令和4(行ウ)48 介護給付費却下処分取消等請求事件(国賠)

裁判年月日・裁判所
令和5年10月31日 千葉地方裁判所
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判決文本文26,901 文字)

令和4年(行ウ)第48号介護給付費却下処分取消等請求事件(国賠)令和5年10月31日千葉地方裁判所民事第3部判決口頭弁論終結日令和5年8月8日 主文 1 被告が令和4年8月3日付けで原告に対してした障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律24条2項に規定する介護給付費の支給決定の変更決定に係る重度訪問介護の支給量を1か月744時間とする決定の義務付けを求める訴えのうち、重度訪問介護の支給量を1か月683. 5時間を超える時間とする支給決定の変更決定の義務付けを求める部分を却 下する。 2 被告が令和4年8月3日付けで原告に対してした前項の法律24条1項に基づく介護給付費の支給決定の変更の申請を却下する旨の決定のうち、重度訪問介護の支給量につき1か月581.5時間を超えて683.5時間に達するまでの部分を支給量として算定しないものとした部分を取り消す。 3 被告は、原告に対し、第1項の変更決定に係る重度訪問介護の支給量を1か月683.5時間を下回らない時間とする支給決定の変更決定をせよ。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 被告が令和4年8月3日付けで原告に対してした介護給付費の支給決定の変更の申請を却下する旨の決定を取り消す。 2 被告は、原告に対し、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するた めの法律24条2項の規定に基づいて重度訪問介護の支給量を1か月744時 間とする支給決定の変更決定をせよ。 3 被告は、原告に対し、103万8000円及びこれに対する令和4年11月12日から支払済みまで年3% 定に基づいて重度訪問介護の支給量を1か月744時 間とする支給決定の変更決定をせよ。 3 被告は、原告に対し、103万8000円及びこれに対する令和4年11月12日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 原告は、令和4年5月30日付けで、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)24条1項に基づき、重度訪問介護の支給量を1か月581.5時間から1か月744時間に変更決定することを求めて介護給付費の支給決定の変更の申請(以下「本件変更申請」という。)をしたのに対し、被告は、同年8月3日付けで、本件変更申 請を却下する旨の決定(以下「本件却下決定」という。)をした。 本件は、原告が、①本件却下決定は被告の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があって違法である旨主張して、被告に対し、本件却下決定の取消し(前記第1の1)と重度訪問介護の支給量を1か月744時間とする旨の支給決定の変更決定の義務付け(前記第1の2)を求めるほか、②被告がした誤った判断(本 件却下決定)により、精神的苦痛を受けるとともに、被告の本件変更申請に対する判断が遅滞したことにより、原告は本件変更申請から本件却下決定までの間、自費で介護サービスを依頼しなければならず、その期間の介護費用を自己負担した旨主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づいて、損害金合計103万8000円(慰謝料100万円、介護費用自己負担分3万8000 円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年11月12日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払(前記第1の3)を求める事案である(なお、原告は、松戸市長を処分行政庁として本件訴えを提起してい 達の日の翌日である令和4年11月12日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払(前記第1の3)を求める事案である(なお、原告は、松戸市長を処分行政庁として本件訴えを提起しているが、本件却下処分の処分行政庁は、松戸市である(障害者総合支援法24条2項)。)。 2 関係法令の定め 関係法令の定めは、別紙関係法令の定めのとおりである(なお、同別紙中で定義した略称等は、以下の本文においても同様に用いることとする。)。 3 前提事実(証拠原因を記載しない事実は当事者間に争いがない。なお、以下における証拠の摘示は、特に断りのない限り枝番を含む。)⑴ 当事者等 ア原告(昭和▲年▲月▲日生)は、千葉県松戸市内に居住する者であり、平成30年2月に筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」という。)と確定診断され、現在、両上肢機能の著しい障害、両下肢機能の著しい障害(体幹機能障害含む。)をそれぞれ有しており、身体障害者等級1級、介護保険法に基づく要介護5、障害者総合支援法に基づく支援区分6の認定を受けて いる(甲1、3、5の1、甲11)。 イ原告は、妻(昭和▲年▲月▲日生)及び原告と妻との子(平成▲年▲月▲日生。以下、単に「子」という。)と同居している(甲11)。 ウ被告は、地方公共団体であり、介護給付費支給決定及び同決定の変更決定を行う権限を有している(障害者総合支援法19条1項、2項本文、2 4条1項、2項)。 ⑵ 本件却下決定及び本件訴訟に至る経過ア原告は、令和元年8月、重度訪問介護に係る支給量を1か月248時間とする旨の支給決定を受けた。原告の同支給量は、令和2年6月に1か月328時間、同年8月に1か月353時間、令和4年1月に398.5時 間、同年2月に1か月556. る支給量を1か月248時間とする旨の支給決定を受けた。原告の同支給量は、令和2年6月に1か月328時間、同年8月に1か月353時間、令和4年1月に398.5時 間、同年2月に1か月556.5時間に増量された。(甲11)イ被告は、原告が令和4年3月31日にした申請に基づいて、①同年4月15日付けで、重度訪問介護の支給量を同年3月31日から同年5月31日までの間、1か月581.5時間(平均1日18.75時間)に変更する旨の決定をし、②令和4年5月12日付けで、重度訪問介護の支給量を 同年6月1日から令和5年3月31日までの間、1か月581.5時間と する旨の決定(以下、②の決定につき、「本件変更決定」という。)をした(甲5、乙8)。 ウ原告は、令和4年5月30日付けで、被告に対し、本件変更決定における重度訪問介護の支給量を1か月581.5時間から744時間に変更する旨の決定を求める内容の申請をした(本件変更申請。甲17、乙 9)。 被告は、令和4年7月14日に開催された松戸市障害者介護給付費等審査会(以下「本件審査会」という。)等の意見聴取も踏まえた上で、気管切開と人工呼吸器着用に当たって現状の介護と術後に必要な介護に大きな差が出るとは判断できず、自宅内に痰吸引等のできる同居者が居る ため、常時の重度訪問介護ヘルパーの派遣の必要はないし、家族の介護負担は現状の支給時間数で軽減されていると評価できるから、原告は、障害者総合支援法24条2項の「必要があると認めるとき」に該当しないとして、令和4年8月3日付けで、本件変更申請を却下する旨の決定をした(本件却下決定。甲20、42の2、乙10)。 原告は、本件却下処分を不服として、令和4年9月6日、千葉県知事に対して審査請求(以下 付けで、本件変更申請を却下する旨の決定をした(本件却下決定。甲20、42の2、乙10)。 原告は、本件却下処分を不服として、令和4年9月6日、千葉県知事に対して審査請求(以下「本件審査請求」という。)