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平成10(行ウ)10 不動産取得税賦課処分取消請求事件

裁判所

平成15年4月25日 神戸地方裁判所

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48,370 文字

主文 1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。事実及び理由 第1 請求被告が,原告に対し,平成8年5月10日付けでした別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)に係る不動産取得税賦課処分(以下「本件処分」という。)を取り消す。第2 事案の概要等 1 事案の骨子本件は,原告が,平成8年5月10日付けで被告によりなされた本件処分(本件建物の課税評価額が29億8340万2000円,不動産取得税額が1億1933万6000円)につき,不動産取得税の課税客体(「家屋」),納税義務者(「所有者」)及び課税評価額(「価格」)の各認定に不服があるとして,被告に対し,本件処分の取消しを求めた事案である。2 前提事実(証拠を掲記しない事項は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,不動産の所有,賃貸借,仲介,管理及びホテル経営委託等を業とする株式会社であり,その所有する土地上に本件建物(東館)を新築し,本件建物及びそれに隣接する2棟の建物(本館及び西館)において,「ホテルA」を委託経営することを予定していた(弁論の全趣旨)。イ被告は,兵庫県知事から不動産取得税の賦課処分権限を委任された者である(平成13年兵庫県条例6号第5条)。なお,本件処分は,当時,兵庫県知事から不動産取得税の賦課処分権限を委任されていた神戸財務事務所長がしたものであったが(昭和35年兵庫県税条例63号第9条),平成13年兵庫県条例6号第5条が施行された平成13年4月1日をもって,上記賦課処分権限が神戸財務事務所長から被告(神戸県民局長)に承継されたため,同時に,本件訴訟の被告適格も,神戸 63号第9条),平成13年兵庫県条例6号第5条が施行された平成13年4月1日をもって,上記賦課処分権限が神戸財務事務所長から被告(神戸県民局長)に承継されたため,同時に,本件訴訟の被告適格も,神戸財務事務所長から被告に承継されたものである。 号第5条が施行された平成13年4月1日をもって,上記賦課処分権限が神戸財務事務所長から被告(神戸県民局長)に承継されたため,同時に,本件訴訟の被告適格も,神戸 63号第9条),平成13年兵庫県条例6号第5条が施行された平成13年4月1日をもって,上記賦課処分権限が神戸財務事務所長から被告(神戸県民局長)に承継されたため,同時に,本件訴訟の被告適格も,神戸財務事務所長から被告に承継されたものである。(2) 本件建物の新築工事ア本件請負契約の締結等原告は,訴外甲及び訴外乙との間で,平成元年10月21日,本件建物の新築工事請負契約を締結し,平成2年8月31日,次のとおり「工事請負契約書」(乙36)を交わした(以下,上記請負契約を「本件請負契約」,上記工事請負契約書を「本件請負契約書」といい,本件請負契約に基づく新築工事を「本件工事」という。)。(ア) 注文主原告(イ) 請負人甲(ウ) 監理者乙(エ) 使用目的 「ホテルA」の客室棟及び駐車場(地下2階から地上5階までは駐車場〔以下「本件駐車場」という。〕,1階は食堂等,地上6階から13階まではホテル客室)(オ) 工事着手日平成2年2月1日(カ) 完成予定日平成3年5月31日(キ) 請負代金額 100億9900万円(消費税を含む)イそのころ,原告は,甲及び丙との間で,丙が本件工事を一括して下請けするとの合意をした。ウ丙は,上記合意に基づいて,本件工事に着手した(以上,乙36,弁論の全趣旨)。(3) 原告による不動産取得の申告ア兵庫県は,不動産取得の事実を捕捉し,不動産取得税の課税に資するため,不動産を取得した者に対し,不動産の取得年月日,取得の原因等の申告ないし報告の義務を課している(地方税法73条の18第1 ア兵庫県は,不動産取得の事実を捕捉し,不動産取得税の課税に資するため,不動産を取得した者に対し,不動産の取得年月日,取得の原因等の申告ないし報告の義務を課している(地方税法73条の18第1項,昭和35年兵庫県税条例63号第53条1項〔乙12〕)。イ原告は,平成3年7月9日,上記法令に基づき,原告が本件建物を新築し,同年5月31日に取得した旨の不動産取得申告書(乙1)を,神戸財務事務所長に対して提出し,同所長は,これを受理した。(4) 本件建物の引渡し未了ア上記(3)のころ,原告と甲及び丙との間で,本件工事に関する紛争が発生した。 ないし報告の義務を課している(地方税法73条の18第1項,昭和35年兵庫県税条例63号第53条1項〔乙12〕)。イ原告は,平成3年7月9日,上記法令に基づき,原告が本件建物を新築し,同年5月31日に取得した旨の不動産取得申告書(乙1)を,神戸財務事務所長に対して提出し,同所長は,これを受理した。(4) 本件建物の引渡し未了ア上記(3)のころ,原告と甲及び丙との間で,本件工事に関する紛争が発生した。イ甲らは,本件工事に係る未払工事代金について留置権を主張し,現在に至るまで,本件建物を共同占有している(甲17,弁論の全趣旨)。ウそのため,原告は,不動産取得申告書(乙1)における本件建物を新築した日(平成3年5月31日)から現在に至るまで,本件建物の引渡を受けておらず,同建物を一度も占有したことのない状況にある。(5) 本件処分等ア現地調査等そこで,神戸財務事務所長は,平成4年11月9日,平成6年12月16日及び平成7年7月19日の3回にわたり,神戸市と合同で,本件建物について現地調査を実施し,甲らから,本件請負契約に係る見積書(乙28,乙36)及び契約図面(乙29),並びに追加・変更工事の内容を確認するための資料として,神戸地方裁判所の嘱託に基づいて作成された本件建物に係る調査報告書の写し(本件駐車場が駐車場法に定める路外駐車場に該当するか否かを鑑定した第1回調査報告書〔乙16,以下「第1回報告書」という。〕,本件建物の給排水設備等諸設備の機能について鑑定した第2回調査報告書〔乙17,以下「設備報告書」という。〕, 駐車場に該当するか否かを鑑定した第1回調査報告書〔乙16,以下「第1回報告書」という。〕,本件建物の給排水設備等諸設備の機能について鑑定した第2回調査報告書〔乙17,以下「設備報告書」という。〕,本件建物の出来高金額を鑑定した第3回調査報告書〔乙18,乙26,以下「出来高報告書」という。〕)の提供を受けた(乙13の1,乙24,乙30)。イ認定神戸財務事務所長は,現地調査の結果及び上記契約図面等の資料に基づき,本件建物について,次のとおり認定した(乙3の1・2)。(ア) 本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」(地方税法73条の2第2項)に該当する。(イ) 本件建物は,新築された日である平成3年5月31日から6月を経過してもなお,最初の使用又は譲渡が行われていない。 」という。〕)の提供を受けた(乙13の1,乙24,乙30)。イ認定神戸財務事務所長は,現地調査の結果及び上記契約図面等の資料に基づき,本件建物について,次のとおり認定した(乙3の1・2)。(ア) 本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」(地方税法73条の2第2項)に該当する。(イ) 本件建物は,新築された日である平成3年5月31日から6月を経過してもなお,最初の使用又は譲渡が行われていない。よって,本件建物については,同建物の「所有者」(地方税法73条の2第2項ただし書)を納税義務者とみなす。(ウ) 本件建物の「所有者」は,原告である。(エ) 本件建物の「価格」(地方税法73条の13)は,「再建築費評点表」(乙4,乙13の2,以下「再建築費評点表」という。)のとおり付設した再建築費評点数を基礎として算出した結果,29億8340万2329円となる。ウ本件処分そして,神戸財務事務所長は,平成8年5月10日,原告に対して,本件建物に係る不動産取得税1億1933万6000円の賦課処分(本件処分)をした(乙3の1・2)。(6) 審査請求,本訴提起ア原告は,本件処分を不服として,平成8年6月19日,兵庫県知事に対して,審査請求をした。イこれに対し,兵庫県知事は,平成10年1月6日付けで上記審査請求を棄却する旨の決定をし,それを原告に 告は,本件処分を不服として,平成8年6月19日,兵庫県知事に対して,審査請求をした。イこれに対し,兵庫県知事は,平成10年1月6日付けで上記審査請求を棄却する旨の決定をし,それを原告に通知した(甲1,乙11の1・2,乙25)。ウそこで,原告は,本件処分に不服があるとして,本件訴訟を提起した。3 争点本件の争点は,本件処分の適法性であるが,具体的には,次の5点である。(1) 争点1(新築建物の「家屋」該当性)本件建物は,「家屋が新築された場合」(地方税法73条の2第2項)として,不動産取得税の課税客体たる「家屋」(地方税法73条の2第1項,73条1号・3号)に該当するか(2) 争点2(瑕疵ある新築建物の「家屋」該当性)本件建物に瑕疵がある場合,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」(地方税法73条の2第2項,73条1号・3号)に該当するか(3) 争点3(本件建物の「所有者」該当性)原告は,本件建物の「所有者」として,不動産取得税の納税義務者たる不動産の取得者(地方税法73条の2第1項・同第2項但書)に該当するか(4) 争点4(再建築費評点表の誤り)本件建物の課税標準たる「価格」(地方税法73条の13第1項,同73条5号,同73条の21第2項)の算出の基礎とされている再建築費評点表に,原告主張の誤りがあるか(5) 争点5(本件建物の「価格」,不動産取得税額)本件建物の課税標準たる「価格」(同上,同73条の15),不動産取得税額はいくらか 不動産の取得者(地方税法73条の2第1項・同第2項但書)に該当するか(4) 争点4(再建築費評点表の誤り)本件建物の課税標準たる「価格」(地方税法73条の13第1項,同73条5号,同73条の21第2項)の算出の基礎とされている再建築費評点表に,原告主張の誤りがあるか(5) 争点5(本件建物の「価格」,不動産取得税額)本件建物の課税標準たる「価格」(同上,同73条の15),不動産取得税額はいくらか 4 争点に関する地方税法の規定(1) 地方税法73条(不動産取得税に関する用語の意義)1号不動産土地及び家屋を総称する。同73条の15),不動産取得税額はいくらか 4 争点に関する地方税法の規定(1) 地方税法73条(不動産取得税に関する用語の意義)1号不動産土地及び家屋を総称する。3号家屋住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう。5号価格適正な時価をいう。(2) 地方税法73条の2(不動産取得税の納税義務者等)1項不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に課する。2項家屋が新築された場合においては,当該家屋について最初の使用又は譲渡…中略…が行われた日において家屋の取得がなされたものとみなし,当該家屋の所有者又は譲受人を取得者とみなして,これに対して不動産取得税を課する。ただし,家屋が新築された日から6月を経過して,なお,当該家屋について最初の使用又は譲渡が行われない場合においては,当該家屋が新築された日から6月を経過した日において家屋の取得がなされたものとみなし,当該家屋の所有者を取得者とみなして,これに対して不動産取得税を課する。(3) 地方税法73条の13(不動産取得税の課税標準)1項不動産取得税の課税標準は,不動産を取得した時における不動産の価格とする。(4) 地方税法73条の21(不動産の価格の決定等)1項不動産の取得時点で価格が不動産固定資産課税台帳等に登録されている不動産については,当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。以下省略。2項道府県知事は,固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産…中略…については,第388条第1項の固定資産評価基準によって, るべき価格を決定するものとする。以下省略。2項道府県知事は,固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産…中略…については,第388条第1項の固定資産評価基準によって,当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。 省略。2項道府県知事は,固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産…中略…については,第388条第1項の固定資産評価基準によって, るべき価格を決定するものとする。以下省略。2項道府県知事は,固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産…中略…については,第388条第1項の固定資産評価基準によって,当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。(5) 地方税法73条の15(不動産取得税の税率)不動産取得税の標準税率は,100分の4とする。第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(新築建物の「家屋」該当性)について(1) 被告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義家屋の取得者に対し,不動産取得税が課税される「家屋が新築された場合」(地方税法73条の2第2項)とは,事実上家屋の新築が完了した場合をいい,新築が完了したか否かの判定は,一般社会通念上の認定により行うべきであるが,その判断が困難な場合は,建築基準法の適用のある家屋については,同法による竣工検査を受け得る程度であるかどうかにより判断することもできるが,一般的には,主要構造部について概ね工事を終了し,最低限度の附帯設備の取付けを終わり,家屋として使用し得る状態になったかどうかによって判断すべきである(乙6,乙35,地方税法及び同法施行に関する取扱についての依命通達〔道府県税関係〕昭和29年5月13日自乙府発第109号各都道府県知事宛自治庁次長通達〔以下,「道府県税関係依命通達」という。〕第5章第一・三(3))。