主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成11年3月4日付けでした原告の平成7年分ないし平成9年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は,ぶどうの栽培・販売を業とし,青色申告をしていた原告が,収支日計式簡易帳簿等を基礎として確定申告をしたのに対し,被告が上記帳簿等の記載が信頼できないことを理由に,ぶどうの作付面積と単位面積当たりの平均収入金額及び平均必要経費率を用いた推計による課税処分を行ったため,原告が,推計の必要性及び合理性を争って当該処分の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠上明らかな事実)(1) 原告の平成7年分ないし平成9年分(以下「本件係争年分」という。)の所得税について,原告のした確定申告,異議申立て及び審査請求,被告のした各更正処分,過少申告加算税賦課決定処分(以下,これらを総称して「本件処分」という。)及び異議決定並びに国税不服審判所長のした審査裁決の経緯は,別紙1記載のとおりである。 (2) 原告は,愛知県大府市内にて「L」の屋号でぶどう農園を営む専業ぶどう農家であり,その作付面積(成木)は179アールである(ただし,うち20アールは駐車場併用である。)。 原告は,主として巨峰及びデラウエアを栽培しているが,その収入形態は,次の3種である。 ア直売り形態ぶどう園と隣接する自宅において顧客にぶどうを販売する形態イ宅配売り形態アのうち,顧客からの依頼を受けて宅急便を利用して販売する形態ウぶどう狩り形態組合員6戸からなる大府長根山観光ぶどう組合(以下「本件組合」という。)が主体となって実施する観光客向けのぶどう狩りによる収益から配 からの依頼を受けて宅急便を利用して販売する形態ウぶどう狩り形態組合員6戸からなる大府長根山観光ぶどう組合(以下「本件組合」という。)が主体となって実施する観光客向けのぶどう狩りによる収益から配分を受ける形態 2 本件の争点及びこれに関する当事者の主張(1) 推計の必要性の有無(被告の主張)ア被告の職員である所部係官は,平成10年9月3日,原告の税務調査に着手し,原告から事業概況を聴取するとともに,本件係争年分の確定申告の基礎となった帳簿書類等の提示を受けたところ,次の各事実が判明した。 (ア) 進行年分の簡易帳簿が記載されていない。 (イ) 本件係争年分の簡易帳簿は,毎年12月暮れから翌年2月ころまでの間に1年分をまとめて記載されており,日々の収支をその都度記載したものではない。 (ウ) 簡易帳簿には,日々の現金残高が記載されていない。 (エ) 簡易帳簿には,預貯金の預入れ及び引出しが記載されていない。 (オ) 簡易帳簿では,平成7年12月8日の本件組合からの振込売上金59万4400円が記載後抹消されている。 (カ) 日々の現金売上げは,レジスターを使用しているが,ロールペーパーに記録することなく,銭箱管理としている。 (キ) 簡易帳簿に計上している日々の現金売上げは,銭箱として使用しているレジスターの中の現金からヤマト運輸株式会社(以下「ヤマト運輸」という。)に現金で支払った荷造運賃手数料を控除した後の現金有高に基づき計上しているため,正確な現金売上げが記載されていない。 (ク) 簡易帳簿に記載された日々の現金売上げは,カレンダーにいったん転記され,その転記された金額を1年分まとめて作成されたとする振替伝票に基づき計上されたものであるが,当該カレンダーは保存されていない。 (ケ) 日々の現金売上げをカレンダーに記載する際,原告は, ん転記され,その転記された金額を1年分まとめて作成されたとする振替伝票に基づき計上されたものであるが,当該カレンダーは保存されていない。 (ケ) 日々の現金売上げをカレンダーに記載する際,原告は,実際の現金有高を確認して計上したとするものの,千円札以上の金種については数えるが,硬貨は数えていないため,正確な現金売上げが簡易帳簿に記載されていない。 (コ) 繁忙期である平成10年7月28日,同年8月3日及び同月20日において,原告は,宅急便及びゆうパックを利用してぶどうを発送した事実があるにもかかわらず,カレンダーには上記各日における現金売上げが計上されていない。 (サ) 平成7年8月7日,平成9年7月29日及び同年8月5日において,宅急便を利用したぶどうの売上げがあり,かつ当日代金を現金で受領しているにもかかわらず,簡易帳簿には上記各日における現金売上げが計上されていない。 (シ) 宅急便によるぶどうの売上代金を後に現金で受領した場合の現金売上げの計上の有無について検討した結果,平成8年10月2日及び平成9年9月19日における現金売上げが全く計上されていない。 (ス) ヤマト運輸への荷造運賃手数料は,日々現金で支払っているにもかかわらず,簡易帳簿には1か月分をまとめて計上している。 (セ) 表紙にリザーブと記載されている手帳及び平成8年分のアルバイト帳によれば,同年分において,M,N,O,P,Q,Rに対するアルバイト代金は,原告が提出した所得税青色申告決算書の損益計算書の「雇人費」に計上されていない。また,平成7年分及び平成9年分については,雇人費に係る労務従事の状況が分かる記録が保存されていない。 (ソ) 必要経費の領収書中に,明らかに家事費と認められるものが含まれている。 イ原告は,現金売りを主体とするぶどうの栽培農家であり,現金 人費に係る労務従事の状況が分かる記録が保存されていない。 (ソ) 必要経費の領収書中に,明らかに家事費と認められるものが含まれている。 イ原告は,現金売りを主体とするぶどうの栽培農家であり,現金の入出金の都度,経理処理が行われるべきところ,原告から提示を受けた簡易帳簿等の記載内容は,上記のとおり必ずしも正確でなく,これによっては本件係争年分に係る所得金額を実額で把握することは不可能である。 すなわち,所得金額を実額で把握するためには,すべての収入金額を捕捉し,経費についても収入金額との個別的対応関係が明らかにされていることを要するところ,原告が収入金額を実額で把握することが可能であると主張する具体的方法は,いずれも簡易帳簿を基に算出された確定申告額に,被告が収入の計上漏れとして指摘した金額あるいは計上漏れが実額として計算できないものは概算によって算出した金額を加算するものであるが,前記のとおり,そもそも簡易帳簿は信ぴょう性を有する客観的資料とは認められず,さらにこれに記載された現金売上げの外に現金売上げの存在する蓋然性があるにもかかわらず,原告はその具体的内容を明らかにしていないから,到底,正確な実額把握は不可能である。 また,必要経費については,そもそも収入金額の実額を把握することができない場合には,収入金額と支出金額との個別的対応関係を明らかにすることができない。また,原告の実額の主張は,簡易帳簿を基に算出された確定申告額に租税公課の過大計上額を減算し,雇人費の計上漏れ額を加算するものであるところ,必要経費の内容につき請求書,領収書その他の原始資料によってその発生を明らかにしておらず,事業との関連性及び収入金額との対応関係も明らかにされていない。 (原告の主張)ア被告主張のうち,(ア)ないし(エ)の各事実は認める。帳簿は日々 他の原始資料によってその発生を明らかにしておらず,事業との関連性及び収入金額との対応関係も明らかにされていない。 (原告の主張)ア被告主張のうち,(ア)ないし(エ)の各事実は認める。帳簿は日々記帳されることが好ましいといえるが,そうだからといって,日々記帳されなければ記載内容の信用性を欠くとか所得額把握の資料にならないとするのは行き過ぎである。また,残高の記載がなければその帳簿の記載内容が不明となって原告の所得把握資料として全く使用できないというものでもない。預貯金の預入れ及び引出しについても,原告の提出した通帳によって容易に正確な事実を把握することが可能である。 被告主張の(オ)の事実は認める。しかし,入金の事実は銀行口座を調査すれば容易に判明するし,わざわざ2本線で抹消するという目立つ方法を行ったことから明らかなように,指摘の抹消は,勘違いによるもので,所得隠しを目的としたわけではない。 被告主張の(カ)の事実は認める。しかし,指摘のレジスターは,昭和44年ころに購入された古いものであったので,現金保管箱として使用していたにすぎず,簡易帳簿の信用性と無関係である。 被告主張の(キ)の事実は認める。しかし,指摘の不正確な点は,ヤマト運輸のコンピューターで処理された領収書をもって容易に是正することが可能である。 被告主張の(ク)の事実は認める。原告は,これまで税務調査を受けた経験がなかったため,年が改まって用済みのカレンダーを捨てたにすぎず,簡易帳簿が信用性を欠くことの根拠にはならない。 被告主張の(ケ)の事実のうち,平成7年分は100円未満の,平成8年分は10円未満の,平成9年分は1000円未満の売上げが正確に計上されていないことは認める。ただし,これらは小銭であって,せいぜい記帳された額の数パーセント程度の金額を加算することに 満の,平成8年分は10円未満の,平成9年分は1000円未満の売上げが正確に計上されていないことは認める。ただし,これらは小銭であって,せいぜい記帳された額の数パーセント程度の金額を加算することによって,真実の売上高に近づくことが可能である。その合計金額は,ぶどうの収穫シーズンが終了する最後の時点でも,約1万円前後にすぎない。 被告主張の(コ)の事実は否認する。平成10年7月28日は,売店は閉められて宅急便の発送業務のみ行われている。また,同年8月3日と同月20日は,カレンダーには売上げの記載がないものの,簡易帳簿には,6万4000円と20万1000円の現金売上げが計上されている。 被告主張の(サ)の事実は否認する。指摘の日には,売店は閉められて宅急便の発送業務が行われたが,代金を受領していないから売上げが計上されていないのは当然である。 