた。 教頭とkは,同日,bが登校しないため,午前8時40分ころ,原告両名宅を訪問したが,誰も出てこなかった。 fは,同日,午後6時ころ,原告両名宅に電話をかけたが,誰も出なかったため,午後7時30分ころ,原告両名宅を訪問したが,留守だった。このとき,fは,手紙を置くなどの何らかの方法によりfの来訪や上記指導を伝えることはせず,原告両名及びbには,fが原告らの自宅に来たことが,分からなかった。 原告両名とbやdは,同日午後7時過ぎ,ホームセンターとレンタルビデオショップに行き,bは,子ども向けの漫画のDVDを1枚借り,午後9時過ぎに帰宅し た。 オ本件自死までの経過bは,10月23日(本件自死当日),午前10時ころ,原告両名とdと居間にいた際,飼っていた猫の取り合いをきっかけにdとけんかになり,原告は,bとdが猫をひっぱり合っていたため,「そんなことをしていると猫が死んでしまう。」と大声で言った。 その後,dが「外に遊びに行く予定がある。」と言ったところ,bが「行かないで。」と言い,口論になったため,原告が,いつもと同様に,bとdに対し,「もう離れなさい。」と言い,bはアパートの最も奥の子ども部屋に,dは寝室に行き,原告は居間にいた。 bは,午後0時ころ,原告にプレゼントしていた手編みのマフラーで首を吊り,午後1時12分ころ死亡した。 bの遺書は発見されておらず,bは,本件自死前に,自傷行為に及んだことはなく,bが自死念慮やその動機に当たるものを誰かに話したことや文章等で表明したことはなく,身だしなみを気にしなくなる等の突然の態度の変化,別れの準備をする,危険な行為を繰り返すといった自殺の前兆行動は見受けられなかった。また,bが,人が首を吊った後に死に至るまでの機序,要する時間,首を 身だしなみを気にしなくなる等の突然の態度の変化,別れの準備をする,危険な行為を繰り返すといった自殺の前兆行動は見受けられなかった。また,bが,人が首を吊った後に死に至るまでの機序,要する時間,首を吊った後直ぐに発見されて未遂に終わった場合いかなる後遺症が生じる可能性があるか等を知っていた形跡は全くない。 上記事実認定に関し,若干付言する。 ア原告両名は,前項で認定したほかにもbが他の児童から悪口を言われていた等と主張し,これにそう証拠(甲21ないし23,26,原告及び原告各本人)がある。しかしそれらはいずれも,客観的裏付けに欠け,上記証拠を直ちに採用することはできない。上記主張は,他にこれを認めるに足りる証拠はないから,採用することができない。 イ原告両名は,Aが児童11らにbと付き合うなと言ったと主張し,これを裏 付ける証拠として児童11からの手紙(甲10の1)を提出するが,この手紙には,最近遊べない理由として「最近少しいそがしかった」と記載され,児童11は,bとは「塾が忙しくなって,遊ばなくなった」(乙3)と説明しているから,上記手紙は,上記主張の裏付けにはならない。 また,上記手紙は,児童11が欠席した際にbが時間割(今週の予定)を届け,手紙を渡したことに対して礼を述べるものであり,児童11が欠席した日(金曜日)に班で一緒に食べることが出来ず,bがさびしかったかと尋ねる趣旨のものである(甲10の1)から,bだけ一人で給食を食べたこととは関係がない。 ウ原告両名は,プール開放に参加した日に嫌なことを言われる等したと主張し,これを裏付ける証拠としてプールの出席表(甲9の1,2)を提出するが,そもそもbの従前のプール開放への参加状況は明らかでなく,参加しなかった理由が他になかったのかも明らかではないことから,上 張し,これを裏付ける証拠としてプールの出席表(甲9の1,2)を提出するが,そもそもbの従前のプール開放への参加状況は明らかでなく,参加しなかった理由が他になかったのかも明らかではないことから,上記主張は,採用することができない。 エ原告は,fに対し,bが悪口を言われている等と伝えた際,fが,「また心の病でしょうか。」と答えたと供述等する(甲22,乙10,原告本人調書8頁)が,裏付けに欠けることから採用することができない。 オ被告両名は,本件自死当日,bと原告が口論になったと主張し,校長は,これにそう供述をする(乙10)。 しかし,校長は,そのときの話の流れから,bが言い争いになったのは,原告だろうと理解したとも証言し(証人e調書16頁),明確に,原告から,bと口論をしたと聞いたものではなく,bが口論をした相手が原告であると理解した理由が明らかではないことからすると,上記主張は,採用することができない。 以下は,主に前記前提事実及び上記認定の事実を基に検討を進める。 ア bは,6年生時の1学期から,Aや児童25から少なくとも週に1,2回程度,「臭い」,「気持ち悪い」,「きもい」と言われ,上記児童や他の数人の児童から,「汚い」,「うざい」,「こっちくるな」,「バカ」,「原始人」,「ばい菌」,「加齢臭がする」等と言われることや,「学校を欠席したのに何で出かけて いるんだ。」と言われることがあり,「○○ゴリ」と呼ばれることがあった。 上記各発言は,どのような状況で言われたものか必ずしも明らかではないが,本件クラスは,6月下旬ころから,fに対し暴言を吐く等して全体的に騒がしくなることが増え,Aや児童25らが,bに限らず,他の児童に対しても,「きもい」,「うざい」等と言っていたことからすると,本件クラスの児童は,何のき 旬ころから,fに対し暴言を吐く等して全体的に騒がしくなることが増え,Aや児童25らが,bに限らず,他の児童に対しても,「きもい」,「うざい」等と言っていたことからすると,本件クラスの児童は,何のきっかけや理由もなく,大人しいbが言い返さずにいることに乗じて,嫌がらせとして一方的に不快感を示す趣旨で,「きもい」,「うざい」等と言っていたと考えられ,bは,いわれなく上記のとおり不快感を示され,「原始人」等と呼ばれて人間扱いされない状況に,精神的苦痛を蓄積していったと推認することができる。 本件クラスの児童がb以外の児童に対しても,「臭い」,「汚い」,「ばい菌」,「加齢臭がする」と言っていたとは窺われず,少なくともbとしては,5年生時に「臭い」,「汚い」と言われたことがあったことから,特にbに対してだけ言っていると感じた可能性があるが,そうであれば,bは,6年生になっても未だ,そのように言われ続けることに苦悩を強めたと考えられる。 また,本件クラスの児童は,b以外の児童に対しても,ゴリラという呼び名を用いており,そのように呼ばれていた児童やその両親の容貌は明らかではないものの,少なくともbとしては,「○○ゴリ」,「原始人」という呼び名は,原告が本件クラスの他の保護者の多くと容貌が違うことを茶化したものであると受け止めた可能性がある。そうであれば,bとしては,自らの力ではどうにもならないことを理由に,自身だけではなく,母までもからかわれることについて強く苦痛に感じていたと考えられる。 さらに,「学校を欠席したのに何で出かけているんだ。」等と言われることについては,実際に,bは,自身が病気ではなくとも欠席していたことからすると,欠席した日の当日や翌日に外出したことがあったと推認されるが,自分一人では生活習慣を確立しがたい小学校6年生で,d ることについては,実際に,bは,自身が病気ではなくとも欠席していたことからすると,欠席した日の当日や翌日に外出したことがあったと推認されるが,自分一人では生活習慣を確立しがたい小学校6年生で,dの面倒をみる必要性から欠席していたこともあり,必ずしもbに責められるべき点があるわけではないにもかかわらず,責め られることをもどかしく思っていたと考えられる。 イまた,bは,6年生になったばかりの4月,5月ころから一人になりがち(修学旅行の班分け)で,bは誰ともしゃべらないと言われる状態(乙3)となっていたが,2学期の9月28日から10月18日までの間,合計9回,本件クラスの児童は机を寄せてグループで給食を食べているにもかかわらず,bだけ一人で給食を食べ,あちこちで他の児童が,「よく一人で食べられるよね。」とひそひそ声で話していたことがあった。 本件クラスの児童の中には,bが一人で食べていることに気付いても声をかけることができなかった児童(児童13他),bは入れてといえない様子だったという児童(男子),bから「グループにまぜて」と言われ,Aに尋ねたが「だめ」と言われて,そのままになったが,本件クラスの女子はほとんどAのいうことを聞いてしまう,注意すると,変なことを言われるので黙っておこういうことになると感じていた児童(女子)等がおり,fが席替えをしてでも対処すべき事態だと認識する児童がいる問題状態なのに,fの声かけにより児童11が1回給食を食べただけで,bだけ一人で食べる状態を継続させたことからすると,本件クラスの児童は,グループに入ることを拒んだAに加えて,Aを恐れて逆らえない者,無関心の態度を採る者,傍観者等も含めて,9回にわたりbだけが一人で給食を食べることを続けさせたものであり,これは,bを仲間はずれにしたというべきものであ を拒んだAに加えて,Aを恐れて逆らえない者,無関心の態度を採る者,傍観者等も含めて,9回にわたりbだけが一人で給食を食べることを続けさせたものであり,これは,bを仲間はずれにしたというべきものである。 Aがbに対して暴力を振るったという事実は認められないが,他の児童に対しては,暴言に加えて暴力を振るっており,それが本件クラスの児童,特に女子において,Aに逆らえない状況を生み出していたと推認される。 そして,仲間はずれは,ほぼ全員で意図的に行わなければ成立しないものではなく,声をかけようと思っていたという児童(乙3)がいたとしても,実行していない以上,それは,bが亡くなった後の言い訳とも考えられ,bのことをいじめられるというよりも放っておかれたという児童(男子)は,同時にbが「他の子に声をかけていたが,『また後で』と言われ続けていたので,だんだん疎遠になった」と も述べており,傍観していたことを正当化しようとする児童も多く(乙3),これらの児童の存在は,仲間はずれを否定する理由にはならない。 