主文 原告らの主位的請求を棄却する。 被告は,原告会社に対し,金8537万2111円及びこれに対する平成20年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Aに対し,金2882万4111円及びこれに対する平成20年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の予備的請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告らの,その余を被告の各負担とする。 この判決は,第2項及び3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求の趣旨 被告は,原告会社に対し,金1億0679万0139円及びこれに対する平成20年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Aに対し,金3598万0139円及びこれに対する平成20年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要,,,,本件は原告らが被告から2種類の私募債による債券を購入したところ主位的に,上記各債券が元本がゼロになる可能性のあるリスクの高い商品であるにもかかわらず,被告の担当者の説明によりリスクの少ない商品と誤信したとして,債券の売買契約の錯誤無効に基づく不当利得返還請求として,予備的に上記各債券の売買契約の際,被告の担当者に,適合性原則違反,説明義務違,,()反断定的判断の提供による違法行為があったとして不法行為使用者責任に基づく損害賠償請求として,購入額と回収額の差額(原告会社につき合計9709万0139円,原告Aにつき3278万0139円)及び弁護士費用相(,)。 当額原告会社につき970万円原告Aにつき320万円の支払を求めた 各請求は,原告会社につき1億0679万013 0139円,原告Aにつき3278万0139円)及び弁護士費用相(,)。 当額原告会社につき970万円原告Aにつき320万円の支払を求めた 各請求は,原告会社につき1億0679万0139円(9709万0139円+970万円,原告Aにつき3598万0139万円(3278万0139)円+320万円)及びそれぞれに対する被告の利得の翌日ないし不法行為後の日である平成20年1月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金である。 争いのない事実(1) 原告会社は,スキューバダイビング教室及び用品店の経営等を主たる業務とする株式会社である。原告Aは,昭和39年8月27日生まれで,原告会社の代表取締役である。 被告は,証券会社である。 (2) 原告らは,平成18年3月23日,被告との間で,私募債であるプロテクション付ノックインプット・エクイティリンク債(以下「本件債券1」という)をそれぞれ5000万円ずつ支出して総額1億円で購入する契約を締。 結し,原告Aは,同年4月11日,原告会社は,同月12日にそれぞれ5000万円を,被告に対し,振込送金して支払った。 (3) 原告会社は,平成18年5月25日,被告との間で,私募債である早期償還条件付プロテクション付ノックインプット・エクイティリンク債以下本(「件債券2」という)を1億円で購入する契約を締結し,同年6月15日,。 代金1億円を,被告に対し,振込送金して支払った。 (4) 原告らは,平成20年1月24日,本件債券1及び本件債券2(以下「本件各債券」という)を被告に売却し,被告は,本件債券1について,売却。 代金742万5000円,売却前の利金540万4538円,経過利子439万0278円の合計1721万9861円,本件債券2について,売却代金1890万円,売 し,被告は,本件債券1について,売却。 代金742万5000円,売却前の利金540万4538円,経過利子439万0278円の合計1721万9861円,本件債券2について,売却代金1890万円,売却前の利金1552万5000円,経過利子126万5000円の合計3569万円をそれぞれ取得した。 争点 (1) 本件各債券の商品特性(2) 原告らの錯誤の成否(3) 被告の不法行為の成否 争点についての当事者の主張(1) 争点(1)について【原告らの主張】本件各債券は,10銘柄の参照対象株式につき各1億円を想定元本とするノックインプットオプションの売りポジションが設定され,これらの銘柄が参照期間中に一度でもノックイン価格以下となり,かつ,満期償還額決定日における価格が基礎価格未満であった場合,想定元本額に基礎価格と満期償還額決定日における価格の下落の割合を乗じた金額の損失が生じるものである。本件債券2は,本件債券1とノックイン価格(本件債券1では,発行直前の価格である基礎価格の50%に,本件債券2では,65%に設定されている)やクーポン(金利)等の個別条件が異なるほか,早期償還条件が付。 されている。本件各債券の基本部分の構造は,EB債や日経平均リンク債と同じである。本件各債券は「個別株のノックイン条件付のプットオプショ,ンの売り」を組み込んだ難解な仕組債であり,購入額1億円に対し10銘柄につき想定元本各1億円・総額10億円分の株価変動リスクを背負うという10倍ものレバレッジが効いたハイリスク商品である。すなわち,利益はクーポンに限定されるが,1銘柄分だけでも損失が生じれば,その下落割合がそのまま購入額の元本毀損割合となり,複数の銘柄に損失が生じるようなことがあれば,たちまち元本がゼロとなってしまうリスクに直面することとな 限定されるが,1銘柄分だけでも損失が生じれば,その下落割合がそのまま購入額の元本毀損割合となり,複数の銘柄に損失が生じるようなことがあれば,たちまち元本がゼロとなってしまうリスクに直面することとなる。