令和6(行ケ)10054 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月19日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
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判決文本文14,860 文字)

令和6年12月19日判決言渡 令和6年(行ケ)第10054号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年9月26日判決 原告 有限会社オルネドフォイユ 同訴訟代理人弁理士 丹羽俊輔 被告 四国旅客鉄道株式会社 同訴訟代理人弁護士 小山浩佐々木 同訴訟代理人弁理士 田中尚文 渡部彩 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 特許庁が取消2023-300219号事件について令和6年5月9日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 原告は、別紙1商標目録記載の商標登録第5990795号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲12)。 被告は、令和5年4月4日、本件商標の指定役務中「第35類衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る商標登録について、商標法50条1項所定の商標登録取消審判(以下「本件審判」という。)を請求し、同月21日、その登録がされた(弁論の全趣旨)。同条2項に規定する「その審判の に対する便益の提供」に係る商標登録について、商標法50条1項所定の商標登録取消審判(以下「本件審判」という。)を請求し、同月21日、その登録がされた(弁論の全趣旨)。同条2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」 は、令和2年4月21日から令和5年4月20日までの期間(以下「本件要証期間」という。)となる。 特許庁は、本件審判の請求を取消2023-300219号事件として審理を行い、令和6年5月9日、「登録第5990795号商標の指定役務中、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業 務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月17日、原告に送達された。 原告は、同年6月14日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。 本件要証期間において、原告は、本件商標と社会通念上同一である別紙2の使用商標(以下「使用商標」という。)を原告が経営する店舗「オルネルマルシェ吉祥寺店」(以下「原告店舗」という。)の外観に使用していることが認められる。 しかし、請求に係る指定役務である第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に 係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、いわゆる「総合小売等役務」とされるものであって、当該役務には、百貨店、総合スーパー、総合卸売問屋等、衣・食・住にわたり各種商品を一括して扱う小売業者又は卸売業者において提供される小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる。そして、当該役務を行っているか否 かは、例えば、衣 住にわたり各種商品を一括して扱う小売業者又は卸売業者において提供される小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる。そして、当該役務を行っているか否 かは、例えば、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうにわたる商品を一括し て一事業所で扱い、それらの商品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることが目安とされる(商標審査基準)ところ、原告が提出した証拠によっても、原告店舗における飲食料品の売上高は、衣料品や生活用品と比較して、極めて僅少なものと推認される。 以上によると、原告が飲食料品の小売に係る業務を行っていることは確認できる ものの、飲食料品を取りそろえて販売している状況や各種飲食料品を販売した売上実績に係る資料等も確認できないことを併せ考慮すると、本件要証期間において、原告が、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているとは認めることができないというものである。 第3 原告の主張する取消事由原告は、本件審決につき、商標法50条1項の不使用取消しの判断における判断基準の誤りや本件審決が採用した判断基準を前提とした場合の事実認定及び判断の誤りを主張して、本件審決の取消しを求めている。 