令和7(わ)108 過失運転致死被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月4日 山口地方裁判所
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判決文本文1,761 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は、令和5年2月18日午後9時8分頃、普通乗用自動車を運転し、山口県美祢市a 町b中国縦貫自動車道下りc先道路をdインターチェンジ方面からeインターチェンジ方面に向かい進行するに当たり、同所は道路標識によりその最高速度が80km毎時に指定されていた上、当時、降雨のため路面が湿潤し車輪が滑走しやすい状態であったから、その最高速度を遵守することはもとより、道路状況に応じて適宜速度を調節し、ハンドル・ブレーキを的確に操作して、進路を適正に保持しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、道路状況に応じて適宜速度を調節せず、ハンドル・ブレーキを的確に操作することなく、進路を適正に保持しないまま漫然時速約127kmで進行した過失により、自車を滑走させて制御不能に陥らせた上、左前方に逸走させて自車前部を道路左側のガードレールに衝突させるなどし、その衝撃により、自車同乗者A(当時20歳)を車外に放出させて路上に転倒させるなどし、さらに、その頃、同所において、同人を後続車両であるB運転の大型貨物自動車にれき過させ、よって、即時同所において、Aを多発外傷により死亡させた。 (証拠) 省略(法令の適用)(以下、令和4年法律第68号を「整理法」、整理法による改正前の自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律を「旧自動車運転処罰法」という。)罰条整理法441条1項により旧自動車運転処罰法5条本文刑種の選択懲役刑 刑の執行猶予整理法447条、刑法25条1 転処罰法」という。)罰条整理法441条1項により旧自動車運転処罰法5条本文刑種の選択懲役刑 刑の執行猶予整理法447条、刑法25条1項訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は、判示のとおりの過失運転致死の事案である。被告人は、高速道路において指定速度を約50km毎時超過する速度で走行したことによって車両の制御を失い、本件事故を引き起こしたものである。当時、本件道路においては、降雨の影響で路面が湿潤していた上、現場付近は下り勾配でカーブが続いており、運転への注意を呼び掛ける標識が複数おかれていたこと等も併せ考えると、被告人の運転行為の危険性は高く、過失は相当に大きいというべきである。本件事故がもたらした結果が取り返しのつかないものであることはいうまでもない。被害者は、本件事故の衝撃で車外に放出させられ、判示のとおりの極めて痛ましい形でその生命を奪われたものであって、その苦痛や無念の情は察するに余りがある。遺族の悲しみも大きく深い。なお、被害者は、いわゆる好意同乗者である上、事故当時、シートベルトを装着していなかった可能性が認められるが、本件事故の原因はあくまでも危険性の高い被告人の運転行為にあることに加え、そもそも同乗者にシートベルトをさせることは自動車を運転する者の義務であることからすると、これらの事情を量刑にあたって大きく考慮することはできない。 以上によれば、被告人の刑事責任は到底軽いものではなく、被告人を実刑に処することも考えられる。 しかしながら他方で、任意保険により、いずれは被害者遺族に対して相応の被害弁償がされる見込みであること、当公判廷において、被告人が自己の過失を認め、今後自動車の運転を行わず、一生をかけて償っ る。 しかしながら他方で、任意保険により、いずれは被害者遺族に対して相応の被害弁償がされる見込みであること、当公判廷において、被告人が自己の過失を認め、今後自動車の運転を行わず、一生をかけて償っていきたいなどと述べており、反省の情がうかがわれること、母親が情状証人として出廷し、被告人の監督を誓約していること、被告人に前科前歴がないこと等の酌むべき事情も認められる。 そこで、これらの諸事情を考慮して、主文のとおりの刑を量定した上でその刑の執行を法定の最長期間猶予し、社会内で償いの日々を送らせることが相当であると 判断した。 (求刑・懲役3年)(検察官埋橋隆国選弁護人小林亨各出席)令和7年11月4日山口地方裁判所第3部 裁判官安達拓

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