bは,騒がしい授業中,話す相手もおらず孤立していたが,給食の時間に,自身が孤立していることが誰の目からも明らかな状態に置かれた上,他の児童が,これを認識しながら,bの状況をばかにするような態度でいたものであり,bにとって耐え難い状態であったことは明らかであって,いじめにほかならない。 ウ bは,10月19日と20日は,給食を避けるために欠席し,校外学習の行われる21日(木曜日)に登校したが,Aや児童25を含む本件クラスの児童数人から,「校外学習の日だけ来るのか。」,「2日も休んで何で来られるのか。」と責められて泣き,「いつも一人で給食を食べている。こんな学校はもう行きたくない。」等と大声で泣きながら訴えた。 bは,欠席せざるをえなかったbの け来るのか。」,「2日も休んで何で来られるのか。」と責められて泣き,「いつも一人で給食を食べている。こんな学校はもう行きたくない。」等と大声で泣きながら訴えた。 bは,欠席せざるをえなかったbの心情を顧みずに(あるいは仲間はずれをして欠席せざるをえない状況に追い込んでおいて),一方的に欠席を咎める発言をされたことにより,我慢の限界を超え,給食時の状況を泣きながら訴えるに至ったと考えられる。 しかも,Aは,「校外学習の日だけ来るのか。」との趣旨の発言を,本件クラスの児童数人と皆に聞こえるように言っただけでなく,いろいろな人に言って同意を求め,校外学習の最中も他の悪口と共に何度もbに聞こえるように言ったのであり,これは執拗ないじめにほかならない。このAの言動に相応の理由があるということはできず,また,これを思ったことをすぐ口にしてしまったという程度のものということもできない。 以上検討したところによると,bは,継続的で頻繁な本件悪口(暴言),給食時の仲間はずれ及び校外学習日における執拗な非難といういじめを受けていたということができる。 3 本件自死の主たる原因(争点)について以下は,主に前記前提事実及び前記2認定の事実を基に検討を進める。 bは,主に6年生時,相当程度頻繁に本件悪口を言われるようになった上,児童のおしゃべりでうるさいために授業が成り立たない状況において,自分には話す相手がおらず,比較的静かな給食時に,他の者が好きな者同士で机を寄せて食べる中,bだけが一人で食べる仲間はずれが続いて,日を追うにつれ,本件クラス内における孤立感を高めていったと思われる。 そして,bは,本来,fから強く指導を受けるべき児童の多くが放任されて自分勝手をしている中で,懸命に勉強に取り組む等して,努力をしていたにもかかわらず 内における孤立感を高めていったと思われる。 そして,bは,本来,fから強く指導を受けるべき児童の多くが放任されて自分勝手をしている中で,懸命に勉強に取り組む等して,努力をしていたにもかかわらず,報われないままバカにされ孤立する状況に置かれたことについて,自己肯定感を得られない理不尽さや絶望感を抱くようになっていったと考えられる。 これに加えて,担任であり,bが本件クラス内で最も頼ることができるはずのfは,f自身が児童からいじめの標的となる状態に追い込まれていた。 bは,本件クラスにおいて,自己主張することがほとんどなく,Aらに同調せず,孤立していったのであるから,いじめの対象となるリスクが高い児童といえ,fとしては,bがいじめを受けることのないよう留意すべき児童であった。 しかるに,fは,bが本件クラス内で孤立した理由を理解せず(証人f調書36頁),本件ルール作り及びレクリエーションの採用という,教諭が担当するクラスの児童の機嫌をとるかのような,効果よりも弊害が多く,かえって,fの統制を失わせ,指導を受けるべき児童を増長させる方策を採った(bが孤立を避けてAの機嫌をとるならば,fに対して反抗することになる。)。 さらに,fは,bだけが一人で給食を食べることになった発端を作り,これを解消するための適切な対応をとることができなかったばかりか,bに対し,「一人で頑張っているね。」などと声をかけ,bだけが一人で給食を食べる状況が今後も続くことを前提とするかのような態度を取った。bは,fに対してbの孤立感等を解消する措置をとることを期待することができないと失望し,自らこれを回避するために,学校を欠席する方法を選んだ(bは,fの上記声かけ後,一回も給食を食べていない。)。 そして,bは,本件小学校を2日間欠席した後,やはり孤立してしま きないと失望し,自らこれを回避するために,学校を欠席する方法を選んだ(bは,fの上記声かけ後,一回も給食を食べていない。)。 そして,bは,本件小学校を2日間欠席した後,やはり孤立してしまうのではないかと不安に思いながらも,自らをはげまして校外学習日に登校したと思われるが,欠席したbの心情を顧みない(あるいは欠席せざるを得ない状況に追い込んだ)本件クラスの児童から,欠席したことを咎められ,泣きながら校外学習に参加するのを拒否する意思を示した。これは,給食がなくとも,校外学習に参加すれば,嫌な思いをし,孤立し続けることが分かったからであると考えられる。 そうであるにもかかわらず,教諭らは,bを校外学習に参加させようとしたため,bは,教諭らに対し,なぜ参加したくないのか,給食時の苦痛を泣きながら訴えるに至った。bにしてみれば,本件小学校における初めての強い自己主張であった可能性が高い。 しかし,教諭らは,特に校長は,bがかつて「臭い」,「きもい」と言われ,「転校したい」と言っていたことを知っており,pは行けないかも知れないと思って報告したのに,bが給食時の状況についてどんな思いを抱いているのか踏み込んで聞き,これを解消するための措置を考える姿勢さえもみせず,単にbを校外学習に参加するよう説得して参加させ,bにはずかしい思いをさせ,参加させたことに関して何らの配慮もせず,校外学習中,bに対する悪口及び非難をbに聞かせ続けた上,そのまま帰宅させた。bとしては,教諭らが,bの欠席を咎めた児童に対し,指導をしたのかも分からない状況であった。 このような経緯からすると,bは,校外学習日,fだけでなく他の教諭も,bが泣きながら訴えても,bの孤立感や絶望感を解消するために動いてはくれず,bを追い詰める児童に対して指導すらしないで,bの努力を このような経緯からすると,bは,校外学習日,fだけでなく他の教諭も,bが泣きながら訴えても,bの孤立感や絶望感を解消するために動いてはくれず,bを追い詰める児童に対して指導すらしないで,bの努力を評価せず,今後も自己肯定感を得ることができないことに絶望し,自らの努力によっては孤立感や絶望感を解消することができない無力さを感じ,そのような社会で生きていく意味を見いだすことができない状況に陥ったと考えられる。 bは,校外学習日の翌日,本件小学校を欠席し,日中,一人で過ごした。外出しなかったのは,欠席したのに外出していたと言われることを嫌ったものと推認され る。すなわち,本件小学校を欠席しても,孤立感,絶望感及び無力感から逃れることができなかったということである。 そして,bは,校外学習日の2日後,子ども部屋で孤立し,f及び校長を含めた本件小学校の教諭が本件クラスの児童に対して適切に指導等しない結果形成されたbの置かれた状況から逃れようとして,自死を決意し,あるいは,本件小学校の教諭や原告両名に対し,この孤立感や絶望感,無力感を,自死を図ることによって訴えようとして,突発的に本件自死を図ったと考えられる。 bが,自ら首を吊ることにより,死亡することを確定的に望んでいたと認めうる証拠はなく,原告がアパートの自宅内にいたことからすると,bは,首吊り後,早期に発見される等して未遂に終わり,その辛い心情が周囲の者に理解される端緒となることを期待していた可能性も否定できないところである。 いずれにしても,bが本件小学校における学校生活に希望を持つことが出来れば,首を吊ることはなかったと考えられる。 他の要因等についてア bは,本件自死を,登校すべき日の朝でもなく,登校すべき日の前日でもない土曜日に行っており,原告両名はbが欠席するこ が出来れば,首を吊ることはなかったと考えられる。 他の要因等についてア bは,本件自死を,登校すべき日の朝でもなく,登校すべき日の前日でもない土曜日に行っており,原告両名はbが欠席することを容認しているから,連休明けの日の朝登校前に自死をした例(甲29)とは異なり,登校を回避するために自死を図ったわけではない。しかしながら,本件においては,bの抱いた孤立感や絶望感,無力感の原因がどこにあるかの問題なのであって,bが土曜日に自死したことが,本件自死の原因が原告両名の家庭にあるということにはならない。 イ bは,原告にプレゼントしたマフラーを用いて本件自死を図ったものであり,原告と血縁関係がなく養子縁組もしておらず,dとは異父姉妹であったこと,原告が日本語の会話能力が不十分で,bと十分な意思疎通が図れていたとはいえず,bやdの出欠状況等から,原告両名がbに対し,必ずしも十分な生育環境を整えていなかったと考えられることからすると,bは,自らの出自及び家庭の状況に複雑な感情を抱いていたと推認され,原告に上履きを隠されたから学校に行けな いと話したことや,5年生時に筆箱やお年玉を盗ったことはこの感情の表れとも考えられる。 しかし,bが自らの出自及び家庭の状況について,自死を図るほど,思い悩んでいたと窺うことはできず,bは,特定の仲の良い友人がいたdをうらやましく思っていたようで(原告本人),努力家のbとしては,勉強をしないdと自らを対比することにより,絶望感を深めた可能性はあるものの,妹思いで,dの面倒をみるために欠席したり,二人で登校したりしていること等からdとの関係自体が,特段悪かったとはいえない。 また,bは,原告両名に対し,他の児童から悪口を言われていることや,給食を一人で食べていること,校外学習日に嫌なこと 二人で登校したりしていること等からdとの関係自体が,特段悪かったとはいえない。 