主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,7372万8935円及びこれに対する平成15年1月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 大阪府教育委員会(以下,教育委員会を「教委」と略称する)は,大阪府。 内の市町村立の小中学校等に勤務する府費負担教職員(市町村立学校職員給与負担法1条に基づき原告がその給与等を負担する職員)が定年により又は退職勧奨に応じて退職するに当たり,引き続き非常勤若年特別嘱託員又は非常勤特別嘱託員(以下,非常勤若年特別嘱託員を「若特,非常勤特別嘱託員を「特」嘱」といい,両者を併せて「特嘱員」という)に任命し,原告がその報酬を。 負担した上,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という)48条1項及び4項に基づく援助として,特嘱員を大阪府内の市町村。 立の小中学校等に派遣してきた。 本件は,上記の特嘱員の派遣制度(以下「本件特嘱員制度」という)に関。 して,原告が,被告に対し,①被告は平成9年度から平成14年度までの間に別紙1の1記載の特嘱員(以下「全額返還対象者」という)を派遣目的外の。 業務に従事させていたから,その期間の当該特嘱員の業務は地教行法48条の援助の対象とはならず,その報酬を原告が負担することは地方財政法9条に違反することとなるため,当該特嘱員の報酬相当額7222万0236円が被告(,,の不当利得に当たる仮に報酬全額が不当利得とならない場合には予備的に後記②のとおり,交通費加算額等の過払分として上記金額のうち別紙1の2記載のとおり86万0445円が不当利得に当たる)旨主張して,その返還を求 め,②被告は平成9年度から平成14年度までの間に別紙2記 ②のとおり,交通費加算額等の過払分として上記金額のうち別紙1の2記載のとおり86万0445円が不当利得に当たる)旨主張して,その返還を求 め,②被告は平成9年度から平成14年度までの間に別紙2記載の特嘱員(以下「交通費過払額返還対象者」という)を当初の辞令とは異なる場所で業務。 に従事させており,当初発令所属による交通費加算額等(実支給額)と実配置所属による交通費加算額等との差額(以下「交通費過払額」という)150。 ,,万8699円は被告の不当利得である旨主張してその返還を求めるとともにこれらに対する納期限の翌日である平成15年1月29日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めている事案である。 法令の定め(1) 地方財政法9条は,地方公共団体の事務(平成11年法律第87号〔平成12年4月1日施行〕による改正前は「地方公共団体又は地方公共団体の機関の事務)を行うために要する経費については,当該地方公共団体が全額」これを負担する旨規定する。 (2) 学校教育法5条は,学校の設置者は,その設置する学校を管理し,法令に特別の定めのある場合を除いては,その学校の経費を負担する旨規定する。 市町村立学校職員給与負担法1条(平成16年法律第49号〔平成17年4月1日施行〕による改正前のもの)は,市(特別区を含む)町村立の小。 学校,中学校,中等教育学校の前期課程,盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校の校長,教頭,教諭,養護教諭,養護助教諭,寄宿舎指導員,講師,学校栄養職員及び事務職員の給料,扶養手当,調整手当,住居手当,初任給調整,,,,,,手当通勤手当単身赴任手当特殊勤務手当特地勤務手当へき地手当時間外勤務手当,宿日直手当,管理職員特別勤務手当,管理職手当,期末手当,勤勉手当,義務教育等教員特別手当,寒冷地手当 ,,,手当通勤手当単身赴任手当特殊勤務手当特地勤務手当へき地手当時間外勤務手当,宿日直手当,管理職員特別勤務手当,管理職手当,期末手当,勤勉手当,義務教育等教員特別手当,寒冷地手当,特定任期付職員業績手当,退職手当,退職年金及び退職一時金並びに旅費並びに定時制通信教育手当並びに講師の報酬及び職務を行うために要する費用の弁償(以下「報酬等」という)は,都道府県の負担とする旨規定する。 。 ,,(3) 地教行法48条1項は地方自治法245条の4第1項の規定によるほか 文部科学大臣(平成11年法律第160号〔平成13年1月6日施行〕による改正前は「文部大臣。以下同じ)は都道府県又は市町村に対し,都道」。 府県教育委員会は市町村に対し,都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため,必要な指導,助言又は援助を行うことができる(平成11年法律第87号による改正前は「必要な指導,助言又は援助を行うものとする)旨規定し,地教行法48条2項は,同条1項の指導,助言又は」,「,」援助の例示として指導主事社会教育主事その他の職員を派遣すること(8号)を規定する。 地教行法48条4項(平成11年法律第87号により追加)は,地方自治法245条の4第3項の規定によるほか,都道府県知事又は都道府県教育委員会は文部科学大臣に対し,市町村長又は市町村教育委員会は文部科学大臣又は都道府県教育委員会に対し,教育に関する事務の処理について必要な指導,助言又は援助を求めることができる旨規定する。 前提となる事実(当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含む)。 (1) 本件特嘱員制度導入の経緯大阪府では昭和60年3月31日から定年制が実施されたが,大阪府教委は 事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含む)。 (1) 本件特嘱員制度導入の経緯大阪府では昭和60年3月31日から定年制が実施されたが,大阪府教委は,昭和53年度から,人事の刷新,能率の向上及び財政負担の軽減を図るため,高年齢の府費負担教職員に対し早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,退職勧奨に応じた教職員の退職後の処遇として,一定の期間に限って「非常勤特別嘱託員(特嘱)として任用した上,市町村に派遣して」きた。また,平成9年度からは,退職勧奨の年齢範囲を広げた「非常勤若年特別嘱託員(若特)の制度を設け,同じく市町村に派遣してきた(以下,」若特又は特嘱で市町村に派遣されている者を「派遣特嘱員」という。 。)なお,若特及び特嘱は,いずれも地方公務員法3条3項3号に該当する特別職の地方公務員である。 (2) 「非常勤若年特別嘱託員及び非常勤特別嘱託員取扱要綱」現在,本件特嘱員制度は大阪府教委が制定した「非常勤若年特別嘱託員及び非常勤特別嘱託員取扱要綱(甲1,昭和53年1月23日教委職第90」8号,以下「本件要綱」という。なお,平成8年11月5日教委職第553号による改正〔平成9年4月1日施行〕前の名称は「非常勤特別嘱託員取,扱要綱」である)により運用されている。本件要綱には,次のような定め。 がある。 ア趣旨(1項)本件要綱は,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。 イ定義(2項)(ア)非常勤若年特別嘱託員(若特)大阪府教委が定める「特別退職措置及びこれに伴う優遇措置要綱(以下「特別退職要綱」という」に基づき満59歳以下で退職した府立。)の高等専門学校高等学校盲学校ろう学校及び養護学校の教職員以,,,(下「府立学校教職員 これに伴う優遇措置要綱(以下「特別退職要綱」という」に基づき満59歳以下で退職した府立。)の高等専門学校高等学校盲学校ろう学校及び養護学校の教職員以,,,(下「府立学校教職員」という)及び府費負担教職員でその能力,経験。 を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職員として雇用されている者(満60歳以下の者に限る)。 (イ)非常勤特別嘱託員(特嘱)職員の定年等に関する条例(昭和59年大阪府条例第3号)若しくは特別退職要綱に基づき満60歳以上で退職した府立学校教職員及び府費負担教職員又は非常勤若年特別嘱託員として満60歳に達する日の属する年度の末日まで雇用された者又は地方公務員法28条の4第1項,28条の5第1項又は28条の6第1項若しくは第2項の規定により採用された職員のうち任期を満了した者で,次年度以後においてその能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職 員として雇用されている者なお,上記(ア)(イ)は,平成14年2月15日教委職企第254号による改正(同年4月1日施行)後のものであり,同改正前は,現在の「その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために」という各部分につきそれぞれ「その能力,経験を活用するため(に」と規定されて)いた(甲31,32,45)。 ウ雇用期間(3項)雇用期間は1年とする。ただし,勤務成績が良好であると認められる者,,については若特にあっては満60歳に達する日の属する年度の末日まで特嘱にあっては満63歳(現業職員は満65歳)に達する日の属する年度の末日までを限度として更新を繰り返すことができる。 エ勤務時間(4項)勤務時間は,原則として週20時間以上30時間以下とし,その割振りは,任命権者の定めるところによ 5歳)に達する日の属する年度の末日までを限度として更新を繰り返すことができる。 エ勤務時間(4項)勤務時間は,原則として週20時間以上30時間以下とし,その割振りは,任命権者の定めるところによる。ただし,府立学校において勤務する特嘱員については当該学校の校長が,市町村立学校において勤務する特嘱員については当該学校を管轄する市町村の教委が,勤務時間の割振りをすることができる。 オ報酬等(7項)(ア)報酬月額①若特で勤務時間が週30時間である者に対する報酬月額は222,000円とし,特嘱で勤務時間が週30時間である者に対する報酬月額は155,000円とする。ただし,別の勤務時間が定められている者に対する報酬月額はそれぞれの勤務時間数に比例させた額とする。 ②上記のほか,交通費相当額として月額50,000円の範囲内で必要額を報酬月額に加算することができる。 (イ)費用弁償,()費用弁償の額は職員の旅費に関する条例昭和40年条例第37号による3級の職務にある者に支給する旅費の額とする。 カ服務(8項)服務は,常勤の教職員に準ずる。 「」(3) 本件要綱とは別の非常勤若年特別嘱託員及び非常勤特別嘱託員取扱要綱大阪府教委においては,特嘱員を各市町村に派遣するのではなく,特嘱員を大阪府教委の事務局及び学校以外の教育機関において雇用するときの取扱いについては「非常勤若年特別嘱託員及び非常勤特別嘱託員取扱要綱(甲」54,以下「別件要綱」という)によっている。別件要綱には,次のよう。 な定めがある。 ア趣旨(1項)別件要綱は,非常勤職員取扱要綱2条2号に規定する非常勤嘱託員のうち,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。 イ定義(2項)(ア)「非常勤若年特別嘱託員」各任命権者において定める特別 は,非常勤職員取扱要綱2条2号に規定する非常勤嘱託員のうち,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。 イ定義(2項)(ア)「非常勤若年特別嘱託員」各任命権者において定める特別退職要綱に基づき満59歳以下で退職した職員でその能力,経験を活用するため引き続き非常勤職員として雇用されている者(満60歳以下の者に限る)。 (イ)「非常勤特別嘱託員」職員の定年等に関する条例若しくは特別退職要綱に基づき満60歳以上で退職した職員又は若特として満60歳に達する日の属する年度の末日まで雇用された者又は地方公務員法28条の4第1項,28条の5第1項又は28条の6第1項若しくは第2項の規定により採用された職員のうち任期を満了した者で,次年度以後においてその能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員として雇用されている者 (4) 非常勤職員取扱要綱上記(3)アが引用する非常勤職員取扱要綱(甲53)には,次のとおり規定されている。 ア趣旨(第1条)この要綱は,地方公務員法3条3項3号に規定する非常勤の職員のうちで大阪府教委の事務局及び学校以外の教育機関において雇用する非常勤職員の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。 イ非常勤嘱託員の定義(第2条)非常勤職員のうち,特殊な技能又は専門的知識の提供に対して,その対価が原則として報酬の予算科目で支払われるものをいう。 (5) 被告への特嘱員の派遣及び配置等大阪府教委は,平成9年度から平成14年度までの間に,豊中市教委の派遣内申に基づいて,合計で延べ646名の元府費負担教職員を特嘱員に任命して豊中市に派遣した(若特延べ295名,特嘱延べ351名。 )そのうち,全額返還対象者は別紙1の1の①氏名欄記載のとおりであり,各全額返還対象者の対象期間,当初発令所属,実配置所属,実配 員に任命して豊中市に派遣した(若特延べ295名,特嘱延べ351名。 )そのうち,全額返還対象者は別紙1の1の①氏名欄記載のとおりであり,各全額返還対象者の対象期間,当初発令所属,実配置所属,実配置先の業務内容(ただし,業務内容については当事者間に争いがある,原告が返還。)を求める額(当該職員に対する支給額)はそれぞれ別紙1の1の②から⑥までに記載のとおりである。また,全額返還対象者につき原告が予備的に返還を求める交通費過払額は別紙1の2記載のとおりである。 また,交通費過払額返還対象者は別紙2の①氏名欄記載のとおりであり,各交通費過払額返還対象者の対象期間,当初発令所属,実配置所属,交通費相当額,原告が返還を求める交通費過払額はそれぞれ別紙2の②から⑥までに記載のとおりである。 なお,当初発令所属とは,後述の任命手続における辞令上の勤務先(甲6の2上段参照)であり,実配置所属とは,各対象者が豊中市に派遣された後 に実際に配置されていた勤務先である。豊中市教委は,大阪府教委に対し,派遣された若特又は特嘱を辞令上の勤務先とは異なる勤務先に配置することにつき,大阪府教委に個別の同意を得たことはなく,勤務先変更に係る内申手続や通勤(変更)届の提出は行っていなかった。 (6) 若特・特嘱の任命手続について大阪府教委が退職する府費負担教職員等を若特又は特嘱に任用する際の手続は,別紙3記載のとおりである。 すなわち,若特・特嘱に任命されることを希望する府費負担教職員本人から豊中市教委に履歴書2部(甲19,通勤届2部(甲21)等が提出され)ると,豊中市教委は,当該書類に派遣内申書4部(甲16,17,辞令案)(甲18)及び確認書(甲20)を添えて,大阪府教委の機関である豊能教育振興センターに提出する(なお,上記辞令案には対象者の勤務場所とし 中市教委は,当該書類に派遣内申書4部(甲16,17,辞令案)(甲18)及び確認書(甲20)を添えて,大阪府教委の機関である豊能教育振興センターに提出する(なお,上記辞令案には対象者の勤務場所として特定の小中学校名が記載される。同センターは,派遣内申書の控えを大。)阪府教委の教職員人事課に送付し残りの書類を大阪府教委の学務管理室平,(成12年4月以降は学務管理課)に送付し,学務管理室において交通費相当額の加算額の確認を行う。そして,確認後,学務管理室から上記センターに発令通知書(派遣内申書の中の1部。甲17,派遣内申書の控え,辞令,)履歴書及び通勤届が送付され,豊中市教委から本人に辞令が交付されて,任命手続が完了する。 (7) 派遣特嘱員に対する報酬等の支給手続等ア報酬の額の通知派遣特嘱員に対する報酬額及び交通費相当の報酬加算額は,任用時に交付される辞令・発令通知書により通知される。なお,交通費相当の報酬加算額については,本人作成の通勤届により,大阪府教委がその経路,金額等の内容を確認した上,決定される。 イ任用の際の口座振替依頼書等の提出 市町村教委が大阪府教委へ提出する派遣内申書の添付書類として,通勤届,報酬等口座振替依頼書(銀行通帳写しを添付)が大阪府教委に提出される。 ウ口座振替による支給大阪府は,一般職員に対する毎月の給与等の支給日と同じ日に,特嘱員に対し,前項の口座振替依頼書により本人が申し出た銀行口座への口座振替により報酬額及び交通費相当の報酬加算額を支給する。 (8) 住民監査請求及び住民訴訟ア大阪府の住民ら4名(うち3名が豊中市在住)は,平成14年7月12日,大阪府監査委員に対し,大阪府教委が平成13年度に豊中市に派遣した若特及び特嘱のうち34名が学校以外の施設等において業務に従事したこと の住民ら4名(うち3名が豊中市在住)は,平成14年7月12日,大阪府監査委員に対し,大阪府教委が平成13年度に豊中市に派遣した若特及び特嘱のうち34名が学校以外の施設等において業務に従事したことが違法であるとして,豊中市にその報酬相当額の返還を求めるよう,住民監査請求を行った。 イ大阪府監査委員は,平成14年9月2日付け監査結果(以下「本件監査結果」という)において,派遣特嘱員を学校以外の施設等において業務。 に従事させることは,その業務が学校教育に関するものである限り,必ずしも違法,不当ではないこと,上記34名のうち,豊中市の青少年施設である「青年の家いぶき」及び同市人権教育推進委員協議会において業務に従事した5名の者については学校教育に関する業務に従事したとはいえないこと,他方,その他の29名の者が従事した業務は,学校以外の場所で集中的・効率的に行わせることにより,より教育効果をあげることができるものであり,本件要綱に定める「能力,経験を活用」した業務の規定に違反しないこと等の判断を示した。 その上で,大阪府監査委員は,大阪府教委に対し,平成14年12月31日を措置期限として,①豊中市において学校以外の施設に配置された若特・特嘱について出勤簿の存する3年間を再調査し,報酬月額及び交通費 相当額の返還を求めるなどの是正措置を講じること,②認定している配置先と勤務実態が異なる若特・特嘱について報酬月額に加算される交通費相当額に過払があれば,精算に関し必要な措置を講じること,③他の市町村の状況も調査した上で,同様の事実があれば必要な是正措置を講じること等の内容の勧告を行った。 ウ上記住民らは,本件監査結果において本件要綱に反しないとされた29名の派遣特嘱員に係る部分につき,大阪府知事が豊中市に対する給料等の返還請求を怠ってい 措置を講じること等の内容の勧告を行った。 ウ上記住民らは,本件監査結果において本件要綱に反しないとされた29名の派遣特嘱員に係る部分につき,大阪府知事が豊中市に対する給料等の返還請求を怠っているとして,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,同知事に対し,豊中市に対する返還請求をすることを求める住民訴訟(大阪地方裁判所平成14年(行ウ)第139号違法支出公金返還請求請求事件,以下「別件訴訟」という)を提起した。 。 エ大阪地方裁判所は,平成16年6月30日,別件訴訟につき,大阪府は府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務を行わせるために特嘱員を派遣していたものと認められるとした上,対象とされている29名の派遣特嘱員の業務内容等につき検討を加え,いずれも府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務であるものと認められるとして,上記住民らの請求をいずれも棄却する判決(以下「別件判決」という)。 をし,同判決は控訴期間経過により確定した。 (9) 返還請求及び本件訴訟ア原告は,大阪府監査委員の本件監査結果を受け,平成14年12月26「()()」日付け非常勤若年特嘱員に係る報酬等の返還請求について通知を,対象となった各市町村教委教育長あてに発出し,各請求額につき後日送付する納入通知書により返還するよう通知した。同通知において,被告に対する請求額は,7377万4243円(全額返還対象者分7226万5544円,交通費過払額返還対象者分150万8699円)とされた。 イ原告は,被告に対し,平成15年1月8日発行の納入通知書により,納 期限を同月28日として,7377万4243円を支払うよう通知した。 ウ原告は,平成19年5月18日,被告に対し,7377万4243円及びこれに対する上記納期限の翌日 行の納入通知書により,納 期限を同月28日として,7377万4243円を支払うよう通知した。 ウ原告は,平成19年5月18日,被告に対し,7377万4243円及びこれに対する上記納期限の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めて本件訴訟を提起した(その後,原告は,平成21年7月31日付け訴えの変更申立書により,請求額を一部減縮した。 。)第3主たる争点 全額返還対象者分原告は,被告が派遣特嘱員を本件要綱に基づく派遣目的外の業務に従事させていたとして,被告に対し,当該派遣特嘱員に対する報酬相当額を不当利得として返還請求することができるか。 全額返還対象者分については,次の点が主に争点となっている(なお,争点整理後にされた地方財政法28条の2に関する主張は記載していない。 。)①本件要綱の解釈上派遣特嘱員が従事し得る業務の範囲②本件要綱の拘束力③大阪府教委による黙示の承諾の有無④派遣特嘱員が従事し得る業務範囲逸脱の有無 交通費過払額返還対象者分及び全額返還対象者の交通費過払額分原告は,被告が派遣特嘱員を届出に係る勤務場所と異なる勤務場所において業務に従事させていたことを理由として,被告に対し,交通費過払額を不当利得として返還請求することができるか。 交通費過払額返還対象者分及び全額返還対象者の交通費過払額分については,次の点が主に争点となっている。 ①被告の利得の有無②大阪府教委による黙示の承諾の有無第4当事者の主張の概要 全額返還対象者分 原告は,被告が派遣特嘱員を本件要綱に基づく派遣目的外の業務に従事させていたことを理由として,被告に対し,当該派遣特嘱員に対する報酬相当額を不当利得として返還請求することができるか(争点1。 )(原告の主張の骨子)派遣特嘱員が従事し得 く派遣目的外の業務に従事させていたことを理由として,被告に対し,当該派遣特嘱員に対する報酬相当額を不当利得として返還請求することができるか(争点1。 )(原告の主張の骨子)派遣特嘱員が従事し得る業務は,本件要綱の解釈上,学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務)に限定され(争点1①,本件要綱は特嘱員の派遣に係る原告と被告の関係を拘束する)ものである(争点1②。また,大阪府教委が本件要綱に反する取扱いを黙示)的に承諾したこともない(争点1③。しかし,被告は,全額返還対象者を,)上記業務の範囲外である市町村の一般職員が処理すべき業務に従事させたことから(争点1④,当該派遣は地教行法48条に定める援助に該当しないこと)になり,当該派遣特嘱員に対する原告の報酬等の負担が地方財政法9条に違反し法律上の原因のないものとなる。