被告主張の(シ)の事実は認める。しかし,被告による税務調査の結果,平成8年10月2日は9万7800円の,平成9年9月19日は5万0500円の売上げがあったことが判明しているから,この金額を加算すれば真実の売上金額に近づくことが可能である。なお,原告の売上金のうち,郵便局を通じての売上げやぶどう狩り収入については,まとめて郵便局あるいは本件組合から支払われていた。そして,これらが作成した信頼できる資料に記載された金額を簡易帳簿に転記したものであるから,原告の作為が入り込む余地はなく,その信用性に問題はない。 被告主張の(ス)の事実は認める。原告は,宅配注文を受けた商品を地元の郵便局とヤマト運輸に依頼して配送していたところ,郵便局については毎年10月末ころに,ヤマト運輸については平成7年から1か月ごとに集計した1年分の領収書を原告に交付するようになった。したがって,その月の荷造運賃手数料として簡易帳簿に いたところ,郵便局については毎年10月末ころに,ヤマト運輸については平成7年から1か月ごとに集計した1年分の領収書を原告に交付するようになった。したがって,その月の荷造運賃手数料として簡易帳簿に記帳された金額は正確であるから,その記載内容が資料として全く価値がないとするのは誤りである。 被告主張の(セ)第1文の事実は認め,第2文の事実は否認する。原告は,B版の用紙にアルバイトの稼働状況を記載していた。また,被告指摘に係る手帳及びアルバイト帳の記載漏れは,アルバイト収入を表に出すことを嫌う従業員に対する配慮から行っていたものであり,経費の記載漏れにすぎないから,原告の収入把握については無関係である。 被告主張の(ソ)の事実は否認する。同主張は抽象的であり,推計の必要性を基礎付けるものとはいえない。仮に明らかな家事費が必要経費に含まれていたのであれば,これを除外して正しい経費を計算することが容易であり,また,そもそも経費の問題であって収入とは無関係である。 イ推計課税は,実額課税により得ない場合にやむを得ず用いられる補充的課税方法であり,① 納税者が帳簿書類等の資料を備え付けていない場合② 帳簿書類等の資料の内容が不正確で信頼できない場合③ 税務調査に対して資料の提供を拒むなど非協力的な場合に限って許されると解すべきところ,上記のように,仮に被告主張に係る(ア)ないし(ソ)の各事実が認められるとしても,その不備は軽微であり,所得金額の実額把握は不可能ではないので,上記①ないし③のいずれにも該当しない。 具体的には,申告額に以下のとおりの修正を加えることによって原告の収入及び経費等の実額を把握することが容易であり,その結果は別紙2のとおりとなる。 (ア) 収入金額について原告の収入金額は,申告額(平成7年分1325万9288円,平成8 えることによって原告の収入及び経費等の実額を把握することが容易であり,その結果は別紙2のとおりとなる。 (ア) 収入金額について原告の収入金額は,申告額(平成7年分1325万9288円,平成8年分1315万6235円,平成9年分1276万2536円)に次の金額を加えたものである。 a 平成7年分 197万6370円平成7年9月1日のヤマト運輸支払分57万8650円,同年10月1日のヤマト運輸支払分73万6520円,同月2日のヤマト運輸支払分8800円,同年12月8日の本件組合入金分59万4400円,同年8月2日から同年9月30日までの営業日58日に,1日当たり最大1000円の未計上分の小銭現金計5万8000円,以上の合計金額b 平成8年分 55万0670円平成8年8月31日のヤマト運輸支払分25万1300円,同年9月30日のヤマト運輸支払分13万4100円,同年10月2日のU売上分9万7800円,同年7月26日の缶ジュース支払分1万6710円,同月27日の缶ジュース支払分1万8720円,同年8月20日の缶ジュース支払分1万4640円,同年8月1日から同年9月27日までの営業日58日に,1日当たり最大300円の未計上分の小銭現金計1万7400円,以上の合計金額c 平成9年分 81万1400円平成9年7月31日のヤマト運輸支払分2万2000円,同年8月31日のヤマト運輸支払分32万8400円,同年9月30日のヤマト運輸支払分28万5500円,同月19日のU売上分5万0500円,同年7月31日から同年9月28日までの営業日50日に,1日当たり最大2500円の未計上分の小銭現金計12万5000円,以上の合計金額(イ) 租税公課額について原告は,宅地に係る租税公課の65パーセント,畑のそれの100パーセント,建物のそれの20パ 当たり最大2500円の未計上分の小銭現金計12万5000円,以上の合計金額(イ) 租税公課額について原告は,宅地に係る租税公課の65パーセント,畑のそれの100パーセント,建物のそれの20パーセントを申告したが,畑及び建物は原告の父及び母の所有であったので,これらに係る租税公課を減額すべきであり,その金額は,平成7年分については19万6112円(61万6076円の減),平成8年分は20万1014円(61万9984円の減),平成9年分は20万4804円(93万5269円の減)となる。 (ウ) 雇人費について原告経営に係るぶどう園にてアルバイトをしていた者の中には,これによる所得を得ていることを表に出したくない者がいたので,これを除いた金額を申告していた。そこで,これを実額に修正すると,別紙3のとおり,雇人費は,平成7年分は269万7460円(178万2555円の増),平成8年分は263万5420円(133万2012円の増),平成9年分は236万2290円(130万4781円の増)となる。 (2) 推計の合理性の有無(被告の主張)ア被告は,原告の業種,業態,事業規模,立地条件を考慮し,別紙4に記載の「類似同業者の選定基準」によって類似同業者を選定した。 同基準は,立地条件の類似性を確保する観点から,抽出対象地区を原告の納税地を管轄する半田税務署管内とし,業種,業態との類似性については,「ぶどうの栽培業を営む個人事業者」にして「ぶどうの栽培による収入金額の割合が農業所得に係る収入金額の95パーセント以上の者」を,事業規模の類似性については,原告のぶどうの作付面積(179アール)の2倍以下でかつ半分以上の者(いわゆる倍半基準)を,さらに比較資料の正確性を担保するため,青色申告をしている者にして所得税の実地調査が行われた者を,それ は,原告のぶどうの作付面積(179アール)の2倍以下でかつ半分以上の者(いわゆる倍半基準)を,さらに比較資料の正確性を担保するため,青色申告をしている者にして所得税の実地調査が行われた者を,それぞれ抽出対象としており,類似性確保の上で合理性を有することが明らかである。 なお,原告は,駐車場併用地についてはぶどうの収穫量がほとんどないか又は他のぶどう畑と比較して少ないし,収穫されたぶどうの価格も安いと主張するが,具体性を欠く上,ここで採れたぶどうを実際に販売していることに照らすと信用できず,結局,原告が同地においてはぶどうの収穫が全くなかったことを主張・立証しない以上,作付面積を20アール控除した159アールとすべきではない。 イ被告は,名古屋国税局長が発遣した『「平成7年分ないし平成9年分のぶどうの栽培業の同業者調査報告書」の提出について』と題する通達(以下「本件通達」という。)に基づいて,上記の選定基準に該当すると認められた者を機械的に抽出したものであるから,その過程に恣意性はなく,合理性を有する。 ウ被告は,抽出した類似同業者の申告資料に基づき,本件係争各年度における作付面積10アール当たりの平均収入金額及び平均必要経費率を別紙5ないし7のとおり算出した。 これを基に,本件係争各年度における原告の収入金額及び必要経費額を算出し,次いで事業専従者(原告の妻)控除額86万円を控除した総所得金額からさらに原告の確定申告と同額の所得控除額を控除して課税総所得金額を算出した上,これに所得税法89条1項を適用して所得税額を算出し,平成7,8年分については特別減税額5万円を控除して,国税通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てて算出した原告の納付すべき税額は,別紙8のとおりである。 (原告の主張)ア被告の主張アは否認ないし争 ついては特別減税額5万円を控除して,国税通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てて算出した原告の納付すべき税額は,別紙8のとおりである。 (原告の主張)ア被告の主張アは否認ないし争う。 原告のぶどうの作付面積179アールのうち20アールは,駐車場用地として併用されているため,収穫がほとんどないから,これを推計の基礎数値に算入するのは不当である。すなわち,原告は,大型観光バス3台及び中型観光バス1台が駐車できるバス用駐車場と,普通乗用自動車60台が駐車できる一般用駐車場を設置し,原告のみならず,本件組合主催のぶどう狩りに訪れるすべての客のために使用しているところ,同用地においては,一般のぶどう畑と異なり,碁盤の目状にぶどうの木が植えられず,外縁に沿って植えられ,駐車場の上に設けた吊り棚に枝を這わせている。その結果,バス用駐車場においてはぶどうの収穫はほとんどなく,一般用駐車場においても,車両の接触によってぶどうが潰れることや,排気ガスの影響で,収穫量は約2分の1にとどまり,単価も約3分の1程度のものしか得られない。 また,ぶどうの専業農家であることや青色申告をしていることは,作付面積当たりの収入額には影響せず,つまるところ,倍半基準のみによって類似同業者を抽出したにすぎない。しかして,ぶどう栽培においては,次のような要素によって単位面積当たりの収入や経費が大きく異なってくるにもかかわらず,類似同業者の抽出に当たって,これらが考慮されておらず,合理性を欠くというべきである。 (ア) 直売りかぶどう狩りか原告は,本件組合の組合員の中で,最も長い期間ぶどう狩りを行っており,その面積は129アールであって,成木が植えられているぶどう狩り用以外のぶどう畑の面積は50アールしかない(そのうち駐車場併用地が20アールである。)とこ 中で,最も長い期間ぶどう狩りを行っており,その面積は129アールであって,成木が植えられているぶどう狩り用以外のぶどう畑の面積は50アールしかない(そのうち駐車場併用地が20アールである。)ところ,ぶどう狩りによる単位面積(10アール)当たりの収入金額は,34万2654円,38万0984円,33万1762円(平成7年ないし9年度)であるのに対し,直売りのそれは約1.3倍である。この数値を,被告主張の推計収入金額である141万0534円,136万9508円,149万0394円と比較すると,27.8ないし22.2パーセント程度にしかならず,仮にぶどう狩り終了後に若干のぶどうが残っていたとしても,完全な商品として販売することはできないから,原告の収入が上記推計収入金額に達しないことは明らかである。 (イ) 愛知用水を利用しているか否か原告のぶどう園は,市街化区域内にあって愛知用水の水を利用できないところ,この水が利用できるか否かはぶどうの玉の大きさ,ぶどうの一房の大きさ,重量,見栄え等に影響し,その作柄の違いは,販売価格に反映される。 (ウ) 露地栽培かハウス栽培かハウス栽培の巨峰は,1キログラム当たり1400円から2000円(最多価格帯1400円ないし1500円)であるのに対し,露地栽培の巨峰のそれは,1000円から1600円(最多価格帯1000円)にすぎない。原告は,本件組合の他の組合員と同様,露地栽培のみをしており,1キログラム当たり1000円にて販売している。 (エ) 栽培品種の中における巨峰の占める割合ぶどうの品種の中で作付面積当たりの収入金額が最も有利なのは巨峰であるが,この品種は,5月下旬ころに花切りという作業のための人手を要するので,これを用意できない原告は,68アールしか巨峰を栽培できず,残りは他の品種(出来高の悪い の収入金額が最も有利なのは巨峰であるが,この品種は,5月下旬ころに花切りという作業のための人手を要するので,これを用意できない原告は,68アールしか巨峰を栽培できず,残りは他の品種(出来高の悪い伊豆錦を含む。)を栽培している。 (オ) 組合費を負担しているか否か原告は,本件組合の組合費として,平成7年に53万4960円,平成8年に79万4640円,平成9年に53万4960円を支払っているところ,類似同業者の中には,非組合員が含まれている可能性がある。 イ被告の主張イは争う。 被告が類似同業者として抽出した5名は,どこの誰であるかが原告に明らかにされていない。したがって,原告が被告の主張する平均推計値の正確性を検証しようとしても何の手掛かりもない。これでは「お上のいうことは間違いがないから,ただひたすら信じよ。」というに等しく,合理的な説明がなされたとはいえない。 ウ被告の主張ウは争う。 推計による単位面積当たりの平均収入金額及び平均必要経費率は,別紙9のとおり,異議決定,審査裁決及び本訴における被告主張額のいずれについてもばらつきがあり,選定された類似同業者が同一であるならば,このような結果となることは考え難い。 また,仮に被告主張の所得が原告にあったとするならば,平成7年から平成9年までの3年間に約2267万円余の隠し資産が形成されたはずであるが,このようなものがないことは,被告の調査によっても発見できなかったことから明らかである。 さらに,平成5年分,6年分,10年分ないし12年分の原告の収入金額,必要経費額,所得金額は,別紙10のとおりであるところ,これらを本件係争年分に関する被告の主張額と対比すると,本件係争年分に係る被告主張の所得額がその他の年の2倍以上となって突出するが,このような結果となる根拠を合理的に説明することは りであるところ,これらを本件係争年分に関する被告の主張額と対比すると,本件係争年分に係る被告主張の所得額がその他の年の2倍以上となって突出するが,このような結果となる根拠を合理的に説明することはできない。 第3 当裁判所の判断 1 推計の必要性(争点(1))について(1) 証拠(甲13,乙4ないし7,9,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件係争年分における原告の税務申告の手順は,概ね以下のとおりであったことが認められる。 ア原告のぶどう栽培・販売業による収入形態は,前記前提事実(2)のとおりであるが,そのうち,直売りによる売上げは,銭箱(ぶどう畑での量り売りによるもの)と古いレジスター(それ以外の直売りによるもの)に入れ,営業終了後,その金額を計算した上,1月分が1頁に印刷されたカレンダーの該当日の余白に記載していた。宅配売りによるそれは,現金で支払われたものは上記と同様の扱いとし,それ以外の売上げは,東知多農業協同組合又は大府郵便局の原告名義の口座に振り込んでもらっていた。