平成20(む)1551

裁判年月日・裁判所
平成20年8月28日 東京地方裁判所 棄却
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判決文本文1,744 文字)

平成20年8月28日決定平成20年(む)第1551号 主文 本件請求を棄却する。 理由 第1請求の趣旨及び理由の要旨本件請求の趣旨及び理由は,要するに,甲第9号証ないし第27号証及び乙第2号証ないし第71号証に記載されている被告人及び各共犯者らが運転ないし所有していた自動車等の移動に係る供述の証明力を判断するために,平成19年3月1日から同年8月末日までの被告人及び各共犯者らが運転ないし所有した自動車等に係る自動車ナンバー自動読取装置(Nシステム)の記録並びにその解析報告書及び一覧表等を,刑事訴訟法316条の15第1項1号及び3号に該当するものとして開示請求するというものである。 第2当裁判所の判断 そこで検討すると,まず,Nシステムの記録自体は,本件の捜査とは無関係に記録された,警察の内部資料にすぎないものであるから,本件の捜査の過程で作成され,又は入手した書面等であるとはいえず,そもそも開示の対象とならない。 次に,Nシステムの解析報告書及び一覧表等(以下「解析報告書等」という。)について検討する。検察官による本年7月31日付け意見書によれば,検察官が現に保管している証拠中に解析報告書等の証拠は存在しないとのことである。しかしながら,本件事件の捜査の過程で作成され,又は入手された書面等であって,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易なものは,検察官において現に保管していない証拠であっても,刑事訴訟法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となるものと解される。 3(1)そこでさらに,解析報告書等の開示の必要性を検討するに,起訴状及び証明予定事実記載書によれば,本件において殺害行為が行われ,死体が遺棄されたのは,平成19年5月31日から同年6月6日までの期間においてであ らに,解析報告書等の開示の必要性を検討するに,起訴状及び証明予定事実記載書によれば,本件において殺害行為が行われ,死体が遺棄されたのは,平成19年5月31日から同年6月6日までの期間においてである上,弁護人らは,上記期間以外については,必要性を具体的に主張していない。 したがって,本件証拠のうち上記期間以外に係る部分については,そもそも開示の必要性は認められない。 (2)次に,解析報告書等のうち上記期間に係る部分の開示の必要性について検討するに,確かに,証明予定事実記載書によれば,検察官は,被告人らが,被害者を殺害後,殺害現場からその死体を運び出し,これを群馬県高崎市内に運ばせたものの,いったん東京に持ち帰り,後日,再度東京から群馬県まで移動させて,群馬県内の雑木林内に遺棄した旨の事実を主張し,それに関する証拠を請求している。しかしながら,検察官の主張の根幹は,被告人自身が被害者を殺害し,その死体を遺棄することを共犯者に指示したというものであり,被告人及び各共犯者らが運転ないし所有していた自動車等の高速道路上における具体的な経路というものは,検察官の根幹的な主張を直接に裏付けるものではない(現に,上記経路が検察官の証明予定事実として具体的に主張されているわけではない。)。したがって,そもそもその点に関する供述の証明力を検討することは,被告人の防御にとってさほどの必要性がない。また,解析報告書等を開示することにより,Nシステムの設置場所が明らかにされ,他の重要事件における被疑者車両の捕捉,犯人の検挙等の捜査活動にも重大な支障が生じるものと認められるところ,検察官が,上記経路に関する供述の証明力を判断する資料として高速道路通行券等を開示していることを併せ考えると,このような弊害が発生することを押してまで,解析報告書等を開示 るものと認められるところ,検察官が,上記経路に関する供述の証明力を判断する資料として高速道路通行券等を開示していることを併せ考えると,このような弊害が発生することを押してまで,解析報告書等を開示すべき必要性は認められない。 以上のとおり,本件証拠の開示の必要性は認められないというべきであり,弁護人の請求は理由がないから,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・川本清巌,裁判官・佐藤卓生,裁判官・櫻庭広樹)

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