平成25(ワ)31446 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年5月21日 東京地方裁判所
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平成26年5月21日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成25年(ワ)第31446号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成26年3月26日判決原告エルメスアンテルナショナル同訴訟代理人弁護士高松薫同泉潤子同石田晃士被告株式会社DHScorp 主文 1 被告は,別紙被告商品目録1ないし4記載の商品を輸入し,譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 2 被告は,原告に対し,235万8400円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを8分し,その5を被告の,その余を原告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り仮に執行することができる。 6 原告につき,この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 主文第1項同旨 2 被告は,原告に対し,382万3000円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第1 請求の趣旨 1 主文第1項同旨 2 被告は,原告に対し,382万3000円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 - 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,被告が輸入販売する別紙被告商品目録1ないし4記載の商品(以下,それぞれ「被告商品1」ないし「被告商品4」といい,併せて「被告各商品」という。)が,原告の有する商標権を侵害し,原告の商品等表示として周知ないし著名な別紙原告商品目録記載の商品(以下「原告商品」という。)の形態と類似し,誤認混同のおそれがあると主張して,(1)商標法36条1項ないし不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号,2号,3条1項に基づき,被告各商品の輸入・譲渡等の差止め(請求の趣旨第1項),(2)商標法38条2項ないし不競法4条,5条2項に基づき被告の得た利益に相当する原告の損害金82万3000円,民法709条に基づき信用毀損による無形損害200万円及び弁護士費用100万円の,総合計382万3000円及びこれに対する平成25年12月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(請求の趣旨第2項)を求めた事案である。 1 前提となる事実等(認定事実の末尾に証拠等を摘示した。)(1) 当事者原告は,バッグ,高級婦人服,アクセサリー等の製造,販売を業とするフランス国の法人である。〔弁論の全趣旨〕被告は,衣料品,装身具,履物,靴,アクセサリー,貴金属類,日用雑貨品,家具,インテリア用品,スポーツ用品の販売及び輸出入業務等を業とする株式会社であり,インターネットショ 弁論の全趣旨〕被告は,衣料品,装身具,履物,靴,アクセサリー,貴金属類,日用雑貨品,家具,インテリア用品,スポーツ用品の販売及び輸出入業務等を業とする株式会社であり,インターネットショッピングサイトにおいて商品を販売している。〔甲1,弁論の全趣旨〕(2) 原告の商標権原告は,別紙原告商品目録記載の原告商品の形状(以下「原告標章」とい - 3 -う。)につき,別紙商標権目録記載の立体商標についての商標権(以下「原告商標権」といい,その商標を「原告商標」という。)を有している。 〔甲2〕(3) 被告による被告各商品の輸入・販売行為被告は,被告各商品を輸入し,インターネットショッピングサイトを通じて,これを販売した。 被告各商品のそれぞれの形状(以下,併せて「被告標章」という。)については,サイズを除き,全て同一と認められる。〔甲1,34~36,弁論の全趣旨〕(4) 仮処分命令の発令原告は,被告に対し,被告各商品についての輸入,譲渡,引渡し,又は譲渡若しくは引渡しのための展示等の差止めを求める仮処分命令の申立て(当庁平成25年(ヨ)第22055号)をし,当庁は,平成25年10月10日,上記申立てを認容する決定をした。〔甲39〕(5) 本件訴えの提起原告は,被告に対し,平成25年11月28日付けで,本件訴えを提起した。〔当裁判所に顕著〕 2 原告の主張する請求原因事実(1) 原告標章についての商標権侵害行為及び不競法2条1項1号,2号該当性ア原告標章の商品等表示性及び周知著名性(ア) 原告は,1837年ティエリ・エルメスによりフランス共和国(以下「フランス」という。)にて創業され,バッグ,高級婦人服,アクセサリー等で知られる高級ブランドを有 等表示性及び周知著名性(ア) 原告は,1837年ティエリ・エルメスによりフランス共和国(以下「フランス」という。)にて創業され,バッグ,高級婦人服,アクセサリー等で知られる高級ブランドを有するフランス法人である。昭和31年(1956年)には,モナコ公国の王妃であるグレース・ケリーが愛用していた原告製のバッグを持った姿が写真雑誌「LIFE」の表紙を飾ったことなどをきっかけとして,そのバッグが「ケリー・バッグ」と - 4 -称されるなどして有名となった。 原告商品は,昭和59年(1984年)に発売され,フランスの女優であるジェーン・バーキンが愛用したことから,「バーキン」の名称で世界的に広く知られることとなった。 (イ) 原告の製造・販売する商品(以下,原告商品を含めた原告が販売する商品を総称して「エルメス商品」という場合がある。)は,日本においても戦前から知られていたが,原告が昭和39年(1964年)に訴外株式会社西武百貨店と提携し,渋谷,池袋を始め,名古屋,大阪,札幌等,全国に合計15店舗の専門店を出店してからは,その高い品質及びファッション性がより広い顧客層に知られることとなった。 特に,昭和58年(1983年)に原告の日本子会社であるエルメスジャポン株式会社(以下「エルメスジャポン」という。)が設立された後は,同社による積極的な販売活動がされたこともあって,エルメス商品は不動の名声を獲得するに至った。 現在では,原告は,直営店及び特約店を合わせて我が国に計45の店舗を有する。 (ウ) 原告標章は,台形状で脇にまちが入り,蓋部に鍵穴状の切込みがあり,本体背面部から正面部に延在する一対のベルトを有している点等において独特の特徴を有し,需要者 45の店舗を有する。 (ウ) 原告標章は,台形状で脇にまちが入り,蓋部に鍵穴状の切込みがあり,本体背面部から正面部に延在する一対のベルトを有している点等において独特の特徴を有し,需要者に特別な印象を与える。このため,原告商品は他の商品と明確に識別され得るものである。 また,原告商品は,そのほとんどが1個100万円を超える高級バッグである(甲11,12等)にもかかわらず,「世界中の女性が憧れるバッグの最高峰」(甲28)として年々売上げを伸ばしている。平成10年(1998年)には,その販売個数は年間3000個を超え,以降さらに売上げを伸ばし,平成15年(2003年)には販売個数が前年の倍近い年間8000個超となり,その後も現在に至るまで急激に売上 - 5 -げを伸ばしている。売上高でいえば,平成9年(1997年)には10億円を突破し,平成19年(2007年)には100億円を超え,平成21年(2009年)には192億円と,200億円に迫る勢いである(甲4)。 また,原告は,多数の雑誌を通じて原告商品の販売促進を図っており,昭和60年(1985年)から平成8年(1996年)までに原告商品に費やした広告宣伝費は6200万円にも及ぶ。 (エ)原告商品を含むエルメス商品は,現在我が国で極めて高い人気を誇り,エルメス商品のみを特集した女性誌すら存在するほどであり,その中でも,原告商品は,上記ケリー・バッグと並んでエルメス商品を代表する商品である(甲32)。 このため,原告商品は,原告自らによる広告宣伝に加えて,その主な需要者である女性を購読者層とする女性誌において頻繁に特集されており(甲5~31),その中で,「究極の定番バッグ」(甲11),「最上のデザイン×最上 商品は,原告自らによる広告宣伝に加えて,その主な需要者である女性を購読者層とする女性誌において頻繁に特集されており(甲5~31),その中で,「究極の定番バッグ」(甲11),「最上のデザイン×最上の素材」(甲11),「名品」(甲14,28,30),「ベストオブ名品」(甲23)などと称されたうえ,「エルメス」の「バーキン」として,原告の商品であることが強く印象付けられる記載がされた上で,その立体的形状がカラー写真で紹介されている。 (オ) このように,原告による長年の販売活動及び広告宣伝活動によって,原告標章は,著名性を有し,原告の出所標識として独立して自他商品識別力を獲得しているとして,平成23年9月,商標登録が認められた(甲33)。 (カ) 以上のとおり,原告が原告商品の販売を20年以上にわたり継続し,かつ,原告商品が強力に広告宣伝されてきた結果,原告標章は,平成9年(1997年)には,それ自体が原告の商品等表示として,周知の域を越え,著名性を獲得するに至ったものである。 - 6 -イ被告各商品の販売行為被告は,前記1(3)のとおり,被告各商品を輸入し,インターネットショッピングサイトを通じて,これを販売した。 ウ原告標章と被告標章の類似性(ア) 被告が使用する被告標章及び被告の商品等表示被告が被告標章又は被告各商品について使用している商品等表示は,別紙被告商品目録1ないし4記載のとおりであり,かばんの全体的形状及びハンドル部分から成る立体的形状と,本体正面及び背面に付された図形から成る平面標章の結合により構成された結合標章である。 その特徴は,以下のとおりである(被告標章及び被告の商品等表示は同一の特徴を有するため,以下,併せて「被告 び背面に付された図形から成る平面標章の結合により構成された結合標章である。 その特徴は,以下のとおりである(被告標章及び被告の商品等表示は同一の特徴を有するため,以下,併せて「被告標章」という)。 ⅰ 全体的形状が,本体正面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,ⅱ 本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部が表示され,ⅲ 前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルトが表示され,ⅳ 前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具が表示され,ⅴ 前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具が表示され,ⅵ 本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,ⅶ 本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認し - 7 -得るように,前記正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が本体正面及び背面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されている。 (イ) 原告標章と被告標章の特徴の同一性a 被告標章は,以下の①ないし⑥の点において,原告標章と同一の特徴を有する(以下,それぞれ「共通点①」ないし「共通点⑥」という。)。 ・全体的形状(輪郭)として,① 本体正面及び背面の形状が底辺がや 以下の①ないし⑥の点において,原告標章と同一の特徴を有する(以下,それぞれ「共通点①」ないし「共通点⑥」という。)。 ・全体的形状(輪郭)として,① 本体正面及び背面の形状が底辺がやや長い台形状であり,各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状である点。 ・本体正面及び背面に付された図形(平面標章)として,② 本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部が表示されている点。 ③ 前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルトが表示されている点。 ④ 前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具が表示されている点。 ⑤ 前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具が表示されている点。 ⑥ 正面上部及び背面上部に,円弧状をなす一対のハンドルが表示され(その一部ないし全部が実ハンドル),前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように表示されている点。 - 8 -以上によれば,被告標章は,その全体的形状としての立体的形状において原告標章と同一であるだけでなく(共通点①),平面標章としての本体正面及び背面に付された図形において原告標章の特徴と同一の特徴を具備する(共通点②ないし⑥)ものであり,被告標章は原告標章と酷似する。 