をする(甲33、34)とともに、本件審査請求に対する裁決がされるのを待つことなく、令和4年10月31日、本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 エ原告は、令和5年4月12日付けで、被告に対し、重度訪問介護の支給 量を本件変更決定と同じ1か月581.5時間とする旨の支給申請を行い、被告は、同年5月19日付けで、支給量を1か月581.5時間(うち重度訪問介護加算移動1か月30.0時間)、適用期間を同年6月1日から令和6年5月31日までとする旨の支給決定をした(乙11、12)。 4 争点 本件却下決定について ア本件却下決定の取消しを求める訴えの利益(争点1-1)イ本件却下決定に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無(争点1-2) 国家賠償請求についてア被告市長の職務上の注意義務違反の存否(争点2-1) イ損害の発生及びその額(争点2-2) 5 争点に関する当事者の主張争点1-1(本件却下決定の取消しを求める訴えの利益)についてア被告の主張本件変更申請は、本件変更決定において定められた重度訪問介護の支給 量の増量をその内容とするものであるところ、本件変更決定における適用期間は令和4年6月1日から令和5年5月31日までであるから、本件変更決定の効力は、同日の経過をもって消滅した。 したがって、原告の本件却下決定の取消しの訴え(以下「本件取消しの訴え」という。)は、訴えの利益を欠き不適法であり、また、被告に重度訪 問介 変更決定の効力は、同日の経過をもって消滅した。 したがって、原告の本件却下決定の取消しの訴え(以下「本件取消しの訴え」という。)は、訴えの利益を欠き不適法であり、また、被告に重度訪 問介護の支給量を744時間とする支給決定の変更決定を義務付ける訴え(以下「本件義務付けの訴え」という。)は、併合提起された本件取消の訴えが不適法であるから、本件義務付けの訴えも不適法となる。 イ原告の主張本件訴訟は、究極的には、金銭支払請求権に転化する実質を有する介護 支給費の給付を受ける地位の回復を求めるものであるから、本件変更決定の適用期間が既に経過したとしても、原告には、本件却下決定の取消しによって回復すべき法律上の利益が認められる。 したがって、本件変更決定の適用期間の経過をもって、本件取消しの訴えにつき、訴えの利益が消滅するとはいえない。 争点1-2(本件却下決定に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無) についてア原告の主張原告は、ALSにり患しているところ、症状が進行し、呼吸機能が低下したことから、現在、バイパップ(非侵襲的陽圧人工呼吸器)を常時使用しており、窒息を避けるために、定期的な吸痰が必要な状態である。 そのため、吸痰がされない場合には、原告は死に直面することとなるから、原告には、痰の吸痰等を常時可能とする介護の態勢を整える必要がある。こうした介護を実現するためには、24時間の重度訪問介護ヘルパーによる介護が不可欠である。 吸痰それ自体は、医療行為であるから、何ら資格を有しない妻が吸痰 を行うことは医師法17条に反するものであって、違法であるから、妻が吸痰を行うことはできない。 この点を措くとしても、妻は、税理士事務所でアルバイトとして稼働する 格を有しない妻が吸痰 を行うことは医師法17条に反するものであって、違法であるから、妻が吸痰を行うことはできない。 この点を措くとしても、妻は、税理士事務所でアルバイトとして稼働するとともに、子の養育及び家事全般を担っているところ、介護負担により、椎間板ヘルニアを発症するとともに、膝の軟骨がすり減ったこと により、身体に痛みが生じ、湿布と痛み止めを手放すことができない状態である。のみならず、妻は、介護負担により、適応障害や緊張型頭痛等を患うとともに、指定難病であるIgA腎症にり患して、現在治療中であり、心身ともに限界の状態である。 こうした妻の状況に鑑みれば、妻が単独で、原告の状態を注視し、即 座に対応するといった介護を行うことは不可能である。 しかるに、被告は、妻が上記のとおり心身ともに限界の状態であり、単独で原告の状態を注視して即座に対応するといった介護を行うことは不可能であるにもかかわらず、それを十分に考慮しないで本件却下処分をしたのであるから、被告には、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があ る。 イ被告の主張原告の主治医は、介助者は24時間原告宅にいる必要はあるが、常に原告と同じ部屋にいる必要まではなく、モニターが警告音を発した際には、吸痰ができる環境を整えれば足りる旨意見している。そうすると、重度訪問介護のヘルパーが在宅していない時間帯における妻の介護の負 担は、大きいものではない。 本件変更決定における重度訪問介護の支給量は、1か月581.5時間(その内訳は、妻の睡眠時間279時間(9時間×31日間)、朝の準備時間77.5時間(2.5時間×31日間)、妻の就労時間150時間(7.5時間×20日間)、子の養育時間60時間(12時間×5日間)、 妻 妻の睡眠時間279時間(9時間×31日間)、朝の準備時間77.5時間(2.5時間×31日間)、妻の就労時間150時間(7.5時間×20日間)、子の養育時間60時間(12時間×5日間)、 妻と子の緊急時の対応時間15時間である。)である。そして、重度訪問介護における支給量は、平均1日18.75時間(581.5時間÷31日間)であるところ、原告は、介護保険給付として平均1日1.15時間、医療保険給付として平均1日1.35時間(原告が受けている公的サービスは、平均1日21.25時間(18.75時間(重度訪問介 護)+1.15時間(介護保険給付)+1.35時間(医療保険給付))である。)を受けているのであるから、妻が一人で介護をする時間は平均1日2.75時間にすぎず、介護時間の観点でも、妻の負担は大きくない。このことは、妻は遅くとも午後10時以降は睡眠時間に充てることができ、自分の勉強時間をとることができていること、子に複数の習い 事をさせることができていること、原告のケアマネージャーが作成した週間計画表によれば、日曜日は終日ヘルパーや訪問看護が予定されており、妻は十分な休息をとることができることからも、明らかである。 原告は、前記アのとおり、妻は適応障害やIgA腎症等にり患しており、心身ともに限界の状態である旨主張する。 しかし、IgA腎症の積極的な治療は開始されていない。また、妻は 抑うつ状態、適応障害、動悸が強くなる時があるとのことであるが、定期的な通院はしていないし、妻の主治医である病院Aの医師Aは、「介護にノータッチとまですべき精神状態かどうかは判然としない。」と意見していることに照らせば、適応障害やIgA腎症はさほど深刻なものではない。加えて、妻は、会計事務所における勤務を継続できている 「介護にノータッチとまですべき精神状態かどうかは判然としない。」と意見していることに照らせば、適応障害やIgA腎症はさほど深刻なものではない。加えて、妻は、会計事務所における勤務を継続できているし、年 齢も40歳代前半と若く、介護への目立った支障もない。さらに、原告のリクライニングベッドは、高さの調整が可能であるため、妻は、吸痰時に腰を極度にかがめる必要はなく、移乗の際はスライディングボードの利用により、妻に体力的負担がないよう配慮されていることに照らせば、妻が介護により心身ともに限界であるとする旨の原告の主張は理由 がない。 以上の原告の障害の程度及び心身の状況、原告に対する重度訪問介護の支給量、介護保険給付及び医療保険給付の内容等を総合考慮すれば、妻が、単独で平均1日2.75時間につき、吸痰等の介護を行うことが可能であるから、本件却下処分をした被告には、裁量権の範囲の逸脱又 はその濫用はない。 争点2-1(被告市長の職務上の注意義務違反の存否)についてア原告の主張前記⑵アのとおり、被告は、妻が心身ともに限界の状態であるにもかかわらず、それを看過して、本件却下処分をしたのであるから、被告を 代表して本件却下決定をした被告市長には、職務上の注意義務違反がある。 