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主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実及び理由 第1 請求 1 被告灘税務署長が原告Aに対して同原告の平成4年度分所得税について平成8年1月29日付けでした更正処分のうち,納付すべき税額656万9600円を超える部分を取り消す。2 被告灘税務署長が原告Bに対して同原告の平成4年度分所得税について平成8年1月29日付けでした更正処分のうち,納付すべき税額623万3200円を超える部分を取り消す。3 被告西宮税務署長が原告Cに対して同原告の平成4年度分所得税について平成8年1月29日付けでした更正処分のうち,納付すべき税額645万6600円を超える部分を取り消す。第2 事案の概要等 1 事案の骨子本件は,被告灘税務署長が原告A及び同Bに対して,被告西宮税務署長が原告Cに対して,それぞれ平成8年1月29日付けで,別表1の更正及び賦課決定欄記載のとおり,平成4年分所得税の各更正処分(以下,合わせて「本件各処分」という。)を行ったところ,原告らが,それぞれ本件各処分を行った被告らに対し,本件各処分がいずれも違法であるとして,本件各処分のうち,それぞれ別表1の確定申告欄の納付すべき税額欄記載の各金額を超える部分の取消しを求めた事案である。2 前提事実以下の事実は,いずれも当事者間に争いがない。(1) 本件土地の所有,本件建物建築請負契約Dは,昭和28年4月26日相続を原因として,明石市α1090番の1及び同1091番の2の宅地(以下「本件土地」という。)を取得し,同日以後これを所有していた。本件土地には,借地権者7名,借家権者2名の合計9名の利害関係人がいた。Dは,平成3年5月13日付けで,大工建設株式会社との間で,明石市β1189番の2,同1189番の15,同1 所有していた。本件土地には,借地権者7名,借家権者2名の合計9名の利害関係人がいた。 26日相続を原因として,明石市α1090番の1及び同1091番の2の宅地(以下「本件土地」という。)を取得し,同日以後これを所有していた。本件土地には,借地権者7名,借家権者2名の合計9名の利害関係人がいた。Dは,平成3年5月13日付けで,大工建設株式会社との間で,明石市β1189番の2,同1189番の15,同1 所有していた。本件土地には,借地権者7名,借家権者2名の合計9名の利害関係人がいた。Dは,平成3年5月13日付けで,大工建設株式会社との間で,明石市β1189番の2,同1189番の15,同1192番の1の土地上に,請負代金8億1061万円(消費税込み)で,鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建の駐車場建物(甲7,以下「本件建物」という。)の建築工事請負契約を締結した(甲5)。(2) 経過措置に係る届出書の提出Dは,平成4年3月10日,租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前のもの,特に断りのない限り以下同じ。以下「措置法」という。)37条1項14号に規定する特例(以下「本件特例」という。)の適用を受けるため,本件建物を措置法37条1項にいう買換資産とし,本件土地を措置法の一部を改正するための法律(平成3年法律第16号,以下「措置法改正法」という。)附則7条17項にいう特定長期所有土地等に該当する譲渡予定資産として,明石税務署長宛に「買換え等の特例に係る経過措置の適用に関する届出書」(甲6,以下「本件届出書」という。)を提出した。(3) 本件建物の取得本件建物は,平成4年7月末に実質上完成し,平成4年8月10日に工事完了検査を受けているが,平成4年10月29日受付で原告A名義で所有権保存登記がされた(甲7)。したがって,本件建物は,Dが死亡する(平成4年8月11日)直前に,Dが取得したものである。(4) Dの死亡,原告らの相続Dは平成4年8月11日に死亡した。Dの相続人は,3女の原告C,5女の原告A,6女の原告Bの3名であり,その法定相続分は各3分の1である(甲1,別紙「D相続関係図」参照)。(5) 本件土地の売買契約書本件土地売買契約書(甲9)が平成4年9月30日付で作成されており,そこには,D Bの3名であり,その法定相続分は各3分の1である(甲1,別紙「D相続関係図」参照)。(5) 本件土地の売買契約書本件土地売買契約書(甲9)が平成4年9月30日付で作成されており,そこには,D相続人代表である原告Aが,α地区市街地再開発組合(以下「再開発組合」という。 紙「D相続関係図」参照)。(5) 本件土地の売買契約書本件土地売買契約書(甲9)が平成4年9月30日付で作成されており,そこには,D Bの3名であり,その法定相続分は各3分の1である(甲1,別紙「D相続関係図」参照)。(5) 本件土地の売買契約書本件土地売買契約書(甲9)が平成4年9月30日付で作成されており,そこには,D相続人代表である原告Aが,α地区市街地再開発組合(以下「再開発組合」という。)に対し,本件土地を売買代金総額3億7692万円で売り渡す旨が記載されている。そして,再開発組合は,同日,原告らに対し,上記売買代金全額を支払った。(6) 平成4年分所得税の申告,本件更正処分原告A及び同Bは灘税務署長宛に,原告Cは西宮税務署長宛に,法定申告期限内の平成5年3月15日,それぞれ「平成4年分の所得税の確定申告書」を提出した(甲10の1~3)。上記申告において,原告らは,いずれも本件特例を適用した上で申告を行った。ところが,被告灘税務署長は原告A及び同Bに対して,被告西宮税務署長は原告Cに対して,いずれも平成8年1月29日付けで,それぞれ別表1「更正及び賦課決定」欄記載のとおり,平成4年分の所得税を更正する旨の処分(本件各処分)を行った(甲11の1~3)。(7) 不服申立手続原告A及び同Bは被告灘税務署長に対し,原告Cは被告西宮税務署長に対し,平成8年3月25日付けで,別表1の異議申立欄記載のとおり,それぞれ本件各処分について異議申立てを行った(甲12の1~3)。これに対し,被告灘税務署長は原告A及び同Bに対し平成8年6月20日付けで,被告西宮税務署長は原告Cに対し同月19日付けで,それぞれ異議申立てを棄却する旨の決定を行った。そこで,原告らは,平成8年7月20日,国税不服審判所長に対し,別表1の審査請求欄記載のとおり,本件各処分について審査請求を行った(甲13の1~3)。しかし,国税不服審判所長も,平成9年11月28日付けで,審査請求をい 成8年7月20日,国税不服審判所長に対し,別表1の審査請求欄記載のとおり,本件各処分について審査請求を行った(甲13の1~3)。しかし,国税不服審判所長も,平成9年11月28日付けで,審査請求をいずれも棄却する旨の裁決を行った(甲14の1~3)。3 本件特例についての法規,通達(1) 法規ア措置法37条1項措置法37条《特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例》1項は,「個人が,その有する資産で,同項に定める表の各号の上欄に掲げるもののうち事業の用に供しているものの譲渡をした場合において,所定の期間内に,当該各号の下欄に掲げる資産の取得をし,かつ,当該取得の日から1年以内に,当該取得をした資産(買換資産)を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該個人の事業の用に供したとき,又は供する見込みであるときは,当該譲渡による収入金額が当該買換資産の取得価額以下である場合にあっては,当該譲渡に係る資産のうち当該収入金額の100分の80に相当する金額を超える金額に相当するものとして政令で定める部分の譲渡があったものとし,当該収入金額が当該買換資産の取得価額を超える場合にあっては,当該譲渡に係る資産のうち当該取得価額の100分の80に相当する金額を超える金額に相当するものとして政令で定める部分の譲渡があったものとして,譲渡所得金額を計算する。 産の取得価額以下である場合にあっては,当該譲渡に係る資産のうち当該収入金額の100分の80に相当する金額を超える金額に相当するものとして政令で定める部分の譲渡があったものとし,当該収入金額が当該買換資産の取得価額を超える場合にあっては,当該譲渡に係る資産のうち当該取得価額の100分の80に相当する金額を超える金額に相当するものとして政令で定める部分の譲渡があったものとして,譲渡所得金額を計算する。」旨規定している。イ措置法改正法附則7条17項3号しかし,特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(本件特例)は,平成4年1月1日以後に行う譲渡から廃止されることになった。