令和3(行ウ)63 固定資産税及び都市計画税賦課決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年11月17日 大阪地方裁判所
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判決文本文28,162 文字)

- 1 -令和4年11月17日判決言渡令和3年(行ウ)第63号固定資産税及び都市計画税賦課決定処分取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求大阪市長が令和2年4月1日付けで原告に対してした別紙1物件目録記載1ないし5の土地に係る令和2年度の固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分 のうち、年税額合計3億0123万6400円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は、宗教法人である原告が、大阪市長から、原告が所有する別紙1物件目録記載1ないし5の各土地に係る令和2年度の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の年税額を合計3億1847万4000円と する旨の賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)を受けたところ、上記各土地のうち別紙1物件目録記載5の土地の一部(当該部分の面積は587.1㎡)は本堂に至る参道として用いられており、地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するから、上記固定資産税等は当該部分につき非課税とされるべきであるな どと主張して、被告を相手に、本件賦課決定のうち年税額合計3億0123万6400円を超える部分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め(1) 地方税法の定め地方税法348条2項柱書き本文は、固定資産税は、同項各号に掲げる固 定資産に対しては課することができない旨定め、同項柱書きただし書は、固- 2 -定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に固定資産税を課することができる旨定める。そして、同項3号 項柱書きただし書は、固- 2 -定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に固定資産税を課することができる旨定める。そして、同項3号は、宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地を掲げる。 地方税法702条の2第2項は、市町村は、同法348条2項等の規定に より固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては、都市計画税を課することができない旨定める。 (2) 宗教法人法の定め宗教法人法2条は、同法において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする同条各号 に掲げる団体をいう旨定め、同条1号は礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体を、同条2号は同条1号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体をそれぞれ掲げる。 宗教法人法3条柱書きは、同法において「境内地」とは、同条2号から7 号までに掲げるような宗教法人の同法2条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう旨定める。そして、同法3条3号は、参道として用いられる土地を掲げる。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠番号は特に記載しない限り枝番号を含む。) (1) 当事者等(甲1~4)原告は、Aの別院であり、Bを本山とし、宗祖親鸞の立教開宗の本旨に基づいて、教義を宣布し、儀式行事を行い、僧侶及び門徒を教化育成し、社会の教化を図ることを目的とする宗教法人である。 原告は、令和2年1月1日時点において、大阪 本山とし、宗祖親鸞の立教開宗の本旨に基づいて、教義を宣布し、儀式行事を行い、僧侶及び門徒を教化育成し、社会の教化を図ることを目的とする宗教法人である。 原告は、令和2年1月1日時点において、大阪市α区β、γ、δ、ε、ζの 各土地(以下、地番に応じて「本件β土地」などという。)を所有していた。 - 3 -(2) 各土地の位置関係等(甲8~10、20、23、27)上記(1)の各土地の位置関係は、別紙2のとおりであり、本件ζ土地の東側は、C(大阪市の都心部をおおむね南北方向に縦断する街路)に面している。 本件β土地及び本件γ土地の上には、原告の本堂、鐘楼堂等が存在する。 本件ζ土地の上には建物(以下「本件建物」という。)が存在するところ、 本件建物は令和元年9月30日に竣工したものである。本件建物は、本件ζ土地上の別紙3の緑色の線で囲まれた部分に建設された、地下1階、地上17階建ての建物であるが、その一部(南北方向の中央部付近に位置する別紙3の青色で着色された部分)については、4階ないし17階部分のみが存在し、1階ないし3階に相当する高さの部分に建物が存在せず空洞となってい るため、地表面を東西方向に通り抜けることができるようになっている(以下、本件ζ土地のうち、Cから本件建物の下を通って本件γ土地へ向かって上記の通り抜けができる部分〔別紙4の赤色実線で囲まれた部分〕を、「本件対象地」という。また、本件対象地のうち、上空に本件建物の4階ないし17階が存在する部分〔別紙4の青色で着色された部分。別紙3の青色で着 色された部分も同じ。〕を「本件建物存在区画」と、上空に本件建物が存在しない部分〔別紙4の橙色で着色された2か所の部分。別紙3の橙色で着色された部分も同じ。〕を「本件建物不存在区画」と で着 色された部分も同じ。〕を「本件建物存在区画」と、上空に本件建物が存在しない部分〔別紙4の橙色で着色された2か所の部分。別紙3の橙色で着色された部分も同じ。〕を「本件建物不存在区画」とそれぞれいう。さらに、本件建物存在区画の上空の部分のうち、本件建物の1階ないし3階に相当する高さの空洞の部分〔本件建物が存在しない部分〕を「本件空洞部分」といい、本 件空洞部分の上にある本件建物の4階ないし17階が存在する部分を「本件上空建物部分」という。)。 本件対象地の面積は587.1㎡であり、このうち、本件建物存在区画の面積は467.87㎡、本件建物不存在区画の面積は119.23㎡である。 (3) 本件ζ土地に関する借地契約(甲8) 原告は、平成28年7月4日、積和不動産関西株式会社(以下「本件事業- 4 -者」という。)との間で、現在の本件ζ土地(なお、本件ζ土地は、同年9月28日に錯誤を原因として本件γ土地から分筆登記がされたものである。)に関し、本件事業者が本件建物を建設して所有することなどを目的とする定期借地契約(以下「本件借地契約」という。)を締結した。本件借地契約の賃貸期間は2017年10月1日から2077年9月30日までの60年間と されており、賃料は、月額1723万4800円とされている(ただし、本件借地契約により借地権が設定された範囲については後記4のとおり当事者間に争いがある。)。 (4) 本件賦課決定(甲12)大阪市長は、令和2年4月1日、原告が所有する土地のうち固定資産税等 を課する対象となる宅地5筆について、令和2年度の固定資産税等の年税額を合計3億1847万4000円とする旨の本件賦課決定をした。 本件賦課決定において、本件ζ土地については、本件 産税等 を課する対象となる宅地5筆について、令和2年度の固定資産税等の年税額を合計3億1847万4000円とする旨の本件賦課決定をした。 本件賦課決定において、本件ζ土地については、本件対象地も課税対象に含まれることを前提とした上で、固定資産税課税標準額及び都市計画税課税標準額が44億7142万9200円とされ、固定資産税が6260万00 08円、都市計画税が1341万4287円とされていた。 (5) 審査請求等(甲13)原告は、令和2年7月1日、大阪市長に対し、本件対象地は地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するため非課税とすべきである旨主張して、本件 賦課決定について審査請求をした。