平成29(行ウ)451 行政処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年5月24日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文9,148 文字)

平成30年5月24日判決言渡平成29年(行ウ)第451号行政処分取消請求事件主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告が平成28年10月7日付けでした日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約に基づく原告の日本国への引渡請求処分を取り消す。 第2 事案の概要 本件は,被告(所轄庁は警察庁)が,日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約(以下「本件条約」という。)に基づき,平成28年10月7日付けで,アメリカ合衆国(以下「米国」という。)を被請求国として,米国に居住する原告につき,建造物損壊被疑事件に係る逮捕状が発付されていることを理由に,日本国への引渡しを請求したこと(以下「本件引渡請 求」という。)に対し,原告が,本件引渡請求は違法な行政処分であると主張して,被告を相手にその取消しを求める事案である。 1 本件に関する本件条約の定めは,別紙2のとおりである。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 佐倉簡易裁判所の裁判官により,平成27年4月28日,原告を被疑者とし下記アを被疑事実とする逮捕状が発付され,また,同年12月8日,原告を被疑者とし下記イを被疑事実とする逮捕状が発付された(甲4の2)。 これらの逮捕状については,それぞれ有効期間の満了に伴い,同一の被疑事実による新たな逮捕状の発付が繰り返され,平成28年7月15日には,上 記裁判所の裁判官により下記イを被疑事実とする有効期間1年(平成29年 7月15日まで)の逮捕状が発付され,平成28年9月2日には,上記裁判所の裁判官により下記アを被疑 5日には,上 記裁判所の裁判官により下記イを被疑事実とする有効期間1年(平成29年 7月15日まで)の逮捕状が発付され,平成28年9月2日には,上記裁判所の裁判官により下記アを被疑事実とする有効期間1年(平成29年9月2日まで)の逮捕状が発付された(甲1,4の1及び2。以下,これらの逮捕状のうち最後に発付された2通の逮捕状を「本件各逮捕状」といい,下記ア及びイの被疑事実を「本件各被疑事実」という。なお,本件各逮捕状のうち 後者については,その逮捕状請求書〔甲4の2〕に2枚の別紙が添付されているが,被疑事実として引用しているのはそのうちの別紙2〔下記アに相当〕のみであり,本件各逮捕状はそれぞれ一つの被疑事実について発付されているものである。)。 記 ア被疑者は,平成27年3月25日午後5時02分ころ,千葉県α所在のaにおいて,同A管理に係る,拝殿正面西側黒色角柱及び東側黒色角柱に成分不明なるも油様の液体を塗布し,更に,拝殿正面黒色階段及び黒色さい銭箱に同様の液体を散布して汚損(損害額242万3248円相当)させ,もって,他人の建造物を損壊したものである。 イ被疑者は,平成27年3月25日午後4時06分ころ,千葉県βb敷地内において,同寺B管理に係る,同寺総門東側総門柱3本に対し,それぞれ成分不明なるも油様の液体を塗布して汚損(損害額12万0500円相当)させ,もって,他人の建造物を損壊したものである。 (2) 原告は,従前から米国γに居住しているところ,本件各被疑事実におけ る犯行日後の平成27年4月1日に日本国を出国した後も,米国に戻って肩書地に居住しており,日本国外務省による旅券返納命令にも応じなかった(甲2,4の2)。千葉県警察から依頼を受けた警察庁は,同庁刑事局組織犯罪 平成27年4月1日に日本国を出国した後も,米国に戻って肩書地に居住しており,日本国外務省による旅券返納命令にも応じなかった(甲2,4の2)。千葉県警察から依頼を受けた警察庁は,同庁刑事局組織犯罪対策部長作成の平成28年10月7日付け「建造物損壊被疑者Cの引渡請求について」と題する書面(甲1)を,外交上の経路により米国の権限あ る司法当局に対して送付した(本件引渡請求)。なお,上記書面には,本件 各逮捕状の各謄本が添付されている。 (3) 原告は,平成29年6月2日,米国の司法当局に身柄を拘束され,その後保釈されており,現在,ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所において,原告に係る引渡請求事件が審理されている。 なお,本件各逮捕状の有効期間の満了に伴い,平成29年7月14日,佐 倉簡易裁判所の裁判官により前記(1)イを被疑事実とする有効期間1年(平成30年7月14日まで)の逮捕状が発付され,平成29年9月1日,同裁判官により前記(1)アを被疑事実とする有効期間1年(平成30年9月1日まで)の逮捕状が発付された(乙1)。 (4) 原告は,平成29年9月28日,本件訴えを提起するとともに,本件引 渡請求の効力の停止を求める執行停止の申立てをした(東京地方裁判所平成29年(行ク)第348号)。 当裁判所は,平成29年10月10日,本件引渡請求の適否については日本国において行政事件訴訟を提起して争うことができないものであり,これを対象として提起された抗告訴訟(本件訴訟)を本案とする執行停止の申立 てをすることもできないとして,原告による執行停止の申立てを却下する決定をした。 原告は,上記決定につき即時抗告を申し立てたところ,東京高等裁判所は,平成29年11月2日,抗告を棄却する旨の決定をし ともできないとして,原告による執行停止の申立てを却下する決定をした。 原告は,上記決定につき即時抗告を申し立てたところ,東京高等裁判所は,平成29年11月2日,抗告を棄却する旨の決定をし(同裁判所平成29年(行ス)第56号。乙2),同決定は確定した。 3 本件における本案前の争点は,本件引渡請求の適否について行政事件訴訟を提起して争うことができるかであり,これに対する当事者の主張の要旨は以下のとおりである。 (被告の主張の要旨)(1) 取消訴訟の対象となる「行政庁の処分」(行政事件訴訟法3条2項)と は,公権力の主体たる国又は公共団体が法令の規定に基づき行う行為のう ち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。 本件条約の内容及びこれに基づく一連の手続を踏まえると,本件条約に基づき,日本国が請求国としてした引渡請求は,被請求国である米国の権限ある当局を名宛人として,その職務権限の行使を依頼するものであるから,形 式的にも実質的にも,個々の国民を名宛人とするものではない。すなわち,上記引渡請求は日本国内の行為になぞらえていえば,他の行政機関に対する内部的な依頼に類似する行為であり,それ自体が個々の国民に対して何らかの作用や法律上の効果を及ぼすものではない。 また,日本国が請求国としてした引渡請求に応じるか否かは,米国の権限 ある当局における本件条約の解釈と適用に委ねられており,当然に引渡しをすべきことにはならないから,対象者に義務を課されるのが必然であるとはいえない。 したがって,本件引渡請求は,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものに ないから,対象者に義務を課されるのが必然であるとはいえない。 したがって,本件引渡請求は,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものには当たらな い。 (2) 日本国の刑事訴訟手続においては,逮捕に対する不服申立ては許されず,勾留請求の段階で逮捕の適否に係る司法審査を受けることが予定されているところ,本件条約に基づく日本国を請求国とする引渡請求は,同請求に係る被疑事件について,米国に所在する被疑者の日本国への引渡しを受ける ことにより,日本国で発付された逮捕状の執行を可能ならしめるものであって,いわば日本国における逮捕手続の補完としての性質を有する。 日本国による本件条約に基づく引渡請求がされた場合,専ら米国における司法審査やそれが認められて引渡しが行われた後の日本国の刑事手続での司法審査が予定されているにすぎず,それ以外に,行政事件訴訟において逮捕 手続の適否や日本国の国内法に照らし犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理 由があるか等について司法審査を行うことなどは予定されていないから,本件引渡請求の適否について,行政事件訴訟として訴えを提起することは認められないというべきである。 (原告の主張の要旨)(1) 本件引渡請求は,形式的には米国の権限ある当局を名宛人としているも のの,原告という特定の個人を名指しして,その身柄を仮拘禁した上で請求国に送還することを求めるものである。