平成8(行ウ)130 固定資産評価審査決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成12年11月17日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文35,881 文字)

主文 一被告が原告に対し平成八年三月二二日付けでした別紙目録1記載の土地に係る平成六年度固定資産課税台帳の登録価格についての審査申出に対する決定を取り消す。 二訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第一請求一主文一項と同旨二被告が原告に対して平成八年三月二二日付けでした審査決定に係る別紙目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)に対する平成六年度固定資産課台帳の登録価格のうち同目録2記載の平成五年度の登録価格を上回る部分を取り消す。 (なお、原告は、本訴請求の趣旨として、右一、二項のとおり申し立て、右各請求の関係は選択的併合であるとする。 しかし、後記のとおり、地方税法(以下「法」という。)は、二項の請求のように固定資産評価審査委員会のした決定のうちの価格の一部のみを取り上げて、その取消しを求めることを予定していないというべきであること、一項、二項の各請求において、原告が違法事由として主張するところは、いずれも、原告が平成六年一月一日における本件土地の適正な時価と考える価格(平成五年度固定資産課税台帳の登録価格と同一の価格)を、被告の決定した価格が上回るという点にあること、原告は、各請求の関係を選択的併合であるとして、違法事由が認められる場合に、いずれの請求を認容するかを裁判所にゆだね、二項の請求に固執するものではないことを明らかにしていることからすると、原告の右各請求は、平成五年度固定資産課税台帳の登録価格を上回る点において被告の審査申出に対する決定には違法があると主張して、右決定の取消しを求めているものと理解するのが相当であり、結局、これらの両請求は同一の請求と理解するのが相当である。 すなわち、法は、固定資産税の納税者が、その納付すべき固定資産税に係る資産について固定資産課税台帳に登録され のと理解するのが相当であり、結局、これらの両請求は同一の請求と理解するのが相当である。 すなわち、法は、固定資産税の納税者が、その納付すべき固定資産税に係る資産について固定資産課税台帳に登録された一定の事項について不服がある場合には、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(法四三二条一項)とする一方、同委員会は、右申出を受けた場合においては、直ちにその必要と認める調査、口頭審理その他の事実審査を行い、その申出を受けた日から三〇日以内に審査の決定をし、決定のあった日から一〇日以内に、申出人及び市町村長(東京都の特別区においては、法七三四条一項の規定により、東京都知事。以下同じ。)に文書をもって通知しなければならないとし(法四三三条一項、一二項(平成一一年法律第一五号による改正前の法においては同条八項。以下、同じ。))、右の決定に不服がある固定資産税の納税者は、その取消しの訴えを提起できるとしている(法四三四条一項)。右のとおり、取消訴訟の対象である固定資産評価審査委員会の決定は、固定資産課税台帳に登録された一定の事項についての審査申出人の不服申立てに対する同委員会の応答としてされるものであり、また、右決定において判断された価格は、後記のとおり、基準年度に係る賦課期日における当該固定資産の適正な時価という一個の評価的事実であるから、法は、右価格を可分なものであるとして、その一部に関する部分のみが取消訴訟において争われ、残部が別途に確定するという事態は予定していないというべきである。もし仮に同委員会の決定が可分なものであって、その一部のみの取消しを訴求することが認められるとすると、請求が認容された場合には、同委員会は審査申出に対して応答すべき義務の履行として改めて当該部分についての決定を行うべきこととなるが(行政事件訴訟法 部のみの取消しを訴求することが認められるとすると、請求が認容された場合には、同委員会は審査申出に対して応答すべき義務の履行として改めて当該部分についての決定を行うべきこととなるが(行政事件訴訟法三三条二項)、その結果、右の新たな決定と訴訟の対象とならなかった決定の残部の両方が存在することとなり、これらの間の論理的な整合も期し難い結果を招来することとなり、実際上も不都合であると解される。 これに対し、判決において決定のうちの価格の一部又は全部を取り消した場合には、その部分については、固定資産評価審査委員会が改めて決定する義務は生ぜず、決定のうち取り消されなかった部分のみの効力が存続すると考える余地もなくはないが、右のような考え方は、行政事件訴訟法三三条二項の規定に反するうえ、審理の結果、係争部分の具体的な価格について真偽不明となれば、立証責任の原則に従い、右請求に係る部分の価格全部を取り消すべきこととなり、改めて同委員会の決定も行われないため、右の係争部分の価格は零円として確定することになると解さざるを得なくなるが、そのような結果が不合理であることは明らかであり、右の考え方を採用することはできない。 むしろ、法は、固定資産評価審査委員会の決定については、市町村長に対しても、右決定を文書をもって通知するものとし(法四三三条一二項)、市町村長は、その結果、既に固定資産課税台帳に登録された価格等を修正する必要があるときは、右通知を受けた日から一〇日以内にその価格等を修正して登録し、その旨を当該納税者に通知すべきものとしたほか(法四三五条一項)、同項の規定によって価格等を修正した場合においては、市町村長は、固定資産税の賦課後であっても、その修正した価格等に基づいて、既に決定した賦課額を更正すべきことを義務づけている(同条二項)が、判決の結 同項の規定によって価格等を修正した場合においては、市町村長は、固定資産税の賦課後であっても、その修正した価格等に基づいて、既に決定した賦課額を更正すべきことを義務づけている(同条二項)が、判決の結果に基づいて、直ちに市町村長が固定資産課税台帳に登録された価格等を修正すべき事態が生じることを予定した規定は設けられていないことからすれば、法は、取消訴訟において固定資産評価審査委員会の決定のうち価格の認定に誤りがあると判断された場合には、改めて同委員会による決定がされることを前提としているというべきである。 ちなみに、固定資産評価審査委員会の決定が不可分であると解した場合、同委員会が認定した価格が「適正な時価」を上回るとして同委員会の決定を取り消す旨の判決がなされ、その理由中で「適正な時価」が具体的に認定判断されているときには、同委員会は、右判断の拘束を受けたうえで、改めて決定を行うべきこととなる。)第二事案の概要本件は、原告がその所有に係る本件土地の平成六年度の土地課税台帳に登録された価格(原告の審査申出に対する被告の決定により変更されたもの)が「適正な時価」を上回ると主張して、被告の右決定の取消しを求めている事案である。 一前提となる事実 1 原告は、本件土地の所有者であって、本件土地の固定資産税の納税義務者である。 (争いがない事実) 2 本件土地の平成五年度土地課税台帳の登録価格は別紙目録2記載のとおりであったが、東京都知事は、本件土地の平成六年度の価格を別紙目録3記載のとおり決定し、東京都渋谷都税事務所長は、これを土地課税台帳に登録した。 (甲一) 3 原告は、平成六年四月一八日、被告に対し、右平成六年度登録価格を不服として、審査の申出をしたのに対し、被告は、平成八年三月二二日、本件土地の平成六年度の価格を別紙目録4記載の 録した。 (甲一) 3 原告は、平成六年四月一八日、被告に対し、右平成六年度登録価格を不服として、審査の申出をしたのに対し、被告は、平成八年三月二二日、本件土地の平成六年度の価格を別紙目録4記載のとおり変更する旨決定した(以下「本件決定」という。)。 二法令の定め等 1 固定資産(土地)評価に関する法の規定等(一) 土地に対して課する基準年度(本件では平成六年度である。)の固定資産税の課税標準は、当該固定資産の基準年度に係る賦課期日(当該年度の初日の属する年の一月一日、本件では平成六年一月一日である。法三五九条)における価格であり、右価格とは「適正な時価」(法三四一条五号)であって、土地課税台帳又は土地補充課税台帳(以下、これらを併せて「土地課税台帳」という。)に登録されたものである(法三四九条一項)。 (二) 土地課税台帳に登録される価格(以下、この価格を「登録価格」という。)の決定に際しての固定資産の評価については、自治大臣が、評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定め、告示しなければならないものとされ(法三八八条一項前段)、固定資産評価基準(昭和三八年一二月二五日自治省告示第一五八号。以下「評価基準」という。)が告示されている。 そして、市町村長は評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないとされ(法四〇三条一項)、固定資産の価格等を決定し、価格等を登録した場合には、その結果の概要調書を作成し、毎年四月中にこれを道府県知事に送付しなければならず(法四一八条)、道府県知事は右価格の決定が評価基準によって行われていないと認める場合においては、当該市町村長に対し、登録価格を修正して登録するよう勧告するものとされ、自治大臣は右勧告をするよう指示するものとされている(法四一九条一項、四二二条の二第一項)。 評価基準の取扱 る場合においては、当該市町村長に対し、登録価格を修正して登録するよう勧告するものとされ、自治大臣は右勧告をするよう指示するものとされている(法四一九条一項、四二二条の二第一項)。 評価基準の取扱いに関しては、自治事務次官の依命通達(「固定資産評価基準の取扱いについて」昭和三八年一二月二五日自治乙固発第三〇号。以下「取扱通達」という。)が発せられている。 なお、自治大臣は、市町村長に対して、固定資産の評価に関する資料の作成又は助言による技術的援助を与えなければならず、また、道府県知事も、自治大臣の作成した資料の使用方法についての指導又は評価についての助言を与えなければならない(法三八八条三項、四〇一条)とされているが、これらは、自治大臣又は道府県知事に市町村の徴税吏員又は固定資産評価員に対する指揮権限を与えるものではない(法四〇二条)。 (三) 市町村長は、固定資産評価員から所定の手続きによる土地の評価に係る評価調書を受理したときは、毎年二月末日までに評価基準によって固定資産の価格等を決定し、これを土地課税台帳に登録しなければならない(法四一〇条、四一一条一項)。 