平成23年8月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成20年(ワ)第831号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年5月10日判決静岡県藤枝市<以下略> 原告ペパーレット株式会社訴訟代理人弁護士卜部忠史同中島雪枝同山内宏光補佐人弁理士中畑孝東京都豊島区<以下略> 被告株式会社大貴訴訟代理人弁護士松田純一同鈴木英之同佐久間幸司同大橋君平同菅原清暁同伊藤卓同西村公芳訴訟代理人弁理士大津洋夫訴訟復代理人弁理士石澤義奈生補佐人弁理士滝口昌司同松井佳章同内島裕 主文 1 被告は,原告に対し,2869万7562円及び内金802万4906円に対する平成20年4月30日から,内金2067万2656円に対する平成21年9月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録1及び は,これを10分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。 4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙物件目録1及び2記載の動物用排尿処理材を製造及び販売してはならない。 2 被告は,その本店,支店,工場及び倉庫に存する別紙物件目録1及び2記載の動物用排尿処理材を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,2億4986万3013円及び内金4010万9589円に対する平成20年4月30日から,内金2億0975万3424円に対する平成21年9月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,後記2(2)記載の特許権を有する原告が,被告による別紙物件目録1及び2記載の動物用排尿処理材(以下,それぞれを「イ号製品1」,「イ号製品2」といい,これらを「イ号各製品」と総称する。)の構成を備える別紙被告製品目録1ないし5記載の各製品(以下,それぞれを「被告製品1」,「被告製品2」,「被告製品3」,「被告製品4」,「被告製品5」といい,これらを「被告各製品」と総称する。)の製造及び販売が上記特許権の侵害に当たる旨主張して,被告に対し,特許法100条1項及び2項に基づき,イ号各製 - 3 -品の製造及び販売の差止め並びにその廃棄を求めるとともに,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 2 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1) 当事者ア原告は,ペット用品の製造及び販売,排泄物処理用器材の製造及び販売等を目的とする株式会社である。 イ被告は,包装材料の販売,廃棄物からの再生商品の開発及び再生商品(動物用排泄物処理材,紙 ア原告は,ペット用品の製造及び販売,排泄物処理用器材の製造及び販売等を目的とする株式会社である。 イ被告は,包装材料の販売,廃棄物からの再生商品の開発及び再生商品(動物用排泄物処理材,紙おむつ,ペットシーツ,植木鉢,介護用マット及び衛生紙等)の製造,販売等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の特許権ア原告は,平成6年12月29日,発明の名称を「動物用排尿処理材」とする発明について特許出願(特願平6-339975号。以下「本件出願」という。)をし,平成8年6月27日,特許第2534031号として特許権の設定登録(請求項の数5)を受けた(以下,この特許を「本件特許」,この特許権を「本件特許権」という。)。 イ本件特許に対し,被告が平成19年8月17日付けで無効審判請求(無効2007-800166号事件。以下「本件無効審判請求1」という。)をし,更にA1が同月28日付けで無効審判請求(無効2007-800177号事件。以下「本件無効審判請求2」という。)をした。なお,A1は,被告の補佐人弁理士である。 本件無効審判請求1について,原告がその審理係属中の平成20年4月24日付けで本件出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1及び5を訂正する訂正請求(以下「本件訂正」という。)をした後,特許庁は,同年6月24日,「訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決1」という。)をし,これに対し被 - 4 -告が知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起したが(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)第10288号),同裁判所は,平成21年7月21日,被告の請求を棄却する旨の判決(以下「別件知財高裁判決1」という。)を言い渡し,同判決は,同年12月15日,最高裁判所の上告不受理決定(平成 ケ)第10288号),同裁判所は,平成21年7月21日,被告の請求を棄却する旨の判決(以下「別件知財高裁判決1」という。)を言い渡し,同判決は,同年12月15日,最高裁判所の上告不受理決定(平成21年(行ヒ)第394号)によって確定した(甲19,47,49)。これにより本件審決1(本件訂正を認める部分を含む。)が確定し,その登録がされた。 本件無効審判請求2について,特許庁は,平成20年5月27日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決2」という。)をし,これに対しA1が知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起したが(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)第10243号),同裁判所は,平成21年7月21日,A1の請求を棄却する旨の判決(以下「別件知財高裁判決2」という。)を言い渡し,同判決は,同年12月15日,最高裁判所の上告不受理決定(平成21年(行ヒ)第393号)によって確定した(甲46,48)。これにより本件審決2が確定し,その登録がされた。 (3) 特許発明の内容ア本件訂正後の特許請求の範囲は,請求項1ないし5から成り,請求項1の記載は,次のとおりである(以下,本件訂正後の請求項1に係る発明を「本件発明」という。なお,下線部は,本件訂正による訂正箇所である。)。 「【請求項1】 吸水性を有する動物用排尿処理材であって,上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有し,該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有することを特徴とする動物用排尿処理材。」イ本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,各構成要 - 5 -件を「構成要件A」,「構成要件B」などという。)。 A 吸水性を有する動物用排 徴とする動物用排尿処理材。」イ本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,各構成要 - 5 -件を「構成要件A」,「構成要件B」などという。)。 A 吸水性を有する動物用排尿処理材であって,B 上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有し,C 該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,D 上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有するE ことを特徴とする動物用排尿処理材。 (4) 被告の行為ア被告は,平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間,被告各製品を製造し,別紙被告製品目録記載の各販売会社にこれらを販売していた。 イ被告製品1は,次の(ア)ないし(ウ)の構成を有し,その構成の概略は,別紙イ号製品概略図1のとおりである。 したがって,被告製品1は,構成要件A及びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有する。 (ア) 造粒して成る核部分1と該核部分1の表面に付着して覆う表層2とから成る動物用排尿処理材である。 (イ) 表層2に,紙粉,吸水性ポリマー,澱粉を含有し,核部分1に,紙粉,紙おむつ粉砕物,壁紙粉砕物,吸水性ポリマーを含有することにより,吸水性を有する。 (ウ) 核部分1は着色料により着色され,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていない。 ウ被告製品2ないし5は,次の(ア)ないし(ウ)の構成を有し,その構成の概略は,別紙イ号製品概略図2のとおりである。 したがって,被告製品2ないし5は,構成要件A及びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有する。 - 6 -(ア) 造粒して成る核部分1と該核部分1の表面に付着して覆う表層2とから成る動物用排尿処理材である。 びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有する。 - 6 -(ア) 造粒して成る核部分1と該核部分1の表面に付着して覆う表層2とから成る動物用排尿処理材である。 (イ) 表層2に,紙粉,吸水性ポリマー,澱粉を含有し,核部分1に,紙粉,紙おむつ粉砕物,吸水性ポリマーを含有することにより,吸水性を有する。 (ウ) 核部分1は着色料により着色され,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていない。 3 争点本件の争点は,被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか否か(争点1),原告の本件特許権の行使が特許法104条の3第1項により制限されるかどうか(争点2),イ号各製品の製造等の差止めの必要性の有無(争点3),被告が賠償すべき原告の損害額(争点4)である。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告各製品の技術的範囲の属否)について(1) 原告の主張ア構成要件BないしDの充足(ア) 被告製品1本件発明は,吸水性を有する動物用排尿処理材において,排尿を吸収すると核部分の色が露見できるようにした表層で覆い,複合層構造を維持したまま排尿の含水により表層を通して核部分の色を露見できるようにした発明であり,排尿によって発色する薬剤を用いずに,排尿における使用前と使用後の状態を的確に判別でき,使用部位のみを交換する利点を享受できるようにしたものである(本件訂正後の明細書(甲19。 以下,単に「本件明細書」という。)段落【0004】,【0008】等)。 本件発明にいう「露見」とは,表層の崩壊により核部分の色が見える - 7 -ことを意味するのではなく,排尿によって,核部分の色が,表層を透過し又は滲潤することにより,複合層構造を維持したまま見えることを意味する。 しかるところ,被告 核部分の色が見える - 7 -ことを意味するのではなく,排尿によって,核部分の色が,表層を透過し又は滲潤することにより,複合層構造を維持したまま見えることを意味する。 しかるところ,被告製品1が,構成要件A及びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有することは,前記争いのない事実等(4)イのとおりである。 甲24の写真A②ないし⑧によれば,被告製品1は,生理用食塩水を滴下した直後から,その滴下により吸水した部分が青色に変色したこと,この青色は核部分を着色した着色料の色であること,青色に変色した部分の大部分は,表層が崩壊・流出していないことが認められる。このように表層が維持されたまま核部分の着色料の色が顕出するには,当該着色料が表層を透過して又は滲潤して見えるようになるとの現象が起きるほかない。 そうすると,被告製品1においては,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていないが,「排尿を吸収すると,表層2を通して核部分1の着色料の色が顕出し,表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能とした」構成を有しているといえるから,被告製品1は,構成要件B(「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有」するとの構成)及び構成要件C(「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ」との構成)を充足する。 そして,被告製品1においては,その表層が吸尿により崩壊・流出することなく,主として核部分の着色料の色が透過又は滲潤することで顕出し,核部分と表層との「複合層構造」を維持したまま吸尿した部分と吸尿していない部分とを区別することができるから,被告製品1は,構成要件D(「上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成」)を充 - 8 分と表層との「複合層構造」を維持したまま吸尿した部分と吸尿していない部分とを区別することができるから,被告製品1は,構成要件D(「上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成」)を充 - 8 -足する。 したがって,被告製品1は,構成要件AないしEをすべて充足する。 (イ) 被告製品2ないし5被告製品2ないし5が,構成要件A及びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有することは,前記争いのない事実等(4)ウのとおりである。 甲24の写真B②ないし⑦によれば,被告製品2は,生理用食塩水を滴下した直後から,その滴下により吸水した部分がオレンジ色に変色したこと,このオレンジ色は核部分を着色した着色料の色であること,オレンジ色に変色した部分の大部分は,表層が崩壊・流出していないことが認められ,また,甲24の写真C②ないし⑦によれば,被告製品3は,生理用食塩水を滴下した直後から,その滴下により吸水した部分が青色に変色したこと,この青色は核部分を着色した着色料の色であること,青色に変色した部分の大部分は,表層が崩壊・流出していないことが認められる。このように表層が維持されたまま核部分の着色料の色が顕出するには,当該着色料が表層を透過して又は滲潤して見えるようになるとの現象が起きるほかない。 そうすると,被告製品2及び3においては,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていないが,「排尿を吸収すると,表層2を通して核部分1の着色料の色が顕出し,表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能とした」構成を有しているといえるから,被告製品2及び3は,いずれも構成要件B及びCを充足する。 そして,被告製品2及び3においては,その表層が吸尿により崩壊・流出す 材の用前・用後の判別を可能とした」構成を有しているといえるから,被告製品2及び3は,いずれも構成要件B及びCを充足する。 そして,被告製品2及び3においては,その表層が吸尿により崩壊・流出することなく,主として核部分の着色料の色が透過又は滲潤することで顕出し,核部分と表層との「複合層構造」を維持したまま吸尿した - 9 -部分と吸尿していない部分とを区別することができるから,被告製品2及び3は,構成要件Dを充足する。 したがって,被告製品2及び3は,いずれも構成要件AないしEをすべて充足する。 また,被告製品4及び5についても,その構成は,それぞれ被告製品2及び3と同様であるから,いずれも構成要件AないしEをすべて充足する。 (ウ) 被告の主張に対する反論a 被告は,後記のとおり,被告各製品が膨潤して塊状となり割れを生じることは,「崩壊」に該当し,被告各製品は吸水により表層が崩壊して表層や複合層構造が維持されないものであるから,本件発明の技術的範囲に属さない旨主張する。 しかしながら,甲24の各写真によれば,被告製品1ないし3においては,吸水して変色した箇所全体の表面積のうち一部分に亀裂が入っていることが確認できるものの,その表層は崩壊・流出しておらず,大部分において,吸水した部分の表層は維持されたまま着色料の色が顕出しており,複合層構造は維持されているから,被告の上記主張は,失当である。 b 被告は,後記のとおり,構成要件Cの「表層を通し該露見が得られ」とは,核部分の色が「明度差」により表層を通して外部に顕出することを意味するところ,被告各製品は,核部分の色が明度差により顕出するのではなく,色相又は彩度の違いにより顕出しているので,構成要件Cの「露見」に含まれない旨主張する。 しかしながら,色相や彩 ことを意味するところ,被告各製品は,核部分の色が明度差により顕出するのではなく,色相又は彩度の違いにより顕出しているので,構成要件Cの「露見」に含まれない旨主張する。 しかしながら,色相や彩度の違いがあろうと,明暗の差は生じるはずであり,構成要件Cの「露見」が色相や彩度の違いによる核部分の色の顕出を除外していると解釈すべき理由はなく,被告の上記主張は - 10 -失当である。 イ小括以上によれば,被告各製品は,本件発明の構成要件をすべて充足するから,本件発明の技術的範囲に属する。 (2) 被告の主張ア構成要件BないしDの非充足(ア) 被告各製品は,吸水(吸尿)時の水勢,水量等により核部分の着色料の色の見え方が異なり,その色が表層を透過又は浸潤して視認可能になり得る一方,表層の溶解・崩壊・流出等により表層を通さず,直接視認可能となる場合もある。 したがって,被告各製品が,原告が主張する「排尿を吸収すると,表層2を通して核部分1の着色料の色が顕出し,表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能とした」構成を有しているものとはいえないから,被告各製品が構成要件BないしDを充足するとの原告の主張は,その前提を欠いている。 (イ) 本件発明は,一部が崩壊されつつも一部残された表層を通して核部分の色が露見するような態様は包含しないものと解されるから(別件知財高裁判決1・56頁参照),本件発明においては,排尿吸収前の表層の状態が排尿吸収後も維持されて複合層構造が保たれることを要するものであり,もし吸尿により表層の一部でも崩壊すれば,それは本件発明の射程の範囲外となるというべきである。そして,表層が維持されないことを「崩壊」と同視し,排尿の吸収により状態が変化した とを要するものであり,もし吸尿により表層の一部でも崩壊すれば,それは本件発明の射程の範囲外となるというべきである。そして,表層が維持されないことを「崩壊」と同視し,排尿の吸収により状態が変化したものはもはや「表層」でないとする解釈は,「崩壊」の一般的,辞書的な意義が「くずれること」,「こわれること」であることと整合する。 しかるところ,被告各製品は,表層にポリマーを含有するから,吸水 - 11 -により表層がゲル化して膨潤し,隣接する排泄物処理材の表層同士が融合して塊を形成し(ダンゴ化),その塊の表面に割れを生じており(甲24,44,乙30),表層が吸水によりもとの性質や形状,位置に保たれず,吸水の前後で表層の状態が維持されない。 このような被告各製品における表層の膨潤は,表層が「くずれること」,「こわれること」に当たるから,「崩壊」に該当する。 したがって,被告各製品は吸水により表層が崩壊して表層や複合層構造が維持されないものであるから,本件発明の技術的範囲に属さない。 (ウ) 本件発明で表層を通した露見が得られるのは,核部分を表層より暗色にし,あるいは表層を核部分より明色にしたり,核部分の白色度を表層より低くし,あるいは表層の白色度を核部分より高くしたりして,核部分の色と表層の色との間に明度差を設けることによるものであり(本件明細書の段落【0024】等),本件発明は,核部分の色が明度差により表層を通して外部に顕出することをその本質とし,これが「表層を通し該露見が得られ」(本件訂正後の請求項1)と表現されている。 一方で,色とは,有彩色であれば色相,明度及び彩度の三属性,無彩色であれば明度のみで構成されているところ,本件明細書には,コーヒー残渣粉の色とパルプの色との組合せが明度差に配慮してされたかのように記載さ ,色とは,有彩色であれば色相,明度及び彩度の三属性,無彩色であれば明度のみで構成されているところ,本件明細書には,コーヒー残渣粉の色とパルプの色との組合せが明度差に配慮してされたかのように記載され,他に色相や彩度を有する有彩色の例が一つも記載されていないこと,本件出願当時,核部分又は表層に色を付けることが当業者にとっても一般的でなかったことからすれば,本件発明は,色の三属性のうち明度のみに着目したものであり,色相差や彩度差による核部分の色の顕出は,本件発明の「露見」に含まれないものと解される。 しかるところ,吸水によりダンゴ化した被告各製品において,核部分の発する青色や橙色(オレンジ色)が白色のダンゴ表面を通して視認される現象につき考察すると,青色や橙色は有彩色であるから,核部分の - 12 -色は明度差により顕出しているのではなく,色相又は彩度の違いにより顕出している。 このような色相差又は彩度差による顕出は本件発明の「露見」に含まれないから,被告各製品は,本件発明の技術的範囲に属さない。 イ小括以上のとおり,被告各製品は,構成要件BないしDを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属さない。 2 争点2(本件特許権に基づく権利行使の制限の成否)について(1) 被告の主張本件発明に係る本件特許には,以下のとおりの無効理由があり,特許無効審判により無効とされるべきものであるから,特許法104条の3第1項の規定により,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することはできない。 ア無効理由1(乙1に基づく新規性の欠如)本件発明は,以下のとおり,本件出願前に頒布された刊行物である乙1(特開平6-237660号公報)に記載された発明と同一であるから,本件発明に係る本件特許には,特許法29条1項3号に違反する無 本件発明は,以下のとおり,本件出願前に頒布された刊行物である乙1(特開平6-237660号公報)に記載された発明と同一であるから,本件発明に係る本件特許には,特許法29条1項3号に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 乙1には,「珪砂微粉末を含む粘土を主成分とし,ゼオライト粉末,吸水剤及びメチレンブルー粉末を混練して固化した粒状芯体と,この粒状芯体の表面全体を覆い,かつ,外表面に着色料が付着又は浸透した固化促進剤からなる表面被膜層とを有するペットの糞尿処理用敷き砂」が記載されている。 乙1の「粒状芯体」,「表面被膜層」及び「ペットの糞尿処理用敷き砂」は,本件発明の「核部分」,「表層」及び「動物用排尿処理材」にそれぞれ相当し,「表面被膜層」は「粒状芯体」を被覆するとともに,排尿を吸収すると「粒状芯体」のメチレンブルーの青色を露見させるか - 13 -ら,乙1には,「吸水性を有する動物用排尿処理材であって,上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有する動物用排尿処理材。」(構成要件A,B,E)が記載されている。 (イ) 被告が,乙1の記載内容,技術的意義を明らかにする目的で,公証人立会いの下で,乙1記載の製造方法に準拠して試料1(乙1記載の敷き砂)を製造し,試料1との比較のため,メチレンブルーを混入せずに同様の手順で試料2(ブランク試料)を製造し,各試料に水を掛け,その変化を確認するという実験を行った結果(乙21は,この実験の経過と結果が記載された公証人作成の事実実験公正証書である。以下,この実験を「乙21の実験」という場合がある。),試料1及び2は,それぞれ水を吸収し,約30分経過後には,「いずれも水が振りかかった部分の粒はその表面が溶けて周囲の水の振りか 公正証書である。以下,この実験を「乙21の実験」という場合がある。),試料1及び2は,それぞれ水を吸収し,約30分経過後には,「いずれも水が振りかかった部分の粒はその表面が溶けて周囲の水の振りかかった粒同士を付着させて固まり付いている様に見えたが,各試料そのものは,表層を残して原形を保っており,試料1については,粒状芯体に含まれる発色剤であるメチレンブルーが表層にしみ上がりブルーに発色させている様に見受けられた(写真27,28及び33)」状態となり,このブルーに発色した試料1は,保存用に乾燥させた後も,「ブルーを呈していた」ことが認められた。 乙1の段落【0011】,【0019】には,吸水に応じて顔料であるメチレンブルーの青色が表層の方に浮き上がってくることや,その青色が表層の色を失わせてそれと対照をなす(その結果,処理材の使用済みの部分と未使用の部分とが区別可能となる)ことが記載されており,乙21の実験結果は,これらの記載と整合する。 したがって,乙21の実験結果によれば,乙1記載の敷き砂は,「排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,複合層構造にして排尿の有無 - 14 -を判別する構成」(構成要件C,D)を備えているといえる。 (ウ) 以上によれば,本件発明は,乙1記載の発明(敷き砂)と同一のものであって,新規性が欠如している。 イ無効理由2(乙1を主引例とする進歩性の欠如)仮に無効理由1が認められないとしても,本件発明は,以下のとおり,乙1記載の発明に周知慣用技術を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものであるから,本件発明に係る本件特許には,特許法29条2項に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 本件発明と乙1記載の発明とは,乙1記載の発明においては,排尿の吸 とができたものであるから,本件発明に係る本件特許には,特許法29条2項に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 本件発明と乙1記載の発明とは,乙1記載の発明においては,排尿の吸収により表層が崩壊流出(消失)するため,「表層を通して露見が得られる構成」を備えていない点でのみ相違する。 顔料が表層に滲潤して露見したり,表層を透過して露見したりするように表層の材質等を選択しその安定化手段を講じることは,本件出願当時,周知慣用技術であった。例えば,本件出願前に頒布された刊行物である乙3(特開平6-315330号公報)の例7においては,表面着色部にポリビニルアルコール等の接着機能を有する配合物質を配合することによって,表層の安定化が図られている。 そうすると,当業者であれば,乙1に上記周知慣用技術を適用することにより,相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたものといえる。 (イ) 以上によれば,本件発明は,乙1及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるから,進歩性が欠如している。 ウ無効理由3(乙3に基づく新規性の欠如)本件発明は,以下のとおり,本件出願前に頒布された刊行物である乙3に記載された発明と同一であるから,本件発明に係る本件特許には,特許 - 15 -法29条1項3号に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 乙3には,「コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒してなる造粒物と,この造粒物を着色してなる表面着色部とを有する動物の排泄物処理材」が記載されている(乙3の段落【0005】等)。 乙3の「造粒物」,「表面着色部」及び「動物の排泄物処理材」は,本件発明の「核部分」,「表層」及び「動物用排尿処理材」にそれぞれ相当するから,乙3記載の動 れている(乙3の段落【0005】等)。 乙3の「造粒物」,「表面着色部」及び「動物の排泄物処理材」は,本件発明の「核部分」,「表層」及び「動物用排尿処理材」にそれぞれ相当するから,乙3記載の動物の排泄物処理材は,構成要件A,B,Eの構成を備えている。 (イ) 被告が,乙3の記載内容,技術的意義を明らかにする目的で,公証人立会いの下で,乙3の実施例(「例7」)を再現した動物の排泄物処理材を製造し,これに水を掛け,その変化を確認するという実験を行った結果(乙19は,この実験の経過と結果が記載された公証人作成の事実実験公正証書である。以下,この実験を「乙19の実験」という場合がある。),製造された上記試料は,水を掛ける前は表層部(白色)と核部分(コーヒー色)の2層構造からなるものであったところ,水がふり掛けられた後は,表層部は「核部と同様のコーヒー色を呈し」,周囲の水がふり掛からなかった部分と目視で判別可能であることが確認され,また,半透明様になった「表層部から核部のコーヒー色が透けて見える」状況が確認された(写真31,36)。このように基本的に表層が維持された状態で,核部分のコーヒー色が滲潤したり,透過して見えた状態となり,機能的にも,水が降りかからなかった部分との色の差は歴然であり,動物が排尿したかどうかを判別することも可能となった(写真37)。 したがって,乙19の実験結果によれば,乙3記載の動物の排泄物処理材は,「排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,複合層構造にして排尿の有無を判別する構成」(構成要件C,D)を備えているといえ - 16 -る。 (ウ) 以上によれば,本件発明は,乙3記載の発明(動物の排泄物処理材)と同一のものであって,新規性が欠如している。 エ無効理由4(乙3を主引例とする進歩性の欠如) え - 16 -る。 (ウ) 以上によれば,本件発明は,乙3記載の発明(動物の排泄物処理材)と同一のものであって,新規性が欠如している。 エ無効理由4(乙3を主引例とする進歩性の欠如)仮に無効理由3が認められないとしても,本件発明は,以下のとおり,乙3記載の発明及び周知慣用技術に基づいて又は乙3記載の発明及び乙1記載の発明に基づいて,当業者が容易に想到することができたものであるから,本件発明に係る本件特許には,特許法29条2項に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 本件発明と乙3記載の発明とは,乙3記載の発明においては,表層が厚いため,「表層を通して露見が得られる構成」を備えていない点でのみ相違する。 乙3においては,表層を構成し得る材質として本件明細書に例示されているもののほぼすべてが記載されており,これらの材質により表層を形成する際に,その厚ささえ適当であれば,表層を通した露見がいわば自動的に実現するから,表層を通した露見について示唆されているといえる。 また,前記イ(ア)のとおり,顔料が表層に滲潤して露見したり表層を透過して露見したりするように表層の材質等を選択しその安定化手段を講じることは,本件出願当時,周知慣用技術であった。当業者がこのように表層の厚さを調整することにつき,乙3には動機づけとなる記載がないとの見方もあるかもしれないが,(薬剤を使用せず)受尿により処理材を変色させるための動機づけについては,乙3と技術分野を同じくする乙1に開示されているから,当業者が乙3の記載に基づいて表層を通した露見が得られるようにすることに,格別の困難はない。 そうすると,当業者であれば,乙3に上記周知慣用技術や乙1記載の - 17 -処理材を排尿で変色させる思想を適用することにより,相 を通した露見が得られるようにすることに,格別の困難はない。 そうすると,当業者であれば,乙3に上記周知慣用技術や乙1記載の - 17 -処理材を排尿で変色させる思想を適用することにより,相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたものといえる。 (イ) 以上によれば,本件発明は,乙3に上記周知慣用技術を適用し,又は乙3及び乙1に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるから,進歩性が欠如している。 オ無効理由5(公然実施による新規性の欠如)被告は,以下のとおり,本件出願前の平成6年4月から,本件発明と同一の構成を有する動物用排尿処理材(商品名「お花畑〈たんぽぽ〉」,以下「お花畑〈たんぽぽ〉」という。)を日本国内において製造及び販売していたものであるから,本件発明は,本件出願前に公然実施をされた発明であり,本件発明に係る本件特許には,特許法29条1項2号に違反する無効理由(同法123条1項2号)がある。 (ア) 「お花畑〈たんぽぽ〉」のパッケージ(乙22)には,「強力脱臭・抗菌」,「強力吸水」,「固まる」,「燃やせる」との表示があるが,「色が変わるタイプ」との宣伝文句はない。しかし,実際には,「お花畑〈たんぽぽ〉」は,発売の当初から,吸水すると,造粒部の褐色が表面着色部に顕れ,視認することができるようになる性質を有していたが,排尿を吸収することによって,鮮やかなブルーや黄色ではなく,褐色に変化することは,動物の飼い主が必ずしも好むところではないから,その点を宣伝材料に使うことはせず,また,排尿によって視認できるようになる褐色の色が薄くなるよう,工夫を施してきた(乙25)。これらの事情を踏まえても,「お花畑〈たんぽぽ〉」は,吸尿によって色が変わり,そのことによって,吸尿の前後を判別することができる できるようになる褐色の色が薄くなるよう,工夫を施してきた(乙25)。これらの事情を踏まえても,「お花畑〈たんぽぽ〉」は,吸尿によって色が変わり,そのことによって,吸尿の前後を判別することができるものといえる(乙22,24)。 上述のとおり,被告は,吸尿によって視認される褐色の色が薄くなるように工夫を施してきたから,その限りにおいて現在の「お花畑〈たん - 18 -ぽぽ〉」は発売当時のものと異なるが,この相違はコーティング技術の進歩によるところが大きく,基本的な材質・構成は発売以来全く変わっていない。 (イ) 以上のとおり,「お花畑〈たんぽぽ〉」は,本件発明と同一の構成を有する動物用排尿処理材であって,本件発明は,本件出願前に公然実施をされた発明に当たるから,新規性が欠如している。 カ無効理由6(実施可能要件違反)本件明細書の発明の詳細な説明は,以下のとおり,当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果の記載があるとはいえず,平成6年法律第116号による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)36条4項に適合しないから,本件発明に係る本件特許には,同項に違反する無効理由(同法123条1項4号)がある。 (ア) 本件明細書の発明の詳細な説明には,「吸水性を有する動物排尿処理材において,これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い,複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する」ことを目的とし(段落【0004】),上記核部分としては,パルプ,木粉,コーヒー蒸留後の残渣等に代表される有機繊維又は有機粉を主成分とする吸収材が使用でき(段落【0009】),表層としては,パルプ繊維又は粉体等の吸水性を有する素材が使用できる旨(段落【0016】)が記 ーヒー蒸留後の残渣等に代表される有機繊維又は有機粉を主成分とする吸収材が使用でき(段落【0009】),表層としては,パルプ繊維又は粉体等の吸水性を有する素材が使用できる旨(段落【0016】)が記載されている。 しかし,本件明細書の発明の詳細な説明及び図面(甲2)には,上記吸収材をどの程度用い,どのようにして動物用排尿処理材の核部分を形成するかの記載はなく,また,表層部分についても,上記素材をどの程度用い,どのようにして核部分を覆うのか,どのようにして動物用排尿処理材の形態である粒状物,ペレット状物にするのかについて,一切開 - 19 -示されておらず,動物用排尿処理材として請求項1に規定された「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」複合層構造とするための具体的な実施方法が記載されていない。 