令和7年6月30日判決言渡令和6年(行ケ)第10096号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年4月23日判決 原告特定非営利活動法人日本防災士機構 同訴訟代理人弁理士涌井謙一同山本典弘同鈴木一永 同工藤貴宏同三井直人 被告一般社団法人ひろしま防災減災支援協会 同訴訟代理人弁理士井関勝守同田中咲江 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が無効2023-890094号事件について令和6年9月19日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 被告は、次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1、79、80)。 登録番号第6669227号登録出願日令和4年1月20日登録査定日令和5年1月25日 設定登録日令和5年2月6日登録商標キッズ防災士 (標準文字)商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第41類技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノ ウハウの伝授(訓練)、セミナーの企画・運営又は開催、研修会の手配及び管理、動物の調教、電子出版物の提供、図書の貸与、書籍の制作、コンサートの企画又は運営、インターネットを利用して行う映像の提供、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広 手配及び管理、動物の調教、電子出版物の提供、図書の貸与、書籍の制作、コンサートの企画又は運営、インターネットを利用して行う映像の提供、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、 スポーツの興行の企画・運営又は開催、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)、録音済み記録媒体の貸与、写真の撮影、文化又は教育のための展示会の企画・運営、レクリエーション活動に関す る情報の提供、技能訓練用シミュレーターの貸与、電子書籍リーダーの貸与、教育に関する研究⑵ 原告は、令和5年12月26日、本件商標の登録を無効とする旨の商標登録無効審判を請求した(無効2023-890094号、以下「本件無効審判」という。)。 特許庁は、令和6年9月19日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と する審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月27日に原告に送達された。 原告は、令和6年10月25日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 2 本件無効審判における引用商標及び引用使用商標 ⑴ 引用商標原告(本件無効審判の請求人)は、本件無効審判で、請求の理由として、本件商標が商標法4条1項6、7、10、11、15、19号に該当することを主張したところ、請求の理由のうち同項11号該当性の関連において引用した商標(本件審決における「引用商標」。本判決においても「引用商標」 という。)は、次のとおりである(甲121)。 登録番号:第4833713号登録商標: 登録出願日:平成15年4月22日設定登録日:平成17年1月21日商品及 という。)は、次のとおりである(甲121)。 登録番号:第4833713号登録商標: 登録出願日:平成15年4月22日設定登録日:平成17年1月21日商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第41類技芸・スポーツ又は知識の教授(防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技 能・避難誘導知識及び技能の検定試験、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の教授、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の質の証明を含む。)、動物の 調教、図書及び記録の供覧、映画・演芸・演劇又は音楽の演 奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、放送番組の制作、映写フィルムの貸与、テレビジョン受信機の貸与、ラジオ受信機の貸与、図書の貸与、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、録画済みビデオディス クの貸与⑵ 引用使用商標原告が、本件無効審判で、請求の理由のうち商標法4条1項6、7、10、15、19号該当性(同項11号該当性以外)の関連において引用した商標は、原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く 認識され、著名の程度に至っていると主張されている、「防災士」の文字よりなる商標(本件審決における「引用使用商標」。本判決においても「引用使用商標」という。)である。 3 本件無効審判における請求の理由(無効理由)の要旨⑴ 商標法4条1項6号該当性 引用商標は「防災士」の文字からなり、原告は、その他にも「防災士」関連の 用商標」という。)である。 3 本件無効審判における請求の理由(無効理由)の要旨⑴ 商標法4条1項6号該当性 引用商標は「防災士」の文字からなり、原告は、その他にも「防災士」関連の商標を複数所有している(甲4~8)。引用使用商標は「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」であって、「著名な標章」といえる。本件商標はこれと同一又は類似の商標であり、商標法4条1項6号に該当する。 ⑵ 商標法4条1項7号該当性「防災士」は、民間資格の名称として使用されているものの、これを名乗ることを許されるのは研修を受購した上で資格試験に合格した後に認定がされた、災害に関する一定の専門的知識及び技能を有する者のみに限られているところ、「キッズ」のような自他商品役務の識別力が弱い語をこれに付加し たに過ぎない本件商標の登録を認め、両者の使用を異なる者に許容すること は、需要者・取引者に本件商標が原告の事業に係る「防災士」と何らかの関連を有するものであるかのごとき誤認を生じせしめることになり、公正な競業秩序も保たれないことにもなり、災害時における国民の安全の確保といった社会公共の利益にも反し、社会の一般的道徳観念に反するものであるから、本件商標は、商標法4条1項7号に該当する。 ⑶ 商標法4条1項10号該当性原告が長きにわたってその事業を行うに際して使用している「防災士」は造語であって、かつ、広く知られるに至っており、原告は研修等を提供し、防災、減災等に関する各種セミナー、シンポジウムなども実施している。これらは、本件商標の指定役務中の「セミナーの企画・運営又は開催、研修会 の手配及び管理」と同一、類似の役務である。本件商標は「キッズ」と「防災士」の語が結合した結合商標と考える 施している。これらは、本件商標の指定役務中の「セミナーの企画・運営又は開催、研修会 の手配及び管理」と同一、類似の役務である。本件商標は「キッズ」と「防災士」の語が結合した結合商標と考えるのが自然であり、「キッズ」の語が「子供」程度の役務の内容等を表すにすぎない自他商品役務の識別力の弱い語であることから、その構成中の要部である「防災士」の部分から「ボウサイシ」の称呼を生じ、「災害に関する資格(民間資格)である防災士」程度の観念を 生ずるため、原告が業務に使用している「防災士」と同一、類似の商標である。仮に本件商標から全体として「子供の防災士」程度の観念を想起させる場合はあるとしても、「子供」は役務の内容等を表す自他商品役務の識別力の弱い語であるため、需要者、取引者はその構成中の強く支配的な印象を生ずる「防災士」の部分をもって、原告の標章「防災士」と混同を生ずる。した がって、本件商標は原告の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っている商標「防災士」と同一、類似の商標であって、その商品若しくは役務と同一、類似の商品若しくは役務に使用するものであるから、商標法4条1項10号に該当する。 ⑷ 商標法4条1項11号該当性 本件商標は、構成中の要部である「防災士」の部分に相応した「ボウサイ シ」の称呼を生じ「災害に関する資格(民間資格)である防災士」の観念を生ずる。一方で、引用商標からは「ボウサイシ」の称呼が生ずることは明らかであり、「災害に関する資格(民間資格)である防災士」の観念を生ずる。 本件商標の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」と、引用商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知 識の教授(防災専門知識及び技 士」の観念を生ずる。 本件商標の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」と、引用商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知 識の教授(防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の検定試験、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の教授、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の質の証明 を含む。)」とは、同一又は類似の役務である。本件商標と引用商標は類似する商標であり、同一、類似の役務を指定するものであるから、商標法4条1項11号に該当する。 ⑸ 商標法4条1項15号該当性本件商標がその指定役務に使用されると、その構成中に「防災士」の語を 含むことから、原告の業務に係る役務又は原告と何らかの関連があるものの業務に係る役務であるかのごとく役務の提供の主体に混同を生ずるおそれがあるから、商標法4条1項15号に該当する。 ⑹ 商標法4条1項19号該当性「防災士」は、原告が長きにわたって使用している、「公益に関する事業で あって営利を目的としないものを表示する標章」であって、「著名な標章」であり、原告は、長年にわたり、その事業を行うにあたって、商標「防災士」を使用してきている。本件商標と引用商標が同一、類似の商標である点も既に述べたとおりである。被告が本件商標の使用を採択した時点で「防災士」との混同を生じさせることを企図とした不正の目的があるといわざるを得な い。本件商標は、原告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本 国内において広く認識されている商標「防災士」と同一、類似 させることを企図とした不正の目的があるといわざるを得な い。本件商標は、原告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本 国内において広く認識されている商標「防災士」と同一、類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法4条1項19号に該当する。 4 本件審決の理由の要旨本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。 ⑴ 引用商標及び引用使用商標の周知性について原告が認定する防災分野における民間資格である「防災士」は、平成15年(2003年)以降、本件商標の登録出願時まで約19年の活動実績があり、その研修の実施地域も我が国の広い地域を網羅しており、認証者数も22万人を超えて約26万人に達しているから、一定規模の活動実績があるも ので、その活動内容も冊子や新聞記事等を通じて一定程度報道又は紹介されているから、引用商標及び引用使用商標「防災士」は、その専門分野や事業分野の特殊性や限定的な事業規模を鑑みれば、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格の一つとまではいえないが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察などを中心とす る防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる。 ⑵ 商標法4条1項11号該当性について防災分野における民間資格である「防災士」は、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格の一つとまではいえないが、本件商 標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる。 本件商標からは「キッズボウサイシ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。引用商標は、「防災を扱う 察などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる。 本件商標からは「キッズボウサイシ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。引用商標は、「防災を扱う資格をもった者」程度の意味合いを連想さ せる造語であり、具体的な観念は一般的には生じないが、防災関係者にとっ ては、「日本防災士機構の認定する民間資格」(甲31)を想起させ得る。そうすると、引用商標は、「ボウサイシ」の称呼を生じ、一般的には特定の観念は生じないが、防災関係者にとっては、「日本防災士機構の認定する民間資格」程度の観念が生じ得る。本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、語尾に「防災士」の構成文字を含む点を共通にするが、語頭の「キッズ」の 文字の有無により、構成文字全体としては異なる語(資格名)を表してなるから、判別は容易である。また、称呼においては、語尾の5音を共通にするが、語頭の「キッズ」の構成音の有無において差違があるから、全体を一連に称呼するときは、語調、語感は異なるものとなり、聴別は容易である。さらに、観念においては、引用商標から「日本防災士機構の認定する民間資格」 の観念が生じる場合であっても、本件商標からは特定の観念は生じない、又は造語よりなる固有の民間資格を連想させるから、相紛れるおそれはない。 