そして,本件条約の下では,被請求国において,請求国における請求行為の適法性や当否を審査することは予定されておらず,米国における犯罪人引渡事件において審理される内容は,添付書類の具備や引渡制限事由の有無など極めて限定的なものであり,対象者 における請求行為の適法性や当否を審査することは予定されておらず,米国における犯罪人引渡事件において審理される内容は,添付書類の具備や引渡制限事由の有無など極めて限定的なものであり,対象者 は直ちに逮捕される例が多い。 以上のように,本件引渡請求がされれば,米国においてほぼ自動的に原告の身柄が拘禁され,日本国に送還されることとなるのであるから,本件引渡請求によって直接原告の人身の自由及び外国移住の自由という憲法上の基本的人権が制限されることとなる。したがって,本件引渡請求は,その行為が 直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものに当たる。 本件引渡請求は日本国として米国政府に対し外交上の経路でされるものであり,上記のとおり人権の制約を伴うものであるから,日本国内における他の行政機関に対する内部的な行為に類似する旨の被告の主張は失当である。 (2) 刑事訴訟手続において逮捕に対する不服申立てが許されない理由は,逮 捕から勾留までの時間が短く,逮捕の違法は勾留の可否についての判断の中で審査されるため,独立して不服申立てを認める実益に乏しいという点にある。これに対し,本件条約に基づく引渡請求については,米国における審理,決定,強制送還の実施を経て勾留の審査が行われるのであり,日本国内における刑事訴訟手続と同一に論じることはできない。被告の主張は,国際 法の国内法に対する優位(憲法98条2項,条約法に関するウィーン条約2 7条)に反して,刑事訴訟法を根拠に本件条約を解釈適用すべきであるとの主張に他ならず,失当である。 本件において,原告は逮捕状発付という刑事手続上の違法のみならず,実体法上の違法をも主張しているから,本件引渡請求が行政事件訴訟による司法審査に服することは当然である。 他ならず,失当である。 本件において,原告は逮捕状発付という刑事手続上の違法のみならず,実体法上の違法をも主張しているから,本件引渡請求が行政事件訴訟による司法審査に服することは当然である。 また,違法な身柄拘束について国家賠償請求訴訟が提起された場合,その受訴裁判所は,刑事訴訟手続上とは独立して,自ら当該身柄拘束の適法性を審査する。これと同様,行政事件訴訟の受訴裁判所は,本件条約に基づく引渡請求の適法性を審査すべきである。 第3 当裁判所の判断 当裁判所は,本件引渡請求の適否について日本国において行政事件訴訟を提起して争うことは許されないと解するべきであるから,本件訴えは不適法として却下すべきものと判断する。その理由の詳細は,以下のとおりである。 1(1) 本件条約の定めによれば,本件条約の締約国である日本国及び米国は,2条1項に規定する犯罪について訴追し,審判し,又は刑罰を執行するために 他方の締約国(請求国)からその引渡しを求められた者であってその領域において発見されたものを,本件条約の規定に従い請求国に引き渡す義務を負う(1条前段)。そして,本件条約に基づく引渡しは,未だ有罪判決を受けていない引渡請求対象者については,被請求国の法令上引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があることを証明する十分な証拠がある 場合に行われる(3条。ただし,4条から6条までに定める引渡義務を負わない場合を除く。)。引渡請求には,引渡請求対象者を特定する事項を記載した文書,犯罪事実を記載した書面,引渡請求に係る犯罪の構成要件,罪名及び刑罰を定める法令の条文,訴追又は刑罰の執行に関する時効を定める法令の条文を添付するほか(8条2項),引渡請求が有罪の判決を受けていな い者について行われ 渡請求に係る犯罪の構成要件,罪名及び刑罰を定める法令の条文,訴追又は刑罰の執行に関する時効を定める法令の条文を添付するほか(8条2項),引渡請求が有罪の判決を受けていな い者について行われる場合には,請求国の裁判官その他の司法官憲が発した 逮捕すべき旨の令状の写し,引渡請求対象者が同令状にいう者であることを証明する証拠資料,引渡請求対象者が被請求国の法令上引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があることを示す証拠資料を添付することとされ(同条3項),被請求国の行政当局は,引渡請求の裏付けとして提出された資料が本件条約の要求するところを満たすのに十分でないと認める 場合には,同国の裁判所に当該引渡請求を付託するかどうかを決定する前に請求国が追加資料を提出することができるようにするため,請求国に対しその旨を通知することとされている(同条7項)。 