【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は末尾に添付した弁護人芦刈直巳、同河村貢両名共同名義の控訴 趣意記載のとおりで、これに対し当裁判所は次の
主文 本件各控訴を棄却する。 理由 本件控訴の趣意は末尾に添付した弁護人芦刈直巳、同河村貢両名共同名義の控訴趣意記載のとおりで、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。 論旨第一点の一について。 原判決別表第一、第二を見ると、被告人等が原判示の保険募集に当つて不実のことを告げた相手方たるA外九名の中、B、Cの両名を除けば、いずれもその後締結された保険契約の当事者になつてい<要旨第一>ないし、その被保険者でもないことは所論のとおりである。しかしながら右保険募集の相手方となつた人々は</要旨第一>いずれも保険契約者となつている者の父親であり、その職業、生活環境、年齢等からすれば、一家の主宰者であり、経済的実権を握つているのは、いずれの場合にも募集の相手方となつている人々であると推定できるのであり、殊にDの場合に於ては同人が大正十年生で原判示の保険契約締結時たる昭和二十四年には二十八才の若年であることを思えば、同人の長男であり保険契約者であるEは父親から独立してその自由に保険契約を締結し得る地位、年齢に達していたとは認められないところである。しかもこのような場合に一家の支柱である父親が、その子供を被保険者とする生命保険契約を申込むについて、保険契約者として子供の名前を用うることは世上実例の多いところで、何人もこれを異とするものはない。本件に於ても、被告人等から保険加入を勧誘されたA、D等が、その長男を被保険者とする生命保険契約をF保険相互会社に申込むに際し、保険契約者の名前を被保険者と同一にして子供の名前を使つたものであり、実質的には被告人等が保険の募集をした相手方こそ、保険契約申込書や保険証券に表示されている保険契約者氏名の如何に拘らが、保険契約者に外ならないものと認められる。 原判決がその 前を使つたものであり、実質的には被告人等が保険の募集をした相手方こそ、保険契約申込書や保険証券に表示されている保険契約者氏名の如何に拘らが、保険契約者に外ならないものと認められる。 原判決がその別表第一、第二の最下段に募集相手方の五文字を括弧で包み、その右脇に保険申込人記載として夫々A等の氏名を表示しているのも同人等がその子たるG等に代り実質的に保険契約者であることを示したものと認められる。従つて被告人等がかかる実質上の保険契約者に対し原判示の如き不実のことを告げた事実の存する以上は、保険募集に関する法律第十六条第一号に違反したものとして同第二十二条を適用されるのは当然であつて、原判決には所論の如き理由を附せず又は理由のくいちがいがあるとは認められないから論旨は理由がない。 同第三点について。 原判決挙示の証拠によつて被告人H、同I、両名が共謀して原判決別表第一記載のとおりA外六名に対しF保険相互会社の自由満期保険の募集に当り、保険料払込五年後は何時でも自由に満期にして払込保険料全額の払戻を受けられる旨不実のことを告げたとの原判示第一事実及び被告人I同J両名共謀して原判決別表第二記載のとおりC外一名に対し前記自由満期生命保険の募集に当り、前同様不実のことを告げたとの原判示第二事実を夫々認めることができるのであり、所論のように自由満期生命保険解約の場合に被告人等が通常の養老保険の場合のように解約控除金を徴しないで、積立金の全額を払戻して貰える旨説明したのを、相手方が誤解し、払込保険料の全額払戻を受けられるものと考えただけの事で被告人等に不実のことを告げた事実が存しないとすることはできないのである。 そこで所論を検討するに、所論は先ず共謀の点の証拠が明確でないと主張する。 しかし原判決挙示の証拠によれば、原判示第一事実にあつては被告人H ことを告げた事実が存しないとすることはできないのである。 そこで所論を検討するに、所論は先ず共謀の点の証拠が明確でないと主張する。 しかし原判決挙示の証拠によれば、原判示第一事実にあつては被告人H、同I両名が、同第二事実にあつては被告人I、同J両名が、同伴の上夫た各募集の相手方を歴訪し前記自由満期生命保険に加入方を勧誘したものであり、その際同伴した被告人の中のどちらかが相手方に前記のような「保険料払込五年後は何時でも自由に満期とし払込保険料全額の払戻を受けられる」旨を告げたかは確定し難いにしても、被告人等中一人が右不実のことを相手方にこれを告げた事実は否定できないところであり、しかも他の同伴した被告人は単なる傍観著ではなく、相被告人と互に意思連絡の上で自由満期生命保険が加入の有利なことを強調したと認められるので、原判決がこれを共謀と認めたのは正当といわなければならない。 次いで所論は被告人等には相手方を欺罔し、保険に加入させんとの意図はなく、相手方も被告人等の言を誤信し因つて本件保険契約を締結したものではなく、更に根本的にみれば被告人等が不実のことを告げた行為自体が存在しないものと主張する。しかし被告人等が相手方に不実のことを告げたとの事実は冐頭説明のとおりであるのみならず、それが保険契約締結を目的として為されたものであることも前掲証拠によつて明白なところ<要旨第二>である。而して保険募集の取締に関する法律第十六条第一号がその所定の如き行為を禁止している所以のもの</要旨第二>は保険募集の際不実のことを告げられこれによつて保険契約を締結せんとする者を保護しようとすること所論の通りとしても、保険募集の際、同条所定の者が保険契約者又は被保険者に対し不実のことを告げた事実が存する以上は、保険募集の取締に関する法律第十六条第一号に違反するも する者を保護しようとすること所論の通りとしても、保険募集の際、同条所定の者が保険契約者又は被保険者に対し不実のことを告げた事実が存する以上は、保険募集の取締に関する法律第十六条第一号に違反するものというべきで、不実のことを告げられた相手方がこの不実のことを真実と誤信し、且つこの誤信に基いて保険契約を締結したとの事実の存在することまでを要件としているわけではない。 それ故本件に於ける相手方が被告人等の言を或は不安、不審に感じこれを全面的に真実なものと誤信したわけではなく、或は被告人等の言によつて、五年後に解約することを予定して本件生命保険契約締結に至つたものでないとしても、いいかえると、被告人等の不実のことを告げたことと相手方の誤信及びこれによる契約締結という三段階の因果関係が存しないとしても被告人等の原判示所為は同法第一六条第一号の適用を免れることはできないのである。更に論旨は原判示が「払込保険料の全額払戻を受けられる」ことが不実であつたとしているに対し、少くとも払込保険料の中積立金の部分が払戻される以上、右判示の全部を不実とすることはできず、如何なる程度の不実であるかを取調べる要があるに拘らずこの点必ずしも明確でなく審理不尽の疑があるとしている。しかしたとえ積立金が払戻されるにしても、払込保険料全額の払戻を受けられると告げたことが不実であつたことは明白であり、真実払戻を受けられる部分と然らざる部分とに区別して判示しなければならないものではなく、この点原審に審理不尽な点を認められない。 要するに所論は原審の適法なる証拠の取捨選択を論難するか、又は原判決に副はない主張をするものであるから採用できない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事近藤隆蔵判事吉田作穂判事山岸薫一) 、又は原判決に副はない主張をするものであるから採用できない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事近藤隆蔵判事吉田作穂判事山岸薫一)
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