したがって、両商標は、外観及び称呼において判別又は聴別は容易であり、観念において相紛れるおそれはないから、類似する商標とはいえず、商標法4条1項11号に該当しない。 ⑶ 商標法4条1項10号該当性について本件商標と引用使用商標は、外観及び称呼において判別又は聴別は容易であり、観念において相紛れるおそれはないから、それらが与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すれば、類似性の 該当性について本件商標と引用使用商標は、外観及び称呼において判別又は聴別は容易であり、観念において相紛れるおそれはないから、それらが与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すれば、類似性の程度は高くはなく、類似する商標とは認められない。したがって、商標法4条1項10号に該当しない。 ⑷ 商標法4条1項15号該当性について引用使用商標は、少なくとも防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものといえても、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格とはいえない。引用使用商標である「防災士」は、「防災を扱う資格をもった者」程度の意味合いを連想させる造語ではあるが、 防災関連資格の名称としては、その専門分野や業務の内容を記述する語を組 み合わせたにすぎないから、独創性の程度は低い。本件商標と引用使用商標は、類似性の程度は高くない。引用使用商標である「防災士」は、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格ではなく、また、防災関連資格の名称としては独創性の程度は低いから、それと類似性の程度が低い本件商標を、その指定役務について使用したとしても、これに接する需 要者は、引用使用商標とは異なる固有の民間資格を連想するとしても、引用使用商標又は原告を連想、想起し、当該役務が原告又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように役務の出所について混同を生ずるおそれはない。したがって、商標法4条1項15号に該当しない。 ⑸ 商標法4条1項6号該当性について引用使用商標が、仮に公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であるとしても、著名なものとはいえない。本件商標と引用使用商標は、類似する商標ではな 法4条1項6号該当性について引用使用商標が、仮に公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であるとしても、著名なものとはいえない。本件商標と引用使用商標は、類似する商標ではない。引用使用商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものではなく、 本件商標とは同一又は類似の商標ではないから、本件商標は、商標法4条1項6号に該当しない。 ⑹ 商標法4条1項7号該当性について本件商標は、その指定役務について使用したとしても、これに接する需要者は、引用使用商標「防災士」とは異なる固有の民間資格を連想するとして も、引用使用商標又は原告を連想、想起し、役務の出所について混同を生ずるおそれはないから、原告の主張はその前提を欠く。その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、その登録出願の目的及び経緯に何らかの不正があったことを示す証拠は提出されていない。したがって、本件商 標は、商標法4条1項7号に該当しない。 ⑺ 商標法4条1項19号該当性について引用使用商標は、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格ではないから、日本国内の需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。本件商標と引用使用商標は、類似する商標とはいえない。本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者は、引用使 用商標「防災士」とは異なる固有の民間資格を連想するとしても、引用使用商標又は原告を連想、想起し、役務の出所について混同を生ずるおそれはないから、原告の主張はその前提を欠く。本件商標の登録出願の目的及び経緯に何らかの不正の目的があったことを具体的に示す証拠は 用使用商標又は原告を連想、想起し、役務の出所について混同を生ずるおそれはないから、原告の主張はその前提を欠く。本件商標の登録出願の目的及び経緯に何らかの不正の目的があったことを具体的に示す証拠は提出されていない。 したがって、本件商標は、商標法4条1項19号に該当しない。 5 原告主張の取消事由⑴ 引用商標及び引用使用商標の周知性についての認定・判断の誤り⑵ 商標法4条1項11号該当性に関する認定・判断の誤り⑶ 商標法4条1項10号該当性に関する認定・判断の誤り⑷ 商標法4条1項15号該当性に関する認定・判断の誤り ⑸ 商標法4条1項6号該当性に関する認定・判断の誤り⑹ 商標法4条1項7号該当性に関する判断の誤り⑺ 商標法4条1項19号該当性に関する認定・判断の誤り第3 取消事由に関する当事者の主張 1 取消事由1(引用商標及び引用使用商標の周知性についての認定・判断の誤 り)について〔原告の主張〕⑴ 「防災士」の周知著名性について原告は、本件商標の出願以前から、引用商標のほか、「ジュニア防災士」及びその他「防災士」関連商標を複数所有し(甲4~8)、原告は、この目的を 達成するために、定款に定めるとおり、「防災士の認証を行い、及び防災士の 資格称号を附与し、並びに防災士登録台帳を備え付ける事業」、「防災士の資質向上を図る事業」、「防災士相互の連携を強める事業」、「公的機関、自主防災組織、及び企業内等において防災士の活用を図る事業」、「防災・危機管理・災害救援ボランティア・医療等を目的とする団体や個人との連携を計る事業」、「防災と危機管理に関わる情報発信事業、及び講演会・シンポジウム等の啓 蒙事業」等を特定非営利活動に係る事業として行っている(甲2)。 「防災士」 等を目的とする団体や個人との連携を計る事業」、「防災と危機管理に関わる情報発信事業、及び講演会・シンポジウム等の啓 蒙事業」等を特定非営利活動に係る事業として行っている(甲2)。 「防災士」とは“自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを原告が認証した人を指す語である(甲11)。 防災士は民間資格であり、これを称することができるのは、その資格を有 する者に限定される。この資格を取得するためには、原告が認証した民間研修機関・大学等学校・自治体が開催する研修講座を受講し、その後、原告が実施する「防災士資格取得試験」を受験して合格する必要があり、更に、別途、消防署、日本赤十字社が実施する「救急救命講座」の受講修了証を取得する必要がある。その上で、原告に対して、防災士認証登録申請を行い、日 本防災士機構認証委員会の資格審査を受けた後に、原告から「防災士認証状」、「防災士証(カード)」の交付が行われる資格が防災士である(甲12、13)。 「防災士」の資格を有する者は、災害発生時における活動の担い手としての働きが期待されるとともに、平時においても防災や減災に関する啓蒙活動等を広く行っている。当該資格は、民間の資格ではあるものの、その設立の 経緯や防災や減災という公益的な目的のための活動内容等を踏まえれば、単なる民間の資格にとどまるといえるものではない。 防災士の認証者数は年々増加し、平成18年(2006年)には1万人、平成27年(2015年)には10万人、平成30年(2018年)には15万人、令和2年(2020年)には20万人、令和5年(2023年)に は25万人を超えている状況である(甲3)。防災士養成事業には、これまで 5年)には10万人、平成30年(2018年)には15万人、令和2年(2020年)には20万人、令和5年(2023年)に は25万人を超えている状況である(甲3)。防災士養成事業には、これまで 32府県及び74市区町村の自治体が参加しており、350を超える自治体が住民を対象に資格取得助成を実施している状況にある(甲12)。 原告は「防災士」に関する事業や取り組み、「防災士」の活動を紹介するための「防災士REPORT」を毎年発行しており、その中では、防災士に関する自治体や大学及び企業等の取り組みなどが紹介されている(甲17~2 4)。その記事の内容からすれば、原告のみならず、地方公共団体や学校などが「防災士」の育成やこれに関する活動に参画しており、「防災士」は、災害の多い我が国において、災害からの被害を最小限にとどめる地域防災力の強化の担い手としての活動、災害時の避難所運営やボランティア活動への取り組み、地域自治体と連携した防災意識の啓発活動等がその役割として期待さ れている有資格者(甲13)及びこれに関連する事業を指し示す語として広く知られているものであることがわかる。 平成22年(2010年)度版の「防災白書」において、「『新しい公共』の力を活かした防災力の向上」と題する特集において、民間における防災リーダーの育成の取り組みとして既に「防災士」が取り上げられており(甲2 5)、国土交通省が「マイ・タイムライン」の普及・啓発を図るためとして、防災士向けの研修を開催している事例などもある(甲26)。さらに「防災士」については、衆議院・参議院予算委員会でも、防災に関連し、防災士がより活用されるべきであることなどについて言及されている(甲27~30)。 また、「デジタル大辞泉」に、「防災士」について、「NP 」については、衆議院・参議院予算委員会でも、防災に関連し、防災士がより活用されるべきであることなどについて言及されている(甲27~30)。 また、「デジタル大辞泉」に、「防災士」について、「NPO法人日本防災士 機構が認定する民間資格」であることなどが掲載されている(甲31)。 「防災士」に関する新聞記事も度々掲載されている(甲32~35)。 さらに、インターネットで検索エンジン「Google」を使用して令和5年9月14日に「防災士」を検索した結果、約4、460、000もの膨大な数の結果が得られた。それらを確認してみても、原告が事業として行う 民間資格としての「防災士」を紹介するもの、各地方公共団体が防災士に関 する養成講座を行っていることや資格取得に関する助成を行っていることに関するもの、学校が養成講座を開講していることに関するもの等、いずれも原告が事業として行う「防災士」に関するものであり、その他の無関係の者による使用例はこの中には見当たらなかった。 以上のように、地方公共団体や、大学、企業等が、その人材育成を重要視 し、実際にその資格取得者が増加している「防災士」は、災害の多い我が国において、災害からの被害を最小限にとどめる地域防災力強化の担い手としての活動、災害時の避難所運営やボランティア活動への取り組み、地域自治体と連携した防災意識の啓発活動等がその役割として期待されている有資格者を指し示すと共に、原告による「防災士」を育成し、普及させる事業、等 を指し示す語として広く知られ著名の程度に至っているといえる。 ⑵ 周知・著名性に係る本件審決の判断について本件審決は「引用商標及び引用使用商標『防災士』は、その専門分野や事業分野の特殊性や限定的な事業規模を鑑みれば、我が国の一般需要者の間に といえる。 ⑵ 周知・著名性に係る本件審決の判断について本件審決は「引用商標及び引用使用商標『防災士』は、その専門分野や事業分野の特殊性や限定的な事業規模を鑑みれば、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格の一つとまではいえないが、本件商標 の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる。」(本件審決29頁31行目~36行目)としているが、引用商標、引用使用商標の周知性についての検討・判断は、引用商標、引用使用商標が使用されている役務に応じて個別に判断されるべきものであり、引用商標及 び引用使用商標の役務に係る需要者である、防災に関心を持つ者を基準として検討・判断すべきである。 引用商標及び引用使用商標の役務は「防災」に関するものであるから、引用商標及び引用使用商標の周知性を判断・検討する際の需要者は、「防災に関する仕事をしている者(仕事をしようとしている者)」、「防災に関する知識や 資格の取得に興味のある者」等の「防災に関心を持つ者」ということになる。 令和6年(2024年)8月末現在の都道府県別の防災士認証登録者数(甲102)をみても、人口の多寡や各地方における防災に対する意識の違いなどはあると考えられるものの、北海道から沖縄まで、全国的に防災士の登録者が存在していることがわかる。また、民間の企業のみならず、数々の地方自治体や国立大学を含む様々な大学が、防災士を養成するための養成講座に 係る周知を行い、また、実際に養成事業を長きにわたり提供してきているという事実からは、「防災士」が民間資格であるとしても、これまでの長きにわたる継続的な原告の事業の結果、公的機関や教育機関等に 係る周知を行い、また、実際に養成事業を長きにわたり提供してきているという事実からは、「防災士」が民間資格であるとしても、これまでの長きにわたる継続的な原告の事業の結果、公的機関や教育機関等においても、「防災士」について、災害の多い我が国において、これを養成することに意義を認め、その事業に参画・協力し、資格取得を奨励していることがわかる。 このように、全国各地の養成研修実施主体により、周知がなされ、その需要者たる防災に関心を持つ者に対し、防災士の養成研修が提供されてきた結果が、令和4年(2022年)に22万人超、令和5年(2023年)6月末時点で約26万人という防災士の累計認証者数にも表れている。 以上のとおり、「防災士」は、その需要者が広く一般需要者ではなく、「防 災に関心を持つ者」であり、防災に関する資格として、ほぼ必ずと言っていいほどあげられる資格の名称であることからすれば、その需要者たる「防災に関心を有する者」において「防災士」は広く知られ周知・著名となっている。その状況は本件商標の出願前及び登録査定時から変わるものではない。 本件審決における引用商標・引用使用商標の周知・著名性の認定には誤り があり、取り消されるべきである。 〔被告の主張〕⑴ 需要者について原告は、引用商標及び引用使用商標の需要者を、「我が国の一般需要者」ではなく、「防災に関する仕事をしている者(仕事をしようとしている者)」、「防 災に関する知識や資格の取得に興味のある者」等の「防災に関心を持つ者」 に限るべきと述べているが、誤りである。 