また,満期償還期限である3年先の株価など,プロの投資家であっても全く予測できないところ,金融工学の理論の知識のない一般投資家が10銘柄すべてについて3年後の株価を予測することなど到底不可能であり,個別の10銘柄に賭けて差金決済となることから,本件各債券の購入は,投資と いうより賭博である。 本件各債券は私募債であるが,私募債には市場がなく流通性がないため,購入後不利な状況となった場合,保有を続けるか,大きな損失を甘受して被告の言い値で買い取ってもらうしかなく,上場株式のような適正価格での適宜の換価は不可能である。本件各債券は,被告のオリジナルの私募債であって,流通性がないばかりか全く周知性がなく,一般顧客が商品内容を理解したり検討したりするための比較対象となる商品も出回っていない。行政当局の審査やディスクロージャーなど全く行われておらず,商品設計が公正であることの制度的保証がなく,顧客側から検討するすべもない。また,本件各債券は,現実の株取引や市場取引と離れた「閉じた架空の世界」での株価変動を対象としたゲームのようなものであり,社会的有用性もない。被告は,このような賭博性の高い本件各債券を素人の投資家に対し,勧誘規制や制度的保障もなしに大量に発行・販売して,利益を挙げているのである。 よって,本件各債券は,著しく賭博性の高い商品であり,本件各債券の購入は正当な経済行為とはいえない。 【被告の主張】本件各債券の基本構造は,デリバティブを組み込んでいる点でEB債や日,。 ,経平均リンク債と類似するが本質は違う商品である本件各債券におい 券の購入は正当な経済行為とはいえない。 【被告の主張】本件各債券の基本構造は,デリバティブを組み込んでいる点でEB債や日,。 ,経平均リンク債と類似するが本質は違う商品である本件各債券において被告は,あくまで中立の立場であり,原告が損失を被った場合に利益を得るという利益相反関係はない。本件各債券の基本的な仕組み及びリスクは,ある程度の投資経験,知識,理解力等を有している者であれば,容易に理解できるものである。本件各債券のリスクは,元本がゼロになることに限定されており,追証は発生しないのであって,単純に10倍のレバレッジが効いた商品ではない。また,ノックイン条件が付されているからハイリスクである。 ,,,とは一概にいえない顧客は本件各債券の購入に当たり自らの投資方針経験,知識,理解力等に基づいて,参照対象銘柄の3年後の株価を見通し, 投資判断をするものであるから,本件債券の購入行為は,賭博とは同視できない。本件各債券を途中売却する場合,被告が償還までに受け取ることのできるクーポンの価値及び期待償還価値(参照対象銘柄の株価及び値動きの幅を参照して計算する)により定まる適正な買戻し価格を提示するから,適。 正価格での適宜の換価は可能であり,流通性がないとはいえない。本件各債券の発行者はRであり,オリジナルの私募債であるが,株式,債券その他金融商品との間でリスクを比較検討することは可能であるし,金融工学に基づいて設計された商品であるから,行政当局の検査の対象となり,商品設計の公正性も担保されている。オプション取引は,種々のリスクヘッジ,需給調整,多様な取引手段・投資機会の提供等,経済社会において様々な役割を果たしており,機関投資家のみならず,手元資金の運用及び運用に伴うリスクヘッジを行う一般投資家にも有用なものとして, ヘッジ,需給調整,多様な取引手段・投資機会の提供等,経済社会において様々な役割を果たしており,機関投資家のみならず,手元資金の運用及び運用に伴うリスクヘッジを行う一般投資家にも有用なものとして,正当な経済行為であるといえるから,本件各債券の購入も,正当な経済行為である。 (2) 争点(2)について【原告らの主張】金融商品取引の投資判断において,最も重要な要素となるのは,リスクの,,。 内容や程度であるからこれに関する著しい誤解は要素の錯誤に該当するまた,商品特性が金融商品の売買の動機であるとしても,リターンやリスクの質や程度は購入を決定する最も重要な前提要素であるから,このことは,当事者間に,当然に表示されているか黙示の表示があるものといえる。 本件各債券は,元本がゼロとなるようなリスクがあるにもかかわらず,被告の担当者は,原告会社のBに対して,10億円の資金を集めて1億円ずつ10社の株式に分散投資する旨を述べ,1社がノックインして元本に損失が生じてもクーポンで補えるがごとき説明を行った。そのため,Bは,10倍のレバレッジが効いたリスクの内容を認識することなく,リスクの小さい商品と認識し,原告Aも,Bからそのように伝えられて,同様の認識を抱いた からこそ,本件各債券の購入を承諾した。かような10倍のレバレッジとこれに起因するリスクの大きさは,本件各債券の特性に関する重大な要素であり,原告らはこのリスクを誤認したものであるから,本件各債券の売買契約は,錯誤により無効である。 よって,不当利得返還請求権として,原告らは,被告に対して,本件各債券の購入金額から利金と売却手続によって取得した金額の差額の返還を請求する。その金額は,原告会社が9709万0139円(5000万円-1(721万9861円)+(1億円-3569万円,原告 各債券の購入金額から利金と売却手続によって取得した金額の差額の返還を請求する。その金額は,原告会社が9709万0139円(5000万円-1(721万9861円)+(1億円-3569万円,原告Aが3278万))0139円(5000万円-1721万9861円)である。また,弁護士,,。 費用相当額の損害金は原告会社が970万円原告Aが320万円である【被告の主張】被告の担当者は,原告A及びBに対して,本件各債券の基本的な仕組み及びリスクについて,原告らの投資方針,経験,知識,理解力等にかんがみて必要かつ十分に説明した。