また、原告は、令和4年5月30日付けで本件変更申請をしたが、被告は、本件変更申請に対する諾否の応答を遅滞し、同年8月3日付けで本件却下処分をしたのであるから、この点にも、被告を代表する被告市 長には、職務上の注意義務違反がある。 イ被告の主張本件却下決定が、被告の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用をしたものではないことは、前記⑵イのとおりである。 仮に、本件却下決定に取り消されるべき違法が認められた 。 イ被告の主張本件却下決定が、被告の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用をしたものではないことは、前記⑵イのとおりである。 仮に、本件却下決定に取り消されるべき違法が認められたとしても、被告は、本件却下決定の判断に際し、病院Aの医師Aから、妻の病状に ついて確認するなどの必要な調査を行った。また、本件審査会が本件変更申請につき、「他のサービス利用で介護負担の軽減が可能であること、主治医から24時間の介護導入の必要性がうかがえないため、重度訪問介護、581.5時間/月の時間数のまま支給決定とする」と結論付けたことを踏まえて本件却下決定をしたのであり、被告市長は、本件却下 決定に当たり、職務上通常尽くすべき注意義務を果たしている。 原告の前記アの主張は争う。 争点2-2(損害の発生及びその額)についてア原告の主張慰謝料 100万円 原告は、理解のない被告の対応により、何度も自死を口にするほどに日々精神的に追い詰められており、本件却下決定により原告が被った精神的苦痛は甚大であり、それに伴う生活状態の不安定さも重大である。 原告が受けた精神的苦痛を慰謝するための慰謝料額は100万円を下回らない。 介護費用の自己負担分 3万8000円原告は、令和4年5月30日付けで本件変更申請をしたが、被告は、本件変更申請に対する諾否の応答を遅滞し、同年8月3日付けで本件却下処分をした。そのため、原告は、同年7月については介護事業所に対し、原告の介護を依頼せざるを得ず、同月分の介護費用として3万80 00円を負担した。 イ被告の主張争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件取消しの訴え及び本件義務付けの訴えが、行政事件訴訟法 ざるを得ず、同月分の介護費用として3万80 00円を負担した。 イ被告の主張争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件取消しの訴え及び本件義務付けの訴えが、行政事件訴訟法8条2項1号ただし書(審査請求前置)に反しないこと 本件却下決定は、原告がした介護給付費支給決定の変更の申請(本件変更申請)を却下する旨の決定であるところ、介護給付費等に係る処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起することができない(障害者総合支援法105条)。 しかるところ、原告は、令和4年9月6日に本件審査請求を行い、本件審査 請求に対する裁決がされる前である同年10月31日に本件訴訟を提起しているが、現時点において、本件審査請求から既に3か月が経過していることは記録上明らかであるから、裁決を経ないで本件取消しの訴えを提起することができる(行政事件訴訟法8条2項1号)。 そうすると、本件取消しの訴えは適法であるから、これと併合提起されてい る本件義務付けの訴えも適法に係属しているものといえる。 2 争点1-1(本件却下決定の取消しを求める訴えの利益)について被告は、第2の5⑴アのとおり、本件変更決定における適用期間は令和4年6月1日から令和5年5月31日までであり、本件変更決定の効力は、令和5年5月31日の経過をもって消滅したから、本件取消しの訴えは、訴えの利益 を欠き、不適法であり、併合提起された本件義務付けの訴えも不適法となる旨主張する。 そこで検討するに、取消訴訟を提起できる者は、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られるところ、当該処分の期間が経過し、当該処分の効果がなくなった場合においても、なお当該処分の取消しによって 回復すべ 起できる者は、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られるところ、当該処分の期間が経過し、当該処分の効果がなくなった場合においても、なお当該処分の取消しによって 回復すべき法律上の利益を有する場合には、当該処分についての取消訴訟の訴 えの利益は消滅しないと解される(行政事件訴訟法9条1項かっこ書参照)。 これを前提として本件についてみると、本件変更申請の前提となる本件変更決定の適用期間は、令和4年6月1日から令和5年5月31日までであるから(前提事実イ)、本件変更決定の効力は、令和5年5月31日の経過をもって消滅したといえるが、障害者総合支援法29条1項は、市町村は、介護給付費 の支給決定を受けた障害者が、支給決定の適用期間内において、指定障害福祉サービス事業者から指定障害福祉サービスを受けたときは、当該障害者に対し、当該指定障害福祉サービス等(支給量の範囲内のものに限る。)に要した費用(特定費用を除く。)については、介護給付費を支給する旨規定している。そして、原告は、本件却下決定以後も、本件変更決定で定められた介護量を超える 部分の重度訪問介護に係る費用については、自ら負担している(甲26)から、本件却下決定が取り消され、本件変更申請に基づいて支給量を増量する旨の支給決定の変更決定がされた場合には、原告は、障害者総合支援法29条1項に基づいて、被告から、増量された支給量の範囲を限度として、重度訪問介護に係る費用の支給を受けることができる法的地位にあるといえる。 そうとすれば、原告は、本件変更決定の適用期間が経過した後も、本件却下決定の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するといえるから、本件取消しの訴えは、訴えの利益を欠いているものとはいえない。 3 争点1-2(本件 、本件変更決定の適用期間が経過した後も、本件却下決定の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するといえるから、本件取消しの訴えは、訴えの利益を欠いているものとはいえない。 3 争点1-2(本件却下決定に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無)について 前記前提事実、証拠(各項に掲げるもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア原告の病状等(甲6、7、11、乙2、6)ALSは、重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす運動神経系の変性疾患であり、発生の機序は解明されていない進行性の難病であって、現時 点では有効な治療法がない疾患である。 原告は、ALSの進行により、令和元年秋頃から立位保持が困難となっており、令和3年秋頃からは寝たきりの状態にあって、現在は、眼球以外の部位を自由に動かすことができない状態である。また、原告は、同年秋頃から徐々に嚥下機能が低下してきており、令和4年の年初頃からはほぼ胃ろうにより栄養を摂っている状態である。原告は、唾液の嚥 下にも困難が生じてきている状況であり、同年2月頃からは持続吸引の使用も開始した。さらに、原告は、令和3年の年末頃から、呼吸障害が急速に進んできており、令和4年2月からは、生命維持のために、バイパップ(非侵襲的陽圧人工呼吸器)による終日非侵襲的陽圧換気療法を開始した。原告はいつでも呼吸不全で急変し得る状態であり、また、定 期的に吸痰を行う必要があることから、家族やヘルパー等が、常時注視する必要まではないが、モニターが警告音等を示した際には、常時吸痰ができるといった見守りの態勢を整える必要がある。 なお、原告の主治医である医師Bは、令和4年3月7日に実施された被告職員による聴き取り調査(乙2)において、「 を示した際には、常時吸痰ができるといった見守りの態勢を整える必要がある。 