特に本件発明では,「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」ことが請求項1に規定されており,これを満足させるためには,核部分と表層部の材料の選択,核部分の大きさと表層部の厚さ,核部分と表層部との明度差など,相互に関連する考慮すべき事項が多岐にわたり,技術常識を考慮しても,当業者に期待し得る程度を超えた試行錯誤が必要となる。 (イ) したがって,本件明細書の発明の詳細な説明は,当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度にその発明の目的,構成及び効果を記載したものとはいえないから,旧特許法36条4項に適合せず,実施可能要件に違反している。 (2) 原告の主張ア無効理由1に対し(ア) 乙1記載の発明は,吸尿により表層が崩壊流出し,露わになった粒状芯体が外観できるようになり,その部分からメチレンブルーの色を確認することができるというものであって,吸尿した際に,複合層構造を維持したまま,核部分の色が表層を透過又は滲潤 流出し,露わになった粒状芯体が外観できるようになり,その部分からメチレンブルーの色を確認することができるというものであって,吸尿した際に,複合層構造を維持したまま,核部分の色が表層を透過又は滲潤することにより露見し,吸尿した部分とそうではない部分とを区別することができるとの構成を有していない点で,本件発明と相違している。 また,乙1には,粒状芯体(いわば核部分)を作る際に発色しないよう水分量を規制して作ること,完成したペットの糞尿処理用敷き砂は白色であることが記載されているが(段落【0011】,【0012】),乙21の実験では,加水量が多いからか,粒状芯体を作った時点で既に青く発色しており(写真13),しかも完成した敷き砂も白色ではなく, - 20 -青色に染まっており(写真14,15),このように,生成工程,実験の完成品が乙1記載の発明とは異なるものであり,乙21の実験は,乙1記載の発明を正確に再現したものとはいえない。 なお,本件審決1を維持した別件知財高裁判決1においても,乙21の実験(別件知財高裁判決1では「甲34実験」)は再現性を有しない旨認定し,本件発明が,乙1記載の発明と同一であり,新規性を欠くとの被告の主張を排斥している。 (イ) 以上によれば,被告主張の無効理由1は理由がない。 イ無効理由2に対し(ア) 乙1には,吸尿した際に,複合層構造を維持したまま,核部分の色が表層を透過又は滲潤することにより露見し,吸尿した部分とそうではない部分とを区別することができるとの構成についての記載も示唆もない。 また,乙3は,使用時(吸尿時)においても造粒物(核部分)の色を隠すという発明思想を持ち,これを実現する実施例を掲げているのであって(段落【0005】,【0006】),本件発明のような,使用時に複合層 ,乙3は,使用時(吸尿時)においても造粒物(核部分)の色を隠すという発明思想を持ち,これを実現する実施例を掲げているのであって(段落【0005】,【0006】),本件発明のような,使用時に複合層構造を維持しながらも,吸尿により核部分の色が表層を透過して又は表層に滲潤して見えるようになるとの作用とは,対極にある作用を有するものであるから,乙3の存在をもって,本件出願時,本件発明に係る技術が広く知られていた技術であったとはいえない。 (イ) したがって,乙1を主引例として本件発明の進歩性の欠如をいう被告主張の無効理由2は理由がない。 ウ無効理由3に対し(ア) 乙3記載の発明は,前記イ(ア)で述べたように,使用時(吸尿時)においても造粒物(核部分)の色(コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色)を隠すことを目的とするものであって,吸尿した際に,複合層構造を維 - 21 -持したまま,核部分の色が表層を透過又は滲潤することにより露見し,吸尿した部分とそうではない部分とを区別することができるとの構成を有していない点で,本件発明と相違している。 また,乙3の実施例(「例7」)に記載された製造方法では,チョッパー50で造粒した後,接着剤を加えて少なくとも2回紙粉を添加して押し固めることを繰り返す工程を経て,最後に噴霧ノズル22で紙粉を噴霧し,コーティングするとの工程となっているのに対し,乙19の実験では,チョッパーでの造粒段階で攪拌混合物を4回にわたり押し出して成形しているため,造粒物を構成するコーヒー抽出液抽出残渣に残るコーヒー液が攪拌混合された紙粉に滲みてしまい,造粒物そのものが褐色になって着色の用をなしていない状態で,その後に噴霧ノズル22で噴霧する紙粉量に相当する紙粉を,手でふり掛けて塗布するにすぎず,紙粉によるコーヒー色の隠れ た紙粉に滲みてしまい,造粒物そのものが褐色になって着色の用をなしていない状態で,その後に噴霧ノズル22で噴霧する紙粉量に相当する紙粉を,手でふり掛けて塗布するにすぎず,紙粉によるコーヒー色の隠れ方及び表層の紙粉の付き具合(厚さ・固さ)が全く異なっており,乙19の実験は,乙3の実施例(「例7」)を正確に再現したものとはいえない。 なお,本件審決1を維持した別件知財高裁判決1においても,乙19の実験(別件知財高裁判決1では「甲33実験」)は再現性を有しない旨認定している。また,本件審決2を維持した別件知財高裁判決2においては,乙19の実験(別件知財高裁判決2では「甲16実験」)は再現性を有しない旨認定し,本件訂正前の請求項1に係る発明が,乙3記載の発明と同一であり,新規性を欠くとの被告の主張を排斥している。 (イ) 以上によれば,被告主張の無効理由3は理由がない。 エ無効理由4に対し乙3には,吸尿した際に,複合層構造を維持したまま,核部分の色が表層を透過又は滲潤することにより露見し,吸尿した部分とそうではない部分とを区別することができるとの構成についての記載も示唆もない。ま - 22 -た,乙1も,前記イ(ア)で述べたとおり,これと同様である。 したがって,乙3を主引例として本件発明の進歩性の欠如をいう被告主張の無効理由4は理由がない。 オ無効理由5に対し(ア) 本件出願前に販売されていた「お花畑〈たんぽぽ〉」が,本件発明と同一の構成を有する動物用排尿処理材であることを裏付ける証拠は提出されていない。 かえって,平成12年のペット用品ガイド(甲8)には,「お花畑シリーズ」として,〈ペーパーサンド〉,〈コスモス〉,〈たんぽぽ〉及び〈ひなげし〉が掲載され,〈たんぽぽ〉及び〈ひなげし〉は,いずれもコーヒー抽出液 成12年のペット用品ガイド(甲8)には,「お花畑シリーズ」として,〈ペーパーサンド〉,〈コスモス〉,〈たんぽぽ〉及び〈ひなげし〉が掲載され,〈たんぽぽ〉及び〈ひなげし〉は,いずれもコーヒー抽出液抽出残渣を用いた製品であるところ,〈ひなげし〉だけが色が変わるタイプの「猫砂」(動物用排尿処理材。以下同じ。)であることが明確に掲載されているのであるから,逆にかかる効果が掲載されていない〈たんぽぽ〉は,そのような性質を有していなかったことを示している。「お花畑〈たんぽぽ〉」がかかる性質を有していなかったことは,甲9ないし18からも明らかである。 (イ) 以上によれば,被告主張の無効理由5は理由がない。 カ無効理由6に対し(ア) 本件明細書の発明の詳細な説明には,複層構造にした核部分の色がその構造を維持したまま表層を透けて見える又は滲み出すことにより見える機能を持たせるよう,用いる材料の量,表層の材質及び厚み,核部分の着色の仕方等について,過大な試行錯誤を要することなく,当業者が容易に本件発明を再現可能な程度に記載されている(段落【0012】ないし【0014】,【0016】,【0017】,【0019】等)。 なお,本件審決2及びこれを維持した別件知財高裁判決2において - 23 -も,本件訂正前の請求項1に係る発明に関し,実施可能要件違反(旧特許法36条4項違反)の無効理由は理由がない旨認定している。 (イ) 以上によれば,被告主張の無効理由6は理由がない。 3 争点3(差止めの必要性の有無)について(1) 原告の主張被告は,後記のとおり,平成21年9月に,被告各製品の生産ラインの設計変更を行い,その設計変更後の同年10月以降に製造した被告各製品は,核部分ではなく表層に色素を加え,使用により「表層」が発色する構成のも ,後記のとおり,平成21年9月に,被告各製品の生産ラインの設計変更を行い,その設計変更後の同年10月以降に製造した被告各製品は,核部分ではなく表層に色素を加え,使用により「表層」が発色する構成のものであるから,本件発明の技術的範囲に属さない旨主張する。 しかし,被告の主張を前提としても,生産ラインの変更は,従前「加水工程」で加えていた色素について,「調合工程」を一工程加えたにすぎず(乙46・3頁及び6頁),設計変更前の生産ラインに戻すことが容易なことは明らかである。 また,被告は,イ号各製品の構成を備えた,設計変更前の被告各製品の製造及び販売が本件特許権を侵害しないと争っており,今後も設計変更前の被告各製品の製造及び販売による侵害が再開される可能性を否定し得ない。 さらに,仮にイ号各製品の製造等の差止請求が認められたとしても,被告が設計変更前の生産ラインに戻さないのであれば,被告としては何ら不利益を被らないのに対し,逆に,差止請求が認められないとすれば,被告による上記侵害が再開された場合,原告において,再度審理をやり直さなければならない多大な負担を被ることになる。 したがって,被告がイ号各製品(被告主張の設計変更前の被告各製品の構成のもの)の製造及び販売を再開することによって本件特許権を侵害するおそれ(特許法100条1項)が存在するというべきであるから,被告によるイ号各製品の製造等の差止めの必要性がある。 (2) 被告の主張 - 24 -ア被告は,被告の真岡工場及び四国工場において,共通する製造方法により,被告各製品を製造していたが,本件訴訟の進行に鑑み,平成21年9月に,両工場における製造ラインの変更を行い,その構成を変更し,これを同年10月から稼働させている。 設計変更後の被告各製品では,核部分の構成材 製造していたが,本件訴訟の進行に鑑み,平成21年9月に,両工場における製造ラインの変更を行い,その構成を変更し,これを同年10月から稼働させている。 設計変更後の被告各製品では,核部分の構成材料に色素を溶解させた水を加水して核部分に着色していた製造方法を改め,表層の構成材料を混合するための混合装置の上部にホッパー定量機等を新たに設置し,当該各装置を使用して表層を構成する被覆材料に色素を加える製造方法を採用した(乙46・写真10,11,12,31)。この製造方法により,設計変更後の被告各製品は,核部分ではなく表層に色素を混入し,使用時(排尿時)に「表層」が発色する構成を実現し,構成要件B及びCの構成を充足するものとは到底いえない構成となっている(乙46・写真25)。 したがって,設計変更後の被告各製品は,原告主張のイ号各製品の構成を備えていない。 イ被告は,上記のように,相応の時間・労力を費やすとともに,多額の費用をかけて設計変更品の製造を可能にしたものであり,既に,設計変更後の被告各製品の生産開始から約1年半が経過しているが,設計変更後の被告各製品は,設計変更前の製品と比較して安価かつ高品質であるため,受注が順調に増加しているところであり,これをあえて再度変更する必要は存在しない。 また,真岡工場及び四国工場において,すべての製品を,ほぼ同一の原料を用い,同一生産ラインで一貫生産するとともに,供給先に対して,製造物に対する供給責任を負っているのであるから,被告があえて多大な費用及び期間をかけて生産ラインを再度変更することには何らのメリットもない。 さらに,被告は,動物排泄物の処理材の業界において,そのシェアを原 - 25 -告と二分する存在であり,無用な紛争により業界に悪影響を及ぼすことは本意ではないことから らのメリットもない。 さらに,被告は,動物排泄物の処理材の業界において,そのシェアを原 - 25 -告と二分する存在であり,無用な紛争により業界に悪影響を及ぼすことは本意ではないことから,あえて設計変更後の被告各製品を設計変更前の構成に戻すことは考えられるものではない。 したがって,被告には,将来的に原告主張のイ号各製品を製造及び販売するおそれはないから,原告主張の差止めの必要性はない。 4 争点4(原告の損害額)について(1) 原告の主張ア被告の不法行為責任前記1(1)のとおり,被告各製品は本件発明の技術的範囲に属するから,被告による被告各製品の製造及び販売は,原告の保有する本件特許権の侵害行為に当たり,被告は,上記侵害行為によって原告が被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うものである。 なお,原告と被告は,平成11年11月19日,本件特許権について,期間を1年,範囲を全部,地域を日本全土として,原告が被告に対し通常実施権を許諾する旨の契約(以下「本件通常実施契約」という。)を締結した。そして,原告は,1年の契約期間が経過した後も,被告が本件発明を実施することを黙認していたが,平成19年5月29日,被告との間で,本件通常実施契約が終了していたことを確認し,被告は,原告に対し,同年8月31日までに本件発明を実施して製品を製造及び販売することを終了すること等を約したから,同年9月1日以降の被告による被告各製品の製造及び販売は本件特許権の侵害行為に当たる。 イ特許法102条2項に基づく損害額(ア) 被告は,平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間,被告各製品を販売し,その売上高の20%に相当する合計2億4986万3013円(内訳・平成19年9月1日から同年12月31日までの分につき401 平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間,被告各製品を販売し,その売上高の20%に相当する合計2億4986万3013円(内訳・平成19年9月1日から同年12月31日までの分につき4010万9589円,平成20年1月1日から平成21年9 - 26 -月30日までの分につき2億0975万3424円)の利益を得た。 そして,特許法102条2項により,被告が被告各製品の販売により得た上記利益の額が,原告の受けた損害の額と推定される。 (イ) この点に関し,鑑定人B1による鑑定(以下「本件計算鑑定」といい,同鑑定人作成の平成22年9月24日付け計算鑑定書を「本件計算鑑定書」という。)では,前記(ア)の期間における被告が被告各製品の販売により得た利益(限界利益)は2869万7562円であると算出しているが,次のとおりの誤りがある。 a 販売数量・売上高本件計算鑑定は,被告各製品の「販売数量」が1664万4426リッターであるとして,その「売上高」を4億0340万3568円と算出している。 しかし,被告が被告各製品を袋詰めして販売していることからすると,売上高の計算方法としてより正確を期すのであれば,本件計算鑑定書のように,いわゆるバルクで売上高を算出するのではなく,袋・外箱・運賃等も含めた商品販売価格と譲渡数量から売上高を算出すべきである。 b 経費・利益率本件計算鑑定書添付の別紙9によれば,経費の内容には,変動費3億3364万2241円のみならず,個別固定費5457万8946円も含まれている。 しかし,本件計算鑑定は,被告の製造する猫砂は,パッケージが違ったとしても,すべて同じ構造の製品で「生産工程,機械,人員」もすべて同じであること,25期(平成21年5月~平成21年9月)における被告の全製品に対す 鑑定は,被告の製造する猫砂は,パッケージが違ったとしても,すべて同じ構造の製品で「生産工程,機械,人員」もすべて同じであること,25期(平成21年5月~平成21年9月)における被告の全製品に対する被告各製品の販売割合が15.5%(本件計算鑑定書添付の別紙8)であることを前提に鑑定をしてい - 27 -ることからすれば,被告各製品のためだけに被告ないしその特定の工場の製造ラインが使用されているわけではないのであるから,個別固定費はそもそも控除されるべきではない。また,個別固定費のうち減価償却費として控除されている2647万2548円(本件計算鑑定書添付の別紙9)は,四国工場の費用を「全額」費用計上したのであるとすれば,被告各製品の販売割合が15.5%(四国工場内でも16.9%)しかない以上,明確な誤りである。 また,本件計算鑑定では,売上げはバルクで計算するのに対し,包装機械は減価償却費,人件費は加工費として経費に含めているが,これも過剰な経費計上である。 c 限界利益額本件計算鑑定は,「限界利益額」を2869万7562円と算出するが(本件計算鑑定書2頁),少なくとも「減価償却費2647万2548円」は控除できない個別固定費であることは明らかであり,限界利益(貢献利益)額は,5517万0110円を下らないというべきである。 (ウ) 被告は,後記のとおり,被告各製品においては,被告が保有する特許発明が実施されており,被告各製品の販売にはそれらの特許発明も寄与しているので,被告各製品の販売に対する本件発明の寄与率は10%である旨主張する。 しかし,被告各製品の商品としての主たる価値は,排尿を吸収すると色がついて,その部分が固まるという本件発明からもたらされるものであって,被告主張の特許発明(乙35ないし39)は,い 旨主張する。 しかし,被告各製品の商品としての主たる価値は,排尿を吸収すると色がついて,その部分が固まるという本件発明からもたらされるものであって,被告主張の特許発明(乙35ないし39)は,いずれも紙おむつ類のプラスチック廃材を猫砂にいかに利用するかというものにすぎず,その特許の使用が被告各製品の販売に寄与しているものとはいえない。 - 28 -したがって,本件発明が被告各製品の販売に100%寄与しているといえるから,被告の上記主張は失当である。 