- 1 -平成20年3月12日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成19年(ワ)第33797号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成20年2月27日判決スイス国<以下略>原告シャネルエスアーエールエル同訴訟代理人弁護士田中克郎同宮川美津子同菊田行紘同山本麻記子同大島正照神奈川県横須賀市<以下略>(営業所神奈川県横須賀市<以下略>)被告A主文 被告は,神奈川県横須賀市<以下略>所在の営業上の施設において,その営業上の施設又は活動に「シャネル」及び「CHANEL」の表示を使用してはならない。 被告は,同所所在の営業施設ビル外側の看板その他の営業表示物から「シャネル」及び「CHANEL」の表示を抹消せよ。 被告は,原告に対し,250万円及びこれに対する平成20年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,仮に執行することができる。 - 2 - 事実及び理由 第1請求 主文第1項と同旨 主文第2項と同旨 被告は,原告に対し,1300万円及びこれに対する平成20年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 仮執行宣言第2請求の原因 当事者( )原告 ガブリエルシャネル(通称ココシャネル)は,フランス法人レパルファムシャネル(現在の商号はフランス法人シャネルエスアー)その他の法人を設立し,それらの法人は,シャネルの商品を製造,販売している。 原告は,それらの法人が製造・販売する商品に関する商標その他の知的財産権を有しその管理を行うスイス法人である エスアー)その他の法人を設立し,それらの法人は,シャネルの商品を製造,販売している。 原告は,それらの法人が製造・販売する商品に関する商標その他の知的財産権を有しその管理を行うスイス法人である(以下フランス法人シャネルエスアー,,及び原告を含むシャネルに由来する法人を総称して「シャネル社」という。)。 シャネル社の取り扱う商品は,帽子,高級婦人服のみならず,化粧品,靴,アクセサリー,時計,香水等にわたり,香水「CHANELNo.5」は世界的なベストセラーを続けている。 ( )被告 被告は,神奈川県横須賀市<以下略>において「スナックシャネル」及び「SN,ACKCHANEL」の営業表示(以下,まとめて「被告営業表示」という。)を使用して,飲食店を営業している。 被告は,同所所在の営業施設に関し「バーシャネル」の名称で,食品衛生法52条,に基づく飲食店営業の許可及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3- 3 -条に基づく風俗営業の許可を受けている。 不正競争( )原告の営業表示 シャネル社は,日本において「シャネル」及び「CHANEL」の表示(以下,,まとめて「シャネル営業表示」という。)を,営業表示として使用している。 ( )周知性・著名性 シャネル営業表示は,遅くとも昭和30年代の初めころには,日本においてシャネル社の営業たることを示す表示として,周知となり,遅くとも,被告が平成17年ころに被告営業表示を使用して飲食店の営業を開始した時点で,日本においてシャネル社の営業たることを示す表示として,著名となっていた。 ( )被告の行為 被告は,平成17年9月14日,神奈川県横須賀市<以下略>において,被告営業,,表示を使用して飲食店の営業を開始し原告が被告営業表示について警告 して,著名となっていた。 ( )被告の行為 被告は,平成17年9月14日,神奈川県横須賀市<以下略>において,被告営業,,表示を使用して飲食店の営業を開始し原告が被告営業表示について警告をした後も依然として被告営業表示の使用を継続している。 ( )シャネル営業表示と被告営業表示の類似性 被告営業表示から業種を示す一般名称「スナック」及び「SNACK」を除いた部,「」「」,。 分すなわちシャネル及びCHANELはシャネル営業表示と同一であるしたがって,シャネル営業表示と被告営業表示は類似する。 ( )混同のおそれ(不正競争防止法2条1項1号) 被告が被告営業表示を使用する行為は,一般消費者に,原告を含むシャネル社と被告との間に緊密な営業上の関係又は同一の商品化事業を営むグループに属する関係が存在すると誤信させるおそれがあり,原告を含むシャネル社の営業と誤認,混同を生じさせる行為に当たる。 営業上の利益の侵害( )被告の上記2( )記載の行為により,原告は営業上の利益を侵害され又は侵 害されるおそれがある。 - 4 -( )すなわち,被告の上記行為は,原告を含むシャネル社が築き上げた高級なイ メージを侵害し,シャネル社の社会的信用を毀損している。 ( )被告の上記行為は,原告を含むシャネル社が莫大な費用と努力をして獲得した シャネル営業表示の顧客吸引力を侵害し,その結果,シャネル営業表示の持つ広告宣伝機能を希釈化し,その知的財産権としての価値を減少させる。 ( )被告の上記行為は,シャネル社の今後の多角的な営業活動に対して重大な障害 となり,シャネル社の営業上の利益を侵害するおそれがある。 