1 本件審決が、同項の不使用取消審判において、商標審査基準を根拠としたこ とは違法である。同項の制度趣旨に則れば、同条項における商標の使用・不使用の判断は、飽くまでも商標の使用によって信用が蓄積されているかどうかで判断すべきであり、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」かどうかによって判断すべきではない。また、本件審決 って信用が蓄積されているかどうかで判断すべきであり、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」かどうかによって判断すべきではない。また、本件審決が採用した基準は、出願された商標の登録可否の判断のための基準であり、本件 商標の使用において、「飲食店が総売上高に占める割合は、約1%(又は約5%)と極めて低いものであった」としても、それは本件商標が、同法3条1項柱書に違反して過誤によって登録されたものであることを示すにすぎない。そして、同法47条において、商標登録の無効審判の請求に対する除斥期間が設けられており、同法3条の登録要件の違反についても5年の除斥期間が適用されるところ、本件商標は 設定登録の日から5年が経過しており、もはや無効審判により無効とすることがで きないものであるにもかかわらず、同法50条1項の不使用取消審判において同様の判断基準で判断した本件審決は不当である。 原告は、本件商標の設定登録後現在に至るまで、長年原告店舗において、一貫して、衣料品・飲食料品及び生活用品を、それらのいずれかのみではなく、それらの全てを品ぞろえして販売し、原告店舗外観として、本件使用商標を使用し続けてい る。その結果、原告店舗が複数の雑誌で取り扱われるなど(甲13~15)、既に商標の使用によって業務上の信用が当該登録商標に化体している。 したがって、原告が本件商標を使用しそれによって業務上の使用が現に蓄積されている以上、「飲食料品が総売上高に占める割合」によって同項に係る商標の使用・不使用を判断することは、同項の制度趣旨から逸脱しており、同項の不使用取消審 判において、同法3条1項柱書の「使用をする商標」に関し、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがい る商標の使用・不使用を判断することは、同項の制度趣旨から逸脱しており、同項の不使用取消審 判において、同法3条1項柱書の「使用をする商標」に関し、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることが目安とされる」との基準を採用し、それによって不使用取消しの審決をした本件審決は違法である。 2 仮に本件審決の採用した「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれ も総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることが目安とされる」との基準を前提としても、原告は、本件要証期間において、その基準を満たした商標の使用をしているから、本件審決は不当である。 例えば、原告店舗の売上商品一覧(甲16)によると、令和4年1月21日~同年2月20日の20日締めの原告店舗の売上総計は1210万2366円、うち食 品の売上げが127万3053円であって、飲食料品が総売上高に占める割合は10.51%であったから、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」との基準を満たしている。 第4 被告の主張1(1) 原告は、商標審査基準は出願商標が登録要件を具備しているかどうかを判 断する際の基準として適用されるから、当該商標審査基準を満たしているかは商標 法46条1項の商標登録無効審判で審理されるべきであって、不使用取消審判で審理・判断すべきではないと主張する。 しかしながら、本件で問題となっている「総合小売等役務」は、同法にその定義に関する規定がないが、商標審査基準では「総合小売等役務に該当する役務を行っているか否かは、①小売業又は卸売業を行っていること、②その小売等役務の取扱 商品の品目が、衣料品、飲食料品及び生活用品 に関する規定がないが、商標審査基準では「総合小売等役務に該当する役務を行っているか否かは、①小売業又は卸売業を行っていること、②その小売等役務の取扱 商品の品目が、衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうにわたる商品を一括して一事業所で扱っていること、③衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であることとの事実を考慮して、総合的に判断する」旨が記載されている(乙1)。このうち「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内である」 という基準は、「経済産業省の商業統計調査における業態分類の百貨店、総合スーパーの定義に基づいたもの」であり、「同統計においては、「百貨店、総合スーパー」の条件として「衣、食、住にわたる各種商品を小売し、そのいずれも小売販売額の10%以上70%未満の範囲内にある事業所」であることをあげている。」