そして,被請求国の行政当局において適式なものと認められた引渡請求は同国の裁判所に付託され,その付託を受けた裁判所において,引渡請求対象 者が被請求国の法令上引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があることを証明する十分な証拠があるか否か,被請求国が引渡義務を負わない場合に当たるか否か等を審査すべきものと解される。このような審査を経て,被請求国において請求国の引渡請求に応じるか否かが決定され,その決定は外交上の経路により請求国に通知される(本件条約12条1項参 照)。 (2) 以上のような本件条約の定めや被請求国における引渡請求に係る審査手続の基本的構造に照らすと,日本国が本件条約に基づき請求国としてする引渡請求について,本件条約の規定に適合しているか否か,すなわち,上記のような引渡請求の手続的要件(引渡請求対象者の特定,法令の条文及び逮捕 的構造に照らすと,日本国が本件条約に基づき請求国としてする引渡請求について,本件条約の規定に適合しているか否か,すなわち,上記のような引渡請求の手続的要件(引渡請求対象者の特定,法令の条文及び逮捕令 状の写し等の資料の添付等)及び実体的要件(被請求国の法令上犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由に係る証拠の十分性等)を充足するか否かに関する判断は,被請求国である米国の行政当局及び同国の裁判所における審査に委ねられているというべきである。そして,上記の手続的要件に関しては,被請求国の行政当局において当該引渡請求の裏付けとして提出された資料が 十分でないと認める場合には,請求国に対して追加の資料の提出を可能とす るためその旨を通知するものとされており(本件条約8条7項),また,上記の実体的要件に関しては,引渡請求対象者が当該引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があるか否かを被請求国の法令に照らして判断するものとされている(本件条約3条)のであるから,このような米国における審査とは別に,日本国の裁判所において当該引渡請求の本件条約適 合性を審査することは,本件条約の予定しないところであるといわざるを得ない。 以上に鑑みると,日本国が本件条約に基づく請求国として引渡請求をする場合に,米国における審査に委ねられている当該引渡請求の本件条約適合性につき,日本国の裁判所に行政事件訴訟を提起して争うことは許されないと 解するのが相当である。 2(1) ところで,本件条約8条3項は,引渡請求に請求国において発付された「逮捕すべき旨の令状」の写しを添付すべきものとする一方,その令状の発付が適法にされたか否かを確認するための資料の添付は求めていない。これは,同項にいう「逮捕すべき旨の令状」が,請求国の裁判官そ た「逮捕すべき旨の令状」の写しを添付すべきものとする一方,その令状の発付が適法にされたか否かを確認するための資料の添付は求めていない。これは,同項にいう「逮捕すべき旨の令状」が,請求国の裁判官その他の司法官 憲により発付されるものに限定されており,その発付に当たり請求国における司法判断を経ていることを踏まえ,逮捕状の発付の適法性は専ら請求国において判断されるべきであるとしたものと解される。そして,日本国の刑事訴訟手続においては,逮捕に対する不服申立ては許されず(最高裁昭和57年(し)第101号同年8月27日第一小法廷決定・刑集36巻6号726 頁等参照),勾留請求の段階で逮捕の適否に係る司法審査を受けることが予定されているところ,本件条約に基づく日本国を請求国とする引渡請求は,同請求に係る被疑事件について,米国に所在する被疑者(引渡請求対象者)の日本国への引渡しを受けることにより,日本国で発付された逮捕状の執行を可能ならしめるものであって,いわば,日本国における逮捕手続の補完と しての性質及び機能を有するものといえる。 