平成23(ワ)1589 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年1月13日 仙台地方裁判所
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判決文本文59,604 文字)

主文 1 第1事件・第3事件被告E1自動車学校は,第1事件・第2事件原告らに対し,別紙1請求の趣旨一覧1中の同原告らに対応する「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する平成23年11月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第1事件・第3事件被告E1自動車学校は,第3事件原告らに対し,各3191万0214円及びこれに対する平成24年5月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 第1事件・第2事件原告ら及び第3事件原告らの第1事件・第3事件被告E1自動車学校に対するその余の請求及びその他の第1事件ないし第3事件における被告らに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第1事件ないし第3事件を通じ,これを60分し,その39を第1事件・第2事件原告らの,その1を第3事件原告らの,その余を第1事件・第3事件被告E1自動車学校の各負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件第1事件・第3事件被告E1自動車学校(以下「被告E1自動車学校」という。),第1事件・第3事件被告E2(以下「被告E2」という。),第1事件・第3事件被告E3(以下「被告E3」という。),第1事件・第3事件被告E4(以下「被告E4」という。),第1事件被告E5(以下「被告E5」という。),第1事件被告E6(以下「被告E6」という。),第1事件・第3事件被告E7(以下「被告E7」という。),第1事件被告E8(以下「被告E8」という。),第1事件・第3事件被告E9(以下「被告E9」という。), 第1事件・第3事件被告E10(以下「被告E10」という。)及び第1事件・第3事件被告E11(以下「被告E11」という。)は, ,第1事件・第3事件被告E9(以下「被告E9」という。), 第1事件・第3事件被告E10(以下「被告E10」という。)及び第1事件・第3事件被告E11(以下「被告E11」という。)は,各自,第1事件・第2事件原告らに対し,別紙1請求の趣旨一覧1中の同原告らに対応する「請求額」欄記載の各金員及びこれに対する各被告らについての「訴状送達の日の翌日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第2事件第2事件被告共栄火災海上保険株式会社,第2事件被告損害保険ジャパン日本興亜株式会社,第2事件被告東京海上日動火災保険株式会社及び第2事件被告富士火災海上保険株式会社は,各自,第1事件・第2事件原告らに対し,別紙2請求の趣旨一覧2中の同原告らに対応する「請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成24年3月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 第3事件(1) 被告E1自動車学校,被告E2,被告E3,被告E4及び被告E7は,各自,第3事件原告らに対し,各3341万0214円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告E9は,被告E1自動車学校,被告E2,被告E3,被告E4及び被告E7と連帯して,第3事件原告らに対し,各1670万5107円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被告E10及び被告E11は,各自,被告E1自動車学校,被告E2,被告E3,被告E4及び被告E7と連帯して,第3事件原告らに対し,各835万2553円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1事件は,平成23年3月11日に発生した東北地方太平 原告らに対し,各835万2553円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1事件は,平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「本 件地震」という。)に伴う津波により死亡した被告E1自動車学校の運営する自動車教習所の教習生の親である第1事件・第2事件原告らが,教習生らが死亡したのは,自動車教習所において,迅速に避難させず,災害対応マニュアル整備を怠ったからであるなどとして,被告E1自動車学校に対しては安全配慮義務違反の債務不履行又は被用者の不法行為による使用者責任に基づき,当時同教習所に在校していた同会社の専務取締役F1の相続人である被告E4,被告E5及び被告E6並びに常務取締役F2の相続人である被告E2及び被告E7に対しては不法行為又は会社法429条1項に基づき,当時同教習所に在校していた学校長F3の相続人である被告E9,被告E10及び被告E11に対しては不法行為に基づき,当時同教習所に在校していなかった同会社の代表取締役社長被告E2及び取締役被告E3に対しては不法行為又は会社法429条1項に基づき,損害賠償及びこれに対する各被告に対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,同教習所の教官である被告E8が路上教習をしていた教習生B24及びB25の親である第1事件・第2事件原告A43,同A44,同A45及び同A46は,被告E8に対しては不法行為に基づき,損害賠償及びこれに対する同被告に対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 第2事件は,第1事件・第2事件原告らが,被告E1自動車学校と賠償責任保険を締結していた第2事件被告 日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 第2事件は,第1事件・第2事件原告らが,被告E1自動車学校と賠償責任保険を締結していた第2事件被告共栄火災海上保険株式会社,第2事件被告損害保険ジャパン日本興亜株式会社,第2事件被告東京海上日動火災保険株式会社及び第2事件被告富士火災海上保険株式会社(上記被告らにつき,以下「被告保険会社ら」という。)に対し,債権者代位により,被告E1自動車学校が被告保険会社らに対して請求権を有する保険金及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 第3事件は,本件地震に伴う津波により死亡した被告E1自動車学校の従業員の親である第3事件原告らが,同従業員が死亡したのは,自動車教習所において,災害対応マニュアル等を整備せず,地震発生後においても迅速な避難をさせなかったからであるなどとして,同被告に対しては労働契約上負う安全配慮義務違反の債務不履行責任又は不法行為に基づき,当時同教習所に在校していた同会社の専務取締役F1の相続人である被告E4及び常務取締役F2の相続人である被告E7に対しては不法行為又は会社法429条1項に基づき,当時同教習所に在校していた学校長F3の相続人である被告E9,被告E10及び被告E11に対しては不法行為に基づき,当時同教習所に在校していなかった同会社の代表取締役社長被告E2及び取締役被告E3に対しては不法行為又は会社法429条1項に基づき,損害賠償及びこれに対する本件地震の日である平成23年3月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 1 前提事実(1) 原告らア第1事件 損害賠償及びこれに対する本件地震の日である平成23年3月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 1 前提事実(1) 原告らア第1事件・第2事件原告ら(以下「原告教習生親ら」という。)別紙3被災教習生名簿の「亡くなった教習生」欄記載の各人(以下,これら各人を総称して「本件教習生ら」という。)は,平成23年3月11日当時,被告E1自動車学校と入校契約を締結し,同会社の運営する自動車教習所の教習生であったところ,本件地震に伴う津波に遭い死亡した。 本件教習生らにはいずれも子はなく,別紙3被災教習生名簿の「関係原告」欄記載の原告教習生親らは,これに対応する本件教習生らの親であり,相続により各教習生の権利義務を承継した(争いのない事実)。 イ第3事件原告ら(以下「原告Cら」という。)Dは,平成23年3月11日当時,被告E1自動車学校と労働契約を締結し,アルバイト事務職員として自動車で通勤し,同被告の運営する自動 車教習所で勤務していたところ,本件地震に伴う津波に遭い死亡した。Dに子はなく,原告Cらは,Dの両親であり,相続により同人の権利義務を承継した(争いのない事実,丁14)。 (2) 被告ら等ア被告E1自動車学校(以下「被告E1学校」という。)被告E1学校は,自動車教習所の運営等を目的とする株式会社であり,宮城県亘理郡山元町L番地に所在するG自動車学校(以下「G教習所」という。)を運営し,本件教習生らとの間の入校契約に基づき,自動車教習を行っていた(争いのない事実)。 イ被告E2(以下「被告E2社長」という。)被告E2社長は,被告E1学校の代表取締役であり,平成23年3月11日は,午後から出掛けていたため,本件地震発生当時,G教習所に在校してい 事実)。 イ被告E2(以下「被告E2社長」という。)被告E2社長は,被告E1学校の代表取締役であり,平成23年3月11日は,午後から出掛けていたため,本件地震発生当時,G教習所に在校していなかった(争いのない事実,乙A41)。 ウ被告E3被告E3は,被告E1学校の取締役であり,被告E2社長の弟であるところ,Jの代表取締役を務めており,普段,G教習所において勤務することはなく,本件地震発生当時もG教習所に在校していなかった(争いのない事実,乙A31)。 エ F1(以下「F1専務」という。)F1専務は,被告E1学校の専務取締役であった者であり,被告E2社長の弟であるところ,本件地震発生当時,G教習所に在校しており,同日,これに伴う津波に遭い死亡した(争いのない事実)。 F1専務の配偶者である被告E4は,福島家庭裁判所相馬支部において,平成24年2月21日,F1専務の相続につき,限定承認の申述を受理された(甲A98の1,乙A27)。 F1専務の子である被告E5及び被告E6は,福島家庭裁判所相馬支部 において,平成23年6月20日,F1専務の相続につき,相続放棄の申述を受理された(乙A20,21)。 オ F2(以下「F2常務」といい,被告E1学校,被告E2社長,被告E3,F1専務及びF2常務を総称して「被告E1学校ら」という。)F2常務は,被告E1学校の常務取締役であった者であり,被告E2社長の子であるところ,本件地震発生当時,G教習所に在校しており,同日,これに伴う津波に遭い死亡した。F2常務の配偶者及び子も,同日,死亡した(争いのない事実)。 F2常務の親である被告E2社長は,仙台家庭裁判所において,平成23年10月26日,F2常務の相続につき,相続放棄の申述を受理された(乙A18)。 F2常務の 日,死亡した(争いのない事実)。 F2常務の親である被告E2社長は,仙台家庭裁判所において,平成23年10月26日,F2常務の相続につき,相続放棄の申述を受理された(乙A18)。 F2常務の親である被告E7は,仙台家庭裁判所において,同年11月21日,F2常務の相続につき,限定承認の申述を受理された(甲A99の1,乙A19)。 カ F3(以下「F3学校長」という。)F3学校長は,被告E1学校の被用者でG教習所の学校長であった者であり,本件地震発生当時,G教習所に在校しており,同日,これに伴う津波に遭い死亡した(争いのない事実)。 被告E9はF3学校長の配偶者であり,被告E10及び被告E11は,F3学校長の子である(争いのない事実)。 キ被告E8(以下「被告E8教官」という。)被告E8教官は,被告E1学校の被用者でG教習所の教官であった者であり,本件地震発生当時,本件教習生のうちB24及びB25の路上教習を担当していたところ,地震発生後,同人らを連れてG教習所に戻った(争いのない事実)。 ク被告保険会社ら 被告E1学校と被告保険会社らは,本件地震発生当時,「教習所施設」賠償責任補償保険及び「路上教習・講習」賠償責任補償特約を締結していた(争いのない事実)。 (3) 本件地震の発生ア平成23年3月11日午後2時46分頃(以下,単に時間のみを記載したものは,平成23年3月11日の時間を指す。),宮城県沖を震源地とするマグニチュード9.0の本件地震が発生し,G教習所が所在する宮城県亘理郡山元町においても震度6強が観測され,午後3時50分頃,同町の海岸に津波が到達し,その後,海岸から約750mの地点にあるG教習所にも津波が到達した(争いのない事実)。 イ被告E1学校は,教習生らに対し,午後3時30 6強が観測され,午後3時50分頃,同町の海岸に津波が到達し,その後,海岸から約750mの地点にあるG教習所にも津波が到達した(争いのない事実)。 イ被告E1学校は,教習生らに対し,午後3時30分頃から35分頃,停電で教習ができないため教習を打ち切り,送迎する旨の通知をしたところ,本件教習生らのうちB24及びB25を除く23名は,別紙3被災教習生名簿のとおり,送迎先別に各車両に分乗し,各車両は,午後3時35分頃から45分頃にかけてG教習所を出発したが,その後,以下のとおり,津波に遭った(争いのない事実)。 (ア) H1教官(以下「H1教官」という。)が運転し,相馬,新地方面の教習生を乗せてG教習所を出発した26人乗りコースター(以下「本件A車両」という。)には11名が乗車していたが,別紙4地図上①付近で津波に遭い,乗っていたH1教官及び教習生10名全員が死亡した。 (イ) H2教官(以下「H2教官」という。)が運転し,相馬,新地方面の教習生を乗せてG教習所を出発した10人乗りキャラバン(以下「本件B車両」という。)には6名が乗車していたが,午後3時52分頃,別紙4地図上②付近で津波に遭い,乗っていたH2教官及び教習生4名が死亡した。 (ウ) H3教官(以下「H3教官」という。)が運転し,亘理方面の教習生 を乗せてG教習所を出発した10人乗りハイエース(以下「本件C車両」という。)には10名が乗車していたが,別紙4地図上③付近で津波に遭い,乗っていたH3教官及び教習生7名が死亡した。 (エ) F2常務が運転し,角田方面の教習生を乗せてG教習所を出発した10人乗りハイエース(以下「本件D車両」という。)には5名が乗車していたが,別紙4地図上④付近で津波に遭い,乗っていたF2常務及び教習生2名が死亡した。 ウ B24 生を乗せてG教習所を出発した10人乗りハイエース(以下「本件D車両」という。)には5名が乗車していたが,別紙4地図上④付近で津波に遭い,乗っていたF2常務及び教習生2名が死亡した。 ウ B24及びB25は,午後2時から2時50分及び午後3時から3時50分の2時限の路上教習をする予定で,被告E8教官の指導の下,G教習所から亘理方面に出発したが,亘理公民館北側の駐車場で休憩中の午後2時46分頃,本件地震が発生したのを受け,被告E8教官の指示でG教習所に戻ることとなり,午後3時30分頃,G教習所に到着した。B24及びB25は,歩いてG教習所を出発し,G教習所に接する県道相馬亘理線(宮城県道38号線)を南方面に徒歩で移動していたところ,午後3時52分頃,別紙4地図⑤付近で津波に遭い死亡した(争いのない事実)。 エ被告E1学校は,職員に対し,避難指示をしなかったところ,Dは,G教習所又はその付近において津波に遭い死亡した(争いのない事実)。 2 原告教習生親らの主張(1) 原告教習生親らの主張の骨子ア被告E1学校の責任本件教習生らは,被告E1学校と入校契約を締結しており,特別な社会的接触関係に入っているから,被告E1学校は,本件教習生らの生命・身体・財産について,損害が及ばないようにする安全配慮義務を負い,津波を予測し,迅速な避難を行う義務があったにもかかわらず,情報収集の懈怠及び判断の誤り,避難指示の懈怠及び津波予測判断の誤り,待機指示を出した過失により同義務を履行せず,また,災害対応マニュアル整備を行 う義務があったにもかかわらずこれを履行しなかった。被告E1学校は,B24及びB25との関係においては,履行補助者である被告E8教官においても,津波に遭う危険があったにもかかわらず,G教習所に戻ったという過失が にもかかわらずこれを履行しなかった。被告E1学校は,B24及びB25との関係においては,履行補助者である被告E8教官においても,津波に遭う危険があったにもかかわらず,G教習所に戻ったという過失があり,同教習所に戻った後も避難させなかったという過失がある。被告E1学校がこれらの義務を怠った結果,本件教習生らは津波に遭い死亡するに至ったから,被告E1学校は,債務不履行に基づき,損害賠償責任を負う。 また,被告E1学校は,F3学校長及び被告E8教官の使用者として,以下のF3学校長及び被告E8教官の不法行為につき,使用者責任を負う。 イ F1専務,F2常務及びF3学校長の責任F1専務,F2常務及びF3学校長は,被告E1学校の取締役又はG教習所の学校長として,本件教習生らの生命・身体・財産について被害が及ばないようにすべき注意義務があるところ,被告E8教官の過失も含め被告E1学校の安全配慮義務違反について主張したのと同様にこれを履行しなかったから,不法行為責任を負う。