令和5年6月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)17784号損害賠償等請求事件(本訴事件)令和3年(ワ)4460号特許権移転登録手続請求反訴事件(反訴事件)口頭弁論終結日令和5年6月19日判決 本訴原告兼反訴被告クリアストリーム株式会社(以下「原告」という。)同訴訟代理人弁護士長瀨佑志坂口宗一郎奥村直樹 同訴訟復代理人弁護士金子智和小林正和同訴訟代理人弁理士山本航介被告株式会社フォズ&CO. (以下「被告会社」という。) 本訴被告兼反訴原告 A(以下「被告A」という。)本訴被告兼反訴原告 B(以下「被告B」という。)被告ら訴訟代理人弁護士山本卓也 大河内將貴大林和人同訴訟代理人弁理士浅野勝美 主文 1 被告会社は、原告に対し、3240万円及びこれに対する平成28年4月27 日から支払済みまで年6分の割 同訴訟代理人弁理士浅野勝美 主文 1 被告会社は、原告に対し、3240万円及びこれに対する平成28年4月27 日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 被告会社は、原告に対し、1609万7297円及びこれに対する令和2年9月15日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 原告と被告会社、被告A及び被告Bの間において、原告が別紙目録記載の発明に係る特許を受ける権利の持分10分の1を有することを確認する。 4 原告は、被告Aに対し、別紙目録記載の特許権につき、特許法74条1項を原 因として、持分20分の9の移転登録手続をせよ。 5 原告は、被告Bに対し、別紙目録記載の特許権につき、特許法74条1項を原因として、持分20分の9の移転登録手続をせよ。 6 原告のその余の本訴請求をいずれも棄却する。 7 被告A及び被告Bのその余の反訴請求をいずれも棄却する。 8 訴訟費用は、本訴反訴ともに、これを10分し、その1を原告の負担とし、その余を被告会社、被告A及び被告Bの負担とする。 9 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴請求(以下、符号に応じ、順に「請求1」ないし「請求3」という。)⑴ 被告らは、原告に対し、連帯して3240万円及びこれに対する平成28年4月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。(請求1)⑵ 被告らは、原告に対し、連帯して1719万0175円及びこれに対する令和2年9月15日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。(請求 2)⑶ 原告と被告らの間において、原告が別紙目録記載の発明に係る 連帯して1719万0175円及びこれに対する令和2年9月15日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。(請求 2)⑶ 原告と被告らの間において、原告が別紙目録記載の発明に係る特許を受ける権利を有することを確認する。(請求3) 2 反訴請求⑴ 原告は、被告Aに対し、別紙目録記載の特許権につき、特許法74条1項を 原因として、原告の持分2分の1の移転登録手続をせよ。 ⑵ 原告は、被告Bに対し、別紙目録記載の特許権につき、特許法74条1項を原因として、原告の持分2分の1の移転登録手続をせよ。 第2 事案の概要1⑴ 原告と被告会社は、カツラの製造・販売について共同事業を行っていたビジネスパートナーであり、そのビジネスモデルは、原告が、被告会社からカツラ 専用植毛量産機(以下「植毛量産機」という。)を購入した上で、植毛量産機を用いて、被告会社から発注を受けたカツラ植毛部品を製造し、これを被告会社に販売するというものであった。 ⑵ 本訴事件本訴事件は、原告が、被告らに対し、次に掲げる各請求をする事案である。 ア植毛量産機の売買代金の返還に係る請求(請求1)原告は、被告会社との間で締結された植毛量産機2台に係る売買契約(以下「本件売買契約」という。)を解除したにもかかわらず、被告会社が、既払代金額である3240万円を返還せず、また、被告会社がその返還を怠っていることにつき、被告A及び被告B(以下「被告Aら」という。)には取 締役としての任務懈怠があると主張して、被告会社に対しては、民法545条1項及び2項に基づき、被告Aらに対しては、会社法429条に基づき、3240万円及びこれに対する売買代金支払日である平成28年4月27日から支払済みまで商 主張して、被告会社に対しては、民法545条1項及び2項に基づき、被告Aらに対しては、会社法429条に基づき、3240万円及びこれに対する売買代金支払日である平成28年4月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。 イ業務委託契約に基づく業務委託料等の請求(請求2)原告は、被告会社との間で締結した業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)に基づき、カツラ植毛部品の加工、出荷等を行ったにもかかわらず、被告会社は業務委託料を支払わず、また、被告会社がその支払を怠っていることにつき、被告Aらには取締役としての任務懈怠があると主張し て、被告会社に対しては、本件業務委託契約に基づき、被告Aらに対しては、 会社法429条に基づき、未払業務委託料ないし損害賠償金1719万0175円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和2年9月15日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。 ウ確認の訴え(請求3) 原告は、被告会社において、原告との間で、原告との取引契約に違反した場合には別紙目録記載の発明に係る特許を受ける権利を原告に移転する旨の条件付特許権譲渡契約(以下「本件譲渡契約」という。)を締結したところ、原告の催告にもかかわらず、植毛量産機を引渡さず、また、業務委託料の支払を怠ったことから上記取引契約に違反したとして、本件譲渡契約に基 づき、上記発明に係る特許を受ける権利(以下「本件特許を受ける権利」という。)が原告に移転したと主張して、原告が本件特許を受ける権利を有することの確認を求めている。 ⑶ 反訴事件反訴事件は、被告Aらが、別紙目録記載の発明の発明者は、被告Aらであ る権利」という。)が原告に移転したと主張して、原告が本件特許を受ける権利を有することの確認を求めている。 ⑶ 反訴事件反訴事件は、被告Aらが、別紙目録記載の発明の発明者は、被告Aらである として、特許法74条1項に基づき、原告に対し、それぞれ、上記発明に係る特許権の持分2分の1の移転登録手続を請求する事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実をいう。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番を含むものとする。) 当事者ア原告は、毛髪製品の製造販売、ウィッグ・カツラ用部品の製造販売等を目的とする株式会社である。(甲1)イ被告会社は、カツラの開発、製造販売及び輸出入等を目的とする株式会社である。(甲2) ウ被告Aは、被告会社の代表取締役の地位にある者である。 エ被告Bは、被告会社の取締役の地位にある者である。 ⑵ 本件売買契約の締結ア原告は、平成28年4月15日、被告会社との間で、原告が被告会社から植毛量産機2台を代金3240万円(消費税込)で買い受けることを内容とする売買契約(本件売買契約)を締結した。(甲3) イ原告は、平成28年4月27日、被告会社に対し、本件売買契約に基づく代金として、3240万円を支払った。(甲4、弁論の全趣旨)⑶ 本件業務委託契約の締結等ア原告は、被告会社との間で、平成28年4月25日、取引基本契約(以下「本件取引基本契約」という。)を締結した(甲5)。 イ原告は、平成29年1月19日、本件取引基本契約に基づき、被告会社との間で、以下の内容の業務委託契約を締結した(甲6)。 業務の内容 「かつら製造にかかる植毛加工・検 (甲5)。 イ原告は、平成29年1月19日、本件取引基本契約に基づき、被告会社との間で、以下の内容の業務委託契約を締結した(甲6)。 業務の内容 「かつら製造にかかる植毛加工・検査・梱包・在庫管理・出荷及びそれらの付帯業務」 目的物カツラ植毛部品 基準単価生産数量60880個/月時に、1個当たり300円(生産規模:植毛機10台)生産数量121760個/月時に、1個当たり247円(生産規模:植毛機20台)弁済期当月末締め・翌月末払い ⑷ 原告・被告会社間の植毛量産機の売買及び発注原告は、平成29年4月から同年8月までの間、別紙「発注・納入一覧表」のとおり、合計15台の植毛量産機を発注し、平成30年5月15日までに、そのうち12の引渡しを受けた。(弁論の全趣旨)⑸ 特許権通常実施権許諾契約の締結等 原告と被告会社は、平成29年12月28日、大要、次の内容の特許権通常実施権許諾契約(以下「本件実施許諾契約」という。)を締結した。(乙7)ア定義(第1条)「本件技術」とは、自動植毛装置及び自動植毛製品に関して被告会社 が有する全ての技術ないしノウハウ(特許として登録されているか否かを問わない。)をいう。(1項)「本件特許」とは、本件技術に関する特許権をいう。(2項) 「本製品」とは、その時点において本件技術によって製造される自動植毛製品をいう。(3項) イ実施許諾(第3条)被告会社は、原告に対し、本件特許を使用し、本製品を製造、販売その他の処分をする譲渡不能の非独占的実施権を許諾する。 ウ対価(第4条)実施許諾の対価は、被告会社 イ実施許諾(第3条)被告会社は、原告に対し、本件特許を使用し、本製品を製造、販売その他の処分をする譲渡不能の非独占的実施権を許諾する。 ウ対価(第4条)実施許諾の対価は、被告会社のカツラ植毛事業に対する原告の貢献度を 考慮し、無償とする。 ⑹ 本件譲渡契約の締結原告は、平成30年5月1日、被告会社との間で、大要、次の内容の条件付特許権譲渡契約(本件譲渡契約)を締結した。(甲9)ア定義(第1条1項)「本件技術」とは、自動植毛装置及び自動植毛製品 に関して被告会社が有する全ての技術ないしノウハウ(特許として登録されているか否かを問わない。)をいう。 イ譲渡(第2条1項)被告会社は、次の各号に定める事由のいずれかが生じた場合には、本件技術に関する権利を無償にて原告に譲渡する。 本件譲渡契約又は原告・被告会社間のその他の取引契約に被告会社が違反し、相当の期間を定めて催告しても違反事実が是正されないとき(1号)支払停止、支払不能等の事由が生じたとき(5号。以下、これらの条項を「本件譲渡条項」という。) ⑺ 覚書の締結等原告と被告会社は、令和元年7月11日、本件実施許諾契約につき、「本件技術」の定義を、「自動植毛装置及び自動植毛製品に関して被告会社及び被告会社の経営者及び従業員が有する技術ないしノウハウ(特許として登録されているか否かを問わない。)」に変更する内容の覚書(以下「本件覚 書」という。)を締結した。(甲10)⑻ 原告による解除の意思表示原告は、平成30年6月19日、被告会社に対し、本件売買契約を解除する旨の意思表示をするとともに、本件売買代金相当額の3240万円を同年7 月20日 (甲10)⑻ 原告による解除の意思表示原告は、平成30年6月19日、被告会社に対し、本件売買契約を解除する旨の意思表示をするとともに、本件売買代金相当額の3240万円を同年7 月20日までに支払うよう請求した。(甲4) ⑼ キャンセルの合意原告と被告会社は、平成30年7月頃までには、植毛量産機3台(別紙「発注・納入一覧表」記載の13号機から15号機までをいい、以下、単に「13~15号機」という。)について、発注をキャンセルすることを合意した(以下、本件キャンセル合意)という。)。(弁論の全趣旨) ⑽ 特許出願の経緯原告は、平成31年2月6日、原告代表者及びC(以下「C」という。)を発明者とし、発明の名称を「植毛装置」とする発明に係る特許出願を行い(特願2019-20186)、令和元年5月31日、特許権者を原告とする特許権の設定登録がされた(特許第6533350。以下、この特許権に係る特許 を「本件特許」という。また、本件特許の特許請求の範囲の各請求項に記載さ れている発明を、順に「本件発明1」などといい、併せて「本件各発明」という。)。(甲11)⑾ 本件各発明の内容ア本件発明1について 請求項1の記載内容は、次のとおりである。 「予め切り揃えられた毛髪糸を収容するストッカーと、植毛ネットの植毛領域を確保するように植毛ネットを展開するエキセンと、当該エキセンに展開された前記植毛ネットに前記毛髪糸を結び付ける第1鉤針と、前記ストッカーから前記毛髪糸を捕捉する第2鉤針と、前記エキセンと前記第1鉤針及び前記第2鉤針を制御する制御装置と、を備えた植毛装置であっ て、前記第1鉤針に前記エキセンに展開された前記植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で る第2鉤針と、前記エキセンと前記第1鉤針及び前記第2鉤針を制御する制御装置と、を備えた植毛装置であっ て、前記第1鉤針に前記エキセンに展開された前記植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、前記第1鉤針及び前記横糸を移動することなく、前記エキセンが前記横糸を中心として前記第1鉤針よりも下方となるように旋回し、前記第2鉤針が前記ストッカーから捕捉して2つ折りされた前記毛髪糸の一方を前記第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の 一方を導入された前記第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して前記毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、前記第1鉤針が前記横糸よりも上方を通り前記第2鉤針により前記ストッカーから捕捉して2つ折りされた前記毛髪糸の他方の側に前進し、前記第2鉤針又は前記第1鉤針が前記毛髪糸の他方を前記第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の他方 を導入された前記第1鉤針が初期位置の側に後退して前記横糸に前記毛髪糸を結び付ける制御を前記制御装置により行うことを特徴とする植毛装置。」 構成要件の分説本件発明1を構成要件に分説すると、次のとおりとなる(以下、分説し た構成要件を、その符号に従い、「構成要件1A」などという。) [1A]予め切り揃えられた毛髪糸を収容するストッカーと、植毛ネットの植毛領域を確保するように植毛ネットを展開するエキセンと、当該エキセンに展開された前記植毛ネットに前記毛髪糸を結び付ける第1鉤針と、前記ストッカーから前記毛髪糸を捕捉する第2鉤針と、前記エキセンと前記第1鉤針及び前記第2鉤針を制御する制御装置と、を備えた植毛装置で あって、[1B]前記第1鉤針に前記エキセンに展開された前記植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、前記第1鉤針及 と前記第1鉤針及び前記第2鉤針を制御する制御装置と、を備えた植毛装置で あって、[1B]前記第1鉤針に前記エキセンに展開された前記植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、前記第1鉤針及び前記横糸を移動することなく、前記エキセンが前記横糸を中心として前記第1鉤針よりも下方となるように旋回し、 [1C]前記第2鉤針が前記ストッカーから捕捉して2つ折りされた前記毛髪糸の一方を前記第1鉤針に導入するように移動し、[1D]この毛髪糸の一方を導入された前記第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して前記毛髪糸の一部を撚り合わせ、[1E]次に、前記第1鉤針が前記横糸よりも上方を通り前記第2鉤針に より前記ストッカーから捕捉して2つ折りされた前記毛髪糸の他方の側に前進し、[1F]前記第2鉤針又は前記第1鉤針が前記毛髪糸の他方を前記第1鉤針に導入するように移動し、[1G]この毛髪糸の他方を導入された前記第1鉤針が初期位置の側に後 退して[1H]前記横糸に前記毛髪糸を結び付ける制御を前記制御装置により行う[1I]ことを特徴とする植毛装置。 