引用商標及び引用使用商標は、消防・警察の現職及びOB等には「特例制度」を使ってその資格を取得する方法が用意されているものの(甲11)、主に成人を対象に(甲73)、誰 と述べているが、誤りである。 引用商標及び引用使用商標は、消防・警察の現職及びOB等には「特例制度」を使ってその資格を取得する方法が用意されているものの(甲11)、主に成人を対象に(甲73)、誰にでも門戸が開かれた民間資格の一名称である。 例えば乙2及び3に示されるように数多くの民間資格が存在する中、どのよ うな資格があるのかは誰でも知り得る状況であり、対象は一定分野の関係者に限られるものではなく、潜在的な需要者も含めるべきである。 原告自身、「防災士養成講座」への参加が呼びかけられるのは一般の市民である、(防災士養成)講座への参加を呼びかけられる対象は一般の学生である、(防災士の養成の取り組み等の)対象となっているのは一般市民であるなど と主張しているところであり、潜在的な需要者も含め、我が国の一般需要者を対象とすべきことは明らかである。 ⑵ 周知著名性について原告の主張及び証拠からは、一般需要者の認識に関する事情は認定できない。例えば、甲11によると、「防災士養成事業の状況、防災士団体の活動、 機構の概況をお知らせするために平成26年度(2014年度)から毎年1回『防災士レポート』を発行し、地方公共団体や防災関係機構に提供しています」と示されているが、年一回と発行頻度は高くなく提供対象も限られており、具体的な配布部数、配布場所等は不明である。 また、甲17ないし24は原告自身が発行している会誌であり、客観性に 欠ける。確かにその中の記載により、「防災士」の普及活動が行われている模様は何となくうかがえるが、原告によるものではなく資格を取得した個々の防災士による活動も含まれており、また、「博多あん・あん塾」、「防災リーダー養成講座」、「いばらき防災大学」、といった引用商標及び引用使用商標以外の名称も混在 によるものではなく資格を取得した個々の防災士による活動も含まれており、また、「博多あん・あん塾」、「防災リーダー養成講座」、「いばらき防災大学」、といった引用商標及び引用使用商標以外の名称も混在しており、本件商標の出願時及び登録査定時における原告の引 用商標及び引用使用商標についての周知性を裏付けるものとはならない。 さらに、甲31において、検索サービス「コトバンク」に掲載された情報を示しているが、データベースには一般名称からあまり知られていない造語まで、様々な語が収録されており、ここでヒットすることをもって原告の引用商標及び引用使用商標についての周知性を裏付けるものとはならない。なお、同サービスの検索にて「防災介助士」の掲載も確認される(乙4)。 加えて、新聞記事等への掲載例リストが示されているが、このリストは原告及び原告代理人によって作成されたものであり客観性に欠ける。これらリストに掲載された個々の事実を客観的に裏付ける証拠や、いかなる態様で引用商標及び引用使用商標が使用されたかを示す具体的な記載はなく、原告の引用商標及び引用使用商標についての周知性を裏付けるものとはならない。 また、「防災士」のキーワードで検索した結果一覧の写しが示されているが、これらについても、いかなる態様で引用商標及び引用使用商標が使用されたかを示す具体的な記載はなく、原告の引用商標及び引用使用商標についての周知性を裏付けるものとはならない。 大学における研修計画書等や地方自治体における研修事業更新申請書等が 示されているが、やはり限られた範囲のものであり、これをもって我が国の一般需要者の認識に関する事情は認定できない。 一方で、実際に資格を取得した「防災士」より、「まだまだ、京都府での防災士の認知度が低い」(乙 が、やはり限られた範囲のものであり、これをもって我が国の一般需要者の認識に関する事情は認定できない。 一方で、実際に資格を取得した「防災士」より、「まだまだ、京都府での防災士の認知度が低い」(乙5)、「防災士と言う人を知らない方が多いと思います」(乙6、4頁)、「そもそも認知度が低すぎ去年末に防災士の資格を取らせ ていただきましたが、区長からの依頼で取りました。市からお金が出るのも知りませんでしたし、区長の方々も防災士という名前すら知らないと思います」(同7頁)、「思っていた程、防災士活動の認知度が低いのにおどろいた」(同9頁)、「そもそも町民に防災士が周知されていないため、認知度が低い」(乙7、1頁)といった声が挙がっていることが事実である。なお、乙5な いし7は、本件商標の登録査定後のアンケート等であるため、本件商標の出 願時及び登録時における認知度は、これと同じか、より低い状況にあったと考えられる。 以上のとおり、原告の主張はいずれも誤りであって、本件審決の認定判断に誤りはない。 2 取消事由2(商標法4条1項11号の該当性についての認定・判断の誤り) について〔原告の主張〕本件商標は標準文字で片仮名文字及び漢字「キッズ防災士」を横書きしてなるものであり、引用商標は漢字「防災士」を横書きしてなるものである。この両者は、第41類に属する役務を指定したものであるが、例えば「技芸や知識 の教授」といった役務は、その提供に係る分野の知識や技芸について興味を持つ者に対して提供されることが前提となるものであり、また、両商標いずれもが「防災」という語を含むものであることからすれば、提供されるのが「防災」に関連した役務であることは容易に想起でき、その役務の主たる需要者は「防災に関心を持つ者」等であ であり、また、両商標いずれもが「防災」という語を含むものであることからすれば、提供されるのが「防災」に関連した役務であることは容易に想起でき、その役務の主たる需要者は「防災に関心を持つ者」等である。 このような需要者においては、「防災士」の語は、「災害に関する資格(民間資格)である防災士」、とりわけ「日本防災士機構の認定する民間資格」を想起させる語であり、自他役務の識別標識としての機能を強く発揮する部分である。 また、本件商標に含まれる「キッズ」の語は、「子供」を意味する語であり、その指定役務との関係では、「役務の提供を受けるもの(役務の対象)が子供で あること」等を示すに過ぎない、自他役務の識別標識としての機能が弱い語である。 本件審決は、本件商標の構成中の「防災士」の文字部分は、「防災関連の資格の名称としては、その専門分野や業務の内容を記述する語を組み合わせたにすぎず、自他商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部とは いえない」としているが、需要者との関係においては、原告が長きにわたり引 用商標を使用して事業を行ってきた結果、むしろ自他商品役務の識別標識として機能し、目を惹く部分であり、商標の要部であるといえる。 したがって、本件商標について、これを「キッズ」「防災士」の各部分に分離して観察することは、同じ書体で一連に横書きされていたとしても、「キッズ」と「防災士」との間に、識別力における軽重の差があると言わざるを得ず、ま た、「片仮名文字」と「漢字」の違いもあるため、取引上不自然であるとはいえない。 以上をふまえ、本件商標と引用商標を比較するに、まず、本件商標「キッズ防災士」は、その需要者において、「キッズボウサイシ」の称呼の他に、「ボウサイシ」の称呼を生じ、「防災士」の るとはいえない。 以上をふまえ、本件商標と引用商標を比較するに、まず、本件商標「キッズ防災士」は、その需要者において、「キッズボウサイシ」の称呼の他に、「ボウサイシ」の称呼を生じ、「防災士」の部分から「災害に関する資格(民間資格) である防災士」、「日本防災士機構の認定する民間資格」の観念を想起させる語である。 一方で、引用商標は「ボウサイシ」の称呼を生じ「災害に関する資格(民間資格)である防災士」、「日本防災士機構の認定する民間資格」の観念を想起させる語である。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において 相紛れるおそれのある類似商標である。 また、本件商標の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」と、引用商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授(防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の検定試験、防災専門知識 及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の教授、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の質の証明を含む。)」とは、同一又は類似の役務である。 以上からすれば、本件商標は引用商標に類似する商標であって、その商標登 録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務 について使用をするものであるから、商標法4条1項11号に該当するので、同号に該当しないとした本件審決における判断には誤りがある。 〔被告の主張〕本件商標は「キッズ防災士」の語を一連に表して構成されており、一方、引用商標は「防災士」の語で構成されている。このように、両者は外観の いとした本件審決における判断には誤りがある。 〔被告の主張〕本件商標は「キッズ防災士」の語を一連に表して構成されており、一方、引用商標は「防災士」の語で構成されている。このように、両者は外観の識別上 重要な要素である語頭において「キッズ」の文字の有無という差異を有するものであるから、容易に判別できるものである。 本件商標からは「キッズボウサイシ」との称呼が生じる。一方、引用商標からは「ボウサイシ」との称呼が生じる。このように、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭の「キッズ」の音の有無という差異を有するものであるから、 明確に聴別できるものである。 本件商標を構成する「キッズ」の語は、「子供達。」(広辞苑第七版)の意味を有する(乙8)。また、「防災」の語は、「災害を防止すること。」(広辞苑第七版)の意味を有し(乙9)、「士」の語は、「一定の資格・役割をもった者。」(広辞苑第七版)の意味を有する(乙10)。そして、これらの構成文字全体 からは、造語よりなる固有の認定や資格が連想されるものの、具体的な意味合いまでは認識できない。なお、仮に、全体から「子ども達に関する、災害の防止についての資格や役割をもった者」程の意味合いが連想されるとしても、本号該当性の判断は変わらない。 一方、引用商標は「防災」及び「士」の語で構成されているため、全体より、 「防災についての資格や役割をもった者」程度の意味合いを連想させるものであるところ、構成文字全体として、一般的には特定の観念は生じないが、一部の防災関係者にとっては、「日本防災士機構の認定する民間資格」程度の観念が生じ得ると思料する。 そうすると、両者の観念は比較し得ず、仮に引用商標から「日本防災士機構 の認定する民間資格」程度の観念が生じる場合であっても、 防災士機構の認定する民間資格」程度の観念が生じ得ると思料する。 そうすると、両者の観念は比較し得ず、仮に引用商標から「日本防災士機構 の認定する民間資格」程度の観念が生じる場合であっても、本件商標からは特 定の観念は生じない、又は造語よりなる固有の民間資格を連想させるため、両者は相紛れるおそれのないものである。なお、仮に、本件商標全体から「子ども達に関する、災害の防止についての資格や役割をもった者」程の意味合いを連想させるとしても、観念の識別上重要な要素である語頭において、「子ども達」の連想の有無という差異を有するものであるから、本号該当性の判断は変わら ない。 本件商標は「キッズ」と「防災」と「士」の語からなり、いずれもよく知られた成語である。また、指定役務との関係において、いずれも出所識別標識としての機能は強くないためこれらの結合の程度は強く、いずれかを分離して観察することは取引上不自然である。 原告は、「防災」と「士」との組み合わせによる「防災士」の語は、「防災に関心を持つ者」にとって商標の要部であるとして、この部分のみを抽出して判断すべきと主張するが、誤りである。「防災」及び「士」の語は、それぞれ特定の意味を有するよく知られた成語である。そして、「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」といった役務との関係に おいて、「防災」の語は、災害防止に関するサービスといった内容等を連想させ、「士」の語は、資格に関するサービスといった内容等を連想させる、それぞれ識別力の弱い語である。「防災士」の語は、「防災」と「士」という平易な成語の組み合わせたもので、前記指定役務との関係において独創性の程度が低く、独占適応性の低いものである。そして、その前に冠した「キッズ」の 弱い語である。「防災士」の語は、「防災」と「士」という平易な成語の組み合わせたもので、前記指定役務との関係において独創性の程度が低く、独占適応性の低いものである。そして、その前に冠した「キッズ」の語との観 念的な繋がりも有するものである。 よって、本件審決において、「構成中『防災士』の文字部分は、『防災を扱う資格をもった者』程度の意味合いを連想させる造語ではあるが、防災関連資格の名称としては、その専門分野や業務の内容を記述する語を組み合わせたにすぎず、自他商品役務の出所識別表示としての機能は必ずしも高くない」と示さ れたとおりであり、「防災士」の文字部分は、需要者、取引者に対して、自他役 務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部とはいえないとの認定に誤りはない。 原告の主張に照らすと、本件商標においてそれ以外の部分は、「キッズ」の部分となるところ、この部分からは「キッズ」の称呼が生じ、「子ども達」との観念が生じる。よって、「この部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じな い」といえるものでないことは明らかである。 なお、原告の主張においても、「キッズ」部分から「子供」程の観念が生じると認めているところである。原告は、その上で、「キッズ」の語は「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」との関係において、自他役務識別標識としての機能が弱い語であるとしてこの部分を取 捨した「防災士」と類似する、と主張しているが、「防災」の語も同様に、防災に関する前記役務との関係において識別力が弱い語であり、「士」の語も同様に、資格や役割に関する前記役務との関係において識別力が弱い語であるから、「キッズ」の語からのみ「出所識別標識としての称呼、観念が生じない」といえるもので いて識別力が弱い語であり、「士」の語も同様に、資格や役割に関する前記役務との関係において識別力が弱い語であるから、「キッズ」の語からのみ「出所識別標識としての称呼、観念が生じない」といえるものではない。 