そして,F1専務及びF2常務のこれら過失は,重大な過失であるから,会社法429条1項の責任も負う。 したがって,F1専務の相続人である被告E4,被告E5及び被告E6,F2常務の相続人である被告E2社長及び被告E7,F3学校長の相続人である被告E9,被告E10及び被告E11は,これらの損害賠償債務を相続している。 ちなみに,F1専務の相続人である被告E4及びF2常務の相続人である被告E7は,いずれも限定承認の申述をしているが,両被告は上記申述に当たり,遺産の一部を財産目録に記載していなかった上,F1専務の遺産であるM労働金庫a支店,N農業協同組合b支店,O銀行c支店及びP銀行d支店の各口座は死亡後も継続的に利用されるなどし,また,F2常務の遺産であるQ銀行e支店の口座も同人 なかった上,F1専務の遺産であるM労働金庫a支店,N農業協同組合b支店,O銀行c支店及びP銀行d支店の各口座は死亡後も継続的に利用されるなどし,また,F2常務の遺産であるQ銀行e支店の口座も同人の死亡後の平成24年1月12 日に解約されるなどして相続財産の処分がされているから,被告E4,被告E7による限定承認の効果は認められない。 ウ被告E2社長及び被告E3の責任被告E2社長及び被告E3は,被告E1学校の取締役として,本件教習生らの生命・身体・財産について被害が及ばないようにすべき注意義務を負っており,本件地震発生後に情報収集してG教習所に在校する関係者に対して避難指示をすべきであったのにこれを怠り,また,災害対応マニュアル整備を行う義務があったにもかかわらずこれを履行しなかったから,不法行為責任を負うところ,これら過失は重大な過失であるから,会社法429条1項の責任も負う。 エ被告E8教官の責任被告E8教官は,教習生を指導監督する教官として,教習生の生命・身体・財産に損害が及ばないようにすべき注意義務を負っているところ,路上教習中に本件地震が発生し,G教習所が津波に遭う危険性を予見できたのであるから,G教習所に戻らずに避難すべきであったにもかかわらず,G教習所に戻り,その後も,路上教習を担当していたB24及びB25を避難させなかったから,不法行為責任を負う。 オ被告保険会社らの責任被告保険会社らは,被告E1学校と締結していた賠償責任補償保険に基づき,被告E1学校が原告教習生親らに対して負う損害賠償責任について,保険金を支払う義務を負うところ,原告教習生親らは被告保険会社らに対して債権者代位により,同保険金請求をすることができる。 (2) 津波を予測し,迅速な避難を行う義務違反本件教習生らは被 いて,保険金を支払う義務を負うところ,原告教習生親らは被告保険会社らに対して債権者代位により,同保険金請求をすることができる。 (2) 津波を予測し,迅速な避難を行う義務違反本件教習生らは被告E1学校との間で普通自動車運転免許取得のために入校契約を締結したことにより,単に客としてサービスの提供を受けるにとどまらず,被告E1学校の教官から指導を受け,未成年者である本件教習生ら がその指示に服するという特別な社会的接触関係に入っているから,被告E1学校は,本件教習生らの生命・身体・財産について損害が及ばないようにすべき安全配慮義務を負っており,被告E1学校ら及びF3学校長も同様の注意義務を負っていた。 被告E1学校ら及びF3学校長は,本件地震に伴う津波について,安全配慮義務により,大津波警報の発令に伴い本件教習生らの安全を守るために津波を予見し,迅速な避難を行うべき義務があったにもかかわらず,以下のとおり,これを怠ったのであり,また,F1専務,F2常務,被告E2社長及び被告E3の過失は重過失である。 ア情報収集の懈怠・判断の誤り本件地震の発生に伴い,F1専務,F2常務及びF3学校長は,地震による被害予測の把握に努め,津波の予測を行い,迅速に避難する義務があった。 すなわち,G教習所では,停電となる午後3時20分頃まではテレビを見ることができ,その後も携帯電話のワンセグを利用してテレビを視聴することができたし,G教習所敷地内に停車していたバスの車内ではラジオを聞くことができ,現にG教習所のH4教官(以下「H4教官」という。)は同バスの車内でラジオを聞いたところ,テレビやラジオでは地震速報や宮城県で大津波警報が出され,沿岸部では避難を行うべきことを反復して報道していた上,G教習所周辺では,消防,消防団,山元町の う。)は同バスの車内でラジオを聞いたところ,テレビやラジオでは地震速報や宮城県で大津波警報が出され,沿岸部では避難を行うべきことを反復して報道していた上,G教習所周辺では,消防,消防団,山元町の広報車や警察車両が,津波の危険性があり避難するよう情報提供活動をしていたことからすれば,F1専務,F2常務及びF3学校長は,情報収集をしていればこれら情報に接することができ,津波による危険性を予見することが可能であった。 イ避難指示の懈怠・津波予測の判断の誤り本件地震はマグニチュード9.0,宮城県内の震度6強という,これま での地震とは明らかにレベルの異なるものであり,太平洋沖を震源とするものであることからすれば,太平洋に面した海岸付近の特に高台でもないG教習所に津波の被害が及ぶことは明白であり,津波による危険性を予見することが可能であった。 そして,G教習所に通う教習生の大多数が送迎バスを利用しており,交通手段が限られていることからすれば,G教習所の送迎バスを利用する以外に現実的な避難方法は考え難かったのであるから,F1専務,F2常務及びF3学校長は,本件教習生らに避難指示をし,送迎バスを利用して避難所である坂元中学校や内陸部に避難させるべきであったのに,これを怠り,通常の送迎しかしなかったという過失がある。 ウ待機指示を出した過失上記のとおり,迅速な避難をさせるべきであったにもかかわらず,F1専務は,3月がG教習所にとっての繁忙期であったため,本件地震後も授業を再開させようと教習生らに対し待機するよう指示していたものであり,同専務には重大な過失がある。 エ G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に避難指示をしなかった義務違反被告E2社長及び被告E3は,本件地震発生後にテレビ,ラジオから情報 であり,同専務には重大な過失がある。 エ G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に避難指示をしなかった義務違反被告E2社長及び被告E3は,本件地震発生後にテレビ,ラジオから情報を収集することができ,G教習所を津波が襲う危険性を予見できたのであるから,G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に対して避難を指示すべきであったにもかかわらず,これを怠った。 (3) 災害対応マニュアル整備を怠った義務違反被告E1学校ら及びF3学校長は,G教習所が海岸付近に立地していることから,宮城県沖で地震が発生した場合,津波の被害が及ぶことは容易に予測できたものであり,事前に津波による災害について避難や情報収集,指示系統に関するマニュアルを整備する義務があったのに,これを怠った。 被告E1学校ら及びF3学校長において,上記のようなマニュアルを整備していれば,被告E8教官においてG教習所まで教習生を連れ戻すこともなく,被告E2社長が不在であっても避難することができたのであり,その場合,送迎バス等が午後3時35分から45分頃になって出発したとしても,迅速に指定避難場所である坂元中学校へ向けて避難することができ,本件教習生らが津波に遭うこともなかったはずである。 (4) 被告E8教官の過失被告E8教官は,B24及びB25に対する路上教習中に本件地震が発生したため,G教習所に戻ることとしたが,その路上で沿岸部から内陸部に向かう周囲の避難状況や,消防団,消防,町,警察などの広報により,G教習所に戻れば津波に襲われる危険があることを予見できたはずであるのに,より安全な場所からG教習所に戻ったという点において過失がある。また,被告E8教官は,自動車学校の教官として,自動車運転中に大地震が発生したときは,停止した上で あることを予見できたはずであるのに,より安全な場所からG教習所に戻ったという点において過失がある。また,被告E8教官は,自動車学校の教官として,自動車運転中に大地震が発生したときは,停止した上でカーラジオ等により地震情報や交通情報を聞き,その情報や周囲の状況に応じて行動することを教えるべき立場にあったのであり,このとおり行動していれば,G教習所へ戻ることもなかった。 さらに,被告E8教官は,G教習所に戻った時点においても,避難の緊急性,必要性は明らかであったから,B24及びB25について,送迎バスに誘導するなどして避難させる必要があったにもかかわらずこれをせず,また,被告E8教官が他の教習生を送るため自動車を運転している際に,徒歩で避難している両名に気付きながら,自動車に同乗させるなどして避難させずに放置したという点においても過失がある。 (5) 因果関係上記のとおり,被告E1学校ら及びF3学校長には,津波により被害が発生することについての予見可能性が認められる一方,本件教習生らは,G教習所の建物から出されてバス内で待機させられた状態にあり,自ら情報収集 をすべき立場になかった。かかる本件教習生らには,津波による被害に関する予見可能性は認められない。 また,本件教習生らの多くは,高校を卒業したばかりの者たちであり,大人と同じ判断能力があるとはいえず,G教習所のように教官と生徒という関係があることにも鑑みると,自主的な判断をすることは不可能であった。 さらに,本件教習生らは,被告E1学校から指示を受けてバスで待機し,午後3時からの教習を行わないというアナウンスも受けていなかったのであって,事実上教習所から出ることを制限されていたのであり,遠方から通う者も多く,土地勘があったわけではないから,避難場所として公知の存 3時からの教習を行わないというアナウンスも受けていなかったのであって,事実上教習所から出ることを制限されていたのであり,遠方から通う者も多く,土地勘があったわけではないから,避難場所として公知の存在であったとはいえない近隣の高台である戸花山に避難することを期待することもできなかった。 被告E1学校は,送迎バスでG教習所に通っていた多くの本件教習生らを早急に安全な場所まで送り届ける義務を負っていたのに,その義務を放棄しながら,本件教習生らにおいて自主的な避難が可能であったと主張することは許されず,被告E1学校ら及びF3学校長の安全配慮義務違反と本件教習生らの死との間には相当な因果関係が存する。 (6) 損害ア本件教習生らの損害(ア) 逸失利益aB5を除く本件教習生ら(死亡当時18歳)470万5700円(賃金センサス平成21年男女計学歴計全年齢平均賃金)×18.1687(67歳まで49年間のライプニッツ係数)×(1-0.4)(生活費控除)=5129万7870円bB5(死亡当時19歳)470万5700円(賃金センサス平成21年男女計学歴計全年齢平均賃金)×18.0772(67歳まで48年間のライプニッツ係 数)×(1-0.4)(生活費控除)=5103万9528円(イ) 慰謝料 各2000万円イ原告教習生親ら固有の慰謝料各200万円ウ葬儀費用本件教習生ら1名につき各150万円エ弁護士費用原告教習生親ら1名につき各265万円オ原告教習生親ら各人の請求額(ア) 第1事件・第2事件原告A2,同A3,同A5,同A6,同A11,同A12,同A13,同A14,同A16,同A17,同A18,同A19,同A20,同A21,同A22,同A23, 各人の請求額 (ア) 第1事件・第2事件原告A2,同A3,同A5,同A6,同A11,同A12,同A13,同A14,同A16,同A17,同A18,同A19,同A20,同A21,同A22,同A23,同A24,同A25,同A26,同A27,同A28,同A29,同A30,同A31,同A32,同A33,同A34,同A35,同A36,同A37,同A38,同A39,同A40,同A41,同A43,同A44,同A45及び同A46(相続人2名両名が原告)逸失利益相続分 2564万8935円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 75万円弁護士費用 265万円合計 4104万8935円 (イ) 第1事件・第2事件原告A1,同A15及び同A42(相続人2名のうち1名が原告)逸失利益相続分 2564万8935円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 150万円弁護士費用 265万円合計 4179万8935円 (ウ) 第1事件・第2事件原告A4(相続人1名が原告)逸失利益相続分 5129万7870円慰謝料相続分 2000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 150万円弁護士費用 265万円合計 7744万7870円 (エ) 第1事件・第2事件原告A7及び同A8(相続人2名両名が原告)逸失利益相続分 2551万9764円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 75万円弁護士費用 265万円 告)逸失利益相続分 2551万9764円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 75万円弁護士費用 265万円合計 4091万9764円(オ) 第1事件・第2事件原告A9及び同A10 (相続人3名のうち2名が原告)逸失利益相続分 1709万9290円慰謝料相続分 666万6666円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 75万円弁護士費用 265万円合計 2916万5956円(7) 被告保険会社らに対する請求ア本件教習生ら全員について被告保険会社らは,被告E1学校と「教習所施設」賠償責任補償保険を 締結していたところ,施設所有(管理)者特別約款2条,賠償責任保険普通保険約款2条に基づき,以下のとおり,被告E1学校に対し,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」及び「施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する損害」について保険金を支払う義務がある。 すなわち,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」とは,施設管理者側に施設管理・使用についての安全確保義務違反があり,それに起因して損害が生じた場合も含まれると解すべきところ,G教習所の事務所と教習用コースも施設に含まれるのであり,被告E1学校は,本件地震発生後直ちに受講生を安全な場所に避難させる義務があったにもかかわらず,不適切な指示により津波が来る危険性の高い施設に受講生を待機させるという施設の使用についての安全確保義務違反があり,それに起因して本件教習生らは帰宅中に死亡するに至ったから,これら損害は,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」に当たる。 また,G教習所という施 施設の使用についての安全確保義務違反があり,それに起因して本件教習生らは帰宅中に死亡するに至ったから,これら損害は,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」に当たる。 また,G教習所という施設において,受講生の送迎という仕事は当然に予定されているから,受講生の送迎は「施設の用法に伴う仕事の遂行」に当たり,その際,被告E1学校ら及びF3学校長の送迎時期の判断の誤りに起因して本件教習生らは死亡するに至ったから,これら損害は,「施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する損害」に当たる。 イ B24及びB25について被告保険会社らは,被告E1学校と「路上教習・講習」賠償責任補償特約を締結していたところ,「路上教習」賠償責任補償特約2条,賠償責任保険普通保険約款2条に基づき,以下のとおり,被告E1学校に対し,「被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害」について保険金を支払う義務がある。 「被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害」には,被保険者側に教習機材の管理・使用についての安全確保義務違 反があり,それに起因して損害が発生した場合も含まれると解すべきところ,被告E1学校の履行補助者である被告E8教官は,不適切な指示をして教習車という教習機材使用についての安全確保義務に違反しており,それに起因してB24及びB25は死亡するに至ったから,これら損害は,「被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害」に当たる。 ウ債権者代位以上のとおり,原告教習生親らは被告E1学校に対して損害賠償請求権を有するところ,被告E1学校は被告保険会社らに対して保険金請求権を有するが無資力であるから,原告教習生親らは被告E1学校の被告保険会社らに対する保険金請求権を代位行使 1学校に対して損害賠償請求権を有するところ,被告E1学校は被告保険会社らに対して保険金請求権を有するが無資力であるから,原告教習生親らは被告E1学校の被告保険会社らに対する保険金請求権を代位行使して,保険金を請求することができる。 