主文 1 被告は,原告Aに対して金2132万1294円,原告B及び原告Cに対して各自金1149万7247円並びにこれらに対する平成12年5月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 被告は,原告Aに対して金2975万9835円,原告B及び原告Cに対して各自金1487万9917円並びにこれらに対する平成12年5月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 交通事故の発生次のとおり交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 発生日時平成12年5月19日午前零時30分ころ発生場所福岡県糸島郡a町b番地先路上加害車両被告運転の普通乗用自動車(福岡52そ1234)被害者 E事故態様被告が吉田方面から桜井方面に向けて加害車両を運転走行中,桜井方面から吉田方面に向けて右側歩行をしていた被害者に加害車両を衝突させ,被害者を死亡させたもの(2) 責任原因自賠法3条,民法709条被告は,自己のため加害車両を運行の用に供し,前方不注視により本件事故を発生させたものである。 (3) Eの損害 5951万 死亡させたもの(2) 責任原因自賠法3条,民法709条被告は,自己のため加害車両を運行の用に供し,前方不注視により本件事故を発生させたものである。 (3) Eの損害 5951万9671円ア葬儀費用 113万円イ逸失利益 2538万9671円Eは,本件事故当時66歳であり,農業を営む傍ら,地元建設企業である株式会社F組(以下「F組」という。)で現場監督の仕事をし,国民年金・厚生年金の支給を受けていた。本件事故に遭遇しなければ,Eは,平均余命の半分に相当する8年程度の間,農業所得及び給与収入を得ることができ,平均余命に相当する16年程度の間,年金の支給を受けることができた。したがって,Eの逸失利益は,次の①及び②の合計額である2538万9671円である。 ① 農業所得及び給与収入本件事故前年の農業所得は20万5320円,給与収入は201万6381円であるところ,これらの合計額222万1701円から生活費に相当する30パーセントを控除した上,8年に対応するライプニッツ係数6.4632を乗じ,これに係る逸失利益は,1005万1508円(円未満切捨て)である。 ② 年金平成12年5月11日の改定により202万1800円の支給を受けることとなっていたところ,生活費に相当する30パーセントを控除した上,16年に対応するライプニッツ係数10.8377を乗じ,これに係る逸失利益は,1533万8163円(円未満切捨て)である。 ウ慰謝料 2800万円エ弁護士費用 500万円(4) 相続原告Aは,E死亡当時,Eの配偶者であり,原告B及び原告Cは,Eの子である。したがって,原告Aは,Eの被告に対する本件事故に基づく損害賠償請求権の2分の1( 用 500万円(4) 相続原告Aは,E死亡当時,Eの配偶者であり,原告B及び原告Cは,Eの子である。したがって,原告Aは,Eの被告に対する本件事故に基づく損害賠償請求権の2分の1(2975万9835円),原告B及び原告Cは,各自その4分の1(1487万9917円)をそれぞれ相続した。 (5) よって,自賠法3条又は不法行為に基づき,原告Aは被告に対して2975万9835円,原告B及び原告Cは被告に対して各自1487万9917円,並びにこれらに対する本件事故の日である平成12年5月19日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 2 請求原因に対する認否請求原因(1)(交通事故の発生)及び同(2)(責任原因)は認める。同(3)(Eの損害)のうちア,イ及びエは不知であり,ウは金額の相当性を争う。同(4)(相続)は不知。 3 抗弁-損益相殺(原告Aに対し)原告Aは,Eの死亡により遺族厚生年金114万2400円の支給を受けることとなり,偶数月15日に前月までの2か月分19万0400円の支給を受けることとなった。原告Aは,平成12年6月から平成13年7月までに合計133万2800円の支給を受け,また,平成13年8月及び同年9月分として19万0400円の支給を受けることが確定した。 4 抗弁に対する認否認める。 理由 第1 請求原因について 1 請求原因(1)(交通事故の発生)及び同(2)(責任原因)の事実は当事者間に争いがない。 そうすると,被告は,本件事故によるEの損害について賠償すべき義務を負うこととなる。 2 請求原因(3)(Eの損害)の事実について判断する。 (1) 葬儀費用 113万円甲第3号証によれば,葬儀 ,被告は,本件事故によるEの損害について賠償すべき義務を負うこととなる。 2 請求原因(3)(Eの損害)の事実について判断する。 (1) 葬儀費用 113万円甲第3号証によれば,葬儀費用は113万円と認められる。 (2) 逸失利益 1669万8988円ア甲第1号証,甲第2号証,甲第4号証の1から4まで,甲第5号証の1から4まで,甲第7号証,調査嘱託(F組に対するもの)の結果及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ① Eは,本件事故当時,66歳(昭和9年5月7日生まれ)となった直後であり,配偶者である原告A及び次女である原告Cと同居していた。原告Aは無職であったが,原告Cは幼稚園に保母として勤務し,本件事故前年である平成11年には300万円程度の給与収入を得ていた。 なお,Eの長女である原告Bは,昭和60年3月11日にGと婚姻しており,本件事故当時Eらと別居していた。 ② Eは,本件事故当時,農業に従事し,また,F組に勤務するほか,老齢基礎年金及び老齢厚生年金の支給を受けていた。本件事故前年である平成11年におけるEの農業所得は20万5320円,給与収入は201万6381円であり,本件事故当時におけるEの年金額は合計202万1800円であった。 ③ F組は土木建設業を営む会社であるところ,Eは,昭和46年以降F組に勤務し,60歳でこれを定年退職した後も,1級土木施工管理技士資格,乙種火薬類取扱保安責任者免状その他の資格等を有していたことから,F組糸島支店において特段の期限を定めなく嘱託社員として再雇用され,主に現場監督の仕事に従事していた。 