イ本件建物へのあてはめ(ア) 本件建物の主要構造部(基礎・屋根構造・床構造を含む。),外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根仕上工事,建具,その他及び建築諸設備(電気設備,衛生設備,空調設備,防災設備,運搬設備等)に係る一連の工事は,工事完了 を含む。),外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根仕上工事,建具,その他及び建築諸設備(電気設備,衛生設備,空調設備,防災設備,運搬設備等)に係る一連の工事は,工事完了検査がなされた平成3年5月23日までには終了し,同月25日に,工事完了検査済証が交付された。加えて,本件建物については,平成3年5月25日に,神戸市生田消防署長より消防設備等検査済証が,また,平成3年5月28日に,神戸市中央保健所長より旅館営業許可書が,各々交付された。 井仕上,屋根仕上工事,建具,その他及び建築諸設備(電気設備,衛生設備,空調設備,防災設備,運搬設備等)に係る一連の工事は,工事完了検査がなされた平成3年5月23日までには終了し,同月25日に,工事完了検査済証が交付された。加えて,本件建物については,平成3年5月25日に,神戸市生田消防署長より消防設備等検査済証が,また,平成3年5月28日に,神戸市中央保健所長より旅館営業許可書が,各々交付された。(イ) 原告は,甲らに対し,平成3年1月31日までに60億1400万円もの本件工事代金を支払った上,平成3年7月9日,神戸財務事務所長に対し,原告が本件建物を新築し,平成3年5月31日に取得した旨の不動産取得の申告をした。(ウ) 以上の事実を総合すると,本件建物は,遅くとも平成3年5月31日までには,事実上新築工事を完了し,「家屋が新築された場合」に該当する状態に達していたものである。ウまとめ以上より,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,本件建物に対してなされた本件処分は,適法である。(2) 原告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義利益なければ課税なしとの税法上の大原則からすれば,「家屋が新築された場合」とは,単に建物の構造上必要不可欠な主要構造部等を備え,社会通念上土地から独立した一個の不動産として取引または利用の対象とされ得る状態に達しただけでは足りず,当該家屋の本来の用途に応じて,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達したことを意味するものと解すべきである。イ本件建物へのあてはめ(ア) では足りず,当該家屋の本来の用途に応じて,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達したことを意味するものと解すべきである。イ本件建物へのあてはめ(ア) 本件建物については,地下防水工事やエレベーター設置工事を始め,建築基準法上設置義務のある非常用照明設備,消防法上設置義務のあるスプリンクラー設備等,及び旅館業法上設置の予定されている内装・付属設備等の多くが未施工である。(イ) よって,本件建物は,未だホテル客室棟及び駐車場としての用途に応じ,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達していないことは明らかであるから,「家屋が新築された場合」に該当しない。(ウ) 被告の主張に対する反論a 上記(ア)のとおり,本件建物には,未だ多くの未施工箇所がある。 のあるスプリンクラー設備等,及び旅館業法上設置の予定されている内装・付属設備等の多くが未施工である。(イ) よって,本件建物は,未だホテル客室棟及び駐車場としての用途に応じ,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達していないことは明らかであるから,「家屋が新築された場合」に該当しない。(ウ) 被告の主張に対する反論a 上記(ア)のとおり,本件建物には,未だ多くの未施工箇所がある。b よって,本件建物について交付された工事完了検査済証,消防用設備等検査済証及び旅館営業許可書は,違法かつ無効なものであり,本件建物の完成を示すものではない。c また,原告による不動産取得の申告は,今後甲らが本件建物を完成させることを予定してしたものであり,本件建物の完成を認める趣旨でしたのではない。d また,原告による本件工事代金の支払は,本件建物が完成したからではなく,工事の遅れを発生させないためにしたにすぎない。ウまとめ以上より,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当せず,本件建物に対してなされた本件処分は,違法であるから取り消されるべきである。2 争点2(瑕疵ある新築建物の「家屋」該当性)について(1) 被告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義 てなされた本件処分は,違法であるから取り消されるべきである。2 争点2(瑕疵ある新築建物の「家屋」該当性)について(1) 被告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義(ア) 前記1(1)ア(争点1の被告の主張)のとおり,不動産取得税が課税される「家屋が新築された場合」とは,家屋として使用し得る状態になったか否かの観点から判断されるべき事項であり,請負人による請負契約上の債務不履行の有無とは別問題である。(イ) よって,新築建物に瑕疵が存在することをもって,直ちに「家屋が新築された場合」に該当することを否定する理由とはなり得ない。イしたがって,仮に本件建物に瑕疵が存したとしても,家屋として使用し得る状態には達しているので,「家屋が新築された場合」に該当することは明らかである。ウまとめ以上より,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,本件建物に対してなされた本件処分は,適法である。(2) 原告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義前記1(2)ア(争点1の原告の主張)のとおり,不動産取得税が課税される「家屋が新築された場合」とは,当該家屋の本来の用途に応じ,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達した場合であると解する。 かである。ウまとめ以上より,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,本件建物に対してなされた本件処分は,適法である。(2) 原告の主張ア 「家屋が新築された場合」の意義前記1(2)ア(争点1の原告の主張)のとおり,不動産取得税が課税される「家屋が新築された場合」とは,当該家屋の本来の用途に応じ,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達した場合であると解する。イ本件建物へのあてはめ(ア) 本件建物には,適切な地盤改良工事の未施工,建物の構造計算の過誤,地下防水工事の未施工等,危険かつ重大な瑕疵が多数存在する(甲2,甲3,甲6,甲10,甲15参照)。これらの瑕疵は,地耐力の不足,建物耐力の不足,建物内部への地下水の浸水等を引き起こし,いずれも本件建物 つ重大な瑕疵が多数存在する(甲2,甲3,甲6,甲10,甲15参照)。これらの瑕疵は,地耐力の不足,建物耐力の不足,建物内部への地下水の浸水等を引き起こし,いずれも本件建物の安全性に直接関わる重大な瑕疵であり,かつ修補することの不可能なものである。(イ) よって,本件建物は,このままでは本来の用途に応じた使用のできない単なる建築資材の集合体にすぎず,したがって,本件建物の本来の用途に応じ,現実に使用収益することが可能な程度に工事が完了した状態に達していないことは,明らかである。ウまとめ以上より,本件建物は,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当せず,本件建物に対してなされた本件処分は,違法であるから取り消されるべきである。3 争点3(本件建物の「所有者」該当性)について(1) 被告の主張ア原告は,平成3年1月31日までに,本件工事代金100億9900万円の半額以上に相当する総額60億1400万円を支払っていることからすれば,本件建物の所有権は,その引渡を待つまでもなく,完成と同時に原始的に注文者に帰属したものである(最高裁昭和44年9月12日判決・判例時報572号25頁参照)。イ仮に,そうでないとしても,上記アの事実に加え,以下の事実を総合すると,原告と甲らとの間において,本件建物の所有権は,注文者である原告に帰属させる旨の黙示の合意がなされたものである。(ア) 本件建物は,注文者である原告の所有地上に,原告の希望する設計・予算・材料で建築された。(イ) 原告が,請負人たる甲らに対し,原告所有の土地上に,本件建物建築のための敷地利用権を認める約定がない。 号25頁参照)。イ仮に,そうでないとしても,上記アの事実に加え,以下の事実を総合すると,原告と甲らとの間において,本件建物の所有権は,注文者である原告に帰属させる旨の黙示の合意がなされたものである。(ア) 本件建物は,注文者である原告の所有地上に,原告の希望する設計・予算・材料で建築された。(イ) 原告が,請負人たる甲らに対し,原告所有の土地上に,本件建物建築のための敷地利用権を認める約定がない。(ウ) 甲らは,原告の予定に ・予算・材料で建築された。(イ) 原告が,請負人たる甲らに対し,原告所有の土地上に,本件建物建築のための敷地利用権を認める約定がない。(ウ) 甲らは,原告の予定に合わせて,本件建物の工事完了検査を実施した。(エ) 原告は,本件建物を新築し,それを取得した旨の不動産取得の申告をした。(オ) 原告は,本件建物の所有権が自己に帰属することを自認している。ウまとめ以上より,原告は,本件建物の所有者であり,不動産取得税の納税義務者たる家屋の「所有者」に該当するので,原告に対してなされた本件処分は,適法である。(2) 原告の主張ア注文者の土地上に,請負人が材料全部を提供して建物を建築した場合,建物の所有権は,引渡の時に注文者に移転するのが原則である(大審院昭和7年5月9日判決・民集第11巻中824頁参照)ことからすれば,本件建物の所有者は,甲ないし丙である。このことは,甲ないし丙が,自ら本件建物の所有権が甲ないし丙に帰属することを主張し(甲17参照),それを理由に本件建物の占有を続けていることからも明らかである。イ被告の主張に対する反論(ア) 解除原告は,平成3年12月24日,甲らに対し,本件工事の遅延を理由に本件請負契約を解除するとの意思表示をしたことにより,本件建物の所有者でなくなった。(イ) 瑕疵の存在本件建物には,前記2(2)イ(ア)(争点2の原告の主張)のとおり,危険かつ重大な瑕疵が多数存在する。かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,例え注文者が工事代金の大半を支払ったとしても,注 前記2(2)イ(ア)(争点2の原告の主張)のとおり,危険かつ重大な瑕疵が多数存在する。かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,例え注文者が工事代金の大半を支払ったとしても,注文者に所有者としての責任を負わせるのは不合理である。 ,危険かつ重大な瑕疵が多数存在する。かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,例え注文者が工事代金の大半を支払ったとしても,注 前記2(2)イ(ア)(争点2の原告の主張)のとおり,危険かつ重大な瑕疵が多数存在する。かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,例え注文者が工事代金の大半を支払ったとしても,注文者に所有者としての責任を負わせるのは不合理である。よって,かかる特殊事情の下においては,本件建物の所有権は,欠陥建物を建築した甲らにあると解すべきである。ウまとめ以上より,原告は,本件建物の所有者ではなく,不動産取得税の納税義務者たる家屋の「所有者」に該当しないので,原告に対してなされた本件処分は違法である。4 争点4(再建築費評点表の誤り)について(1) 原告の主張本件建物の再建築費評点表には,次のとおり多数の誤りがあり,かかる誤りのある再建築費評点表をもとに算出された本件建物の「価格」に基づく本件処分は,違法であるから取り消されるべきである。ア実際の施工内容との相違(原告の主張(ア)~(エ))本件建物の実際の施工内容と再建築費評点表の記載が,次のとおり異なっている。(ア) 「主体構造部」の「屋根構造」の項目には,「ALC版」との記載があるが,本件建物に「ALC版」は使用されていない。(イ) 「主体構造部」の「コンクリート」には,「軽量」との記載があるが,本件建物に「軽量」コンクリートは使用されていない。(ウ) 「やね」の項目には,「シート防水」,「銅板」との記載があるが,本件建物にはこのような仕様材料は使用されていない。(エ) 「その他」の項目には,ユニット式浴室・WC付が「116箇所」と査定されているが,実際には112箇所にすぎない。イ設計図書等の記載内容との相違(原告の主張(オ)(カ)) (エ) 「その他」の項目には,ユニット式浴室・WC付が「116箇所」と査定されているが,実際には112箇所にすぎない。イ設計図書等の記載内容との相違(原告の主張(オ)(カ))本件建物の設計図書等の記載内容と再建築費評点表の記載が,次のとおり異なっている。(オ) 「間仕切骨組」の項目には,「レンガ半枚積」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。(カ) 「外部仕上」及び「内部仕上」の項目には,「シート防水」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。 イ設計図書等の記載内容との相違(原告の主張(オ)(カ))本件建物の設計図書等の記載内容と再建築費評点表の記載が,次のとおり異なっている。(オ) 「間仕切骨組」の項目には,「レンガ半枚積」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。(カ) 「外部仕上」及び「内部仕上」の項目には,「シート防水」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。ウ未施工なのに完成を意味する査定(原告の主張(キ)~(ス))次のとおり,本件建物は,一部未施工であるのに,再建築費評点表では完成を意味する査定がなされている。(キ) 「間仕切骨組」の項目において,「施工率1.0」と査定されているが,1階部分に未施工の箇所がある。(ク) 「内部仕上」及び「床仕上」の項目において,「施工率1.0」と査定されているが,未施工の箇所がある。(ケ) 「天井仕上」の項目において,「施工率1.0」と査定されているが,未施工の箇所がある。) (コ) 「電気設備」の項目において,全て「施工率1.0」と査定されているが,大部分が未完成である。