エ被告保険会社らの免責の主張に対する反論被告保険会社らは,被告E1学校との間の保険契約に適用される賠償責任保険普通保険約款3条7号により,津波に起因して生じた損害については保険金支払義務はないと主張しているが,免責の対象となるのは,施設管理者が安全確保義務を尽くしてもなお避けることができない天災により生じた損害と解すべきであり,津波と損害の間に被保険者の注意義務違反が介在する場合には免責の対象外とすべきであるから,被告保険会社らは免責されない。 3 原告Cらの主張(1) 原告Cらの主張の骨子Dは,被告E1学校に,平成19年頃より毎年11月上旬から翌年4月までのG教習所の繁忙期にアルバイトの事務職員として採用されていたところ,本件地震発生当時もアルバイトの事務職員として勤務しており,被告E1学校に在籍した合計18名の役職員の中で指揮命令系統において一番末端に位 置付けられ,直属の上司である主任のH7,F2常務の妻である主任のH8,さらには被告E2社長,F1専務,F2常務及びF3学校長らの指揮命令下にあった。 ア被告E1学校の責任被告E1学校は,使用者として,労働契約上,労働者の生命・身体の安全を確保するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているが,以下で主張するとおり,本件地震前に対応マニュアル等を整備する義務があったのにこれをしておらず,また,本件地震発生後にも情報収集をし,これに基づき教習生及び職員に避難指示する義務があったのにこれを怠っているから,安全配慮義務に違反 対応マニュアル等を整備する義務があったのにこれをしておらず,また,本件地震発生後にも情報収集をし,これに基づき教習生及び職員に避難指示する義務があったのにこれを怠っているから,安全配慮義務に違反しており,かつ同義務違反は不法行為にも該当する。 イ F1専務,F2常務及びF3学校長の責任F1専務及びF2常務は,被告E1学校の業務執行を担う取締役として,被告E1学校に対し,被告E1学校が負う安全配慮義務の履行としてその職員の生命・身体の安全を確保すべく,本件地震発生後に情報収集して,避難指示をすべき義務を負っていたのにこれを怠っており,これら過失は重大であると評価できるから,不法行為又は会社法429条1項に基づく責任を負う。そして,F1専務を相続した被告E4,F2常務を相続した被告E7は,これらF1専務及びF2常務の権利義務を承継した。 F3学校長は,被告E1学校の職員の長として,自らの指揮命令下にあった職員らに対し,本件地震発生後,F1専務らと共に情報収集して避難指示をすべき義務があったのにこれを怠っており,不法行為責任を負う。 そして,F3学校長を相続した被告E9,被告E10及び被告E11は,F3学校長の権利義務を承継した。 ウ被告E2社長及び被告E3の責任被告E2社長及び被告E3は,被告E1学校の業務執行を担う取締役の立場にあり,被告E1学校が負う注意義務の履行として,津波など災害の 発生に備え,対応マニュアル等を独自に整備するとの意思決定を行う義務を負っていたにもかかわらずこれを怠るとともに,本件地震発生後にも,情報収集した上で,現場責任者であるF1専務らに情報を提供し,避難指示をすべき義務を負っていたのにこれらを怠っており,これらの過失は重大であると評価できるから,上記被告らは,不法行為又は会社法429 情報収集した上で,現場責任者であるF1専務らに情報を提供し,避難指示をすべき義務を負っていたのにこれらを怠っており,これらの過失は重大であると評価できるから,上記被告らは,不法行為又は会社法429条1項に基づく責任を負う。 エ指揮命令解除義務違反仮に被告E1学校ら及びF3学校長が,リスク情報を収集しきれず,適切に検討分析できないために安全確保を最優先に考えた判断が何であるかを決断できなかったとしても,従業員に明示して指揮命令関係を解除し,従業員の自己責任で避難できるようにすべき義務を負うものというべきところ,Dに対して明示的に指揮命令関係を解除せず,同義務に違反したものである。 上記義務が履行されていればDは即座に自宅に帰宅して助かったと考えられるから,上記義務違反と損害の発生との間には相当な因果関係がある。 (2) 本件地震発生前の義務多数の職員及び教習生の生命・身体の安全を預かる被告E1学校としては,海岸に程近く,付近に高台もないというG教習所の立地,教習所という性格上不特定多数の教習生が出入りし非常時には混乱が予想されること,G教習所内だけでなく路上教習中に職員及び教習生が災害に遭うことも十分に考えられること等を踏まえれば,災害発生時に備え,津波被害のおそれがある場合には町の指定避難所へ避難誘導・指示する等の対応マニュアル等を独自に整備すべき義務があり,被告E2社長及び被告E3も,被告E1学校をして上記整備をさせる義務を負っていたにもかかわらず,被告E1学校は,対応マニュアル等の整備をしなかった。 (3) 本件地震発生後の義務 本件地震発生時にG教習所内にいたF1専務,F2常務及びF3学校長は,多くの職員や教習生の生命・身体の安全を預かる被告E1学校の対応として,速やかに指揮命令系統を整理・確立 の義務 本件地震発生時にG教習所内にいたF1専務,F2常務及びF3学校長は,多くの職員や教習生の生命・身体の安全を預かる被告E1学校の対応として,速やかに指揮命令系統を整理・確立し,これと並行して余震や津波等による災害拡大の可能性について迅速かつ積極的に情報収集を行い,安全であるとの確証が得られない場合には職員及び関係者の安全を最優先し,適切な避難場所への避難誘導を決定し,指示すべき義務があった。 しかし,F1専務,F2常務及びF3学校長は,本件地震を体感したにもかかわらず,職員及び教習生の生命・身体の安全を最優先とせず,被告E1学校の利益を優先して教習再開が可能かといった協議に終始し,組織だった対応をせず,本件地震の震源地や震度,予想される津波の高さ,町役場や消防署等による避難指示の有無といった情報を収集・分析することもしなかった。 被告E1学校として組織的対応を執り,情報収集をしていれば,大津波警報の発令や避難指示を認識して対応したはずであるのに,職員及び教習生に対して避難指示をせず,教習生については通常の送迎ルートで送迎し,職員については業務命令としてG教習所内の片付けのため職場に残らせ,送迎を担当した職員には戻ってくるよう指示したのであって,F1専務,F2常務及びF3学校長は,注意義務に違反しており,被告E1学校も安全配慮義務に違反している。 仮に被告E1学校ら及びF3学校長において,適切な判断ができないのであれば,従業員に明示して指揮命令関係を解除すべきところ,Dに対してこのように明示的に指揮命令関係の解除がされたことはなかった。 本件地震発生後,G教習所に津波が到達するまでには約1時間の時間的余裕があり,予想される津波の高さが10m以上に引き上げられた大津波警報の第2報が発令された午後3時14分か されたことはなかった。 本件地震発生後,G教習所に津波が到達するまでには約1時間の時間的余裕があり,予想される津波の高さが10m以上に引き上げられた大津波警報の第2報が発令された午後3時14分から津波が到達するまでにも35分以上の時間的余裕があったのであるから,F1専務,F2常務及びF3学校長 において,適切に情報収集を行い,避難誘導をし,また,職員に対して指揮命令関係を解除していれば,教習生や職員が津波により死亡することはなかった。 (4) 損害ア Dの損害(ア) 逸失利益 3532万0428円294万0600円(平成22年賃金センサス高卒女子・全年齢平均)×17.159(27歳から67歳まで40年間のライプニッツ係数)×(1-0.3)(生活費控除)=3532万0428円(イ) 慰謝料 2000万円イ原告Cら固有の慰謝料各200万円ウ葬儀費用 150万円エ弁護士費用原告Cら各300万円オ原告Cら各人の請求額 3341万0214円逸失利益相続分 1766万0214円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 200万円葬儀費用 75万円弁護士費用 300万円 4 被告E1学校,被告E2社長,被告E3,被告E4,被告E6,被告E5,被告E7及び被告E8教官の主張(1) 上記被告らの主張の骨子被告E1学校と本件教習生らとの間には安全配慮義務を生じさせるに足りる社会的接触関係が認められない上,被告E1学校ら及び被告E8教官には,G教習所にまで津波が到来することが予期される情報 張の骨子被告E1学校と本件教習生らとの間には安全配慮義務を生じさせるに足りる社会的接触関係が認められない上,被告E1学校ら及び被告E8教官には,G教習所にまで津波が到来することが予期される情報は届いておらず,G教習所周辺に人の生命を害するような巨大な津波が到来することについて予見 可能性がなかったため,これを前提とする安全配慮義務違反があるとはいえず,不法行為責任等も負わない。仮に被告E1学校ら及び被告E8教官において,G教習所周辺に巨大な津波が到来することについて予見可能性が認められるのであれば,当時18歳や19歳であった本件教習生らにも予見可能性が認められ,自ら避難できたはずであるから,被告E1学校ら及び被告E8教官の義務違反と本件教習生らの死亡との間には相当な因果関係はない。 また,F1専務及びF2常務は,被告E1学校の業務執行権限がなく,G教習所の教習生の生命・身体・財産に被害が及ばないようにする注意義務を負う立場にないから,不法行為責任及び会社法429条1項に基づく責任を負わない。仮にF1専務あるいはF2常務に何らかの過失があるとしても重過失とはいえないから,この点からも会社法429条1項に基づく責任を負わない。そして,F1専務の子である被告E5及び被告E6は相続放棄をしており,F1専務の配偶者である被告E4は限定承認をしているから,被告E4が相続財産の限度において債務を弁済すれば足りる。また,F2常務の親である被告E2社長は相続放棄をしており,同じく親である被告E7は限定承認をしているから,被告E7が相続財産の限度において債務を弁済すれば足りる。 さらに,被告E3は,被告E1学校の単なる平取締役で無給の名目的取締役にすぎないから,G教習所の教習生の生命・身体・財産に被害が及ばないようにする注意義務を 限度において債務を弁済すれば足りる。 さらに,被告E3は,被告E1学校の単なる平取締役で無給の名目的取締役にすぎないから,G教習所の教習生の生命・身体・財産に被害が及ばないようにする注意義務を負わないし,被告E2社長及び被告E3は,本件地震発生後にG教習所に電話しても通じない状態にあって,結果回避可能性がなかったから,不法行為責任を負わない。仮に被告E2社長及び被告E3に何らかの過失があるとしても重過失とはいえないから,この点からも会社法429条1項に基づく責任を負わない。 (2) 原告教習生親らの津波を予測し,迅速な避難を行う義務違反(前記2(2))及び原告Cらの本件地震発生後の義務(前記3(3))の各主張に対する反論 ア安全配慮義務について(ア) 本件教習生らに対する安全配慮義務について被告E1学校と本件教習生らとの間には,安全配慮義務を生じさせるに足りるほどの社会的接触関係があるとは認められない。 すなわち,教習生らがいつ学科教習や技能教習を履修するかについては教習生らの自主的な判断に委ねられており,教習生らは教習終了後にG教習所に滞在する義務はないところ,本件地震発生後も午後3時からの教習は実施されておらず,午後4時からの教習は実施するか未確定であったから,本件教習生らはG教習所に滞在する義務はなく,被告E1学校から滞在するよう求めたこともなかった。 そして,教習生の通学方法は様々であったから,本件教習生らも送迎バス以外の方法により自由にG教習所を離れることができたし,自主的に避難することもできた。また,自動車学校の教科システムは,学校教育法上の学校である小学校,中学校,高等学校等とは大きく異なり,自動車学校において,どの教習生が来ているかを確認する方法もない。 このような実態からすると,被告 ,自動車学校の教科システムは,学校教育法上の学校である小学校,中学校,高等学校等とは大きく異なり,自動車学校において,どの教習生が来ているかを確認する方法もない。 このような実態からすると,被告E1学校と本件教習生らとの間には,教習終了後の午後2時50分以降も,被告E1学校において本件教習生らの安全を守るため津波を予測し迅速に避難をさせる義務を生じさせるような社会的接触関係は認められない。 (イ) Dに対する安全配慮義務について大災害が発生した際に津波が勤務先を襲うといった真に生命・身体の危険が予見できるような状況であれば,労働者は,緊急避難として,上司らの指示を待たずに独断で職場を離れて避難することも許されると解されるのであり,本件においても本件地震発生後,Dは就労義務が当然に免除されるのであるから,就労義務があることを前提として,被告E1学校がDに対して安全配慮義務を負うとはいえない。 イ予見可能性について被告E1学校ら及び被告E8教官には,以下のとおり,G教習所周辺に人の生命を害するような巨大な津波が到来することについて予見可能性がなかった。 G教習所が停電となる前でテレビを見ることのできた午後3時15分頃までのテレビの特別番組では,三陸地方でも津波がまだ到来していない状況を報道するもので,避難を勧告するものではなかったし,大津波警報についても,当初は宮城県沿岸で予想される津波の高さは6m,福島県沿岸で予想される津波の高さは3mと発表されていたのであり,山元町沿岸にある高さ6.2mから7.2mの防潮堤の高さを下回るものであった。被告E1学校らは,その後変更された宮城県沿岸で予想される津波の高さは10m,福島県沿岸で予想される津波の高さは6mという報道には接していない。また,F1専務,F2常務及び さを下回るものであった。被告E1学校らは,その後変更された宮城県沿岸で予想される津波の高さは10m,福島県沿岸で予想される津波の高さは6mという報道には接していない。また,F1専務,F2常務及びF3学校長らはラジオを聞いていなかったし,防災行政無線,大津波警報及び避難指示の伝令についても聞いておらず,広報車による大津波警報及び避難指示の伝令も聞いていない。 そして,一般市民は,明治以降に発生した地震において,宮城県南地域で津波が発生したことはないと認識しており,山元町沿岸にある防潮堤の存在(高さ6.2mから7.2m)及び当初の津波予想高(宮城県沿岸で6m,福島県沿岸で3m)に加え,G教習所は海岸から約750mの距離にあるが,住宅や防風林等により,G教習所から海岸は見えず,海岸からもっと離れた距離にあると認識されていたことも,津波の到来の予見を阻害する要因として挙げられる。 以上のとおり,被告E1学校ら及び被告E8教官には,G教習所に津波が到来することについて予見可能性がなかったから,これを前提とする安全配慮義務はなく,同義務違反はない。 (3) 原告教習生親らの災害対応マニュアル整備を怠った義務違反(前記2(3)) 及び原告Cらの本件地震発生前の義務(前記3(2))の各主張に対する反論被告E1学校らにおいて,本件地震発生前に,津波がG教習所にまで到来することを予見することはできなかったから,これに備えて災害対応マニュアル等を整備する義務はない。 すなわち,本件地震発生前,山元町を含む宮城県南地域において津波被害が発生することはなく,津波被害が発生するのはリアス式海岸が続く宮城県北地域だけであるという考え方が山元町を含む宮城県民の常識であった。 また,被告E1学校は,亘理消防署に対し,平成16年8月1日,消防署 ることはなく,津波被害が発生するのはリアス式海岸が続く宮城県北地域だけであるという考え方が山元町を含む宮城県民の常識であった。 また,被告E1学校は,亘理消防署に対し,平成16年8月1日,消防署から交付された書式に従い,消防計画を届け出ているところ,消防計画に津波発生を前提とした計画が全く定められていないことについて何ら指導を受けていないし,他の機会に指導されたこともない。 (4) 原告教習生親らの被告E8教官の過失(前記2(4))の主張に対する反論被告E8教官にも,前記(2)のとおり,G教習所付近に人の生命を害するような津波が到来することについて予見可能性はなかった。 被告E8教官は,本件地震発生後,路上教習からG教習所に戻るまでの間,消防署,町,警察などによる津波警報や避難指示の広報及び防災無線による津波警報や避難指示の伝令を一切聞いていないし,教習車にはテレビやラジオは付いていなかったから,これらにより津波警報発令や避難指示等の情報にも接していない。 そして,被告E8教官は,午後3時30分頃,G教習所に戻り,B24及びB25を降ろしているから,遅くともこの時点で教習は終了しており,教官として同人らの生命・身体・財産を保護しなければならない関係は消滅している。その後,被告E8教官は,すぐに教習生の送迎を頼まれて教習車によりこれを行ったところ,G教習所から約400m南の橋付近を歩いている2人の人を確認したが,同人らがB24及びB25であるとは気付かず,通り過ぎた後で教習車に乗車していた教習生から教えられたのであり,B24 及びB25であると気付いたにもかかわらず,そのまま走り去ったのではない。 (5) 因果関係仮に被告E1学校らに前記予見可能性が認められるのであれば,当時18歳ないし19歳で大人と変わらな 及びB25であると気付いたにもかかわらず,そのまま走り去ったのではない。 (5) 因果関係仮に被告E1学校らに前記予見可能性が認められるのであれば,当時18歳ないし19歳で大人と変わらない判断能力及び身体能力を有していた本件教習生らにも予見可能性が認められることとなるところ,G教習所から歩いて10分も掛からない700m程度の位置に標高53mの戸花山があり,本件教習生らも自ら避難することができた。 