- 1 - 令和5年5月23日判決言渡令和5年(行ウ)第160号認知届受理の義務付け等請求事件主文 1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 原告が、令和3年7月20日付けで提出した■■■■■■(■■■■■■■■■生)の認知届について、被告が何らの処分をしないことが違法であることを確認する。 2 被告は、原告が令和3年7月20日付けでした■■■■■■(■■■■■■■■■生)についての認知届を受理せよ。 第2 事案の概要本件は、アメリカ合衆国在住の日本国籍を有する男性である原告が、原告の精子によって生成された受精卵を第三者である既婚女性の子宮に移植することによりアメリカ合衆国で出生した子について、原告を父とする認知届を在ニューヨーク日本国総領事に提出したにもかかわらず、同認知届の提出から1年9か月以上も被告がこれを受理しないことが違法であるとして、被告に対し、上記不作為が違法であることの確認(行政事件訴訟法3条5項)とともに、同認知届を受理することの義務付け(同条6項2号)を求める事案である。 第3 当裁判所の判断 1 戸籍事件について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる(戸籍法122条)。家庭裁判所は、戸籍事件についての市町村長の処分に対する不服について審判をする(家事事件手続法39条、別表第一の125の項)ものとされ、その手続等が定められている(同法第1編、第2編第1章及び226条以下)。また、戸籍事件に係る市町村長の- 2 - 処分又はその不作為については、審査請求をすることはできない(戸籍法123条)。これらの法律の規定は、戸籍事件についての不服の申立てに関しては、行政事件訴訟の方法によ る市町村長の- 2 - 処分又はその不作為については、審査請求をすることはできない(戸籍法123条)。これらの法律の規定は、戸籍事件についての不服の申立てに関しては、行政事件訴訟の方法による救済よりも、戸籍事件に係る事柄にふさわしい態勢を備えてこれに常時関与している家庭裁判所による救済の方が適切であるとの立法政策上の判断の下に定められたものであり、戸籍法や家事事件手続法の上記規定は、行政事件訴訟法1条にいう「特別の定め」に該当するものと解される。したがって、戸籍事件についての市町村長の処分の適否は、専ら家庭裁判所における家事審判手続において判断されるべきものであって、これを地方裁判所に行政事件訴訟を提起することによって争うことは予定されていないものというべきである。 2 外国に在る日本人は、戸籍法の規定に従って、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に届出をすることができる(40条)ところ、この大使、公使又は領事の処分を不当とする者の不服申立てについては明文の規定がない。しかしながら、戸籍事件に関する市町村長の処分について家庭裁判所に対する不服申立てが定められているのは、前記のとおり、戸籍事件の性質上、家庭裁判所がこれを処理することが適切であるという理由によるものであるから、この趣旨に照らすと、戸籍の届出に関して戸籍事務管掌者である市町村長と同一の権限を有する大使、公使又は領事の処分の当否についても、家庭裁判所に対する不服申立てによって争わせるのが相当というべきである。したがって、戸籍法122条の規定を類推適用し、戸籍事件について、外国に駐在する日本の大使、公使又は領事の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができるものと解すべきである。 3 本件請求の趣旨からすれば、原告は、認知届を受理しないことが違 、外国に駐在する日本の大使、公使又は領事の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができるものと解すべきである。 3 本件請求の趣旨からすれば、原告は、認知届を受理しないことが違法であることの確認を求めるとともに、認知届を受理することの義務付けを求めているものと解される。しかるところ、戸籍法や家事事件手続法の前記趣旨に照らせば、行政庁の不作為についての違法確認も戸籍法122条の戸籍事件について- 3 - の不服申立ての対象に含まれるものと解し得る。もっとも、仮に行政庁の不作為についての違法確認が同条の不服申立ての対象には含まれないと解したとしても、本件では届出から既に1年9か月以上が経過していることからすれば、実質的に不受理処分があったものとみることができる。 そうすると、原告は、いずれにせよ、戸籍法122条により、家庭裁判所に対して不服の申立てをすべきであって、行政事件訴訟法による抗告訴訟を提起することはできないものというほかはない。 なお、本件については、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法16条の規定によって家庭裁判所に移送することもできない(最高裁昭和35年(オ)第294号同38年11月15日第二小法廷判決・民集17巻11号1364頁参照)。 4 結論以上によれば、本件訴えは不適法であり、かつ、その不備はその性質上補正することができないものであるから、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法140条により、口頭弁論を経ないでこれを却下することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官都野道紀 - 4 - 裁判官曽我 判官岡田幸人 裁判官都野道紀 裁判官曽我学
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