昭和53(行ウ)131 相続税の更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和57年3月2日 東京地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告らの本件訴えのうち、被告がA、原告B、原告C及び原告Dに対し昭和五 〇年六月三〇日付けでした各相続税の更正及び過少申告加算税賦課決定(ただし同 年一二月一日付けの異議決定により一部取

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○ 主文一原告らの本件訴えのうち、被告がA、原告B、原告C及び原告Dに対し昭和五〇年六月三〇日付けでした各相続税の更正及び過少申告加算税賦課決定(ただし同年一二月一日付けの異議決定により一部取り消した後のもの)につき、課税価格をAについては四九六九万二〇〇〇円、原告Bについては五六〇三万七〇〇〇円、原告Cについては三六九二万六〇〇〇円、原告Dについては四二四八万七〇〇〇円としてそれぞれ計算した額を超えない部分の取消しを求める訴えをいずれも却下する。 二被告がA及び原告らに対し昭和五〇年六月三〇日付けでした各相続税の更正及び過少申告加算税賦課決定(ただし同年一二月一日付けの異議決定により一部取り消した後のもの)のうち、課税価格をAについては六〇一二万一〇〇〇円、原告Eについては一億二七九一万七〇〇〇円、原告Bについては六六三三万三〇〇〇円、原告Cについては四一九七万六〇〇〇円、原告Dについては四八一六万一〇〇〇円としてそれぞれ計算した額を超える部分を取り消す。 三原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた判決一請求の趣旨 1 主文第二項記載の課税処分のうち、課税価格をAについては四四二九万一〇〇〇円、原告Eについては一億一〇一〇万八〇〇〇円、原告Bについては四六五四万五〇〇〇円、原告Cについては三三〇七万二〇〇〇円、原告Dについては三九二五万七〇〇〇円としてそれぞれ計算した額を超える部分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁) 1 原告らの本件訴えのうち、主文第一項記載の課税処分につき、課税価格をAについては六一五五万九〇〇〇円、原告Bについては七〇八七万二〇〇〇円、原告 る。 二請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁) 1 原告らの本件訴えのうち、主文第一項記載の課税処分につき、課税価格をAについては六一五五万九〇〇〇円、原告Bについては七〇八七万二〇〇〇円、原告Cについては四三六〇万一〇〇〇円、原告Dについては四九一六万三〇〇〇円として計算した額を超えない部分の取消しを求める訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 (本案の答弁) 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 亡A及び原告らは、昭和四八年一月四日死亡したFの財産を共同相続し、同年七月三日被告に対し各課税価格及び納付税額を別表一ないし六の各番号1欄記載のとおりであるとして相続税の期限内申告を行つたが、右各申告には相続財産である土地の一部を過大に評価した誤りがあつたため、昭和四九年七月三日各課税価格及び納付税額を同表の各番号2欄記載のとおりとする更正の請求をした。ところが、被告は、昭和五〇年六月三〇日、A及び原告らの各課税価格及び納付税額は同表の各番号3欄に記載のとおりであるとする更正を行うとともに、過少申告加算税の賦課決定をした(以下合わせて「本件更正等」という。)。 A及び原告らは本件更正等に対し同年八月三〇日異議申立てを行つたところ、被告は同年一二月一日A及び原告らの各課税価格及び納付税額並びに過少申告加算税額を同表の各番号5欄記載のとおりとする異議決定を行つたが、A及び原告らはこれを不服として同月二七日国税不服審判所長に対し審査請求をした。 その後、被告は、A及び原告らの前記更正の請求につき、昭和五一年五月六日付けで更正すべき理由がない旨の通知を行つたので、A及び原告らは同年七月六日右通知に対する異議申立てを行つたところ、同異議申立ては同月一三日国税不 及び原告らの前記更正の請求につき、昭和五一年五月六日付けで更正すべき理由がない旨の通知を行つたので、A及び原告らは同年七月六日右通知に対する異議申立てを行つたところ、同異議申立ては同月一三日国税不服審判所長に対する審査請求とみなされることになつた。 国税不服審判所長は、昭和五三年六月一三日A及び原告らの審査請求及びみなし審査請求をいずれも棄却する裁決を行つた。 以上の課税処分の経過は、別表一ないし六記載のとおりである。 2 しかしながら、本件更正等には、A及び原告らの本件相続に係る課税価格を過大に認定した違法があるから、原告らが請求の趣旨において主張した額を超える部分は取り消されるべきである。 3 なお、Aは、本訴提起後である昭和五四年六月一五日死亡し、その共同相続人である原告らがその地位を承継した。 二被告の本案前の主張原告らは、本件更正等のうち原告Eに係る分を除いたものについて、申告課税価格を超えない部分についてまで取消しを求めているが、少なくとも申告課税価格を超えない部分については、相続のあつたことを自認したものというべきであるから、右部分の取消しを求める訴えの利益がない。納税者が自己の申告額より低い額を主張し、それを超える部分についての取消しを求めるためには、更正のうち申告額を超えない部分につき国税通則法二三条一項一号の更正の請求の手続を経ることが必要である。A及び原告らは、別表一ないし六の各番号2欄記載のとおり、昭和四九年七月三日付けで更正の請求をしているが、被告は、同表の各番号7欄記載のとおり、昭和五一年五月六日付けで更正すべき理由がない旨の通知処分を行つており、原告らはこの通知処分を争つていないのであるから、原告らの本訴請求のうち右申告課税価格を超えない部分に係る請求は、結局、訴えの利益を欠き不適法として却下されるべきで がない旨の通知処分を行つており、原告らはこの通知処分を争つていないのであるから、原告らの本訴請求のうち右申告課税価格を超えない部分に係る請求は、結局、訴えの利益を欠き不適法として却下されるべきである。 