b この点,被告標章は,すべてが立体的形状により構成されているものではなく,共通点②ないし⑥(うち,⑥については,正面上端及び背面上端に縫合された実ハン 告標章は原告標章と酷似する。 b この点,被告標章は,すべてが立体的形状により構成されているものではなく,共通点②ないし⑥(うち,⑥については,正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が表示され,かつ正面本体のハンドルが前記鍵穴状の切込みを通るように表示されている点)は平面標章上の特徴である。しかしながら,平面標章も,立体的形状も,共に視覚を通じて認識されるものであり,それにより両者が類似することがあるのは明らかである。 これらを比較する場合に,立体的形状は,一時に全体の形状を視認することができないのであるから,看者がこれを観察する場合に主として視認するであろう一又は二以上の特定の方向(以下「所定方向」という。)を想定し,所定方向からこれを見たときに看者の視覚に映る姿の特徴によって,商品又は役務の出所を識別することができることとなる。 このため,当該所定方向から見たときに視覚に映る姿が特定の平面標章と同一又は近似する場合には,当該立体的形状と当該平面標章との間に外観類似の関係があるというべきである(東京高等裁判所平成13年1月31日判決・平成12年(行ケ)第234号。以下「東京高裁平成13年判決」という。)。 ここで,原告標章は,ハンドバッグの形状であるところ,ハンドバッグは,物を中に収納するという目的から,正面,底面,背面,側面の複数の面を有するところであるが,これを超えて,女性のファッション小物の一つとして,使用者の外観を装うという機能も有する。このため, - 9 -とりわけ正面はハンドバッグのデザインの中心であり,看者がこれを観察する場合には,正面方向が最もその特徴的な部分を視認し得るものとなるから,所定方向は正面ということに - 9 -とりわけ正面はハンドバッグのデザインの中心であり,看者がこれを観察する場合には,正面方向が最もその特徴的な部分を視認し得るものとなるから,所定方向は正面ということになる。これは,原告商品が紹介された多くの雑誌において,正面の写真が掲載されている事実からも明らかである。とするならば,被告標章は,原告標章と上記共通点②ないし⑥の点において同一であり,原告標章を正面から見た場合に視覚に映る特徴を全て捉えたものである。 なお,上記の類否判断の原則(東京高裁平成13年判決)は,平面商標と立体商標が類似する場合について判断したものであるところ,被告標章は,平面標章のみから構成されるものではなく,立体的形状及び平面標章の結合標章であり,その立体的形状も原告標章と同一である。しかも,「所定方向」たる正面以外の方向から見た場合にも,原告標章をそれぞれの方向から見た場合に視覚に映る特徴をすべて捉えたものであって,より類似性が高いことに留意すべきである。 c 以上のとおりであり,被告標章は,平面標章及び立体的形状の両面において,原告標章の形態上の特徴と同一の特徴を具備するものであり,原告標章と被告標章は外観上類似する。 エ誤認混同のおそれ原告標章は,それ自体が原告の商品等表示として需要者に著名であるところ,被告標章は,上記のとおり,平面標章及び立体的形状の両面において原告標章の形態上の特徴と同一の特徴を具備し,これに類似するバッグである。 したがって,需要者が被告各商品に接したときに,原告商品を想起することが通常であり,少なくとも,原告標章と全く同一の形態上の特徴が看取できる以上,原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。 に,原告商品を想起することが通常であり,少なくとも,原告標章と全く同一の形態上の特徴が看取できる以上,原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。 - 10 -オ小括したがって,被告による被告各商品の輸入・販売行為は,原告商標権の侵害行為であり,かつ,不競法2条1項1号及び2号の不正競争行為に該当する。 (2) 被告の故意又は過失原告が原告標章について商標権を有していることからすれば,商標法39条,特許法103条により,被告には,原告商標権の侵害行為をなすにつき過失がある。 また,被告が原告と同じくバッグ等の製造・販売を業とする会社であること,原告標章が原告商品を示す表示として広く認識されていたことからすれば,被告が,原告標章が原告の商品等表示として周知であることを知っていたことは明らかであり,被告には,被告各商品の輸入及び販売行為をなすにつき故意であるか,少なくとも過失がある。 (3) 原告の損害被告は,原告商品と酷似した被告各商品を販売し,もって原告の営業上の利益を侵害したものである。したがって,被告にはその侵害により原告が受けた下記損害金合計382万3000円を原告に対し賠償する責任がある。 ア利益相当損害金(ア) 被告商品1の税抜き販売価格は1万4900円(甲34),仕入価格は1万1200円であり(原告が被告に対し,被告商品の販売中止を求めた平成24年10月当時の為替レートである1ドル約80円にて換算した。以下同様である。甲35),その差額3700円が被告商品1の1個当たりの利益額となる。そして,被告によれば,平成23年頃から平成24年末頃までの1年余りの間に,被告が販売した被告商品1の総数は24個である(甲3 。甲35),その差額3700円が被告商品1の1個当たりの利益額となる。そして,被告によれば,平成23年頃から平成24年末頃までの1年余りの間に,被告が販売した被告商品1の総数は24個である(甲36)。 したがって,被告は,被告商品1の販売により少なくとも8万880 - 11 -0円の利益を得た。 (イ) 被告商品2の税抜き販売価格は1万5600円(甲34),仕入価格は1万2000円であり(甲35),その差額3600円が被告商品2の1個当たりの利益額となる。そして,被告によれば,平成23年頃から平成24年末頃までの1年余りの間に,被告が販売した被告商品2の総数は45個である(甲36)。 したがって,被告は,被告商品2の販売により少なくとも16万2000円の利益を得た。 (ウ) 被告商品3の税抜き販売価格は1万6900円(甲34),仕入価格は1万2400円であり(甲35),その差額4500円が被告商品3の1個当たりの利益額となる。そして,被告によれば,平成23年頃から平成24年末頃までの1年余りの間に,被告が販売した被告商品3の総数は106個である(甲36)。 したがって,被告は,被告商品3の販売により少なくとも47万7000円の利益を得た。 (エ) 被告商品4の税抜き販売価格は2万0800円(甲34),仕入価格は1万5200円であり(甲35),その差額5600円が被告商品4の1個当たりの利益額となる。そして,被告によれば,平成23年頃から平成24年末頃までの1年余りの間に,被告が販売した被告商品4の総数は17個である(甲36)。 