原告らは,本件各債券のリスクを十分に理解した上で,自らの投資方針に基づいて投資判断を行ったものであるから,原告らが本件各債券のリスクについて誤認していたということはあり得ない。 (3) 争点(3)について【原告らの主張】本件各債券の特性からすれば,本件各債券を購入する者は,株式取引やオプション取引に精通し,ノックインオプションや想定元本等の概念や仕組みを十分に理解し,対象となる10銘柄すべてについて3年先を主体的に予測できるだけの知識や経験を有し,10倍のレバレッジのリスクが持つ意味を具体的に理解できるようなプロの投資家でなければ,適合性は認め得ない。 また,本件各債券の勧誘をする以上,被告は,顧客に対して,本件各債券の,,仕組みやリスクの質や程度について慎重にも慎重を期した詳細な説明をし顧客が理解できたことを慎重に確認する必要があり,顧客に誤解を与えるよ うな有利性の強調や断定的判断の提供を行ってはならない。また,購入後においても,十分な情報提供や損失回避のための指導助言が行われるべきである。 原告らは,株式や債券の取引の経験はあるが,これらの取引を積極的に行う意思を有しておらず,極力リスクのない方法 た,購入後においても,十分な情報提供や損失回避のための指導助言が行われるべきである。 原告らは,株式や債券の取引の経験はあるが,これらの取引を積極的に行う意思を有しておらず,極力リスクのない方法での資金運用を行いたいという意向を有していた。したがって,原告らは,投資経験において一般投資家の域を出るものではなく,本件各債券の購入について適合性を認め得るものではなかった。原告Aは,本件債券1を購入した当時,船舶事故で重傷を負って入院しており,説明を理解できるような状態ではなかった。Bは,本件債券1を購入した時点ではフィナンシャルプランナーの資格であるCFPの資格は有していなかった。被告の担当者は,本件債券1の勧誘の際,10倍のレバレッジを理解できるような説明を行わず,1億円を10銘柄に分散投資するリスクの小さい商品であるとの認識を付与する説明を行い,1銘柄で損失が生じてもクーポンで補えるかのような説明をし,さらには,10社とも東証一部上場の最優良銘柄を選出しているので何社もノックインすることは考えられないと述べ,人気があることやクーポンの高さを強調して,勧誘開始後短期間の内に原告らに本件債券1の購入を承諾させた。本件債券2の勧誘に際しても,ノックイン条件や早期償還条件を除いては,本件債券1と同様の商品であることに加え,早期償還は間違いないかのごとく述べて,原告会社に本件債券2の購入を承諾させた。被告は,購入後における情報提供も不十分であり,損失回避のための指導助言を行ったこともなかった。原告らは,自己責任による投資判断を全く行えない状態で多大のリスクにさらさ,,,れ損失回避の方法等についての説明もないまま2銘柄がノックインして甚大な損失を被った。被告の本件各債券についての勧誘や説明は,適合性原則違反,説明義務違反,断定的判断の のリスクにさらさ,,,れ損失回避の方法等についての説明もないまま2銘柄がノックインして甚大な損失を被った。被告の本件各債券についての勧誘や説明は,適合性原則違反,説明義務違反,断定的判断の提供の違法を帯び,誠実公正義務に著しく反するものとして,不法行為を構成する。 原告らは,被告に対し,予備的に不法行為による損害賠償の請求をし,その損害額は,上記(2)と同額である。 【被告の主張】本件債券の基本的な仕組み及びリスクは,ある程度の投資経験,知識,理解力等を有しているものであれば,容易に理解できるものである。被告の担当者は,原告A及びBに対して,本件各債券の基本的な仕組み及びリスクについて,原告らの資力,投資方針,経験,知識,理解力等にかんがみて必要かつ十分に説明しており,本件各債券の仕組み及びリスクについて誤解を与えるような有利性の強調や断定的判断の提供などしていない。 原告らは,被告の天王寺駅支店に取引口座を開設する際,収益性を重視す。 ,るという投資方針である旨を申告している本件各債券を購入する以前にも他の証券会社において債券を購入したことがあるほか,被告大阪企業部に取引口座を開設し,証券取引を行っていた。また,本件各債券購入後も,株式の取引を行った。原告らは,本件各債券のようなデリバティブを組み合わせた金融商品を購入した経験があり,余剰資金があるから証券取引に積極的で収益性を重視していた。原告らは,デリバティブや仕組債に関する最低限の知識・理解を有していた。確かに,原告Aは,本件債券1の説明の際は入院しハローベストを着用していたが,自ら訪問者に対応し,社員と仕事の話をするなど元気な様子であった。Bは,フィナンシャルプランナーの資格であるCFPないしAFPの資格を有しており,金融資産についての基礎知識を有していたから いたが,自ら訪問者に対応し,社員と仕事の話をするなど元気な様子であった。Bは,フィナンシャルプランナーの資格であるCFPないしAFPの資格を有しており,金融資産についての基礎知識を有していたから,本件各債券の仕組みやリスクを理解できる能力を有していた。原告らは,本件各債券の購入も積極的であり,基本的な仕組みやリスクの説明を十分に理解した上で,自らの投資方針に従って投資判断を行ったものである。したがって,被告らの本件債券の勧誘行為には,違法性はなく,不法行為は成立しない。 第3争点に対する判断 認定事実上記前提事実,証拠(甲1ないし10,14の1・2,26ないし28,33の1・2,34の1・2,35,36,乙1ないし3,4の1・2,5ないし9,10の1・2,11ないし13,14の1・2,15,16の1・2,17ないし29,38,39,40の1・2,41の1・2,42の1・2,43の1・2,F株式会社に対する調査嘱託の結果,株式会社G銀行に対する調査嘱託の結果,株式会社H銀行難波支店に対する調査嘱託の結果,株式会社H銀行心斎橋支社に対する調査嘱託の結果,S株式会社に対する調査嘱託の結果,証人B,証人E,証人D,原告会社代表者兼原告A本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告Aは,高校を1年で中退した後,様々な職業を経験してから,スキューバダイビング関係の仕事を始め,昭和63年4月ころにダイビングショップ「J」を創業し,平成元年2月10日,原告会社を設立した。