主文 本件上告を棄却する。理由 弁護人西岡勇の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(なお、原判決は、被告人の本件失火につき、刑法一一七条ノ二前段に規定する業務上失火罪の成立を是認した第一審判決を維持するに当つて、本件事故車両に装置したデイーゼル・エンジンの動力発生原理を基として、被告人が火気取り扱い業務に従事する者にあたる旨判示したのは、措辞妥当を欠くが、原判決の確定した事実によると、デイーゼル・エンジンの排気管は、運転中温度が著しく上昇し、これに可燃物を接触させると火災発生の危険があるのであり、被告人は、デイーゼル・エンジン自動車の運転者として、これを安全な状態に保持して運行すべき地位にあり、また、万一燻焦の臭気を感知したような場合には、直ちに運転を中止し応急の措置をとる注意義務があるというべきであるから、被告人が第一審判決の認定する経過で火を失した場合には、業務上失火罪に該当するものと解するのが相当である。)。また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。昭和四六年一二月二〇日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小川信雄裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一裁判官岡原昌男- 1 - 裁判官岡原昌男
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