なお、原告の主治医である医師Bは、令和4年3月7日に実施された被告職員による聴き取り調査(乙2)において、「24時間誰かしらの見 守りは必要だが、家族がケアできる状態の時間については、サービスの常時見守りは必須ではない。」、「医学的に一瞬も目を話す(当審注:原文のまま)ことができないというわけではなく、隣の部屋で家事をしたりする程度は大丈夫。だが、医学的に大丈夫であっても原告家の家族機能として対応できるかは別の話になってきてしまう」などと述べている。 原告の呼吸筋麻痺は進行しているため、令和4年2月段階で、本来的には気管切開及び人工呼吸を導入したほうが良いレベルであるが、他方、会話機能はまだかなり温存されているため、気管切開をした上で、発語可能な状態にすることができる医療器具(ブロムカニューレ)を装着することが望ましいと診断されている。もっとも、ブロムカニューレは、 現在入手困難な状態であり、気管切開手術の実施の目処は立っていない。 イ妻の病状等について(甲8、9、10の2、甲11、44、乙26、27) 適応障害等a 妻は、令和3年2月17日、うつ症状やイライラ、怒りっぽい、体がだるい、寝ても疲れがとれないなどと訴え、病院Aを受診した。 病院Aの医師Aは、妻が訴える症状の原因は、原告の介護と子の育児のストレスが要因であることは明らかであるとして、適応障害、抑うつ状態と診断し、抑うつ症状に対し、抑うつ剤や気分安定薬を処方し、妻に対し、3か月に1度通院するように指導した。 b 妻は、令和3年10月、同年12月3日、令和4年3月9日に病院 Aを受診した。医師Aは、同年3月9日、妻 し、抑うつ剤や気分安定薬を処方し、妻に対し、3か月に1度通院するように指導した。 b 妻は、令和3年10月、同年12月3日、令和4年3月9日に病院 Aを受診した。医師Aは、同年3月9日、妻は原告の介護に対する疲弊から、抑うつ気分・意欲低下・集中力低下・不安焦燥感・動悸等の身体化症状等の抑うつ状態が持続しており、症状改善のため、福祉サービスを最大限利用することも必要である旨診断した。また、医師Aは、同日の診察において、妻の適応障害症状に著変がないことが確認 されたから、今後も定期通院(1か月に1度程度)が必須である旨も診断している。 なお、医師Aは、同年4月2日、被告に対し、妻の症状につき、「通院間隔が不定期だったこともあり、ご本人について、介護にノータッチとまですべき精神状態かどうかは判然としない。」と意見している。 緊張型頭痛等妻は、令和4年3月10日から、緊張型頭痛、片頭痛で病院Bに通院し、内服治療を継続している。同医療機関の医師は、原告の介護に育児や仕事が加わり、疲労やストレスによる症状への影響が強いと考えられる旨診断している。 IgA腎症 妻は、令和4年3月、血尿が出たことから通院を開始した。病院Cの医師Cは、同年5月25日、指定難病であるIgA腎症であり、免疫抑制剤による治療が検討されることから、外来通院の継続を要する旨診断した。 椎間板ヘルニア等 原告は、平成30年4月から身体介護が必要になり、徐々に妻の介護量が増えたことから、妻は、腰や膝の痛みを感じるようになり、医療機関を受診したところ、椎間板ヘルニア、膝の軟骨のすり減りが判明した。 妻は、原告の往診を行う病院Dの医師から、痛み止めとロキソニンテープの処方を受けている(IgA腎症のステ を感じるようになり、医療機関を受診したところ、椎間板ヘルニア、膝の軟骨のすり減りが判明した。 妻は、原告の往診を行う病院Dの医師から、痛み止めとロキソニンテープの処方を受けている(IgA腎症のステロイド療法により免疫力が低 下しており、感染症にかかりやすいため、膝に対する注射は行うことができていない。)。 なお、妻は、本件変更申請後に実施された被告職員による聴き取り調査(乙4)において、ヘルニアがあるため体位変換が辛いと述べた。 ウ子の養育状況等について(甲11、26) 妻は、原告の家族全体の家事を一手に引き受けている。原告との間の子は、保育園に通園し、妻が子を養育している。なお、妻は、本件変更申請後に実施された被告職員による聴き取り調査(乙4)において、子供の夕食から入浴までの時間帯が精神的に負担に感じる、欲を言うと自分の時間帯が欲しい旨述べた。 また、妻は、生活費、医療費、教育費等は原告の障害年金だけでは足りず、貯金を切り崩して生活しているが、子の将来の教育資金を確保するため、本件却下決定当時、週2日間、自宅から徒歩3分の会社でアルバイトをしている(なお、被告は、本件却下決定当時、月、水、木、金の週4日間就労している旨主張する。確かに、妻は、令和4年5月30日付けの陳 述書では、令和3年12月から週4日で働くことにした旨陳述している ものの、令和4年10月28日付けの陳述書(「2022年7月12日~10月18日の状況等に関する妻の追加陳述書」)では「子供の将来の教育資金を確保するため、週5日で働くつもりですが、通院…や介護のため、週に2日しか働けていません」と陳述しており、令和4年6月13日に実施された聴き取り調査(乙4)においても、妻は上記の陳述に沿った発言 を るため、週5日で働くつもりですが、通院…や介護のため、週に2日しか働けていません」と陳述しており、令和4年6月13日に実施された聴き取り調査(乙4)においても、妻は上記の陳述に沿った発言 をしていることから、本件却下決定当時における妻の就労状況については上記のとおり認定するのが相当である。)。 エ原告の介護給付費等の受給状況について(前提事実、甲11、58、乙1、弁論の全趣旨) 原告は、令和元年8月、重度訪問介護に係る支給量を1か月248時 間とする旨の支給決定を受けた。原告の同支給量は、令和2年6月に1か月328時間、同年8月に1か月353時間、令和4年1月に1か月398.5時間、同年2月に1か月556.5時間に増量された。 被告は、原告が令和4年3月31日にした申請に基づいて、①同年4月15日付けで、重度訪問介護の支給量を同年3月31日から同年5月 31日までの間、1か月581.5時間(平均1日18.75時間)に変更する旨の決定をし、②同年5月12日付けで、重度訪問介護の支給量を同年6月1日から令和5年3月31日までの間、1か月581.5時間とする旨の決定をした(本件変更決定)。 原告は、重度訪問介護に関する介護給付費以外に、介護保険給付によ り1か月35.65時間(平均1日1.15時間×31日間)の介護サービス(訪問介護、訪問入浴及び訪問リハビリ)を受けている。なお、同介護保険給付のうち身体介護については、1か月27時間となっている。 また、原告は、医療保険給付により1か月41.85時間(平均1日 1.35時間×31日間)の医療サービスを受けている(訪問診察、訪 問看護、訪問歯科、訪問リハビリ及び訪問マッサージ)。なお、同医療保険給付のうち、 1か月41.85時間(平均1日 1.35時間×31日間)の医療サービスを受けている(訪問診察、訪 問看護、訪問歯科、訪問リハビリ及び訪問マッサージ)。なお、同医療保険給付のうち、訪問診察は1か月2.5時間、訪問看護は1か月31時間である。 原告は、本件却下決定当時、基本的には、以下の公的サービスを受けていた(乙1。なお、実施される公的サービスの内容は、月単位で策定 されることから、週によっては実施されてないサービスも存在する。)。 各曜日に記載した「妻が単独で介護を行う時間」は、1日のうち公的サービスが提供される時間を控除した時間であり、同時間中は、妻は、単独で原告の介護を行っているが、ヘルパー等が滞在する時間であっても、一部介護の補助を行っている。 a 月曜日(妻が単独で介護を行う時間:0時間)午前0時00分から午前8時00分まで重度訪問介護午前8時00分から午前9時00分まで身体介護午前9時00分から午後5時00分まで重度訪問介護(なお、同時間帯において、訪問歯科(50分間)、訪問看護(1時 間)も併せて各実施されている。)