そうすると,被告E1学校らに本件教習生らを避難させなかったという不作為があるとしても,通常,本件教習生らの死の結果が生じるであろうとは認められないから,相当な因果関係を欠く。このことは,Dについても同様である。 (6) 損害原告らの主張する損害は争う。 5 被告E9,被告E10及び被告E11の主張F3学校長は,道路交通法99条1項1号の規定に基づく指定教習所の管理者であるから,教習や技能検定等が適切に行われるよう管理する職責を有するが,被告E1学校に雇用された社員たる身分で経営者ではなく,教習の中止という経営にかかわる事項については,常勤で本件地震当時G教習所に在校していたF1専務が判断すべき事項であった。 そして,F3学校長に,津波がG教習所まで到来することについて予見可能性がないことについては,前記4の被告らの主張を援用するから,F3学校長も不法行為責任を負わない。 6 被告保険会社らの主張前記4の被告らの主張を援用するから,被告E1学校が原告教習生親らに対して損害賠償義務を負うとはいえない。 本件教習生らが死亡したことは,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」,「施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する損害」及び「被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害」に該当すると 生らが死亡したことは,「施設の所有,使用または管理に起因する損害」,「施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する損害」及び「被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害」に該当するとはいえない。 また,「教習所施設」賠償責任補償保険及び「路上教習・講習」賠償責任補償特約においては,各特別約款・特約に規定しない事項について,普通保険約款の規定が適用されるところ,賠償責任保険普通保険約款3条7号において「地震,噴火,洪水,津波などの天災に起因する賠償責任」を保険金支払対象外の場合として規定しており,被告保険会社らに保険金支払義務はない。 仮に被告保険会社らに保険金支払義務が生じるとしても,1事故1億円が限度であるから,原告教習生親らの請求全体に対して多くても1億円の保険金の支払義務を負うにとどまり,これらは被告保険会社ら4社が連帯責任を負うものではなく,それぞれの分担割合に応じて責任を負うにとどまる。 第3 当裁判所の判断 1 地震及び津波に関する一般的な知見等(1) 地震現象地球内部の高温の物質は,海底の海嶺(海底山脈等)において地球の表面に湧き出し,厚さ数十㎞~100㎞の板状のプレート(海底)になり,1年間に数㎝の速さで両側に広がっている。その海のプレートが,陸地を形成している陸のプレートと衝突すると,海のプレートの方が密度が大きいため,陸のプレートの下に沈み込み,その沈み込むところが海溝となる。地球の表面は,幾つかのプレートで覆われており,それぞれのプレートの境目が海溝や海嶺に相当し,海のプレートが沈み込む地域において,巨大地震が起こることがある。 日本は,西側からのユーラシアプレート,北側からの北米プレート,南側からのフィリピン海プレート,東側からの太平洋プレートが集まっており, 活断層 いて,巨大地震が起こることがある。 日本は,西側からのユーラシアプレート,北側からの北米プレート,南側からのフィリピン海プレート,東側からの太平洋プレートが集まっており, 活断層と呼ばれるプレート内部の傷が至るところにあり,陸域の浅い地震が起こるほか,陸側のユーラシアプレートに海側の太平洋プレート又はフィリピン海プレートが沈み込む日本海溝や南海トラフの深部において,プレート境界の滑りによる巨大地震が繰り返し発生している。海溝型地震においては,海側のプレートが陸側のプレートを引きずり込みながらその下へ沈み込み,年々その応力が蓄積し,耐えられなくなったときにプレート境界面が急激に滑り,陸側のプレートが跳ね上がって巨大地震及び津波を発生させる(甲A65の1,67)。 (2) 津波現象海底下で大きな地震が発生すると,断層運動により海底が隆起又は沈降するが,これに伴って海面が変動し,大きな波となって四方八方に伝播するのが津波である(甲A65の2及び3)。 津波に関しては,以下の点が指摘されている。 ア津波は,海が深いほど速く伝わる性質があり,沖合では時速約900㎞というジェット機に匹敵する速度で伝わるが,水深が浅くなるほど速度が遅くなるため,津波が陸地に近づくにつれ,後から来る津波が前の津波に追い付き,陸地付近では津波が高くなる。津波は,水深が浅くなるほど速度が遅くなるとはいっても,陸上に押し寄せる際にも時速約36㎞程度の速度で押し寄せる(甲A65の2,67)。 イ津波は,水面の変動により起こるため,地震の規模,マグニチュードが大きいほど海底面の変動範囲が広く,鉛直方向の変動量も大きくなり,結果として津波は大きくなるし,震源の深さが海底の浅い部分にあるほど津波は発生しやすくなる(甲A75,84)。 ウ建物など ードが大きいほど海底面の変動範囲が広く,鉛直方向の変動量も大きくなり,結果として津波は大きくなるし,震源の深さが海底の浅い部分にあるほど津波は発生しやすくなる(甲A75,84)。 ウ建物などに被害を生じる地震による激しい揺れ(地震動)と,津波の発生は直接には関係しない。地震は,固い岩盤に大きな力が作用して,破壊されることによって生じる現象で,岩盤破壊により地震波と地殻変動が起 こる。地震波は地盤の揺れすなわち地震動になり,岩盤がずれ動く地殻変動により海底面が変動すると津波が発生する。地震の揺れによる被害が小さくても,海底面の変動量が大きいと,津波が発生することがある(甲A75,84)。 エ海岸線が直線状で,その前面の海の等深線も海岸線にほぼ平行な場合には,津波が沿岸に達したとき,どこかの点にエネルギーが集中して,そこだけ津波が高くなるということはほとんどない。しかし,V字型湾の最奥部や岬の先端など特殊な地形の場所では津波のエネルギーが集中して津波の被害が大きくなりやすい(甲A67,75,84)。 オ護岸や防波堤は,津波のエネルギーを低減させる効果があるが,津波が護岸や防波堤,浜崖に衝突すると,それ以上前に進めなくなるために,通常の1.5倍以上の高さの津波になって,乗り越えることになる(甲A75,84)。 カ高さ50㎝の津波が20㎝幅の人の両脚の幅に押し寄せると,200㎏を超える力が加わるので,立っていられなくなり流されてしまい,溺死するおそれがあるほか,建物や漂流物に速い速度で衝突し,脳挫傷や外傷性ショックで死亡する危険性が高いし,引き波により沖合まで流されてしまうおそれもある(甲A65の2及び3,75)。 (3) 気象庁による津波警報等気象庁による津波警報・注意報は,大津波警報,津波警報及び津波注 亡する危険性が高いし,引き波により沖合まで流されてしまうおそれもある(甲A65の2及び3,75)。 (3) 気象庁による津波警報等気象庁による津波警報・注意報は,大津波警報,津波警報及び津波注意報の3種類があり,大津波警報は,「高いところで3m程度以上の津波が予想されますので,厳重に警戒してください。」との内容で,津波の高さを3m,4m,6m,8m,10m以上に分類して発表し,津波警報は,「高いところで2m程度の津波が予想されますので,警戒してください。」との内容で,津波の高さを1m,2mに分類して発表し,津波注意報は,「高いところで0.5m程度の津波が予想されますので,注意してください。」との内容で, 津波の高さを0.5mとして発表していた。 また,気象庁による津波情報は,津波警報・注意報が発表された場合に津波の予想時刻や予想される津波の高さなどを知らせるもので,津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報,各地の満潮時刻・津波の到達予想時刻に関する情報,実際に津波を観測した場合の津波観測に関する情報を知らせるものであった。 本件地震当時,津波警報は,避難に充てられる時間を最大限確保するため,緊急の震源・マグニチュード計算結果に基づき津波警報第1報をできるだけ早く発表し,その後得られる地震や津波に関するデータや解析結果に基づき,より適切な警報に更新することとされていた(甲A65の4,乙A11)。 (4) 宮城県地震被害想定調査に関する報告書ア宮城県防災会議地震対策等専門部会の平成16年3月付け標記報告書においては,宮城県沖地震(単独),宮城県沖地震(連動)及び昭和三陸地震を想定地震として津波の予測がされているところ,山元町に到達する津波は,宮城県沖地震(単独)では到達時間が58.2分後,最高水位が1 いては,宮城県沖地震(単独),宮城県沖地震(連動)及び昭和三陸地震を想定地震として津波の予測がされているところ,山元町に到達する津波は,宮城県沖地震(単独)では到達時間が58.2分後,最高水位が1. 4m,最高水位の到達時間が64.6分後,予想浸水面積が1.2㎢,宮城県沖地震(連動)では到達時間が56.0分後,最高水位が2.5m,最高水位の到達時間が70.3分後,予想浸水面積が1.9㎢,昭和三陸地震では到達時間が76.1分後,最高水位が4,4m,最高水位の到達時間が124.7分後,予想浸水面積が4.9㎢と予測されていた(乙A43)。 イ上記アの宮城県地震被害想定調査時に策定され,宮城県のホームページからアクセスすることのできる津波浸水予測図によると,宮城県沖地震(連動)が発生した場合のG教習所付近の津波浸水域は,海岸から100mにも満たない範囲とされていた(乙A1中の「津波浸水予想図」)。 (5) 山元町付近における過去の地震津波による被害の概要 ア貞観地震に関する報道等産業技術総合研究所等の研究者は,平成22年10月,貞観11年(869年)に宮城県沖で起きた貞観地震は,マグニチュード8以上の地震であり,山元町を含む仙台平野では,当時の海岸線から2㎞程度内陸まで津波が遡上したと考えられるとの研究を発表した。 また,これに先立ち,平成22年5月24日の毎日新聞(東京夕刊),同年6月2日の読売新聞(東京朝刊),同月4日の毎日新聞(地方版/宮城)は,上記研究結果を踏まえ,貞観地震はこれまで宮城県沖で起こると考えられていた地震よりも大きなものであった可能性が高いとの報道をした(甲A68の3~6)。 イ郷土史の記載(ア) 昭和62年発行の宮城県史には,過去の地震津波による被害として,慶長16年(1611年)に 地震よりも大きなものであった可能性が高いとの報道をした(甲A68の3~6)。 イ郷土史の記載(ア) 昭和62年発行の宮城県史には,過去の地震津波による被害として,慶長16年(1611年)に,地震による津波が海岸から約8㎞の内陸にある岩沼付近まで押し寄せたことや,元和2年(1616年)の地震による津波は,「三陸津波の伝えあり」とされているだけで,その状況は分からないとの記載がされている(甲A48)。 (イ) 昭和46年発行の山元町誌には,慶長16年(1611年)の地震による津波は岩沼付近まで達し,1783人が溺死したとあるため,山元町の被害も相当数が含まれていると思われること,昭和8年の三陸地震津波では,山元町で重軽傷者18名を出し,津波の高さは2m以上に達したこと,昭和27年の十勝沖地震では被害がなかったこと,昭和35年のチリ地震では,山元町における被害は田畑の冠水による農作物の被害のみであったことが記載されている(甲A49)。 (6) 山元町広報誌の記載等ア平成20年8月の広報やまもとでは,「災害は忘れた頃にやってくる」として,地震に備える,津波に備えるとの記事を掲載し,津波について, 津波は海洋型地震で発生し,海岸や港で入口が広く奥が狭い地形で高くなる,通常の波とは違い恐ろしい力を蓄えていて,50㎝程度の津波でも侮ることはできない,海岸で揺れを感じた場合には津波が来ると考え,直ちに高台などに避難する,津波に対しては「避難に勝る対策無し」などと記載されていた(甲A78の2)。 イ平成22年10月の広報やまもとでは,地域防災の担い手となる各行政区の自主防災会長らが参加した津波防災講座が開催され,海岸に接する沿岸6行政区に対し,津波避難計画の作成方法などについて説明したとの記事が掲載された(甲A78の とでは,地域防災の担い手となる各行政区の自主防災会長らが参加した津波防災講座が開催され,海岸に接する沿岸6行政区に対し,津波避難計画の作成方法などについて説明したとの記事が掲載された(甲A78の3)。 (7) G教習所付近の地理的状況ア G教習所は,県道相馬亘理線沿いで,宮城県亘理郡山元町の行政区のうち中浜区に属する同町L番地に所在していたが,同所は,太平洋の海岸から約750m東に向かった特に高台ではない地点で,JR常磐線(以下「常磐線」という。)の線路よりも海岸側に位置しており,最寄りの海岸線は長距離にわたって比較的平坦な形状が続いていた(争いのない事実,乙A16,乙B1,弁論の全趣旨)。 イ山元町の海岸には,高潮に対する防護等を目的とした海岸堤防が整備されており,G教習所付近の海岸における高さは海面から6.2mであった(乙A2,3)。 ウ G教習所から700~750m程度西方に頂上の標高が53mの戸花山があり,徒歩9分程度,自動車で約2分30秒程度要するところ,同所は本件地震に伴う津波により浸水しなかった(乙A15,28,38,丁19)。 エ津波の際の山元町の指定避難場所として指定されていた坂元合同庁舎,坂元小学校,坂元中学校のうち,G教習所に最も近い坂元中学校は,G教習所から西南約1.5㎞に位置し,自動車で時速40~50㎞程度で移動 すると5分程度要するところ,同中学校は本件地震に伴う津波により浸水しなかった(甲A64,88,乙A38,B1,2,丁19)。 オ G教習所から北西約2.5㎞の地点に国道6号線との交差点である高瀬交差点があり,G教習所から自動車で5分程度要するところ,同所は本件津波により浸水しなかった(乙A38,丁19)。 2 本件の事実経過(1) G教習所の概要ア G教習所は の交差点である高瀬交差点があり,G教習所から自動車で5分程度要するところ,同所は本件津波により浸水しなかった(乙A38,丁19)。 2 本件の事実経過(1) G教習所の概要ア G教習所は,被告E2社長の父であるH9が,昭和46年に創立し,昭和54年に宮城県公安委員会から指定を受け,昭和58年にその経営法人として被告E1学校が設立された(乙A41,弁論の全趣旨)。 イ H9は,昭和58年に被告E1学校が設立されると現場から退き,被告E2社長が代表取締役として経営に当たり,弟である被告E3及びF1専務が取締役として登記されたが,被告E3は自身が代表取締役を務めるJの経営に専念していたため,被告E1学校からは報酬を受けず,経営にも関与しなかった(乙A31,41,被告E3本人)。 ウ被告E1学校及びG教習所においては,E2社長,F1専務及びF2常務が経営に当たり,F3学校長及びF1専務外2名の合計3名の副校長が学校運営に当たっており,序列としては,上位から順にE2社長,F1専務,F2常務,F3学校長となっていた。 本件地震当時,各取締役のほか,主任H7及びH8の部下であったDを含め,合計18名の役職員が在籍していたが,被告E2社長及び被告E3は在校していなかった(争いのない事実,甲A25,26,乙A41,弁論の全趣旨)。 (2) 本件教習生らと被告E1学校の契約本件教習生らは,平成23年3月11日当時,被告E1学校と入校契約を締結しており,G教習所の教習生であった(争いのない事実)。 (3) 教習生らのG教習所への通学方法教習生らは,徒歩や自転車,電車で坂元駅まで行き,そこからの徒歩,家族による送迎のほか,G教習所による送迎バスを利用するなどしてG教習所へ通っていた。G教習所から教習生らを送るバスは,亘 通学方法教習生らは,徒歩や自転車,電車で坂元駅まで行き,そこからの徒歩,家族による送迎のほか,G教習所による送迎バスを利用するなどしてG教習所へ通っていた。G教習所から教習生らを送るバスは,亘理方面に向かうバスについては午後0時10分,午後3時05分,午後4時50分,午後8時にG教習所を出発しており,他に相馬方面,角田方面及び丸森方面への送迎バスがあった(甲A20,42,45~47,51(枝番号を含む。),B1の2,2の1,3の2,4の2,5の2,8の2,10の2,11の1,12の2,14の1,16の2,17の1,20の3,21の1,乙A37(枝番号を含む。))。 (4) 地震に対する日常の備えG教習所においては,平成16年8月1日当時,消防計画を作成して亘理消防署に届け出ていたが,同計画は防火を主眼とするもので,震災対策も定められていたものの,津波対策については定められておらず,G教習所では防災訓練も行っていなかった(乙A5,41,被告E2社長本人)。 (5) 本件地震の発生平成23年3月11日午後2時46分頃,宮城県沖を震源地とするマグニチュード9.0の本件地震が発生した。本件地震の最大震度は7(宮城県栗原市等),山元町の震度は6強であり,坂元駅を走る常磐線は不通となった(甲A1,96,97,乙A8)。 (6) 本件地震発生以降のG教習所の状況ア本件地震が発生した午後2時46分当時,G教習所では午後2時から2時50分までの6時限の教習の最中であり,学科教習としては救急救命講習が行われていたほか,路上教習,2時限連続の路上教習が行われており,その他に路上教習のキャンセル待ちをしている教習生や,友人に会いに来た教習生などがいた。