1 令和5 年3 月16 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3 年(ワ)第11653 号 職務発明相当対価請求事件口頭弁論終結日 令和5 年1 月13 日判 決原告 A5同訴訟代理人弁護士 進 士 肇同 渡 邉 孝 太同 三 井 稜 賀被 告 サミー株式会社同訴訟代理人弁護士 片 山 英 二10同 服 部 誠同 牧 恵 美 子同 杉 森 康 平同補佐人弁理士 黒 川 恵主 文151 被告は、原告に対し、221万5657円及びこれに対する平成26年4月1日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 204 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求被告は、原告に対し、443万1319円及びこれに対する平成26年4月1日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 25第2 事案の概要 2 本件は、被告に在籍中に被告の業務範囲に属する4 件の職務発明をし、被告にその特許を受ける権利を譲渡し 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 25第2 事案の概要 2 本件は、被告に在籍中に被告の業務範囲に属する4 件の職務発明をし、被告にその特許を受ける権利を譲渡したとする原告が、平成16 年法律第79 号による改正前の特許法35 条(以下「旧35 条」という。)3 項に基づく「相当の対価」として、受領済みの実績報償との差額である443 万1319 円の補償金及びその実績報償受領の日の翌日である平成26 年4 月1 日から支払済みまで平成29 年法律第44 号による5改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠(枝番号のあるものはそれらを含む。以下同じ。)を掲げた事実以外は、当事者間に争いがないか弁論の全趣旨により容易に認められる。)(1) 当事者ア 原告は、商業系の大学を卒業後、衣服関係の仕事を経て、平成2 年11 月1 日10に被告に入社し、令和3 年2 月末日に退社した者である。 イ 被告は、ぱちんこ遊技機等の開発・製造・販売等を目的とする株式会社である。 (2) 本件各発明に係る特許出願被告は、次の4 つの発明につき、いずれも、原告による職務発明であり、原告か15ら各発明に係る特許を受ける権利の譲渡を受けたものとして、以下のとおり、原告を発明者とする特許出願をし、設定登録を受けた(甲1。以下、順にその発明、特許、特許権及び明細書(図面を含む。)を「本件発明1」、「本件特許1」、「本件特許権1」及び「本件明細書1」などといい、本件発明1~4 を併せて「本件各発明」、本件特許1~4 を併せて「本件各特許」、本件特許権1~4 を併せて「本件各特許権」、20本件明細書1~4 を併せて「本件各明細書」と、それぞれいう。)。 ア 本件 4 を併せて「本件各発明」、本件特許1~4 を併せて「本件各特許」、本件特許権1~4 を併せて「本件各特許権」、20本件明細書1~4 を併せて「本件各明細書」と、それぞれいう。)。 ア 本件特許1特許番号 特許第2627715 号出願日 平成5 年10 月15 日登録日 平成9 年4 月18 日25発明の名称 スロットマシン 3 特許請求の範囲(請求項1)「複数のリールと、これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと、/乱数を発生させる乱数発生手段と、/前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて、前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段と、/この確率抽選手段により抽選された乱数値により、通常確率か、5通常確率より高い入賞確率の高確率かの判定を行い、当該判定結果が通常確率の場合には通常確率判定信号を出力するとともに、高確率の場合には高確率判定信号を出力する確率判定手段と、/この確率判定手段からの高確率判定信号に基づいて、通常確率から高確率へ変更されたことを遊技者に報知する特定確率報知手段とを備えたことを特徴とするスロットマシン。」(「/」は改行を示す。以下同じ。)10ただし、本件特許1 は、特許異議の申立て(平成10 年異議第70022 号)に係る取消決定が平成12 年6 月16 日に確定したことにより消滅した。 イ 本件特許2特許番号 特許第2732207 号出願日 平成5 年10 月29 日15登録日 平成9 年12 月26 日発明の名称 スロットマシン特許請求の範囲(請求項1)「フロントパネルに設けた表示部に複数の図柄を順次高速で移動表示した後、該図柄の移動表示を停止させて、該停止表示態様が予め定め 月26 日発明の名称 スロットマシン特許請求の範囲(請求項1)「フロントパネルに設けた表示部に複数の図柄を順次高速で移動表示した後、該図柄の移動表示を停止させて、該停止表示態様が予め定めた一定の図柄の組み合わ20せである場合に、遊技者に特別遊技を行わせるスロットマシンにおいて、/表示部に停止表示する図柄の組み合わせを決定するための乱数を生成する乱数生成手段と、/該乱数生成手段で発生した乱数の中から乱数を抽出して、表示部に停止表示する図柄の決定を行う乱数抽出手段と、/表示部に停止表示された図柄の組み合わせが予め定めた賞態様であるかどうかを判定する図柄判定手段と、/該図柄判定手段に25より特別遊技を行わせるための特定図柄の組み合わせであると判定された場合に、 4 該特定図柄の種類を判定するとともに、特定図柄の種類に基づいて特定図柄の継続発生回数を決定する特定図柄判定手段と、/該特定図柄判定手段により決定した継続回数に達するまでの間、特定図柄の発生確率を通常より高確率に変更する確率変更手段とからなることを特徴とするスロットマシン。」