原告Aは,20年以上前に,先物取引で300万円ほどの損失を被った経験があった。 原告Aの平成18年当時の年収は,約1億2000万円であり,原告会社の平成17年3月期の売上高は,約21億円以上あり,経常利益は約4100万円以上であった(乙4の1・2 の損失を被った経験があった。 原告Aの平成18年当時の年収は,約1億2000万円であり,原告会社の平成17年3月期の売上高は,約21億円以上あり,経常利益は約4100万円以上であった(乙4の1・2。原告会社は,平成6年10月26日,)被告の大阪企業部に取引口座を開設したことがあり(乙8,さらに,原告)Aの知人が経営する株式会社Iの株式を保有していた。なお,原告会社は,平成18年12月11日,被告の大阪支店に口座を開設し(乙9,株式会)社Iの株式を預託した。 原告会社では,株式などの投資方針として,財務担当のC部長又はBが銀行や証券会社から商品の説明を聞き,リスクが低く,投資に適切であると判断したものを原告Aに報告し,最終的には原告Aの判断で購入を決めていたが,原告Aは,Bを信用し,商品に関する資料等には自らは細かく目を通さなかった。Bは,高校卒業後,信用組合の渉外や会計事務所の税理士業務の 補助をし,平成10年12月に原告会社に入社した。Bは,平成18年3月当時,個人の投資経験はなく,原告会社の経理課長として,AFP(フィナンシャル・プランニング技能士の2級に相当)の資格を有していたが,仕組債などのデリバティブに関する知識は乏しかった。Bは,原告の担当者として証券会社から受け取った資料等は,すべて保管していた。原告会社には,他に金融商品についての知識を有する者はいなかった。 原告Aは,平成12年9月26日に取引銀行の株式会社G銀行船場支店で三井住友・株式アナライザー・オープンという投資信託を購入したことがあ(),,るほか株式会社G銀行に対する調査嘱託の結果平成16年6月18日被告の梅田支店で口座を開設し(乙14の1・2,主に新規公開株の株式)の取引をしていた(乙15。原告会社は,平成16年3月18日,取引銀) 会社G銀行に対する調査嘱託の結果平成16年6月18日被告の梅田支店で口座を開設し(乙14の1・2,主に新規公開株の株式)の取引をしていた(乙15。原告会社は,平成16年3月18日,取引銀)行の株式会社H銀行の要請により,同社の心斎橋支社との間で,継続選択権付(複数権利行使型)パワードリバース自由金利定期預金を2億円で購入し(株式会社H銀行心斎橋支社に対する調査嘱託の結果,平成17年9月2)0日,同じくH銀行の要請により,F株式会社が販売する期限前償還条項付き為替リンク債を1億円で購入し(甲10,F株式会社に対する調査嘱託の結果,運用していた。原告らは,平成17年12月6日,被告の天王寺駅)支店に口座を開設し(乙5,10の1・2,被告の紹介する新規公開株を)購入し,利益が出るとすぐに売却していた。原告らの取引経験は,取引銀行の要請ないし紹介によるものがほとんどであった。顧客カードには,安定性だけではなく収益性も重視する投資方針である旨のチェックを入れていた。 (2) Dは,平成16年4月から,被告の天王寺駅支店の営業担当社員であったが,平成17年から,原告らに対して,新規公開株式やダイレクトパワーターン債という為替レートによって金利と償還日が変動する仕組債の商品を勧誘していたが,成約には至らなかった。Dは,同年12月ころ,原告らに対して,C部長を介して,新規公開株であるKの株式の購入を勧めたところ, ようやく,原告らは,これに興味を示し,同月7日,それぞれ2株ずつ80万円でこれを購入した(乙6,12。原告会社は,上場日の同月12日に)売却して74万3662円の利益を得,原告Aは,上場日とその2日後の同月14日に1株ずつ売却し,合計65万1518円の利益を得た。 Dの原告らに対する勧誘は,C部長を通じたものであったが,L 日に)売却して74万3662円の利益を得,原告Aは,上場日とその2日後の同月14日に1株ずつ売却し,合計65万1518円の利益を得た。 Dの原告らに対する勧誘は,C部長を通じたものであったが,Lの新規公開株の購入のためとして,平成18年3月6日に原告Aと直接面会する約束を取り付けた。しかし,原告Aは,同月5日,船舶事故に遭い,第5,6,7頚椎骨折及び第6頚椎前方亜脱臼の重傷を負って,財団法人M病院に入院(,,),。 ,したため甲1 Dとの面会を同月9日に変更した原告Aは入院中もパソコンを病室に持ち込んだり,来客と対応したりするなど,原告会社の代表者としての業務をしていた。Dは,原告Aと入院先の病院で面会して,色々な話をした上で,原告Aに対して,運用資金2億円を預けてほしいと申し出た。原告Aは,頭部及び頚椎を固定するためハローベストを装着し(甲27,鎮痛剤を服用していたことから,Dとの話を早く切り上げた)い気持ちもあり,使途は特定しないまま,5000万円なら預けることを約。 ,,束した原告Aは一旦約束したことは守ろうとして5000万円を用意し,。 ,,Dに対し同月13日に5000万円を現金で預けると伝えた当日Dは原告に対し,本件債券1の説明をしていないし,その資料の交付もしなかった。なお,原告Aは,同月6日に同月9日上場予定のLの株を4株購入し,上場日に2株売却し,同月15日にさらに2株売却した(乙12。 )(3) Dの上司の資産管理課課長であったEは,Dから,原告Aから5000万円を預かることになったこと及び原告Aに対し本件債券1の勧誘をしたいことの報告を受けた。Dには1000万円以上の現金を預かる権限を与えられていなかったことからEが同行し,Eが本件債券1の説明を行うことになった。Dは ったこと及び原告Aに対し本件債券1の勧誘をしたいことの報告を受けた。Dには1000万円以上の現金を預かる権限を与えられていなかったことからEが同行し,Eが本件債券1の説明を行うことになった。Dは,平成18年3月13日,Eとともに,原告Aの病室を訪ね,原告Aから5000万円を預かった。Dは,原告Aの紙幣計算機を使って500 0万円の紙幣の枚数を数えたが,紙幣計算機の調子が悪く,紙幣計算機から紙幣が飛び散るというトラブルもあって,一部は手で数えることになった。 Eは,本件債券1の資料を持参して,原告Aに本件債権1の説明をしようとしたが,紙幣の枚数を数える作業が順調に進まず,原告Aは,鎮痛剤を服用しているような体調であって,Eの説明を落ち着いて聞ける状況になく,内容を理解できなかった。原告Aは,Eに対して,本件債券1について,Bに説明するよう伝えた。Eは,本件債券1に関する資料を病室に置いて,病室を出た。原告Aは,後日,見舞いに来たBに対し,原告Aの代わりにEの説明を聞くよう指示した。 (4) Eは,平成18年3月16日,プロテクション付ノックインプット・エクイティリンク債説明書及び対象銘柄の平成16年10月以降の株価のチャート表(甲4)の資料を持参して,Dとともに原告会社を訪ね,Bに対して,本件債券1の説明をした。本件債券1は,想定元本を10億円として,1億円ずつ10銘柄に投資するものと仮定し,各銘柄の株価が基準価格の50%を下回った場合はノックインとなって,損失の計算対象となり,償還期限までにノックインとなった銘柄の株価が基準価格まで回復すれば損失は発生しないが,回復しない場合は基準価格との差額に対応して損失が確定し,リスクの範囲は,1億円の元本全額となるというものである。クーポンは,年10.9%で,償還期限は発行日から3年後であ れば損失は発生しないが,回復しない場合は基準価格との差額に対応して損失が確定し,リスクの範囲は,1億円の元本全額となるというものである。クーポンは,年10.9%で,償還期限は発行日から3年後である。Eは,本件債券1でノックインにより損失が生じる仕組みについて上記説明書甲3の裏面に ,()「0%」などの数字を手書きで書き込んで説明した。Eは,本件債券1の対象銘柄がいずれも優良企業でありノックインになる可能性は低いこと,1銘柄がノックインになってもクーポンにより損失を十分に補填できることを強調した。Bは,資料が難解であるので,Eの口頭での説明の方がわかりやすいと考え,資料を余り読まなかったが,Eの説明を聞いてもノックインといった用語が理解できなかったし,説明の中にあったプットオプションの言葉の 意味について質問したりした。しかし,Bは,Eの説明から,本件債券1は10億円を集めて株式に投資するもので,1億円が最小の出資単位であること,クーポンがありリスクの少ない商品であると理解し,その旨原告Aに報。 ,,,告した原告Aは被告が最大手の証券会社であるとの信頼しておりまたBを信用して,本件債券1はリスクの少ない商品であると考え,本件債券1の購入を決めた。原告Aは,本件債券1の購入の判断の際,資料には目を通さなかった。Bは,Dに対し,本件債券1の購入することを被告に伝えた。 本件債券1の発行単位は,1億円であったが,原告会社は5000万円しか出せなかったため,原告Aも5000万円を支出することになった。原告Aは,同月22日に本件債券1を購入することを伝え,同月23日,証券内容説明書(甲5)が送られ購入する最終条件が確定した。原告Aは,同年4月11日に,原告会社は,同月12日に5000万円ずつをそれぞれ被告の取引 日に本件債券1を購入することを伝え,同月23日,証券内容説明書(甲5)が送られ購入する最終条件が確定した。原告Aは,同年4月11日に,原告会社は,同月12日に5000万円ずつをそれぞれ被告の取引口座に入金した(乙7,13。 )(5) 原告Aは,本件債券1を購入したものの,Bに対し,本件債券1は満期償還期限が3年後であり,途中で解約ができないことから,このように資金が長期間凍結されるような商品は好ましくないということを伝えた。Eは,平成18年5月23日ころ,Bに対し,資金が長期間凍結されない新しい商品が出たとして,フラット為替という商品に加え,早期償還条件のついた本件債券2を勧めた。原告Aは,対象銘柄の株価のチャート表(甲7)及び本件債券2の発行条件が記載された書面(甲8,但し,その表紙は甲6号証の表紙として取り付けられているものと認められる,2006年5月15日。)作成とされている本件債券2の資料(甲9,なお,乙17は甲9と内容はほぼ同じであるが,作成日の記載がない)を受け取り,Bとともに,E及び。 Dから本件債券2についての説明を受けた。本件債券2は,基本的な仕組みは本件債券1と同じであるが,クーポンが年10.35%であること,ノックイン価格が基準価格の65%であること,6月及び12月の年2回の早期 償還判定日に対象銘柄の株価の平均が基準価格の105%に値上がりすれば,償還期限の前に投資額が返還される旨の早期償還条件が付いていることに違いがあった。原告Aは,所用のため,Eの説明の途中で退席し,Bが残りの説明を聞いた。Eは,Bに対して,当時の株価の状況から早期償還条件の達成の可能性は高いと説明した。Bは,Eの説明から,本件債券2も本件債券1と同じくリスクの少ない商品であり,早期償還条件があるので資金を長期間凍結させること して,当時の株価の状況から早期償還条件の達成の可能性は高いと説明した。