午後5時00分から午後6時00分まで身体介護午後6時00分から午後12時00分まで重度訪問介護b 火曜日(妻が単独で介護を行う時間:6時間50分)午前0時00分から午前8時00分まで重度訪問介護 午前8時00分から午前9時00分まで身体介護午前9時30分から午前10時30分まで訪問看護午前10時30分から午前11時00分まで訪問入浴午後4時00分から午後4時40分まで訪問マッサージ午後6時00分 時30分から午前10時30分まで訪問看護午前10時30分から午前11時00分まで訪問入浴午後4時00分から午後4時40分まで訪問マッサージ午後6時00分から午後12時00分まで重度訪問介護 c 水曜日(妻が単独で介護を行う時間:50分間) 午前0時00分から午前9時00分まで重度訪問介護午前9時00分から午前9時40分まで訪問理学療法午前10時30分から午前11時30分まで訪問介護午前11時30分から午後12時00分まで重度訪問介護d 木曜日(妻が単独で介護を行う時間:50分間) 午前0時00分から午前8時00分まで重度訪問介護午前8時00分から午前9時00分まで身体介護午前9時50分から午前10時30分まで訪問マッサージ午前10時30分から午前11時30分まで訪問看護午前11時30分から午後12時00分まで重度訪問介護 e 金曜日(妻が単独で介護を行う時間:0時間)午前0時00分から午前8時00分まで重度訪問介護午前8時00分から午前9時00分まで身体介護午前9時00分から午後12時00分まで重度訪問介護(なお、同時間帯において、訪問リハビリ(1時間)、訪問介護(1 時間)訪問理学療法(1時間)も併せて各実施されている。)f 土曜日(妻が単独で介護を行う時間:9時間)午前0時00分から午前9時00分まで重度訪問介護午前9時00分から午前10時00分まで訪問看護午前11時00分から午後0時00分まで訪問入浴 午後1時0 時00分から午前9時00分まで重度訪問介護午前9時00分から午前10時00分まで訪問看護午前11時00分から午後0時00分まで訪問入浴 午後1時00分から午後2時00分まで身体介護午後9時00分から午後12時00分まで重度訪問介護g 日曜日(妻が単独で介護を行う時間:0時間)午前0時00分から午前8時00分まで重度訪問介護午前8時00分から午前9時00分まで訪問看護 午前9時00分から午後12時00分まで重度訪問介護 障害者は、介護給付費等の支給決定の変更決定を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に申請をして、支給決定を受けなければならず(障害者総合支援法24条1項)、上記申請があったときは、市町村は、当該障害者の障害程度区分又は障害の種類及び程度その他の心身の状況、当該障害者の介護を行う者の状況、当該障害者に関する介護給付費 等の受給の状況、当該障害者に関する保健医療サービス又は福祉サービス等の利用の状況、当該障害者の障害福祉サービスの利用に関する意向の具体的内容、当該障害者の置かれている環境、当該申請に係る障害福祉サービスの提供体制の整備の状況等の事項を勘案して、介護給付費の支給の要否を決定することができる(障害者総合支援法24条1項、2項、22条1項、総合 支援規則12条1号ないし9号)。 以上のような障害者総合支援法及びその関係法令の規定の内容に照らすと、市町村が介護給付費等に係る支給量を定め、又はそれを変更するに当たっては、個々の障害者に係る事項を勘案すべきこと以外には何ら具体的な基準が定められておらず、これらの勘案事項は、個々の障害者ごとに個別具体的な 介護給付費等に係る支給量を定め、又はそれを変更するに当たっては、個々の障害者に係る事項を勘案すべきこと以外には何ら具体的な基準が定められておらず、これらの勘案事項は、個々の障害者ごとに個別具体的な 事情を様々に異にする性質のものであり、多岐にわたる各事項に係る諸事情の勘案の在り方も総合的な考慮と判断を要するものといえるから、個々の障害者に係る勘案事項を勘案し、当該障害者に対していかなる種類の障害福祉サービスをいかなる支給量をもって行うかについては、勘案事項の調査の結果を踏まえた市町村の合理的な裁量に委ねられているものというべきである。 したがって、市町村が支給決定をするに当たってその裁量権の行使としてした障害者に対する支給量に係る決定(支給量を変更する決定を含む。)は、その判断の内容が事実の基礎を欠くこと又は考慮すべき事項を考慮しないこと等により社会通念上妥当性を欠くものであり、裁量権の範囲を超え又はそれを濫用したものと認められる場合に、違法となるものと解するのが相当で ある。 ア本件についてみると、原告は、原因不明の進行性の難病であるALSにり患しており、ALSの進行によって、令和3年秋頃からは寝たきりの状態となり、嚥下機能の低下のため、令和4年から胃ろうにより栄養を摂取し、唾液の嚥下にも困難が生じており、また、令和3年の年末頃から呼吸障害が急速に進み、令和4年2月頃から呼吸筋麻痺が進行し、生命維持の ためにバイパップによる終日非侵襲的陽圧換気療法が開始されており、いつでも呼吸不全で急変し得る状態にあるのみならず、モニターが警告音等を示した際には、吸痰を行うことができる環境を整える必要がある。こうした原告の病態に鑑みれば、原告の病状は深刻であり、家族やヘルパー等による介護がなければそ 状態にあるのみならず、モニターが警告音等を示した際には、吸痰を行うことができる環境を整える必要がある。こうした原告の病態に鑑みれば、原告の病状は深刻であり、家族やヘルパー等による介護がなければその生命を維持することが困難な状態にあって、不 十分な介護状況ないし不安定な介護環境にあるとすれば、その生命が危機にさらされることになる。 イそこで、原告の介護状況等についてみると、原告は、令和元年8月以降、重度訪問介護に関する介護給付費として1月248時間の支給決定を受けた以降、病状の進行に合わせて介護給付費の支給量は増量され、令和4 年3月時点では1か月581.5時間(1日平均18.75時間)の支給量の決定を受けているほか、介護保険給付により1日平均1.15時間、医療保険給付により1日平均1.35時間の介護サービスを受けている。 このため、妻が単独で原告を介護している時間は、1日平均2.75時間(24時間-18.75時間(重度訪問介護)-1.15時間(介護保険 給付)-1.35時間(医療保険給付))にとどまっており、曜日によっては妻が単独で原告を介護する時間がない日があるものの、妻は、ヘルパーが滞在する時間帯であっても介護の補助を一部行っており、介護の負担から完全に免れてはいない。 また、妻は、現在、重度訪問介護等の公的サービスが提供されない時間 帯を中心に原告の介護を行っているだけでなく、幼少の子の養育や家事全 般を担うとともに、本件却下処分当時は、生活費を確保するために週2日アルバイトとして就労しており、家庭の負担が全て妻に集中している状況にある。加えて、妻は、介護の負担に起因して、椎間板ヘルニア等を患うとともに、適応障害や抑うつ状態、緊張型頭痛、片頭痛を患い、指定難病であるIgA腎症にもり り、家庭の負担が全て妻に集中している状況にある。加えて、妻は、介護の負担に起因して、椎間板ヘルニア等を患うとともに、適応障害や抑うつ状態、緊張型頭痛、片頭痛を患い、指定難病であるIgA腎症にもり患している。そして、前記のとおり、原告は、常 時介助者が注視していなければならない状況ではないが、モニターのアラーム音が鳴った場合には、痰による窒息死を避けるために、家族やヘルパー等が即座に吸痰を行う必要があることに照らせば、原告の吸痰は、介護者においても高い緊張感を伴うものであり、相応の精神的負担感を有するものであるから、心身ともに健康な状態でなければ円滑な対応をすること はできない。 そして、原告については、ヘルパー等による常時介護の状態ではなく、妻が単独で原告の介護を行っている時間帯があるが、前記のとおり、妻は、子の養育や家事を含めた家庭の一切を負担しており、原告の数年にわたる介護負担の影響もあって心身ともに健常な状態ではなく、こうした状況の もとで、平均1日2.75時間であるとはいえ、妻単独での介護の状態の時間帯において、介護疲れ等により意図せず就寝してしまった結果、モニターのアラームに気が付くことができず、適宜の吸痰の対応が行われないなど、原告の生命が危険にさらされる事態が生ずる可能性が高い。