なお、本件更正等の通知書の理由欄には「更正請求を容認し減額」との記載が含まれているが、これは本件更正等の中で更正の請求と同じ理由で申告の誤りを是正した部分のあることを説明したものにすぎない。すなわち、相続財産の一部について「更正の請求書記載のとおり、評価の誤りがあつたので、申告に係る相続税評価額を減額」と記載すべきところを簡略化したものにすぎず、これにより、本件更正等が原告らの更正の請求に対応する処分を含むことになるものではない。本件のような増額更正処分は、全体としての課税標準等を増加させる処分であつて、課税標準の算定の基礎となる個々の要素についてたまたま申告額を減少させる部分が包含されていたとしても、これをもつて更正の請求に応答したものということはできない。そもそも、国税通則法二四条に基づく更正処分と同法二三条四項に基づく更正請求に対する通知処分とは別個独立のものであり、一方が他方に包含されてしまうというようなことはあり得ない。現に、本件更正等の通知書の表題は、「相続税の更正通知書および加算税の賦課決定通知書」となつており、この表題からも明らかなとおり、本件更正等に右通知処分が含まれていると解することはできず、また、被告は、前記のとおり本件更正等とは独立に昭和五一年五月六日付けで更正請求に対する通知処分を行つているのである。 三本案前の主張に対する原告らの反論本件更正等は、A及び原告らの昭和四九年七月三日付けの更正の請求の約一年後になされたものであり、しかも、その通知書に、更正の理由として「昭和四九年七月三日付更正請求を容認し減額 に対する原告らの反論本件更正等は、A及び原告らの昭和四九年七月三日付けの更正の請求の約一年後になされたものであり、しかも、その通知書に、更正の理由として「昭和四九年七月三日付更正請求を容認し減額。 箱根町所在不動産の相続した持分の増加および同町大沢向の不動産他の申告もれ財産を加算する。」と記載されていることからすると、本件更正等は、A及び原告らの右更正の請求に対する国税通則法二三条四項の更正と同法二四条の更正とを同時になしたものと解すべきである。したがつて、本件更正等を争うことは、右更正の請求に対する被告の処分をも含めて争うことになるのであり、少なくとも更正請求において主張した課税価格を超える部分については、その取消しを求める訴えの利益があるものというべきである。 なお、被告は、本件更正等の約一年後になつて、右更正請求に対する通知を行つているが、これは二重処分にすぎないから、これを独立に取消訴訟の対象とする必要はない。 四請求原因に対する被告の認否請求原因1及び3の事実は認めるが、2の主張は争う。 五被告の本案の主張 1 本件更正等の適法性についてA及び原告らの各相続税に係る課税価格は別表七番号15欄、納付税額は同表番号20欄、過少申告加算税は同表21欄に各記載したとおり(その算出基礎及び計算関係は同表並びに別表八及び一一ないし一三記載のとおり)であり、本件更正等(異議決定により一部取り消した後のもの)は右金額の範囲内であるから適法である。右課税価格の算出基礎のうち、原告らの争う分についての詳細は、次のとおりである。 2 別表七番号1及び3欄について(一) A及び原告らは、別表七番号1の土地(別表一一記載の土地。以下「本件土地」という。)及び別表七番号3の家屋(別表一二記載の家屋。以下「本件家屋」という。)についてのFの共有持分 3欄について(一) A及び原告らは、別表七番号1の土地(別表一一記載の土地。以下「本件土地」という。)及び別表七番号3の家屋(別表一二記載の家屋。以下「本件家屋」という。)についてのFの共有持分を相続した。 (二) 本件土地家屋の価額は、別表一一及び一二に記載した各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じて得た額である。 (三) 本件土地のうち牛坂所在の土地(別表一一番号12ないし15及び41の土地。以下「牛坂所在土地」という。)について右の評価倍率を二二〇倍としたが、その理由は次のとおりである。 すなわち、相続税法二二条は、相続により取得した財産の価額は当該財産の取得の時における時価による旨規定しており、相続税財産評価に関する基本通達(昭和三九年四月二五日直資五六号。以下「基本通達」という。)は、右規定受けて財産の具体的評価方法を定めている。基本通達によれば、純山林及び純原野と、中間山林及び中間原野(市街地付近又は別荘地帯に所在する山林、原野のうち、宅地化を予定して売買されるなどして通常の山林、原野と売買価額の水準などの状況を異にするもの)の価額は、その固定資産税評価額に国税局長が地域ごとに定める評価倍率を乗じて計算した金額により評価するものとされている。牛坂所在土地は、富士箱根伊豆国立公園の箱根地区の中にあり、箱根の主要道路である国道一三八号線からおおよそ一〇〇メートルないし五〇〇メートルの至近距離のところに位置し、それぞれがすべて道路に面しており、地目こそ山林又は原野と表示されているものの、その地形はおおむね平坦で、背の低い雑木が若干茂つている程度であつて、容易に宅地化が可能であり、周辺には保養所、別荘、分譲別荘地、分譲別荘マンシヨン等が数多く見受けられ、温泉の引湯もできる地域であつて箱根仙石原一帯においても高級別荘地といわ 茂つている程度であつて、容易に宅地化が可能であり、周辺には保養所、別荘、分譲別荘地、分譲別荘マンシヨン等が数多く見受けられ、温泉の引湯もできる地域であつて箱根仙石原一帯においても高級別荘地といわれる地区の中心に位置しており、中間山林、中間原野に該当する。 そして、東京国税局長は、昭和四八年分相続財産評価基準書の評価倍率表(以下「本件評価倍率表」という。)において箱根町<地名略>所在の山林及び原野に適用すべき評価倍率を二二〇倍と定めた。したがつて、牛坂所在土地の価額は、その固定資産税評価額に二二〇を乗じて計算した金額によつて評価すべきである。 ところで、東京国税局長が公表した本件評価倍率表の箱根町<地名略>の欄には、山林及び原野の評価倍率として二二〇倍を適用すべき地域名として、「午坂」との記載はあるが、「牛坂」との記載はない。しかし、牛坂地区と隣接する箱根町<地名略>、同<地名略>、同<地名略>及び同<地名略>所在の山林及び原野の評価倍率はすべて二二〇倍とされているうえ、同欄に記載されている「午坂」なる地名は箱根町<地名略>には存在せず、しかも両者の字体が酷似していることからして、右「午坂」の記載は「牛坂」の誤記であることが一見して明らかである。