平成18(行コ)251 裁決取消,建築認定処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第386号(甲事件),平成17年(行ウ)第435号(乙事件))

裁判年月日・裁判所
平成19年1月24日 東京高等裁判所 警察関係
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判決文本文3,607 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 新宿区建築審査会が,控訴人に対し,平成17年7月6日付けでした裁決(16新建審請第1号)を取り消す。 新宿区長が,株式会社a及び株式会社bに対し,平成16年12月22日付けでした東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分(16新都建建審第(認)76号)を取り消す。 訴訟費用は,第1,第2審を通じて被控訴人の負担とする。 第2事案の概要事案の概要は,次のとおり付け加えるほか,原判決「事実及び理由」の「第 事案の概要」記載のとおりであるから,これを引用する。 (控訴人の当審における補充的主張)控訴人は,以下の理由から,本件処分の取消しを求める当事者適格を有する。 (1)最高裁判所の判例(平成14年1月22日第三小法廷判決,平成14年3月28日第一小法廷判決)に照らすと,本件マンションの各区分所有者及び居住者すべてに当事者適格が認められることが明らかである以上,控訴人はその各区分所有者全員を構成員とする総体であり,かつ区分所有法,管理組合規約及び理事会決議に基づいて,防災に関する業務等を遂行する法律上契約上の責任を負っているマンション管理組合であるから,控訴人自身の本来的な当事者適格がある。 (2)控訴人は,法律上区分所有者のみで構成される団体であるから,①認定処分の取消しを求める利益があり,②管理組合の性質,③管理組合の目的,- 2 -④総会決議事項,⑤本訴提起に関する理事会・総会の各決議(区分所有者からの個別授権),⑥組合管理者と組合理事長の関係,⑦権利主体と同程度以上に知識を有していること,⑧区分所有者のために都市計画法上の共同の利益を守る法的主体として,その活動が社会的に 議(区分所有者からの個別授権),⑥組合管理者と組合理事長の関係,⑦権利主体と同程度以上に知識を有していること,⑧区分所有者のために都市計画法上の共同の利益を守る法的主体として,その活動が社会的にも行政上も公認されていること等,諸般の事情を総合考慮すれば,弁護士代理の原則や訴訟信託の禁止を潜脱するおそれがなく,かつ,これを認める合理的必要性がある場合の任意的訴訟担当を認める要件を満たしており(最高裁判所昭和45年11月15日判決や東京高等裁判所昭和52年4月13日判決で任意的訴訟担当を認めている考え方と同趣旨),少なくとも,区分所有者らの個別授権による任意的訴訟担当が認められるべきである。 (3)控訴人の本件審査請求の申立てについて新宿区建築審査会が行政不服審査法10条に基づき受理し,控訴人に弁明書を提出させ口頭審査会の開催を通知し出席を求めて実質審理をし,控訴人を適法な審査請求人として裁決しているから,被控訴人が本訴において控訴人の当事者適格の否認を主張することは,従前の法律行為と相反するもので信義則上許されない。 第3当裁判所の判断当裁判所も,本件訴えのうち,本件認定の取消しを求める部分については控訴人が訴えの当事者適格を欠き不適法であり,その余の請求については理由がないと判断する。その理由は,次のとおり付け加えるほかは,原判決「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決への付加)原判決30頁19行目の「相当であり」の次に「(仮に,被控訴人が主張するとおり,本件認定は処分に該当しないものと解すべきであるとすれば,本件審査請求を不適法として却下したことは正当である。)」を,31頁1行目の「却下し」の次に「(仮に,本件認定が処分に該当しないものと解すべきであ- 3 -るとすれば のと解すべきであるとすれば,本件審査請求を不適法として却下したことは正当である。)」を,31頁1行目の「却下し」の次に「(仮に,本件認定が処分に該当しないものと解すべきであ- 3 -るとすれば,本件認定の取消しを求める請求に係る部分は,そのことを理由に不適法であるから却下し)」をそれぞれ加える。 (控訴人の当審における補充的主張に対する判断)上記(1)について控訴人は,区分所有者に訴えの当事者適格が認められる以上,区分所有者の団体である控訴人にもその当事者適格が認められるべきである,あるいは,区分所有法,管理組合規約及び理事会決議に基づいて,区分所有者のために建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行っていることや規約に規定された業務を行っていることから自ら当事者適格がある旨るる主張する。しかし,本件条例4条3項では,同項の認定に係る建築物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益として保護していると解すべきであるから,その建築物等の管理や一定の業務を行っているにすぎない控訴人について,その利益を有していることはできないとし,かかる当事者適格がないとする原判決の認定及び説示は相当である。 控訴人の管理組合規約(甲12)及び建物の区分所有等に関する法律3条によれば,控訴人は,同規約3条に定める建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うため構成されているのであって,その管理及びこれに関する一定の業務の遂行以上の権能を有せず,かつ,区分所有建物を所有しているものではないから,そのような控訴人が,財産としての建築物に関し法律上保護された利益を有しているものではない。なるほど,同規約1条,6条,44条によれば,控 有せず,かつ,区分所有建物を所有しているものではないから,そのような控訴人が,財産としての建築物に関し法律上保護された利益を有しているものではない。なるほど,同規約1条,6条,44条によれば,控訴人は,「区分所有者の共同の利益を維持し,良好な住環境を保持する」との目的を達成するために構成され,対象物件内の防災に関する業務や円滑な共同生活を維持するために必要な業務等を行うことができるが,そうであるからといって,財産としての建築物に関し法律上保護された利益を有しているものではないことに変わりはない。控訴人の上記主張は独自の見解であって採用す- 4 -ることができない。 上記(2)について控訴人の主張する法規やマンション管理組合の趣旨,目的及び機能についてはその主張するとおりであるが,そうであるとしても,控訴人に任意的訴訟担当を認めなければならない合理的必要性はないとする原判決の認定及び説示は相当である。控訴人の掲げる判例等は,民法上の組合における業務執行組合員等の任意的訴訟担当が問題となった事案であり,建物並びにその敷地及び附属施設の管理以上に権能を有しない建物の区分所有等に関する法律3条にいう団体の任意的訴訟担当が問題となる本件とは事例を異にしているのでなんら抵触するものではない。また,控訴人は各区分所有者の個別的授権による任意的訴訟担当も主張するが,上記控訴人の権能に照らせば,任意的訴訟担当を認めることは相当ではない。 上記(3)について本件審査請求については,控訴人を審査請求人とする審査請求書が新宿区建築審査会に対して提出され,同審査会がこれを受理し,控訴人を名宛人として本件裁決をしたものであるところ(引用にかかる原判決の前記前提事実,乙5),同審査会のこの行為は,行政不服審査法40条に基づく行為であり,本件認定が審査請求の 会がこれを受理し,控訴人を名宛人として本件裁決をしたものであるところ(引用にかかる原判決の前記前提事実,乙5),同審査会のこの行為は,行政不服審査法40条に基づく行為であり,本件認定が審査請求の対象となし得る処分に該当しないことを理由として,同条1項により不適法であると判断したものである。また,本件審査請求の審査請求人が控訴人であるということと,審査請求人である控訴人が審査請求適格を基礎づける法律上の利益を有するかどうかということとは別個であるから,本件訴訟において,被控訴人が控訴人に本件審査請求につき審査請求適格がないと主張することをもって信義則に反するとはいえない。 したがって,控訴人の上記各主張はいずれも理由がない。なお,控訴人が当審で提出した各証拠も,前記認定,判断を左右するものではない。 第4 結論 - 5 -よって,控訴人の訴えのうち,本件認定の取消しを求める請求に係る部分を却下し,その余の請求を理由がないとして棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第17民事部裁判長裁判官南敏文裁判官安藤裕子裁判官生野考司

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