Bは,Eの説明から,本件債券2も本件債券1と同じくリスクの少ない商品であり,早期償還条件があるので資金を長期間凍結させることもないと考え,原告Aに本件債券2を購入するかを相談した。原告Aは,Eの説明を信用して,リスクの少ない商品と考え,原告会社として本件債券2を1億円で購入することとした。原告会社は,同年6月15日,被告に対して,1億円を振り込んだ(乙7。 )Dは同年7月に,Eは同年12月にそれぞれ転勤し,Nが原告らに対する担当者となった。原告A個人は,本件各債券購入後,頻繁に新規公開株を中心とする株式の取引を行ったが(乙12,原告会社は,Oの株式や野村C)RFを購入した程度の取引しかしなかった(乙6。 )(6) 原告らは,平成18年12月以降も本件各債券を保有していたが,被告から対象銘柄の株価等についての連絡はなかった。被告は,平成19年4月11日,同年7月25日,同年10月5日に,原告会社に対して,本件各債券(,,)。 の参考時価情報を送付した乙41の1・242の1・243の1・2Nは,同年4月23日,原告らに対して,本件債券2の対象銘柄であるPがノックインになったと連絡をした。さらに,Nは,同年10月29日,本件債券1の対象銘柄であるQがノックインしたという連絡をした。原告Aは,同月31日から同年11月2日にかけて,Nを呼び出し,原告会社の会議室で本件各債券の説明をさせた。 原告らは,平成20年1月24日,本件各債券を被告に対して売却したところ,その代金は,本件債券1については742万5000円,本件債券2については1890万円とされた。本件債券1には,平成19年4月9日に 利金540万4583円,売却時の経過利子として439万0278円が支 ,本件債券1については742万5000円,本件債券2については1890万円とされた。本件債券1には,平成19年4月9日に 利金540万4583円,売却時の経過利子として439万0278円が支払われ,本件債券2では,利金が平成18年12月15日,平成19年6月15日,同年12月15日の3回で各517万5000円,合計1552万5000円,売却時の経過利子として126万5000円が支払われた。 事実認定の補足被告は,説明資料として「ご参考)プロテクション付ノックインプット,(エクイティ・リンク債(EKO)について」などの資料(乙17ないし21)を原告らに交付したと主張する。 乙17号証については,上記認定のとおり,本件債券2の販売に際して2006年5月15日付けの同内容の甲9号証を原告に交付している。しかし,乙17号証は,日付がなく,本件債券1の販売に当たり,そのときに同様の書面が存在したことを認めるに十分な証拠はない。したがって,乙17号証と同様の書面が本件債券1を販売したときに原告らに交付されたとは認められない。 乙18号証は,その表紙を除いた中身について甲6号証と同一であり,甲6号証の表紙は,その記載から甲8号証の表紙であったものが,誤って,甲8号証から外され甲6号証の表紙として取り付けられたもので,甲6号証の元の表紙は紛失しているものと認められる。その内容は,本件債券1についての説明であるから,甲6号証の表紙を除く部分(乙18号証と同じ)は,本件債券1の販売に当たり,原告らに交付されたものと認められる。乙19ないし21号証,(),は本件債券1のご案内のバージョン1の平成19年3月2日付け乙19同月7日付け(乙20,同月16日付け(乙21)のものであるところ,D)が初めて原告Aと面会したのは同月9日であり,Dは ),は本件債券1のご案内のバージョン1の平成19年3月2日付け乙19同月7日付け(乙20,同月16日付け(乙21)のものであるところ,D)が初めて原告Aと面会したのは同月9日であり,Dは,そのときは原告Aに対し本件債券1の説明や資料の交付はしていないから,乙19ないし21号証を用意したとしても,原告Aに交付する機会はなかったと認められる。Bは,上記のように資料についての表紙を取り違えても気がつかないくらい資料の内容を理解していない。原告らの手元に残っているものとして提出された甲号証で は最終条件の記載された証券内容説明書は,本件債券1については存在するの(),,(),に甲5本件債券2については存在しないしご案内バージョン1は本件債券1については存在しないのに本件債券2については存在する(甲8)など,全く統一性がない。これらのことからすると,Bは,被告から受領した資料をそのまますべて保管していたと認められ,資料の一部を選択して破棄したり,隠匿しているということはできない。よって,Bは,上記資料をD及びEから受領していないと認められる。Eは,プロテクション付ノックインプット・エクイティリンク債説明書(甲3)は本件債券2の販売の際に渡した旨証言をする。確かに,同説明書の内容は,早期償還条件付である本件債券2を説明するものであるが,同説明書の裏面の手書きの本件各債券の損失計算の説明は,本件債券2のノックイン条件の65%ではなく,本件債券1のノックイン条件の「50%」の記載があることや3年分のクーポンにほぼ一致する「3300(万)との数字が記載されているから,本件債券1の説明のために書か」れたものと推認でき,これと矛盾するEの証言部分は信用できない。 したがって,被告の主張に理由はない。 争点(1)につ 00(万)との数字が記載されているから,本件債券1の説明のために書か」れたものと推認でき,これと矛盾するEの証言部分は信用できない。 したがって,被告の主張に理由はない。 