平成29年2月22日判決言渡平成28年(ネ)第10082号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成27年(ワ)第12480号)口頭弁論終結の日平成28年11月24日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 1審原告の控訴について1審原告の控訴を棄却する。 2 1審被告ワンマン及び1審被告西部機販の控訴について1審被告ワンマン及び1審被告西部機販の控訴をいずれも棄却する。 3 1審原告による当審における追加・拡張請求について(1) 1審原告の当審における主位的請求に係る請求拡張部分(控訴の趣旨1(2-1)のうち,請求金額を拡張した部分)を棄却する。 (2) 1審被告ワンマンは,1審原告に対し,557万0600円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 1審被告西部機販は,1審原告に対し,69万1800円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 1審被告ワンマンは,1審原告に対し,原判決第6項で認容された金額のほか,3077万1093円及びこれに対する平成27年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 1審被告西部機販は,1審原告に対し,原判決第7項で認容された金額のほか,457万9890円及びこれに対する平成27年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 1審原告の1審被告西部機販に対するその余の請求を棄却する。 4 当審における訴訟費用は,1審原告に生じた費用の7分の1,1審被告ワンマンに生じた費用の5分の2及び1審被告西部機販に生じた費用の4分の3並び 1審被告西部機販に対するその余の請求を棄却する。 4 当審における訴訟費用は,1審原告に生じた費用の7分の1,1審被告ワンマンに生じた費用の5分の2及び1審被告西部機販に生じた費用の4分の3並びに1審被告ニチモウ及び同Yに生じた費用の全部を1審原告の負担とし,1審原告に生じた費用の14分の9及び1審被告ワンマンに生じた費用の5分の3を1審被告ワンマンの負担とし,1審原告に生じた費用の14分の3及び1審被告西部機販に生じた費用の4分の1を1審被告西部機販の負担とする。 5 この判決は,第3項(2)ないし(5)に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 1審原告の控訴及び当審における請求の追加・拡張関係(1) 原判決中,1審原告の金銭請求に関する部分を次のとおり変更する。 (2-1) 主位的請求1審被告らは,1審原告に対し,連帯して1555万8800円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において,原審における1審被告らに対する1425万6000円の共同不法行為に基づく損害賠償請求を上記のとおり拡張した。)(2-2) 予備的請求ア 1審被告ワンマンら及び同Yは,1審原告に対し,連帯して557万0600円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ 1審被告西部機販は,1審原告に対し,998万8200円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金 員を支払え。 (1審原告は,当審において,予備的請求を追加した。)(3) 1審被告ワンマンらは,1審原告に対し,連帯して4507万9593円及びこれに対する平成27年6月2日から支 員を支払え。 (1審原告は,当審において,予備的請求を追加した。)(3) 1審被告ワンマンらは,1審原告に対し,連帯して4507万9593円及びこれに対する平成27年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において,原審における1審被告ワンマンらに対する1430万8500円の共同不法行為に基づく損害賠償請求を上記のとおり拡張した。)(4) 1審被告西部機販は,1審原告に対し,550万4090円及びこれに対する平成27年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において,原審における1審被告西部機販に対する92万4200円の不法行為に基づく損害賠償請求を上記のとおり拡張した。) 2 1審被告ワンマン及び同西部機販の控訴関係(1) 原判決中1審被告ワンマン及び同西部機販の敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消部分に係る1審原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要等(略称は原判決のそれに従う。) 1 本件は,その名称を「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする発明についての特許権を有する1審原告が,1審被告らに対し,以下の請求をした事案である。 (1) 請求11審被告ワンマンらによる原判決別紙物件目録1記載の生海苔異物除去機(本件装置)の譲渡,貸渡し,輸出又は譲渡若しくは貸渡しの申出が1 審原告の特許権を侵害するとして,1 審被告ワンマンらに対し,法100条1項に基づき,これらの行為の各差止めを求める請求。 (2) 請求2 1審被告西部機販による本件装置の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出が1 審原告の特許権を侵害するとして,1 審被告西部機販に対し,法100条1項に基づき,これらの行為の差 請求2 1審被告西部機販による本件装置の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出が1 審原告の特許権を侵害するとして,1 審被告西部機販に対し,法100条1項に基づき,これらの行為の差止めを求める請求。 (3) 請求3原判決別紙物件目録2記載の「固定リング」(本件固定リング)及び同目録3記載の「板状部材」(本件板状部材)がいずれも本件装置の生産にのみ用いる物であり,1審被告ワンマンら及び同西部機販によるその譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出が1審原告の特許権を侵害するものとみなされるとして,1審被告ワンマンら及び同西部機販に対し,法100条1項,101条1号に基づき,これらの行為の各差止めを求める請求。 (4) 請求4上記(1)~(3)の請求をするに際し,1審被告ワンマンら及び同西部機販に対し,法100条2項に基づき,本件装置及び本件各部品(本件固定リング及び本件板状部材)の各廃棄を求める請求。 (5) 請求51審被告ワンマンら及び同西部機販による原判決別紙メンテナンス行為目録記載1,2の各行為(本件各メンテナンス行為)が原告の特許権を侵害するとして,1審被告ワンマンら及び同西部機販に対し,法100条1項に基づき,上記各行為の各差止めを求める請求。 (6) 請求61審被告ワンマンらによる本件装置86台(本件装置1)及び本件各部品の販売が1審原告の特許権を侵害する共同不法行為(本件共同不法行為1)に当たり,又は1審被告ワンマンらが同販売によって不当に利得して1審原告に損失を及ぼしたとして,1審被告ワンマンらに対し,共同不法行為に基づく損害賠償金4507万9593円(又は不当利得金)及びこれに対する不法行為後でかつ1審被告ワンマンらに対する最終の訴状送達の日の翌日で ある平成27年6月2日から 対し,共同不法行為に基づく損害賠償金4507万9593円(又は不当利得金)及びこれに対する不法行為後でかつ1審被告ワンマンらに対する最終の訴状送達の日の翌日で ある平成27年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める請求。 なお,1審原告は,原審では損害賠償金又は不当利得金の一部請求として1430万8500円及び遅延損害金の支払を請求したが,当審においてこれを全部請求に拡張した。 (7) 請求71審被告西部機販による本件装置10台(本件装置2)及び本件各部品の販売が1審原告の特許権を侵害する不法行為に当たり,又は1審被告西部機販が同販売によって不当に利得して1審原告に損失を及ぼしたとして,1審被告西部機販に対し,不法行為に基づく損害賠償金550万4090円(又は不当利得金)及びこれに対する不法行為後でかつ訴状送達の日の翌日である平成27年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(請求7)。 なお,1審原告は,原審では損害賠償金又は不当利得金の一部請求として92万4200円及び遅延損害金の支払を請求したが,当審においてこれを全部請求に拡張した。 (8) 請求8ア主位的請求平成26年12月17日に鬼崎漁業協同組合(鬼崎漁協)へ納品された本件装置6台(本件装置3)について,鬼崎漁協への納品に至るまでの1審被告らによる一連の行為が1審原告に対する故意の共同不法行為(本件共同不法行為2)に当たるとして,1審被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償金1555万8800円及びこれに対する不法行為日より後の日である平成26年12月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める請求。 なお,1審原告は,原審で 賠償金1555万8800円及びこれに対する不法行為日より後の日である平成26年12月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める請求。 なお,1審原告は,原審では損害賠償金の一部請求として1425万 6000円及び遅延損害金の支払を請求したが,当審においてこれを全部請求に拡張した。 イ予備的請求鬼崎漁協に対する上記納品に至る過程で行われた各行為のうち,1審被告ワンマンらの同西部機販に対する本件装置3の販売が1審ワンマンら及び同Yによる1審原告の特許権を侵害する共同不法行為(以下「本件共同不法行為2’」という。)に当たるとして,1審被告ワンマンら及び同Yに対し,共同不法行為に基づく損害賠償金557万0600円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,1審被告西部機販の鬼崎漁協に対する本件装置3の販売が1審被告西部機販による1審原告の特許権を侵害する不法行為に当たるとして,1審被告西部機販に対し,不法行為に基づく損害賠償金998万8200円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求。 なお,1審原告は,当審において,本件共同不法行為2が成立しない場合の予備的請求としてこの請求を追加した。 2 原判決は,請求1~8のうち,請求1~5及び7(ただし,請求7については当審における請求拡張前のもの)を全部認容し,請求6(ただし,当審における請求拡張前のもの)については,1審被告ワンマンに対する請求を全部認容し,同ニチモウに対する請求を全部棄却し,請求8(ただし,当審における請求拡張及び予備的請求追加前のもの)を全部棄却した。1審原告は原判決中請求6及び8に は,1審被告ワンマンに対する請求を全部認容し,同ニチモウに対する請求を全部棄却し,請求8(ただし,当審における請求拡張及び予備的請求追加前のもの)を全部棄却した。1審原告は原判決中請求6及び8に関する敗訴部分を不服として控訴するとともに,請求6及び7については請求を拡張し,請求8については請求を拡張するとともに予備的請求を追加した。他方,1審被告ワンマン及び同西部機販は,原判決中請求1~7に関する敗訴部分を不服として控訴した。 