平成20(行コ)346 退去強制令書発付処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第274号,同第645号)

裁判年月日・裁判所
平成21年1月29日 東京高等裁判所 警察関係
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判決文本文3,333 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)東京入国管理局入国審査官が平成18年10月5日付けで控訴人を出入国管理及び難民認定法24条4号イに該当すると認定した処分を取り消す。 (3)東京入国管理局長が平成18年10月26日付けで控訴人に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を取り消す。 (4)東京入国管理局主任審査官が平成18年10月27日付けで控訴人に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。 (5)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文同旨第2事案の概要 控訴人は,フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)の国籍を有し,本邦に在留する女性であり,その在留資格が「投資・経営」であるにもかかわらず,六本木の飲食店においてホステスとして就労していたため,東京入国管理局(以下「東京入管」という。)入国審査官は,控訴人に対し,平成18年10月5日付けで,控訴人が出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号イ(資格外活動)の退去強制対象者に該当する旨の認定(以下「本件認定」という。)をした。控訴人が,その認定に異議があるとして,東京入管特別審理官に対し,口頭審理の請求をしたところ,東京入管特別審理- 2 -官は,控訴人に対し,上記認定に誤りがない旨の判定(以下「本件判定」という。)をした。控訴人が,その判定に異議があるとして,法務大臣に対し,異議を申し出たところ,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,控訴人に対し,同月26日付けで,その異議の申出が理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という 議があるとして,法務大臣に対し,異議を申し出たところ,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,控訴人に対し,同月26日付けで,その異議の申出が理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。そこで,東京入管主任審査官は,控訴人に対し,同月27日付けで,退去強制令書(以下「本件退令書」という。)の発付(以下「本件退令処分」という。)をした。 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,本件認定は,資格外活動の認定を誤っており,また,本件裁決及び本件退令処分は,裁量権の逸脱又は濫用により違法であるなどと主張して,本件認定,本件裁決及び本件退令処分の取消しを求める事案である。 原判決は,本件認定,本件裁決及び本件退令処分は,いずれも適法であると判示して,控訴人の請求をいずれも棄却したので,これを不服とする控訴人が控訴をした。 前提事実,資格外活動に関する関係法令の定め,争点及び当事者の主張の要旨は,後記のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の2から5まで(原判決3頁3行目から15頁末行まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却するのが相当であると判断する。その理由は,原判決34頁10行目の「入管法49条5項」を「入管法49条6項」と改め,次の(1)及び(2)のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3当裁判所の判断」の1から4まで(原判決16頁2行目から34頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)控訴人は,原判決が,少なくとも本件摘発が行われた平成18年9月6日- 3 -の時点において,控訴人の本邦における活 行目から34頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)控訴人は,原判決が,少なくとも本件摘発が行われた平成18年9月6日- 3 -の時点において,控訴人の本邦における活動の内容が,本来の在留資格である「投資・経営」から資格外活動に当たる本件就労に実質的に変更されていたものと認めたことについて,控訴人は,本件会社の取締役であっただけでなく,本件会社に対し,その設立に当たり50万円を出資した上,その翌年にも300万円を出資したこと,控訴人が本件会社においてフィリピン等の外国からの輸入に関して中心的役割を担っていたこと,今後,本件会社が再建される可能性があること等の事情からは,その認定は誤りであると主張する。 しかし,原判決が詳細に認定するとおり,控訴人は,平成17年4月ころ以降は,本件会社の経営状況の逼迫に伴い,役員報酬等の金員の支給が停止されたため,自ら及び長男の生活費を稼ぐために,同月中旬ころから平成18年9月6日まで本件店舗において就労を行い,主にその収入により生計を維持していたことが認められ,その事実やその他の諸事情を総合考慮すると,平成18年9月6日の時点において,控訴人の本邦における活動の内容が,在留を正当化する本来の在留資格である「投資・経営」に対応する活動から,それ以外の本件就労に実質的に変更されていたものと認められるものというべきである。 確かに,控訴人は,本件会社に対し,平成13年4月の本件会社の設立に当たり50万円を出資し,平成14年3月にも300万円を出資したこと,控訴人は,本件会社において,海外の会社のホームページ等を閲覧して輸入販売を行う商品を探し出し,商品に関するアイデアを提案し,海外の会社の担当者との間で英語等で連絡を取るなどの業務に従事していたことは,原判決の認定するとおり 海外の会社のホームページ等を閲覧して輸入販売を行う商品を探し出し,商品に関するアイデアを提案し,海外の会社の担当者との間で英語等で連絡を取るなどの業務に従事していたことは,原判決の認定するとおりであるが,これらの事情があるからといって,控訴人の平成17年4月ころ以降の本邦における活動の内容に関する上記認定は左右されないというべきである。なお,控訴人は,今後,本件会社が再建される可能性があるとも主張するが,そのような事実を認めるに足りる的確な証拠- 4 -はないといわなければならない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2)控訴人は,原判決が,本件裁決には裁量権の逸脱又は濫用があったとは認められず,本件退令処分については裁量の余地がないから,本件退令処分は適法であると判示したことについて,平成10年以降の控訴人の生活の本拠は日本にあり,また,平成15年以降は,長男も日本において生活及び学習をしているため,控訴人及び長男がフィリピンに帰国しても生活自体が難しいこと,控訴人は日本において催事場等での販売や介護等の仕事に従事して安定した生活を送っていることなどから,その認定判断は誤りであると主張する。 しかし,原判決が詳細に説示するとおり,控訴人及び長男がフィリピンに帰国した場合,日本における生活と同様の安定した生活を継続することは難しいとしても,生活に客観的かつ重大な障害があるとまでは認めることができず,本件裁決に当たって控訴人に在留特別許可をしなかった東京入国管理局長の判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるということはできないから,本件裁決に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることは困難であり,したがって,また,これに基づく本件退令処分を違法ということはできない。 したが 性を欠くことが明らかであるということはできないから,本件裁決に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることは困難であり,したがって,また,これに基づく本件退令処分を違法ということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 以上の次第で,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第19民事部裁判長裁判官青柳馨- 5 -裁判官長久保守夫裁判官小林昭彦

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