また、ALSは、現在有効な治療方法はなく進行性のある病であるから、こうし た危険性が解消される見込みもない。 ウ被告は、原告の介護を行う妻の病状等を考慮し、妻は平均1日2.75時間の範囲で、原告の吸痰等の介護を行うことは期待できるとして本件却下決定をしている。 しかし、原告には24時間吸痰ができる環境を整える必要があることは 前記のとおりであり、被告は、妻の心身の状況や介護負担等を十分に顧慮 は期待できるとして本件却下決定をしている。 しかし、原告には24時間吸痰ができる環境を整える必要があることは 前記のとおりであり、被告は、妻の心身の状況や介護負担等を十分に顧慮 することなく、また、公的サービスを受けている時間帯において妻は一切の介護負担を負っていないといった皮相的な見方を前提として本件却下決定をしているから、本件却下決定は、考慮すべき事項を考慮しないことにより社会通念上相当性を欠くものであり、裁量権の範囲を逸脱し、又はそれを濫用したものとして違法であるというべきである。 エこれに対して、被告は、前記第2の5⑵イのとおり、原告については、重度訪問介護、介護保険給付及び医療保険給付として、合計で1日21.25時間の介護を受けることができる状態であり、妻の睡眠時間や休養時間が十分に確保されているし、妻に身体的負担を与えない介護器具が整備されており、妻の介護負担は重くない旨主張するが、前記で 説示した妻の心身の状況や介護負担等を十分に顧慮することなく、公的サービスを受けている時間帯において妻は一切の介護負担を負っていないといった皮相的な見方を前提とした主張であって、採用の限りではない。 被告は、前記第2の5⑵イのとおり、妻は適応障害やIgA腎症に り患しているが、それらはさほど深刻ではなく、IgA腎症については積極的な治療を開始しておらず、妻が介護により心身ともに限界の状態にはない旨主張する。 しかし、医師Aによれば、妻の適応障害の理由は、原告の介護及び子の育児によるストレスが原因であると認められるところ、ALSは進行 性の難病であることからすれば、妻が感じるストレスは、今後増加することはあっても、低下することはないものといえる。このことは、妻が令 よるストレスが原因であると認められるところ、ALSは進行 性の難病であることからすれば、妻が感じるストレスは、今後増加することはあっても、低下することはないものといえる。このことは、妻が令和4年3月9日に病院Aを受診した際に、抑うつ状態が持続し、適応障害症状に著変がなかったことからも明らかである。被告の主張は、妻が定期的に病院Aを通院しなかったことを根拠とするものであるとうか がわれるが、妻は、子の育児及び就労を一手に担っているとともに、単 独で原告の介護を行う時間もあったことから、定期的に通院する余裕がなかったことがうかがわれるところである。なお、被告は、医師Aが「介護にノータッチとまですべき精神状態かどうかは判然としない。」との意見を述べていることを指摘するが、医師Aは、「通院間隔が不定期だったこと」から、「介護にノータッチとまですべき精神状態かどうかは判然と しない。」との意見を述べるにすぎず、積極的に妻による単独の介護が不可能であるとするものではないから、被告が主張する点を考慮しても、上記判断は左右されない。 また、IgA腎症の治療においては、免疫抑制剤を使用することとなっていたところ、同剤を使用することにより、感染症にかかりやすい状 態になることから、膝に対する注射は行うことができず、椎間板ヘルニア等による介護の身体的な負担を軽減することができないのであるから、IgA腎症の積極的な治療が開始されていないことをもって、IgA腎症が妻の行う介護に与える影響が小さいとは評価できない。 したがって、本件却下決定は、考慮すべき事項を考慮しないことによ り社会通念上相当性を欠くものであり、裁量権の範囲を逸脱し、又はそれを濫用したものとして違法であるというべきである。 そこ がって、本件却下決定は、考慮すべき事項を考慮しないことによ り社会通念上相当性を欠くものであり、裁量権の範囲を逸脱し、又はそれを濫用したものとして違法であるというべきである。 そこで、本件却下決定時点における相当な重度訪問介護に関する支給量について検討するに、前記で説示した原告の病態及び妻の介護状況等に照らせば、原告に対しては、基本的に、1か月744時間(24時間×31日間) に相当する重度訪問介護に関する介護支給量が認められるべきである。 もっとも、介護給付費の支給変更決定においても、変更を申請した障害者が受けている介護保険法の規定による保険給付及び保険医療サービスの利用状況も考慮することが求められている(障害者総合支援法24条2項、22条1項、総合支援規則12条5号、6号)ので、こうした給付等を受けてい ることを踏まえた調整は必要となる。 そして、原告は、重度訪問介護に関する介護給付費以外に、介護保険給付により1か月35.65時間(平均1日1.15時間)の介護サービス、医療保険給付により1か月41.85時間(平均1日1.35時間)の医療サービスを受けているところ、介護保険給付のうち、原告に対する吸痰が行われる身体介護については、1か月27時間、医療保険給付のうち、原告に対 する吸痰が行われる訪問診察は1か月2.5時間、訪問看護は1か月31時間であり、これらの時間帯については妻が単独で原告の吸痰を担うものではないから、身体介護等が実施される時間帯については、重度訪問介護に関する支給量の算定から控除するのが相当である(なお、原告は、訪問診療及び訪問介護においても、重度訪問介護のヘルパーが原告と医師との通訳の役割 を果たすことから、訪問診療及び訪問介護の時間帯を重度訪問介護の支給量の 除するのが相当である(なお、原告は、訪問診療及び訪問介護においても、重度訪問介護のヘルパーが原告と医師との通訳の役割 を果たすことから、訪問診療及び訪問介護の時間帯を重度訪問介護の支給量の算定において控除すべきではない旨主張するが、原告は聞き取りづらいながらも、発語は可能な状態であるから(甲11)、重度訪問介護のヘルパーの通訳が不可欠とまではいえず、原告の主張は理由がない。)。 したがって、本件変更申請に係る重度訪問介護に関する支給量は、683. 5時間(744時間(24時間×31日間)-27時間(身体介護)-2. 5時間(訪問診療)-31時間(訪問看護))とするのが相当である。 以上によれば、被告は、本件変更申請に基づき、原告の重度訪問介護の支給量を本来は1か月683.5時間を下回らない時間とする旨の変更決定をすべきところ、本件変更申請を一切認めなかった点において、裁量権の範囲 を逸脱し、又はそれを濫用したものであり、違法であるから、本件却下決定のうち、重度訪問介護の支給量につき1か月581.5時間を超えて683. 5時間に達するまでの部分を支給量として算定しないものとした部分は、取り消されるべきである。 また、本件義務付けの訴えは、行政事件訴訟法3条6項2号所定のいわゆ る申請型の義務付けの訴えとして提起されたものであると解されるところ、 原告の重度訪問介護の支給量を1か月683.5時間を下回らない時間とする決定の義務付けを求める部分は、同法37条の3第1項2号、2項及び3項2号所定の訴訟要件を満たしており、また、被告が本件変更申請に対して、重度訪問介護の支給量1か月683.5時間を下回らない時間に変更する旨の支給変更決定をしないことは、被告の裁量権の範囲を超え又はその濫用と 訴訟要件を満たしており、また、被告が本件変更申請に対して、重度訪問介護の支給量1か月683.5時間を下回らない時間に変更する旨の支給変更決定をしないことは、被告の裁量権の範囲を超え又はその濫用と なると認められるから、同条5項所定の本案要件も満たしているので、同部分に係る請求には理由があるが、他方で、本件義務付けの訴えのうち、重度訪問介護の支給量を1か月683.5時間を超える時間とする支給変更決定の義務付けを求める部分は、同条1項2号の訴訟要件を欠き、不適法というべきである。 