これに対し、大阪市長は、同年12月7日、本件対象地を含む本件ζ土地については、本件建物の建設等を目的とした有償の借地契約(本件借地契約)の対象となっていることなどから、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」には該当しないなどとして、上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (6) 本件訴えの提起- 5 -原告は、令和3年6月4日、本件訴えを提起した。 3 争点(1) 本件対象地が地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するか否か(主位的主張) (2) 本件対象地のうち、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきか否か(予備的主張) 4 争点に関する当事者の主張 と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきか否か(予備的主張) 4 争点に関する当事者の主張 (1) 本件対象地が地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するか否か(主位的主張)について(争点(1))(被告の主張)次のとおり、本件対象地は、宗教法人法3条にいう「境内地」に当たらず、 「宗教法人が専らその本来の用に供する」ともいえないから、地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当しない。 ア宗教法人法3条にいう「境内地」に該当しないこと本件借地契約においては、本件対象地を含む本件ζ土地について借地権 が設定されており、本件対象地の上部には商業施設である本件建物が実際に存在している。また、本件建物の建築確認申請においては、本件対象地を含む本件ζ土地の全体が敷地として申請されていたのであり、本件対象地を含まなければ、容積率の制限により、本件建物の建築確認がされることはなかった。このような実際の使用状況を、外形的、客観的事実関係に 基づき、一般の社会通念に照らして検討すれば、本件対象地は、商業施設- 6 -である本件建物の建設、維持、存続に不可欠な敷地として利用されていると認められるから、宗教法人法3条にいう「境内地」には当たらない。 イ 「宗教法人が専らその本来の用に供する」とはいえないこと「専らその本来の用に供する」とは、当該土地が経済的活動の基礎となって収益が生ずることを通常期待できず、固定資産税の負担を期待するこ とが可能 その本来の用に供する」とはいえないこと「専らその本来の用に供する」とは、当該土地が経済的活動の基礎となって収益が生ずることを通常期待できず、固定資産税の負担を期待するこ とが可能な程度の担税力を実質的に認めることができないか否かという観点から検討されるべきものであり、当該土地が、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成する目的の用に専ら供されることをいうものと解され、宗教法人が営む公益事業やその他の事業の用に供される場合は、これに含まれないというべきである。 本件対象地は、本件建物の敷地として本件事業者に貸し付けられ、事業の用に供されているところ、上記アのとおり、本件建物の建設、維持、存続のために不可欠な敷地である。また、本件対象地を含む敷地(本件ζ土地)は有償で貸し付けられており、本件対象地については本件借地契約により収益が生ずることが期待できるから、実質的にみて担税力が十分にあ るというべきである(このような場合に固定資産税を課すべきことは、地方税法348条2項柱書きただし書や大阪市市税条例77条(賃借人が固定資産を非課税用途に用いていたとしても、その所有者に対して固定資産税が課される旨の規定)からも根拠付けられる。)。 したがって、本件対象地が参道(境内地)として用いられることがあっ たとしても、宗教法人である原告が、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成する目的の用に「専ら」供するものとはいえない。 ウ原告の主張について原告は、本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当する根拠として、①本件建物を建築 する過程においても、原告と本件事業者との間で、本件対象地の参道とし- 7 -ての機 人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当する根拠として、①本件建物を建築 する過程においても、原告と本件事業者との間で、本件対象地の参道とし- 7 -ての機能が損なわれないように協議をしたこと、②本件対象地が、非課税とされている本件γ土地と一体となって参道として利用されていることなどを主張する。 しかし、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するか否かの判断については、当該土地の実際の 使用状況に関する外形的、客観的な事実関係に基づき、一般の社会通念に照らして決せられるべきものである。原告が主張する上記の協議の経過を考慮することは、宗教法人である原告の主観的な意図に立ち入ることを意味するものであり、政教分離原則や信教の自由を侵害するおそれを生じさせるから、上記の判断において上記の協議の経過を考慮すべきではない(上 記①)。 また、本件対象地と本件γ土地は、本件借地契約により借地権が設定され、商業施設である本件建物の敷地として事業の用に供されているか否かという点において、大きな相違があるから、本件対象地と本件γ土地が不可分一体のものとはいえず、本件対象地は本件γ土地と隣接しているとい うだけであって、同土地と同様に非課税となるものではない(上記②)。 (原告の主張)ア宗教法人法3条にいう「境内地」に該当することある土地が「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するか否かについては、その使用の実態を社会通念に照らして客観的に判断すべきで ある。 本件対象地は、Cから本堂Dまで一直線に続く石畳の道の一部であって、一般の参拝者は、本堂を参拝するためにこの道を使用しているから、その使用の実態を社会通念に照ら に判断すべきで ある。 本件対象地は、Cから本堂Dまで一直線に続く石畳の道の一部であって、一般の参拝者は、本堂を参拝するためにこの道を使用しているから、その使用の実態を社会通念に照らして客観的に判断すると、宗教法人法3条3号の「参道として用いられる土地」に該当し、「宗教法人法第3条に 規定する…境内地」に当たる。 - 8 -イ 「宗教法人が専らその本来の用に供する」に該当すること本件対象地は、典型的な宗教施設として例示される「参道として用いられる土地」(宗教法人法3条3号)であるから、基本的には「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものと解すべきである。そして、本件対象地は、本堂への唯一の参道として使用されており、原告の宗教目的のために 不可欠な土地であること、地方税法348条2項3号に基づいて固定資産税等が非課税とされる他の土地(本件γ土地)と不可分一体的に参道として使用されていること、本件建物及び本件借地契約によっても本件対象地の参道としての使用の実態は何ら損なわれていないことなどの各事情に照らせば、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものに当たる。 したがって、本件対象地は、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当する。 ウ被告の主張について(ア) 使用の実態等について被告は、本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法 人法第3条に規定する…境内地」に該当しない理由として、その使用の実態に関し、上空部分に商業施設である本件建物が存在していることを踏まえると、その全体が本件建物の敷地として事業の用に供されているとみるべきである旨主張する。 しかし、本件建物は、大きな開口部が設けられ、参道に面した位置に 出入口が 存在していることを踏まえると、その全体が本件建物の敷地として事業の用に供されているとみるべきである旨主張する。 