そうすると,仮に,本件条約に基づく日本国を請求国とする引渡請求を対象として,日本国において行政事件訴訟を提起し,当該引渡請求に係る逮捕状の発付の適否を争うことができるものとすれば,本来,日本国の刑事訴訟手続に関する定めに従った司法審査がされるべき逮捕の適否につき,行政事件訴訟においてもこれを審査してその逮捕の効力を否定することができるの と実質的に異ならないこととなり,これは現行法制度の予定するところではないといわなければならない(なお,本件条約に基づく引渡請求に係る被請求国の審査手続において,同国の法令上引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があることを証明する十分な するところではないといわなければならない(なお,本件条約に基づく引渡請求に係る被請求国の審査手続において,同国の法令上引渡請求に係る犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があることを証明する十分な証拠があるか否かが審査されるが,前記1(2)にみたとおり,この審査は当該引渡請求が本件条約の定 める実体的要件を充足するか否かに係るものである上,あくまでも被請求国の法令に照らして判断されるものであるから,被請求国において上記の審査がされることをもって,以上の理が左右されるものではない。)。 (2) また,上記(1)のような本件条約に基づく引渡請求の性質及び機能に鑑みると,日本国の捜査当局において同請求の実施を相当とした判断の適否につ いても,逮捕の適否と同様に,日本国の刑事訴訟手続に関する定めに従った司法審査の対象となるべきものといえるから,これを争うために日本国において行政事件訴訟の提起をすることもまた許されないものというべきである。 (3) したがって,日本国が本件条約に基づく請求国として引渡請求をする場合に,日本国の刑事訴訟手続に関する定めに従った司法審査の対象となるべき 当該引渡請求に係る逮捕状の発付の適否及び同請求の実施を相当とした日本国の捜査当局の判断の適否についても,日本国の裁判所に行政事件訴訟を提起してこれを争うことは許されないと解するのが相当である。 3 以上によれば,日本国が本件条約に基づく請求国として,被請求国である米国に対し,有罪の判決を受けていない引渡請求対象者に係る引渡請求をする場 合において,当該引渡請求の本件条約適合性及び同請求に係る逮捕状の発付等 の適否のいずれについても,これを争うために日本国において行政事件訴訟を提起することは許されず,結局のところ,当該引渡請求の適否 当該引渡請求の本件条約適合性及び同請求に係る逮捕状の発付等 の適否のいずれについても,これを争うために日本国において行政事件訴訟を提起することは許されず,結局のところ,当該引渡請求の適否については日本国の行政事件訴訟による審査の対象外であるというほかない。したがって,本件引渡請求の適否について日本国において行政事件訴訟を提起して争うことは許されないと解するべきである。 4 原告は,本件条約に基づく引渡請求を経る場合と日本国内で逮捕手続が完結する場合との相違や本件条約の国内法に対する優位性を主張するが,本件条約に基づく日本国を請求国とする引渡請求が,日本国の刑事訴訟手続において不服申立てが許されていない逮捕状の発付につき,その逮捕手続を補完するものであることは前記2において説示したとおりであり,原告の主張するところを 踏まえても,本件引渡請求の適否について日本国において行政事件訴訟を提起して争うことが許されると解することはできない。 なお,原告は,国家賠償請求訴訟において身柄拘束の適否が審査される場合があることを指摘するが,以上の理は当該身柄拘束の効力に関する行政事件訴訟の提起が許されないことを述べたものであって,これによって被った損害の 賠償を事後的に求める民事訴訟について,これと同一に論じることができないことは明らかである。 したがって,原告の主張はいずれも採用することができない。 第4 結論以上によれば,本件訴えは不適法であるから,これを却下することとして, 主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官村松悠史 裁判官和田山弘剛は,転補につき,署名 方裁判所民事第51部 裁判長裁判官 清水知恵子 裁判官 村松悠史 裁判官 和田山弘剛は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官 清水知恵子(別紙1省略)

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