また,bは,原告両名に対し,他の児童から悪口を言われていることや,給食を一人で食べていること,校外学習日に嫌なことを言われた等,辛い出来事があった都度,これを伝えていることからすると,bがdに八つ当たりした際等に,原告両名がbを怒鳴ることがあったとしても,bにとって原告両名は,少なくとも相談相手とはなりえる存在であったと認めることができる。 そして,bは,dとけんかをした直後に本件自死を図ったものであるが,最初にしたけんかは,猫の取り合いという些細な理由によるものであり,また,次にしたけんかは,dが外に遊びに行こうとしたのを止めたというもので,bとしては,自分も外に遊びに行きたいが,欠席した翌日であったため,遊びに行くと本件クラスの児童からまた欠席したことを咎められるのではないかと思い,これを避けるために,そもそも欠席せざるをえなくなった原因である本件クラスにおける孤立を何とかして解消したい,bにとって外出と学校欠席は関連する問題であることを家族に理解してほしい,bのこうした心情を理解してbのそばにいてほしいと思ったと推認される。そうすると,dが外出しようとしたこと並びに原告の無理解及びいつものようにbを子ども部屋に行かせ,一人ぼっちを嫌うbを一人にした対応が,本件自死を図るひきがねになったと考えられるが,これ自体が本件自死の主たる原因であるということはできない。 以上によれば,本件自死の主たる原因がbの出自,家庭の状況あるいは対応であ るということはできない。 近隣住民からの電話(乙9)原告がbをよく怒鳴っており,bが泣く声が聞こえていた,本件自死の原因は家族にもあるとの近隣住民からの電話(乙9)については,原告がbを怒鳴った原因 きない。 近隣住民からの電話(乙9)原告がbをよく怒鳴っており,bが泣く声が聞こえていた,本件自死の原因は家族にもあるとの近隣住民からの電話(乙9)については,原告がbを怒鳴った原因や経緯等が明らかでなく具体性に欠け,少なくとも上記電話の内容から本件自死の主たる原因が家庭にあると認めることはできない。 以上のとおり,本件小学校(f及び校長)の対応と本件自死との間には,事実的因果関係があり,しかも,本件自死の主たる原因であったということができる。 4 6年生における安全配慮義務違反(争点ア及び争点)について以下は,前記前提事実及び前記2認定の事実を基に検討を進める。 いじめ防止義務違反ア公立小学校における教諭には,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における児童の安全の確保に配慮すべき義務があり,特に,児童の生命,身体,精神,財産等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときには,そのような悪影響ないし危害の現実化を未然に防止するため,その事態に応じた適切な措置を講じる一般的な義務があるというべきである。 イ bは,主に6年生時以降,他の児童の言動等学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における出来事により,大きな精神的苦痛を感じていたと考えられるから,fや校長は,これを認識していたか,少なくとも認識可能であり,bの精神的苦痛を取り除くための適切な措置を講じる義務があった。 bに対する本件悪口や給食時及び校外学習日の状況についての校長やfの認識や認識可能性ア本件悪口について本件クラスは,4月から落ち着きがなく,6月下旬にはfに対して,暴言を吐く等して反抗する児童も出てきて全体的に騒がしく,fがいじめの標的となる状態であったことからすると,本件クラスの児 口について本件クラスは,4月から落ち着きがなく,6月下旬にはfに対して,暴言を吐く等して反抗する児童も出てきて全体的に騒がしく,fがいじめの標的となる状態であったことからすると,本件クラスの児童が,fに隠れて,bに対し本件悪口を言 っていたとは考えられない上,本件クラスの状態そのものからも,児童間において人を傷つける言動が横行していることが容易に想定できた。 そして,fは,bや原告から,bが他の児童から嫌なことを言われていると直接聞いていた上,校長は,bが5年生時にも,「臭い」,「きもい」等と言われていたことを認識していたものであり,6年生時,荒れているクラスにおいて,児童が他の児童から精神的肉体的に危害を受けないよう注視すべきであったことを併せ考えると,fや校長は,遅くとも平成22年6月下旬には,bに対する本件悪口について,少なくとも認識可能であったというべきである。 イ給食時や校外学習日の状況についてfは,bが一人で給食を食べている状況をすべて現認しており,校外学習日の様子も認識しているか,少なくとも他の教諭らから聞いて認識していたと認めることができる。 また,fは,bだけが一人で給食を食べている状況について,児童にとって多大な精神的苦痛を感じる事態であるから,遅くともその状況が数日続き,容易に解消しえないことが判明した時点において校長に報告すべき義務があり,他方,校長も,本件クラスが平成22年6月下旬以降,fの統制がききにくい状況であったことを認識していたといえ,そうすると本件クラスの給食時の様子も見回りに行くべきであった。これらを前提とすると,校長は,一人で給食を食べることが2回続き,週が明けても同じ状態であった10月4日には,bの給食時の状況について認識可能であったというべきである。そして,校長は,少なくと った。これらを前提とすると,校長は,一人で給食を食べることが2回続き,週が明けても同じ状態であった10月4日には,bの給食時の状況について認識可能であったというべきである。そして,校長は,少なくとも普段大人しいbが校外学習日に大声で泣いて行くのを嫌がっていたことを認識していたのだから,その理由等について他の教諭に確認する等して認識すべきであり,これを前提とすると,校長は,遅くとも校外学習から帰校したときまでには,bの同日の状況について認識可能であった。 この点に関し,校長は,本件クラスの給食時の様子を見に行くことすらしていないが,その理由として,当時,配膳室内のエレベーター交換の工事をしていたため, 給食時に,児童に事故が起こることのないよう指導する必要があったためと証言する(証人e調書26頁)。しかし,上記指導は,校長以外の教諭等が行っても支障のないことであり,現に校外学習日は,校長以外の者が指導をしていたと考えられるから,本件クラスの給食時の様子を見に行かなかった合理的な理由とはなりえない。 具体的義務fや校長は,上記のとおり本件悪口やbの給食時及び校外学習日の状況について認識又は認識可能で,小学校6年生という多感な時期の女子児童が上記言動等により大きな精神的苦痛を受けることは明らかであるから,bがこれにより大きな精神的苦痛を受けていることを認識していたか,少なくとも認識可能であった。 したがって,fや校長は,以下のとおりbの精神的苦痛を軽減させるべき具体的措置を講じる義務があったというべきである。 この義務のあることは,いじめに対する取組や教諭に対する問題行動を起こす児童についての指導等について,別紙2のとおり文科省初等中等教育局長等による各都道府県教育委員会教育長等宛ての通知や文科省の児童生徒の問題行動等の生徒 いじめに対する取組や教諭に対する問題行動を起こす児童についての指導等について,別紙2のとおり文科省初等中等教育局長等による各都道府県教育委員会教育長等宛ての通知や文科省の児童生徒の問題行動等の生徒指導上の諸問題に関する調査結果,文科省国立教育政策研究所生徒指導研究センターによるいじめ問題に関する取組事例集(乙59)が出されていたことからも指摘することができる。 そして,本件自死等を受けて,文科省初等中等教育局長による各都道府県教育委員会教育長等宛ての平成22年11月9日付け通知は,改めて従前の通知の内容を所管の学校及び域内の市区町村の教育委員会等に対して周知徹底等するよう求めている。 ア児童に対する措置fや校長は,bに対する本件悪口を認識可能であった6月下旬には,①文科省初等中等教育局長の通知等において実施の必要性が繰り返し指摘されていたいじめの実態把握のための児童に対するアンケート調査を実施したり,児童からの聞き取り や児童の様子を注視したり,心理専門職の資格を有するカウンセラーを活用する等して,本件クラスの児童の言動について,的確かつ十分に把握し,本件悪口を言った児童に,自己の言動の問題点を理解させ反省させるために,当該児童だけでなくその保護者を含めた指導を行うとともに,bに上記指導内容を伝えて,fら教諭がそのような言動を許さない強い姿勢で臨んでいることを示して安心させ,②把握した事実関係,実施した教育的指導等を報告したり,報告を受けたりし,学校全体として本件クラスの児童の言動の実態を把握した上で,f等による指導内容を検討し,事態が改善しなければ,学校全体でより強力な指導を行っていくこと,③教諭の統制がきかなくなっていった本件クラスにおける児童とf等との人間関係を回復するため,指導方法を変える等して早期に対処するとと 事態が改善しなければ,学校全体でより強力な指導を行っていくこと,③教諭の統制がきかなくなっていった本件クラスにおける児童とf等との人間関係を回復するため,指導方法を変える等して早期に対処するとともに,友達づきあいの苦手であったbについて,fら教諭とbの個人的な心のつながりを強固にする等しつつ,本件クラスの状態を改善するために,本件クラスの児童を複数のグループに分解してグループごとに教諭が対応する等の措置を講じる必要があった。 また,fと校長は,遅くともbが一人だけで給食を食べる状態が続き,これを認識又は認識可能であった10月4日には,まずは,給食時の席を強制的に決める等し,bだけが一人で給食を食べることのないようにした上で,なぜ一人だけになってしまうのかbや他の児童から聞き取りをする等した上で検討し,抜本的に改善するための措置を講じるべきであった。 