「防災」と一概にいっても非常に広い概念を含むものであり、子どもの防災、心の防災、食の防災、ペットの防災といったように様々な分野の防災がある。 そのため、防災の分野を示す語を冠した「○○防災」の語に接した需要者は、「○○に関する防災」とのように、一体のものとして認識するのが通常である。 そして、子どもの防災に関しても、例えば乙11のように、「キッズ防災」との 語が用いられている実情があり、「キッズ」と「防災」の語とは、切り離して認識されるものではなく、観念的な繋がりをもって一体で認識されるものといえる。 すなわち、本件商標のように一連一体にまとまりよく表され、観念的な繋がりを有する構成のうち、後半の「防災」及び「士」といった平易な成語部分の みを抽出して類否判断に当たるのは到底妥当とはいえない。 このように、本件商標は全体をひとまとまりとして判断されるべきものであり、「両商標は、外観及び称呼において判別又は聴別は容易であり、観念においても相紛れるおそれはないから、それらが与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に観察すれば、役務の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない」と示した本件審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3(商標法4条1項10号該当性に関する認定・判断の誤り)について〔原告の主張〕商標法4条1項10号では、商標の同一・類似と共に、他人の商標が需要者の間に広く認識されていることをその要件としている。ここで、同号の「需要 者の間に広く認識されている て〔原告の主張〕商標法4条1項10号では、商標の同一・類似と共に、他人の商標が需要者の間に広く認識されていることをその要件としている。ここで、同号の「需要 者の間に広く認識されている商標」は、審査基準にあるように、「全国で周知されていること」までを必要としていないことは明らかである(甲115)。 この点、原告は「防災士」に関する事業を長きにわたり継続してきており、その需要者に広く知られるに至っている点は既に述べているとおりである。この状況は、本件商標の出願時及び登録査定時において変わるものではない。 民間資格としての「防災士」を称することができるのは、その資格を有する者に限定され、この資格を取得するためには、原告に対して防災士認証登録申請を行う必要があるが、この申請を行うにあたっては、原告が認定した民間研修機関・大学等学校・自治体が開催する研修講座を受講し、その後、原告が実施する「防災士資格取得試験」を受験して合格し、さらに、消防署、日本赤十 字社が実施する「救急救命講座」の受講修了証を取得することが要件になっている(甲12、13)。 また、原告は、定款第5条記載の事業の種類に沿って、資格授与後の防災士に対しても、スキルアップのための研修等を提供し、その他、防災・減災等に関する各種セミナー・シンポジウムなども実施している(甲2)。原告が行って いる「防災・減災公開講座」「防災士フォローアップ研修会」等は、本件商標の 指定役務中の「セミナーの企画・運営又は開催、研修会の手配及び管理」と同一・類似の役務である。 さらに、本件商標「キッズ防災士」と引用使用商標「防災士」とは、その需要者において、「ボウサイシ」の称呼を生じ、「災害に関する資格(民間資格)である防災士」、「日本防災士機構の認定する 務である。 さらに、本件商標「キッズ防災士」と引用使用商標「防災士」とは、その需要者において、「ボウサイシ」の称呼を生じ、「災害に関する資格(民間資格)である防災士」、「日本防災士機構の認定する民間資格」程度の観念を想起する ものとして看取されるものであり、同一・類似の商標である。 なお、仮に本件商標から全体として、例えば、「子供防災士」等の観念を想起させる場合はあるとしても、「子供」は役務の内容等を表す自他商品役務の識別力の弱い語であるため、需要者・取引者はその構成中の強く支配的な印象を生ずる「防災士」の部分をもって、原告の商標と混同を生ずるといわざるを得な い。 したがって、本件商標は他人(原告)の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っている商標「防災士」と同一・類似の商標であって、その商品若しくは役務と同一・類似の商品若しくは役務に使用するものである。よって、本件商標は、商標法4条1項10号に該 当し、本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕本件商標は、引用使用商標と類似する商標ではない。これは、「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」のみならず、「セミナーの企画・運営又は開催、研修会の手配及び管理」との関係において も同様である。 したがって、本件商標は商標法4条1項10号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 4 取消事由4(商標法4条1項15号の該当性に関する認定・判断の誤り)について 〔原告の主張〕 ⑴ 原告は「防災士」に関する事業を長きにわたり継続してきており、その需要者たる「防災に関心を持つ者」に広く知られるに至っている。この状況は、本件商標の出願時及び登録査定時においても ⑴ 原告は「防災士」に関する事業を長きにわたり継続してきており、その需要者たる「防災に関心を持つ者」に広く知られるに至っている。この状況は、本件商標の出願時及び登録査定時においても変わるものではない。この点、商標4条1項15号においては同号の該当性の判断において「他人の標章の周知度」を要素の一つとして勘案するとしているが、同号の審査基準にある ように、「全国で周知されていること」までを必要としていないことは明らかである(甲117)。 また、「防災士」は、もともと存在していた成語等ではなく、「防災に関する基礎的な専門知識や技能を有する専門家としての資格」を創設することを企図された際に命名されたものであって、その後「防災情報機構」が、「防災 士」の制度の創設に関する事業に着手し、さらに原告がその事業を引き継ぎ長きにわたって使用してきた造語であって、かつ、原告は、既に述べたとおり、「防災士」の商標のみならず、「日本防災士機構」(登録第4676319号)、「防災士手帖」(登録第4856565号)、「日本防災士会」(登録第5272431号)、「ジュニア防災士」(登録第5692814号)等の「防災 士」に関連する商標を複数所有してきている(甲4~8)。 さらに、「防災士」の語に、役務の提供の対象等を表すものと看取される「キッズ」の語を結合したに過ぎない本件商標「キッズ防災士」と、引用使用商標「防災士」が同一・類似の商標である点は既に述べたとおりであるが、万が一本件商標と引用使用商標が類似するとまでは言えないとしても、このよ うな状況下において、本件商標「キッズ防災士」を、その指定役務中の「防災に関連する役務」に使用した場合には、需要者において、「子供を対象とした防災士に関する役務」であると認識させ、その のよ うな状況下において、本件商標「キッズ防災士」を、その指定役務中の「防災に関連する役務」に使用した場合には、需要者において、「子供を対象とした防災士に関する役務」であると認識させ、その役務が原告により提供されるものであるか、又は原告と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の提供の主体について混同を生ずるおそ れがあると言わざるを得ない。この点、原告は「防災士」の資格を認証した り、その他各種事業を行う者であり、被告は原告から認証を受けた防災士が理事となっている団体であるものの(甲38、46)、被告は原告との間で経済的・組織的に何ら関係を有するものものではない。 したがって、本件商標は商標法4条1項15号に該当し、本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 内閣府等が主催する日本最大級の防災イベントである「ぼうさいこくたい」においては、「防災士」の紹介のために、日本防災士会が出展し、イベント等を開催している例や、防災士について言及されている例もあり、「防災士」の資格を有する者が、セッションにおける登壇者となっている例も多々見られる(甲125~135)。「防災士」の資格を有する者が「防災」に関する講 演等をしている(甲136)ことも、「防災士」が「防災に関する資格名称」、「防災に関する一定の知識・技能を有する者であること」を表すものとして機能していることを示すものであり、かつ、「防災士」が受け入れられ、広く知られているものであることを示すものである。 甲138ないし143は、検索キーワードを「防災士」、期間を本件商標の 登録査定前である2023年1月24日以前と設定して検索した結果に、検索結果として得られた個別の頁の抜粋を添付したものであるが、検索結果は非常に数 索キーワードを「防災士」、期間を本件商標の 登録査定前である2023年1月24日以前と設定して検索した結果に、検索結果として得られた個別の頁の抜粋を添付したものであるが、検索結果は非常に数が多い。そのほとんどに原告の認証に係る資格であることが明記されているか、そうではないとしても、他者の使用に係る「防災士」の語の使用例ではないことがわかる。 なお、原告の提出する証拠(検索結果、甲140、141)に静岡県の「ふじのくに防災士」に関する記述があるところ、静岡県は、県知事が原告の評議員、県職員が理事(役員)を務めており、また、原告の認証する防災士養成事業の研修機関であり、「ふじのくに防災士」の修了者が「防災士」の資格取得が可能な仕組みになっていて、相互に補完・協力する関係となっている ことから、その事情を鑑み原告が「ふじのくに防災士」の語を使用すること を許容しているものであって、無関係な者による使用などには当たらない。 〔被告の主張〕⑴ 原告は、引用使用商標は全国周知まで至らなくとも「防災に関心を持つ者」においては広く知られており、仮に本件商標と類似するといえないとしても出所混同のおそれがあると述べているが、誤りである。 本件商標と引用商標とは、前述のとおり類似するものではない。 周知度については前述のとおり、限られた範囲、すなわち防災関係者等においてはある程度知られていたとしても、一般に広く知られているには至っていない。 引用使用商標は、前述のように、平易な成語から構成されるものであり独 創性の程度は低く、顕著な特徴を有するものではない。なお、この点について原告は特に主張していないため、独創性の程度の低さについては認めているものと思われる。 引用使用商標は、「特定非営利活動法人日本防 の程度は低く、顕著な特徴を有するものではない。なお、この点について原告は特に主張していないため、独創性の程度の低さについては認めているものと思われる。 引用使用商標は、「特定非営利活動法人日本防災士機構」が独自の基準に基づいて付与する民間資格の名称であり、ハウスマークではない。 引用使用商標の出所である「特定非営利活動法人日本防災士機構」は、その名のとおり「防災」に関する特定非営利活動法人であるが、その性質上、多角経営の可能性は低いものである。 「特定非営利活動法人日本防災士機構」が「防災士」について使用する「防災の資格に関する認証や資格称号の付与といった役務と、本件商標の指定役 務のうち例えば、「教育上の試験の実施、セミナーの企画・運営又は開催、研修会の手配及び管理」といった役務は、一定程度の関連性があるものと思料するが、需要者については共通性が低いため、以下言及する。 引用使用商標は、前述のとおり、平易な成語を組み合わせた独創性の程度の低いものであり、需要者においては、「防災についての一定の資格や役割を 持った者」程度の意味合いが連想されるものである。また、「防災」及び「士」 の2語においては、「防災についての一定の資格や役割を持った者」を表すものとして、原告とは別の主体により、その前後や間に他の語を付加して使用されている実情がある(甲69、72、74)。このように、「防災についての一定の資格や役割を持った者」に関して、その事業の内容等を表示するために「防災」や「士」といった語が使用されることは特異なことではない。 また、自然災害等の被害が深刻化する中、「防災」の語を用いて様々な組織・団体により防災教育に関する取り組みが提供されている(甲75、76、乙12)。このように、様々な組織・団体が とではない。 また、自然災害等の被害が深刻化する中、「防災」の語を用いて様々な組織・団体により防災教育に関する取り組みが提供されている(甲75、76、乙12)。このように、様々な組織・団体が、「防災」の語を用いて防災に関する研修やセミナーを開催したり、独自の資格を付与したりしている実情に照らすと、これらに接した需要者や取引者は、それぞれを注意深く見分けて認 識するといえるものである。 また、引用使用商標は、一般成人を主な対象者(需要者)とする民間資格の名称である。主な対象者が成人であることは、「日本防災士機構」のウェブサイトにおいて、「研修内容が基本的に成人を想定していること」と掲載されていることからも明らかである(甲73)。合格率は90%を超えているが、 研修教材の内容は、小学生世代の子ども達にとっては難解なものとなっている(甲77)。さらに、通常のルートで資格を取得しようとすると、研修講座受講料が約50、000円必要とされ(甲78)、内容、金額ともに小学生世代の子ども達が取得するにはかなりハードルの高いものとなっている。 一方、本件商標は、子ども達の意味を表す「キッズ」の文字を語頭に冠し てなり、「キッズ」を冠する事業は子ども向けのサービスと認識されることが一般的である。すなわち、成人を主な対象とするものではないことが一見して把握できる。この点、原告においても、「キッズ」は、『「役務の提供を受けるもの(役務の対象)が子供であること」等を示す』(原告準備書面(1)32頁8~9行目)と述べているところである。 また、乙2及び3に例示されるように数多くの民間資格が存在する中にお いては、その資格の内容や費用等を事前にきちんと調べることが通常であり、引用使用商標と本件商標とを混同したり取り違え また、乙2及び3に例示されるように数多くの民間資格が存在する中にお いては、その資格の内容や費用等を事前にきちんと調べることが通常であり、引用使用商標と本件商標とを混同したり取り違えたりすることはない。 