したがって,被告は,被告商品4の販売により少なくとも9万5200円の利益を得た。 (オ) 以上によれば,商標法38条2項ないし不競法5条2項により,上記合計82万300 7個である(甲36)。 したがって,被告は,被告商品4の販売により少なくとも9万5200円の利益を得た。 (オ) 以上によれば,商標法38条2項ないし不競法5条2項により,上記合計82万3000円が被告の行為により原告が受けた損害となる。 イ信用毀損による無形侵害(ア) 原告は200年近くの歴史を持つフランスの高級ブランドである。 - 12 -エルメス商品に対しては,その最高の品質により顧客から絶大な信頼が寄せられており,古くから多くの著名人に愛されてきた。 特に原告商品は,エルメス商品を代表する高級バッグであり,それを持つことは多くの女性にとって一つのステータスとなっている。 原告は,その高級ブランドとしての価値,名声を維持すべく,フランスで専門の職人が製造した商品のみをその日本子会社であるエルメスジャポンが輸入し,これを直営店及び一部の特約店においてのみ販売する手法により商品の品質保護に努めているほか,直営店及び特約店には原告の販売方針について教育を受けた販売スタッフを配置している。さらに,原告は,このようなブランドイメージの維持のため多年にわたり多大な広告宣伝費用を費やしている。 (イ)他方,被告各商品は,原告商品に使用されることのない安価なナイロンを素材とし,一個約1万5000円から2万円前後という遥かに廉価で販売されている(甲34)。 このように,原告商品の形状に酷似した質の低い被告各商品が廉価で販売されることにより,原告の高級ブランドとしてのイメージ及び原告商品に対する顧客の信用が著しく毀損された。加えて,被告は,インターネットショッピングサイトを通じて被告各商品を販売しており,その購入者は日本全国に及んでいる。 (ウ)以上のとおり,被告の被告各商品の輸入・販売行為により原告商品 損された。加えて,被告は,インターネットショッピングサイトを通じて被告各商品を販売しており,その購入者は日本全国に及んでいる。 (ウ)以上のとおり,被告の被告各商品の輸入・販売行為により原告商品に対する信用が低下させられた被害は甚大であり,これによる無形損害は少なくとも200万円を下らない。 ウ弁護士費用原告は,本件紛争解決のため,代理人弁護士に対して訴訟委任を行い,その報酬として100万円の支払を約した。 (4) 小括 - 13 -よって,原告は,被告に対し,商標法36条1項ないし不競法2条1項1号,同2号及び3条1項に基づき,別紙被告商品目録1ないし4記載の被告各商品の輸入,譲渡,引渡し,又は譲渡もしくは引渡しのための展示の差止めを,商標法38条2項ないし不競法5条2項,並びに民法709条に基づき,382万3000円及びこれに対する平成25年12月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 被告の答弁被告は,本件口頭弁論期日に出頭しないが,陳述したものとみなされた答弁書では,請求の趣旨に対する答弁として,原告の請求を棄却する旨の裁判を求めるとし,「弊社の答弁の分」として,「HERMES社から連絡を受けてから事実確認のため,直ぐに弊社ネットからGINGERBAGの販売を中止しました。」,「HERMES社の要求によって販売を中止し,すべての在庫を韓国gingerBag本社へ返しました。」,「デザインは写真として似てるかもしれませんが素材や価格などが明確に違うことが分かるし,copyブランドとは,極めて考えにくいし,まったく違う商品と考えてます。(ネット上でもきちんと説明で示しておりました。)」,「デザインが本当に類似な んが素材や価格などが明確に違うことが分かるし,copyブランドとは,極めて考えにくいし,まったく違う商品と考えてます。(ネット上でもきちんと説明で示しておりました。)」,「デザインが本当に類似なもので問題になるのであればHERMES社はHERMESKOREAに通じてgingerBag 韓国本社へ意義を示さなければならないと思う。(国際基準として)」「DHScorpは,ginerBag韓国本社から正式的に手続きに従って輸入販売したAgencyに過ぎません。」,「HERMES社が賠償を請求したいのであれば,弊社ではなく,gingerBag本社へ請求するのが正しいのであると思います。改めて申しますと,弊社として商標権侵害行為に対して初めから侵害する気は全くありませんでしたし,むしろ弊社も被害者として韓国の国内で法的に争い続けてます。」等としている(上記括弧内はいずれも原文のまま)。 - 14 -第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1ないし40,検証の結果)によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足る証拠はない。 (1) 被告は,平成23年ころから,韓国所在の別会社から被告各商品を輸入して,楽天市場におけるインターネットのウエブサイト上においてこれを販売していた。同サイトにおいては,「香港発ユニークブランド『GINGERBAG(ジンジャーバッグ)』公式販売店」とし,被告各商品につき,「ユニークさと実用性を取り揃えたナイロン素材のラグジュアリーなGingerBag(ジンジャーバッグ)はアンディ・ウォーホル(AndyWarhol)のキャンベルスープ(CampbellSoup)のようなウィットのあるポップアート(PopArt)アイディアで誕生しました。有名なシグニチャバッグコレクションを面白 ホル(AndyWarhol)のキャンベルスープ(CampbellSoup)のようなウィットのあるポップアート(PopArt)アイディアで誕生しました。有名なシグニチャバッグコレクションを面白くツイストした香港ブランドでクラシックなバッグのイメージをファブリックの上にデジタルプリントで表現し,様々なカラーで普通のナイロンバッグとは違ってラグジュアリーで楽しい商品を披露します。」,「ナイロン素材に本革表面柄をプリントし,リアリティを生かしたユニークなだまし絵デザインのバッグ!!様々なファッション誌にも掲載や多数のモデルさん愛用の香港発ブランド!!!」等と記載されている。〔甲1〕(2) 原告は,原告代理人弁護士を通じ,被告に対し,平成24年10月3日付け内容証明郵便において,被告各商品の販売中止と,被告各商品の販売期間,販売数量及び販売価格等の開示を求め,同郵便は同月11日に被告に到達した。〔甲37の1,2〕これに対し被告は,原告代理人弁護士に対し,同月22日,従業員Aを通じて,被告各商品の販売を継続しない意向である旨のみを電話で連絡したが,その余についての回答等を行わなかった。そこで,原告代理人は,被告に対し,同年11月19日付け内容証明郵便において,再び上記同旨の回答を求めるとともに,仕入れ先からの納品書等の写しの送付等を求め,同郵便は同 - 15 -月21日に被告に到達した。