主文 1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成16年4月14日付け15総法審審第464号をもってした裁決(ただし,東大和市議会が平成16年2月13日付けで地方自治法127条の規定に基づき訴外Aに対してした同法92条の2の規定に該当するとした失職決定を取り消す旨のもの)を取り消す。 第2 事案の概要及び争点本件は,東大和市議会の議員が,同市議会議員に対し,地方自治法127条1項に基づき,当該議員は同法92条の2の規定に該当する旨の決定をしたのに対し,当該議員から当該決定に対する審査の申立てを受けた被告が当該決定を取り消す旨の裁決をしたため,同市の市民であり,同市議会議員でもある原告らが,当該裁決の取消しを求めた事案である。 1 関係法令の定め地方自治法(以下「法」という。)には,次の趣旨の規定がある。 (1) 普通地方公共団体の議会の議員は,当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員,取締役,執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者,支配人及び清算人たることができない。(法92条の2。以下「本件条項」という。)(2) 普通地方公共団体の議会の議員が本件条項に該当するときは,その職を失う。同条の規定に該当するかどうかは,議会がこれを決定する。この場合においては,出席議員の3分の2以上の多数によりこれを決定しなければならない。(法127条1項)(3) 法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体の議会において行う選挙における投票の効力に関し異議があるときの議会の決定について定めた れを決定しなければならない。(法127条1項)(3) 法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体の議会において行う選挙における投票の効力に関し異議があるときの議会の決定について定めた次の規定は,前記(2)の場合にこれを準用する。(法127条4項)アこの決定に不服がある者は,決定があった日から21日以内に,都道府県にあっては総務大臣,市町村にあっては都道府県知事に審査を申し立て,その裁決に不服がある者は,裁決のあった日から21日以内に裁判所に出訴することができる。(118条5項)イこの決定は,文書をもってし,その理由を附けてこれを本人に交付しなければならない。(118条6項) 2 争いの前提となる事実後掲各証拠によれば,次の事実が認められる。 (1) A(以下「訴外人」という。)は,平成15年4月27日執行の東大和市議会議員選挙において,当選人と決定され,同月28日,同市選挙管理委員会から,当選の告知を受けた(甲2)。 (2) 訴外人は,前記当選の時において株式会社新東管理(以下「訴外会社」という。)の取締役であり,その後もその地位にとどまっていたところ,東大和市にとって,訴外会社が本件条項の「主として同一の行為をする法人」に該当し,訴外人が本件条項に該当するかどうかについて,訴外人は,身の潔白を証明するためとして,平成15年12月24日付け資格決定要求書をもって,東大和市議会の決定を求めた(甲4の3,乙1の2)。 (3) 東大和市議会は,平成16年2月13日,訴外議員は本件条項に該当する旨の決定(法127条1項。以下「本件決定」という。)をし,同日付けの資格決定書(以下「本件決定書」という。)をもって,これを訴外議員に告知した(乙1の1・2)。 本件決定書 項に該当する旨の決定(法127条1項。以下「本件決定」という。)をし,同日付けの資格決定書(以下「本件決定書」という。)をもって,これを訴外議員に告知した(乙1の1・2)。 本件決定書に附記された処分理由は,下記のとおりである(乙1の1)。 記地方自治法第92条の2は,議員が市に対し,請負契約をする会社等の取締役などになることを禁止している。これは,議員が市と利害関係に立つことを禁止し,議会運営の公正と事務執行の適正を保障しようとするものである。 よって,議員は,議会において請負契約の締結に対する議決等に参与することにより,直接間接に事務執行に関与するものである以上,一般人よりも高い倫理性と潔癖性が求められるのは当然である。 このことから,本件,該当議員は当選後も東大和市と請負契約の業務量の多寡にかかわらず,委託業務契約を締結している会社の取締役であったという事実からして,地方自治法第92条の2の規定に抵触するものと判断した。 (4) 訴外議員は,平成16年2月20日,被告に対し,本件決定に対する審査の申立て(法127条4項,118条5項)をしたところ,被告は,同年4月14日付けをもって,本件決定を取り消す旨の裁決(前記第1記載のもの。以下「本件裁決」という。)をし,同月15日,これを訴外議員及び東大和市議会議長に告知した。(乙2の1~3)本件裁決の理由の要旨は,次のとおりである。(乙2の1)ア本件条項にいう「主として同一の行為をする法人」の意義についてこの文言は,普通地方公共団体等に対する請負が当該法人の業務の主要部分を占め,当該請負の重要度が,議員の職務執行の公正, 本件条項にいう「主として同一の行為をする法人」の意義についてこの文言は,普通地方公共団体等に対する請負が当該法人の業務の主要部分を占め,当該請負の重要度が,議員の職務執行の公正,適正を損なうおそれが類型的に高いと認められる程度に至っている場合の当該法人を指すと解される(最高裁判所第三小法廷昭和62年10月20日判決・集民152号51頁参照)。 ところで,本件決定書において前記(3)の記の第3段落のとおり述べていることからすれば,東大和市議会は,この文言につき,普通地方公共団体に対する請負が,当該法人の業務の主要部分を占める必要はなく,普通地方公共団体等と請負契約を締結している法人であることをもって足りるとの解釈を採っているものと思料される。 そうすると,本件決定は,本件条項の解釈を誤り,それにより結論を導いたものといわざるを得ない。 イ訴外会社の総売上に対する東大和市の契約割合に関する主張について東大和市議会は,平成14年7月1日から平成15年6月30日までの訴外会社の総売上に対する東大和市との契約割合は45.7パーセントであったから,訴外会社は本件条項にいう「主として同一の行為をする法人」に該当すると主張する。 しかしながら,審査請求制度は,原処分庁の第一次的判断について事後審査をするものであり,原処分庁は,審査請求手続において,処分理由書等において示した原処分庁の第一次的判断の範囲を超えて新たな処分理由を追加することは許されず,裁決庁(審理庁)も,原処分庁の第一次的判断の範囲を超えて判断することはできないと解されるところ,本件決定の処分理由は,前記(3)の記の第3段落のとおりであるから,前記の契約割合に関する主張は,原処分庁である東大和市議会の第一次 第一次的判断の範囲を超えて判断することはできないと解されるところ,本件決定の処分理由は,前記(3)の記の第3段落のとおりであるから,前記の契約割合に関する主張は,原処分庁である東大和市議会の第一次的判断の範囲を超えているといわざるを得ない。 (5) 原告らは,いずれも東大和市の市民であり,平成16年5月3日,本件裁決の取消しを求めて,本件訴えを提起した(争いがない。)。 原告らは,いずれも東大和市議会の議員であり,原告Bは,東大和市議会の付託を受けて訴外議員の資格を審査した同市議会資格審査特別委員会において委員長を務めていた(甲4の1~5)。 3 争点(1) 本案前の争点原告らには,本件裁決の取消しを求める原告適格があるか。 (原告らの主張)原告らは,東大和市の市民であるところ,市議会議員の資格問題は,一般市民の関心事項であり,議員の活動により市民生活に影響を受ける可能性のある事項でもあるから,その市の一般市民は,議員の資格問題について,当然に利害関係を有しており,本件裁決の取消しを求める利益ないし原告適格を有する。 また,原告らは,東大和市議会の議員でもあるから,なおさら原告適格を認められるべきである。 とりわけ,原告Bは,本件決定に至るまでの東大和市議会の審査手続において,同市議会に設けられた資格審査特別委員会の委員長として審査に当たってきたものであるところ,本件裁決は,同委員会の審査結果に基づく本件決定について,実質的な吟味をしないまま,決定書の一文言を形式的一面的に取り上げて違法と判断したものであるから,同原告には,本件裁決の取消しを求める利益がある。 (被告の主張)法127条1項の決定や,同条4項において準用する法118 式的一面的に取り上げて違法と判断したものであるから,同原告には,本件裁決の取消しを求める利益がある。 (被告の主張)法127条1項の決定や,同条4項において準用する法118条5項の裁決は,いずれも,特定の議員について失職事由が存在するかどうかを判定する行為であって,積極的な判定がされた場合には当該議員につき議員の職の喪失という法律上の不利益を生ぜしめる点において一般に個人の権利を制限し,又はこれに義務を課す行政処分と同視されるべきものであるから,その限度においては,議会の選挙における投票の効力に関する決定・裁決とは著しくその性質を異にしており,法127条4項において準用する法118条5項の規定も,違法な決定・裁決によって不利益を受けた当該議員が行政処分により権利を制限し,又は義務を課されたことに対する救済手段として不服申立てをすることを認めるものである。しかしながら,この規定は,当該議員のための救済手段としての限度を超えて,民衆訴訟的な不服手続を認めるものではない。 したがって,当該決定について審査を申し立て,又は当該裁決について裁判所に出訴することができる者の範囲は,一般の行政処分の場合と同様,その適否を争う個人的な法律上の利益を有する者に限定され,専ら決定・裁決によってその職を失うこととなった当該議員に対して前記の方法による不服申立ての権利を付与したにすぎない。 原告らは,本件裁決によって職を失うこととなった議員ではないから,本件訴えを提起する原告適格がなく,本件訴えは不適法である。 (2) 本案の争点本件裁決には,本件決定の処分理由を誤解した違法があるか。 (原告らの主張)東大和市議会は,訴外会社が東大和市と請負契約をしていることのみから前記文言に 本案の争点本件裁決には,本件決定の処分理由を誤解した違法があるか。 (原告らの主張)東大和市議会は,訴外会社が東大和市と請負契約をしていることのみから前記文言に当たると判断したものではなく,本件条項にいう「主として同一の行為をする法人」の解釈適用について,審議を重ね,本件裁決に引用された裁判例も十分認識した上,訴外会社の業務量等に関する訴外人提出資料などを総合的に審査し,東大和市の請負総額が訴外会社の全売上高の45.71パーセントに及んでいることをもって,前記文言に当たると判断したものである。 本件裁決には,本件処分の理由を誤解した違法がある。 (被告の主張)本件条項にいう「主として同一の行為をする法人」の意義は,本件裁決理由(前記2の(4)のア)のとおりであるところ,本件決定には,訴外会社の業務量に占める請負量の割合及びその重要度等を考慮せずに本件条項への該当性を判断した違法があるから,これを取り消した本件裁決は適法である。 東大和市議会は,本件処分は,訴外会社の売上高に占める東大和市の請負総額の割合が45.71パーセントに及んでいることを理由として,訴外会社が前記文言に該当するものと判断したものであると主張する。しかしながら,本件決定書には,そのような理由の記載はなく,むしろ,前記2の(3)の記の第三段落のとおり,この主張と矛盾する記載がある。 第3 本案前の争点に対する判断 1 本件訴訟は,法127条4項において準用する法118条5項後段の規定による取消訴訟であるところ,このような裁決の取消しの訴えは,当該裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,これを提起することができる(行政事件訴訟法9条1項参照)。 この点は当事者も争っていな るところ,このような裁決の取消しの訴えは,当該裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,これを提起することができる(行政事件訴訟法9条1項参照)。 この点は当事者も争っていないものと解されるところ,念のため付言しておくと,次のとおりである。すなわち,最高裁判所第一小法廷昭和56年5月14日判決(民集35巻4号717頁)は,次のような判断を示している。 (1) 法118条5項は,元来,普通地方公共団体の議会の行う選挙の効力に関する異議について議会のする決定に不服がある場合にこれを争う方法について定めたものであるところ,この場合における審査申立て及び出訴による争訟の制度は,一般の公職選挙法に基づく選挙に関する争訟の制度と同様に,専ら議会における選挙の適正な執行を担保する趣旨に出たもので,個人の権利救済を目的とするものではなく,法の適正な執行の確保を目的とする民衆争訟の性格を有するものであると考えられる。そして,そのような民衆争訟としての性質を有する訴訟については,行政事件訴訟法5条の民衆訴訟として,同法42条に定めるとおり,法が定める場合において法が定める者が提起することができると解する余地もあるところである。 (2) しかしながら,本件訴訟は,法118条5項の直接の適用によるものではなく,法127条4項による法118条5項の準用によるものである。そして,このような訴訟については,法118条5項の規定を準用するという形をとっていることから,直ちに,両者の不服申立てを完全に同一視し,法118条5項が元来予定する争訟に適用される法規及び法理のすべてを法127条4項において準用する法118条5項の争訟にも適用すべきことを定めたものと解することは相当ではない。 すなわち,法127条1項の決定は,特定の議員につ される法規及び法理のすべてを法127条4項において準用する法118条5項の争訟にも適用すべきことを定めたものと解することは相当ではない。 すなわち,法127条1項の決定は,特定の議員について同項に掲げる失職事由が存在するかどうかを判定する行為で,積極的な判定がされた場合には当該議員につき議員の職の喪失という法律上の不利益を生ぜしめる点において,一般に個人の権利を制限し,又はこれに義務を課する行政処分と同視せられるべきものであって,議会の選挙における投票の効力に関する規定とは著しくその性格を異にしており,違法な決定によってこのような不利益を受けた当該議員に対し,同種の行政処分による被害者に対すると同様の権利救済手続としての不服申立てを認める必要や理由はたやすく肯定することができても,後者の決定におけるように,選挙の適正な執行の担保という公益上の目的からこれに対する民衆争訟的な不服手続を設けるべきものとされた趣旨がこの場合にも当然に妥当するということはできないのである。もっとも,議員につき客観的に失職事由が存在するのに消極的な決定がされた場合に,かかる議員をその職にとどまらしめるべきではないとする公益上の要請から民衆争訟的な不服申立手続を設けて,その議員の排除を可能ならしめる必要も皆無とはいえないけれども,その必要性が格別大きいとは到底考えられず,法がそのような特段の意図を有していたとみるべき根拠は薄弱であるといわなければならない(法143条は,普通地方公共団体の長につき議会の議員の場合における法127条に相当する定めをしているが,前記法143条3項は,同条1項の規定による選挙管理委員会の決定に対する不服申立権者については,単に「第一項の規定による決定に不服がある者」と規定するにとどまっている。そして,同条3項の規定は,普通地方公共団体 条3項は,同条1項の規定による選挙管理委員会の決定に対する不服申立権者については,単に「第一項の規定による決定に不服がある者」と規定するにとどまっている。そして,同条3項の規定は,普通地方公共団体の出納長,収入役及び法第3節第1款に掲げる各種委員会の委員につき当該地方公共団体の長等がする決定に対する不服についても準用されている。一般に,法律が民衆争訟手続を設ける場合には,争訟提起権者の範囲を明確にするか,あるいは少なくともこれを識別し得るような規定を設けるのが通例であることに照らして考えると,前記法143条3項が不服申立権者につき前記のような漠然とした抽象的な規定を設けるにとどめ,それ以上争訟提起権者の範囲を識別すべき何らの基準も示していないのは,法が前記の場合に民衆争訟的な不服手続を設ける意図を有していないためであると推認せざるを得ない。そうであるとすると,議会の議員の場合に限って,特に,民衆争訟的な不服手続を設けるべき積極的な理由が見いだせない以上,法127条の場合についても同様に解すべきものと思われる。)。 (3) このように見てくると,法127条4項が同条1項の決定につき法118条5項の規定を準用しているのは,単に,この決定に対し不服申立てが可能なこと,及びその方法,手続は法118条5項のそれと同様であることを定めたにとどまり,後者の不服と同様の民衆争訟的な不服手続をこの場合にも採用したわけのものではなく,不服申立てをすることができる者の範囲は,一般の行政処分の場合と同様に,その適否を争う個人的な法律上の利益を有する者に限定されることを当然に予定したものと解するのが相当である。 (4) 最高裁判所の上記判示は相当なものであり,当裁判所としてもこれに従うべきものであるところ,同判決は,地方議会が,その所属議員は法92条の2 を当然に予定したものと解するのが相当である。 (4) 最高裁判所の上記判示は相当なものであり,当裁判所としてもこれに従うべきものであるところ,同判決は,地方議会が,その所属議員は法92条の2に該当しないとの決定をしたのに対し,同議会議員が,知事に対し,法127条4項,118条5項に基づく審査の申立てをしたという事案において,上記のような判断を示したものであるが,議会の議決に対する不服申立手続は,民衆争訟的な不服申立手続ではなく,主観争訟的な不服申立手続であると解する以上,その不服申立てに対する応答である知事の裁決に対する不服申立ても,主観争訟としての性質を有するものであって,これを民衆争訟としての性質を有するものであるとして,その不服申立適格を論ずることはできないものといわざるを得ない。したがって,以下においては,上記の理解に立った上で,本件原告らには,本件裁決の取消しを求める法律上の利益が存するかどうかを検討することとする。 2 そこで,本件の原告らにおいて,本件裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を認めるかどうかを検討する。 (1) 前記のとおり,法127条1項の決定において,特定の議員について同項に掲げる失職事由が存在すると判定された場合には,当該議員につき議員の職の喪失という法律上の不利益を生ぜしめるところ,そのような不利益は,当該議員にとっては,一般に個人の権利を制限し,又はこれに義務を課する行政処分と同視せられるべきものであるから,当該議員については,当該決定の取消しを求める法律上の利益を認めることができるというべきである。また,そのような積極判定をした決定について,同条4項において準用する法118条5項の裁決において,審査申立てを棄却又は却下する判断がされた場合には,当該議員については,当該裁決の取消しを求め ある。また,そのような積極判定をした決定について,同条4項において準用する法118条5項の裁決において,審査申立てを棄却又は却下する判断がされた場合には,当該議員については,当該裁決の取消しを求める法律上の利益を認めることができるというべきである。 (2) しかしながら,当該議員以外の者にとっては,法127条1項の決定や,同条4項において準用する法118条5項の裁決は,その内容がいかなるものであれ,自己の権利を制限され,若しくは義務を課され,又はこれと同視せられる法律上の状態が生ずるわけではない。そうすると,これらの者については,これらの決定又は裁決の取消しを求める法律上の利益を認めることはできないというほかない。 (3) これに対し,原告らは,①原告らは東大和市の市民であるところ,市議会議員の資格問題は,一般市民の関心事項であり,市民生活に影響を受ける可能性のある事項でもあること,②原告らは,本件処分をした東大和市議会の議員であること,③原告Bは,同議会の資格審査特別委員会の委員長として本件処分に至るまでの審査に当たってきたものであることから,原告らには原告適格が認められるべきである(特に,本件裁決は,原処分である本件決定に示された判断の具体的内容を検討した上でこれを取り消したものではなく,本件決定書の記載中の一文言の不備を奇貨とし,これを形式的・一面的にとらえて本件決定を取り消したものであり,この点において,本件は,前記1の裁判例とは事案を異にするから,少なくとも,本件決定の前提となる東大和市議会資格審査特別委員会の審理に委員長として関与した原告Bには,原告適格が認められるべきである。)と主張する。 しかしながら,①については,普通地方公共団体の住民にとって,当該地方公共団体の議会の議員の資格問題が関心事であって, 関与した原告Bには,原告適格が認められるべきである。)と主張する。 しかしながら,①については,普通地方公共団体の住民にとって,当該地方公共団体の議会の議員の資格問題が関心事であって,その市民生活に影響を受ける可能性のある事柄であることは原告らの指摘するとおりであるが,そのような関心や可能性があるというだけでは,議員の資格に関する争訟を提起する法律上の利益があるというのに十分ではない(なお,原告らの主張は,実質的には,法127条4項において準用する法118条5項の取消訴訟については,当該普通公共団体の住民全員に原告適格が認められるべきであるとするものと異ならないところ,このような主張は,この訴訟が客観争訟ではなく,主観訴訟であって,他の主観訴訟と同様な意味における原告適格を有する者のみが提訴権者となるという前記1の判断とも相容れないものである。)。 