ウまとめ以上によれば,原告は,被告に対し,本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として2億4986万3013円及び内金4010万9589円に対する不法行為の後である平成20年4月30日から,内金2億0975万3424円に対する不法行為の日又はその後である平成21年9月30日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告の主張ア通常実施契約の存在原告と被告が平成11年11月19日に締結した本件通常実施契約は,原告と被告間の黙示の合意により,1年ごとに更新され,平成18年11月19日に最終更新がされたから,被告は,少なくとも平成19年11月19日まで,本件特許権の通常実施権を有していた。 したがって,平成19年11月19日までの間における被告による被告各製品の製造及び販売は,上記通常実施権に基づくものであって,本件特許権の侵害行為に当たらないから,原告主張の不法行為に基づく損害賠償請求権は発生していない。 イ特許法102条2項に基づく損害額について(ア) 被告が平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間に被告各製品を販売することにより得た利益は,C1公認会計士作成の平成22年2月26日付 特許法102条2項に基づく損害額について(ア) 被告が平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間に被告各製品を販売することにより得た利益は,C1公認会計士作成の平成22年2月26日付け意見書(乙34)記載のとおり,1822万3426円である。 そして,①被告各製品と同等の原告製品(原告が製造,販売する動物用排尿処理材)は,被告各製品の1.5倍程度の価格で販売されており, - 29 -被告各製品の主たる販売要因は,その価格競争力にあること,②被告各製品には,本件発明以外にも,被告が保有する特許第2895963号(乙35),特許第2971949号(乙36),特許第3288316号(乙37),特許第3288317号(乙38)及び特許第3315394号(乙39)の各請求項1に係る各特許発明が実施されており,これらの特許発明が被告各製品の販売に寄与していることからすれば,本件発明の被告各製品に対する寄与率は極めて低いというべきであり,その寄与率は,最大限考慮しても10%を上回るものではない。 したがって,原告の受けた損害額は,多くとも,上記利益額の10%に相当する182万2342円にとどまるというべきである。 (イ)a 原告は,本件計算鑑定において,被告が被告各製品の販売により得た利益を算定するに当たり,個別固定費として減価償却費2647万2548円を控除しているのは妥当でない旨主張する。 しかし,上記減価償却費は,四国工場において,外部に委託して生産していた製品の生産ラインを移設して自社工場内での製造を開始した後,当該製造の効率化を図るまでにある程度の期間が必要であったことに起因する費用(移設する費用,人件費,立ち上げ費用)であり,会社が顧客の需要に応じた出荷量を確保するために行った通常起こり得る生産ラインの移 造の効率化を図るまでにある程度の期間が必要であったことに起因する費用(移設する費用,人件費,立ち上げ費用)であり,会社が顧客の需要に応じた出荷量を確保するために行った通常起こり得る生産ラインの移設による正当な原価の範囲内にあるから,本件計算鑑定の判断は正当である。また,上記生産ラインの移設時に臨時的に発生した費用は,「工場移設費」として特別損失に計上されており,本件計算鑑定における利益計算に含まれていない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 b ところで,本件計算鑑定は,「分級ポリマーの売却収入」(本件計算鑑定書7頁の「8.2」)を有償支給と捉え,その収入額のうち,被告各製品に相当する額(製造量割合)2535万0064円を製造 - 30 -原価から控除している。 しかし,紙おむつを核部分の原材料として利用するには,ポリマー(吸水性樹脂)をプラスチック材料から分離除去する必要があり,ポリマーは紙おむつを利用した猫砂製造過程で必然的に派生する副産物であり,「分級ポリマーの売却収入」は副産物収入であるから,これを「有償支給」と捉えるのは妥当でない。また,ポリマーをプラスチック材料から分離除去することは容易でなかったが,被告は,紙おむつをプラスチック材料と紙粉及びポリマーとに分級し,プラスチック材料を核部分の原材料として使用するとともに,紙粉及びポリマーを表層の原材料として使用する猫砂製造技術を実用化するに至り,特許(乙35)をも取得したものであり,「分級ポリマーの売却収入」は被告の独自技術によるものであって,本件発明とは全く無関係であり,このような観点からも,本件計算鑑定における上記控除は妥当でない。 そこで,本件計算鑑定書記載の分級ポリマーの上記売却収入2535万0064円に替えて,副産物としてのポリマー価額 無関係であり,このような観点からも,本件計算鑑定における上記控除は妥当でない。 そこで,本件計算鑑定書記載の分級ポリマーの上記売却収入2535万0064円に替えて,副産物としてのポリマー価額437万1895円を主産物の総合原価から控除すると(原価計算基準,昭和37年11月8日,大蔵省企業会計審議会中間報告),被告が被告各製品を販売することにより得た利益(限界利益)は,771万9393円となり,前記(ア)の利益額を下回る。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告各製品の技術的範囲の属否)について(1) 構成要件BないしDの充足の有無ア本件発明の技術的意義(ア) 本件明細書(本件訂正後のもの。甲19)の「発明の詳細な説明」には,次のような記載がある。 - 31 -a「【産業上の利用分野】この発明はセルロース繊維等の有機繊維又は有機粉等を主成分として粒状化又はペレット状化等した吸水性を有する動物用排尿処理材に関する。」(段落【0001】)b「【従来の技術】特許第1696885号によってパルプ又はこれらの残渣を主成分とし,これに無機充填材を配合し粒状化した愛玩動物用排尿処理材が提供され,これを契機としてパルプ化する前の木粉又はコーヒー豆の抽出残渣を主成分としたもの,又はこれに適宜着色等を施し商品性を高めた排尿処理材が出願されるに至っているが,最近これら処理材に排尿のペーハーによって変色する薬剤を配合して,使用前と使用後の状態を判別できるようにした動物用排尿処理材が提供されている。」(段落【0002】)c「【発明が解決しようとする問題点】上記排尿処理材の使用部分(排尿された部分)と未使用部分(排尿されていない部分)の判別がつけば,使用部分のみを交換することができるので経済的であり,又放置して異臭を放つ問題も 決しようとする問題点】上記排尿処理材の使用部分(排尿された部分)と未使用部分(排尿されていない部分)の判別がつけば,使用部分のみを交換することができるので経済的であり,又放置して異臭を放つ問題も解消できるが,従来例は排尿のペーハーによって変色する薬剤の使用を前提としている。例えばそれだけで家庭内で使用される排尿処理材としての適性が疑われ,商品性を損なう。加えて便器に流した後の廃水処理の問題も懸念される。」(段落【0003】)d「【問題点を解決するための手段】この発明は,前記吸水性を有する動物排尿処理材において,これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い,複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する。この複合層構造によって,前記薬剤を使用せずに,上記判別を可能にした処理材が形成できる。」(段落【0004】),「一例として上記核部分は顔料又は染料によって表層より暗色系の着色を施し上記判別を可能にする。他例として核部分 - 32 -に積極的に着色を施さず,素材が本来有する母材色を利用して,表層より核部分が暗色系になるように使い分けし上記判別を可能にする。」(段落【0005】),「又上記顔料又は染料は水溶性のものを用い,排尿の吸収によって顔料又は染料が表層に滲出し核部分の色を露見できるようにする。」(段落【0006】)e「【作用】この発明によれば排泄物処理材を複層構造にして,排尿の含水により表層を通して核部分の色を露見できるので,排尿によって発色する薬剤を用いずに,排尿における使用前と使用後の状態を的確に判別でき,使用部位のみを交換する利点も享受できる。」(段落【0008】)f「【実施例】前記のように対象とする動物排尿処理材は例えばパルプ(パルプ残渣を含む)又は木粉又はコーヒー豆の 態を的確に判別でき,使用部位のみを交換する利点も享受できる。」(段落【0008】)f「【実施例】前記のように対象とする動物排尿処理材は例えばパルプ(パルプ残渣を含む)又は木粉又はコーヒー豆の粉砕体又はコーヒー蒸留後の残渣等に代表される有機繊維又は有機粉を主成分とする吸水材から成る。これら吸水材には無機充填材,でん粉,吸水性ポリマー等を選択的に配合する。又上記処理材として藁の粉砕物,紙の粉砕物(紙粉,小紙片)を用いる。」(段落【0009】),「上記吸水材は図1,図2に示すように略小指大の粒状物1又はペレット状物2に成形し,乾燥してこれらの集合物を排尿処理に供する。又は上記吸水材はシート状体に成形し乾燥して排尿処理に供する。」(段落【0010】),「図1,図2に示すように,上記粒状物1又はペレット状物2を形成する吸水材は核部分1a,2aを,排尿を吸収すると核部分1a,2aの色を露見せしめる表層1b,2bにて被覆している。」(段落【0011】),「一例として核部分1a,2aは表層1b,2bより暗色系の顔料又は染料にて着色し,上記排尿吸収時に表層1b,2bを通し該着色が露見されるようにする。上記核部分1a,2aは単層構造にして,上記着色を施すか,又は複層構造にして - 33 -その最外層を着色層とする。」(段落【0012】),「他例として上記核部分1a,2aは組成する繊維又は粉粒体自身が有する母材色によって表層1b,2bより暗色にする。」(段落【0013】),「換言すると,表層1b,2bを核部分1a,2aより明色(白等の無色と言われる色を含む)にし,核部分1a,2aをこれより暗色にする。 素材自身が有する母材色を利用する手段として,核部分1a,2aを故紙パルプ(白色度の低いパルプ)で作り,表層1b,2bをそれより白色度の高いバ 色を含む)にし,核部分1a,2aをこれより暗色にする。 素材自身が有する母材色を利用する手段として,核部分1a,2aを故紙パルプ(白色度の低いパルプ)で作り,表層1b,2bをそれより白色度の高いバージンパルプ等で作る。ここにパルプとはパルプスラッジを含む。」(段落【0014】),「故紙パルプはインキ成分によって付色されており,暗灰色を呈する。これをこれより白色度の高いバージンパルプ等の繊維又は粉体から成る表層1b,2bで被覆し,排尿の吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。」(段落【0015】),「又は核部分1a,2aをコーヒー豆処理後の残渣粉にて形成し,表層1b,2bをパルプ繊維又は粉体等の吸水性を有する素材にて被覆する。」(段落【0016】),「上記核部分1a,2aを形成するコーヒー豆処理後の残渣は褐色を呈しており,表層1b,2bは故紙パルプにしてもバージンパルプにしてもその明度において白色度がはるかに高い。これを利用して排尿の吸収時に,表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。」(段落【0017】),「又他例として核部分1a,2aに非水溶性の顔料又は染料にて着色を施し,上記判別可能な構造にすることができる。」(段落【0018】),「更に他例として核部分1a,2aの全体又は外層部分に水溶性の顔料又は染料にて着色を与える。この実施例においては排尿にて含水する時,核部分1a,2aの着色が表層1b,2bに滲潤して核部分の色を露見し使用後と使用前を判別できるようにしている。この発明は核 - 34 -部分1a,2aと表層1b,2bとを前者を暗色にし,後者を明色にして,明度に差をつけて,排尿吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色を露見できるようにした思想を開示して - 34 -部分1a,2aと表層1b,2bとを前者を暗色にし,後者を明色にして,明度に差をつけて,排尿吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色を露見できるようにした思想を開示している。」(段落【0019】),「又この発明は核部分1a,2aと表層1b,2bとを異材質にして排尿吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色を露見できるようにした思想を開示している。上記表層1b,2bは有機繊維又はその粉粒体の他,シリカ,ゼオライト,ベントナイト等の無機物で形層し吸水性を付与する。」(段落【0020】),「上記思想に従った一適例について再述すると,核部分1a,2a(パルプ繊維)に顔料又は染料にて積極的に着色を施し,これを上記着色を施していない表層1b,2b(パルプ繊維)で被覆することによって鮮明な露見色を得ることができ,又パルプは入手が容易で安価であり,商品性を高める。」(段落【0021】)g「【発明の効果】この発明によれば吸水材から成る動物用排尿処理材において,その核部分と表層とに明度に差を持たせた複層構造とする,又は核部分に表層より暗色系の着色を施した複層構造にすると言う着想により,排尿吸収時に表層を通して核部分の色が露見できるようにした上記処理材が提供でき,従来の排尿のペーハーを検出して変色する薬剤を用いずに,使用前と使用後の判別が的確に行なえる上記処理材の形成が可能であり,これにより使用後の処理材のみを交換できる利点も享受できる。又表層によって良好な外観性を付与することができる。従って内部(核部分)には機能を損なわない範囲で任意の材質を選択できる。」(段落【0024】),「又上記目的は処理材を単に前記複層構造にすることにより達成できるので,排尿反応剤等の薬剤を使用した場合の如き,ユーザーにおける有害の懸 わない範囲で任意の材質を選択できる。」(段落【0024】),「又上記目的は処理材を単に前記複層構造にすることにより達成できるので,排尿反応剤等の薬剤を使用した場合の如き,ユーザーにおける有害の懸念を抱かせずに商品化でき,又トイレに流した後の廃水処理においても適正なる - 35 -排泄物処理材を提供できる。」(段落【0025】)(イ) 上記(ア)の本件明細書の記載事項及び本件訂正後の請求項1の記載(前記争いのない事実等(3)ア)を総合すれば,①従来,吸収性を有する動物用排尿処理材において,使用前(排尿の吸収前)と使用後(排尿の吸収後)の状態を判別できるようにするため,排尿処理剤に排尿のペーハーによって変色する薬剤を配合して,上記判別を行う技術が提供されていたが,このような薬剤の使用には,家庭内で使用される排尿処理材としての適性が疑われ,便器に流した排水処理の問題も懸念されるという課題があったこと,②本件発明は,上記課題を解決するため,排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い,複合層構造にして,排尿吸収時に「表層を通して」核部分の色を露見できるようにした構成を採用することにより,薬剤を用いることなく,使用前と使用後の状態を色で判別できるようにし,使用部位のみを交換できる利点を享受できる作用効果を奏するものとした点に技術的意義があることが認められる。 イ本件発明における「露見」の意義本件訂正後の請求項1の文言,本件発明の技術的意義(前記ア(イ))及び本件明細書の段落【0005】,【0006】,【0015】,【0017】,【0019】等に鑑みれば,本件発明の構成要件C及びDの「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成」とは,排尿を吸収した処理材において,核部 17】,【0019】等に鑑みれば,本件発明の構成要件C及びDの「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ,上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成」とは,排尿を吸収した処理材において,核部分と表層から成る複合層構造を維持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えることによって排尿の有無を判別することを可能とする構成を意味し,核部分の色の「露見」とは,上記のように「核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えること」を意味するものと解される。 - 36 -ウ被告各製品について(ア) 被告各製品が,構成要件A及びEを充足し,構成要件B中の「表層にて被覆した複合層構造」の構成を有すること,被告各製品の核部分1は,着色料により着色され,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていないことは,前記争いのない事実等(4)イ及びウのとおりである。 そして,原告が平成20年8月5日に行った被告製品1ないし3に対する生理食塩水滴下実験(被告製品1ないし3の表面から約1㎝の高さから,0.9%生理食塩水20㏄を注射器の容器から約10秒間滴下)の結果(甲24)及びビデオマイクロスコープを用いて50倍の倍率で撮影した被告製品1の表面及び輪切り状態の写真(甲31,弁論の全趣旨)によれば,①被告製品1においては,核部分が青色で着色されているが,表層によって被覆されているため,外観上,吸水前は,核部分の色が見えない状態にあるが(甲24の写真A①,甲31の写真①,②),吸水後には,吸水された部分が全体的に青色に変色して見えるため,吸水された部分と吸水されていない部分とを区別できること(甲24の写真A④ないし⑨,甲31の写真③,④),②被告製品2においては,外観上,吸水前は核部分の色が見えない状態にあるが,吸水後には吸水され 水された部分と吸水されていない部分とを区別できること(甲24の写真A④ないし⑨,甲31の写真③,④),②被告製品2においては,外観上,吸水前は核部分の色が見えない状態にあるが,吸水後には吸水された部分が全体的に橙色に変色して見えるため,吸水された部分と吸水されていない部分とを区別できること(甲24の写真B①ないし⑧),③被告製品3においては,外観上,吸水前は核部分の色が見えない状態にあるが,吸水後には吸水された部分が全体的に青色に変色して見えるため,吸水された部分と吸水されていない部分とを区別できること(甲24の写真C①ないし⑧),④吸水後の被告製品1及び2の表層の一部に亀裂が入っていることが観察されるが,表層そのものは,流出することなく,ほとんど残存した状態にあり(甲24の写真A④ないし⑨,B④ないし⑧),吸水後の被告製品3においても,同様に,表層そのもの - 37 -は,流出することなく,ほとんど残存した状態にあること(甲24の写真C③ないし⑧)が認められる。 