4 争点2-1(被告市長の職務上の注意義務違反の存否)及び争点2-2(損害の発生及びその額)について 本件却下決定に至るまでの被告における検討状況についてみると、前記前提事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア被告職員は、令和4年3月22日、妻が通院していた病院Aの医師Aか ら、妻の病状について聴き取りを行うとともに、医師Aから、同年4月2日、診察情報の提供を受けた。 医師Aは、同聴き取りにおいて、①令和4年3月9日の診察においても、妻の適応障害の症状に著変はなかった、②妻に対するサポートの拡充について随時検討していくしかない旨の意見を述べたが、妻による単独の介護 が上記症状に照らして困難である旨の意見までは述べていない。(乙26、27)イ原告は、令和4年5月30日付けで被告に対し、本件変更申請をした(前提事実ウ)。 ウ被告職員は、令和4年6月13日、原告から、原告の病状及び介護状況 について聴き取りを実施したほか、妻から、精神面、身体状況及び就労状 況等について聴き取りを実施した(乙4)。 また、被告職員は、同月20日、原告の主治医である医師B他と面談 状況 について聴き取りを実施したほか、妻から、精神面、身体状況及び就労状 況等について聴き取りを実施した(乙4)。 また、被告職員は、同月20日、原告の主治医である医師B他と面談し、原告本人の身体状況の現状、気管切開に関する見通し、24時間介護の必要性等に関する聴き取りを実施した(乙6)。 エ令和4年7月14日に開催された本件審査会では、本件変更申請に関す る原告の家族の意見が陳述された上で、本件変更申請に基づく介護給付費の支給決定の変更決定の必要性について検討された。一部の委員は、妻の夜の介護が負担であることは理解できる旨の意見を述べたものの、積極的に本件変更申請に基づいて重度訪問介護の支給量を変更すべき旨の意見を述べる委員はおらず、本件審査会としては、重度訪問介護以外の他の福祉 サービスを利用することで妻の介護負担の軽減を図ることが可能であること、原告の主治医から24時間の介護導入の必要性がうかがわれないことに照らせば、本件変更申請に基づいて介護給付費の支給決定の変更決定をする必要はない旨結論付けられた。 なお、本件審査会では、被告職員から、同年6月20日に原告の主治医 から原告の現状等について聴き取ったところ、同主治医は気管切開後の原告に対する介護の負担度については、現状と変わらないとの意見を述べていることが共有された(甲42の2、乙6、弁論の全趣旨)。 オ被告は、令和4年8月3日付けで、本件却下決定をした(前提事実ウ)。 原告は、本件却下決定によって、精神的苦痛を被り、また、介護費用の自己負担をせざるを得なくなった旨主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を請求している。 ところで、国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個 費用の自己負担をせざるを得なくなった旨主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を請求している。 ところで、国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国 民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずること を規定するものである(最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁参照)ところ、本件却下決定において被告に与えられた裁量権を逸脱し又はそれを濫用してされたものであったとしても、そのことから直ちに本件却下決定に国家賠償法上の違法があるとの評価を受けるものではなく、本件却下決定をした被告の代表者である被告市長に職務上 通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく本件却下決定をしたと認め得るような事情がある場合に限り、国家賠償法上の違法があるとの評価を受けるものと解するのが相当である(最高裁判所平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。 これを前提として本件についてみるに、前記の認定事実によれば、本件 却下決定は、被告職員による原告、妻及び原告の主治医からの聴き取り調査を経て、障害者又は障害児の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから任命された委員から構成される(松戸市障害者介護給付費等審査会条例3条)本件審査会の意見等を踏まえて決定されている。 しかるところ、本件審査会では、妻の病状、妻の介護負担に関する主治医 の意見が提供されるなどして、妻の介護状況を踏まえた介護給付費の支給決定の変更の要否を判断するための情報は各委員間で共有されていたが、出席した委員からは、本件変更申請に基づいて積極的に重度訪問介護の支給量を変更すべき旨の意 、妻の介護状況を踏まえた介護給付費の支給決定の変更の要否を判断するための情報は各委員間で共有されていたが、出席した委員からは、本件変更申請に基づいて積極的に重度訪問介護の支給量を変更すべき旨の意見は出されず、本件変更申請に基づいて介護給付費の支給決定の変更決定をする必要はない旨結論付けられたこと、被告職員が本件変 更申請以前に行った妻の主治医である医師Aからの聴き取り等においても、医師Aは、積極的に妻による単独の介護が同症状に照らして困難である旨の意見までは述べていなかったことからすると、被告市長には、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく被告を代表して本件却下決定をしたと認め得るような事情があるとまでは認められない。 したがって、本件却下決定をした被告市長に職務上の注意義務違反がある ことを理由とした国家賠償請求は理由がない。 原告は、前記第2の5⑶アのとおり、被告が本件変更申請に対する諾否の応答を遅延したことをもって、被告を代表する被告市長には、職務上の注意義務違反があるかのような主張をする。 しかし、原告の重度訪問介護に係る支給量は、順次増量されてきており、 本件変更申請は、原告について1日24時間の重度訪問介護ヘルパーによる介護を必要とすることを前提とするものであったから、被告としては、本件変更申請の当否について、障害者又は障害児の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから任命された委員から構成される本件審査会の意見を踏まえて慎重に検討することとしたものとうかがわれる。そして、審査会に よる審議は、その性質上、一定期間を要するものはやむを得ないものであり、本件却下決定は、令和4年7月24日に開催された本件審査会の審議の結果等を踏まえて同年8月3日付けでされたもので 査会に よる審議は、その性質上、一定期間を要するものはやむを得ないものであり、本件却下決定は、令和4年7月24日に開催された本件審査会の審議の結果等を踏まえて同年8月3日付けでされたものであるから、同年5月31日付けの本件変更申請から本件却下決定に至るまでの被告における検討過程において諾否応答を遅延したといった事情は認められない。 したがって、被告が本件変更申請に対する諾否の応答を遅延した旨の原告の主張は理由がなく、これを前提とした被告市長の職務上の注意義務違反を理由とした国家賠償請求も理由がない。 以上によれば、その余の争点(争点2-2)について判断するまでもなく、原告の国家賠償法1条1項に基づく請求は理由がない。 5 結論以上によれば、原告の請求のうち、①本件却下決定の取消しを求める請求は、本件却下決定のうち重度訪問介護の支給量につき1か月581.5時間を超えて683.5時間に達するまでの部分を支給量として算定しないものとした部分の取消しを求める限度で理由があり、②重度訪問介護の支給量を1か月74 4時間とする本件変更決定の変更決定の義務付けを求める請求は、重度訪問介 護の支給量を1か月683.5時間を下回らない時間とする変更決定の義務付けを求める限度で理由があり、その支給量を1か月683.5時間を超える時間とする変更決定の義務付けを求める部分は不適法であるから却下することとし、③国家賠償請求は理由がないから棄却すべきである。 