被告E8教官は,本件地震が発生した午後2時46 分当時,教習生B24及 路上教習が行われており,その他に路上教習のキャンセル待ちをしている教習生や,友人に会いに来た教習生などがいた。被告E8教官は,本件地震が発生した午後2時46 分当時,教習生B24及びB25に対し,2時限連続の路上教習中で,亘理町の中央公民館裏駐車場に駐車して講評をしていた(甲A19,20,43,45,47,B1の2,2の1,3の2,4の2,8の2,11の1,12の2,20の3,24の1,乙A32,39,40,被告E8教官本人)。 イ本件地震の揺れが続いていた午後2時48分から49分にかけて,G教習所で停電があったが,その後復旧し,1階のテレビでは,地震についての放送がされていた(甲A7,46)。 ウ教習生らは,教官の指示により,本件地震の揺れが収まった午後2時55分頃までの間にG教習所の校舎内から外に避難することになり,校舎外の教習コースに出た。また,F1専務,F2常務,F3学校長その他の職員も校舎外の教習コースに避難していたが,校舎内で片付け等をしている職員もいた(甲A19,20,45~47,乙A39,40)。 エ F1専務は,午後3時前頃,午後3時からの教習は行わないことを決定し,1時間ほど様子を見ることとして,教官らに対し,その旨の通知をした(乙A39,40)。 オ本件地震発生当時,路上教習中であったH4教官は,午後2時55分頃,G教習所に戻り,余震のたびに校舎外に避難したり,校舎内に入ったりを繰り返していたところ,前記エの後,教官室のテレビで,宮城県に最大6mの津波が午後3時頃来るとの放送がされているのを見て,F3学校長に対し,「6mくらいの津波が来るようですよ。」と話し,F3学校長から,「6m位なら大丈夫。ここまでは来ないだろう。津波の到達予想時間はもう過ぎているよ。」との返答を受けた(乙A40 て,F3学校長に対し,「6mくらいの津波が来るようですよ。」と話し,F3学校長から,「6m位なら大丈夫。ここまでは来ないだろう。津波の到達予想時間はもう過ぎているよ。」との返答を受けた(乙A40,証人H4教官)。 カ G教習所では,寒かったため,G教習所の校舎外に避難している教習生を送迎バスに乗せることとし,午後3時10分頃,バス5台を出して教習生らに対して開放した。午後3時20分には山元町全域が停電となったた め,遅くともこの頃までにはG教習所校舎内も再び停電したが,G教習所のH4教官は,バスではラジオがついていたため,TBCラジオを聞いた(甲A7,19,20,45~47,乙A40,証人I1)。 キ F1専務は,G教習所で停電が起こった後,午後4時からの教習を行わないこと,希望する教習生をバスや教習車で送ることを決定し,教官及び職員らから,教習生らに対し,午後3時30分頃,その旨を通知し,送り先ごとに送迎用車両に分乗させ,準備ができた車両から送ることとなった(甲A19,20,45~47,乙A39,40)。 ク被告E8教官は,本件地震発生後,2時限連続路上教習を中止して,B24及びB25を乗せてG教習所に帰ることとし,午後3時30分頃,G教習所に帰った(乙A32,被告E8教官本人)。 ケ H4教官は,丸森方面行きの送迎バスを担当することとなり,午後3時40分頃,最初にG教習所を出発し,普段と同じルートを走行していたが,坂元駅手前の交差点が少し混雑していたため,直進して一本先の曲がり角で右折した坂元駅先のK付近において,津波が来ているのに気付いた直後に防災無線の警報を聞き,送迎車を運転して何とか津波から逃れることができた(甲A19,47,乙A37の4,40,証人I2)。 コ G教習所の教官H5(以下「H5教官」と 波が来ているのに気付いた直後に防災無線の警報を聞き,送迎車を運転して何とか津波から逃れることができた(甲A19,47,乙A37の4,40,証人I2)。 コ G教習所の教官H5(以下「H5教官」という。)は,亘理方面行きの送迎バスを担当することとなり,午後3時40分過ぎ頃,教習生5名を乗せてG教習所を出発し,山下駅で教習生3名を降ろし,県道121号線を西に進んだ後,右折して北上している際に津波に遭ったが,教習生らと共に送迎車の屋根の上に上がり,助かった(乙A37の1,39,証人H5)。 サ F2常務は,角田方面行きの送迎バスを担当することとなり,午後3時40分頃から45分頃にかけて,本件D車両に教習生4名を乗せてG教習所を出発したところ,別紙4地図上④付近で津波に遭い,F2常務及び教習生2名が死亡した(争いのない事実,甲A20,乙A37の3,証人I 1)。 シ H3教官は,亘理方面行きの送迎バスを担当することとなり,午後3時40分頃から45分頃にかけて,前記コのH5教官が運転する車両が出発した後,本件C車両に教習生9名を乗せてG教習所を出発したところ,別紙4地図上③付近で津波に遭い,H3教官及び教習生7名が死亡した(争いのない事実,甲A18,乙A37の1,証人H5)。 ス被告E8教官は,相馬の山上方面の送迎を担当することとなり,午後3時40分頃,教習車に教習生4名を乗せてG教習所を出発したところ,G教習所から南に400mほど進んだ橋付近で歩いている2人の人を見掛け,通り過ぎた後に同乗していた教習生から,上記2名も教習生であると指摘を受けた。その後,被告E8教官は,坂元駅のところを右折し,国道6号線に入る途中,津波に気付いたが,津波が来る前に山の方に上り,津波から逃れることができた(甲A10,45,46,乙A32, ると指摘を受けた。その後,被告E8教官は,坂元駅のところを右折し,国道6号線に入る途中,津波に気付いたが,津波が来る前に山の方に上り,津波から逃れることができた(甲A10,45,46,乙A32,37の2,被告E8教官本人)。 セ H1教官は,相馬方面の送迎を担当することとなり,午後3時45分頃,本件A車両に教習生10名を乗せてG教習所を出発したところ,別紙4地図上①付近で津波に遭い,H1教官及び教習生10名全員が死亡した(争いのない事実,甲A14,17,乙A37の2)。 ソ H2教官は,相馬方面の送迎を担当することとなり,本件B車両に教習生5名を乗せてG教習所を出発したところ,別紙4地図上②付近で津波に遭い,H2教官及び教習生4名が死亡した(争いのない事実,甲A13の1及び2,乙A37の2)。 タ B24及びB25は,午後3時35分頃,B25が自転車を押し,一緒にG教習所を出て,徒歩で南に向かっていたところ,午後3時52分頃,別紙4地図上⑤の地点で津波に遭い,死亡した(争いのない事実,甲A47,乙A32)。 チ G教習所には,午後3時50分から59分頃までの間に津波が到来し,G教習所又はその周辺において,Dのほか,G教習所に残っていたF1専務,F3学校長らG教習所の役職員が死亡した(争いのない事実,甲A4,5,乙B6)。 ツ G教習所付近の津波浸水高(平均海面からの高さ)は約9.9mであったところ,戸花山付近には10mを超える津波は来ておらず,それ以上の高さについては浸水していないし,坂元中学校にも付近まで津波は来たが校庭等は浸水しておらず,高瀬交差点も津波による浸水はなかった(乙A16,38,丁19)(7) 気象庁の津波警報等の状況気象庁は,午後2時49分,岩手県,宮城県及び福島県に予想される津波 が校庭等は浸水しておらず,高瀬交差点も津波による浸水はなかった(乙A16,38,丁19)(7) 気象庁の津波警報等の状況気象庁は,午後2時49分,岩手県,宮城県及び福島県に予想される津波の高さを宮城県6m,福島県3mとして大津波警報(第1報)を発表し,午後3時14分,予想される津波の高さを宮城県10m以上,福島県6mとして大津波警報(第2報)を発表し,午後3時30分,予想される津波の高さを宮城県及び福島県10m以上とする大津波警報(第3報)を発表し,その後も発表をし続けて,注意報にした後,翌々日の13日午後5時58分に解除した(丁2)。 (8) 防災行政無線の放送状況ア G教習所付近の防災行政無線G教習所付近の防災行政無線は,新浜1局により稼働するところ,同局では,本件地震後,停電の影響による不良により,放送コードが判別できず,受信装置が正常に動作しなかったと推測されている(乙A33の1~3)。 イ本件地震発生後の防災行政無線の放送内容午後2時49分から,防災行政無線により,「こちらは,亘理消防署です。亘理消防署からお知らせします。ただいま,宮城県沿岸に大津波警報 が発令されました。万一に備え避難できる準備をして下さい。なお,テレビ・ラジオの情報に十分注意して下さい。海岸付近にいる方は,直ちに海岸から離れて下さい。」との広報文を基本にした放送が開始され,時の経過により,午後3時25分からは避難指示も併せて伝令されることとなり,「山元町沿岸の住民の方は大至急高台に避難して下さい。」と放送された(甲A4,5,乙A33の1及び2,34の1及び2)。 ウ G教習所関係者の防災行政無線の聴取状況G教習所では,普段,防災行政無線が放送されていることは分かるものの,中身は聞き取ることができなかったものであ ,乙A33の1及び2,34の1及び2)。 ウ G教習所関係者の防災行政無線の聴取状況G教習所では,普段,防災行政無線が放送されていることは分かるものの,中身は聞き取ることができなかったものであり(乙A41),本件地震後,G教習所にいたG教習所関係者や教習生らの中にも,本件地震当日に防災行政無線を聞いた旨の内容の陳述書を作成し,あるいはその旨の証言をする者はいない。 (9) 山元町,消防,警察の広報車による広報状況ア山元町の広報車による広報状況山元町は,午後3時00分頃から,広報車4台により,大津波警報の発令と避難指示を広報することとし,G教習所付近では,スピーカーを備えた広報車が「大津波警報が発令されました。沿岸部にいる方は避難して下さい。」との表現を用いて,主に県道相馬亘理線を走行して広報した(甲A4,33,乙A33の1及び2)。 イ消防の広報車による広報状況亘理地区行政事務組合消防本部は,午後2時55分頃から,同山元分署のスピーカーを備えた赤いタンク車1台(以下「本件消防車」という。)により,大津波警報発令について,「津波警報が発令されました。坂元中学校に避難して下さい。」との表現を用いて,県道相馬亘理線を2回往復走行して広報したが,山元町より避難指示が発令されたことは広報しなかった(甲A5,34,乙A34の1及び2)。 ウ警察による広報状況亘理警察署は,車載拡声器を使用して,「こちらは亘理警察署です。大津波警報が発令されています。直ちに避難して下さい。」と,県道相馬亘理線を走行して広報したが,開始時刻や広報ルートについての詳細な記録はない(甲A6,35)。 (10) テレビの放送状況ア東北放送株式会社によるテレビ放送(同社に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)東北放送株式会 開始時刻や広報ルートについての詳細な記録はない(甲A6,35)。 (10) テレビの放送状況ア東北放送株式会社によるテレビ放送(同社に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)東北放送株式会社は,本件地震発生時にテロップで緊急地震速報を,午後2時50分にテロップで大津波警報を放送し,午後2時53分以降,宮城県に大津波警報が出されたことを伝え,安全な場所への避難を呼び掛け,本件地震は最大震度7,震源は三陸沖深さ約10Kmで,マグニチュード7.9であること,午後2時56分には,宮城県への津波到達予想時刻は午後3時,予想される波の高さは6mとなっていることを伝え,午後3時15分頃まで,数分ごとに同内容を伝えていた。東北放送株式会社は,気象庁が午後3時14分に発令した大津波警報(第2報)は伝えておらず,午後3時17分に,宮城県で10m以上の津波が観測されていることを伝え,午後3時32分には大津波警報(第3報)に対応して,宮城県で予想される津波の高さが10mであることを伝えた。 イ株式会社仙台放送によるテレビ放送(同社に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)株式会社仙台放送では,午後2時49分の大津波警報(第1報),午後3時14分の大津波警報(第2報),午後3時30分の大津波警報(第3報)の発令とほぼ同時に,テロップで「宮城,岩手,福島の沿岸に大津波警報が発令」などと伝えて,アナウンスもし,気象庁から津波の高さや到達時刻など新しい情報が出るたびにそれらを加え,実際の津波の高さは予 想される津波よりも高くなる場合もあることも繰り返し伝えた。 ウ NHKによるテレビ放送(日本放送協会に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)NHKは,本件地震につき,午後2時49分頃,宮城県中部で震度6強の地震があり,大津波警報が発令され 返し伝えた。 ウ NHKによるテレビ放送(日本放送協会に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)NHKは,本件地震につき,午後2時49分頃,宮城県中部で震度6強の地震があり,大津波警報が発令されていることを伝え,海岸や川の河口付近には絶対に近づかないこと,早く安全な高いところに避難することを呼び掛け,その後も複数回同内容を放送し,午後2時51分頃,宮城県への津波到達予想時刻は午後3時,津波の予想高さは6mであること,福島県への津波到達予想時刻は午後3時10分,津波の予想高さは3mであることを伝えてテロップでも表示し,午後3時14分には,大津波警報が追加され,宮城県へ津波が到達したことが確認され,津波の予想高さは10m以上であること,福島県の津波の予想高さは6mであることを伝え,テロップでも表示し,午後3時30分には,大津波警報が追加され,宮城県へ津波が到達したことが確認され,津波の予想高さは10m以上であること,福島県の津波の予想高さは10m以上であることを伝え,テロップでも表示した。 エ株式会社東日本放送によるテレビ放送(同社に対する調査嘱託の結果,乙B7,丁7)株式会社東日本放送は,本件地震後,地震情報を伝えていたところ,午後2時53分,岩手・宮城・福島に大津波警報が発令されたことを伝え,波の高さが10mを超える場合もあり,厳重に警戒するよう呼び掛け,その後も繰り返し,午後2時57分,宮城県では午後3時に6mの津波が到達すると予想されていることを伝え,午後3時5分には,宮城県を含め東北の太平洋沿岸に大津波警報が発令されていることを伝え,海岸近くの人は高台へ避難をと呼び掛け,午後3時16分,宮城県に津波が到達したことが確認され,予想される津波の高さが10m以上であることを伝え,そ の後も繰り返した。 ( とを伝え,海岸近くの人は高台へ避難をと呼び掛け,午後3時16分,宮城県に津波が到達したことが確認され,予想される津波の高さが10m以上であることを伝え,そ の後も繰り返した。 (11) ラジオの放送状況ア東北放送株式会社によるラジオ放送(TBCラジオ)(同社に対する調査嘱託の結果,丁8)東北放送株式会社は,本件地震発生を受けて緊急生特番とし,本件地震の震度などを伝え,午後2時50分,太平洋岸に大津波警報が発令されたこと,宮城県の津波到達予想時刻は午後3時で予想高さは6mであることを伝えて直ちに避難するよう呼び掛け,午後2時58分には本件地震のマグニチュードが7.9であることを伝え,沿岸部の住民に直ちに避難するよう呼び掛け,その後も何度も同内容を放送したが,午後3時14分の大津波警報(第2報)については,午後3時50分まで伝えなかった。 イ株式会社エフエム仙台によるラジオ放送(同社に対する調査嘱託の結果,丁8)株式会社エフエム仙台は,本件地震後,停電やシステムトラブルにより放送できない時間があったが,午後3時頃から災害特番に切り替え,太平洋岸に大津波警報が発令されたこと,沿岸部では津波が観測されたことを伝え,高台に避難するよう呼び掛け続け,午後3時21分には,大津波警報につき,津波の予想高さが10m以上とされていることを伝えた。 ウ NHKによるラジオ放送(日本放送協会に対する調査嘱託の結果)本件地震発生後,テレビとラジオは同音声により,前記(10)ウと同内容を放送した。 (12) 山元町における被害状況本件地震及びこれに伴う津波により,平成24年4月6日現在の集計によると,山元町においては,総面積64.68㎢の37.2%に相当する24㎢が浸水し,死者630人,全壊家屋2217棟(うち1013棟 本件地震及びこれに伴う津波により,平成24年4月6日現在の集計によると,山元町においては,総面積64.68㎢の37.2%に相当する24㎢が浸水し,死者630人,全壊家屋2217棟(うち1013棟流出)の被害が生じた(丁1)。 3 被告E1学校の責任(原告教習生親ら関係)(1) 原告教習生親らは,被告E1学校は本件教習生らに対して安全配慮義務を負うことを前提に,迅速な避難を行う義務や災害対応マニュアル整備を行う義務を履行しなかったとして,債務不履行に基づく損害賠償を請求している。 (2) 安全配慮義務本件教習生らと被告E1学校は入校契約を締結していた(前記2(2))ところ,本件教習生らは,被告E1学校の指定する場所において,被告E1学校の供給する設備,器具等を用いて教習をするものであるから,被告E1学校は,本件教習生らが教習を受ける過程において,教習生らの生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解されるところ,本件地震当時,本件教習生らは上記教習を受ける過程にあったものと認めることができる。 この点,被告E1学校は,教習生らに教習終了後にG教習所に滞在する義務はなく,本件地震発生後も同様であったのであり,本件教習生らとの間には,安全配慮義務を生じさせるに足りるほどの社会的接触関係があるとは認められないと主張する。