ことがその根拠である(乙2、3)。経済産業省の商業統計調査を離れて、「総合小売」につ いて調べても、総合小売の代表例が百貨店や総合スーパーであるとされていること(乙4~6)からすると、上記基準は実態とも合致している。 したがって、「商標審査基準」が特許庁自ら策定したものであるとしても、上記の「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内である」という基準に関しては、特許庁の審査において同法3条 1項柱書の登録要件を判断する際にのみ適用される基準とはいえず、不使用取消審判において、被請求人(原告)が「総合小売等役務に該当する役務を行っているか否か」を判断するに際して参酌することも当然に許されるから、原告の主張は失当である。 (2) 原告は、商標登録無効審判の除斥期間 いて、被請求人(原告)が「総合小売等役務に該当する役務を行っているか否か」を判断するに際して参酌することも当然に許されるから、原告の主張は失当である。 (2) 原告は、商標登録無効審判の除斥期間が経過したにもかかわらず、不使用取 消審判において、登録要件と同様の商標審査基準を採用して、それによって取消審 決をした本件審決が違法である旨を主張する。 しかしながら、前記(1)のとおり、不使用取消審判において、「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内である」という基準を用いることは何ら不当ではなく、原告の主張には理由がない。 また、そもそも不使用取消審判で争われるべきは、国内においてその登録商標を 指定商品又は指定役務について使用しているか否かであって、本件商標の登録に「拒絶理由(商標法15条)又は無効理由(同法46条1項)に該当する可能性」があったか否か、及び同法47条に規定する除斥期間を平穏に経過しているかどうかについては、本件審決の認定判断に違法があるか否かとは何ら関係がないから、原告の主張は失当である。 2(1) 「総合小売等役務」は百貨店、総合スーパー、総合卸売問屋等の衣・食・住にわたり各種商品を一括して扱う小売業者又は卸売業者が提供する役務を前提としているところ、これらの事業者も、時期や季節によって需要者の購買ニーズに応じて取扱商品の内容が異なることは当然想定される。その場合でも、常に「衣・食・住の全般にわたる多種多様な商品を一括して取り扱」っており(乙4、5)、各種商 品の総売上げに占めるそれぞれの割合が変動したとしても、一般的には上記の「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内であ り(乙4、5)、各種商 品の総売上げに占めるそれぞれの割合が変動したとしても、一般的には上記の「衣料品、飲食料品及び生活用品の各範ちゅうのいずれもが総売上高の10%~70%程度の範囲内である」という基準を著しく乖離する状況は生じ得ないというのが相当であり、上記の基準を満たすかどうかが問題になる事業者にあっては、そもそも「総合小売等役務」を行っているとはいえない。 (2) この点、原告店舗のウェブサイト(乙8)やInstagram(乙9)、原告店舗が入居するアトレ吉祥寺のウェブサイト(乙10)によると、原告店舗は、いわゆる日用品店又は日用雑貨店である。 そして、売上報告書(甲10、11)でも、「売上構成比」に係る円グラフに「飲食料品」の項目がなく、「ファッション」、「ファッション小物」、「キッチン」の項目 に大別され、衣食住の全般にわたる多種多様な商品を一括して取り扱っている状況 にはない。また、原告が、飲食料品を販売するために必要となる食品衛生法上の営業の許可を受けたり、営業の届出をしたりしている事実はない。これらの事実からすると、原告の提供する役務は、「総合小売等役務」ではなく、「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」や「台所用品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」といった、いわゆる「特定小売等役務」にほかな らない。 3 原告は、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」との基準を前提としても、原告店舗の売上商品一覧(甲16)によると、令和4年1 月21日~同年2月20日の本件店舗の売上げにつき、飲食料品が総売上高に占める割合は10.51%であるとし、同基準を 満たしていると主張する。しかしなが 品一覧(甲16)によると、令和4年1 月21日~同年2月20日の本件店舗の売上げにつき、飲食料品が総売上高に占める割合は10.51%であるとし、同基準を 満たしていると主張する。しかしながら、甲16は原告の内部資料にすぎず客観的な証拠足りえない上に、当該売上商品一覧の期間はバレンタインデー及びホワイトデー関連商品の需要が高まる期間であること、売上金額のうち半数以上がチョコレート、クッキー及びギフトボックスといった上記イベントの需要によるものであることからすると、当該期間以外の1年間の他の期間においては飲食料品の売上げ が総売上高の10%を超えることはないと推察され、原告の行っている役務が総合小売等役務に該当するものではない。 