3 前提事実前提事実は,以下のとおり削除,付加するほかは,原判決「事実及び理由」第2「事案の概要」の2「前提事実」記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決9頁26行目の「本件板状部材は,」を削除する。 (2) 原判決10頁23行目の「被告ワンマンは,」の後に「別紙『(別表)』記載のとおり(ただし,番号(40)の取引を除く。),」を加える。 (3) 原判決11頁2行目の「被告西部機販は,」の後に「別紙『別表3』上段記載のとおり,」を加える。 (4) 原判決11頁3行目の末尾に,改行の上,以下のとおり加える。 「ただし,同別表3上段記載の取引のうち,平成27年10月24日付け『WK-550』1台の取引日付は,平成24年10月24日の誤りである。」(5) 原判決11頁6行目の「これを購入し」の後に「(別紙『(別表)』記載の番号(40)の取引)」を,また,同行の「売却し」の後に「(別紙『別表3』記載の平成26年3月20日付け『WK-600』6台の取引)」を,それぞれ加える。 (6) 原判決11頁9行目の「成立するか」の後に「及び1審被告西部機販の売上金額」を加える。 4 争点及び争点に対する当事者の主張本件における当事者の主張は,以下のとおり付加,訂正,削除するとともに後 判決11頁9行目の「成立するか」の後に「及び1審被告西部機販の売上金額」を加える。 4 争点及び争点に対する当事者の主張本件における当事者の主張は,以下のとおり付加,訂正,削除するとともに後記5のとおり当審における補充主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」第2「事案の概要」の3「争点」及び4「争点に関する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決11頁22行目の「争点3」の後に「(主位的請求)」を加えるとともに,同行末尾に,改行の上,以下のとおり加える。 「ウ 1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)がそれぞれ成立するか(争点3の2(予備的請求))」(2) 原判決15頁9行目の「通過させ」の後に「,それまで異物として廃棄対象としていたものを原料として使用可能にしようとす」を加える。 (3) 原判決16頁9行目の「従来型」の後に「(回転板方式が提案されるまで生海苔生産現場で多用されていた方式であり,生海苔を固定サイズの隙間に通過させ,異物と分離するものであって,ろ過と同じ原理に基づくもの)」を加える。 (4) 原判決17頁22行目の「(2)」を「(3)」に改めるとともに,「争点3」の後に「(主位的請求)」を加え,18頁5行目の「また」から7行目末尾までを削る。 (5) 原判決18頁19行目の「先立つ」の後に「同月8日,裁判所から,本件装置が本件特許権に抵触する旨の心証開示を受け,」を加える。 (6) 原判決19頁19行目末尾に,改行の上,当審における予備的請求に係る主張を,以下のとおり加える。 「(3)の2 争点3の2(予備的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行 (6) 原判決19頁19行目末尾に,改行の上,当審における予備的請求に係る主張を,以下のとおり加える。 「(3)の2 争点3の2(予備的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)がそれぞれ成立するか)[1審原告の主張]仮に,1審被告らにつき本件共同不法行為2が成立しないとしても,1審被告ワンマンの1審被告西部機販に対する本件装置3の販売は,1審被告ワンマン,同ニチモウ及び同Yによる共同不法行為に当たり,1審被告西部機販の鬼崎漁港に対する当該装置の販売は,同被告の不法行為に当たる。 [1審被告らの主張] 争う。」(7) 原判決21頁19行目の「また,」の後に「1審被告ワンマンにおける本件各部品の仕入及び販売の状況は別紙『別表2』記載のとおりであるところ,」を加える。 (8) 原判決21頁23行目の「仕入金額」の後に「(ただし,販売されなかった平成26年10月15日付け仕入分を除く。)」を加える。 (9) 原判決22頁9行目から11行目までを,以下のとおり改める。 「そこで,当審における請求の拡張に基づき,上記損害(4097万9593円)に弁護士費用相当額(410万円)を加算した4507万9593円を,1審原告の損害額として主張する。」(10) 原判決23頁18行目の「また,」の後に「1審被告西部機販における本件各部品の仕入及び販売の状況は別紙『別表3』下段記載のとおりであるところ,」を加える。 (11) 原判決24頁6行目から8行目までを,以下のとおり改める。 「そこで,1審原告は,当審における請求の拡張に基づき,上記損害(500万4090円)に弁護士費用相当額(50万円)を加算した550万4090円を, 頁6行目から8行目までを,以下のとおり改める。 「そこで,1審原告は,当審における請求の拡張に基づき,上記損害(500万4090円)に弁護士費用相当額(50万円)を加算した550万4090円を,1審原告の損害額として主張する。」(12) 原判決25頁11行目冒頭から12行目末尾までを削り,26頁20行目の「損害額は,」の後から26行目末尾までを,以下のとおり改める。 「上記(ア)(1415万8800円)及び(イ)(140万円)の合計額1555万8800円であり,1審原告は,当審における請求の拡張に基づき,その損害賠償を求める。」(13) 原判決26頁26行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。 「ウの2 本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)による損害(当審における予備的請求関係) (ア) 本件共同不法行為2’による損害本件共同不法行為2’により1審被告ワンマンらの得た上記販売利益507万0600円(消費税8%込み)が1審原告の逸失利益となるとともに,当該不法行為と相当因果関係の範囲内にある弁護士費用50万円の合計557万0600円が,1審原告の損害額となる。 よって,1審原告は,1審被告ワンマンら及び同Yに対し,557万0600円の損害賠償を求める。 (イ) 1審被告西部機販の不法行為による損害本件特許権侵害の不法行為により1審被告西部機販の得た上記販売利益908万8200円(消費税8%込み)が1審原告の逸失利益となるとともに,当該不法行為と相当因果関係の範囲内にある弁護士費用90万円の合計998万8200円が,1審原告の損害額となる。 よって,1審原告は,1審被告西部機販に対し,998万8200円の損害賠償を求める。」 法行為と相当因果関係の範囲内にある弁護士費用90万円の合計998万8200円が,1審原告の損害額となる。 よって,1審原告は,1審被告西部機販に対し,998万8200円の損害賠償を求める。」(14) 原判決33頁9行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。 「ウの2 本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)による損害について(当審における予備的請求関係)いずれも争う。 1審被告ワンマンないし同西部機販が本件装置3の販売により得た利益をもって1審原告の損害と推定することができないこと,1審被告西部機販が本件装置3の販売により利益を得ていないことは,前記ウと同様である。」 5 当審における補充主張(1) 原審の経過に基づく原判決の事実認定の誤り[1審被告らの主張] 1審被告らは,原審において,平成28年1月29日付け第5準備書面及び乙16(以下,これらを合わせて「1審被告ら第5準備書面等」という。)を提出したが、平成28年2月10日の弁論準備期日においてその陳述等を留保され、平成28年3月31日の弁論準備期日において時機に後れたものとして却下された。原判決は,このように,1審被告ら第5準備書面等の陳述等を認めない状態でされたものであるが,これらの準備書面等は,1審原告の第3準備書面に対し,その主張に多くの矛盾点が存在する旨を述べて反論するものである。このような状態でされた原判決は,事実認定に重大な誤りがあるから,取り消されるべきである。 [1審原告の主張]原審においては,第6回弁論準備手続期日(平成27年10月30日実施)に,同年12月10日までに1審被告らは侵害論につき主張立証を尽くすべきことが定められ,第7回弁論準備手続期日 1審原告の主張]原審においては,第6回弁論準備手続期日(平成27年10月30日実施)に,同年12月10日までに1審被告らは侵害論につき主張立証を尽くすべきことが定められ,第7回弁論準備手続期日(同年12月24日実施)に,裁判所は,当事者双方とも侵害論につき他に主張立証がないことを確認した上で,損害論について審理する旨の判断を示したにもかかわらず,第8回弁論準備手続期日(平成28年2月10日実施)に,1審被告らが1審被告ら第5準備書面等を提出しようとしたため,損害論に無関係な書面であることを理由にその陳述等が留保され,第9回弁論準備手続期日(同年3月31日実施)に,いずれも無効論に関するものであることから,時機に後れたものとして却下されたという経過を経たものである。このような経過につき,訴訟手続違背が存在しないことは明らかである。 また,1審被告らは,1審被告ら第5準備書面等の陳述等を認めない状態でされた原判決が事実認定において誤っている旨主張するけれども,その主張内容は不明確であるし,当該陳述等を認めたからといって原判決の判断が覆ることはない。 (2) 争点1(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべき ものか)について[1審被告らの主張]ア本件各発明の概要について(ア) 本件において1審被告らが無効理由の対象として主張している本件各発明の突起物の構成は,本件各発明に含まれている「クリアランスに開口(対面)している凹部(凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」である。原判決は,この「クリアランスに開口(対面)している凹部(凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」を無効理由の対象としてとらえて判断しているものではない点で,誤りである。 (イ) 本件訂正明細書の段落(0026)においては,「突 口(対面)している凹部(凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」を無効理由の対象としてとらえて判断しているものではない点で,誤りである。 (イ) 本件訂正明細書の段落(0026)においては,「突起物は突起・板体のみに限定されることはなく突起・板体以外の切り溝,凹凸,ローレットからなる構成物を含むこと」が開示されているところ,1審原告も,原審においてはこれを否認しているが,関連する他の事件においてはこれを認めている。 前記凹凸には,凸部を複数設けて凸部の間に凹部を設けた凹凸と,凹部を複数設けて凹部の間に凸部を設けた凹凸とがある。また,前記切り溝は凹部を形成することのみで設けられるものである。 本件各発明の構成に含まれる凹部及び切り溝は,いずれも,①クリアランスを介して対面している固定状態の選別ケーシングの内周面と回転状態の回転板の外周面との相対移動している両円周面に形成されており,②それぞれがクリアランスを広げるものであり,③選別ケーシングの内周面に形成された場合には乙1文献に開示されている乙1考案と全く同一の構成を具備している(以下,各構成を「構成①」のようにいう。)。 このように防止手段として構成①~③を具備している本件各発明を看過した原判決には誤りがある。 