(サ) 「衛生設備」の項目において,全て「施工率1.0」と査定されているが,蛇口や便器等,多くの未施工箇所がある。(シ) 「防災設備」の項目において,「施工率が1.0」と査定されているが,火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備等が未施工である。また,地下1階の倉庫には,消火栓BOXの材料が放置されている。(ス) 「運搬設備」の「エレベーター設備」の項目において,「 るが,火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備等が未施工である。また,地下1階の倉庫には,消火栓BOXの材料が放置されている。(ス) 「運搬設備」の「エレベーター設備」の項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,インジケーター等が未施工である。エ床面積の相違(原告の主張(セ))下記のとおり,再建築費評点表の面積が本件建物の面積と異なっている。記(セ)本件建物の面積として,建築確認図書の数値がそのまま採用されているが,本件建物については,いわゆる12条報告書により面積訂正がなされているから,本件建物の実際の面積と再建築費評点表の面積とは,明らかに異なっているはずである。オ路外駐車場に係る減税措置(原告の主張(ソ))本件建物の再建築費評点表は,下記のとおり,路外駐車場に関する減税措置をとっていない。 表の面積が本件建物の面積と異なっている。記(セ)本件建物の面積として,建築確認図書の数値がそのまま採用されているが,本件建物については,いわゆる12条報告書により面積訂正がなされているから,本件建物の実際の面積と再建築費評点表の面積とは,明らかに異なっているはずである。オ路外駐車場に係る減税措置(原告の主張(ソ))本件建物の再建築費評点表は,下記のとおり,路外駐車場に関する減税措置をとっていない。記(ソ) 本件建物については,路外駐車場の設置の届出がなされており,減税の特別措置がとられるはずであるが,再建築費評点表には,そのような減税措置がとられた形跡はない。(2) 被告の主張ア再建築費評点表(固定資産評価基準別表第12)について(ア) 再建築費評点数の付設家屋の再建築費評点数は,評価の対象となった家屋と同一のものを,評価の時点において,その場所に新築するものとした場合に必要な建築費(再建築費)を基礎として付設するものである。(イ) 非木造家屋の再建築費評点数の算出方法非木造家屋の再建築費評点数は,非木造家屋を,主体構造部,基礎工事,外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根 ) 非木造家屋の再建築費評点数の算出方法非木造家屋の再建築費評点数は,非木造家屋を,主体構造部,基礎工事,外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根仕上,建具,特殊設備,建築設備,架設工事,その他の14の部分に分けて,各部分別に当該家屋1平方メートル当たりの評点数を付設し,それを合計した総評点数による(これに,延べ床面積及び評点1点当たりの価額を乗じて,家屋の価格を算出することになる。)。(ウ) 各部分別の評点数の付設各部分別の評点数は,家屋の用途別・使用資材別に,最も標準的な施工数量(標準量)ないし施工方法(標準工法)による場合の資材費,労務費等を積算して設定された標準評点数を基準として付設する。そのため,標準量や標準工法と異なる家屋については,当該家屋の実態に適合する評点数を付設するため,標準評点数を補正することになる。イ原告の主張(ア)~(エ)(実際の施工内容との相違)について(ア) 再建築費評点数の付設は,完成後の家屋について事後的に実施されるため,外観から把握できない部分については,施工業者等から,建築確認に使用された設計図面,見積書等の資料提供を受け,それらをもとに評点数を付設するのが一般的である。 準工法と異なる家屋については,当該家屋の実態に適合する評点数を付設するため,標準評点数を補正することになる。イ原告の主張(ア)~(エ)(実際の施工内容との相違)について(ア) 再建築費評点数の付設は,完成後の家屋について事後的に実施されるため,外観から把握できない部分については,施工業者等から,建築確認に使用された設計図面,見積書等の資料提供を受け,それらをもとに評点数を付設するのが一般的である。(イ) これを本件について見るに,原告の主張(ア)ないし(エ)の再建築費評点表の記載は,次のとおり,施工業者たる甲らから提供を受けた設備報告書(乙17)及び出来高報告書(乙18,乙26)に基づいたものである。a 原告の主張(ア)の「主体構造部」の「屋根構造」の項目の「ALC版」は,出来高報告書(乙26)に添付されている積算内訳書(以下「積算内訳書」という。)15頁の「屋上屋根ALC版敷,数量 a 原告の主張(ア)の「主体構造部」の「屋根構造」の項目の「ALC版」は,出来高報告書(乙26)に添付されている積算内訳書(以下「積算内訳書」という。)15頁の「屋上屋根ALC版敷,数量117㎡」との記載に基づくものである。b 原告の主張(イ)の「主体構造部」の「コンクリート」の項目の「軽量」は,積算内訳書6頁の「軽量コンクリート,数量141㎡」との記載に基づくものである。c 原告の主張(ウ)の「やね」の項目の「シート防水」・「銅板仕上」は,積算内訳書16頁の「屋上DS屋根シート防水,数量315㎡」,同20頁の「塔屋屋根銅板葺,数量182㎡」との記載に基づくものである。d 原告の主張(エ)の「その他」の項目のユニット式浴室・WC付「116箇所」は,設備報告書(乙17)の「調査報告の内容の要旨」四(一)(イ)の「洋風ユニットバス(便器・洗面器付)計116箇所」との記載に基づくものである。(ウ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(ア)ないし(エ)の誤りはない。ウ原告の主張(オ)(カ)(設計図書等の記載内容との相違)について(ア) 再建築費評点数は,課税対象となる家屋の実態に基づいて付設されるべきものであるから,家屋の現状が設計図書や契約図書の内容と異なっていれば,設計図書等ではなく,現地調査の結果や出来高報告書等をもとに,家屋の現状に応じて付設すべきである。(イ) これを本件について見るに,原告の主張(オ)及び(カ)の再建築費評点表の記載は,次のとおり,甲らから提供を受けた出来高報告書(乙26)の添付資料である積算内訳書に基づいたものである。 税対象となる家屋の実態に基づいて付設されるべきものであるから,家屋の現状が設計図書や契約図書の内容と異なっていれば,設計図書等ではなく,現地調査の結果や出来高報告書等をもとに,家屋の現状に応じて付設すべきである。(イ) これを本件について見るに,原告の主張(オ)及び(カ)の再建築費評点表の記載は,次のとおり,甲らから提供を受けた出来高報告書(乙26)の添付資料である積算内訳書に基づいたものである。a 原告の主張(オ)の「間仕切骨組」の項目の「レンガ半枚積 評点表の記載は,次のとおり,甲らから提供を受けた出来高報告書(乙26)の添付資料である積算内訳書に基づいたものである。a 原告の主張(オ)の「間仕切骨組」の項目の「レンガ半枚積」は,積算内訳書15頁の「防水押の立上りレンガ半枚積,数量119㎡」との記載に基づくものである。b 原告の主張(カ)の「外部仕上」・「内部仕上」の各項目の「シート防水」は,積算内訳書16頁の「床シート防水立上り,数量109㎡」,「在来工法浴室腰立上り防水,数量105㎡」との記載に基づくものである。(ウ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(オ)及び(カ)の誤りはない。エ原告の主張(キ)~(ケ)(未施工なのに完成と査定-間仕切骨組等)について(ア) 原告主張の解釈「間仕切骨組」,「内部仕上」,「床仕上」,「天井仕上」の項目においては,原告の指摘する「施工率」なる項目は存在しないので,「施工の程度1.0」に対する指摘の誤りであると解される。(イ) これを前提として検討するに,再建築費評点数は,家屋に未施工箇所があったとしても,そのような家屋の現状に応じて付設されるものであり,未施工箇所のない完成状態にある家屋と,未施工箇所のある現状の家屋とを比較して付設するものではないから,再建築費評点数の付設に当たって,そもそも工事の完成度合いを考慮する必要はない。(ウ) また,「施工の程度」の意味は,標準評点数が,家屋の用途別・資材別の標準量ないし標準工法を基準として設定されているため,これと異なる施工量ないし施工方法による場合(例えば,装飾的模様のある手の込んだ施工が行われている場合や逆に仕上げの形状が単純な場合など)に,家屋の現状に応じた評点数 を基準として設定されているため,これと異なる施工量ないし施工方法による場合(例えば,装飾的模様のある手の込んだ施工が行われている場合や逆に仕上げの形状が単純な場合など)に,家屋の現状に応じた評点数を付設するための補正項目である。 ため,これと異なる施工量ないし施工方法による場合(例えば,装飾的模様のある手の込んだ施工が行われている場合や逆に仕上げの形状が単純な場合など)に,家屋の現状に応じた評点数 を基準として設定されているため,これと異なる施工量ないし施工方法による場合(例えば,装飾的模様のある手の込んだ施工が行われている場合や逆に仕上げの形状が単純な場合など)に,家屋の現状に応じた評点数を付設するための補正項目である。(エ) よって,原告の主張(キ)ないし(ケ)の「施工の程度1.0」との記載は,本件建物の間仕切骨組,内部仕上,床仕上,天井仕上の完成を意味する査定がなされたことを示すものではない。(オ) したがって,再建築費評点表に,原告の主張(キ)ないし(ケ)の誤りはない。オ原告の主張(コ)(サ)(未施工なのに完成と査定-電気設備等)について(ア) 再建築費評点数を算出する基礎となる標準評点数は,これに延べ床面積を乗じて建物全体の総評点数を算出する関係で,建物全体を通じた1平方メートルあたりの評点数として設定されるものである。しかし,電気設備等の建築諸設備は,建物の一部にしかない場合があるので,建物全体を通じた1平方メートル当たりの標準評点数を付設するには,予め,標準評点数に,建物の延べ床面積に対する当該設備の施工床面積の割合(「施工率」)を乗じる必要がある。すなわち,再建築費評点表の建築諸設備に係る「施工率」とは,当該設備の施工床面積の割合を示すものであって,原告が主張するような工事の完成度合いを示すものではない。(イ) よって,原告の主張(コ)及び(サ)(電気設備・衛生設備)の「施工率1.0」との記載は,本件建物の電気設備,衛生設備の完成を意味する査定がなされたことを示すものではない。(ウ) したがって,再建築費評点表に,原告の主張(コ)及び(サ)の誤りはない。カ原告の主張(シ)(未施工 備,衛生設備の完成を意味する査定がなされたことを示すものではない。(ウ) したがって,再建築費評点表に,原告の主張(コ)及び(サ)の誤りはない。カ原告の主張(シ)(未施工なのに完成と査定-防災設備)について(ア) 神戸市生田消防署長は,平成3年5月20日,本件建物の消防用設備等の検査を行い,同月25日付けで消防用設備等検査済証(乙8)を交付した。(イ) このことからすれば,防災設備については,消防法17条の技術上の基準に適合する消防用設備等が設置されており,少なくとも原告の主張するような防災設備(火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備)の未施工はなかったものである。 完成と査定-防災設備)について(ア) 神戸市生田消防署長は,平成3年5月20日,本件建物の消防用設備等の検査を行い,同月25日付けで消防用設備等検査済証(乙8)を交付した。(イ) このことからすれば,防災設備については,消防法17条の技術上の基準に適合する消防用設備等が設置されており,少なくとも原告の主張するような防災設備(火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備)の未施工はなかったものである。(ウ) 仮に,防災設備について,原告主張のような未施工箇所が存在するとしても,それは,本件建物完成後に行われた改築工事等によるものである。(エ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(シ)の誤りはない。キ原告の主張(ス)(未施工なのに完成と査定-エレベーター)について(ア) 神戸市建築主事は,平成3年5月17日及び23日,エレベーター6台の建築基準法に係る法令への適合性の検査を行い,同年5月24日及び27日付けで上記法令への適合性を認める工事完了検査済証(乙40の1ないし4)を交付した。(イ) その際,原告は,課税の特例措置を受けるために,平成3年5月末日までに本件建物の工事完了検査済証を取得する必要があったため,仮のインジケーターを設置する等して,暫定的な形ではあるが,工事完了検査に合格する程度には本件建物を完成させた。(ウ) このことからすれば,本件建物のエレベーター6台は,遅くとも本件建物の新築の日である平成3年5月31日の 的な形ではあるが,工事完了検査に合格する程度には本件建物を完成させた。(ウ) このことからすれば,本件建物のエレベーター6台は,遅くとも本件建物の新築の日である平成3年5月31日の時点において,建築基準法に係る法令に適合する状態まで完成していたものである。(エ) 仮に,エレベーター設備について,原告主張のようなエレベーター2台のインジケーター,押釦及び予報装置の設置工事の未施工があったとすれば,それは,エレベーターの完成後に行われた改築工事等によるものである。(オ) 実質的に見ても,エレベーターの未済工事代金は508万5000円であるところ,それを上回る8億9548万4270円もの金額に相当する工事が,全く施工されていないものとして本件建物の価格の算出基礎から除外されており,このことからすれば,本件処分を取り消すに足る違法はない。(カ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(ス)の誤りはない。 ,エレベーターの完成後に行われた改築工事等によるものである。(オ) 実質的に見ても,エレベーターの未済工事代金は508万5000円であるところ,それを上回る8億9548万4270円もの金額に相当する工事が,全く施工されていないものとして本件建物の価格の算出基礎から除外されており,このことからすれば,本件処分を取り消すに足る違法はない。(カ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(ス)の誤りはない。ク原告の主張(セ)(床面積の相違)について(ア) 再建築費評点数を付設する際に用いられる家屋の床面積は,不動産登記における床面積と一致すべきものとされているが,本件建物のように未登記の建物については,建築確認に使用された設計図面等をもとに,家屋の現況に応じて必要な加算又は減算を行って求積される。