次に,原告が平成21年5月14日に行った被告製品4及び5に対する生理食塩水滴下実験(被告製品4及び5の表面から約1㎝の高さから,0.9%生理食塩水20㏄を注射器の容器から約10秒間滴下)の結果(甲44)によれば,被告製品4及び5においては,被告製品1と同様に,外観上,吸水前は核部分の色が見えない状態にあるが,吸水後には吸水された部分が全体的に青色に変色して見えるため,吸水された部分と吸水されていない部分とを区別でき,また,吸水後の表層の一部に亀裂が入っていることが観察されるが,表層そのものは,流出することなく,ほとんど残存した状態にあること(写真A①ないし⑤,B①ないし⑤)が認められる。 以上の認定事実によれば,被告各製品においては,核部分及びこれを被覆し れるが,表層そのものは,流出することなく,ほとんど残存した状態にあること(写真A①ないし⑤,B①ないし⑤)が認められる。 以上の認定事実によれば,被告各製品においては,核部分及びこれを被覆した表層の複合層構造を有し,排尿を吸収すると,上記複合層構造を維持した状態で,排尿を吸収した部分の核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるようになり,これにより排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別することができることが認められるから,被告各製品は,構成要件BないしDをいずれも充足するものと認められる。 (イ)a これに対し被告は,被告各製品が,吸水(吸尿)時の水勢,水量等により核部分の着色料の色の見え方が異なり,その色が表層を透過又は浸潤して視認可能になり得る一方,表層の溶解・崩壊・流出等により表層を通さず,直接視認可能となる場合もあるから,被告各製品が構成要件BないしDを充足するとはいえない旨主張する。 しかしながら,原告が被告各製品に対して行った生理食塩水滴下実験の実験条件(被告各製品の表面から約1㎝の高さから,0.9%生 - 38 -理食塩水20㏄を注射器の容器から約10秒間滴下)について,被告が特段の問題点を指摘していないことに照らすならば,上記生理食塩水滴下実験は,猫等のペットの通常の使用態様に沿ったものとうかがわれる。 そして,前記(ア)のとおり,上記生理食塩水滴下実験の実験結果は,被告各製品においては,核部分及びこれを被覆した表層の複合層構造を有し,排尿を吸収すると,上記複合層構造を維持した状態で,排尿を吸収した部分の核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるようになり,これにより排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別することができることを示していることに照らすなら 排尿を吸収した部分の核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるようになり,これにより排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別することができることを示していることに照らすならば,被告が指摘するように,被告各製品が吸水時の水勢,水量等によっては表層の溶解・崩壊・流出等を来す場合があり得るとしても,それは通常の使用態様によるものではないというべきであるから,被告各製品が構成要件BないしDを充足するとの前記認定を左右するものではない。 したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 b また,被告は,本件発明は,一部が崩壊されつつも一部残された表層を通して核部分の色が露見するような態様は包含しないものと解され,もし吸尿により表層の一部でも崩壊すれば,それは本件発明の射程の範囲外となるというべきであるところ,被告各製品は,表層にポリマーを含有し,吸水により表層がゲル化して膨潤し,隣接する排泄物処理材の表層同士が融合して塊を形成し(ダンゴ化),その塊の表面に割れを生じ,表層が吸水によりもとの性質や形状,位置に保たれず,吸水の前後で表層の状態が維持されていないから,被告各製品は吸水により表層が崩壊して表層や複合層構造が維持されないものであって,本件発明の技術的範囲に属さない旨主張する。 - 39 -しかしながら,前記(ア)のとおり,原告が被告各製品に対して行った生理食塩水滴下実験の実験結果によれば,吸水後の被告各製品の表層の一部に亀裂が入っていることが観察されるが,表層そのものは,流出することなく,ほとんど残存した状態にあり,このような表面積の僅かの部分に限定された亀裂をもって(甲24,44の各写真参照),表層が「崩壊」し,複合層構造が維持された状態にないと評価することはできないし,また,被告各製品 存した状態にあり,このような表面積の僅かの部分に限定された亀裂をもって(甲24,44の各写真参照),表層が「崩壊」し,複合層構造が維持された状態にないと評価することはできないし,また,被告各製品においては,核部分及びこれを被覆した表層の複合層構造を有し,排尿を吸収すると,上記複合層構造を維持した状態で,排尿を吸収した部分の核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるようになり,これにより排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別することができるのであるから,被告の上記主張は,採用することができない。 c さらに,被告は,本件発明は,核部分の色が明度差により表層を通して外部に顕出することをその本質とし,これが「表層を通し該露見が得られ」(本件訂正後の請求項1)と表現されていること,本件出願当時,核部分又は表層に色を付けることが当業者にとっても一般的でなかったことからすれば,本件発明は,色の三属性のうち明度のみに着目したものであり,色相差や彩度差による核部分の色の顕出は,本件発明の「露見」に含まれないものと解されること,被告各製品においては,核部分の色は明度差により顕出しているのではなく,色相又は彩度の違いにより顕出していることからすれば,被告各製品は,本件発明の技術的範囲に属さない旨主張する。 しかしながら,本件明細書においては,色相差や彩度差による核部分の色の顕出を除外する旨の記載や示唆はなく,かえって,本件明細書には「又他例として核部分1a,2aに非水溶性の顔料又は染料にて着色を施し,上記判別可能な構造にすることができる。」(段落【 - 40 -0018】),「…核部分1a,2a(パルプ繊維)に顔料又は染料にて積極的に着色を施し,これを上記着色を施していない表層1b,2b(パルプ繊維)で被覆することに できる。」(段落【 - 40 -0018】),「…核部分1a,2a(パルプ繊維)に顔料又は染料にて積極的に着色を施し,これを上記着色を施していない表層1b,2b(パルプ繊維)で被覆することによって鮮明な露見色を得ることができ…」(段落【0021】)との記載があるように,核部分のみを着色して排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別可能な構造にする構成が示唆されており,これは核部分の色の顕出を核部分と表層の色相差により行うことができることを示唆するものといえることからすれば,色相差や彩度差による核部分の色の顕出は,本件発明の「露見」に含まれないことを前提とする被告の上記主張は,採用することができない。 (2) 小括以上によれば,被告各製品は,構成要件AないしEをすべて充足するから,本件発明の技術的範囲に属するものと認められる。 2 争点2(本件特許権に基づく権利行使の制限の成否)について(1) 無効理由1(乙1に基づく新規性の欠如)ア被告は,本件発明は,本件出願前に頒布された刊行物である乙1に記載された発明と同一であって,本件発明に係る本件特許には特許法29条1項3号に違反する新規性欠如の無効理由(無効理由1)があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。 しかしながら,本件審決1は,被告が請求した本件無効審判請求1において,本訴における無効理由1と同一の無効理由(平成20年4月8日付け無効理由通知に記載のもの)について理由がないと判断した上で,請求不成立の審決をし(甲30),その後本件審決1は,別件知財高裁判決1を経て確定し,その確定審決の登録がされたのであるから(前記争いのない事実等(2)イ), の)について理由がないと判断した上で,請求不成立の審決をし(甲30),その後本件審決1は,別件知財高裁判決1を経て確定し,その確定審決の登録がされたのであるから(前記争いのない事実等(2)イ),本件発明に係る本件特許については,特許法167条 - 41 -により,無効理由1に基づいて特許無効審判を請求することはできず,ひいては特許無効審判により無効にされるべきものとはいえない。 イしたがって,その余の点について判断するまでもなく,被告主張の無効理由1は理由がない。 (2) 無効理由2(乙1を主引例とする進歩性の欠如)ア被告は,本件発明と乙1記載の発明とは,乙1記載の発明においては,排尿の吸収により表層が崩壊流出(消失)するため,「表層を通して露見が得られる構成」を備えていない点でのみ相違すること,顔料が表層に滲潤して露見したり,表層を透過して露見したりするように表層の材質等を選択しその安定化手段を講じることは,本件出願当時,周知慣用技術であったこと(例えば,乙3(特開平6-315330号公報)の例7)からすれば,当業者であれば,乙1に上記周知慣用技術を適用することにより,相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたものといえるから,本件発明に係る本件特許には特許法29条2項に違反する進歩性欠如の無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。 しかしながら,被告の上記主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 乙1には,①従来,糞尿によって固化するタイプのペットの糞尿処理用敷き砂においては,固まった部分を取り除くなどの処理が遅れると,固まった部分が湿気を失って周辺から崩れ,未だ汚れていない敷き砂との 乙1には,①従来,糞尿によって固化するタイプのペットの糞尿処理用敷き砂においては,固まった部分を取り除くなどの処理が遅れると,固まった部分が湿気を失って周辺から崩れ,未だ汚れていない敷き砂との見境をつけ難くしてしまって,再度ペットが用を足す際に,それら既に汚れている敷き砂で足を汚してしまうという不都合が生じる外,脱臭効果上からも支障を来すという問題を抱えていたこと(段落【0004】),②乙1記載の発明の目的は,上記問題点を踏まえ,糞尿によって固化すると同時に,一旦糞尿のかかってしまった敷き砂部分が,他 - 42 -の部分から明瞭に区別できるよう,糞尿の水分を吸収した部分の敷き砂表面が発色して使用済みであることを確認できるようにしたペットの糞尿処理用敷き砂と,それを簡便かつ確実に製造する方法とを提供することにあること(段落【0001】,【0005】),③乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂は,上記目的を達成するため,「珪砂微粉末を含む粘土を主成分とし,ゼオライト粉末,吸水剤,および顔料のメチレンブルー粉末を夫々適量混練して固化した粒状芯体と,該粒状芯体の表面全体を覆う固化促進剤からなる表面被膜層と,該表面被膜層の外表面に付着もしくは浸透させた着色料とから成るペットの糞尿処理用敷き砂」の構成を採用したこと(段落【0006】),④乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂においては,粒状芯体の内部に,糞尿内の水分を速やかに粒状芯体内に引き込む吸水材と,水分により発色する顔料であるメチレンブルー等が組み合わされて形成されており,ペットの糞尿がかかって水分を受けると,「表面被膜層である固化促進剤が崩壊状となって流出し,粒状体相互を接着させ,糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら,内部から吹き出してくるように発色するメチレンブルーの鮮やかな青 て水分を受けると,「表面被膜層である固化促進剤が崩壊状となって流出し,粒状体相互を接着させ,糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら,内部から吹き出してくるように発色するメチレンブルーの鮮やかな青色で自らの色を失い,ダンゴ化した部分全体を鮮やかな青色に変色させ,表面被膜層のままの敷き砂部分と一目で区別されるようにする」作用を奏するものであり,「このダンゴ状となった部分は,仮令乾燥し始めてもメチレンブルーで発色した鮮やかな青色をそのまま止め,従前までの敷き砂のように,乾燥と共にその輪郭(即ち,糞尿がかかった所とそうでない所との境目)を不明瞭なものとしてしまう虞がない」こと(段落【0018】,【0019】)が記載されている。 上記記載事項を総合すれば,乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂は,表面被膜層が排尿の吸収により崩壊状となって流出し,排尿のかかった部分をダンゴ化させ,表面被膜層(本件発明の「表層」に相当)を - 43 -介さずに,排尿の水分により発色した粒状芯体(本件発明の「核部分」に相当)に含有されたメチレンブルーを露出させることにより,使用前と使用後の状態を色で判別できるようにすることを基本的な技術思想とするものであることが認められる。 そうすると,本件発明と乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂は,吸水性を有する動物用排尿処理材であって,核部分と表層から成る複合層構造を有し,排尿を吸収した核部分の色が露見することにより,排尿の有無を判別することを可能とする構造を有する点で一致するが,その露見が,本件発明においては,複合層構造を維持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるという構成であるのに対し(前記1(1)ア(イ),イ),乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂においては,表層が崩壊状となって流出し,排 持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えるという構成であるのに対し(前記1(1)ア(イ),イ),乙1記載のペットの糞尿処理用敷き砂においては,表層が崩壊状となって流出し,排尿のかかった部分をダンゴ化させ,複合層構造を維持しない状態で,発色したメチレンブルーの色が直に見えるという構成である点で相違することが認められる。 一方で,乙1には,相違点に係る本件発明の構成についての記載も示唆もない。 (イ) 被告は,本件出願当時,顔料が表層に滲潤して露見したり,表層を透過して露見したりするように表層の材質等を選択しその安定化手段を講じることは,周知慣用技術であった旨主張し,その根拠を示す一例として,乙3の例7(実施例)を挙げる。 しかしながら,乙3の例7(実施例)に関する記載(段落【0064】ないし【0067】)中には,被告主張の安定化手段を講じることに関わる記載や示唆はない。また,乙3を全体としてみても,核部分と表層から成る複合層構造を有する動物用排尿処理材において,被告主張の安定化手段を講じることが,本件出願当時,周知慣用技術であったことをうかがわせる記載はなく,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 - 44 -(ウ) 以上のとおり,乙1には,相違点に係る本件発明の構成についての記載も示唆もなく,また,被告主張の本件出願当時の周知慣用技術の存在も認められないから,当業者が乙1及び被告主張の周知慣用技術に基づいて本件発明を容易に想到することができたものと認めることはできない。 イしたがって,被告主張の無効理由2は理由がない。 (3) 無効理由3(乙3に基づく新規性の欠如)ア被告は,本件発明は,本件出願前に頒布された刊行物である乙3に記載された発明と同一であって,本件発明に係る本件特許には特許法 由2は理由がない。 (3) 無効理由3(乙3に基づく新規性の欠如)ア被告は,本件発明は,本件出願前に頒布された刊行物である乙3に記載された発明と同一であって,本件発明に係る本件特許には特許法29条1項3号に違反する新規性欠如の無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。 