イ本件発明5 請求項5の記載内容は、次のとおりである。 「前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むように前後に移動する糸引込バーが設けられたことを特徴とする請求項1記載の植毛装置。」 構成要件の分説本件発明5を構成要件に分説すると、次のとおりとなる。 [5A]前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むように前後に移動する糸引込バーが設けられたことを特徴とする請求項1記載の植毛装置。 ウ本件発明6 5A]前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むように前後に移動する糸引込バーが設けられたことを特徴とする請求項1記載の植毛装置。 ウ本件発明6 請求項6の記載内容は、次のとおりである。 「前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記糸引込バーで引き込まれる毛髪糸を払い落として下方に整髪させる糸落としバーが設けられたことを特徴とする請求項1記載の植毛装置。」 構成要件の分説本件発明6を構成要件に分説すると、次のとおりとなる。 [6A]前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記糸引込バーで引き込まれる毛髪糸を払い落として下方に整髪させる糸落としバーが設けられたことを特徴とする請求項1記載の植毛装置。 第3 争点 1 本訴請求関係 ⑴ 一部弁済の有無(争点1)⑵ 本件キャンセル合意により被告会社に生じた損害の有無及びその額(争点2)⑶ 未払業務委託料等の有無及びその額(争点3)⑷ 本件特許を受ける権利の帰属(争点4)原告は、本件譲渡契約(2条1項)に基づき、本件特許を受ける権利につき、 被告会社又は被告Aらから譲渡を受けたものであると主張している。 ア本件譲渡契約が公序良俗に反し、無効か(争点4-1)イ本件譲渡契約の効力が被告Aらにも及ぶか(争点4-2)ウ本件譲渡条項の適用の有無(争点4-3)⑸ 被告Aらの会社法429条に基づく損害賠償責任の有無(争点5) 2 反訴請求関係 本件各発明の発明者(争点6)第4 争点に対する当事者の主張 1 争点1(一部弁済の有無)(被告会社の主張)被告会社は、 任の有無(争点5) 2 反訴請求関係 本件各発明の発明者(争点6)第4 争点に対する当事者の主張 1 争点1(一部弁済の有無)(被告会社の主張)被告会社は、平成30年9月から令和2年1月までの間、15回にわたり、合 計で95万円を支払っているところ、この支払は、本件業務委託契約に基づく未払業務委託料に対してではなく、本件売買契約に基づく代金3240万円の返還債務に対して充てられたものである。 (原告の主張)被告会社が平成30年9月から令和2年1月までの間に合計95万円を支払 った事実は、これを認めるものの、当該金額は、未払業務委託料に対する利息分に充当されたものであり、機械代金の一部支払に充てられたものではない。 2 争点2(本件キャンセル合意により被告会社に生じた損害の有無及びその額)(被告らの主張)⑴ 原告は、被告会社に対し、これまで、本件売買契約以外に、合計15台の植 毛量産機を発注しており、そのうち12台については原告から納入を受けている。そして、最後の3台(13~15号機)についても、被告会社は、一旦は原告から発注を受けたため、株式会社真田製作所(以下「真田製作所」という。)に対し、それらの製造を外注した。その後、原告は、費用や損害を支払う旨被告会社に説明した上で、一方的に上記発注をキャンセルしたものの、結局、原 告から費用や損害が填補されることはなかった。 そのため、植毛量産機1台当たりの外注費は1208万円であるところ、本件キャンセル合意により、被告会社は、少なくとも、3624万円の損害を被った。そして、被告会社は、上記3624万円の損害賠償請求権を自働債権として、①上記争点1における95万円の一部弁済が認 ろ、本件キャンセル合意により、被告会社は、少なくとも、3624万円の損害を被った。そして、被告会社は、上記3624万円の損害賠償請求権を自働債権として、①上記争点1における95万円の一部弁済が認められた場合には、同一部弁済後の残額である3145万円の代金返還請求権と、②認められなかった 場合には3240万円の代金返還請求権と対当額において相殺する。 したがって、被告会社は、本件売買契約の解除に基づく売買代金支払債務を負うものではない。 ⑵ 原告提出に係る返済計画表(甲16〔2枚目〕。以下「本件返済計画表」という。)は、被告Aにおいて作成したものではない。 (原告の主張)原告は、13号~15号機をキャンセルするに当たって、被告会社に対し、費用や損害を支払う旨述べたことはない。そして、被告会社は、平成30年6月28日、原告に対し、本件取引基本契約に基づく同年3月1日から同年5月30日までの買掛金債務1020万7354円及び植毛量産機の代金3240万円の 返還債務を自認する内容の消費貸借契約書案を自ら作成し、返済計画を提案している(甲34)。 のみならず、被告会社は、原告から、平成30年7月27日付けの通知書により、売買代金3240万円その他の支払を請求されたことを受け、同年8月14日、合計で4954万7665円の支払義務があることを自認する内容の本件返 済計画表(甲16〔2枚目〕)を作成した上で、原告に対し、平成30年9月から同債務を分割返済していくことを提案するとともに、その後、実際に、平成30年9月から令和2年1月までの間、分割返済を行っている。 以上によれば、本件キャンセル合意により、原告が支払義務を負うような損害は、被告会社には生じていないというべきであるし、 際に、平成30年9月から令和2年1月までの間、分割返済を行っている。 以上によれば、本件キャンセル合意により、原告が支払義務を負うような損害は、被告会社には生じていないというべきであるし、仮に生じていたとしても、 被告会社は、当該損害に係る損害賠償請求権を放棄したものというべきである。 そもそも、被告会社が13~15号機を全て完成させたことは確認されていないし、被告会社は、本件訴訟に至るまでの間、発注のキャンセルにより損害を被ったなどとは一度も主張していなかった。 3 争点3(未払業務委託料等の有無及びその額)(原告の主張) ⑴ 被告会社から原告に対する発注内容の詳細は、別紙「発注・請求書対照表」(以下「別紙対照表」という。)「原告の主張」欄記載のとおりであり、本件業務委託契約に基づく未払委託料等の合計額は、1719万0175円となる(甲7)。これは、本件業務委託契約に基づく委託料等の合計額である3980万2937円から、被告会社からの入金の合計額である2261万2762 円を控除した残額である。 ⑵ なお、被告会社は、前記のとおり、平成30年8月14日に作成した本件返済計画表において、同日の時点における未払債務の額が4954万7665円であることを自認している(甲16)。この金額には、本件売買契約の解除によって原告に返還すべき売買代金3240万円も含まれているところ、上記金 額から3240万円を控除した残額は1714万7665円となる。この事実によっても、被告会社としても、同日の時点において、未払業務委託料等の合計額が1714万7665円であったことを認識していたものといえる。 さらに、別紙対照表においても、平成30年7月の時点での「フォズからの未収残」 、同日の時点において、未払業務委託料等の合計額が1714万7665円であったことを認識していたものといえる。 さらに、別紙対照表においても、平成30年7月の時点での「フォズからの未収残」は1714万7665円とされていることからすれば、被告会社も、 当時、別紙対照表記載のとおりの発注があったことを自認していたことになる。 (被告らの主張)⑴ 原告主張に係る未払業務委託料については、486万5990円の限度で業務委託料が発生したことは認めるものの、それ以外は否認する。具体的には、別紙対照表の「被告フォズの主張」欄記載のとおりである。 ⑵ そして、上記486万5990円については、既に支払済みである。すなわ ち、被告会社は、平成29年11月29日から令和2年1月31日までの間、原告に対し、2205万8398円を送金したほか、同年8月30日にも、55万4364円を送金しており、その合計額は2261万2762円となる。 このうち、平成30年9月から令和2年1月までに支払われた合計95万円については、植毛量産機の代金としての支払であるものの、上記2261万2 762円から95万円を控除した残額である2166万2762円を支払っている以上、上記486万5990円については、既に全額支払済みである。 4 争点4-1(本件譲渡契約が公序良俗に反し、無効か)(被告らの主張)本件譲渡契約においては、自動植毛装置及び自動植毛製品に関して被告会社が 有する全ての技術ないしノウハウが譲渡の対象となっているところ、これらの技術やノウハウは、画期的で高い財産的価値を有するものであるから、このような財産の無償譲渡は、内容において、著しく不相当な財産的給付を約させるもので ノウハウが譲渡の対象となっているところ、これらの技術やノウハウは、画期的で高い財産的価値を有するものであるから、このような財産の無償譲渡は、内容において、著しく不相当な財産的給付を約させるものである。 また、本件譲渡契約の締結は、被告会社の窮迫に乗じたものである。すなわち、 原告代表者は、植毛量産機を使用したカツラの製造につき、客先からの発注が思うように伸びず、採算が取れなくなったことを受け、毎日のように被告Aに電話等をし、大声で怒鳴りつけていた。被告会社にとっても、当時、植毛量産機の売却先や、毛髪器具の生産・加工委託先は、原告1社であったことから、原告との取引が終了してしまうとビジネスが完全に行き詰ってしまうため、原告との良好 な関係を維持しなければならない状態にあった。 そのような中で、原告から、取引継続の条件として提示された契約関係書類の一つが本件譲渡契約書であり、原告は、取引関係上有意な立場にあることを利用して、被告会社の窮迫に乗じて契約書を作成したものである。したがって、本件譲渡契約は、公序良俗に反し、無効である。 (原告の主張) 争う。原告及び被告会社は、当初、原告が実質的に費用を捻出して植毛量産機を開発した上で、当該植毛量産機を用いて、原告が被告やUNO社から、カツラ等の製造を受注することにより利益を上げるというビジネスプランを描いていたところ、実際には、平成30年5月に至っても、十分な注文が入らない状況であった。そのため、原告としては、多額の投資資金を回収するために代替案の検 討を余儀なくされることになったが、その際に、知的財産権に関する問題を明確にしておく必要があった。 以上のような経緯により、原告と被告会社との間で締結されたのが本件譲渡契約であ 案の検 討を余儀なくされることになったが、その際に、知的財産権に関する問題を明確にしておく必要があった。 以上のような経緯により、原告と被告会社との間で締結されたのが本件譲渡契約であり、被告らも、同契約の締結の趣旨は十分理解していたものの、特に抵抗を示すことはなかったものであり、原告が被告会社の窮迫に乗じて作成したもの ではない。 むしろ、被告会社は、本件譲渡契約に係る契約締結交渉において、条項の修正を提案しており、原告も同提案を受け入れたという経緯があることからしても、被告会社がその自由意思に基づき本件譲渡契約を締結したことは明確である。 5 争点4-2(本件譲渡契約の効力が被告Aらにも及ぶか) (原告の主張)⑴ 原告と被告会社は、令和元年7月11日に、本件覚書を締結し、「本件技術」という定義につき、「被告会社が有する全ての技術及びノウハウ」を「被告会社の経営者及び従業員が有する全ての技術ないしノウハウ」に改める旨合意している。 そして、本件実施許諾契約書第1条の規定と、本件譲渡契約書第1条の規定は同趣旨であり、原告及び被告会社は、上記合意により、本件譲渡契約書第1条の「本件技術」についても、同様に変更されることを認識していたものである。したがって、本件譲渡契約における「本件技術」には、被告会社の経営者である被告Aらが有する本件特許に係る特許を受ける権利も含まれるもので ある。 ⑵ また、本件覚書の締結主体は、原告と被告会社ではあるものの、被告Aらは、被告会社の取締役であり、本件覚書の内容を認識していたものと解される以上、本件覚書の効力は、当然に被告Aらにも及ぶと解すべきである。 ⑶ 本件譲渡契約(甲9)が締結された平成30年当時、被告会社 被告会社の取締役であり、本件覚書の内容を認識していたものと解される以上、本件覚書の効力は、当然に被告Aらにも及ぶと解すべきである。 ⑶ 本件譲渡契約(甲9)が締結された平成30年当時、被告会社の発行済株式数は200株であったところ、それらは、創業者である被告Aによって保有さ れていたものと考えられるのであり、実質的には、被告Aと被告会社は同視されるべき存在であった、そのような中で、被告Aは、被告会社の代表取締役として本件譲渡契約書に自ら押印した以上、本件譲渡契約書に拘束されないという主張は、禁反言の法理からも許されるものではない。 また、被告会社における取締役は、被告Aら2名であり、両者は、植毛量産 機の開発に関しても常に行動を共にしていた以上、被告Bにおいても、本件譲渡契約書の内容やその趣旨を十分に理解していたはずであるのに、何ら異議を述べてもいない。このことからすれば、被告Bは、何らかの特許を受ける権利を保有していたとしても、当該権利を原告に譲渡することにつき、黙示の承諾を与えていたものである。 (被告Aらの主張)⑴ 本件特許権に係る発明は、被告Aらが共同で行ったものであるところ、被告Aらは、本件譲渡契約(甲9)や本件覚書(甲10)の契約当事者ではない。 そして、被告会社と被告Aらは、別人格である以上、被告会社が締結した本件譲渡契約の効力が被告Aらに及ぶものではない。 ⑵ 被告Bは、本件譲渡契約や本件覚書の作成には一切関与していない。 6 争点4-3(本件譲渡条項の適用の有無)(原告の主張)前記のとおり、被告会社は、原告に対し、本件業務委託契約に基づく業務委託料1719万0175円の支払債務を負っている。そして、原告は、被告会社に 対し、その支払を (原告の主張)前記のとおり、被告会社は、原告に対し、本件業務委託契約に基づく業務委託料1719万0175円の支払債務を負っている。そして、原告は、被告会社に 対し、その支払を怠っているところ、これは、本件譲渡契約第2条1号及び5号 (本件譲渡条項)に該当する。 また、被告会社は、平成30年5月頃までに、原告から催告を複数回受けたにもかかわらず、本件売買契約の目的物である植毛量産機2台につき、原告に対する引渡しを怠った。 したがって、「本件技術」に関する一切の権利は、本件譲渡条項に基づき原告 に移転している以上、原告が別紙目録記載の権利を有していることは明らかである。 (被告らの主張)争う。被告会社には、原告の主張するような違反の事実は認められない以上、本件譲渡条項を適用する余地はない。 7 争点5(被告Aらの会社法429条に基づく損害賠償責任の有無)(原告の主張)前記のとおり、被告会社は、原告に対し、本件売買代金相当額3240万円及び未払業務委託料等1719万0175円の合計4959万0175円の支払を怠っているところ、被告Aらには、被告会社の債権者の損害が拡大することを 防止すべき善管注意義務を負っていたにもかかわらず、これを懈怠したものであるから、取締役として職務を行うに当たり、悪意又は重大な過失があるというべきである(会社法429条)。 したがって、被告Aらは、原告に対し、連帯して4959万0175円及びこれに対する遅延損害金を支払うべき義務を負う。 (被告らの主張)争う。 8 争点6(本件各発明の発明者)(原告の主張)⑴ 以下のとおり、本件各発明については、原告代表者であるD及び従業員 べき義務を負う。 (被告らの主張)争う。 8 争点6(本件各発明の発明者)(原告の主張)⑴ 以下のとおり、本件各発明については、原告代表者であるD及び従業員であ るCにも、発明者として特許を受ける権利が発生しており、これらが原告に対 し譲渡されたものであるから、仮に本件譲渡契約(甲9)にその文言どおりの効力が認められなかったとしても、原告に本件特許権の共有持分が認められることは明らかである。 ⑵ 本件売買契約が締結された平成28年4月15日の時点では、植毛量産機はまだ完成しておらず、原告と被告会社との間で、開発に向けた協議が進められ ている段階であった。 そのような中で、原告側からも、「エキセン」(請求項1)の形状や動き、「第2鉤針が前記ストッカーから補足して2つ折りされた前記毛髪糸の一方を前記第1鉤針に導入するように移動」(請求項1)する構成、更に「植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むように前後に異動する糸引込バー」(請求 項5)や「糸引込バーで引き込まれる毛髪糸を払い落として下方に整髪させる糸落としバー」(請求項6)に係る構成等について積極的な技術提案がされ、これらが取り入れられた結果、量産用自動植毛機が完成するとともに、本件特許に係る発明も完成したものである(甲63)。 このように、本件特許発明の重要な部分である「エキセン」に関する機構、 「ストッカー」の設置や「第2鈎針」の動作(第2鈎針が毛髪糸をストッカーから補足して2つ折りにする。)、更に請求項5及び6に規定される「糸引込バー」や「糸落としバー」に関する機構は、主として原告代表者やCによって創作されたものである。 (被告らの主張) 原告は、毛髪に関する技術 更に請求項5及び6に規定される「糸引込バー」や「糸落としバー」に関する機構は、主として原告代表者やCによって創作されたものである。 (被告らの主張) 原告は、毛髪に関する技術は何も有しておらず、原告と被告会社との間で定期的に開催されていた定例会において、被告らから原告側(原告代表者及びC)に対し、技術的事項について報告していたものを、Cが議事録にまとめていたにすぎない。 第5 当裁判所の判断 1 本件特許に係る明細書等の記載 本件特許に係る明細書等(甲11、12)によれば、次の記載があることが認められる。 ⑴ 発明の詳細な説明ア技術分野「本発明は、植毛ネットに毛髪糸を結び付ける植毛装置に関する。」(段 落【0001】)イ背景技術「特許文献1で開示された植毛装置は、ボビンに巻かれた長尺な毛髪糸を植毛ネットに結び付ける構造になっている。このため、ボビンに長尺な毛髪糸を巻き付ける工程と、植毛ネットに毛髪糸を植毛した後に切断する工程と が必要になる。」(段落【0002】)ウ先行技術文献・特許文献特開2018-40084号公報(段落【0003】)⑵ 発明の概要ア発明が解決しようとする課題 「本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、予め切り揃えられた短尺な毛髪糸を用いて、植毛ネットに毛髪糸を結び付ける植毛装置の提供を目的とする。」(段落【0004】)イ課題を解決するための手段「本発明は、第1鉤針にエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を 引っ掛けた状態で、第1鉤針及び横糸を移動することなく、エキセンが横糸を中心として第1鉤針よりも下方となるように旋回し、第2鉤針がストッカーから エキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を 引っ掛けた状態で、第1鉤針及び横糸を移動することなく、エキセンが横糸を中心として第1鉤針よりも下方となるように旋回し、第2鉤針がストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の一方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の一方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、第1鉤針が横糸よりも上方 を通り第2鉤針によりストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の他 方の側に前進し、第2鉤針又は第1鉤針が毛髪糸の他方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の他方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退して横糸に毛髪糸を結び付ける制御を制御装置により行うことを特徴とする。又、本発明にあっては、第1鉤針にエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、エキセンがネット掛部の中心線を中心 として回転されつつかつ第1鉤針が補足した横糸の動きに沿って移動させられ、第2鉤針がストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の一方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の一方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、第1鉤針が横糸よりも上方を通り第2鉤針によりストッカーから捕捉して2 つ折りされた毛髪糸の他方の側に前進し、第2鉤針又は第1鉤針が毛髪糸の他方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の他方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退して横糸に毛髪糸を結び付ける制御を制御装置により行うことを特徴とする。又、本発明にあっては、前記ストッカーは前記毛髪糸を前記エキセンの中心線の延びる方向に並べられて収容され るように平板状の底部の左右方向の両端部から上方に 制御装置により行うことを特徴とする。又、本発明にあっては、前記ストッカーは前記毛髪糸を前記エキセンの中心線の延びる方向に並べられて収容され るように平板状の底部の左右方向の両端部から上方に突出した左右の側壁を備えて上部が開放された樋状に構成され、底部には前記第2鉤針の出し入れを可能とする糸取孔が設けられたことを特徴とする。又、本発明にあっては、前記ストッカーより下方には、前記第2鉤針と前記ストッカーとに展開された前記毛髪糸を収容する糸ガイドを有する糸位置出しバーが設けられ たことを特徴とする。又、本発明にあっては、前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むように前後に移動する糸引込バーが設けられたことを特徴とする。又、本発明にあっては、前記ストッカーと前記エキセンとの間には、前記糸引込バーで引き込まれる毛髪糸を払い落として下方に整髪させる糸落としバーが設けられたことを 特徴とする。又、本発明にあっては、植毛ネットの植毛領域を確保するよう に植毛ネットを展開するエキセンと、当該エキセンに展開された植毛ネットに予め切り揃えられた毛髪糸を結び付ける第1鉤針と、毛髪糸を収容するストッカーから毛髪糸を捕捉する第2鉤針とを制御する植毛装置の制御方法であって、第1鉤針にエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、第1鉤針及び横糸を移動することなく、エキセンが横糸を中 心として第1鉤針よりも下方となるように旋回し、第2鉤針がストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の一方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の一方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、第1鉤針が横糸よりも上方を通り第2鉤針によりストッ の一方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の一方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、第1鉤針が横糸よりも上方を通り第2鉤針によりストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の他方の 側に前進し、第2鉤針又は第1鉤針が毛髪糸の他方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の他方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退して横糸に毛髪糸を結び付けることを特徴とする。又、本発明にあっては、植毛ネットの植毛領域を確保するように植毛ネットを展開するエキセンと、当該エキセンに展開された植毛ネットに予め切り揃えられた毛髪糸を結び 付ける第1鉤針と、毛髪糸を収容するストッカーから毛髪糸を捕捉する第2鉤針とを制御する植毛装置の制御方法であって、第1鉤針にエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、エキセンがネット掛部の中心線を中心として回転されつつかつ第1鉤針が補足した横糸の動きに沿って移動させられ、第2鉤針がストッカーから捕捉して2つ折りされた毛 髪糸の一方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の一方を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退した後に回転して毛髪糸の一部を撚り合わせ、次に、第1鉤針が横糸よりも上方を通り第2鉤針によりストッカーから捕捉して2つ折りされた毛髪糸の他方の側に前進し、第2鉤針又は第1鉤針が毛髪糸の他方を第1鉤針に導入するように移動し、この毛髪糸の他方 を導入された第1鉤針が初期位置の側に後退して横糸に毛髪糸を結び付け ることを特徴とする。」(段落【0005】)ウ発明の効果「本発明は、第1鉤針がエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、第1鉤針及び横糸を移動することなく、エキセンが横 ることを特徴とする。」(段落【0005】)ウ発明の効果「本発明は、第1鉤針がエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、第1鉤針及び横糸を移動することなく、エキセンが横糸を中心として第1鉤針よりも下方となるように旋回するか、又は、第1鉤針 がエキセンに展開された植毛ネットの一本の横糸を引っ掛けた状態で、エキセンがネット掛部の中心線を中心として回転されつつかつ第1鉤針が補足した横糸の動きに沿って移動させられることにより、第1鉤針がエキセンよりも前方に移動できるようになり、第2鉤針で引き出した予め切り揃えられた毛髪糸を植毛ネットに結び付けることができる効果を奏する。」(段落【0 006】)エ図面の簡単な説明(なお、【図1】ないし【図12】については、別紙「図一覧」に記載している。)「【図1】発明を実施するための形態に係る植毛装置の構造を模式図として示し、A図はB図に示した矢印A方向から見た側面図、B図はA図に示し た矢印B方向から見た正面図。 【図2】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第1動作から第4動作を示し、A図はB図に示した矢印A方向から見た側面図、B図はA図に示した矢印B方向から見た正面図。 【図3】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第5動作を示した図 2のA図に相当する側面図。 【図4】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第6動作及び第7動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図5】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第8動作及び第9動作を示した図2のA図に相当する側面図。B図はA-A断面図。 【図6】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第10動作を示した 図2のA図に相当する側面図。 【図7】発明を実施するため 2のA図に相当する側面図。B図はA-A断面図。 【図6】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第10動作を示した 図2のA図に相当する側面図。 【図7】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第11動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図8】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第12動作及び第13動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図9】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第14動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図10】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第15動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図11】発明を実施するための形態に係る植毛装置の第16動作から第 18動作を示した図2のA図に相当する側面図。 【図12】発明を実施するための形態に係る植毛装置により、植毛糸が3回撚り合わせられて植毛ネットに結び付けられた状態を示し、A図は図2の第2鉤針の側から見た正面図、B図は図2の第1鉤針の側から見た背面図。」