(イ) 本件建物については,施工業者たる甲らから,いわゆる12条報告後の設計図面(乙29)等の資料の提供を受け,これに現地調査の結果を考慮して,例えば,本件建物の13階の吹抜部分の周囲の廊下部分の面積が,上記設計図面等より増加していたので,これを加算するなどし,本件建物の延べ床面積を求積している。(ウ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(セ 階の吹抜部分の周囲の廊下部分の面積が,上記設計図面等より増加していたので,これを加算するなどし,本件建物の延べ床面積を求積している。(ウ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(セ)の誤りはない。ケ原告の主張(ソ)(路外駐車場の減税措置)について(ア) 路外駐車場の設置に関して減税措置がとられるのは,地方税法附則11条7項に規定する場合である。(イ) ところが,本件駐車場は,原告から正式に路外駐車場設置の届出がなされているわけでもなく,また,路外駐車場としての要件も満たさないから,減税措置の対象とならない。(ウ) よって,再建築費評点表に,原告の主張(ソ)の誤りはない。コまとめ以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りはなく,これを根拠に,本件処分が違法であるとはいえない。5 争点5(本件建物の「価格」,不動産取得税額)について(1) 被告の主張ア家屋評価のしくみ(ア) 家屋の評価(固定資産評価基準第2章第1節一)家屋の価格の評価は,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)に基づき,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。 上より,再建築費評点表には,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りはなく,これを根拠に,本件処分が違法であるとはいえない。5 争点5(本件建物の「価格」,不動産取得税額)について(1) 被告の主張ア家屋評価のしくみ(ア) 家屋の評価(固定資産評価基準第2章第1節一)家屋の価格の評価は,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)に基づき,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。)の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に,評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価格を求める方法による。(イ) 評点数の付設(固定資産評価基準第2章第1節二)各個の家屋の評点数は,当該家屋の1平方メートル当たりの再建築費評点数に,各個の家屋の延べ床面積を乗じて付設する。(ウ) 評点1点当たりの価額(固定資産評価基準第1章第4節二) 各個の家屋の評点数は,当該家屋の1平方メートル当たりの再建築費評点数に,各個の家屋の延べ床面積を乗じて付設する。(ウ) 評点1点当たりの価額(固定資産評価基準第1章第4節二)a 評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率,及び設計管理費等による補正率を乗じた額である。b 非木造家屋に係る物価水準による補正率は,全市町村を通じ1.00とされ,設計管理費等による補正率は,1. 10と定められている。c 以上より,評点1点当たりの価額は1.1円である。イ本件建物の価格,不動産取得税額の算定(ア) 被告は,本件建物の現地調査の結果及び甲らから提供を受けた見積書等の資料に基づいて,再建築費評点表のとおり,本件建物の再建築費評点数を付設した。(イ) 被告は,1平方メートル当たりの再建築費評点数12万7600点に,本件建物の延べ床面積2万1255.36平方メートル及び評点1点当たりの価額1.1円を乗じて,本件建物の課税標準となるべき価格を29億8340万2000円(1000円未満切り捨て)を算定した。(イ) そして,上記課税標準額29億8340万2000円に,不動産取得税課税の税率100分の4を乗じて,本件建物に係る不動産取得税額1億1933万6000円を算定した。ウまとめ以上より,被告は,固定資産評価基準に基づいて,本件建物に係る不動産取得税の課税標準たる価格29億8340万2000円,不動産取得税額1億1933万6000円を適正に算定したのであるから,本件処分は適法である。 て)を算定した。(イ) そして,上記課税標準額29億8340万2000円に,不動産取得税課税の税率100分の4を乗じて,本件建物に係る不動産取得税額1億1933万6000円を算定した。ウまとめ以上より,被告は,固定資産評価基準に基づいて,本件建物に係る不動産取得税の課税標準たる価格29億8340万2000円,不動産取得税額1億1933万6000円を適正に算定したのであるから,本件処分は適法である。(2) 原告の認否被告の主張は,否認ないし争う。第4 当裁判所の判断 1 争点1(新築建 取得税額1億1933万6000円を適正に算定したのであるから,本件処分は適法である。(2) 原告の認否被告の主張は,否認ないし争う。第4 当裁判所の判断 1 争点1(新築建物の「家屋」の該当性)について(1) 「家屋が新築された場合」の意義ア地方税法は,課税客体たる「家屋が新築された場合」には,当該家屋の取得者に対し,不動産取得税を課することを規定している(地方税法73条の2第2項)。イ 「家屋が新築された場合」とは,事実上家屋の新築が完了した場合をいい,新築が完了したか否かの判定は,次の事項に留意し,一般社会通念上の認定により行うべきであるとされている(乙6,乙35,道府県税関係依命通達第五章第一・三(3))。(ア) 一般的には,当該家屋について,当初の新築計画に基づく新築が完了したかどうかにより判定すべきである。(イ) その判定が困難な場合は,建築基準法の適用がある家屋については,同法による竣工許可を受け得る程度であるかどうかで判断することもできるが,一般的には,主要構造部について概ね工事を終了し,最低限度の附帯設備の取付けを終わり,家屋として使用し得る状態になったかどうかにより判定すべきである。ウもっとも,上記判定は,建築学的な工事の進捗状況から画一的に定まるものではなく,建物の目的とする用途によって,若干異なるものであると解される。なぜなら,不動産取得税の課税客体たる「家屋」の意義は,固定資産税の課税客体たる「家屋」,また不動産登記法上の「建物」と同義とされているので(乙35・道府県税関係依命通達第四章第一・二(2)),「家屋が新築された」というには,建物の表示登記における「種類」(居宅,店舗,寄宿舎,共同住宅,事 不動産登記法上の「建物」と同義とされているので(乙35・道府県税関係依命通達第四章第一・二(2)),「家屋が新築された」というには,建物の表示登記における「種類」(居宅,店舗,寄宿舎,共同住宅,事務所,旅館,料理店,工場,倉庫,車庫,発電所,変電所)を認定し得る状態に達していること,換言すれば,建物の種類ごとに,その目的とする用途に供し得る状態に達していることを要すると解されるからである。 宅,事 不動産登記法上の「建物」と同義とされているので(乙35・道府県税関係依命通達第四章第一・二(2)),「家屋が新築された」というには,建物の表示登記における「種類」(居宅,店舗,寄宿舎,共同住宅,事務所,旅館,料理店,工場,倉庫,車庫,発電所,変電所)を認定し得る状態に達していること,換言すれば,建物の種類ごとに,その目的とする用途に供し得る状態に達していることを要すると解されるからである。エよって,「家屋が新築された場合」に該当するか否か,すなわち事実上家屋の新築が完了したか否かは,当該家屋の種類ごとに,その目的とする用途に供し得る状態に達しているか否かによって判断すべきである。オこれを本件建物について言えば,本件建物の目的とする用途である「ホテルAの客室棟及び駐車場」に供し得る状態に達していることが必要である。(2) 事実の認定前提事実,証拠(甲14,甲15,乙1,乙7,乙9,乙10,乙14の2ないし4,乙15の1,乙17~20,乙21の1,乙23,乙26,乙36,乙40の1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。ア本件請負契約の締結,内容原告は,甲及び乙との間で,平成元年10月21日,本件請負契約を締結し,平成2年8月31日,次のとおり本件請負契約書(乙36)を交わした。(ア) 注文主原告(イ) 請負人甲(ウ) 監理者乙(エ) 使用目的 「ホテルA」の駐車場及び客室棟(地下2階から地上5階までは本件駐車場,1階は食堂等,地上6階から13階まではホテル客室)(オ) 工事着手日平成2年2月1日(カ) 完成予 の駐車場及び客室棟(地下2階から地上5階までは本件駐車場,1階は食堂等,地上6階から13階まではホテル客室)(オ) 工事着手日平成2年2月1日(カ) 完成予定日平成3年5月31日(キ) 請負代金額 100億9900万円(消費税を含む)(ク) 代金支払時期契約時 22億1400万円上棟時 38億円竣工時 28億5000万円引渡時 12億3500万円イ工事出来高,工事代金の支払状況(ア) 本件建物の工事代金は,契約時には100億9900万円であったが,変更工事等があり,最終的には102億9675万4022円となった(乙21の1)。(イ) これに対し,本件建物の最終的な出来高は96億5253万6359円である。原告と甲らとの間の損害賠償請求事件においても,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所は,そのように認定している(乙19,乙20,乙21の1)。 イ工事出来高,工事代金の支払状況(ア) 本件建物の工事代金は,契約時には100億9900万円であったが,変更工事等があり,最終的には102億9675万4022円となった(乙21の1)。(イ) これに対し,本件建物の最終的な出来高は96億5253万6359円である。原告と甲らとの間の損害賠償請求事件においても,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所は,そのように認定している(乙19,乙20,乙21の1)。(ウ) 原告は,甲らに対し,平成3年1月31日までに,全工事代金の約60パーセントに該当する合計60億1400万円を支払済である(乙20)。(エ) さらに,原告は,甲らとの間の損害賠償請求事件で,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所の判決により,最終的な工事出来高と既払工事代金との差額36億3853万6359円の支払を命じられている(乙19,乙20)。ウ本件工事の進捗状況(ア) 本件建物の一連の新築工事(主体構造部〔基礎,屋根構造,床構造を含む。〕,外周壁骨組,間 53万6359円の支払を命じられている(乙19,乙20)。ウ本件工事の進捗状況(ア) 本件建物の一連の新築工事(主体構造部〔基礎,屋根構造,床構造を含む。〕,外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根仕上工事,及び建具,その他の工事,並びに建築諸設備〔電気設備,衛生設備,空調設備,防災設備,運搬設備等〕の設置工事等)は,平成2年5月23日ころまでには,概ね終了していた(乙17,乙18)。(イ) また,本件建物の給排水設備(給水設備・給湯設備・排水通気設備・消防用設備・給水設備),衛生設備(洗面器,水栓類),空調設備(ヒーター,ダクト,ファン類),電気設備(動力,電灯,配線等),防災設備は,それぞれ正常に取り付けられ,かつ正常に機能しており,結露現象及び破損箇所等も認められず,設計図書等に基づく機能を有する状態にあった(乙17)。(ウ) もっとも,本件建物には,1階食堂の設計未了,美容・着付室,ラウンジ,ホテル客室,エレベーターホール,2号階段の一部内装の未施工及びそれに伴う設備の未取付けという未済工事があった(甲14,甲15,乙18)。エ工事完了検査済証等の取得の必要性(ア) 原告は,昭和62年10月20日に売却した大阪市北区所在のビル(事業用資産)の売却に係る,特定資産の買換えの場合の課税の特例措置(租税特別措置法65条の7・65条の8)を受けるための買換資産の購入の一環として,上記ビルを譲渡した事業年度の翌事業年度の開始日から3年以内の税務署長が認めた日である平成3年5月末日までに,本件建物を取得する必要があった(乙20〔13・14・18頁〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。 和62年10月20日に売却した大阪市北区所在のビル(事業用資産)の売却に係る,特定資産の買換えの場合の課税の特例措置(租税特別措置法65条の7・65条の8)を受けるための買換資産の購入の一環として,上記ビルを譲渡した事業年度の翌事業年度の開始日から3年以内の税務署長が認めた日である平成3年5月末日までに,本件建物を取得する必要があった(乙20〔13・14・18頁〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。(イ) そこで,原告及び甲らは,かかる原告の 長が認めた日である平成3年5月末日までに,本件建物を取得する必要があった(乙20〔13・14・18頁〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。(イ) そこで,原告及び甲らは,かかる原告の予定に合わせ,本件工事の未済部分については仮仕上げ工事を行い,平成3年5月31日までに次のオないしキの各種検査を完了し,本件建物の一連の新築工事を完了した(乙20〔19頁〕,乙23〔7頁〕,弁論の全趣旨)。オ工事完了検査(ア) 本件建物の工事完了神戸市建築主事は,平成3年5月23日,本件建物について建築基準法7条4項に基づく工事完了検査を実施し,同月25日,建築基準法に係る法令(建築基準法6条1項並びにこれに基づく命令及び条例の規定)に適合する建物であることを認定し,同法7条5項に基づく工事完了検査済証(乙9)を交付した。(イ) エレベーターの工事完了また,神戸市建築主事は,本件建物のエレベーター6台のうち1台について,平成3年5月17日に工事完了検査を実施し,同月24日,工事完了検査済証(乙40の2)を交付した。さらに,残り5台についても,平成3年5月23日に工事完了検査を実施し,同月27日に,工事完了検査済証(乙40の4)を交付した。カ消防用設備等の検査完了神戸市生田消防署長は,平成3年5月20日,本件建物内の消防設備等が消防法17条の技術上の基準に適合しているか否かの検査を実施し,13項目にわたる改修事項を指示した(乙14の2)。