そこで,本件特例の廃止に伴い,その経過措置として,個人が平成4年1月1日以後に譲渡する年の1月1日において所有期間が10年を超える土地等(特定長期土地等)の譲渡をし,かつ,当該個人が減価償却資産の取得を 本件特例の廃止に伴い,その経過措置として,個人が平成4年1月1日以後に譲渡する年の1月1日において所有期間が10年を超える土地等(特定長期土地等)の譲渡をし,かつ,当該個人が減価償却資産の取得をした場合において,以下の要件に該当すれば,本件特例を認めることとされた(措置法の一部を改正する法律〔平成3年法律第16号,措置法改正法〕附則7条17項3号)。(ア) 平成4年1月1日から平成5年12月31日までの期間(特例期間)内に行う特定長期所有土地等に該当するものの譲渡であること。(イ) 特例期間内に行う当該減価償却資産の取得で,平成4年1月1日前に,当該取得に係る契約を締結し,かつ,当該取得に係る対価の額のうち100分の20以上の額の支払を行い,又は当該減価償却資産の建設もしくは製作を開始したものであること。(ウ) 平成4年3月31日までに,取得することとしている当該減価償却資産の種類,所在地,用途,取得予定年月日及び取得予定価額並びに譲渡する見込みである特定長期所有土地等の種類等を記載した「買換え等の特例に係る経過措置の適用に関する届出書」(以下「経過措置に係る届出書」という。)(措置法改正法附則7条17項3号に規定するもの)に,購入契約書の写し及びその取得に係る対価の額の100分の20以上の支払を行ったことを証する書類又は当該減価償却資産の建設もしくは製作を開始したことを証する書類を添付して,納税地の所轄税務署長に提出すること。 する見込みである特定長期所有土地等の種類等を記載した「買換え等の特例に係る経過措置の適用に関する届出書」(以下「経過措置に係る届出書」という。)(措置法改正法附則7条17項3号に規定するもの)に,購入契約書の写し及びその取得に係る対価の額の100分の20以上の支払を行ったことを証する書類又は当該減価償却資産の建設もしくは製作を開始したことを証する書類を添付して,納税地の所轄税務署長に提出すること。(2) 措置法通達37-24租税特別措置法(所得税法関係)通達(昭和46直所4-5。以下「措置法通達」という。)37-24は,下記のとおり規定している。記措置法第37条1項の表の各号の上欄に掲げる資産を譲渡した者が買換資産を取得しないで死亡した場合であっても,その死亡前に買換資産の取 う。)37-24は,下記のとおり規定している。記措置法第37条1項の表の各号の上欄に掲げる資産を譲渡した者が買換資産を取得しないで死亡した場合であっても,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約又は請負契約を締結しているなど買換資産が具体的に確定しており,かつ,その相続人が法定期間内にその買換資産を取得し,事業の用に供したとき(当該譲渡をした者と生計を一にしていた親族の事業の用に供した場合を含む。)は,その死亡した者の当該譲渡につき同項の規定を適用することができる(昭和55直資3-10改正)。4 争点本件における争点は,本件各処分の適法性であるが,具体的には次の4点である。(1) 本件土地の売買契約の当事者及び成立時期。(2) 本件土地の譲渡につき,原告らに措置法37条1項14号の規定による特例の適用があるか。(3) 本件土地の譲渡につき,原告らに措置法通達37-24の適用又は準用若しくは類推適用があるか。(4) 原告らの平成4年分所得税につき,その納付すべき税額が次の各金額以上の金額であると認められるか。ア原告A 1594万1100円イ原告B 1603万6900円ウ原告C 1612万6200円第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(本件土地売買の当事者,時期)について(被告らの主張)以下のとおり,原告らは,本件土地の売買契約が平成4年9月30日に締結された事実につき先行自白したのに,その後,本件土地の売買契約は平成4年4月21日ないし7月22日に成立したと主張を変遷させており,これは自白の撤回として許されない。 100円イ原告B 1603万6900円ウ原告C 1612万6200円第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(本件土地売買の当事者,時期)について(被告らの主張)以下のとおり,原告らは,本件土地の売買契約が平成4年9月30日に締結された事実につき先行自白したのに,その後,本件土地の売買契約は平成4年4月21日ないし7月22日に成立したと主張を変遷させており,これは自白の撤回として許されない。また,本件土地の売買契約における売主は原告らである。(1) 自白の撤回の不許原告らは,訴状において,原告ら3名が平成4年9月30日に再開発組合との間で本件土地の売買契約 撤回として許されない。また,本件土地の売買契約における売主は原告らである。(1) 自白の撤回の不許原告らは,訴状において,原告ら3名が平成4年9月30日に再開発組合との間で本件土地の売買契約をしたとの事実を主張した。当該事実は,課税処分の適法性を基礎付ける事実で,原告らにとって自己に不利益な事実の陳述であるところ,被告らは当該事実を答弁書で認めて援用したから,これにより先行自白が成立した。ところが,原告らは,本件土地の売買契約は,Dと再開発組合との間で平成4年4月ないし7月に成立したものであると主張するに至り,当該事実についての自白を撤回しようとしている。しかし,被告は上記自白の撤回に異議を述べ,かつ,上記自白が真実に反するとも,錯誤に基づくものとも認められないから,原告らが上記自白を撤回することは許されない。(2) 契約締結年月日等また,次の事実から,本件土地の売買契約は平成4年9月30日に締結され,売主は原告らであることが明らかである。ア契約書の記載本件土地の売買契約書(甲9)には,売主として,原告Aの署名押印があり,契約の日付は平成4年9月30日と記載されているところ,土地売買のような重大な契約については,契約書の作成によって意思表示の合致があったと認めるのが経験則に沿う。イ契約締結の経緯再開発組合とE側(編注 Eは,Dの姓である。)及び本件土地のすべての借地人らとの覚書の締結が本件土地の売買契約締結の前提条件であったところ,すべての覚書締結が完了したのが平成4年9月30日であった。したがって,本件土地の売買契約が締結できるようになったのはDの死亡後であり,その当事者(売主)が原告らであることは明らかである。 成によって意思表示の合致があったと認めるのが経験則に沿う。イ契約締結の経緯再開発組合とE側(編注 Eは,Dの姓である。)及び本件土地のすべての借地人らとの覚書の締結が本件土地の売買契約締結の前提条件であったところ,すべての覚書締結が完了したのが平成4年9月30日であった。したがって,本件土地の売買契約が締結できるようになったのはDの死亡後であり,その当事者(売主)が原告らであることは明らかである。ウ再開発組合の認識本件土地売買契約の買主である再開発組合は,譲渡人を原告A,契約年月日 買契約が締結できるようになったのはDの死亡後であり,その当事者(売主)が原告らであることは明らかである。ウ再開発組合の認識本件土地売買契約の買主である再開発組合は,譲渡人を原告A,契約年月日を平成4年9月30日として兵庫県知事に報告している(甲15の12)。また,平成4年7月22日に開催された再開発組合の第22回理事会の議事録(乙6)の記載によれば,同日時点で本件土地の売買契約が成立していなかったことが明らかである。エ原告らの行動原告らは,本件土地売買後に次のような行動を採っているが,これらはいずれも,平成4年9月30日に原告らと再開発組合の間で売買契約が成立したことを前提としており,逆に平成4年7月以前にDと再開発組合の間で売買契約が成立したこととは矛盾する。(ア) 不動産登記原告らは,本件土地について,平成4年9月14日受付で原告Aに相続を原因として所有権移転登記手続をしたうえ,「平成4年9月30日売買」を原因として再開発組合に所有権移転登記手続を行った(甲2の1・2)。(イ) 税務申告a 相続税原告らは,Dの相続税の申告に当たり,本件土地自体を相続財産として挙げているが,再開発組合への売却代金債権は相続財産として挙げていない。b 譲渡所得仮に,Dが本件土地を売却したものであれば,その売買代金を同人の譲渡所得として準確定申告をすべきところ,原告らはこれを行わず,原告ら自身の譲渡所得として確定申告を行っている。(ウ) 賃料受領等Dないし原告らは,平成4年9月分まで本件土地の賃料を受領しており(乙7),原告らは,そのうち平成4年8月11日までの賃料はDの不動産収入であるとして,その準確定申告をしている(乙8)。