イ無効理由2に関する判断について (ア) 相違点の認定の誤り原判決は,本件各発明と乙4発明の相違点として,本件各発明は「防止手段として突起・板体の突起物を有する」が,乙4発明は「かかる防止手段を具備していない」と認定している。 しかし,本件各発明の防止手段については,構成①~③を有する場合について乙4発明と比較して容易想到性の判断をするべきである。 (イ) 乙2文献に記載された公知技術の認定の誤り乙2文献に記載された公知技術は,乙4発明の凹凸部の ついては,構成①~③を有する場合について乙4発明と比較して容易想到性の判断をするべきである。 (イ) 乙2文献に記載された公知技術の認定の誤り乙2文献に記載された公知技術は,乙4発明の凹凸部のない状態でクリアランスを介して対面している固定状態の選別ケーシングの内周面と回転状態の回転板の外周面との両円周面に凹部又は切り溝を設けることの転用対象としての技術となるか否かの観点より判断すべきであるが,原判決はその判断をしていない。 乙2文献には,「生海苔の異物分離装置において,海苔の異物を除去するためのスリット(クリアランスに相当)を形成する対向面に対して,生海苔のスリットの通過量を制御する手段として凹凸部を設けること,及び凹凸部を設ける場合にはスリットを形成する対向面の双方に設けること」が開示されている。 (ウ) 乙3文献に記載された公知技術の認定の誤り乙3文献に記載された公知技術は,乙4発明の凹凸部のない状態でクリアランスを介して対面している固定状態の選別ケーシングの内周面と回転状態の回転板の外周面との両円周面に凹部又は切り溝を設けることの転用対象としての技術となるか否かの観点より判断すべきであるが,原判決はその判断をしていない。 乙3文献には,「生海苔の異物分離装置において、海苔の異物を除去するためのスリット(クリアランスに相当)を形成する対向面に対して,生海苔のスリットの通過量を制御する手段として凹凸部を設けること, 及び凹凸部を設ける場合にはスリットを形成する対向面の双方に設けること」が開示されている。 (エ) 相違点の容易想到性に関する判断の誤り原判決は,1審被告ら指摘に係る各文献の記載等を見ても,回転板方式を採用した異物分離除去装置において共回り現象を生じることが自明であることを認めることはできない 違点の容易想到性に関する判断の誤り原判決は,1審被告ら指摘に係る各文献の記載等を見ても,回転板方式を採用した異物分離除去装置において共回り現象を生じることが自明であることを認めることはできないとする。 しかし,合計4社の当業者が,本件特許の出願前に,乙4発明にはクリアランスに目詰まりが発生するという問題点を把握し,その対策を進めてそれぞれ特許出願をしたことは明らかである。このクリアランスに発生する目詰まりは,本件特許の明細書に開示されている乙4発明に係る問題点と同一の問題点であり,クリアランスに目詰まりが発生するということは当然に共回り現象が発生していたこととなる。この点は,本件特許の出願前において,乙4発明の装置を用いて海苔の製造をしていた海苔製造業者においても大問題であり,海苔生産業界全体において解決すべき問題として把握されていた。 したがって,原判決の判示内容は,乙4文献に共回り現象を防止する内容の記載があること,及び共回り現象につき1 審原告以外にも当業者が広く認識していたことを看過したものであり,誤りである。 (オ) 乙4発明に対する乙2文献及び乙3文献記載の公知技術の適用に関する判断の誤り原判決は,仮に当業者において乙4発明に対する乙2文献及び乙3文献記載の公知技術の適用を試みたとしても,異物分離除去の仕組みが乙4発明とは異なる乙2文献及び乙3文献記載の技術をどのように適用するのか想定することはできない上,乙2文献及び乙3文献には突起物の構成は開示されていないため,本件各発明の構成に至ることはできないと判示する。 しかし,1審原告は,原審において原判決の上記判示と同旨の主張をするところ,この1審原告の主張は,別件特許無効審判事件における主張と矛盾するものであり,認められない。 乙2文献及び乙3 しかし,1審原告は,原審において原判決の上記判示と同旨の主張をするところ,この1審原告の主張は,別件特許無効審判事件における主張と矛盾するものであり,認められない。 乙2文献及び乙3文献記載の技術は,乙4発明と同様に海苔の異物を除去するための装置であり,技術分野を同一とするものであるから,当業者が容易に寄せ集めることができるものである。 そうすると,主引用例である乙4発明におけるクリアランスを形成するために周方向に相対移動しながら対面している環状固定板(環状枠板部)の内周端面(本件各発明の円周面及び円周端面に相当)と第一回転板の外周端面(本件各発明の円周面及び円周端面に相当)に対し,目詰まりを防止するためにそれぞれ相対移動している凹凸部を設けるという乙2文献及び乙3文献に開示されている周知技術を適用して,防止手段を構成①~③とすることは,当業者にとって容易に想到し得たものである。 したがって,本件各発明は無効理由2によって無効とされるべきものであり,容易想到性に関する原判決の判示には誤りがある。 ウ無効理由1に関する判断について(ア) 乙1考案の概要に関する認定の誤り乙1考案は,乙1文献の記載に鑑みると,以下のとおり認定されるべきである(下線部は,原判決の認定に対し加入されるべき部分である。)。 「混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連接し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状 枠板部の内周縁に所要数の前記クリアランスに開口している凹部を形成するとともにこの凹部における するとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状 枠板部の内周縁に所要数の前記クリアランスに開口している凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられて共回りし上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができることを特徴とする生海苔の異物分離除去装置。」(イ) 本件各発明と乙1考案の対比における認定の誤り原判決は,共回りの課題について,乙1考案には共回りの発生原因や解決手段はもちろん共回りの課題についての記載は一切なく,乙8~11によっても乙1考案の出願時において共回りの課題が当業者に周知となっていたとは認めがたい,などと判示している。 しかし,これは,乙1文献に共回り現象の防止に関する内容の記載があること,共回り現象が発生していたことを1審原告以外においても当業者が広く認識していたことを看過した判断であり,誤りである。 (ウ) 本件各発明の構成の認定の誤り原判決は,本件各発明が防止手段として規定する「突起物」は所定の面又はクリアランスに突き出たものと解されるから,部分的にクリアランスの幅を広げるものである乙1考案における凹部がこれに該当するということはできない,と判示する。 しかし,本件各発明には,防止手段として構成①~③を具備するものが含まれるところ,このうち構成③は乙1考案と全く同一の構成を具備している。この構成③に言及しない点で,原判決の認定には誤りがある。 [1審原告の主張]ア無効理由に関する原判決の判断はいずれも正当である。 イ 1審被告らは,無効理由の対象としての本件各発明の突起物の構成 構成③に言及しない点で,原判決の認定には誤りがある。 [1審原告の主張]ア無効理由に関する原判決の判断はいずれも正当である。 イ 1審被告らは,無効理由の対象としての本件各発明の突起物の構成につき,本件各発明に含まれる「クリアランスに開口(対面)している凹部 (凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」である旨主張するけれども,クレームの記載に基づかない主張であり失当である。そうである以上,本件各発明の概要に関するこのような主張を前提としたその余の主張も失当である。 (3) 争点2(1審被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,1審被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか)について[1審原告の主張]ア 1審被告ワンマンらは,1審被告ニチモウが同ワンマンを支配し,その行為を制御し得る関係にある。すなわち,1審被告ニチモウは,自らが100%出資する連結子会社として同ワンマンを設立し,その経営を完全に支配するとともに,その業務の適正を確保するために必要な体制を構築しなければならず,そのような体制を築く以上,常に同社を管理監督していなければならないのであって,1審被告ニチモウがニチモウグループという企業集団を形成した状態において,1審被告ワンマンは,実質的に同ニチモウの手足すなわち一事業部門と考えるべきである。実際,その社名,登録商標「ニチモウワンマン」の商標権並びに1審被告ワンマンの本社及び工場の所有権の帰属関係や取引の実情等は,対外的に両者の一体性を強く印象付けるものであるし,役員の構成もこれを裏付ける。 よって,1審被告ワンマンがその業務遂行の一環として行った海苔機資材の販売については,同社としての行為であると同時に1審被告ニチモウの行為でもあると考えるのが実態に即した評価である。 イ ける。 よって,1審被告ワンマンがその業務遂行の一環として行った海苔機資材の販売については,同社としての行為であると同時に1審被告ニチモウの行為でもあると考えるのが実態に即した評価である。 イ 1審被告ワンマンは,本件装置1の販売により4097万9593円の,本件装置3の販売により507万0600円の利益を得たところ,この利益は,形式的には同社に属することになるが,同社は1審被告ニチモウの連結対象子会社であるから,同ニチモウの連結経営指標等における 売上高,経常利益等の対象に含まれ,実質的に同ニチモウの会社価値に反映される。すなわち,1審被告ワンマンが本件特許権侵害行為により利益を得たということは,同ニチモウが利益を得たということである。 ウこのような1審被告ニチモウと同ワンマンの関係を考慮すれば,本件装置1の販売行為による利益は最終的に同ニチモウのものと評価されるのであって,このような事実関係からすれば,同ワンマンによる本件装置1の販売行為は同ニチモウの行為とも評価されるべきであり,両者の共同不法行為(本件共同不法行為1)が成立すると判断すべきである。 [1審被告ワンマンらの主張]原判決の判断は相当である。 会社法上,親会社と子会社の関係は,それぞれ別の法人格を有することを前提に規定されていることに照らすと,支配関係の有無と法主体性は切り離して考えるべきことは明らかであり,1審原告指摘に係る1審被告ニチモウによる同ワンマンの経営の支配は,いかに評価しようとも,両者による共同不法行為を基礎付ける事情とはならない。1審被告ニチモウが同ワンマンの取締役等に対する監督義務を負う点についても同様である。 また,1審被告ワンマンの本件特許権侵害行為により同ニチモウに利得が生じていたとしても,直ちに両者間に共同不法行為が成 ニチモウが同ワンマンの取締役等に対する監督義務を負う点についても同様である。 また,1審被告ワンマンの本件特許権侵害行為により同ニチモウに利得が生じていたとしても,直ちに両者間に共同不法行為が成立するものではない。さらに,連結経営指標等が考慮されて株価が形成され,ひいては1審被告ニチモウの会社としての評価につながることがあるとしても,それをもって直ちに,1審被告ニチモウが同ワンマンの本件特許権侵害行為により利益を得たことにはならない。 (4) 争点3(主位的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2が成立するか)及び争点3の2(予備的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)がそれぞれ成立 するか)について[1審原告の主張]ア 1審被告西部機販が同ワンマンに本件装置3を発注し,同ワンマンが渡邊機開にこれを再発注した行為について,原判決は,発注行為に限定して,これらは「いずれも正当な取引行為」と認定したが,発注の相手方の受注行為を無視している点で失当である。