よって、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡山忠広裁判官中畑洋輔裁判官蟻塚真) 別紙関係法令の定め第1 障害者総合支援法(令和4年6月22日号外法律第76号による改正前のもの) 1 障害者総合支援法は 判官岡山忠広裁判官中畑洋輔裁判官蟻塚真) 別紙関係法令の定め第1 障害者総合支援法(令和4年6月22日号外法律第76号による改正前のもの) 1 障害者総合支援法は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者 福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進 を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする(1条)。 2 介護給付費⑴ 「介護給付費」とは、障害者総合支援法が定める自立支援給付の一つで、重度訪問介護等の障害福祉サービスを利用した障害者等に対し、支給される ものである(6条、28条1項、29条)。 ⑵ 「重度訪問介護」とは、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅又はこれに相当する場所として厚生労働省令で定める場所における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介 護を総合的に供与することをいう(5条3項)。 ⑶ 「厚生労働省令で定める便宜」とは、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助をいう(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(令和5年3月31日号外厚生労働省令第48 、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助をいう(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(令和5年3月31日号外厚生労働省令第48号によ る改正前のもの、以下「総合支援規則」という。1条の3))とする。 3 他の法令による支給等との調整自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付、健康保険法の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事 業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない(7条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令2条)。 4 支給決定⑴ 介護給付費の支給決定を受けようとする障害者等は、その居住地の市町村 に申請をし、支給決定を受けなければならない(19条1項、2項本文、20条1項)。 ⑵ 市町村は、申請があったときは、市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害支援区分に関する審査及び判定の結果に基づき、障害支援区分の認定を行う(21条1項)。 ⑶ 「障害支援区分」は、必要とされる支援の度合いにより、区分1から区分6までの各区分に分かれており、区分6が必要とされる支援の度合いが最も高い区分となる(4条4項、障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令1条1項)。 ⑷ 市町村は、当該申請に係る障害者等に対し、指定特定相談支援事業者が作 成するサービス等利用計画案の提出を求める(22条4項、総合支援規則 よる審査及び判定の基準等に関する省令1条1項)。 ⑷ 市町村は、当該申請に係る障害者等に対し、指定特定相談支援事業者が作 成するサービス等利用計画案の提出を求める(22条4項、総合支援規則12条の2)。 ⑸ 市町村は、サービス等利用計画案の提出があった場合には、後記⑹の事項に加え、当該サービス等利用計画案を勘案して支給要否決定を行う(22条6項)。 ⑹ 市町村は、以下の事項を勘案して、支給要否決定を行う(22条1項、総 合支援規則12条1ないし9号)。 ア当該申請に係る障害者等の障害支援区分又は障害の種類及び程度その他の心身の状況(1号)イ当該申請に係る障害者等の介護を行う者の状況(2号)ウ当該申請に係る障害者等に関する介護給付費等の受給の状況(3号) エ当該申請に係る障害児が現に児童福祉法に規定する障害児通所支援又は指定入所支援を利用している場合には、その利用の状況(4号)オ当該申請に係る障害者が現に介護保険法の規定による保険給付に係る居宅サービスを利用している場合には、その利用の状況(5号)カ当該申請に係る障害者等に関する保健医療サービス又は福祉サービス等 の利用の状況(6号)キ当該申請に係る障害者等の障害福祉サービスの利用に関する意向の具体的内容(7号)ク当該申請に係る障害者等の置かれている環境(8号)ケ当該申請に係る障害福祉サービスの提供体制の整備の状況(9号) ⑺ 市町村は、支給決定を行う場合には、障害福祉サービスの種類ごとに月を単位として1か月間に介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量(支給量)を定めなければならない(22条7項、総合支援規則13条)。 5 支給決定の変更⑴ 障害者は、現に受けている支給決定に係る障害福祉サービ 月間に介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量(支給量)を定めなければならない(22条7項、総合支援規則13条)。 5 支給決定の変更⑴ 障害者は、現に受けている支給決定に係る障害福祉サービスの種類、支給 量を変更する必要があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し、当該支給決定の変更の申請をすることができる(24条1項、総合支援規則16条)。 ⑵ 市町村は、申請又は職権により、上記⑹の事項を勘案し、必要があると認めるときは、支給決定の変更の決定を行うことができる(24条2項)。 6 介護給付費 市町村は、障害者が、支給決定の有効期間内において、都道府県知事が指定する障害福祉サービス事業を行う者(以下「指定障害福祉サービス事業者」という。)から、当該指定に係る障害福祉サービスを受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該障害者に対し、当該指定障害福祉サービス(支給量の範囲内のものに限る。以下「指定障害福祉サービス等」という。)に要した 費用(食事の提供に要する費用、居住若しくは滞在に要する費用その他の日常生活に要する費用又は創作的活動若しくは生産活動に要する費用のうち厚生労働省令で定める費用(以下「特定費用」という。)を除く。)について、介護給付費を支給する(29条1項)。 第2 松戸市障害者介護給付費等審査会条例(平成18年3月27日松戸市条例第 12号) 1 設置障害者総合支援法15条の規定により介護給付費等の支給決定に係る審査判定業務を行わせるため、本市に松戸市障害者介護給付費等審査会を置く(1条)。 2 委員 委員は、障害者又は障害児の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから市長が任命する(3条)。 に松戸市障害者介護給付費等審査会を置く(1条)。 2 委員 委員は、障害者又は障害児の保健又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから市長が任命する(3条)。

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