(原告らの反論)(1) 自白をしていない被告らは,原告らが本件土地の売買契約の日及び当 譲渡所得として準確定申告をすべきところ,原告らはこれを行わず,原告ら自身の譲渡所得として確定申告を行っている。(ウ) 賃料受領等Dないし原告らは,平成4年9月分まで本件土地の賃料を受領しており(乙7),原告らは,そのうち平成4年8月11日までの賃料はDの不動産収入であるとして,その準確定申告をしている(乙8)。(原告らの反論)(1) 自白をしていない被告らは,原告らが本件土地の売買契約の日及び当 は,そのうち平成4年8月11日までの賃料はDの不動産収入であるとして,その準確定申告をしている(乙8)。(原告らの反論)(1) 自白をしていない被告らは,原告らが本件土地の売買契約の日及び当事者について先行自白したと主張し,これを前提として自白の撤回が許されない旨主張する。しかし,原告らは,訴状において,「再開発組合との契約は,平成4年9月30日付にて,同組合が買主となり,売主の代表として原告Aが3名を代表して署名し,同日,代金全額の支払を受けた。」と主張したのであり,本件土地の売買契約書の日付等,同契約書の記載内容を主張したものにすぎない。したがって,売買契約の真実の成立日が平成4年7月22日であるとの主張とは何ら矛盾しないから,原告らは自白をしたものではない。(2) 契約成立年月日等本件土地の売買契約は,以下のとおり,Dと再開発組合との間で,平成4年4月21日ないし7月22日に成立したものである。ア原告ら主張の要旨本件土地について,Dと再開発組合との間で,平成4年4月21日に売買する旨の合意が事実上なされたが,金額等の若干の未確定部分が残されていた。この合意を受けて,同年7月22日,再開発組合がDに対して売買代金3億7692万円を通知し,これにより売買金額が確定して,売買契約が確定した。同年9月30日は,売買契約の履行がなされたものにすぎない。イその根拠その根拠は,次のとおりである。(ア) 再開発組合の理事会議事録の記載平成4年4月13日開催の第15回理事会議事録に,E側の弁護士から覚書が呈示され,権利割合についても明示されていた事実,売買代金について同年6月3日の第2回評価基準日価額で交渉を進めている事実が記載されている(乙6-72頁)。また,同年7月22日開催の第22回理事会議事録に,本件土 についても明示されていた事実,売買代金について同年6月3日の第2回評価基準日価額で交渉を進めている事実が記載されている(乙6-72頁)。 開催の第15回理事会議事録に,E側の弁護士から覚書が呈示され,権利割合についても明示されていた事実,売買代金について同年6月3日の第2回評価基準日価額で交渉を進めている事実が記載されている(乙6-72頁)。また,同年7月22日開催の第22回理事会議事録に,本件土 についても明示されていた事実,売買代金について同年6月3日の第2回評価基準日価額で交渉を進めている事実が記載されている(乙6-72頁)。また,同年7月22日開催の第22回理事会議事録に,本件土地の買収について,銀行から資金を調達のうえ,代金3億7692万円で買収手続を進めるとの報告がなされており(乙6-117頁),同日以後は問題が残されなかったため,以後の理事会議事録には本件土地の売買に関する記載がされていない。(イ) 合意書の日付被告らは,借地権の割合についての交渉が未了であるという原告ら側の事情で,平成4年7月以前に本件土地の売買契約ができる状況にはなかった旨主張する。しかし,借地権者との間での借地権割合の合意についての交渉は,すべての権利者につき,双方で弁護士を委任のうえ,合意書を作成した(甲15の5,甲17の1~4)。上記合意書は,いずれも平成4年4月初旬に合意されていることが,その日付から明らかである。しかも,甲第17号証の1・2には「92年02月10日サカタホウリツ事務所」とのファックスの際の印字があり,平成4年2月には既に交渉がされていたことが窺われるのである。(ウ) 兵庫県知事への届出Dと再開発組合の連名により,平成4年4月21日付けで,本件土地に係る土地売買等届出書が兵庫県知事宛に提出されている(甲15の6)。(3) 本件土地の売主Dは,本件土地の売却によって売買代金が入ることを前提に,本件建物を建築したのである。Dは前記(2)アの平成4年7月22日当時存命だったのであるから,本件土地の売主はDである。本件土地の売買契約書(甲9)にも,売主として「故D相続人代表 A」とわざわざ記載されている。被告らは,原告らが準確定申告をすべきであったのにこれをしていないから,売主はDではないと主張する。しか 件土地の売買契約書(甲9)にも,売主として「故D相続人代表 A」とわざわざ記載されている。被告らは,原告らが準確定申告をすべきであったのにこれをしていないから,売主はDではないと主張する。しかし,原告らが準確定申告をしたことによって,売買契約日及び売主という過去の事実に変動を来すものでないことは明らかであり,被告らの上記主張は失当である。 のにこれをしていないから,売主はDではないと主張する。しか 件土地の売買契約書(甲9)にも,売主として「故D相続人代表 A」とわざわざ記載されている。被告らは,原告らが準確定申告をすべきであったのにこれをしていないから,売主はDではないと主張する。しかし,原告らが準確定申告をしたことによって,売買契約日及び売主という過去の事実に変動を来すものでないことは明らかであり,被告らの上記主張は失当である。2 争点(2)(本件特例の適用の有無)について(被告らの主張)原告らには,以下のとおり,本件特例(措置法37条1項14号)は適用されない。(1) 譲渡資産の譲渡者と買換資産の取得者との不一致上記1(被告らの主張)のとおり,譲渡資産である本件土地の譲渡を行ったのは,Dの相続人である原告らである。他方,原告らが買換資産と主張する本件建物を取得したのがDであることは,前記第2の2(3)のとおり,当事者間に争いがない。ところで,本件特例が適用されるのは,譲渡資産を譲渡した個人が買換資産を取得した場合に限られることは,措置法37条1項の規定上明らかである。ところが,本件では,譲渡資産(本件土地)の譲渡者(原告ら)と買換資産(本件建物)の取得者(D)とが同一人ではないから,原告らには本件特例は適用されない。(2) 経過措置に係る届出書の未提出原告らが本件特例の適用を受けるためには,原告らの所轄税務署長宛に,経過措置に係る届出書を提出しなければならない(措置法改正法附則7条17項3号)。ところが,原告らは経過措置に係る届出書を提出していないから,この点からも,原告らには本件特例の適用がないことは明らかである。なお,原告らは,Dの提出した経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)の効力を,原告らが相続人として承継した旨主張する。しかし,本件届出書の効力が原告らに承継される旨の明文規定が存在しない ある。なお,原告らは,Dの提出した経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)の効力を,原告らが相続人として承継した旨主張する。しかし,本件届出書の効力が原告らに承継される旨の明文規定が存在しない以上,本件届出書の効力が原告らに承継されるとは解されない。(原告らの反論)原告らには,以下のとおり,本件特例(措置法37条1項14号)が適用される。(1) 譲渡資産の譲渡者と買換資産の取得者との一致上記1(原告らの主張)のとおり,譲渡資産である本件土地の譲渡を行ったのはDである。 )の効力を,原告らが相続人として承継した旨主張する。しかし,本件届出書の効力が原告らに承継される旨の明文規定が存在しない以上,本件届出書の効力が原告らに承継されるとは解されない。(原告らの反論)原告らには,以下のとおり,本件特例(措置法37条1項14号)が適用される。(1) 譲渡資産の譲渡者と買換資産の取得者との一致上記1(原告らの主張)のとおり,譲渡資産である本件土地の譲渡を行ったのはDである。他方,原告らが買換資産と主張する本件建物を取得したのがDであることは,前記第2の2(3)のとおり,当事者間に争いがない。このように,本件では,譲渡資産(本件土地)の譲渡者と買換資産(本件建物)の取得者とが同一人(D)であるから,本件特例(措置法37条1項14号)が適用される。(2) 経過措置に係る届出書の提出Dは,生前,経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)を提出している。原告らは,Dの提出した本件届出書の効力を相続人として承継した。3 争点(3)(措置法通達37-24の適用,準用,類推適用の有無)について(被告らの主張)原告らには,以下のとおり,措置法通達37-24の適用がないばかりか,同通達の準用,類推適用もすることができない。