平成14(わ)946 傷害

裁判年月日・裁判所
平成14年12月13日 神戸地方裁判所
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判決文本文2,514 文字)

判決平成14年12月13日神戸地方裁判所平成14年(わ)第946号傷害被告事件 主文 被告人を懲役10月に処する。 未決勾留日数中50日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成14年8月7日午後8時30分ころ,神戸市a区b町c丁目d番市営e住宅f号棟東側先路上において,顔見知りの女性に悪戯をしたところ,これをA(当時40歳)に叱責されたことに立腹し,同女に対し,所携の木製杖2本(平成14年押第139号の1,2)でその左前腕部を1回殴打する暴行を加え,よって,同女に全治約7日間を要する左肘部打撲傷の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)(省略)(弁護人の主張に対する判断)弁護人は,被告人が,本件犯行当時,飲酒酩酊のため心神喪失の状態にあった旨主張する。 なるほど,関係各証拠によれば,被告人が,本件犯行当日の午前11時30分ころから午後8時すぎころまでの間,断続的に冷酒,日本酒,焼酎,ビール,酎ハイを飲酒したことが認められるところ,被告人は,本件犯行の約23分後に緊急逮捕された当時から捜査公判段階を通じて,本件犯行当時の記憶がない旨供述していることが明らかである。 しかしながら,関係各証拠によれば,被告人は,本件犯行の直前,居酒屋「B」の経営者のCに自動車で本件現場付近まで送ってもらった際,被害者らの存在に気づいて,「ここでええわ。柄が悪いから,もう帰った方がいい。」旨述べて下車し,小さく揺れていたものの,泥酔しているという感じではなく のCに自動車で本件現場付近まで送ってもらった際,被害者らの存在に気づいて,「ここでええわ。柄が悪いから,もう帰った方がいい。」旨述べて下車し,小さく揺れていたものの,泥酔しているという感じではなく,誰にも支えられないで,被害者らのいるところまで1人で歩いて行ったこと,被告人は,被害者ら4人が飲酒しながら腰を下ろしていた側に行って腰掛け,横にいた顔見知りのDの胸を触るなどの悪戯をしたところ,これを被害者に見つかって叱責されたことに立腹し,本件犯行に及んだこと,被告人は,被害者と一緒にいた者に制止され持っていた杖を取り上げられて溝に捨てられるや,「覚えとけよ。」と捨て台詞を残してその場を立ち去り,自宅に戻ったこと,被告人は,本件犯行の約1時間半後に飲酒検知を受け,その際,呼気1リットルにつき0.35ミリグラムのアルコールを身体に保有する状態にあったが,約10メートルをまっすぐ歩行することや約10秒間直立することができ,警察官からの質問に対し,氏名,生年月日,住所等を正確に答えていたこともまた認められるのであるから,被告人は,本件当時かなり飲酒酩酊していて抑制心に緩みがあったものの,飲酒酩酊の程度はそれほど著しいものではなく,自己の置かれている状況を正しく認識することができたし,本件犯行に至る経緯や動機,その前後の行動は十分了解可能なものであって,そこに異常な点は見当たらず,むしろ被告人のこれまでの多数の同種前科等に鑑みれば,本件犯行は被告人の粗暴な人格に相応するものであることが明らかである。 してみると,仮に,被告人が本件犯行当時の記憶がない旨いうところが嘘ではないとしても,被告人は,本件犯行当時,行為の是非善悪を弁識しこれに従って行動する能力を欠いたり,それが著しく減弱したりするような状態には陥っていなかったものと認めるのが相当である うところが嘘ではないとしても,被告人は,本件犯行当時,行為の是非善悪を弁識しこれに従って行動する能力を欠いたり,それが著しく減弱したりするような状態には陥っていなかったものと認めるのが相当である。 弁護人の上記主張は採用することができない。 (法令の適用)被告人の判示所為は刑法204条に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で,被告人を懲役10月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中50日をその刑に算入し,情状により同法25条1項を適用して,この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予し,なお、同法25条の2第1項前段を適用して,被告人をその猶予の期間中保護観察に付し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して,被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)被告人は,顔見知りの女性に悪戯したことを被害者に叱責されたことに腹を立て,本件犯行に及んだものであって,その動機に酌量の余地は乏しいこと,被告人は,被害者の頭部付近に杖を振りおろし,それを防ごうとした被害者の左腕を殴打したものであって,犯行態様の危険性は小さなものではないこと,被告人のこの種の犯行に及ぶ性癖には根深いものがあること,被告人から被害者に対する慰謝の措置は全く取られていないこと,被告人には本件に対する十分な反省の態度が窺えないことなどを併せ考えると,被告人の刑事責任は軽くないといわざるを得ない。 また,被告人には同種前科が多数あって,最近では,平成9年3月に傷害罪で懲役8月,3年間刑執行猶予の判決を受けた前科があることも,量刑上看過するわけにはいかない。 しかしながら,被害者の負傷の程度は幸いにも比較的軽微であること,前記の執行猶予は取り消されることなく,その期間が既に満了していること,被告人が本件で4か月以上の 上看過するわけにはいかない。 しかしながら,被害者の負傷の程度は幸いにも比較的軽微であること,前記の執行猶予は取り消されることなく,その期間が既に満了していること,被告人が本件で4か月以上の間身柄拘束を受けていること,被告人が75歳と高齢であることなどの,被告人のために酌むべき事情もまた認められるので,今回は,被告人に対し,保護観察に付した上で,もう一度その刑の執行猶予の言渡しをすることとする。 (検察官の科刑意見懲役1年)よって,主文のとおり判決する。 平成14年12月13日神戸地方裁判所第12刑事係甲 裁判官森岡安廣

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