しかし、本件建物は、大きな開口部が設けられ、参道に面した位置に 出入口が存在しないなど、本堂、参道を含む境内地の宗教的機能・外観を損なわないように配慮された構造・仕様となっており、本件建物の存在によっても、本件対象地が有する地方税法348条2項3号が非課税資産として想定する「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」としての実質は何ら損なわれていない。 また、被告は、原告と本件事業者との間の、本件建物の建築に至る協- 9 -議の経過を考慮することは、外形的事実からうかがい知ることができない宗教法人内部の主観的な意図にまで立ち入ることを意味するから、これを考慮すべきではない旨主張する。しかし、本件建物が本堂、参道を含む境内地の宗教的機能・外観を損なわないように配慮された構造・仕様となっていることは、上記協議の経過を考慮しなくとも、その外観・ 構造のみからも明らかであるし、原告及び本件事業者による使用の実態を判断する以上、両当事者の認識及びその協議の経過が考慮されるべきである。 その他、本件借地契約における借地の範囲や、本件対象地が本件建物に係る建築確認において敷地とされているか否かは、「宗教法人が専ら その本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」の意味内容やその判断基準としての土地の使用の実態に係る外形的事実とは関わりがないから、当該要件に当たるか否かの判断に影響を与える事情ではない。建築基準法上の敷地であるとしても、さらにその使用の実態について判断し、非課税用途に供されている部分について本件規定が適用さ れるべきであることは、土地の全体が建 に影響を与える事情ではない。建築基準法上の敷地であるとしても、さらにその使用の実態について判断し、非課税用途に供されている部分について本件規定が適用さ れるべきであることは、土地の全体が建物の敷地として利用されている場合でさえ建物の非課税部分に応じて非課税地積を認定する取扱いとされていることからも明らかである。なお、本件借地契約における借地の範囲が上記の判断に影響を与える旨の被告の主張は、外形的事実のみから使用の実態を判断しないことを前提とする主張であるが、仮に本件借 地契約における借地の範囲が考慮されるとした場合、その解釈に当たって契約当事者である原告と本件事業者との間の協議の経過が考慮されるべきであることはなおさら明らかである。 (イ) 本件対象地の担税力等について被告は、「宗教法人が専らその本来の用に供する」といえるか否かに ついては、当該土地について実質的に担税力を認めることができるか否- 10 -かという観点から検討すべきであるとして、原告が本件借地契約により賃料を得ているから、本件対象地には担税力が認められる旨主張する。 しかし、租税法規についてはみだりに規定の文言を離れて解釈すべきではなく、本件対象地がその使用の実態に照らして「専ら参道の用に供する」ものに当たる以上は、本件対象地は、収益を生ずることが通常期待 できない土地として、地方税法348条2項3号が適用されるべきであり、かかる規定の文言を離れて、現実に賃料を得ているか否か、実質的に担税力が認められるか否かという観点から同号の適用の有無を判断すべきではない。 また、被告が主張する地方税法348条2項柱書きただし書について は、「固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合」には、所有者自身は固定資 べきではない。 また、被告が主張する地方税法348条2項柱書きただし書について は、「固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合」には、所有者自身は固定資産を非課税用途に使用することなく賃料を収得しているのみであることから、非課税とはしない趣旨の規定であり、本件のように所有者自身が固定資産を非課税用途に使用する場合には「固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固 定資産として使用する場合」という文言に該当せず、その趣旨も妥当しない。 (2) 本件対象地のうち、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきか否か(予備 的主張)について(争点(2))(被告の主張)ア地方税法348条2項3号の適用について固定資産税等の算定のために土地の利用状況を考慮する際には、当該土地を階層的に区分することは前提とされていないから、ある土地について、 その上空部分の一部分のみに着目し、当該部分が非課税用途に供されてい- 11 -るということのみをもって、当該部分について地方税法348条2項3号を適用して非課税とすべきであるとはいえない。課税実務や裁判例において、土地の一部について非課税としている事例は、飽くまでも対象となる土地が家屋の敷地として利用され、当該家屋について非課税用途部分が存在する場合等に、いずれも固定資産税の課税客体である土地及び建物の用 途を同様に取り扱おうとするものであって、本件のように土地上の建物について非課税用途に用いられている部分が存在しない場合とは状況が異なる。 イ本件対象地について本件対象地が「宗 物の用 途を同様に取り扱おうとするものであって、本件のように土地上の建物について非課税用途に用いられている部分が存在しない場合とは状況が異なる。 イ本件対象地について本件対象地が「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当せず、「宗 教法人が専らその本来の用に供する」ものともいえないことは、上記(1)(被告の主張)のとおりである。 仮に、原告が主張するとおり、土地の上空部分の一部に着目して地方税法348条2項3号を適用し得るとしても、本件建物存在区画の上空部分については、例えば地表面以外の部分(2階や3階に当たる部分)や、本 件建物の更に上空の部分をどのように考慮するかなどが明らかではなく(建物が存在しない以上、床面積を観念することもできない。)、「宗教法人が専らその本来の用に供する」部分をその余の部分と明確に区別できるとはいえない。 また、原告が参道として用いられていると主張する部分(本件空洞部分 及び本件建物不存在区画)には建物が存在しないが、そもそも当該部分も本件借地契約の目的物の範囲に含まれ、原告はこれを貸付地(部分)として用いているのであって、当該部分が専ら非課税用途に用いられているということもできない。 ウ原告の主張について 原告は、本件借地契約の借地権の範囲に本件建物存在区画の上空部分等- 12 -は含まれていないなどとして、これらの部分が非課税となるべきである旨主張するが、本件借地契約の契約書の記載等に照らせば、上記部分も含めて本件対象地には借地権が設定されており、本件対象地は本件事業者による使用収益の範囲に含まれているというべきであり、本件借地契約において原告が本件対象地を参道として無償で利用することができるとされたの は、飽くまでも本件対象地も借地権の設定 地は本件事業者による使用収益の範囲に含まれているというべきであり、本件借地契約において原告が本件対象地を参道として無償で利用することができるとされたの は、飽くまでも本件対象地も借地権の設定範囲に含まれることを前提とした内部的な利用方法の制限にすぎない。原告の上記主張は、地方税法348条2項柱書きただし書や大阪市市税条例77条(賃借人が固定資産を非課税用途に用いていたとしても、その所有者に対して固定資産税が課される旨の規定)に照らしても妥当でない。 その他、原告が、本件対象地のうち参道として用いられている部分を非課税とすべきであると主張する点については、上記(1)(被告の主張)のとおり、妥当でない。 (原告の主張)ア地方税法348条2項3号の適用における課税用途・非課税用途の区分 についてある土地が地方税法348条2項各号に掲げる非課税土地に該当するか否かは、当該土地の使用の実態により判断すべきであるから、一筆等の単位ではなく、構造的又は機能的にみてその使用の実態(用途)が異なる場合には、その構造的又は機能的な区域ごとに判断すべきである。 そして、固定資産税の課税客体である土地の範囲には、土地の上下(上空と地下)が含まれ、地方税法348条2項3号の適用に当たっては、地表面の用途のみならず、上空の用途も考慮すべきであることからすれば、一筆の土地のうち、地表面において異なる用途に供されている部分がある場合と同様に、土地の上下において異なる用途に供されている部分がある 場合においても、使用の実態(用途)に応じた部分ごとに同号を適用すべ- 13 -きである。 