2 評価基準が定めている宅地の評価方法の概要は、平成六年度においては、次のとおりである(評価基準第1章第3節)。 (一) 地目の現況が宅地である場合の土地の評価は、各筆の宅地について評点数を付設し、当該評点数を評点一点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法による。なお、本件土地での評点一点当たりの価額は一円である。 (二) 各筆の評点数は、市町村の宅地の状況に応じ、主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」によって、主として市街地的形態を形成するに至らない地域における宅地については「その他の宅地評価法」によって付設する。 (三) 市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」によって、主として市街地的形態を形成するに至らない地域における宅地については「その他の宅地評価法」によって付設する。 (三) 「市街地宅地評価法」による宅地の評点数の付設(1) 市町村の宅地を商業地区、住宅地区、工業地区、観光地区等に区分し、当該各地区について、街路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等からみて相当に相違する地域ごとに区分し(以下、右のとおり区分される状況が類似した地域を「状況類似地区」という。)、当該地域の主要な街路に沿接する宅地のうち、奥行、間口、形状等の状況が当該地城において標準的なものと認められる標準宅地を選定する。 (2) 右標準宅地について、売買実例価額から評定する適正な時価を求め、これに基づいて当該標準宅地の沿接する主要な街路について路線価を付設し、これに比準して主要な街路以外のその他の街路の路線価を付設するものとする。その際には、主要な街路の路線価を基礎とし、主要な街路に沿接する標準宅地とその他の街路に沿接する土地との間における宅地利用上の便等の相違を総合的に考慮する。 (3) そして、各筆の宅地の評点数は、その沿接する路線価を基礎とし、各筆につき評価の対象とすべき画地を認定し、奥行のある画地、正面と側面あるいは裏面等に路線がある画地等の状況に従って、所定の補正を加える方式(画地計算法)を適用して付設する。 3 平成六年度の評価替えに関する通達等(一) 自治事務次官は、平成六年度評価替えにあたり、取扱通達を一部改正する旨の通知(平成四年一月二二日自治固第三号。以下「七割評価通達」という。)を各都道府県知事あてに発した。 右通知の骨子は、土地の評価は、売買実例価額から求める正常売買価格に基づいて適正な時価 する旨の通知(平成四年一月二二日自治固第三号。以下「七割評価通達」という。)を各都道府県知事あてに発した。 右通知の骨子は、土地の評価は、売買実例価額から求める正常売買価格に基づいて適正な時価を評定する方法によるものであるとしていた従前の通達に、宅地の評価に当たっては、地価公示法による地価公示価格、国土利用計画法施行令による都道府県地価調査価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格を活用することとし、これらの価格の一定割合(当分の間この割合を七割程度とする。 )を目途とする、というものである。 (乙一)(二) そして、自治省税務局資産評価室長は、地価変動に伴う艦定評価価格の修正について、「平成六年度評価替え(土地)に伴う取扱いについて」と題する通知(平成四年一一月二六日自治評第二八号。以下「時点修正通知」という。)を各都道府県総務部長、東京都主税局長あてに発した。 これは、平成六年度の評価替えは、平成四年七月一日を価格調査基準日として標準宅地について鑑定評価価格を求め、その価格の七割程度を目標に評価の均衡化・適正化を図ることとしているが、最近の地価の下落傾向に鑑み、平成五年一月一日時点における地価動向も勘案し、地価変動に伴う修正を行うこととする、というものである。 (乙三) 4 東京都特別区における評価方法東京都特別区においては、東京都知事が固定資産の価格を決定するものとされ(法七三四条一項、四一〇条)、評価の方法については、評価基準及び七割評価通達を取り込んだ東京都固定資産(土地)評価事務取扱要領(昭和三八年五月二二日主課固発第一七四号主税局長決裁。以下「取扱要領」という。)及び東京都土地価格比準表(以下「比準表」という。)によることとされていた(以下、評価基準、取扱通達、七割評価通達、取扱要領及 年五月二二日主課固発第一七四号主税局長決裁。以下「取扱要領」という。)及び東京都土地価格比準表(以下「比準表」という。)によることとされていた(以下、評価基準、取扱通達、七割評価通達、取扱要領及び比準表を「評価基準等」という。)。 (乙四、同八)三本件決定の根拠(被告の主張。なお、当該事実について当事者間に争いがない事項は、その旨を末尾に記載した。) 1 本件土地の地目本件土地の登記及び現況地目はいずれも宅地であり、主として市街地的形態を形成する地域における宅地に該当する。 (争いがない事実)そこで、被告は、本件決定に当たっては、市街地宅地評価法により評価した。 2 本件土地が属する地域の用途地区区分本件土地の付近は、日常生活圏の中心地で、概して街路沿いのみに多種類の店舗が連なっているが、高度商業地区、繁華街に比べ資本投下量が少ない店舗が連なっている地区に該当する。 (争いがない事実)そこで、被告は、本件決定に当たっては、本件土地が属する地域の用途地区区分を普通商業地区として評価した。 3 標準宅地の選定右の普通商業地区について、状況類似地区ごとに区分したうえで、本件土地の所在する地区の標準宅地を選定すると、右標準宅地は渋谷区α一二番五に所在する土地(以下「本件標準宅地」という。)となる。 (争いがない事実)4(一)本件標準宅地に沿接する主要な街路の路線価五八〇万〇〇〇〇点本件標準宅地に係る適正な時価については、価格調査基準日である平成四年七月一日時点の不動産鑑定価格九八八万円を活用するとともに、平成五年一月一日までの六箇月の地価動向を勘案しマイナス一六・〇パーセントの時点修正を行い、その七割程度の価格をもって五八〇万円とし、右価格に基づいて路線価を付設した。 (二) 本件土地に沿接する正面路線の路線価四五二万〇 箇月の地価動向を勘案しマイナス一六・〇パーセントの時点修正を行い、その七割程度の価格をもって五八〇万円とし、右価格に基づいて路線価を付設した。 (二) 本件土地に沿接する正面路線の路線価四五二万〇〇〇〇点右主要な街路と本件土地に沿接する正面路線とを比較して、その格差を幅員、連続性等の街路条件八一パーセント、最寄駅への距離等の交通・接近条件一〇三パーセント、商業密度等の環境条件一〇〇パーセント、容積率等の行政的条件九四パーセントと算定し、これらを乗じた格差率七八パーセントを前記主要な街路の路線価五八〇万点に乗じて、正面路線の路線価を付設した。 (計算式)4,520,000 = 5,800,000 × (0.81×1.03×1. 00×0.94)主要な街路路線価街路交通環境行政格差率の補正処理は小数点第3位で四捨五入路線価付設は有効数字上位3桁 5 画地計算法に基づく算定(一) 正面路線から本件土地の奥行きは一五・五メートルである。 (争いがない事実)(二) 本件土地の単位地積当たりの評点四五二万〇〇〇〇点そこで、取扱要領付表1に基づき、奥行価格補正率一・〇〇を正面路綿の路線価四五二万点(前記4(二))に乗じて、単位地積当たりの評点を算出した。 (三) 本件土地の評価額一〇億七五七六万〇〇〇〇円右単位地積当たりの評点四五二万点に本件土地の地積二三八・〇〇平方メートルを乗じて総評点を一〇億七五七六万点と算出し、これに評点一点当たりの価格一円を乗じて、本件土地の評価額を算定した。 四当事者双方の主張(原告の主張) 1 賦課期日のすり替えの違法法は、固定資産税の課税標準を賦課期日における価格と規定しているのであるから(法三四九条一項)、本件土地の評価は賦課期日である平成六年一月一日時点でしなければならない。 しかし、 すり替えの違法法は、固定資産税の課税標準を賦課期日における価格と規定しているのであるから(法三四九条一項)、本件土地の評価は賦課期日である平成六年一月一日時点でしなければならない。 しかし、東京都知事は、時点修正通知に従い、平成五年一月一日以降賦課期日までの一年間の地価の下落を評価に反映させる方策をとらないまま、一年前の平成五年一月一日の高い時価をもって賦課期日の時価とすることによって、賦課期日の時価とすり替えて平成六年度の評価替えを行ったものであり、これによる評価は賦課期日を誤った違法な評価である。そして、被告も、同様の方法で本件土地の価格を算定したのであるから、本件決定は、法三四九条一項に反する違法な決定である。 仮に賦課期日の一年半前に価格調査基準日を設けることができるとしても、価格調査基準日以後も地価の下落が続いていることは公知の事実であるから、価格調査基準日と賦課期日との間の時点の違いについて適正に時点修正をすることが必要であるから、これをしていない評価は違法である。 なお、平成六年度の評価替えから七割評価通達によって土地の七割評価がされているが、七割評価が許されるとしても、後述のとおり七割評価というのは評価のアロアンス(謙抑性)を示しているものではなく、評価の上限を示しているものであるから、賦課期日の時価(地価公示価格)の七割水準を上回る評価は違法となるというべきである。 2 通達による評価額の大幅な引上げの違法(一) 租税条例主義違反固定資産税の課税標準は評価替えの年度(基準年度)の時価と定められているが(法三四九条一項、三四一条五号)、土地については税負担が重くならないようにするために時価すなわち評価額(地価公示価格)の一定の評価割合をもって課税標準とする二重構造(二元性)が採られてきている。 平成六年度 一項、三四一条五号)、土地については税負担が重くならないようにするために時価すなわち評価額(地価公示価格)の一定の評価割合をもって課税標準とする二重構造(二元性)が採られてきている。 平成六年度の評価替えに当たり、東京都は土地に対する課税標準を地価公示価格の一五パーセント水準から一挙に七〇パーセントとする大幅な引上げを行った。 このような評価割合の大幅な引上げは、法令によるものではなく、通達によるものであるが、通達によるこのような評価割合の大幅な引上げは租税条例主義に違反するものであり、違憲、違法である。 