しかし,被告E1学校は,徒歩や自転車,電車及び徒歩や家族による送迎によりG教習所へ通っていた教習生もいるものの,教習生らを送迎する送迎バスを運行しており(前記2(3)),これによりG教習所へ通っていた教習生も多数いるとうかがわれる上,本件地震発生後,常磐線が不通となり(前記2(5)),公共交通機関によりG教習所から帰宅することは困難になった おり(前記2(3)),これによりG教習所へ通っていた教習生も多数いるとうかがわれる上,本件地震発生後,常磐線が不通となり(前記2(5)),公共交通機関によりG教習所から帰宅することは困難になったことからすると,本件地震発生後に教習が終了した午後2時50分より後についても,被告E1学校は,本件教習生らに対し,なお安全配慮義務を負うべき社会的接触関係にあったものと解される。 (3) 津波を予測し,迅速な避難を行う義務違反原告教習生親らは,テレビやラジオによる地震速報により宮城県に大津波警報が発令されており,沿岸部での避難が呼び掛けられていたこと,G教習 所周辺では,消防,消防団,山元町の広報車や警察車両により,津波の危険性があり避難するよう情報提供活動をしていたことからすれば,F1専務,F2常務あるいはF3学校長が情報収集をしていればこれら情報に接することにより津波による危険性を予見し,送迎バスを利用して避難させることが可能であったのにこれをせず,かえってF1専務は待機指示を出したという過失があり,また,被告E2社長及び被告E3は,G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に避難指示をすべきであったのにこれを怠ったと主張するので,以下,原告教習生親らの主張する被告E1学校ら及びF3学校長の注意義務違反の有無につき,順次検討する。 ア被告E1学校の教官らが接した情報前記2(6)オ,(7),(10)によれば,H4教官は,宮城県に予想される津波の高さを6mとする大津波警報を伝えるテレビ放送を見て,F3学校長とこのことに関連する会話をしていることが認められる。 また,教習生であった証人I1,証人I3,証人I4,証人I2は,①校舎外に避難した教習生が乗るためのバスが用意された後,消防車が大津波警報が出されたので高 関連する会話をしていることが認められる。 また,教習生であった証人I1,証人I3,証人I4,証人I2は,①校舎外に避難した教習生が乗るためのバスが用意された後,消防車が大津波警報が出されたので高台に避難してくださいと呼び掛けているのを聞いたが,F3学校長を含めて校舎外に出ていた複数の教官も同様に上記呼び掛けを聞いていた(証人I1),②バスの中で待機していた際,消防車が外を通っていたが,呼び掛け内容までは記憶していない(証人I3),③バスの中で待機していた際,消防車がサイレンを回しながら避難してくださいと警報していた(証人I4),④本件地震後,G教習所校舎外に避難して待機していた際,消防車が避難を呼び掛けていたのを聞き,その後にバスの中で待機していた際にも消防車が通ったのを見たが,呼び掛け内容までは記憶していない(証人I2)と証言しているところ,上記の各証言は,F3学校長や他の教官は,本件地震後校舎外に出ていた時間もあり,校舎への出入りを繰り返していたことや(前記2(7)ウ,オ),亘理地区行 政事務組合消防本部が本件消防車によりG教習所の目の前を通る県道相馬亘理線を2回往復して,津波警報が発令されたことと坂元中学校への避難を呼び掛けていたこと(前記2(9)イ)とも整合しており,信用性が高いというべきことからすると,校舎外にいたF3学校長や他の教官の全てが本件消防車による「津波警報が発令されました。坂元中学校に避難して下さい。」との内容の広報を聞いていなかったとは考え難く,少なくとも一部はこれを聞いたと推認することができる。 なお,証人I1は,同人が見た消防車について,「大津波警報が発令されたので高台に避難してくださいというサイレンが聞こえました。」と証言する一方,証拠(甲A8)によれば,本件消防車の伝令にはサイレンが なお,証人I1は,同人が見た消防車について,「大津波警報が発令されたので高台に避難してくださいというサイレンが聞こえました。」と証言する一方,証拠(甲A8)によれば,本件消防車の伝令にはサイレンがなかったことが認められるが,証人I1の証言からすると,大津波警報が発令されたので高台に避難してくださいという放送内容をサイレンと表現しているか,他の緊急車両のサイレンを混同して証言している可能性もあり,同人の陳述書(甲A20)の記載も同趣旨と考えられるから,証人I1がサイレンに言及していることをもって同人の証言が信用できないとまでいうことはできない。 他方,教習生であった証人I5,教官や職員であった証人H4,証人H6,証人H5は,消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことと避難を呼び掛けていたことを聞いていないと証言するが,①証人I5は,本件地震発生当時路上教習中で,午後3時頃G教習所に戻った後は校舎外の教習コース上で友人と話していたと証言しており,G教習所に戻る前に本件消防車が広報したか,友人と話していて気付かなかった可能性があること,②証人H4は,本件地震発生当時路上教習中で,午後2時55分頃,G教習所に戻った後,消防団の車が特に放送もせずに走り去ったのを見たのみであると証言するが,同人は校舎や教習生らのいるバスに出たり入ったりしていたというのであり,本件消防車が広報した際には校 舎外にいなかった可能性があること,③証人H6は,本件地震発生当時自動車の修理のためG教習所外の整備工場にいたところ,午後3時10分頃G教習所に戻ったと証言しており,G教習所に戻る前に本件消防車が広報した可能性があるほか,校舎に出たり入ったりしていたため,本件消防車が広報した際には校舎外にいなかった可能性があること,④証人H5も校 教習所に戻ったと証言しており,G教習所に戻る前に本件消防車が広報した可能性があるほか,校舎に出たり入ったりしていたため,本件消防車が広報した際には校舎外にいなかった可能性があること,④証人H5も校舎に出たり入ったりしていたため,本件消防車が広報した際には校舎外にいなかった可能性があることからすると,これら証言によって前記推認は左右されない。 イ津波の予見可能性ところで,宮城県地震被害想定調査において,宮城県沖地震(連動)を想定地震とする津波浸水域予測では,山元町のG教習所付近の津波浸水域は海岸から100mに満たない範囲と予測されていたこと(前記1(4)),G教習所付近の海岸には,海面からの高さ6.2mの海岸堤防が整備されていたこと(前記1(7)イ),本件地震後に山元町民を対象にしたアンケートでは,G教習所の属する中浜区を含んだ沿岸部(坂元地区)住民のうち,本件地震後に自宅への浸水を予期した回答者は約3割にとどまっていること(乙B13),中浜区では本件地震に伴う津波により137名が死亡したこと(乙A41),G教習所の所在する山元町は福島県と接しており,当初の大津波警報(第1報)は,予想される津波の高さを宮城県6m,福島県3mとしていたこと(前記2(7))が認められる。 さらに,山元町付近における過去の地震津波による被害についても,貞観11年(869年)の貞観地震においては,海岸線から2㎞程度内陸まで津波が遡上したと考えられるとの研究が発表され(前記1(5)ア),郷土史でも1600年代の地震及び津波について記載はあるが,昭和以降では,昭和8年(1933年)の三陸地震津波や,昭和35年のチリ地震でも死者が出たとの記載はされておらず(前記1(5)イ),昭和53年の宮城県沖 地震では,山元町に津波の被害はなく(証人H5 昭和8年(1933年)の三陸地震津波や,昭和35年のチリ地震でも死者が出たとの記載はされておらず(前記1(5)イ),昭和53年の宮城県沖 地震では,山元町に津波の被害はなく(証人H5),平成22年のチリ地震津波では,津波警報は出たが,山元町に津波の被害はなかった(証人H5,被告E8教官本人)のであり,山元町も,広報誌において津波について掲載し,防災講座も開催していたものの(前記1(6)),山元町付近においては,近年,具体的記憶に残るほどの津波の襲来はなかったといえる。 これと,G教習所付近に代々居住していた被告E2社長本人のほか,G教習所の教官や職員らも,G教習所に津波が襲来するとは具体的に予見できなかったと証言(証人H4,証人H6,証人H5)ないし供述(被告E8教官本人,被告E3本人)しており,本件教習生親らの中にもG教習所に津波が襲来することを具体的に予見していなかった者(例えば,原告A45,原告A37)もいる上,教習生であった証人I1,証人I3,証人I5,証人I4,証人I2,証人I6は,いずれも本件地震を経験した後もG教習所に生命及び身体等に危険が及ぶような大きな津波が襲来するとは思わなかったとの趣旨の証言をしていることにも鑑みれば,予想される津波の高さを宮城県6m,福島県3mとする大津波警報(第1報)に接した時点において,被告E1学校,F1専務,F2常務及びF3学校長において,宮城県の南部に位置し,福島県に近接する山元町内の,海岸から約750m離れた場所に所在し,かつ,最寄りの海岸付近には高さ6mを超える海岸堤防が整備されていたG教習所にまで津波が襲来することを予見し,また,更に情報を収集すべき義務があったとまでいうことはできない。 そして,大津波警報(第1報)に引き続き,予想される津波の高さを宮城県10m 備されていたG教習所にまで津波が襲来することを予見し,また,更に情報を収集すべき義務があったとまでいうことはできない。 そして,大津波警報(第1報)に引き続き,予想される津波の高さを宮城県10m以上,福島県6mとする午後3時14分発令の大津波警報(第2報)(前記2(7))が出されていた点についても,放送局によっては直ちに大津波警報(第2報)を報道していない(前記2(10))ところ,G教習所の教官らにおいて上記大津波警報(第2報)が出されていたことを現に把握し,認識していたものとまで認めるに足りる証拠はないから,同大津 波警報(第2報)を知ったことを前提に,被告E1学校,F1専務,F2常務及びF3学校長に,更に情報を収集すべき義務があったということはできない。 しかしながら,前記アのとおり,F3学校長を含む教官らが大津波警報(第2報)が発令された事実を知らず,テレビ報道等からG教習所への津波の襲来を予期できなかったのだとしても,校舎外にいたF3学校長を含む教官らのうち少なくとも一部は,G教習所の敷地内において,目の前で行われていた本件消防車による「津波警報が発令されました。坂元中学校に避難して下さい。」と避難先まで特定し,G教習所付近にいる者に対して避難を呼び掛ける広報を現実に聞いていたと推認されることからすれば,遅くともその時点において,G教習所付近にも津波が襲来する事態を具体的に予期し得たものというほかない。 そして,本件教習生らに対して安全配慮義務を負う被告E1学校としては,目の前で行われていた上記広報を軽視し,あるいは無視することなく,履行補助者であるF3学校長を含む教官らが知った情報を総合し,G教習所に津波が襲来する可能性を予見して,速やかに上記教習生らを坂元中学校等に避難させ,あるいは安全なルートを通っ は無視することなく,履行補助者であるF3学校長を含む教官らが知った情報を総合し,G教習所に津波が襲来する可能性を予見して,速やかに上記教習生らを坂元中学校等に避難させ,あるいは安全なルートを通って送迎先に送り届けるなどすべき義務を負っていたものというべきところ,当時,本件教習生らは送迎バスに乗車し,あるいはその付近にいたことからすれば,同教習生らを速やかに避難させることも十分に可能な状態にあったということができる。 以上によれば,被告E1学校には,本件教習生らに対する安全配慮義務違反が認められることとなるが,原告教習生親らの他の被告らに対する請求にも関係するので,同原告らが主張する他の注意義務違反の存否についても,以下において検討を加える。 ウ待機指示について原告教習生親らは,F1専務において,本件教習生らを,迅速に避難さ せるべきであったのに待機指示を出したと主張する。 この点,前記2(6)エのとおり,F1専務は,本件地震後の午後3時前頃,午後3時からの教習は行わないことを決定して1時間ほど様子を見ることとしたことが認められるが,このようなF1専務の判断が被告E1学校の安全配慮義務との関係で違法と評価されるのは,G教習所に津波が襲来することを予見して,これに対する措置を執るべき義務があったのにこれを怠り,待機指示を出したというところにあるものと考えられる。 しかし,本件消防車による広報を聞く以前の時点で,G教習所に津波が襲来することを予期すべきであったとはいえないところ,午後3時前の時点において,F3学校長等が本件消防車の広報を聞いていたとまで認めるに足りる証拠はないことからすれば,本件地震後,F1専務が1時間ほど様子を見ることとしたことをもって注意義務に違反したものとまでいうことはできない。 なお,証 消防車の広報を聞いていたとまで認めるに足りる証拠はないことからすれば,本件地震後,F1専務が1時間ほど様子を見ることとしたことをもって注意義務に違反したものとまでいうことはできない。 なお,証人I2は,本件地震後バスの中で待機中に,バスから降りた教習生が教官から注意を受けていたと証言するが,特に支障もなくバスから降りた教習生(証人I1,証人I4)もおり,また,バスではなく外にいた教習生(証人I5)もいることからすると,F1専務において,教習生らに帰宅や避難を禁じ,バスの中での待機を命じるという趣旨で待機指示を出したとは認められない。 エ G教習所に在校するF1専務らへの避難指示義務違反原告教習生親らは,被告E2社長及び被告E3において,情報を収集した上,G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に避難指示をすべきであったと主張する。 しかし,証拠(被告E2社長本人,被告E3本人)によれば,本件地震発生当時,G教習所に在校していなかった被告E2社長及び被告E3は,テレビやラジオの報道により大津波警報が発令されたことを聞いておらず, 防災行政無線や,山元町,消防や警察の車両による避難指示も聞いていなかったことからすれば,上記被告らに更なる情報を収集すべき義務があったとはいえないし,本件地震発生後は,G教習所やF1専務に電話連絡をしても電話が通じない状況にあったと認められることからすると,原告教習生親らの主張は採用できない。 (4) 災害対応マニュアル整備を怠った義務違反原告教習生親らは,G教習所が海岸付近に立地していることから,宮城県沖で地震が発生した場合,津波の被害が及ぶことは容易に予測でき,予見可能性があったと主張する。 この点,前記のとおり,山元町付近においては,過去にマグニチュード8以上で, していることから,宮城県沖で地震が発生した場合,津波の被害が及ぶことは容易に予測でき,予見可能性があったと主張する。 この点,前記のとおり,山元町付近においては,過去にマグニチュード8以上で,当時の海岸線から2㎞程度内陸まで遡上したといわれる869年発生の貞観地震,海岸から約8㎞の内陸にある岩沼付近まで津波が押し寄せたといわれる1611年発生の地震が報告されているが,前者は本件地震の1100年以上前,後者も四百年余り前に発生したものであるとともに,山元町における浸水域も必ずしも明らかとはいえないものであり,また,昭和8年の三陸地震では,津波の高さは2m以上に達したとされているものの,G教習所付近の海岸には,海面からの高さ6.2mの海岸堤防が設けられていること,昭和27年の十勝沖地震では山元町には被害が出なかったこと,昭和35年のチリ地震では,山元町における被害は田畑の冠水による農作物の被害にとどまったことに加え,宮城県地震被害想定調査において,宮城県沖地震(連動)を想定地震とする津波浸水域予測では,山元町のG教習所付近の津波浸水域は海岸から100mに満たないものと予測されていたことや(前記1(4)),G教習所は亘理消防署から津波対策について具体的な指導を受けていなかったこと(前記2(4))などをも併せ考慮すれば,海岸から約750mの地点に位置するG教習所について,本件地震発生前の時点において,宮城県沖で地震が発生した場合にG教習所に津波の被害が及ぶことを予期す べきであったとまでいうことはできず,被告E1学校において,あらかじめ津波による被害を想定した災害対応マニュアル整備をすべきであったということはできない。 (5) 因果関係前記(3)イのとおり,被告E1学校の負う安全配慮義務の履行補助者であるF3学校長を じめ津波による被害を想定した災害対応マニュアル整備をすべきであったということはできない。 (5) 因果関係前記(3)イのとおり,被告E1学校の負う安全配慮義務の履行補助者であるF3学校長を含む教官らのうち少なくとも一部は,テレビ放送を通じて予想される津波の高さ宮城県6m,福島県3mとする大津波警報(第1報)に接していた状況下において,県道相馬亘理線を走行する本件消防車により,津波警報が伝令され,避難が呼び掛けられたことを知ったのであるから,本件教習生らに対して安全配慮義務を負う被告E1学校としては,現に上記広報が行われていたG教習所に津波が襲来する具体的可能性を予見して,これに対する措置を執るべきであったところ,G教習所の教習生らは,徒歩や自転車,電車で坂元駅まで行き,そこからの徒歩,家族による送迎のほか,G教習所による送迎バスを利用するなどしてG教習所に通っており,本件地震後には常磐線が不通となり,公共交通機関によって帰宅することは困難になっていたのである(前記2(3),(5))から,被告E1学校は,送迎バス等G教習所の有する車両により速やかに教習生らを避難させるべきであったといえる。 