イ本件対象地について(ア) 本件対象地のうち、本件上空建物部分以外の部分は、Cから本堂まで一直線に続く参道の一部であり、当該 用途)に応じた部分ごとに同号を適用すべ- 13 -きである。 イ本件対象地について(ア) 本件対象地のうち、本件上空建物部分以外の部分は、Cから本堂まで一直線に続く参道の一部であり、当該参道の他の部分とは、複数筆の土地にまたがっているが、いずれも同様の幅員、同様の石畳で造られてい るものであり、不可分一体のものとして利用されている。 (イ) 上記(ア)の事情や、上記(1)(原告の主張)記載の事情に照らせば、本件対象地は「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当する。 (ウ) 次に、本件対象地のうち本件建物不存在区画(119.23㎡)については、上記(ア)の事情等や、その上空に本件建物が存在しないことから すれば、構造的又は機能的にみて上記参道の他の部分と異なる用途に供されているとみるべき理由はないから、当該他の部分と一体のものとして、「宗教法人が専らその本来の用に供する」部分に当たる。 (エ) 本件対象地のうち本件建物存在区画については、上空に本件建物が存在する一方で、その直下の空間には本件建物が存在せず、本件建物の出 入口も設けられていないなど、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)とその直下の空間(本件空洞部分)は、構造的又は機能的にみて異なる用途に供されているといえるから、それぞれ別個に地方税法348条2項3号が適用されるべきである。そうである以上、本件空洞部分については、上記参道の他の部分と一体のものとして、「宗教法人が専 らその本来の用に供する」部分に当たる。 この場合、本件建物存在区画の上空の建物が存在する部分(4階ないし17階部分。本件上空建物部分)の床面積の合計と、その直下の空間(本件空洞部分)に本件建物の1階ないし3階部分が存在すると仮定した場合の床面積の合計との比(14 上空の建物が存在する部分(4階ないし17階部分。本件上空建物部分)の床面積の合計と、その直下の空間(本件空洞部分)に本件建物の1階ないし3階部分が存在すると仮定した場合の床面積の合計との比(14:3)により、本件建物存在区画の うち非課税とすべき割合(17分の3)を算定すべきである。その結果、- 14 -本件建物存在区画のうち非課税とすべき面積は、82.57㎡となる(下記の計算式参照)。 【計算式】467.87㎡(本件建物存在区画の面積)×(3/17)(オ) したがって、本件ζ土地のうち、上記(ウ)、(エ)の合計面積である201.8㎡(119.23㎡+82.57㎡)については、少なくとも非課 税とすべきである。 ウ被告の主張について(ア) 固定資産税の課税客体としての土地の階層的な区分について被告は、土地上の空間は固定資産税の課税客体ではなく、土地を階層的に区分することは固定資産税の課税客体の概念に反するのであって、 土地上に存在する家屋の一部が非課税となった場合に関する課税実務や裁判例の取扱いも土地を平面的に捉えることを前提としたものであり、土地上の建物について非課税用途に用いられている部分が存在しない場合とは状況が異なる旨主張する。 しかし、固定資産税の課税客体である土地の範囲には土地の上下(上 空と地下)が含まれるのであって、課税実務や裁判例の取扱いも、かかる理解を前提として、土地の全体にわたって建物が存在する場合に当該土地がその上下を含む全体にわたって建物の各部分の用途に応じて使用されていると評価するものであり、土地を平面的に捉えることを前提としたものではない。したがって、被告の上記主張は誤りであり、他に地 方税法348条2項3号の適用に当たり、土地を階層的に区分し得 されていると評価するものであり、土地を平面的に捉えることを前提としたものではない。したがって、被告の上記主張は誤りであり、他に地 方税法348条2項3号の適用に当たり、土地を階層的に区分し得ないとする理由はない。 また、課税実務や裁判例の取扱いによっても、課税用途に供されている部分と非課税用途に供されている部分とを明確に区分することができない場合は生じ得るが、そのような場合であっても、非課税用途に供さ れている部分が含まれる以上は、当該部分の床面積等に応じて非課税地- 15 -積を認定すべきである。そうすると、仮に本件が課税用途に供されている部分と非課税用途に供されている部分とを明確に区分することができない場合に当たるとしても、非課税地積は上記イ(ウ)ないし(オ)と同様に算定されるべきである。かかる取扱いは、土地上の建物の各部分の用途に応じて土地が使用されているとみることを前提とするものであるが、 土地上に建物が存しない部分があり、当該部分の土地自体が非課税用途に供されている場合も、合理的基準により非課税地積を認定すべきことに変わりはない。 したがって、被告の上記主張はいずれも理由がない。 (イ) 地方税法348条2項柱書きただし書について 被告は、①本件借地契約において本件対象地を含む本件ζ土地の全体について借地権が設定されているとの主張を前提として、②本件対象地は(本件建物不存在区画や本件建物存在区画の地表面も含めて)貸付地であって、地方税法348条2項柱書きただし書や大阪市市税条例77条に照らして固定資産税が賦課されるべきである旨主張する。 しかし、①本件借地契約においては、本件建物が存在する上空部分は借地の対象となっている一方で、その直下の地表面を含む空間まで借地の範囲に含まれ 定資産税が賦課されるべきである旨主張する。 しかし、①本件借地契約においては、本件建物が存在する上空部分は借地の対象となっている一方で、その直下の地表面を含む空間まで借地の範囲に含まれることを明示した規定は存在せず、むしろ当該部分は原告の関係者や参拝者が本件対象地を参道として利用し、原告が管理義務を負う旨が明示的に定められていること、実際に本件建物に開口部が設 けられて参拝者が本件対象地を参道として利用していることなどに照らせば、本件建物の直下の地表面を含む空間までもが本件借地契約における借地の範囲に含まれているとはいえないから、被告の上記主張は前提を欠くものである。 また、②仮に、本件対象地が本件借地契約における借地権の範囲に含 まれていると解したとしても、本件対象地については原告のみが管理・- 16 -使用することが予定されており、現に原告が無償で非課税用途に使用していることなどに照らせば、「固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合」という同項の文言には該当せず、その趣旨も妥当しない(上記(1)(原告の主張)ウ(イ)参照)。 (ウ) 本件対象地の区分について 被告は、本件建物存在区画の上空部分について、地表面以外の部分(2階や3階に当たる部分)や本件建物の更に上空をどのように考慮するかが明らかではない(建物が存在しない以上、床面積を観念することもできない)から、「宗教法人が専らその本来の用に供する部分」と他の部分とを明確に区別できない旨主張する。 しかし、本件建物は、参道としての宗教的機能・外観を損なわないように、大きな開口部をあえて確保したものとなっており、その使用の実態を社会通念に照らして判断しても、被告がいう地表面以外の部 しかし、本件建物は、参道としての宗教的機能・外観を損なわないように、大きな開口部をあえて確保したものとなっており、その使用の実態を社会通念に照らして判断しても、被告がいう地表面以外の部分も含む当該開口部の全体を参道としての用に供しているものとみることについて何らの支障もない。そして、当該部分に対応する非課税地積を算定 する合理的基準としては、上記イ(エ)のとおり、仮に本件空洞部分に建物が存在するとした場合の床面積の割合のほか、高さの近似値としての階数の割合を用いることが考えられ、いずれの場合も計算結果は同じとなる。 また、本件建物の更に上空は、上記区別に当たって課税用途部分と非 課税用途部分のいずれにも使用していないものとみるべきであることは明らかであり、土地上に建物が存在する場合に関する課税実務及び裁判例においてもそのような取扱いにすることが前提とされている。 したがって、被告の上記主張はいずれも理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実等- 17 -前記前提事実、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 過去の土地利用状況等原告は、昭和36年5月頃、本件β土地及び本件γ土地上に本堂を建立し、現在の本件ζ土地上に建物(本件建物が建設される前に同土地上に存在した 建物。以下「E」という。)を建設した。