すなわち、本件商標の出願時及び登録査定時において、引用使用商標は、一般需要者において著名性を獲得するに至っていないため出所混同のおそれを生じるおそれはなく、資格や認定を受けようとする者においてもその内容 等をきちんと調べることが通常であるため、類似性の程度が低い本件商標をその指定役務に使用したとしても、引用使用商標と出所混同を生じるおそれはない。 このように、本件商標と引用使用商標との類似性の程度は低いものであり、引用使用商標は構成上顕著な特徴を有するものではなく、両者は別異のもの として認識されるものである。すなわち、「防災」「士」といったごくありふれた成語からなる結合商標においては、双方需要者においてかなりの程度の周知著名性を得ていて類似性の程度が高いものでないと出所混同を生ずるおそれはなく、本件商標に「防災」「士」の語が含まれているからといって、原告との具体的な関連性を認識させるものではない。 したがって、本件商標は商標法4条1項15号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 ⑵ 原告は、「ぼうさいこくたい」に関する資料を追加提出しているが、被告である「一般社団法人ひろしま防災減災支援協会」も「キッズ防災士」のプレゼンのために、「ぼうさいこくたい」に出展していることは既に述べたとおり である。当該イベントは防災関連の役務の需要者・取引者が集まるものであり、一般需要者における周知著名性を裏付ける資料とはならない。また、「ぼうさいこくたい」という名の如く「防災」関係の団体等が数多く出 ある。当該イベントは防災関連の役務の需要者・取引者が集まるものであり、一般需要者における周知著名性を裏付ける資料とはならない。また、「ぼうさいこくたい」という名の如く「防災」関係の団体等が数多く出展し、「防災」の語が溢れている中で、「防災」「士」という独創性の低い語からなる引用使用商標は、特段この部分が着目されて印象に残るといったものではない。 また、提出された証拠には、単に、個人の紹介欄において他の肩書と並べて 記載されている態様のものもあり、これらを以って、引用使用商標が、原告が提供する役務を示すものとして一般需要者に周知であることを裏付ける資料とはならない。防災に関する講演会等の講師を紹介している民間サイトのウェブページの写しであるが、これも、個人の紹介欄が並んで設けられている中で、特段この部分が着目されて印象に残るといったものではない。よっ て、引用使用商標が、原告が提供する役務を示すものとして一般需要者に周知であることを裏付ける資料とはならない。 インターネット検索エンジン「Google」における「防災士」の検索結果が提出されているが、本件商標の出願時におけるものではないし、そもそも「防災士」のキーワードで検索しているためその語を含むページがヒッ トする仕組みなのであって、実際の使用態様等は不明であり、これらをもって、引用使用商標が、原告が提供する役務を示すものとして一般需要者に周知であることを裏付ける資料とはならない。 このように、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、「防災士」が、原告が提供する役務を指す語であるとして、一般需要者に周知著名であ ったとは到底認められない。 引用使用商標は、防災関連の検定試験等に関する役務において、「防災」と「士」とを単に組み合わせた構成であり する役務を指す語であるとして、一般需要者に周知著名であ ったとは到底認められない。 引用使用商標は、防災関連の検定試験等に関する役務において、「防災」と「士」とを単に組み合わせた構成であり、独創性は極めて乏しい。 5 取消事由5(商標法4条1項6号該当性に関する認定・判断の誤り)について 〔原告の主張〕原告は、既に述べたとおり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とする事業を行う「特定非営利活動法人」、さらに所轄庁から認定を受けた「認定特定非営利活動法人」であり、原告が実施している事業について、「防災士」の資格自体は民間資格ではあるものの、防災や災害時に活躍することがで きる人材である「防災士」を育成等するという公益に資するものであることが 明らかである。この点は、防災士の養成事業に、これまでに32府県、74市区町村の自治体が参加し、350を超える自治体が住民を対象に資格取得のための費用の助成を実施している状況にあり(甲12~24)、国や地方公共団体の認識として、「防災士」が、災害時の活動の担い手や、防災・減災に関する地域の防災力強化の担い手として育成され、活用されるべき人材であり、その人 材育成及び資格取得者の増加が必要な資格であると認識され、取り上げられていること(甲25~30)からも明らかである。 そして、原告は、こうした公益に資する事業を行うに当たり、一貫して、「防災士」の語をその事業を表示する標章として使用している(甲12、17~24)。そこで、「防災士」は「公益に関する事業であって営利を目的としないも のを表示する標章」に該当する。さらに、「防災士」がその需要者において著名の程度に至っていると考えられる点は既に述べたとおりである。 審査基準においては、商標法4条1 て営利を目的としないも のを表示する標章」に該当する。さらに、「防災士」がその需要者において著名の程度に至っていると考えられる点は既に述べたとおりである。 審査基準においては、商標法4条1項6号について、「本号における類否は、国等の権威、信用の尊重や国等との出所の混同を防いで需要者の利益を保護するという公益保護の観点から、これら国等を表示する標章と紛らわしいか否か により判断する」(甲118)とされているが、原告が実施している事業は公益に資するものであり、また、「キッズ防災士」と「防災士」が類似する商標であることを考慮すれば、本件商標が「防災士」と紛らわしく、これが使用されれば、「防災士」との混同が生ずるおそれがあるため、同号に該当するといえる。 以上のとおり、本件商標は商標法4条1項6号に該当するため、同号に該当 しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告は、引用使用商標が、「防災に関心を持つ者」において著名であり、本件商標はこれに類似するものであると述べているが、誤りである。 原告は、引用使用商標が、「公益に関する事業であって営利を目的としないも のを表示する標章」として、著名の程度に至っていると主張する。しかし、「防 災士」の語は、防災関係者の間においてはある程度知られているものであったとしても、防災や災害時に活躍することができる人材を育成する事業等を表示する標章として、広く一般に「著名なもの」に至っていたとまではいえない。 本件商標は引用使用商標と「同一又は類似の商標」には該当しない。 本件商標が引用使用商標と誤認を生ずるおそれがないものであること、また、 「同一又は類似の商標」に該当しないことについては、前述のとおりである。 加えて、前述のとおり、引用使用商標に しない。 本件商標が引用使用商標と誤認を生ずるおそれがないものであること、また、 「同一又は類似の商標」に該当しないことについては、前述のとおりである。 加えて、前述のとおり、引用使用商標に係る資格の主な対象者は成人である一方、本件商標は、その構成から一見して、子ども向けの事業であると認識されるものである。 このように、本件商標の登録をもって引用使用商標の信用を害したり、出所 の混同を生じたりすることはないものであり、本件商標は商標法4条1項6号に該当しないとの本件審決の判断に誤りはない。 6 取消事由6(商標法4条1項7号該当性に関する認定・判断の誤り)について〔原告の主張〕 原告はその事業を行うに際して「防災士」を長きにわたり使用してきており、「防災士」は、原告の提供する事業及び役務に係る名称としてその需要者に広く知られるに至っている。この際、その役務の需要者が「防災に関心を持つ者」であると考えられる点は既に述べたとおりである。 また、「防災士」は「防災に関する基礎的な専門知識や技能を有する専門家と しての資格」を創設することを企図された際に命名された「造語」であって、従来から存在した成語ではなく、その後防災情報機構が「防災士」の制度の創設に関する事業に着手し、さらに原告がその事業を引き継ぎ長きにわたって使用してきたものである。 原告は、既に述べたとおり引用商標のほか、「日本防災士機構」等の関連商標 を所有している(甲4~8)。 これも既に述べたとおり、「防災士」は、民間資格の名称として使用されているものの、この「防災士」は、災害の多い我が国において防災・減災に関する啓蒙活動や災害時のボランティア活動など、地域の防災力強化の担い手として、地方公共団体や学校までもがその育成や資 て使用されているものの、この「防災士」は、災害の多い我が国において防災・減災に関する啓蒙活動や災害時のボランティア活動など、地域の防災力強化の担い手として、地方公共団体や学校までもがその育成や資格取得のための講座の実施や資格取得費用の助成に積極的に参画している等、いわば公的な場面も含めた活動が 期待されている側面を持つものであり、これを名乗ることを許されるのは、一定の研修を受講した上で、資格試験を受験し、これに合格した後に原告に対して申請し、その認定がなされた災害に関する一定の専門的知識及び技能を有する者のみに限られている。 このように、その名を称するためには一定の知識と技能を有することが前提 で、さらに試験合格及び資格の取得が必要な名称である「防災士」という資格が存在し、原告がこれに関する各種事業を行い、役務を提供している一方で、本件商標のように、「防災士」に、例えば「子供向けであること、子供が対象である事」等を看取させる、「キッズ」のような自他商品役務の識別標識としての機能が弱い語を付加したに過ぎない「キッズ防災士」の語のようなものについ て併存登録を認め、その両者の使用を異なる者に許容することは、その需要者・取引者に、当該商標が原告の事業にかかる「防災士」と何らかの関連を有するものであるかの如き誤認を生じせしめることになる。 この点、本件商標の指定役務をみても例えば「技芸・スポーツ又は知識の教授、教育上の試験の実施、ノウハウの伝授(訓練)」のような原告の業務に係る 役務と同一・類似の役務が含まれており、かつ、本件商標及び引用使用商標いずれについても「防災士」又は「防災」の語を含み、提供される役務が「防災」に関連するものであることが容易に想起できる点も考慮すれば、本件商標が使用されれば、引用使用商標との 件商標及び引用使用商標いずれについても「防災士」又は「防災」の語を含み、提供される役務が「防災」に関連するものであることが容易に想起できる点も考慮すれば、本件商標が使用されれば、引用使用商標との間において、その需要者が混同を生ずるおそれがある。 さらには、「防災に関連する一定の知識や資格をもった者」等を表しうる語は、 例えば「防災アドバイザー」、「防災プランナー」のように、他に選択肢が存在するにもかかわらず、そもそも原告以外の無関係の第三者が、造語である「防災士」という語に、他の語を結合したに過ぎない商標を採択する必然性は皆無であり、需要者の間において広く知られるに至っている「防災士」の語を構成中に含む語を採択する時点で、商標の出願の目的及び経緯において、原告の「防 災士」と混同を生じさせる等、不正の目的があると推認できる。 ましてや、被告の理事は、原告より認証を受けた「防災士」であり、原告の事業を知っていることが明らかであるため、なおの事このような判断をせざるを得ない。 また、甲51における被告が使用している「キッズ防災士」のロゴマークや、 「キッズ防災士になろう」の表記を見る限り、「キッズ」を白色に黒の縁取り、「防災士」をオレンジ色で黒の縁取りの態様で使用している点に鑑みても、被告が本件商標を「キッズ」と「防災士」の語からなるものであると認識し、かつ、必ずしも一連一体の語としては認識していないことが窺えるところである。 本件商標のように「○○防災士」のような商標が、安易に原告の「防災士」 とは非類似商標であると判断され、これが多数登録されていく状況になり、このような商標が何ら制限なく使用されるとすれば、無用な混乱を生ずるおそれがあることが明らかである。また、長きにわたり資格の認証等「防災士 似商標であると判断され、これが多数登録されていく状況になり、このような商標が何ら制限なく使用されるとすれば、無用な混乱を生ずるおそれがあることが明らかである。また、長きにわたり資格の認証等「防災士」に係る各種事業を行い、「防災士」を名乗ることが許される者を各種研修や試験を経て資格を取得した者に限定し、資格を取得した者が、これまで防災・減災に携 わる者として様々な場面において活動をすることで信用が蓄積されてきた「防災士」の信用を毀損することにつながると言わざるを得ないばかりか、原告等が長きにわたって行ってきた「防災士」に関する事業自体にも支障をきたし、公正な競業秩序も保たれないことにもなる。このような事態が起こることは、後願の出願人が恣意的に既存の商標と混同を生ずるおそれのある商標を出願 することで、民間資格ではあるものの長年にわたり事業を継続してきたことに よる資格としての「防災士」の社会的信頼をも失わせることにつながるため、社会公共の利益にも反し、社会の一般的道徳観念に反するものである。 また、本件商標はその指定役務に「教育上の試験の実施」を含んだものであるが(甲79、80)、被告の理事が防災士であって、原告の業務並びに資格としての「防災士」を知る者であるにもかかわらず、原告の業務に係る「防災士」 とは無関係の事柄について試験等を実施するような役務について、「防災士」の語を含む商標をあえて採択してこれを登録しようとしたものであるから、本件商標の出願の経緯には社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。 そればかりか、商標法の法目的である、「商標を保護することにより、商標の 使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に 予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。 そればかりか、商標法の法目的である、「商標を保護することにより、商標の 使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」にも反する。 