特許権侵害(すなわち特許権者に対する不法行為)が成立するのは,侵害品の移転に向けた意思表示をすることは勿論,それに基づいて受領者側に対して引き渡す行為でも同様であると理解すべきは当然である。1審被告西部機販の発注に基づき同ワンマンが同西部機販に販売した行為,同ワンマンの発注に基づき渡邊機開が同ワンマンに販売した行為は,いずれも本件特許権侵害行為であって,正当な行為ではない。 イ 1審被告ワンマンが,後日,渡邊機開から納入された本件装置3を同西部機販に納入し,同西部機販が同装置を鬼崎漁協に納入した行為について,原判決は、いずれも自らの義務の履 て,正当な行為ではない。 イ 1審被告ワンマンが,後日,渡邊機開から納入された本件装置3を同西部機販に納入し,同西部機販が同装置を鬼崎漁協に納入した行為について,原判決は、いずれも自らの義務の履行として行われたものであって,これが原告に対する不法行為を構成するとは認められない旨判断した。 しかし,1審被告ワンマンの同西部機販に対する本件装置3の納入行為は本件特許権の侵害品の「譲渡」に該当するから,同ワンマンの1審原告に対する本件特許権侵害行為(不法行為)が成立する。また,1審被告西部機販が本件装置3を鬼崎漁協に納入した行為も,本件特許権の侵害品の「譲渡」に該当するから、同西部機販の1審原告に対する本件特許権侵害行為(不法行為)が成立する。 ウ 1審被告ワンマンの行為を同ニチモウの行為と同一視し得ることは,前記のとおりである。 また,1審被告Yは,同ワンマンの代表取締役として,同社の本件特許権侵害行為を含む一連の行為を率先して行ったことは明らかであるか ら,その不法行為が成立することは明らかである。 [1審被告らの主張]ア主位的請求について原判決の判断は相当である。 渡邊機開による1審被告ワンマンに対する引渡し,同ワンマンによる同西部機販に対する引渡し,及び1審被告西部機販による鬼崎漁協に対する納品は,それぞれ,各当事者間で締結した売買契約の履行として行われたものであり,独立した行為である。したがって,これらの行為を一連の行為として1審被告らに共同不法行為が成立するとの1審原告の主張は失当である。 イ予備的請求について本件装置3につき,1審被告ワンマン及び同西部機販の各販売行為が本件特許権侵害行為であったとしても,1審原告に生じた損害は,1審原告が主張するほど過大なものではない。 (5) 争点4(差 ついて本件装置3につき,1審被告ワンマン及び同西部機販の各販売行為が本件特許権侵害行為であったとしても,1審原告に生じた損害は,1審原告が主張するほど過大なものではない。 (5) 争点4(差止請求権の存否及び範囲)について[1審被告らの主張]ア原判決は,本件特許が有効であることを前提に,1審被告らに対し差止めを命じる判決をしているが,本件特許は無効である。 イ原判決は,本件固定リングにつき本件各発明の実施品に当たる本件装置の生産にのみ用いる物と判断した。 しかし,本件固定リングは,現在においては新型であるLSシリーズに用いることができるものであるから,仮に本件特許が有効であったとしても,本件固定リングについて差止めは認められない。 [1審原告の主張]争う。 (6) 争点5(損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。))について [1審被告ら]ア原判決は,1審原告が販売店でなく製造業者であるという事実のみから,1審原告がその取引先への販売の機会を持ち得なかったということはできず,他に1審原告が取引の機会を奪われたとはいえない特段の事情もないとして,法102条2項を適用し,本件装置を販売することによって1審被告らが得た利益をもって1審原告の損害と推定した。 しかし,原判決の判断は,以下のとおり,本件装置を含む海苔の加工機械類の販売態様を全く考慮しない誤ったものである。 イ生海苔異物除去機の販売に販売店の介在が不可欠であること現在販売されている回転板方式の生海苔異物除去装置の最大の特徴は,選別ケーシングの円周面と回転板の円周面との間に設けられたわずかなクリアランスに生海苔混合液を通過させ,これを通過できない異物を分離除去する点にあるところ,このクリアランスは,時期により大きく異なる海苔の状 ングの円周面と回転板の円周面との間に設けられたわずかなクリアランスに生海苔混合液を通過させ,これを通過できない異物を分離除去する点にあるところ,このクリアランスは,時期により大きく異なる海苔の状態に合わせて調整しなければならず,出荷時の調整のみで対応できるものではない。また,海苔の生産者は,収穫時期の間は絶え間なく海苔の収穫及び加工を行うところ,海苔の加工機械に少しでも異常が生じれば直ちに販売店に連絡を取って対応を求めることから,販売店は,海苔の収穫期には夜通しの対応を必要とされる。しかも,このようなアフターサービスは,呼出しの内容にもよるものの基本的には無償での対応であることから,製造業者は,販売店がアフターサービスのために多大な負担を追うことを前提に,生海苔異物除去装置の仕切り価格を決定する。 このように,生海苔異物除去装置は,アフターサービスを前提として販売がされるのであり,販売店が,このようなアフターサービスの負担に対する対価をも含んだ利益を享受するためには,生産者の要望に対応するために人員を配置することが必要不可欠である。 また,生海苔異物除去装置を含む海苔の加工機械類は総じて大型であり,納入,据付けまでを一体のものとして生産者から受注するところ,据付けに必要となる周辺備品類(接続ホース等)は販売店が負担することになり,その費用は基本的に製品の販売価格に含まれている。製造業者はこうした費用を負担しない。 したがって,単なる製造業者であってアフターサービスのための人員を有していない1審原告に,販売店が本件装置の販売によって得た利益相当額の損害が発生することはおよそあり得ないのであって,販売店の得た利益をもって1審原告の損害と推定することはできない。 ウ 1審被告西部機販の取引について1審被告西部機販は によって得た利益相当額の損害が発生することはおよそあり得ないのであって,販売店の得た利益をもって1審原告の損害と推定することはできない。 ウ 1審被告西部機販の取引について1審被告西部機販は,本件装置に関するすべての取引について,生産者に対して直接販売し,アフターサービスを負担したことから,その販売により得た利益をもって1審原告の損害と推定することはできない。 エ 1審被告ワンマンの販売形態の特殊性について(ア) 1審被告ワンマンは,生産者(エンドユーザー)に対して直接販売する以外にも,生産者に対するアフターサービスを負担する販売店に対し,本件装置を自社製品である全自動海苔乾燥機等と併せて販売する場合もあった。 このうち,卸売りの場合,1審被告ワンマンはアフターサービスを負担しないが,この場合も全自動海苔乾燥機と併せてでなければ生産者(又は二次販売店)は本件装置を購入しないことから,1審原告が1審被告ワンマンに代わって,本件各発明の実施品を販売する機会を有し得ないことに変わりはない。 他方,直売の場合,1審被告ワンマン自らがアフターサービスを行う場合と,認定店舗にこれを委託する場合とがある。前者の場合,1審被告ワンマンの営業所がアフターサービスを負担することから,1審被告 ワンマンが本件装置を販売することにより得た利益には,このような負担分の利益も含まれる。後者の場合,アフターサービスの委託に伴い販売店に支払われる対価は本件装置を販売するのに直接関連して追加的に必要になった経費として控除されるべきである。 (イ) 国の事業として実施される入札により本件装置を販売した取引については,補助金等の交付を受けることができるものであり,また,入札の対象となっているのは全自動海苔乾燥機であって,本件で問題となっている生 の事業として実施される入札により本件装置を販売した取引については,補助金等の交付を受けることができるものであり,また,入札の対象となっているのは全自動海苔乾燥機であって,本件で問題となっている生海苔異物除去装置はその附帯施設として扱われることから,入札に参加できるのは全自動海苔乾燥機の製造業者だけであり,1審原告がこのような入札に参加することはおよそ不可能である。 (ウ) 1審被告ワンマンは,韓国に対しても本件装置を販売しているところ,その販路は1審被告ワンマンの営業努力により開拓されたものであり,1審原告が海外の生産者に対する販路を有することはない。したがって,韓国の生産者に対する販売行為により1審被告ワンマンが受けた利益をもって1審原告の損害と推定することはできない。 オ寄与率について(ア) 原判決は,本件装置における本件各発明の寄与率を100%であると認定したが,以下のとおり,この認定は誤りである。 (イ) 本件装置は,選別ケーシング(固定リング)と回転円板との間に設けられたわずかなクリアランスに生海苔混合液を通過させることにより,クリアランスを通過できない異物を分離除去するものであるところ,このような装置自体は本件各発明以前から用いられているものであって,従来の装置における不具合(目詰まり・共回り)を防止する機能を本件各発明により付加することで本来的な目的である異物の分離除去を効率的に行うことができるという限度においてのみ、従来の装置と異なるのである。このため,本件各発明は本件装置の販売に一 定程度しか寄与しないものということができる。 また、本件各発明が効用を発揮するのは海苔の収穫期が終わりに近づいたごく短い期間(長くとも1か月程度の期間(収穫期全体の5分の1以下))のみであり,それ以外の時期には,む ものということができる。 また、本件各発明が効用を発揮するのは海苔の収穫期が終わりに近づいたごく短い期間(長くとも1か月程度の期間(収穫期全体の5分の1以下))のみであり,それ以外の時期には,むしろ海苔の品質低下を招来するという弊害すらある。 (ウ) 1審被告らは,本件装置のみならず,本件各発明を実施した1審原告の製品をも生産者に対して販売しているが,現実には,1審原告の製品よりも本件装置の方が,圧倒的に販売台数が多い。これは,本件装置を製造する渡邊機開製の方が1審原告の製品よりもつくりが丁寧であり,不具合が少ないという事情による。このように,本件特許とは無関係な部分において本件装置は選ばれている。 (エ) 以上の諸事情を考慮すれば,本件装置の販売に当たって本件特許が寄与した割合は,到底100%ではなく,せいぜい10%にとどまると解するべきである。 カ消滅時効について(ア) 原判決は,本件訴訟の提起日の3年前の時点において1審被告ワンマン及び同西部機販による本件特許権侵害及びこれにより1審原告に損害が生じたことを1審原告が現実に了知していたと認めるに足る証拠はないとして、1審被告らの消滅時効の主張を排斥した。 しかし,以下のとおり,1審原告は,遅くとも平成22年6月16日までには、1審被告らが本件装置を販売していた事実を認識していたというべきである。 (イ) 1審原告は,渡邊機開が本件装置を販売している事実を平成18年の段階で認識していたにもかかわらず、何らの調査もしていない。また,1審被告らは1審原告の製品も取り扱っており,同一の生産者に対し,生海苔異物除去装置については本件装置を販売しつつ,他の海 苔の加工機械類については1審原告の製品を販売することもあるところ,そのような生産者の下に他の加工機械類のメ 同一の生産者に対し,生海苔異物除去装置については本件装置を販売しつつ,他の海 苔の加工機械類については1審原告の製品を販売することもあるところ,そのような生産者の下に他の加工機械類のメンテナンス等のために1審原告の担当者が訪問することも当然あるのであるから,1審原告は,1審被告らが本件装置を販売していることを認識していたのである。 