平成18(わ)315 業務上過失致死傷罪

裁判年月日・裁判所
平成19年2月23日 奈良地方裁判所
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判決文本文2,450 文字)

主文 被告人を禁錮4年に処する。 未決勾留日数中90日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成18年7月14日午前11時50分ころ,業務として大型貨物自動車を運転し,奈良市a町b番地先道路を三重県方面から大阪府方面に向かい,時速約80キロメートルで進行するにあたり,進路前方左右を注視し,自車進路の安全を確認しつつ進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,自車運転席と助手席の間に置いていたポータブルDVDプレーヤーを操作することに気を奪われ,同DVDプレーヤーを脇見し,進路前方左右を注視せず,自車進路の安全確認不十分のまま,漫然前記速度で進行した過失により,折から進路前方を自車と同方向に車両渋滞のため低速進行又は停止・発進を繰り返しつつ進行中のA(当時36歳)運転の普通乗用自動車(軽四)及びその前方を前同様に進行中のB(当時69歳)運転の大型貨物自動車を至近距離に迫って発見し,急制動措置を講ずるも及ばず,A運転車両後部に自車前部を衝突させてA運転車両を前方に押し出して前記B運転車両,さらにその前方を前同様に進行中のC運転の大型貨物自動車,その前方を前同様に進行中のD(当時62歳)運転の普通貨物自動車に順次追突させて同様に各車両を前方に押し出し,D運転車両をその前方を前同様に進行中のE(当時59歳)運転の大型貨物自動車に追突させるとともに,上記B運転車両と自車の間に上記A運転車両を挟圧して押し潰し,上記Aに脳欠損を伴う頭蓋・顔面粉砕骨折の傷害を,同人運転車両に同乗中のF(当時34歳)に右多発肋骨骨折等を伴う胸部圧挫の傷害をそれぞれ負わせ,よって,そのころ,同所において,両名を上記各傷害により死亡させるとともに,上記Bに加療約4週間を要する左脛骨上端陥没骨折の傷害を,上記Dに加療約1週間を要する左膝打撲・擦過 の傷害をそれぞれ負わせ,よって,そのころ,同所において,両名を上記各傷害により死亡させるとともに,上記Bに加療約4週間を要する左脛骨上端陥没骨折の傷害を,上記Dに加療約1週間を要する左膝打撲・擦過傷等の傷害を,同人運転車両に同乗中のG(当時61歳)に加療約5日間を要する両下腿打撲及び擦過傷の傷害を,上記Eに加療約1週間を要する頭部打撲等の傷害をそれぞれ負わせたものである。 (法令の適用),,被告人の判示所為は被害者ごとに刑法211条1項前段にそれぞれ該当するがこれは1個の行為が6個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の最も重いAに対する業務上過失致死罪の刑で処断することとし,所定刑中禁錮刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を禁錮4年に,。 処し同法21条を適用して未決勾留日数中90日をその刑に算入することとする(量刑の理由)本件は,被告人が,自動車専用道路上で玉突き事故を惹起し,6名を死傷させたという業務上過失致死傷の事案である。 被告人は,時速約80キロメートルという高速で,総重量2万4950キログラムにも及ぶ大型貨物自動車を運転して見通しのよい上記道路を進行中,前方に先行車の集団を認めたにもかかわらず,ポータブルDVDプレーヤーの操作という運転中特に必要とはいえない動作のために,相当長い距離を脇見をしたまま進行し,至近距離に迫るまで前車に気付かなかったものであり,進路前方左右の注視及び自車進路の安全確認という自動車運転者としての最も基本的な注意義務を懈怠した危険な運転で,過失の態様が一方的で非常に悪いのみならず,被告人は,本件事故により,被害者2名を死亡させ,4名を負傷させたもので,本件の結果も極めて重大かつ悲惨であり,とりわけ死亡した被害者2名はほぼ即死の状態で,それぞれ30代 的で非常に悪いのみならず,被告人は,本件事故により,被害者2名を死亡させ,4名を負傷させたもので,本件の結果も極めて重大かつ悲惨であり,とりわけ死亡した被害者2名はほぼ即死の状態で,それぞれ30代の若さで突如人生を奪われた無念さは察するに余りあり,また,これら2名の被害者を女手ひとつで育て上げた母親や,転勤先の外国で生活していた夫は,一瞬にして最愛の娘や妻を失ったのであって,その悲しみや憤りの大きさは計り知れず,これらの遺族が被告人に対し厳重処罰を望んでいるのも至極当然というべきである。 これらの諸事情に照らすと,犯情は悪く,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。 そうすると,負傷した被害者のうち3名の傷害結果は比較的軽いものであったこと,これまでに関係者に対し保険から6000万円余りを支払う手続が行われ,被害の一部を回復する措置がとられている上,被告人運転車両には対人賠償無制限の任意保険がかけられており,将来被害の全額が賠償される見込みがあること,負傷した被害者などから寛刑を求める旨の嘆願書が提出され,このうち1名との間では示談が成立していること,被告人が逮捕直後から一貫して罪を認め,本件を反省するとともに,今後二度と車両を運転しない旨公判廷で供述し,更生の意欲を示していること,被告人の父親も被告人を監督し,その更生に助力する旨公判廷で述べていること,勤務先を退職するなど,それなりの社会的制裁を受けていること,被告人には前科がないことのほか,被告人の各被害者等に対する謝罪状況など,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,本件が刑の執行を猶予すべき事案であるとは到底いえず,被告人を主文の実刑に処するのはやむを得ない。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・禁錮5年)平成19年2月23日奈良地方裁判所刑事部裁判長裁判官奥 を猶予すべき事案であるとは到底いえず,被告人を主文の実刑に処するのはやむを得ない。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・禁錮5年)平成19年2月23日奈良地方裁判所刑事部裁判長裁判官奥田哲也裁判官松井修裁判官船戸容子

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