(1) 措置法通達37-24の不適用原告らは,平成4年4月ないし7月に本件土地の売買契約が成立したと主張するが,前記1(被告らの主張)のとおり,かかる前提自体が誤っており,売買契約締結日は同年9月30日である。そして,措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約を締結しているなど,譲渡資産を譲渡した者が死亡した場合に関する規定であり,本件のように,買換資産を取得した 措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約を締結しているなど,譲渡資産を譲渡した者が死亡した場合に関する規定であり,本件のように,買換資産を取得した者が譲渡資産を譲渡する前に死亡した事案に関する規定ではない。したがって,原告らに措置法通達37-24の適用がないことは明らかである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用の否定原告らは,平成4年4月ないし7月に本件土地の売買契約が具体的に確定していたとして,措置法通達37-24が準用ないし類推適用されると主張する。しかし,売買契約は法律行為であって事実行為でないから,意思表示の合致がいつであったかという観点から契約の成立日が判断されるのであり,上記主張自体が失当である。 措置法通達37-24の適用がないことは明らかである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用の否定原告らは,平成4年4月ないし7月に本件土地の売買契約が具体的に確定していたとして,措置法通達37-24が準用ないし類推適用されると主張する。しかし,売買契約は法律行為であって事実行為でないから,意思表示の合致がいつであったかという観点から契約の成立日が判断されるのであり,上記主張自体が失当である。措置法通達37-24が,契約が締結されているなど買換資産が具体的に確定していればよいとしているのは,建物の建築等の場合には,請負契約が締結されても,完成して所有権が移転するまでに相当の時間がかかることがあるため,本件特例の適用を認めたものにすぎない。他方,譲渡資産については,通常,契約成立によって当然所有権が移転するから,このような問題は発生しない。このように譲渡と取得を同一視することはできない。したがって,本件においては,措置法通達37-24を準用ないし類推適用することもできないというべきである。(原告らの反論)原告らには,措置法通達37-24の適用があるのは勿論,もし同通達の適用が認められないとしても,同通達の準用ないし類推適用をすべきである。その理由は,以下のとおりである。(1) 措置法通達37-24の適用措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約を締結しているなど,買換資産が具体的に確定してお 以下のとおりである。(1) 措置法通達37-24の適用措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約を締結しているなど,買換資産が具体的に確定しており,かつ,その相続人が法定期限内に買換資産を取得し事業の用に供した場合には,死亡した者の譲渡所得について,本件特例の適用を認めるものである。そして,前記1(原告らの反論)のとおり,Dの生前に譲渡資産の譲渡も買換資産の取得もされたのであり,どちらが先に完了するかは重要な意味を持たないから,本件においても,原告らに措置法通達37-24の適用があるというべきである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用仮に,本件土地売買契約の成立が平成4年9月30日であったとしても,前記1(原告らの反論)のとおり,同年7月22日には譲渡が具体的に確定していた。 記1(原告らの反論)のとおり,Dの生前に譲渡資産の譲渡も買換資産の取得もされたのであり,どちらが先に完了するかは重要な意味を持たないから,本件においても,原告らに措置法通達37-24の適用があるというべきである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用仮に,本件土地売買契約の成立が平成4年9月30日であったとしても,前記1(原告らの反論)のとおり,同年7月22日には譲渡が具体的に確定していた。そして,買換資産を取得した者が譲渡資産を譲渡する前に死亡した場合であっても,措置法通達37-24の規定する場合と比較して,買換資産の取得と譲渡資産の譲渡の先後関係が逆であるにすぎず,実態は同じであるといえるから,原告らには同通達の準用ないし類推適用をすべきである。4 争点(4)(原告らの各所得税額)について(被告らの主張)原告らの納付すべき平成4年分の所得税額の算出過程は,別表2の(1)ないし(10)欄の各原告欄記載のとおりであり,原告Aの所得税額は1722万9200円,原告Bの所得税額は1730万7500円,原告Cの所得税額は1718万1400円である。そして,本件更正処分は,そのいずれもが上記所得税額の範囲内でなされたものであり,適法である。(原告らの反論)原告らの納付すべき平成4年分の所得税額は,別表1の確定申告欄の各原告欄記載のとおりであり,原告Aが656万9600円,原告 記所得税額の範囲内でなされたものであり,適法である。(原告らの反論)原告らの納付すべき平成4年分の所得税額は,別表1の確定申告欄の各原告欄記載のとおりであり,原告Aが656万9600円,原告Bが623万3200円,原告Cが645万6600円である。第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件土地売買の当事者,時期)について(1) 自白の成立,その撤回の可否ア原告らは,訴状の請求原因四ロ2において,「再開発組合との契約は,平成4年9月30日付にて,同組合が買主となり,売主の代表として原告Aが3名を代表して署名し,代金全額を同日支払いを受けた。(甲第9号証土地売買契約書)」と記載し,同訴状を平成10年5月6日の第1回口頭弁論期日において陳述して,原告らが平成4年9月30日に再開発組合との間で本件土地の売買契約を締結した事実を主張した。イ上記本件土地売買契約日及び当事者に係る事実は,本件各処分の適法性を基礎付ける主要事実であるところ,原告らにとって上記事実の陳述は,本件特例の適用要件を充たさないことを認めることになるから,自己に不利益な事実の陳述に当たる。 買契約書)」と記載し,同訴状を平成10年5月6日の第1回口頭弁論期日において陳述して,原告らが平成4年9月30日に再開発組合との間で本件土地の売買契約を締結した事実を主張した。イ上記本件土地売買契約日及び当事者に係る事実は,本件各処分の適法性を基礎付ける主要事実であるところ,原告らにとって上記事実の陳述は,本件特例の適用要件を充たさないことを認めることになるから,自己に不利益な事実の陳述に当たる。そして,被告らは,上記事実を答弁書で認めたうえ(答弁書第三の四2(二)及び第六の二1(四)),第1回口頭弁論期日にこの答弁書を陳述することによって,これを援用しており,これによって自白が成立したものと認めるのが相当である。ところが,その後,原告らは,「本件土地の売買契約は,Dと再開発組合との間で,平成4年4月ないし7月に成立したものである。」旨主張を変更し,上記事実についての自白を撤回しようとした。ウところで,自白の撤回が認められるためには,自白した内容が真実に反し,かつ,自白が錯誤によりされたことを要するところ,後記(2)(3)で認定判断するとおり,上記自白が真 自白を撤回しようとした。ウところで,自白の撤回が認められるためには,自白した内容が真実に反し,かつ,自白が錯誤によりされたことを要するところ,後記(2)(3)で認定判断するとおり,上記自白が真実に反することの証明はなく,むしろ真実であることが認められる。したがって,原告らの上記自白の撤回は認められないといわなければならない。エなお,原告らは,訴状請求原因四ロ2における記載は,本件土地売買契約書(甲9)の記載内容を主張したものにすぎず,原告らには自白が成立しない旨主張する。しかし,上記訴状の記載は,平成4年9月30日に原告らが本件土地の売買契約を締結したという事実の主張としか理解できず,書証の記載内容の引用と読むことは困難であるから,原告らの上記主張は採用できない。オ以上のとおり,本件では,本件土地売買契約の当事者,時期について自白が成立し,その撤回が許されないのであるから,原告らは,平成4年9月30日,再開発組合との間で,本件土地売買契約を締結した事実が認められる。