したがって、原告の主張は失当である。 第5 当裁判所の判断 1 本件商標使用の事実について (1) 証拠(甲1、2、6、乙8、9)及び弁論の全趣旨によると、①原告は、令和3年2月1日から令和5年1月31日までの期間について、株式会社アトレとの間で「アトレ吉祥寺店」内のテナントとして営業用建物の定期賃貸借契約を締結し、同期間中及び同期間終了後も引き続いて、店舗名「オルネルマルシェ」(原告店舗)の営業を行っていること、②原告は、原告店舗の外観に使用商標を表示して営 業を行っていること、③本件商標は、上段に「lemarche」の文字を円弧 状に書き、下段に「orne」の文字を太字で大きく書してなるもの(「marche」、「orne」の「e」の文字には、アクサンテギュが付されている。)であるのに対し、使用商標は、上段に「lemarche」の文字を円弧状に書し、下段に「orne」の文字を太字で大きく書してなり(「marche」、「orne」の「e」の文字には、アク れている。)であるのに対し、使用商標は、上段に「lemarche」の文字を円弧状に書し、下段に「orne」の文字を太字で大きく書してなり(「marche」、「orne」の「e」の文字には、アクサンテギュが付されている。)、「orne」の文字部分は青 色の照明で装飾されているものであるところ、本件商標と使用商標は社会通念上同一の商標であるといえる。 (2) 使用役務についてア商標登録出願は、商標の使用をする商品又は役務を、商標法施行令で定める商品及び役務の区分に従って指定してしなければならないとされているところ(商 標法6条1項、2項)、商標法施行令は、同区分を、「千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定」1条に規定する国際分類(以下、単に「国際分類」という。)に従って定めるとともに、各区分に、その属する商 品又は役務の内容を理解するための目安となる名称を付し(同令2条、別表)、商標法施行規則は、上記各区分に属する商品又は役務を、国際分類に即し、かつ、各区分内において更に細分類をして定めている(商標法施行令2条、商標法施行規則6条、別表)。また、特許庁は、商標登録出願の審査などに当たり商品又は役務の類否を検討する際の基準としてまとめている類似商品・役務審査基準において、互いに 類似する商品又は役務を同一の類似群に属するものとして定めている。 そうすると、同規則別表において定められた商品又は役務の意義は、同施行令別表の区分に付された名称、同規則別表において当該区分に属するものとされた商品又は役務の内容や性質、国際分類を構成する類別 。 そうすると、同規則別表において定められた商品又は役務の意義は、同施行令別表の区分に付された名称、同規則別表において当該区分に属するものとされた商品又は役務の内容や性質、国際分類を構成する類別表注釈において示された商品又は役務についての説明、類似商品・役務審査基準における類似群の同一性などを参酌 して解釈するのが相当である(最高裁平成21年(行ヒ)第217号同23年12 月20日第三小法廷判決・民集65巻9号3568頁参照)。 イ本件商標は、第35類の取扱商品の種類を特定した「家具・建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、これらを特定しない「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とを指定役務とするところ(甲12)、 本件審判に係る請求は、後者の指定役務のみを対象とするものである。 そして、商標法施行令第2条、別表において、「第三十五類」「広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と定められた上で、商標法施行規則別表の第35類中において、「14 衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務 において行われる顧客に対する便益の提供」が定められる一方、これとは別に「1 5 織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供身の回り品の小 売又は卸売の業務において行われる顧客に対す 売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供身の回り品の小 売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」や「16 飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 …」、「18 家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 …」が定められている。 