しかし,これを受けて,直ちに改修の実施及び改修計画の策定がなされたので(乙14の4),神戸市生田消防署長は,同月23日,上記指示事項について再度の検査を実施し,同月25日に,本件建物内の消防用設備等が し,これを受けて,直ちに改修の実施及び改修計画の策定がなされたので(乙14の4),神戸市生田消防署長は,同月23日,上記指示事項について再度の検査を実施し,同月25日に,本件建物内の消防用設備等が消防法17条の技術上の基準に適合しているものと認定し(乙14の3),消防用設備等検査済証(乙8)を交付した。 ,同月23日,上記指示事項について再度の検査を実施し,同月25日に,本件建物内の消防用設備等が し,これを受けて,直ちに改修の実施及び改修計画の策定がなされたので(乙14の4),神戸市生田消防署長は,同月23日,上記指示事項について再度の検査を実施し,同月25日に,本件建物内の消防用設備等が消防法17条の技術上の基準に適合しているものと認定し(乙14の3),消防用設備等検査済証(乙8)を交付した。キ旅館営業許可の取得原告から「ホテルA」の経営を委託されていた太陽実業株式会社は,平成3年4月23日,本件建物について,神戸市旅館業法施行細則(昭和60年3月30日規則第66号,乙7)8条1項に基づく旅館業営業許可の申請をした。これを受けて,神戸市中央保健所長は,同年5月28日,本件建物が旅館営業許可基準に適合した構造・設備を備えているものと認定し,旅館営業の許可をした(乙15の1)。ク本件建物の引渡し未了,原告による不動産取得申告(ア) 甲及び丙は,原告が工事代金を一部支払わないことを理由に,平成3年5月31日以降,現在に至るまで本件建物を原告に引き渡すことなく,共同占有している。(イ) ところが,原告は,地方税法73条の18第1項,兵庫県税条例53条1項に基づき,平成3年7月9日,本件建物の新築を完了し,その所有権を同年5月31日に取得した旨の不動産取得の申告をした(乙1)。(3) 検討ア以上の事実を総合すると,本件建物は,遅くとも平成3年5月31日には,ホテル及び駐車場としての用途に供し得る状態に達していたものと認められる。よって,本件建物は,遅くとも平成3年5月31日までには,事実上家屋の新築を完了していたもので,したがって,同日までには,地方税法73条の2第2項にいう「家屋が新築された場合」に該当する状態にあったものと認め 本件建物は,遅くとも平成3年5月31日までには,事実上家屋の新築を完了していたもので,したがって,同日までには,地方税法73条の2第2項にいう「家屋が新築された場合」に該当する状態にあったものと認められる。イこれに対し,原告は,要するに,上記事実認定のとおり,本件建物の一部に内装工事の未施工やそれに伴う設備の未取付けが存することを理由として,本件建物の「家屋」該当性を争っている。しかし,本件建物の一部に原告主張の未施工箇所が存在することは,上記「家屋が新築された場合」の意義,本件建物について建築基準法,消防法,旅館業法に係る適合性が認められていること,及び,かかる各種検査を完了した経緯等に照らし,本件建物がその目的とする用途に供し得る状態に達していたとの判断を左右するものではない。 工やそれに伴う設備の未取付けが存することを理由として,本件建物の「家屋」該当性を争っている。しかし,本件建物の一部に原告主張の未施工箇所が存在することは,上記「家屋が新築された場合」の意義,本件建物について建築基準法,消防法,旅館業法に係る適合性が認められていること,及び,かかる各種検査を完了した経緯等に照らし,本件建物がその目的とする用途に供し得る状態に達していたとの判断を左右するものではない。よって,原告の主張は,本件建物が不動産取得税の課税客体となる「家屋」に該当することを否定する理由とはなり得ない。(4) まとめ以上より,本件建物は,平成3年5月31日までには,地方税法73条の2第2項にいう「家屋が新築された場合」に該当する状態にあり,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,このことを前提とする本件処分は適法である。2 争点2(瑕疵ある新築建物の「家屋」該当性)について(1) 争点1に対する認定判断で説示したとおり,本件建物は,その目的であるホテル及び駐車場としての用途に供され得る状態にあるから,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するものである。(2) これに対し,原告は,本件建物に修補不可能な瑕疵が存在することを理由として,本件建物の「家屋」該当性を否定する。しかし,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に瑕疵が存在することは,直ち これに対し,原告は,本件建物に修補不可能な瑕疵が存在することを理由として,本件建物の「家屋」該当性を否定する。しかし,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に瑕疵が存在することは,直ちに「家屋」該当性を否定する理由とはなり得ない。なぜなら,「家屋が新築された場合」とは,争点1で説示したとおり,当該家屋の目的とする用途に供し得る状態になったかどうかの観点から判断されるものであり,かかる観点から「家屋」該当性が認められる以上,それに対して不動産取得税が課税されるのはやむを得ず,「家屋」に瑕疵が存在すること,すなわち建築請負人に請負契約上の債務不履行があることによって被る不利益の解決は,請負人に対する瑕疵修補請求やそれに代わる損害賠償請求等によって図られるべきだからである。(3) 以上より,本件建物は,仮に原告主張の瑕疵が存在したとしても,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,このことを前提とする本件処分は適法である。 て不動産取得税が課税されるのはやむを得ず,「家屋」に瑕疵が存在すること,すなわち建築請負人に請負契約上の債務不履行があることによって被る不利益の解決は,請負人に対する瑕疵修補請求やそれに代わる損害賠償請求等によって図られるべきだからである。(3) 以上より,本件建物は,仮に原告主張の瑕疵が存在したとしても,不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するので,このことを前提とする本件処分は適法である。3 争点3(家屋の「所有者」該当性)について(1) 納税義務者たる不動産の「取得者」の意義ア地方税法によれば,不動産取得税は,不動産の「取得者」を納税義務者として課するものと規定されている(地方税法73条の2第1項)。イもっとも,本件の場合,「家屋」たる本件建物が平成3年5月31日に新築されてから6か月を経過しても,注文者たる原告がこれを使用せず,かつ請負人たる甲らから原告への譲渡もないので,本件建物が新築された日から6か月を経過した日である同年12月1日の時点で,本件建物の原始取得があったものとみなされ,その日に本件建物を所有する者を不動産の「取得者」とみなして,不動産取得税を課することとなる(地方税法73条の2第2項ただし書参照)。ウ 点で,本件建物の原始取得があったものとみなされ,その日に本件建物を所有する者を不動産の「取得者」とみなして,不動産取得税を課することとなる(地方税法73条の2第2項ただし書参照)。ウよって,平成3年12月1日の時点で,本件建物の「所有者」は誰であるかが問題となる。(2) 事実の認定前提事実,証拠(乙1,乙7~乙9,乙14の2ないし4,乙15の2,乙17~20,乙21の1,乙23,乙32の1・2,乙36・37,乙40の1ないし4,乙36)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。ア本件請負契約の締結,内容原告は,甲及び乙との間で,平成元年10月21日,原告所有の土地上に,原告の希望する設計・材料・予算によって,本件建物を新築するとの本件請負契約を締結し,平成2年8月31日,次の約定で本件請負契約書(乙36)を交わした(乙36,弁論の全趣旨)。(ア) 注文主原告(イ) 請負人甲(ウ) 監理者乙(エ) 使用目的 「ホテルA」の客室棟及び本件駐車場(地下2階から地上5階までは駐車場,1階は食堂等,地上6階から13階まではホテル客室)(オ) 工事着手日平成2年2月1日(カ) 完成予定日平成3年5月31日(キ) 請負代金額 100億9900万円(消費税を含む)(ク) 代金支払時期契約時 22億1400万円上棟時 38億円竣工時 28億5000万円 ) 注文主原告(イ) 請負人甲(ウ) 監理者乙(エ) 使用目的 「ホテルA」の客室棟及び本件駐車場(地下2階から地上5階までは駐車場,1階は食堂等,地上6階から13階まではホテル客室)(オ) 工事着手日平成2年2月1日(カ) 完成予定日平成3年5月31日(キ) 請負代金額 100億9900万円(消費税を含む)(ク) 代金支払時期契約時 22億1400万円上棟時 38億円竣工時 28億5000万円 上棟時 38億円竣工時 28億5000万円引渡時 12億3500万円イ敷地利用権の非設定原告及び甲らは,本件請負契約において,本件建物の敷地となる原告所有の土地上に,請負人たる甲らの敷地利用権を設定しなかった(乙36)。ウ工事代金の支払状況(ア) 本件建物の全工事代金は,契約当初の金額100億9900万円に,その後の変更工事分を加えた102億9675万4022円である(乙21の1)。(イ) 原告は,甲らに対し,前払金(契約時の22億1400万円),中間金(上棟時の38億円)の合計額60億1400万円を,本件工事の進行に即して支払い,平成3年1月31日までに,全工事代金の約60パーセント相当の金額を支払済みである(乙19)。(ウ) さらに,原告は,本件請負契約の約定に即して,その後の本件工事の進行に応じ,残工事代金を支払うことを予定していた(乙36)。エ工事完了検査等の実施(ア) 原告は,昭和62年10月20日に売却した大阪市a区所在のビル(事業用資産)の売却に係る,特定資産の買換えの場合の課税の特例措置(租税特別措置法65条の7・65条の8)を受けるための買換資産の購入の一環として,上記ビルを譲渡した事業年度の翌事業年度の開始日から3年以内の税務署長が認めた日である平成3年5月末日までに,本件建物を取得する必要があった(乙20〔13・14・18頁〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。(イ) 甲及び丙は,そのことを熟知したうえ,平成3年5月23日までに 年5月末日までに,本件建物を取得する必要があった(乙20〔13・14・18頁〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。(イ) 甲及び丙は,そのことを熟知したうえ,平成3年5月23日までに本件建物の新築工事を概ね完成させ,かつ本件工事の未済部分については,仮仕上げ工事を完了して工事完了検査を受け,同月27日に工事完了検査済証の交付を受け,よって,本件建物の完成及び工事完了検査を平成3年5月31日までに間に合わせた(乙17,乙18,乙20〔19頁〕,乙23〔7頁〕,弁論の全趣旨)。 〕,乙23〔2頁〕,弁論の全趣旨)。(イ) 甲及び丙は,そのことを熟知したうえ,平成3年5月23日までに本件建物の新築工事を概ね完成させ,かつ本件工事の未済部分については,仮仕上げ工事を完了して工事完了検査を受け,同月27日に工事完了検査済証の交付を受け,よって,本件建物の完成及び工事完了検査を平成3年5月31日までに間に合わせた(乙17,乙18,乙20〔19頁〕,乙23〔7頁〕,弁論の全趣旨)。(ウ) また,同じく,エレベーター設備の工事完了検査,消防用設備等の設置検査及び旅館営業許可の申請がなされ,いずれも法令に適合するものと認定され,工事完了検査済証,消防用設備等検査済証,旅館営業許可書の交付を受けた(乙7~9・乙14の2・3・4,乙15の2,乙40の2・4)。オ不動産取得の申告(ア) 原告は,平成3年7月9日,本件建物の新築を完了し,その所有権を同年5月31日に取得したとして,本件建物について不動産取得の申告をした(乙1)。(イ) そして,原告は,本件建物を上記エ(ア)のビルの買換資産として,不動産譲渡所得税の課税特例の申請をした(原告の平成11年6月8日付け準備書面第一・三1)。カ本件建物の占有状況等(ア) 甲及び丙は,平成3年5月31日以降,本件建物について,原告の未払工事代金に基づく留置権を主張して,現在に至るまで本件建物を共同占有している。(イ) そのため,原告は,本件建物を新築した平成3年5月31日以降,現在に至るまで10年以上の間,本件建物の引渡しを受けたことはなく,占有したこともない。(ウ) そこで,原告は,平成6 ) そのため,原告は,本件建物を新築した平成3年5月31日以降,現在に至るまで10年以上の間,本件建物の引渡しを受けたことはなく,占有したこともない。(ウ) そこで,原告は,平成6年,建設大臣宛に上申書(乙37)を提出し,本件建物の所有権は建築主である原告に帰属するものであると主張し,原告による本件建物の検査に協力等するよう,甲らに指示することを求めた(乙37)。キ甲らの見解甲らは,平成8年1月10日付け書面により,神戸財務事務所長に対し,甲らには本件建物の所有権がなく,本件建物の所有権は原告に帰属する旨回答している(乙32の1・2)。さらに,甲らは,原告及び甲らとの間の損害賠償請求事件(大阪地裁平成6年(ワ)第3994号,大阪高裁平成13年(ネ)第2461号)においても,甲らが本件建物の所有権を有しているとは主張していない(乙19,乙20)。 (乙37)。キ甲らの見解甲らは,平成8年1月10日付け書面により,神戸財務事務所長に対し,甲らには本件建物の所有権がなく,本件建物の所有権は原告に帰属する旨回答している(乙32の1・2)。さらに,甲らは,原告及び甲らとの間の損害賠償請求事件(大阪地裁平成6年(ワ)第3994号,大阪高裁平成13年(ネ)第2461号)においても,甲らが本件建物の所有権を有しているとは主張していない(乙19,乙20)。(3) 検討ア新築建物の所有権の帰属(ア) 上記(2)の認定事実によれば,本件建物は,注文者たる原告の所有する土地上に,請負人たる甲らが材料を提供して建築した建物であると認められる。(イ) 一般に,建物建築の請負契約において,注文者の所有または使用する土地上に,請負人が材料全部を提供して建築した場合の建物の所有権は,建物引渡しの時に請負人から注文者に移転するのが原則であるが(大審院大正3年12月26日判決・民録20巻1208頁ほか参照),これと異なる特約が許されないものではなく,明示または黙示の合意により,引渡し及び請負代金完済の前においても,建物の完成と同時に注文者が建物所有権を取得するものと認めることは,何ら妨げられるものではないと解される(最高裁昭和46年3月5日判決・判例時報628号48頁参照)。イ本件建 の前においても,建物の完成と同時に注文者が建物所有権を取得するものと認めることは,何ら妨げられるものではないと解される(最高裁昭和46年3月5日判決・判例時報628号48頁参照)。