したがって,被告は,全額返還対象者の報酬相当額につき,法律上の原因なく,原告の損失(報酬等の負担)において,本来自ら支出・負担すべき出費を免れて不当に利得を得ているものであり,原告に対し7222万0236円の不当利得返還義務を負う。 (被告の主張の骨子)本件要綱は,特嘱員の職務範囲について明確に限定しておらず,派遣特嘱員が従事し得る業務は,学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務)に限定されるものではない(争点1①。 )また,仮に本件要綱の解釈上そのような限定が可能であるとしても,本件要綱は被告を拘束するものではないし(争点1②,大阪府教委は被告(豊中市教)委)の取扱いを黙示的に承諾していた(争点1③。また,仮に被告が本件要)綱の解釈に拘束されるとしても,全額返還対象者の業務内容は府費負担教職員であったことの能力・経験を活用するも 告(豊中市教)委)の取扱いを黙示的に承諾していた(争点1③。また,仮に被告が本件要)綱の解釈に拘束されるとしても,全額返還対象者の業務内容は府費負担教職員であったことの能力・経験を活用するものであり,本件要綱が予定する業務の範囲を超えるものではない(争点1④。したがって,原告の不当利得返還請) 求は理由がない。 (1) 本件要綱の解釈上派遣特嘱員が従事する業務の範囲(争点1①)(原告の主張)ア本件要綱には,特嘱員が従事する業務の内容について明言した規定はないが,特嘱員の派遣が地教行法48条1項又は4項に基づく援助と位置づけられていることから,援助を有効に行うために(地方自治法2条14項,派遣)特嘱員が元府費負担教職員の知識・経験・能力を活用して市町村立の小中学校等の学校教育に関する業務に従事することを本来の制度目的としていること,本件要綱2項(1)及び(2)が,若特及び特嘱について,それぞれ「その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために(平成14年4」月1日施行の同年2月15日教委職企第254号による改正前は「その能力,経験を活用するために)と定義し,元府費負担教職員としての能力,経」験の活用を図るとしていること等から考えて,本件要綱に基づいて派遣される特嘱員が従事し得る業務は,学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務)であると解される。 他方,元府費負担教職員である派遣特嘱員が学校以外の施設における業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務に当たらない業務)に従事することは,たといそれが広い意味で市町村の教育に関する事務に関係するものであっても,当該派遣特嘱員は,そのような学校以外の施設における業務に関して援助の意味に値するだけの能力・経験を有 業務)に従事することは,たといそれが広い意味で市町村の教育に関する事務に関係するものであっても,当該派遣特嘱員は,そのような学校以外の施設における業務に関して援助の意味に値するだけの能力・経験を有しないのが通例であることから,当該派遣特嘱員がそのような業務に従事することは,大阪府教委が意図した援助の目的から外れることになる。 イ本件要綱の「その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務」が,学校教育と密接な関連を有する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務)を意味することは,当該規定内容のほか,派遣内申書に添付される辞令・発令通知書案に勤務場所として必ず特定の学校が明記され ていること,派遣特嘱員に支給される報酬加算額である交通費相当額が勤務先である当該学校を基準として算定されていること,大阪府教委の各市町村教委に対する通知等及び各市町村教委が府費負担教職員に対して配布するパンフレット等により機会あるごとにこのことを周知していたこと等からも明らかである。 ウ大阪府教委は,府立学校教職員又は府費負担教職員が退職した後引き続き府立学校又は市町村立小中学校において勤務して学校教育に関する職務に従事する場合は,本件要綱に基づいて,特嘱員として任用しているが,他方,府立学校教職員又は府費負担教職員が退職した後,学校ではなく,大阪府教委の事務局又は学校以外の教育機関(大阪府教委が設置した教育機関に限る)において勤務する場合は,別件要綱に基づき,当該要綱に。 定める特別嘱託員として任用している。したがって,元府立学校教職員で事務局等に勤務した者らの勤務場所,職務内容等は別件要綱に基づくものであり,本件要綱の解釈とは全く関連性がない。 むしろ,大阪府教委が,特嘱員が学校教育に関する職務に従事する場合の要綱(本件要綱)と,特 局等に勤務した者らの勤務場所,職務内容等は別件要綱に基づくものであり,本件要綱の解釈とは全く関連性がない。 むしろ,大阪府教委が,特嘱員が学校教育に関する職務に従事する場合の要綱(本件要綱)と,特嘱員が大阪府教委の事務局等において勤務する場合の要綱(別件要綱)を区別して定めていることに照らせば,本件要綱に基づいて元府費負担教職員を特嘱員に任用し市町村立小中学校に派遣する本件特嘱員制度において,派遣特嘱員の従事する業務の範囲を広く定めていたということはあり得ない(そうでなければ,本件要綱と別件要綱を並立して定める必要はない。 。)(被告の主張)ア本件要綱は「府費負担教職員で,その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職員として雇用されている者」と規定しているだけで,それ以上に具体的な業務内容又は勤務場所を明示していない。本件特嘱員制度は地教行法48条による大阪府の市町村に対 する援助として特嘱員を派遣する制度であることから,特に業務範囲を明確にしていない限り,派遣特嘱員の業務範囲は地教行法48条1項に定める市町村の「教育に関する事務」の範囲において,教職員であったことによるその能力,経験を活用し得る業務であればよいと解される。 また,本件要綱は,原告(大阪府)が,教職員の過員と高年齢化を解消することによる人事刷新,能率の向上及び財政負担上の軽減を図るため,並びに教職員定数の急減の中で必要最小限の新規採用教員の確保を図るため,定年前の高年齢の府費負担教職員に対し早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,退職勧奨に応じやすくするため,退職勧奨に応じた者の退職後の処遇として一定期間に限って非常勤職員として再雇用することを目的として定められたものである。このような本件要綱の目的からすると,退職勧奨 ,退職勧奨に応じやすくするため,退職勧奨に応じた者の退職後の処遇として一定期間に限って非常勤職員として再雇用することを目的として定められたものである。このような本件要綱の目的からすると,退職勧奨にできるだけ多く応じてもらうことが重要であり,教職員であったことによる能力,経験を活用するものである限り,業務範囲を広。 ,,く認めていくことが制度の目的に適合するものであるそして本制度は大阪府教委が教職員の過員と高年齢化の解消及び財政負担の軽減を図るためのリストラ策として設置したものであるから,大阪府教委はこの制度により退職勧奨に応じた退職者に対する義務として,派遣先の市町村において,必ず特嘱員として業務配置がされるようにする義務があることからしても,原告主張のような業務範囲に限定することは,この制度の趣旨からしてあり得ないものであり,少なくとも,本件で行われている社会教育に関する業務の程度までは業務範囲とされていたものである。 なお,原告は,当該派遣特嘱員は,学校以外の施設における業務に関して援助の意味に値するだけの能力・経験を有しないのが通例であるなどと主張しているが,全額返還対象者の学校外施設における業務は,見事に教職員であったことの能力,経験を活用した業務であることから,この原告の主張も失当である。 イ原告は,派遣特嘱員の業務範囲が限定されることは制度発足当初から周知してきたし,各市町村教委もこれを十分に認識していたと主張するが,本件監査結果においても,周知が不十分であったことや,不明確な運用が長年慣習的に行われてきたことが認定されており,原告の上記主張は事実とは全く異なる。 ウ府立学校教職員又は府費負担教職員で退職した特嘱員については,大阪府立学校の特嘱員となる者及び大阪府教委事務局及び学校以外の大阪府の教育機関( されており,原告の上記主張は事実とは全く異なる。 ウ府立学校教職員又は府費負担教職員で退職した特嘱員については,大阪府立学校の特嘱員となる者及び大阪府教委事務局及び学校以外の大阪府の教育機関(社会教育を含む)の特嘱員となる者については,前者につい。 ては本件要綱により,後者については別件要綱により処理されるが,府費負担教職員で退職し市町村教委に派遣される特嘱員については本件要綱しかなく,原告が認めている学校外施設を含め本件要綱ですべて処置されなければならないのであるから,府費負担教職員で退職し市町村教委に派遣される特嘱員の業務範囲については,別件要綱の業務範囲を含む広いものであると解される。 また,別件要綱の定義規定においても「退職した職員でその能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員として雇用されている者」と本件要綱と同じ文言を用いながら,元府立学校教職員であったAらを社会教育の業務に特嘱員として配置している。したがって,元教職員であった者の能力,経験を活用する業務の解釈としては,学校教育やこれと密接に結びついた業務に限定されるものではなく,社会教育等の業務も含むものというべきである。 (2) 本件要綱の拘束力(争点1②)(原告の主張)ア本件要綱の規範としての効力(地教行法48条の非拘束性,法律の根拠の要否と給付行政の付款的効力,本件要綱の制定改廃権限等)本件要綱は,大阪府教委が地教行法48条1項又は4項による援助を行 うために,その権限に属する事務に関して定めたものであり,地教行法14条2項にいう「教育委員会の定める規程」に該当する。本件要綱は,特嘱員を派遣する原告(大阪府)と,その援助を受ける市町村との間の公法上の関係に関しては,当該援助の内容その他の事項を規定する拘束力を持った規範としての効力を有する。 ま 」に該当する。本件要綱は,特嘱員を派遣する原告(大阪府)と,その援助を受ける市町村との間の公法上の関係に関しては,当該援助の内容その他の事項を規定する拘束力を持った規範としての効力を有する。 また,本件特嘱員制度は,大阪府教委が地教行法48条1項に基づく援助として行うものであり,いわゆる給付行政に属するところ,大阪府教委が,上記援助に係る給付行政において,派遣特嘱員が従事する職務の範囲を学校教育に関する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務)に限定しているのは,援助に係る給付の流用等を防止しその他援助の目的を達成するために,援助に係る給付に関して被援助者を拘束するための付款としての効果をもたらすことを目的としている。すなわち,本件要綱の内容は,実質的にみて,特嘱員の派遣といういわゆる給付行政に付随する付款的効力を有するものであり,このような給付行政に伴う付款的役割を果たす拘束力を定めるには,必ずしも法律の根拠は必要ではない。 被告は,地教行法48条による援助は拘束力のないものとして定められていると主張し,その根拠として地方自治の本旨,各地方公共団体の主権の尊重等を挙げるが,このような主張には何ら根拠がない。地教行法48条は,大阪府教委が行う援助が同法の規定に適合するものである限り,必要かつ合理的な範囲で拘束を課すことを何ら禁止していない。