したがって、本件商標は、商標法4条1項7号に該当するにもかかわらず誤って登録されたものであり、同号に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告は、本件商標の出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないと述べているが、本件商標の出願の経緯及び登録は、そのようなものに当たらない。 原告は、「防災アドバイザー」、「防災プランナー」のように他の選択肢が存在 するのに、「防災士」の語を構成中に含む語を採択する時点で不正の目的があると推認できると主張するが、子ども達に防災に関心を持ってもらうための学びの証の認定に当たり、子ども達にも親しみのある「士」の語を採択することはごく自然なことであり、まして語頭に「キッズ」の3文字を冠することから全体を短くするために、資格や役割を持った者を端的に表す「士」の語を採択す ることはごく自然なことである。 よって、本件商標は商標法4条1項7号に該当しないとの本件審決の判断に誤りはない。 7 取消事由7(商標法4条1項19号該当性に関する判断の誤り)について〔原告の主張〕引用使用商標は、その需要者が「防災に関心を持つ者」であり、需要者の間 においては広く知られるに至っている点、本件商標「キッズ防災士」と引用使用商標「防災士」が同一・類似の商標である点は既に述べたとおりである。 そして、商標法4条1項19号における「他人の業務 においては広く知られるに至っている点、本件商標「キッズ防災士」と引用使用商標「防災士」が同一・類似の商標である点は既に述べたとおりである。 そして、商標法4条1項19号における「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」は、「全国で周知されていること」までを必要としていないこと は明らかである。 さらに、「防災士」が、「防災に関する基礎的な専門知識や技能を有する専門家としての資格」を創設することを企図された際に命名された「造語」であって、従来から存在した成語ではなく、その後防災情報機構が「防災士」の制度の創設に関する事業に着手し、さらに原告がその事業を引き継ぎ長きにわたっ て使用してきたものであることや、原告が「防災士」に関連する各商標を所有している点も既に述べたとおりである。 このような状況において、「防災に関連する一定の知識や資格をもった者」を表しうる語は「防災」という語を使用するとしても、「防災アドバイザー」、「防災プランナー」のように、その選択肢が存在するにもかかわらず、もともと成 語として存在したわけではなく、平成15年(2003年)から原告が長きにわたって使用し、その需要者に広く知られるに至った造語である「防災士」に、「子供」程度の観念を有し「子供向けであること、子供のためのものであること」を想起させる自他商品役務の識別標識としての機能が弱い「キッズ」の語を結合したに過ぎない「キッズ防災士」を採択し、これを登録して使用すると、 原告の使用に係る「防災士」と混同を生ずるおそれがあることは被告において 十分に予見可能であり、にもかかわらず本件商標を採択したことは、仮に出所の混同のおそれまではないとしても、このよう 原告の使用に係る「防災士」と混同を生ずるおそれがあることは被告において 十分に予見可能であり、にもかかわらず本件商標を採択したことは、仮に出所の混同のおそれまではないとしても、このような商標が原告とは無関係の別の主体により使用されることで、原告の使用に係る「防災士」の出所表示機能を稀釈化させたり、又はその名声等を毀損させる目的があったと言わざるを得ない。 この点は、被告の理事が防災士であって、原告の業務並びに資格としての「防災士」を認識していることが明らかである点に鑑みれば、なおのことその提供主体に混同を生ずるおそれは高く、また、出所表示機能を稀釈化させるおそれも高いと言わざるを得ない。 以上のとおり、本件商標は、原告の業務に係る役務を表示するものとして日 本国内における需要者の間に広く認識されている「防災士」と同一・類似の商標を不正の目的をもって使用するものに該当する。 したがって、本件商標は、商標法4条1項19号に該当するにもかかわらず誤って登録されたものであり、同号に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告は、本件商標は、「防災に関心を持つ者」の間で広く知られている引用使用商標と同一・類似であり、不正の目的をもって使用するものであると述べているが、誤りである。 前述のとおり、本件商標は、引用使用商標と類似する商標ではない。 また、出願の経緯に関して先に述べたとおり、出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させたりする目的をもって出願したものと認定されるような事情はない。 したがって、本件商標は商標法4条1項19号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(引用商標及び引用使用商標の周 な事情はない。 したがって、本件商標は商標法4条1項19号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(引用商標及び引用使用商標の周知性についての認定・判断の誤り)について⑴ 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、引用商標及び引用使用商標に関し、本件に関連する事実関係も含め、以下のとおり認められる。 ア原告は、相当程度の専門性を持った「防災士」と呼称する指導的役割を 持つ人材の養成、確保、活用等により、我が国の防災と危機管理に寄与することを目的として設立された特定非営利活動法人であり、その事業として、①防災士の認証を行い、及び防災士の資格称号を附与し、並びに防災士登録台帳を備え付ける事業、②防災士の資質向上を図る事業、③防災士相互の連携を強める事業、④公的機関、自主防災組織、及び企業内等にお いて防災士の活用を図る事業などを行うものである(甲2)。 イ原告が引用使用商標として主張する「防災士」とは、地域の防災意識の啓発、防災力の向上に努め、災害発生時には避難誘導・救助に当たる人であり、いわゆる民間資格である(甲31)。 防災士資格を取得するには、後記研修・試験を経る一般的な方法と、消 防、警察の現職及びOBなどが「特例制度」を使って申請により取得する方法がある(甲13)。一般的な方法としては、①原告が認証した自治体、大学等の学校や民間の研修機関が実施する「防災士養成研修講座」を受講して「研修履修証明」を取得し、②原告が実施する「防災士資格取得試験」を受験し合格した上で、③自治体、消防署、日本赤十字社等の公的機関、 又はそれに準ずる団体が主催する「救急救命講習」を受け、その修了証を取得し、上記①ないし③の3項目を修了した者が原告への「防災士認 し合格した上で、③自治体、消防署、日本赤十字社等の公的機関、 又はそれに準ずる団体が主催する「救急救命講習」を受け、その修了証を取得し、上記①ないし③の3項目を修了した者が原告への「防災士認証登録申請」を行うことができる。 ウ原告による防災士養成研修と資格取得試験は、平成15年(2003年)に開始され、平成15年には1581名、平成16年に累計5008名、 平成17年に累計10620名が防災士として認証された。この間、平成 16年には消防士についての特例制度が、平成20年には警察官に係る特例制度が、それぞれ開始した。原告は、平成15年4月に、引用商標の出願もしている(甲121)。認証された防災士の累計数は、令和4年(2022年)1月に22万人を超え、令和5年(2023年)6月末時点で約26万人である(甲11、12)。 防災士研修は、令和6年度において、27府県、47市町の自治体で実施され、研修実施教育機関は大学や専門学校等が50校、民間法人が3件となっている(甲100)。 防災士として認証を受けた者の母体は、自治体主催の研修養成者が34%、民間研修機関(学校等を含む。甲101)養成者が34%、郵便局 長が16%、警察職員・消防職員等が16%(合計100%)となっており(甲164)、警察職員、消防職員等は上記特例制度により登録申請により資格取得可能とされていること(甲13、141の4-4、大阪府箕面市のウェブサイト)や、全国郵便局長会は、地域に根差したサービスを目指して平成15年の事業方針に防災士活動を掲げ(甲17)、参議院の予算 委員会で、全国郵便局長会が全会員による防災士資格の取得を目指していることが紹介されていること(甲28)、箕面市では、「市職員と自主防災組織役員の合計100人を 掲げ(甲17)、参議院の予算 委員会で、全国郵便局長会が全会員による防災士資格の取得を目指していることが紹介されていること(甲28)、箕面市では、「市職員と自主防災組織役員の合計100人を対象として、防災士の資格取得に必要な養成講座を・・・開催します。・・・今回講座を受講する100人に、消防職員115人(登録申請のみで資格取得可能)を加え、今年度中に約200人の 防災士資格取得を目指します。」(甲141-4-4)としていることなどによれば、自治体、学校や民間の研修講座等を通じて防災士の認証を受けた者(上記の警察職員・消防職員等以外の者)は、全体の8割強であるところ、そこには自治体職員や郵便局長等も多く含まれるものと認められる。 防災士の認証(資格取得)を受けるために、補助金等を交付する自治体 が多い(甲139)。 認証後、交付された防災士証につき、有効期限や写真の書換え更新等の定めはない(甲138の1-1)。 エ原告は、防災士養成・活動事業や実施事例を紹介する「防災士REPORT」と題する冊子を、平成27年(2015年)から令和4年(2022年)にかけて毎年1回発行している(甲17~24)。 防災白書(平成22年版)には、「民間における防災リーダーの育成」として、当時3万9000人余りが認証されていた防災士の活動が紹介されている(甲25)。 「知恵蔵mini」及び「デジタル大辞泉」には、「防災士」の項があり、原告の認定する民間資格として紹介されている(甲31)。 平成16年(2004年)から平成22年(2010年)、平成25年(2013年)、平成27年(2015年)、令和2年(2020年)に発行された新聞には、防災士などを紹介する記事が掲載されたものがある(甲32~35)。 から平成22年(2010年)、平成25年(2013年)、平成27年(2015年)、令和2年(2020年)に発行された新聞には、防災士などを紹介する記事が掲載されたものがある(甲32~35)。 オ内閣府らが平成28年から開催している「ぼうさいこくたい」において は、「防災士」の紹介のために、日本防災士会が出展し、イベント等を開催している例や、防災士について言及されている例もあり、「防災士」の資格を有する者が、セッションにおける登壇者となっている例も見られる(甲125~135)。 カ静岡県は、防災のさまざまな現場で活躍できる人材を養成するため、平 成8年度から平成12年度までの5年間、静岡県立大学に静岡県総合防災講座を開設し、その講座を修了した者に対して、静岡県知事から、「静岡県防災士」の称号を与えており、静岡県内外の237名にそれが与えられていたところ、この「静岡県防災士」の増員を望む声があり、平成17年度に「静岡県防災士養成講座」を開講し、再び「静岡県防災士」の養成を始 めた。平成22年に「静岡県防災士」を「静岡県ふじのくに防災士」に名 称変更し、平成27年度までに上記「静岡県防災士」からの累計で1470名にその称号を与えており、その後もその養成を続けている(甲8、40)。「静岡県ふじのくに防災士」は、相互の連絡体制の確立と地域防災の発展に寄与するため「ふじのくに防災士会」を設立して活動をしている。 そのウェブサイトには、「防災士につきましては、現在『NPO法人日本防 災士機構』が養成しております『防災士』と、静岡県が独自に養成した『静岡県ふじのくに防災士』がおります。両者は、防災に関する知識を有する者、地域防災活動に貢献するという点は同じですが、養成団体やカリキュラムの違いがあり、『防災士』 士』と、静岡県が独自に養成した『静岡県ふじのくに防災士』がおります。両者は、防災に関する知識を有する者、地域防災活動に貢献するという点は同じですが、養成団体やカリキュラムの違いがあり、『防災士』と『静岡県ふじのくに防災士』は別のものとなりますので、ご注意ください。」(甲40)、「ふじのくに防災士会とは」 「静岡県ふじのくに防災士が連絡体制確立と地域防災の発展に寄与するため、防災士自らが設立したボランディア団体です。・・・お問い合わせフォームから防災士会事務局あて請求していただければ、折り返し送付させていただきます。」(甲69)と記載されている。 マンション特有の防災対策を提唱した著書もある、マンション防災の専 門家であり「マンション防災士」と称する者を紹介したウェブサイトの記事もある(甲71)。 キ防災関連の資格を紹介するウェブサイトには、救急救命士、防災管理者、防火管理者、防災士、防災危機管理者が挙げられている(甲106)。このうち救急救命士、防災管理者は国家資格である(甲107、108)。 また、令和4年(2022年)7月12日現在の「一般財団法人防災教育推進協会」のウェブサイトによれば、「防災検定」という名称の1級ないし5級からなる資格検定が行われており、同協会では「ジュニア防災検定」との試験も実施し、ジュニア防災検定は、子どもたちが防災と減災に関心を持ち、自分で考え行動できる防災力を身につけることを目的とした 検定試験であるとして、防災関連のウェブサイトでも紹介されている(甲 75、103)。 ク平成29年(2017年)6月25日のデジタル大辞泉には、「防災介助士」の項が設けられ、「日本ケアフィット共育機構が認定する民間資格。防災の知識や災害時の応急対応、高齢者や障害者に対する )。 ク平成29年(2017年)6月25日のデジタル大辞泉には、「防災介助士」の項が設けられ、「日本ケアフィット共育機構が認定する民間資格。防災の知識や災害時の応急対応、高齢者や障害者に対する介助の方法などを身につけた人に与えられる。」と紹介されている(乙4)。公益財団法人日 本ケアフィット共育機構が防災介助士を紹介する令和4年(2022年)7月12日現在のウェブサイトには、防災介助士につき、「いつでも起こりうる災害について理解し、普段からどのように備えるか、災害時にどのように行動するのかを学び、実践に結びつけるのが防災介助士の資格です。」と紹介している(甲74)。 また、東京ガスグループは、ウェブサイト「キッズ防災」を令和3年1月には公開しており、発災時に大人がそばにいないことも考えられるとして、家族で防災について話し合う際の参考として活用してほしい旨呼びかけている(乙11)。 防災士会が出展しているとする「ぼうさいこくたい」には、被告も「キ ッズ防災士」についての出展をしている(ぼうさいこくたい2022、甲53)。 