以上の点を踏まえ、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品」を「一括し て取り扱う」という指定役務の名称の文言をも考慮すると、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、衣料品・飲食料品・生活用品の各商品を一事業所において扱っている場合であって、その取扱い規模がそれぞれ相当程度あり、かつ、継続的に行われている場合をいうものと解するのが相当であり、典型的には、百貨 店や総合スーパーが提供する役務が挙げられるものと解される。他方で、「一括して 取り扱っている」とはいい難い場合、具体的には、「衣料品、飲食料品及び生活用品に係る」各種商品のうちの一部の商品しか小売等の取扱いの対象にしていない場合や、「衣料品、飲食料品及び生活用品に係る」各種商品に属する商品を取扱いの対象とする業態を行っている場合であったとしても、一部の商品の取扱量が僅少であり、全体としてみると特定の商品等を主として取り扱っているとみられる場合や一部の 商品が各種商品の小売等に付随して取り扱われているすぎない場合などは含まれないものというべきである。 なお、国際分類を構成する類別表注釈において示された商品又は役務についての説明には特段の記載はないが、特許庁の類似商品・役務 して取り扱われているすぎない場合などは含まれないものというべきである。 なお、国際分類を構成する類別表注釈において示された商品又は役務についての説明には特段の記載はないが、特許庁の類似商品・役務審査基準においても、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務 において行われる顧客に対する便益の提供」は「35K01」と定められる一方、「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は「35K02」、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は「35K03」、「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は「35K06」とそれぞれ定められ、例えば「35K03」 などの同一コード内の小売等役務同士は互いに類似するものと推定される一方、「35K01」と「35K02」といった同じ35類であっても異なるコードの小売等役務同士は類似しないものと推定されているところである。 ウ証拠(各文中掲記の証拠)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。 (ア) 原告店舗は、平成26年にオルネドフォイユの姉妹店としてアトレ吉祥寺店にオープンし、パリの日用品店quincaillerie(カンカイユリー)を現代風にアレンジしたライフスタイルショップと説明されている(甲1)。 (イ) 原告のInstagram において、令和4年9月9日頃、「すみだ珈琲のデカフェコーヒーパック」を原告店舗で販売していることを紹介する投稿が存在する(甲4)。 (ウ) 原告店舗において、令和4年4月頃、アイスコーヒー12本、コーヒーゼリー 12本、DRIPBAG20個など合計5万0178円(税込み)の食品の仕入れ 4)。 (ウ) 原告店舗において、令和4年4月頃、アイスコーヒー12本、コーヒーゼリー 12本、DRIPBAG20個など合計5万0178円(税込み)の食品の仕入れが行われている(甲8)。 (エ) 原告内における原告店舗の売上報告(令和2年6月分、同年12月分)において、売上構成比はファッション、ファッション小物、キッチンが7割~9割近くを占めており、その他にバス、文具、リビングリネン及びインテリアが掲げられて いるものの、「飲食品」の項目は記載されていない。 また、「中部門名」として「キッチン、インテリア、リビングリネン、バス、家具、DIY、文具、手芸、ファッション、アクセサリー、アンファン、NOEL、EVENT、ギフトBOX」が区分けされ、各売上金額や売上比が記載されているものの、「飲食品」の記載はされていない。 各部門の詳細な分析の記載中、令和2年6月分の「【キッチン】」に「コーヒー豆は最初は自粛前に入れていたものをOFFで販売。その後も順調に動く。」との記載があるものの、キッチン部門の売上げを示すグラフにおいて、「コーヒー豆」の記載はなく「コーヒーグッズ」(売上げ32万円)との記載があり、「FOOD」(売上げ22万円)が記載されている。また、同年12月の売上報告として実績欄には20 05万2166円と記載があり、「【キッチン】正月含む」には、「引き続きキッチンカテゴリーは好調。FOODは大きく落とすが、アーテック商品を仕入れ増、売上増で巻き返す。」「瀬戸内鯛めし×107」「にじいろ甘酒×178点」との記載があるほか、キッチン部門の売上げを示す表において「FOOD」欄に96万4369円、「売上比」欄に4.79%との記載がある。 (以上(エ)につき、甲10、11)( 酒×178点」との記載があるほか、キッチン部門の売上げを示す表において「FOOD」欄に96万4369円、「売上比」欄に4.79%との記載がある。 (以上(エ)につき、甲10、11)(オ) 原告店舗の令和4年1月21日~同年2月20日の売上商品一覧(甲16)には、全商品の販売数6739、売上金額(税抜)1210万2365円との記載があり、その中に「食品」欄が設けられ、販売数1809、売上金額(税抜)127万3053円と記載されている。そして、商品名としてあげられているものとし て、「アルヴァーブレンド」「カフェオレベース」といったコーヒー又はコーヒーに 関連する商品や「喜界島黒糖ほうじ茶ラテの素」、「トラねこ茶」といった茶に関連する商品、「FTチョコレートミルク50g」、「FTチョコレートカラメルクリスプ50g」などチョコレートに関連する商品の記載が多数あるほか、「焼き菓子アソートBOX」、「バウンドケーキ/ドライフルーツ」といった菓子が記載されている。 (カ) 原告のInstagram において、令和4年1月28日頃、「マルシェの模様替え」 というタイトルで「珈琲グッズやチョコレートなど、バレンタインのギフトにぴったりなアイテムをたくさんご用意しました」と投稿されている(甲17)ほか、令和4年2月4日頃、「OYATSUOZAWA 2月のお菓子が届きました。」とのタイトルで「今月は、バレンタインにピッタリなクッキーボックスです。」との投稿がされている(甲18)。 エ上記ウの各事実によると、原告店舗はパリの日用品店をアレンジしたライフスタイルショップであり、ファッション、ファッショション小物やキッチン用品など衣料品や生活用品を中心とした商品を取り扱っており、これらの商品が店舗の売上 原告店舗はパリの日用品店をアレンジしたライフスタイルショップであり、ファッション、ファッショション小物やキッチン用品など衣料品や生活用品を中心とした商品を取り扱っており、これらの商品が店舗の売上げに占める割合が相当程度多いものと認められるのに対し、前記ウ(イ)~(エ)によると、飲食料品の販売数や売上金額は衣料品や生活用品に比して小規模である。これ に加え、証拠(乙13の1~16)からうかがわれる本件要証期間及びその前後の原告店舗における商品の展示方法をも考慮すると、本件要証期間における飲食料品の販売については、コーヒーカップやマグカップのような食器類などと合わせて販売されているものであって、生活用品の小売等に付随して取り扱われているものにすぎず、原告店舗において、衣料品、飲食料品及び生活用品の各商品を「一括して 取り扱っている」と評価することはできず、その他これを認めるに足りる証拠はない。 また、前記ウ(エ)及び(オ)の各事実によると、原告店舗の売上金額が1か月間で100万円程度あったことが認められるものの、同(オ)については、取り扱っている食品の内容に加え、前記ウ(カ)のバレンタイン前の期間の販売であったとの事実も考慮す ると、バレンタインの贈物のために一時的に売上げが増加しているものといえるこ と、前記ウ(エ)については、正月に向けて一時的に売上げが増加したものといえることからすると、原告店舗につき、一事業所において、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各商品の取扱い規模がそれぞれ相当程度あり、継続的に行われていると認めることはできず、その他これを認めるに足りる証拠はない。 (3) 以上によると、本件要証期間において、原告店舗は、「衣料品、飲食料品及び 生活用品に係る各種商品を一括して取 に行われていると認めることはできず、その他これを認めるに足りる証拠はない。 (3) 以上によると、本件要証期間において、原告店舗は、「衣料品、飲食料品及び 生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていたものとはいえない。 したがって、本件要証期間において、原告が、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているとは認めることができない旨を判断した本件審決に誤 りがあるとはいえない。 2 原告の主張について(1) 原告は、本件商標を使用しそれによって業務上の使用が現に蓄積されている以上、「飲食料品が総売上高に占める割合」によって商標法50条1項に係る商標の使用・不使用を判断することは、同項の制度趣旨から逸脱しており、同項の不使用 取消審判において、商標登録要件の基準にすぎない「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることが目安とされる」との基準を採用し、それによって不使用取消しの審決をした本件審決は違法であると主張する。 しかしながら、原告の上記主張のうち、原告が本件商標を使用しそれによって業 務上の信用が現に蓄積されているかは、指定役務である「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について登録商標を使用しているかどうかの判断に直接の影響を与えるものとはいえない上に、前記1(2)ウの原告店舗の商品販売状況等に照らすと、本件商標の指定役務中の第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る 各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務にお ものとはいえない上に、前記1(2)ウの原告店舗の商品販売状況等に照らすと、本件商標の指定役務中の第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る 各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便 益の提供」について本件商標の使用による信用が蓄積されているとも認め難く、この点に関する原告の主張は採用できない。 