仮に,1審原告が具体的な販売の事実まで認識していなかったとしても、渡邊機開が本件装置を販売している事実を認識しており、かつ、1審被告らにおいて1審原告の製品を販売していない取引先が存在することを認識している以上、1審原告は,1審被告らが生産者に対して本件装置を販売している事実を十分に認識し得たのであり,その調査も容易であって,損害の発生及び加害者の認識としては十分である。 (ウ) 本件のように,被害者が,具体的な販売等行為の存在までは把握していなかったとしても,加害者において不法行為が行われている蓋然性が高いことを認識し,具体的な不法行為の存在についても容易に認識し得たという状況にあったのであれば,被害者を保護する必要性はないというべきである。他方,1審被告らは,本件特許につき無効と考えており,自らの販売等行為が不法行為を構成するとは到底考えていないのであるから,不法行為の成立を自ら認識し,販売を停止することはおよそあり得ない。また,1審被告らが1審原告に対し敢えて本件装置の販売等行為を隠していたという事情は存在しない。 したがって,仮に1審被告らによる本件装置の販売等行為により損害が拡大していたとしても,それは1審原告が容易に行うことのできた調査を怠ったからにほかならず,その不利益は1審原告が負担すべきである。本件において消滅時効が進行しないと解することは,権利関係の早期安定という時 たとしても,それは1審原告が容易に行うことのできた調査を怠ったからにほかならず,その不利益は1審原告が負担すべきである。本件において消滅時効が進行しないと解することは,権利関係の早期安定という時効制度の趣旨を没却するものであり,到底許されない。 キ消費税の取扱いについて 原判決は,消費税を加算した金額をもって損害額と推定しているが,法102条2項は侵害行為により得た「利益」をもって特許権者の損害と推定するところ,消費税は国及び地方公共団体に対して納税されるものであるから,1審被告らの得た利益ではない。したがって、上記「利益」に消費税は含まれないと解すべきである。 [1審原告の主張]ア 1審被告らの上記主張はいずれも争う。 イアフターサービスの点については,一般論として販売店がこれを行っていることは認めるが,それを無償とするかどうかの対応は販売店によって異なる。また,その事実自体をもって法102条2項の推定覆滅事由とすることは,主張自体失当である。 ウ寄与率の点については,現段階の技術水準では,生産者の要求性能に応じた生海苔異物除去装置を作るためには本件各発明を実施せざるを得ないのであって,本件装置の販売において本件各発明は100%寄与している。 エ消費税の点については,1審原告が1審被告らから支払を受けるべき損害賠償は逸失利益相当額であるところ,これは,実際に得られたはずの利益に相当するものであるから,売価,経費ともに消費税込みの金額として計算するのは当然である。 第3 当裁判所の判断 1 原審の経過に基づく原判決の事実認定の誤りの有無(1) 原審記録中の各弁論準備手続調書によれば,1審被告ら第5準備書面等に関係する審理の経過は,以下のとおりであったことが認められる。 ア第6回弁論準備手続期日 く原判決の事実認定の誤りの有無(1) 原審記録中の各弁論準備手続調書によれば,1審被告ら第5準備書面等に関係する審理の経過は,以下のとおりであったことが認められる。 ア第6回弁論準備手続期日(平成27年10月30日実施)において,1審被告らは,同年12月10日までに,侵害論につき,主張及び立証を尽くす旨陳述した。 イ第7回弁論準備手続期日(同月24日実施)において,1審被告らは,第3準備書面の陳述等を行い,また,当事者双方は,侵害論につき他に主張及び立証はない旨陳述した。これを受け,受命裁判官は,損害論について審理する旨述べた上で,1審被告らに対し,本件装置及び本件各部品につき1審被告ワンマンの仕入金額及び売上金額を明らかにするよう求めた。 ウ第8回弁論準備手続期日(平成28年2月10日実施)において,1審被告らが侵害論に関する第5準備書面等を提出したが,その陳述等は留保になり,第9回弁論準備手続期日(同年3月31日実施)において,受命裁判官は,1審被告ら第5準備書面等を,時機に後れて提出した攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認められるとして,却下した。 (2) 以上のような原審の審理の経過によれば,1審被告ら第5準備書面等につき却下した原審の訴訟手続につき違法ないし不当とすべき点はない。 (3) 1審被告らは,1審被告ら第5準備書面等の陳述等が認められなかったことを理由に,原判決には事実認定に重大な誤りがある旨主張するところ,1審被告ら第5準備書面における主張内容は,主として,1審原告が,第3準備書面においては,本件各発明の構成として「突起物として凹凸を含まない」旨主張しているにもかかわらず,別件訴訟においては「突起物として凹凸を含む」旨主張しており,主張が矛盾する旨指摘す 告が,第3準備書面においては,本件各発明の構成として「突起物として凹凸を含まない」旨主張しているにもかかわらず,別件訴訟においては「突起物として凹凸を含む」旨主張しており,主張が矛盾する旨指摘するものと理解される。 ここで,1審被告ら指摘に係る別件訴訟における1審原告の主張の記載部分は,具体的には以下のとおりである(当事者間に争いがない。)。 ・「構成要件B’1『突起・板体の突起物』における『突起』とは,『ある部分が周囲より高く突き出ていること。また,そのもの。でっぱり。』の意味で用いられる語であり,本件訂正明細書等の【0026】においては,『切り溝、凹凸、ローレット等の突起物』と記載さ れている。 突部Dの形状が,この『凹凸等の突起物』に該当することは明らかであるから,突部Dは構成要件B’1の『突起・・・の突起物』に該当する。」・「これは,本件訂正明細書【0026】において『切り溝、凹凸、ローレット等の突起物を1ヶ所又は数ヵ所、或いは全周に設ける』と記載され、『切り溝』『凹凸』『ローレット』等のように回転板(や選別ケーシング)に対する加工を前提とした記載がなされているからである。 従って、本件新装置のように回転円板3の表面3bの一部を加工して突部Dを形成する場合が含まれることは当然である。」上記記載部分は,要するに,「突起」の語の辞書的意義及び本件訂正明細書の記載を考慮すれば,突部Dが「突起…の突起物」に該当する旨を論ずるものと理解するほかないのであって,「突起物として凹凸を含む」とする趣旨とは理解し得ない。凹凸についての言及は,凸部の形成手段としてされているにすぎないことは明らかである。そうすると,1審原告の主張は,本件と別件訴訟とにおいて相矛盾するものとは見られない。 (4) したがって,この点に関する いての言及は,凸部の形成手段としてされているにすぎないことは明らかである。そうすると,1審原告の主張は,本件と別件訴訟とにおいて相矛盾するものとは見られない。 (4) したがって,この点に関する1審被告らの主張は,そもそもその前提を欠き,採用し得ない。なお,本件各発明の構成として「突起物として凹凸を含む」か否かについては,後記2のとおりである。 2 争点1(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものか)について(1) 争点1に関する当裁判所の判断は,(2)から(4)のとおり補充するほかは原判決第3「当裁判所の判断」の1「争点1(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものか)について」記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 本件各発明の概要について1審被告らは,本件各発明の「防止手段」につき,構成①~③を具備するものが含まれる旨主張する。 しかし,本件各発明では,防止手段を「突起・板体の突起物」とする旨規定され(構成要件B1,B’1,B’’1),「突起・板体の突起物』以外のものが防止手段に含まれないことが明確に理解されるところ,「突起」とは,「ある部分が周囲より高く突き出ていること。また,そのもの。でっぱり」を意味する語であるから,「突起・板体の突起物」とは,所定の面あるいはクリアランスに突き出たもの,又は所定の面あるいはクリアランスに突き出たものであって,板状のものであると解される。これに対し,単なる「凹部」又は「切り溝」は,所定の面あるいはクリアランスに突き出たもの,又は所定の面あるいはクリアランスに突き出たものであって,板状のもののいずれにも当たらないことは明らかである。 そうすると,「凹部」又は「切り溝」は突起・板体の突起物に該当しないから,本件各発明の「 所定の面あるいはクリアランスに突き出たものであって,板状のもののいずれにも当たらないことは明らかである。 そうすると,「凹部」又は「切り溝」は突起・板体の突起物に該当しないから,本件各発明の「防止手段」に含まれない。 また,構成①につき,クリアランスを介して対面している固定状態の選別ケーシングの内周面と回転状態の回転板の外周面との相対移動している両円周面に形成されている凹部又は切り溝は,それ自体が,所定の面又はクリアランスに突き出たものに該当しない。構成②については,凹部又は切り溝は,それぞれがクリアランスを広げるものである以上,当該凹部又は切り溝は,所定の面又はクリアランスに突き出たものには当たらない。構成③については,①,②を満たす凹部又は切り溝が,選別ケーシングの内周面に形成された場合においても,所定の面又はクリアランスに突き出たものに該当しないことは明らかである。 以上より,構成①~③を具備しているものが本件各発明の「防止手段」に含まれるとはいえない。 よって,この点に関する1審被告らの主張は採用し得ない。 (3) 無効理由2についてア 1審被告らは,本件各発明の「防止手段」には構成①~③を具備するものが含まれるところ,原判決は,これと乙4発明との比較をしていない旨を主張する。 しかし,本件各発明の「防止手段」に構成①~③を具備するものが含まれるとはいえないことは,前記のとおりである。 また,1審被告ら主張に係る乙2文献及び乙3文献記載の技術の認定の誤りについては,いずれも,本件各発明に構成①~③を具備するものが含まれることを前提とするものと見られるから,この点に関する1審被告らの主張も失当である。 イ次に,1審被告らは,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,生海苔の目詰まり(共回り)と のが含まれることを前提とするものと見られるから,この点に関する1審被告らの主張も失当である。 イ次に,1審被告らは,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,生海苔の目詰まり(共回り)という課題は認識されていた旨主張する。 「共回り」とは,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,「生海苔及び異物が,回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は生海苔等が,クリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象であり,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する状況等」(本件訂正明細書の段落【0003】)である。この記載によれば,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,共回りは,クリアランスの目詰まりの原因にはなり得るものの,クリアランスに目詰まりを起こすことが認識されていたことをもって直ちに共回りという現象が認識されていたことにならないことは明らかであるといってよい。 また,乙8~13には,いずれも「シンワ式原草海苔異物除去洗浄機 CFW-36型」との記載とともに,「特長」欄に「⑦目づまり防止付。」との記載はあるものの,回転板方式を採用した異物分離除去装 置において共回り現象を生じることについては,何ら記載されていない。 