〔甲38の1,2〕(3) 被告は,平成24年12月25日,原告代理人弁護士に対し,被告各商品の販売期間は1年間余りであること,被告各商品を総計330個仕入れ,うち50個余りは不良品であったこと,販売価格は,サイズXL(被告商品4)は2万0800円,サイズL(被告商品3)は1万6900円,サイズM(被告商品2)は1万5 ,被告各商品を総計330個仕入れ,うち50個余りは不良品であったこと,販売価格は,サイズXL(被告商品4)は2万0800円,サイズL(被告商品3)は1万6900円,サイズM(被告商品2)は1万5600円,サイズS(被告商品1)は1万4900円であることを回答するとともに,輸入先から330個輸入した際の平成23年6月8日付けインボイスに当たるとする韓国の「SUWAUNITEDINC.」作成の書面(ただし,製品の内訳とそれらの輸入数量のみが記載され,その余の輸入価格等については一切記載がないもの)を送信した。〔甲34〕(4) 被告は,平成25年1月17日,原告代理人弁護士に対し,被告各商品の販売数量は192個であり,その仕入価格はサイズXL(被告商品4)は190ドル,サイズL(被告商品3)は155ドル,サイズM(被告商品2)は150ドル,サイズS(被告商品1)は140ドルであることを回答し,「不良品と在庫分に関しては,むしろ韓国SUWA社へ返還しようとしても不良品さえ受け取ってくれない悪質な業者で現在,裁判にかけるため,弊社の社長が直接持っていてまして,裁判の証拠物として提出して行くことになってます。」(原文まま)と記載したメールを送信した。〔甲35〕さらに被告は,同年1月28日,原告代理人弁護士に対し,被告各商品の販売数量192個の内訳に関し,サイズXL(被告商品4)は17個,サイズL(被告商品3)は106個,サイズM(被告商品2)は45個,サイズS(被告商品1)は24個である旨回答した。〔甲36〕 2 被告による被告各商品の輸入・販売行為が,商標法に違反するか否かについて(1) 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用 - 16 -された場合に,商品・役務の出所につ ・販売行為が,商標法に違反するか否かについて(1) 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用 - 16 -された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。 原告商標は立体商標であるところ,上記類否の判断基準は立体商標においても同様にあてはまるものと解すべきであるが,被告標章は一部に平面標章を含むため,主にその立体的形状に自他商品役務識別機能を有するという立体商標の特殊性に鑑み,その外観の類否判断の方法につき検討する。 立体商標は,立体的形状又は立体的形状と平面標章との結合により構成されるものであり,見る方向によって視覚に映る姿が異なるという特殊性を有し,実際に使用される場合において,一時にその全体の形状を視認することができな 的形状又は立体的形状と平面標章との結合により構成されるものであり,見る方向によって視覚に映る姿が異なるという特殊性を有し,実際に使用される場合において,一時にその全体の形状を視認することができないものであるから,これを考案するに際しては,看者がこれを観察する場合に主として視認するであろう一又は二以上の特定の方向(所定方向)を想定し,所定方向からこれを見たときに看者の視覚に映る姿の特徴によって商品又は役務の出所を識別することができるものとすることが通常であると考えられる。そうであれば,立体商標においては,その全体の形状の - 17 -みならず,所定方向から見たときの看者の視覚に映る外観(印象)が自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たすことになるから,当該所定方向から見たときに視覚に映る姿が特定の平面商標と同一又は近似する場合には,原則として,当該立体商標と当該平面商標との間に外観類似の関係があるというべきであり,また,そのような所定方向が二方向以上ある場合には,いずれの所定方向から見たときの看者の視覚に映る姿にも,それぞれ独立に商品又は役務の出所識別機能が付与されていることになるから,いずれか一方向の所定方向から見たときに視覚に映る姿が特定の平面商標と同一又は近似していればこのような外観類似の関係があるというべきであるが,およそ所定方向には当たらない方向から立体商標を見た場合に看者の視覚に映る姿は,このような外観類似に係る類否判断の要素とはならないものと解するのが相当である。 そして,いずれの方向が所定方向であるかは,当該立体商標の構成態様に基づき,個別的,客観的に判断されるべき事柄であるというべきである。 (2) これを本件について検討するに,原告標章,被告標章はいずれも,内部に物を収納し,ハ 向であるかは,当該立体商標の構成態様に基づき,個別的,客観的に判断されるべき事柄であるというべきである。 (2) これを本件について検討するに,原告標章,被告標章はいずれも,内部に物を収納し,ハンドルを持って携帯するハンドバックに係るものであるから,ハンドルを持って携帯した際の下部が底面となり,この台形状の底面の短辺と接続し,ハンドルが取り付けられていない縦長の二等辺三角形の形状を有する面が側面となることはそれぞれ明らかである。そして,その余の面のうち,蓋部,固定具が表示されている大きな台形状の面が正面部に該当し,かつこの正面部には,その対面側に相当する背面部とは異なり,装飾的要素をも備えた蓋部,ベルト,固定具が表示されており,ハンドルを持って携帯した際に携帯者側に向かって隠れる背面部とは異なって外部に向き,他者の注意を惹くものであるから,この正面部は,少なくとも所定方向の一つに該当するものと解される。 これは,被告の開設したインターネットショッピングサイトにおいて,い - 18 -ずれもこの正面部を含む写真が表示されていることのほか,各商品の紹介においては,全てこの正面部のみが表示されていることも,正面部が所定方向であることを裏付けるものであるということができる。