(段落【0007】) オ発明を実施するための形態「図1に示した発明を実施するための形態に係る植毛装置は、エキセン10、第1鉤針20、第2鉤針30、ストッカー40、糸位置出しバー50、糸落としバー60、糸引込バー70、反転ローラー80、図6に図示した磁石90、図示のされていない駆動機構、制御装置95を備え、当該制御装置95による 前記駆動機構の制御に伴いエキセン10と第1鉤針20と第2鉤針30と糸落としバー60並びに糸引込バー70のそれぞれが図2から図11までに示した第1動作から第18動作までを行い、毛髪糸100をストッカー40から1本ずつ捕捉して植毛ネット200の横糸202に結び付けて植毛するようになっている。植毛 70のそれぞれが図2から図11までに示した第1動作から第18動作までを行い、毛髪糸100をストッカー40から1本ずつ捕捉して植毛ネット200の横糸202に結び付けて植毛するようになっている。植毛ネット200は、複数本の原糸を撚りあわせて一本の糸に したものを使用して作成された場合と、複数本の原糸を撚りあわせることなく 一本の原糸の糸を使用して作成された場合との両方を含む。」(段落【0008】)「植毛装置が動作を行う際の初期位置の状態について説明すると、図1のA図に示したように、予め切り揃えられた短尺な複数本の毛髪糸100がエキセン10よりも上方に配置されたストッカー40の上にエキセン10の中心線 の延びる方向に交差する方向に長い列状に寝かされて収容され、又、複数本の縦糸201と複数本の横糸202とからなる網目状に形成された植毛ネット200が反転ローラー80及びエキセン10に展開され、又、第1鉤針20がエキセン10よりも左側に停止し、第2鉤針30がエキセン10よりも右側の下方に停止し、糸位置出しバー50がストッカー40の底部41の左右方向の 中央部に設けられた糸取孔42よりも下方で左側に配置され、糸落としバー60及び糸引込バー70が糸位置出しバー50とエキセン10との間で糸位置出しバー50よりも左側に停止している。」(段落【0009】)「尚、短尺な毛髪糸100の長さは、完成するウィッグの毛の長さの約2倍の長さに切り揃えられており、ストッカー40の底部41の左右方向よりも長 くても短くても適用可能であるが、長い場合に毛髪糸100におけるストッカー40の底部41よりも外側に突出する部分がストッカー40の底部41より下方に垂直に垂下がない範囲であれば、第2鉤針30がストッカー40から毛髪糸100を捕 、長い場合に毛髪糸100におけるストッカー40の底部41よりも外側に突出する部分がストッカー40の底部41より下方に垂直に垂下がない範囲であれば、第2鉤針30がストッカー40から毛髪糸100を捕捉して下方に引き出す際に、毛髪糸100におけるストッカー40の底部41よりも外側に突出する部分がストッカー40の底部41の 左右方向の端部で擦れて傷むことを防止することができ、好適である。」(段落【0010】)「ストッカー40は、図1のB図に示したように、平板状の底部41の左右方向の両端部から上方に突出した左右の側壁43を備え、左右の側壁43の上部が開放された樋状になっている。ストッカー40は単数でも適用可能である が、複数個のストッカー40が左右方向に並べられ、異なる色の毛髪糸100、 色が同じであって太さの異なる毛髪糸100、同じ色や同じ太さであっても硬さ(弾力)の異なる毛髪糸100等、種類の異なる毛髪糸100が混合された後にストッカー40ごとに個別に供給され、完成するウィッグにおける毛髪糸100の色や太さ或いは髪質を予め調整できるようになった場合を例示した。」(段落【0011】) 「尚、ストッカー40は位置を移動する必要がないでの図示のされていない装置本体に固定した状態に設けられている。図示のされていない板状の錘がストッカー40に供給された毛髪糸100の上に乗せられて毛髪糸100を押え付け、毛髪糸100が第2鉤針30で引き抜けるようになっている。前記錘は前記装置本体と錘との双方に連結された駆動機構としてのエアシリンダー のピストンロッドの伸縮により毛髪糸100を上から押え付けても良い。エアシリンダーのピストンロッドの伸縮は前記制御装置95で制御されても良い。」(段落【0012】)「そして、第2 ンダー のピストンロッドの伸縮により毛髪糸100を上から押え付けても良い。エアシリンダーのピストンロッドの伸縮は前記制御装置95で制御されても良い。」(段落【0012】)「そして、第2鉤針30が毛髪糸100を何本か引き抜くと、第2鉤針30の先端のフック31が毛髪糸100を引っ掛けなくなるので、上記何本か毛髪 糸100が引き抜かれた時点ごとに前記錘から毛髪糸100に供給される圧を緩め、ストッカー40を叩き、毛髪糸100を整列し直せば良い。圧を緩めて整列するまでの時間間隔は毛髪糸100の種類により変わる。上記ストッカー40を叩く場合、人為的に行うことも考えられるが、前記制御装置95で制御される駆動機構で行うようにしても良い。」(段落【0013】) 「エキセン10は、植毛ネット200の植毛領域を確保する部材であり、左右に延びる中心線を有する円柱状のネット掛部11と、ネット掛部11の外面から内部に窪むようにネット掛部11に設けられた逃げ部12と、ネット掛部11の両端部に設けられた軸部13とを有し、軸部13の左右方向に延びる中心線がネット掛部11の左右方向に延びる中心線から半径方向の外側に偏位 しかつ逃げ部12におけるネット掛部11の外面の側の開口の周方向の中心 部に位置する。」(段落【0014】)「そして、軸部13が図示のされていない装置本体に設けられた図示のされていない軸受部に回転可能に支持され、逃げ部12の開口が図1のA図に示したように左側に向けられた状態になるように、エキセン10が停止している。 又、軸部13の左右方向に延びる中心線が逃げ部12の開口の周方向の中心に 位置する一本の横糸202-1に重なっている。」(段落【0015】)「逃げ部12におけるネット掛部11の周方向に対応する開 軸部13の左右方向に延びる中心線が逃げ部12の開口の周方向の中心に 位置する一本の横糸202-1に重なっている。」(段落【0015】)「逃げ部12におけるネット掛部11の周方向に対応する開口幅は、植毛ネット200がネット掛部11の外面に巻き掛けられ、一本の横糸202-1が逃げ部12の開口幅の周方向の中心に位置した場合において、上記中心に位置する一本の横糸202-1の周方向に隣接する2本の横糸202-2及び2 02-3のうちの一本の横糸202-2が逃げ部12の開口の一側縁周りに位置し、上記2本の横糸202-2及び202-3のうちの別の一本の横糸202-3が逃げ部12の開口の他側縁周りに位置するように、植毛ネット200の網目を構成する横糸202による間隔に基づき決定されている。尚、逃げ部12におけるネット掛部11の周方向に対応する開口幅は、横糸202-2 と横糸202-3との幅以上であってもよい。」(段落【0016】)「第1鉤針20は、植毛ネット200に毛髪糸100を植毛する部材であり、先端のフック21と、フック21の針口を開閉するラッチ22とを備える。ラッチ22の一端部が第1鉤針20に図示のされていない軸で回転可能に連結され、ラッチ22の他端部の側が上記軸を中心として回転することで上記針口 を開閉するようになっている。初期状態では、図1のA図に示したように、第1鉤針20がエキセン10から左側に離れて逃げ部12の開口と対向する位置に停止し、ラッチ22が上記針口を閉じている。」(段落【0017】)「第1鉤針20は前記制御装置95で制御される駆動機構で動作して毛髪糸100を植毛するようになっている。又、第1鉤針20は、図1のB図に示し た複数本の第2鉤針30と同じに、左右に並んだ複数本になっている。複 前記制御装置95で制御される駆動機構で動作して毛髪糸100を植毛するようになっている。又、第1鉤針20は、図1のB図に示し た複数本の第2鉤針30と同じに、左右に並んだ複数本になっている。複数本 の第1鉤針20の一群は、前記制御装置で制御される駆動機構で一緒に動作して毛髪糸100を植毛ネット200に植毛するようになっている。第1鉤針20と第2鉤針30とが1対1に対応付けられている。第1鉤針20及び第2鉤針30は複数本に限定されるものではなく単数本でも良い。」(段落【0018】) 「第2鉤針30は、ストッカー40から毛髪糸100を捕捉する部材であり、先端に1本の毛髪糸100を捕捉可能なフック31が設けられる。初期状態では、図1のA図に示したように、第2鉤針30がエキセン10から右側に離れてエキセン10と反転ローラー80との間の位置に停止し、フック31の針口32が図1のA図における紙面の表側に向いている。又、第2鉤針30は、図 1のB図に示したように、左右に並んだ複数本になっている。複数本の第2鉤針30の一群は、前記制御装置95で制御される駆動機構で一緒に動作して毛髪糸100を捕捉するようになっている。尚、フック31が1本の毛髪糸100を捕捉する場合を例示するが、フック31が2本又は3本以上の複数本の毛髪糸100を捕捉するようにしてもよい。」(段落【0019】) 「糸位置出しバー50は、第2鉤針30でストッカー40から引き出される毛髪糸100を所定位置に誘導する部材であり、図1のB図に示したように、左右に延びる中心線を有する円柱状の外周面から中心線の側に窪む複数の糸ガイド51が円柱状の外周面を一周するように設けられている。又、糸位置出しバー50の左右方向の両端部が前記装置本体に固定して設けられて に延びる中心線を有する円柱状の外周面から中心線の側に窪む複数の糸ガイド51が円柱状の外周面を一周するように設けられている。又、糸位置出しバー50の左右方向の両端部が前記装置本体に固定して設けられても良い が回転可能に設けられることにより、糸位置出しバー50が第2鉤針30でストッカー40から引き出される毛髪糸100で回転され、毛髪糸100における第2鉤針30で引き出される部分が糸ガイド51で擦れて傷むことを防止することができ、好適である。糸ガイド51の個数は、第2鉤針30の個数と同数になっている。」(段落【0020】) 「糸落としバー60は、植毛ネット200に植毛された毛髪糸100が糸引 込バー70で引き込まれる工程において前記制御装置95で制御される駆動機構で上下に振動し、糸引込バー70で引き込まれる毛髪糸100の端部を払い落として下方に毛髪糸100を整髪させるようになっている。」(段落【0021】)「糸引込バー70は、前記制御装置95で制御される駆動機構で前後に移動 し、植毛ネット200に植毛された毛髪糸100を引き込むようになっている。 磁石90は、第1鉤針20で毛髪糸100を植毛ネット200に植毛する前工程として、第1鉤針20が第2鉤針30とストッカー40とで2つ折りになった毛髪糸100の間に入って後退するときに第1鉤針20のラッチ22が毛髪糸100に触れて閉じられることから、この閉じられたラッチ22を磁力で 吸引して開くように、前記装置本体に取り付けられており、永久磁石又は電磁石のどちらでも適用可能であるが、電磁石であれば、電磁石を前記制御装置95で制御し閉じられたラッチ22を開くときだけ磁力を発生することができる。反転ローラー80は、前記装置本体に取り付けられている。」(段落【0 能であるが、電磁石であれば、電磁石を前記制御装置95で制御し閉じられたラッチ22を開くときだけ磁力を発生することができる。反転ローラー80は、前記装置本体に取り付けられている。」(段落【0022】) 「図2乃至11を用いて植毛装置の動作を説明する。図2に示したよう、第1動作としての糸引込バー前進動作により、糸引込バー70の前部が前進しB図におけるストッカー40の糸取孔42及び第2鉤針30を右側に超えた位置に停止する。次に、第2動作としての第2鉤針上昇動作により、第2鉤針30が上昇し、フック31が糸取孔42を経由してストッカー40の内部におけ る複数本の毛髪糸100の列の中に入った後に下降して初期位置に停止する。 この第2鉤針上昇動作でフック31が1本の毛髪糸100の左右方向の中央部を引っ掛けながら下降して停止することで、上記1本の毛髪糸100がストッカー40と第2鉤針30との間で2つ折りされた状態となる。図2のB図に示したように、複数本の第2鉤針30で2つ折りされた毛髪糸100が1本ず つ糸位置出しバー50の複数の糸ガイド51のそれぞれに収容されるので、第 2鉤針30とストッカー40とに展開された各毛髪糸100の位置が所定位置に確保され、第1鉤針20が各毛髪糸100を適切に捕捉することができる。」(段落【0023】)「又、第3動作としての第1鉤針前進動作により、第1鉤針20のフック21が横糸202-1の下を通るのに伴い、ラッチ22が横糸202-1に干渉 して開き、フック21の針口が横糸202-1を左側から右側に超えて逃げ部12に収容されて仮想線で示す位置に到達する。その後、第4動作としての第1鉤針後退動作により、第1鉤針20が仮想線で示した位置から実線で示した位置に後退し、フック21が横糸20 ら右側に超えて逃げ部12に収容されて仮想線で示す位置に到達する。その後、第4動作としての第1鉤針後退動作により、第1鉤針20が仮想線で示した位置から実線で示した位置に後退し、フック21が横糸202-1を引っ掛ける。」(段落【0024】) 「 図3に示したように、第5動作としてエキセン1/4回転動作により、エキセン10の軸部13が図示のされていない駆動機構で一方向に回転されるのに伴い、ネット掛部11が軸部13の中心線を中心として仮想線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回し、逃げ部12の開口が上方に向けられた状態となり、前記軸部13の一方向への回転が停止する。これにより、第 1鉤針20と横糸202-1を移動することなく、エキセン10が第1鉤針20及び横糸202-1の下側に移動する。前記「第1鉤針20と横糸202-1を移動することなく、」とは、エキセン10が下側に移動する際に、植毛ネット200の弾力により、第1鉤針20の先端部分が震えるように動く場合も含む。このエキセン10の仮想線で示した位置から実線で示した位置への移動 により、第1鉤針20がエキセン10の上方を通りストッカー40と第2鉤針30との間で2つ折りになった毛髪糸100の間の側に移動することが可能になる。エキセン10を仮想線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回させて第1鉤針20よりも下に位置するように移動させることで、横糸202-1が過負荷を受けず切れることも無く、第1鉤針20が過負荷を受けず に破損することも無い。」(段落【0025】) 「尚、エキセン10を仮想線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回させることなく、第1鉤針20が横糸202-1を引っ掛けたまま、エキセン10が制御装置95の制御により図示しな 「尚、エキセン10を仮想線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回させることなく、第1鉤針20が横糸202-1を引っ掛けたまま、エキセン10が制御装置95の制御により図示しない駆動機構でネット掛部11の中心線を中心として回転されつつかつ第1鉤針20が補足した横糸202-1の動きに沿って移動させられることでも適用可能である。その際、第1鉤 針20は、移動前の平行状態を保ったまま移動させられる。このようにエキセン10と第1鉤針20の動きにより、横糸202-1が第1鉤針20に引っ掛けられた状態でエキセン10の最も上側に位置する状態となる。」(段落【0026】)「図4に示したように、第6動作としての第1鉤針前進動作により、第1鉤 針20が前進するのに伴い横糸202-1がフック21から抜けて開いたラッチ22で持ち上げられ第1鉤針20のラッチ22よりも後部の上に落下し、フック21がストッカー40と第2鉤針30との間で2つ折りになった毛髪糸100の側に近づく。