Eは平成27年末頃まで同土地上に存在したところ、Eにも、1階及び低層階部分に建物が存在せずに上層階部分のみに建物が存在する部分があったため、Cから、Eに左右及び上部を囲まれた空間を通って本堂に行くことができるようになっていた。(甲5)(2) Eの閉館及び本件建物の建設に関する協議の経過等 ア Eの閉館 め、Cから、Eに左右及び上部を囲まれた空間を通って本堂に行くことができるようになっていた。(甲5)(2) Eの閉館及び本件建物の建設に関する協議の経過等 ア Eの閉館Eの敷地として利用されていた現在の本件ζ土地については、平成21年頃は「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当たるとして非課税とされていたが、平成22年頃から平成27年までは、参道として利用されている部分の一部が課税面積から除 かれて固定資産税等が算定されるなどしていた。 Eは、建物が老朽化したことなどから、平成27年12月31日をもって閉館した。(以上につき、甲5、弁論の全趣旨)イ本件建物の建設に関する協議等原告は、平成27年頃、Eを取り壊して新しい建物を建設する事業を行 う事業者を選定することにした。原告は、上記事業を行う事業者の選定の際に、候補となる企業に対し、①Cから本堂を望むことができる山門・参道を創出すること、②新しく建設する建物を、本堂との調和に配慮した外観・デザインとすること、③本堂や敷地の従前の利用方法を妨げない建物の配置と運営上の配慮をすることなどを前提条件とする旨を説明していた (甲6)。 - 18 -また、原告は、本件事業者を含む3社の候補事業者からそれぞれ上記事業に関する事業計画を示されたところ、本件事業者から示された提案書には、「Cから参道で結ばれた心の景。古くからこの地で親しまれた「F」屋根が新しいG(山門)から眺められます。」、「境内から参道を通じてCにひらかれた賑わい」、「新しいGは、Hの山門という位置づけで建設。Cを 歩くひとからも境内・本堂が眺められるよう配慮します。」などと記載され、「イメージ図」として 」、「境内から参道を通じてCにひらかれた賑わい」、「新しいGは、Hの山門という位置づけで建設。Cを 歩くひとからも境内・本堂が眺められるよう配慮します。」などと記載され、「イメージ図」として、新しく建設される建物の中央部分の1階ないし4階部分を空洞にして、Cから西方向を見たときに上記空洞部分を通して本堂が見えるようにした図が掲載されていた(甲7)。 (3) 本件借地契約の内容等 原告は、前提事実(1)に掲げた目的の達成に資するため、不動産貸付業等の収益事業を行う旨を法人の目的等として登記しているところ、本件借地契約は、本件ζ土地全体について、賃料を月額1723万4800円として、定期借地権(期間60年)を設定するものである(なお、借地権の設定範囲の認定理由については後記2(3)アにおいて述べる。)。 本件借地契約においては、①本件事業者は、本件ζ土地の賃借中に、建設予定の建物に増改築をする場合や、建設予定の建物の滅失等により新たな建物を建設する場合等には、着工前に原告に対して増改築又は建設予定の建物の内容等を書面で説明した上で書面による承諾を得る必要があること(10条4項)、②本件事業者は、善良な管理者の注意をもって本件ζ土地を使用 し、その維持管理等をしなければならないが、本件ζ土地のうち本件対象地については、原告が維持管理を行うものとすること(11条1項ないし4項)、③本件事業者は、建設予定の建物の利用等について、原告の宗教的雰囲気と尊厳とを損なうことがないように配慮し、原告が実施していた法要等の年間行事の継続的な実施や行事運営に配慮・協力すること(20条1項、3項)、 ④原告やその関係者及び本堂への参拝者等は、本件借地契約締結後も、本件- 19 -対象地を参道、通路及び年間行事等の 行事の継続的な実施や行事運営に配慮・協力すること(20条1項、3項)、 ④原告やその関係者及び本堂への参拝者等は、本件借地契約締結後も、本件- 19 -対象地を参道、通路及び年間行事等の開催場所として無償で利用できること(20条5項)、⑤原告は、自らの責任と負担において、本件対象地の一部に門扉を設置して、その開閉、管理等を行うこと(20条6項)などが定められていた。(以上につき、甲1、8)(4) 本件建物の利用状況等 ア本件建物の利用状況等本件建物は、地下1階、地上17階の建物であり、5階以上の部分はホテルの客室等に用いられている。また、1階ないし4階部分には、原告が本件事業者から賃借して事務所や会議室等として使用する部分、カフェやホテル、その他の店舗として利用される部分等がある。なお、本件建物の 延床面積の合計は2万1691.45㎡であるが、原告が本件事業者から賃借している専有部分及びこれに付随する共有部分の合計床面積は1654.70㎡である。 本件建物の1階につき、本件建物存在区画に面した部分には出入口は設けられておらず、出入口はCに面した部分(本件建物の東側)等に設けら れている。他方、本件ζ土地のうち、本件建物の西側には、本件建物に通じる屋内直通階段や、スロープ、ミニバイク置場、敷地内通路、平面駐車場、ゴミ置場等が存在している。(以上につき、甲9、10、20、28)イ本件対象地の利用状況等本件対象地には石畳が敷き詰められているところ、本件対象地と本堂の 間の部分(本件γ土地の一部)にも、本件対象地と同様の石畳が敷き詰められ、本堂の正面まで石畳が続いている。本堂を参拝しようとする者は、Cから本件対象地を通り、本件γ土地に続く上記の石畳を通って本堂を参拝している γ土地の一部)にも、本件対象地と同様の石畳が敷き詰められ、本堂の正面まで石畳が続いている。本堂を参拝しようとする者は、Cから本件対象地を通り、本件γ土地に続く上記の石畳を通って本堂を参拝している。また、本件対象地は、令和2年頃においても、原告が執り行う法要等の行事の際に利用されていた。 なお、Cから本件建物の方向を見た場合、本件空洞部分を通じて、本堂- 20 -を見ることができる。(以上につき、甲10、11の4、28)(5) 本件ζ土地以外の土地の課税状況等本件β土地及び本件γ土地上には、これらの土地をまたがるようにして本堂が存在するところ、上記の各土地については、地方税法348条2項3号により令和2年度の固定資産税等は課されていない(甲12、弁論の全趣旨)。 2 争点(1)(本件対象地が地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当するか否か(主位的主張))について(1) 判断枠組みア 「宗教法人法第3条に規定する…境内地」の意義等 宗教法人法2条は、同法において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするもので礼拝の施設を備える寺院等をいうと定義し、同法3条は、同法において「境内地」とは、同条2号から7号までに掲げるような宗教法人の同法2条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいうと定 義している。そして、「固有」の意味については、宗教法人法制定時の国会審議において、「ここに『固有』というのは、性質的にながめまして、宗教団体が本然的に通性として持っている性質というような意味合い、本来具有するといったような意味合いにわれわれは理解してお 定時の国会審議において、「ここに『固有』というのは、性質的にながめまして、宗教団体が本然的に通性として持っている性質というような意味合い、本来具有するといったような意味合いにわれわれは理解しておる次第でございます。」と説明されている(第10回国会衆議院文部委員会議録第13号・ 昭和26年3月20日大臣官房宗務課長答弁)。 これらの規定等によれば、宗教法人法3条に規定する「境内地」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成するという主たる目的のために必要な、当該宗教法人に固有の土地(当該宗教法人が本来的に有する性質に伴い、当然に必要とされる土地)で、同条各号に列挙された ようなものを意味するものと解される。 - 21 -そして、ある土地が宗教法人法3条に規定する「境内地」に当たるか否かについては、その名目ではなく、当該土地が上記のような境内地としての実質を有するか否かという観点から、社会通念に照らして客観的に判断すべきであり、地方税法348条2項3号の「宗教法人法第3条に規定する…境内地」についても、上記と同様に解するのが相当である。 