地方税について法は基準法(枠法)としての効力しかもっていないものであるが、その法が固定資産税の課税標準を時価と定め、具体的な課税標準がその時価の範囲内で決められていても、長い間評価割合を地価公示価格の一五パーセント水準で運用してきていたものを、一挙に大幅に七〇パーセント水準に引き上げるには、税条例上の根拠すなわち納税者の同意が必要である。評価割合は納税者の税負担に直接影響を持つ課税要件そのものであるから、通達で評価割合を引き上げることができるということになると、租税条例主義が空文化する結果を招来する。 (二) 七割評価通達の合理性の欠如と虚構性七割評価通達の主な根拠は、財団法人資産評価システム研究センターの土地研究委員会の報告書である。 土地研究委員会の構成は自治省税務局や地方自治体の財政部局のOBや現役が多数関与しており、その公正さについてはかねてから疑問が持たれている。そして、その報告書の中で七割評価の最大の論拠としているのは「昭和五〇年代の初頭から中頃にかけての地価安定期における固定資産評価の地価公示価格に対する割合が七割水準であった。」ということであるが、当時は地価公示価格は低く(五割水準程度)設定されていたから、実際 五〇年代の初頭から中頃にかけての地価安定期における固定資産評価の地価公示価格に対する割合が七割水準であった。」ということであるが、当時は地価公示価格は低く(五割水準程度)設定されていたから、実際の時価との割合は概ね三・五割からせいぜい四割程度であったといわれている。さらに、昭和五〇年前半は地価が確実に上昇していた時代であり、平成六年度の評価替えのころはそれとは全く逆に地価が値下がりしていたから、昭和五〇年度の評価割合をそのまま適用するのは不合理であり、七割評価は土地研究委員会で最初から与えられていた結論(命題)で、同委員会の研究の結果導き出された結論ではない。このように、七割評価通達にいう七割評価は根拠のない不合理なものであるから、七割評価通達を適用することは違法というべきである。 (三) 七割評価通達と平等原則違反七割評価通達にいう七割という評価割合は評価のアロアンス(評価の謙抑性、固めの評価の要請)から定めているものではない。地価公示価格や不動産鑑定士による土地の鑑定評価額は土地の最有効使用を前提としているのに対し、固定資産税の評価は土地の通常の使用(収益価格)を前提しているから、この相違がもたらす開差を考慮したものであり、七割評価というのは固定資産税における土地評価の上限を示したものである。 すなわち、七割という評価割合を評価のアロアンスと考えると、地価の下落が七割を超えたものだけが違法となるが、この場合は地価そのもので評価額を算出していることになり、固定資産税の課税ベースは評価額の七割としていることと不平等な取扱いとなる。 そして、本件土地の近傍に所在する地価公示地の地価及び相続税の路線価の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの下落状況は、別表のとおりである。 そうすると、仮に七割評価が許されるとしても、基準年度の して、本件土地の近傍に所在する地価公示地の地価及び相続税の路線価の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの下落状況は、別表のとおりである。 そうすると、仮に七割評価が許されるとしても、基準年度の賦課期日(本件では平成六年一月一日)の評価額(地価公示価格等)の七割を超える評価は違法である。 3 評価基準の不合理性評価基準は自治大臣告示(国家行政組織法一四条一項)で定めているものであり、取扱要領は通達(同条二項)にすぎず、いずれも法令ではなく法的拘束力を持つものではない。また、右告示が法三八八条一項によるものであるとしても、包括的な告示への授権は租税条例主義の原則から許されておらず、この点からも評価基準は有効なものとはいえないし、相続税の評価基準を定めている財産評価基本通達との整合性からいっても、通達と同じ性質ものにすぎないと解すべきである。 したがって、評価基準は通達と同じ性質のものであるから、その内容の法令適合性、合理性については、被告が積極的に主張、立証をすべきである。 また、評価基準は、大量の宅地を短期間で評価するための大雑把な基準であり、昭和三九年に作成されたものであって、セットバックの規制を受けていること、容積率以外の各種の高さ制限を受け実効容積率が低いこと、土地の面積が僅少であり、又は土地が接道義務を満たさないために建物建築が不可能な土地であること、都市計画施設の予定地となり著しく建築制限を受けていること、土地の形状が不整形で建物の建築に適さないこと等、一般に不動産鑑定評価において土地の価額の形成要因であると認められている事項が、評価基準において考慮されておらず、あるいは、考慮されていても著しく不十分である。 したがって、評価基準等に従っているといって、評価が適法となるものではなく、仮に時価の七割での評価が認められ 項が、評価基準において考慮されておらず、あるいは、考慮されていても著しく不十分である。 したがって、評価基準等に従っているといって、評価が適法となるものではなく、仮に時価の七割での評価が認められるとしても、そこで与えられた三割の余裕を平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価下落で埋めてしまうことは許されず、評価基準が大雑把な基準で、不備があり、不動産鑑定士の評価にも開きがあることからすると、評価基準等を適用した結果が賦課期日(平成六年一月一日)の時価の七割よりも高いものであれば、その評価は違法である。 4 本件土地の評価における個別的違法について(一) セットバックを要する部分を除外して評価すべきこと(1) 本件土地の正面街路は、幅員二・七メートルの建築基準法四二条二項に定める道路(以下「二項道路」という。)であり、本件土地に建物を建築するためには、約六五センチメートルのセットバックが必要となる。しかるに、被告は、同条一項に定める道路(以下「一項道路」という。)と二項道路の相違による格差率としてマイナス二の減価をするのみで、他に本件土地がセットバックが必要であることを考慮せずに評価している。 かかる評価は違法であり、本件土地について建築不能なセットバックを要する部分を除外して評価すべきである。 (2) 被告は、評価基準はセットバックを要する部分がある土地について何ら規定していないと主張するが、評価基準は、直接国民を拘束するもではなく、基準が不合理である場合には、国民は基準が不合理であることを主張して評価を争うことができるから、評価基準に規定がないことは、セットバックを要する部分があることを考慮しないで評価してよい理由とはなり得ない。 そして、固定資産税における宅地の評価が、更地としての最有効使用を前提としてなされる以上、セ 準に規定がないことは、セットバックを要する部分があることを考慮しないで評価してよい理由とはなり得ない。 そして、固定資産税における宅地の評価が、更地としての最有効使用を前提としてなされる以上、セットバックを要する部分が存在することを無視した基準は合理性がない。 仮に土地を現在の使用状況に応じて評価するのであれば、セットバックを考慮しないで評価することは許されるかもしれないが、被告の評価は最有効使用の原則に基づく評価がされた標準宅地の不動産鑑定書に基づいて行われており、その評価は矛盾する。 (3) 被告の主張する街路条件の幅員による格差とは、四メートル未満の道路についてはすべて同一の格差率とされているもので、セットバックを要する部分を考慮した格差率とはいえず、また、道路の種類による格差とは、国道、都道、区道、私道による格差と建築基準法四二条の各項による格差のことであって、セットバックを要する部分の有無を対象とした格差ではなく、かつ、一項道路と二項道路の格差がわずかマイナス二にすぎず、実際にセットバックを要する部分が存在する土地とその他の土地との間には、右格差率では賄いきれない格差が存在する。 (4) 被告は、固定資産税は賦課期日現在の現況に基づいて評価されるべきであるところ、本件土地はいまだセットバックがされていないと主張するが、賦課期日現在においても本件土地にセットバックを要する部分が存在し、そのことが土地の価格形成要因として評価において大きなウエイトを占める以上、これを考慮せずに行われた評価は違法である。 (5) また、被告は、セットバックすることにより敷地面積が減少しても逆に街路条件がよくなるから、一概に土地全体の評価が下がるとはいえないと主張するが、ある土地についてセットバックが完了したとしても必ずしも当該土地が沿接する街路の することにより敷地面積が減少しても逆に街路条件がよくなるから、一概に土地全体の評価が下がるとはいえないと主張するが、ある土地についてセットバックが完了したとしても必ずしも当該土地が沿接する街路の街路条件がよくなるとはいえず、街路条件については、当該路線に沿接する全土地のセットバックが完了したときにその現況に基づき評価すべき事柄である。 (6) 被告は、現にセットバックをしていない場合に、その部分を除外して評価をすると、現にセットバックをした者との間で均衡を失すると主張するが、原告は、セットバックを要する部分が存在する土地について、これを無視して評価をすることの違法性を主張しているのであるから、右の被告の反論は当たらない。 また、評価の均衡を問題とするのであれば、被告主張の評価では、セットバックを要する部分が存在する土地とそうでない土地が同一に評価され、又はセットバックを要する部分の地積の大小にかかわらず同一の価格で評価されてしまうことになり、評価の均衡を失することが明らかである。 したがって、評価の均衡を問題とするのであれば、当該土地にセットバックを要する部分が存在することを無視して評価をすることは許されない。 (7) また、本件決定において、本件土地の容積率を幅員四メートルの街路に沿接するものとして計算して格差率を算定していることと、本件土地の評価に当たりセットバックが必要な部分を除外しなかったことは、矛盾している。 これに対し、被告は、容積率の問題が当該土地の評価に当たり顕在化するのは、現時点ではなく将来の建替えの場合であるから、問題となる場面が異なると主張するが、被告は本件土地を最有効使用を前提として評価しており、かつ、当該土地につきセットバックを要する部分を考慮した容積率の制限は、基準日に現存した制限であるから、容積率を価格 る場面が異なると主張するが、被告は本件土地を最有効使用を前提として評価しており、かつ、当該土地につきセットバックを要する部分を考慮した容積率の制限は、基準日に現存した制限であるから、容積率を価格形成要因として評価の対象とする以上、前面道路の幅員を実際と異なり四メートルとして容積率を認定することは、前記のとおり、セットバックが必要な部分を除外しなかったことと矛盾する。 (二) 不整形地補正について本件土地はL字型の不整形地であり、このような土地は整形地に比して価格が劣るのにもかかわらず、これを看過した評価は違法である。 (被告の主張) 1 賦課期日から評価事務に要する一定期間を遡った過去の時点の時価を基準として、賦課期日における土塘の価格を求めることは適法であること(一) 法は、基準年度の賦課期日(本件では平成六年一月一日)から評価事務に要する一定期間を遡った過去の時点を価格調査基準日とし、右の時点の価格を「賦課期日における価格」(法三四九条一項)とみなすことまで、許容しているというべきである。 なぜなら、土地の固定資産評価に当たっては、①税負担の適正化・均衡化を図るため、評価基準に基づき、全国の土地を同一の基準で評価すること、②市町村による評価後にも都道府県間及び各都道府県内の市町村間における評価の均衡を図るため、それぞれ所要の調整を行ったうえで、二月末日までに価格を決定してこれを土地課税台帳に登録することが予定されているところ、これら一連の評価事務には、賦課期日を当該年度の初日の属する年の一月一日に遡らせただけでは対応しきれない相当の長期間を要するものと考えられ、基準年度の賦課期日から評価事務に要する期間を遡った時点の地価を基準として賦課期日における適正な時価を評価することは、法が当然に予定しているところと解されるからである。 期間を要するものと考えられ、基準年度の賦課期日から評価事務に要する期間を遡った時点の地価を基準として賦課期日における適正な時価を評価することは、法が当然に予定しているところと解されるからである。 (二) 右結論は、次のとおり、立法者の意思に合致する適正なものということができる。 すなわち、平成五年三月三一日、平成六年度評価替えに係る法の改正が行われたが、この改正法によれば、平成六年度から平成八年度までの価格の上昇による特例措置、平成六年度から平成八年度までの負担調整措置ついて、いずれも平成四年七月一日を価格調査基準日とする各都道府県の基準宅地価格を基礎として平成五年度謀税標準に対する上昇率を算定し、それにより平成六年度から平成八年度までの課税標準を決定することとされている(法附則一七条の二、同一八条)。換言すれば、法は価格調査基準日の価格を基礎として、平成六年度から平成八年度までの固定資産税の課税標準を決定しているのであり、法が価格決定の基準日を価格調査基準日であるとしていることは明らかである。 また、評価基準に定める指示平均価額についても、平成五年一月一日時点の価格に基づき決定されている。 そうであるとすると、平成六年度の評価替えにおける価格算定基準日を平成五年一月一日としたことは、法が当然に予定しているものというべきである。 (三) これに対し、原告は、価格調査基準日における価格を基礎として算定した価格が賦課期日における適正な時価を上回ると見込まれるときは、あらかじめ想定される価格下落率を折り込んで時点修正すべきであると主張する。 しかし、①宅地の鑑定評価に当たっては、不動産艦定士が、「不動産鑑定評価基準」(平成二年一〇月二六日、土地鑑定委員会の国土庁長官にする答申)によって評価するとされているところ、右基準によると、不動産の かし、①宅地の鑑定評価に当たっては、不動産艦定士が、「不動産鑑定評価基準」(平成二年一〇月二六日、土地鑑定委員会の国土庁長官にする答申)によって評価するとされているところ、右基準によると、不動産の鑑定評価においては、一般的要因(自然的要因・社会的要因・経済的要因・行政的要因)、地域要因(宅地地域・農地地域・林地地域)、個別的要因の三つの価格形成要因を考慮して評価するとされているだけであり、将来の価格変動は鑑定評価の要因とはされていないこと、②将来時点の鑑定評価は、対象不動産の確定、価格形成要因の把握・分析及び最有効使用の判定についてすべて予測しなければならない上、収集する資料についても艦定評価を行う時点までのものに限られ、極めて不確実にならざるを得ないことから、「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項・総論」において、このような艦定評価は行うべきではないとされていることより、不動産の艦定評価に当たっては、将来の価格変動を考慮すべきではないから、原告の主張は妥当性を欠くというべきである。 (四) 仮に、法三四九条及び三五九条の文理に忠実に解釈して、固定資産の評価額は賦課期日すなわち当該基準年度の一月一日時点の価格でなければならないと解したとしても、本件土地の価格は違法ではないというべきである。 そもそも法は固定資産の評価額を適正な時価にすることまで許容しているのであるから、地価公示価格とほぼ同水準で固定資産の評価における適正な時価が定まることになる。そうであるとすれば、地価公示価格から三割を下回る価格を固定資産の評価額と定めると、適正な時価との比較では三割の余裕があることになり、その範囲が許容範囲となる。 しかも、時価というものは、その性格上、一義的に決まるものではない。なぜなら、売買取引事例を比較して当該土地の時価を算定してみても、土地 では三割の余裕があることになり、その範囲が許容範囲となる。 しかも、時価というものは、その性格上、一義的に決まるものではない。なぜなら、売買取引事例を比較して当該土地の時価を算定してみても、土地の形状は一筆ごとに異なるし、売買当事者や取引時点が異なれば、当然に価格は変動するものであるからである。確かに、不動産鑑定評価額は、こうした不正常要素を可能な限り取り除いて客観的に求めた価格ではある。しかし、不動産鑑定理論に基づいて求められた不動産鑑定評価額についても、評価額に一定の幅が存することは経験則上明らかである。そうだとすれば、固定資産の評価における「適正な時価」とは、一義的に定まる価格ではなくある程度の幅を持つ価格と捉えるべきである。このように「適正な時価」を理解することは、法及び評価基準において、評価額を求めるためには個々の土地の不動産鑑定ではなく路線価方式で足りるとしていること及び各市町村間で基準宅地の適正な時価を調整する手続を要すると規定していることからも認められる。これを前提に考えると、固定資産の評価額として決定された価格を「適正な時価」と認めることが社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、右評価額は違法な価格というべきである。 2 七割評価通達について(一) 法は、固定資産の評価額を「適正な時価」すなわち地価公示価格(これはおおむね時価と理解される。)とほぼ一致させることまで許容している。 すなわち、固定資産税は、固定資産諌税台帳に登録された固定資産の価格を課税標準とすることを原則として、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下同じ。)に対して、資産の所有という事実に着目して課税する財産税である。それゆえ、資産が土地の場 百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下同じ。)に対して、資産の所有という事実に着目して課税する財産税である。それゆえ、資産が土地の場合には、土地の所有という事実に着目して課税されることになるから、個々の所有者が現実に土地から収益を得ているか否か、土地が用益権又は担保権の目的となっているか否か、収益の帰属が何人にあるかを問わず、賦課期日における所有者を納税義務者として、その更地価格に着目して、課税することになる。 そうであるとすると、その課税標準又は算定基礎となる土地の「適正な時価」とは、「時価」の一般的概念に照らしても、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値(客観的時価)をいうものと解すべきである。 (二) そうだとすれば、七割評価通達を契機として平成六年度の評価替えの際に本件土地の登録価格が引き上げられたとしても、通達の内容が法令の正しい解釈に合致するものである以上、本件土地の登録価格の決定は法令の根拠に基づいてなされた適法なものであることは明らかである。 (三) これに対して、原告は、たとえ法律に通達の内容が合致するとしても、固定資産税についていわゆる「二割評価」が長年にわたり広く実施されてきたことからして、通達に基づいて評価額を引き上げることは租税条例主義に違反すると主張する。 しかし、①「適正な時価」が客観的時価を意味する以上、減額評価の違法は原告に有利になることはあっても不利となるものではないから、価格決定の違法事由とはならないこと、②国民に納税義務を定める租税法において、課税標準が納税者の信頼(慣習)によって決定される余地はないこと、③地価公示価格と登録価格の割合は、昭和五〇年代には約七〇パーセント、場所によっては一〇〇パー 国民に納税義務を定める租税法において、課税標準が納税者の信頼(慣習)によって決定される余地はないこと、③地価公示価格と登録価格の割合は、昭和五〇年代には約七〇パーセント、場所によっては一〇〇パーセント近い地点も存したのであるから、原告の主張するように「登録価格は公示価格の二割以下である」との法的確信が過去三〇年以上にわたり国民(住民)に形成されていたとは認め難いこと、④登録価格は、地価公示価格の二割以下とする旨の通達又は原告への言明、教示は存在しなかったこと、⑤法的安定性、法予測可能性は、あくまで登録価格についてではなく、税額について問題とされるべきところ、税額に関しては負担調整措置の導入等により、緩やかに変化するように規定されたから、法的安定性等は侵害されていないことからして、原告の主張は妥当性を欠くというべきである。 (四) 平等原則違反の主張に対する反論法は、固定資産の評価額を地価公示価格と一致させることまで許容しており、固定資産税の資産評価につき時価以下の一定率で評価の均衡を求める規定は法律上存しないから、市町村長は、時価による評価の均衡を図るべきであって、時価を下回る一定率での評価の均衡を図る必要はないというべきであり、適正な時価と登録価格とを区別する原告の主張は失当である。 また、七割評価通達の趣旨が、仮に原告の主張するように収益価格ヘの配慮又は公的評価制度における価格の一元化を目指すものであって、賦課期日までの時点修正を目的とするものではないとしても、評価基準の適用においては、七割評価による修正を経た価格が賦課期日における標準宅地の適正な時価とされるのであるから、登録価格が賦課期日における適正な時価であるかどうかは右修正を経た価格について判断されるべきである。 