そして、第7動作としての第1鉤針横向き動作により、フック21の針口が上を向いた状態から横向きになるように第1鉤針20が 回転する。この第1鉤針20の回転に伴い、フック21の針口が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する側につまり図4の紙面の裏側に向けられた状態になる。」(段落【0027】)「図5に示したように、第8動作としての第1鉤針前進動作により、第1鉤針20がフック21の針口を横向きのまま更に前進するのに伴い、フック21 が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分と第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分との間に入り、フック21の針口が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分 糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分と第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分との間に入り、フック21の針口が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分に向き合うまで第1鉤針20が前進して止まる。その後、第9動作としての第2鉤針横移動動作により、第2鉤針30が図5の紙面の裏側から表面の側に横移動 するのに伴い、B図に示したように、毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔 42の左側に接触する部分が第1鉤針20の針口に導入される。これにより、第1鉤針20が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分を捕捉する。フック21の針口がB図の上側に向けられた状態であり、フック31の針口32がB図の下側に向いている状態であることから、毛髪糸100の導入の際に第2鉤針30から毛髪糸100が外れることがない。」(段 落【0028】)「図6に示したように、第10動作としての第1鉤針後退動作により、フック21の針口が横を向いた状態から上向きになるように第1鉤針20が回転し、横糸202-1にラッチ22が接触して針口が閉じられる。第1鉤針20が初期位置の側に後退し実線で示したように植毛ネット200から離れるに 伴い毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の左側に接触する部分をストッカー40から引き出す。この毛髪糸100の引き出された部分は、糸取孔42の左側から糸位置出しバー50を経由し横糸202-1と横糸202-2との間を通りフック21で折り返され、そして、フック21から横糸202-1と横糸202-2との間を通り、更に、横糸202-1と横糸202-3 との間を通り第2鉤針30に至るように展開される。第1鉤針20が実線で示した位置から仮想線で示した位置へと後退するのに -1と横糸202-2との間を通り、更に、横糸202-1と横糸202-3 との間を通り第2鉤針30に至るように展開される。第1鉤針20が実線で示した位置から仮想線で示した位置へと後退するのに伴い、ラッチ22が磁石90の磁力で吸引され第1鉤針20の針口を開く。」(段落【0029】)「図7に示したように、第11動作としての第1鉤針上昇動作により、第1鉤針20が図6の仮想線で示した位置から前進しかつ上昇するのに伴い毛髪 糸100のフック21と横糸202-1との間の部分が横糸202-1を中心としたV字形を呈する。尚、第1鉤針上昇動作は無くてもよいが、第1鉤針上昇動作を行うことにより、後述する第12動作の際に、フック21が毛髪糸100の糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を確実に通るようになる。その後、第1鉤針20が毛髪糸100を横糸202-1に結ぶため に回転する。第1鉤針20の回転数は、1回転、2回転又は3回転以上でも良 い。第1鉤針20が回転することにより、毛髪糸100のフック21と横糸202-1との間の2本の部分が互いに絡むように撚り合わせられてループ部45が設けられ、フック21の針口が上を向いた状態で停止する。」(段落【0030】)「図8に示したように、第12動作としての第1鉤針前進及び横向き動作に より、第1鉤針20が上向きのまま紙面の表側に移動した後に前進し、フック21が毛髪糸100の糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を通り、フック21の針口が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の右側に接触する部分まで第1鉤針20が前進して止まる。この際、ループ部45は、第1鉤針20のラッチ22よりも後部の上に落下した状態となる。その後、フ ック21の針口が上を向いた状態から 42の右側に接触する部分まで第1鉤針20が前進して止まる。この際、ループ部45は、第1鉤針20のラッチ22よりも後部の上に落下した状態となる。その後、フ ック21の針口が上を向いた状態から横向きになるように第1鉤針20が回転する。この第1鉤針20の回転に伴い、フック21の針口が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の右側に接触する側につまり図8の紙面の裏側に向けられた状態になる。第13動作として第2鉤針30が図8の紙面の裏側から表面の側に横移動しフック21の針口に毛髪糸100の第2鉤針30か ら糸取孔42の右側に接触する部分を導入する。又は、第1鉤針20が図8の紙面の表側から裏面の側に横移動しフック21の針口に毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の右側に接触する部分を導入するようにしてもよい。 これにより、第1鉤針20が毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の右側に接触する部分を捕捉し、毛髪糸100が第1鉤針20に導入される。尚、 第2鉤針30と第1鉤針20の両方が、互いに近づくように動いてもよい。フック21の針口が図8の紙面の裏側に向けられた状態であり、第2鉤針30のフック31の針口32が図8の紙面の表側に向いていることから、毛髪糸100の導入の際に第2鉤針30から毛髪糸100が外れることがない。」(段落【0031】) 「図9に示したように、第14動作としての第1鉤針後退及び回転動作によ り、毛髪糸100の第2鉤針30から糸取孔42の右側に接触する部分を捕捉した第1鉤針20が上向きになるように回転し、初期位置の側に後退するのに伴い、ループ部45にラッチ22が接触し、フック21の針口が閉じられ、横糸202-1に対する毛髪糸100の結びつまり植毛が完了する。この第1鉤針20のフック21が後 転し、初期位置の側に後退するのに伴い、ループ部45にラッチ22が接触し、フック21の針口が閉じられ、横糸202-1に対する毛髪糸100の結びつまり植毛が完了する。この第1鉤針20のフック21が後退してループ部45を通過する際に第2鉤針30が 上下に小刻みに動いてフック31から毛髪糸100を外しの毛髪糸100のピーリングを防止する。ピーリングとは、毛髪糸100が摩擦によって、縮れてしまう現象をいう。」(段落【0032】)「図10に示したように、第15動作としての糸引込バー後退動作により、糸引込バー70が初期位置の側に後退するのに伴い毛髪糸100の糸位置出 しバー50の側の部分をエキセン10の側に引き込む。そして、糸引込バー70が初期位置に停止する。」(段落【0033】)「図11に示したように、第16動作から第18動作を行う。第16動作として第1鉤針20が初期位置に戻って停止する間にラッチ22がフック21の針口を閉じる。第17動作としてエキセン10が軸部13の中心線を中心と して図3に実線で示した位置から図3に示した仮想線で示した位置の側に戻るように旋回するのに伴い、逃げ部12の開口が左側に向けられた初期位置に戻る。第18動作として糸落としバー60が下方に移動するに伴い横糸202-1に対する植毛の完了した毛髪糸100を下方に整髪させる。そして、糸落としバー60が上方に移動し初期位置に停止する。これにより、植毛装置にお ける横糸202-1に対する毛髪糸100を植毛する動作の1サイクルが終了し、図12に示す、結び目が作成される。尚、図12は、第11動作において、第1鉤針20が3回転し、植毛糸100が3回撚り合わせられて植毛ネット200に結び付けられた状態を図示している。尚、第16動作から第18動作のいずれから先 される。尚、図12は、第11動作において、第1鉤針20が3回転し、植毛糸100が3回撚り合わせられて植毛ネット200に結び付けられた状態を図示している。尚、第16動作から第18動作のいずれから先に行っても良く、第16動作から第18動作を同時に行って も良い。」(段落【0034】) 「図1において、ストッカー40の底部41に糸取孔42が設けられていなくても適用可能であるが、図示のように底部41に糸取孔42が設けられたことで、第2鉤針30が直線的に昇降して出し入れを可能となるので、第2鉤針30によるストッカー40からの毛髪糸100の捕捉する動作が簡便になる。」(段落【0035】) ⑶ 本件発明1の技術的特徴本件発明1に係る特許請求の範囲の記載及び上記⑴の記載内容によれば、本件各発明は、以下のとおりのものと認められる。 すなわち、本件発明1は、植毛ネットに毛髪糸を結び付けるための機械に関するものであるところ、①ボビンに巻かれた長尺の毛髪糸を用いた場合、ボビ ンに長尺の毛髪糸を巻き付けた上で、更に、その毛髪糸を植毛した後に切断する必要が生じるため、それらの工程を経ることなく、容易に植毛をするための手段を提供することや、②植毛ネットの網目に毛髪糸を絡める工程の複雑さをより簡易化することを課題とするものである。 そして、本件各発明は、このような課題を解決するために、請求項1記載の 構成を備えることによって、予め切りそろえられた複数本の毛髪糸を水平ストッカーに寝かせて収容した上で、第2鈎針の上下運動により、当該毛髪糸の中央部を引っ掛けながら下降させ、第1鉤針が植毛ネットの横糸を1本引っ掛けた状態において、同第1鉤針及び同横糸を移動させることなく、エキセンを旋回させることにより、同鉤針 下運動により、当該毛髪糸の中央部を引っ掛けながら下降させ、第1鉤針が植毛ネットの横糸を1本引っ掛けた状態において、同第1鉤針及び同横糸を移動させることなく、エキセンを旋回させることにより、同鉤針及び同横糸を相対移動させることによって、植毛 ネットの網目に毛髪糸を絡める工程をより簡素化し、もって上記課題を解決するものである。 そうすると、従前の技術的課題を解決するための特徴的部分は、水平ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させ、エキセンという回転体による毛髪糸の絡め工程を実現するという構成要件1B及び1Cの構 成であるものと認められる。 2 本件の事実経過証拠(後掲証拠のほか、原告代表者、被告らの各本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ 原告と被告会社の共同事業に至る経緯ア被告Aは、昭和59年に株式会社プロピア(以下「プロピア」という。)を 設立し、平成元年2月に毛髪業界に参入した。 プロピアは、平成15年2月には、厚さ0.03mmのポリウレタンフィルムに60ミクロンのポリエステル製人口毛髪を植毛した商品である「ヘアコンタクト」の開発に成功したものの、その後、生産性の向上のために機械を改造したことにより大量の不良品を出してしまった結果、民事再生法の適 用を受けることとなり、その後、被告Aも、代表者の地位を退いた。 イ被告Bは、昭和55年に株式会社キャノンに入社し、同社において、開発業務等に携わっていたが、平成19年に退社し、プロピアに入社した。そして、被告Bは、プロピアでは、新規商品開発等に従事し、平成21年頃には、発明の名称を「つけまつ毛の製造方法」とする特許を出願し、登録を受けた。 ウ に退社し、プロピアに入社した。そして、被告Bは、プロピアでは、新規商品開発等に従事し、平成21年頃には、発明の名称を「つけまつ毛の製造方法」とする特許を出願し、登録を受けた。 ウプロピアは、平成23年5月、真田製作所と共同して、ポリウレタンフィルムにポリエステル製の筆先を利用することにより、まつ毛の自動機開発を成功させた。 エ被告Aらは、平成26年頃、プロピアを退社して被告会社を設立し、真田製作所とともに、量産用の自動植毛機械を開発し、同植毛機械を活用した毛 髪用品の大量生産を行う新規事業(以下「本件事業」という。)に着手した。 オ被告Aらは、平成27年9月頃、株式会社ハリガイ工業(以下「ハリガイ工業」という。)に対し、本件事業に基づく毛髪用品の委託生産を依頼したところ、同社のE社長からは、株式会社ハリガイ興業(以下「ハリガイ興業」という。)において委託生産を行いたいとの提案があり、同社のD社長(原 告代表者)を紹介された。 当時、ハリガイ興業は、毛髪関係の事業は行っていなかったため、被告Aらは同提案に対して懸念を示したものの、ハリガイ工業による援助も保証されたため、最終的に、原告代表者が新たに原告を設立した上で、原告との間で取引を行うこととなった。 なお、毛髪用品の販路としては、韓国企業であるUNO&COMPANY (以下「UNO社」)などが想定されていた。 カハリガイ興業と被告会社は、平成28年2月頃から、本件事業に関する打合せを月2回から4回程度の頻度で開催するようになり、ハリガイ興業からは原告代表者及びCが、被告会社からは被告Aらが出席した。 (以上につき、甲19、63、乙12、29ないし32) ⑵ その後の開発及び契約締結の経緯 開催するようになり、ハリガイ興業からは原告代表者及びCが、被告会社からは被告Aらが出席した。 (以上につき、甲19、63、乙12、29ないし32) ⑵ その後の開発及び契約締結の経緯ア本件事業は、まず、自動植毛機械の開発を目的とするものであるところ、被告会社は、平成28年3月2日に、ハリガイ興業に検証機を持参してデモンストレーションを行った。同検証機では、エキセン機構は用いられず、櫛歯のような形状の板に植毛ネットを固定させる方式が採用されていたもの の、同方式には、ネットの破損やネットの2目取り等の課題があるという認識が当事者間で共有された。(甲63〔添付資料8〕、乙32、34)イ原告代表者は、平成28年4月5日、原告を設立した。それ以降は、被告会社は、原告との間で打合せを行うことになり、原告からは、引き続き、原告代表者及びCが出席した。(甲1、19、弁論の全趣旨) ウ原告と被告会社は、平成28年4月15日、「カツラ専用植毛量産機」2台を3000万円(消費税別)で原告が被告会社から買い受ける内容の売買契約を締結した(本件売買契約)。当時、植毛量産機は、まだ完成していなかったが、本件売買契約は、原告が先に被告会社に売買代金を支払うことにより、植毛量産機の開発資金とするという意味合いを持つものでもあった。 原告は、同月27日、被告会社に対し、上記売買契約に基づき、3240 万円を支払った。(甲3、63、弁論の全趣旨)エ原告と被告会社は、平成28年4月25日、被告会社を発注者、原告を受注者とする取引に係る取引基本契約(本件取引基本契約)を締結した。