ウ 本件特許35特許番号 特許第3090604 号出願日 平成5 年10 月15 日分割の表示 特願平5-258133(本件特許1 に係る特許出願)の分割登録日 平成12 年7 月21 日発明の名称 スロットマシン10特許請求の範囲(請求項1)「複数のリールと、これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと、/乱数を発生させる乱数発生手段と、/前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて、前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段と、/この確率抽選手段により抽選された乱数値により、通常確率か、15通常確 ートスイッチからのスタート信号に基づいて、前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段と、/この確率抽選手段により抽選された乱数値により、通常確率か、15通常確率より高い入賞確率の高確率かの入賞確率の判定を行い、当該判定結果が通常確率の場合には通常確率判定信号を出力するとともに、高確率の場合には高確率判定信号を出力する確率判定手段と、/この確率判定手段からの高確率判定信号又は通常確率判定信号に基づいて、通常確率から高確率へ又は高確率から通常確率へ変更されたことを遊技者にそれぞれ報知する特定確率報知手段と、/前記確率判定20手段により判定される前記通常確率における通常入賞確率データ及び前記確率判定手段により判定される高確率における高入賞確率データを記憶する入賞確率データ記憶手段と、/前記確率判定手段からの通常確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段に記憶された通常入賞確率データを選択するとともに、前記確率判定手段から出力される高確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ25記憶手段に記憶された高入賞確率データを選択する確率選択手段と、/前記乱数発 5 生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する入賞抽選手段と、/前記入賞抽選手段により抽選された乱数値と前記入賞確率データ記憶手段の通常入賞確率データ又は高入賞確率データに基づいて、入賞を判定し、入賞信号を出力する入賞判定手段と、を備え、/前記確率判定手段による入賞確率の判定は、設定条件又は遊技枚数に応じた複数種類の抽選確率データの中から、当該遊技に用いる抽選確5率データを当該遊技の設定条件又は遊技枚数に応じて選択し、選択した当該抽選確率データと前記確率抽選手段により抽選された乱数値とにもとづいて行われ、/前記 データの中から、当該遊技に用いる抽選確5率データを当該遊技の設定条件又は遊技枚数に応じて選択し、選択した当該抽選確率データと前記確率抽選手段により抽選された乱数値とにもとづいて行われ、/前記通常入賞確率データ及び高入賞確率データは、設定又は遊技枚数に対応した複数種類の入賞確率データを各々有し、/前記確率選択手段は、前記確率判定手段の判定結果に従い、通常入賞確率データ又は高入賞確率データにそれぞれ存在する複数10種類の入賞確率データのうち、当該入賞判定に用いる入賞確率データの選択を、設定又は遊技枚数に対応して行うようにし、/前記入賞判定手段による入賞判定は、前記確率選択手段によって選択された入賞確率データに基づいて行われるようにした/ことを特徴とするスロットマシン。」エ 本件特許415特許番号 特許第3093538 号出願日 平成5 年10 月29 日登録日 平成12 年7 月28 日発明の名称 メダル遊技機特許請求の範囲20「【請求項1】遊技機本体と、この遊技機本体に開閉可能に取り付けた扉と、メダルを外部に払い出すホッパーと、このホッパーを駆動するホッパーモータと、遊技機本体内に収納され、前記ホッパーモータを駆動し、ホッパー内のメダルを外部に排出させるためのメダル排出スイッチとを備えたメダル遊技機において、/上記メダル遊技機は、前記扉の開閉状態を検出するドアセンサーと、このドアセンサーか25らのドア開放信号の非出力状態において、前記メダル排出スイッチが操作された際 6 に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段とを備えたことを特徴とするメダル遊技機。 【請求項2】報知手段は、スピーカーであることを特徴とする請求項1記載のメダル遊技機。 【請求項3】報知手段は、点灯ランプで 発生を外部に報知する報知手段とを備えたことを特徴とするメダル遊技機。 【請求項2】報知手段は、スピーカーであることを特徴とする請求項1記載のメダル遊技機。 【請求項3】報知手段は、点灯ランプであることを特徴とする請求項1記載のメ5ダル遊技機。」(以下、請求項の順に「本件発明4-1」などという。本件発明4 は本件発明4-1~4-3 の総称である。)(3) 本件各特許権の本件パテントプールへの拠出等被告を含むパチスロ機製造販売業者は、各社の有する特許権等に係る発明等の利10用に関する権利処理の簡便化を図る目的で、平成6 年4 月1 日、パテントプール(以下「本件パテントプール」という。)を創設した。 本件パテントプールにおいて、参加各社(以下「本件参加者」という。)は、その有する特許権等を拠出すると共に、その製造販売するパチスロ機1 台につき1 枚2000 円で日本電動式遊技機特許株式会社(以下「日電特許」という。また、「NDT」15ということもある。)から証紙を購入し、これをパチスロ機に貼付することにより、他の本件参加者が有する特許権等の行使を受けることなく製品を出荷することができ、日電特許は、上記証紙代2000 円のうち1000 円分を原資として、本件参加者に対し一定額の分配金(実施料)を支払うこととされている。 被告は、本件各特許権の設定登録がされた頃、これらをいずれも本件パテントプ20ールに拠出した。 (4) 被告における従業員の発明に関する規程ア 本件旧規程等被告は、平成12 年10 月1 日当時、従業員による職務発明に係る権利の帰属及び発明者に対する補償金の支払等に関する「職務発明規程」(甲8。以下「本件旧規程」25という。)及びその補償金に係る「補償金規程」(甲9。以下「本件旧細則」 業員による職務発明に係る権利の帰属及び発明者に対する補償金の支払等に関する「職務発明規程」(甲8。以下「本件旧規程」25という。)及びその補償金に係る「補償金規程」(甲9。以下「本件旧細則」といい、 7 本件旧規程と併せて「本件旧規程等」という。)として、次の定めを置いていた。 ●(省略)●イ 本件新規程被告は、平成19 年10 月1 日、本件旧規程等を改定し、「職務発明取扱規程」(甲6。以下「本件新規程」という。)及びその細則である「発明報償細則」(甲7。