また,②及び③については,普通地方公共団体の議会における議員,委員,委員長などの地位にある者に与えられている利益は,当該地方公共団体の機関である議会の構成員として,議会活動を通じて当該地方公共団体の意思形成に関与していくことを内容とするものであるところ,同僚議員が,その資格を有するかどうかによって,その他の議員,委員,委員長等の地位や活動内容に法律上の制限が及んだり,その他法律上の利益に影響が生じるものではないのであるから,議会の議員,委員,委員長等の地位にあることを理由に本件裁決の取消しを求める法律上の利益があるということもできない。なお,この点に関する原告らの主張は,結局のところ,地方議会の議員等の資格において,この議会がした決定に対する知事の裁決を争う法律上の利益が認められるべきであるという点に帰着することとなるが,これは,地方議会と知事の間の紛争という行政機関内部の ろ,地方議会の議員等の資格において,この議会がした決定に対する知事の裁決を争う法律上の利益が認められるべきであるという点に帰着することとなるが,これは,地方議会と知事の間の紛争という行政機関内部の紛争,すなわち,本来機関訴訟の対象となるべき紛争を,議員個人の資格において争うことを認めるべきであるという主張にほかならない。そうすると,原告らの主張は,実質的に見れば,法律上根拠のない機関訴訟を認めるべきであるという主張と理解せざるを得なくなるのであり,この点においても失当であるというほかはない(さらに,原告らは,本件裁決は,本件決定書の文言の不備のみをとらえて本件決定を取り消したものであると主張し,このことをもって,原告Bの原告適格を基礎付け,又はこれを補強する事情としているところ,原告の主張する事情は,要するに,本案の判断において本件裁決の取消事由の存否を判断する際に考慮すべき事柄であって,本案の判断に先立ち,原告らに本件裁決の取消しを求める法律上の利益があるかどうかを判断する際に考慮することが許されている事柄には当たらない。)。 結局のところ,原告らの主張は,いずれも採用することができない。 (4) したがって,本件の原告らについては,本件裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を認めることはできない。 3 よって,本件訴えはいずれも不適法であり,却下を免れないから,原告らの本案の主張については,当裁判所においてその判断に及ぶものではない(なお,本件裁決は,訴外人が本件条項に該当するかどうかは,訴外会社の業務量に占める請負量の割合及びその重要度等を考慮して判断すべき事柄であるところ,本件決定にはこれらを考慮しなかった違法があると判断したものであって,訴外人が本件条項に該当しないと判断したものではない。したがって,仮に,本件裁 びその重要度等を考慮して判断すべき事柄であるところ,本件決定にはこれらを考慮しなかった違法があると判断したものであって,訴外人が本件条項に該当しないと判断したものではない。したがって,仮に,本件裁決が確定したとしても,訴外人に失職事由のないことが確定するわけではなく,東大和市議会としては,改めて,訴外会社の業務量に占める請負量の割合及びその重要度等を考慮して,失職事由の有無について決定をすることは可能であると解される。そして,甲第4号証の1ないし5,乙第1号証の1によって認められる同市議会における審議の経過や,資格決定書の理由の記載に照らしてみれば,同市議会は,最終的には,議員には高い倫理性と潔癖性が求められる以上,業務量の多寡にかかわらず,委託業務契約を締結している会社の取締役であったという事実のみによって法92条の2該当性が認められるという理由で,本件決定をしたと認められてもやむを得ないところであり,そうである以上,議員の失職は,出席議員の3分の2以上という特別多数決によって決定するものと規定されている(法127条1項)ことからしても,訴外人を失職させるべきであるというのであれば,改めて同市議会において実質的観点からの審査をし,3分の2以上の賛成を得て,その旨の決定をするのが筋ではないかと思われることも指摘しておく。)。 第4 結論以上によれば,本件訴えはいずれも不適法であるからこれらを却下することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項の規定を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官鶴岡稔彦裁判官金子直史裁判官 3部 裁判長裁判官 鶴岡稔彦 裁判官 金子直史 裁判官 潮海二郎
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