(甲5)オ真田製作所作成に係る平成28年5月25日付けの図面(以下「本件図面」 25日、被告会社を発注者、原告を受注者とする取引に係る取引基本契約(本件取引基本契約)を締結した。(甲5)オ真田製作所作成に係る平成28年5月25日付けの図面(以下「本件図面」 という。乙32〔添付資料⑥〕)には、「エキセン軸」との名称が使用されているほか、当該「エキセン軸」が90度回転した際のニードルの位置関係が記載されている(乙30、32)。 カ被告会社は、平成28年6月14日、原告に対し、モックアップ機の動作を撮影した動画を送付したが、同動画で撮影された機械では、櫛歯板が採用 されており、エキセンの採用には至っていない。 また、被告会社の制作したモックアップ機においては、毛髪糸を植毛ネットに結び付けた後に、余った毛髪糸を処理するための機能は備わっていなかった。(甲19の2〔16頁〕、甲63〔添付資料9-1〕、乙32〔添付資料⑤〕、36) キ Cは、平成28年6月15日、被告Aらに対し、「植毛機見取り図レイアウト用」と題する図面のデータを送付した。同図面は、ハート形のネットブレードが偏芯軸を起点に回転するという動作が記載されている。(甲63〔添付資料9-4〕)ク平成28年6月30日の打合せでは、垂直カートリッジの問題点が指摘さ れ、原告と被告会社の当事者間に共有された。(甲19の2〔13頁〕、乙37)ケ被告会社は、平成28年7月6日、真田製作所において実証実験を行ったが、その様子が撮影された動画には、上部にストックされた毛髪を下から引っ張る構成が採用されている。(乙32〔添付資料⑨〕、38) コ平成28年7月28日の打合せにおいては、結び終わった後の毛髪糸をど う処理するかにつき、原告と被告会社の当事者間で検討課題と されている。(乙32〔添付資料⑨〕、38) コ平成28年7月28日の打合せにおいては、結び終わった後の毛髪糸をど う処理するかにつき、原告と被告会社の当事者間で検討課題として共有された。(甲19の2〔16頁〕、甲63)サ原告及び被告会社は、平成28年10月頃、ハート型ではなく、円筒型のエキセンを採用することを決定した。(甲63、弁論の全趣旨)シ Cは、平成28年11月8日付けで図面を作成したところ、同図面では、 円筒型のエキセンが記載されている。(甲63〔添付資料10〕、弁論の全趣旨)ス Cは、平成28年11月頃、第2鉤針から糸を引き込むバー機構により右側の糸を左側に引き込み、第1鉤針が結んで引いた糸とともに引き落とす機構を考え、被告Bに対し、その旨を伝えた。その結果、最終的に、糸引込み バー(構成要件5A)及び糸落としバー(構成要件6A)を備える構成が採用された。(甲63、弁論の全趣旨)セ原告と被告会社は、平成29年1月頃、植毛量産機の試作品が完成したため、同月19日に、植毛量産機の導入計画を具体的に進めるための協議を開催した。(甲20) ⑶ 本件売買契約締結に至る経緯ア原告と被告会社は、平成29年1月19日、前記協議を踏まえ、本件取引基本契約に基づき、本件業務委託契約を締結した。(甲6)本件業務委託契約においては、目的物が「カツラ植毛部品」であり、基準単価として、生産数量が月時6万0880個の場合には300円、月時12 万1760個の場合には247円と定められた。(甲6)イその後、被告会社は、植毛量産機の開発を継続していたが、資金不足に陥ったため、原告に対し、資金援助を申し入れた。 これを受 万1760個の場合には247円と定められた。(甲6)イその後、被告会社は、植毛量産機の開発を継続していたが、資金不足に陥ったため、原告に対し、資金援助を申し入れた。 これを受けて、原告と被告会社は、平成29年2月1日、植毛量産機に係る売買基本契約を締結した。同契約においては、植毛量産機1台の売買代金 は1408万円(消費税別)と定められた。そして、原告は、被告会社との協 議の上、金融機関からの融資を受け、売買代金の原資に充てることとした。 (以上につき、甲14、21、22、弁論の全趣旨)ウ原告は、筑波銀行から融資を受けたことを踏まえ、平成29年6月12日、植毛量産機の導入時期等に関する計画を作成した。そして、原告は、その後、同計画に基づき、平成29年4月から同年8月までの間に、合計で15台の 植毛量産機を発注した。 被告会社は、計画どおりに植毛量産機を製造することができず、同月頃までには納入に遅れが生じていたものの、平成30年5月頃までには、12台を原告に納入した。 そして、原告と被告会社は、平成30年7月頃までには、残りの3台(1 3号~15号機)について、発注をキャンセルすることを合意した(本件キャンセル合意)。 (以上につき、甲25ないし27、乙9、弁論の全趣旨)⑷ 本件譲渡契約締結に至る経緯アその後、本件事業については、UNO社をはじめとする販路から、想定し ていたほどの発注がなかったため、被告会社は採算が悪化し、原告に対する返済が滞るようになった。(被告A本人、弁論の全趣旨)イ原告は、それまで本件事業に投下した資金を回収することができなくなることを懸念し、平成30年3月頃、被告会社が支払不能になった場合に備え、被告会社が保有する (被告A本人、弁論の全趣旨)イ原告は、それまで本件事業に投下した資金を回収することができなくなることを懸念し、平成30年3月頃、被告会社が支払不能になった場合に備え、被告会社が保有する特許権等を担保に取ることを検討し、被告会社に対し、 債務不履行等の一定の事由が生じた場合に、これらを移転する内容の契約の締結を求めた。 (甲42の1、原告代表者本人、被告A本人)ウ被告会社は、平成30年4月30日、原告に対し、本件譲渡契約につき、「財産状態が著しく悪化し、又は、そのおそれがあると認められる相当の事 由があるとき」という条項のほか、「2015年4月25日付け「基本契約 書」。2017年1月19日付「業務委託に関する個別契約書」に基づく、甲から乙に対する本製品の発注数量が、別途甲乙協議のうえ決定される基準を満たさないとき」という条項を、いずれも削除するよう申し入れた。 これに対し、原告は、同年5月1日、被告会社に対し、上記削除について「断腸の思いでこれらを受け入れます」として、応じる旨返答し、これをも って、本件譲渡契約書の案文が確定した。なお、契約交渉は、原告代表者及び被告Aの間で行われ、被告Bは一切関与しなかった。 (甲42の1、乙51、52、弁論の全趣旨)。 エ原告と被告会社は、平成30年5月1日、本件譲渡契約を締結した。(甲9) ⑸ 本件売買契約の解除原告は、平成30年6月19日、被告会社に対し、本件売買契約を解除する旨の意思表示をするとともに、同年7月20日までに、既払代金額3240万円を支払うよう求めた。(甲4)⑹ 本件業務委託契約に基づく発注等の経緯 ア被告会社は、平成29年1月から平成31年7月までの間、継続 年7月20日までに、既払代金額3240万円を支払うよう求めた。(甲4)⑹ 本件業務委託契約に基づく発注等の経緯 ア被告会社は、平成29年1月から平成31年7月までの間、継続的に、原告に対し、発注書を提示し、又はメールで発注を依頼する方法により、サンプルウィッグ等の生産を委託していた。 これを受けて、原告は、平成29年1月から平成30年9月までの間、毎月、被告会社に対し、請求書(甲47)を送付した。 イ見積書ないし請求書には、被告会社から発注のあった商品につき、原告において設定した金額が記載されていたほか、平成29年10月31日付け請求書(甲47の10)以降は、「foz責任」、「無稼働停止」などとして、被告会社による発注数量が不足していたことにより、本来稼働を予定していた植毛量産機を停止したことに伴う損失補償の性質を有する金額も記載さ れていた。 これに対し、被告会社は、請求書に記載された金額や内訳について、納得しておらず、原告代表者に対し、異議を述べることもあったが、金額について具体的に合意することのないまま、原告会社に対し、次の発注を行い、原告会社から請求書の送付を受けるという取引を繰り返していた。 ウ被告会社は、平成29年11月、原告に対し、本件業務委託契約に基づく 業務委託料として、413万4133円を支払ったところ、これは、同年4月30日付け請求書、同年5月31日付け請求書、同年6月30日付け請求書、同年7月31日付け請求書、同年8月31日付け請求書及び同年9月30日付け請求書(甲47の4ないし9)に記載された各請求金額の合計額と一致するものである。 その後も、被告会社は、令和2年1月までの間に弁済を繰り返したところ、その合計は2 同年9月30日付け請求書(甲47の4ないし9)に記載された各請求金額の合計額と一致するものである。 その後も、被告会社は、令和2年1月までの間に弁済を繰り返したところ、その合計は2261万2762円となる(ただし、そのうち95万円については、本件業務委託契約に基づく未払業務委託料等に対して支払われたものであるのか、あるいは、本件売買代金の返還債務に対して支われたものであるのかにつき争いがある。)。 (以上につき、甲7、47ないし61、112ないし128、乙46、原告代表者本人、被告A本人、弁論の全趣旨)⑺ 被告会社による返済計画案の作成等ア消費貸借契約書の作成被告Aは、平成30年6月28日、原告に対し、「早速ですがお約束しま した返済計画を添付します。今できる返済計画を立てました。今後の営業努力もありますがなるべく植毛機を返済資源にしたいと思っていますが今の段階では計画には入れられませんのでどうぞご理解を頂きよろしくお願い致します。」として、押印されていない状態の消費貸借契約書(以下「本件消費貸借契約書」という。)を送付した。 本件消費貸借契約書は、被告会社が原告に対し、買掛金債務1020万7 354円の債務に加え、3240万円の債務を有することを認める内容となっている。(甲34の1、2)イ本件返済計画表の作成原告の代理人弁護士であるF弁護士は、平成30年7月27日付けで、被告会社に対し、①業務委託契約に基づく未払債務が907万7993円にも 及ぶことのほか、②機械代金3240万円につき、支払を催告する内容の書面を送付した。(甲15)これに対し、被告会社は、平成30年8月14日付けで、本件返済計画表(甲16〔2枚目〕)を 及ぶことのほか、②機械代金3240万円につき、支払を催告する内容の書面を送付した。(甲15)これに対し、被告会社は、平成30年8月14日付けで、本件返済計画表(甲16〔2枚目〕)を作成し、F弁護士にメールで送付した。本件返済計画表では、平成30年8月当時の期末残高は4954万7665円と記載さ れている。(甲16)これを受けて、F弁護士は、同月17日、本件返済計画表を原告にメールで共有した。(甲69)なお、4954万7665円は、本件売買契約の代金3240万円を含むものであるところ、その差額である1754万7665円は、平成30年7 月時点における被告会社からの未収金として原告が主張する額(1714万7665円。なお、この金額は、別紙対照表の番号1から66までの請求に係る未収金の総額である。)と一致する。(弁論の全趣旨)ウ被告会社によるその後の弁済被告会社は、平成30年9月から令和2年1月までの間、原告に対し、合 計95万円を支払った。(争いがない)⑻ 真田製作所からの請求書ア真田製作所作成に係る平成30年2月28日付けの請求書には、13号機につき、604万円との記載がある。(乙6、27)同請求書には、同年1月29日に1304万6400円、同年2月27日 に1304万6400円の入金があった旨の記載があるところ、実際に、被 告会社は、1月29日及び2月27日に、真田製作所にそれぞれ1304万6400円を送金している。(乙21)イまた、真田製作所作成に係る平成30年4月30日付け請求書には、14号機の残金として604万円、15号機につき1208万円との記載がある。 (乙6、27) 真田製作所作成に係 イまた、真田製作所作成に係る平成30年4月30日付け請求書には、14号機の残金として604万円、15号機につき1208万円との記載がある。 (乙6、27) 真田製作所作成に係る同年3月31日付け請求書には、同月29日に1080万円の入金があった旨の記載があるところ、実際に、被告会社は、同日、真田製作所に対し、同額を振り込んでいる。(乙28の1) 3 上記認定事実の補足説明被告らは、被告Aが本件返済計画表を作成したものではない旨主張する。しか しながら、証拠(被告A本人)及び弁論の全趣旨によれば、被告Aは、平成30年8月14日、F弁護士に対し、手紙(甲16)を送付したこと自体は認めているところ、上記メールには、「その後の返済計画につきましては、添付の別表の通りを予定しております。」と記載されていることが認められる。そうすると、上記手紙の内容自体に別表を添付した旨記載されているのであるから、上記手紙 の作成名義人である被告Aは、本件返済計画表を上記にいう別表として添付し、これらを併せて送付したものと認めるのが相当である。 したがって、被告Aが自ら本件返済計画表を手紙に添付している以上、被告A自身が本件返済計画表を作成したものと推認するのが相当である。 これに対し、被告Aは、本件返済計画表を作成したかどうか覚えていない、こ のような高度なものは作成できない、あるいは、本件返済計画表を添付していないなどと供述する一方、上記手紙の内容によれば添付別表のとおりなどと書いているから送ったのでしょうなどとも供述するなど、その供述内容は、一貫性を欠くものである。そもそも、本件返済計画表は、被告Aらの事業等を左右する極めて重要な内容であるにもかかわらず、この点に関して極めて曖昧なものに終始す る供述内容 など、その供述内容は、一貫性を欠くものである。そもそも、本件返済計画表は、被告Aらの事業等を左右する極めて重要な内容であるにもかかわらず、この点に関して極めて曖昧なものに終始す る供述内容は、そのこと自体、信用性が低いというほかない。 そうすると、被告Aの供述は、その信用性を欠くものであり、上記手紙の内容に照らし、上記認定を左右するに至らない。 したがって、被告らの主張は、採用することができない。 4 争点1(一部弁済の有無)について被告会社は、原告代表者と被告Aとの間のメールの内容(乙23)を根拠とし て、平成30年9月から平成2年1月までに支払った95万円については、本件売買契約に基づく代金3240万円の返還債務に対する一部弁済として充当されるべき旨主張している。 そこで検討するに、証拠(乙20)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、原告に対し、平成30年9月28日から平成2年1月まで15回にわたり合計9 5万円を支払っていることが認められるところ、証拠(乙23)によれば、被告Aは、平成30年9月28日、原告代表者に対し、「本日少ないですが未入金分の機械代金一部200、000円を振り込ませて頂きました。今後の進捗は報告させて頂きます。増資が進むと機械代金のお支払いができます。」というメールを送っていることが認められる。しかしながら、証拠(乙23)及び弁論の全趣 旨によれば、原告は、上記メールを受領した後、機械代金の一部として充当することを直ちに拒否し、その後、被告会社は、支払の充当関係につき原告と協議することなく、原告に対し機械代金の一部として充当することを求めずに、その後継続的に平成元年1月まで合計75万円を分割払いしていることが認められる。 これらの事情の下においては、被告会 き原告と協議することなく、原告に対し機械代金の一部として充当することを求めずに、その後継続的に平成元年1月まで合計75万円を分割払いしていることが認められる。 これらの事情の下においては、被告会社は、原告との間で、上記合計95万円 の一連の支払につき、機械代金の一部として充当しないことに黙示に合意していたものと認めるのが相当である。 したがって、被告会社の主張は、上記支払の経過に照らし、採用することができない。 