以下5「本件新細則」といい、本件新規程と併せて「本件新規程等」という。)を定めた。 その内容は、次のとおりである。 ●(省略)●(5) 被告の原告に対する実績報償の支払被告は、平成26 年3 月31 日、原告に対し、平成10 年度~平成16 年度(以下「本10件期間」という。)の本件各発明に係る実績報償として、発明者の貢献率を●(省略)●%として算定した額である●(省略)●円を支払った(以下「本件報償金」という。)。その額の算定は、●(省略)●の計算式に基づいて行われた。 2 争点(1) 原告の補償金請求権の有無(争点1)15原告の発明者該当性(2) 原告が受けるべき補償金としての「相当の対価」の額(争点2)ア 「相当の対価」の算定における本件新規程等の適用の可否(争点2-1)イ 本件各発明により被告が受けるべき利益の額(争点2-2)ウ 原告及び被告の貢献割合(争点2-3)203 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(原告の補償金請求権の有無-原告の発明者該当性)〔原告の主張〕原告は、本件各発明の発明者である。被告も、本件各発明を職務発明として扱い、原告に対して実績報償を支払ったのであり、原告が本件各発明の発 の補償金請求権の有無-原告の発明者該当性)〔原告の主張〕原告は、本件各発明の発明者である。被告も、本件各発明を職務発明として扱い、原告に対して実績報償を支払ったのであり、原告が本件各発明の発明者であること25を前提としている。 8 被告は、本件訴訟を提起されるに至って、原告が本件各発明に係る真の発明者ではないなどと主張するが、信義則及び禁反言の見地からこれは許されない。 〔被告の主張〕ア 以下のとおり、本件各発明は、被告の開発部門に属する原告以外の被告従業員によって発明されたものであり、原告は、そのいずれについても、その技術的思5想の創作に何ら現実に関与していないから、真の発明者ではなく、発明者として補償金請求権を有しない。 イ 本件発明1本件発明1 は、通常確率から高確率へ変更されたことを遊技者に報知する特定確率報知手段を備えている点に技術的特徴があるところ、原告とは別の被告従業員が10発明し、被告が企画・開発したスロットマシン「アラジン」に搭載されている技術と同一のものである。 ウ 本件発明2 は、スロットマシンにおいて、一旦特別遊技が発生した場合に、更に所定の回数だけ特別遊技が継続して発生するように特別遊技の発生確率を変動させ、遊技の興趣を高めたスロットマシンを提供する点に技術的特徴があるところ、15被告が平成3 年以降に製造・販売していた実機「アラジンⅡ」につき風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)に基づいて公安委員会に提出した申請書類(乙15。以下「乙15 文献」という。)の記載からうかがわれるとおり、「アラジンⅡ」に搭載されている技術と同一のものである。この「アラジンⅡ」に搭載された技術は、原告の入社前に完成していた。 20エ 本件発明3 は 文献」という。)の記載からうかがわれるとおり、「アラジンⅡ」に搭載されている技術と同一のものである。この「アラジンⅡ」に搭載された技術は、原告の入社前に完成していた。 20エ 本件発明3 は、スロットマシンにおいて、入賞確率の変動を遊技者に報知する報知手段を備えている点に技術的特徴があるところ、乙15 文献の記載からうかがわれるとおり、「アラジンⅡ」に搭載されている技術と同一のものである。 オ 本件発明4 は、扉を開放することなく排出スイッチを不正に操作してメダルを払い出させようとすると、不正報知手段によってメダルの不正払出し状態を報知25することで、メダルの不正払出しを防止するメダル遊技機を提供する点に技術的特 9 徴があるところ、原告とは別の被告従業員が発明した先願(特願平5-241902 号)の発明(以下「本件先願発明」という。)とは、構造上の微差があるものの、いずれも単なる設計事項に過ぎないことから、本件先願発明と実質的に同一のものである。 (2) 争点2-1(「相当の対価」の算定における本件新規程等の適用の可否)〔原告の主張〕5被告は、職務発明の実績報償について、発明者の貢献率を●(省略)●%と規定した本件新規程等を定めている。本件新規程等は平成19 年10 月1 日以降の出願及び登録に係る職務発明に適用される旨規定されているものの、平成17 年度から平成20 年度分の補償金は本件新規程等に基づいて算定されて支払われているように、平成19 年9 月30 日以前に出願ないし登録がされた職務発明にも本件新規程等を適10用、実施することが被告の慣行となっていた。 にもかかわらず、被告は、本件期間分の本件各発明に係る実績補償の算定にあたっては原告の貢献率を●(省略)●%としており、これは何ら根拠のない恣 適10用、実施することが被告の慣行となっていた。 にもかかわらず、被告は、本件期間分の本件各発明に係る実績補償の算定にあたっては原告の貢献率を●(省略)●%としており、これは何ら根拠のない恣意的な運用である。 したがって、本件各発明につき、原告に支払うべき本件期間分の「相当の対価」15の算定に当たっては、本件新規程等を適用又は準用し、原告の貢献率を●(省略)●%として算定すべきである。 〔被告の主張〕本件各発明につき、原告に支払うべき本件期間分の「相当の対価」の算定にあたっては、以下のとおり、本件新規程等を適用又は準用する余地はなく、本件旧規程20等に基づき、原告の貢献率を●(省略)●%として算定すべきである。 ア 本件新規程等は平成19 年10 月1 日より施行されるものであること本件新規程附則1 項によれば、同規程は平成19 年10 月1 日より施行するとされており、本件新細則8 条は、●(省略)●、本件新規程を適用するとしている。●(省略)●とは、特許出願もしくは特許登録又はその双方がされた時期が平成19 年2510 月1 日以降である発明等を指しており、この要件を満たした職務発明に本件新規 10 程等が適用されることになる。 しかるに、本件各発明は、いずれも、平成5 年に特許出願がされ、平成9 年~平成12 年に特許権の設定登録がされたものであり、本件新規程等の適用要件を満たさない。 したがって、本件各発明につき原告に支払われる本件期間分の補償金の算定にあ5たっては、本件新規程等を適用又は準用する理由はなく、本件旧規程等によることになる。 イ 平成19 年9 月30 日以前に出願ないし登録がされた職務発明にも本件新規程等を適用、実施するという被告の慣行は存在しない。