また,甲27の6の1,甲27の18の1,甲27の10は,本件出願時公然知られたものではない上,いずれの証拠にも,共回り現象については何ら記載がない。そうである以上,上記各証拠は,当業者が,本件各発明の特許に係る出願時に,回転板方式を採用した異物分離除去装置において共回り現象を認識していたことの証拠とはならない。 以上より,本件各発明に係る特許の出願時において,回転板方式を採用した異物分離除去装置につき共回り現 ,回転板方式を採用した異物分離除去装置において共回り現象を認識していたことの証拠とはならない。 以上より,本件各発明に係る特許の出願時において,回転板方式を採用した異物分離除去装置につき共回り現象が生じることを示す証拠はなく,このような装置において共回り現象が生じることが当業者に自明であったともいえない(なお,この点を措くとしても,乙4発明に乙2文献及び乙3文献の公知技術を適用することはできないから,1 審被告らの主張はいずれにせよ失当である。)。 ウ 1審被告らは,乙4発明に対し乙2文献及び乙3文献記載の公知技術を適用し得る旨主張する。 乙4発明並びに乙2文献及び乙3文献記載の技術は,いずれも原判決のとおりのものと認められるところ,回転部材による遠心力を利用する乙4発明と,そうではない乙2文献及び乙3文献記載の技術は,それぞれ前提とする方式が異なるため,生海苔から異物を除去するという点で共通するとしても,乙4発明に乙2文献及び乙3文献記載の技術を具体的にどのように適用するかについて想定することができず,乙4発明に,乙2文献及び乙3文献に記載された技術を適用する動機もないことは,原判決の述べるとおりである。 また,前記のとおり,本件各発明の「防止手段」には所定の面又はクリアランスに突き出たものに該当しない「凹部」又は「切り溝」は含まれないところ,乙2文献及び乙3文献記載の技術は,凹部を有するものの,所定の面又はクリアランスに突き出たものを有するものではないか ら,その構成においても異なるものである。すなわち,本件各発明は,「防止手段」を突起・板体の突起物とすることで,「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解 「防止手段」を突起・板体の突起物とすることで,「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件訂正明細書段落【0020】)ようにしたものであるが,乙4発明並びに乙2文献及び乙3文献記載の技術のいずれも,このような防止手段を開示するものではない。そうすると,本件各発明は,乙4発明並びに乙2文献及び乙3文献記載の技術から,当業者が容易に想到し得たものということはできない。 エその他1審被告らがるる主張する事情を考慮しても,この点に関する1審被告らの主張は採用し得ない。 (4) 無効理由1についてア 1 審被告らは,乙1 文献には共回り現象の防止に関する内容の記載があることや,共回り現象が発生していたことを1 審原告以外においても当業者が広く認識していたことを看過した点,本件各発明には「防止手段」として構成①~③を具備するものが含まれているところ,このうち構成③は乙1考案と全く同一の構成を具備しているにもかかわらずこれを考慮しない点で,原判決の認定には誤りがある旨主張する。 イ乙1考案は,原判決の認定のとおり,「環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる」ようにしたものである。そうすると,乙1考案では,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が回転板によ っ した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる」ようにしたものである。そうすると,乙1考案では,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が回転板によ って引きずられるという点で,共回りと共通する状況を念頭に置いているものと見ることができる。 しかし,前記のとおり,所定の面又はクリアランスに突き出たものに該当しない「凹部」又は「切り溝」は,本件各発明の「防止手段」に含まれない。すなわち,本件各発明は,防止手段を突起・板体の突起物とすることで,「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件訂正明細書段落【0020】)ようにしたものであるが,乙1考案はこのような防止手段を備えるものではない。 したがって,本件各発明が乙1考案と同一であるとはいえない。 ウ以上より,この点に関する1審被告らの主張は採用し得ない。 3 争点2(1審被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,1審被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか)について(1) 争点2に関する当裁判所の判断は,(2)のとおり補充するほかは原判決第3「当裁判所の判断」の2「争点2(被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか)について」記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 1審原告は,1審被告ニチモウによる同ワンマンの経営の完全な支配及び管理監督関係等を指摘し,1審被告ワンマンがその業務遂行の一環として行った海苔資機材の販売については,同社の行為である 。 (2) 1審原告は,1審被告ニチモウによる同ワンマンの経営の完全な支配及び管理監督関係等を指摘し,1審被告ワンマンがその業務遂行の一環として行った海苔資機材の販売については,同社の行為であると同時に1審被告ニチモウの行為でもあると考えるのが実態に即する旨主張するけれども,1審被告ワンマンは,同ニチモウの100%子会社であるとはいえ別の法人であり,民事上の損害賠償責任を考える上で,そのような資本関係及びこれに基づく会社法制上の規制等を根拠に,直ちに1審被告ワンマンの業務上の行為 をもって同ニチモウの行為と見ることはできない。 したがって,この点に関する1審原告の主張は採用し得ない。 4 争点3(主位的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2が成立するか)について(1) 1審被告ワンマンが渡邊機開から本件装置3を購入し,これを1審被告西部機販に売却したこと,1審被告西部機販がこれを鬼崎漁協に売却したことについては,いずれも当事者間に争いがない。 また,上記1審被告ワンマンの同西部機販に対する売却及び同西部機販の鬼崎漁協に対する売却は,それぞれ,本件特許権の侵害行為に当たるということができる。 (2) 1審原告は,この一連の行為につき,1審被告西部機販が本件装置3を1審被告ワンマンに発注し,1審被告ワンマンが同装置を渡邊機開に再発注したところ,渡邊機開は,1審被告Yと相談し,自社の倉庫で保管していた本件装置3をいったん1審被告ワンマンの本店に運搬し,その後,本件装置3を鬼崎漁協の倉庫へ搬入したなどとして,渡邊機開と1審被告らとの共謀に基づく共同不法行為に当たると主張する。 しかし,1審原告指摘に係る渡邊機開と1審被告Yとの相談をはじめ,渡邊機開と1審被告らとの共謀を認めるに足りる具体的な証拠は ,渡邊機開と1審被告らとの共謀に基づく共同不法行為に当たると主張する。 しかし,1審原告指摘に係る渡邊機開と1審被告Yとの相談をはじめ,渡邊機開と1審被告らとの共謀を認めるに足りる具体的な証拠はない。また,1審被告ワンマンの行為をもって直ちに同ニチモウの行為と見ることができないことは前記と同様である。さらに,1審被告Yは,当時1審被告ワンマンの代表取締役であったとはいえ,その一事をもって直ちに上記共謀に加担したとはいえないし,上記一連の行為を率先して行ったと見るべき具体的な事情の主張立証もない。これらの点は,1審原告の主張につき,共謀の成立時期を一連の売買契約締結時点ではなく,その履行段階(本件装置3の各納入段階)と理解しても同様である。 むしろ,証拠(甲17の1)によれば,平成26年10月31日付けの 別件仮処分決定に半年以上先立つ同年3月20日に渡邊機開と1審被告ワンマンとの間で本件装置3の売買契約が締結され,同年4月25日に手形によりその代金決済も完了したことが認められるところ,これによれば,上記一連の行為は,本件特許権侵害に当たる点を除けば通常の取引行為として開始され,その取引上の義務の履行として各納入行為が行われたものと理解される。 (3) なお,前記のとおり,本件装置3に関する1審被告ワンマンの同西部機販に対する売却及び同西部機販の鬼崎漁協に対する売却は,それぞれ,本件特許権侵害の不法行為となるところ,各行為は,目的物を同じくするとはいえ別個の取引であり,その全体を通じて,又は各行為につきそれぞれ,1審被告らの客観的関連共同性を認めるべき事情は見当たらない。そうである以上,上記一連の行為につき,1審被告らの客観的関連共同性に基づく共同不法行為の成立を認めることもできないというべきである。 (4) 以上よ 観的関連共同性を認めるべき事情は見当たらない。そうである以上,上記一連の行為につき,1審被告らの客観的関連共同性に基づく共同不法行為の成立を認めることもできないというべきである。 (4) 以上より,1審被告らにつき本件共同不法行為2の成立を認めることはできない。この点に関する1審原告の主張は採用し得ない 5 争点3の2(予備的請求)(1審被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2’(1審被告ワンマンら及び同Yについて)及び不法行為(1審被告西部機販について)がそれぞれ成立するか)について(1) 前記のとおり,本件装置3に関する1審被告ワンマンの同西部機販に対する売却及び同西部機販の鬼崎漁協に対する売却は,それぞれ,本件特許権侵害の不法行為となる。 (2) 1審原告は,さらに,1審被告西部機販に対する売却につき,1審被告ワンマンら及び同Yによる本件共同不法行為2’が成立する旨主張する。 しかし,1審被告ワンマンによる同西部機販に対する本件装置3の売却につき,1審被告ワンマンら及び同Yの間に共謀その他主観的関連共同性を基礎付ける事情を認めるに足りる具体的な証拠はない(なお,客観的関連共 同性を基礎付ける事情についても同様である。)。また,1審被告ワンマンの行為をもって直ちに同ニチモウの行為と見ることができないこと,1審被告Yについても,当時1審被告ワンマンの代表取締役であったとの一事をもって直ちに1審被告ワンマンの不法行為に加担したとはいえないし,上記一連の行為を率先して行ったと見るべき具体的な事情の主張立証もないことは,前記のとおりである。 よって,本件共同不法行為2’の成立を認めることはできず,この点に関する1審原告の主張は採用し得ない。 6 争点4(差止請求権の存否及び範囲)について(1) 争点4に関 前記のとおりである。 よって,本件共同不法行為2’の成立を認めることはできず,この点に関する1審原告の主張は採用し得ない。 6 争点4(差止請求権の存否及び範囲)について(1) 争点4に関する当裁判所の判断は,(2)のとおり補充するほかは原判決第3「当裁判所の判断」の4「争点4(差止請求権の存否及び範囲)について」記載のとおりであるから,これを引用する。 (2)ア 1審被告らは,本件特許は無効である旨主張するけれども,1審被告らによる本件特許が無効であるとの主張を採用し得ないことは前記のとおりである。 イまた,1審被告らは,本件固定リングにつき,現在においては新型であるLSシリーズにも用いることができるものであるから,本件装置の生産にのみ用いる物ということはできない旨をも主張する。 