イ 「宗教法人が専らその本来の用に供する」の意義等地方税法348条2項3号は、宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内地等に対しては、固定資産税を課することができない旨定めるところ、「宗教法人が専らその本来の用に供する」とは、その文言のとおり、当該宗教法人が、当該境内地等を、専ら、その宗教の教 義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成するという宗教団体としての主たる目的を実現するために使用していることをいうと解するのが相当であり、宗教法人が公益事業(宗教法人法6条1項)やその他の事業(当該宗教法人の目的に反しない公益事業以外の事業。 う宗教団体としての主たる目的を実現するために使用していることをいうと解するのが相当であり、宗教法人が公益事業(宗教法人法6条1項)やその他の事業(当該宗教法人の目的に反しない公益事業以外の事業。同条2項)のためにもこれを使用している場合には、①その範囲や頻度等に照らして、その程度が 例外的な使用の程度を超えないときや、②宗教法人としての主たる目的と当該事業の内容との関連性等に照らし、専らその主たる目的のために使用していると評価し得るときでない限り、「宗教法人が専らその本来の用に供する」とはいえないと解するのが相当である。 そして、「宗教法人が専らその本来の用に供する」か否かの判断は、当該 宗教法人の主観的な意図等ではなく、賦課期日時点の当該境内地等の実際の使用状況等の客観的な事実関係に基づき、社会通念に照らして客観的に判断すべきであり、上記判断の基礎となる客観的な事実関係には、外形的な使用状況だけではなく、法的な意味での使用状況、すなわち土地や建物の使用権に係る契約の有無及び内容等も含まれるというべきである。 (2) 本件対象地が宗教法人法3条に規定する「境内地」に該当するか否かにつ- 22 -いてア検討本件β土地及び本件γ土地上には原告の本堂が存在するところ、本件対象地には石畳が敷き詰められ、本堂と本件対象地との間にも同様の石畳が敷き詰められ、本堂の正面に至っている。そして、本件対象地の東側はC に面しており、本堂を参拝する原告の信者等は、通常、Cから本件対象地及び本件γ土地上の石畳の上を歩いて本堂を参拝するものと認められる。 加えて、本件借地契約においても、原告の信者等が本堂へ参拝するために本件対象地を利用することができるものとされており、信者等による本件対象地の利用は、 畳の上を歩いて本堂を参拝するものと認められる。 加えて、本件借地契約においても、原告の信者等が本堂へ参拝するために本件対象地を利用することができるものとされており、信者等による本件対象地の利用は、事実上のものにとどまらず、本件借地契約上も認められ た使用方法であるといえる(認定事実(3)、(4))。 そして、原告の本堂に参拝することは、原告の信者において基本的な宗教的行為の一つであると解される上、本件対象地は、実際に、原告の執り行う法要等の宗教的行事にも利用されている(認定事実(4)イ)。 このような本件対象地の構造や外観、本堂との位置関係、宗教的行為と の関連性等に照らせば、本件対象地は、客観的にみて、社寺に参詣(参拝)するための道、すなわち、宗教法人法3条3号の「参道として用いられる土地」の実質を有するというべきであって、宗教法人である原告が、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成するという主たる目的のために必要な、原告に固有の土地(宗教法人である原告が本来的に有す る性質に伴い、当然に必要とされる土地)であるというべきである。 したがって、本件対象地は、地方税法348条2項3号の「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当たると認められる。 イ被告の主張について被告は、本件対象地には本件借地契約により借地権が設定されているこ とや、本件建物の建築確認において本件対象地も含めて本件建物の敷地と- 23 -して取り扱われ、本件対象地が商業施設である本件建物の建設、維持、存続に不可欠な敷地として利用されていることから、本件対象地は「宗教法人法第3条に規定する…境内地」には当たらない旨主張する。 しかし、地方税法348条2項3号が、非課税とすべき固定資産の要件として、単に「宗 敷地として利用されていることから、本件対象地は「宗教法人法第3条に規定する…境内地」には当たらない旨主張する。 しかし、地方税法348条2項3号が、非課税とすべき固定資産の要件として、単に「宗教法人法第3条が規定する…境内地」に当たることのみ ならず、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものであることを求めていることからすれば、宗教の教義をひろめるなど宗教団体としての主たる目的のために必要であり、実際に当該目的のために使用されている土地が、同時に他の用途(公益事業やその他の事業)にも使用されているとしても、そのことをもって「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当た るか否かが左右されるものではないというべきである(境内地が同時に他の用途にも使用されていることは、後述する「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものであるか否かの判断において考慮されるべき事情というべきである。)。そうすると、上記アのとおり、本件対象地は「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当たるというべきであって、本件借地契約 により本件対象地に借地権が設定され、商業施設である本件建物の敷地として使用されているなど、本件対象地が参道以外の用途にも用いられていることをもって、本件対象地が「宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当たらないということはできない。したがって、被告の上記主張は採用することができない。 (3) 本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものといえるか否かについてア検討上記(2)のとおり、本件対象地は、本堂に参拝しようとする者に参道として日常的に使用され、また、原告の宗教的行事等にも使用されている土地 であるから、宗教法人である原告が宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、- 24 - 地は、本堂に参拝しようとする者に参道として日常的に使用され、また、原告の宗教的行事等にも使用されている土地 であるから、宗教法人である原告が宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、- 24 -信者を教化育成するという主たる目的を実現するために使用されている状態にある土地であって、宗教法人法3条に規定する境内地に該当すると認められる。 しかし、「宗教法人が専らその本来の用に供する」といえるかについてみると、本件借地契約においては、本件対象地を含む本件ζ土地全体が借 地権の設定範囲として図示されており(甲8の「別紙1/借地権設定範囲」の図参照)、月額賃料も本件対象地を含む本件ζ土地全体の坪数から算出されている(2万2000円×783.40坪=1723万4800円。 本件借地契約第5条、甲8の別紙1)一方で、本件対象地を借地権の設定範囲から除く旨の特段の定めは見当たらないから、本件対象地を含む本件 ζ土地全体について、本件事業者に対して借地権が設定されたと認めるのが相当である(認定事実(3)。なお、このことは、本件建物の建築確認申請において、本件対象地がその敷地に含まれ、容積率等の計算の基礎とされていることとも整合するものといえる。)。また、本件対象地の外観からしても、本件対象地上の本件空洞部分には本件建物が存在しないが、その 上部の本件上空建物部分には本件建物が存在するのであり、本件ζ土地と本件建物及びその付属設備等との位置関係等にも照らせば、本件対象地は、本件ζ土地のその余の部分と共に、本件建物の敷地として一体的に使用されていると認められる。 そして、原告は、本件対象地を含む本件ζ土地全体に借地権を設定する 対価として、本件事業者から月額1723万4800円の賃料を受領しているのであるから(前提事実⑶、 れていると認められる。 そして、原告は、本件対象地を含む本件ζ土地全体に借地権を設定する 対価として、本件事業者から月額1723万4800円の賃料を受領しているのであるから(前提事実⑶、認定事実⑶)、本件対象地は、その使用実態に照らせば、原告の境内地(参道)として用いられると同時に、原告の収益事業である不動産賃貸業のためにも恒常的に使用されているというべきである。