昭和43(ネ)839 全日本検数協会名古屋支部解雇

裁判年月日・裁判所
昭和46年4月10日 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主   文 原判決中控訴人P1に関する部分を取り消す。 名古屋地方裁判所が同庁昭和四一年(ヨ)第一二九号地位保全等仮処分事件につき 昭和四一年三月一一日付でなした仮処分決定のうち、控訴人P1の申請を一

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主文 原判決中控訴人P1に関する部分を取り消す。 名古屋地方裁判所が同庁昭和四一年(ヨ)第一二九号地位保全等仮処分事件につき昭和四一年三月一一日付でなした仮処分決定のうち、控訴人P1の申請を一部認容した部分は、これを認可する。 その余の控訴人らの控訴を棄却する。 訴訟費用は第一、二審を通じ、控訴人P1と被控訴人の間に生じた部分は被控訴人の負担とし、その余の控訴人らと被控訴人の間に生じた部分は同控訴人らの負担とする。 第一、二項および前項に限り、仮に執行することができる。 事実 控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人の本件異議申立を却下する。名古屋地方裁判所が同庁昭和四一年(ヨ)第一二九号地位保全等仮処分事件につき昭和四一年三月三一日付でなした仮処分決定を認可する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求めた。なお原審申請人P2および同P3は当審において本件仮処分申請を取り下げた。 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用および書証の認否は、次に附加するほかは原判決事実摘示(原審のなした更正決定による更正部分を含む)のとおりであるから、ここにこれを引用する。 一、控訴代理人の陳述(一) 三六協定の拘束力について八時間労働制の本旨よりみるときは、労働基準法第三六条に基づき労使間に協定されるいわゆる三六協定は、使用者に対し労働者を八時間以上就労させることを正当化し免責する効果を有するにすぎず、労働者に時間外勤務に服する義務を負わせるものではないと解すべきである。 したがつて全検分会が昭和四〇年一一月一三日時間外労働を拒否したことは何ら就労義務違反ではない。しかも、本件三六協定は次に述べるとおり無効である。 する義務を負わせるものではないと解すべきである。 したがつて全検分会が昭和四〇年一一月一三日時間外労働を拒否したことは何ら就労義務違反ではない。しかも、本件三六協定は次に述べるとおり無効である。 (二) 本件三六協定の効力について昭和四〇年一一月一三日当時施行されていた三六協定(時間外協定)は次の理由により無効であるから、この点においても右同日の時間外労働拒否は争議行為に該当しない。 (1) 右三六協定は昭和四〇年六月六日締結され、同年四月六日に遡つて適用されているものであるが、その締結当事者は被控訴人名古屋支部と全日本港湾労働組合(全港湾)名古屋支部である。しかし右締結当時全港湾名古屋支部組合員は被控訴人名古屋支部の全従業員の過半数を占めていなかつた(全日検名古屋支部組合員も同様に過半数を占めていなかつた)から、右協定は労働基準法第三六条所定の要件を充たさない無効なものである。 (2) 労働基準法施行規則第一六条第一項は「使用者は、法第三六条の協定をする場合には、時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数並びに延長すべき時間又は労働させるべき休日について、協定しなければならない」と定め、昭和二二年九月一三日発基第一七号によれば「本条は通常予想せられる臨時の必要の場合の協定で八時間制又は週休制の例外であるから協定はできる限り具体的な事由に基づいて締結するよう指導すること」とされている。しかるに本件三六協定には「時間外及休日労働が今日港湾の実状であり常態であることに鑑み、検数及その他の業務がその必要を生じた時は労働基準法第三二条及第三五条の規定に拘らず時間外及休日労働に従事する。」との定めがあるのみであつて、右規則第一六条第一項の要求する各事項に関する定めが甚だ不十分であり、特に「延長すべき時間又は労働 働基準法第三二条及第三五条の規定に拘らず時間外及休日労働に従事する。」との定めがあるのみであつて、右規則第一六条第一項の要求する各事項に関する定めが甚だ不十分であり、特に「延長すべき時間又は労働させるべき休日」については全く定めを欠いている。 右規則第一六条第一項は八時間労働制の例外を定める三六協定を有効ならしめる強行規定であると解すべきであるから、右条項所定事項についての定めを欠く本件三六協定は無効である。 (三) いわゆる政治ストの正当性について(1) 昭和四〇年一一月一三日の全検分会の時間外労働拒否はストライキではないこと、前述のとおりであるが、かりにストライキに該当し、かつ被控訴人のいわゆる政治ストであるとしても、政治ストは正当な争議行為である。 (2) 広義の政治ストの正当性広義の政治スト、すなわち経済的要求と密接な関係を有する政治的要求をかかげるストライキ、あるいは経済的要求に付随して政治的要求をかかげるストライキが正当であることは、ひろく肯認されている。 もともと政治と経済は不可分に関連し、政治的要求と経済的要求を分離することはできないのであり、労働組合の政治的活動もまたその本来の組合活動と密接不可分の関係にある。このことは憲法第二八条、労働組合法第二条、第九条により法認されている。したがつて労働組合がその団体行動を通じてかかる広義の政治活動を行なうことは当然法の許容するところであり、労働組合の団体行動のうち最も効果の大きなストライキの場合に限つて、かかる政治活動を否定する根拠は全く存しない。 (3) 狭義の政治ストの正当性狭義の政治スト、すなわち経済的要求と密接な関連を有しない政治的要求をかかげるストライキ、あるいは政治的要求の貫徹を唯一または主要な目的とするストライキは、これを一回的な抗議スト、デモ・ストと持 狭義の政治スト、すなわち経済的要求と密接な関連を有しない政治的要求をかかげるストライキ、あるいは政治的要求の貫徹を唯一または主要な目的とするストライキは、これを一回的な抗議スト、デモ・ストと持続的な闘争スト、貫徹ストに分けて議論されるのが通例である。前記時間外労働拒否は、ストライキに該当するとしても、一一月一三日一回限りのデモ・ストであるから、以下これについて検討する。 労働組合と政治活動との不可分性、総資本と国家権力との一体性、労働組合の圧力団体性などを根拠として、いわゆる政治的抗議(デモ)ストは憲法第二八条の保障する団体行動権の範囲に含まれると説く学説が存する反面、かかるストライキは労使対抗性を欠くとの理由で争議行為としての正当性を否定する学説の存することも否定し難い。しかし、かかる争議行為も市民としての立場に立つ憲法第二一条の保障する表現の自由の行使であると解することができる。このように解しても、使用者に損害を与えるという点で民事法上の責任を問いうるようにみえるが、労働者の要求や意見を強力に表明し、これを世論に訴える目的で短時間の集団的職場放棄を行なう場合には、特に使用者に対する加害の意思がなく、またその手段が不当でなく、実際上被害も大でないならば、これによつて債務不履行ないし不法行為としての責任を負わせるべきではないと解すべきである。しかも、右の損害は通常は賃金カツトにより償われると考えられるから、右のような集団的職場放棄につきそれ以上の責任を追究すべきではない。 (四) 一一月一三日の時間外労働拒否の正当性について(1) 昭和四〇年六月二二日佐藤内閣は日韓基本条約および関係文書に署名した。 米国政府および同国駐日大使館の強力な支援のもとに締結されたこの条約は、同条約第三条、第四条に示されているように、国連協力の名のも 四〇年六月二二日佐藤内閣は日韓基本条約および関係文書に署名した。 米国政府および同国駐日大使館の強力な支援のもとに締結されたこの条約は、同条約第三条、第四条に示されているように、国連協力の名のもとに我が国を米国を中心とする米、日、韓共同軍事体制に組み込み、朝鮮民主主義人民共和国を否認する従来の態度を固定化し、更に経済協力の名のもとに我が国の朝鮮に対する帝国主義的侵略の道を開くものであつた。それはベトナム侵略戦争を国際化し、アジア全域における米国帝国主義の侵略政策の最も重要な部分を形成するものであつた。したがつて労働者階級をはじめ多くの国民は、この条約が我が国の平和と独立をおびやかすものであり、また朝鮮への経済的侵略の過程で企業再編成と合理化、労働条件の低下に拍車をかけ、その生活をおびやかすものとして受け取り、この条約の批准に反対する強力な運動をくり広げた。 しかし、このような国民の声をよそに、同年一一月六日衆議院日韓特別委員会は「委員長」という意味不明の発言だけで質疑打切りから採決までのすべてを可決するという暴挙を敢てし、更に一一月一二日未明の衆議院本会議では、違法な議事日程の変更、国会史上空前の議長発議による上程、違法な委員会報告および討論の省略という違法づくめで、僅か四五秒で日韓案件を強行可決した。それはまさに、議会制民主主義の危機であつた。この間一一月四日以後連日のように国会へのデモや緊急請願が行なわれ、全国的規模で日韓条約粉砕統一行動がとられ、一三日には全国で三〇〇万人が参加する統一行動が行なわれるに至つたのである。 前記時間外労働拒否は、右のとおり日韓条約の案件が衆議院で強行採決された直後に行われたものであり、我が国の平和と独立を危うくし労働条件の切下げを招来する日韓条約に反対し、自民党の強行採決という議会制民主主義の破 働拒否は、右のとおり日韓条約の案件が衆議院で強行採決された直後に行われたものであり、我が国の平和と独立を危うくし労働条件の切下げを招来する日韓条約に反対し、自民党の強行採決という議会制民主主義の破壊に抗議する意思を表明したものであつた。参加した労働者の一人ひとりが、直接自分たちの労働条件につながるものと理解していた。 (2) 愛知県下でも、右の全国的統一行動と歩調を合わせ、先ず一一月一二日、国労ストの拠点となつていた豊橋駅に五〇〇〇人が動員されて、その支援により予定どおりのストライキが行なわれた。