【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人貞家克己、同高橋正、同玉田勝也、同堀井善吉、同鎌田泰輝、同小沢 義彦
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人貞家克己、同高橋正、同玉田勝也、同堀井善吉、同鎌田泰輝、同小沢 義彦、同川満敏一、同新谷鐵郎、同代田久米雄、同大西孝夫、同中井一士、同辻宏 二、同内山壽紀の上告理由について 論旨は、毒物及び劇物取締法四条一項に規定する毒物又は劇物の輸入業の登録の 申請があつた場合には、同法五条及び毒物及び劇物取締法施行規則四条の四所定の 登録拒否事由がなくても、当該品目の輸入を許すことにより右登録拒否事由が存す る場合と同程度あるいはそれ以上に国民の保健衛生上の危害を発生させることが予 測されるときには、同法の目的、趣旨に照らし、右の各規定を類推適用して、当該 品目につき輸入業の登録を拒否することができると解すべきであるから、本件につ き、右の各規定は右拒否事由がある場合のほかは必ず登録を行わなければならない ことを定めたものであるとの見解のもとに、本件登録拒否処分は法定の登録拒否事 由以外の理由に基づき被上告人の輸入業の登録を許さなかつたものであるから違法 であるとした原判決には、右法令の解釈適用を誤つた違法があり、右違法は判決に 影響を及ぼすことが明らかである、というのである。 本件拒否処分は、ストロングライフは、専ら、劇物であるブロムアセトンの有す る催涙作用が人体に開眼不能等の機能障害を生じさせることをその用途とするもの であり、保健衛生上の危険性が顕著であるからという理由により、毒物及び劇物取 締法の解釈上設備に関する法定の登録拒否事由がなくてもその輸入業の登録を拒否 することができるとの見解の下にされたものである。しかしながら、同法は、毒物 及び劇物の製造業、輸入業、販売業の登録については、登録を受けようとする者が - 1 - 前に登録を取り消 輸入業の登録を拒否 することができるとの見解の下にされたものである。しかしながら、同法は、毒物 及び劇物の製造業、輸入業、販売業の登録については、登録を受けようとする者が - 1 - 前に登録を取り消されたことを一定の要件のもとに欠格事由としているほかは、登 録を拒否しうる場合をその者の設備が毒物及び劇物取締法施行規則四条の四で定め る基準に適合しないと認めるときだけに限定しており(五条)、毒物及び劇物の具 体的な用途については、同法二条三項にいう特定毒物につき、特定毒物研究者は特 定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない旨(三条の二第四項)、及び、特 定毒物使用者は特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはなら ない旨(三条の二第五項)を定めるほかには、特段の規制をしていないことが明ら かであり、他方、人の身体に有害あるいは危険な作用を及ぼす物質が用いられた製 品に対する危害防止の見地からの規制については、他の法律においてこれを定めた いくつかの例が存するのである(例えば、食品衛生法、薬事法、有害物質を含有す る家庭用品の規制に関する法律、消費生活用製品安全法、化学物質の審査及び製造 等の規制に関する法律等においてその趣旨の規定が見られる。)。これらの点をあ わせ考えると、毒物及び劇物取締法それ自体は、毒物及び劇物の輸入業等の営業に 対する規制は、専ら設備の面から登録を制限することをもつて足りるものとし、毒 物及び劇物がどのような目的でどのような用途の製品に使われるかについては、前 記特定毒物の場合のほかは、直接規制の対象とせず、他の個々の法律がそれぞれの 目的に応じて個別的に取り上げて規制するのに委ねている趣旨であると解するのが 相当である。そうすると、本件ストロングライフがその用途に従つて使用されるこ とにより人体に対する危害が生ずるおそれがあること 目的に応じて個別的に取り上げて規制するのに委ねている趣旨であると解するのが 相当である。そうすると、本件ストロングライフがその用途に従つて使用されるこ とにより人体に対する危害が生ずるおそれがあることをもつてその輸入業の登録の 拒否事由とすることは、毒物及び劇物の輸入業等の登録の許否を専ら設備に関する 基準に適合するか否かにかからしめている同法の趣旨に反し、許されないものとい わなければならない。 なお、ストロングライフのブロムアセトンを収納するカートリツジが同法五条に いう設備にあたると解することはできないとした原審の判断は、正当として是認す - 2 - ることができる。 そうすると、原審の確定した事実関係のもとにおいて、本件拒否処分は違法であ るから取り消すべきものであるとした原審の判断は、正当として是認することがで きる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官 全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 団 藤 重 光 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判官 本 山 亨 裁判官 中 村 治 朗 裁判官 谷 口 正 孝 - 3 -
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