しかも、本件建物の実際の用途をみると、本件建物は、カフェ やホテル等として使用されている商業施設であって、宗教の教義をひろめ、- 25 -儀式行事を行い、信者を教化育成するという宗教団体としての主たる目的と特段の関連性を有するものではない。 以上によれば、本件対象地は、令和2年度の固定資産税等の賦課期日(令和2年1 月1日)時点において、宗教団体としての主たる目的を実現するための境内地(参道)として使用されていた(本来の用に供していた)だ けでなく、原告の収益事業である不動産賃貸業のためにも使用されていた(不動産賃貸業の用に供していた)と認められ、この収益事業のための使用は、一時的・単発的なものではなく恒常的なものであって、例外的な使用の程度を超えるというべきである。また、不動産賃貸業は一般的に宗教的な意味合いの乏しい事業であるといえるし、本件建物はカフェやホテル 等として使用されている商業施設であって、宗教法人としての主たる目的と事業の内容との間に特段の関連性や同質性はないといえる。したがって、本件対象地は、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものには当たらないというべきである。 なお、本件借地契約においては、本件事業者が宗教法人である原告の活 動に配慮することを要する旨や、原告の関係者や参拝者が本件対象地を参道等として無償で利用で は当たらないというべきである。 なお、本件借地契約においては、本件事業者が宗教法人である原告の活 動に配慮することを要する旨や、原告の関係者や参拝者が本件対象地を参道等として無償で利用できる旨の定めがあり、本件対象地の参道としての利用は、事実上のものではなく、上記の定め(本件借地契約20条5項等)に基づくものと認められるが(認定事実(3))、これらの定めは、飽くまでも、本件対象地が借地権の範囲に含まれ、本件建物の敷地の一部として使 用されることを前提とした上で、本件事業者による本件対象地の利用方法の一部に制限を設けるなどするものであると解され、借地権の範囲から本件対象地を除く趣旨のものとはいえないから、かかる特約条項が存在することをもって、上記認定判断が左右されるものではない。 イ原告の主張について 原告は、①本件対象地は典型的な「参道として用いられる土地」であり、- 26 -基本的には「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものである、②本件対象地は本堂への唯一の道として、地方税法348条2項3号により固定資産税等が非課税とされている本件γ土地と一体となって利用されている、③本件建物の存在によっても本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」としての実質は何ら 損なわれていない、④本件建物の外観・構造という客観的事情に照らしても、本件建物が参道としての本件対象地(境内地)や本堂の宗教的機能や外観を損なわないように配慮されていることは明らかである、⑤本件借地契約における借地権の範囲等は「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものか否かの判断に影響を与える事情ではない、⑥「宗教法人が専らその 本来の用に供する」ものか否かの判断において、現実に賃料を得てい おける借地権の範囲等は「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものか否かの判断に影響を与える事情ではない、⑥「宗教法人が専らその 本来の用に供する」ものか否かの判断において、現実に賃料を得ているかなどの事情や実質的な担税力の有無を考慮すべきではない、⑦本件対象地については地方税法348条2項柱書きただし書の趣旨は妥当せず、その文言にも該当しないなどとして、本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものに当たる旨主張する。 しかし、上記①の主張については、地方税法348条2項3号が、固定資産税等を非課税とすべき土地について、「宗教法人法第3条に規定する境内地」に当たることに加えて、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものであることを求めていることからすれば、宗教法人法3条3号の「参道として用いられる土地」に当たるとしても、同時に公益事業又はその他 の事業に恒常的に用いられているような場合には、原則として、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものとはいえないというべきである。そして、上記アで説示したところに照らせば、本件対象地が典型的な「参道として用いられる土地」であるとしても、そのことから当然に「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものに当たるとはいえない。原告の上記① の主張は採用することができない。 - 27 -上記②の主張については、本件対象地が、Cから本堂に至る唯一の道(参道)として、非課税とされている本件γ土地と一体的に使用されているとしても、そのことから直ちに「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものと評価されるものではなく、本件対象地と本件γ土地とは区別して、その契約関係を含む個別の使用状況等から、上記要件に該当するか否かを客 観的に判断すべきである。そして、上記アのとお に供する」ものと評価されるものではなく、本件対象地と本件γ土地とは区別して、その契約関係を含む個別の使用状況等から、上記要件に該当するか否かを客 観的に判断すべきである。そして、上記アのとおり、本件対象地は、客観的にみて、商業施設である本件建物の敷地として借地権の対象とされ、原告の不動産賃貸業のために恒常的に使用されている貸付地であることからすれば、本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものということはできない。原告の上記②の主張は採用することができない。 上記③の主張については、地方税法348条2項3号の「宗教法人が専らその本来の用に供する」かどうかについては、宗教法人がその本来の用に供する場合と公益事業等の用に供する場合とが併存し得ることを前提に、それらの使用の程度(例外的な使用の程度にとどまるか否か)等に応じて判断すべきであると解されることは前述のとおりであって、宗教法人 法3条に規定する境内地であることから直ちに、「宗教法人が専らその本来の用に供する」の要件が満たされるものではない。原告の上記③の主張は採用することができない。 上記④の主張については、外観や構造等に照らして、本件建物が参道としての本件対象地や本堂の宗教的機能や外観を損なわないように配慮され ていることがうかがわれるとしても、上記アで説示した事情に照らして、本件対象地が「宗教法人が専らその本来の用に供する」境内地に当たるということはできない。原告の上記④の主張は採用することができない。 上記⑤及び⑥の主張については、本件借地契約における借地権の設定範囲に本件対象地が含まれるか否かなどの事情は、その契約内容により定ま る客観的な事実関係であって、「宗教法人が専らその本来の用に供する」- 28 -ものといえるかの判 における借地権の設定範囲に本件対象地が含まれるか否かなどの事情は、その契約内容により定ま る客観的な事実関係であって、「宗教法人が専らその本来の用に供する」- 28 -ものといえるかの判断において考慮すべきものといえるし、宗教法人が現実に賃料を得ているか否かという事情も、上記要件に関連して、当該宗教法人の収益事業(不動産賃貸業)のために使用されているか否かの判断において重要な事情であるから、上記の判断において同じく考慮すべきものといえる。原告の上記⑤及び⑥の主張は採用することができない。なお、 上記判断は、飽くまでも参道としての使用が「専ら」であるかどうかという観点から判断したものであって、実質的な担税力の有無の観点から「宗教法人が専らその本来の用に供する」と認めたものではないし、当該要件の解釈において実質的な担税力の観点を考慮するものでもないから、実質的な担税力の有無に関する原告の主張は、本件の結論に影響するものでは ない。 