また本件評価倍率表は、右<地名略>の欄において、「上記以外の土地」の山林又は原野は二五倍の評価倍率によるべきことを定めているが、右倍率の頭部に純と表示しており、右倍率が純山林又は純原野、すなわち通常の山林又は原野に適用されるものであることを明らかにしている。牛坂所在土地は、前記のとおり、中間山林又は中間原野と評価されるべき土地であるから、右の「上記以外の土地」に当たらないことも明白である。また、牛坂地区の山林又は原野を昭和四八年中に相続したのはA及び原告らのみであるから、牛坂所在土地に二二〇倍の 原野と評価されるべき土地であるから、右の「上記以外の土地」に当たらないことも明白である。また、牛坂地区の山林又は原野を昭和四八年中に相続したのはA及び原告らのみであるから、牛坂所在土地に二二〇倍の評価倍率を適用しても、何ら税負担の公平を害することにはならない。 (四) 本件土地のうち別表一一番号13の土地の右固定資産税評価額を一〇四万四三四四円としたが、その理由は次のとおりである。 すなわち、右土地の地積は、公簿上は二万六六三七平方メートルとなつているが、実際は二万七七二五平方メートルである。一筆の土地の固定資産税評価額は、まず単位面積当たりの評価額を定め、これに公簿上の地積を乗じて算定するため、実際の地積が公簿上のそれと異なつた場合には、実際の地積に基づき固定資産税評価額を改定し、これにより相続税評価額を算定する必要がある。そこで、右土地の固定資産税評価額を実際の地積に基づいて改定すると、次の計算式のとおり、一〇四万四三四四円となる1、003、362(公簿上の固定資産税評価額/26、637m2(公簿上の地積)×27、725m2(実際の地積)=1、044、344円(五) 本件土地家屋についてのFの共有持分の割合は、別表一一及び一二記載のとおりである。 すなわち、明治末期から大正年間にかけて、亡G、亡H及び亡Iの三名は、各三分の一ずつの持分割合で本件土地を取得した。Gは、大正一一年四月二〇日本件土地のうち別表二番号28を除く土地の共有持分の二分の一(全体の六分の一)を売買により妻Jに譲渡した。Jの右共有持分(六分の一)は、昭和一六年一一月二七日同人の死亡による遺産相続でF及びAに二分の一(全体の一二分の一)ずつ移転した。また、Gの残りの共有持分(六分の一)は、昭和二〇年九月二五日同人の死亡による家督相続によりFに移転し、Fの共有持分割合は 人の死亡による遺産相続でF及びAに二分の一(全体の一二分の一)ずつ移転した。また、Gの残りの共有持分(六分の一)は、昭和二〇年九月二五日同人の死亡による家督相続によりFに移転し、Fの共有持分割合は、この時点で一二分の三となつた。そして昭和四四年一二月四日、K、L、Mの共有三家間において、本件土地のうち同表番号28を除く土地の共有持分の移動があり、本件相続開始時におけるFの右共有持分割合は、二一六分の五七又は二一六分の五九となつた。なお、同表番号28の土地については、Gの当初の共有持分(三分の一)の全部が家督相続によりFに移転し、それがそのまま本件相続開始時の共有持分割合となつているものである。 本件家屋もK、L、Mの三家の共有物であるが、本件家屋のうち別表一二番号1、3ないし5及び7ないし9の家屋については、昭和三八年五月八日所有権保存登記がなされ、Fの共有持分割合は七二分の二七とされた。その後、右共有三家間において共有持分の移動があり、本件相続開始時におけるFの右共有持分割合は、一四四分の三五となつた。また、同表番号6の家屋は、登記簿上株式会社俵石閣の所有名義となつてはいるが、右三家の共有物であり、Fの共有持分割合は、同番地所在の同表番号3ないし5及び7ないし9の家屋の共有持分割合が右のとおりすべて一四四分の三五であること及びこの割合は本件土地家屋に関するものの中では最も低く、これを下回るとは考えられないことからして、一四四分の三五と認むべきである。更に、同表番号2の家屋については、Gの共有持分(三分の一)の全部が家督相続によりFに移転し、その後右共有三家間において共有持分の移動があり、本件相続開始時におけるFの共有持分割合は二一六分の七七となつた。 そして、以上の共有持分割合は、登記簿の記載に符合するものである。 (六) したがつて その後右共有三家間において共有持分の移動があり、本件相続開始時におけるFの共有持分割合は二一六分の七七となつた。 そして、以上の共有持分割合は、登記簿の記載に符合するものである。 (六) したがつて、本件土地家屋についてのFの共有持分の価額は、別表一一及び一二の各相続税評価額欄記載のとおりの額(同表の固定資産税評価額、評価倍率及び共有持分割合を連乗したもの)となるところ、右の共有持分は、Aが七二分の一六、原告Eが七二分の一八、原告B、が七二分の二〇、原告Cが七二分の九、原告Dが七二分の九の割合で相続したから、各自の相続分は別表七番号1及び3欄記載のとおりとなる。 3 別表七番号8欄についてA及び原告らは、別表七番号8の立木(別表一三記載の立木。以下「本件立木」という。)も共同相続しており、その価額は合計三七一万七〇四一円である。 立木の時価は、基本通達の定めるところに従い、その樹種及び樹令に応じて国税局長の定める一ヘクタール当たりの標準価額に、その森林の地味級、立木度及び地利級に応じて定められた割合を連乗(樹種が杉及びひのきの場合には、一ヘクタール当たりの立木材積を標準立木材積で除して得た数値と地利級の割合を連乗する。)して求めた金額に、その森林の地積を乗じて計算した金額によつて評価する。 なお、本件立木は、富士箱根伊豆国立公園の特別区域内にあり、立木の伐採に択採の制限を受けているので、保安林等の控除割合〇、四を乗じた金額を差し引いた金額によつて評価することになる。 右によつて評価した本件立木の時価は、別表一三記載のとおり合計額四三七万二九九〇円となるが、相続税法二六条の二によりこれに一〇〇分の八五の割合を乗じて本件立木の価額を求めると三七一万七〇四一円となる。そして、A及び原告らの相続割合は本件土地のそれと同じであるから、各自の相続分は別 なるが、相続税法二六条の二によりこれに一〇〇分の八五の割合を乗じて本件立木の価額を求めると三七一万七〇四一円となる。そして、A及び原告らの相続割合は本件土地のそれと同じであるから、各自の相続分は別表七番号8欄記載のとおりである。 六被告の本案の主張に対する原告らの認否及び反論 1 被告の本案の主張1についてA及び原告らの各相続税に係る課税価格は別表九番号15欄、納付税額は同表番号20欄に各記載したとおり(その算出基礎及び計算関係は同表並びに別表一〇、別表一一原告主張額欄及び別表一二原告主張額欄記載のとおり)である。