上記のとおり、本件新 る理由はなく、本件旧規程等によることになる。 イ 平成19 年9 月30 日以前に出願ないし登録がされた職務発明にも本件新規程等を適用、実施するという被告の慣行は存在しない。上記のとおり、本件新規程等は平成19 年10 月1 日以降の発明の出願及び登録に対して適用されるものである10が、平成17 年度から平成20 年度分の補償金の支払対象となる特許については、本件新規程等の適用要件を満たすものと満たさないものが混在するところ、本件旧規程等及び本件新規程等の適用を厳密に区別し、それぞれについて職務発明審査会の設立・開催・運営をすることにより生ずる事務処理の負担を回避し、かつ、発明者に不利益が生じないようにする観点から、被告は、特別に、上記期間分の補償金に15ついては本件新規程等を適用することとして発明者を優遇したものである。また、本件期間につき本件各発明に係る被告の貢献割合を高く評価すべき事情(後記(4)〔被告の主張〕イ)は、平成17 年度から平成20 年度分との関係では存在しなかった。加えて、原告自身も、被告法務部知財グループのマネージャとして、平成19 年6 月28 日に開催された本件新規程等の施行前の社内説明会において、その時点で既20に登録されている特許発明については本件旧規程等が適用される旨を説明していた。 したがって、本件各発明につき原告に支払われる本件期間分の「相当の対価」の算定に当たり、本件新規程等を適用又は準用すべき理由はない。 (3) 争点2-2(本件各発明により被告が受けるべき利益の額)〔原告の主張〕25ア 被告は、原告の職務発明である本件各発明に係る本件各特許権につき、本件 11 パテントプールに拠出することにより実施を許諾し、その実施料として日電特許から分配金の支払を受けた。以 5ア 被告は、原告の職務発明である本件各発明に係る本件各特許権につき、本件 11 パテントプールに拠出することにより実施を許諾し、その実施料として日電特許から分配金の支払を受けた。以下のとおり、この実施料収入(分配金)から権利化費用及び権利維持費用を控除した残額が、発明者に対する「相当の対価」の算定にあたり考慮すべき「使用者等が受けるべき利益の額」(旧35 条4 項)である。 (ア) 本件発明1 ●(省略)●円5●(省略)●(イ) 本件発明2 ●(省略)●円●(省略)●(ウ) 本件発明3 及び4 ●(省略)●円●(省略)●10イ 本件期間に被告が日電特許に支払ったとする証紙代については、その支払及び支払額の裏付けがない。仮にその支払があったとしても、被告は、本件訴訟で初めてこれを指摘したものであり、原告に対する本件期間分の補償金の支払を決定した職務発明審査会においてその点を審理した形跡はなく、原告にその旨の説明がされたこともない。そうである以上、証紙代支払を根拠に、本件各発明に関して被告15が受けるべき利益の額を算定することは許されない。 〔被告の主張〕旧35 条3 項に基づき使用者が発明者に対して「相当の対価」を支払う義務が生じるのは、使用者等が受けるべき「利益の額」(同条4 項)が存在することが前提である。本件旧規程においても、実績補償金が支払われるのは、被告が当該発明によ20り「利益(収入)」を得たことが前提となっている(14 条)。 しかるに、本件各発明については、実績報償の原資は本件参加者から日電特許に支払われる証紙代の一部を原資として被告が日電特許から受領した分配金である。 被告は、本件期間に係る分配金として合計●(省略)●円を得たが、他方で、同 ついては、実績報償の原資は本件参加者から日電特許に支払われる証紙代の一部を原資として被告が日電特許から受領した分配金である。 被告は、本件期間に係る分配金として合計●(省略)●円を得たが、他方で、同期間に被告が日電特許に支払った証紙代は合計●(省略)●円である。両者を差し引25き計算すると残額は零であるから、本件各発明に関して被告が受けるべき「利益の 12 額」ないし「利益(収入)」は存在しない。 (4) 争点2-3(原告及び被告の貢献割合)〔原告の主張〕ア 前記のとおり、本件各発明については、本件新規程等の適用又は準用により、いずれも原告の貢献割合(貢献率)を●(省略)●%として「相当の対価」を算定す5べきである。 イ 被告の主張について原告は本件各発明の発明者であり、また、以下の点から、被告の主張はいずれも失当である。 (ア) 無効理由の存在は本件各発明に係る被告の貢献割合に関係しないこと10本件各特許に無効理由はない。そもそも、本件各特許に無効理由が存在したとしても、そのことは被告の本件各発明の貢献割合に何ら関係しない。 (イ) アルゼや日電特許との訴訟対応等について「相当の対価」の算定に当たって考慮すべき「使用者等が貢献した程度」は、使用者等がその発明がされるについて貢献した事情のほか、特許の取得・維持、ライ15センス契約の締結に要した努力・費用、また、特許発明の独占的な実施においては、その実施品に係る事業が成功するに至った一切の要因・事情を考慮して判断されるべきである。 しかるに、被告が主張するアルゼ株式会社(当時の商号。以下「アルゼ」という。)や日電特許に対する対応等について、仮に被告主張に係る事実があったとしても、20アルゼからの特許権侵害訴訟に対応したことは本件各特許 が主張するアルゼ株式会社(当時の商号。以下「アルゼ」という。)や日電特許に対する対応等について、仮に被告主張に係る事実があったとしても、20アルゼからの特許権侵害訴訟に対応したことは本件各特許とは無関係であり、その取得・維持、ライセンス契約の締結に要した努力・費用、本件各発明の実施についての要因・事情のいずれにも該当しない。また、分配金の支払に関して被告が日電特許と個別に面談した点も、上記事情のいずれにも当たらないし、仮に考慮されるとしても、その面談は僅か2 回であり、かつ、その際、分配金の話題には僅かな時25間しか割かれていないのであるから、これをもって被告の負担や貢献として評価す 13 ることはできない。さらに、日電特許に対し分配金の支払を求めて被告が訴訟提起をしたことについても、もともと日電特許は本件参加者に対する分配金支払義務の存在を認めており、当該訴訟は、日電特許による分配金の支払について法的に強制される状況を作出するために提起されたものであるため、当事者間の訴訟活動は形式的なものにとどまり、被告の負担は極めて軽微である。 