また,被告は,地教行法14条2項にいう「教育委員会の定める規程」の制定は教育長にも委任することができないから,課長が制定した本件要綱は内部規定であり外部に対し法的効力を有しない旨主張するが,ここでいう「委任」とは,内部的な委任である「専決」ではなく権限の委譲を伴う「委任」を指しており,本件要綱は,大阪府教育委員会事務決裁規則,大阪府教育委 員会事務局事務決裁規程に基づき,大 が,ここでいう「委任」とは,内部的な委任である「専決」ではなく権限の委譲を伴う「委任」を指しており,本件要綱は,大阪府教育委員会事務決裁規則,大阪府教育委 員会事務局事務決裁規程に基づき,大阪府教委から内部的に委任された専決権限に基づき,教職員課長等の決裁により制定,改正され,大阪府教委の定める要綱として外部に表示されたものである。したがって,本件要綱は単なる内部規程ではない。また,被告は,大阪府教委事務局の課長には「援助」の専決権限が与えられていないから本件要綱は無効であると主張,,,するが本件要綱に基づく特嘱員の任免特嘱員の派遣等に関する事項は大阪府事務決裁規則4条,6条に基づき教職員企画課長に専決権限が与えられており,同課長が本件要綱の改正等の専決権限を有することは明らかである。 イ特嘱員の業務内容の決定権者特嘱員の従事する職務の内容を決定する権限は,本来的には特嘱員の任命権者である大阪府教委にある。そして,本件の派遣特嘱員についても,その業務の内容を決定する権限は,任命権者であり地教行法48条1項及び4項の援助として特嘱員を派遣する大阪府教委にあり,派遣・援助を受ける市町村教委は大阪府教委が本件要綱により定める業務の範囲を超えて,派遣特嘱員の業務内容を決定する権限はない。したがって,所属長である市町村教委又は校長は,大阪府教委が本件要綱により定める業務の範囲内において,派遣特嘱員の業務内容を決定できるにすぎない。 ウ大阪府教委の制度設計に係る裁量権本件特嘱員制度は,大阪府教委が独自に定めた制度であり,その報酬等も原告が全額を負担している。このため,本件特嘱員制度の内容については,地教行法48条の趣旨に適合する範囲において,大阪府教委が大幅な裁量権を有しており,その裁量権に基づいて本件要綱を制定,運用してい 告が全額を負担している。このため,本件特嘱員制度の内容については,地教行法48条の趣旨に適合する範囲において,大阪府教委が大幅な裁量権を有しており,その裁量権に基づいて本件要綱を制定,運用している。地教行法48条1項,4項の解釈に照らしても,大阪府教委がその裁量により特嘱員が派遣先の市町村において従事する職務を,広く「教育に関する事務」全般ではなく,一定の範囲の業務に限定することは当然に可 能である。 エ派遣手続等から導かれる拘束力(実質的な合意),,,各市町村教委が本件要綱が定めるところに従って大阪府教委に対し特定の退職した府費負担教職員を若特・特嘱に任命するとともに,当該若特・特嘱を特定の当該市町村の小中学校へ派遣するよう求める派遣内申書を提出し,大阪府教委がこの派遣内申書に基づいて当該元府費負担教職員を若特・特嘱に任命した上,当該市町村に派遣するという手続自体に,本件要綱の市町村に対する拘束力の根拠を求めることができる。地教行法48条の援助は,市町村の同意を得て行うべきものと解されていることからしても,上記派遣内申は市町村の同意を制度化したものと解することができ,この同意には若特・特嘱が従事する業務の範囲その他本件要綱に基づく制度全体に対する同意の趣旨が含まれると解される。 公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(以下「公務員派遣法」という)の法律構成を類推すれば,大阪府教委と各市町村。 との間では,特嘱員の派遣に関して,本件要綱の定め並びに派遣内申書及びこれに添付される辞令・発令通知書案,通勤届等の書類の記載事項を実質的な内容とする実質的な合意が成立していると解することができ,この実質的な合意は,上記法律にいう「取決め」に相当するものといえる。 (被告の主張)ア本件要綱の規範としての効力(地教 記載事項を実質的な内容とする実質的な合意が成立していると解することができ,この実質的な合意は,上記法律にいう「取決め」に相当するものといえる。 (被告の主張)ア本件要綱の規範としての効力(地教行法48条の非拘束性,法律の根拠の要否と給付行政の付款的効力,本件要綱の制定改廃権限等)原告は,本件要綱が地教行法14条2項にいう「教育委員会の定める規程」に該当し,拘束力をもった規範としての効力を有する旨主張する。 しかし,地教行法48条に基づく援助は,地方自治の本旨により,各地方自治体の主権を尊重すべき観点から市町村を拘束することができないものとして定められているものであるから,本件が地教行法48条の援助で ある以上,派遣特嘱員の業務範囲について大阪府教委が制限し,これを市町村教委に強制することはできない。また,そのほかに市町村教委に対し拘束力のある援助の規定を制定し得る定めもない。したがって,法律による行政の原理に基づき,大阪府教委は,市町村教委を拘束し得る援助の規定を制定することはできないし,制定しても無効であって,市町村教委に対する拘束力を有しない。 また,地教行法14条2項にいう「教育委員会の定める規程」とは,教育委員会が直接定めなければならないものであり,教育長にも委任することができないと解されるところ,本件要綱は,大阪府教委の補助機関である課長が内部事務分掌規定に基づき制定した内部規定であり,いわゆる行政規則であって外部に対し法的効力を有しない。しかも,事務決裁規程によれば,課長の専決事項として「援助」は規定されておらず,この点からも,教職員課長が制定,改正した本件要綱の援助に関する規定は無効である。 また,市町村教委が大阪府教委から地教行法48条の援助として派遣される特嘱員を市町村教委の施設に配置し教育に関する事務を行 らも,教職員課長が制定,改正した本件要綱の援助に関する規定は無効である。 また,市町村教委が大阪府教委から地教行法48条の援助として派遣される特嘱員を市町村教委の施設に配置し教育に関する事務を行わせることは,地方自治法245条の6第2号の市町村教委の自治事務である。そうすると,大阪府教委が市町村教委に特嘱員を派遣し,市町村教委の教育に関する事務を行わせることは,市町村教委の教育に関する自治事務に関する関与であるしたがって大阪府教委は地方自治法の関与法定主義同。 ,,(法245条の2)の下では,同法245条の6の「是正の勧告」ができるにとどまり,しかもこの是正の勧告は法的拘束力がないことから,大阪府教委は,市町村教委が自治事務として行った業務配置については,これを容認しなければならず,その業務配置は違法とはいえないこととなる。しかも,地教行法48条の援助は法的拘束力のない非権力的なものとして定められていることから,市町村教委が自治事務として行った業務配置が法 令の規定に違反していることにはならず,またこれが著しく適正を欠きかつ公益を害しているものにも当たらないことから,是正の勧告すらできないものであり,市町村教委の業務配置は違法とはならないものである。 イ特嘱員の業務内容の決定権者原告は,派遣特嘱員が従事する職務の内容を決定する権限は任命権者である大阪府教委にあると主張する。しかし,原告は別件訴訟では特嘱員が従事する業務内容及び勤務場所については市町村教委に決定する権限があると主張していたのであり,本件訴訟における原告の主張は失当である。 また,前述のとおり,地教行法48条の援助は市町村教委を拘束することができず,本件要綱による業務の限定の市町村教委に対する拘束力は市町村教委の自主独立性を損なわない程度にとどまる 主張は失当である。 また,前述のとおり,地教行法48条の援助は市町村教委を拘束することができず,本件要綱による業務の限定の市町村教委に対する拘束力は市町村教委の自主独立性を損なわない程度にとどまるものであるから,派遣特嘱員の業務内容の決定権は派遣先である市町村教委にある。 ウ大阪府教委の制度設計に係る裁量権地教行法48条による都道府県教委の市町村教委に対する援助は,地方自治の本旨に基づき市町村教委の自主性,独立性を尊重するとの観点から拘束力を有しない非権力的な措置であるとされており,市町村教委において大幅な裁量権が認められると解すべきであり,かかる裁量権を排除するような拘束力ある定めは,地教行法48条の援助としては認められないものと解すべきである。本件特嘱員制度が府の財政負担軽減等のリストラ制度であって,特嘱員の配置につき市町村教委に協力を願う性格のものであることからしても,市町村教委に対してこそ,特嘱員の業務配置につき大幅な決定権限があるとされなければならない。 原告は,特嘱員の報酬を負担していることをもって大幅な裁量権があると主張するが,本件特嘱員制度が,大阪府が府内の高年齢教職員の早期退職と府の財政負担軽減のリストラ策のために創設された制度であることから,大阪府は,この制度の目的と合理性の下にこの制度により退職勧奨に 応じた者に対して,必ず,派遣先市町村において,特嘱員として業務配置が容易にできるように,特嘱員の業務範囲を定めておく義務を有するものであり,その範囲で裁量も限定されるものである。大阪府に大幅な裁量権があるというものではない。少なくとも全額返還対象者の程度まで業務範囲とすべきものであった。また,原告は本件特嘱員制度を利用したリストラ策により莫大な財政的利益を得ている上に,退職勧奨を市教委に行わせてその後の特 ではない。少なくとも全額返還対象者の程度まで業務範囲とすべきものであった。また,原告は本件特嘱員制度を利用したリストラ策により莫大な財政的利益を得ている上に,退職勧奨を市教委に行わせてその後の特嘱員の配置につき市教委に相当の苦心をさせているものであり,上記原告の主張はきわめて不当である。 エ派遣手続等から導かれる拘束力(実質的な合意)本件監査結果は,本件についての事実認定において「大阪府教委は),(学校以外の配置についても長年に渡り黙認してきたというべき実情にあるといわざるを得ない「配置先は学校が基本としつつも例外もあり得ると」も受け取れる指導をしていた」と認定しており,また,本件監査結果の記載によれば,大阪府教委は,自己反省として,特嘱員の運用の周知や勤務の状況等の実態把握が不十分であったことを自認している。これらの点からして,原告の主張する業務範囲について合意などできるはずのものではなく,いかなる意味においても原告主張の業務範囲について実質的合意など存在しない。 市教委の派遣内申はすべて特嘱員は学校内に勤務する内容となっているが,だからといってすべての特嘱員を学校内に勤務させるとの同意をしている訳ではない。これは,原告が適法な業務であることを認めている学校外勤務者が極めて多数である事実からも明らかである。また,豊中市教委は昭和60年度から派遣特嘱員を受け入れているが,最初の業務は青少年課(青年の家いぶき」のプラネタリウム係)であり,社会教育施設勤務「であって,原告の主張する業務範囲とする合意などしていなかったことも明らかである。別件訴訟においても,原告は「府教委の任命行為は,上記 辞令案に記載された勤務場所を前提とし又は条件とするものではなく,また,大阪府教委が当該勤務場所で勤務することを命じたものでもない」と主 。別件訴訟においても,原告は「府教委の任命行為は,上記 辞令案に記載された勤務場所を前提とし又は条件とするものではなく,また,大阪府教委が当該勤務場所で勤務することを命じたものでもない」と主張しているのであり,派遣内申の文言にかかわらず,大阪府教委は学校外勤務もあり得ることを想定している。 