さらに,fと校長は,校外学習日のbの状況について,遅くとも帰校時までには認識又は認識可能であったから,bに対し,遅くとも校外学習日の翌日までには,bが感じている苦痛について踏み込んで聞いた上,bが一人で給食を食べることのないように,全員前を向いて給食を食べるよう指導し,bの欠席を咎めたAらに指導したこと等を伝えるべきであった。 イ教諭に対する措置上記児童に対する措置については,学校全体で取り組んでいくべきではあるが,一次的には,担任が大きな役割を担うこととなるから,当時fが上記役割を担うこ とができない精神状態であり,これを校長が認識又は認識可能であれば,校長としては,上記児童に対する措置を講じる前提として,教諭側が上記措置を講じることができる体制を整えるべきであり,fとしても自ら上記体制を整えるよう申し出るべきである。 そこで,fの当時の精神状態と校長の認識や認識可能性, る措置を講じる前提として,教諭側が上記措置を講じることができる体制を整えるべきであり,fとしても自ら上記体制を整えるよう申し出るべきである。 そこで,fの当時の精神状態と校長の認識や認識可能性,これを前提とした校長やfの義務を検討する。 fの当時の精神状態fは,統制がきかなくなっていった本件クラスにおいて,児童から暴言を吐かれる等して,2学期からは,いじめの標的になった状態になっていたため,大きな精神的負荷を感じていたことが容易に想像できる。 そして,fは,8月に作成した学級の見立てにおいて,本件クラスの問題点は,実際は,担任であるfに反抗する者が増え,これを止めることが期待されるリーダーが前に出ることができず,統制がとれなくなって来ていることであるのに,「すぐに教師の指示を聞かない児童が増えた」という程度に記して,他に「自分から行動しようとする姿勢がない。」等とし,学級経営方針としては,「いつも担任から指示を出すのではなく,児童同士で必要なことに気付けるようにして行きたい。」等と本件クラス全児童の自主性を高める方向の,上記問題点への対策としては,およそそぐわない,児童任せの抽象的な方針しか提示できず,9月24日に実施した振り返りアンケート結果に対する対応として,「f先生が甘い」,「怒ってください」と注文する児童が複数いるのに,レクリエーションを取り入れるという児童に迎合するような安直な方法だけを採用する等,上記時点において,f自身が強いリーダーシップをもって,具体的な学級経営をすることができない状態であった。 fは,nから,本件クラスについて,交換授業やチームティーチングを取り入れることを提案された際,まずは,本件クラスのルール作りをしたいと提案していることからすると,fとしては,他の教諭にあまり頼らずに何とか本件クラス クラスについて,交換授業やチームティーチングを取り入れることを提案された際,まずは,本件クラスのルール作りをしたいと提案していることからすると,fとしては,他の教諭にあまり頼らずに何とか本件クラスの状況を改善したいと考え,本件ルール作りがその打開策となることを期待していたと考 えられるが,本件ルール作り後も,本件クラスの状況が特段改善しなかったことから,ますます,精神的疲弊を強めたと思われる(金曜日の6時間目に本件ルール作りを行い,守られていないとの報告を受けた校長らが本件クラスの児童を指導したのは,翌登校日である月曜日の3時間目である。)。 また,教頭がoに対し,9月,fの専攻である理科の授業を見に行くよう頼んでいることからすると,fは,当時,専攻の授業さえも他の教諭に見に来てもらわなければ進めることができない状態であったと推認される。 さらに,fは,9月28日以降,bが給食を一人で食べていることについて,一度席替えをしたものの,翌日再び一人になってしまいそうな状態であったにもかかわらず,「bちゃんが一人になっちゃうよ。」と他の児童に述べて,bの状態を解消する方策を児童に委ねてしまい,「自分からグループに入れてもらうよう言ってみたら。」,「一人で頑張っているね。」と当時のbにとって何の解決にもならず,逆にbの絶望感を高める発言しかすることができず,しかも,そのことに気付けない状態になってしまっていた。 さらに,fは,10月21日の校外学習日,自らの苦痛を泣いて訴えたbについて,帰校時に,bの訴えを再度確認し,これに対する方策を共に検討し,安心させる必要があったことは明らかであるにもかかわらず,Aに対する指導をしている間に,漫然とbを帰宅させてしまい,同日中に,原告両名宅を訪問することもなく,翌日,原告両名宅を訪問したにもかか し,安心させる必要があったことは明らかであるにもかかわらず,Aに対する指導をしている間に,漫然とbを帰宅させてしまい,同日中に,原告両名宅を訪問することもなく,翌日,原告両名宅を訪問したにもかかわらず,留守宅に手紙を置いてくることさえしなかったものである。 fは,①fが24年の教諭歴を有することや,校長自身,fの能力を評価して教務主任にしたり,扱いの難しい児童のいる本件クラスの担任にしたりしたことに照らすと,fの上記各対応は,その教諭としての能力が相当程度低下していたと推認されること,②f自身,余裕がなく給食時のbの気持ちを聞いたりすることができなかったと述べていること,③振り返りアンケートにおいて児童から明るく授業をしてほしいとの指摘を受けていること,④家族から,本件自死前からfは抑うつ状 態だった旨言われたことを併せ考えると,本件クラスの対応に精神的に疲弊し,徐々に抑うつ状態になっていたものと推認することができる。 校長の認識や認識可能性校長は,本件クラスが6月下旬には,児童がfに暴言を吐く等して反抗し,統制がききにくい状態となっていたことを認識すべきであり,そうした状態のクラスの担任の多くが精神的に疲弊することは経験則上明らかであるから,fの精神状態を注視すべきであった。 そして,校長は,学級経営アセスメント研修を実施し,fが本件クラスの状態にそぐわない抽象的な学級経営の方針しか提示していないことを認識しており(証人e調書38頁),また,fから,本件ルール作りの後,2,3日に1度という相当の頻度で本件クラスの状況を相談されるようになっていたことからすると,fが,本件ルール作りが,本件クラスの状況改善に特段の効果があげられず悩んでいたことを認識していた。また,fについて,他の職員から,9月ころから疲れている様子で れるようになっていたことからすると,fが,本件ルール作りが,本件クラスの状況改善に特段の効果があげられず悩んでいたことを認識していた。また,fについて,他の職員から,9月ころから疲れている様子であると心配の声が多く聞かれるようになったことからすると,fの様子を現認していた校長もfの上記状況を認識していたと推認される。校長は,fが振り返りアンケート結果を基に本件ルール作りをし,その結果の報告を受け,席替えという対策を話し合ったのであるから,レクリエーションを取り入れたにすぎないことを少なくとも認識可能であった。 そして,校長は,10月4日には給食時のbの状況を認識可能であり,これに対するfの対応について確認すべきであったから,同日には,fが対応できていないことを認識可能であった。 そうすると,校長は,fが,特に8月から9月以降,本件クラスの対応に悩み,徐々に精神的に疲弊していき,その結果十分な対応をすることができていないことを認識しており,本件ルール作りから1週間以上が経過した10月4日には,もはや担任として上記児童に対する一次的措置を講じることができないほど精神的に疲弊していたことを認識可能であったと認められる。 校長及びfの義務校長は,教諭のメンタル面の状況を把握して,教諭の精神疾患の予防,早期発見及び早期治療に努めるべき立場にあり,fから本件クラスの状況を相談された際,教諭としての仕事の仕方等について話すだけでなく,fのメンタルヘルスについてもアドバイスすべき立場にあった。 そして,上記認定事実からすると,校長は,遅くとも,fが精神的に疲弊していることを認識した8月から9月の時点で,fの負担を減らして強力なサポート体制を構築すると共にfに対して休養を取ることや医療機関等への相談や受診を勧め,それが可能な執務体制 も,fが精神的に疲弊していることを認識した8月から9月の時点で,fの負担を減らして強力なサポート体制を構築すると共にfに対して休養を取ることや医療機関等への相談や受診を勧め,それが可能な執務体制を構築するべきであったものであり,さらに,fがもはや担任として上記児童に対する一次的措置を講じることができない状態に至り,これを認識可能であった10月4日には,fを本件クラスの担任からはずす等して,fの精神疾患の予防あるいは早期発見に努め,もって,本件クラスの児童に対する教育環境の改善を図るべきであった。 また,f自身も,遅くとも上記各時点で上記体制を構築することや,担任を変える等するよう求めるべきであった。 しかし,fや校長は,以下のとおり,およそ上記具体的措置を講じず,その結果,本件悪口をやめさせ,給食時のbの孤立状況を予防解消したり,校外学習日の非難及び悪口をさせないようにしたりすることができず,bは,これにより精神的苦痛を蓄積していったと考えられることからすると,fや校長が,上記各時点までに上記具体的措置を講じていたら,それによりbの精神的苦痛は相当程度軽減されたものと認められる。したがって,校長及びfは,安全配慮義務を怠ったというべきである。 