(2) 事実の認定しかも,前記第2の2の前提事実に,証拠(甲2~9〔枝番を含む〕,甲15~17〔枝番を含む〕,甲18〔一部〕,乙3~10,原告A本人〔一部〕,再開発組合からの調査嘱託に対する回答)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 について自白が成立し,その撤回が許されないのであるから,原告らは,平成4年9月30日,再開発組合との間で,本件土地売買契約を締結した事実が認められる。(2) 事実の認定しかも,前記第2の2の前提事実に,証拠(甲2~9〔枝番を含む〕,甲15~17〔枝番を含む〕,甲18〔一部〕,乙3~10,原告A本人〔一部〕,再開発組合からの調査嘱託に対する回答)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。ア Dは,本件土地を再開発組合に売却し,その売却代金でもって明石市β1189番2外2筆の土地上に本件建物(地下1階付6階建の駐車場建物)を建築することを計画し,平成3年5月13日,大工建設株式会社との間で,本件建物建築請負契約を締結し(甲5),平成4年3月10日,本件特例の適用を受けるため,本件建物を買換資産とし,本件土地を譲渡予定資産として,明石税務署長宛に経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)を提出した 請負契約を締結し(甲5),平成4年3月10日,本件特例の適用を受けるため,本件建物を買換資産とし,本件土地を譲渡予定資産として,明石税務署長宛に経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)を提出した。イそして,本件建物は,平成4年7月末に実質上完成し,平成4年8月10日に工事完了検査を受け,Dが本件建物の所有権を所得した。しかし,Dは,その直後の同月11日に死亡した。Dの相続人はDの子である原告ら3名であり(別紙相続関係図参照),D死亡当時本件土地は未だ再開発組合に売却されていなかった。そこで,原告ら3名が,本件土地及び建物所有権を各3分の1の割合で相続した。ウその後,原告Aは,原告ら3名を代表して,平成4年9月30日,再開発組合との間で,本件土地を代金3億7692万円で売却する旨の契約を締結し(甲9),再開発組合は,同日,上記売買代金全額を原告らに支払った。(3) 前記認定の補足説明前示(2)のイ,ウのとおり,本件土地売買契約は,原告らと再開発組合との間で,平成4年9月30日に締結されたものであり,本件土地の売主はDではなく原告らであることが認められる。そのように認定できる根拠は,以下のとおりである。ア合意書提出,覚書作成の遅延(ア) 証拠(甲3の4,甲9,甲15の1~13,乙3~7,乙9,乙10)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。a 再開発組合は,本件土地の売買契約についての交渉に際し,Dとすべての借地人,借家人の間の権利価格割合の合意書が再開発組合に提出されて,再開発組合が,D,すべての借地人,借家人との間でその合意に従った覚書を作成することを売買契約締結の前提条件としており,この条件はDも了承していた。 ア) 証拠(甲3の4,甲9,甲15の1~13,乙3~7,乙9,乙10)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。a 再開発組合は,本件土地の売買契約についての交渉に際し,Dとすべての借地人,借家人の間の権利価格割合の合意書が再開発組合に提出されて,再開発組合が,D,すべての借地人,借家人との間でその合意に従った覚書を作成することを売買契約締結の前提条件としており,この条件はDも了承していた。b ところが,Dと借地人F,同G,借家人Hの権利価格割合に関する合意書を再開発組合へ提出するのが遅 の合意に従った覚書を作成することを売買契約締結の前提条件としており,この条件はDも了承していた。b ところが,Dと借地人F,同G,借家人Hの権利価格割合に関する合意書を再開発組合へ提出するのが遅れ,平成4年8月末か9月初旬(Dの死亡後)になってようやく,E側とすべての借地人,借家人との間の合意書が再開発組合に提出された。c 例えば,G(借地人)は,本件土地上の建物所有権(借地権付)を誰が取得するかで相続人間で揉めており,相続人間で決着がついたのは,真正な登記名義の回復を原因とする登記をした平成4年8月4日であり(甲3の4),合意書を作成したのは平成4年9月上旬であった(乙10)。d その後,上記合意書の権利価格割合に従って,再開発組合は,E側,すべての借地人,借家人と順次覚書を締結していった。例えば,借地人Iとの間で覚書が締結されたのは平成4年9月10日であり(乙7添付の別紙5),借地人F,借家人Hとの間で覚書が締結されたのは同月30日であった(甲15の11)。そのため,平成4年9月30日になってようやく,本件土地売買契約が締結されたのである(甲9)。(イ) 原告らは,「本件土地の売買契約は,Dと再開発組合との間で,平成4年7月22日ころ(あるいは平成4年4月ないし7月)に成立したものである。」と主張する。しかし,前示(ア)aのとおり,本件土地の売買契約では,Dとすべての借地人,借家人の間の権利価格割合の合意書が提出されて,再開発組合が,D,すべての借地人,借家人との間でその合意に従った覚書を作成することを売買契約締結の前提条件とされていた。ところが,平成4年8月末か9月初旬(Dの死亡後)になってようやく,上記合意書が再開発組合に提出され,最後の覚書の作成が同年9月30日までずれ込み,同日になってようやく本件土地の売買契約が ,本件土地の売買契約では,Dとすべての借地人,借家人の間の権利価格割合の合意書が提出されて,再開発組合が,D,すべての借地人,借家人との間でその合意に従った覚書を作成することを売買契約締結の前提条件とされていた。ところが,平成4年8月末か9月初旬(Dの死亡後)になってようやく,上記合意書が再開発組合に提出され,最後の覚書の作成が同年9月30日までずれ込み,同日になってようやく本件土地の売買契約が れていた。ところが,平成4年8月末か9月初旬(Dの死亡後)になってようやく,上記合意書が再開発組合に提出され,最後の覚書の作成が同年9月30日までずれ込み,同日になってようやく本件土地の売買契約が締結されたのである。原告らが主張する平成4年7月22日ころ(あるいは平成4年4月ないし7月時点)は,未だ売買契約が成立していなかったことが明らかである。以上の事実は,次のaないしcのような客観的な証拠,ないしは被告らとは何の利害関係もない第三者の供述から明らかである。それゆえ,原告らの上記主張は,到底採用することができない。a 本件土地売買契約書(甲9),A,再開発組合,F,H連名による覚書(甲15の11),A,再開発組合,I連名による覚書(乙7添付の別紙5)。b 再開発組合理事会議事録(乙6),再開発組合理事長の回答書(乙3),J(再開発組合理事)に対する質問てん末書(乙4,乙9)。cIに対する質問てん末書(乙7),Gに対する質問てん末書(乙10)。イ原告Aの供述原告Aは,当裁判所での本人尋問において,「本件土地の売買取引はDの生前は行われていなかった,手続が遅れていた。」と明確に供述している(原告本人A尋問調書13,14頁)。この原告Aの供述からも,本件土地の売買契約が締結されたのはDの死後であり,その売主側の当事者は,Dではなく原告らであることが認められる。ウ本件土地売買契約書の記載本件土地売買契約書(甲9)は,平成4年9月30日に,原告Aと再開発組合との間で調印された(この事実は原告らも認めている)。同契約書には,売買契約の日付が「平成4年9月30日」と記載されており,また,売主として原告Aの署名押印がされている。原告Aの署名の左肩に「(故D相続人代表)」と肩書きが手書きで記載されているが,これは原告Aが記載したも 日付が「平成4年9月30日」と記載されており,また,売主として原告Aの署名押印がされている。 4年9月30日に,原告Aと再開発組合との間で調印された(この事実は原告らも認めている)。同契約書には,売買契約の日付が「平成4年9月30日」と記載されており,また,売主として原告Aの署名押印がされている。原告Aの署名の左肩に「(故D相続人代表)」と肩書きが手書きで記載されているが,これは原告Aが記載したも 日付が「平成4年9月30日」と記載されており,また,売主として原告Aの署名押印がされている。原告Aの署名の左肩に「(故D相続人代表)」と肩書きが手書きで記載されているが,これは原告Aが記載したものではなく,売買契約当時に記載されていなかったものである(原告本人A尋問調書16頁。なお,甲15の9には,上記肩書きの記載はない。)