原告は,公務員派遣法の法律構成を類推すれば,実質的な合意が成立していると解することができ,この実質的な合意は,上記法律にいう「取決め」に相当すると主張するが,上記法律は,地方公共団体と派遣先法人との間に派遣職員を従事させる業務について,条例で「取決め」をすることを規定し,かつ「取決め」を実際上明確に行っている必要があること,,及び当該派遣職員に「取決め」の内容を明示し,その同意を得なければならないとしているものである。しかしながら,本件特嘱員制度はそのようなことはされていない。また,前述のように,本件監査結果は,学校外配置が長期にわたり大阪府教委から黙認されていたこと,大阪府教委は特嘱員の運用で,周知が不十分であったとして反省していることなど業務内容について「取決め」をしているとは到底認められるものではなく,原告の主張は失当である。 (3) 大阪府教委による黙示の承諾の有無(争点1③)(被告の主張)豊中市教委は,学校外配置を自由に決定するとともに,大阪府教委にその報告も交通費相当額の変更手続も行っていなかったが,このような運用は大阪府から派遣特嘱員を受け入れていたすべての市町村教委において同様であり,しかも,制度が発足した昭和53年以降20年以上にわたり,すべての市町村教委においてされていなかった。大阪府教委の特嘱員取扱窓口であり市町村教委に対する教職員の退職勧奨の督励の任に当たっていた大阪府教委教育事務所(平成8年から教育振興センター にわたり,すべての市町村教委においてされていなかった。大阪府教委の特嘱員取扱窓口であり市町村教委に対する教職員の退職勧奨の督励の任に当たっていた大阪府教委教育事務所(平成8年から教育振興センター)は,各市町村教委と頻繁に人事交流があったことから,当然このような内容は知っていたものであるが, 長年にわたり黙認してきたものである。このような経緯からすると,豊中市教委の上記措置は長期の慣行的な措置であり,大阪府教委の黙示の承諾に基づくものであったというべきであり,いまさら違法といわれるべきものではない。 大阪府教委の黙示の承諾があったことについては,本件監査結果が本件について調査の上「学校以外の配置については長年にわたり黙認してきた」,(甲2,11頁)と認定している事実がある。また本件特嘱員制度は,高年齢教職員の早期退職と府の財政負担の軽減を図る府教委の推進したリストラ策のための制度であり,従って大阪府教委は,退職勧奨に応じた者は必ず特嘱員として採用し,派遣先市町村教委において能力・経験を活用する業務に従事できるようにしなければならない義務もあるところから,たとい一定の,「」業務制限を考えていたとしても地教行法48条の学校教育に関する事務の範囲で業務制限をゆるめても特嘱員の業務配置ができるようにする立場にあった。そして,業務制限をゆるめることによって,退職勧奨によって生じた大量の特嘱員を吸収し府のリストラ策の実現にも大きく寄与することにもなるものであった。これらのことも,大阪府教委が市町村教委の学校外配置を黙認してきた事情である。 (原告の主張)豊中市教委その他の市町村教委が派遣特嘱員の学校外配置や交通費相当額報酬の変更手続を一切とらなかったことからすれば,大阪府教委の教育事務所(教育振興センター)や事務局が豊中市教委等の (原告の主張)豊中市教委その他の市町村教委が派遣特嘱員の学校外配置や交通費相当額報酬の変更手続を一切とらなかったことからすれば,大阪府教委の教育事務所(教育振興センター)や事務局が豊中市教委等のこれらの行為を黙認ないし黙示に承諾していたような事実はない。市町村教委と大阪府教委との間に人事交流があったとしても,市町村教委から届出や承認申請がない限り,個別の派遣特嘱員が大阪府教委の承認や変更手続もなく継続的に学校外の施設において勤務しているかどうか,その業務が本件要綱の予定する業務範囲を逸脱するかどうか等を認識し判断することは極めて困難である。また,派遣 特嘱員の勤務場所や勤務条件が変更される場合は,当該派遣特嘱員に対し支給すべき報酬額や交通費相当額の変更が必要となることがほとんどであり,このような公金の支出に関係する派遣特嘱員の勤務場所の変更について,大阪府教委が,そのことを知った上で,変更手続を取ることなくこれを黙認したり,黙示の承諾をすることはあり得ない。 (4) 派遣特嘱員が従事し得る業務範囲逸脱の有無(争点1④)(原告の主張)全額返還対象者が従事した業務は,別紙1の1記載のとおり,ア豊中市教委の青少年課が所管する「青年の家いぶき」における社会教育の一環としての青少年一般を対象とした陶芸・木工の指導等に関する業務,イ豊中市総務部が行う市史(教育編)の研究及び編纂に関する業務,ウ人権啓発指導員として地域住民等を対象とした社会教育の一環としての人権啓発に関する業務であるところ,いずれも学校教育に関する業務又は学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務)に当たらず,本来,同市の一般職員が果たすべきものである。また,通常,府費負担教職員は現役時に上記のような業務に従事することはなく,派 連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準じた業務)に当たらず,本来,同市の一般職員が果たすべきものである。また,通常,府費負担教職員は現役時に上記のような業務に従事することはなく,派遣特嘱員が上記のような業務に従事することは,その能力,経験を活用することにはなり得ない。したがって,豊中市教委が全額返還対象者にこのような業務を行わせたことは,本件要綱により定められた派遣特嘱員が従事し得る業務の範囲を逸脱するものである。 (被告の主張),「」全額返還対象者が従事した業務は地教行法48条の教育に関する事務の範囲内であって,上記(1)から(3)までの被告の主張のとおり,違法ではない。 また,上記(1)から(3)までの原告の主張を前提としても,ア豊中市教委の青少年課が所管する「青年の家いぶき」における社会教育の一環としての 青少年一般を対象とした陶芸・木工,音楽の指導に関する業務については,学校教育の図工,音楽を向上させるものであり,教職員であった能力,経験を活用し得る業務であること,及び実際の運営においても小・中学生が中心であったことから,学校教育に密接に結びついた業務として本件要綱の範囲内の業務である。また,イ豊中市総務部が行う市史(教育編)の研究及び編纂に関する業務については,学校関係資料を収集整理して提供する業務であり,教職員であった能力,経験を活用し得る業務であることから,学校教育に密接に関連する補助業務として本件要綱の範囲内の業務である。また,ウ人権啓発指導員として地域住民等を対象とした社会教育の一環としての人権啓発に関する業務については,人権教育(道徳教育)に関するものであり,実際の運営においても,児童・生徒の保護者に対する人権についての家庭教育,地域教育であり,あわせて,学校と連携して児童・生徒 人権啓発に関する業務については,人権教育(道徳教育)に関するものであり,実際の運営においても,児童・生徒の保護者に対する人権についての家庭教育,地域教育であり,あわせて,学校と連携して児童・生徒等から人権に関する読書感想文,標語,ポスターを募集するなど児童・生徒の人権意識向上を図るなどの教育活動をしており,学校教育に密接に結びついた業務として本件要綱の範囲内の業務である。また,社会教育法3条2項が「社会,教育が学校教育及び家庭教育と密接な関連性を有する」と規定していることからも,社会教育は本来的に学校教育と密接な関連を有するものであり,まして,本件の社会教育施設での業務内容の実態からして,一層学校教育との関連性が強いことから,原告主張の「学校教育に密接に関連する業務」に当たるものである。 交通費過払額返還対象者分及び全額返還対象者の交通費過払額分原告は,被告が派遣特嘱員を届出に係る勤務場所と異なる勤務場所において業務に従事させていたことを理由として,被告に対し,交通費過払額を不当利得として返還請求することができるか(争点2。 )(原告の主張の骨子)豊中市教委は,若特・特嘱に対して当初辞令案に記載された勤務場所以外の 施設の業務に従事させており,原告は,被告に対し,交通費過払額として,交通費過払額返還対象者については150万8699円,全額返還対象者(ただし,報酬全額の返還に係る主位的主張が認められなかった場合)については86万445円を不当利得として返還請求することができる(争点2①。 )大阪府教委は,豊中市教委が無断で特嘱員を学校外に配置したり,交通費の変更手続を取らなかったりしたことにつき,黙示的に承諾したことはない(争点2②。 )(被告の主張の骨子)特嘱員に対する報酬(交通費加算額等を含む)は,原告から特嘱員 を学校外に配置したり,交通費の変更手続を取らなかったりしたことにつき,黙示的に承諾したことはない(争点2②。 )(被告の主張の骨子)特嘱員に対する報酬(交通費加算額等を含む)は,原告から特嘱員に対し。 直接支払われ,被告に支払われたものはないから,交通費加算額等に過払分があるとしても,原告と特嘱員との間の問題であり,被告には利得が存在せず不当利得は成立しない(争点2①。また,豊中市教委が当初辞令案と異なる配)置を決定したり,交通費の変更手続を取らなかったりしたことは,他の自治体と同様に長期の慣行となっており,大阪府教委の黙示の承諾があったというべきであるから,不当利得は成立しない(争点2②。 )(1) 被告の利得の有無(争点2①)(原告の主張)豊中市教委は,若特・特嘱に対して当初辞令案に記載された勤務場所以外の施設において勤務を命じる場合は,原告にその旨を届け出て交通費相当額の変更を求めるべきところ,その手続をしなかったために当該若特・特嘱に対する当初定められた勤務場所に係る交通費加算額等の支給が違法,無効であることから,当該交通費加算額等は,被告がその全部を負担すべきものである。しかし,原告が支給した当初定められた勤務場所に係る交通費加算額等のうち,実際の勤務場所に係る交通費相当額に相当する部分については,若特・特嘱の派遣者としての原告において,派遣目的が達成されたことにより法律上の利益を得ている。この結果,被告は,当初定められた勤務場所に かかる交通費加算額等と実際の勤務場所に係る交通費加算額との差額(交通),。 費過払額について法律上の原因なくして不当に利得したものと解される(被告の主張),,特嘱員は大阪府教委が任命する非常勤の職員であるが本件要綱によれば交通費相当額として月額5万円の範囲内で必要額を報 払額について法律上の原因なくして不当に利得したものと解される(被告の主張),,特嘱員は大阪府教委が任命する非常勤の職員であるが本件要綱によれば交通費相当額として月額5万円の範囲内で必要額を報酬月額に加算することができるものとされており,交通費加算額を含む各特嘱員の具体的な報酬月額については,大阪府教委が任命権者として決定するものである。そして,報酬月額授受の当事者は大阪府教委と特嘱員であり,特嘱員に対する報酬月額は,原告から特嘱員に対し直接に支払われている。したがって,交通費過払額があるとしても,原告と特嘱員との間の問題であり,豊中市教委に支払われたものはないから,被告には利得が存在しない。 (2) 大阪府教委による黙示の承諾の有無(争点2②)(被告の主張)上記1(3)(被告の主張)に記載した事情の下にあっては,変更手続をし,。 ないことによって交通費加算額等の支給が違法・無効となるものではないそして,大阪府教委は,勤務先の変更手続をしないことを含めて黙認していることから,勤務先変更に伴う交通費加算額等の過不足についても異議を言わないことを認めていることになるものであり,勤務場所の変更により交通費加算額等に過不足が生じていた者があったとしても,過払になったことに関して,いまさら市町村や当該特嘱員に不当利得として返還請求できるものではない。 (原告の主張)上記1(3)(原告の主張)に同じ。 