そして翌一三日には多くの職場でスト、集会などの抗議運動が行なわれ、同日夜は「安保破棄・平和と民主主義を守る愛知県民会議」主催の県民集会が名古屋市テレビ塔北の広場で行なわれ、五万人の労働者、市民が参集して、日韓条約および衆議院の強行採決に対する抗議と怒りを表明した。この集会には、全検分会だけではなく、殆んどの職場の労働者が皆時間外就労を拒否して参加したのである。 (3) 全検分会は職場集会を何度も開き、日韓条約の本質およびその労働者に与える影響について討議すると共に、分会が直面している具体的な諸要求、すなわち冬期一時金要求および不当処分反対要求についても討議を重ねた。右の各要求は全検分会員にとり最も切実な要求であり、冬期一時金要求に対する団交拒否ならびに相次ぐ不当処分に対する問答無用の態度に顕れた被控訴人の露骨な対全港湾政策に対し、分会の意思を行動によつて示す必要があることが確認された。右の各要求は日韓条約問題と並んで本件時間外就労拒否の重要な目的であり、分会執行委員会でも職場集会の討論でも、むしろ日韓条約反対よりも多くの時間がさかれていた。 (4) 以上によつて明らかなように、前記時間外就労拒否は冬期一時金獲得、不当処分反対、日韓条約反対の三要 、分会執行委員会でも職場集会の討論でも、むしろ日韓条約反対よりも多くの時間がさかれていた。 (4) 以上によつて明らかなように、前記時間外就労拒否は冬期一時金獲得、不当処分反対、日韓条約反対の三要求を、どれ一本が欠けてもならない柱として行なわれたものであり、日韓条約反対の要求もまた労働条件の切下げに対する闘いとして意識されていた。したがつて右就労拒否がかりに争議行為に該るとしても、それはさきに分類した広義の政治ストに該当し、またその態様は単なる労務提供の拒否にすぎず、とがめられるべき何ものもない。 したがつて右就労拒否は正当な争議行為として労働組合法第一条第二項、第七条、第八条の保護を受けるべきこと、論をまたない。 (五) 集団的労働関係に対する就業規則の不適用について(1) 被控訴人は、控訴人らが全港湾東海地方名古屋支部全検分会の執行委員として、昭和四〇年一一月一三日勤務時間中に分会執行委員会を開催し、同日午後五時以降分会員に対し時間外勤務拒否を指導し、更に翌一四日分会員に対し就労拒否を指導し、これにより分会員に就労拒否を行なわせ、もつて被控訴人の業務を妨害したものであるとし、右の事実は就業規則第三九条第五号、第七号に該当すると主張する。 しかし、控訴人らの右各行為はいずれも労働組合の活動としてなされたものであり、分会の行為そのものであるから、これら組合の団体行動を組成する控訴人らの行為を捉え、これに対して就業規則を適用し、実質的な懲戒である解雇をすることは許されない。 (2) 第一に、組合意思に基づいて行なわれる組合活動の主体は当該組合であつて、個々の組合員ではない。もちろん組合活動は組合員の行為を除外しては考えられないが、組合員の行為は組合の団結意思の下に統合され、団体自身の行なう団体活動を組成し、その構成部分となるにすぎない あつて、個々の組合員ではない。もちろん組合活動は組合員の行為を除外しては考えられないが、組合員の行為は組合の団結意思の下に統合され、団体自身の行なう団体活動を組成し、その構成部分となるにすぎない。被控訴人の主張する執行委員会の開催も就労拒否も、全検分会が団体活動として行なつたものであつて、控訴人らが組合から離れて独自に行なつたものではない。 (3) 第二に、組合が主体となつて争議行為をするときは、組合員が団体行動を逸脱して損害を与えた場合を除き、責任を負う者は組合自身であつて、個々の組合員は責任を負わない。 正当でない争議行為がなされた場合であつても、それが、組合意思の実現としてなされる限り、その主体は組合であり、これに因つて生ずる責任も労働組合自体が負うべきである。団体活動を組成する各組合員の個々の行為は団体の行為に包摂され、個人的活動としての評価を受けないのであるから、正当でない争議行為がなされたことを理由として組合員個人に対して責任を追求することはできない。正当でない争議行為によつて損害を受けた使用者は、それが不法行為に該れば争議行為の主体たる組合に対して損害賠償の請求をなしうるにすぎず、組合員の行為が団体的意思を離れて組合活動の枠からはみ出し、団体行動と評価されないときにのみ、当該組合員について責任が発生することがあるにとどまるのである。 (4) したがつて、組合の争議行為が正当なものでないときは組合員が個人的責任を負う、との理論は失当である。争議が正当でないとする消極的価値判断によつて、当該争議行為が団体のものではなく、単なる個人的行為の集積にすぎなくなる、と言う性質のものでないことは、団体行動の性格からして明らかである。民法上も法人の行為が不法行為に該当するときは法人自体が損害賠償責任を負い、法人の構成員は責任を負わない 行為の集積にすぎなくなる、と言う性質のものでないことは、団体行動の性格からして明らかである。民法上も法人の行為が不法行為に該当するときは法人自体が損害賠償責任を負い、法人の構成員は責任を負わない。ただ、法人の目的の範囲外の行為をした機関個人は責任を負担することがあるにすぎない。 しかし、この場合においても不法行為責任としての損害賠償責任を負うに止まるのであつて、懲戒責任などありえない。かような民法の規定からしてみても、正当でない争議行為は個人的行為として有責だとする考えが誤りであることは明らかである。 (5) もつとも、行為の当・不当とは無関係に、争議行為には団体的側面と個人的側面とがあり、個人的側面を取り上げて個人責任を追求することが可能であるとする考え方があり、民法上法人が不法行為をしたときは機関個人にも責任を認める学説がないわけではない。しかし、かかる二面性を認める学説は被害者保護の要請に基づくのであり、その認める責任はあくまでも民法上の不法行為責任であつて、債務不履行責任でも懲戒責任でもない。 (イ) 債務不履行責任にあつては、被害者保護の要請は不法行為責任におけるほど強くなく、したがつて団体責任のほかに個人責任を認めてはいない。そこでは行為の二面性が論ぜられることはないのである。 労働組合は労働協約が締結されている場合のほか使用者と契約関係にあることはないから、債務不履行責任の生ずる余地がない。ただ争議が協約上の平和義務違反等となることはありえようが、それは損害賠償または協約の解約という効果を発生させることがあるにとどまる。しかも、組合員個人は前述のとおりいかなる責任をも負わない。 (ロ) 懲戒は就業規則により定立されるのが一般であり、個別的労働関係にある労働者の、労働契約上の債務の履行を規律する経営秩序規律違反に対する制 、組合員個人は前述のとおりいかなる責任をも負わない。 (ロ) 懲戒は就業規則により定立されるのが一般であり、個別的労働関係にある労働者の、労働契約上の債務の履行を規律する経営秩序規律違反に対する制裁である。それは労働力の消費過程において多数の労働力を秩序あらしめ、これを組織的に統合して生産の実を挙げることに最大の役割がある。したがつて懲戒の根拠たる経営秩序規範に基づく義務は、労働契約上の労働力提供義務に伴うものであるということができる。そうとすれば、右経営規律違反に伴う法律的効果は、労働力の不提供という債務不履行に伴う法的効果以上に出ることができないというべきであるから、懲戒責任を二面性の理論から組合員個人に及ぼすことも法的に不可能である。 争議行為が組合による労働力の掌握、換言すれば「個別的労働関係における労働者の労務提供義務からの解放」である以上、正常な労働関係を前提とする経営秩序規律を争議状態にある労働者に適用し、その違反を追求することがそもそもできないのである。 組合員が個人として責任を負う場合がないわけではない。組合員の行為が組合の決議や指令に違反し、団体活動から著るしく逸脱していて、右の行為が団体行為を組成するものと認められないときには、労働契約、就業規則の要件事実を充足する限りにおいて責任が生ずることがある。 本件控訴人らの行為はすべて組合活動としてなしたものであつて、懲戒は問題にする余地がないと言わねばならない。 (六) 本件解雇は不当労働行為である。 (1) 全港湾に対する資本の組織破壊攻撃は、従来一貫して強力に続けられて来た。全港湾名古屋支部が昭和四〇年の春から夏にかけて行なつた大争議に際しては、水上ピケに対して往来妨害罪が適用され、組合員六名が逮捕されるという刑事弾圧があり、更に右大争議の終了後、資本の全港湾 来た。全港湾名古屋支部が昭和四〇年の春から夏にかけて行なつた大争議に際しては、水上ピケに対して往来妨害罪が適用され、組合員六名が逮捕されるという刑事弾圧があり、更に右大争議の終了後、資本の全港湾組合員に対する強力な脱退強要、差別扱いが、あらゆる職場で連日のように繰り返された。そしてこれらの攻撃の中で多数の不当解雇が発生し、地労委、地裁に係属したものだけでも八件にものぼつている。 (2) 控訴人らの属する全検分会は全港湾名古屋支部の中心的存在であつたため、最も強力な攻撃を受けた。特に昭和三九年秋の「新機構」導入に伴つて、攻撃は一段と強まつた。 (イ) 昭和三九年九月、被控訴人は係長に対し「配置」の任務を命じた。この「配置」は労働者の利害に重大な関係を有し、労働者を生かすも殺すも配置次第とさえ言われる程のものであつたため、当時組合員で係長であつた控訴人P1、同P4らは組合員としてこの任務に応ずることができないとして、これを拒否した。これに対して被控訴人は同控訴人らに対し昭和四〇年一月一二日「反省」という業務命令を出し、調査室に閉じ込めるという報復手段をとつた。以来被控訴人は同控訴人らに対し仕事を与えず(いわゆる乾し上げ)、更に同年一〇月末以降は一応仕事を与えたが、新入従業員にさせるような仕事を与えるという差別を本件解雇時まで続けた。 (ロ) 被控訴人は昭和三九年一〇月頃からいわゆる「新機構」を実施したが、これに伴つて全検分会員の殆んどを海上作業へ配転するという差別扱いをし、更にこれと呼応して分会脱退工作を続けたが、昭和四〇年一二月に至り、右脱退工作は頂点に達し、連日一人の組合員に対し二、三人がかりで「全港湾をやめるか、首になるか」「来年初めには大量の首切りが出る」等と脅し、脱退を強要し、ためにこの過程で多くの組合員が脱退を余儀なくされた 作は頂点に達し、連日一人の組合員に対し二、三人がかりで「全港湾をやめるか、首になるか」「来年初めには大量の首切りが出る」等と脅し、脱退を強要し、ためにこの過程で多くの組合員が脱退を余儀なくされた。 (ハ) また、支部あるいは分会が時間外就労拒否の指令を出すと、被控訴人はそれに牴触する業務命令を出し、組合員に対し「どちらを守るか」という形で攻撃をかけることもしばしばであつた。更に、慣行としてのチエツク・オフを一方的に中止したり、また現在でも分会と被控訴人の間には労働協約(支部細目協定という)が存在していない状況であり、これらの点およびその他のあらゆる点で企業内労組である全日検労働組合名古屋との間に著るしい差別が存在している。 (3) 本件解雇はまさにこのような全港湾に対する激しい組織破壊攻撃のただ中で発生したものであつて、分会の執行部八名を職場から排除することにより分会を徹底的に弱体化させるねらいをもつたものであると言わざるをえない。 (七) 解雇相当事由の不存在または解雇権の乱用すでに主張したとおり、被控訴人の主張する本件解雇事由はいずれも労働組合法第七条第一号所定の正当な行為であつて、本件解雇は不当労働行為として無効であるが、この点を別としても、これらの解雇事由は、本件解雇に至るまでの労使関係の実情、控訴人らが本件各行動に至つた経緯、これにより被控訴人の業務の阻害された程度等を考慮するときは、そのいずれをとつてみても、また全部を総合しても、未だ本件解雇を相当ならしめる事由とはなりえない。更にまた、このような事由により、労働者にとつて刑罰にもまさる極刑ともいうべき解雇を行なうことは、権利の乱用として許されない。 二、被控訴代理人の陳述(一) 本件三六協定の効力に関する控訴人らの主張について(1) 本件三六協定の締結当時全検分会の組合 まさる極刑ともいうべき解雇を行なうことは、権利の乱用として許されない。 二、被控訴代理人の陳述(一) 本件三六協定の効力に関する控訴人らの主張について(1) 本件三六協定の締結当時全検分会の組合員は被控訴人名古屋支部の労働者の過半数を占めていなかつた旨の控訴人ら主張事実は、これを否認する。 そもそも控訴人らは原審において本件三六協定が有効に成立していることを前提とした立論をしていたのであるから、当審に至りこれと矛盾するその無効原因を主張することは許されない。 のみならず、控訴人らの右主張は時機に後れて提出した攻撃または防禦の方法であるから、排斥されるべきである。 (2) 控訴人らは、本件三六協定が労働基準法施行規則第一六条第一項所定の事項に関する定めを欠いていると主張する。しかし、右条項所定の第一の要件たる時間外又は休日労働を必要とする具体的事由については、本件協定書に「時間外及休日労働が今日港湾の実状であり」としているから、被控訴人名古屋支部の業務が右の実状のため時間外および休日の労働を必要とする旨を記載したものと解しうる。 第二の要件たる業務の種類については、「検数及その他の業務」と記載されているから、少なくとも控訴人らが従事していた検数業務については、その記載がなされている。 第三の要件たる労働者の数については、協定の当事者が被控訴人名古屋支部である関係上、協定書に記載がなくてもおのずから明らかな事項であると解しうる。 第四の要件たる延長すべき時間又は労働させるべき休日につき、本件協定書は記載を欠いているが、本件三六協定と同時に同一当事者間において締結され、かつ届出のなされた「昭和四〇年度賃金協定書」において、一箇月の時間外勤務を五〇時間と定め、それに満たない者に対してその不足時間に応ずる時間外保障手当を支給することが協定 当事者間において締結され、かつ届出のなされた「昭和四〇年度賃金協定書」において、一箇月の時間外勤務を五〇時間と定め、それに満たない者に対してその不足時間に応ずる時間外保障手当を支給することが協定されているので、結局、時間外労働の「延長すべき時間」に関する定めは右賃金協定書にその定めがあり、これと本件協定書とを一体として観察するときは、前記条項所定の要件は全部充足されているというべきである。 (3) 控訴人らは、前記規則第一六条第一項が強行規定であり、同条項所定の要件を欠く三六協定は無効であると主張するが、右の主張は理由がない。すなわち、(イ) 労働基準法第三六条は、使用者が、同条本文所定の要件を充たす限り、同法第三二条および第三五条の規定にかかわらず、時間外労働および休日労働をさせても、同法第一一九条による刑罰の制裁を受けないことを定めた免罰規定である。 (ロ) 同法第三六条の定める要件は、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結ぶこと、および協定を行政管庁へ届け出ること、の二点のみであり、規則一六条一項所定の如き協定内容には言及していない。 (ハ) 実定法上刑罰は原則として法律をもつて規定すべく、これを命令に委任することは例外的に認められるにすぎない。しかるに法第三六条は前記のとおり協定すべき具体的事項につき規定を設けず、また規則に委任する旨の規定も設けていない。 (ニ) したがつて規則第一六条第一項に違反しても罰則の適用がないというほかなく、したがつて右規定を強行規定と解する法的根拠はない。 (二) 本件解雇が全検分会の組織破壊をめざす不当労働行為である旨の控訴人らの主張について(1) 控訴人らの主張する昭和四〇年の春から夏にかけての争議は港運業者と全港湾名古屋支部との間のものであつて、検数業者である被控訴人とは無関係であつた 当労働行為である旨の控訴人らの主張について(1) 控訴人らの主張する昭和四〇年の春から夏にかけての争議は港運業者と全港湾名古屋支部との間のものであつて、検数業者である被控訴人とは無関係であつた。また控訴人らは被控訴人が不当解雇をしたと主張するが、被控訴人は昭和四〇年中にP5、P6、P7、P8、P9およびP10の六名を解雇したのは事実である。しかし右六名はいずれも組合の役員ではなく、組合活動家とも認められず、解雇事由も全く個人的事由によるものであつて、組合活動に基因するものではない。しかも右P6およびP9は地位保全仮処分を申請したが、いずれも仮処分申請を取り下げ、P10については解雇後話し合いにより依願退職ということで解決され、他の三名の地位保全仮処分申請については名古屋地方裁判所により昭和四三年一〇月二一日申請却下の判決がなされた。 (2) 控訴人らは被控訴人の「新機構組織」の実施が全検分会に対する組織破壊攻撃である如くに主張するが、右は事実に反する。 被控訴人名古屋支部の業務部門は昭和三九年秋までは五業務課と一作業課により構成され、業務各課は四、五名の課員が貨物別に注文取り、アフターケア等主として対得意先関係の渉外業務を行ない、約二〇〇名の検数作業員はすべて作業課に配属され、同課では業務各課からの連絡に基づき検数作業員を作業場に配置し、検数作業を行なわせていた。その結果業務各課は対得意先関係の折衝および事故処理をするのに精一杯であり、十分な作業計画および作業管理をなしえず、また作業課は多数の検数員を抱えて毎日の作業員の配置だけに追われ、十分な技術管理を行なえなかつたので、得意先の評判は悪化し、事故による補償金額も増大し、被控訴人名古屋支部の事業の継続が危ぶまれるに至つた。昭和三九年秋の「新機構組織」の実施は右の状態を打開するため 分な技術管理を行なえなかつたので、得意先の評判は悪化し、事故による補償金額も増大し、被控訴人名古屋支部の事業の継続が危ぶまれるに至つた。昭和三九年秋の「新機構組織」の実施は右の状態を打開するために行なわれたものである。 (イ) 「新機構組織」は、得意先別の作業課を新設すること、および各作業課に約四〇名宛の検数作業員を専属させることを主たる内容とするが、「新機構組織」による係長の職務の一として「主席の配員」が加えられた。ところが当時係長であつた控訴人P1および同P4は右の点を捉え、労働組合員である係長が同じく労働組合員である主席の作業配置をすることはできないと係長業務を拒否した。そこで被控訴人は右両名を業務命令に違反したかどで係長から一般職へ降格する旨の懲戒処分に付したのである。同控訴人らは右業務命令が組合に対する支配介入であり、したがつて該命令違反を理由とする右懲戒処分は無効であると主張して業務命令等効力停止および地位保全等の各仮処分を申請したが、名古屋地方裁判所は昭和四〇年一〇月一八日右両名の主張を排斥して右各仮処分申請を却下した。 (ロ) 控訴人らは「新機構」の実施に伴い被控訴人が全検分会組合員の殆んどを海上作業へ配転して差別扱いをした旨主張する。右の主張は被控訴人が倉庫配置作業員を二〇%削減して他の職場へ配置換えしたことを指称すると思われるが、このことは組合と協議の上その承認を得て実施したことであるから、右の主張は失当である。 被控訴人が全検分会員に対し脱退工作を行なつたとの控訴人ら主張事実は、これを否認する。 (ハ) 控訴人ら主張の(六)(1)(ハ)の事実中、全検分会がしばしば残業拒否ストを行なつたこと、被控訴人が現在組合費のチエツク・オフを中止していること、および全検分会との間に支部細目協定が成立していないことは認めるが、そ 六)(1)(ハ)の事実中、全検分会がしばしば残業拒否ストを行なつたこと、被控訴人が現在組合費のチエツク・オフを中止していること、および全検分会との間に支部細目協定が成立していないことは認めるが、その余の事実は否認する。 被控訴人が一方的に組合費のチエツク・オフを一時中止したことは事実であるが、昭和四〇年六月六日付確認書に基づきチエツク・オフを復活することが取りきめられた。しかるに全検分会は何故かその実施上必要な組合員名簿を提出しないため、被控訴人としてはチエツク・オフの実行をなしえないのである。 しかも、組合は自分の手で組合費を集めるのが原則であり、使用者が給料のうちから組合のために組合費を差引き徴収することは組合に対する便宜供与であり、これを中止することが組合組織に対する攻撃となるということは理論上ありえない。 次に控訴人らは被控訴人と全検分会との間に支部細目協定すなわち労働協約が存在しないと主張するが、本件解雇当時被控訴人名古屋支部と全検分会との間には昭和四〇年六月六日付確認書に基づき締結された支部細目協定が存在している。 (3) 以上のとおりであるから、控訴人らの主張は事実に立脚しない独断であると言うほかない。 (三) 解雇権濫用の主張について(1) 控訴人らは、本件解雇は(イ)本件解雇に至るまでの労使関係の実情、(ロ)控訴人らが解雇理由に示された行動に至つた経過、(ハ)被控訴人の業務が阻害された程度、のいずれの点からみても権利の濫用であると主張するが、右(イ)については前記主張のとおりである。 (2) 右(ロ)の点に関し、特に控訴人らの一一月一四日の一斉就労拒否は無責任極まる職場放棄である。すなわち、P11係長もP12課長も同日遅刻した控訴人P13を無届欠勤扱いとしたことはなく、同控訴人の配置札を配置未決定のところにかけ替え の一一月一四日の一斉就労拒否は無責任極まる職場放棄である。すなわち、P11係長もP12課長も同日遅刻した控訴人P13を無届欠勤扱いとしたことはなく、同控訴人の配置札を配置未決定のところにかけ替えたにすぎないにもかかわらず、無欠扱いにされたものと速断し、否むしろ殊更に無欠扱いにされたと揚言し、控訴人P3、同P14、同P15、同P4が意を通じてこれに同調して被控訴人に対する不信反感の空気を煽り、遂に一斉就労拒否を指揮するに至つたものである。その結果同日の就労拒否者は九四名に達し、内六二名は控訴人らの指導により現業所から引き揚げて配置にさえつかず、他の三二名はすでに就労中であつたが、控訴人らがボートを傭つて本船へ乗りつけ作業を中止して直ちに引揚げるよう指示し、そのボートで連れ帰つてしまつた。かかる就労拒否がかりにストライキに該るとしても、その実行にはおのずから節度があるべきである。 チームワークによつて行なわれる港湾荷役作業において、作業中共同作業に従事中の被控訴人側検数作業員が、交替要員の到着も待たず突如作業を放棄して離船することは無責任極まる職場放棄であり、これに因り被控訴人の社会的、経済的信用の失墜することは測り知れないものがある。控訴人らの行動は被控訴人がつぶれても構わないという意識からでたものではないかと思料されるのである。 (3) 右(ハ)の点に関しては、(イ) 一一月一三日の時間外就労拒否により四二名が就労しなかつたが、そのうち一八名は主席検数員であつて、他の同業者に派遣を依頼することができないため、被控訴人は管理職者を主席検数員として各本船に派遣した(あらかじめ時間外就労拒否の通告を受けていたので)が、右一八名の大部分の者は派遣された管理職者に事務連絡することなく本船を引揚げたため、作業に著るしい支障を来たした。 また、主席 各本船に派遣した(あらかじめ時間外就労拒否の通告を受けていたので)が、右一八名の大部分の者は派遣された管理職者に事務連絡することなく本船を引揚げたため、作業に著るしい支障を来たした。 また、主席検数員以外の検数員(ハツチ検数員)で就労しなかつた者は二四名いたが、そのうち他の検数業者に依頼することにより事なきをえた(依頼検数またはダブリ検数という)のは五名で、他の一九名の職場のうち、一部は全日検労組員または非組合員たる従業員により穴埋めをしたものの、大部分は六名の検数員を必要とするところを三名の検数員がかけもちして検数作業を行なう等、混乱を免れなかつた。 (ロ) 一一月一四日の就労拒否および職場離脱により就労しなかつた検数員は九四名に達し、内主席検数員は三〇名に及んだ。日曜日の突然の出来事であつたため、休んでいる管理職者も呼び出して本船等に派遣したが、数名の手当は遂につかず、検数を放棄した本船もあつた。 同日就労しなかつたハツチ検数員は六四名で、内一三名はダブリ検数により事なきを得たが、残り五一名の職場は著るしく混乱し、ハツチ検数員がいないため検数を放棄した本船は八隻、検数をせず船積をした本船および荷降しをした本船は各二隻に及び、倉庫関係等一二箇所の荷物は得意先の従業員に依頼して検数の形だけをつけた次第で、被控訴人は同日の業務を著るしく阻害された上、後日得意先から苦情あるいは抗議を持ち込まれた。 (4) 以上のとおり、控訴人らが権利濫用として主張するところはいずれも理由がなく、かえつて、経営者を常に労働者の敵と規定し、それとの闘争によつてのみ労働組合の団結を維持しようとする控訴人らの組合指導の姿勢をあらわにするものである。被控訴人はその形態こそ公益法人であるが、多くの(本件事件当時全国で約三〇〇〇名)従業員を抱え、得意先からの検数依頼 労働組合の団結を維持しようとする控訴人らの組合指導の姿勢をあらわにするものである。被控訴人はその形態こそ公益法人であるが、多くの(本件事件当時全国で約三〇〇〇名)従業員を抱え、得意先からの検数依頼による事業収入を唯一の財源として企業を維持している実態からみて、株式会社の形態をとる他企業となんら異なるところはない。本件解雇は、被控訴人名古屋支部において、内に対しては経営秩序を正すことによる労働能率の維持向上をはかり、外に対しては得意先に対する信用回復のための取引関係の維持向上をはかるため、経営の必要上やむを得ず行なわれたものであつて、解雇権の濫用と目されるべきものではない。 三、証拠 (省略) 理由 一、本件解雇の意思表示の成立等について(一) 被控訴人が名古屋市その他全国数都市に支部を置き貨物の検数、検量および貨物事故の調査、立会等の業務を行なう社団法人であること、昭和四〇年一一月当時において、控訴人らは被控訴人の従業員であり、また全日本港湾労働組合(以下全港湾と略称する)の組合員であつて、かつ全港湾東海地方名古屋支部全検分会(以下単に分会または全検分会と略称する)の執行委員であり、控訴人P4は全港湾名古屋支部の副委員長、同P1は全検分会の分会長、同P16は同副分会長、同P15は分会書記長の任にあつたものであること、被控訴人が控訴人らに対しそれぞれ昭和四一年一月七日付内容証明郵便をもつて、控訴人らにつき被控訴人就業規則第三九条第五号所定の「協会業務の正常な運営を妨げたとき」および同条第七号所定の「前各号の一に準ずる事由があるとき」に該当する事実が存したことを理由として、同日付で解雇する旨の意思表示をしたこと、ならびに被控訴人が右就業規則の条項に該当すると主張するところは、控訴人らが分会執行委員として、(イ)昭和四〇 とき」に該当する事実が存したことを理由として、同日付で解雇する旨の意思表示をしたこと、ならびに被控訴人が右就業規則の条項に該当すると主張するところは、控訴人らが分会執行委員として、(イ)昭和四〇年一一月一三日勤務時間中に被控訴人の許諾なく分会執行委員会を開催し、(ロ)同日午後五時以後分会員に対し時間外就労拒否を指導し、(ハ)同年同月一四日分会員に対し全面的就労拒否を指導して就労を拒否させ、もつて被控訴人の業務を妨害したというにあることは、いずれも当事者間に争いがなく、また弁論の全趣旨によれば右各内容証明郵便はいずれも右発送後間もなく控訴人らに到達したことを認めることができる。 (二) なお、成立に争いのない疏乙第三号証の三、原審における控訴人本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第二六号証ならびに当審における控訴人P1および同P4各本人尋問の結果によれば、全港湾は港湾労働者が個人加盟する、いわゆる産業別単一労働組合であつて、その下部組織として東海地方名古屋支部、更にその下部組織として全検分会が組織されていること、ならびに分会は名古屋、四日市、P14の各港で勤務する被控訴人名古屋支部の従業員中課長以上の職制の地位にある者を除くその余の従業員で組織され、組合員の団結の力により全港湾の宣言綱領を実現し、労働者の政治的、社会的、経済的、文化的地位の向上をはかることを目的とし、経費は組合費およびその他の雑収入をもつてまかなうこと等を定めた規約を設け、更に右規約においては分会に分会長、副分会長および書記長各一名と執行委員若干名を置き、分会長は分会を統轄し代表すること、右役員をもつて執行機関たる執行委員会を構成すること、最高意思決定機関として毎年一回定期大会を開く大会を設け、組合員五名につき一名の割合で選出される代議員および右役員で構成すること、 代表すること、右役員をもつて執行機関たる執行委員会を構成すること、最高意思決定機関として毎年一回定期大会を開く大会を設け、組合員五名につき一名の割合で選出される代議員および右役員で構成すること、役員および代議員は組合員の直接無記名投票によつて選出されること、各会議の議決は多数決によること、分会が同盟罷業を行なおうとするときは組合員の直接無記名投票の二分の一以上の賛成できめること等が定められ、労働組合法上団体交渉権および争議権を有する労働組合としての適格を具え、従前より分会員独自の労働条件等に関し被控訴人と団体交渉を行なつていた事実を認めることができ、原審における控訴人P17本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第二〇号証中右の認定に反し全検分会は全港湾名古屋支部の指令を実施する権限を有するにすぎない旨の記載部分は措信し難い。 二、全検分会執行委員会の開催について(一) 昭和四〇年一一月一三日分会執行委員会が開催されたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない疏甲第三号証の三、四、同第四号証の一、疏乙第一号証の一、二、同第三号証の一ないし三、同第四号証の一ないし五、原審における控訴人P17本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第三号証の五、同第一四、第一五号証、原審証人P18の証言、原審における控訴人P17、当審における控訴人P1各本人尋問の結果を総合すれば、次の諸事実を一応認めることができる。成立に争いのない疏乙第二六号証の一および右証人P18の証言中以下の認定に反する部分は措信し難い。 (1) 昭和四〇年一一月当時施行されていた被控訴人の就業規則および就業規則附属規定により、従業員が休務しようとするときはその理由の如何を問わず原則として前日午後五時迄に所定の様式により届出で、所属長の許可を受けなければならず、右の手続を怠つた場合 就業規則および就業規則附属規定により、従業員が休務しようとするときはその理由の如何を問わず原則として前日午後五時迄に所定の様式により届出で、所属長の許可を受けなければならず、右の手続を怠つた場合はこれを無届として取扱うこと(規則二一条)、就業時間中に組合運動、政治運動、示威運動、集会その他被控訴人の業務に関係のない事由で就業しないときは、これを欠勤、遅刻または早退として取扱うが、労働組合と協定した場合は、不当労働行為となるものを除きその協定によること(同二三条)、無届で欠勤または休務した場合は一日につき月額制基準内賃金(本給、家族手当、役付手当)の二五分の一を減額し、理由を付して届出て欠勤または休務した場合には右賃金の五〇分の一を減額すること(附属規定七条)、ならびに正当の理由なしに屡々遅刻、早退、欠勤をした者は懲戒処分として減給または譴責に処すること(規則六一条二号)と定められている。 (2) ところで全港湾本部は全港湾東海地方本部に対し昭和四〇年一一月八日「一三日の抗議行動は時間外拒否を厳重に行ない、時間外のないところでは一時間の職場内にくい込む抗議集会を行なえ。」との指令を発し、同地方本部は全港湾東海地方名古屋支部に対し同年同月一二日電報で「日韓強行採決の暴挙に対し厳重抗議するとともに、既定方針どおり戦え。」との指示を発し、更に同支部は全検部会(全検分会と、訴外日本貨物検数協会の従業員が組織する日検分会との合同部会)に対し同日「冬季一時金要求貫徹、不当処分反対、日韓条約反対のため、全港湾中央指令にもとづき、左記のとおり指令する。記。一一月一三日全組合員は残業を拒否し、県民会議の統一行動に参加せよ。」との指令を発した。 (3) そこで全検分会の分会長である控訴人P1は同年同月一三日の就業時間中に分会執行委員会を招集し右指令に対する 月一三日全組合員は残業を拒否し、県民会議の統一行動に参加せよ。」との指令を発した。 (3) そこで全検分会の分会長である控訴人P1は同年同月一三日の就業時間中に分会執行委員会を招集し右指令に対する対策を討議・決定する必要を生じたので、全検分会分会長P1名義で被控訴人名古屋支部長(理事)P19宛「控訴人P4、同P14、同P13、原審申請人P2、同P3および申請外P20は同月一三日一日間組合業務のため欠勤する旨の同月一二日付届書を作成し、同日午後三時頃これを被控訴人名古屋支部総務課に持参・提出したところ、後刻同課課長心得P18の命を受けた同課P21係長から電話で「一三日は業務多忙の上運動会等のため出勤扱いにして休暇を与えた者が数名居り、執行委員会を開催することを認めることはできないから、他の日と振替えるように」との趣旨の指示を受けたが、他日を期し得ないことを理由として直ちに右の指示を拒否した。これに対し被控訴人は右六名は一三日欠勤するときは業務拒否扱いとする旨を通告した。 なお、控訴人P1、同P16および同P2は同月一三日は運動会等のための特別有給休暇を与えられており、また控訴人P15は同月九日頃同月一三日を年次有給休暇とすることを届出ていた。 (4) 昭和三三年九月二五日被控訴人と全日本検数労働組合との間に締結された「就業時間中の組合活動に関する取扱」と題する協定により、執行委員会は原則として月三回を超えない範囲で行ない、事前に被控訴人側担当職と協議の上、できる限り作業に支障のない時期および方法をとることとし、前日までに支部長に願い出るものとすること、ならびに右の場合は待機扱いとするが、各支部において一人一個月の回数を協議の上定めうること(執行委員会のほか、拡大執行委員会、評議員会、代議員会、上部団体および関連団体の会議等への出席も待機 ること、ならびに右の場合は待機扱いとするが、各支部において一人一個月の回数を協議の上定めうること(執行委員会のほか、拡大執行委員会、評議員会、代議員会、上部団体および関連団体の会議等への出席も待機扱いとされることによる)等がとりきめられたが、右協定は被控訴人が昭和三五年八月三一日一方的に破棄するところとなり、全検分会を含めて被控訴人と団体交渉権を有する各労働組合は、同年一一月二二日右協定が同年一一月末日限り失効することを確認したため、全検分会と被控訴人との間においては同年一二月一日以降は右の問題に関しては無協約状態となり、前記就業規則の規定のみが適用されることとなつた。しかし、その後前記欠勤届の拒否までの間、分会長による分会役員の組合義務のための欠勤届が拒否された事例はなく、僅かに被控訴人の要請により欠勤日を変更したことおよび欠勤者を一名減じたことが各一例あつたにすぎない。 (二) 右の諸事実によれば、労使間に被控訴人の主張するように就業時間中の組合活動についてできるだけ被控訴人の業務に支障を来たさない時期、方法をもつて行なう旨の慣行が存したことはないというべきである。また分会役員が分会長の招集に応じ上部団体からの指令を討議するため執行委員会を開催するのは正当な組合活動というべきであつて、被控訴人が業務の遂行上右開催期日における組合役員の欠勤を承認できないときはこれを拒否し就業規則に従つて無届欠勤とすれば足るのであつて、かかる一回限りの無届欠勤は就業規則上減給または譴責の理由ともなしえず、まして被控訴人の主張する解雇の理由とはなしえないことが明らかである。 (三) なお、被控訴人は前記執行委員会は日韓条約粉砕のための時間外就労拒否のストライキを決定、実行することを目的として開催された旨主張するが、前記認定のとおり分会執行委員会は単なる上 らかである。 (三) なお、被控訴人は前記執行委員会は日韓条約粉砕のための時間外就労拒否のストライキを決定、実行することを目的として開催された旨主張するが、前記認定のとおり分会執行委員会は単なる上意下達機関にすぎないものではなく、分会大会の意思決定に従い分会員の労働権、生活権を擁護するために設置された執行機関であるから、執行委員会においては先ず上部団体の指令の内容が正当であるか否か、指令に応ずることが分会員の意思に合致すると認められるか否かを検討すべきであつて、指令の内容が違法、不当であり、または分会員の総意に合致しないと認めるときは、これを拒否する義務を負うものと解すべきである。したがつて、上部団体より受けた指令の内容が如何に違法であるとしても、これを討議するために執行委員会を招集し、これに応じて出席し、執行委員会の定足数を充足してこれを開催すること自体はなんら違法なことではないと言わなければならない。 したがつて控訴人らが前記執行委員会を開催したことが解雇事由にあたる旨の被控訴人の主張は理由がない。 三、時間外就労拒否について(一) 控訴人P1を除くその余の控訴人らが昭和四〇年一一月一三日就業時間中に開催された分会執行委員会に出席したことは当事者間に争いがなく、前記疏甲第三号証の三ないし五、同第一四、第一五号証、疏乙第二六号証の一、成立に争いのない疏甲第三号証の一、二、同第二七、第二九号証、疏乙第一号証の三(控訴人らは原審記録中の同号証の写を当審において正当な写と差替えることに異議を申し立てるが、民事訴訟法上控訴審裁判所は一審判決の判断の当否を逐一判断するものではなく、当事者双方の一、二審を通ずる弁論に対しあらためて判断を示すのであるから、右の差替えにより控訴人はなんらの不利益をも受けるものではなく、右の異議は理由がない)、同第 当否を逐一判断するものではなく、当事者双方の一、二審を通ずる弁論に対しあらためて判断を示すのであるから、右の差替えにより控訴人はなんらの不利益をも受けるものではなく、右の異議は理由がない)、同第五、第六号証、同第七号証の一、二、同第八、第一三、第一七、第二七号証、同第二九号証の四、五、同第三三、第四一、第四二号証、弁論の全趣旨により成立を認めうる疏甲第二四号証、原審証人P22、同P18、同P23、当審証人P24の各証言および原審における控訴人P17、当審における控訴人P1各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、次の諸事実を一応認めることができる。 (1) 昭和四〇年六月当時控訴人名古屋支部従業員の一部は全検分会の組合員であり、他の一部は申請外全日検労働組合名古屋の組合員であり、更に他の一部はいずれの組合にも属しておらず、右いずれの組合員数も過半数に達していなかつたが、右二組合の組合員数を合算すると優に過半数を占めていたところ、被控訴人は同年五月二四日右全日検労組名古屋の代表者たる執行委員長P25と、また同年六月六日全検分会組合員の代表者たる全港湾名古屋支部執行委員長P26と、それぞれ同年四月一日付書面による時間外労働・休日労働に関する協定を締結すると同時に、同年五月二四日付書面による賃金協定および昭和四〇年度賃金協定に関する覚書を締結、交換した上、同年六月九日所轄労働基準監督署長に対し労働基準法第三六条に基づく協定(三六協定)の届出をした。 右時間外労働・休日労働に関する協定書には、同条に基づく協定である旨の前文に続き「時間外および休日労働が今日港湾の実状であり常態であることに鑑み、検数およびその他の業務がその必要を生じたときは同法第三二条、第三五条の各規定にかかわらず、時間外および休日労働に従事する。ただし従業員の健康および著し 働が今日港湾の実状であり常態であることに鑑み、検数およびその他の業務がその必要を生じたときは同法第三二条、第三五条の各規定にかかわらず、時間外および休日労働に従事する。ただし従業員の健康および著しく福祉を害するものについては、この限りでない」旨ならびに該協定の有効期間を昭和四一年三月三一日までと定める旨の記載が存し、右賃金協定書には一箇月の時間外勤務時間を五〇時間とし、それに満たない者に対して不足時間に応じ時間外保障手当を支給する旨、および時間外労働に対する報酬額に関する規定が設けられ、また右覚書には各支部において時間外労働協定を締結した後は理由なく時間外勤務を拒否することができない旨、および理由なく時間外勤務を拒否することが屡々に及んだ場合には時間外保障手当の支給を停止することができる旨が記載されている。 (2) 同年一一月一三日午前中に開催された前記執行委員には控訴人P1を除く控訴人ら全員が出席し前記指令につき討議した結果、右指令に従い同日午後五時以後の時間外就労予定者は同時刻以後の残業を拒否すること、ならびに全分会員は同時刻集合の上午後六時名古屋市東別院広場で開かれる愛知県民会議主催の日韓条約批准阻止中央集会および引続き行なわれるデモに参加することを闘争方針として決定し、組合員(前記四日市、P14の各港勤務者を除く)の投票を求めた結果投票者の八九・六%の賛成を得たので、組合掲示板に前記全港湾名古屋支部よりの指令を記載した掲示と並べて日韓条約粉砕のスト権が確立した旨を掲示し、控訴人P15および同P16は同日前記P18課長心得に対し「時間外及び休日労働に関する協定破棄通告書(一三日午後五時以降一四日始業時まで)」を提出したが、同人から理由を付してほしいと要請されたので、更に全港湾名古屋支部執行委員長名義の「冬季一時金要求、不当処分 及び休日労働に関する協定破棄通告書(一三日午後五時以降一四日始業時まで)」を提出したが、同人から理由を付してほしいと要請されたので、更に全港湾名古屋支部執行委員長名義の「冬季一時金要求、不当処分撤回、日韓条約批准反対」の三要求を理由として記載した時間外拒否通告書を提出し、また控訴人P1を除く控訴人らは手分けをして各分会員にスト指令のビラを配布した上、同日午後五時過ぎ、参集した組合員を指揮して名古屋市内のデモに参加した。 (3) その結果同日時間外就労をすべき者五九名中四二名が時間外就労を拒否したので、被控訴人は急拠管理職者を動員し、主席検数員一八名およびハツチ検数員数名分の穴埋めをし、ハツチ検数員五名分については相手方(被控訴人が荷主から検数の依頼を受けたときは船主。船主から検数の依頼を受けたときは荷主。)の依頼する他の検数業者にその検数を依頼し(通称ダブリ検数)、その他のハツチ検数員の不足分は「かけもち」や非組合員の協力を得て急場をしのいだが、作業上混乱を生じ、後日得意先から抗議を受け、信用を失墜した。 (4) 分会執行委員会は右時間外就労拒否(残業スト)の目的として前記のとおり冬季一時金、不当解雇撤回、日韓条約粉砕の三要求の貫徹を掲げたが、当時冬季一時金については全港湾本部へ申し入れをしただけで、未だ被控訴人の回答を得ていなかつたから、闘争に突入する段階に至つていなかつたものであり、不当解雇反対の闘争はすでに繰返されていて、右の時点においてあらためて争議に持ち込む必要性はなく、前記のとおり全港湾本部からの指令は日韓条約粉砕のみを目的とし、分会内部でのスト賛否投票も同一目的についてのみ実施され、時間外就労拒否の主要目的は名古屋市内で開催される日韓条約批准阻止のための統一行動に参加することにあつたと認められ、分会幹部による前記時間外就 分会内部でのスト賛否投票も同一目的についてのみ実施され、時間外就労拒否の主要目的は名古屋市内で開催される日韓条約批准阻止のための統一行動に参加することにあつたと認められ、分会幹部による前記時間外就労拒否通告書の提出も被控訴人の職制に促されて右三要求を記載したにとどまるから、これをもつて被控訴人に三事項につき要求または抗議をしたものと認めることはできず、その他本件全疏明によつても分会が当日被控訴人に対し右三事項につき(冬季一時金、不当解雇反対のみならず、日韓条約粉砕についても)要求または抗議をした事実を認めえない。 したがつて右時間外就労拒否闘争は専ら政府および国会に対し日韓条約批准反対の意思を表明し、これを阻止するための示威に参加することを目的としてなされたものと認めるほかない。 (二) 三六協定の拘束力について控訴人らは労働基準法第三六条に基づき労使間に締結される協定は本来使用者に対し免責的効果を付与するのみであつて、労働者に対し時間外就労を義務づける拘束力を有するものではない旨主張する。しかし、本件においては労使間に前記各協定が締結されたほか前記覚書が交換され、従業員は昭和四〇年度においては右各協定に基づく時間外就労の義務を負うことを承認したのであるから、右の主張は採用の限りでない。 (三) 本件三六協定の効力について前記認定のとおり一事業場たる被控訴人名古屋支部の労働者が二個の労働組合の組合員と未組織労働者とに三分され、各組合の組合員数がいずれも全労働者の過半数を占めるに至つていないが、両組合の組合員数を合算すれば過半数を占める場合において、使用者が各組合の代表者と相次いで同一期間内に適用すべき同一内容の時間外労働に関する協定を締結したときは、労働基準法第三六条所定の協定に関する労働者側当事者に関する要件を充足したものと解す において、使用者が各組合の代表者と相次いで同一期間内に適用すべき同一内容の時間外労働に関する協定を締結したときは、労働基準法第三六条所定の協定に関する労働者側当事者に関する要件を充足したものと解すべきである。 また同条所定の協定は必ずしも一個の協定書により締結される必要はなく、数個の協定書を合一して労働基準法施行規則第一六条所定の要件を充足するときは、右各法条に基づく有効な協定が存すると解するのを相当とするところ、前記認定の時間外労働・休日労働に関する協定および賃金協定中の各協定条項を併せてみるときは、右規則第一六条所定要件中労働者数に関する事項を除きその余の要件を充足していると解することができ、右規則中労働者数に関する事項については、右各協定の趣旨上右各協定が被控訴人名古屋支部の全従業員に効力を及ぼすものとして締結されたことは明らかであり、その数は各協定当事者において了知していたものと認めるべきであるから、右各協定書が労働者数に関する記載のみを欠くことを理由としてそのいわゆる三六協定としての効力を否定すべきものと解すべきではない。 (四) 政治ストの効力について前記認定のとおり、本件時間外就労拒否闘争は名を冬季一時金獲得、不当解雇反対および日韓条約粉砕に藉りながら、実は日韓条約反対の意思を政府、国会に対して表明することのみを目的とした争議行為であると認められる。憲法第二八条および労働組合法の諸条項は、使用者対被用者という関係に立つ者の間において経済上の弱者である労働者の地位を向上させることを目的として労働基本権を保障しており、また現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対使用者との交渉においてのみこれを求めても十分に目的を達成し難いことがあるから、労働組合が右の目的をより十分に達 治・経済・社会機構のもとにおいて労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対使用者との交渉においてのみこれを求めても十分に目的を達成し難いことがあるから、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な政治活動や社会運動を行なうことを妨げられるものではない。しかしながら、右は使用者に対する関係においては労働契約上の義務と相対的に判断することを要し、使用者によつては如何ともなし難い政治的要求を掲げて争議行為、特に就労拒否をすることは、少なくとも使用者に対する関係において右諸規定の保障する争議行為としての正当性の限界をこえるものと言わざるを得ない(最高裁昭和四一年一〇月二六日判決、刑集二〇巻八号九一三頁参照)。この点に関する控訴人らの主張は当裁判所の採用し難いところである。また控訴人らは一時的政治ストは憲法第二一条の保障する表現の自由の行使として正当性を有する旨主張するが、同条は労働者が政治的見解を表明するために使用者に損害を及ぼす手段を用いることまでをも保障した規定であると解する余地はない。 (五) 違法争議に対する組合役員の責任について労働争議が労働組合法の保障を受けえない違法なものであるときは、これに参加した組合員の組合活動としての正当性は否定され、参画した組合員は執行機関を構成する役員であると否とを問わず、違法な行動につき民事上の責任を追及されるべきである。この点は民法上、法人が意思表示をする場合はもちろん、理事が不法行為をする場合とも場合を異にするから、控訴人らの民法を論拠とする法人責任論および機関責任論は妥当でない。 前記認定のとおり、控訴人P1を除くその余の控訴人らは違法な時間外就労拒否を決議し、執行し、指揮したものであつて、積極的に不法行為を共謀し率先して遂行したのであるから、被控 関責任論は妥当でない。 前記認定のとおり、控訴人P1を除くその余の控訴人らは違法な時間外就労拒否を決議し、執行し、指揮したものであつて、積極的に不法行為を共謀し率先して遂行したのであるから、被控訴人に対し個人として就業規則上の責任を負うべく、しかもその情状は他の一般組合員に比して重いと言わなければならない。 四、一一月一四日の就労拒否について(一) 前記疏甲第二〇号証、成立に争いのない疏甲第二七号証、疏乙第九、第一〇、第一三、第一五、第一六号証、同第一八ないし第二五号証、同第二七、第二八号証、同第二九号証の一ないし五、同第四二号証、原審証人P22、同P18、同P11、同P23、同P27、当審証人P24の各証言ならびに原審における控訴人P13、当審における同P4各本人尋問の結果の一部によれば、次の諸事実を一応認めることができる。 (1) 昭和四〇年一一月一一日名古屋港停泊中の甲春丸のラフツマン(いかだ師)勤務を命ぜられていた全検分会組合員P28は、指定出勤時刻である午前七時三〇分を二〇分経過しても業務部現業所に出勤しなかつたので、これ以上待てば八時発の通船に乗り遅れると判断した同人の上司は急拠他の作業員を甲春丸に派遣する措置をとり、七時五五分頃出勤した右P28に対しては他に振り替える職場がないため、同人を無届欠勤扱いとした。 右の処置は港湾労働の特殊性からみても、また本件労使間の就業規則、昭和四〇年度賃金協定ならびに全検分会、全日検名古屋および被控訴人名古屋支部の各幹部(分会からは控訴人P4がほか一名と共に出席した)が昭和三九年七月八日東京において同年度名古屋支部細目協定を締結する際遅刻に対する取扱につき口頭で合意した内容にも適合するものであつた。当時被控訴人大阪支部においてはその地域的特殊性を考慮し、早朝出勤者に対しては一時間以内の いて同年度名古屋支部細目協定を締結する際遅刻に対する取扱につき口頭で合意した内容にも適合するものであつた。当時被控訴人大阪支部においてはその地域的特殊性を考慮し、早朝出勤者に対しては一時間以内の遅刻は欠勤扱いとしない旨の支部細目協定が締結されていたが、被控訴人名古屋支部においては、かかる合意は右昭和三九年七月八日の合意および昭和四〇年七月一日締結された名古屋支部細目協定においては成立せず、遅刻か欠勤かは具体的状況に応じ現業所の管理職者が認定する取扱いが行なわれており、全検分会が右取扱の不当を主張して被控訴人に団体交渉を求めたこともなかつた。 (2) 控訴人P13は、昭和四〇年一一月一四日(日曜日)は諏訪春丸の検数補助作業員として配置されていたが、同日指定出勤時刻である午前七時三〇分を五分経過しても現業所に出勤せず、諏訪春丸に向う通船は七時四〇分に発進することとなつていたため、海上第三課係長P11は作業計画を変更し急拠他の作業員を同控訴人の代替要員として配置につかせた上、同控訴人を他の配置につかせるか欠勤扱いとするかにつき上司の認定を待つため、現業所内の配置板上諏訪春丸の配置要員として掲げられていた同控訴人の名札を配置未決定者の名札を掲げる場所に掛け替えた。 (3) 七時三七分頃出勤し、配置板上自己の名札が掛け替えられているのを認めた控訴人P13は、すでに無届欠勤と認定されたものと早合点し、P11係長に対し「おれはどうなるんだ。今日仕事をさせん気か。」と詰め寄つたので、同係長は配置を変更した理由を説明した上、欠勤扱いになるかどうかはこれから配置状況を調べた上返事をするから待機室で待つよう指示した。しかし同控訴人は「そんな馬鹿な、仕事につけろ。五分位遅れて無欠(無届欠勤)だなんて誰が決めた。今直ぐ説明しろ。」と大声でどなり、同係長からそ 状況を調べた上返事をするから待機室で待つよう指示した。しかし同控訴人は「そんな馬鹿な、仕事につけろ。五分位遅れて無欠(無届欠勤)だなんて誰が決めた。今直ぐ説明しろ。」と大声でどなり、同係長からその態度を注意されると益々激昂し、「馬鹿野郎、早く仕事につけろ。」「畜生、仕事につけなかつたらただでは置かんぞ。」とわめき、更に原審申請人P2を伴いP12配置調整課長の許へ行き、こもごも「俺はたつた六分しか遅刻していないのに仕事につけないとは何事だ。」「P13さんを仕事につけない理由を云え。」等と大声を発した。騒ぎを聞いて控訴人P14、同P15および原審申請人P3も、他の分会組合員らと共に右P12、P11両名および制止に入つたP29指導課長に対し口ぐちに抗議と面罵を反覆し、更に控訴人P15は配置板前において、集つた組合員らに対し「就労する意思のある者を遅刻したからと云つて仕事につけないとは何事だ。協会が説明しないうちは仕事に行けるか。皆そうだろう。」と演説し、他方控訴人P16および前記P2、P3らは待機室で作業準備中の従業員を多数連れ出して「こんなことで仕事に行けるか。仕事に行くな。」等と煽動したため、現業所内は全く混乱状態となり、業務は完全に中断された。 (4) 控訴人P4は同日七時四五分の指定出勤時刻に遅刻し七時五三分頃現業所に出勤し、自己の配置板上の名札が予め配置された高武丸からはずされて配置未決定の場所に掛け替えられているのを確認した上、右の混乱状態を見て直ちに前記の他の役員らに同調したのみならず、「こんなことで仕事ができるか。全員仕事を放棄して引揚げだ。馬鹿らしくて仕事に行けるか。」とあじり、前記各控訴人らと共に居合せた約六〇名の分会組合員に引揚げを指図し、P29課長の制止に対し「何を。 生意気言うな。文句があつたらお前らだけで勝手に仕事 引揚げだ。馬鹿らしくて仕事に行けるか。」とあじり、前記各控訴人らと共に居合せた約六〇名の分会組合員に引揚げを指図し、P29課長の制止に対し「何を。 生意気言うな。文句があつたらお前らだけで勝手に仕事をしろ。」と放言し、ストライキの通告もせず大挙して現業所を引払つて職場を放棄した。更に右控訴人らは同日午前八時三〇分頃から手分けをしてすでに沿岸倉庫等および海上において就労中の分会組合員に対し作業の放棄を指令して各職場から引揚げさせた上、右の経過を分会長である控訴人P1(同控訴人は同日特別休暇のため出勤していなかつた)および全港湾名古屋支部に報告した。 (5) 右の報告を受けた全港湾名古屋支部執行委員長は急拠執行委員を招集して同日午後二時頃執行委員会を開催し、同委員会の決議に基づき、全検分会に対し翌一五日始業時までの就労拒否を指令した。 (6) 右の結果、一四日就労拒否または職場放棄をした分会員は九四名に及び、内主席検数員は三〇名、ハツチ検数員は六四名であつた。被控訴人は分会員が現業所を引揚げるや直ちに管理職者(日曜日のため在宅していた者もいた)を呼び集め主席検数員として各船舶および倉庫に派遣したが、数名の不足を埋めえず、ために検数をしない船舶もあつた。また被控訴人は不足したハツチ検数員の内一三名は前記ダブリ検数の依頼により急場をしのいだが、その余の手当をなしえなかつたため検数作業は著しく混乱し、検数を放棄した船舶は多数に及び、また倉庫等陸上の検数は得意先の従業員に依頼して形式上検数を済ませる等、被控訴人の同日の業務は著しく阻害されたのみならず、被控訴人は依頼主から強硬な抗議を受けて信用を失なつた。 (二) 原審における控訴人P17本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第一七号証、原審における同控訴人おうび同P13、当審における控訴人P4各本人 人は依頼主から強硬な抗議を受けて信用を失なつた。 (二) 原審における控訴人P17本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第一七号証、原審における同控訴人おうび同P13、当審における控訴人P4各本人尋問の結果中上記認定ならびに前記証人P27の「控訴人P4、同P16および同P13等分会執行委員らは一たん現業所から引揚げた後五分位してから現業所に戻つて業務部次長(部長は空席)たる同証人に対し控訴人P13を無欠扱いにした理由を質問したが、未だ報告を受けていない旨の返答を受けると同次長を難詰した上再び現業所を立ち去つた」旨の証言に反する部分は、いずれも前掲各疏明資料と対比して措信し難い。 (三) およそ労働争議行為は労働組合と使用者との間の団体交渉が行詰つたときに、これを打開し自己の主張を有利に展開させるために許される補充的な手段であり、労働組合がなんら要求もせず団体交渉も申し入れず突如争議行為を行なう如きは、たとえ上部団体の指令に基づき、かつあらかじめ組合員によるスト権確立のための投票がなされている場合であつても、信義誠実の原則に反し争議権の濫用であつて、正当な争議行為と認めることはできないと解すべきである。前記就労拒否および職場放棄は前記認定のとおり控訴人P13の遅刻に端を発し、未だ無欠と認定されていないのに無欠の認定をしたとしてその理由を執拗に問責した挙句、居合せた組合役員らが意を通じて突如組合員に対し就労拒否をあおり、これを指揮したものであつて、しかも事前に遅刻と欠勤の関係につき分会が被控訴人と団体交渉をしたことは一度もなかつたのであるから、かかる一斉就労拒否および職場放棄は争議権を濫用した違法な集団行動であつて、これをあおり、指揮した控訴人P1を除くその余の控訴人らは被控訴人に対しその責任を免れることができないと言うべきである。 ( かる一斉就労拒否および職場放棄は争議権を濫用した違法な集団行動であつて、これをあおり、指揮した控訴人P1を除くその余の控訴人らは被控訴人に対しその責任を免れることができないと言うべきである。 (四) 集団的労働行為につき就業規則を適用すべきでない旨の控訴人らの主張が理由のないことは、前記時間外就労拒否につき判断したとおりである。 五、控訴人らの責任等について(一) 控訴人P1について(1) 以上認定したとおり、同控訴人が全検分会の分会長として本件分会執行委員会を招集したことは違法ではなく、また同控訴人は本件時間外就労拒否の決議から実行に至るまでの各段階ならびに本件一斉就労拒否および職場放棄の発端から職場放棄に至る各段階にすべて欠席し、一二日は特別休暇のため自己の時間外就労を拒否したこともなく、他に同控訴人が右各争議行為を企画・指導した事実を認めるに足る疏明はないから、同控訴人に対する本件解雇はその前提事実を欠き、理由がないというべきである。 もつとも前記疏甲第二〇号証によれば同控訴人は全港湾名古屋支部の常任執行委員を兼ねていたことを一応認めうるから、同控訴人が前記一一月一二日の同支部の時間外就労拒否指令および同月一四日のストライキ指令に各参画したことを推認しうるが、右一二日の行為は本件解雇理由とされていないものであり、また一四日の争議行為に参画した分会役員らは海上勤務者に職場を放棄させた(前掲各疏明によれば、当日右分会役員らはボートをチヤーターして各船舶を廻り、就労中の分会員をボートに乗せて引揚げたことが一応認められる)時点においてすでに二四時間ストをきめていたと推認され、支部のスト指令はこれに事後承認を与える形式のものであつたと認められるから、同控訴人が右指令の決議に参画したとしてもそのため特に被控訴人の業務阻害の程度が増大した 四時間ストをきめていたと推認され、支部のスト指令はこれに事後承認を与える形式のものであつたと認められるから、同控訴人が右指令の決議に参画したとしてもそのため特に被控訴人の業務阻害の程度が増大したものとは認め難い。 (2) したがつて同控訴人はなお被控訴人の従業員たる地位を保有するものであるところ、同控訴人の昭和四一年一月当時の平均賃金月額が金五万〇〇七〇円であることは当事者間に争いがなく、右賃金の毎月の支払期が二八日であることは被控訴人の明らかに争わないところであり、被控訴人が同年一月八日以降右賃金を支払つたことについては主張も疏明もない。そして原審における控訴人P17本人尋問の結果により成立を認めうる疏甲第七号証および弁論の全趣旨によれば、本件仮処分決定のなされた昭和四一年三月一一日当時において控訴人P1の右従業員たる地位を保全しかつ同年一月八日以降毎月右支払期に金四万円に限り仮に支払を受ける必要があつたこと、ならびに右の必要性は現在も継続していることを一応認めることができる。 (二) その余の控訴人らについて(1) 前掲疏乙第一号証の一によれば被控訴人の就業規則第三九条本文は「従業員が下記の各号の一に該当する場合は、三〇日前に予告するか又は平均賃金の三〇日分以上を支給して即時解雇する。」と定め、同条第五号は「協会に対し非協力的な言動、画策をなし協会業務の正常な運営を妨げ、又は妨げんとしたとき」と規定していることが一応明らかであるところ、右控訴人らの前記三、四、において認定した諸行為は右条項に該当することが明らかであり、また成立に争いのない疏甲第二号証の一、二、四、六、同疏乙第二号証の一、同号証の三ないし五および同号証の八ならびに弁論の全趣旨によれば、被控訴人は同控訴人らに対する本件各解雇通告書に各平均賃金三〇日分の予告手当額を記 疏甲第二号証の一、二、四、六、同疏乙第二号証の一、同号証の三ないし五および同号証の八ならびに弁論の全趣旨によれば、被控訴人は同控訴人らに対する本件各解雇通告書に各平均賃金三〇日分の予告手当額を記載し、これを直ちに受取られたいと催告したが、右控訴人らがその受領を拒絶したため、昭和四一年一月一四日右各予告手当を弁済供託したことが一応明らかである。 