5 争点2(本件キャンセル合意により被告会社に生じた損害の有無及びその額) について ⑴ 被告会社は、本件キャンセル合意により、被告会社に3240万円を超える損害が生じた旨主張した上、同損害に係る損害賠償請求権を自働債権とする相殺により、被告会社は、本件売買契約の解除に伴う3240万円の支払債務を負わない旨主張する。 そこで検討するに、前記認定事実⑻によれば、被告会社が真田製作所から、 キャンセルの対象となった13~15号機に係る製造代金の請求を受けたことは認められるものの、それを超えて、被告会社が実際に、真田製作所に対し、当該製造代金を支払ったことを認めるに足りる証拠はない。 そして、本件証拠及び弁論の全趣旨によっても、実際に、真田製作所が13~15号機を完成させたことを認めるに足りる証拠はなく、そもそも、仮に被 告会社に損害が生じていた場合には、被告会社は、原告に対し、その旨指摘するのが自然であるものの、本件証拠及び弁論の全趣旨によっても、本件訴訟が提起されるまでの間、原告に対し、本件キャンセル合意により損害が生じたことを指摘したことを認めることはできない。かえって、上記認定に係る本件返済計画表によれば、被告会社は、3240万円の代金支払義務を負うことを当 の間、原告に対し、本件キャンセル合意により損害が生じたことを指摘したことを認めることはできない。かえって、上記認定に係る本件返済計画表によれば、被告会社は、3240万円の代金支払義務を負うことを当 然の前提としていることが認められる。 上記認定事実によれば、本件キャンセル合意により、被告会社に損害が生じたものと認めることはできず、仮にこれが生じていたとしても、被告会社は、遅くとも平成30年8月14日において本件返済計画表を作成、送付した時点までに、原告に対し、上記損害に係る請求権を放棄したものと認めるのが相当 である。 これに対し、被告らは、本件返済計画表が被告Aにおいて作成したものではない旨主張するものの、同主張が採用できないことは、前記3において説示したとおりである。 ⑵ したがって、被告会社が主張する相殺の抗弁を採用することができず、被告 会社は、原告に対し、民法545条1項及び3項に基づき、3240万円及び これに対する代金の受領日である平成28年4月27日(前記前提事実⑵参照)から支払済みまで年6分(平成29年法律第45号による改正前の商法514条に基づく法定利率)の割合による遅延損害金の支払義務を負うことになる。 6 争点3(未払業務委託料等の有無及びその額)について⑴ 前記認定事実によれば、①原告は、平成29年1月から平成30年9月まで の間、被告会社に対し、継続的に、請求書を送付していたこと、②被告会社は、それらの請求書の金額や内訳につき、納得をせずに異議を唱えたことがあるものの、それ以上に具体的な金額交渉を行うことなく、原告に対する発注を繰り返し、かつ、原告に対する支払を実際に継続していたこと、③被告会社が平成29年11月に原告に対し行った41 を唱えたことがあるものの、それ以上に具体的な金額交渉を行うことなく、原告に対する発注を繰り返し、かつ、原告に対する支払を実際に継続していたこと、③被告会社が平成29年11月に原告に対し行った413万4133円の返済は、同年4月から 9月までの請求書の金額と一致していること、④その後、被告会社が次第に請求書記載の金額の支払を滞るようになったため、原告は、平成30年7月27日付けで、被告会社に対し、業務委託契約に基づく未払債務907万7993円の支払を求めたところ、被告会社は、これを受けて、平成30年8月14日付けで、原告に対し、同日の時点で、本件売買契約に係る3240万円の支払 債務のほか、1714万7665円の支払債務を負っていることを自認する内容の本件返済計画表(甲16〔2枚目〕)を提示していること、⑤同額は、原告が別紙対照表において主張する、平成30年7月当時の被告会社からの未収金の額(別紙対照表の番号1ないし66の請求に係る未収金の総額)と一致すること、⑥被告会社は、その後も令和2年1月までは、原告に対する弁済を継 続していること、以上の各事実が認められる。 上記認定事実によれば、被告会社は、原告から提示された請求書記載の金額につき納得をせずに異議を唱えたことがあるものの、他方、被告会社は、原告との間で具体的な協議をしたり、発注を中断したりすることなく、原告に対し、更に発注を繰り返していたことが認められる。しかも、被告会社は、原告に対 し、上記請求書記載の金額を前提として、その返済を継続していたことが認め られ、さらに、平成30年8月14日の時点において1714万7665円の債務を負担していることを自認し、本件返済計画表を作成したことが認められる。 これらの事情の下においては、被告 め られ、さらに、平成30年8月14日の時点において1714万7665円の債務を負担していることを自認し、本件返済計画表を作成したことが認められる。 これらの事情の下においては、被告会社が、本件事業に関し、原告から、売買代金という名目で多額の資金援助を受けていたことや、実際に原告に植毛部 品を製造してもらわなければUNO社等に対する納入ができず、本件事業が立ち行かなくなるという事情があったとしても、被告会社は、原告との間で請求書記載の金額の債務を支払うことには合意していたものと認めるのが相当である。仮に、合意がなかったという被告らの見解に立ったとしても、上記認定事実を踏まえると、被告会社は、遅くとも平成30年8月14日の時点までに、 それまでに原告から送付された請求書(甲47の1から19まで)に記載されたとおりの金額の債務を支払うことに合意したものと認めるのが相当である。 したがって、同日の時点において、原告が作成した請求書(甲47の1ないし19。別紙対照表の番号1から66までの請求に対応する。)に記載された合計額3868万9549円については、被告会社において支払義務を負うも のと認めるのが相当である。 ⑵ また、その後に作成された請求書(甲47の22)に記載された金額の合計額である2万0510円については、被告会社も支払義務を認めていることからすると、被告会社が支払うべき債務の総額は、3871万0059円(=3868万9549円+2万0510円)となる。そして、前記認定事実及び弁 論の全趣旨によれば、被告会社は、原告に対し、同債務に対する弁済として、2261万2762円を支払ったことが認められるところ、同額を上記債務の総額から控除した残額は、1609万7297円となる。 そうする 旨によれば、被告会社は、原告に対し、同債務に対する弁済として、2261万2762円を支払ったことが認められるところ、同額を上記債務の総額から控除した残額は、1609万7297円となる。 そうすると、被告会社は、原告に対し、同額及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和2年9月15日から支払済みまで年6分(平成29年法律第 45号による改正前の商法514条に基づく法定利率)の割合による遅延損害 金の支払義務を負うことになる。 ⑶ これに対し、原告は、更に3パーセントの未払遅延利息として別紙対照表の番号67の金額(52万1992円)及び番号68の金額(57万0886円)を各請求することができる旨主張しているところ、原告代表者の陳述書及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、本件返済計画表では上記にいう未払遅延利 息を1パーセントと計上したのに対し、原告は、被告会社が本件返済計画表をもって債務承認したと認識した上、本件返済計画表の内容に合意しているといえるから、上記合意の内容に照らし、本件返済計画表記載に係る1パーセントの未払遅延利息のほかに、上記にいう3パーセントの未払遅延利息を重ねて請求することはできないというべきである。そうすると、上記の各請求は、被告 会社の負うべき債務には含まれないというべきである。 したがって、原告の主張は、原告自身の上記主張に照らし、採用することができない。 ⑷ 被告会社の主張についてアこれに対し、被告会社は、原告の請求には、被告会社が一部発注せず、発 注書の存在しない商品に係る請求も含まれている旨主張する(別紙対照表「番号」1、31、37、46参照)。 しかしながら、証拠(甲112、122、124)によれば、原告と被告会社の間では、被告会社によ ない商品に係る請求も含まれている旨主張する(別紙対照表「番号」1、31、37、46参照)。 しかしながら、証拠(甲112、122、124)によれば、原告と被告会社の間では、被告会社による発注書が作成されていないものについても、メールによって発注が行われていることが認められる。 のみならず、上記において説示したとおり、被告会社は、平成30年8月14日時点で、原告主張に係る債務額を前提とする本件返済計画表を作成していたことからすると、最終的には遅くとも同日の時点において、発注書の存在しない請求についても、その支払を承認したものと認めるのが相当である。 イ被告会社は、原告の請求には、一部、「例外オーダー」という名目による 一方的な請求や、無料サンプル品やテスト品についてされた一方的な請求が含まれており、被告会社として、それらの請求につき、原告の請求金額を承認したことはない旨主張する(別紙対照表「番号」1、2、9、15、16、17、20ないし25、28ないし34、39、41ないし43、46ないし48、50、51、53~55参照)。 しかしながら、前記アにおいて説示したところと同様に、被告会社は、平成29年11月、原告に対し、413万4133円を支払ったところ、同金額は、「例外order」を品名として記載した請求書(甲47の8)に対応したものであることが認められる。そして、その後も、被告会社は、「例外order」の記載のある請求書を前提として、債務の弁済を継続してい た上で、平成30年8月14日の時点で、「例外order」や、被告会社が無料サンプルやテスト品と主張する発注に係る金額を含め、これらの債務の存在を前提とする本件返済計画表を作成したことが認められる。そうすると、 0年8月14日の時点で、「例外order」や、被告会社が無料サンプルやテスト品と主張する発注に係る金額を含め、これらの債務の存在を前提とする本件返済計画表を作成したことが認められる。そうすると、被告会社としても、最終的には遅くとも同日の時点において、「例外オーダー」や、被告会社が無料サンプルやテスト品と主張する発注に係る金額 についても、債務を承認したものと認めるのが相当である。 ウ被告会社は、原告の請求書には、一部、製品代金ではない高額な人件費の請求も含まれているところ、被告会社としては、当該金額を承認していない旨主張する(別紙対照表「番号」1、2、3、7、8、9、13参照)。 しかしながら、前記ア及びイにおいて説示したところと同様に、被告会社 は、最終的には遅くとも、平成30年8月14日に本件返済計画表を作成した時点において、人件費に係る請求についても承認したものと認めるのが相当である。 エ被告会社は、原告の請求書には、一部、損害賠償金も含まれているところ、これは一方的に記載されたものであり、被告会社としては承認していない旨 主張する(別紙対照表「番号」18、19、26、38、45、49、52、 56、58、60参照)。 しかしながら、前記アないしウで説示したところと同様に、被告会社は、最終的には遅くとも、平成30年8月14日に本件返済計画表を作成した時点において、損害賠償金の請求についても承認したものと認めるのが相当である。 オその他に、被告会社提出に係る主張書面及び証拠を改めて精査しても、前記認定に係る被告会社による発注継続、債務の支払及び本件返済計画表の作成送付その他の経過を踏まえると、前記認定を左右するには至らない。したがって、被告会社の る主張書面及び証拠を改めて精査しても、前記認定に係る被告会社による発注継続、債務の支払及び本件返済計画表の作成送付その他の経過を踏まえると、前記認定を左右するには至らない。したがって、被告会社の主張は、いずれも採用することができない。 7 争点4(本件特許を受ける権利の帰属)について ⑴ 原告は、本件発明に係る特許を受ける権利につき、本件譲渡条項に基づき、被告会社又は被告Aらから譲渡を受けた旨主張している。 そこで検討するに、後記争点5において説示するとおり、本件各発明は、被告Aらがこれを着想して具体化したものであるところ、本件各発明が職務発明であることにつき格別主張立証はなく、本件各発明に係る権利は、被告会社で はなく、被告Aらに帰属するものと認めるのが相当である。 そして、前記認定事実によれば、本件譲渡契約は、原告と被告会社が締結したものであり、被告Aら個人は、本件譲渡契約の当事者ではないことが認められることからすると、仮に、被告会社において原告主張に係る取引契約違反の事実があったとしても、被告Aらに帰属する本件特許を受ける権利が、本件譲 渡契約の本件譲渡条項に基づき、原告に移転する余地はないものといわざるを得ない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 ⑵ これに対し、原告は、被告Aらは、本件譲渡契約の当事者ではないものの、取締役の地位にあり、本件譲渡契約の経緯及び内容を認識していた以上、当然 にその効力は被告Aらにも及ぶ旨主張する。 しかしながら、原告主張に係る事情を十分に踏まえても、被告会社を当事者とする本件譲渡契約につき、被告Aらが当該契約の当事者となる法的根拠を認めることはできず、本件譲渡契約の効力が被告Aらに及ぶものと しかしながら、原告主張に係る事情を十分に踏まえても、被告会社を当事者とする本件譲渡契約につき、被告Aらが当該契約の当事者となる法的根拠を認めることはできず、本件譲渡契約の効力が被告Aらに及ぶものということはできない。したがって、原告の主張は、採用することはできない。 ⑶ また、原告は、本件覚書により、「本件技術」につき、被告会社並びに被告 会社の経営者及び従業員が有する技術ないしノウハウをいうものとして、その定義が改められていることから、本件譲渡契約にいう「本件技術」についても、被告会社の経営者である被告Aらの保有する権利も含まれる旨主張する。 しかしながら、前記認定事実によれば、本件覚書は、本件実施許諾契約を原契約として、同契約にいう「本件技術」を再定義するものであるから、これら とは別契約である本件譲渡契約の内容及び効力を左右するものとはいえない。 しかも、そもそも本件実施許諾契約、本件覚書とも、被告Aらを当事者とするものではないから、上記において説示したところと同様に、その効力が被告Aらに及ぶものとはいえない。したがって、原告の主張は、採用することができない。 ⑷ その他に、原告提出に係る主張書面及び証拠を改めて精査しても、本件譲渡契約の効力を正解するものとはいえず、前記判断を左右するには至らない。したがって、原告の主張は、いずれも採用することができない。 8 争点5(被告Aらの会社法429条に基づく損害賠償責任の有無)について原告は、被告会社が原告に対して、本件代金3200万円の返還債務及び本件 業務委託契約に基づく未払業務委託料1719万0175円の支払債務を負っていることにつき、被告Aらは、被告会社の取締役として、損害の拡大を防止すべき注意義務を負っていたにもかかわらず、 本件 業務委託契約に基づく未払業務委託料1719万0175円の支払債務を負っていることにつき、被告Aらは、被告会社の取締役として、損害の拡大を防止すべき注意義務を負っていたにもかかわらず、同義務を怠ったとして、会社法429条に基づく損害賠償責任を負う旨主張する。 