5(ウ) その他の事情について原告の経歴及び被告が与えた職場環境の点については、本件期間が属する平成16年度と平成17 年度との間で相違がないことに鑑みると、その前後で原告の貢献率を異にする理由とはならない。 手続保障の点については、原告は、被告から、本件期間の原告の貢献率を●(省10略)●%から●(省略)●%に引き下げる具体的な根拠が示されず、十分な告知・聴聞の機会も与えられなかったのであるから、手続的正当性も欠如している。 〔被告の主張〕原告は本件各発明の発明者ではなく、仮に発明者であるとしても、原告が行ったのはアイデアの提供程度に過ぎず、そのアイデアを発明のレベル ったのであるから、手続的正当性も欠如している。 〔被告の主張〕原告は本件各発明の発明者ではなく、仮に発明者であるとしても、原告が行ったのはアイデアの提供程度に過ぎず、そのアイデアを発明のレベルにまで作り上げた15のは被告から委託を受けた特許事務所であって、これは被告側の貢献と理解すべきものである。 また、本件において「相当の対価」の算定に当たり考慮されるべき被告の貢献の程度は、本件各特許に係る無効理由の存在並びに本件パテントプールの構築及びその正常化に果たした被告の役割等を考慮して決すべきであり、これらの事情を考慮20すると、原告の貢献割合が●(省略)●%を超えることはない。 ア 本件各特許に係る無効理由の存在及びその場合の被告の貢献本件各発明に係る補償金の算定にあたり発明の価値が考慮されてよいことは、本件旧規程が「発明の奨励」を目的としていることからもうかがわれるとおり、当然である。無効理由の存否は発明の価値を左右する重大な要素であるから、補償金算25定に必要な発明者及び使用者の貢献割合の判断に当たり考慮されるべき事由である。 14 しかるに、本件各特許には、以下のとおり、無効理由が存在する。にもかかわらず日電特許から本件各特許権に係る分配金の支払を受けることができたのは、被告の貢献が大きいことによる。 (ア) 本件特許1本件発明1 と「パチスロ完全攻略事典」PART5(平成2 年8 月30 日発行。乙12。 5以下「乙12 文献」という。)記載の発明(以下「乙12 発明」という。)とを対比すると、両者は全てにおいて一致し、相違点はない。 また、乙12 発明は、乙12 文献記載のスロットマシン「アラジン」を製造販売していた被告の従業員による発明であり、被告は、当該従業員からその特許を受ける権利を 全てにおいて一致し、相違点はない。 また、乙12 発明は、乙12 文献記載のスロットマシン「アラジン」を製造販売していた被告の従業員による発明であり、被告は、当該従業員からその特許を受ける権利を承継し、「アラジン」は被告の子会社によって平成元年に製造・発売され、公10然実施をされたものである。 そうすると、本件発明1 は、特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明(特許法29 条1 項2 号)であるから、本件特許1 は無効にされるべきものである(同法123 条1 項2 号)。 (イ) 本件特許215乙15 文献は、平成2 年12 月4 日、平成3 年に被告によって販売が開始された実機「アラジンⅡ」について、被告が風営法に基づき公安委員会に提出したものであるところ、同文献記載の発明(以下「乙15 発明2」という。)を本件発明2 と対比すると、両者は全てにおいて一致し、相違点はない。 また、乙15 発明2 は、本件特許2 の特許出願がされる前に、「アラジンⅡ」とし20て製造販売されたことにより、公然実施をされたものである。 そうすると、本件発明2 は、特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明であるから、本件特許2 は無効にされるべきものである。 (ウ) 本件特許3a 新規性の欠如25本件発明3 を構成要件に分説すると、次のとおりである。 15 3A 複数のリールと、これらのリールの回転を開始させるスタートスイッチと、3B 乱数を発生させる乱数発生手段と、3C 前記スタートスイッチからのスタート信号に基づいて、前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段と、3D この確率抽選手段により抽選された乱数値により、通常確率か、通常確率よ5り高い のスタート信号に基づいて、前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段と、3D この確率抽選手段により抽選された乱数値により、通常確率か、通常確率よ5り高い入賞確率の高確率かの入賞確率の判定を行い、当該判定結果が通常確率の場合には通常確率判定信号を出力するとともに、高確率の場合には高確率判定信号を出力する確率判定手段と、3E この確率判定手段からの高確率判定信号又は通常確率判定信号に基づいて、通常確率から高確率へ又は高確率から通常確率へ変更されたことを遊技者にそれぞ10れ報知する特定確率報知手段と、3F 前記確率判定手段により判定される前記通常確率における通常入賞確率データ及び前記確率判定手段により判定される高確率における高入賞確率データを記憶する入賞確率データ記憶手段と、3G 前記確率判定手段からの通常確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率デ15ータ記憶手段に記憶された通常入賞確率データを選択するとともに、前記確率判定手段から出力される高確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段に記憶された高入賞確率データを選択する確率選択手段と、3H 前記乱数発生手段から発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する入賞抽選手段と、203I 前記入賞抽選手段により抽選された乱数値と前記入賞確率データ記憶手段の通常入賞確率データ又は高入賞確率データに基づいて、入賞を判定し、入賞信号を出力する入賞判定手段と、を備え、3J 前記確率判定手段による入賞確率の判定は、設定条件又は遊技枚数に応じた複数種類の抽選確率データの中から、当該遊技に用いる抽選確率データを当該遊技25の設定条件又は遊技枚数に応じて選択し、選択した当該抽選確率データと前記確率 16 抽 又は遊技枚数に応じた複数種類の抽選確率データの中から、当該遊技に用いる抽選確率データを当該遊技25の設定条件又は遊技枚数に応じて選択し、選択した当該抽選確率データと前記確率 16 抽選手段により抽選された乱数値とにもとづいて行われ、3K 前記通常入賞確率データ及び高入賞確率データは、設定又は遊技枚数に対応した複数種類の入賞確率データを各々有し、3L 前記確率選択手段は、前記確率判定手段の判定結果に従い、通常入賞確率データ又は高入賞確率データにそれぞれ存在する複数種類の入賞確率データのうち、5当該入賞判定に用いる入賞確率データの選択を、設定又は遊技枚数に対応して行うようにし、3M 前記入賞判定手段による入賞判定は、前記確率選択手段によって選択された入賞確率データに基づいて行われるようにした3N ことを特徴とするスロットマシン。 