被告の主張は、原告らの右主張と一致する範囲においてこれを認める(したがつて、被告の主張の課税価格の算出基礎のうち、原告らが争うものは別表七番号1、3及び8欄記載のものである。)。 2 被告の本案の主張2について(一) A及び原告らが本件土地(別表一一番号65の土地を除く。)及び本件家屋についてのFの共有持分を相続したことは認める。 (二) 本件土地(牛坂所在土地及び別表一一番号65の土地を除く。)及び本件家屋の価額が別表一一及び一二に記載した各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じて得た額であることは認める。 (三) 本件土地のうち牛坂所在土地の固定資産税評価額(別表一一番号13の土地に係るものを除く。)が同表記載のとおりであることは認めるが、これに乗ずべき評価倍率は二五倍である。 被告は、牛坂所在土地の評価倍率は二二〇倍である旨主張するが、本件評価倍率表の箱根町<地名略>欄において評価倍率が二二〇倍とされている山林又は原野の適用地域名の中には「牛坂」の記載はないから、牛坂所在土地は「上記以外の地域」としてその評価倍率を二五倍とすべきである。被告は、箱根町<地名略>欄の「午坂」の記載は「牛坂」の間違いである旨主張するが 用地域名の中には「牛坂」の記載はないから、牛坂所在土地は「上記以外の地域」としてその評価倍率を二五倍とすべきである。被告は、箱根町<地名略>欄の「午坂」の記載は「牛坂」の間違いである旨主張するが、本件評価倍率表は東京国税局長の各税務署長あての通達で下級行政庁を拘束するものであるから、その文言に従つて厳格に解釈すべきであり、納税者の不利益となるような解釈は許されないものというべきである。また、A及び原告らは、期限内申告に際し、小田原税務署の資産税部門の統括官に電話照会し、その指導に基づき申告したものであるから、牛坂所在土地についての評価倍率は二五倍とするのが正当である。 なお、被告は、牛坂所在土地は別荘地帯の中心に位置していると主張するが、それは現在のことであつて、本件相続開始当時は別荘地といえるようなものではなかつた。 (四) 被告は、別表一一番号13の土地の地積は二万七七二五平方メートルである旨主張するが、右は本件相続開始後に行われた測量に基づく主張であり、しかも、右土地を除いては公簿上の地積に基づき課税価額を計算しているのであるから、右土地の地積も土地課税台帳に記載されている二万六六三七平方メートル、固定資産税評価額も同台帳の一〇〇万三三六二円とすべきである。 (五) 本件土地家屋についてのFの共有持分割合は一八・八八一パーセントである。すなわち、被告主張のとおり、G、亡H及び亡Iは、各三分の一ずつの割合で本件土地を取得した。そして、Gは、大正一一年四月二〇日右共有持分の二分の一(全体の六分の一)を妻Jに譲渡した。Fは、大正一二年三月一四日G、J及び同人らの養子であるAと婿養子縁組を結んだ。その際、F及びAは、将来G及びJから相続する右共有持分については、G及びJの持分割合を踏襲し、各二分の一ずつ取得することを合意した。そして、昭 G、J及び同人らの養子であるAと婿養子縁組を結んだ。その際、F及びAは、将来G及びJから相続する右共有持分については、G及びJの持分割合を踏襲し、各二分の一ずつ取得することを合意した。そして、昭和一六年一一月二七日Jの死亡による遺産相続(相続人はF及びA)、昭和二〇年九月二五日Gの死亡による家督相続(相続人はF)が行われたが、遅くとも実質課税の原則が施行された昭和二八年ころまでの間には、右合意に基づきFからAへの贈与による持分割合の調整が履行された結果、F及びAの本件土地の共有持分割合は平等に各六分の一となつていた。その後、前記共有三家間の共有持分の移動があり、F及びAの共有持分割合は各一八・八八一パーセントとなつた。本件家屋についてのF及びAの共有持分割合も、本件土地と同様の経過により各一八・八八一パーセントとなつたものである。右の事実は、本件土地の開拓者であるG、亡H及び亡Iの各承継人らで三家の親睦を図るとともに各承継人らの有する共有持分割合を明確にするために設立した三ツ輪会が昭和四七年七月二六日付けで作成した三ツ輪会覚書公正証書において、F及びAの共有持分割合が各一八・八八一パーセントである旨確認されていること、また、F及びAが、右共有持分割合を基礎に昭和三二年以降所得税の確定申告を行つてきたうえ、昭和三四年ないし昭和三六年分の再評価税申告についても、被告の指導のもとに同様の処理を行つてきたことからも明らかである。 (六) したがつて、本件土地家屋についてのFの共有持分の価額は、別表一一及び一二の各原告主張額欄記載のとおりとなるところ、右共有持分をA及び原告らが被告主張の割合で相続したから、各自の相続分は別表九番号1及び3欄記載のとおりとなる。 3 被告の主張3について被告は、本件立木も課税財産に当たる旨主張するが、本件立木は 右共有持分をA及び原告らが被告主張の割合で相続したから、各自の相続分は別表九番号1及び3欄記載のとおりとなる。 3 被告の主張3について被告は、本件立木も課税財産に当たる旨主張するが、本件立木は保安林としての価値は有するものの、課税に値するほどの経済価値はないし、これまでも本件土地周辺の土地の売却に当たつて立木が山林所得としての課税の対象とされたことはなく、また、昭和四七年五月四日に死亡した本件土地の共有者であつたNの財産相続に係る相続税においても、本件立木は何ら課税の対象とされていなかつたのであるから、本件立木を課税財産とすることは許されない。 第三証拠(省略) 理由 一本案前の主張について 1 相続税は納税者の申告により確定するのを原則とし、納税者において申告に係る課税価格及び納付税額が過大であるとするときは、一定期間に限り更正の請求を行うことができるが、更正の請求が申告額の一部についてのみ行われたときは、少なくとも更正の請求に係る課税価格及び納付税額の範囲内においては、納税者が自らの申告によつてこれを確定させ、しかもその是正のため法律上認められた手続をとつていないのであるから、たとえ右申告につき税務署長による増額更正が行われても、右更正の請求に係る課税価格及び納付税額を超えない部分については、納税者にとつて不利益処分ということができず、その取消しを求むべき訴えの利益がないものというべきである。 