しかしながら,被告の上記主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 乙3には,①動物の排泄物処理材は,一般に室内で使用されるために,衛生的な感じを与える色調であることが要求されているが,従来提案されていた,優れた吸臭能を有するコーヒー抽出液抽出残渣を原料とする動物の排泄物処理材においては,その褐色の色が飼い主の好む色でないという課題があったこと(段落【0002】,【0003】),②乙3記載の動物の排泄物処理材は,この課題を解決するため,コーヒー抽出液抽出残渣を造粒する際,残渣粒子を固有の色と異なる色に着色し,これを二次的に更に着色し,又はコーヒー抽出液抽出残渣を造粒したものを着色することによって,コーヒーの色を隠した造粒物とする構成を採用し,これによりコーヒー特有の褐色の色が隠されて,排泄物処理材の使用時における,例えば室内の調度との調和,衛生感,使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることを可能とし,商品の多色化に応じて,適宜の色調に製造することができる作用を奏すること(段落【00 - 45 -05】,【0021】),③乙3記載の動物の排泄物処理材において,「着色物質及び配合物質の色彩を例えば白一色に揃えると,指示薬の発色の確認が容易となり,適宜の指示薬を配合して,動物の排泄物による検診を簡単に行うことができ」(段落【0012】),また,「特に て,「着色物質及び配合物質の色彩を例えば白一色に揃えると,指示薬の発色の確認が容易となり,適宜の指示薬を配合して,動物の排泄物による検診を簡単に行うことができ」(段落【0012】),また,「特に着色物質で着色してあるので,尿検査用指示薬を配合しても,その発色を際立たせることが容易であり,動物の排泄した尿の色を検査して,動物の健康状態を監視することが容易となる」こと(段落【0022】)が記載されている。 上記記載事項を総合すれば,乙3記載の動物の排泄物処理材は,コーヒー抽出液抽出残渣の粒状物(本件発明の「核部分」に相当)を原料とし,これを着色物質の層(本件発明の「表層」に相当)で被覆することにより,コーヒー特有の褐色の色を隠すことを基本的な技術思想とするものであることが認められる。 もっとも,乙3には,乙3記載の動物の排泄物処理材における着色物質の層によりコーヒー抽出液抽出残渣の粒状物の色(褐色)を隠すという作用が,排尿吸収前のみにおいて奏するものか,排尿吸収後においても奏するものかについて明示的な記載はないが,他方で,上記①のとおり,動物の排泄物処理材は,一般に室内で使用されるために,衛生的な感じを与える色調であることが要求されていることが記載されており,このような要求は排尿吸収前に限られるものではなく,排尿吸収後においても求められているといえること,上記③のとおり,乙3記載の動物の排泄物処理材は,尿検査用指示薬を配合しても,その発色を際立たせることが容易であるとの記載があるが,仮に排尿吸収によってコーヒー抽出液抽出残渣の粒状物の色(褐色)が発現するということになれば,このような指示薬の発色を際立たせることの妨げとなることに照らすならば,乙3記載の動物の排泄物処理材における着色物質の層の被覆によ - 46 -りコー の色(褐色)が発現するということになれば,このような指示薬の発色を際立たせることの妨げとなることに照らすならば,乙3記載の動物の排泄物処理材における着色物質の層の被覆によ - 46 -りコーヒー抽出液抽出残渣の粒状物の褐色の色を隠すという作用は,排尿吸収前のみならず,排尿吸収後においても奏することを,その基本的な技術的思想とするものというべきである。 そうすると,本件発明と乙3記載の動物の排泄物処理材は,吸収性を有する動物用排尿処理材であって,核部分と表層から成る複合層構造を有する点で一致するが,本件発明においては,排尿を吸収した処理材において,核部分と表層から成る複合層構造を維持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えることによって排尿の有無を判別することを可能とする構成を有するのに対し(前記1(1)ア(イ),イ),乙3記載の動物の排泄物処理材は,このような構成を有していない点で相違することが認められる。 したがって,本件発明は,乙3記載の動物の排泄物処理材と同一の発明であるということはできない。 (イ) これに対し被告は,被告が,公証人立会いの下で,乙3の実施例(「例7」)を再現した動物の排泄物処理材を製造し,これに水を掛け,その変化を確認した乙19の実験結果によれば,乙3記載の動物の排泄物処理材は,排尿を吸収した後において,核部分と表層から成る複合層構造を維持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見える構成を有する旨主張する。 しかしながら,乙3の実施例(「例7」)においては,表層を形成する紙粉のコーティング工程は,造粒物が振動コンベアー51の出口で接着機能を有する配合物質が噴霧され着色物質の紙粉がまぶされた後,出口に向けて細く形成されたスクリュ押し出し機63に送られて造 を形成する紙粉のコーティング工程は,造粒物が振動コンベアー51の出口で接着機能を有する配合物質が噴霧され着色物質の紙粉がまぶされた後,出口に向けて細く形成されたスクリュ押し出し機63に送られて造粒物の表面に付着した紙粉が容易に剥落しないように紙粉コーティングが加圧下で行われ,コンベアースクリーン64で付着しなかった余分な紙粉が取り除かれ,コンベアースクリーン66で配合物質又はバインダー - 47 -が噴霧され,回転式シフター67で紙粉が添加された後,上述の紙粉コーティング以下の工程が再度繰り返されるというものであって(段落【0058】,【0061】,【0062】),出口に向けて細く形成されたスクリュ押し出し機を用いて造粒物の表面に付着した紙粉が容易に剥落しないように加圧下で紙粉をコーティングするというものであるのに対し,他方,乙19の実験においては,表層を形成する紙粉のコーティング工程は,「②…形状をそろえた造粒物を各容器分ごとに,順次振動ふるいの上に置き,振動させながら,先ほど混合しておいたコーティング用被覆物質を,手で上から振りかけて手でかき回しながら手動で噴霧・塗布した(写真22)。付着しなかった被覆物質の塊は手で取り除いた。また,これら造粒物をふるいに入れ,振動ふるいの上に置き,手でかき回し塗布した(写真23)。…③これら2回の作業により被覆された造粒物は,前記の乾燥機に入れて乾燥した。」(乙19の「(5)コーティング」)というものであって,コーティング用被覆物質を手で振りかけて手でかき回す程度の作業を行っているにすぎないものであるから,乙19の実験は,乙3の実施例(「例7」)の再現実験であるものと認めることはできない(別件知財高裁判決1・67頁~69頁参照。なお,同判決の「甲33実験」は,本件の乙19の実験と同 ものであるから,乙19の実験は,乙3の実施例(「例7」)の再現実験であるものと認めることはできない(別件知財高裁判決1・67頁~69頁参照。なお,同判決の「甲33実験」は,本件の乙19の実験と同一である。)。 そうすると,乙19の実験から得られた動物用排尿処理材は乙3の実施例(「例7」)の実施品ということはできないから,被告の主張は,その前提において失当であり,採用することができない。 イしたがって,被告主張の無効理由3は理由がない。 (4) 無効理由4(乙3を主引例とする進歩性の欠如)ア被告は,本件発明と乙3記載の発明とは,乙3記載の発明においては,表層が厚いため,「表層を通して露見が得られる構成」を備えていない点 - 48 -でのみ相違すること,顔料が表層に滲潤して露見したり,表層を透過して露見したりするように表層の材質等を選択しその安定化手段を講じることは,本件出願当時,周知慣用技術であったこと,(薬剤を使用せず)受尿により処理材を変色させるための動機づけが,乙3と技術分野を同じくする乙1に開示されていることからすれば,当業者であれば,乙3に上記周知慣用技術や乙1記載の処理材を排尿で変色させる思想を適用することにより,相違点に係る本件発明の構成を容易に想到することができたものといえるから,本件発明に係る本件特許には特許法29条2項に違反する進歩性欠如の無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。 しかしながら,乙3には,前記(3)アの相違点に係る本件発明の構成についての記載も示唆もなく,乙1も,これと同様である。 また,被告主張の本件出願当時の周知慣用技術の存在が認められないことは,前記(2 ながら,乙3には,前記(3)アの相違点に係る本件発明の構成についての記載も示唆もなく,乙1も,これと同様である。 また,被告主張の本件出願当時の周知慣用技術の存在が認められないことは,前記(2)ア(イ)のとおりである。 したがって,当業者が乙3に被告主張の周知慣用技術を適用し,又は乙3及び乙1に基づいて本件発明を容易に想到することができたものと認めることはできないから,被告の上記主張は採用することができない。 イ以上のとおり,被告主張の無効理由4は理由がない。 (5) 無効理由5(公然実施による新規性の欠如)ア被告は,被告が本件出願前の平成6年4月から製造及び販売していた「お花畑〈たんぽぽ〉」は本件発明と同一の構成を有しており,本件発明は,本件出願前に公然実施をされた発明であって,本件発明に係る本件特許には特許法29条1項2号に違反する新規性欠如の無効理由があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主 - 49 -張する。 そこで検討するに,被告の取締役のD1作成の陳述書(乙25)中には,①平成6年4月に,コーヒー滓を使用した「お花畑〈たんぽぽ〉」の販売を開始した当時,使用前(猫の排尿がかかる前)は,コーヒー滓の褐色の核部分が紙粉により白くコーティングされているため,核部分の色はほとんど見えなかったが,使用後(猫の排尿がかかった後)は,核部分の色(褐色)が表層を通してか,あるいは表層に滲み出ているのかは明確に区別できなかったが,核部分の色(褐色)が表層に現れていた,②その当時,「お花畑〈たんぽぽ〉」について,消費者から,使用前は白くてきれいだが,使用後は褐色に変色し,他商品と比べて見た目が汚いというクレームもあったが ,核部分の色(褐色)が表層に現れていた,②その当時,「お花畑〈たんぽぽ〉」について,消費者から,使用前は白くてきれいだが,使用後は褐色に変色し,他商品と比べて見た目が汚いというクレームもあったが,コーティング材(表層)に水に濡れると透過率の上がる紙粉を使用していたこととも関連し,使用後の核部分の色(褐色)を完全に隠すことは技術的に難しく,結果的に核部分の色(褐色)が表層に現れていた旨の記載部分がある。 しかしながら,本件においては,平成6年4月当時販売されていた「お花畑〈たんぽぽ〉」の構成を具体的かつ客観的に裏付ける証拠は提出されておらず,その当時販売されていた「お花畑〈たんぽぽ〉」が,排尿を吸収すると,核部分と表層から成る複合層構造を維持した状態で,核部分の色が表層を透過し,又は表層に滲潤して見えることによって排尿の有無を判別することを可能とする構成を有していたかは定かでないといわざるを得ない。かえって,「お花畑〈たんぽぽ〉」は,その販売開始当初の製品においても,平成20年ころに販売された製品においても,その包装において,吸水による製品の変色で使用前と使用後の区別ができることの宣伝文句の記載がないのに対し(乙6の16,22),平成12年から製造及び販売が開始された「お花畑〈ひなげし〉」は,「お花畑〈たんぽぽ〉」と同様にコーヒー豆殻を活用したものでありながら,そのように水分を吸 - 50 -収すると色が変わるように見える特徴を有している旨が製品の包装や雑誌(ペット用品ガイド)に宣伝文句として記載されていること(甲8,乙28)に照らすならば,少なくとも本件出願(平成6年12月29日)前に市販されていた「お花畑〈たんぽぽ〉」においては,上記構成を有していなかったものとうかがわれる。 そうすると,D1作成の陳述書中の上記記載 すならば,少なくとも本件出願(平成6年12月29日)前に市販されていた「お花畑〈たんぽぽ〉」においては,上記構成を有していなかったものとうかがわれる。 そうすると,D1作成の陳述書中の上記記載部分から直ちに被告が本件出願前の平成6年4月から製造及び販売していた「お花畑〈たんぽぽ〉」が本件発明と同一の構成を有していたものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 しがって,被告の上記主張は理由がない。 イ以上のとおり,被告主張の無効理由5は理由がない。 (6) 無効理由6(実施可能要件違反)ア被告は,本件明細書の発明の詳細な説明には,動物用排尿処理材として請求項1に規定された「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」複合層構造とするための具体的な実施方法が記載されていないため,当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果の記載があるとはいえず,旧特許法36条4項に適合しないから,本件発明に係る本件特許には,実施可能要件違反の無効理由(同法123条1項4号)があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,特許法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。 しかしながら,本件明細書の発明の詳細な説明には,前記1(1)ア(ア)のとおりの記載があり,これらの記載事項及び本件訂正後の請求項1の記載から,本件発明が,排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い,複合層構造にして,排尿吸収時に「表層を通して」核部分の色を露見できるようにした構成を採用することにより,薬剤を用いるこ - 51 -となく,使用前と使用後の状態を色で判別できるようにし,使用部位のみを交換できる利点を享受できる作用効果を奏するもの 色を露見できるようにした構成を採用することにより,薬剤を用いるこ - 51 -となく,使用前と使用後の状態を色で判別できるようにし,使用部位のみを交換できる利点を享受できる作用効果を奏するものとした点に技術的意義があること(前記1(1)ア(イ))を当業者は理解することができるというべきである。 また,本件明細書の発明の詳細な説明には,表層として「パルプ繊維又は粉体」を用いる実施例が記載されていること(段落【0015】,【0016】等),紙を水に浸すと,紙の白さや不透明性が失われ,透けて見えることは本件出願当時の技術常識であること(例えば,乙6の8・551頁)からすると,当業者であれば,本件発明の実施例においては,排尿の吸収によりパルプ繊維等で構成される表層の不透明性が失われ,当該「表層を通して」核部分の色が見えるようになることを容易に理解することができるというべきである。 そうすると,本件発明において,選択した表層の材料に応じて表層の厚さを適宜選択し,排尿を吸収すると「表層を通して」核部分の色を露見せしめるようにすることは,当業者であれば格別困難なく実施し得るものというべきである。 したがって,本件明細書の発明の詳細な説明には,当業者が容易に本件発明の実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果の記載があるものと認められるから,被告の上記主張は,採用することができない。 イ以上のとおり,被告主張の無効理由6は理由がない。 3 争点3(差止めの必要性の有無)について(1) 原告は,被告が主張する生産ラインの設計変更により,平成21年10月以降に製造した被告各製品は,核部分ではなく表層に色素を加え,使用により「表層」が発色するものであって,イ号各製品(別紙物件目録1及び2記載の動物用排尿処理材)の構 設計変更により,平成21年10月以降に製造した被告各製品は,核部分ではなく表層に色素を加え,使用により「表層」が発色するものであって,イ号各製品(別紙物件目録1及び2記載の動物用排尿処理材)の構成を備えていないとしても,上記生産ライン - 52 -の変更は,従前「加水工程」で加えていた色素について,「調合工程」を一工程加えたにすぎず,設計変更前の生産ラインに戻すことは容易であること,被告は,イ号各製品の構成を備える,設計変更前の被告各製品の製造及び販売が本件特許権を侵害しないと争っていること,仮にイ号各製品の差止請求が認められたとしても,被告が設計変更前の生産ラインに戻さないのであれば,被告としては何ら不利益を被らないのに対し,逆に,差止請求が認められないとすれば,被告による上記侵害が再開された場合,原告において,再度審理をやり直さなければならない多大な負担を被ることになることからすれば,被告がイ号各製品の製造及び販売を再開することによって本件特許権を侵害するおそれが存在するというべきであるから,被告によるイ号各製品の製造等の差止めの必要性がある旨主張する。 ア証拠(乙41ないし43,46,47)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,株式会社安藤製作所に依頼して,平成21年9月5日ないし同月7日ころ,被告の真岡工場及び四国工場の両工場に,被告各製品の表層を構成する被覆材料を調合する工程において,被覆材料に色素を混合するための「コーティング材ミキサー定量機」(ホッパー定量機)各1台を設置し,同年10月5日から稼働を開始したこと,②上記「コーティング材ミキサー定量機」の価格は,合計416万円(乙42,43)であったこと,③被告訴訟代理人弁護士作成の平成22年12月7日付け実験報告書(乙44)には,同年11月に量販店で購入した被告 コーティング材ミキサー定量機」の価格は,合計416万円(乙42,43)であったこと,③被告訴訟代理人弁護士作成の平成22年12月7日付け実験報告書(乙44)には,同年11月に量販店で購入した被告各製品を対象に,同月29日に生理食塩水滴下実験(被告各製品の粒又はこれをあらかじめ輪切りにしたものに生理食塩水20mlを注射器で滴下)を行ったところ,滴下後の被告各製品は,いずれも,核部分は発色せず,表層が青色又は橙色に発色したことの報告が写真とともに記載されていること,④被告訴訟代理人弁護士作成の平成23年4月8日付け調査報告書(乙46)には,同年2月及び3月に被告の真岡工場及び四国工場の実地調査を行ったところ, - 53 -両工場の製造ラインは,いずれも,「粉砕工程」(核部分の原料である紙類を破砕・粉砕する工程),「加水工程」(破砕・粉砕された紙類に加水する工程),「造粒工程」(加水された紙類を用いて核部分を造粒する工程),「調合工程」(紙粉類に色素を加えて表層の材料(被覆材料)を調合する工程),「被覆工程」(調合した被覆材料により造粒した核部分の周囲を被覆(コーティング)して表層を形成する工程)及び「乾燥工程」(被覆物(核部分が表層で被覆されたもの)を乾燥させる工程)から構成されていたこと,上記各工程で採取した造粒物(核部分),被覆材料及び製造された製品(いずれも白色)を対象に生理食塩水滴下実験を行った結果,核部分は発色せず,被覆材料のみが発色したこと(製品の表層のみが発色し,核部分の白色は露見しなかったこと)が確認されたことなどの報告が真岡工場の製造ライン及び同工場で行われた生理食塩水滴下実験結果の写真とともに記載されていることが認められる。 