第5全額返還対象者分についての当裁判所の判断 本件要綱の解釈上派遣特嘱員が従事し得る業務の範囲(争点1①)について(1) 認定事実 前記前提となる事実に証拠(甲1,6,10~21,23,26~45,50,54~58,77,79~81,83,乙7,20,46,47,5,,,,,), 証人B証人C証人 記前提となる事実に証拠(甲1,6,10~21,23,26~45,50,54~58,77,79~81,83,乙7,20,46,47,5,,,,,), 証人B証人C証人D及び弁論の全趣旨を総合すれば以下の事実が認められる。 ア大阪府教委は,昭和53年度から,人事の刷新,能率の向上及び財政負担の軽減を図るため,高年齢の府費負担教職員に対し早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,退職勧奨に応じた教職員の退職後の処遇として,一定の期間に限って「非常勤特別嘱託員(特嘱)として任用した」上,地教行法48条に基づき,市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るために必要な援助として,特嘱を市町村に派遣してきた。また,平成9年度からは,教職員定数の急減の中で必要最小限の新規採用教員の確保を図るため,退職勧奨の年齢範囲を広げた「非常勤若年特別嘱託員(若」特)の制度を設け,同じく市町村に派遣してきた。 若特及び特嘱は,一般職ではなく,地方公務員法3条3項3号に該当する特別職(非常勤の嘱託員)の地方公務員に該当する(したがって,同法4条により,同法の規定は原則として適用されない。 。)特嘱員の収入は,その報酬月額は平成13年度においては特嘱が14万8000円,若特が22万2000円とされ,賞与はないものとされており,その年収は,特嘱員になる直前の年齢の一般教職員の年収からみて3分の1ないし4分の1程度である。 ,()イ本件特嘱員制度は昭和53年に大阪府教委が制定した本件要綱甲1により運用されている。なお,本件要綱は,大阪府教委事務局の教職員課長の専決権限に基づく決裁により制定されたものであるため,制定時の大阪府教委の議事録は存在しない。また,制定時の決裁文書の所在は不明である。 本件要綱は,若特及び特嘱 は,大阪府教委事務局の教職員課長の専決権限に基づく決裁により制定されたものであるため,制定時の大阪府教委の議事録は存在しない。また,制定時の決裁文書の所在は不明である。 本件要綱は,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定める(1項) とされ若特及び特嘱の定義規定2項のほか特嘱員の勤務条件等雇,(),(用期間,勤務時間,年次有給休暇,特別休暇,報酬等,服務,福利厚生,災害補償,社会保険及びその他)を定めている。しかし,本件要綱には,本件特嘱員制度の趣旨,目的は明記されておらず,また,特嘱員が従事する業務範囲,その勤務場所について明確に定めた規定はない。 ただし,定義(2項)においては,若特及び特嘱のいずれについても,「その能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員として雇用されている者(平成13年度まで)あるいは「その能力,経験を活用しつつ,」所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職員として雇用されている者(平成14年度以降)と規定されている。 」,,,ウ本件特嘱員制度の趣旨目的については本件要綱に明記されておらずまた,本件要綱の制定又は改正時の資料にもこれを明らかにしたものはない。ただし,住民監査請求を契機として大阪府教委が作成した平成14年8月12日付け「豊中市非常勤特別嘱託員の雇用に係る住民監査請求答弁骨子(案(乙50)によれば,次のとおりとされている。 )」(ア)本件特嘱員制度の1点目の趣旨は,府費負担教職員の任用及び給与負担を担う大阪府としての人事政策と財政負担軽減の観点である。本件特嘱員制度は,60歳定年制が導入される以前の昭和53年度に,人事の刷新,能率の向上及び財政負担の軽減を図るため,高年齢の府費負担教職員に対し,早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,大阪 特嘱員制度は,60歳定年制が導入される以前の昭和53年度に,人事の刷新,能率の向上及び財政負担の軽減を図るため,高年齢の府費負担教職員に対し,早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,大阪府教委においては,その勧奨に応じた教職員の退職後の措置として,一定の期間に限って,非常勤として再雇用することとしたものである。現行では,定年前の59歳以下で早期に退職する者を再雇用する「非常勤若年特別嘱託員(若特)と,定年後に一定期間再雇用する(1年更新」で最長3年間「非常勤特別嘱託員(特嘱)の2種類の雇用形態があ)」り,特に,平成9年度に創設された「非常勤若年特別嘱託員」は,大阪 府内小中学校の教職員定数の急減が続く中で過員を生じさせることなく必要最小限の新規採用職員の確保を図るために,早期退職の勧奨を推進する上で極めて有効な制度であった。 (イ)2点目の趣旨は,市町村の教育に関する援助の観点である。退職する府費負担教職員を引き続き再雇用することにより,学校現場においてこれまで培ってきた教員としての経験や能力を活かすことができ,大阪府が特嘱員を派遣することで,市町村の教育行政に対する援助を府教委として行うものである。 (ウ)このように,本件特嘱員制度は,府費負担教職員であった者の退職後の活用方策であることから,市町村立学校職員給与負担法の趣旨に準,「,じるとともに地教行法48条1項は都道府県委員会は市町村に対し市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため,必要な指導,助言又は援助を行うことができる」と規定しており,市町村の教育に関す。 る援助の観点から,大阪府が給与等を支出しているものである。 エ大阪府教委が退職する府費負担教職員等を若特又は特嘱に任用する際の手続は,別紙3記載のとおりである。 上記手続においては,市 に関す。 る援助の観点から,大阪府が給与等を支出しているものである。 エ大阪府教委が退職する府費負担教職員等を若特又は特嘱に任用する際の手続は,別紙3記載のとおりである。 上記手続においては,市町村教委から大阪府教委に派遣内申が提出されるところ,派遣内申には大阪府教委名の発令通知書案と市町村教委名の辞令案を添付することが定められているそして豊中市の辞令案には大。 ,,「阪府豊中市公立学校非常勤特別嘱託員に任命する豊中市立学校に勤務を命ずるただし,期間は平成年月日までとする」との文字が印。 刷され,派遣内申の提出時に,当該特嘱員の勤務場所となる特定の小中学校等の学校名が記載されることとなっている。また,発令通知書案には,「()」大阪府公立学校非常勤特別嘱託員に任命する中略豊中市へ派遣するとの文字が印刷されている。また,派遣内申には,当該特嘱員の通勤届が添付されることとなっており,通勤届には勤務公署として具体的な市町村 立学校の名称が記載され,これに基づいて,当該特嘱員の交通費相当額が算定され,本件要綱7項(1)②の報酬加算額が決定される。 派遣内申に添付される辞令案においては,勤務場所はすべて市町村立の学校が記載されており,学校以外の施設を特嘱員の勤務場所とする辞令案をもって任用,発令が行われたことはなかった。また,派遣特嘱員を学校外施設に配置することは大阪府内の多数の市町村において行われていたが,学校外施設配置の問題が顕在化する以前において,そのことが大阪府教委に報告されたことはない。 オ大阪府教委においては,本件要綱のほかに,地方公務員法3条3項3号に規定する非常勤職員のうちで大阪府教委の事務局及び学校以外の教育機関において雇用する非常勤職員の取扱いに関し必要な事項を定めるため「非常勤職員 おいては,本件要綱のほかに,地方公務員法3条3項3号に規定する非常勤職員のうちで大阪府教委の事務局及び学校以外の教育機関において雇用する非常勤職員の取扱いに関し必要な事項を定めるため「非常勤職員取扱要綱(甲53)を制定しており,さらに,同要綱2条」2号に規定する非常勤嘱託員(非常勤職員のうち,特殊な技能又は専門的知識の提供に対して,その対価が原則として報酬の予算科目で支払われるものをいう)のうち,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定める。 ため,別件要綱(甲54)を制定している。ただし,本件要綱に基づく特嘱員の任用手続等は教職員人事課が所管,担当するが,別件要綱については総務企画課(現教育総務企画課)が所管,担当している。 別件要綱は,若特及び特嘱の定義規定(2項)を置いており,そのいずれについても「その能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員と,して雇用されている者」と規定されている。また,別件要綱においても特嘱員の業務範囲は明記されておらず,同要綱に基づいて,元府立学校教職員の特嘱員が,大阪府教育センターの地域教育室や,大阪府教委事務局の地域教育振興課社会教育グループなどの社会教育に関する業務を行う部署に配置されている。 カ大阪府教委は,平成13年10月30日,大阪府都市教職員人事主担課 長会(大阪府内の市教委の人事担当課長等が意見交換等を行うための会)において,事前に,同会から大阪府教委に対し「非常勤若年特別嘱託員,等については,本人の能力を生かせるよう学校以外の教育機関勤務も可能にしていただきたい」という要望が出されたため「非常勤若年特別嘱。 ,託員や非常勤特別嘱託員については,その能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員として雇用する制度であり,府費負担教職員である市町村立学校の教職員につきまし されたため「非常勤若年特別嘱。 ,託員や非常勤特別嘱託員については,その能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員として雇用する制度であり,府費負担教職員である市町村立学校の教職員につきましても,この制度の趣旨及び市町村立学校において引き続き勤務する点から,府費負担により雇用しておりますことをご理解いただきたいと存じます」と回答する旨の回答要旨案(甲50)を。 作成した。 ,,,また大阪府教委は本件特嘱員制度運用開始から平成13年ころまで市町村又は市町村教委に対し,派遣特嘱員の勤務場所や業務内容についての通知等を発することはなかったが「その職務内容及び運用をより明確化,するため」として,同年12月18日付けで,各市町村教育委員会教育長に対し非常勤若年特別嘱託員・非常勤特別嘱託員制度の運用について通,「(知(教委職人第414号(甲23,乙7)を発し,派遣特嘱員の職務)」)内容を具体的に例示する通知を行い,当該通知において,本件特嘱員制度の運用に関する基本的な考え方,特嘱員の職務内容の明確化及び特嘱員の配置方針を示した。上記通知においては,特嘱員(教育職員)の職務内容の例示,,,,,,として学習指導生徒指導進路指導校区における地域連携教務関係庶務関係,環境整備,安全確保,その他(図書館業務,文化活動,養護学級指導,給食指導,教育相談,コンピューター指導,保健指導等)が掲げられている。 キ大阪府教委の調査によれば,平成14年度に特嘱員に任命された元校長,(. )()。 