被告の故意又は過失被告は,シャネル営業表示が日本国内で周知かつ著名なシャネル社の営業 ル社の今後の多角的な営業活動に対して重大な障害 となり,シャネル社の営業上の利益を侵害するおそれがある。 被告の故意又は過失被告は,シャネル営業表示が日本国内で周知かつ著名なシャネル社の営業表示であることを知りながら,又は過失によりこれを知らないで,被告営業表示を使用している。 損害( )原告は,被告の前記2( )の行為により,平成17年9月14日から本件訴訟 を提起した平成19年12月17日までの間に,少なくとも下記の損害を被った。 ( )内訳 ア信用損害1000万円原告を含むシャネル社が被った信用損害を金銭に評価すると,その金額は,1000万円を下らない。 イ弁護士費用300万円本件訴訟は,不正競争防止法に基づく専門的な事件である上,原告は外国法人であることから,自ら訴訟を提起することが困難であり,法律専門家たる弁護士に依頼しなければ解決が困難な事案であること,また,原告と原告代理人との連絡に際しては特にフランス語又は英語を理解する弁護士を必要とすること,さらに,関係書類の翻訳等に多大な労力や費用を要することなどを勘案すれば,相当因果関係のある弁護士費用は300万円を下らない。 侵害行為供用物- 5 -被告は,被告営業表示を被告の営業施設ビル外側の看板その他の営業表示物件に表示して営業を行っている。 これらの物件における被告営業表示を抹消することにより,被告の侵害行為の停止又は将来の侵害行為の再発を防止する必要がある。 結論 よって,原告は,被告に対し,不正競争防止法2条1項1号又は2号,3条及び4条に基づき,原告の前記営業施設における被告営業表示の使用差止め,被告営業表示の抹消並びに平成17年9月14日から本件訴訟を提起した平成19年12月17日までの間の被告の不正競争行為によって生じた 条に基づき,原告の前記営業施設における被告営業表示の使用差止め,被告営業表示の抹消並びに平成17年9月14日から本件訴訟を提起した平成19年12月17日までの間の被告の不正競争行為によって生じた損害1300万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成20年2月15日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 第3当裁判所の判断 被告は,適式の呼び出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出せず,請求原因事実を明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 上記争いのない事実によれば,被告は,神奈川県横須賀市<以下略>所在の営業上の施設において,平成17年9月14日から被告営業表示を使用して飲食店を営業していること,シャネル営業表示は,遅くとも被告が被告営業表示の使用を開始した時点で,日本においてシャネル社の営業たることを示す表示として著名となっていたこと,シャネル営業表示と被告営業表示は類似してものであるから,被告の上記行為は,不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争行為に該当するということができる。 ,,,そして被告の上記行為はシャネル営業表示の有する高級なイメージを希釈しシャネル社の営業上の利益を侵害し,ひいては,原告の営業上の利益を侵害したこと,被告の侵害の停止のため被告の営業施設ビル外側の看板等の営業表示物件における被告営業表示を抹消する必要があるものと認められる。 - 6 -したがって,原告の被告に対する同法3条に基づく請求はいずれも理由がある。 さらに,被告は,シャネル営業表示が日本国内で著名なシャネル社の営業表示であることを知りながら,シャネル社の知的財産権を管理する原告の上記営業上の利益を侵害し,その信用を害したものであり,原告 さらに,被告は,シャネル営業表示が日本国内で著名なシャネル社の営業表示であることを知りながら,シャネル社の知的財産権を管理する原告の上記営業上の利益を侵害し,その信用を害したものであり,原告の損害額は,原告の営業内容,被告の業種,営業内容,規模及び被告営業表示の使用期間等を考慮すると,200万円と認めるのが相当である。 また,本件訴訟に現れた一切の事情を考慮すると,被告の上記行為と相当因果関係のある弁護士費用は50万円と認めるのが相当である。 したがって,原告の被告に対する同法4条に基づく請求は,主文第3項記載の限度で理由がある。 よって,原告の請求は主文第1項ないし第3項の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言を付するのが相当であると認め,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部裁判長裁判官市川正巳裁判官大竹優子裁判官中村恭
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