2 そこで、本件訴えの適否について検討するに、請求原因1及び3の事実は当事者間に争いがないところ、本件訴えのうちA、原告B、原告C及び原告Dに対する本件更正等の取消しを求める訴えは、別表二及び四ないし六の各番号2欄記載の更正の請求に係る課税価格及び納付税額を超えない部分についてまでその取消しを求めるものであるが、右部分の取消請求は1 に対する本件更正等の取消しを求める訴えは、別表二及び四ないし六の各番号2欄記載の更正の請求に係る課税価格及び納付税額を超えない部分についてまでその取消しを求めるものであるが、右部分の取消請求は1で述べたように訴えの利益を欠き不適法というべきであるから、これを却下することとする。 3 ところで、被告は、Aらの右更正の請求に対しては、被告において昭和五一年五月六日更正すべき理由がない旨の通知処分を本件更正等とは別個に行つており、原告らもこの通知処分については争つていないから、原告らにおいて本件更正等のうち申告に係る課税価格及び納付税額を超えない部分についての取消しを求むべき訴えの利益がないと主張する。 しかしながら、成立に争いのない甲第二号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第三号証、当事者間に争いのない請求原因1の事実及び弁論の全趣旨によると、Aらは、本件相続税につき期限内申告をしたのち昭和四九年七月三日付けで被告に対し別表一一番号27ないし39の水土野の山林の固定資産税評価額及び評価倍率の訂正を求めて更正の請求を行つたこと、被告は右更正の請求から約一年後の昭和五〇年六月三〇日本件更正等を行つたこと、本件更正等の通知書の理由欄には「昭和四九年七月三日付更正請求を容認し減額、箱根町所在不動産の相続した持分の増加および同町大沢向の不動産他の申告もれ財産を加算する。」と記載されており、本件更正等はAらの求めた水土野の山林の固定資産税評価額及び評価倍率の訂正をすべて是認したうえ、被告の独自の調査により判明した申告もれ相続財産の加算等を行つたものであることが認められる。以上の事実によれば、被告は、Aらの更正の請求について調査をし、請求の理由となつた事実(申告に係る課税価格等を減額すべき事実)を肯認したうえ、独自の調査による申告もれ相続財産の加算等 とが認められる。以上の事実によれば、被告は、Aらの更正の請求について調査をし、請求の理由となつた事実(申告に係る課税価格等を減額すべき事実)を肯認したうえ、独自の調査による申告もれ相続財産の加算等を行つて本件更正等をなしたことが明らかであり、本件更正等は、その実質において、国税通則法二三条四項の更正の請求を認容する処分としての減額更正と同法二四条の増額更正の処分とを同時的、複合的に行つたのと異ならないものというべきである。 そうであるとすれば、税務署長が納税者の更正の請求を容れて課税価格等をいつたん納税者の主張額まで減額する更正を行つたうえで、改めて新たに発見した申告もれ額をこれに加算する増額更正を行つた場合に、右増額更正のうち更正の請求額を超える部分については、申告額の範囲内であつても、納税者においてその取消しを求める訴えの利益が認められるべきであるのと同様に、本件においても、A、原告B、原告C及び原告Dに対する本件更正等のうち更正の請求に係る課税価格及び納付税額を超える部分については、原告らはその取消しを求める訴えの利益を有するものというべきである。もとより、更正は課税標準等又は税額等を是正する処分であるから、課税標準の算定の基礎となる個々の要素について申告額を減少させる部分を含んでいたとしても、全体としての課税標準等又は税額等を増額させた場合には、形式的には納税者の更正の請求を認容したことにはならず、増額更正の処分が一個存在するにすぎないが、当該処分において更正の請求に対してその主張の減額事由を認める旨の判断を加え、かつ、そのことを明示している以上、少なくとも争訟利益に関しては、国税通則法二三条四項の処分としての減額更正が別個に行われた場合と区別して取り扱うべき理由はない。更正の請求がなされた場合に、これに対応する減額更正をした ている以上、少なくとも争訟利益に関しては、国税通則法二三条四項の処分としての減額更正が別個に行われた場合と区別して取り扱うべき理由はない。更正の請求がなされた場合に、これに対応する減額更正をした後に改めて申告もれを加算する増額更正を行うか、それとも更正の請求に基づく減額分を申告もれ額から差し引いた額で増額更正のみを行うかについては、格別の制約はなく、課税庁の判断に委ねられているのであるが、課税庁がそのいずれを選択したかによつて増額更正に対する納税者の争訟利益の範囲が左右されることは不合理というべきだからである。なお、被告は、昭和五一年五月六日になつてAらの更正の請求は理由がない旨の通知を行つているが、前記認定事実によれば、右通知は、ひつきよう、本件更正等において実質的に更正の請求に基づく減額を容認した結果としてもはや右更正の請求を認める必要がなくなつたために行われた名目的なものであつて、仮にこれを取消訴訟の対象にするとしても、更正の請求の理由の当否が争われるわけではなく(この点は本件更正等において既に是認されている。)、専ら新たな申告もれ額の存否のみが争点となる関係にある。そして、右争点は新たな申告もれを加算した本件更正等を対象として争うのが最も適切であることを勘案すると、本件更正等の後に右通知が行われ、原告らが右通知そのものの取消請求の訴えを提起していないとしても、それによつて本件更正等につき取消しを求める利益が失われるものと認めることはできない。 二当事者間に争いのない相続財産等について次に、本案について判断するに、請求原因1及び3の事実については前叙のとおり当事者間に争いがないところ、原告らは、本件更正等にはA及び原告らの本件相続に係る課税価格を過大に認定した違法が存すると主張する。そして、右課税価格について、被告は別表七番 実については前叙のとおり当事者間に争いがないところ、原告らは、本件更正等にはA及び原告らの本件相続に係る課税価格を過大に認定した違法が存すると主張する。そして、右課税価格について、被告は別表七番号15欄に.記載したとおりであると主張するところ、その算出基礎となるべき事項のうち同表番号2、4ないし7、9、11及び13欄記載事項については当事者間に争いがない(よつて、これを別表一四に移記することとする。)。 