10本件発明3 と乙15 文献記載の乙15 発明2 とは別の発明(以下「乙15 発明3」という。)とを対比すると、両者は全てにおいて一致し、相違点はない。 また、乙15 発明3 は、本件特許3 の特許出願前に「アラジンⅡ」が製造販売されたことにより、公然実施をされたものである。 そうすると、本件発明3 は、特許出願前に日本国内において公然実施をされた発15明であるから、本件特許3 は無効にされるべきものである。 b 分割要件違反による新規性欠如本件発明3 は、本件発明1 の特許出願を原出願とする分割出願に係るものであるところ、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L の構成は、いずれも本件明細書1 に記載された構成ではない。 20したがって、本件特許3 に係る特許出願は、平成6 年法律第116 号による改正前の特許法(以下「平成6 年改正前の特許法」という。 成は、いずれも本件明細書1 に記載された構成ではない。 20したがって、本件特許3 に係る特許出願は、平成6 年法律第116 号による改正前の特許法(以下「平成6 年改正前の特許法」という。)44 条1 項が規定する特許出願の分割の要件を満たしておらず、同条2 項が規定する遡及効を有しないため、現実の出願日である平成7 年12 月18 日に特許出願がされたことになる。 その上で、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L の構成は、分割に係る原出願で25ある本件特許1 の特開平7-112051 号公報(平成7 年5 月7 日公開。以下「本件特許 17 1 公開公報」)によって開示された発明である。 したがって、本件発明3 は、特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明(特許法29 条1 項3 号)であるから、無効にされるべきである(同法123 条1 項2 号)。 c 補正要件違反による新規性欠如5本件発明3 の「確率判定手段」の処理に関する構成要件3J は、本件特許3 の出願に対する平成12 年3 月3 日付け拒絶理由通知を受けて提出された同年5 月8 日付け手続補正書により追加されたものである。また、「入賞抽選手段」の処理に関する構成要件3I は、平成11 年11 月4 日付け拒絶理由通知を受けて提出された同年12月28 日付け手続補正書により追加されたものである。さらに、「確率選択手段」の10処理に関する構成要件3L は、同年6 月3 日付け拒絶理由通知を受けて提出された同年8 月9 日付け手続補正書により追加されたものである。 しかるに、本件明細書3 は、原出願の明細書である本件明細書1 と全く同じである。このため、上記各構成要件は、いずれも本件特許3 に係る出願当初の明細書等にも 続補正書により追加されたものである。 しかるに、本件明細書3 は、原出願の明細書である本件明細書1 と全く同じである。このため、上記各構成要件は、いずれも本件特許3 に係る出願当初の明細書等にも記載されていないこととなる。 15したがって、上記各補正は明細書の要旨を変更するものであり(平成5 年法律第26 号による改正前の特許法(以下「平成5 年改正前の特許法」という。)41 条)、本件特許3 に係る特許出願はその補正について手続補正書を提出した時、すなわち最も遅い「確率判定手段」の処理に関してなされた補正がなされた平成12 年5 月8 日にしたものとみなされる結果(同法40 条)、本件発明3 は、本件特許1 公開公報に20よって開示された発明であることとなる。 そうすると、本件発明3 は、特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明であるから、無効にされるべきである。 d 特許請求の範囲の記載要件違反本件発明3 は、「前記入賞抽選手段により抽選された乱数値と前記入賞確率デー25タ記憶手段の通常入賞確率データ又は高入賞確率データに基づいて、入賞を判定し、 18 入賞信号を出力する入賞判定手段と」を構成要件3I としている。 しかし、本件発明3 の特許請求の範囲には「通常入賞確率データ又は高入賞確率データ」を「入賞確率データ記憶手段」が記憶していることは記載されておらず、また、このことは本件明細書3 にも記載されていない。 したがって、本件発明3 の構成要件3I から発明を把握することはできず、本件発5明3 の特許請求の範囲には、発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されていないことになる。 このため、本件発明3 は、特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明の構成に欠くことが 明3 の特許請求の範囲には、発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されていないことになる。 このため、本件発明3 は、特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してあるものではないから、本件特許3 は、平成6 年改正前の特許法36 条5 項2 号所定の要件を満たさな10い特許出願に対してされたものであり、無効にされるべきである(平成5 年改正前の特許法123 条1 項3 号)。 e サポート要件違反本件明細書3 は、原出願の明細書である本件明細書1 と全く同じである。したがって、上記「確率判定手段」、「入賞抽選手段」及び「確率選択手段」による処理に15関する構成要件3J、3I 及び3L は、いずれも本件明細書3 にも記載されていないこととなる。 したがって、本件発明3 の特許請求の範囲に記載された上記各構成要件は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるということはできない。 