上記認定事実及び被告代表者の陳述書(乙47)を総合すれば,被告は,平成21年9月 真岡工場の製造ライン及び同工場で行われた生理食塩水滴下実験結果の写真とともに記載されていることが認められる。 上記認定事実及び被告代表者の陳述書(乙47)を総合すれば,被告は,平成21年9月に,真岡工場及び四国工場において,新たに「コーティング材ミキサー定量機」(ホッパー定量機)を導入するなどして製造ラインを変更し,これまで核部分に色素を加えていたのに替えて,表層を構成する被覆材料に色素を加える製造方法を採用し,その結果,遅くとも平成22年11月以降の時点において製造販売されている被告各製品においては,排尿を吸収すると,表層が発色することにより排尿を吸収した部分と排尿を吸収していない部分とを判別することができる構成のものであり,その核部分は着色料により着色されておらず,また,排尿の吸収により発色するものではないことが認められ,これに反する証拠はない。 そうすると,遅くとも平成22年11月の時点から本件口頭弁論終結日(平成23年5月10日)までの間に製造販売されている被告各製品は,イ号各製品の「核部分1は着色料により着色され,吸尿前には核部分1の - 54 -着色は顕出されていないが,該排尿処理材は排尿を吸収すると,表層2を通して該着色料の色が顕出し,表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能とした」構成(別紙物件目録の1(2)イ,ウ,2(2)イ,ウ)を備えておらず,構成要件C及びDを充足するものではないから,本件発明の技術的範囲に属さないというべきである。 加えて,被告は上記製造ラインの変更のために新たに「コーティング材ミキサー定量機」を導入するなどして相当額の費用をかけていること(前記②),被告代表者の陳述書(乙47)中には,製造方法を変更した後の被告各製品は, 記製造ラインの変更のために新たに「コーティング材ミキサー定量機」を導入するなどして相当額の費用をかけていること(前記②),被告代表者の陳述書(乙47)中には,製造方法を変更した後の被告各製品は,変更前の製品と比較して,安価で高品質であり,受注も順調に推移しているので,変更前の構成のものに戻すつもりはない旨の記載部分があること,被告がイ号各製品の構成を備えた被告各製品の在庫を保有していることをうかがわせる証拠はないことをも併せ考慮すると,現時点において,被告がイ号各製品を製造及び販売するおそれがあるものと認めることはできない。 これに反する原告の主張は,採用することができない。 イしたがって,被告によるイ号各製品の製造及び販売の差止めの必要性があるものとは認められない。 (2) 以上によれば,原告の被告に対するイ号各製品の製造及び販売の差止請求は理由がなく,また,イ号各製品の廃棄請求も理由がない。 4 争点4(原告の損害額)(1) 被告の不法行為責任ア前記1認定のとおり,被告各製品(前記3の製造方法の変更後の構成のものを除く。以下同じ。)は本件発明の技術的範囲に属するから,被告による平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間の被告各製品の製造及び販売は,本件発明に係る本件特許権の侵害行為に当たり,被 - 55 -告には,その侵害行為について少なくとも過失があったものと認められる。 したがって,被告は,本件特許権の侵害行為により,原告が被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うというべきである。 イこの点に関し被告は,原告と被告は,平成11年11月19日,原告が被告に対し本件特許権について通常実施権を許諾する旨の本件通常実施契約を締結し,その後,本件通常実施契約は,原告及び被告間の黙示の合意により1年 被告は,原告と被告は,平成11年11月19日,原告が被告に対し本件特許権について通常実施権を許諾する旨の本件通常実施契約を締結し,その後,本件通常実施契約は,原告及び被告間の黙示の合意により1年ごとに更新され,平成18年11月19日の最終更新により平成19年11月19日まで存続していたから,同日までの間における被告各製品の製造及び販売は,上記通常実施権に基づくものであり,本件特許権の侵害行為に当たらない旨主張する。 そこで検討するに,原告と被告が,平成11年11月19日,本件特許権について,期間を1年,範囲を全部,地域を日本全土として,原告が被告に対し通常実施権を許諾する旨の契約(本件通常実施契約)を締結したことは,当事者間に争いがない。 しかし,他方で,①本件通常実施契約に係る契約書(甲6)中には,実施料について,平成11年11月1日から平成12年10月31日までの1年間,月額20万円とし,「本契約」が更新される場合の実施料は協議の上取り決める旨の条項(3条),被告は,本件特許の効力を自ら争い,第三者をして争わせ,あるいは第三者が争うのを援助してはならない旨の条項(5条),「本契約」の更新は契約当事者の協議によりこれを定め,両当事者の合意による更新が成立しない場合,契約期間の満了により「本契約」は終了する旨の条項(12条)があること,②本件通常実施契約の当初の契約期間の満了後に,被告が原告に実施料を支払ったことをうかがわせる証拠は提出されておらず,かえって,被告は,平成19年8月19日付けで本件特許に対し無効審判請求(本件無効審判請求1)をし,さら - 56 -に,本訴における被告の補佐人弁理士であるA1が同月28日付けで本件特許に対し無効審判請求(本件無効審判請求2)をし,仮に本件通常実施契約が存続しているとするな 請求1)をし,さら - 56 -に,本訴における被告の補佐人弁理士であるA1が同月28日付けで本件特許に対し無効審判請求(本件無効審判請求2)をし,仮に本件通常実施契約が存続しているとするならば債務不履行となるような行動をとり,このように本件通常実施契約が存続することと矛盾する行為をとりながら特段の説明をしていないことに照らすならば,少なくとも,被告が主張するような原告及び被告間の黙示の合意により平成18年11月19日に本件通常実施契約が更新されたものと認めることはできない。 したがって,平成19年11月19日までの間における被告各製品の製造及び販売が本件特許権の侵害行為に当たらないとの被告の上記主張は,採用することができない。 (2) 特許法102条2項に基づく損害額原告は,特許法102条2項により,被告が平成19年9月1日から平成21年9月30日までの間に被告各製品を販売することにより得た利益の額が,原告の損害額と推定される旨主張するので,以下において,同項に基づく原告の損害額について検討する。 ア被告各製品の売上高(ア) 本件計算鑑定の結果によれば,平成19年9月1日から平成21年9月30日までの期間における被告各製品の販売数量は1664万4426リットル,その売上高は4億0340万3568円と認められる(本件計算鑑定書添付の別紙3の合計欄の「販売数(L)」及び「売上高」参照)。 (イ) これに対し原告は,被告が被告各製品を袋詰めして販売していることからすると,売上高の計算方法としてより正確を期すのであれば,本件計算鑑定のように,いわゆるバルクで売上高を算出するのではなく,袋・外箱・運賃等も含めた商品販売価格と譲渡数量から売上高を算出すべきである旨主張する。 - 57 -そこで検討するに,証拠 件計算鑑定のように,いわゆるバルクで売上高を算出するのではなく,袋・外箱・運賃等も含めた商品販売価格と譲渡数量から売上高を算出すべきである旨主張する。 - 57 -そこで検討するに,証拠(乙33の1ないし3,本件計算鑑定の結果(本件計算鑑定書3頁))及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,すべての取引先に対して,被告各製品の1リットル当たりの契約単価に販売数量(リッター数)を乗じた金額を請求していること,②被告各製品を詰める個別のビニール袋は被告の取引先が被告に無償支給していること,③被告は,上記①の金額とは区別して,取引先に対して,外箱の梱包材料費と実費出荷運賃を請求していることが認められる。 このような被告とその取引先との間の販売態様に照らすならば,被告各製品の出荷形態が個別に袋に包装された上で外箱に梱包されるものであることを勘案しても,少なくとも被告は,被告各製品を製造,販売するに当たって,個別のビニール袋と出荷運賃からは利益を得ておらず,また,外箱の梱包費用についても,仮にこれが実費だけではなく,幾ばくかの利益を上乗せした金額を取引先に請求していたとしても,それは被告各製品それ自体の売上げとは明確に区別して計上されているのであるから,被告各製品の販売に係る売上高を算出するに当たっては,本件計算鑑定のように,被告各製品の1リットル当たりの契約単価に販売数量(リッター数)を乗じて売上高を算出する方が,取引の実態に即し,合理的であるものと認められる。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 イ被告が被告各製品の販売により受けた利益の額(ア) 特許法102条2項所定の「その者がその侵害の行為により利益を受けているときは」にいう「利益」とは,侵害品の売上高から侵害品の製造又は販売と相当因果関係のある 品の販売により受けた利益の額(ア) 特許法102条2項所定の「その者がその侵害の行為により利益を受けているときは」にいう「利益」とは,侵害品の売上高から侵害品の製造又は販売と相当因果関係のある費用を控除した利益(限界利益)をいい,ここで控除の対象とすべき費用は,侵害品の製造又は販売に直接必要な変動費及び個別固定費をいうものと解するのが相当である。 本件計算鑑定は,被告各製品の製造及び販売に直接必要な変動費及び - 58 -個別固定費につき次のaないしeのとおり,変動費の減少項目につき次のfのとおりそれぞれ認定・判断した上で,平成19年9月1日から平成21年9月30日までの期間における被告各製品の売上高(前記ア(ア))から控除すべき費用の合計額を3億7470万6005円,限界利益の合計額を2869万7562円と算定した(本件計算鑑定書添付の別紙1参照)。 上記aないしeの費用について,本件計算鑑定は,被告が製造及び販売する猫砂全製品において被告各製品の占める割合(aにつき販売リッター数に占める割合,bないしeにつき製造リッター数に占める割合)で按分して算出している(本件計算鑑定書の「Ⅶ 対象品の計算根拠と変動費の範囲について」(8頁),本件計算鑑定書添付の別紙7及び8参照)。 a 「仕入」 1億2021万4140円被告の四国工場においては,平成20年9月末まで(23期及び24期),他社に猫砂機械をリースして生産委託し,完成品を仕入販売しており,その商品仕入金額である(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「2.」(4頁)参照)。 b 「原材料費」 1億2297万9996円(材料棚卸資産調整後の金額:1億2023万7175円)被告は,購入した原材料をすべて使い切ってはいないので,平成19年9月1日と平成2 )参照)。 b 「原材料費」 1億2297万9996円(材料棚卸資産調整後の金額:1億2023万7175円)被告は,購入した原材料をすべて使い切ってはいないので,平成19年9月1日と平成21年9月30日の各時点における材料在庫金額を棚卸表から集計し,その増減差額274万2821円を計算し,これを差し引いたものが,控除すべき費用となる(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「3.」及び「4.」(4頁参照)。 c 「労務費」 4909万7396円その内訳は,賃金給与,賞与,法定福利費,福利厚生費,退職給与 - 59 -引当金繰入,賞与引当金繰入である(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「5.」(5頁)参照)。 d 「製造経費」 1億0177万1852円その内訳は,消耗品費,地代家賃,賃借料,保険料,修繕費,減価償却費,旅費交通費,通信費,水道光熱費,運賃,租税公課,交際費,車両維持費,事務用品費,会議費,広告宣伝費,警備保守料,支払手数料,諸会費,旅費出張費,工具器具備品費,雑費,見本品費,教育訓練費,従業員募集費,新聞図書費である(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「6.」(5頁)参照)。 e 「販管費に含まれる製造原価」 2273万5714円被告は,被告の真岡工場,四国工場が管轄する費用をそれぞれの部門費とするとともに,形式的に,両部門の費用を製造費用,本社部門で管轄する費用を販売費及び一般管理費に計上しているため,それらの本社部門の管轄で販売費及び一般管理費に計上されている費用であっても,一般的には工場の製造経費とすべき費用(外注工場の地代家賃,貸与機械のリース料,貸与機械の減価償却費,出荷運賃,ポリマー精製機械リース料,支払手数料,顧問料,旅費交通費等)については,製造原価ないし製造 には工場の製造経費とすべき費用(外注工場の地代家賃,貸与機械のリース料,貸与機械の減価償却費,出荷運賃,ポリマー精製機械リース料,支払手数料,顧問料,旅費交通費等)については,製造原価ないし製造経費として控除すべき費用と認められる(本件計算鑑定書の「Ⅴ.対象期間における事業の概要」の「3.」(3頁),「Ⅵ 個別事項の説明」の「7.」(7頁)。 f 変動費減少項目(a) 産業廃棄物の処理収入 1351万5182円被告の真岡工場では,栃木県知事から産業廃棄物処分業者としての許可を得て,廃材である壁紙を処理し,これを猫砂の材料として使用するとともに,処理収入を得ている。このように壁紙の処理工程における作業によって得た収入は,実質的に猫砂の製造経費を引 - 60 -き下げる効果をもたらすものであるから,変動費を減少させる項目になると認められる(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「8.1」(6頁~7頁)参照)。 (b) 分級ポリマーの売却収入 2535万0064円被告は,猫砂の製造途中において分離したポリマーを収集し,自社内で精製した後,外部の会社に売却し,売却先で再加工されたポリマー製品を購入して,猫砂の原料として使用している。売却したポリマーを原料とした新たなポリマー製品を購入することは外注先への有償支給そのものであり,この売却収入は,実質的に猫砂製造におけるポリマーの仕入価格を引き下げる効果をもたらすものであるから,変動費を減少させる項目になると認められる(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「8.2」(7頁)。 (c) クリーンスカイの製造に要した費用 48万5026円被告の真岡工場では,猫砂製造工程とは別の工程で,「クリーンスカイ」(抗菌・消臭材)を製造しているが,「クリーンスカイ」の製造は, (c) クリーンスカイの製造に要した費用 48万5026円被告の真岡工場では,猫砂製造工程とは別の工程で,「クリーンスカイ」(抗菌・消臭材)を製造しているが,「クリーンスカイ」の製造は,猫砂の製造及び販売とは関係しないから,「クリーンスカイ」の製造に要した費用は,変動費を減少させる項目になると認められる(本件計算鑑定書の「Ⅵ 個別事項の説明」の「8.3」(7頁~8頁)参照)。 (イ) これに対し原告は,①本件計算鑑定書添付の別紙9によれば,経費の内容には,変動費3億3364万2241円のみならず,個別固定費5457万8946円も含まれているが,本件計算鑑定は,被告の製造する猫砂は,パッケージが違ったとしても,すべて同じ構造の製品で「生産工程,機械,人員」もすべて同じであること,25期(平成21年5月~平成21年9月)における被告の全製品に対する被告各製品の販売割合が15.5%(本件計算鑑定書添付の別紙8)であることを前提に - 61 -鑑定をしていることからすれば,被告各製品のためだけに被告ないしその特定の工場の製造ラインが使用されているわけではないのであるから,個別固定費はそもそも控除されるべきではない,②個別固定費のうち減価償却費として控除されている2647万2548円(本件計算鑑定書添付の別紙9)は,四国工場の費用を「全額」費用計上したのであるとすれば,被告各製品の販売割合が15.5%(四国工場内でも16. 9%)しかない以上,明確な誤りである,③本件計算鑑定では,売上げはバルクで計算するのに対し,包装機械は減価償却費,人件費は加工費として経費に含めているが,これも過剰な経費計上である旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 a 上記①の点について本件計算鑑定の結果及び弁論の全 人件費は加工費として経費に含めているが,これも過剰な経費計上である旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 a 上記①の点について本件計算鑑定の結果及び弁論の全趣旨によれば,被告においては,被告各製品の製造,販売のみに要する専用の施設や従業員を新たに設置したり,雇い入れたりしたものではなく,被告各製品を含む被告の猫砂全製品が,すべて同じ生産工程,機械,人員でもって製造,販売されていることが認められる。 しかるところ,それらの生産工程,機械,人員は,侵害品である被告各製品の製造,販売に不可欠なものとして用いられているのであるから,本件計算鑑定において,減価償却費等についても,被告が製造,販売する猫砂全製品において被告各製品の占める割合(製造リッター数に占める割合又は販売リッター数に占める割合)で按分した限度で,被告各製品の製造又は販売に直接必要な変動費又は個別固定費と認めたことは,実態に即した合理的なものといえる。 したがって,被告各製品のためだけに被告ないしその特定の工場の製造ラインが使用されているわけではないのであるから,個別固定費はそもそも控除されるべきではないとの原告の主張①は,採用するこ - 62 -とができない。 