六、本件解雇の不当労働行為性について(一) 控訴人らは本件解雇は被控訴人が全検分会の組織破壊を目的としてなした不当労働行為である旨主張するので、以下本判決事実摘示中控訴代理人主張の(六)に記載した各頭書記号の順序に従つて判断する。 (二) 右(1)の主張について控訴人ら主張の刑事事件が被控訴人に対する争議中に発生したことを認めるに足る疏明はなく、また右事件が本件解雇に影響を与えたことを認めるに足る疏明もない。 成立に争いのない疏甲第三六、第三七号証によれば被控訴人名古屋支部長は昭和四〇年一月中旬頃従業員寮に入寮中の従業員のうち被控訴人に対し積極的に批判的態度を示し寮舎を毀損する等の行動に出た者の父兄に対し、その挙動を報告し共産党を非難し再考を促すよう求めた書簡を郵送したことを一応認めうるが、右書簡によつても被控訴人が分会からの脱退を強要し分会員を差別扱いしたことは認められず、また本件全疏明によつても控訴人らが共産党に属することを認めえない。また当審における控訴人P1、同P4各本人尋問の結果によれば昭和三九年から昭和四〇年にかけて全検分会から一〇〇名以上の者が脱退したことを一応認めうるが、前掲各証拠および成立に争いのない疏乙第三九号証によれば右期間中分会は激しい争議行為を反覆遂行し、ために各組合員は就業規則および賃金協定に基づき相当額に及ぶ賃金カツトを受けたことが一応認められることを勘案する および成立に争いのない疏乙第三九号証によれば右期間中分会は激しい争議行為を反覆遂行し、ために各組合員は就業規則および賃金協定に基づき相当額に及ぶ賃金カツトを受けたことが一応認められることを勘案するときは、疏甲第六号証および右各本人尋問の結果中被控訴人の職制が分会組合員に脱退を強要した旨、および右の脱退が職制の強要に因るものである旨の各記載・供述はにわかに措信し難い。 次に成立に争いのない疏乙第四七号証、同第四八号証の一、二、同第四九ないし第五一号証および当裁判所に顕著な事実を総合すると、被控訴人は昭和四〇年四月から同年九月までの間に合計六名の分会員を解雇したが、内一名は勤務態度不良および店童(給仕)としての雇傭関係の終了を理由とするものであり、他の一名は異常に欠勤の多いことを理由とするものであり、その余の四名は業務妨害、配置命令拒否等を理由とするものであり、右四名は解雇権濫用および不当労働行為を理由として右各解雇の無効を主張し名古屋地方裁判所に仮処分を申請したが、右一名は申請を取下げ、他の三名に対しては申請却下の判決がなされたことが認められ、結局被控訴人が不当解雇を反覆した旨の控訴人らの主張事実は疏明がないことに帰着する。 (三) (2)の本文前段について本件全疏明によつても全検分会が全港湾名古屋支部の中心的存在であつたことを認めえない。前掲疏甲第二〇号証によれば昭和四〇年度において同支部の組合三役中全検分会から選出されていた者は副執行委員長一名のみであつたことが一応明らかである。 (四) (2)の本文後段および(イ)について(1) 前掲各疏明および成立に争いのない疏乙第四四、第四五号証によれば、次の事実が一応認められる。 (イ) 被控訴人名古屋支部は昭和三九年度に至り能率向上を主目的とする業務部門の機構改革を計画し、同年一二月 掲各疏明および成立に争いのない疏乙第四四、第四五号証によれば、次の事実が一応認められる。 (イ) 被控訴人名古屋支部は昭和三九年度に至り能率向上を主目的とする業務部門の機構改革を計画し、同年一二月一六日からこれを全面的に実施し、控訴人P1、同P4ほか一名に対し右新機構に基づく係長の辞令を交付したところ、右三名がその業務を拒否したので、懲戒処分として右三名を降格の処分に付した。 (ロ) 右三名は、右新機構上係長に対し主席検数員以下の作業員の配置を定めることが命ぜられている点を捉え、かかる業務命令は右三名を管理職者とし組合員たる地位を奪うものであるから不当労働行為であつて無効であり、右懲戒処分も不当労働行為であつて無効である旨主張し、名古屋地方裁判所に対し右業務命令および懲戒処分等の効力を停止する仮処分を申請したが、同裁判所は昭和四〇年一〇月一八日右の各主張を排斥して申請却下の判決を言渡し、同判決は控訴不提起により確定した。 (2) 当審における控訴人P1本人尋問の結果によれば、右三名は右業務命令の拒否後一箇月間「反省業務」として図書室勤務を命ぜられ、また右仮処分申請事件の継続中正規の業務を与えられなかつたことが一応認められるが、右懲戒処分が正当であり、かつ訴訟が係属中であつたことを考慮すれば、これらの処遇が不当であるとは認め難い。 (3) 前掲疏乙第四二号証によれば、控訴人P4は昭和四〇年一一月一四日は正規の検数作業員として配置を命じられていたことが一応認められる。 (五) (2)の(ロ)について(1) 当審における控訴人P1本人尋問の結果によつても沿岸作業には管理職者が少なく、海上作業には管理職者が比較的多いことを認めうるにすぎないから、沿岸作業から海上作業へ配置替えすることが差別待遇となるとは認められない。 (2) また右本人尋問の結果 も沿岸作業には管理職者が少なく、海上作業には管理職者が比較的多いことを認めうるにすぎないから、沿岸作業から海上作業へ配置替えすることが差別待遇となるとは認められない。 (2) また右本人尋問の結果によれば昭和四〇年一二月頃沿岸作業中の一部分会員が上司から脱退の勧告を受けたことを一応認めうるが、右勧告が脅迫的なものであつたとは認め難い。 (六) (2)の(ハ)について(1) 海上検数は船舶の荷役と同時に行なわれるものであり、特に船舶が常時出入する名古屋港においては予期外の時間外就労を必要とすることは十分考えられるところであるから、時間外就労拒否争議の決定後に被控訴人が右争議と同一日時に多数の者に時間外就労を命じなければならないことはありうるであろう。その必要がないのに被控訴人がスト破りの目的で業務命令を発したことを認めるに足る疏明はない。 (2) チエツク・オフは本来労働組合が自ら組合員から徴収すべき組合費を使用者が代つて取立てるのであるから、いわば恩恵的措置であり、これを中止することが組合組織を破壊することに通ずるとは考えられない。 (3) 前記認定のとおり、被控訴人と全検分会との間には昭和四〇年度賃金協定に伴い名古屋支部細目協定(疏甲第二八号証)が締結されている。 その他本件全疏明によつても被控訴人が全検分会と全日検労組名古屋とを著しく差別して待遇したことを認めえない。 (七) (3)について前掲各疏明によれば控訴人らはいずれも組合役員歴を有することを一応認めうるが、全検分会に控訴人ら以外に人材がなく、したがつて控訴人らが被控訴人の従業員たる地位を失えば分会が徹底的に弱体化すること、および被控訴人がこれらの事実を知り、かつかかる結果の発生を期待して本件解雇処分をしたことを認めるに足る疏明はない。 (八) 以上判断したところを総合し たる地位を失えば分会が徹底的に弱体化すること、および被控訴人がこれらの事実を知り、かつかかる結果の発生を期待して本件解雇処分をしたことを認めるに足る疏明はない。 (八) 以上判断したところを総合しても、本件解雇が全検分会の組織を破壊する目的でなされたものと認めることはできず、また控訴人P1を除くその余の控訴人らに対する本件各解雇が同控訴人らの正当な組合活動を理由とする不当労働行為に該らないことは、前記三、および四、の各項において認定・判断したところにより、おのずから明らかである。 七、控訴人らのその余の主張について本件解雇に至るまでの実情、本件各行動の経緯、およびこれに因り被控訴人の業務が阻害された程度は、いずれも上記認定のとおりであり、右いずれの点からみても本件解雇(控訴人P1に対するものを除く)は相当であるということができる。特に本件一一月一四日の行動のように未だ無欠扱いと認定されていないのに無欠扱いにされたものときめつけ、係長の説明に耳も藉さず上司らを罵倒して事務所を混乱に陥し入れ、団体交渉もせぬまま組合員を指揮して就労拒否・職場放棄をさせる如きは常識上信じ難いほどのことであり、かかる秩序破壊者を解雇することは企業防衛上まことにやむをえないものというべく、控訴人らの主張するような解雇権の濫用はとうてい認め難いところである。 八、結論してみると控訴人らの本件仮処分申請中控訴人P1の申請は前記認定の限度において理由があり、本件仮処分決定中同控訴人の申請を右の限度で認容した部分はこれを認可すべきであり、原判決中これを取消して同控訴人の申請を却下した部分は失当であるが、本件仮処分申請中その余の控訴人らの申請はいずれも理由がないからこれを却下すべきであり、原判決中右と結論を同じくし本件仮処分決定のうち同控訴人らに関する部分を取り消し を却下した部分は失当であるが、本件仮処分申請中その余の控訴人らの申請はいずれも理由がないからこれを却下すべきであり、原判決中右と結論を同じくし本件仮処分決定のうち同控訴人らに関する部分を取り消して同控訴人らの申請を却下した部分は結局相当である。 よつて、原判決中控訴人P1に対する部分を取り消して本件仮処分決定中同控訴人の申請を一部認容した部分を認可し、その余の控訴人らの控訴はこれを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第八九条、第九二条、第九三条に従い、仮執行の宣言につき同法第一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 なお控訴人らは被控訴人の本件異議申立を却下するとの判決を求める旨申し立てるが、民事訴訟法上仮処分決定に対する異議申立は判決手続により審理した上原決定を取り消しまたは変更すべきことを求める訴訟上の申し立てであつて、訴の性質を有するものではないから、その却下を求める意味はない。したがつて本件控訴の趣旨は結局原判決を取り消し本件仮処分決定の認可を求めることにあるものと解する。よつて本判決主文においては特に控訴人らの右の申し立てに対する判断を示さないこととする。 (裁判官福島逸雄広瀬友信大和勇美)

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