ア児童に対する措置fは,bの訴えがあった都度,Aや児童25等にそういうことは言うものではないと指導したことはあったが,本件悪口のうち具体的に何を把握していたか明らかではなく,本件クラスの児童10は,Aから一方的に蹴られ,児童25からぶった り蹴られたりし,児童13は,他の児童から突然頬をつねられたり,弱虫等とはやしたてられたり,別クラスの児童からではあるもののトイレの用具入れに閉じこめられたりしており,いずれも従前からいじめを受けていたと窺われるものの,fは学級の見立てにおい をつねられたり,弱虫等とはやしたてられたり,別クラスの児童からではあるもののトイレの用具入れに閉じこめられたりしており,いずれも従前からいじめを受けていたと窺われるものの,fは学級の見立てにおいて児童10及び13について記載せず,校長もこれを把握していたとは窺われないことや,bが本件小学校に転入した後,本件自死まで,いじめの実態把握のための児童に対するアンケートや,聞き取り等を行っていないことからすれば,fや校長は,そもそも本件クラスの児童の言動を把握することを怠っていたというべきである。 そのため,児童の言動の把握を前提とする適切な指導や本件悪口を言われたbに対するフォローもしておらず,f等による指導内容の検討等もしていない。 また,校長やfは,本件クラスが6月下旬には児童がfに反抗し統制がききにくい状態に至っていたにもかかわらず,7月13日の生活指導部会まで,これに対処し,解消するための具体的な対策の検討すらしていない。その後,校長は,本件クラスの上記状態に対処するために,8月になってfに学級の見立てを作成させた上で,学級経営アセスメント研修をしたが,学級の見立ては,児童に共通する特徴とし,bを含め友人関係に悩んでいる者がいると記載されてはいたものの,教諭にとって扱いにくい児童やリーダーになりきれない児童についての記載が主で,学級経営の方針としても,いかに教諭が学級経営をしやすくするかという観点から抽象的な方針を挙げるにとどまるというものであった。また,学級経営アセスメント研修も,同様に,fの統制がききにくくなった状態下において,悪口を言われやすい児童や友達づきあいの苦手な児童等を注視し,対応するという視点が欠けていた上,検討結果も抽象的で,学級の見立てをもとにしたにもかかわらず,どの児童にどのように働きかけていくかという具体 言われやすい児童や友達づきあいの苦手な児童等を注視し,対応するという視点が欠けていた上,検討結果も抽象的で,学級の見立てをもとにしたにもかかわらず,どの児童にどのように働きかけていくかという具体的な方策は挙げられていなかった。 さらに,校長は,その後も本件クラスの状態がなかなか改善されない状態が継続していたにもかかわらず,6年生に運動会の縦割り団別活動をさせることとしたものの,その具体的内容を児童らの意向に委ねてしまったほか,一部の授業について 交換授業やチームティーチングを行い,fの提案により本件ルール作りをしただけで,本件クラスを分解する等して,強いリーダーシップのもと本件クラスの状態を改善するための抜本的な措置を講じず,f自身も上記措置を講じなかった。 また,fは,bだけが一人で給食を食べていたことについても,一度席替えをしただけで,これが功を奏しなかったにもかかわらず,更なる効果的な措置を講じる等せず,校長も上記措置を講じなかった。 さらに,fは,校外学習日,bを漫然と帰宅させて,同日中には原告両名宅を訪問しておらず,翌日は,電話をかけ,原告両名宅を訪問したが,原告両名やbと話をしたり会ったりすることができず,給食時の座席についての指導内容やAに対して指導したこと等を,手紙を残す等して伝えることができたにもかかわらずこれをせず,校長もこれをしなかった。校長には,児童の気持ちに寄り添う姿勢が見受けられない。 イ教諭に対する措置校長は,8月から9月の時点で,教諭を対象として学級経営アセスメント研修を実施し,児童に縦割り団別活動をさせたり,合同で体育の授業をしたりし,fの提案により本件ルール作りをしたものの,fの負担を有意に減らして強力なサポート体制を構築する等はせず,fも自ら上記体制を構築等することを求めなかった。校 動をさせたり,合同で体育の授業をしたりし,fの提案により本件ルール作りをしたものの,fの負担を有意に減らして強力なサポート体制を構築する等はせず,fも自ら上記体制を構築等することを求めなかった。校長が,fのメンタル面に配慮し,fに対して休養を取ることや医療機関等への相談や受診を勧めたことを窺わせる証拠は一切ない。 また,校長は,10月4日以降,チームティーチングや交換授業を実施したものの,県教委からの代理教師派遣制度を利用せず本件小学校内で解決しようとし,しかも,あくまで一次的にはfが担任として児童に対する措置を講じる体制を維持した。fも自ら担任を変えるよう求めたりはしなかった。 5 自死回避義務違反(争点イ)と安全配慮義務違反と本件自死との相当因果関係(争点)について前項で検討したとおり,校長及びfに安全配慮義務違反が存したことは明らかで ある。 そこで,上記義務違反と本件自死との相当因果関係を検討するに,相当因果関係があるというには,具体的予見可能性が必要である。 本件自死当時,報道や文科省初等中等教育局長の通知(甲13,乙30の1・3・5・7)等によって,児童がいじめにより自死を図る例があることは周知されていたが,それだけでいじめを受けた児童が自死を図ることが具体的に予見可能であるということはできない。 本件自死について検討するに,まず,①bには,学校においても,家庭においても,自殺をほのめかす言動が一切なく,突然の態度の変化や,別れの準備をする行動,危険な行為の繰り返し,自傷行為に及ぶといった等の自殺の前兆行動は見受けられなかったこと,②上記認定の経緯からすると,bは,本件自死直前に首吊りを決意したと認められ,突発的に本件自死を図ったものであること,③本件悪口,仲間はずれ及び校外学習日の非難といったいじめ 受けられなかったこと,②上記認定の経緯からすると,bは,本件自死直前に首吊りを決意したと認められ,突発的に本件自死を図ったものであること,③本件悪口,仲間はずれ及び校外学習日の非難といったいじめを受ければ自殺するということが一般的なことということは困難なことからすると,fや校長は,本件自死を予見することはできなかったといわざるをえない。 そうすると,fや校長に,本件自死の具体的予見可能性の存在を前提とする自死回避義務違反があるということはできず,両名のいじめ防止義務違反と本件自死との間の相当因果関係があるということはできない。 以上検討してきたところによると,主位的請求のうち,安全配慮義務違反を根拠とする部分は,本件自死との間に相当因果関係があるといえないため,争点及びについて検討するまでもなく,理由がないが,いじめ防止義務違反を根拠とする予備的請求は,f及び校長の同義務の違反行為といじめ(本件悪口,給食時の仲間はずれ及び校外学習日における非難)による精神的苦痛との間に相当因果関係があるから,理由がある。 6 損害(争点)についてアそこで,いじめ防止義務違反を根拠とする予備的請求の損害について検討す るに,bに対する本件悪口の内容やその頻度,給食をbだけが一人で食べた回数やその状況,校外学習日に受けた非難及びそれらに対するf及び校長の違反行為等の状況からすると,bが受けた精神的苦痛は相当程度大きいものであったというべきで,これに対する慰謝料は,本件に現れた事情を考慮し,300万円とするのが相当である。 本件小学校は,義務教育を行う公立の小学校であるから,いかなる生活環境におかれた児童に対しても,その教育を受ける権利に応えなければならず,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における児童の安全の確 義務教育を行う公立の小学校であるから,いかなる生活環境におかれた児童に対しても,その教育を受ける権利に応えなければならず,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における児童の安全の確保に配慮すべき義務があり,いじめの対象となってよい児童は存在しない。 bに対する本件悪口や給食時及び校外学習日の状況について,bの側に過失相殺をすべき事由はない。 イ上記認定事実,証拠(原告本人)と弁論の全趣旨によれば,原告はbの実父と婚姻しておらず,bの実父はbを認知していないし,bは誰とも養子縁組届けを提出したこともないと認められ,bの相続人は,原告一人ということができる。 原告は,bの死亡により,上記bの損害賠償請求権を全部相続した。 ウそして,本件訴訟の経緯,認容額,審理の経過等を考慮すると,原告に発生した損害として,弁護士費用を,30万円と認めるのが相当である。 7 調査報告義務違反(争点)について 本件自死後の経過について(甲6,18,19,乙1ないし3,4の1ないし10,10,20ないし21の2,22,24,25,29,34,35,41,証人e,同f)ア原告は,hに対し,10月23日午後1時17分,「bが亡くなったから病院へ来てほしい。」と電話をかけ,学校側に本件自死が判明した。教頭は,同日,病院から被告桐生市の学校教育課長や警察署に本件自死を連絡した。 イ警察の聞き取りに対する教諭等の回答(乙4) 本件小学校の教諭等は,10月23日以降,警察から,本件自死について聴取され,市教委は,上記警察の聴取を受けた教諭等から,「警察から聞かれたこと」及び「どんなことを答えたか」についての聞き取りを行った。 ウ本件小学校が独自に,本件自死に関し,本件小学校の教諭等に対して,聞き取り調査をした の聴取を受けた教諭等から,「警察から聞かれたこと」及び「どんなことを答えたか」についての聞き取りを行った。 ウ本件小学校が独自に,本件自死に関し,本件小学校の教諭等に対して,聞き取り調査をした形跡はない。 エ bに対する手紙本件小学校の教諭は,児童に対し,10月25日(月曜日),全校集会において,bが自分で命を絶って亡くなった等と伝え,同日,全校児童がbに対し手紙を書き,各担任がその内容確認を行うこととした。 