279人のうち190人 1%が学校外勤務であった甲81また,平成14年度に特嘱員に任命された元府費負担教職員2274人の うち,学校に勤務していた者の割合は1996人(87.8%)であり,学校外の施 0人 1%が学校外勤務であった甲81また,平成14年度に特嘱員に任命された元府費負担教職員2274人の うち,学校に勤務していた者の割合は1996人(87.8%)であり,学校外の施設に勤務していた者の割合は278人(12.2%)である。 また,大阪府内の43市町村のうち,特嘱員がすべて学校に勤務していたのは23市町村であり,特嘱員の一部が学校外施設に勤務していたのは20市町(大阪市,堺市を含む)である(甲83。 。 )(2) 検討上記認定事実に基づき,本件要綱の解釈上,派遣特嘱員が従事し得る業務の範囲が,学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務)に限定されていると解することができるかにつき,以下,原告が上記解釈の根拠として主張する点を中心に検討する。 ア本件要綱の文言について(ア)前記認定事実のとおり,若特及び特嘱の取扱いに関し必要な事項を定める本件要綱は,若特及び特嘱の定義規定(2項)のほか,特嘱員の勤務条件等(雇用期間,勤務時間,年次有給休暇,特別休暇,報酬等,服務,福利厚生,災害補償,社会保険及びその他)に関する規定を置いているが,本件要綱には,本件特嘱員制度の趣旨,目的は明記されておらず,また,特嘱員が従事する業務範囲,その勤務場所について明確に定めた規定はない。 (イ)原告は,本件要綱に業務範囲についての明確な規定がないことを認めつつ,若特及び特嘱の定義(2項)において「その能力,経験を活,用するために引き続き非常勤職員として雇用されている者(平成13」年度まで)あるいは「その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職員として雇用されている者(平成1」4年度以降)と規定されていることを根拠として,派遣特嘱員が従事する業務は学校 るいは「その能力,経験を活用しつつ,所属長が定める業務を行うために引き続き非常勤職員として雇用されている者(平成1」4年度以降)と規定されていることを根拠として,派遣特嘱員が従事する業務は学校教育に密接に関連する業務(府費負担教職員が一般に行う業務及びこれに準ずる業務)に限定されていると主張する。 しかし,本件要綱の定義規定(2項)は,その文言上,あくまでも若特と特嘱の定義を定めるものにすぎず,その従事する業務範囲を原告主張のとおり限定する趣旨を含むと解するのは困難であるし,そのような趣旨を含むものとして規定されたことを裏付けるに足りる制定又は改正時の資料等の証拠もない(さらに言えば,地方公務員法の解釈上,一般,,,的に同法3条3項3号の特別職である非常勤の嘱託員は特定の知識経験,技能等に基づいて随時地方公共団体の業務に参画する非専務職として位置づけられており,したがって,定義規定における「能力,経験を活用」という文言は,本件特嘱員制度における若特及び特嘱を特別職である非常勤の嘱託員に位置づけることを意図した文言であると考えるのが合理的であり,これに業務範囲を限定する趣旨が含まれていると解するのはそもそも無理がある。 。)また,元府費負担教職員の教職員としての「能力,経験」は,学校教育において培われたものであるとしても,これを社会教育や青少年教育等において活用し得ないということはできず,むしろ,このような社会教育や青少年教育等においても,学校教育において培われた元府費負担教職員の能力や経験が十分に活用され得るということは,社会通念に照らして是認されるものと考えられる。この点,原告は,元府費負担教職員は,社会教育等の業務に関しては「援助の意味に値するだけの能力,経験を有しないのが通例である」とするが,これを認めるに 社会通念に照らして是認されるものと考えられる。この点,原告は,元府費負担教職員は,社会教育等の業務に関しては「援助の意味に値するだけの能力,経験を有しないのが通例である」とするが,これを認めるに足りる証拠はない。むしろ,学校教育と社会教育等とが密接な関連性を有していることを考慮すれば,学校教育における経験等が社会教育等においても活用されることが期待できるところであって,元府費負担教職員の能力,経験の活用ということが,本件要綱において業務範囲が限定されている根拠とはならないというべきである。 さらに,大阪府教委が制定した別件要綱においても,若特及び特嘱の 定義として「その能力,経験を活用するために引き続き非常勤職員と,して雇用されている者」という本件要綱とほぼ同様の表現が用いられているところ,前記認定事実のとおり,別件要綱に基づいて,元府立学校教職員の特嘱員が,大阪府教育センターの地域教育室や,大阪府教委事務局の地域教育振興課社会教育グループなどの社会教育に関する業務を行う部署に配置されていることからすれば,原告の立論は概念矛盾を来しているというほかはない(この点,原告は,本件要綱と別件要綱とで同じ文言が用いられているとしても,これを全く同じ意味に解さなければならない必要性はないなどと主張するが,これまでに述べたところに加え,担当課が異なるものの同じ大阪府教委が定めた要綱であることも考慮すると,これを殊更別異に解すべき理由は見出し難い。 。)(ウ)以上のとおり,若特及び特嘱の定義規定から,派遣特嘱員が従事し得る業務範囲が「学校教育に密接に関連する業務」に限定されるという原告の主張は,採用することができない。 イ本件特嘱員制度の趣旨,目的について,,,(ア)本件特嘱員制度は教職員の過員と高年齢化を解消し人事の刷新 育に密接に関連する業務」に限定されるという原告の主張は,採用することができない。 イ本件特嘱員制度の趣旨,目的について,,,(ア)本件特嘱員制度は教職員の過員と高年齢化を解消し人事の刷新能率の向上及び財政負担の軽減を図るため,並びに,大阪府内小中学校の教職員定数の急減が続く中で過員を生じさせることなく必要最小限度の新規採用職員の確保を図るため,高年齢教職員に対する早期退職の勧奨を推進する必要があったことから,退職勧奨に応じた教職員の退職後の処遇として,一定の期間に限って,元府費負担教職員を若特又は特嘱として任用(再雇用)し,地教行法48条1項又は4項の援助として,市町村に派遣するものである(以上につき当事者間に争いがない。 。)(イ)この点,原告は,本件特嘱員制度の趣旨,目的につき,上記の点に加えて,派遣特嘱員が市町村立学校等の学校教育に関する業務に従事することを本来の制度目的としているなどと主張し,これを原告主張の業 務範囲に限定されている根拠の一つとする。しかし,前記認定事実のとおり,本件特嘱員制度の趣旨,目的については,本件要綱に明記されておらず,また,本件要綱の制定又は改正時の資料にもこれを明らかにしたものはない(なお,住民監査請求を契機として大阪府教委が作成した平成14年8月12日付け「豊中市非常勤特別嘱託員の雇用に係る住民監査請求答弁骨子(案(乙50)の制度趣旨に関する記述をみて)」も「市町村の教育に関する援助「市町村の教育行政に対する援助」,」といった表現が用いられており,必ずしも市町村の学校教育に限定して援助する趣旨であることが明確にされている訳ではない。したがっ。)て,本件特嘱員制度が学校教育現場の業務に従事していた元府費負担教職員の退職後の援助制度であること,元府費負担教職員の に限定して援助する趣旨であることが明確にされている訳ではない。したがっ。)て,本件特嘱員制度が学校教育現場の業務に従事していた元府費負担教職員の退職後の援助制度であること,元府費負担教職員の能力,経験を活用するという観点や,後述する本件特嘱員制度の運用等から,同制度が,市町村立学校等の学校教育に関する援助を中心的な目的とし,派遣特嘱員が市町村立学校において学校教育に関する業務に従事することが基本的な在り方と予定していたとしても,それを超えて,同制度の目的が学校教育に対する援助に限定され,同制度の下で市町村の社会教育や青少年教育等に関する援助をすること(派遣特嘱員が社会教育や青少年教育等に関する業務に従事すること)を一切許さない趣旨であると解することはできず,また,これを認めるに足りる十分な証拠もない。 (ウ)また,本件特嘱員制度は,高年齢教職員に対する早期退職の勧奨を推進することを重要な目的としていたところ,この観点からすれば,本件特嘱員制度の運用においては,退職勧奨にできるだけ多く応じてもらうことがまず重要であったというべきであり,地教行法48条1項又は4項の援助として許容される限り,派遣特嘱員の業務範囲を殊更限定することなく高年齢教職員が退職勧奨に応じやすくすることが,本件特嘱員制度の人事政策上の目的に適うものであったということができる。そ して,本件特嘱員制度で学校現場以外で業務に従事した者の割合が1割を超え(甲83,特に校長経験者では6割を超えているところであり)(甲81,これらの特嘱員を学校現場でのみ受け入れることが可能で)あったというには多大な疑問が生じるところであって,本件特嘱員制度が,派遣特嘱員の従事する業務を学校教育に関する業務に限る趣旨(社会教育や青少年教育等に対する援助を一切許さない趣旨)のも 可能で)あったというには多大な疑問が生じるところであって,本件特嘱員制度が,派遣特嘱員の従事する業務を学校教育に関する業務に限る趣旨(社会教育や青少年教育等に対する援助を一切許さない趣旨)のものであるとは認め難いところである。 (エ)以上の点を考慮すれば,本件特嘱員制度の趣旨,目的から派遣特嘱員の業務範囲が「学校教育に密接に関連する業務」に限定される旨の原告の主張は,採用することができない。 ウ派遣特嘱員の勤務場所について(ア)本件要綱上,派遣特嘱員の勤務場所が学校に限定されないことは,当事者間に争いがない(なお,本件要綱において特嘱員の勤務場所を学校に限る旨の明確な規定はないこと,勤務時間の規定(4項)も学校以外の勤務場所を否定する趣旨であるとはいえないことからすれば,派遣特嘱員の勤務場所が学校に限定されないことは,本件要綱の解釈として正当なものというべきである。 。)したがって,派遣特嘱員の勤務場所が学校に限定されない以上,派遣特嘱員の勤務場所の観点からその業務範囲を限定することもできないというべきである。 (イ)これに対し,原告は,派遣特嘱員の勤務場所は基本的に学校であるとして,これに沿う運用に関する事情を挙げ,派遣特嘱員の業務範囲も学校に密接に関連する業務に限られる旨主張する。 しかし「基本的に」とあるとおり,派遣特嘱員が学校に配置されな,くてもよいことはその主張自体から明らかであるところ,本件要綱の解釈上,派遣特嘱員が学校以外の施設に配置されることが許されるのであ れば,学校以外の施設において社会教育や青少年教育等の業務に従事することも許されると解することにつき何ら支障はないのであり,派遣特嘱員の勤務場所が基本的に学校であるとしてその業務範囲の限定を導く原告の上記主張には確たる根拠を認めることはできず 育等の業務に従事することも許されると解することにつき何ら支障はないのであり,派遣特嘱員の勤務場所が基本的に学校であるとしてその業務範囲の限定を導く原告の上記主張には確たる根拠を認めることはできず,同主張を採用することはできない。 (ウ)なお,確かに,前記認定事実によれば,派遣内申に添付される辞令案には,豊中市であれば「大阪府豊中市公立学校非常勤特別嘱託員に任命する豊中市立学校に勤務を命ずる」と不動文字で記載され,空白部分に具体的な市町村立学校名が補充されることとなっていたのであり,通勤届にも同様に具体的な学校名が記載されるようになっていたというのであるから,任用手続に関する書類をみる限り,派遣特嘱員の勤務場所は辞令案に記載された市町村立学校であることが前提とされているようにみえる(また,大阪府教委が,本件要綱とは別に,特嘱員が大阪府教委の事務局等において勤務する場合の別件要綱を定めていることに照らせば,市町村に派遣されずに大阪府の施設等において勤務する特嘱員に関しては,本件要綱は府立学校における勤務を前提としていたとみるのが自然である。