また,ぶどう狩りによる収入は,いったんその実施主体である本件組合に売上金(入園料金)が入り,シーズン終了後の9月下旬ころから10月上旬ころにかけて1回,12月に2,3回に分けて,負担すべき経費を控除した残金が現金交付又は上記農協の原告口座に入金される方法で支払われた。 イ原告は,12月末ころから翌年2月ころまでの間に,上記カレンダー,預貯金の通帳,保管していた経費関係の領収書から作成された振替伝票,本件組合に控除された経費が記載されている同組合の決算書内訳から転記されたメモなどを基に,1年分の収支を収支日計式の簡易帳簿(乙4ないし6)に記載し,これを集計する方法で確定申告書(乙1ないし3の各1,2)を作成,提出していた。 (2) しかして,推計の必要性に されたメモなどを基に,1年分の収支を収支日計式の簡易帳簿(乙4ないし6)に記載し,これを集計する方法で確定申告書(乙1ないし3の各1,2)を作成,提出していた。 (2) しかして,推計の必要性に関する被告の主張アのうち,(ア)(進行年分の簡易帳簿が記載されていないこと),(イ)(本件係争年分の簡易帳簿は,毎年12月暮れから翌年2月ころまでの間に1年分をまとめて記載されており,日々の収支をその都度記載したものではないこと),(ウ)(簡易帳簿には,日々の現金残高が記載されていないこと),(エ)(簡易帳簿には,預貯金の預入れ及び引出しが記載されていないこと),(オ)(簡易帳簿では,平成7年12月8日の本件組合からの振込売上金59万4400円が記載後抹消されていること),(カ)(日々の現金売上げは,レジスターを使用しているが,ロールペーパーに記録することなく,銭箱管理としていること),(キ)(簡易帳簿に計上している日々の現金売上げは,銭箱として使用しているレジスターの中の現金からヤマト運輸に現金で支払われた荷造運賃手数料を控除した後の現金有高に基づき計上しているため,正確な現金売上げが記載されていないこと),(ク)(簡易帳簿に記載された日々の現金売上げは,カレンダーにいったん転記され,その転記された金額を1年分まとめて作成されたとする振替伝票に基づき計上されたものであるが,当該カレンダーは保存されていないこと),(ケ)のうち,日々の現金売上げをカレンダーに記載する際,平成7年分は100円未満の,平成8年分は10円未満の,平成9年分は1000円未満の売上げが正確に簡易帳簿に記載されていないこと,(シ)(宅急便によるぶどうの売上代金のうち,平成8年10月2日及び平成9年9月19日における現金売上げが全く計上されていないこと),(ス)(ヤマト運輸 売上げが正確に簡易帳簿に記載されていないこと,(シ)(宅急便によるぶどうの売上代金のうち,平成8年10月2日及び平成9年9月19日における現金売上げが全く計上されていないこと),(ス)(ヤマト運輸への荷造運賃手数料は,日々現金で支払っているにもかかわらず,簡易帳簿には1か月分をまとめて計上していること),(セ)のうち,表紙にリザーブと記載されている手帳及び平成8年分のアルバイト帳によれば,同年分において,M,N,O,P,Q,Rに対するアルバイト代金は,原告が提出した所得税青色申告決算書の損益計算書の「雇人費」に計上されていないことの各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 また,証拠(乙4ないし6,12ないし14,15の1,2,29)によると,原告は,平成7年8月7日にはS及びT,平成8年10月2日にはU,平成9年7月29日にはV,同年8月5日にはS,W,X及びY,同年9月19日にはUに対し,それぞれぶどうを販売し,そのうち少なくともU及びSからは同日ぶどう代金を受領しているにもかかわらず,原告の簡易帳簿の該当日にはいずれも売上げの記載がないことが認められる(この点について原告は,売店が閉められて宅急便の配送業務のみ行われ,代金は受領されていない日があると主張し,また本人尋問において,Sが上記の日に現金で代金を支払ったことを否定し,代金は後日支払われたものであると述べるが,前掲各証拠に照らして採用できない。)。 (3) 以上を前提として推計の必要性について判断するに,一般に,推計課税は,実額調査により課税することが不可能ないし著しく困難な場合に許容されると解されるところ,その典型例として,帳簿書類が不備であって,その内容の正確性に信頼を置けない場合を挙げることができる。 本件においては,口座振込みに係る原告の収入は,農協や郵便局に明確な 許容されると解されるところ,その典型例として,帳簿書類が不備であって,その内容の正確性に信頼を置けない場合を挙げることができる。 本件においては,口座振込みに係る原告の収入は,農協や郵便局に明確な資料が存在するので,その把握は容易と考えられる。