ケ令和5年の日本防災士会のウェブサイトでは、「まだまだ、京都府での防災士の認知度が低い」と(乙5)、令和6年に行われた防災活動内容報告会アンケート集約では、防災士自身が、「防災士と言う人を知らない方が多い と思います」、「そもそも認知度が低すぎ去年末に防災士の資格を取らせていただきましたが、区長からの依頼で取りました。市からお金が出るのも知りませんでしたし、区長の方々も防災士という名前すら知らないと思います」、「思っていた程、防災士活動の認知度が低いのにおどろいた」としており(乙6)、「防災士と議員とのカフェ・ド・ギカイ」のテーマに対す る参加者の意見として、「そもそも町 ら知らないと思います」、「思っていた程、防災士活動の認知度が低いのにおどろいた」としており(乙6)、「防災士と議員とのカフェ・ド・ギカイ」のテーマに対す る参加者の意見として、「そもそも町民に防災士が周知されていないため、 認知度が低い」、「防災士の認知度が低いので、町の広報紙などでアピールすることが大切」(乙7)などとする結果が公表されている。また、防災士自身が、防災士の資格を取っている者は多いが、どこまで活動できているかは疑問であり、これからは質を上げていかなければならない旨を令和2年に行われた対談で述べるなどしている(甲158)。 ⑵ア上記⑴の事実によれば、原告の認証に係る、防災分野における民間資格である「防災士」は、平成15年(2003年)以降、本件商標の登録出願時まで約19年の活動実績があり、その研修の実施地域も27府県と我が国の広い地域を網羅しており、累積認証者数も22万人を超えて約26万人に達しているから、一定規模の活動実績があり、その活動内容も冊子 や新聞記事等を通じて一定程度報道又は紹介されている(⑴ア~オ)。そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、消防や警察、自治体職員などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる。 イしかし、引用商標及び引用使用商標に係る「防災士」は、後記2⑵ウの とおり、災害防止の意味として辞書にある一般的な言葉である「防災」と、資格に係る「士」を組み合わせたものであって、「静岡県ふじのくに防災士」を「防災士」と略す使用例やマンション防災の専門家であるとする者がマンション防災士と称すること(⑴カ)にもあるように、災害防止(防災。 後記2⑵ウ参照)の専門家を指す一般的な言葉として使われる場合もあ を「防災士」と略す使用例やマンション防災の専門家であるとする者がマンション防災士と称すること(⑴カ)にもあるように、災害防止(防災。 後記2⑵ウ参照)の専門家を指す一般的な言葉として使われる場合もあり、 その構成は、独創性が強いとはいえない。 また、防災士の認証自体は、もともと職務上防災活動に従事する警察や消防関係者に対しては申請によりなされる場合があり、それらの者も相応の数に上り(⑴ウ)、静岡県においては、原告による防災士の認証開始以前から、「静岡県防災士」の称号授与を行っており、その後も「静岡県ふじの くに防災士」として、原告に係る防災士とは異なる独自の認定を行ってい るが、静岡県ふじのくに防災士を一般に「防災士」と略称することもあり(⑴カの中には、「静岡県ふじのくに防災士」を指して単に「防災士」と述べている例が示されている。)、防災関連の資格には防災管理者等の国家資格もあるほか、原告以外の者による「防災検定」、「防災介助士」といった検定や資格認定も行われており(⑴キ、ク)、防災士の認知度が一般的には 高くないことを窺わせる事情もある(⑴ケ)。 そうすると、一般の消費者の間においては、引用商標及び引用使用商標に係る「防災士」は、広く親しまれた著名な民間資格の一つとはいえないし、広く知られているとも認められず、周知性はない。 ⑶ 引用商標及び引用使用商標に係る「防災士」の周知性は、上記⑵のとおり であり、これによれば、引用商標及び引用使用商標「防災士」は、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格の一つとまではいえないが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる旨の、前記 間資格の一つとまではいえないが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察などを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められる旨の、前記第2の4⑴の本件審決による引 用商標及び引用使用商標の周知性についての認定・判断に誤りがあるとは認められない。 ⑷ 原告の主張に対する判断原告は、前記第3の1〔原告の主張〕のとおり、「防災士」の新聞への掲載や、インターネット上の検索結果が膨大であること等を挙げ、需要者である 「防災に関心を有する者」において、引用商標及び引用使用商標は周知であって、本件審決の認定・判断は誤りであり、本件審決は取り消されるべきである旨を主張する。 しかし、原告の提出する新聞への掲載や検索結果(甲32~37、123、124、138~147等)は、防災士の活動を紹介するものや、防災士に 関連する講座や解説に関する各自治体の案内なども含まれており、その掲載 数や検索表示が多数にのぼることが直ちに防災士の周知著名性と結び付くものではなく、これらに基づく原告の主張は採用できないほか、上記⑵の検討のとおり、引用商標及び引用使用商標は、一般の消費者の間において周知・著名であるとは認められない。 したがって、引用商標及び引用使用商標の周知性についての本件審決の認 定・判断に誤りがある旨の原告の主張は採用することができず、本件審決に取り消すべき事由があるか否かについては、各無効理由についての取消事由2ないし7において判断する。 2 取消事由2(商標法4条1項11号該当性に関する認定・判断の誤り)について ⑴ 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそ 標法4条1項11号該当性に関する認定・判断の誤り)について ⑴ 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役 務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そして、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部 分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念 され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験 則の教えるところである(最高裁昭和34年(オ)第856号同36年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又 は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を ついて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又 は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷 判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁参照)。 ⑵ 本件商標の構成等本件商標の構成等は以下のとおりである。 ア外観 本件商標の構成は、前記第2の1⑴のとおりであり、「キッズ防災士」の文字を標準文字で横書きにしてなるものであり、カタカナ3文字、漢字3文字を一連に表記したものである。 イ称呼本件商標からは、その構成文字に応じて、「キッズボウサイシ」の称呼が 生じる。 これに対し、原告は、本件商標のうち、「防災士」の部分が要部として抽出されるから、本件商標からは「ボウサイシ」の称呼も生じる旨を主張する。 この点、本件商標は、「防災」の語を含むことから、防災関係者を需要者 に含むと認められるが、前記第2の1⑴のとおり、第41類「技芸・スポ ーツ又は知識の教授」等を指定役務とするものであり、需要者には、防災関連の取引に従事する者や、上記のとおり防災関係者が含まれるものの、これらの指定役務の内容、性質に鑑みると、その需要者全体においては、一般の消費者が相当の割合を占めるものと認められる。そうすると、本件商標の需要者における類否 記のとおり防災関係者が含まれるものの、これらの指定役務の内容、性質に鑑みると、その需要者全体においては、一般の消費者が相当の割合を占めるものと認められる。そうすると、本件商標の需要者における類否の判断は、一般の消費者の認識により決すべき ものと解される(なお、引用商標も、前記第2の2⑴のとおり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」等を指定役務とするものであり、需要者には、防災関連の取引に従事する者や防災関係者が含まれるものの、これらの指定役務の内容、性質に鑑みると、その需要者全体においては、一般の消費者が相当の割合を占めるものと認められ、引用商標の需要者にお ける類否の判断も、一般の消費者の認識により決すべきものと解される。)。 そして、「防災士」の周知性については上記1のとおりであり、一般の消費者の間においては、広く知られているとは認められず、周知性はない。そうすると、本件商標「キッズ防災士」の構成のうちの「防災士」の部分のみが、その部分の周知性の故に強く支配的な印象を与えるものとは認めら れず、その他に、その部分が強く支配的な印象を与えるとする理由はない。 したがって、本件商標のうち、「防災士」の部分に格別の識別力があるものとは認められず、本件商標は、「キッズ防災士」との一体不可分の構成の商標としてみるのが相当であり、「キッズ」と「防災士」とに分離して観察されるものではないと認められるから、本件商標からは「ボウサイシ」の みの称呼は生じないと解するのが相当である。 ウ観念上記イのとおり、本件商標は「キッズ防災士」との一連一体の構成の商標であると解される。その構成のうち「キッズ」の語は、「【kids】子供達。」(広辞苑第七版)を意味する英語である(乙8)ところ、同じく子供達を 意味する英 防災士」との一連一体の構成の商標であると解される。その構成のうち「キッズ」の語は、「【kids】子供達。」(広辞苑第七版)を意味する英語である(乙8)ところ、同じく子供達を 意味する英語の「チルドレン」と比してカジュアルに用いられる表現であ り、特に小学校に上がる前の幼児や幼い子供達を指すことが多いとするものがある(乙28)。また、「防災」の語は、「災害を防止すること。」(広辞苑第七版)の意味を(乙9)、「士」の語は、「①官位・俸禄を有し、人民の上位にある者。・・・⑥一定の資格・役割をもった者。『弁護―』」(広辞苑第七版)の意味をそれぞれ有する(乙10)。 そして、これらの構成文字全体は、「キッズ」、「防災」及び「士」の語を組み合わせた造語であり、「防災」が災害防止を意味し、「士」が資格をもった者を意味するところから、これらの語の意味するところと「子供達」の語とは直ちに結びつくものとはいえず、災害に関連する何らかの資格が連想されはするものの、具体的な意味合いまでは認識できないというべき であるから、本件商標からは、特定の観念が生じるものとは認められない。 ⑶ 引用商標の構成等引用商標の構成等は以下のとおりである。 ア外観引用商標は、「防災士」の漢字を同書体、同大で等間隔に横書きにしてな るものである。 イ称呼引用商標からは、「防災士」の文字に相応して、「ボウサイシ」との称呼が生じる。 ウ観念 引用商標中の、上記⑵ウの「防災」及び「士」の語の意味に照らし、「災害防止に関連する資格をもった者」程度の観念が生じるものと認められる。 ⑷ 本件商標と引用商標の類否についてア外観の比較外観において、本件商標を構成する文字はカタカナ3文字及び漢字3文 字であ 連する資格をもった者」程度の観念が生じるものと認められる。 ⑷ 本件商標と引用商標の類否についてア外観の比較外観において、本件商標を構成する文字はカタカナ3文字及び漢字3文 字であるのに対し、引用商標は漢字3文字であり、本件商標には引用商標 に存在しない文字の種類であるカタカナ3文字があって、本件商標と引用商標は、構成する文字数、文字の種類が異なり、外観が相違する。 イ称呼の比較本件商標の称呼である「キッズボウサイシ」と引用商標の称呼である「ボウサイシ」は、構成音及び構成音数が異なり、本件商標の称呼のうちの「キ ッズ」との音の有無によって語感も異なるから、本件商標と引用商標はそれぞれ称呼が相違する。 ウ観念の比較観念について、本件商標からは特定の観念が生じるものとは認められない一方、引用商標からは、「災害防止に関連する資格をもった者」程度の観 念が生じるものと認められ、観念において比較することはできない。 エ類否の判断前記⑵イのとおり、本件商標の需要者における類否の判断は、一般の消費者の認識により決すべきものと解される。そして、一般の消費者は、必ずしも商標の構成を細部にわたり記憶して取引に当たるものとはいえな いから、一般の消費者が通常有する注意力の程度を踏まえて、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念の要素を総合勘案することとなる。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較することができないから、一般の消費者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と引用商 標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項 を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と引用商 標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決の判断に誤りはない。 ⑸ 原告の主張に対する判断原告は、前記第3の2〔原告の主張〕のとおり、本件商標中の「防災士」 の部分に識別力がある一方、「キッズ」の部分には識別力がないから、「防災 士」が要部として抽出され、これによれば、本件商標と引用商標は類似する旨を主張する。 