争点(1)について上記認定事実によれば,本件各債券は,発行単位が1億円からで,想定元本を10億円として,10銘柄に1億円ずつ投資すると仮定し,10銘柄のうち()()1銘柄でも株価が基準価格の50%本件債券1ないし65%本件債券2を下回るとノックインとなって損失の計算対象となり,3年後までに株価が基準価格に回復していなければ損失として確定するものであること,損失の範囲は1億円の元本に限定されること,ノックインの有無にかかわらずクーポンが年10.9%(本件債券1)ないし年10.35%(本件債券2)付くこと,市場へ転売することはできず,被告に対して被告が算定する時価で買取りを求めるしかできないものであること,本件債券2には特定の時期における10銘柄の平均株価が基準価額の105%となった場合は元本が償還される早期償還 条件が付されていることが認められ,その内容を理解することが困難な,非常に複雑な仕組みの私募債であるといえる。 本件各債券は,3年間保有することで年10%以上のクーポンがつくが,1銘柄でも,ノックインし償還期限までに基準価格に回復しなければ元本をすべて失うリスクさえあり,元本を失う以上の損失は発生しないものの,ハイリスクの商品といえる。3年間で10銘柄の株価がノックインするかしないか,ノックインしても株価が基準価格まで回復するかどうかを予測することは,プロの投資家であっても困難なものであり,リスクの実現する可能性が高いのに対して,利益が年10%程度のクーポンに限定されることから,本件各債券を購入する投資家にとって,リスクに比して利益 ることは,プロの投資家であっても困難なものであり,リスクの実現する可能性が高いのに対して,利益が年10%程度のクーポンに限定されることから,本件各債券を購入する投資家にとって,リスクに比して利益が大きいとはいえない。本件債券2については,早期償還条件が付されているが,これもある一定の時期における対象10銘柄全部の平均株価が基準価額の105%に達した際に,償還条件を満たすというもので,上記のとおり,株価の予測が困難であることからすれば,早期償還条件を満たすかも偶然性が強いものといえる。 また,上記認定事実のとおり,対象銘柄に1億円ずつ10億円を投資するというのは想定元本にすぎず,顧客が本件各債券を購入しても,その資金が実際に対象銘柄に投資されるわけではないし,本件各債券を購入することにより,対象銘柄の資金調達や現実の株価市場に影響を及ぼすものでもなく,経済的な合理性があるとはいい難い。また,本件各債券を販売することで,被告ないしその発行体は,年10%以上のクーポンを3年間顧客に支払うこととなるところ,被告ないし発行体がどのようにして利益を挙げ,クーポンの資金源を確保しているかが明らかではなく,その正当性にも疑問がある。さらに,本件各債券は,一般の市場に転売することができず,被告の算定した時価で被告に買い取ってもらう以外に,処分の手段がないところ,被告の算定した時価が適正であるという保証もなく,流通性にも疑問がある。 本件各債券が行政当局による検査を受けるものであったとしても,本件各債 券は,いずれも,ハイリスクで賭博性の高い商品であると認められる。 争点(2)について原告らは,本件各債券のリスクの認識について錯誤があったとして,本件各債券の購入の契約は錯誤により無効である旨主張する。 しかし,原告らがリスクの高い商品には投資をし られる。 争点(2)について原告らは,本件各債券のリスクの認識について錯誤があったとして,本件各債券の購入の契約は錯誤により無効である旨主張する。 しかし,原告らがリスクの高い商品には投資をしないという投資方針を有し,,。 ,ていたとしてもそれは本件各債券の購入する際の動機にすぎないそして原告らは,本件各債券を購入する直前ころには新規公開株式を購入していたこと等からすると,安定性だけではなく利益も求めていたとはいえる。原告らが本件各債券を購入する際に,EないしDに対して,かかる動機を明示ないし黙示的に表示したと認めるに足りる証拠はない。原告らは,本件各債券のリスクの程度を誤信していたことは認められるが,高いクーポンの付く商品はリスクが高いという一般的な認識を有していたことは認められるから,これが本件各債券の購入の際の要素の錯誤に当たるとはいえない。 よって,原告らの錯誤の主張は理由がない。 争点(3)について上記認定事実によれば,以下の事実を認めることができる。 資金力については,原告Aは,原告会社を起業し,平成18年当時は年収約1億2000万円程度の資産家であり,原告会社も,平成18年当時業績が好。 ,,,,調であったまたその取引経験は本件各債券を購入する前は原告会社は取引銀行からの要請を受けて,金利及び償還期限が為替に連動した仕組債等を購入したことがあるが,被告とは,Kの新規公開株の他は取引はしていなかった。原告Aは,本件各債券を購入する以前は,比較的安定して利益の確保できる新規公開株の取引を主に行っていた(本件各債券購入後も,原告Aは,平成18年3月13日に被告に5000万円を預けたことがきっかけで,その運用として,株式取引を以前よりも頻繁にすることになったものと,認められ,必ずしも投資に対し た(本件各債券購入後も,原告Aは,平成18年3月13日に被告に5000万円を預けたことがきっかけで,その運用として,株式取引を以前よりも頻繁にすることになったものと,認められ,必ずしも投資に対して,積極的な姿勢であったとはいえない。原告Aは,さ。) まざまな職業の経験があり,原告会社の経営者であるが,金融商品についての特段の知識はなく,原告会社の担当者のBは,原告会社の経理を担当し,AFPの資格を保有してはいたが,特段デリバティブ等には詳しくなかった。原告会社は,収益性も安定性も重視する投資方針であり,これまでの取引経験から見ても,積極的な投資によって,ことさら利益をあげようとする姿勢はうかがえず,取引銀行からの要請はある程度受け入れる以外は,比較的,安定性を重視してきた取引をしてきた。 以上によれば,原告らは,仕組債や株式の取引に一定の理解があったことは認められるが,いわゆる一般投資家としての域を出ず,これまで,積極的に投資をして収益を求める態度にもなく,その投資方針からしても,本件各債券のような複雑な仕組みのハイリスクな商品を購入するだけの適合性があったかは疑問である。 