3 評価基準に法的拘束力があること(一) 法は、固定資 準宅地の適正な時価とされるのであるから、登録価格が賦課期日における適正な時価であるかどうかは右修正を経た価格について判断されるべきである。 3 評価基準に法的拘束力があること(一) 法は、固定資産税に関して、昭和三七年三月三一日法律第五一号地方税法の一部を改正する法律(以下「昭和三七年改正法」という。)において、右改正前の法四〇三条一項が「市町村長は、(略)自治大臣が示した評価の基準並びに評価の実施方法及び手続に『準じて』、固定資産の価格を決定しなければならない。」としていたのを、「市町村長は、(略)第三八八条第一項の固定資産評価基準に『よって』、固定資産の価格を決定しなければならない。」と改正した。 これは、①改正前の固定資産評価基準が市町村長に対する一つの参考にすぎないと理解されていたため、市町村の固定資産の評価が地域によりまちまちとなっていたところ、評価方法が各市町村において異なるようでは納税者間の公平を期すことができないため、固定資産の評価の均衡を図る必要があること、②処分庁が短期間に大量の固定資産について個別に評価することは現実的に極めて困難なため、評価事務の簡便さを図る必要が生ずることより、両者の要請を調整すべく、自治大臣に評価基準の定立を任したのである。 そうであるとすると、条文の文理解釈及び右立法趣旨からして、評価基準に依拠することが不可欠であり、法的拘束力が認められるべきである。 右結論は、昭和三七年改正法が、法三八八条一項として「自治大臣は、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)を定め、これを告示しなければならない。」とする規定を新たに設け、右規定を受けて、従来は自治事務次官の依命通達によっていた評価基準を告示することに変更したことからも明らかである。なぜなら、改 う。)を定め、これを告示しなければならない。」とする規定を新たに設け、右規定を受けて、従来は自治事務次官の依命通達によっていた評価基準を告示することに変更したことからも明らかである。なぜなら、改正の結果、評価基準は、通達とは異なり、法令と同様に官報に掲載されて、一般に告知されることになったからである。 (二) これに対し、原告は、租税条例主義の原則からすると、告示への包括的授権は許されないと主張する。 しかし、①租税法の対象とする経済事象は極めて多種多様であり、しかも激しく変遷していくので、これに対応する定めを法律の形式で完全に整えておくことは困難であること、②現実に公平課税等の租税原則を実現するためにも、その具体的な定めを命令に委任し、事情の変遷に伴って機動的に改廃していく必要があるのは否定できないことからすれば、すべて法律で規定しなければならないと解することは適当ではない。 そこで、固定資産税の課税要件の内容の一つである課税標準については、法三四九条一項で明記することとし、その具体的、細目的、技術的な算定基準を自治大臣の告示にゆだねたのであるから、立法形式の点からいっても、評価基準は市町村の固定資産評価に当たって法的に基準たり得ることになる。 (三) 以上によれば、昭和三七年の法改正後は、評価基準と異なる評価方法を採用することは許されなくなったのであり、市町村長は、評価基準に従った評価をなすべく義務づけられているものと解するのが相当である。 したがって、本件土地の価格は、評価基準に従って決定された以上、その価格は適法というべきである。 4 本件土地の正面路線の路線価の付設及び画地計算について(一) 本件標準宅地に係る適正な時価を五八〇万円としたことの合理性(1) 本件標準宅地の平成四年七月一日時点の不動産鑑定評価額九八八万円 4 本件土地の正面路線の路線価の付設及び画地計算について(一) 本件標準宅地に係る適正な時価を五八〇万円としたことの合理性(1) 本件標準宅地の平成四年七月一日時点の不動産鑑定評価額九八八万円は、専門家である不動産鑑定士の鑑定により評価された評価額であるから、これを参考に本件標準宅地の価格を決定したことは適当と解される。 (2) 平成四年七月一日から平成五年一月一日までの時点修正率をマイナス一六・〇パーセントとしたことの合理性平成四年七月一日から平成五年一月一日までの地価の変動率は、①東京都地価動向調査の区部中心区の年間変動率が、平成四年七月から同年九月までがマイナス四・〇パーセント、同年一〇月から同年一二月までがマイナス八・三パーセントであるから、合わせて約一二パーセントの下落率で推移したこと、②渋谷区内の地価動向調査及び調査中の平成五年度地価公示の調査内容との比較考量を参考に、マイナス一六・〇パーセントと認定したものである。 そうであるとすると、右時点修正率には十分な合理性がある。 (3) そして、仮に、本件土地の評価額が平成六年一月一日時点の「適正な時価」を超えないことを要するとしても、本来、法は固定資産の評価額を適正な時価にすることまで許容しているにもかかわらず、東京都知事は、あえて三割減価補正した価格を評価額として決定している。 そうであるとすると、①本件標準宅地を鑑定評価するに当たり規準とした地価公示地(渋谷五―九)の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価変動率は、右価格に一定程度の許容範囲があることを斟酌すると、およそマイナス三〇パーセントであること、②本件標準宅地に近接する地価公示地(渋谷五―二)の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの時点修正率がマイナス三〇パーセントであることからして、本件標準宅 よそマイナス三〇パーセントであること、②本件標準宅地に近接する地価公示地(渋谷五―二)の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの時点修正率がマイナス三〇パーセントであることからして、本件標準宅地の価格五八〇万円が「適正な時価」の範囲内にあることは明らかである。 (二) セットバックを格差率において考慮していること原告は、本件土地の正面路線が二項道路であるため、セットバックが必要であるにもかかわらず、本件決定において、一項道路と比較してマイナス二パーセントの格差しか認めずに評価しているのは違法であると主張する。 しかし、一項道路と二項道路の格差は単に街路の種類の格差(マイナス二パーセント)のみによって評価されるものではなく、街路条件の幅員、環境条件等種々の条件に反映されるものである。 すなわち、二項道路に沿接することによって、例えば、道路の幅員が狭いことにより、車輌の円滑な運行等が妨げられることになるし、歩行者(顧客)の通行量を減少させ、繁華性を低める場合等もあるから、街路条件の幅員や環境条件においても格差が生ずることがある。 また、建築基準法では原則として幅員四メートル以上の道路に二メートル以上接していなければ建築物の建築はできないことになっていて、最低限の道路の幅は宅地としての基本的な要件の一つとなっているし、前面道路の幅員が一二メートル未満の場合には、建物の容積率は前面道路の幅員の数値に一定の数値を乗じたもの以下でなければならないと規制されており、二項道路に沿接することによって、行政的条件においても格差が生ずるのである。 そして、比準表は、こうした街路条件的な要素や環境条件的な要素を主に幅員要因として、行政条件的な要素を容積率要因として格差率に反映している。 以上によれば、本件決定は、幅員による格差としてマイナス一二パー 、比準表は、こうした街路条件的な要素や環境条件的な要素を主に幅員要因として、行政条件的な要素を容積率要因として格差率に反映している。 以上によれば、本件決定は、幅員による格差としてマイナス一二パーセント、行き止まりによる格差としてマイナス五パーセント、一項道路と二項道路の格差としてマイナス二パーセント、容積率による格差としてマイナス六パーセント、合わせてマイナス二五パーセントの減価を行って評価しており、その評価は適正である。 (三) セットバックを要する部分を除外せずに本件土地の評価をする合理性(1) ①評価基準等は、当該土地に沿接する街路が二項道路であるためにセットバックを要する場合、このことを各土地の評価にどのように反映させるかについて何ら規定しておらず、本件決定は、前記のとおり、当該路線の路線価を比準する要因として街路条件等で適当な格差を設けることにより、かかる相違を考慮していること、②固定資産税は、その資産を保有することに対して課せられる物税であるから、その評価は賦課期日現在における現況に基づいて評価されたものであることを要するところ、本件土地はいまだセットバックしていないこと、③セットバックすることにより、敷地面積が減少することになるとしても、道路が拡幅されて当該土地に接する街路条件がよくなるから、逆に一平方メートル当たりの単価が上がることも少なくなく、一概に土地全体の価格が下がるとはいえないこと、④仮に原告の主張するように、建築基準法上セットバックを要する土地はその部分を除外して評価しなければならないとすると、所有者が現にセットバックしていないにもかかわらず、現にセットバックしている土地と同様の評価をすることになるが、それではかえって均衡を失することにもなりかねないことからすると、原告の主張は受け入れ難い。 (2) また、 クしていないにもかかわらず、現にセットバックしている土地と同様の評価をすることになるが、それではかえって均衡を失することにもなりかねないことからすると、原告の主張は受け入れ難い。 (2) また、原告は、本件決定において、本件土地の容積率を幅員四メートルの街路に沿接するものとして算定していることと、本件土地の評価に当たりセットバックが必要な部分を除外しなかったことが矛盾していると批判する。 しかし、①建築基準法五二条一項は、基準容積率について、前面道路の幅員が一二メートル未満である場合において、当該前面道路の幅員のメートル数値に用途地域の指定状況等に応じ一〇分の四又は一〇分の六を乗じたもの以下でなければならないとしているところ、同法の「道路」とは幅員四メートル以上のものをいうから(同法四二条)、二項道路はすべて幅員四メートルとみなされるため、商業地域における基準容積率は二四〇パーセントが下限であること、②セットバックを要する土地の評価は賦課期日現在の現況に基づいて評価すれば足りるところ、容積率の問題が当該土地の評価に当たり顕在化するのは、現時点ではなく将来の建て替えの場合であり、問題となる場面が異なることからすれば、双方の取扱いの相違に矛盾はない。 (四) 不整形地補正不適用の合理性(1) 取扱要領によると、不整形地に該当するか否かは、当該不整形地に近似する整形地を想定し、この整形地と比較し、その凸凹の状況から宅地としての利用価値を客観的に判断して認定するとともに、他方、画地面積が利用価値に影響を及ぼすことから面積にも十分留意した上判断するものとされる。 