そして,送迎バス等の通学手段もある自動車教習所という性質上,G教習所に通う教習生らは必ずしもG教習所近辺で育った者とは限らず(証人I1,同I5,同I4,同I2,同I6),G教習所近辺の地理に通じていない者も多かったことにも鑑みれば,本件教習生らが18歳ないし19歳であることを考慮しても,自力で付近の高台である戸花山に避難することが期待できたということはできず,現実的にG教習所による送迎バス等以外の手段によってG教習所から避難することは期待し得なかったというべきである。 さらに,被告E1学校において,本件消防車による避難の呼び掛けに従っ ことはできず,現実的にG教習所による送迎バス等以外の手段によってG教習所から避難することは期待し得なかったというべきである。 さらに,被告E1学校において,本件消防車による避難の呼び掛けに従っ て避難するとの判断をしていれば,現実にG教習所から送迎バス等が出発した午後3時40分頃(前記2(6)ケ~ソ)よりも前に避難を開始することができたと考えられるところ,指定避難場所である坂元中学校へは自動車で約5分程度で避難することができ(前記1(7)エ),午後3時40分頃以降に出発した送迎バス等の中には津波に遭わずに逃れることもできた車両もある(前記2(6)ケ~ソ)ことからすると,被告E1学校による安全配慮義務違反と本件教習生らの死亡との間に相当な因果関係を認めることができる。 なお,本件教習生らのうち,B24及びB25は,午後3時30分頃にG教習所に戻った後,午後3時35分頃に自転車を押して徒歩でG教習所を出ている(前記2(6)タ)が,被告E1学校が津波の襲来を予期した状態下において,避難を開始する前にG教習所に戻ったのであれば他の教習生と一緒に避難することができたはずであるし,避難開始後にG教習所に戻ったのだとしても,その場合,被告E8教官と共に避難したと考えられるから,B24及びB25についても被告E1学校による義務違反と上記教習生らの死亡との間に相当な因果関係を認めることができる。 (6) 小括以上検討のとおり,被告E1学校は,その安全配慮義務の履行補助者である教官らが大津波警報(第1報)が発令されていることを知り,県道相馬亘理線を本件消防車が津波警報の伝令とともに避難を呼び掛けて広報していたことを知っていたのであるから,これら情報を総合してG教習所に津波が襲来する危険性を予見し,速やかに教習生らを避難させるべき義務 理線を本件消防車が津波警報の伝令とともに避難を呼び掛けて広報していたことを知っていたのであるから,これら情報を総合してG教習所に津波が襲来する危険性を予見し,速やかに教習生らを避難させるべき義務があったのにこれを怠り,本件教習生らの死亡という結果を生じさせたのであって,本件教習生らが死亡したことにつき,債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。 4 被告E2社長,F1専務,F2常務,F3学校長,被告E8教官及び被告E3の責任(原告教習生親ら関係)(1) F1専務,F2常務及びF3学校長の責任 ア原告教習生親らは,F1専務,F2常務及びF3学校長は,本件教習生らの生命・身体・財産に被害が及ばないようにする注意義務があるのに,被告E1学校が安全配慮義務に違反したのと同様にこれを履行しなかったから不法行為に基づく損害賠償責任を負うとともに,F1専務及びF2常務のこれらの過失は重過失であって,会社法429条1項に基づく責任も負うと主張する。 この点,前記2(1)ウ,証拠(証人H4,証人H5,被告E8教官本人,被告E2社長本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告E1学校においては,被告E2社長に次いで,F1専務,F2常務,F3学校長の順の序列であったところ,被告E2社長がG教習所に在校していない場合は,経営面のトップであるF1専務が被告E2社長に代わって教習を中止にするなどの経営面に関する判断をすることとされていたのであり,F3学校長は被告E1学校の被用者として学校運営面を担当し,教習や技能検定等が適切に行われるよう管理する職責を負っていたことが認められるので,そのことを前提に,以下,各人についての責任を検討する。 イ F1専務の責任前記3(3)で説示したとおり,F3学校長らを含む教官らの少なくとも一部において,本件消 っていたことが認められるので,そのことを前提に,以下,各人についての責任を検討する。 イ F1専務の責任前記3(3)で説示したとおり,F3学校長らを含む教官らの少なくとも一部において,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたことは認められるものの,F1専務自身において,上記広報を聞いたと認めるに足りる証拠はないことからすると,F1専務が現実に認識した情報は,大津波警報(第1報)にとどまると考えられ,これを前提としたとき,G教習所に津波が襲来する可能性を予見することまではできなかったというべきである。 前記アのとおり,F1専務は,被告E2社長不在時には,経営面のトップとして教習を中止にするなどの判断をする権限を有しており,被告E1学校が教習生らに対して負う安全配慮義務の履行補助者として,被告E1 学校において教官らが知った情報を総合して適切な判断をできるようにすべき立場にあったということはできるが,このようなF1専務の義務は被告E1学校に対して負うものであり,教習生らと契約関係にないF1専務は,本件教習生らに対し,直接に安全配慮義務を負うものではない。 他方,F1専務としては,被告E1学校との関係において,被告E1学校が安全配慮義務を十全に尽くすべく,教官らが知った情報を総合できるような体制を整えておくべきであったとはいい得るところ,これがなされていなかったとしても,前記3(3)イ,(4)で説示したとおり,被告E1学校において,事前に津波の襲来を予見し,また,大津波警報(第1報)を知った時点で更なる情報を収集する義務があったとまではいえないことからすると,上記が重過失に当たるとまで評価することはできない。 そして,前記3(3)ウ,(4)で説示したとおり,本 警報(第1報)を知った時点で更なる情報を収集する義務があったとまではいえないことからすると,上記が重過失に当たるとまで評価することはできない。 そして,前記3(3)ウ,(4)で説示したとおり,本件地震後にF1専務が待機指示を出し,また,災害対応マニュアルを整備していなかったとしても,そのことにより,F1専務個人に不法行為法上の過失があるとは認められず,また,被告E1学校に対する義務の関係でも重過失があるとは認められない。 したがって,原告教習生親らのF1専務個人の相続人らに対する請求は理由がない。 ウ F2常務の責任前記アのとおり,F2常務は,被告E2社長不在時において,教習を中止にするなどの判断をする権限を有していたとは認められない上,F2常務についても,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたと認めるに足りる証拠はないことからすると,F2常務個人についてG教習所に津波が襲来する可能性を予見し得たことを前提とする不法行為法上の責任は認められないし,前記イでF1専務について説示したのと同様に,被告E1学校におい て,教官らが知った情報を総合できる体制を整えておかなかったことについて重過失があるとして会社法429条1項の責任を負うともいえない。 同様に,災害対応マニュアル整備を怠った義務違反があるとして,F2常務個人が責任を負うともいえず,F2常務個人が責任を負うことを前提とする原告教習生親らのF2常務個人の相続人らに対する請求は理由がない。 エ F3学校長前記3(3)アで説示したとおり,F3学校長らを含む教官らのうち少なくとも一部は,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたことが認められる 前記3(3)アで説示したとおり,F3学校長らを含む教官らのうち少なくとも一部は,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたことが認められる。 しかし,F3学校長自身が本件消防車による広報を聞いていた可能性があるとしても,前記アのとおり,同学校長は,G教習所の学校運営面での責任者ではあるが,教習の中止に関する判断を含む経営面についての権限は何ら有しない被告E1学校の被用者にすぎず,また,被告E1学校が教習生らに対して負うのと同様の安全配慮義務を負っているわけでもないのであり,かかるF3学校長自らが本件教習生らを速やかに避難させるべき措置を執らなかったとしても,そのことにより,F3学校長個人が本件教習生らに対して不法行為責任を負うものと解することはできない。 また,F3学校長において,災害対応マニュアル整備を怠った義務違反があると主張する点についても,前記3(4)で説示したとおり,被告E1学校に安全配慮義務違反があるとはいえないのと同様に,不法行為法上の過失があるとはいえない。 したがって,原告教習生親らのF3学校長個人の相続人らに対する請求は理由がない。 (2) 被告E8教官の責任原告教習生親らのうちB24及びB25の相続人らは,被告E8教官は, 本件地震発生後,G教習所に津波が襲来する危険があったから,より安全な場所からG教習所に戻った点で過失があり,G教習所に戻った時点においてもB24及びB25をすぐに避難させず,被告E8教官において他の教習生を送るため自動車を運転する際にB24及びB25を見掛けたのに同乗させるなどして避難させなかった点で過失があると主張する。 しかし,前記2(6)ア,ク及び証拠(乙A32,証人H4,被告E8教官本人)によれば,被告 を運転する際にB24及びB25を見掛けたのに同乗させるなどして避難させなかった点で過失があると主張する。 しかし,前記2(6)ア,ク及び証拠(乙A32,証人H4,被告E8教官本人)によれば,被告E8教官は本件地震発生当時,2時限連続路上教習中であり,亘理町の中央公民館裏駐車場に駐車して,B24及びB25に対する講評をしていたところ,本件地震発生後,F1専務に電話をかけたがつながらず,上記教習生らに確認の上,G教習所に戻ることとしたのであり,教習車にはラジオが付いていなかったため,大津波警報の発令を知らず,また,G教習所に戻る途中で津波警報や避難指示,サイレンも聞かなかったことが認められることに加え,前記のとおり,本件地震の前にG教習所付近に津波が襲来することを予期することは困難であったというべきであることからすれば,被告E8教官がG教習所に津波が襲来する事態を想定せずにG教習所に戻ったことに過失があるということはできない。 そして,前記2(6)ク,ス及び証拠(乙A32,被告E8教官本人)によれば,被告E8教官は,午後3時30分頃G教習所に戻ってすぐに,F2常務及びF1専務から教習生らの送迎を頼まれ,午後3時40分頃にはセダンタイプの教習車に教習生4名を乗せて出発しているのであり,また,教習生を送迎する途中で自転車を押して徒歩で歩くB24及びB25を見掛けてはいるが,上記セダンタイプの教習車はその時点で満席であり,同車に乗車させるスペースもなかったのであるから,同乗させなかったという点についても被告E8教官に過失があるとはいえない。 したがって,B24及びB25の相続人らによる被告E8教官個人に対する請求は理由がない。 (3) 被告E2社長及び被告E3の責任原告教習生親らは,被告E2社長及び被告E3は,本件教習 がって,B24及びB25の相続人らによる被告E8教官個人に対する請求は理由がない。 (3) 被告E2社長及び被告E3の責任原告教習生親らは,被告E2社長及び被告E3は,本件教習生らの生命・身体・財産に被害が及ばないようにする注意義務があるのに,被告E1学校が安全配慮義務に違反したのと同様にこれを履行しなかったから不法行為に基づく損害賠償責任を負い,これら過失は重過失であって,会社法429条1項に基づく責任も負うと主張する。 前記第2,1(2)イ,ウのとおり,被告E2社長及び被告E3は,本件地震発生当時,G教習所に在校していなかったところ,前記3(3)エで説示したとおり,大津波警報が発令されたことや,防災行政無線や,山元町,消防や警察の車両による避難指示も聞いていなかった上,G教習所に電話連絡をしても電話が通じない状況にあったのであるから,被告E2社長及び被告E3において,情報収集した上,G教習所に在校するF1専務,F2常務及びF3学校長に避難指示すべき義務に違背したとはいえない。 また,前記3(4)で説示したとおり被告E1学校が事前に災害対応マニュアル整備を怠ったとして安全配慮義務違反があるとはいえないのと同様に,被告E2社長及び被告E3に義務違反があったとはいえない。 したがって,原告教習生親らの被告E2社長個人及び被告E3個人に対する請求は理由がない。 5 被告保険会社らの責任(原告教習生親ら関係)(1) 原告教習生親らは,被告保険会社らは,被告E1学校と締結していた「教習所施設」賠償責任補償保険及び「路上教習・講習」賠償責任補償特約を締結していたところ,本件教習生ら全員について,施設所有(管理)者特別約款2条,賠償責任保険普通保険約款2条に基づき,B24及びB25については,「路上教習」賠償責任補償 ・講習」賠償責任補償特約を締結していたところ,本件教習生ら全員について,施設所有(管理)者特別約款2条,賠償責任保険普通保険約款2条に基づき,B24及びB25については,「路上教習」賠償責任補償特約2条にも基づき,被告E1学校に対し,保険金を支払う義務を負い,原告教習生親らが債権者代位により直接請求することができると主張する。 (2) 証拠(甲A22)によれば,被告保険会社らが被告E1学校と締結していた保険契約には,以下の約款が存在することが認められる。 ア賠償責任保険普通保険約款2条当会社は,事故により,被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して,保険金を支払います。 3条当会社は,直接であると間接であるとを問わず,被保険者が次の①~⑧のいずれかに該当する賠償責任を負担することによって被る損害に対しては,保険金を支払いません。 ⑦ 地震,噴火,洪水,津波などの天災に起因する賠償責任イ施設所有(管理)者特別約款2条当会社が,保険金を支払うべき普通保険約款第2条(保険金を支払う場合)の損害は,次の①・②のいずれかに該当する損害に限ります。 ① 施設の所有,使用または管理に起因する損害② 施設の用法に伴う仕事の遂行に起因する損害4条この特別約款に規定しない事項については,この特別約款に反しないかぎり,普通保険約款の規定を適用します。 ウ 「路上教習」賠償責任補償特約2条当会社が,保険金を支払うべき普通保険約款第2条(保険金を支払う場合)の損害は,道路上において被保険者が所有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害に限ります。 5条この「路上教習」賠償責任補償特約に規定しない事項については,この特約に反しないかぎり,普通保険約款,特別約款およびこの保険 有,使用または管理する教習機材に起因して発生した損害に限ります。 5条この「路上教習」賠償責任補償特約に規定しない事項については,この特約に反しないかぎり,普通保険約款,特別約款およびこの保険契約に付帯される他の特約の規定を適用します。 (3) 前記(2)のとおり,施設所有(管理)者特別約款,「路上教習」賠償責任補償特約については,いずれも賠償責任保険普通保険約款が適用されるところ,同約款3条7号において,津波などの天災に起因する賠償責任は保険金 支払の対象外とされており,前記3で検討したとおり,被告E1学校が原告教習生親らに対して負う安全配慮義務違反による債務不履行に基づく損害賠償責任は,津波という天災に起因して生じた賠償責任であるから,保険金支払の対象外となると解される。 原告教習生親らは,免責の対象となるのは,被保険者が安全確保義務を尽くしてもなお避けることができない津波に限定して解釈すべきであるとか,本件においては,被告E1学校に義務違反があるから本件教習生らの死亡は津波による損害とはいえないと主張するが,原告教習生親らの主張する解釈は,保険約款の文言上の解釈とは相容れないものであり,また,そもそも被保険者が安全確保義務を尽くした場合には被保険者は賠償責任を負わないのであるから,原告教習生親らの主張を前提とすると,免責規定を設ける必要自体がなくなってしまうことになることなどからすれば,原告教習生親らの上記主張は採用することができない。 したがって,被告保険会社らは,被告E1学校が安全配慮義務違反に基づき原告教習生親らに対して負う損害賠償責任について保険金支払義務を負わないから,同保険金支払請求権を債権者代位したとの原告教習生親らの請求は理由がない。 6 原告教習生親らの損害額(1) 本件教習生ら1 生親らに対して負う損害賠償責任について保険金支払義務を負わないから,同保険金支払請求権を債権者代位したとの原告教習生親らの請求は理由がない。 6 原告教習生親らの損害額(1) 本件教習生ら1人当たりの損害ア本件教習生らの逸失利益(ア) B5を除く本件教習生らB5を除く本件教習生らが死亡当時18歳であったことは当事者間に争いがないところ,賃金センサス平成21年男女計学歴計全年齢平均賃金である470万5700円を基礎に,67歳までの49年間のライプニッツ係数18.1687を乗じ,中間利息を控除した上,生活費として40%を控除して逸失利益の現在価格を求めると,5129万787 0円となる。 