しかし,1審被告ら指摘に係るLSシリーズの具体的構成について,1審被告らは,平成28年3月25日付け「被告ら第6準備書面」において,「本件装置に相当する部分を固定リング及び回転板を変更することでLSシリーズの構成に変更して」(8頁),「本件装置をLSシリーズのもの(クリアランスに突出する突起物はなく,固定リング又は回転板に凹部を設ける構造を内容とする。)に付け替えて,本件特許を侵害しない構成に変えている。」(12頁)などと言及するところ,やや判然としないものの,LSシリーズにおいて本件固定リングが用いられ ていないことを前提とする趣旨と理解し得るし,本件固定リングをLSシリーズにも用いることができることについての具体的主張立証もない。 また,弁論の全趣旨によれば,少なくともLSシリーズの販売開始前の段階では,本件固定リングは本件各発明の実施品に当たる本件装置の生産にのみ用いる物ということができたと見られる。 これらの事情に加え, た,弁論の全趣旨によれば,少なくともLSシリーズの販売開始前の段階では,本件固定リングは本件各発明の実施品に当たる本件装置の生産にのみ用いる物ということができたと見られる。 これらの事情に加え,1審被告らにとって,本件固定リングがLSシリーズに用いられていないというのであれば,その具体的根拠を示すことは容易であると考えられることなどの事情を併せ考えると,なお本件固定リングは本件装置の生産にのみ用いる物ということができるというべきである。 ウ以上より,この点に関する1審被告らの主張は採用し得ない。 7 争点5(損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。))について(1) 1審被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売についてア 1審被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売に係る利益額以下の事実については,当事者間に争いがない。 (ア) 1審被告ワンマンは,本件装置1を合計2億8356万4000円(税抜)で仕入れ,これを合計3億2211万2500円(税抜)で販売した。したがって,本件装置1の売上から仕入代金を控除した額は,3854万8500円(税抜)となる。 (イ) 1審被告ワンマンは,本件各部品を合計209万3800円(本件固定リングにつき184万5000円,本件板状部材につき24万8800円。各税抜)で仕入れ,これを合計257万3484円(本件固定リングにつき222万2400円,本件板状部材につき35万1084円。各税抜)で販売した。したがって,本件各部品の売上から仕入代金を控除した額は,47万9684円(税抜)となる。 イ以上より,本件装置1及び本件各部品の販売によって1審被告ワンマン が得た利益(税込。なお,1審原告の主張のとおり,平成26年4月分以降の取引も含め,消費税率は一律に5% )となる。 イ以上より,本件装置1及び本件各部品の販売によって1審被告ワンマン が得た利益(税込。なお,1審原告の主張のとおり,平成26年4月分以降の取引も含め,消費税率は一律に5%として計算する。)は4097万9593円(=(3854万8500円+47万9684円)×1. 05)と認められる。 そうすると,上記利益の額が,本件装置1及び本件各部品の販売という本件特許権侵害の不法行為によって1審原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足りる具体的事情の存在はうかがわれない。 したがって,1審原告は,1審被告ワンマンの本件装置1及び本件各部品の販売により4097万9593円の損害を受けたものと認められる。 また,上記不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害としては,410万円を認めるのが相当である。 (2) 1審被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売についてア 1審被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る利益額以下の事実については,当事者間に争いがない。 (ア) 1審被告西部機販は,本件装置2を合計3425万7000円(税抜)で仕入れ,これを合計3890万円(税抜)で販売した。したがって,本件装置2の売上から仕入代金を控除した額は,464万3000円(税抜)となる。 (イ) 1審被告西部機販は,本件各部品を合計58万1800円(本件固定リングにつき55万円,本件板状部材につき3万1800円。各税抜)で仕入れ,これを合計70万4600円(本件固定リングにつき66万円,本件板状部材につき4万4600円。各税抜)で販売した。 したがって,本件各部品の売上から仕入代金を控除した額は,合計12万2800円(税抜)となる。 イ以上より,本件装置2及 6万円,本件板状部材につき4万4600円。各税抜)で販売した。 したがって,本件各部品の売上から仕入代金を控除した額は,合計12万2800円(税抜)となる。 イ以上より,本件装置2及び本件各部品の販売によって1審被告西部機販が得た利益(税込。なお,消費税率については(1)イと同じく5%とする。)は500万4090円(=(464万3000円+12万2800円)×1.05)と認められる。 そうすると,上記利益の額が,本件装置2及び本件各部品の販売という本件特許権侵害の不法行為によって1審原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足りる具体的事情の存在はうかがわれない。 したがって,1審原告は,1審被告西部機販の本件装置2及び本件各部品の販売により500万4090円の損害を受けたものと認められる。 また,上記不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害としては,50万円を認めるのが相当である。 (3) 1審被告ワンマンによる本件装置3の販売についてア 1審被告ワンマンによる本件装置3の販売に係る利益額1審被告ワンマンが,本件装置3を合計1989万円(税抜)で仕入れ,これを合計2458万5000円(税抜)で販売したことは,当事者間に争いがない。 したがって,本件装置1の売上から仕入代金を控除した額は,469万5000円(税抜)となる。 イ以上より,本件装置3の販売によって1審被告ワンマンが得た利益(税込。ただし,消費税率は8%)は507万0600円(=469万5000円×1.08)と認められる。 そうすると,上記利益の額が,本件装置3の販売という本件特許権侵害の不法行為によって1審原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足りる具体的事情の存在はうかがわ る。 そうすると,上記利益の額が,本件装置3の販売という本件特許権侵害の不法行為によって1審原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足りる具体的事情の存在はうかがわれない。 したがって,1審原告は,1審被告ワンマンの本件装置3の販売により507万0600円の損害を受けたものと認められる。 また,上記不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害としては,50万円を認めるのが相当である。 (4) 1審被告西部機販による本件装置3の販売についてア 1審被告西部機販による本件装置3の販売に係る利益額(ア) 1審被告西部機販による本件装置3の1審被告ワンマンからの仕入金額が,合計2458万5000円(1台当たり409万7500円。 税抜)であることは,当事者間に争いがない。 (イ) 1審被告西部機販による本件装置3の鬼崎漁協に対する販売金額については,1審原告は本件装置の定価(単価550万円)である旨を,1審被告西部機販は単価390万円である旨を,それぞれ主張する。 なお,1審被告西部機販は,上記単価が仕入金額より低額となった理由について,本件装置3の販売は他の機械とのセット販売であるところ,入札価格が1審被告ワンマンと同西部機販との間で合意した販売金額よりも低額となってしまったが,他の機械から利益が出ることもあって入札金額での販売に応じた旨説明している。 この点,「渡辺式海苔機械価格表」(甲6の9)によれば,1審被告西部機販の鬼崎漁協に対する販売当時における本件装置3と同機種の機械(WK-600)の販売価格は定価550万円(税抜)であったことが認められる。他方,「工事費内訳明細書」(乙32)によれば,「原藻異物除去機 WK-600型/渡辺機開工業同等品以上」の単価が390万円(税抜)と )の販売価格は定価550万円(税抜)であったことが認められる。他方,「工事費内訳明細書」(乙32)によれば,「原藻異物除去機 WK-600型/渡辺機開工業同等品以上」の単価が390万円(税抜)として計上されていることが認められる。 しかし,まず,本件装置のような大型かつ高額な装置にあっては,定価販売ではなく一定程度の値引き販売が行われるのが経験則上むしろ通常であると思われる。現に,1審被告西部機販による本件装置3と同機 種の機械の販売金額は,平成21年10月16日付け取引(1台)では単価490万円(当時の定価は500万円(甲6の4)。なお,仕入金額は367万5000円。販売金額及び仕入金額については当事者間に争いがない。),平成26年2月19日付け取引(6台)では単価380万円(当時の定価は本件装置3と同じ。なお,仕入金額が367万2000円であることについては当事者間に争いがない。販売金額について,1審原告は疑義を呈するものの,これと異なる認定をするに足りる具体的な証拠はなく,弁論の全趣旨によれば上記のとおり認められる。)であり,いずれも値引き販売が行われたものと見てよい。そうである以上,本件装置3が定価で販売されたと見ることの合理性はかなり乏しいというべきである。 他方,1審被告西部機販の主張については,1審被告ワンマンとの取決めの経緯及び内容,入札価格の積算根拠,他の機械の仕入金額及び販売金額その他入札の経緯の詳細等につき主張立証がないことから,本件装置3につき販売金額が仕入金額を下回ることに合理的な理由があったとはなお考え難い。また,1審被告西部機販の主張の主要な根拠は上記「工事費内訳明細書」の記載と見られるところ,その表題から明らかなとおり,それ自体は売買契約を直接的に裏付ける書類ではない。その点は措くと お考え難い。また,1審被告西部機販の主張の主要な根拠は上記「工事費内訳明細書」の記載と見られるところ,その表題から明らかなとおり,それ自体は売買契約を直接的に裏付ける書類ではない。その点は措くとしても,1審被告西部機販の説明を前提とすれば,当該金額は,1審被告ワンマンから本件装置3を仕入れる段階で想定していた入札金額よりも実際の入札金額が低額とならざるを得なかったことを受け,個別の機械の販売金額を何らかの方針等に従って調整等したものにすぎないと見る余地は十分にある。そもそも,本件装置3を含むセット販売により全体としては1審被告西部機販に利益が出ていたとすれば,その販売製品群の一部の製品についてのみ販売金額が仕入金額を下回り利益がないものとして取り扱うことに十分な合理性があるとはいい難い。 そこで案ずるに,前記した本件装置3と同機種の販売における粗利率(=(売買金額-仕入金額)÷売買金額×100%。以下同じ。)は,約3.36%(平成26年2月19日付け取引。なお,小数点3桁以下切捨。以下同じ。)及び25%(平成21年10月16日付け取引)であることが認められる。また,同一用途の他機種(WK-500及びWK-550)の取引の粗利率は約20.83%(平成21年10月16日付け「WK-500」1台の取引)及び25%(平成22年10月28日付「WK-500」1台の取引及び平成26年10月24日付け「WK-550」1台の取引)であることが認められる(いずれも,その仕入金額及び販売金額は当事者間に争いがない。)。