しかしながら,それ以外の現金収入は,原告自身によって生産されるぶどうの販売によるものであるから,例えば第三者からの仕入れに関する客観的資料に基づいて把握することができず,専ら,原告が収入金額を正確に帳簿書類に記録していたか否かによって実額課税の可否が定まる関係にあるというべきところ,前記の事実によれば,確定申告の基礎となった簡易帳簿は,日々の収支をその都度記載したものではなく,カレンダーの余白に記載されていた金額を一時期にまとめて転記したものにすぎないから,その過程で人為的な操作が加えられる余地が大きいと考えられ,かつ本件係争年分のカレンダーは保存されていないので,正確に転記されているか否かの事後的な検証が不可能であること,現に,一部とはいえ,簡易帳簿に記載されていない売上げの存在が認められること,また,簡易帳簿との関係では原始資料ともいうべきカレンダー自体も,売上げの都度レジスターのロールペーパーに記録された金額を集計して記載されたものではなく,銭箱等に入れられた現金を数えて記載されたものにすぎないから,その集計,記載の過程で同様の操作が加えられる余地が大きい(例えば,関係者であれば容易に現金を引き出し得る状況にあった。)と考えられ,かつそのような操作が加えられたか否かについては事後的な検証が不可能であること,現に,少なくとも10円ないし1000円未満の売上げは記載されていないこと,以上のとおり要約することができ,これによれば,本件係争年分における原告の簡易帳簿は,二重の意味でその内容の正 であること,現に,少なくとも10円ないし1000円未満の売上げは記載されていないこと,以上のとおり要約することができ,これによれば,本件係争年分における原告の簡易帳簿は,二重の意味でその内容の正確性に信頼を置くことはできないといわざるを得ず,結局,推計の必要性を肯定するのが相当である。 (4) この点につき原告は,簡易帳簿の一部に収入の記載漏れがあったとしても,その不備は軽微であり,その点を修正すれば実額を把握することは可能であるから,信頼が置けない場合に当たらない旨主張する。 しかしながら,前記認定に係る収入の記載漏れは,被告が把握,主張し,証拠によって認定できる最小限度のものにすぎず,それ以外に記載漏れが存在しないことを保証するものではない。すなわち,これらの記載漏れは,簡易帳簿等の信頼性欠如に関する徴表と解すべきものであるから,上記の記載漏れを確定申告額に加えたからといってその信頼性が回復するものとはいえない(これを回復するためには,記載全体の正確性を検証しなければならないが,これが不可能であることは上記のとおりである。)。したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。 2 推計の合理性(争点(2))について(1) 証拠(乙20ないし23)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア名古屋国税局長は,平成12年11月14日,本件通達を被告宛てに発出し,別紙4記載の選定基準に合致するぶどう栽培個人事業者の,本件係争年分における①ぶどうの収入金額,②ぶどうの作付面積,③作付面積10アール当たりの平均収入金額,④必要経費の金額,⑤必要経費率,⑥備考の各項目について報告を求めた。 イ被告は,本件通達を受け,機械的に上記選定基準に合致する業者を抽出した上,同月22日,該当項目を名古屋国税局長宛てに報告したが,その内容を各 ⑤必要経費率,⑥備考の各項目について報告を求めた。 イ被告は,本件通達を受け,機械的に上記選定基準に合致する業者を抽出した上,同月22日,該当項目を名古屋国税局長宛てに報告したが,その内容を各年分にまとめたものは,別紙5ないし7のとおりである。 ウ原告のぶどうの作付面積を179アールとし,これに上記報告に係るぶどう栽培個人事業者の平均収入金額(作付面積10アール当たり)を乗じた推計による収入金額から,平均必要経費率を乗じて算出した推計による必要経費額を控除し,さらにここから原告の申告に係る事業専従者控除額,所得控除額を差し引いた課税総所得金額,これに所定の税率を乗じた算出税額から特別減税額を控除した納付すべき税額は,別紙8のとおりとなる。 上記事実によれば,被告主張の同業者選定基準は,青色申告者にして,収入構成が専らぶどうの栽培・販売によっている点で原告と同じであり,かつ作付面積も原告のそれ(179アール)の2倍から2分の1まで(いわゆる倍半基準)とされているから,除外事由をも考慮すれば,原告との類似性が十分に担保されたものと評価し得る。そして,被告は,その基準に合致する業者を機械的に抽出しており,その過程に不合理な要素が混入した可能性もうかがわれないから,結局,被告による類似同業者の選定及びこれを基礎とした単位作付面積当たりの平均収入金額及び平均必要経費率の算出は,合理性を有していると判断するのが相当である。 (2) この点につき原告は,上記類似同業者5名の氏名は原告に明らかにされておらず,平均推計値の正確性を検証できないと主張するが,所得税法243条は,所得税に関する調査事務を担当している者が,その事務に関して知ることができた秘密を漏らすことを禁じている上,推計の基礎となった数値の正確性は,類似同業者の抽出基準と抽出の無作 ,所得税法243条は,所得税に関する調査事務を担当している者が,その事務に関して知ることができた秘密を漏らすことを禁じている上,推計の基礎となった数値の正確性は,類似同業者の抽出基準と抽出の無作為性を明らかにすることによって担保し得るというべきであるから,類似同業者の氏名が明らかにされていないからといって,推計の合理性を欠くものとはいえない。 また,原告は,①直売りかぶどう狩りか,②愛知用水を利用しているか否か,③露地栽培かハウス栽培か,④栽培品種における巨峰の占める割合,⑤組合費を負担しているか否か,等の要素によって単位面積当たりの収入や経費が大きく異なってくると主張し,証拠(甲13,乙25,26,28の2,原告本人)によると,原告は,本件係争年分において,53万4960円又は79万4640円の組合経費を負担していること,ぶどう狩りによる収益率は,食べ残し等のロスが発生するために直売りよりも低いこと,原告は,129アールをぶどう狩り用の畑に供し,50アールを直売ぶどうの栽培用畑等に供していること,ハウス栽培は,収穫時期を調整することが可能となるが,原告は露地栽培のみ行っていること,巨峰は,他の品種に比較して収益率が高いこと,以上の事実が認められる。 しかしながら,上記各証拠によれば,ぶどう狩りの収益率は,市場への出荷分と比較して高いこと,原告は,ぶどう畑のうち68アールを巨峰栽培に供していて,他の品種と比較すると,主力品種となっていること,以上の事実が認められる。そして,①については,類似同業者の販売形態がどのような割合になっているかは明らかでないものの,前記倍半基準で選定された類似同業者の作付面積の規模に照らすと,全員が直売りを主たる販売形態としているとは考えられず,むしろ上記の3種類のうち複数の販売形態を併用していると推認される かでないものの,前記倍半基準で選定された類似同業者の作付面積の規模に照らすと,全員が直売りを主たる販売形態としているとは考えられず,むしろ上記の3種類のうち複数の販売形態を併用していると推認されるから,個別的な販売形態の特色はそれぞれ減殺し合って捨象することが可能と解される。また,②については,収益率に顕著な差異をもたらすことを認めるに足りる証拠はないこと,③については,ハウス栽培は,収益率の向上をもたらす反面,経費の増大が伴うと考えられること,④については,①と同様,個別的な特色は減殺されていると考えられること,⑤については,何らかの形でメリットがあるからこそ組合に加入していると考えられること,以上のとおりであって,結局,原告主張に係る①ないし⑤の要素を抽出基準に含めなかったからといって,合理性を欠くものとはいえない。 さらに,原告は,被告の推計値は,本訴に至るまでの各段階でばらつきがあること,被告主張の推計所得額を前提とすると,高額の隠し資産が形成されているはずであるが,そのようなものは存在しないこと,本件係争年分の所得額は,それ以外の年分のそれの2倍以上となることを主張するが,これらは,被告主張の推計の合理性を覆滅させる性質のものとはいえないから,主張自体失当というべきである。 (3) 最後に,推計による平均収入金額及び平均必要経費率を適用すべき原告の作付面積について判断するに,原告は,駐車場併用地20アールのうち,バス用駐車場(大型3台,中型1台)は収穫がほとんどなく,一般用駐車場(60台)は収穫量が2分の1,価格は3分の1程度であるから,作付面積を179アールとして推計課税するのは不当であると主張する。 しかしながら,駐車場併用地の作柄がその他の畑に比べて若干劣るとしても,その金額及び数量を認定するに足る客観的な証拠は存しな から,作付面積を179アールとして推計課税するのは不当であると主張する。 しかしながら,駐車場併用地の作柄がその他の畑に比べて若干劣るとしても,その金額及び数量を認定するに足る客観的な証拠は存しない上,上記20アールのうち半分の10アールがバス用駐車場であると仮定し(上記駐車台数に照らすと,バス用駐車場の面積が10アールを超えるとは考えられない。),原告の主張に沿って,この部分については収入が全く得られず,残り10アールについては平均の6分の1の収入にとどまるとの前提で試算しても,別紙11の計算結果のとおり,本件処分に係る所得金額を上回ることが計数上明らかであるから,本件処分の違法をもたらすものでないというべきである。 3 以上の次第で,本件処分は適法であり,原告の本訴請求はいずれも理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官橋本都月裁判官富岡貴美(別紙省略)
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