〔甲1〕そして,この正面部から観察した場合,原告標章と被告標章とは,本体正面の形状において底辺がやや長い台形状であり,上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部が表示されていること,前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルトが表示されていること,前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定 ること,前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルトが表示されていること,前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具が表示されていること,前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具が表示されていること,上部に円弧状をなす一対のハンドルが表示され,前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていること,以上の点においていずれも共通しており,原告標章と被告標章とは,所定方向である正面から見たときに視覚に映る姿が,少なくとも近似しているというべきであり,両者は外観類似の関係にあるということができる。 被告標章は,原告標章では立体的構成とされている蓋部,左右一対のベルトとこれを固定する左右一対の補助固定具,先端にリング状を形成した固定具,ハンドルの下部(正面部と重なりベルト付近まで至る部分)について,これらの質感を立体的に表現した写真を印刷して表面に貼付した平面上の構成とされているところ,これを正面から見た場合に上記共通点に係る視覚的特徴を看取できるものというべきである。 一方,上部及び側面方向から被告標章を観察した場合には,原告標章では立体的に表現された上記蓋部等が立体的でないことは看て取れるものの,上 - 19 -部及び側面は,いずれも所定方向には該当せず,上記所定方向から観察した場合の外観の類否に影響するものではない。 (3) そして,原告商標ないし被告標章において,何らかの観念ないし称呼が生じ,これらが著しく相違するものとも認められない。 (4) 以上によれば,被告標章は原告商標と 否に影響するものではない。 (3) そして,原告商標ないし被告標章において,何らかの観念ないし称呼が生じ,これらが著しく相違するものとも認められない。 (4) 以上によれば,被告標章は原告商標と類似しているということができ,被告につき,過失の存在の推定を覆すに足る事情も認められない(商標法39条,特許法103条)。 (5) この点に関して被告は,被告各商品につき,そのデザインは写真として似ているかもしれないが,素材や価格などで明確に区別できる等と主張するが,本件全証拠によっても,上記所定方向である正面から観察した場合に,被告標章が原告標章と類似するとの判断を覆すに足る事実は何ら認めることができないし,商品の出所の誤認混同をきたすおそれがないものとも認められない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 3 被告各商品を輸入・販売する被告の行為の不競法2条1項1号及び2号該当性について(1) 原告標章の著名性,被告標章との類似性及び被告が自己の商品等表示として用いたかについてア原告商品は,別紙原告商品目録記載の形態(原告標章)を有しており,本体正面及び背面において底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなし,本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが二箇所設けられた蓋部が正面上部に存し,本体背面上部に端部が縫合され,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面の上部に伸びるベルトが設けられ,前記蓋部の凸型部分と前記ベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリングを形成した固定具 - 20 -が設けられ,さらに,前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記ベ の上部中央にて同時に固定することができる先端にリングを形成した固定具 - 20 -が設けられ,さらに,前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられ,本体正面上部及び背面上部に,円弧状をなす一対のハンドルが縫合され,前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられることを特徴としているところ,この台形状で脇にまちが入り,蓋部に鍵穴状の切込みがあり,本体背面部から正面部に延在する一対のベルトを有している点等において独特の特徴を有しており,需要者に特別な印象を与える形態であるということができる。 イ証拠によれば,この原告商品は,昭和59年(1984年)に原告から発売され,フランスの女優ジェーン・バーキンが愛用したとされることから,「バーキン」の名称で知られることとなった。フランス法人である原告は,我が国においても,昭和39年(1964年)から大手百貨店と提携し,渋谷,池袋のほか,全国に合計15店舗の専門店を出店しており,その高い品質及びファッション性が知られるところとなった。 昭和58年(1983年)に原告の日本子会社であるエルメスジャポンが設立された後は,更なる積極的な販売活動がされ,現在では,原告は,直営店及び特約店を合わせて我が国に計45の店舗を有するに至っている。〔甲3〕原告商品は,色や表面素材により種類があるものの,そのほとんどが1個100万円を超える高級バッグであり,雑誌にも「世界中の女性が憧れるバッグの最高峰」などと紹介されている。〔甲11,12,28〕原告商品の我が国における販売個数は,平成10年(1998年)には年間3000個を,平成15年(2003年)には年間8000個を,平成21年( 最高峰」などと紹介されている。〔甲11,12,28〕原告商品の我が国における販売個数は,平成10年(1998年)には年間3000個を,平成15年(2003年)には年間8000個を,平成21年(2009年)には年間1万7000個をそれぞれ超えるに至っている。〔甲4〕原告は,多数の雑誌を通じて原告商品の販売促進を図っており,昭和 - 21 -60年(1985年)から平成8年(1996年)までに原告商品に費やした広告宣伝費は6200万円にも及び,原告商品を写真入りで取り上げた雑誌も多数に上るところ,その中にはエルメス商品のみを特集した女性誌も存在し,原告商品はエルメス商品を代表する商品として,前記のとおり台形状で脇にまちが入り,蓋部に鍵穴状の切込みがあって,本体背面部から正面部に延在する一対のベルトを有しているその特徴的な形態がカラー写真で強く印象付けられるように紹介されている。〔甲5~32〕以上によれば,原告による販売,広告宣伝活動を通じ,原告標章は,遅くとも平成23年5月までには,原告の出所標識として著名なものとして,独立して自他商品識別力を獲得したものというべきである。 