本件土地については、これに近似する整形地は奥行を一辺とするほぼ長方形であり、形状はL字型とはいえ面積が二三八平方メートルと渋谷区内の普通商業地区としては比較的大きく利用価値の減少は のとされる。 本件土地については、これに近似する整形地は奥行を一辺とするほぼ長方形であり、形状はL字型とはいえ面積が二三八平方メートルと渋谷区内の普通商業地区としては比較的大きく利用価値の減少は認められなかった。 とすると、本件土地の評価に当たり、不整形地補正をしないことに十分な合理性がある。 (2) 右帰結は、相続税の評価を行う際に用いられる財産評価基本通達に基づいて不整形地補正率を求めて算定した本件土地の評価額と、不整形地補正率を適用せずに算定した本件土地の評価額とがほぼ一致することからも、その妥当性が認められる。 すなわち、財産評価基本通達による不整形地の補正率は、①評価する不整形地の地区及び地積を地積区分表に当てはめて確定したうえ、②評価対象地の画地全域を含む想定整形地の地積を算出して蔭地割合を求め、③右地積区分と蔭地割合を不整形地補正率表に当てはめて不整形地補正率を求めるものである。 右方式を本件土地に当てはめると不整形地補正率は〇・九八になる。 そうであるとすれば、本件土地に不整形地補正率を適用しなくとも、他の手法で求めた補正率と結果においてほぼ同一になるから、右帰結が合理性を有することは明らかである。 五争点本件の争点は、次の各点である。 1 時点修正通知に基づく本件土地の評価の適法性の有無 (争点1) 2 七割評価通達に基づく本件土地の評価の適法性の有無 (争点2) 3 評価基準等の合理性の有無 (争点3) 4 本件土地の評価の個別的違法の有無 (争点4)第三争点に対する判断一争点1及び2について. 1 「適正な時価」の意義固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された固定資産の価格を課税標準とすることを原則として(法三四九条一項、三四九条の二)、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定のある地上 価」の意義固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された固定資産の価格を課税標準とすることを原則として(法三四九条一項、三四九条の二)、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定のある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下同じ。)に対して(法三四三条一項)、資産の所有という事実に着目して課税される財産税であり、資産が土地の場合には、土地の所有という事実に担税力を認めて課税するのであって、原則として、個々の所有者が現実に土地から収益を得ているか否か、土地が用益権又は担保権の目的となっているか否か、収益の帰属が何人にあるかを問わず、賦課期日における所有者に対し、課税されるものである。 このような固定資産税の性質からすると、その課税標準又はその算定基礎となる土地の「適正な時価」(法三四一条五号)とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値(以下、これを「客観的時価」という。)をいうものと解すべきである。 2 「適正な時価」の算定基準日そして、法は、土地課税台帳に登録すべき価格を基準年度に係る賦課期日における価格としているのであるから(法三四九条一項)、右登録価格は賦課期日である当該年度の初日の属する年の一月一日(本件では、平成六年一月一日)時点を基準日として、同日における客観的時価をもって算定すべきであって、これと異なる時点における客観的時価をもって賦課期日における価格とみなすことは許されないというべきである。 ところで、法は、市町村長の価格決定は、毎年二月末日までに行うべきものとしている(法四一〇条)ところ、右の価格決定の作業に従事し得る人的資源には限りがあるのに対して、課税対象となる固定資産が極めて大量に存在することからすれば、前記の賦課期日において価格調査を きものとしている(法四一〇条)ところ、右の価格決定の作業に従事し得る人的資源には限りがあるのに対して、課税対象となる固定資産が極めて大量に存在することからすれば、前記の賦課期日において価格調査を行った上で、その後の二箇月間のうちに「適正な時価」を算定する諸手続を完了することは、実際上困難であり、法が、賦課期日における価格算定の資料とするための標準宅地等の価格評定について、賦課期日からこれらの評価事務に要する相当な期間をさかのぼった時点を「価格調査の基準日」としてこれを実施することを禁じていると解すべき根拠も見当たらないことからすれば、価格調査の基準日が賦課期日の一年半前であったとしても違法とはいえないというべきである。 しかしながら、土地課税台帳に登録すべき価格は、前記のとおり、あくまで賦課期日である当該年度の初日の属する年の一月一日における客観的時価であるから、右の調査結果に基づいて、賦課期日における客観的時価を算定するに当たっては、その間の時点修正を行うべき必要があることは当然である。 なお、自治省税務局資産評価室長が発した時点修正通知は、標準宅地の評価額を価格調査基準日のそれに固定するのではなく、時点修正を行うべき旨の技術的援助と解され、これによって、さらに賦課期日までの時点修正を行うべき必要性を否定する趣旨のものとは解されない。 3 評価基準による評価と客観的時価との関係適正な時価の意義を前記のように解すると、土地の適正な時価の算定は、鑑定評価理論に従って個々の土地について個別的、具体的に鑑定評価することが最も正確な方法ということになる。 しかし、課税対象となる土地は極めて大量に存在することから、限りある人的資源により、時間的制約の下で、右のような評価を実施することが困難であることは明らかである。 そこで、法は、これ とになる。 しかし、課税対象となる土地は極めて大量に存在することから、限りある人的資源により、時間的制約の下で、右のような評価を実施することが困難であることは明らかである。 そこで、法は、これらの諸制約の下における評価方法を自治大臣の定める評価基準によらしめることとし、併せて、極めて大量の固定資産について反復、継続的に実施される評価について、各市町村の評価の均衡を確保するとともに、評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消しようとしているものということができる。 もっとも、右の評価基準は、各筆の土地を個別評価することなく、諸制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を評価する技術的方法と基準を規定するものであり、宅地評価についてみれば、個別鑑定と同様の方法で標準宅地の客観的時価を算定し、価格形成要因の主要なものに関する補正等を加えて、対象土地の価格を比準評定するものであって、宅地の価格に影響を及ぼすべきすべての事項を網羅するものではないから、標準宅地の評定及び評価基準による比準の手続に過誤がないとしても、個別的な評価と同様の正確性を有しないことは制度上やむを得ないものというべきであり、評価基準による評価と客観的時価とが一致しない場合が生ずることも当然に予定されているものというべきである。 そして、このように、評価基準等による評価方法には誤差が生じるおそれがあることからすれば、少なくとも評価額が客観的時価を超えるという事態が生じないように、あらかじめ減額した数値をもって計算の基礎となる標準宅地の「適正な時価」として扱うことは合理的な方法というべきであり、また、評価手続上、賦課期日の時価が予測値にならざるを得ず、地価が下落する可能性も排除できないことに照らしても、課税標準の特例以外であっても一般的な負担軽減方法と ことは合理的な方法というべきであり、また、評価手続上、賦課期日の時価が予測値にならざるを得ず、地価が下落する可能性も排除できないことに照らしても、課税標準の特例以外であっても一般的な負担軽減方法として「適正な時価」をあらかじめ控え目に評定することも、固定資産の価格を当該固定資産の「適正な時価」と定めた法の趣旨に反しない限度で許されるものというべきである。 したがって、その意味では、公示価格の算定と同様の方法で評価した標準宅地の価格のおよそ七割をもって、その適正な時価として扱うことも、法が禁ずるものではなく、右のような趣旨において七割評価通達には合理性が認められ、これに従った評価を行ったことには違法がないというべきである。 4 原告は、七割評価通達は、固定資産税の評価においては土地の通常の使用(収益価格)を前提とすべきであるにもかかわらず、地価公示価格や不動産鑑定士による鑑定評価額が土地の最有効使用を前提として行われることから、その開差を考慮したものであり、七割評価は土地評価の上限を示したものであって、基準年度の賦課期日の評価額(地価公示価格)の七割を超える部分は違法であると主張する。 しかし、固定資産税は、土地の所有という事実に着目して裸税されるものであって、個々の具体的な収益に着目して課税されるものでないことは前のとおりであり、七割評価通達の本来の趣旨が賦課期日までの時点修正を目的とするものではないとしても、評価基準を適用し、七割評価による修正を経て算定された価格が賦課期日における客観的時価を上回らない限り、この点で、固定資産評価審査委員会が行った決定に違法があるとはいえないというべきであるから、原告の右主張は採用できない。 また、従前の評価額が時価に比して著しく低額であったとしても、そのような低い価格をもって法及び評価基準の前 が行った決定に違法があるとはいえないというべきであるから、原告の右主張は採用できない。 また、従前の評価額が時価に比して著しく低額であったとしても、そのような低い価格をもって法及び評価基準の前提とする「適正な時価」であると解することができないことは既に説示したとおりであるから、七割評価通達に従った結果、評価額が従前の評価額を上回ることとなったとしても、この点をとらえて、租税条例主義に違反するとは解されない。 したがって、これらの点に関する原告の主張は採用することができない。 