470万5700円×18.1687×(1-0.4)≒5129万7870円(1円未満切捨て)(イ) B5B5が死亡当時19歳であったことは当事者間に争いがないところ,賃金センサス平成21年男女計学歴計全年齢平均賃金である470万5700円を基礎に,67歳までの48年間のライプニッツ係数18.0772を乗じ,中間利息を控除した上,生活費として40%を控除して逸失利益の現在価格を求めると,5103万9528円となる。 470万5700円×18.0772×(1-0.4)≒5103万9528円(1円未満切捨て)イ本件教習生ら及び原告教習生親らの慰謝料本件教習生らが本件地震に伴う津波により死亡したことに対する慰謝料は,本件教習生ら各人につき2000万円,原告教習生親ら各人につき100万円とするのが相当である。 ウ葬儀費用本件教習生らが死亡したことにより生じた葬儀費用のうち被告E1学校が賠償すべきものについては,本件教習生ら1名ごとにこれに対応する原告教習生親ら合計で各150万円とするのが相当である。 エ 費用本件教習生らが死亡したことにより生じた葬儀費用のうち被告E1学校が賠償すべきものについては,本件教習生ら1名ごとにこれに対応する原告教習生親ら合計で各150万円とするのが相当である。 エ弁護士費用以上の本件教習生らの損害額等,本件の事案に鑑み,被告E1学校に負担させるべき原告教習生親らの弁護士費用は,原告教習生親ら各人につき250万円とするのが相当である。 (2) 原告教習生親らの各人の請求額以上に従い,原告教習生親ら各人の損害額を算定すると,以下のとおりとなる。 ア第1事件・第2事件原告A2,同A3,同A5,同A6,同A11,同A12,同A13,同A14,同A16,同A17,同A18,同A19,同A20,同A21,同A22,同A23,同A24,同A25,同A26,同A27,同A28,同A29,同A30,同A31,同A32,同A33,同A34,同A35,同A36,同A37,同A38,同A39,同A40,同A41,同A43,同A44,同A45及び同A46(相続人2名両名が原告)逸失利益相続分 2564万8935円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 100万円葬儀費用 75万円弁護士費用 250万円合計 3989万8935円イ第1事件・第2事件原告A1,同A15及び同A42(相続人2名のうち1名が原告)逸失利益相続分 2564万8935円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 100万円葬儀費用 150万円弁護士費用 250万円合計 4064万8935円ウ第1事件・第2事件原告A4(相続人1名が原告)逸失利益相続分 葬儀費用 150万円 弁護士費用 250万円 合計 4064万8935円 第1事件・第2事件 原告A4(相続人1名が原告) 逸失利益相続分 5129万7870円 慰謝料相続分 2000万円 固有の慰謝料 100万円 葬儀費用 150万円 弁護士費用 250万円 合計 7629万7870円 第1事件・第2事件 原告A7及び同A8(相続人2名両名が原告) 逸失利益相続分 2551万9764円 慰謝料相続分 1000万円 固有の慰謝料 100万円 葬儀費用 75万円 弁護士費用 250万円 合計 3976万9764円 第1事件・第2事件 原告A9及び同A10(相続人3名のうち2名が原告) 逸失利益相続分 1709万9290円 慰謝料相続分 666万6666円 固有の慰謝料 100万円 葬儀費用 75万円 弁護士費用 250万円 合計 2801万5956円 被告E1学校の責任(原告Cら関係) (1) 原告Cらは,被告E1学校は被用者であるDに対して安全配慮義務を負っていたがこれを履行せず,同義務違反は不法行為にも該当すると主張する。 Dは,被告E1学校との間で労働契約を締結したアルバイト事務職員としてG教習所で勤務していた(前記第2,1(1)イ)ところ,労働契約を締結した労働者は,使用者の指定した場所に配置され,使用者の供給する設備,器具等を用いて労務の提供を行うものであるから,使用者は,労働者が労務提供のため設置する場所,設備若しくは器具等を使用し又は使用者の指示の下 は,使用者の指定した場所に配置され,使用者の供給する設備,器具等を用いて労務の提供を行うものであるから,使用者は,労働者が労務提供のため設置する場所,設備若しくは器具等を使用し又は使用者の指示の下に労務を提供する過程において,労働者の生命及び身体等を危険から保護す るよう配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っているものと解するのが相当である。 この点,被告E1学校は,大災害が発生した際に津波が勤務先を襲うといった真に生命・身体の危険が予見できるような状況であれば,労働者は,緊急避難として,上司らの指示を待たずに独断で職場を離れて避難することも許されるとして,本件において,被告E1学校がDに対し,就労義務があることを前提に安全配慮義務を負うとはいえないと主張する。 しかし,真に生命・身体の危険が予見できるような状況下において,労働者が緊急避難として独断で職場を離れて避難することも許される場合があり,これにより労働者が使用者に対して労働契約上の債務不履行責任を問われることはないとしても,使用者において労働者に対して就労義務を解除していない以上,そのことから直ちに使用者の労働者に対する安全配慮義務を免れるものと解すべき根拠は認められないのであって,被告E1学校の主張は採用することができない。 (2) 原告Cらは,被告E1学校は,海岸に程近く高台もないというG教習所の立地,不特定多数の教習生が出入りするというG教習所の性格に加え,G教習所内のみでなく路上教習中に職員及び教習生が災害に遭うことも考えられること等からすれば,被告E1学校は,災害発生時に備え,津波被害のおそれがある場合には町の指定避難所へ避難誘導・指示する等の対応マニュアル等を独自に整備すべき義務があったのにこれを怠ったと主張する。 しかし,本件地震前の時点で, は,災害発生時に備え,津波被害のおそれがある場合には町の指定避難所へ避難誘導・指示する等の対応マニュアル等を独自に整備すべき義務があったのにこれを怠ったと主張する。 しかし,本件地震前の時点で,G教習所にまで津波が襲来することを予期し難かったものといわざるを得ないことは前記3(4)で説示したとおりであり,したがって,被告E1学校において,あらかじめ津波の襲来に備えた災害対応マニュアルの整備をすべきであったということはできない。 (3) 原告Cらは,被告E1学校は,本件地震発生後,速やかに指揮命令系統を整理・確立し,これと並行して積極的に情報収集を行い,安全であるとの確 証が得られない場合には職員及び関係者の安全を最優先し,適切な避難場所への避難誘導を決定し,指示すべき義務があったのにこれを怠ったと主張する。 前記3(3)イで説示したとおり,被告E1学校には,F3学校長を含む教官らが,大津波警報(第1報)に接した段階においては,G教習所にまで津波が襲来することを予見して,さらに情報を収集すべき義務があったとまでいうことはできないものの,他方において,本件消防車が津波警報の発令を伝え,避難を呼び掛けながらG教習所に接する県道相馬亘理線で広報していたことも聞いた段階では,これらの情報を総合し,G教習所に津波が襲来する可能性を予見してこれに対する措置を執るべき義務があったというべきである。 そして,前記3(5)に説示したとおり,被告E1学校においてG教習所に津波が襲来する可能性を予見し,教習生らとの関係においては,送迎バス等により避難させるべきであったところ,職員との関係においても,教習生らと同時に送迎バス等により避難させるか,あるいは職員各人において避難させるべきであったということができ,これら措置が執られていれば,D り避難させるべきであったところ,職員との関係においても,教習生らと同時に送迎バス等により避難させるか,あるいは職員各人において避難させるべきであったということができ,これら措置が執られていれば,Dも送迎バス等又は通勤に使用していた自動車により避難することができたはずであるから,被告E1学校による安全配慮義務違反とDの死亡との間には相当な因果関係があるといえる。 (4) したがって,被告E1学校は,原告Cらに対し,Dが死亡したことにつき,安全配慮義務に違反しており,債務不履行に基づく損害賠償責任を負うものと認められるが,そのことから直ちに被告E1学校に不法行為責任があるとまで認めることはできず,その他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そして,債務不履行に基づく損害賠償請求権は,催告により遅滞に陥るところ,原告Cらは被告E1学校に対して本件訴えにより損害賠償を求めており,その訴状が送達されたのが平成24年5月23日であることは当裁判所 に顕著であるから,その翌日である同月24日以降の遅延損害金を請求することができる。 8 被告E2社長,F1専務,F2常務,F3学校長及び被告E3の責任(原告Cら関係)(1) F1専務,F2常務の責任原告Cらは,F1専務及びF2常務は被告E1学校の業務執行を担う取締役として,被告E1学校が負う安全配慮義務の履行としてその職員の生命・身体の安全を確保すべく,本件地震発生後に情報収集して避難指示する義務があったのにこれを怠っており,これらの過失は重大であるとして,不法行為又は会社法429条1項に基づく責任を負うと主張する。 ア F1専務の責任前記4(1)イ,7(3)で説示したとおり,F1専務自身が現実に認識した情報は,大津波警報(第1報)を認識したにとどまるところ,これにより更に に基づく責任を負うと主張する。 ア F1専務の責任前記4(1)イ,7(3)で説示したとおり,F1専務自身が現実に認識した情報は,大津波警報(第1報)を認識したにとどまるところ,これにより更に情報を収集する義務まで負うと解することはできないし,そのような状況にあったF1専務において,従業員に対して指揮命令関係を解除すべき義務に違反したということはできない。 また,前記4(1)アで説示したとおり,F1専務は,被告E1学校が職員に対して負う安全配慮義務の履行補助者として,被告E1学校において教官らが知った情報を総合して適切な判断をできるようにすべき立場にあったということはできるが,前記7(2),(3)で説示したとおり,被告E1学校において,事前に津波の襲来を予見し,また,大津波警報(第1報)を知った時点で更なる情報を収集する義務があったとまではいえないことからすると,F1専務において,教官らが知った情報を総合できる体制を整えておかなかったことが重過失であるとまでは評価できない。 したがって,原告CらのF1専務個人の相続人に対する請求は理由がない。 イ F2常務の責任前記4(1)アのとおり,F2常務は,被告E2社長不在時において,教習を中止にするなどの判断をする権限を有していたとは認められない上,F2常務についても,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたと認めるに足りる証拠はないことからすると,F2常務個人についてG教習所に津波が襲来する可能性を予見し得たことを前提とする不法行為法上の責任は認められないし,前記アでF1専務について説示したのと同様に,被告E1学校において,教官らが知った情報を総合できる体制を整えておかなかったことについて重過失があるとし 前提とする不法行為法上の責任は認められないし,前記アでF1専務について説示したのと同様に,被告E1学校において,教官らが知った情報を総合できる体制を整えておかなかったことについて重過失があるとして会社法429条1項の責任を負うともいえない。 また,以上からすれば,その時点で,F2常務において,従業員に対して,指揮命令関係を解除すべき義務に違反したということはできない。 したがって,原告CらのF2常務個人の相続人に対する請求は理由がない。 (2) F3学校長の責任原告Cらは,F3学校長は,被告E1学校の職員の長として,自らの指揮下にあった職員らに対し,本件地震発生後,情報収集して避難指示する義務があったのにこれを怠ったとして,不法行為に基づく責任を負うと主張する。 前記3(3)ア,4(1)エで説示したとおり,F3学校長らを含む教官の少なくとも一部において,本件消防車が県道相馬亘理線を走行して津波警報が発令されたことを伝令し,避難を呼び掛けたことを聞いたことが認められるが,F3学校長は,G教習所の学校運営面での責任者ではあっても,経営面についての権限は何ら有しない被告E1学校の被用者であって,その指揮下にある職員との間で契約関係にはなく,これら職員に対し,独断で避難指示したり,就労義務を解除できる地位にあったとはいえないから,F3学校長が個 人として不法行為責任を負うとはいえない。 したがって,原告CらのF3学校長個人の相続人らに対する請求は理由がない。 (3) 被告E2社長及び被告E3の責任原告Cらは,被告E2社長及び被告E3は,被告E1学校の業務執行を担う取締役として,被告E1学校が負う注意義務の履行として,津波などの災害の発生に備え,対応マニュアル等を独自に整備するとの意思決定を行う義務を負っていたの 及び被告E3は,被告E1学校の業務執行を担う取締役として,被告E1学校が負う注意義務の履行として,津波などの災害の発生に備え,対応マニュアル等を独自に整備するとの意思決定を行う義務を負っていたのにこれを怠り,また,本件地震発生後にも,情報収集した上で,現場責任者であるF1専務らに情報提供し避難指示すべき義務を負っていたのにこれを怠ったのであり,これらは重過失であると評価できるから,不法行為又は会社法429条1項に基づく責任を負うと主張する。 しかし,前記7(2)で説示したとおり,被告E1学校において事前に対応マニュアル等を整備すべき義務があったとはいえないから,被告E2社長及び被告E3において,被告E1学校に対し,そのような意思決定をさせなかったという義務違反があるとはいえない。 また,前記4(3)で説示したとおり,被告E2社長及び被告E3は,本件地震発生当時,G教習所に在校しておらず,大津波警報が発令されたことはもとより,防災行政無線や,山元町,消防や警察の車両による避難指示も聞いていなかった上,G教習所に電話連絡をしても電話が通じない状況にあったのであるから,情報収集した上,F1専務らに情報提供して避難指示すべき義務違反があったとはいえない。 したがって,原告Cらの被告E2社長個人及び被告E3個人に対する請求は理由がない。 9 原告Cらの損害額(1) 逸失利益Dが死亡当時27歳であったことは当事者間に争いがないところ,賃金セ ンサス平成22年女子高校卒計全年齢平均賃金である294万0600円を基礎に,原告Cら主張の67歳までの40年間のライプニッツ係数17.159を乗じ,中間利息を控除した上,原告Cらが平成22年賃金センサス中の女子高校卒業者の平均賃金をDの基礎収入と主張していることなどに鑑み,生活費 張の67歳までの40年間のライプニッツ係数17.159を乗じ,中間利息を控除した上,原告Cらが平成22年賃金センサス中の女子高校卒業者の平均賃金をDの基礎収入と主張していることなどに鑑み,生活費として30%を控除して逸失利益の現在価格を求めると,3532万0428円となる。 294万0600円×17.159×(1-0.3)≒3532万0428円(1円未満切捨て)(2) 慰謝料Dが本件地震に伴う津波により死亡したことに対する慰謝料は,Dにつき2000万円,原告Cら各人につき100万円とするのが相当である。 (3) 葬儀費用Dが死亡したことにより生じた葬儀費用のうち被告E1学校が賠償すべきものについては,150万円とするのが相当である。 (4) 弁護士費用以上のDに生じた損害額等,本件事案に鑑み,被告E1学校に負担させるべき弁護士費用は,原告Cら各人につき250万円とするのが相当である。 (5) 原告Cらの各人の請求額逸失利益相続分 1766万0214円慰謝料相続分 1000万円固有の慰謝料 100万円葬儀費用 75万円弁護士費用 250万円合計 3191万0214円 10 結語以上によれば,原告教習生親ら及び原告Cらの請求は,被告E1学校に対し, 債務不履行(安全配慮義務違反)に基づき,主文第1項及び第2項掲記の支払を求める限度で理由がある。 よって,上記原告らの被告E1学校に対する各請求を上記の限度で認容して,その余の請求を棄却し,原告教習生親らの被告E2社長,被告E3,被告E4,被告E5,被告E6,被告E7,被告E9,被告E10,被告E11及び被告E8教官に対する請求並びに被告保険会社らに対する請求はいず 余の請求を棄却し,原告教習生親らの被告E2社長,被告E3,被告E4,被告E5,被告E6,被告E7,被告E9,被告E10,被告E11及び被告E8教官に対する請求並びに被告保険会社らに対する請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し,原告Cらの被告E1学校に対するその余の請求並びに被告E2社長,被告E3,被告E4,被告E7,被告E9,被告E10及び被告E11に対する請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 仙台地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官髙宮健二 裁判官荒谷謙介 裁判官遠藤安希歩

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