ウそして,前記2で検討したとおり,被告各商品の形態である被告標章は,看者が観察する場合に主として視認するであろう所定方向である正面において同一の特徴を備えており,上部及び側面方向からの観察を含めても,その全体的形状は上記原告標章と類似するものというべきであるから,被告は原告標章を自己の商品等表示としてこれを使用したものということができる(不競法2条1項2号)。 (2) 原告標章の周知性及び被告標章が原告標章と誤認混同を生じさせるおそれがあるかについてア周知性につき上記(1)によれば,原告商品の形態に係る原告 る(不競法2条1項2号)。 (2) 原告標章の周知性及び被告標章が原告標章と誤認混同を生じさせるおそれがあるかについてア周知性につき上記(1)によれば,原告商品の形態に係る原告標章は,遅くとも平成23年5月には周知性を優に獲得していたものと認められる。 イ誤認混同のおそれにつき上記(1)ウで検討したとおり,被告標章は,原告標章と類似するものであり,誤認混同のおそれがあることが認められる。 (3) 被告の故意ないし過失の有無について - 22 -前記2で検討したとおり,被告各商品は,周知・著名な原告標章と類似する被告標章の形態を有しており,前記(1)イで認定した原告商品に係る原告標章の周知ないし著名性獲得の経緯に鑑みれば,被告各商品の輸入・販売に係る不競法違反の点につき,被告には少なくとも過失が認められるというべきである。 4 損害の発生の有無及びその額について(1) 前記1で認定した事実によれば,被告による被告各商品の販売価格は,被告商品1が1万4900円,被告商品2が1万5600円,被告商品3が1万6900円,被告商品4が2万0800円であるものとそれぞれ認められ,その仕入価格(輸入価格)は,原告が被告に対し輸入価格等の開示を求めた時点である平成24年10月当時の換算レートであると認められる1米ドル80円(弁論の全趣旨)で計算すると,被告商品1につき1万1200円,被告商品2につき1万2000円,被告商品3につき1万2400円,被告商品4につき1万5200円であることが認められる。 そして,本件における全事情に鑑みると,商標法38条2項ないし不競法5条2項にいう被告が侵害の行為により受けた利益の額である限界利益は,上記販売価格から仕入価格を控除した額 ことが認められる。 そして,本件における全事情に鑑みると,商標法38条2項ないし不競法5条2項にいう被告が侵害の行為により受けた利益の額である限界利益は,上記販売価格から仕入価格を控除した額の80%に相当する金額であると認められる。 そうすると,被告各商品についての上記限界利益額は,それぞれ,被告商品1が2960円,被告商品2が2880円,被告商品3が3600円,被告商品4が4480円であるとそれぞれ認められ,被告による被告各商品の販売数量は被告商品1が24個,被告商品2が45個,被告商品3が106個,被告商品4が17個であるから,これらを以下のとおり乗じる。 2960円×24個=7万1040円2880円×45個=12万9600円3600円×106個=38万1600円 - 23 -4480円×17個=7万6160円上記合計65万8400円が,被告が賠償すべき被告利益の額となる。 (2) 上記認定のとおり,被告は,原告標章の特徴的な部分を構成する蓋部やベルト等につき,質感を表現した写真を貼付し,原告標章と類似する形態の被告各商品を販売しているものであり,原告商品が1個100万円程度の価格を維持しているのに比して著しく粗悪な商品というべきであるから,被告各商品のインターネットを通じた販売により,原告は原告商品に係る信用を毀損されたものというべきであり,本件の全事情を総合すると,原告の信用毀損に基づく損害額は150万円を下らないというべきである。 (3) また,被告による商標権侵害ないし不正競争の不法行為に基づいて,原告は上記損害を被り,本件訴訟提起を余儀なくされたところ,被告の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用として20万円を認めるのが相当である。 (4) 以上によれば,被告は, の不法行為に基づいて,原告は上記損害を被り,本件訴訟提起を余儀なくされたところ,被告の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用として20万円を認めるのが相当である。 (4) 以上によれば,被告は,原告に対し,損害賠償として合計235万8400円の支払義務があることになる。 5 結論以上によれば,原告の請求は,被告に対し,商標法36条1項ないし不競法2条1項1号,1項2号,3条1項に基づき,被告各商品の輸入,譲渡,引渡し,又は譲渡若しくは引渡しのための展示の差止め(主文第1項),並びに,商標法38条2項,不競法5条2項及び民法709条に基づき合計235万8400円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年12月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(主文第2項)を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 - 24 - 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本 滋 - 25 -(別紙)被告商品目録1 ①全体的形状が,本体正面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,②本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,③(a)本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方 面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,②本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,③(a)本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部,(b)前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルト,(c)前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具,(d)前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具がそれぞれ表示され,(e)本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認しうるように,正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が本体正面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていることを特徴とする写真4ないし6の形状の,商品名「ジンジャーバッグサイズS」,価格1万4900円(税抜)のかばん。 - 26 -被告商品目録2 ①全体的形状が,本体正面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,②本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,③(a)本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部,(b)前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルト,(c)前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することが 蓋部,(b)前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルト,(c)前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具,(d)前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具がそれぞれ表示され,(e)本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認しうるように,正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が本体正面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていることを特徴とする写真4ないし6の形状の,商品名「ジンジャーバッグサイズM」,価格1万5600円(税抜)のかばん。 - 27 -被告商品目録3 ①全体的形状が,本体正面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,②本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,③(a)本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部,(b)前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルト,(c)前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具,(d)前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具がそれぞれ表示され,(e)本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認しうるよ 穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具がそれぞれ表示され,(e)本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認しうるように,正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が本体正面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていることを特徴とする写真4ないし6の形状の,商品名「ジンジャーバッグサイズL」,価格1万6900円(税抜)のかばん。 - 28 -被告商品目録4 ①全体的形状が,本体正面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなす立体的形状であり,②本体正面上端及び背面上端に,円弧状をなす一対の実ハンドルが縫合され,③(a)本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部,(b)前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルト,(c)前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具,(d)前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具がそれぞれ表示され,(e)本体正面上部及び背面上部に円弧状をなす一対のハンドルを視認しうるように,正面上端及び背面上端に縫合された実ハンドルまで延在するハンドルの一部が本体正面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていることを特徴とする写真4ないし6の形状の,商品名「ジンジャーバッグサイズXL るハンドルの一部が本体正面に表示され,かつ,前記本体正面のハンドルの一部が前記鍵穴状の切込みを通るように表示されていることを特徴とする写真4ないし6の形状の,商品名「ジンジャーバッグサイズXL」,価格2万0800円(税抜)のかばん。 - 29 -写真4 写真5 - 30 - 写真6 - 31 -(別紙)原告商品目録 ①本体正面及び背面が底辺がやや長い台形状,本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなし,②本体正面上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが二箇所設けられた蓋部が正面上部に存し,③本体背面上部に端部を縫合され,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面の上部に伸びるベルトが設けられ,④前記蓋部の凸型部分と前記ベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリング状を形成した固定具が設けられ,さらに,前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられ,⑤本体正面上部及び背面上部に,円弧状をなす一対のハンドルが縫合され,前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられることを特徴とする写真1ないし3の形状のかばん。 - 32 -写真1(正面外観図) 写真2(背面外観図) - 33 -写真3(側面外観図) - 34 -(別紙)商標権目録登録番号第5438059号出願日平成20年3月6日登録日平成23年9月 観図) 商標権目録登録番号第5438059号 出願日平成20年3月6日 登録日平成23年9月9日 商品区分第18類 指定商品ハンドバッグ 登録商標

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