5 以上によれば、登録価格の違法に関する判断は、①評価方法の選定、標準宅地の選定、標準宅地の価格と基準宅地の価格との均衡及び標準宅地の評価額から対象土地への比準の方式が評価基準及び市町村長の補正に関する基準(取扱要領等)に従ったものであるかどうか(基準適合性)、②右評価基準等が一般的に合理性を有するかどうか(基準の一般的合理性)、③評価基準による評価の基礎となる数値、すなわち、標準宅地の価格が賦課期日における適正な時価であるかどうか(標準宅地の価額の適正さ)が審理されるべきこととなる。 なお、既に説示したとおり、評価基準による評価が複数の評価要素の積み重ねを通じて結論において「適正な時価」に接近する方法であることからすると、評価基準に定める個別的評価要素が具体的な土地の特殊性に照らして適切さを欠くとみえる場合があるとしても、一般的に合理的とされる評価基準による評価が客観的時価を超えないときは、これを違法とすることはできず、また、評価基準による評価が客観的時価との不一致の程度の個別的相違を許容していることに照らせば、右事情があるとしても、なお、評価基準に合致した右評価は公平の原則に適合するものというべきである。 しかし、前記のような評価方法は、一定の期間内に限 の程度の個別的相違を許容していることに照らせば、右事情があるとしても、なお、評価基準に合致した右評価は公平の原則に適合するものというべきである。 しかし、前記のような評価方法は、一定の期間内に限られた人的資源をもって、極めて大量に存在する課税対象土地の評価を遂げなければならないという制約の下で可及的に「適正な時価」に接近するための方法として許容されているものであり、登録価格が賦課期日における対象土地の客観的時価を上回ることまでも許容するものではないから、前記①ないし③の事由が立証されたとしても、結果としての登録価格が賦課期日における対象土地の客観的時価を上回るときは、その限度で登録価格の決定は違法になるというべきである。 二争点3について 1 評価基準第1章第3節によれば、本件土地のように主として市街地的形態を形成する地域における宅地については、市街地宅地評価法によって評価する旨が定められている。 この評価法は、いわゆる路線価方式による評価法であるが、路線価方式は、大量の宅地を短期間に相互の均衡を考慮しながら評価する方法として使用できるものと一般に解されており、評価基準において路線価方式を採用したことには一般的な合理性があるということができる。 2 また、評価基準は、市街地宅地評価法における各街路の路線価は、売買実例価額を基礎として、街路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等及び各街路の路線価の均衡等を総合的に考慮して決める旨定めているが、右のような方法は鑑定評価の方法として不相当なものではなく、客観的時価への接近方法として合理性を有するものということができ、評価基準の定める画地計算法についても、宅地を評価する基準・方法として合理性を欠くという事情も見当たらない。 さらに、東京都特別区においては、 への接近方法として合理性を有するものということができ、評価基準の定める画地計算法についても、宅地を評価する基準・方法として合理性を欠くという事情も見当たらない。 さらに、東京都特別区においては、前記第二の二4のとおり、取扱要領及び比準表を定めているが、証拠(乙四、同八)及び弁論の全趣旨によれば、取扱要領及び比準表は、評価基準に従ってより具体的に価格の算定方法規定したものと認められ、宅地を評価する基準・方法として合理性を欠くといった事情は認められない。 なお、セットバックを要する土地の評価方法についての合理性は後記三2に記載のとおりである。 3 したがって、評価基準における市街地宅地評価法は、全体として「適正な時価」への接近方法として合理的であって、法の委任の趣旨に従ったものであるということができ、また、取扱要領及び比準表の定めも、全体として客観的時価への接近方法として合理性を有するものということができる。 三争点4について 1 本件標準宅地の賦課期日における適正な時価について(一) 証拠(乙六、同九、同一三)中に記載された各鑑定評価の根拠に照らせば、被告主張に係る本件標準宅地の平成四年七月一日における一平方メートル当たりの評価額九八八万円及び同日から平成五年一月一日までの時点修正率マイナス一六・〇パーセントは、それぞれ当時の客観的時価及び地価下落率であったことが推認され、右推認を覆すに足りる事情は本件全証拠によっても認めることはできない。 (二) 平成五年一月一日から平成六年一月一日の間における本件標準宅地の地価下落について証拠(乙六、同九)及び弁論の全趣旨によれば、本件標準宅地の鑑定評価に当たり、その公示価格に時点修正率、個別的要因の標準化補正率及び地域格差率を乗じて本件標準宅地に係る規準価格算定の基礎とされた渋谷五―九(渋谷 同九)及び弁論の全趣旨によれば、本件標準宅地の鑑定評価に当たり、その公示価格に時点修正率、個別的要因の標準化補正率及び地域格差率を乗じて本件標準宅地に係る規準価格算定の基礎とされた渋谷五―九(渋谷区β七番九、住居表示は渋谷区β一六―四)の公示価格は、右期間において、四五〇万円から二七〇万円まで四〇パーセントの下落があったこと、本件標準宅地に沿接する正面路線の相続税路線価は、右期間において、六六四万円から四三四万円まで三四・六パーセントの下落があったことがそれぞれ認められる。 ところで、一般に、地価公示価格は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって地価の形成に寄与することを目的とするために、地価公示法により公示される(同法一条)ものであって、その算定に当たっては、土地鑑定委員会は、二人以上の不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格を判定するものである(同法二条)から、地価公示価格は、当該土地の基準日における正常取引価格に極めて近似すると解される。 そして、地価公示の標準地が、土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域において、土地の利用状況、環境、地積、形状等が当該地域において通常であると認められる一団の土地が選定されていること(地価公示法施行規則二条)、本件標準宅地と右公示地の状況が類似する程度、相続税路線価が地価公示価格の評価水準の原則として八〇パーセントとなるように決定されており、価格の正確性においては地価公示価格に劣るものの 行規則二条)、本件標準宅地と右公示地の状況が類似する程度、相続税路線価が地価公示価格の評価水準の原則として八〇パーセントとなるように決定されており、価格の正確性においては地価公示価格に劣るものの、地価の大まかな推移を示すものといえることに照らせば、本件標準宅地についても、右期間内に少なくとも三割を超える地価の下落があったことを推認することができる。 これに対し、被告は、不動産の価格に一定限度の許容範囲があることを斟酌すると、右公示地(渋谷五―九)の下落率はおよそ三〇パーセントであり、本件標準宅地に近接する地価公示地(渋谷五―二、渋谷区γ三九番三、住居表示は渋谷区γ一五番八号)の地価下落率を参酌すべきであると主張するところ、弁論の全趣旨によれば、同公示地の期間における地価下落率は、一三五〇万円から九四五万円までの三〇パーセントにとどまっていることが認められ、また、証拠(乙二〇)によれば、本件標準宅地は、距離において公示地(渋谷五―九)よりも公示地(渋谷五―二)に近接し、用途地域も、本件標準宅地と公示地(渋谷五―二)が商業地域であるのに対し、公示地(渋谷五―九)は近接商業地域であることが認められる。 しかし、右の公示地(渋谷五―二)の下落率も三〇パーセントちょうどであるうえ、前記のとおり、本件標準宅地の鑑定評価に当たり、類似地域の公示地として選定されたのは公示地(渋谷五―九)であることからすれば、前記のとおり地価下落率が少なくとも三割を超えることの推認を覆すに足りるほどの、本件標準宅地と公示地(渋谷五―二)の価格形成要因の同質牲を認めるに足りる証拠はない。 (三) そうすると、本件標準宅地の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価下落率は、七割評価通達に従った場合に生ずる三割の評価誤差の許容範囲を超えるものというべきであり、平成 る証拠はない。 (三) そうすると、本件標準宅地の平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価下落率は、七割評価通達に従った場合に生ずる三割の評価誤差の許容範囲を超えるものというべきであり、平成六年一月一日における本件標準宅地の適正な時価は、少なくとも被告が認定した五八〇万円を下回ることは明らかである。 もっとも、平成五年一月一日から平成六年一月一日までの地価下落率について、公示地(渋谷五―九)の公示価格の下落率四〇パーセントや本件標準宅地に沿接する正面路線の相続税路線価の下落率三四・六パーセントは、本件標準宅地近辺のおおよその下落傾向を示すものといえるが、右公示地と本件標準宅地の地域格差が五四ポイントとされていること(乙六、同九)、相続税路線価が価格の正確性において地価公示価格に劣ることからすれば、これらの下落率などから本件標準宅地の地価の具体的な下落率まで認定することは困難といわざるを得ず、他に、平成六年一月一日における本件標準宅地の適正な時価を認めるに足りる証拠はない。 2 セットバックを要する部分の評価について(一) ある土地が二項道路に接する場合には、建築基準法上、道路の中心線からの水平距離二メートルの線等をその道路の境界線とみなされ(同法四二条二項)、その部分に建築物を建築することができなくなるため(同法四四条一項本文)、将来の建築物建替えの際にはみなし境界線まで後退(セットバック)を要することとなるところ、証拠(乙七)によれば、本件土地に沿接する正面路線は幅員二・七メートルの二項道路であるため、セットバックを要する部分が含まれていることが認められる。 (二) 二項道路と路線価の付設についてその他の街路(主要な街路以外の街路)の路線価について、評価基準1章第3節二(一)3は、「近傍の主要な街路の路線価を基礎とし、主要な街 いることが認められる。 (二) 二項道路と路線価の付設についてその他の街路(主要な街路以外の街路)の路線価について、評価基準1章第3節二(一)3は、「近傍の主要な街路の路線価を基礎とし、主要な街路に沿接する標準宅地とその他の街路に沿接する宅地との間における街路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便等の相違を総合的に考慮して付設するものとする。」