b 上記②の点について証拠(乙33の1ないし3,34,本件計算鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によれば,被告の四国工場においては,平成20年9月末(23期及び24期)まで,他社に猫砂機械をリースして生産委託し,完成品を仕入販売していたが,同年10月以降は,同工場に製造ラインを移設し,同工場で製品を製造するように切り替えたことが認められる。 そして,本件計算鑑定は,被告の四国工場における24期の生産ライン(製造ライン)の移設にかかった立ち上げ費用等を含めて,減 ンを移設し,同工場で製品を製造するように切り替えたことが認められる。 そして,本件計算鑑定は,被告の四国工場における24期の生産ライン(製造ライン)の移設にかかった立ち上げ費用等を含めて,減価償却費を算出しているが,上記移設は,顧客の需要に応じた出荷量を確保するために通常行われる程度の製造ラインの移設と評価できること,その移設時の費用のうち臨時的に発生したものについては,「工場移設費」として特別損失に計上され(乙33の2記載の「9 28 工場移設費」2枚目),本件計算鑑定における利益計算には含まれていないことからすると,上記移設に係る立ち上げ費用等を減価償却費として個別固定費に計上することが過剰な経費計上に当たるということはできない。 したがって,個別固定費のうち減価償却費として控除されている2647万2548円(本件計算鑑定書添付の別紙9)には,四国工場の費用を「全額」費用計上したものではなく,また,上記減価償却費を個別固定費に計上することが誤りであるということはできないから,原告の主張②は,理由がない。 c 上記③の点について被告各製品の1リットル当たりの契約単価に販売数量(リッター数)を乗じて売上高を算出することが,取引の実態に即し,合理的で - 63 -あることは,前記ア(イ)のとおりである。 また,控除すべき費用について,被告が製造及び販売する猫砂全製品において被告各製品の占める割合で按分して算出することも,製造の実態に即した合理的なものである。 したがって,原告の主張③は,理由がない。 (ウ) 一方,被告は,本件計算鑑定は,前記(ア)f(b)のとおり,「分級ポリマーの売却収入」を有償支給と捉え,その収入額のうち,被告各製品に相当する額2535万0064円を製造原価から控除しているが,紙おむつ 被告は,本件計算鑑定は,前記(ア)f(b)のとおり,「分級ポリマーの売却収入」を有償支給と捉え,その収入額のうち,被告各製品に相当する額2535万0064円を製造原価から控除しているが,紙おむつを核部分の原材料として利用するには,ポリマー(吸水性樹脂)をプラスチック材料から分離除去する必要があり,ポリマーは紙おむつを利用した猫砂製造過程で必然的に派生する副産物であり,「分級ポリマーの売却収入」は副産物収入であるから,これを「有償支給」と捉えるのは妥当でなく,また,ポリマーをプラスチック材料から分離除去することは容易でなかったが,被告は,紙おむつをプラスチック材料と紙粉及びポリマーとに分級し,プラスチック材料を核部分の原材料として使用するとともに,紙粉及びポリマーを表層の原材料として使用する猫砂製造技術を実用化するに至り,特許(乙35)をも取得したものであり,「分級ポリマーの売却収入」は被告の独自技術によるものであって,本件発明とは全く無関係であり,このような観点からも,本件計算鑑定における上記控除は妥当でない旨主張する。 しかしながら,本件計算鑑定が「分級ポリマーの売却収入」を変動費を減額させる項目と認めたのは,被告が分級ポリマーの売却先から再加工されたポリマー製品を購入して猫砂の原料として使用しているという一連の過程を捉えると,そのような一連の過程を経ないで普通に原料を購入する場合と比較して,実質的に猫砂製造におけるポリマーの仕入価格を引き下げたのと同じ効果をもたらしていることを理由とするも - 64 -のであり,ポリマーが必然的に派生する副産物であったとしても,被告において,外部の会社から加工後のポリマーを購入しながら,他方で,その原料となる精製途中のポリマーを有償で売却している以上,その有償で売却している部分を製造 的に派生する副産物であったとしても,被告において,外部の会社から加工後のポリマーを購入しながら,他方で,その原料となる精製途中のポリマーを有償で売却している以上,その有償で売却している部分を製造原価から控除して製造原価を算出することは合理的であるというべきである。 また,被告のいうように,紙おむつをプラスチック材料と紙粉及びポリマーとに分級し,プラスチック材料を核部分の原材料として使用するとともに,紙粉及びポリマーを表層の原材料として使用する猫砂製造技術を実用化するに至り,これに関する発明について,被告が特許権を取得したものであったとしても,ポリマーの売却収入を控除して製造原価を算出することが合理的であることは上記のとおりであるから,そのような特許権取得の事実が,「分級ポリマーの売却収入」が本件において変動費を減額させる項目と認められることを左右するものではない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (エ) 以上によれば,本件計算鑑定の認定・判断は合理的であるというべきであるから,平成19年9月1日から平成21年9月30日までの期間における被告各製品の販売により被告が得た利益の額は,本件計算鑑定のとおり,2869万7562円と認めるのが相当である。 これを被告の決算期ごとに分けてみると,①被告の決算期23期分(ただし,平成19年9月1日から平成20年4月30日まで)については,802万4906円,②同24期分(平成20年5月1日から平成21年4月30日まで)については,83万4149円,③同25期分(ただし,平成21年5月1日から同年9月30日まで)については,1983万8507円となる(別表原告の損害額の「③」欄参照)。 ウ本件発明の寄与率被告は,①被告各製品と同等の原告製品は,被告各製品の1 成21年5月1日から同年9月30日まで)については,1983万8507円となる(別表原告の損害額の「③」欄参照)。 ウ本件発明の寄与率被告は,①被告各製品と同等の原告製品は,被告各製品の1.5倍程度 - 65 -の価格で販売されており,被告各製品の主たる販売要因は,その価格競争力にあること,②被告各製品には,本件発明以外にも,被告が保有する特許第2895963号(乙35),特許第2971949号(乙36),特許第3288316号(乙37),特許第3288317号(乙38)及び特許第3315394号(乙39)の各請求項1に係る各特許発明が実施されており,これらの特許発明が被告各製品の販売に寄与していることからすれば,本件発明の被告各製品に対する寄与率は極めて低いというべきであり,その寄与率は,最大限考慮しても10%を上回るものではないから,原告の受けた損害額は,多くても被告が被告各製品の販売により得た利益の額の10%を上回るものではない旨主張する。 しかしながら,被告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 上記①の点について被告各製品においては,いずれもその商品名に色彩に関わる言葉を使用し(「ブルーでキャッチ」,「カラーフラッシャブル」,「ブルー」,「ブルータイム」,「ブルーDEサンド」),その包装において,製品が吸尿すると,その部分の色が変わって,未使用部分との判別ができるようになる旨の説明(「ブルーに変わって消臭」,「ブルーに変わって清潔!」,「おしっこをした場所がブルーに変わります。」,「固まった部分の色が変わる!」,「汚れた部分がブルーに変わってあと処理ラクラク!」,「ブルーに変わってあと処理簡単!!」,「色が変わってお掃除ラクラク!」,「ブルーのサインで後処理ラクラク」等)や吸尿して変色した製品の る!」,「汚れた部分がブルーに変わってあと処理ラクラク!」,「ブルーに変わってあと処理簡単!!」,「色が変わってお掃除ラクラク!」,「ブルーのサインで後処理ラクラク」等)や吸尿して変色した製品の写真を掲載していること(甲3の1,4の1,5の1,25ないし29)からすると,被告各製品は,他の猫砂(甲8)と比較して,吸尿によって変色し,それによって使用部分と未使用部分を視覚的に容易に判別することができる構成となっている点を重要なセールスポイントとしていることが認められる。 - 66 -そして,そのようなセールスポイントは,本件発明の構成によるものであるから,被告各製品の商品としての主たる価値は,本件発明からもたらされるものと評価できる。 これに対し被告は,被告各製品と同等の原告製品は,被告各製品の1. 5倍程度の価格で販売されており,被告各製品の主たる販売要因は,その価格競争力にある旨主張するが,本件においては,被告各製品の仕入値が原告製品に比して低いことを裏付けるに足りる客観的な証拠は提出されていないのみならず,仮に被告各製品の価格が同等の原告製品より低かったとしても,そのような価格は本件特許を無許諾で実施した結果形成されたものというべきであるから,本件発明の寄与率に影響するものとは認められない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (イ) 上記②の点について特許第2895963号(乙35)の特許請求の範囲の請求項1は,「粒状芯部と該芯部を被覆する被覆部とを有する動物用排泄物処理材において,粒状芯部が,4mm以下の粒度のプラスチック材料粉から主として形成されている造粒物であり,被覆部が主として紙粉及び吸水性樹脂の混合物で形成されていることを特徴とする動物用排泄物処理材。」,特許第2971949 4mm以下の粒度のプラスチック材料粉から主として形成されている造粒物であり,被覆部が主として紙粉及び吸水性樹脂の混合物で形成されていることを特徴とする動物用排泄物処理材。」,特許第2971949号(乙36)の特許請求の範囲の請求項1は,「3mm以下の粒度のポリエチレンテレフタレート廃材粉,ポリエチレン廃材粉,ポリプロピレン廃材粉,アクリロニトリル廃材粉,ナイロン廃材粉若しくはポリエステル廃材粉又はこれら廃材粉の二種以上からなるプラスチック廃材粉と,茶殻,コーヒー液抽出残渣,紙粉,木粉若しくは製紙スラッジ又はこれら二種以上の混合物と,前記プラスチック廃材粉より少量の吸水性樹脂とを含有して粒状に形成されている粒状芯部を有すると共に,紙粉及び吸水性樹脂を含有して粒状芯部の - 67 -表面上に形成されている被覆層部を有し,前記粒状芯部と被覆層部とにより粒状に形成されていることを特徴とする動物用排泄物処理材。」,特許第3288316号(乙37)の特許請求の範囲の請求項1は,「3mm以下の粒度のポリエチレンテレフタレート廃材粉,ポリエチレン廃材粉,ポリプロピレン廃材粉,ポリアクリロニトリル廃材粉,ナイロン廃材粉若しくはポリエステル廃材粉又はこれら廃材粉の二種以上からなるプラスチック廃材粉と,茶殻,コーヒー液抽出残渣,紙粉,木粉若しくは製紙スラッジ又はこれら二種以上の有機質配合材料と,前記プラスチック廃材粉より少量の吸水性樹脂とを含有して粒状に形成されていることを特徴とする動物用排泄物処理材。」,特許第3288317号(乙38)の特許請求の範囲の請求項1は,「5mm以下の粒度で,発熱量が4000キロカロリー/kg以上のプラスチック材料を含む紙おむつ粉砕物及び発熱量が3000キロカロリー/kg以上の有機質配合材料を含有して粒状に形成され の請求項1は,「5mm以下の粒度で,発熱量が4000キロカロリー/kg以上のプラスチック材料を含む紙おむつ粉砕物及び発熱量が3000キロカロリー/kg以上の有機質配合材料を含有して粒状に形成されており,使用後の動物用排泄物処理材の発熱量が1000乃至2500キロカロリー/kgであることを特徴とする動物用排泄物処理材。」,特許第3315394号(乙39)の特許請求の範囲の請求項1は,「3mm以下の粒度のポリエチレンテレフタレート廃材粉,ポリエチレン廃材粉,ポリプロピレン廃材粉,ポリアクリロニトリル廃材粉,ナイロン廃材粉若しくはポリエステル廃材粉又はこれら廃材粉の二種以上からなるプラスチック廃材粉と,前記プラスチック廃材粉より少量の吸水性樹脂とを含有して粒状に形成されていることを特徴とする動物用排泄物処理材。」というものである。 以上のとおり,乙35ないし乙39の各特許の請求項1に係る各発明は,いずれもその構成において,原材料である廃材粉や粉砕物の「粒度」を規定しているところ,本件においては,被告各製品の原材料の粒度を具体的に特定するに足りる証拠は提出されていないことからすると,被 - 68 -告各製品が上記各発明を実施しているかどうかは定かでないといわざるを得ない。 また,仮にこれらの発明が被告各製品に実施されているとしても,そのことが被告各製品の重要なセールスポイントとなるなど,被告各製品の販売に具体的に寄与していることを認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 小括以上のとおり,被告各製品のセールスポイントは,本件発明の構成によるものであり,被告各製品の商品としての主たる価値は,本件発明からもたらされるものといえるから,本件発明の寄与率は,100%と認めるのが相当である。 エまとめ以上を総合すると,原告が被 よるものであり,被告各製品の商品としての主たる価値は,本件発明からもたらされるものといえるから,本件発明の寄与率は,100%と認めるのが相当である。 エまとめ以上を総合すると,原告が被告の本件特許権の侵害行為によって受けた損害額の合計は,2869万7562円と認められる。 したがって,原告は,被告に対し,本件特許権侵害の不法行為による損害賠償として2869万7562円及び内金802万4906円(決算期23期の利益相当額の損害額)に対する不法行為の後である平成20年4月30日から,内金2067万2656円(決算期24期及び25期の利益相当額の損害額)に対する不法行為の日又はその後である平成21年9月30日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 5 結論以上によれば,原告の請求は,2869万7562円及び内金802万4906円に対する平成20年4月30日から,内金2067万2656円に対する平成21年9月30日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 - 69 - 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 裁判官上田真史 - 70 -(別紙) 物件目録 1 イ号製品1次の図面及び構造の説明に示す動物用排尿処理材(1) 図面の説明別紙イ号製品概略図1は,動物用排尿処理材の断面図である。 (2) 構造の説明アイ号製品1は,その表層2に,紙粉,吸水性ポリマー,澱粉を含有し,核部分1に,紙粉,紙おむつ粉砕物,壁紙粉砕物,吸水性ポリマーを含有する 動物用排尿処理材の断面図である。 (2) 構造の説明アイ号製品1は,その表層2に,紙粉,吸水性ポリマー,澱粉を含有し,核部分1に,紙粉,紙おむつ粉砕物,壁紙粉砕物,吸水性ポリマーを含有することにより,吸水性を有し,イ造粒して成る核部分1と該核部分1の表面に付着して覆う表層2とから成り,核部分1は着色料により着色され,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていないが,該排尿処理材は排尿を吸収すると,表層2を通して該着色料の色が顕出し,ウ表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能としたエ動物用排尿処理材である。 2 イ号製品2次の図面及び構造の説明に示す動物用排尿処理材(1) 図面の説明別紙イ号製品概略図2は,動物用排尿処理材の断面図である。 (2) 構造の説明アイ号製品2は,その表層2に,紙粉,吸水性ポリマー,澱粉を含有し,核部分1に,紙粉,紙おむつ粉砕物,吸水性ポリマーを含有することにより,吸水性を有し,イ造粒して成る核部分1と該核部分1の表面に付着して覆う表層2とから - 71 -成り,核部分1は着色料により着色され,吸尿前には核部分1の着色は顕出されていないが,該排尿処理材は排尿を吸収すると,表層2を通して該着色料の色が顕出し,ウ表層2を通して核部分の色が顕出するとの現象により,吸尿した排泄物処理材の用前・用後の判別を可能としたエ動物用排尿処理材である。 - 72 -(別紙) イ号製品概略図1 紙粉紙オムツ破砕品壁紙破砕品吸水性ポリマー着色料デンプン紙粉吸水性ポリマー1. 核部分2. 表層 - 73 -(別紙) イ号製品概略図2 紙粉紙 紙粉紙オムツ破砕品壁紙破砕品吸水性ポリマー着色料デンプン紙粉吸水性ポリマー1. 核部分2. 表層 - 73 -(別紙) イ号製品概略図2 紙粉紙オムツ破砕品 吸水性ポリマー着色料デンプン紙粉吸水性ポリマー1. 核部分2. 表層 - 74 -(別紙) 被告製品目録下記の各動物用排尿処理材。 1 商品名 「ブルーでキャッチ」販売会社株式会社サノテック(静岡県富士市<以下略>所在) 2 商品名 「カラーフラッシャブル」販売会社株式会社サンメイト(東京都中央区<以下略>所在) 3 商品名 「ブルー」販売会社株式会社コーチョー(静岡県富士市<以下略>所在) 4 商品名 「ブルータイム」販売会社株式会社サンメイト(東京都中央区<以下略>所在) 5 商品名 「ブルーDEサンド」販売会社株式会社コーチョー(静岡県富士市<以下略>所在) - 75 -(別表) 原告の損害額23期24期25期合計114,121,907216,373,03772,908,623403,403,567106,097,001215,538,88853,070,116374,706,0058,024,906834,14919,838,50728,697,562100%100%100%なしなしなし8,024,906834,14919,838,50728,697,562⑤被告の通常実施権の有無⑥原告の損害額(円)①売上高(円)③被告の利益(円)(①-②)④本件発明の寄与率②控除すべき費用(円) 有無⑥原告の損害額(円)①売上高(円)③被告の利益(円)(①-②)④本件発明の寄与率②控除すべき費用(円)
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