ところで,現在のF組の従業員数は全体で41名,糸島支店で16名であるのに対し,嘱託社員(F組を定年退職後に再雇用したもの く嘱託社員として再雇用され,主に現場監督の仕事に従事していた。 ところで,現在のF組の従業員数は全体で41名,糸島支店で16名であるのに対し,嘱託社員(F組を定年退職後に再雇用したものをいう。以下同じ。)数は,本件事故直後である平成12年6月において,全体で3名,糸島支店で2名であった。また,過去3年間におけるF組の嘱託社員の平均再雇用年数は5年程度であり,過去5年間においてF組の嘱託社員として70歳以上まで雇用されたものはいない。さらに,現在のF組の嘱託社員のうち最年長者は68歳である。 なお,F組は,平成9年6月に本社において26名の,平成10年8月支店において5名のリストラを行っている。 イ上記認定に基づき検討する。 逸失利益は将来予測に基づき算定される損害であり,相当の蓋然性をもって立証された範囲内に限りこれを認めることができるというべきものであるところ,当裁判所に顕著な事実である近時の土木建設業界の一般的状況,近時のF組における雇用状況及び再雇用に係る実績からすれば,Eが69歳までF組に勤務する相当の蓋然性は認められるが,70歳を超えてF組に勤務する相当の蓋然性までは認めることはできないというのが相当である。この点,原告らは,Eが70歳を超えて平均余命の半分程度の間,F組又はこれと同種の企業に勤務する相当の蓋然性があると主張するが,上記認定に照らし,この主張を採用することはできない。他方,Eが平均余命の半分程度の間,自営業である農業に従事する相当の蓋然性は認められる。そして,66歳男性の平均余命は16.28年(平成11年簡易生命表による。)であり,Eは本件事故当時66歳となった直後であったところ,Eは,本件事故により,66歳以降69歳までの4年間は毎年農業所得,給与収入及び年金支給額の 命は16.28年(平成11年簡易生命表による。)であり,Eは本件事故当時66歳となった直後であったところ,Eは,本件事故により,66歳以降69歳までの4年間は毎年農業所得,給与収入及び年金支給額の合計424万3501円の,70歳以降平均余命の半分に相当する73歳までの4年間は毎年農業所得及び年金支給額の合計222万7120円の,74歳以降平均余命に相当する81歳までの8年間は毎年年金支給額の202万1800円の得べかりし利益を喪失したものと認められる。 また,Eの家族構成,生活状況及び就労状況,原告らの生活状況及び就労状況からすれば,Eの生活費は,66歳以降69歳までの4年間は収入の40パーセント,70歳以降は収入の50パーセントと認めるのが相当である。 そうすると,Eの逸失利益は,① 66歳以降69歳までの4年間については,424万3501円から生活費40パーセントを控除し,4年に対応するライプニッツ係数3.5459を乗じ,902万8218円(円未満切捨て),②70歳以降73歳までの4年間については,222万7120円から生活費50パーセントを控除し,8年に対応するライプニッツ係数6.4632から4年に対応するライプニッツ係数3.5459を控除した2.9173を乗じ,324万8588円(円未満切捨て),③ 74歳以降81歳までの8年間については,202万1800円から生活費50パーセントを控除し,16年に対応するライプニッツ係数10.8377から8年に対応するライプニッツ係数6.4632を控除した4.3745を乗じ,442万2182円(円未満切捨て)であり,合計1669万8988円と認められる。 (3) 慰謝料 2400万円本件全証拠及び弁論の全趣旨から認められる本件事故の態様,Eの生活状況及び家族 2万2182円(円未満切捨て)であり,合計1669万8988円と認められる。 (3) 慰謝料 2400万円本件全証拠及び弁論の全趣旨から認められる本件事故の態様,Eの生活状況及び家族構成その他の諸般の事情からすれば,慰謝料は2400万円と認めるのが相当である。 (4) 合計 4182万8988円以上によれば,Eの損害は合計4182万8988円と認められる。 3 甲第4号証の1から4までによれば,請求原因(4)(相続)の事実が認められる。 そうすると,原告Aは,Eの被告に対する本件事故に基づく損害賠償請求権の2分の1(2091万4494円),原告B及び原告Cは各自その4分の1(1045万7247円)をそれぞれ相続したこととなる。 第2 抗弁について抗弁事実(損益相殺)は当事者間に争いがない。 そうすると,原告Aが相続した損害賠償請求権の残額は,2091万4494円から,133万2800円及び19万0400円の合計152万3200円を控除し,1939万1294円と認められる。 第3 結論 1 本件全証拠及び弁論の全趣旨から認められる本件訴訟の難易度,審理の経過,認容額その他の諸般の事情からすれば,弁護士費用は,原告Aの請求分について193万円,原告B及び原告Cの各請求分について各自104万円と認めるのが相当である。 2 以上によれば,原告らの請求は,原告Aについて被告に対して1939万1294円に弁護士費用193万円を加えた金2132万1294円,及び原告B及び原告Cについて被告に対して各自1045万7247円に弁護士費用104万円を加えた金1149万7247円,並びにこれらに対する本件事故の日である平成12年5月19日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で 7円に弁護士費用104万円を加えた金1149万7247円,並びにこれらに対する本件事故の日である平成12年5月19日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから,この限度で認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法64条本文,61条,65条1項本文を,仮執行宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第2民事部裁判官鈴木尚久
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