と定め、これを受けて、取扱要領第二節第6の5(一)イは、主要な街路と当該その他の街路の価格形成要因の比較を通じ、その差異を比準表により格差に置き換え、それら格差を集計した格差率を主要な街路の路線価に乗じた数値により付設するものと定めるとともに、普通商業地区を含む商業系の基本的な価格形成要因として、次のものを掲げ、これを受けて、比準表において各要因ごとの格差率を定めている。 a 街路の条件幅員、連続性、系統性及び種類b 交通・接近条件最寄駅への距離及び商業中心への距離c 環境条件土地区画整理事業等、商業密度及び商況d 行政的条件容積率及びその他公法上の規制右取扱要領及び比準表の定めは、評価基準に沿うものとして一応の合理性を有するものといえるところ、これらの定めによれば、二項道路に沿接することにより、①街路条件の「種類」の格差、②二項道路が幅員四メートルに満たない狭い道路であることから、街路条件の「幅員」の格差、③当該建築物の前面道路の幅員が一二メートル未満である場合においては、右幅員に所定の数値を乗じて求められる容積率(基準容積率)とされ得ることから(建築基準法五二条一項)、行政的条件の「容積率」の格差に影響し、さらに、④二項道路が狭い道路であるために、商業地において歩行者の通行量を減少させ、繁華性を低めることもあり得るが、この場合には、環境条件の格差 五二条一項)、行政的条件の「容積率」の格差に影響し、さらに、④二項道路が狭い道路であるために、商業地において歩行者の通行量を減少させ、繁華性を低めることもあり得るが、この場合には、環境条件の格差に影響するということができる。 そして、証拠(乙七)によれば、被告は、本件土地に沿接する正面路線と本件標準宅地に沿接する主要な街路との格差率を算定するに当たり、街路条件として、幅員による格差マイナス一二ポイント、連続性(通り抜け可か行き止まりか)による格差マイナス五ポイント、種類(一項道路か二項道路か)の格差マイナス二ポイントの合計マイナス一九ポイントとする減価を、行政的条件として、容積率による格差マイナス六ポイントとする減価を行っていることが認められるから、被告は、右格差率認定において、本件土地の正面路線が二項道路であることに関し、種類だけではなく、幅員及び容積率という価格形成要因においても考慮しているということができる。 これら街路条件等に反映される価格形成要因に対し、ある土地がセットバックを要する部分を含むか否かという事情は、同じ二項道路に沿接する土地であっても、個別の土地の間口と奥行きの比率等によってセットバックを要する部分の面積比は異なるものであること、現況においてはいまだセットバックしていない画地を実際にセットバック済みの画地と同様に取り扱うのは適当ではないことに照らせば、右事情は、路線価の付設においてではなく、個々の土地の画地計算において、どのように考慮すべきかが検討されるべき事項であるといえる。 以上によれば、被告の行った前記格差率の認定は、本件土地の正面路線が二項道路であることを考慮したものとして合理性を有するということができる。 (三) セットバックを要する部分と画地計算について評価基準及び取扱要領には、画地計算におい の認定は、本件土地の正面路線が二項道路であることを考慮したものとして合理性を有するということができる。 (三) セットバックを要する部分と画地計算について評価基準及び取扱要領には、画地計算において、セットバックを要する部分をどのように取り扱うかについての定めはない。 しかし、評価基準第1章第1節一は、土地の評価は、土地の地目別に評価基準の定める方法により行うものとし、右地目は土地の現況によるものとすることを定めている。また、取扱要領第一節第2の2は、地目の認定は賦課期日である一月一日の現況及び利用目的により行い、その認定の単位は原則として一筆ごととし、部分的に僅少の差異が存するときでも、土地全体としての利用状況を観察して認定するが、一筆の土地が相当の規模で二以上の全く別の用途に利用されているときは、これらの利用状況に応じて区分し、それぞれに地目を定めると規定している。 このように、評価基準及び取扱要領は、賦課期日の現況により評価対象土地を評価するものであるから、右土地が二項道路に沿接する場合に、既に現実にセットバックがなされ、現況も道路として利用されているときには、宅地部分と別個の評価がなされるべきであるが、セットバックを要する部分を含むとしても、賦課期日において、いまだセットバックがなされず、宅地(建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地。不動産登記事務取扱手続準則(昭和五二年九月三日付け法務省民第四四七三号民事局長通達)一一七条ハ、取扱要領第一節第2の3(1)参照。)として利用されている限り、宅地としての評価を受けるものというべきである。 ちなみに、セットバックを要する部分を含む土地を宅地として評価する場合に、建築基準法上、将来、その部分に建築物を建築できないこと考慮して、減価補正をするとの考え方も、宅地の のというべきである。 ちなみに、セットバックを要する部分を含む土地を宅地として評価する場合に、建築基準法上、将来、その部分に建築物を建築できないこと考慮して、減価補正をするとの考え方も、宅地の評価方法としてはあり得るところである。しかし、その補正の方法について正確を期するとすれば、セットバックを要する部分について建築規制が現実化する建築物の建替え時期についての見込み、道路が土地の北側にあるか南側にあるかといった位置関係(道路が敷地の北側にあれば、日照確保等のため道路側に寄せて建築するのが一般的であるが、敷地の道路側が削られることにより南側隣地上の家屋との間隔が縮まり、日照確保等で条件が悪くなるなどのことが考えられる。)、周辺の土地についてのセットバックの見込み(将来周辺の土地も含めて道路の全面にわたってセットバックがなされれば、かえって街路条件がよくなり、増価要因となる。)等といった諸事情をも考盧すべきであり、単純にセットバックを要する部分の面積のみによって減価補正することが不動産鑑定手法に則った唯一の合理的な方法であるとはいえない。そして、前記のとおり、正面路線が二項道路であることに関連して街路条件等において一定の減価が行われることをも考え併せると、右特別の減価補正を行わないことが、短期間に大量の土地を評価することが求められる固定資産の評価方法として不合理なものということはできない。 なお、原告は、このような取扱いは、格差率の認定において、本件土地に沿接する正面路線が幅員四メートルの道路であるとして容積率を算定していることと矛盾すると主張するが、比準表が格差の比準項目として採用した建築基準法五二条一項に規定する基準容積率は、セットバック済みであるか否かにかかわらず、二項道路をすべて幅員四メートルとみなして算定されるものであるから 張するが、比準表が格差の比準項目として採用した建築基準法五二条一項に規定する基準容積率は、セットバック済みであるか否かにかかわらず、二項道路をすべて幅員四メートルとみなして算定されるものであるから、格差率の認定における右取扱いのゆえに、画地計算においてセットバックを要する部分を除外しなければ、土地の評価方法としての一貫性を欠くことになるものとはいえない。 以上によれば、本件土地は賦課期日においていまだセットバックがなされていなかったことは当事者間に争いがないから、被告が、セットバックを要する部分を除外せず、また、特別の減価補正を行わなかったことに違法はないというべきである。 3 不整形地の補正について取扱要領は、不整形地(宅地として利用価値が減少する形状の画地)について、不整形の度合を、当該不整形地に近似する整形地を想定し、この整形地と比較し、その凹凸の状況から宅地としての利用価値を客観的に判断して(なお、画地の面積の大小は宅地としての利用価値に影響を及ぼすものであるから十分留意することとされている。)、「不整形のもの」、「相当に不整形のもの」及び「極端に不整形のもの」の三分類に認定し、これに応じた補正率(それぞれ〇・九〇、〇・八〇及び〇・七〇)により不整形地の補正を行うことと定めている(取扱要領第九節第5の3(5)、第九節第8の11、付表10)。 そして、本件土地は、L字型の形状であると認められるが(甲五、乙一五)、不整形地補正は、画地の形状が悪いことによって画地の全部が宅地として十分に利用できないという利用価値の客観的減価要素となるべき場合の減価であり、ある程度不整形な画地であっても、建物の建築等が通常の状態で行い得るものは補正を要しないと解されるところ、本件土地の面積が二三八平方メートルと渋谷区内の普通商業地区としては比 べき場合の減価であり、ある程度不整形な画地であっても、建物の建築等が通常の状態で行い得るものは補正を要しないと解されるところ、本件土地の面積が二三八平方メートルと渋谷区内の普通商業地区としては比較的大きいこと、相続税評価に用いられる財産評価基本通達に定める蔭地割合を求める方式により算出した本件土地の不整形地補正率が〇・九八にすぎないこと(乙一四、同一五)からすると、本件土地に近似する想定整形地(間口二一・五メートル、奥行き一七・〇メートルのほぼ長方形、乙一五)と比較した場合に、取扱要領の定める不整形地補正を行うべきほどの利用価値の減少はないとした被告の判断には合理性があり、取扱要領に適合したものということができる。 四結論以上によれば、本件決定は、本件土地に沿接する正面路線の路線価を付設するに当たり、主要な街路の路線価に乗ずる格差率を七八パーセントとした点、及び本件土地の単位当たりの評点を算出するに当たり、右正面路線の路線価に奥行価格補正率一・〇〇を乗じただけである点には違法はないが、本件標準宅地に沿接する主要な街路の路線価が五八〇万点を下回るにもかかわらず、これを五八〇万点として本件土地の価格を算定した点において違法というべきである。 よって、原告の請求は理由があるから、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第二部裁判長裁判官市村陽典裁判官阪本勝裁判官村松秀樹別紙非開示部分目録一支出負担行為書、支出命令書、請求書、領収書、支出証明書、現金出納簿において、個人の相手方が識別できる情報二支出負担行為書、支出命令書、請求書、領収書、支出証明書、現金出納簿において、団体の相手方が識別できる情報三すべての公文書における債権者の振込先銀行名、口座番号四従業員の氏名・印影、資金前渡職員の振込先銀行名、口座番号 書、領収書、支出証明書、現金出納簿において、団体の相手方が識別できる情報三すべての公文書における債権者の振込先銀行名、口座番号四従業員の氏名・印影、資金前渡職員の振込先銀行名、口座番号

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