上記⑦の主張については、上記判断は、地方税法348条2項柱書きただし書を直接適用し又はその趣旨を類推して「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものに該当しないとしたものではないから、その直接適用の可否等に係る原告の主張は、本件の結論に影響するものではない。原告の 上記⑦の主張は採用することができない。 したがって、原告の上記①ないし⑦の主張はいずれも採用することができない。 (4) 小括以上によれば、本件対象地は、地方税法348条2項3号の「宗教法人が 専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当しないというべきである。 3 争点(2)(本件対象地のうち、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件 の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当しないというべきである。 3 争点(2)(本件対象地のうち、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきか否か(予 備的主張))について- 29 -(1) 原告の主張原告は、地方税法348条2項3号の適用に当たっては、構造的又は機能的にみて当該土地の使用の実態が異なる場合には、使用の実態が異なる区域ごとに、それぞれ同号の適用の有無を判断すべきであるとし、本件対象地のうち、①本件建物不存在区画の全部と②本件建物存在区画のうち本件空洞部 分に相当する割合(17分の3)については、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に当たるから、固定資産税等を非課税とすべきである旨主張する。そこで、以下、検討する。 (2) ①本件建物不存在区画についてア上記2(3)で認定説示したとおり、本件建物不存在区画(本件対象地の東 西の各一部)は、本堂へ参拝しようとする者の参道として使用されていたものであるが、本件借地契約により本件事業者に対して賃貸され、本件建物の敷地の一部として使用されていたというべきであるから、原告の収益事業である不動産賃貸業のためにも恒常的に利用されていたと認められ、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものには当たらないというべき である。したがって、①本件建物不存在区画の全部を非課税とすべき旨をいう原告の主張は、採用することができない。 イ原告は、本件建物不存在区画上には本件建物が存在せず、構造的又は機能的にみて参道の他の部分(非課税である本件γ土地の参道部分)と一 非課税とすべき旨をいう原告の主張は、採用することができない。 イ原告は、本件建物不存在区画上には本件建物が存在せず、構造的又は機能的にみて参道の他の部分(非課税である本件γ土地の参道部分)と一体のものとして、「宗教法人が専らその本来の用に供する」部分に当たる旨 主張する。 しかし、本件建物不存在区画が本件借地契約の借地権の範囲に含まれることは前記認定のとおりであって、本件対象地について説示したとおり、原告の収益事業である不動産賃貸業のために使用されているというほかないから、その上部に本件建物が存在しないといった事情や、構造的又は機 能的にみて参道の他の部分と一体であるといった事情は、本件の結論を左- 30 -右するものではない。原告の主張は採用することができない。 (3) ②本件建物存在区画のうち本件空洞部分についてア本件建物存在区画は、本件借地契約において、本件上空建物部分と本件空洞部分とを区別することなく、全体として本件事業者に対して賃貸され、本件建物の敷地として使用されていたというべきであるから、本件空洞部 分を含む本件建物存在区画の全体が、原告の収益事業である不動産賃貸業のためにも恒常的に利用されていたと認められ、本件空洞部分は「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものには当たらないというべきである。 したがって、②本件建物存在区画のうち本件空洞部分に相当する割合を非課税とすべき旨をいう原告の主張は採用することができない。 イ原告は、本件上空建物部分と本件空洞部分は、構造的又は機能的にみて異なる用途に供されているといえるから、それぞれ別個に地方税法348条2項3号の適用の可否を判断し、本件空洞部分については、参道の部分と一体のものとして、「宗教法人が専らその本来の用に供する」部分に当 る用途に供されているといえるから、それぞれ別個に地方税法348条2項3号の適用の可否を判断し、本件空洞部分については、参道の部分と一体のものとして、「宗教法人が専らその本来の用に供する」部分に当たる旨主張する。 しかし、どの範囲を対象として地方税法348条2項3号の適用を検討すべきであるかや、「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものか否かは、外形的な使用状況のみによって判断されるべきものではなく、当該土地等の使用権に係る契約の有無やその内容も踏まえて判断されるべきところ、上記アのとおり、本件借地契約においては、本件上空建物部分と本件 空洞部分とを区別することなく、全体として本件事業者に対して賃貸され、商業施設である本件建物の敷地として使用されているのであり、本件建物存在区画は全体として原告の不動産賃貸業の用に供する貸付地たる性質を有するというべきであるから、本件上空建物部分と本件空洞部分について別個に地方税法348条2項3号の適用の可否を検討すべきとはいえない し、本件空洞部分が専ら参道として用いられていたものともいえない。原- 31 -告の上記主張は、本件借地契約の内容を考慮しない点において前提を誤るものであり、採用することができない。 なお、原告が指摘する課税実務や裁判例等(甲16ないし19、29)は、飽くまでも土地上に家屋が存在し、当該家屋の一部が非課税とされた場合について、家屋と当該家屋の敷地として利用されている土地について 当該土地の用途を当該家屋の用途と合わせるべきであるとの考え方を採用したものにすぎず、本件とは状況が異なるから、原告が指摘する課税実務や裁判例等をもって、本件建物存在区画を更に区分した上で本件空洞部分について地方税法348条2項3号を適用すべきであるということはできない。 すぎず、本件とは状況が異なるから、原告が指摘する課税実務や裁判例等をもって、本件建物存在区画を更に区分した上で本件空洞部分について地方税法348条2項3号を適用すべきであるということはできない。 (4) その他の原告の主張について原告は、上記(2)及び(3)に関し、本件借地契約においては、①その契約内容等に照らし、本件建物不存在区画や本件空洞部分までもが借地権の範囲に含まれているとはいえない、②仮に本件建物不存在区画や本件空洞部分も含めて借地権が設定されているとしても、原告の関係者や参拝者らが本件対象 地を無償で使用することが予定されていることなどに照らし、地方税法348条2項柱書きただし書の文言にも該当せず、その趣旨も妥当しないなどと主張するが、これまでに説示したとおり、いずれも採用することができない。 (5) 小括上記(1)ないし(4)のとおり、本件対象地のうち、本件建物が存在する部分 (本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきであるということはできない。 4 まとめ以上によれば、本件対象地が、①地方税法348条2項3号の「宗教法人が 専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する…境内地」に該当する- 32 -とはいえず、②本件対象地のうち、本件建物が存在する部分(本件上空建物部分)と参道として用いられている部分(本件空洞部分及び本件建物不存在区画)を割合的に区分し、参道として用いられている部分を非課税とすべきであるということもできない。したがって、本件対象地を含む本件ζ土地の全部に固定資産税等を課すこととした本件賦課決定は適法である。 第4 結論 参道として用いられている部分を非課税とすべきであるということもできない。したがって、本件対象地を含む本件土地の全部に固定資産税等を課すこととした本件賦課決定は適法である。 第4 結論 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官 徳地淳 裁判官 新宮智之 裁判官 関尭熙 (別紙1省略)

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