。そして,上記相続人代表の記載は,原告ら全員が売買契約書に署名押印したものではないため,何者かが原告B,原告Cにも売買契約の効果が帰属することを示すために,後日書き入れたものと考えられる。現に,原告らは,「売主は相続人代表としてAとした。」と主張しており(原告らの平成12年9月27日付準備書面1,2頁),本件土地売買契約は,Dの相続人である原告ら3名を代表して原告Aが締結したものに他ならないのである。したがって,上記売買契約書の記載内容からも,本件土地売買契約は,平成4年9月30日に,原告らと再開発組合との間で締結されたものであることが認められる。エ本件土地不動産登記簿の記載本件土地は,平成4年8月11日相続を原因として,同年9月14日受付でDから原告Aに所有権移転登記がされ,さらに,同年9月30日売買を原因として,同年10月13日受付で原告Aから再開発組合に所有権移転登記がされている(甲2の1・2)。本件土地の登記簿上の記載からも,本件土地売買契約は,平成4年9月30日に,原告らと再開発組合との間で締結されたものであることが認められる。オ土地売買等契約状況報告書,始末書の記載再開発組合は,国土利用計画法23条1項の規定に基づき,平成4年10月8日付けで,兵庫県知事宛に,本件土地の売買契約の相手方(譲渡人)を原告A,契約年月日を同年9月30日と記載した土地売買等契約状況報告書(甲15の12- 計画法23条1項の規定に基づき,平成4年10月8日付けで,兵庫県知事宛に,本件土地の売買契約の相手方(譲渡人)を原告A,契約年月日を同年9月30日と記載した土地売買等契約状況報告書(甲15の12-1枚目)を提出している。 規定に基づき,平成4年10月8日付けで,兵庫県知事宛に,本件土地の売買契約の相手方(譲渡人)を原告A,契約年月日を同年9月30日と記載した土地売買等契約状況報告書(甲15の12- 計画法23条1項の規定に基づき,平成4年10月8日付けで,兵庫県知事宛に,本件土地の売買契約の相手方(譲渡人)を原告A,契約年月日を同年9月30日と記載した土地売買等契約状況報告書(甲15の12-1枚目)を提出している。再開発組合及び原告Aは,平成4年10月8日付で,連名により,兵庫県知事宛に,始末書(甲15の12-2,3枚目)を提出している。両名は,始末書の中で,取引年月日は平成4年9月30日であり,届出ができなかった理由として,「土地取引を行うまでに,平成4年8月11日にDが死亡し,原告Aに相続登記された。このときに,譲渡人を原告Aとして土地売買等届出書を再提出すべきであったが,それを知らずに,平成4年9月30日に,再開発組合と原告Aが土地取引を行った。」と弁明した。上記土地売買等契約状況報告書,始末書の各記載からも,本件土地売買契約は,平成4年9月30日に,原告らと再開発組合との間で締結されたものであることが認められる。カ再開発組合の理事会議事録の記載再開発組合の平成4年7月22日開催の理事会議事録には,J理事が「先の理事会においてK氏(編注 Kは,Dの姓である。)所有の土地の買収が審議され,同土地に存する諸問題が整理され次第,買収手続きを進めることとされていたが,K氏の弁護士から近日中に諸条件が整理されるとの連絡があったので,既定の方針どおり・・・3億7692万円を買収価額として,その資金を銀行から借入れ,買収手続きを進めることとする,と報告した。」と記載され(乙6-117頁),議長が「既定の方針どおりK氏所有の土地買収を進めることとした。」と記載されている(乙6-118頁)。上記再開発組合の理事会議事録の記載からすれば,同組合は,平成4年7月22日の時点でも,本件土地売買契約が既に締結されたものとは認識して を進めることとした。」と記載されている(乙6-118頁)。上記再開発組合の理事会議事録の記載からすれば,同組合は,平成4年7月22日の時点でも,本件土地売買契約が既に締結されたものとは認識していなかったといわざるを得ない。したがって,以上の再開発組合の理事会議事録の記載からも,本件土地売買契約の締結日は,平成4年7月22日よりも後であることが認められる。 地売買契約が既に締結されたものとは認識して を進めることとした。」と記載されている(乙6-118頁)。上記再開発組合の理事会議事録の記載からすれば,同組合は,平成4年7月22日の時点でも,本件土地売買契約が既に締結されたものとは認識していなかったといわざるを得ない。したがって,以上の再開発組合の理事会議事録の記載からも,本件土地売買契約の締結日は,平成4年7月22日よりも後であることが認められる。キ本件土地の賃料支払状況等原告ら主張のごとく,Dと再開発組合とが平成4年7月22日ころに本件土地の売買契約を締結したのであれば,本件土地の賃借人は,その後は再開発組合に本件土地の賃料を支払わなければならないのに,平成4年9月分まではDないし原告らに賃料を支払い,平成4年10月1日に再開発組合との間で本件土地賃貸借契約を締結して,同年10月分から再開発組合に賃料を支払っている(甲15の10,乙7〔特に別紙6〕,乙8,弁論の全趣旨)。これは,本件土地売買契約が締結されたのは平成4年9月30日であるとを裏付けるものである。ク原告らの税務申告内容等(ア) 賃料についての申告D及び原告らは,平成4年4月から同年9月分まで本件土地の賃料を受領しており,原告らは,そのうち平成4年8月11日までの賃料はDの不動産収入であるとして,同人の所得の準確定申告をしている(乙7,乙8,弁論の全趣旨)。このことは,原告らは,Dが死亡するまでは本件土地はDの所有であることを前提に,その不動産収入をDの収入と考え,準確定申告をしていたことを意味する。(イ) 相続税の申告原告らは,Dの相続税の申告に当たり,本件土地自体を相続財産として挙げており,譲渡代金債権を挙げていたものではない(弁論の全趣旨)。このことは,原告らが本件土地をDから相続した後,再開発組合に本件土地を譲渡した旨認識していた 当たり,本件土地自体を相続財産として挙げており,譲渡代金債権を挙げていたものではない(弁論の全趣旨)。このことは,原告らが本件土地をDから相続した後,再開発組合に本件土地を譲渡した旨認識していたことを示すものである。(ウ) 譲渡所得仮にDが本件土地を再開発組合に譲渡したものであれば,Dの譲渡所得について準確定申告をすべきところ,原告らはこれを行わず,原告ら自身の譲渡所得として確定申告を行っている(甲10の1~3)。これは,原告らが,Dの死後,再開発組合との間で,本件土地の売買契約を締結したからに他ならない。 ,原告らが本件土地をDから相続した後,再開発組合に本件土地を譲渡した旨認識していたことを示すものである。(ウ) 譲渡所得仮にDが本件土地を再開発組合に譲渡したものであれば,Dの譲渡所得について準確定申告をすべきところ,原告らはこれを行わず,原告ら自身の譲渡所得として確定申告を行っている(甲10の1~3)。これは,原告らが,Dの死後,再開発組合との間で,本件土地の売買契約を締結したからに他ならない。2 争点(2)(本件特例の適用の有無)について(1) 譲渡資産の譲渡者と買換資産の取得者との不一致ア措置法37条1項にいう「取得」の意味通常,個人の有する事業用固定資産等の譲渡があった場合,その資産の所有期間中に値上がり等によって生じた譲渡所得に対して所得税が課税される。その結果,個人が事業用の設備を更新するための資金等を調達する目的で,その有する事業用固定資産等を売却した場合には,その譲渡に伴う税負担分だけ再生産規模を縮小する必要等が生じ,設備更新等による企業設備の合理化,企業基盤の強化の意欲が削がれるおそれがある。そこで,設備更新等のために事業用固定資産の譲渡が行われ,その譲渡代金で新たな資産を取得して自己の事業の用に供した場合には,一定の要件の下で,その譲渡所得の課税について,繰延べを認めることで買換資産の取得を促すというのが,本件特例(前記第2の3(1)ア)の趣旨である。このような本件特例の制度趣旨からすると,買換資産の取得については,譲渡資産の譲渡代金をもって買換資産の取得をすることを前提にしており,措置法37条1項にいう「取得」とは,売買,建設及び製作による取得をいうものであって,金銭の授受が伴わない 資産の取得については,譲渡資産の譲渡代金をもって買換資産の取得をすることを前提にしており,措置法37条1項にいう「取得」とは,売買,建設及び製作による取得をいうものであって,金銭の授受が伴わない相続による取得については「取得」には含まれないと解するのが相当である。イ本件への当てはめ前示1のとおり,譲渡資産である本件土地の譲渡を行ったのは,Dの相続人である原告らである。他方,原告らが買換資産と主張する本件建物を取得(建設)したのがDであることは,当事者間に争いがない。そして,原告らは,本件建物をDから相続により取得したものである(前記1(2)イ)。