しかも,学校以外の施設を勤務場所とする辞。)令案をもって任用,発令が行われたことがなく,学校外配置の問題が顕在化するまでは,市町村教委から大阪府教委に対しこのような配置につき事後的に報告されたこともないこと,大阪府都市教職員人事主担課長会宛ての回答要旨(甲50)のとおり,同課長会から「非常勤若年特別嘱託員等については,本人の能力を生かせるよう学校以外の教育機関勤務も可能にしていただきたい」という要望が出されていたこと,勤務。 場所が学校であることを前提とし又は原則とする各市町村教委のパンフレット(甲66~69,73~75)があること,その他大阪府教委によるヒアリングの記録(甲79)など 要望が出されていたこと,勤務。 場所が学校であることを前提とし又は原則とする各市町村教委のパンフレット(甲66~69,73~75)があること,その他大阪府教委によるヒアリングの記録(甲79)などからすると,豊中市教委を含む各 市町村教委においても,任用手続の関係書類上は学校配置が前提とされているため,派遣特嘱員を学校以外の施設に勤務させることは制度の建前上許されないのではないかと考え,又はそのような疑問を持っていたとみる余地がある。しかし,原告は,住民監査請求,別件訴訟及び本件訴訟において,被告の利得が法律上の原因を欠くかどうかは,派遣特嘱員が学校で勤務しているかどうかにより判断されるものではなく,その従事する業務内容により判断されるものであると主張してきたのであって(乙12,50,弁論の全趣旨,原告のこのような主張を前提とす)る限り,豊中市教委が大阪府教委に無断で派遣特嘱員を辞令案の学校以外の施設に勤務させたことを理由として,本件要綱に違反するとか,被。 ,告の利得が法律上の原因を欠くことになるということはできないまた前述のとおり,本件要綱の解釈上,特嘱員の勤務場所が学校に限定されているということはできないのであるから,原告が主張する上記のような任用等に関する事情は,あくまでも運用上派遣特嘱員の勤務場所につ,,いて学校が前提とされていたことを示すにとどまり本件要綱の解釈上派遣特嘱員の業務範囲が原告主張のとおり限定されることを基礎付けるに足りるものではない。 エその他の原告の主張について(ア)平成13年12月18日付けの通知(甲23,乙7)等について,,大阪府教委は住民監査請求に先立つ平成13年12月18日付けで各市町村教育委員会教育長に対し「非常勤若年特別嘱託員・非常勤特,別嘱託員制度の運用について(通 通知(甲23,乙7)等について,,大阪府教委は住民監査請求に先立つ平成13年12月18日付けで各市町村教育委員会教育長に対し「非常勤若年特別嘱託員・非常勤特,別嘱託員制度の運用について(通知(教委職人第414号)を発し,)」,,派遣特嘱員の職務内容を具体的に例示する通知を行ったところ原告は「」,その例示がすべて学校教育に密接に関連する業務に該当するとして本件要綱の解釈上,派遣特嘱員の業務が上記の範囲に限定されていたことを裏付けるものであると主張する。 しかし,前記認定事実のとおり,大阪府教委は,本件特嘱員制度が昭和53年に運用を開始してから平成13年ころまでの20年以上にわたり,市町村又は市町村教委に対し,派遣特嘱員の勤務場所や業務内容についての通知等を発することはなかったというのであり,また,原告の解釈を裏付ける本件要綱制定時又は同改正時の議事録や資料は存在しないのであるから,結局,上記通知は,平成13年12月当時の大阪府教委が,本件要綱を解釈しこれを通知したものというほかはなく,その解釈が本件要綱の解釈として正当であることを基礎付ける根拠も客観的な証拠もないという点において,住民監査請求後に原告が行ってきた主張と根本的な差異はないのであり,上記通知をもって原告の解釈を裏付ける根拠となるものではない。また,同時期に作成された大阪府都市教職員人事主担課長会宛ての回答要旨(甲50)や,本件監査結果後の通知(甲24)等についても,上記と同様,当時の大阪府教委の解釈を示したものにすぎないというべきであって,原告の主張を裏付けるものではない。 ,,かえって豊中市教委と大阪府教委との間には頻繁な人事交流があり豊中市教委から人事異動として大阪府教委内の要職に就いている者も少なくないこと(乙43,44,46,証人 裏付けるものではない。 ,,かえって豊中市教委と大阪府教委との間には頻繁な人事交流があり豊中市教委から人事異動として大阪府教委内の要職に就いている者も少なくないこと(乙43,44,46,証人C,証人D)や,平成14年度において,大阪府内の半数程度にのぼる市町村が学校外配置を行っており,元校長の派遣特嘱員の配置先は,学校以外の施設とされることが多数であったこと(甲81,83)からすれば,大阪府教委内の者が,本件のような派遣特嘱員の学校外施設への配置を全く知らなかったとは考え難い。にもかかわらず,大阪府教委は,本件要綱を制定した後,平成13年に至るまで20年以上にわたり,本件要綱の解釈,運用について一度も明確にすることなく,市町村教委の上記運用を事実上放置してきたのであり,このことは,大阪府教委による本件要綱の解釈が,客観 的な資料等の裏付けのない後付けの解釈に過ぎないことを暗示しているというべきである。 (イ)本件監査結果(甲2)及び別件判決(甲22)について確かに,本件監査結果及び別件判決が示した一般論は,いずれも,原告が主張する本件要綱の解釈に沿うものであるということができ,別件判決には被告(豊中市)も補助参加人として参加していたことが認められる。しかし,裁判所が監査委員の判断に拘束されないことはもちろんであるし,別件判決についても,住民らの請求が棄却されたもので,派遣特嘱員が従事する業務範囲についての説示はあくまでも理由中の判断であって,既判力や参加的効力が生じる訳ではない。しかも,別件判決においては,要旨,派遣特嘱員が小中学校等に勤務する場合にのみ大阪府が報酬を負担することが許されるという住民らの主張と,勤務場所が学校以外であっても,小中学校の教育活動との結びつきが強い業務に従事している場合には許されるという大 中学校等に勤務する場合にのみ大阪府が報酬を負担することが許されるという住民らの主張と,勤務場所が学校以外であっても,小中学校の教育活動との結びつきが強い業務に従事している場合には許されるという大阪府知事の主張の当否が争われていたのであり,今回の原告(大阪府)の主張と被告(豊中市)の主張の当否が直接争われていたわけではないから,その判断が異なることは当。 ,,然にあり得ることであるしたがって本件監査結果や別件判決により原告の主張が裏付けられるものではない。 (ウ)その余の主張についてそのほか,原告は,本件要綱の解釈上,派遣特嘱員が従事し得る業務の範囲が学校教育に密接に関連する業務に限られていると解することができるとして,様々な事情や法的観点からるる主張し,証人Bもこれに沿う供述等をするが,これらの点を考慮しても,本件要綱から派遣特嘱員の業務範囲を限定する趣旨を読み取ることはできないことはこれまでに述べたとおりである。 (3) まとめ 以上によれば,本件要綱の解釈上,派遣特嘱員が従事する業務の範囲が学校教育に密接に関連する業務に限定されているとする原告の主張は,採用することができない。 小括以上のとおり,本件要綱の解釈上派遣特嘱員が従事し得る業務範囲が原告主張のように限定されているということはできないから,派遣特嘱員が従事する,「」業務が特嘱員の派遣の根拠規定である地教行法48条1項又は4項の援助として許容される範囲内のものである限り,原告が派遣特嘱員の報酬等を負担することが地方財政法9条に違反することにはならず,したがって,被告の利得(報酬相当額)が法律上の原因を欠くことにはならないというべきである。 しかるところ,全額返還対象者が実際に行った各業務につき,地教行法48条1項又は4項の援助として許容されない旨の って,被告の利得(報酬相当額)が法律上の原因を欠くことにはならないというべきである。 しかるところ,全額返還対象者が実際に行った各業務につき,地教行法48条1項又は4項の援助として許容されない旨の具体的な主張はなく,またこれを認めるに足りる十分な証拠もないから,その余の点を判断するまでもなく,全額返還対象者に係る主位的請求はいずれも理由がない。 第6交通費過払額返還対象者分及び全額返還対象者の交通費過払額分についての当裁判所の判断 被告の利得の有無(争点2①)について(1) 前記前提となる事実によれば,派遣特嘱員はいずれも大阪府の地方公務員(非常勤の嘱託員)であり,交通費相当の報酬加算額は,報酬と併せて,原告から各派遣特嘱員に対して口座振替の方法により直接に支払われるものであることが認められる。 したがって,交通費過払額を利得している(利益を受けている)のは,実際の勤務場所に通勤するための実交通費を超える報酬加算額を受領した各派遣特嘱員であって,被告がこれを利得していないことは明らかである。 (2) これに対し,原告は,豊中市教委は,若特・特嘱に対して当初辞令案に記載された勤務場所以外の施設において勤務を命じる場合は,原告にその旨を 届け出て交通費相当額の変更を求めるべきところ,その手続をしなかったために,当該若特・特嘱に対する当初定められた勤務場所に係る交通費加算額等の支給が違法,無効となることから,当該交通費加算額等は,被告がその全部を負担すべきものであるとした上,原告が支給した当初定められた勤務場所に係る交通費加算額等のうち,実際の勤務場所に係る交通費相当額に相当する部分については,若特・特嘱の派遣者としての原告において,派遣目的が達成されたことにより法律上の利益を得ているから,被告は,当初定められた勤務場所に係る交通 際の勤務場所に係る交通費相当額に相当する部分については,若特・特嘱の派遣者としての原告において,派遣目的が達成されたことにより法律上の利益を得ているから,被告は,当初定められた勤務場所に係る交通費加算額等と実際の勤務場所に係る交通費加算額との差額(交通費過払額)について,法律上の原因なくして不当に利得したものと解されると主張する。 しかし,仮に交通費加算額等の支給が違法,無効であるとしても,それにより法律上の原因なく利得しているのは,その支給を受けた各派遣特嘱員であると解さざるを得ない。また,派遣特嘱員が当初辞令案に記載された勤務場所以外の施設において勤務したことにより,当該特嘱員の交通費加算額等を含む労働が被告の利得になるとしても,被告の利得となる労働に含まれる交通費相当額は,各派遣特嘱員の実際の勤務場所(実配置所属)に係る交通費相当額,すなわち,報酬加算額のうち交通費過払額を除く部分に限られるというべきであり,交通費過払額の部分を被告が利得しているということはできない。 したがって,原告が不当利得を根拠として交通費過払額の返還を求めるのであれば,それを利得した各派遣特嘱員に対して直接にその返還を求めるほかはなく,原告の上記主張は採用することができない。 小括以上によれば,交通費過払額返還対象者分及び全額返還対象者の交通費過払額分につき被告の不当利得であるとしてその返還を求める原告の請求は,その余の点を判断するまでもなく,いずれも理由がない。 第7 結論 以上によれば,原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官山田明裁判官徳地淳裁判官藤根桃世 主文 のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官藤根桃世
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