オ記者会見校長は,10月25日,本件自死について記者会見をし,「bが,給食の際,一人になってしまう状況があったため,席替えをして一緒に食べられるよう指導したが,うまくいかず,その後も一人で食べることがあった。一人になる場面が多かったのは運動会が終わった後からと聞いている。なぜ一緒に食べるのが嫌なのかについては今確認している。校外学習日の朝傷つける言葉を言った児童に対しては指導した。現時点ではいじめはなかったと把握している。一人で給食を食べていることは良くない状態だと把握していたが,いじめとは把握していない。」等と話した。 また,校長は,11月8日,再度本件自死について記者会見し,「嫌なことを言われた事実があった。」と話した。 カ原告は,校長や教頭に対し,10月28日,原告両名宅を訪問した際,「席替えをするなら仲の良い子とするとか,先生が一緒に入るとかなぜしてくれなかった。アンケートをとってもどうせ嘘なんだろう。」と話し,校長が,「一つ一つ確かめています。」と答えたが,原告は,「分かっているじゃないか。なぜfが来ないのか。来ないなら,私が学校へ行く。bの前でfに説明してもらいたい。」等と話した。 キ学校生活アンケートの実施と児童に対する聞き取り 学校生活アンケート本件小学校は,6年生を対象 のか。来ないなら,私が学校へ行く。bの前でfに説明してもらいたい。」等と話した。 キ学校生活アンケートの実施と児童に対する聞き取り 学校生活アンケート本件小学校は,6年生を対象に,10月29日,学校生活アンケートを実施し,翌30日,回答を集計した。このアンケートにおける質問事項等は,9月14日に文科省初等中等教育局児童生徒課長通知(乙30の8)により実施の必要性が指摘されたことから,本件小学校において実施予定であったと校長が述べるもので,本件自死を想定して作成されたものではなかった。 児童に対する聞き取り調査本件小学校は,11月4日,午後3時半から午後9時まで,6年生を対象として,学校生活アンケートをもとにして,質問事項を各教諭が検討することとして,一人ずつ面談を行い,翌5日,面談結果のまとめ作業を行った。 ク市教委に対する報告 校長は,市教委教育長に対し,11月7日,本件自死について,警察から聞かれたことについての教諭等からの聞き取り(乙4),学校生活アンケートの結果(乙2),児童に対する面談と聞き取り(乙3),jとmがつけていたノートをまとめたもの(乙6)や,指導要録及び出席簿を含むbについての記録を踏まえたものとして,以下のとおり校長所見を示して報告した(校長報告書)。 給食を一人で食べていたこと等について,当初はいじめと把握することができなかったが,児童との面談や教諭等からの聞き取りによって,複数の児童から心ない言葉を投げかけられたことや,校外学習日に一人で給食を食べていることを泣きながら訴えたことが判明し,bは,一人で給食を食べていたことについて精神的な苦痛を感じていたと考えられ,いじめがあったと判断するに至った。しかし,bのこれまでの学校生活の様子や,本件自死後の教職員からの聞き取り,児 が判明し,bは,一人で給食を食べていたことについて精神的な苦痛を感じていたと考えられ,いじめがあったと判断するに至った。しかし,bのこれまでの学校生活の様子や,本件自死後の教職員からの聞き取り,児童及び保護者からの情報からは,本件自死を予測することはできず,本件自死への直接的な原因となるものは特定できなかった。 以上 原告両名は,11月29日,桐生市情報公開室を通じて,校長報告書を入手した。 ケ第三者調査委員会 第三者調査委員会は,被告桐生市が提供した資料(主な資料は,乙1,2及び3の原本の写し,4ないし8,10ないし16,19,35,39,41ないし68のほか文献。但し,乙4の10を除く。)等を検討して委員会報告書を作成し,「本件小学校において起こった本件児童に対する言葉によるいじめや仲間はずれ,更には学級崩壊を背景にした給食問題や社会科見学での出来事などの一連の出来事は,本件自死の原因のひとつであるが,そうしたいじめ等の存在が唯一の原因で,本件児童が自殺をしたと判断することは相当ではない,いじめによる辛い思いが自殺の大きな要因のひとつであるとしても,これ以外の,家庭環境等の他の要因も加わり,自殺を決意して実行したと判断することが相当である。」とした。 第三者調査委員会が活動した結果,新たに判明した事実は存在しない。 義務の発生以下は,主に前記前提事実,前記2の認定事実及び上記認定事実を基に検討を進める。 ア在学中の児童が自死し,それが学校生活上の問題に起因する疑いがある場合,当該児童の保護者がその原因を知りたいと切実に考えるのは自然なことであり,公立小学校の設置者である地方公共団体と在学する児童の保護者との間には,公法上の在学契約関係が存在し,この在学契約関係の中 ,当該児童の保護者がその原因を知りたいと切実に考えるのは自然なことであり,公立小学校の設置者である地方公共団体と在学する児童の保護者との間には,公法上の在学契約関係が存在し,この在学契約関係の中で,教諭らは学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係において児童らを指導するのであるから,地方公共団体は,上記法律関係の付随義務として,児童が自死し,それが学校生活上の問題に起因する疑いがある場合は,必要かつ相当な範囲内で,速やかに事実関係の調査(資料保全を含む。)をし,保護者に対しその結果を報告する義務を負うべきである。被告両名も,原告に対する調査報告義務の存在自体は争っていない。 そして,この保護者には,養子縁組届けを提出していない場合であっても,事実上親として監護養育している者も含まれると考えるべきである。 イこれを本件にみるに,bは,本件自死の2日前に,本件小学校において「こ んな学校もう行きたくない,大嫌いだ。」と大声で泣いて訴え,その翌日学校を欠席したのであるから,本件自死が学校生活上の問題に起因する疑いのあることは明らかであり,被告桐生市は,本件自死当日に,本件自死を知らされた時点で,必要かつ相当な範囲内で,速やかに事実関係の調査をし,保護者に対しその結果を報告する義務を負ったものである。 原告は,bの事実上の親であり,bを1歳のときから本件自死に至るまで監護養育していた者であるから,bの母である原告と共にbの保護者といえ,10月28日,校長や教頭に対し,bの前でfに説明してもらいたい等と話し,かつ,本件自死の原因について,調査報告を求めていた。 したがって,本件小学校の設置者である被告桐生市は,原告両名に対し,公立小学校に通う児童の保護者であった者に対する義務として,bの自死が学校生活上の問題に起因 原因について,調査報告を求めていた。 したがって,本件小学校の設置者である被告桐生市は,原告両名に対し,公立小学校に通う児童の保護者であった者に対する義務として,bの自死が学校生活上の問題に起因するか否かについて調査し,その結果を報告する義務を負ったことになる。 もっとも,被告桐生市,そして本件小学校の教諭らや市教委の委員らは,公務として,上記同様の調査義務を負い,実際調査を行っていたのであるから,それが必要かつ相当な範囲の調査であり,調査の結果を原告両名に報告していれば,上記調査報告義務の違反にはならないと考えられる。 調査報告義務違反の有無等についてア原告両名が本訴提起前に入手した資料は,校長報告書のみである。そこで,校長報告書及びその前提となった本件小学校独自の調査が必要かつ相当な範囲であったか否かについて検討する。 本件小学校は,本件自死後,学校生活アンケートを実施し,これを基に児童に対する聞き取りを行っている。 しかし,学校生活アンケートの質問事項は,本件自死を念頭に置いて作成されたものではなく,6年生を対象に行った児童に対する聞き取りは,上記アンケートの結果をもとにして実施された上,聞き取り事項については実施する各教諭に委ねら れたことから,bが5年生時に臭いと言われたと訴えた際のうしろの席の児童に,その当時のことを聞いておらず,bと一緒に給食を食べた児童11にbだけが一人で給食を食べ始めてから一度しか一緒に食べなかった理由を聞いていない(乙3)等具体的に判明している事実について踏み込んだ聞き取りが行われていない。そして,bが本件悪口を言われたり,給食を一人で食べるようになったりした経緯,bの交友関係の実情やbに対する他の児童の感情等,問題の背景に踏み込んだ十分な聞き取りが行われたとは言い難いもので ない。そして,bが本件悪口を言われたり,給食を一人で食べるようになったりした経緯,bの交友関係の実情やbに対する他の児童の感情等,問題の背景に踏み込んだ十分な聞き取りが行われたとは言い難いものであった。 本件自死に関し,原告両名に対する聞き取りはされていない。 校長報告書は,市教委教育長宛の報告書であるのに,本件小学校の教諭等の認識については,市教委が実施した警察から何を聞かれたかについての聞き取りといういわば組織防衛を目的としたものを基に作成されており,児童アンケートや児童からの聞き取りを基にした聞き取りもしていない,事案解明の聞き取りとしては,不十分なものであった。 また,本件クラスにおいては,本件自死の約1月前に,本件ルール作りのために,本件クラスについてどのように思っているか,どのような点を改善した方が良いと思うか,教諭に何を求めるかについて回答を求める振り返りアンケートを実施しているが,本件小学校が,このアンケートの集計結果(乙40)やbを含む各児童の回答を,被告桐生市に報告すべき対象として調査した形跡はない。 ここで,この振り返りアンケートの回答書の資料としての重要性等について言及する。 被告桐生市は,本訴において,振り返りアンケートの集計結果(乙40)だけを提出し,本件クラスの児童の回答書自体を提出しないが,この回答書は,fが,これを廃棄したとは証言していないこと(証人f調書28頁「あるとすれば学校内」)から,少なくともfが休職を開始した本件自死後の平成22年11月12日までは存在したと認められる。 