イ本件建物の所有者の認定(ア) これを本件について見るに,前記(2)の認定事実によると,注文者たる原告は,当初から自己が所有する意図に下,本件建物の新築を請け負わせたものであり,他方,請負人たる甲らも,本件建物の所有権を取得するつもりはなく,本件工事の完了検査時には,本件建物の所有権は原告に帰属することを了解していたものであるから,本件請負契約の締結に当たり,原告と甲らとの間において,本件建物の所有権をその完成と同時に,原告に帰属させる旨の黙示の合意がなされたものと認められる。(イ) 原告は,甲らが,過去に本件建物の所有権は甲らに帰属する旨主張していたこと(甲17)を指摘するが,甲らは,別件訴訟を始め,公式の場においては,一貫して本件建物の所有権は原告に帰属するものと考えている(前記(2)キ)。 を了解していたものであるから,本件請負契約の締結に当たり,原告と甲らとの間において,本件建物の所有権をその完成と同時に,原告に帰属させる旨の黙示の合意がなされたものと認められる。(イ) 原告は,甲らが,過去に本件建物の所有権は甲らに帰属する旨主張していたこと(甲17)を指摘するが,甲らは,別件訴訟を始め,公式の場においては,一貫して本件建物の所有権は原告に帰属するものと考えている(前記(2)キ)。よって,原告の指摘する甲らの態度は,甲らが,過去のある時点で,紛争状態にある原告に対し,何らかの思惑を持って,本件建物の所有権は自己に帰属すると主張したことがあることを示すものに過ぎず(甲17),このことによって,本件建物の所有者の認定が左右されるものではない。(ウ) よって,本件建物は,その完成と同時に原告の所有に帰したものと認めるのが相当である。ウ上記認定に反する原告主張の検討(ア) 解除についてa 原告は,甲及び丙が,平成3年7月10日ころ,本件建物が未完成であるのに本件工事を中断したため,平成3年12月24日,工事遅延を理由として本件請負契約を解除したので,本件建物の所有者は a 原告は,甲及び丙が,平成3年7月10日ころ,本件建物が未完成であるのに本件工事を中断したため,平成3年12月24日,工事遅延を理由として本件請負契約を解除したので,本件建物の所有者は原告ではないと主張する。b しかしながら,仮に上記解除の事実が認められるとしても,それ以前の平成3年12月1日の時点で,一旦本件建物の所有権を取得していた原告に対する,本件建物に係る不動産取得税の課税は適法であると解される。なぜなら,不動産取得税は,不動産(土地又は家屋)の所有権が移転する場合又はこれらの権利を原始取得した場合に課する税であって,財貨の移転という事実に基づいて課税される流通税の一種であるところ(最高裁昭和48年11月16日判決・民集27巻10号1333頁参照),本件建物が新築されて,一旦不動産取得税の課税客体たる「家屋」に該当するものとなり,その時点での本件建物の所有者が原告であった以上,その後に請負契約が解除されたとしても,本件建物の原始取得者である原告について,一時的に本件建物所有権の取得があったという事実を否定することはできず,解除された請負契約に基づく建物所有権の取得に対しても,不動産取得税を課すことができると解されるからである(売買契約の解除につき,最高裁昭和48年11月2日判決・集民110号399頁参照)。 するものとなり,その時点での本件建物の所有者が原告であった以上,その後に請負契約が解除されたとしても,本件建物の原始取得者である原告について,一時的に本件建物所有権の取得があったという事実を否定することはできず,解除された請負契約に基づく建物所有権の取得に対しても,不動産取得税を課すことができると解されるからである(売買契約の解除につき,最高裁昭和48年11月2日判決・集民110号399頁参照)。c よって,原告の前記aの主張は採用することができない。(イ) 瑕疵の存在についてa 原告は,本件建物は,多数の重大な瑕疵のある危険かつ無価値な建物であり,かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,注文者が請負代金の大半を支払ったからといって,所有者としての責任を注文者に負わせるのは不合理である。よって, かつ無価値な建物であり,かかる欠陥建物は,請負人の責任によって建築されたものであるから,注文者が請負代金の大半を支払ったからといって,所有者としての責任を注文者に負わせるのは不合理である。よって,かかる特殊事情の下においては,本件建物の所有権は,欠陥建物を建築した請負人にあると解すべきであると主張する。b しかしながら,例え瑕疵ある建物であっても,それが「家屋」に該当すると認められる以上,その所有者に不動産取得税の納税義務が生ずるのはやむを得ない。これによって所有者たる注文者が被る損害は,請負契約に基づく債務不履行責任(瑕疵修補請求あるいはこれに代わる損害賠償請求等)によって填補される途があり,よって,上記瑕疵の存在をもって,原告に本件建物の所有権が帰属することを否定する理由とはなり得ない。c したがって,原告の上記aの主張も採用することができない。(4) まとめ以上より,原告は,不動産取得税の納税義務者たる本件建物の「所有者」に該当するので,このことを前提とする本件処分は適法である。4 争点4(再建築費評点表の誤り)について(1) 再建築費評点表と原告主張についてア再建築費評点表(固定資産評価基準別表第12)について(ア) 再建築費評点数の付設家屋の再建築費評点数は,評価の対象となった家屋と同一のものを,評価の時点において,その場所に新築するものとした場合に必要な建築費(再建築費)を基礎として付設するものである(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。 ある。4 争点4(再建築費評点表の誤り)について(1) 再建築費評点表と原告主張についてア再建築費評点表(固定資産評価基準別表第12)について(ア) 再建築費評点数の付設家屋の再建築費評点数は,評価の対象となった家屋と同一のものを,評価の時点において,その場所に新築するものとした場合に必要な建築費(再建築費)を基礎として付設するものである(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。再建築費評点表には,かかる再建築費評点数の付設の過程及び結果が記載されている。(イ) 非木造家屋の再建築費評点数の ・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。再建築費評点表には,かかる再建築費評点数の付設の過程及び結果が記載されている。(イ) 非木造家屋の再建築費評点数の算出方法非木造家屋の再建築費評点数は,非木造家屋を,主体構造部,基礎工事,外周壁骨組,間仕切骨組,外部仕上,内部仕上,床仕上,天井仕上,屋根仕上,建具,特殊設備,建築設備,架設工事,その他の14の部分に分けて,各部分別に1平方メートル当たりの評点数を付設し,それを合計した総評点数による(これに,延べ床面積及び評点1点当たりの価額を乗じて,家屋の価格を算出することになる。)。(ウ) 各部分別の評点数の付設各部分別の評点数は,家屋の用途別・使用資材別に,最も標準的な施工数量(標準量)ないし施工方法(標準工法)による場合の資材費,労務費等を積算して設定された標準評点数を基準として付設する。そのため,標準量や標準工法と異なる家屋については,当該家屋の実態に適合する評点数を付設するため,標準評点数を補正することになる。イ原告の主張の要旨(ア) 原告は,本件建物の再建築費評点表には,前記第3・4(1)の(ア)ないし(ソ)(原告の主張(ア)~(ソ),前記13~15頁)の誤りがあり,かかる再建築費評点表を基礎として算出された本件建物の「価格」も誤りであるから,当該「価格」を課税標準としてなされた本件処分は,違法であり取り消されるべきであると主張する。(イ) そこで,以下,本件建物の再建築費評点表に,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りがあるのか否か,順次検討を加える。(2) 原告の主張(ア)~(エ)(実際の施工内容との相違)の検討ア原告の主張(ア)~ ,本件建物の再建築費評点表に,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りがあるのか否か,順次検討を加える。 から,当該「価格」を課税標準としてなされた本件処分は,違法であり取り消されるべきであると主張する。(イ) そこで,以下,本件建物の再建築費評点表に,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りがあるのか否か,順次検討を加える。(2) 原告の主張(ア)~(エ)(実際の施工内容との相違)の検討ア原告の主張(ア)~ ,本件建物の再建築費評点表に,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りがあるのか否か,順次検討を加える。(2) 原告の主張(ア)~(エ)(実際の施工内容との相違)の検討ア原告の主張(ア)~(エ)再建築費評点表の記載は,次のとおり,本件建物の実際の施工内容と異なっており,誤りである。(ア) 「主体構造部」の「やね構造」の項目には,「ALC版」との記載があるが,本件建物に「ALC版」は使用されていない。(イ) 「主体構造部」の「コンクリート」の項目には,「軽量」との記載があるが,本件建物に「軽量」コンクリートは使用されていない。(ウ) 「やね」の項目には,「シート防水」,「銅板」との記載があるが,本件建物にはこのような仕様材料は使用されていない。(エ) 「その他」の項目には,ユニット式浴室・WC付が「116カ所」あると査定されているが,実際には112箇所にすぎない。イ検討(ア) 前示のとおり,家屋の「価格」は,評価の対象となった家屋と同一のものを,評価の時点において,その場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費(再建築費)を基礎として求めるものである。(イ) 家屋は,通常見積書等を作成して建築されるものであり,その施工量及び施行方法も仕様書等に記載されているから,家屋完成後の外観からの事後的な調査では再建築費の判定が困難な場合には,注文主や請負業者等から提供を受けた設計図面・見積書・仕様書等の資料に基づいて,再建築費評点数を付設することができる(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。また,本件においては,本件建物の完成後に作成された第1回報告書(乙16),設 再建築費評点数を付設することができる(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。また,本件においては,本件建物の完成後に作成された第1回報告書(乙16),設備報告書(乙17)及び出来高報告書(乙18,乙26)も資料として提供されており(前提事実),かかる資料に基づいて,家屋の現状に応じた再建築費評点数を付設することもできると解される。 の完成後に作成された第1回報告書(乙16),設 再建築費評点数を付設することができる(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。また,本件においては,本件建物の完成後に作成された第1回報告書(乙16),設備報告書(乙17)及び出来高報告書(乙18,乙26)も資料として提供されており(前提事実),かかる資料に基づいて,家屋の現状に応じた再建築費評点数を付設することもできると解される。(ウ) これを本件について見るに,原告の主張(ア)ないし(エ)の再建築費評点表の記載は,次のとおり,施工業者たる甲らから提供を受けた設備報告書(乙17)及び出来高報告書(乙18・乙26)に基づくものであり,本件建物の現状に合致するものと認められる。a (ア) 「主体構造部」の「屋根構造」の項目の「ALC版」は,出来高報告書に添付されている積算内訳書15頁の「外部屋上屋根ALC版敷,数量117㎡」との記載に基づくものである。b (イ) 「主体構造部」の「コンクリート」の項目の「軽量」は,積算内訳書6頁の「軽量コンクリート,数量141㎡」との記載に基づくものである。c (ウ) 「やね」の項目の「シート防水」・「銅板仕上」は,積算内訳書16頁の「外部屋上DS屋根シート防水,数量315㎡」,同20頁の「塔屋屋根銅板葺,数量182㎡」との記載に基づくものである。d (エ) 「その他」の項目のユニット式浴室・WC付「116箇所」は,設備報告書の「調査報告の内容の要旨」四(一)(イ)の「洋風ユニットバス(便器・洗面器付)計116箇所」との記載に基づくものである。(エ) なお,上記(ウ)のaないしcについては,上から仕上げが施され,外観上からは確認できないことから,出来高報告書の記載内 バス(便器・洗面器付)計116箇所」との記載に基づくものである。(エ) なお,上記(ウ)のaないしcについては,上から仕上げが施され,外観上からは確認できないことから,出来高報告書の記載内容をもとに評価を行ったものであり,このことについて,違法・不当な点はない。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ア)ないし(エ)の誤りがあるとは認められず,原告の主張には理由がない。(3) 原告の主張(オ)(カ)(設計図書等の記載内容との相違)の検討ア原告の主張(オ)(カ)再建築費評点表の記載は,次のとおり,設計図書及び契約図書上の記載と異なっており,誤りである。 ら,出来高報告書の記載内容をもとに評価を行ったものであり,このことについて,違法・不当な点はない。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ア)ないし(エ)の誤りがあるとは認められず,原告の主張には理由がない。(3) 原告の主張(オ)(カ)(設計図書等の記載内容との相違)の検討ア原告の主張(オ)(カ)再建築費評点表の記載は,次のとおり,設計図書及び契約図書上の記載と異なっており,誤りである。(オ) 「間仕切骨組」の「使用材料・仕上」の項目には,「レンガ半枚積」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。(カ) 「外部仕上」・「内部仕上」の「使用材料・仕上」の項目には,「シート防水」との記載があるが,設計図書上も契約図書上も,そのような仕様とはされていない。イ検討(ア) 前示のとおり,家屋の評価は,当該家屋と同一のものを,評価の時点において,その場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費(再建築費)を求めることによって行われるから,請負業者等から提供を受けた設計図面・見積書・仕様書等の資料,及び本件においては第1回報告書(乙16),設備報告書(乙17),出来高報告書(乙18,乙26)に基づいて,再建築費評点数を付設することができると解される。