さらに,上記認定事実によれば,以下の事実を認められる。 Dは,平成18年3月9日,原告Aに対して,5000万円の運用資金を被告に預ける約束を取り付けただけであって,本件債券1の説明は全くしておらず,資料も渡していない。Eは,同月3月13日,入院中の原告Aに対して,本件債券1の説明をしようとしたが,現金を数えるのに時間がかかったことなどから詳細な説明をせず資料だけ置いていった。D及びEは,同月16日に,Bに本件債券1の説明をしたが,株式のチャートをみせるなどして,本件各債券の対象銘柄がいずれも優良企業であり,ノックインの可能性は低いこと,仮に1銘柄がノック いていった。D及びEは,同月16日に,Bに本件債券1の説明をしたが,株式のチャートをみせるなどして,本件各債券の対象銘柄がいずれも優良企業であり,ノックインの可能性は低いこと,仮に1銘柄がノックインになっても,クーポンで損失を補填できるとして,ことさらにリスクが小さいように強調した。Eは,同年5月23日ころ,本件債券2の早期償還条件についても,この条件の実現性が高く,利益が得られる可能性が高いと説明した。 被告から原告らに交付された資料は,甲3ないし9号証であって,乙19ないし21,24ないし26号証は交付されたとは認められない。また,これら の資料は,すべて交付されていたとしても,難解な内容であり,予め決められている仕組みと,選択のうえ購入時に確定する最終購入条件との区別が不明確であって,口頭での説明なしに資料を自分で読んだだけでは,到底正確な理解は困難である。 本件各債券の仕組みが非常に複雑であることは,上記3で判示したとおりであるうえ,適合性にも疑問のある原告らのような顧客には,特に誤解を与えないような説明をすることが必要であるといえる。上記認定によれば,DやEの口頭での説明は不十分で,誤解を与えるものであったと認められ,結果としても,原告A及びBは,本件各債券について,1億円ずつ10億円を集めて株式に投資すると誤解していたと認められる。 以上の事実によれば,Eは,本件各債券について,原告A及びBに対して十分な説明を行ったとはいえず,かえって,原告A及びBに本件各債券の理解について誤解を生じさせるような説明を行ったことが認められる。さらに,被告は,原告らが本件各債券を購入した後も,本件各債券の時価情報を送りつけ,ノックインになったときのみ連絡をしただけで,対象銘柄の株価の情報や本件各債券を保有し続けるかについての十分な情報 さらに,被告は,原告らが本件各債券を購入した後も,本件各債券の時価情報を送りつけ,ノックインになったときのみ連絡をしただけで,対象銘柄の株価の情報や本件各債券を保有し続けるかについての十分な情報提供をしなかったことも認められる。 以上の事実によれば,E及びDに,説明義務違反の不法行為が認められるから,その使用者たる被告は,使用者責任を負う。 損害の額被告の不法行為により,原告らの被った損害は,原告らが被告に預けた金員から,原告が取得したクーポン及び被告が買い取った際の代金を控除した残額と認められる。その金額は,原告会社につき,被告に預けた1億5000万円から本件各債券によって得たクーポンと売却代金を差し引いた金額であるから,合計9709万0139円(1億5000万円-(本件債券1の売却代金742万5000円+経過利子439万0278円+クーポン540万458 3円)-(本件債券2の売却代金1890万円+経過利子126万5000円+クーポン517万5000円×3)となる。原告Aについては,5000)万円から本件債券1の売却代金とクーポンを差し引いた金額となるから,合計3278万0139円(5000万円-(本件債券1の売却代金742万5000円+経過利子439万0278円+クーポン540万4583円)とな)る。 もっとも,原告らには,本件各債券の資料の内容が難解であれば,その内容やリスクをよく確認すべきであるのに,安易に本件各債券を購入を決断したことが認められ,その結果,原告らの本件各債券のリスクに対する認識が不十分となったといえる。よって,原告らにも,損害の発生について,少なくとも2割の過失があるというべきである。したがって,原告会社については,7767万2111円,原告Aについては,2622万4111円が損害額となる。 る。よって,原告らにも,損害の発生について,少なくとも2割の過失があるというべきである。したがって,原告会社については,7767万2111円,原告Aについては,2622万4111円が損害額となる。 弁護士費用相当額の損害は,本件の事案の内容及び立証の困難さをかんがみれば,原告会社につき770万円,原告Aにつき260万円が相当である。よって,原告会社の最終的な損害額は,8537万2111円,原告Aの最終的な損害額は,2882万4111円となる。 結論 ,,よって原告らの錯誤無効を理由とする主位的請求は理由がないから棄却し,,不法行為を理由とする予備的請求は原告会社について8537万2111円原告Aについて2882万4111円及びこれらに対する不法行為後の日である平成20年1月25日から支払済みまでそれぞれ年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これを認容し,その余の予備的請求は理由がないのでいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,民訴法64条,61条を,仮執行宣言につき,同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第25民事部 裁判長裁判官稻葉重子裁判官齋藤聡裁判官島崎卓二
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