上記回答書は,本件自死の約1月前,bが一人だけで給食を食べ始めた9月28 日(火曜日)の4日前の金曜日に,bが,本件クラスについてどのように思っていたか,「本件クラスの人達があなたに親切にしてくれ 回答書は,本件自死の約1月前,bが一人だけで給食を食べ始めた9月28 日(火曜日)の4日前の金曜日に,bが,本件クラスについてどのように思っていたか,「本件クラスの人達があなたに親切にしてくれると全く思わない」と回答した児童5名に含まれるのか否か等を知ることのできる,本件自死の背景を調査するにあたって重要な資料であることは明らかである(したがって,仮に,本件小学校において,これを廃棄したとすれば,それ自体,重大な調査報告義務違反にあたるというべきものである。)。 そして,振り返りアンケートの実施やこれに基づく本件ルール作りに関わった者(f,n及び教頭)及びそれらの報告を受けた校長は,本件自死を知らされた時点で,bの振り返りアンケートの回答内容を確認すれば,容易かつ迅速に,そして本件クラスの児童の心情に影響させずに,bの心情等を知り得る可能性のあることに気付いたものと推測される。しかるに,校長報告書には,本件ルール作りに関する記載はあるが,振り返りアンケートに関する記載は一切ない。 校長報告書(甲6)は,その半分以上を本件自死後における学校の対応について記載したものであり,本件クラスの状況や学校がとった対策,bが他の児童から悪口を言われていたことや,給食時の様子及び校外学習日の様子を羅列しただけのものであって,校長報告書における聞き取り調査の結果の分析は不十分なもので,問題の背景に踏み込んだ考察が記載されているとはいえないものである。 しかも,校長報告書には,①bのことをいじめられるというよりも放っておかれたという児童がいた旨記載されているが,その児童は,同時に②bが「他の子に声をかけていたが,『また後で』と言われ続けていたので,だんだん疎遠になった」とも述べているのに,上記①のみを記載したものであった。 すなわち,校長報告 ているが,その児童は,同時に②bが「他の子に声をかけていたが,『また後で』と言われ続けていたので,だんだん疎遠になった」とも述べているのに,上記①のみを記載したものであった。 すなわち,校長報告書は,事案解明に積極的に取り組み,その結果を記載したものとは言い難いものであった。 したがって,原告両名が,桐生市情報公開室を通じて,校長報告書を入手したとしても,被告桐生市が調査報告義務を果たしたということはできず,原告両名に対する上記義務不履行に基づく損害賠償債務を免れることはない。 イ第三者調査委員会 被告桐生市は,12月,本件自死といじめとの因果関係について第三者の立場から公平かつ客観的に調査し,結果を報告することを目的として第三者調査委員会を設置した。 そして,第三者調査委員会として,上記目的にそう調査報告をするためには,被告桐生市から提出された資料を検討するだけではなく,あるべき資料がすべて提出されているか確認し,不足があればその提出を求め,本件小学校が実施した教諭や児童に対する聞き取りが不十分である場合には,これを補足するための聞き取りを実施すること等が必要である。 被告桐生市が,第三者調査委員会に提供した資料の一つである平成22年3月付け平成21年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ添付の資料(児童生徒の自殺の背景調査に関する検討状況について)(乙65)は,自死の背景調査において,たとえ学校にとって不都合なことであっても事実を明らかにしていく姿勢が重要であることや,報告書の作成及び公表において,できる限り背景に何があったのか事実を調べていくことが基本であること等を指摘している。 したがって,本訴提起後といえども,第三者調査委員会において,上記目的にそう調査がされ,その結果が,原告両名 ,できる限り背景に何があったのか事実を調べていくことが基本であること等を指摘している。 したがって,本訴提起後といえども,第三者調査委員会において,上記目的にそう調査がされ,その結果が,原告両名に対し提供されれば,被告桐生市の原告両名に対する調査報告義務を果たしたということができる。 そこで検討するに,被告桐生市は,第三者調査委員会に対し,本訴で提出した証拠のうち,f作成の学級の見立て(乙17),学級経営アセスメント研修の写真(乙18),振り返りアンケートの集計結果(乙40)を当時所持していたにもかかわらず提供せず,また,振り返りアンケートのbを含む児童の回答書については,当時所持していたか明らかではないものの,提供しなかった。 被告桐生市が提供しなかった上記資料は,本件クラスの状況やこれに対する学校の対処,本件自死の約1月前にbの心情等を示すもので本件自死の背景を調査するにあたって重要な資料である。そして,本件クラスの状況やこれに対する学校の対 処については,被告桐生市が第三者調査委員会に対し提出した児童からの聞き取り結果(乙3)や,本件クラスの指導事項等のまとめ(乙19の1・2)によってもある程度明らかにはなるものの,本件自死の約1月前のbの心情については,振り返りアンケートの集計結果(乙40)やbを含む児童の回答書に代替しうる資料はない。 そうすると,第三者調査委員会は,「平成22年度本件クラス関係指導事項等まとめ」と題する書面(乙19の1)の提供を受けて,振り返りアンケートが行われたことを認識できる状態にあり,少なくともその集計結果については,存在するにもかかわらず,被告桐生市から提供されなかったのであるから,これを提供するよう求めた上,本件自死の約1月前のbの心情を踏まえた更なる調査をし,これを前提として調査結 の集計結果については,存在するにもかかわらず,被告桐生市から提供されなかったのであるから,これを提供するよう求めた上,本件自死の約1月前のbの心情を踏まえた更なる調査をし,これを前提として調査結果を報告すべきであった。しかし,第三者調査委員会は,振り返りアンケートの提供を求めていない。 また,第三者調査委員会は,校長報告書中の記載に加え,被告桐生市から提供を受けた資料(乙4の2,19の1,42)のなかから,本件ルール作りが行われたことを認識することができたのに,本件ルールの内容を調査しようとした形跡がない(第三者調査委員会が調査した期間であれば,本件小学校の教諭(f,n,教頭及び校長),本件クラスの児童等,大勢の者が本件ルールの内容を記憶していたと思われ,第三者調査委員会が本件ルールの内容を調査していれば,本訴においても事実認定することが可能になったと思われる。)。 さらに,前記のとおり,本件小学校が実施した児童に対する聞き取り及び市教委の本件小学校の教諭等からの聞き取りは,不十分なものだったのであるから,第三者調査委員会は,これを補足するために自ら聞き取りをするか,教諭等に対し再度の聞き取りを求めるべきであったにもかかわらず,していない(弁論の全趣旨)。 以上によれば,第三者調査委員会においては,重要な資料を踏まえず,必要な補足調査も行われていないから,適正な調査報告がされたということはできない。 そして,新たな事実調査が行われず,その結果,第三者調査委員会が設置された ことにより新たに判明した事実は存しないまま,第三者調査委員会から,本件自死について,家庭環境等の他の要因も加わり,自死を決意して実行したと判断することが相当であるとの結論が示されたものであるから,被告桐生市が原告両名に対する調査報告義務を果たしたというこ から,本件自死について,家庭環境等の他の要因も加わり,自死を決意して実行したと判断することが相当であるとの結論が示されたものであるから,被告桐生市が原告両名に対する調査報告義務を果たしたということはできず,原告両名に対する上記義務不履行に基づく損害賠償債務を免れることはない。 ウ本訴提起 原告両名は,本訴を提起し,被告桐生市から提出された証拠の写しとして,学校生活アンケートの集計結果(乙2),児童に対する面談と聞き取りの結果(乙3),教諭等からの聞き取り(乙4),jとmがつけていたノートをまとめたもの(乙6),被告桐生市教育委員会作成のbに関する資料(乙7),教育相談部会の資料(乙8),生活指導の報告等(乙8,11,12),学級の見立て(乙17),「平成22年度本件クラス関係指導事項等まとめ」と題する書面(乙19の1),学級振り返りアンケートの集計結果(乙40)及び本件小学校が第三者調査委員会に対して提供した資料の一部(乙41ないし48)を入手した。 すなわち,原告両名は,本件訴訟を提起したことにより,本件小学校の調査結果の一部及び被告桐生市が第三者調査委員会に対して交付した資料を入手することができたものであり,このことは,被告桐生市の訴訟代理人らが,自らの守秘義務と児童らのプライバシーに配慮しながらも,真実義務を可能な限り果たそうとした結果ということができる。このように資料が提供されたことは,被告桐生市の原告両名に対する調査報告義務については,元々の調査が不十分であったため,全部履行されたということにはならないが,損害賠償債務の減額事由にはなると考えられる。 しかし,被告桐生市は,振り返りアンケートの集計結果(乙40)について,それがbに対する他の児童の言動等を調査する目的で実施されたものではないものの,本件自死の約 額事由にはなると考えられる。 しかし,被告桐生市は,振り返りアンケートの集計結果(乙40)について,それがbに対する他の児童の言動等を調査する目的で実施されたものではないものの,本件自死の約1月前に行われた本件クラスの状況等を示すアンケートの集計結果であり,bの心情を推し量る重要な資料であることが明らかであるにもかかわらず,その重要性が分かりにくい状態のまま訴訟を進行させ(校長報告書のみならず, f作成の陳述書(乙22)にも,上記振り返りアンケートに関する記載は一切ない。),当裁判所が提出を求めるまで提出せず,かつ,アンケート回答書そのものを提出しなかったものであり,このことは,被告桐生市が基本的に本件の実態を明らかにする姿勢に欠けていることの表れとも考えられる。 