しかし、本件商標の構成や取引の実情、「防災士」の周知性の程度(前記1⑴、⑵)等に鑑みると、本件商標の構成中、「防災士」の部分にのみ識別力があり、「キッズ」の部分に識別力がないものとは認められず、「防災士」が要 部として抽出されるとは認められないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑹ 取消事由2に関する結論以上によれば、本件商標が商標法4条1項11号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、取消事由2には理由がない。 3 取消事由3(商標法4条1項10号該当性に関する認定・判断の誤り)について原告は、前記第3の3〔原告の主張〕のとおり、本件商標と引用商標は同一ないし類似すると主張するところ、前記2⑷エのとおり、一般の消費者の認識において、本件商標と引用商標とは同一ないし類似の商標であるとは認められ ないから、引用商標の需要者である一般の消費者の認識においても同様であると認められ(なお、仮に本件商標の需要者の認識を基準とするとしても同様である。)、本件商標が商標法4条1項10号に該当すると認めることはできない。 したがって、本件商標が商標法4条1項 も同様であると認められ(なお、仮に本件商標の需要者の認識を基準とするとしても同様である。)、本件商標が商標法4条1項10号に該当すると認めることはできない。 したがって、本件商標が商標法4条1項10号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、原告の主張する取消事由3には理由がない。 4 取消事由4(商標法4条1項15号該当性に関する認定・判断の誤り)について⑴ 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該指定商品又は指定役務が他人の業務に係る商品又は役務で あると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該指定商品又は指定役務 が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。そして、上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類 似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断され るべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。 以下、この観点から検討する。 ⑵ 本件商標と引用商標・引用使用 判断され るべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。 以下、この観点から検討する。 ⑵ 本件商標と引用商標・引用使用商標の類似性の程度本件商標は、「キッズ防災士」の文字を標準文字で表してなる商標であり、 引用商標は前記第2の2⑴のとおり「防災士」の文字からなる商標であり、引用使用商標は「防災士」である。 前記2⑷のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較できないから、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商 標であるとは認められない。 ⑶ 引用商標・引用使用商標の周知著名性及び独創性引用商標・引用使用商標は、前記1⑵のとおり、その専門分野や事業分野の特殊性や限定的な事業規模を鑑みれば、我が国の一般需要者の間において広く親しまれた著名な民間資格の一つとまではいえないものの、本件商標の 登録出願時及び登録査定時において、少なくとも消防や警察、自治体職員な どを中心とする防災関係者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認められるが、我が国において一般的な周知性・著名性があるとは認められない。 引用商標・引用使用商標の「防災士」は、「防災」の語と、「士」の語とを組み合わせたものであり、前記2⑵ウのとおり、それぞれ「災害を防止する こと」、「一定の資格をもった者」等の意味で辞書に掲載された一般的な語であり、これらを組み合わせたものとしても独創性に乏しく、前記1⑴カのように、災害防止に関連する知識を有する者を防災士と一般に称している例もあり、防災関連の資格にも国家資格として「防災管理者」の資格がある。 また、「ジュ せたものとしても独創性に乏しく、前記1⑴カのように、災害防止に関連する知識を有する者を防災士と一般に称している例もあり、防災関連の資格にも国家資格として「防災管理者」の資格がある。 また、「ジュニア防災検定」や「キッズ防災」などの検定やウェブサイトな ども紹介され、一般に知られている(前記1⑴カ、キ)。 ⑷ 本件商標の指定商品又は役務と引用商標・引用使用商標に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度本件商標の指定役務は前記第2の1⑴のとおりであるが、これと引用商標・引用使用商標が使用されている防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公 表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の検定試験、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の教授、防災専門知識及び技能・防災又は災害情報公表の知識及び技能・救急救命知識及び技能・避難誘導知識及び技能の質の証明を含む技芸・スポーツ又は知識の教授との関連性は小さ くない。 ⑸ 商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情前記のとおり、引用商標、引用使用商標及び本件商標の需要者には、防災関連の取引に従事する者や防災関係者が含まれるものの、いずれの需要者全体においても、一般の消費者が相当の割合を占めるものと認められ、引用商 標及び引用使用商標と本件商標の需要者は、多くの部分において共通する。 ⑹ 上記⑵ないし⑸の事情を総合すると、本件商標は引用商標に類似しているとは認められず、引用商標及び引用使用商標はいずれも独創性のあるものでも周知著名性を獲得しているものでもないから、その余の事情を含め総合考慮しても、本件商標をその指定役務に使用したときに、本件商標の とは認められず、引用商標及び引用使用商標はいずれも独創性のあるものでも周知著名性を獲得しているものでもないから、その余の事情を含め総合考慮しても、本件商標をその指定役務に使用したときに、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において、当該指定役務が原告の業務に係る役務である と誤信するおそれがあるとは認められず、広義の混同を生ずるおそれがあるとも認められない。 原告は、前記第3の4〔原告の主張〕のとおり、前記⑴の基準に即して検討すれば混同を生ずるおそれがある旨主張するが、上記説示に照らし、採用することができない。 ⑺ 取消事由4に関する結論以上によれば、本件商標が商標法4条1項15号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、取消事由4には理由がない。 5 取消事由5(商標法4条1項6号該当性についての認定・判断の誤り)について 原告は、前記第3の5〔原告の主張〕のとおり、原告は所轄庁から認定を受けた「認定特定非営利活動法人」であり、「防災士」の資格自体は民間資格ではあるものの、公益に資するものであることが明らかであり、「防災士」は「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」に該当し、本件商標である「キッズ防災士」と「防災士」が類似する商標であり、混同が生 ずるおそれがあるから、本件商標は商標法4条1項6号に該当する旨を主張する。 しかし、商標法4条1項6号は、商標登録を受けることができない商標として、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としな いものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」と規定して おり、引用される標章は著名なものに限られて 利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としな いものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」と規定して おり、引用される標章は著名なものに限られているのであって、これにつき日本全国にわたって広く認識される必要まではないと解するとしても、なお相応の規模の地理的範囲において広く認識されていることを要するものと解されるところ、前記1のとおり、引用商標ないし引用使用商標がこれに該当しないことは明らかである。 したがって、原告の上記主張は、採用することができず、本件商標が商標法4条1項6号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、取消事由5は理由がない。 6 取消事由6(商標法4条1項7号該当性に関する判断の誤り)について⑴ 原告は、前記第3の6〔原告の主張〕のとおり、「防災士」は公的な場面も 含めた活動が期待されている側面を持つものであり、試験合格及び資格の取得が必要な名称である「防災士」という資格が存在し、原告がこれに関する各種事業を行い、役務を提供している一方で、本件商標のように、「防災士」に「キッズ」のような自他商品役務の識別標識としての機能が弱い語を付加したに過ぎない語について併存登録を認め、その両者の使用を異なる者に許 容することは、その需要者・取引者に、当該商標が原告の事業にかかる「防災士」と何らかの関連を有するものであるかの如き誤認を生じせしめるとし、需要者の間において広く知られるに至っている「防災士」の語を構成中に含む語を採択する時点で、商標の出願の目的及び経緯において、原告の「防災士」と混同を生じさせる等、不正の目的があると推認できる上、「防災士」の 社会的信頼をも失わせることにつながるため、社会公共の利益にも反し、社会の一般的 願の目的及び経緯において、原告の「防災士」と混同を生じさせる等、不正の目的があると推認できる上、「防災士」の 社会的信頼をも失わせることにつながるため、社会公共の利益にも反し、社会の一般的道徳観念に反するものであるから、本件商標の出願の経緯には社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し、商標法4条1項7号に該当する旨を主張する。 この点、商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良な風俗を害するお それがある商標」には、商標の構成自体が公序良俗を害するおそれがあるも ののほか、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的(同法1条)に照らし、当該商標の登録出願の経緯において、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠く出願行為に係る商標も含まれると解される。 本件商標は、その構成自体が公序良俗を害するおそれがあるとは認められないし、本件商標の出願の経緯に、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠くことがあったとも認められない。また、本件商標の文字に引用商標の文字と共通する部分があることをもって、被告による本件商標の登録出願が、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠くと直ちに解される こともない。そして、他に、本件商標の登録出願の経緯において、公正な商標秩序に反し、著しく社会的相当性を欠く出願行為であると解すべき事情は認められない。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標であるとは認められない。 ⑵ 以上によれば、本件商標が商標法4条1項7号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、原告の主張す の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標であるとは認められない。 ⑵ 以上によれば、本件商標が商標法4条1項7号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、原告の主張する取消事由6には理由がない。 7 取消事由7(商標法4条1項19号該当性の判断の誤り)について原告は、前記第3の7〔原告の主張〕のとおり、本件商標は、原告の業務に 係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている「防災士」と同一・類似の商標を不正の目的をもって使用するものに該当するから、商標法4条1項19号に該当する旨を主張する。 しかしながら、前記1のとおり、引用商標及び引用使用商標は、一般の消費者の間において広く知られているとは認められず、周知性はなく、本件商標の 出願時及び登録審決時において、本件商標の指定役務との関係において、他人 の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であると認めることはできない。 また、原告の主張のとおり、被告の理事が防災士の資格を有しており、原告の業務や防災士資格を認識しているとしても、それが直ちに本件商標についての混同のおそれや出所表示機能の希釈化のおそれと結び付くものでもなく、そ の他本件商標の出願・登録、使用について、被告において不正の目的があったものと認めるに足りる証拠もない。 したがって、原告の上記主張は採用することができず、本件商標が商標法4条1項19号に該当するとは認められないとの本件審決の判断に誤りはなく、取消事由7は理由がない。 8 結論以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。 よって、原告の請求は理由ないので棄却することとし、主文のと 主文 7は理由がない。 理由 8 結論以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。よって、原告の請求は理由ないので棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 中平健 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則
▼ クリックして全文を表示