三本件土地家屋の共有持分の相続等について 1 A及び原告らが本件土地のうち別表一一番号65を除く土地及び本件家屋についてのFの共有持分を相続したこと、各自の相続割合はAが七二分の一六、原告Eが七二分の一八、原告Bが七二分の二〇、原告Cが七二分の九、原告Dが七二分の九であることは、当事者間に争いがない。また、本件土地のうち別表一一番号65及び牛坂所在土地を除く土地の価額が同表記載の各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じて得た額であること、本件家屋の価額が別表一二記載の各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じて得た額であることについても、当事者間に争いがない。 2 成立に争いのない乙第六七号証の五、乙第七六号証及び乙第七七号証並びに弁論の全趣旨及びそれにより成立の認められる甲第四二号証によると、A及び原告らは別表一一番号65の土地についてのFの共有持分を相続したこと、各自の相続割合は1記載のそれと同割合であること、右土地の価額は同表記載の固定資産税評価額に同表記載の評価倍率を乗じて得た額と評価するのが相当であることが認められる。 四本件土地のうち牛坂所在土地の価額について 1 被告は、牛坂所在土地(別表一一番号12ないし15及び41の土地)の価額は同表記載の固定資産税評価額に同表記載の評価倍率(二二〇倍)を乗じて得た額と 四本件土地のうち牛坂所在土地の価額について 1 被告は、牛坂所在土地(別表一一番号12ないし15及び41の土地)の価額は同表記載の固定資産税評価額に同表記載の評価倍率(二二〇倍)を乗じて得た額と評価すべきであり、右評価倍率は東京国税局長が本件評価倍率表において定めたものであると主張する。これに対し、原告らは、右固定資産税評価額(別表一一番号13の土地に係るものを除く。)を認め、また、牛坂所在土地の価額を右固定資産税評価額に東京国税局長が本件評価倍率表において定める評価倍率を乗じて得た額で評価すること自体の合理性についても争つていないが、本件評価倍率表において定められた牛坂所在土地の評価倍率は二五倍であると主張する。すなわち、本件評価倍率表の箱根町<地名略>の欄に、山林及び原野の評価倍率として二二〇倍を適用すべき地域名として「午坂」との記載はあるものの、「牛坂」との記載がないことについては当事者間に争いがないところ、被告は、「午坂」は「牛坂」の誤記であるから、牛坂所在土地の評価倍率は二二〇倍であると主張するのに対し、原告らは、右欄に「牛坂」との地名が記載されていない以上、牛坂所在土地については右欄の「上記以外の土地」について定められた評価倍率二五倍を適用すべきであると主張するものである。 よつて、検討するに、証人Oの証言、前掲乙第六七号証の五、成立に争いのない乙第六七号証の一及び二、乙第七一号証並びに乙第七二号証の一及び二、弁論の全超旨により成立が認められる乙第六六号証並びに乙第八四号証の一の一及び二並びに弁論の全趣旨により昭和五五年一〇月一六日牛坂所在土地付近を撮影したと認められる乙第八四号証の二ないし一一によると、箱根町<地名略>には「午坂」なる地名は存しないこと、本件評価倍率表は牛坂地区を取り囲む箱根町<地名略>、同<地名略>、 日牛坂所在土地付近を撮影したと認められる乙第八四号証の二ないし一一によると、箱根町<地名略>には「午坂」なる地名は存しないこと、本件評価倍率表は牛坂地区を取り囲む箱根町<地名略>、同<地名略>、同<地名略>、同<地名略>及び同<地名略>地区の山林及び原野に適用する評価倍率をすべて二二〇倍と定めていること、本件評価倍率表は箱根町<地名略>の欄において「上記以外の地域」の山林及び原野の評価倍率を二五と定めているが、二五倍の評価倍率が適用される地区は純山林又は純原野であり、二二〇倍の評価倍率が適用される地区は中間山林又は中間原野であることを明らかにしていること、牛坂地区の山林及び原野は別荘地帯の中に位置して中間山林、中間原野に属し、現に昭和四四年及び昭和四五年分の評価倍率表では別荘地帯等にある山林、原野として定められていたことが認められ、これらの事実に、「午坂」と「牛坂」の字体が酷似していることを併わせ考えると、本体評価倍率表の「午坂」の記載は「牛坂」を指していることが客観的に明白というべきである。そして、成立に争いのない乙第八一号証及び乙第八二号証並びにその方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第八〇号証によると、昭和四八年中には、本件相続を除き、牛坂地区所在の土地について相続又は遺贈を原因とする権利変動はなかつたことが認められ、右「午坂」の記載を「牛坂」の誤記として取り扱つても何ら課税上の不均衡を生ずるものではない。 原告らは、本件評価倍率表は下級行政庁を拘束するものであるから、その記載どおりの課税を行うべきであり、納税者の不利益となるような拡張解釈をすることは許されない旨主張するが、下級行政庁としても、本件評価倍率表に客観的に明白な誤記が存在する以上、正しい内容に従つてこれを適用すべきが 税を行うべきであり、納税者の不利益となるような拡張解釈をすることは許されない旨主張するが、下級行政庁としても、本件評価倍率表に客観的に明白な誤記が存在する以上、正しい内容に従つてこれを適用すべきが当然であり、これをもつて拡張解釈というのは当たらない。また、原告らが本件相続税の申告に当たり小田原税務署に対し行つた電話照会に対し、同署員が牛坂地区の評価倍率を二五倍と回答した事実があつたとしても、それだけで本来適用すべき二二〇倍の評価倍率を適用することが違法性を帯びることにはならない。 そうすると、牛坂所在土地の評価については、二二〇倍の評価倍率を適用するのが相当である。 2 次に、牛坂所在土地のうち別表一一番号13の土地の地積及び固定資産税評価額が公簿上二万六六三七平方メートル、一〇〇万三三六二円となつていることは当事者間に争いがないところ、原本の存在及び成立に争いのない乙第六五号証の一及び二によると、右土地の実測値は二万七七二五平方メートルであることが認められる。また、弁論の全趣旨により成立の認められる乙第八三号証によると、右公簿上の固定資産税評価額は、単位面積当たりの評価額に公簿上の地積を乗じて算出されたことが認められるから、固定資産税評価額に評価倍率を乗じて相続財産としての時価の評価を行う際には、右固定資産税評価額を実際の地積に基づき訂正するのが合理的である。