ところで,本件特例が適用されるには,譲渡資産を譲渡した個人が買換資産を取得した場合に限られることは,措置法37条1項の規定上明らかである。 とおり,譲渡資産である本件土地の譲渡を行ったのは,Dの相続人である原告らである。他方,原告らが買換資産と主張する本件建物を取得(建設)したのがDであることは,当事者間に争いがない。そして,原告らは,本件建物をDから相続により取得したものである(前記1(2)イ)。ところで,本件特例が適用されるには,譲渡資産を譲渡した個人が買換資産を取得した場合に限られることは,措置法37条1項の規定上明らかである。そして,この「取得」には相続による取得は含まれない。ところが,本件では,譲渡資産(本件土地)の譲渡者(原告ら)と買換資産(本件建物)の取得者(D)とが同一人ではないから,原告らには本件特例は適用されない。ウ原告ら主張の検討(ア) 原告らは,相続は包括承継であるから,措置法37条1項について,被相続人が特例の適用を求めた届出をしたことによって,被相続人と国との関係で発生している法律関係も相続により承継する旨主張する。(イ) しかし,措置法37条1項につき,被相続人が買換資産の取得をした場合,これを相続人が取得したものと同視する旨の規定はない。また,民法上の相続による包括承継と税法上の課税要件とは別次元の問題である。たとえば,被相続人が資産を譲渡し,相続人がその譲渡債権を相続した場合と,相続人が資産を譲渡した場合とでは,そもそも,課税要件としての譲渡所得の帰属について,被相続人に帰属するか相続人に帰属するかが異なり,所得税の申告についても,被相続 人がその譲渡債権を相続した場合と,相続人が資産を譲渡した場合とでは,そもそも,課税要件としての譲渡所得の帰属について,被相続人に帰属するか相続人に帰属するかが異なり,所得税の申告についても,被相続人の準確定申告によるか相続人の確定申告によるかといった種々の差異が生じる。(ウ) したがって,措置法37条1項の課税要件を充たすか否かは,あくまで原告らが買換資産を取得したかについて検討されるべきであり,原告らの上記主張は採用できない。(2) 経過措置に係る届出書の未提出前示第2の3(1)イのとおり,原告らが本件特例の適用を受けるためには,原告らの所轄税務署長宛に,経過措置に係る届出書を提出しなければならない(措置法改正法附則7条17項3号)。ところが,本件では,Dは平成4年3月10日に経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)を提出しているが(前記第4の1(2)ア),原告らは経過措置に係る届出書を提出していない(当事者間に争いがない)。 経過措置に係る届出書の未提出前示第2の3(1)イのとおり,原告らが本件特例の適用を受けるためには,原告らの所轄税務署長宛に,経過措置に係る届出書を提出しなければならない(措置法改正法附則7条17項3号)。ところが,本件では,Dは平成4年3月10日に経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)を提出しているが(前記第4の1(2)ア),原告らは経過措置に係る届出書を提出していない(当事者間に争いがない)。原告らは,Dの提出した経過措置に係る届出書(本件届出書,甲6)の効力を,原告らが相続人として承継した旨主張する。しかし,本件届出書の効力が原告らに承継される旨の明文規定が存在しない以上,本件届出書の効力が原告らに承継されるとは解されない。したがって,原告らは経過措置に係る届出書を提出していない点からも,原告らには本件特例の適用が認められない。(3) まとめ以上の次第で,本件においては,前記(1)(譲渡資産の譲渡者と買換資産の取得者との一致),前記(2)(経過措置に係る届出書の提出)の2要件を充足しておらず,原告らには本件特例の適用はないといわなければならない。3 争点(3)(措置法通達37-24の適用,準用,類推適用の有無)について(1) 措置法通達37-24の不適用ア原告らは,平成4年4 らず,原告らには本件特例の適用はないといわなければならない。3 争点(3)(措置法通達37-24の適用,準用,類推適用の有無)について(1) 措置法通達37-24の不適用ア原告らは,平成4年4月ないし7月に,本件土地の売買契約が成立したと主張するが,前示1のとおり,かかる前提自体が誤っており,売買契約締結日(成立日)は同年9月30日である。イそして,措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が,その死亡前に買換資産の取得に関する売買契約を締結しているなど,買換資産が具体的に確定しており,かつ,その相続人が法定期限内に買換資産を取得し事業の用に供した場合には,死亡した者の譲渡所得について本件特例の適用を認めたものである。譲渡資産を譲渡した者が買換資産を取得しないで死亡した場合には,その者が死亡前に買換資産の取得に関する売買契約又は請負契約を締結しているなど,譲渡した者の死亡前に買換資産が具体的に確定しているときに,一律に本件特例が受けられないとすることは実情に即さない面があり,そのため,譲渡者の死亡前に買換資産が具体的に確定している場合で,かつ,その相続人が法定期間内にその買換資産を取得して事業の用に供したときは,死亡した譲渡者の譲渡所得について本件特例を認めることとしたのが,措置法通達37-24の制度趣旨である。 契約又は請負契約を締結しているなど,譲渡した者の死亡前に買換資産が具体的に確定しているときに,一律に本件特例が受けられないとすることは実情に即さない面があり,そのため,譲渡者の死亡前に買換資産が具体的に確定している場合で,かつ,その相続人が法定期間内にその買換資産を取得して事業の用に供したときは,死亡した譲渡者の譲渡所得について本件特例を認めることとしたのが,措置法通達37-24の制度趣旨である。このように,措置法通達37-24は,譲渡資産を譲渡した者が死亡した場合に関する規定であり,本件のように,買換資産(本件建物)を取得した者(D)が,譲渡資産(本件土地)を譲渡する前に死亡した事案に関する規定ではない。ウしたがって,原告らに措置法通達37-24の適用がないことは明らかである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用の否定ア原告らは,平成4年4月ないし7月に本件土地の売買契約が具体的に確定して たがって,原告らに措置法通達37-24の適用がないことは明らかである。(2) 措置法通達37-24の準用,類推適用の否定ア原告らは,平成4年4月ないし7月に本件土地の売買契約が具体的に確定していたとして,措置法通達37-24が準用ないし類推適用されると主張する。しかし,売買契約は法律行為であって事実行為ではなく,意思表示の合致がいつであったかという観点から契約の成立日が判断されるのである。原告らの上記主張は,生前,Dと再開発組合との間で契約条件がだいたい煮詰まっていたというにすぎず,主張自体が失当である。イさらに,原告らは,Dの生前に譲渡資産の譲渡も買換資産の取得もされたのであり,どちらが先に完了するかは重要な意味を持たないとか,措置法通達37-24の一般的な適用場面と本件を区別する理由はなく,実態は同じであるなどと主張する。しかし,譲渡資産の譲渡は,そもそも譲渡所得の発生原因事実であって,前示2(1)ウ(イ)のとおり,これを被相続人が行った場合と,相続人が行った場合とでは,譲渡所得を課税されるのが被相続人であるか相続人であるかという重大な差異があり,実態が同じであるといえない。また,措置法通達37-24が,契約が締結されているなど買換資産が具体的に確定していればよいとしているのは,建物の建築等の場合には,請負契約が締結されていても,完成して所有権が移転するまでの間に相当の時間がかかることがあるため,厳密に言えば取得に至っていない場合であっても,本件特例の適用を例外的に認めたものにすぎない。 被相続人であるか相続人であるかという重大な差異があり,実態が同じであるといえない。また,措置法通達37-24が,契約が締結されているなど買換資産が具体的に確定していればよいとしているのは,建物の建築等の場合には,請負契約が締結されていても,完成して所有権が移転するまでの間に相当の時間がかかることがあるため,厳密に言えば取得に至っていない場合であっても,本件特例の適用を例外的に認めたものにすぎない。一方,譲渡資産については,通常,契約成立によって当然所有権が移転するから,このような問題は発生しない。この点からみても,譲渡と取得を同一視することはできないのである。ウしたがって,本件においては,措置法通達37-24を準用ないし 成立によって当然所有権が移転するから,このような問題は発生しない。