(イ) しかし,評価の対象とされるのは,飽くまでも現状の家屋であるから,設計図書等に定められた当初の工事内容に変更や未了があった場合には,設計図書等に基づ ることができると解される。(イ) しかし,評価の対象とされるのは,飽くまでも現状の家屋であるから,設計図書等に定められた当初の工事内容に変更や未了があった場合には,設計図書等に基づかず,当該家屋の現状に基づいて,再建築費評点数を付設すべきである。(ウ) これを本件について見るに,原告の主張(オ)及び(カ)の再建築費評点表の記載は,次のとおり,家屋の現状について調査した結果である出来高報告書(乙18・乙26)に添付されている積算内訳書に基づくものであり,本件建物の現状に合致するものと認められる。a (オ) 「間仕切骨組」の「使用材料・仕上」の項目の「レンガ半枚積」は,積算内訳書15頁の「外部防水押の立上りレンガ半枚積,数量119㎡」との記載に基づくものである。b (カ) 「外部仕上」・「内部仕上」の「使用材料・仕上」の項目の「シート防水」は,積算内訳書16頁の「外部床シート防水立上り,数量109㎡」,「在来工法浴室腰立上り防水,数量105㎡」との記載に基づくものである。 ものと認められる。a (オ) 「間仕切骨組」の「使用材料・仕上」の項目の「レンガ半枚積」は,積算内訳書15頁の「外部防水押の立上りレンガ半枚積,数量119㎡」との記載に基づくものである。b (カ) 「外部仕上」・「内部仕上」の「使用材料・仕上」の項目の「シート防水」は,積算内訳書16頁の「外部床シート防水立上り,数量109㎡」,「在来工法浴室腰立上り防水,数量105㎡」との記載に基づくものである。(エ) なお,上記(ウ)のa・bについても,上から仕上げが施され,外観上からは確認できないことから,出来高報告書の記載内容をもとに評価を行ったものであり,このことについて,違法・不当な点はない。ウ小括以上より,再建築費評点表の記載が,原告の主張(オ)及び(カ)のように設計図書及び契約図書と異なっているとしても,これをもって,再建築費評点表に誤りがあるとは認められず,原告の主張には理由がない。(4) 原告の主張(キ)~(ケ)(未施工なのに完成と査定-間仕切骨組等)の検討ア原告の主張(キ)ないし(ケ)の善解(ア) 「間仕切骨組」,「内部仕上」,「床仕 には理由がない。(4) 原告の主張(キ)~(ケ)(未施工なのに完成と査定-間仕切骨組等)の検討ア原告の主張(キ)ないし(ケ)の善解(ア) 「間仕切骨組」,「内部仕上」,「床仕上」,「天井仕上」の項目においては,原告の指摘する「施工率」なる項目は存在しないので,原告の主張(キ)ないし(ケ)は,「施工の程度1.0」に対する指摘の誤りであると解される。(イ) そこで,原告の主張(キ)ないし(ケ)は,次のとおり,本件建物には未施工箇所があるのに「施工の程度1.0」と査定し,完成と評価した再建築費評点表の記載は誤りであるとの主張であると善解して,以下検討する。(キ) 「間仕切骨組」項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,1階部分に未施工の箇所がある。(ク) 「内部仕上」及び「床仕上」の項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,未施工の箇所がある。(ケ) 「天井仕上」の項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,未施工の箇所がある。イ検討(ア) 再建築費評点数は,家屋に未施工箇所があったとしても,そのような家屋の現状に応じて付設されるものであり,家屋が完成した場合の評点数を一旦算出したうえで,それに未施工箇所のある現況の家屋の完成度合いを乗じて付設するものではないから(乙39),再建築費評点数の付設に当たって,家屋の完成度合い(未施工箇所の存在)を考慮して,評点数を一律に補正する必要はない。 されているが,未施工の箇所がある。イ検討(ア) 再建築費評点数は,家屋に未施工箇所があったとしても,そのような家屋の現状に応じて付設されるものであり,家屋が完成した場合の評点数を一旦算出したうえで,それに未施工箇所のある現況の家屋の完成度合いを乗じて付設するものではないから(乙39),再建築費評点数の付設に当たって,家屋の完成度合い(未施工箇所の存在)を考慮して,評点数を一律に補正する必要はない。(イ) それゆえ,「施工の程度」の項目は,工事請負契約により定められた内容の工事が完成した家屋と,未施工箇所のある現況の家屋の完成度合いとを比較し,それを補正する項目ではない。かえって ゆえ,「施工の程度」の項目は,工事請負契約により定められた内容の工事が完成した家屋と,未施工箇所のある現況の家屋の完成度合いとを比較し,それを補正する項目ではない。かえって,「施工の程度」の項目は,再建築費評点数を算出する基礎となる標準評点数が,家屋の用途別・資材別に応じた標準量ないし標準工法を基準として設定されているため,これと異なる施工方法による場合(例えば,装飾的模様のある手の込んだ施工が行われている場合や逆に仕上げの形状が単純な場合など)に,かかる家屋の現状を再建築費評点数に反映させるために,標準評点数を補正するための項目である(乙39)。(ウ) よって,原告の主張(キ)ないし(ケ)の「施工の程度1.0」の記載は,本件建物の間仕切骨組,内部仕上,床仕上,天井仕上の完成を意味する査定がなされたことを示すものではないから,原告の主張は失当である。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(キ)ないし(ケ)の誤りがあるとは認められず,原告の主張には理由がない。(5) 原告の主張(コ)(サ)(未施工なのに完成と査定-電気設備等)についてア原告の主張(コ)(サ)再建築費評点表には,次のような誤りがある。(コ) 「電気設備」の項目において,「電灯・コンセント設備」,「照明器具設備(蛍光灯)」,「電話配線設備」,「拡声器配線設備」の全項目が「施工率1.0」と査定されているが,大部分は未完成である。(サ) 「衛生設備」の項目において,「給水設備」,「排水設備」,「衛生器具設備」,「ガス設備」の全項目が「施工率1. 0」と査定されているが,蛇口や便器等,多くの未施工箇所がある。イ検討(ア の項目において,「給水設備」,「排水設備」,「衛生器具設備」,「ガス設備」の全項目が「施工率1. )」,「電話配線設備」,「拡声器配線設備」の全項目が「施工率1.0」と査定されているが,大部分は未完成である。(サ) 「衛生設備」の項目において,「給水設備」,「排水設備」,「衛生器具設備」,「ガス設備」の全項目が「施工率1. 0」と査定されているが,蛇口や便器等,多くの未施工箇所がある。イ検討(ア の項目において,「給水設備」,「排水設備」,「衛生器具設備」,「ガス設備」の全項目が「施工率1. 0」と査定されているが,蛇口や便器等,多くの未施工箇所がある。イ検討(ア) 再建築費評点数を算出する基礎となる標準評点数は,建物全体を通じた1平方メートルあたりの評点数として設定されている。そのため,電気設備,衛生設備等の建築諸設備が建物の一部にしかないような場合には,標準評点数に,予め建物の延べ床面積に対する,当該設備の施工床面積の割合(設備の施工床面積を建物の延べ床面積で除したもの)を乗じておく必要がある。(イ) それ故,再建築費評点表の電気設備,衛生設備に係る「施工率」とは,建物の延べ床面積に対する,設備の施工床面積の割合を示すものであって,原告が主張するような工事の完成度合いを示すものではない。このことは,例えば,再建築費評点表の「衛生設備」の「給湯設備」の項目において,本件建物の駐車場部分に給湯設備がないため,駐車場部分の床面積を除外した施工床面積の割合である「施工率0.62」を乗じるものとされていることからも,明らかである。(ウ) したがって,原告の主張(コ)及び(サ)の「施工率1.0」との記載は,本件建物の電気設備,衛生設備の完成を意味する査定がなされたことを示すものではなく,原告の主張は失当である。(エ) なお,付言するに,原告主張のような本件建物に未施工箇所があることは,「配置」や「設備の多少」等の項目において,標準評点数が前提としている施工密度や設備数との比較という形で補正され,再建築費評点数に反映されることがある。例えば,「電気設備」の項目の「電灯コンセント配線設備」の項目においては 点数が前提としている施工密度や設備数との比較という形で補正され,再建築費評点数に反映されることがある。例えば,「電気設備」の項目の「電灯コンセント配線設備」の項目においては,標準評点数は,床面積1.0㎡当たり,電灯0.22灯,コンセント0.11箇所程度のものを標準として設定されているが(乙39〔519頁〕),本件建物には未施工箇所があり,施工済の電灯コンセント配線設備が標準よりも少ないことから,標準評点数に「配置0.85」を乗じるものとされている(乙4,乙13の2)。 評点数に反映されることがある。例えば,「電気設備」の項目の「電灯コンセント配線設備」の項目においては,標準評点数は,床面積1.0㎡当たり,電灯0.22灯,コンセント0.11箇所程度のものを標準として設定されているが(乙39〔519頁〕),本件建物には未施工箇所があり,施工済の電灯コンセント配線設備が標準よりも少ないことから,標準評点数に「配置0.85」を乗じるものとされている(乙4,乙13の2)。これに対し,「給水設備」の項目においては,標準評点数は,水栓数が延べ床面積100㎡当たり1.4個程度のものを標準として設定され,本件建物のように各室に浴室,便所等があるホテルについては,本来増点補正が行われるべきとされているが(乙39〔567頁・586頁〕),本件建物には未施工箇所があり,施工済の給水設備が少ない点を勘案し,「設備の多少1.00」を乗じて,標準評点数のままとしている(乙4,乙13の2)。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(コ)及び(サ)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(6) 原告の主張(シ)(未施工なのに完成と査定-防災設備)についてア原告の主張(シ)再建築費評点表には,次の誤りがある。(シ) 「防災設備」の「火災報知設備」,「消火栓設備」,「排煙設備」の全項目が「施工率1.0」と査定されているが,本件建物の火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備等は,未施工である。また,地下1階の倉庫には,消火栓BOXの材料が放置されている。イ検討(ア) 証拠(乙8,乙14の2・3・4)及び弁論の全趣 栓設備,スプリンクラー設備等は,未施工である。また,地下1階の倉庫には,消火栓BOXの材料が放置されている。イ検討(ア) 証拠(乙8,乙14の2・3・4)及び弁論の全趣旨によれば,神戸市生田消防署長は,平成3年5月20日,本件建物の消防用設備等の検査を行い,同年5月25日付けで消防用設備等検査済証(乙8)を交付したことが認められる。(イ) このことからすれば,平成3年5月25日ころには,本件建物に消防法17条の技術上の基準に適合する消防用設備等が設置されていたことを推認することができ,本件建物の防災設備は消防法の基準に適合する程度に完成していたことが認められる。それゆえ,原告が主張するような防災設備(火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備)の未施工があったものとは認められない。 検査済証(乙8)を交付したことが認められる。(イ) このことからすれば,平成3年5月25日ころには,本件建物に消防法17条の技術上の基準に適合する消防用設備等が設置されていたことを推認することができ,本件建物の防災設備は消防法の基準に適合する程度に完成していたことが認められる。それゆえ,原告が主張するような防災設備(火災報知器,消火栓設備,スプリンクラー設備)の未施工があったものとは認められない。(ウ) さらに,証拠(乙8,乙9,乙20〔18・19頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり認定判断することができる。a 1階和食堂に係る部分は,現時点では,防災設備が未施工の状態となっている。b しかし,1階和食堂に係る部分についても,原告が課税の特例措置を受けるため,平成3年5月31日までに工事完了検査済証を取得する必要があったので,甲らは,平成3年5月31日までに,未済部分に仮仕上工事を施し,本件建物を工事完了検査に合格し得る程度に完成させたことが認められる。c そして,甲らは,工事完了検査合格後に,本来の目的である和食堂に改築する工事を行ったものである。d それゆえ,原告の主張する本件建物の未施工箇所とは,本件建物の完成後に行われた改築工事等に係るものであり,新築時点では施工済み状態であったことに変わりはなく,後 工事を行ったものである。d それゆえ,原告の主張する本件建物の未施工箇所とは,本件建物の完成後に行われた改築工事等に係るものであり,新築時点では施工済み状態であったことに変わりはなく,後に変更工事が行われたことは評価に反映させるべきではない。(エ) したがって,再建築費評点表の「施工率1.0」との記載は,本件建物の未施工箇所の存在とは無関係である。(オ) なお,付言するに,再建築費評点表の「防災設備」の項目における「施工率1.0」との記載は,前記(5)イ(ア)(イ)(原告の主張(コ)及び(サ)の検討,42頁)で説示したとおり,本件工事の完成度合いを示すものではないから,かかる意味においても,原告の主張は失当である。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(シ)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(7) 原告の主張(ス)(未施工なのに完成と査定-エレベーター)についてア原告の主張(ス)再建築費評点表には,次の誤りがある。(ス) 「運搬設備」の「エレベーター」の項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,インジケーター等が未施工である。 ないから,かかる意味においても,原告の主張は失当である。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(シ)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(7) 原告の主張(ス)(未施工なのに完成と査定-エレベーター)についてア原告の主張(ス)再建築費評点表には,次の誤りがある。(ス) 「運搬設備」の「エレベーター」の項目において,「施工の程度1.0」と査定されているが,インジケーター等が未施工である。イ検討(ア) 証拠(乙40の1・2・3・4)及び弁論の全趣旨によると,神戸市建築主事は,平成3年5月17日及び23日,エレベーター6台について建築基準法に係る法令への適合性の検査を行い,同年5月24日及び27日付けで上記法令への適合性を認める工事完了検査済証(乙40の2・4)を交付したことが認められる。