しかしながら、前記認定事実によれば、被告会社の原告に対する返済が遅滞し、 本件業務委託契約に基づく未払債務の額が累積していったことや、本件キャンセ ル合意に基づく代金の返還を行うことができなかったことは、UNO社をはじめとする取引先からの受注量が伸びなかったことに主たる原因があるものと認められ、原告においても、それ以上に、被告Aらの悪意又は重過失につき具体的に主張立証するものとはいえない。 これらの事情を踏まえると、被告Aらに見通しの甘さがあったことは否めない ものの、これを超えて、被告Aらがその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったものとまで認めることはできない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 9 争点6(本件各発明の発明者)について⑴ 発明者の意義 特許法2条1項は、発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいうと規定しているところ、特許制度の趣旨に照らすと、その技術内容は、当該技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていなければならないものと解するのが相当である(最高裁判所昭和4 9年(行ツ)第107号同52年10月13日第一小法廷判決・民集第31巻6号805頁)。そして、発明者となるためには、もとより一人の者が全ての過程に関与することを要するものではなく、共同で関与 9年(行ツ)第107号同52年10月13日第一小法廷判決・民集第31巻6号805頁)。そして、発明者となるためには、もとより一人の者が全ての過程に関与することを要するものではなく、共同で関与することでも足りるというべきであるが、上記発明の意義に鑑みれば、共同発明者となるためには、当該発明に係る課題を解決するための着想及びその具体化の過程において、一 体的・連続的な協力関係の下に、それぞれが重要な貢献をなすことを要すると解するのが相当である。 上記の観点から、本件各発明の技術的特徴及び原告代表者及び被告Aらの関与の程度を総合考慮して、これらの者が本件各発明の発明者に当たるか否かにつき、判断する。 ⑵ 本件各発明の技術的特徴 本件各発明の技術的特徴は、本件発明1、5及び6に限り認められることについては、当事者間に争いがない(第3回口頭弁論期日調書参照)。そこで、以下、本件発明1、5及び6の各技術的特徴、その貢献の程度等を検討する、ア本件発明1について前記認定事実によれば、本件発明1は、植毛ネットに毛髪糸を結び付ける ための機械に関するものであるところ、①ボビンに巻かれた長尺の毛髪糸を用いた場合、ボビンに長尺の毛髪糸を巻き付けた上で、更に、その毛髪糸を植毛した後に切断する必要が生じるため、これらの工程を省略することによって、容易に植毛をするための手段を提供することや、②植毛ネットの網目に毛髪糸を絡める工程の複雑さをより簡易化することを課題とするもので ある。 そして、本件発明1は、このような課題を解決するために、請求項1記載の構成を備えることによって、予め切りそろえられた複数本の毛髪糸を水平ストッカーに寝かせて収容した上で、第2鈎針の上下運動により、当該毛髪 、本件発明1は、このような課題を解決するために、請求項1記載の構成を備えることによって、予め切りそろえられた複数本の毛髪糸を水平ストッカーに寝かせて収容した上で、第2鈎針の上下運動により、当該毛髪糸の中央部を引っ掛けながら下降させ、第1鉤針が植毛ネットの横糸を1本 引っ掛けた状態において、同第1鉤針及び同横糸を移動させることなく、エキセンを旋回させることにより、同鉤針及び同横糸を相対移動させることによって、植毛ネットの網目に毛髪糸を絡める工程をより簡素化し、もって上記課題を解決するものである。 そうすると、従前の技術的課題を解決するための特徴的部分は、水平スト ッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させ、エキセンという回転体による毛髪糸の絡め工程を実現するという構成要件1B及び1Cの構成であるものと認められる。 イ本件発明5について請求項5(本件発明5)は、請求項1(本件発明1)の従属項であるとこ ろ、毛髪糸を植毛ネットに結び付けた後、毛髪糸の余った部分がエキセンの 前後に垂れ下がってしまうという状態を避けるために、糸引込みバーにより、植毛ネットに植毛された毛髪糸を引き込むものであることが認められる(段落【0022】)。 したがって、本件発明5は、本件発明1による植毛作業をより円滑にするという作用効果を有するものといえる。 ウ請求項6について請求項6(本件発明6)は、請求項1(本件発明1)の従属項であるところ、毛髪糸を植毛ネットに結び付けた後、毛髪糸の余った部分がエキセンの前後に垂れ下がってしまうという状態を避けるために、上記の糸引込みバーにより引き込まれた毛髪糸を下方に払い落とすものであることが認められ る(段 に結び付けた後、毛髪糸の余った部分がエキセンの前後に垂れ下がってしまうという状態を避けるために、上記の糸引込みバーにより引き込まれた毛髪糸を下方に払い落とすものであることが認められ る(段落【0021】)。 したがって、本件発明6は、本件発明1による植毛作業をより円滑にするという作用効果を有するものである。 ⑶ 原告代表者及び被告Aらの関与の程度ア構成要件1Bについて 上記において説示したとおり、構成要件1Bは、第1鉤針が植毛ネットの横糸を1本引っ掛けた状態において、同第1鉤針及び同横糸を移動させることなく、エキセンを旋回させることにより、毛髪糸の絡め工程を簡素化するという課題を解決するものである。 そして、前記前提事実によれば、①本件事業の開始間もない平成28年 3月2日の時点では、被告会社は、櫛歯のような形状の板に植毛ネットを固定させる方式が採用されていたものの、同方式には課題があるという認識が共有され、同方式に代わる方式につき、原告及び被告会社の間で協議が進められたこと、②その後、同月6月頃に製作されたモックアップ機においても、引き続き、櫛歯板が採用されていたこと、③他方で、被告会社 は、真田製作所に指示して、平成28年5月25日付けで本件図面(乙3 2〔添付資料⑥〕)を作成したところ、本件図面には、「エキセン軸」との名称が使用されているほか、当該「エキセン軸」が90度回転した際のニードルの位置関係が記載されており、本件図面においては、エキセンという回転体による毛髪糸の絡め工程が具体化されていること、④その後、原告と被告会社は、平成28年10月頃、円筒型のエキセンを採用するこ とを決定したこと、以上の各事実が認められる。 上記 転体による毛髪糸の絡め工程が具体化されていること、④その後、原告と被告会社は、平成28年10月頃、円筒型のエキセンを採用するこ とを決定したこと、以上の各事実が認められる。 上記認定事実によれば、エキセンという回転体による毛髪糸の絡め工程を実現するという構成要件1Bは、被告会社が平成28年5月頃に着想しこれを具体化したものであり、原告はその課題を共有していたにとどまるものと認めるのが相当である。 したがって、本件発明1の発明者は、被告Aらであると認めるのが相当である。 これに対し、原告は、平成28年6月14日付けの資料(甲63添付資料9-4)を根拠として、Cがエキセン活用の案を提案した旨主張する。 しかしながら、同資料には、偏芯軸を有する機構(ハート形ネットブレ ード)が記載されているものの、ネットブレードが偏芯軸を起点に回転した際の鉤針(HM)の動作は、同図からは明らかではないことからすれば、同機構をもって、直ちにエキセンの活用を提案したものと認めることはできない。上記において説示したとおり、平成28年5月25日付けで作成された本件図面には、現に、エキセンという回転体による毛髪糸の絡め工 程が具体化されていることが認められるのに対し、Cにおいて、それ以前にエキセンやそれに類する仕組みを着想したり、これを具体化したりしたことを裏付ける客観的な証拠を認めることはできない。 したがって、原告の主張は、その裏付けを欠くものであり、採用することができない。 イ構成要件1Cについて 上記において説示したとおり、構成要件1Cは、ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させることにより、ボビンに長尺の毛髪糸を巻き イ構成要件1Cについて 上記において説示したとおり、構成要件1Cは、ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させることにより、ボビンに長尺の毛髪糸を巻き付ける工程、植毛ネットに毛髪糸を植毛した後に毛髪糸を切断するという工程等を省略するという課題を解決するものである。 そして、前記認定事実によれば、平成28年6月30日の打合せにおい て、垂直カートリッジの問題点が当事者間で共有され、以後、継続協議となったところ、被告会社は、平成28年7月6日、真田製作所において実証実験を行い、その様子を撮影された動画には、上部にストックされた毛髪糸を引っ掛けながら下降させる構成が具体化されていることが認められる。 上記認定事実によれば、水平ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させるという構成要件1Cは、被告Aらが平成28年7月上旬頃に着想しこれを具体化したものであり、原告はその課題を共有していたにとどまるものと認めるのが相当である。 したがって、本件発明1の発明者は、被告Aらであると認めるのが相当 である。 これに対し、原告は、議事録(甲19の2〔13頁〕)の記載を根拠にして、水平方向のストッカーから第2鉤針が毛髪糸を2つ折りで引き出すという仕組みは、Cも関与をして完成したものである旨主張する。 しかしながら、原告は、Cの具体的な関与の態様を主張立証するもので はなく、上記議事録の記載によっても、垂直方向カートリッジの問題点が指摘されたことが認められるにとどまり、それ以上に、Cが水平ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させるという構成を具体的に提案した事実を認めるには足りない。 したがって、 れたことが認められるにとどまり、それ以上に、Cが水平ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させるという構成を具体的に提案した事実を認めるには足りない。 したがって、原告の主張は、その裏付けを欠くものであり、採用するこ とができない。 ウ以上によれば、本件発明1の発明者は、被告Aらであると認めるのが相当である。その他に、技術説明会の結果を踏まえ、原告提出に係る主張及び証拠を改めて精査しても、前記判断を左右するには至らない。したがって、原告の主張は、採用することができない。 ⑷ 本件発明5及び6について 上記において説示したとおり、本件発明5及び6は、糸引込みバー及び糸落としバーの構成を採用することにより、本件発明1による植毛作業をより円滑にするという作用効果を有するものである。 そして、前記認定事実によれば、被告会社の制作したモックアップ機においては、毛髪糸を植毛ネットに結び付けた後に、余った毛髪糸を処理するための 機能は備わっていなかったこと、そこで、平成28年7月28日の打合せの際に、結び終わった後の毛髪糸をどう処理するかが検討課題として認識共有されたこと、Cは、第2鉤針から糸を引き込むバー機構により右側の意図を左側に引き込み、第1鉤針が結んで引いた糸とともに引き落とす機構を考え、同年11月頃に、被告Bに対し伝えたこと、その結果、最終的に、糸引込みバー(構 成要件5A)及び糸落としバー(構成要件6A)を備えるに至ったこと、以上の各事実が認められる。 上記認定事実によれば、糸引込みバー及び糸落としバーという本件発明5及び6の構成は、原告が平成28年11月頃に着想しこれを具体化したものであるものと認めるのが相当である。 られる。 上記認定事実によれば、糸引込みバー及び糸落としバーという本件発明5及び6の構成は、原告が平成28年11月頃に着想しこれを具体化したものであるものと認めるのが相当である。 したがって、本件発明5及び6の発明者は、原告であると認めるのが相当である。 ⑸ 共有割合以上によれば、本件各発明の技術的特徴は、本件発明1において、水平ストッカーに寝かせて収容された毛髪糸を引っ掛けながら下降させ、エキセンとい う回転体による毛髪糸の絡め工程を実現したところにあり、その従属項である 本件発明5及び6は、当該技術的特徴を前提として、更に植毛作業をより円滑にする作用効果を有するものである。 そうすると、本件各発明の最も本質的な技術的特徴は、本件発明1の構成であり、これを被告Aらが発明し、当該発明を前提として、原告が上記作用効果を奏する部分を発明したものといえる。 これらの事情を踏まえると、本件各発明に係る原告と被告Aらの持分割合は、それぞれ、10分の1、10分の9と認めるのが相当であり、被告Aと被告Bの持分割合は、格別の主張立証がないことに照らし、各20分の9と推認するのが相当である。 以上によれば、原告は、本件特許を受ける権利につき、持分10分の1を有 することになるから、原告の請求3については、持分10分の1の確認を求める限度で、これを認めるのが相当である。 また、被告Aらは、本件特許権につき、それぞれ持分20分の9を有することになるから、反訴請求については、持分20分の9の各移転を求める限度で、これらを認めるのが相当である。 第6 結論よって、原告の本訴請求は主文の限度で理由があるから、これを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、また 分の9の各移転を求める限度で、これらを認めるのが相当である。 第6 結論 よって、原告の本訴請求は主文の限度で理由があるから、これを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、また、被告Aらの反訴請求は、主文の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 小田誉太郎 裁判官 尾池悠子 (別紙) 目録 出願番号特願第2019−20186 発明の名称植毛装置 出願日平成 年 月 日 特許番号特許第6533350号 登録日令和 年 月 日 (別紙)図一覧 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 【図9】 【図10】 【図11】 【図12】 (別紙)発注・納入一覧表 植 【図10】【図11】 【図12】 (別紙)発注・納入一覧表 植毛量産機発注月納入日①1号機2017(H29)/4 月2017(H29)/6 月②2号機2017(H29)/4 月2017(H29)/7/21③3号機2017(H29)/4 月2017(H29)/7/21④4号機2017(H29)/4 月2017(H29)/8/30⑤5号機2017(H29)/4 月2017(H29)/8/30⑥6号機2017(H29)/4 月2017(H29)/9/28⑦7号機2017(H29)/5 月2017(H29)/9/28⑧8号機2017(H29)/5 月2017(H29)/10/28⑨9号機2017(H29)/5 月2017(H29)/10/28⑩10号機2017(H29)/8 月2017(H29)/11/21⑪11号機2017(H29)/8 月2017(H29)/11/21⑫12号機2017(H29)/8 月2018(H30)/5/15⑬13号機2017(H29)/8 月-⑭14号機2017(H29)/8 月-⑮15号機2017(H29)/8 月-
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