そして,原告両名にとっては,口頭弁論終結直前になって,被告桐生市が第三者調査委員会に対して提供した資料(甲42。別紙1は甲42のうち,原告両名が認めた部分を表示したもの。)を提出したことにより,ようやくbだけが一人で給食を食べていた回数が9回であることが判明するなど,被告桐生市が原告両名に対する報告義務の履行に終始消極的態度であるのは顕著である。 エ原告両名に交付された,本件小学校の5年生の2名の児童が,本件自死後,bに宛てた手紙に,「自殺しなくてもよかったのに,いじめた人は,本当に最低でいじめられたときは相当苦しかったでしょう」,「本件小学校からいじめをなくしたいです」とそれぞれ記載したにもかかわらず,後から消されている(甲27の1・2)が,児童が自らの意志で消したとは考え難いことから,手紙の内容を確認した教諭の指導に従って消したと推認され,これは,本件小学校において,本件自死の原因を明らかにする積極的姿勢を欠いていたことを示すものである。 オ以上のとおり は考え難いことから,手紙の内容を確認した教諭の指導に従って消したと推認され,これは,本件小学校において,本件自死の原因を明らかにする積極的姿勢を欠いていたことを示すものである。 オ以上のとおり,本件自死についての本件小学校独自の調査も,第三者調査委員会の調査も不十分であるといわざるをえず,そのため,本訴提起により原告両名に対して証拠として提供された資料も不十分なものであるため,調査報告義務違反による損害賠償債務が免ぜられることはない。 カ原告両名の主張について原告両名は,校長が平成22年10月25日の記者会見においていじめを否定したことについて,調査報告義務に違反すると主張する。 しかし,上記記者会見は,本件自死のわずか2日後に行われたもので,その時点で判明していた,bの給食時の状況や校外学習日に傷つくことを言われたことについては明らかにした上で,未だ事実関係を調査中であることを前提に,現時点では いじめがなかったと把握していると述べたものであると考えられることからすると,上記発言をとらえて,虚偽の事実を報告したもので,報告義務に違反したとまでいうことはできない。 また,原告両名は,被告桐生市が第三者調査委員会に対し,jとmのノートの記載を全て提出せずに,記載を抜粋した書面だけを提出したことをもって,調査確認義務違反であると主張するものとも解されるが,他の児童のプライバシー保護のために抜粋する必要はあり,抜粋する過程で記載の趣旨等が変わったと認めることはできないから(証人j),上記原告両名の主張は採用することができない。 8 調査報告義務違反による損害(争点)について 原告両名は,被告桐生市に原告両名に対する調査報告義務違反があり,現在に至っても本件自死の約1月前のbの心情が明らかにならず,被告桐生市の本件自死 調査報告義務違反による損害(争点)について 原告両名は,被告桐生市に原告両名に対する調査報告義務違反があり,現在に至っても本件自死の約1月前のbの心情が明らかにならず,被告桐生市の本件自死の原因に迫った調査を回避する態度により,悲しみをより深めることなった。しかも,第三者調査委員会の調査結果という,一見客観性が担保され信用性があるように受け止められる報告において,何ら新たな事実の判明もないまま本件自死には家庭環境等にも一因があるとの結論が出されることとなった。その一方で,本訴を提起することにより,本件小学校独自の調査結果の一部を入手することができた。 上記各事情を考慮すると,被告桐生市の調査報告義務違反により原告両名が被った精神的苦痛を慰謝するに足りる額は,原告両名それぞれについて,本訴状送達日の時点において各50万円とするのが相当である。 そして,弁護士費用は,認容額,審理の経過等,特に,原告両名にとって,弁護士に依頼して本訴を提起し遂行した結果,入手できた資料が存在し,本訴を提起した意義が存したものの,上記7ウ記載のとおり,それが減額事由となり認容額に影響したことからすると,原告両名それぞれについて各10万円と認めるのが相当である。 また,被告桐生市の調査報告義務違反は,被告群馬県が給与等を負担する本件小学校の校長等の不十分な調査報告を含む,一連の行為であるから,被告群馬県 も原告両名の上記損害を賠償する責任を負う。 9 結論以上認定判断したところによれば,被告桐生市は,国家賠償法1条1項に基づき,被告群馬県は,校長やfの給与を負担するものとして同法3条1項に基づき,原告に対し390万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務 は,校長やfの給与を負担するものとして同法3条1項に基づき,原告に対し390万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成23年1月20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負い,原告に対し60万円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。原告両名の請求は,上記限度で理由があり,その余の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとして主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官原 道子 裁判官樋口隆明 裁判官安田裕子 別紙2 1 平成18年10月19日付け通知(甲13,乙30の1)いじめの早期発見及び早期対応として,学級担任等の特定の教諭が抱え込むことなく学校全体で組織的に対応することが重要であること,事実関係の究明に当たっては,当事者だけでなく,保護者や友人関係等からの情報収集等を通じ,正確かつ迅速に行う必要があること,学校のみで解決することに固執せず,いじめを把握した場合,速やかに保護者及び教育委員会に報告し,適切な連携を図ること等に留意し,児童の生活実態を,聞き取り調査や質問紙調査を行うなどしてきめ細かく把握することに努めているか等点検すべきである。 いじめを許さない学校づくりとして,いじめられている児童については,学校が徹底して守り通すという姿勢を日頃から示すことが重要であること,いやしくも教職員自身が他の児童によるいじめを助長することがないようにすること等に留意すること。 2 平成19年2月5日付け通知(乙30の3)問題行動を起こす児童への対応としては,第一に未然防止と早 くも教職員自身が他の児童によるいじめを助長することがないようにすること等に留意すること。 2 平成19年2月5日付け通知(乙30の3)問題行動を起こす児童への対応としては,第一に未然防止と早期発見・早期対応の取組が重要で,学校は問題を隠すことなく,教職員一体となって対応し,教育委員会は学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備することが重要で,保護者等の理解と協力を得て,地域ぐるみで取り組めるような体制を進めていくことが必要である。 3 平成20年11月20日付け平成19年度調査結果(乙30の5)アンケート調査の実施は,いじめを認知した学校で74.6パーセント,認知していない学校で57.6パーセント,個人面談がいじめを認知した学校で88.0パーセント,認知していない学校で70.3パーセントであった。 4 平成21年11月30日付け平成20年度調査結果についての通知(乙30の7)いじめの発見のきっかけは,本人からの訴えが24.6パーセントで最も多く, アンケート調査など学校の取組による発見は24.4パーセント,学級担任が発見は19.8パーセントであった。 アンケート調査の実施は,いじめを認知した学校で73.6パーセント,認知していない学校で57.5パーセント,個人面談がいじめを認知した学校で87.7パーセント,認知していない学校で71.1パーセントであった。 5 平成22年9月14日付け平成21年度調査結果(乙30の8)調査結果から,いじめを認知した学校と認知していない学校との間で,依然としていじめ実態把握のための取組に差がみられることや,アンケート調査の実施について,平成18年度との比較で5.6ポイント減少しているなどの状況が見られる。 こうした中でいじめの認知件数が減少し,またいじめを認知していない学校数が 組に差がみられることや,アンケート調査の実施について,平成18年度との比較で5.6ポイント減少しているなどの状況が見られる。 こうした中でいじめの認知件数が減少し,またいじめを認知していない学校数が増加していることを思慮すると,学校がいじめを認知できていないケースがあるのではないかと懸念される。 いじめの問題への取組の基本である早期発見・早期対応の前提条件となるいじめの実態把握については,各学校は,いじめはどの学校でもどの子どもにも起こりうるものであることを再度認識し,定期的に児童から直接状況を聞く機会を確実に設ける必要がある。その手法として,「アンケート調査」を実施した上で,これに加えて,各学校の実情に応じて,「個別面談」「個人ノートや生活ノートといったような教職員と児童との間で日常行われている日記等の活用」など,更に必要な取組を推進すること。 また,各教育委員会は,所管の学校におけるいじめの実態把握の取組状況を点検し,全ての学校に対して「アンケート調査」の実施を求めるとともに,更なる取組を行うよう必要な指導・助言に努めること。
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