また、原告の上記主張のうち、本件審決が「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にあることが目安とされる」との基準を採用した点が不当であると主張する点については、本件審決は、上記の 点を考慮しつつも、このような基準のみで判断したものではなく、原告が提出した証拠によっても、原告店舗における飲食料品の売上高は、衣料品や生活用品と比較して極めて僅少なものと推認し、原告が飲食料品の小売に係る業務を行っていることは確認できるものの、飲食料品を取りそろえて販売している状況や各種飲食料品を販売した売上実績に関する資料等も確認できないことを併せ考慮すると、原告が、 「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っているとは認めることができない旨を判断したものであって、このような判断は前記第5の1の当裁判所の判断と矛盾するものではないから、前提を欠き理由がない。 (2) また、原告は、本件審決が採用した「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上 げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」かどうかとの基準は、出願された商標の登録可否の判断のための基準であり、本件商標の使用において、「飲食店が総売上高に占める割合は、約1%(又は約5%)と極めて低いものであった %程度の範囲内にある」かどうかとの基準は、出願された商標の登録可否の判断のための基準であり、本件商標の使用において、「飲食店が総売上高に占める割合は、約1%(又は約5%)と極めて低いものであった」としても、本件商標が、商標法3条1項柱書に違反して過誤によって登録されたものであることを示すにすぎず、同法47条により、本件商標は設定登録の日か ら5年が経過しており、もはや無効審判により無効とすることができないものであるにもかかわらず、同法50条1項の不使用取消審判において同様の判断基準で判断した本件審決は不当であるから、同項の不使用取消審判において同様の判断基準で判断すべきではない旨を主張する。 しかしながら、出願商標の登録や無効審判において同法3条1項柱書における 「使用」の対象となる商品及び役務と、不使用取消審判において同法50条1項の 「使用」の対象となる商品及び役務は、同じ指定商品及び指定役務を対象とするものであって、不使用取消審判は、審判の対象となっている登録商標につき、商標権者が要証期間において指定商品及び指定役務に使用したことの立証があるかどうかを判断するものであるから、本件審決に誤りがあるといえず、原告の上記主張は採用することができない。 (3) 原告は、原告店舗の売上商品一覧(甲16)によると、令和4年1月21日~同年2月20日の20日締めの原告店舗の売上総計は1210万2365円、うち食品の売上げが127万3053円であって、飲食料品が総売上高に占める割合は10.51%であったから、「衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」との基準を満たしており、本件要 証期間において、その基準を満たした商標の使用をしているから、本件審決 衣料品、飲食料品及び生活用品の売上げがいずれも総売上高の10%~70%程度の範囲内にある」との基準を満たしており、本件要 証期間において、その基準を満たした商標の使用をしているから、本件審決は不当である旨を主張する。 しかしながら、前記1(2)エの説示のとおり、甲16によっても、原告店舗が、衣料品、飲食料品及び生活用品の各商品につき、一事業所において、取扱い規模がそれぞれ相当程度あり、これが継続的に行われていると認めることはできず、原告の 上記主張は採用できない。 第6 結論以上の次第であり、原告の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官本多知成 裁判官遠山敦士 裁判官天野研司 別紙1商標目録 登録商標登録出願日:平成29年2月7日登録日:平成29年10月27日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:第35類「家具・建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 別紙2使用商標 の提供、衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 別紙2使用商標目録使用商標

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