令和5(わ)998 殺人

裁判年月日・裁判所
令和6年6月18日 さいたま地方裁判所
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判決文本文1,388 文字)

主文 被告人を懲役13年に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)父(A)及び母と3人でさいたま市(住所省略)において同居していた被告人は、軽度知的障害を有していたところ、障害者枠ではない一般の求人枠で就職しても長続きせず、本件当時は自宅に引きこもる生活をしており、体調が芳しくなかった。 被告人は一般の求人枠での就職にこだわり、障害者枠での就職を勧める父母に対し激高して暴れたこともあり、とくに父とは本件の約3年前から関係が悪化していた。 令和5年6月10日、被告人は、些細なことから母と口論になり、母はもう一緒に住めないなどと言って自宅を出て行ってしまい、父から、お前のせいだなどと言われた。被告人は父に対し、きちんと通院し、一般の求人枠で働く旨言ったが、父から、一般の求人枠では絶対に無理などと言われた。被告人は、家族がばらばらになってしまった、自分の良いところを父が見てくれないなどと思い、もうどうでもいいなどと絶望し、父を殺害することを決意した。 被告人は、同日午後4時9分頃、前記被告人方において、A(当時60歳)に対し、殺意をもって、その左側胸部等を包丁で多数回突き刺し、よって、同日午後5時15分頃、同市(住所省略)B病院において、同人を左側胸部の刺創による心・肺損傷により死亡させて殺害した。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用)(省略)(量刑の理由)犯行態様は、被害者の殺害を決意するや、逃げる被害者を追いかけてまで、その 左側胸部等を相当強い力で繰り返し突き刺したというもので、衝動的犯行であるとはいえ、被害者を確実に殺害しようという強固な殺意に基づく、危険で執ようなものである。被告人の凶行により最愛の夫を突然喪った妻の悲しみは深い。 本件犯行 突き刺したというもので、衝動的犯行であるとはいえ、被害者を確実に殺害しようという強固な殺意に基づく、危険で執ようなものである。被告人の凶行により最愛の夫を突然喪った妻の悲しみは深い。 本件犯行に至る経緯、動機は判示のとおりであって、短絡的な犯行であり、一般の求人枠での就労が長続きしない被告人を案じて障害者枠での就職を勧めていた被害者に殺されるような落ち度はない。そうすると、周囲の反応を被害的に捉えやすく、不安を生じやすいなどの軽度知的障害の障害特性が、動機形成過程に一定程度影響したことを考慮しても、被告人の刑事責任は重いというべきである。 以上に加えて、被告人が犯行後間もなく自首したこと、被害者に対して申し訳ないことをした旨述べていることや、被告人に対する更生支援計画が策定され、被告人が自身の障害に向き合う姿勢を見せるとともに、関係機関の支援等を受けて更生しようという意欲を示していることなどの被告人のために酌むことのできる事情も考慮し、量刑検索システムの同種事案(殺人罪、単独犯、凶器等:あり(刃物類)、動機:その他の家族関係、被告人から見た被害者の立場:親、処断罪と同一又は同種の罪の件数:1件、処断罪名と異なる主要な罪の有無:なし)の量刑傾向も参照の上、主文の刑が相当であると判断した。 (求刑懲役15年、弁護人の科刑意見懲役8年)令和6年6月18日さいたま地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官室橋雅仁 裁判官中川卓久 裁判官岡 春奈

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