(イ) このことからすれば,本件建物の竣工時点である平成3年5月23日ころには,本件建物のエレベーター6台は,建築基準法に適合す 査済証(乙40の2・4)を交付したことが認められる。(イ) このことからすれば,本件建物の竣工時点である平成3年5月23日ころには,本件建物のエレベーター6台は,建築基準法に適合する程度に完成し,かつ,使用し得る状態にあったものと推認することができる。(ウ) もっとも,証拠(乙21の2)によると,原告の主張するとおり,エレベーター6台のうち2台(3,4号)のインジケーター,押釦及び予報装置の設置工事が未済であると指摘されている。しかし,仮に,上記のような未済工事があったとしても,証拠(乙20〔19頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,防災設備の場合と同様,原告は,課税の特例措置を受けるために平成3年5月末日までに本件建物の工事完了検査済証を取得する必要があったこと,そのため,原告及び甲らは,エレベーターのかご及びインジケーターについては,仮のものを設置するなどし,工事完了検査を受けたことが認められる。よって,原告の主張する本件建物の未施工箇所とは,本件建物の完成後に行われた調整,改築工事等によるものと認められる。(エ) 以上からすれば,再建築費評点表の「施工率1.0」との記載は,本件建物の未施工箇所の存在とは,無関係である。(オ) なお,付言するに,再建築費評点表の「運搬設備」の「エレベーター設備」の項目における「施行の程度1.0」との記載は,本件工事の完成度合いを示すものではなく,標準評点数が各仕上資材に応じた標準工法を基準として設定されているため,これと異なった施工がされている場合に,家屋の現状を再建築費評点数に反映させるために行うものである(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。 関係である。(オ) なお,付言するに,再建築費評点表の「運搬設備」の「エレベーター設備」の項目における「施行の程度1.0」との記載は,本件工事の完成度合いを示すものではなく,標準評点数が各仕上資材に応じた標準工法を基準として設定されているため,これと異なった施工がされている場合に,家屋の現状を再建築費評点数に反映させるために行うものである(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。すなわち るため,これと異なった施工がされている場合に,家屋の現状を再建築費評点数に反映させるために行うものである(自治省資産評価室編・固定資産評価基準解説〔家屋篇〕参照)。すなわち,エレベーターの標準評点数は,かご室,かご扉,出入口まわりに鋼製エナメル焼付を施し,床が塩化ビニールタイル・シート製のものが標準とされており,以上述べた内装よりも上等なもの,あるいは簡素なものについて,「補正の程度」による補正を行う必要がある。よって,「補正の程度」の項目は,原告が主張するような工事の完成度合いを示すものではないから,仮に本件建物のエレベーターのインジケーター等が未施工であったとしても,これをもって「施工の程度1.0」と査定されたのではなく,かかる意味においても原告の主張は失当である。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ス)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(8) 原告の主張(セ)(床面積の相違)についてア原告の主張(セ)再建築費評点表には,次の誤りがある。(セ) 再建築費評点表では,本件建物の床面積として,建築確認図書の数値(2万1012.53平方メートル)がそのまま採用されているが,本件建物については,いわゆる12条報告書により床面積の訂正がなされているから,再建築費評点数の面積と本件建物の面積は,明らかに異なっているはずである。イ検討(ア) 再建築費評点数を付設する際に用いられる家屋の床面積は,不動産登記における床面積と一致すべきものとされているが,本件建物のように登記されていない建物については,建築確認に使用された設計図面等をもとに,家屋の現況に応じて必要な加算あるいは減算を行 面積は,不動産登記における床面積と一致すべきものとされているが,本件建物のように登記されていない建物については,建築確認に使用された設計図面等をもとに,家屋の現況に応じて必要な加算あるいは減算を行って求積すべきである。 記における床面積と一致すべきものとされているが,本件建物のように登記されていない建物については,建築確認に使用された設計図面等をもとに,家屋の現況に応じて必要な加算あるいは減算を行 面積は,不動産登記における床面積と一致すべきものとされているが,本件建物のように登記されていない建物については,建築確認に使用された設計図面等をもとに,家屋の現況に応じて必要な加算あるいは減算を行って求積すべきである。(イ) これを本件について見るに,証拠(乙4,乙13の2,乙30,乙31)及び弁論の全趣旨によれば,施工業者たる甲らから提供を受けた,いわゆる12条報告後の設計図面(乙29)等の資料,及び現地調査の結果をもとに,例えば13階の吹抜部分の周囲の廊下部分の面積が,上記設計図面等より増加していたため,これを加算するなどした上で,本件建物の延べ床面積が2万1255.36平方メートルと算出されたこと(乙31),その結果に基づいて再建築費評点表の「現況床面積」の項目に,延べ床面積2万1255.36平方メートルとの記載がなされていることが認められる。(ウ) よって,再建築費評点表の面積と本件建物の面積との間には,原告主張のような齟齬はない。ウ小括よって,再建築費評点表には(セ)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(9) 原告の主張(ソ)(路外駐車場の減税措置)についてア原告の主張(ソ)再建築費評点表には,次の誤りがある。(ソ) 本件建物については,路外駐車場の設置の届出がなされており,減税の特別措置がとられるはずであるが,再建築費評点表には,そのような減税措置がとられた形跡はない。イ検討(ア) 路外駐車場の設置に関して減税の特別措置がとられるのは,地方税法附則11条7項に規定する場合である。(イ) ところが,本件建物の駐車場(本件駐車場)については,原告から正式な減税の特別措置の適用申 設置に関して減税の特別措置がとられるのは,地方税法附則11条7項に規定する場合である。(イ) ところが,本件建物の駐車場(本件駐車場)については,原告から正式な減税の特別措置の適用申請もない上(弁論の全趣旨),都市計画において定められたものでもないから(乙32),本件駐車場は,地方税法附則11条7項に定める路外駐車場に該当しない。なお,本件駐車場は,第1回報告書(乙16)においても,「駐車場法に定める路外駐車場の要件を充たしていない。 は,地方税法附則11条7項に規定する場合である。(イ) ところが,本件建物の駐車場(本件駐車場)については,原告から正式な減税の特別措置の適用申請もない上(弁論の全趣旨),都市計画において定められたものでもないから(乙32),本件駐車場は,地方税法附則11条7項に定める路外駐車場に該当しない。なお,本件駐車場は,第1回報告書(乙16)においても,「駐車場法に定める路外駐車場の要件を充たしていない。」と指摘されている。(ウ) よって,本件建物の駐車場には,地方税法附則11条7項の適用はなく,減税の特例措置の対象とならないものと認められる。ウ小括以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ソ)の誤りはなく,原告の主張には理由がない。(10) まとめ以上より,再建築費評点表には,原告の主張(ア)ないし(ソ)の誤りはなく,よって,この限りにおいて,本件処分に違法・不当な点はない。5 争点5(本件建物の「価格」,不動産取得税額)について(1) 原告の主張内容原告は,本件建物の「価格」の誤りを違法事由として主張するものの,その誤りの根拠としては,原告の主張(ア)ないし(ソ)のとおり,再建築費評点表の誤りを指摘するのみで,その他の固定資産評価基準の内容及びその適用過程(再建築費評点数の付設を含む。)については,具体的に争わない。(2) 当裁判所の認定・判断上記原告の主張内容及び前提事実に,証拠(乙3の1・2,乙4,乙13の2)及び弁論の全趣旨を総合すると,次のとおり認定・判断することができる。ア家屋評価のしくみ(ア) 家屋の評価(固定資産評価基準第2章 に,証拠(乙3の1・2,乙4,乙13の2)及び弁論の全趣旨を総合すると,次のとおり認定・判断することができる。ア家屋評価のしくみ(ア) 家屋の評価(固定資産評価基準第2章第1節一)家屋の価格の評価は,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)に基づき,木造家屋及び非木造家屋の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に,評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法による。(イ) 評点数の付設(固定資産評価基準第2章第1節二)各個の家屋の評点数は,当該家屋の1平方メートル当たりの再建築費評点数に,各個の家屋の延べ床面積を乗じて付設する。(ウ) 評点1点当たりの価額(固定資産評価基準第1章第4節二)a 評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率,及び設計管理費等による補正率を乗じた額である。 数に,評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法による。(イ) 評点数の付設(固定資産評価基準第2章第1節二)各個の家屋の評点数は,当該家屋の1平方メートル当たりの再建築費評点数に,各個の家屋の延べ床面積を乗じて付設する。(ウ) 評点1点当たりの価額(固定資産評価基準第1章第4節二)a 評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率,及び設計管理費等による補正率を乗じた額である。b 非木造家屋に係る物価水準による補正率は,全市町村を通じ1.00とされ,設計管理費等による補正率は,1. 10と定められている。c 以上より,評点1点当たりの価額は1.1円である。イ本件建物の価格,不動産取得税額(ア) 神戸財務事務所長は,神戸市と合同で実施した本件建物の現地調査の結果,及び,その際,甲らから提供を受けた設計図書等の資料に基づいて,再建築費評点表記載のとおり,本件建物の1平方メートル当たりの再建築費評点数を12万7600点と付設し,本件建物の延べ床面積を2万1255.36平方メートルと算出した(乙4,乙13の2)。(イ) 神戸財務事務所長は,1平方メートル当たりの再建築費評点数12万7600点に,本件建物 設し,本件建物の延べ床面積を2万1255.36平方メートルと算出した(乙4,乙13の2)。(イ) 神戸財務事務所長は,1平方メートル当たりの再建築費評点数12万7600点に,本件建物の延べ床面積2万1255.36平方メートルを乗じ,かつそれに評点1点当たりの価額1.1円を乗じて,本件建物の価格29億8340万2329円を算出した(乙3の1・2)。(ウ) そして,上記価格29億8340万2000円(千円未満切り捨て)を課税標準として,これに不動産取得税の税率100分の4(地方税法73条の15第1項)を乗じて,本件建物の不動産取得税額1億1933万6000円を算出した(乙3の1・2)。ウ本件工事代金,工事出来高からの検証(ア) 本件建物の工事代金は,契約時には100億9900万円であったが,変更工事等があり,最終的には102億9675万4022円となった(乙21の1)。(イ) これに対し,本件建物の最終的な出来高は96億5253万6359円である。原告と甲らとの間の損害賠償請求事件でも,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所は,そのように認定している(乙19,乙20,乙21の1)。 。ウ本件工事代金,工事出来高からの検証(ア) 本件建物の工事代金は,契約時には100億9900万円であったが,変更工事等があり,最終的には102億9675万4022円となった(乙21の1)。(イ) これに対し,本件建物の最終的な出来高は96億5253万6359円である。原告と甲らとの間の損害賠償請求事件でも,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所は,そのように認定している(乙19,乙20,乙21の1)。(ウ) 原告は,甲らに対し,平成3年1月31日までに,全工事代金の約60パーセントに相当する合計60億1400万円を支払済である(乙19,乙20)。(エ) さらに,原告は,甲らとの間の損害賠償請求事件で,大阪地方裁判所及び大阪高等裁判所の判決により,最終的な工事出来高と既払金との差額36億3853万6359円の支払を命じられている(乙19,乙20)。(オ) したがって,神戸財務事務所長が認定した本件建物の価格29億8340万2000円は,本件建物の工事代金102億 差額36億3853万6359円の支払を命じられている(乙19,乙20)。(オ) したがって,神戸財務事務所長が認定した本件建物の価格29億8340万2000円は,本件建物の工事代金102億9675万4022円,工事出来高96億5253万6359円からみても,高すぎて違法な金額であるとは到底認められない。エまとめ以上より,本件建物の不動産取得税の課税標準たる「価格」は29億8340万2000円であり,本件建物の不動産取得税額は1億1933万6000円となり,これに基づいてなされた本件処分は適法である。第5 結語以上の次第で,本件不動産取得税賦課処分は適法であり,原告の本件処分取消請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判断する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二 裁判官秋田志保 裁判官中村哲は,転補のため署名押印できない。裁判長裁判官紙浦健二・(別紙)物件目録所在神戸市a区bc丁目d番地e家屋番号なし種類ホテル・駐車場構造鉄骨造ルーフィング地下2階付13階建床面積合計2万1255.36平方メートル 家屋番号なし種類ホテル・駐車場構造鉄骨造ルーフィング地下2階付13階建床面積合計2万1255.36平方メートル内,ホテルの床面積  8075.90平方メートル駐車場の床面積  1万3179.46平方メートル(但し,未登記)

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