この点からみても,譲渡と取得を同一視することはできないのである。ウしたがって,本件においては,措置法通達37-24を準用ないし類推適用することもできないというべきである。4 争点(4)(原告らの各所得税額)について(1) 原告らの平成4年分所得税に係る分離長期譲渡所得原告らの平成4年分所得税に係る分離長期譲渡所得金額は,次のとおりである。ア譲渡収入金額譲渡所得の金額の計算上,収入金額とすべき金額は,その年において収入すべき金額である(所得税法36条1項)。原告らは,平成4年9月30日,再開発組合に対し,本件土地を代金3億7692万円で売却した(前記1(2)ウ)。原告らの持分は,それぞれ3分の1であったから(前記1(2)イ),原告らの譲渡所得の収入金額は,それぞれ別表2「譲渡所得及び所得税の計算書」の「(2)①収入金額」欄の各原告欄のとおりである。イ取得費措置法(平成3年法律第16号による改正後のもの)31条の4第1項は,個人が昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は,所得税法38条及び61条の規定にかかわらず,当該収入金額の100分の5に相当する金額であると規定している。本件土地は,Dが昭和28年4月26日に相続を原因として取得し(当事者間に争いがない),さらに原告らがDから平成4年8月11日に相続を原因として取得したものであるから(前記1(2)イ),所得税法60条1項の規定により,原告らは,昭和26年4月26日以前から,引き続き本件土地を所有していたものとみなされるが,具体的に,同日以前のどの時期に取得されたものであるかは特定できない。 金額であると規定している。本件土地は,Dが昭和28年4月26日に相続を原因として取得し(当事者間に争いがない),さらに原告らがDから平成4年8月11日に相続を原因として取得したものであるから(前記1(2)イ),所得税法60条1項の規定により,原告らは,昭和26年4月26日以前から,引き続き本件土地を所有していたものとみなされるが,具体的に,同日以前のどの時期に取得されたものであるかは特定できない。しかし,実 0条1項の規定により,原告らは,昭和26年4月26日以前から,引き続き本件土地を所有していたものとみなされるが,具体的に,同日以前のどの時期に取得されたものであるかは特定できない。しかし,実務上,昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても,同項の規定を準用して差支えないものとして取り扱われている(租税特別措置法関係通達31の4-1)。よって,本件土地の取得価額は,前記アの収入金額に100分の5を乗じて算定した金額であり,別表2の「(2) ②取得価額」欄の各原告欄のとおりとなる。ウ譲渡費用本件土地売買に係る譲渡費用は,本件譲渡の契約書に添付された収入印紙に係る支出(10万円の3分の1)のみである(別表2の「(2) ③譲渡費用」欄の各原告欄)(被告ら主張を原告らが争わないので,自白したものとみなす)。エ特別控除個人が昭和62年10月1日から平成8年3月31日までの間にその有する土地等を譲渡した場合で,その所有期間が譲渡した年の1月1日現在において5年を超えるときは,当該譲渡による譲渡所得については,長期譲渡所得の課税の特例が適用される(措置法〔平成7年法律第55号による改正前のもの〕31条1,2項)。そして,原告らが本件土地を譲渡した年である平成4年1月1日において,本件土地の所有期間はそれぞれ5年を超えていることから,その譲渡による譲渡所得については,措置法31条1項の規定により長期譲渡所得の課税の特例が適用される。本件譲渡による譲渡所得は,措置法31条1項の規定による長期譲渡所得の課税の特例が適用されるから,本件譲渡による譲渡所得の計算上控除する特別控除額は,100万円である(措置法31条4項。別表2の「(2) ④特別控除」欄の各原告欄)。オ分離長期譲渡所得金額以上のアないしエから されるから,本件譲渡による譲渡所得の計算上控除する特別控除額は,100万円である(措置法31条4項。 の課税の特例が適用される。本件譲渡による譲渡所得は,措置法31条1項の規定による長期譲渡所得の課税の特例が適用されるから,本件譲渡による譲渡所得の計算上控除する特別控除額は,100万円である(措置法31条4項。別表2の「(2) ④特別控除」欄の各原告欄)。オ分離長期譲渡所得金額以上のアないしエから されるから,本件譲渡による譲渡所得の計算上控除する特別控除額は,100万円である(措置法31条4項。別表2の「(2) ④特別控除」欄の各原告欄)。オ分離長期譲渡所得金額以上のアないしエから,原告らの平成4年分の長期譲渡所得金額は,別表2の「(2) ⑤分離長期譲渡所得」欄の各原告欄のとおりとなる。(2) 原告らの納付すべき各所得税額ア総所得金額及び所得から差し引かれる金額原告らの平成4年分の総所得金額は別表2「(1) 総所得金額」欄の各原告欄のとおりであり,所得から差し引かれる金額(所得控除の合計額)は同表「(3)所得金額から差引かれる金額」欄の各原告欄のとおりである(当事者間に争いがない)。イ課税総所得金額及び課税分離長期譲渡所得金額(ア) 原告らの平成4年分の課税総所得金額は,別表2の「(4) 課税総所得金額」欄の各原告欄のとおりである(当事者間に争いがない)。(イ) 原告らの平成4年分の課税長期譲渡所得金額は,別表2の「(5) 課税分離長期譲渡所得金額」欄の各原告欄のとおりであり,その算定過程は次のとおりである。a 原告Aは,別表2の(2)⑤と同額である(千円未満の端数を切捨て)。b 原告Bは,別表2の(2)⑤から(1)(3)を控除した金額である(千円未満の端数を切捨て)。c 原告Cは,別表2の(2)⑤から(1)(3)を控除した金額である(千円未満の端数を切捨て)。ウ上記イに対する所得税額(ア) 所得税額は,課税総所得金額に対して所得税法89条に規定する税率を適用して計算した金額である。(イ) 課税分離長期譲渡所得金額に対しては,本件土地を譲渡した年である平成4年1月1日において,本件土地の所有期間は5年を超え,都市開発法による第1種市街地再開発事業の施工者である再開発組合へ譲渡したものであるから,措 渡所得金額に対しては,本件土地を譲渡した年である平成4年1月1日において,本件土地の所有期間は5年を超え,都市開発法による第1種市街地再開発事業の施工者である再開発組合へ譲渡したものであるから,措置法31条の2の規定により100分の15の税率を適用して計算した金額である。 て,本件土地の所有期間は5年を超え,都市開発法による第1種市街地再開発事業の施工者である再開発組合へ譲渡したものであるから,措 渡所得金額に対しては,本件土地を譲渡した年である平成4年1月1日において,本件土地の所有期間は5年を超え,都市開発法による第1種市街地再開発事業の施工者である再開発組合へ譲渡したものであるから,措置法31条の2の規定により100分の15の税率を適用して計算した金額である。(ウ) 所得税額は,(ア)(イ)で計算した額の合計額であるところ,課税総所得金額及び課税分離譲渡所得金額に対する原告らの各所得税額は,別表2「(6)(4)に対する税額」欄及び「(7) (5)に対する税額」欄の各原告欄のとおりであって,その合計額は,同別表の各「(8) 計」欄の各原告欄のとおりとなる。エ源泉徴収税額原告らの平成4年分の源泉徴収に係る税額は,それぞれ,別表2の「(9) 源泉徴収税額」欄の各原告欄のとおりである(当事者間に争いがない)。オ納付すべき税額以上により,原告らの納付すべき税額は,それぞれ,前記ウの金額から前記エの金額を控除した残額(100円未満切捨て)であり,その金額は,別表2「(10) 納付すべき税額」欄の各原告欄のとおり,原告Aが1722万9200円,同Bが1730万7500円,同Cが1718万1400円となる。第5 結論 1 本件各処分は,原告らの納付すべき平成4年分所得税を,原告Aが1594万1100円,同Bが1603万6900円,同Cが1612万6200円とするものであるところ,そのいずれもが前記第4の4(2)オの各原告の納付すべき税額の範囲内でなされたものであるから,本件各処分はいずれも適法である。2 よって,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却し,主文のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官今井輝幸 れも理由がないから棄却し,主文のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官今井輝幸
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