被告は、本件土地のうち右土地以外については公簿上の固定資産税評価額を使用しているが、だからといつて右土地についても公簿上のそれをそのまま使用しなければならないいわれはなく、実測値の判明する分については実測値に基づく修正を行う方がより客観的時価に近い評価を行えるものというべきである。 そうすると、右土地の価額は、被告が主張するように、公簿上の固定資産税評価額を公簿上の地積で除して求 る分については実測値に基づく修正を行う方がより客観的時価に近い評価を行えるものというべきである。 そうすると、右土地の価額は、被告が主張するように、公簿上の固定資産税評価額を公簿上の地積で除して求めた一平方メートル当たりの評価額に右実測値二万七七二五平方メートルを乗じて計算した金額である一〇四万四三四四円を基礎とし、これに評価倍率を乗じて算定するのが相当である。 3 したがつて、牛坂所在土地の価額も、結局のところ、別表一一記載の固定資産税評価額に同表記載の評価倍率を乗じて得た額によつて評価するのが相当というべきである。 ちなみに、右の評価によると、牛坂所在土地のうち別表一一番号13の土地の価額は一平方メートル当たり八二八七円となるが、前掲乙第六五号証の一によると、A及び原告らは昭和四八年一一月三〇日右土地の一部を一平方メートル当たり一万二一二一円で売却していることが認められ、このことからも1の評価倍率二二〇倍及び2の実測値による評価の合理性が裏付けられるものということができる。 五本件土地家屋についてのFの共有持分割合について 1 そこで、次に、本件土地家屋についてのFの共有持分割合を検討するに、被告はFの共有持分割合が別表一一及び一二記載のとおりであると主張するところ、成立に争いのない乙第一号証ないし第六四号証及び乙第七三号証ないし第七五号証並びに前掲乙第七七号証によると、被告主張の右共有持分割合(別表一二番号5及び6の家屋に係るものを除く。)は登記簿上の記載と合致していることが認められる。また、G、亡H及び亡Iの三名が明治末期から大正年間にかけて各三分の一ずつの持分で本件土地(別表一一番号65の土地を除く。)を取得したこと、Gが大正一一年四月二〇日本件土地(別表一一番号及び65の土地を除く。)の共有持分の二分の一(全体の六分の一)を けて各三分の一ずつの持分で本件土地(別表一一番号65の土地を除く。)を取得したこと、Gが大正一一年四月二〇日本件土地(別表一一番号及び65の土地を除く。)の共有持分の二分の一(全体の六分の一)を妻Jに譲渡したこと、昭和一六年一一月二七日Jの死亡による遺産相続(相続人はF及びA)が行われ、昭和二〇年九月二五日Gの死亡による家督相続(相続人はF)が行われたことは当事者間に争いがないところ、右乙号証並びに前掲乙第六五号証の一及び二によると、右登記簿上の記載は右当事者間に争いのない事実と矛盾するところがなく、A及び原告らも、登記されたFの共有持分割合につきそれぞれの相続割合に応じた相続登記を経由したうえ、本件土地の一部を第三者に売却した際の売買契約書にも右登記された共有持分割合を表示していることが認められる。したがつて、特に反証のない限りは、登記簿に記載されたFの共有持分割合を真実のものと認めるべきであろう。 2 しかしながら、前掲甲第四二号証、乙第一号証ないし第二七号証、乙第二九号証ないし第六四号証、乙第七五号証及び乙第七七号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第八号証並びに甲第一三号証の一の一及び二の一、弁論の全趣旨により原本の存在及び成立の認められる甲第一〇号証の一及び二、甲第一一号証の一及び二、甲第一二号証の一、甲第一四号証の一ないし四、甲第一五号証の一ないし四、甲第一六号証の二、四及び一〇並びに甲第一七号証の二、原本の存在及び官公署作成部分の成立に争いがなく弁論の全趣旨によりその余の部分の成立が認められる甲第一二号証の二、甲第一三号証の一の二及び二の二、甲第一六号証の一、三、七及び一二、甲第一七号証の一、甲第一八号証の一、甲第一九号証、甲第二〇号証、甲第二九号証の一及び二、甲第三〇号証の一、甲第三一号証の一ないし四並びに甲第三二号 二及び二の二、甲第一六号証の一、三、七及び一二、甲第一七号証の一、甲第一八号証の一、甲第一九号証、甲第二〇号証、甲第二九号証の一及び二、甲第三〇号証の一、甲第三一号証の一ないし四並びに甲第三二号証の一ないし六、弁論の全趣旨により成立の認められる甲第二六号証の一及び二、甲第二七号証の一ないし四、甲第三〇号証の二並びに甲第三二号証の七、証人田畑隆の証言並びに同証言により成立の認められる甲第二五号証の一及び二、証人秋山嘩の証言並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。 (一) G、亡H及び亡Iの三名は、明治末期から大正年間にかけ、本件土地を含む箱根町所在の土地を各三分の一ずつの持分割合で取得した(三名が右時期に右持分割合で本件土地のうち別表一一番号65を除く土地を取得したことは当事者に争いがない。)。 (二) Gは、大正一一年四月二〇日右共有持分の二分の一(全体の六分の一)を妻Jに譲渡した(Gが右の日に本件土地のうち別表一一番号28及び65を除く土地の共有持分の二分の一をJに譲渡したことは当事者間に争いがない。)。 (三) Fは、大正一二年三月一四日G、J及び同人らの養子であるAと婿養子縁組を結んだ。 (四) 昭和一六年一一月二七日Jの死亡による遺産相続(相続人はF及びA)、昭和二〇年九月二五日Gの死亡による家督相続(相続人はF)が行われた(この事実は当事者間に争いがない。)。 (五) F及びAは、被告に対し提出した昭和三三年ないし昭和三六年分の個人の再評価税申告書において、箱根町所在の土地について各六分の一ずつの共有持分を有するとして、右土地の譲渡を申告した。 (六) F及びAは、被告に対し提出した昭和三二年ないし昭和三七年、昭和四二年及び昭和四六年分の所得税確定申告書において、箱根町所在の土地について均等の共有持分を有するとして(一 の譲渡を申告した。 (六) F及びAは、被告に対し提出した昭和三二年ないし昭和三七年、昭和四二年及び昭和四六年分の所得税確定申告書において、箱根町所在の土地について均等の共有持分を有するとして(一部の申告書においては各六分の一ずつの共有持分を有するとして)、右土地の譲渡所得を申告し、また、昭和三五年ないし昭和四六年分の所得税確定申告書において、箱根町<地名略>所在家屋について均等の共有持分を有するとして(一部の申告書においては各六分の一ずつの共有持分を有するとして)、右家屋の賃貸による不動産所得を申告した。 (七) 昭和四四年一二月四日、本件土地(別表一一番号28の土地を除く。)及び別表一二番号2の家屋について、真正な登記名義の回復を原因として、他の共有者からF及びAに対する共有持分の移動が登記されたが、両者に移動された共有持分の割合は均等である。 (八) 昭和四七年七月二六日、G、亡H及び亡Iの相続人七名は、三ツ輪会覚書公正証書を作成し、七名が共有する財産の共有持分割合を確認したが、同公正証書の中でF及びAの共有持分割合は各一八・八八一パーセントと確認され、F及びAも同公正証書に署名捺印した。 (九) A及び原告らは、昭和四八年六月二五日本件相続に伴う遺産分割協議書を作成したが、同協議書の中でFの本件土地家屋についての共有持分割合を一八・八八パーセントと表示した。 (一〇) 本件相続開始後、前記共有者らが箱根町仙石原牛坂所在の土地を売却した代金の配分は、F及びAの共有持分割合が各一八・八八一パーセントとして計算された。 以上の事実を総合すれば、F及びAは、先代のG及びJの場合と同様、夫婦均等の割合で本件土地家屋の共有持分を有することを合意し、遺産相続及び家督相続によりFの共有持分がAのそれより多くなつた場合には、FからAに対し共有持分の F及びAは、先代のG及びJの場合と同様、夫婦均等の割合で本件土地家屋の共有持分を有することを合意し、遺産相続及び家督相続によりFの共有持分がAのそれより多くなつた場合には、FからAに対し共有持分の一部を譲渡することにより均等を図ることとし、遅くとも前記再評価税及び所得税の申告のころまでには右譲渡を完了し、前記昭和四七年七月二六日の三ツ輪会覚書公正証書の作成により、右譲渡の結果両者の共有持分割合が一八・八八一パーセントとなつたことを確認したものであつて、本件相続開始時におけるFの本件土地家屋についての共有持分割合は一八・八八一パーセントであつたと認めるのが相当である。 もつとも、右譲渡については登記がなく、登記簿には遺産相続及び家督相続と真正な登記名義の回復を原因とする共有持分の移動が記載されているのみであるが、夫婦間で数十個にわたる本件土地家屋について逐一譲渡の登記及びそれに伴う諸手続を行うことの煩雑さを避けるため、簡明な遺産相続及び家督相続の登記にとどめ、A及び原告らも右登記を踏襲し、対抗力を重視する第三者との売買契約書にも登記簿上の共有持分割合を表示したものと考えられる。そして、登記簿上の共有持分割合が必ずしも実体に符合していないことは、前記三ツ輪会覚書公正証書において、K、L及びMの三家の共有財産についてのK家の共有持分割合(F及びAの共有持分割合の合計)が三七・七六二パーセントと確認されているにもかかわらず、本件土地家屋の個々の登記簿に記載されたF及びAの共有持分割合の合計が右の割合と一致していないことからもうかがえるのである。また、右譲渡についてAからFに対し何らかの対価が支払われたこと及び書面の作成されたことの形跡はないが、少なくとも右公正証書において譲渡を前提とした共有持分割合が確認され、F及びAの両名が署名捺印した時 右譲渡についてAからFに対し何らかの対価が支払われたこと及び書面の作成されたことの形跡はないが、少なくとも右公正証書において譲渡を前提とした共有持分割合が確認され、F及びAの両名が署名捺印した時点においては、たとえ無償の譲渡であつても、もはや取り消し得ないものとなつたことが明らかというべきである。 以上のとおり、本件相続開始時におけるFの本件土地家屋について共有持分割合は、登記簿上の記載にかかわらず一八・八八一パーセントと認むべく、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。 六本件土地家屋の共有持分の価額についてしたがつて、本件土地についてのFの共有持分の価額は、別表一一記載の各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じ、更に共有持分割合一八・八八一パーセントを乗じた二億一六八二万〇〇五一円となり、これをA及び原告らの前記相続割合で按分した額は、別表一四番号1欄記載のとおりとなる。 また、本件家屋についてのFの共有持分の価額は、別表一二記載の各固定資産税評価額に同表記載の各評価倍率を乗じ、更に共有持分割合一八・八八一パーセントを乗じた一四三万七八一八円となり、これをA及び原告らの前記相続割合で按分した額は、別表一四番号3欄記載のとおりとなる。 七本件立木の共有持分の相続等について弁論の全趣旨により成立の認められる乙第七八号証及び成立に争いのない乙第七九号証並びに弁論の全趣旨によれば、本件土地の一部である別表一三記載の土地には本件立木が存し、これについてもFが本件土地と同一の割合で共有持分を有していたものであつて、右共有持分はA及び原告らの相続財産に属すること、右共有持分の時価は三〇二万三八七九円(共有持分割合を一八・八八一パーセントとして被告主張の時価を修正した額)と評価するのが相当であることが認められる。そして、右時価に相続税法二 財産に属すること、右共有持分の時価は三〇二万三八七九円(共有持分割合を一八・八八一パーセントとして被告主張の時価を修正した額)と評価するのが相当であることが認められる。そして、右時価に相続税法二六条の二所定の一〇〇分の八五の割合を乗じて本件立木の価額を求めると、二五七万〇二九七円となるが、A及び原告らの各自の相続割合は本件土地のそれと同じと認められるから、右価額を右相続割合で按分すると別表一四番号8欄記載のとおりとなる。 八本件更正等の適法性についてそうすると、A及び原告らの本件相続に係る課税価格は別表一四番号15欄記載のとおりとなるから、本件更正等のうち課税価格を同欄記載のとおりとして計算した額を超える部分は違法であり、原告らの本件請求のうち右部分の取消しを求める請求は理由があるのでこれを認容することとし、その余の請求(前記却下部分を除く。)は理由がないのでこれを棄却することとする。 九よつて、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条並びに民事訴訟法八九条、九二条本文及び九三条一項本文の規定を適用のうえ主文のとおり判決する。 (裁判官佐藤繁泉徳治川口宰護)

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