このうち,平成26年2月19日付け取引は,本件装置3の取引と時期的に近接するとともに,同じくセット販売の形態で行われたとされていること,20%を超える粗利率の取引は,いずれもセット販売の形態によらない売買によるものである 9日付け取引は,本件装置3の取引と時期的に近接するとともに,同じくセット販売の形態で行われたとされていること,20%を超える粗利率の取引は,いずれもセット販売の形態によらない売買によるものであることを考えると,本件装置3の取引の粗利率は,平成26年2月19日付け取引と同程度と考えるのが合理的である。 そうすると,本件装置の販売金額の単価は,424万円と認めるのが相当である。 (X-¥4,097,500)÷X×100%≒3.36%X≒¥4,097,500÷0.9664≒¥4,239,962(ウ) これを前提とすると,1審被告西部機販は,本件装置3を合計2485万5000円(税抜)で仕入れ,これを合計2544万円(税抜)で販売したことが認められる。したがって,本件装置3の売上から仕入代金を控除した額は,58万5000円(税抜)となる。 イ以上より,本件装置3の販売によって1審被告西部機販が得た利益(税込。ただし,消費税率は8%とする。)は63万1800円(=58万 5000円×1.08)と認められる。 そうすると,上記利益の額が,本件装置3及び本件各部品の販売という本件特許権侵害の不法行為によって1審原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足りる具体的事情の存在はうかがわれない。 したがって,1審原告は,1審被告西部機販の本件装置3の販売により63万1800円の損害を受けたものと認められる。 また,上記不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害としては,6万円を認めるのが相当である。 (5)ア以上の認定判断について,1審被告ワンマン及び同西部機販は,本件装置の販売に当たっては,仕入代金以外に納入据付費用,アフターサービス費用等の必要経費が生じているから,これらについても1 (5)ア以上の認定判断について,1審被告ワンマン及び同西部機販は,本件装置の販売に当たっては,仕入代金以外に納入据付費用,アフターサービス費用等の必要経費が生じているから,これらについても1審被告ワンマン及び同西部機販の利益から控除すべきであること,本件特許は本件装置の販売にほとんど寄与しておらず,その売上への寄与率が10%を超えることはないこと,1審被告ワンマン及び同西部機販が本件装置の販売によって得た利益を1審原告の損害と推定することについては,製造業者である1審原告が販売店として得ることのできる利益を稼ぎ出すことは不可能であることなどから,推定覆滅事由があることなどを主張する。 イ(ア) しかし,必要経費の控除の主張については,そもそも,これらの経費が現実に生じたことを認めるに足る証拠もなければ,その算定根拠も概括的なものにとどまり,判然としない。 したがって,本件において控除すべき経費はないというべきである。 (イ) 本件各発明の売上への寄与の程度に関する主張については,本件各発明は,共回り現象の発生を回避してクリアランスの目詰まりをなくし,効率的・連続的な異物分離を実現するものであって,生海苔異物除去装置の構造の中心的部分に関するものといってよい。すなわち, 1審被告ワンマン及び同西部機販指摘のとおり,選別ケーシング(固定リング)と回転円板との間に設けられたクリアランスに生海苔混合液を通過させることによりクリアランスを通過できない異物を分離除去する装置が従来用いられていたとしても,従来の装置は本件各発明が解決課題とする問題点を抱えていることは明らかであり,この点は需要者の購買行動に強い影響を及ぼすものと推察される。このことと,従来の装置の現在における販売実績等の主張立証もないことを考えると,本件各発明 題とする問題点を抱えていることは明らかであり,この点は需要者の購買行動に強い影響を及ぼすものと推察される。このことと,従来の装置の現在における販売実績等の主張立証もないことを考えると,本件各発明の実施は生海苔異物除去装置の需要者にとって必須のものであることがうかがわれる。 他方,本件各発明が本件装置に寄与する割合を減ずべきであるとする1審被告ワンマン及び同西部機販の主張の根拠は,いずれも具体性を欠くものにとどまる。 そうすると,本件各発明が本件装置及び本件各部品の販売に寄与する割合を減ずることは相当でない。 (ウ) 推定覆滅事由の主張については,1審被告ワンマン及び同西部機販の主張は,要するに1審原告が販売店ではなく製造業者であるという事実ゆえに製造業者であるとともに販売も行う1審被告ワンマンや販売業者である同西部機販と同程度に利益を得ることはできない,というにとどまるところ,当該主張事実のみをもって,本件各発明の実施品の顧客吸引力にもかかわらず,1審原告がその取引先に対する販売の機会を持ち得なかったということはできない。他に1審原告が取引の機会を奪われたとはいえない特段の事情もない。 したがって,1審被告ワンマン及び同西部機販の指摘に係る事情は,法102条2項による推定を覆滅するには足りないというほかない。 ウ以上より,この点に関する1審被告ワンマン及び同西部機販の主張はいずれも採用し得ない。 (6) 1審被告ワンマン及び同西部機販は,遅くとも平成22年6月16日の時点において,1審原告が1審被告ワンマン及び同西部機販による本件特許権の侵害及びこれにより1審原告に損害が発生したことを認識し,又は十分に認識し得たことから,同日が民法724条前段の消滅時効の起算点となる旨主張する。 しかし,民法724条前段の 販による本件特許権の侵害及びこれにより1審原告に損害が発生したことを認識し,又は十分に認識し得たことから,同日が民法724条前段の消滅時効の起算点となる旨主張する。 しかし,民法724条前段の消滅時効の起算点は,被害者等が「損害及び加害者を知った時」すなわち損害及び加害者を現実に了知した時点である。 しかるに,1審被告ワンマン及び同西部機販は,要するに1審原告が1審被告ワンマン及び同西部機販による本件特許権侵害の不法行為を知り得た状況にあった旨主張するにとどまる上,現実の了知をうかがわせるに足りる具体的事情の存在を認めるに足りる具体的な証拠もない。 その他1審被告ワンマン及び同西部機販がるる指摘する点を考慮しても,この点に関する1審被告ワンマン及び同西部機販の主張は採用し得ない。 (7) 1審被告ワンマン及び同西部機販は,法102条2項に基づき損害額と推定される「利益」につき消費税は含まれない旨主張する。 しかし,消費税は,国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されるものであるところ(消費税法4条1項),「例えば,次に掲げる損害賠償金のように,その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。…(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金」(消費税法基本通達5-2-5)とされていることに鑑みると,特許権を侵害された者が特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金を侵害者から受領した場合,その損害賠償金も消費税の課税対象となるものと推察される。そうすると,特許権者が特許権侵害による損害のてん補を受けるためには,課税されるであろう消費税額相当分についても損害として受領し得る必要があるというべきである。すなわち,「利益」には消費税額相当分も含 すると,特許権者が特許権侵害による損害のてん補を受けるためには,課税されるであろう消費税額相当分についても損害として受領し得る必要があるというべきである。すなわち,「利益」には消費税額相当分も含まれ得ると 解される。 したがって,この点に関する1審被告ワンマン及び同西部機販の主張は採用し得ない。 (8) 損害額まとめア以上より,1審原告は,1審被告ワンマン及び同西部機販の不法行為により,以下の額の損害を受けたものと推定されることから,その額の損害賠償請求権を有すると認められる。 (ア) 1審被告ワンマン関係a 本件装置1及び本件各部品の販売により,4507万9593円(=4097万9593円+410万円)この金額から原審認容額(1430万8500円)を控除した残額は3077万1093円であり,これは,1審原告の当審における拡張請求額と合致する。 b 本件装置3の販売により,557万0600円(=507万0600円+50万円)この金額は,1審原告の当審における追加請求額(予備的請求額)と合致する。 (イ) 1審被告西部機販関係a 本件装置2及び本件各部品の販売により,550万4090円(=500万4090円+50万円)この金額から原審認容額(92万4200円)を控除した残額は457万9890円であり,これは,1審原告の当審における拡張請求額と合致する。 b 本件装置3の販売により,69万1800円(=63万1800円+6万円)この金額は,1審原告の当審における追加請求額(予備的請求額) 998万8200円を下回る。 イなお,1審原告は,本件装置1及び2に係る不法行為の損害額に関する予備的主張として法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張をするところ, 額) 998万8200円を下回る。 イなお,1審原告は,本件装置1及び2に係る不法行為の損害額に関する予備的主張として法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張をするところ,この点に関しては主位的主張における請求の全額を認容することから,予備的主張につき判断する必要はない(本件装置3に関しては,1審原告はこのような予備的主張をしていない。)。 第4 結論そうすると,まず,1審原告の控訴並びに当審における請求拡張及び予備的請求の追加に関しては,請求6につき,1審被告ニチモウに対する請求を全部棄却した原判決は正当であり,1審原告の控訴は理由がないから,これを棄却し,当審における拡張請求部分も理由がないから棄却する。他方,当審における1審被告ワンマンに対する拡張請求は理由があるから,これを認容する。請求7については,当審における拡張請求は理由があるから,これを認容する。 請求8については,1審原告の主位的請求を全部棄却した原判決は正当であり,1審原告の控訴は理由がないから,これを棄却し,当審における請求拡張部分も理由がないから棄却する。他方,当審において追加された予備的請求のうち,1審被告ワンマンに対する請求は理由があるからこれを全部認容し,同西部機販に対する請求は一部理由があるから,その限度でこれを認容し,それを超える部分は棄却し,同ニチモウ及び同Yに対するものは理由がないからこれを全部棄却する。 1審被告ワンマン及び同西部機販の控訴は,いずれも理由がないから,これを棄却する。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官杉浦正樹 裁判官寺田利彦 (別 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官杉浦正樹 裁判官寺田利彦 (別紙) 当事者目録 控訴人兼被控訴人フルタ電機株式会社(以下「1審原告」という。) 同訴訟代理人弁護士小南明也 被控訴人兼控訴人株式会社ニチモウワンマン(以下「1審被告ワンマン」という。) 被控訴人兼控訴人西部機販愛知有限会社(以下「1審被告西部機販」という。) 被控訴人ニチモウ株式会社(以下「1審被告ニチモウ」という。また、1審被告ワンマン及び同ニチモウを合わせて「1審被告ワンマンら」という。) 被控訴人Y(以下「1審被告Y」という。) 上記4名訴訟代理人弁護士沖田哲義同道山智成同神邊健司同訴訟復代理人弁護士玉岡範久同補佐人弁理士伊藤高英 以上
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