20このため、本件特許3 は、平成6 年改正前の特許法36 条5 項1 号所定の要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、無効にされるべきである(平成5年改正前の法123 条1 項3 号)。 (エ) 本件特許4a 本件発明4-1 について25(a) 本件発明4-1 と実願平4-18215 号(実開平5-74200 号)のCD-ROM(乙19。 19 以下「乙19 文献」という。)記載の発明(以下「乙19 発明」という。)とを対比すると、両者は、次の点で相違する。 ・相違点4-1本件発明4-1 は「遊技機本体内に収納され、前記ホッパーモータを駆動し、ホッパー内のメダルを外部に排出させるためのメダル排出スイッチ」を備えているのに 両者は、次の点で相違する。 ・相違点4-1本件発明4-1 は「遊技機本体内に収納され、前記ホッパーモータを駆動し、ホッパー内のメダルを外部に排出させるためのメダル排出スイッチ」を備えているのに5対し、乙19 発明は、そのようなメダル排出スイッチを備えていない点。 ・相違点4-2ドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において行う制御に関し、本件発明4-1 は「前記メダル排出スイッチが操作された際に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段」を備えているのに対し、乙19 発明は、そのような報知手段を備え10ていない点。 (b) 相違点に係る構成の容易想到性特開平4-208182 号公報(乙20。以下「乙20 文献」という。)には、スロットマシンに用いられ、ホッパーディスクを回転させてホッパータンク内のメダルを払い出すホッパー装置であって、任意にホッパーディスクを作動させることができる操作15スイッチを備えるスロットマシンについて記載されている。このように、乙20 文献には、操作スイッチがホッパー装置に備えられることが記載されており、ホッパー装置がスロットマシンの本体内に備えられることは自明であるから、乙20 文献には、本体内に収納され、ホッパーディスクを駆動し、ホッパータンク内のメダルを外部に排出させるための操作スイッチが記載されているといえる。また、乙20 文献20においてホッパーディスクを駆動する機構は、乙19 発明の払出制御部に相当する。 このため、乙20 文献に記載されたホッパー装置に備えられた操作スイッチを乙19発明に適用すれば、相違点4-1 に係る本件発明4-1 の構成を得ることができる。 乙19 発明及び乙20 文献記載の発明は、いずれも同一の技術分野に属する技術であるから、乙19 発明に乙20 9発明に適用すれば、相違点4-1 に係る本件発明4-1 の構成を得ることができる。 乙19 発明及び乙20 文献記載の発明は、いずれも同一の技術分野に属する技術であるから、乙19 発明に乙20 文献記載の発明を適用し、相違点4-1 に係る構成を得25ることは、当業者であれば容易に想到し得る。 20 他方、相違点4-2 について、実願昭56-13323 号(実開昭57-128884 号)のマイクロフィルム(乙21。以下「乙21 文献」という。)には、スロットマシンにおいて、不正があった場合にブザー又はランプ等の不正指示装置が作動することが記載されている。また、実願昭63-44444 号(実開平1-147876 号)のマイクロフィルム(乙22。以下「乙22 文献」という。)には、スロットマシンにおいて、不正が発生した5場合に、呼び出しランプが点灯し、音声発生回路が作動することが記載されている。 このように、乙21 文献及び乙22 文献の各記載によれば、スロットマシンにおいて、不正状態の発生を外部に報知する報知手段を備えることは、本件発明4 の特許出願前に周知となっていた技術的事項である。したがって、乙19 発明において、不正状態の発生を外部に報知する報知手段を備えることは、当業者が容易になし得る単な10る設計的事項である。 さらに、実願昭56-120977 号(実開昭58-28354 号)のマイクロフィルム(乙23。 以下「乙23 文献」という。)には、釣銭払出しスイッチ又はフリーベンドスイッチを閉成することによって商品又はコインを取り出せる自動販売装置において、ドアが閉成しているときに外部より針金等で操作がなされても釣銭排出又は商品排出動15作がされないようにする発明が記載されている。また、実願昭2-74695 号 ンを取り出せる自動販売装置において、ドアが閉成しているときに外部より針金等で操作がなされても釣銭排出又は商品排出動15作がされないようにする発明が記載されている。また、実願昭2-74695 号(実開昭54-2496 号)のマイクロフィルム(乙24。以下「乙24 文献」という。)には、扉の閉塞によりドアスイッチが開路すると、つり銭回収スイッチを操作してもつり銭回収が行われず、不正による被害が防止できることが記載されている。このように、乙23 文献及び乙24 文献の各記載によれば、ドアスイッチがドア開放状態ではない20状態において、コイン等が排出されることが防止されるべき不正状態であることは、本件発明4 の特許出願前に周知となっていた技術的事項である。乙19 発明と、乙23 文献及び乙24 文献記載の自動販売装置とは、いずれもドア及びドアスイッチを備え、かつ、薄い円盤状の金属材であるメダル又はコインを排出する装置である点、及びドアが閉じられた状態で不正にメダル等が排出されると所有者が不利益を被る25点で、機構、作用、機能及び利用態様が共通するため、乙19 発明に乙23 文献及び 21 乙24 文献記載の上記周知技術を適用することの動機付けがある。乙19 発明に上記周知技術を適用した場合、ドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において、メダル排出スイッチが操作された際に「不正状態の発生」であると判断することになる。 そうすると、乙19 発明に、乙21 文献及び乙22 文献記載の周知の技術的事項並5びに乙23 文献及び乙24 文献記載の周知の技術的事項を適用すると、相違点4-2 に係る本件発明4-1 の構成を得ることができる。 (c) 小括以上のとおり、本件発明4-1 は、乙19 発明と、乙20 文献記載の発明 4 文献記載の周知の技術的事項を適用すると、相違点4-2 に係る本件発明4-1 の構成を得ることができる。 (c) 小括以上のとおり、本件発明4-1 は、乙19 発明と、乙20 文献記載の発明及び乙21 文献~乙24 文献記載の周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすること10ができたものである。このため、本件発明4-1 に係る特許は、特許法29 条2 項の規定に違反してされたものである。 b 本件発明4-2 について本件発明4-2 は、本件発明4-1 の構成を全て備えると共に、「報知手段は、スピーカーであること」を固有の構成要件としている。 15スロットマシンにおいて不正状態の発生を外部に報知する報知手段として、乙21文献には不正指示装置としてブザーが、乙22 文献には不正が発生した場合に音声発生回路を作動することが、それぞれ記載されている。「ブザー」とは「電磁石で振動板を振動させて音を出す装置」であり、「スピーカー」とは「振動電流を膜の機械的振動に変えて音波を出す装置」であり、両者は同じか、少なくとも同じ構造、機20能を有する。このため、当業者によれば、乙21 文献のブザーをスピーカーに置換すること、乙22 文献の音声発生回路が作動する手段としてスピーカーを採用することは、いずれも当業者が極めて容易になし得ることである。 そうすると、本件発明4-2 に固有の構成は、乙21 文献及び乙22 文献に記載されているように周知の技術事項であるか、少なくとも当業者が容易に発明をすること25ができたものといえる。 22 したがって、本件発明4-2 は、乙19 発明と、乙20 文献記載の発明及び乙21 文献~乙24 文献記載の周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、 22 したがって、本件発明4-2 は、乙19 発明と、乙20 文献記載の発明及び乙21 文献~乙24 文献記載の周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明4-2 に係る特許は、特許法29 条2 項の規定に違反してされたものである。 c 本件発明4-3 について5本件発明4-3 は、本件発明4-1 の構成を全て備えると共に、「報知手段は、点灯ランプであること」を固有の構成要件としている。 スロットマシンにおいて不正状態の発生を外部に報知する報知手段として、乙21文献には不正指示装置としてランプが、乙22 文献には不正が発生した場合に呼び出しランプが点灯することが、それぞれ記載されている。 10そうすると、本件発明4-3 に固有の構成は、乙21 文献及び乙22 文献に記載されているように周知の技術事項であるか、少なくとも当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 したがって、本件発明4-3 は、乙19 発明と、乙20 文献記載の発明及び乙21 文献~乙24 文献記載の周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすること15ができたものであり、本件発明4-3 に係る特許は、特許法29 条2 項の規定に違反してされたものである。 d 以上より、本件特許4 は無効にされるべきである(特許法123 条1 項2 号)。 (オ) このように、明らかな無効理由を有する本件各特許であっても、その存在にかかわらず被告が日電特許から分配金(実施料)の支払を受けることができたのは、20被告が本件パテントプールに加入し、その仕組み作りに貢献したためである。この点で、被告の貢献は大きい。 イ アルゼや日電特許との訴訟対応等本件パテントプールにおいて、日電特許は、被告を含む 0被告が本件パテントプールに加入し、その仕組み作りに貢献したためである。この点で、被告の貢献は大きい。 イ アルゼや日電特許との訴訟対応等本件パテントプールにおいて、日電特許は、被告を含む本件参加者から支払われた証紙代を原資とする実施料を、特許権等を拠出した本件参加者に分配している。 25しかるに、平成10 年以降、本件参加者の一社であったアルゼが本件パテントプー 23 ルからの離脱の意向を示し、被告を含む他の本件参加者や日電特許に対する訴訟を提起するなどしたため、本件パテントプールの運営に混乱が生じ、被告を含む本件参加者に対する日電特許からの実施料の分配が停止された。他方で、その間も被告を含む本件参加者は、所定のルールに従い、日電特許に対し証紙代を支払い続けた。 そこで、被告は、本件パテントプールの存続の危機を回避するべく、アルゼの提5起した特許権侵害訴訟への対応に加えて、同社の特許に対する特許無効審判請求を行うなどして徹底的に抗戦した。また、被告は、被告代表者自ら日電特許代表者と個別に面談するなどして、支払が留保されている実施料の分配を強く促し、日電特許による暫定的な実施料の分配が決定された。これに対し、アルゼが分配停止を求める仮処分命令申立てを行い、これが認められたため、被告は、他の本件参加者に10呼びかけ、共同原告となって、日電特許に対し分配金の支払を求める訴訟を提起し、請求認容判決を得た。これにより、平成22 年8 月30 日、平成10 年度から平成16年度の間にプールされていた証紙代収入のうち●(省略)●%の分配が実現され、残り●(省略)●%については、平成26 年1 月31 日にその分配が実現した。これを受けて、被告は、原告を含む発明者らに対し、本件期間分の補償金の支払通知を15行った。 %の分配が実現され、残り●(省略)●%については、平成26 年1 月31 日にその分配が実現した。これを受けて、被告は、原告を含む発明者らに対し、本件期間分の補償金の支払通知を15行った。 このように、被告が自らリスクを冒しつつ、長期間にわたり多大な資金と労力を尽くして、本件パテントプールの正常化に尽力した結果、本件期間分の実施料の分配が実現した。被告の貢献がなければ、日電特許は機能不全に陥ったまま、本件期間の証紙代収入からの分配は実現しなかったともいえるのであって、平成17 年度20分以降の実施料の分配とでは、その実現のために被告がなした貢献の程度には大きな相違がある。 また、本件パテントプールにおいて、個々の特許権等が技術的又は実用的に優れているか否かは重要ではなく、本件参加者が他者の特許権等の存在に拘束されず自由にパチスロ機を開発・設計できる点にその存在意義があり、特に●(省略)●こ25となどから、個々の特許権等に対する実施許諾の対価の支払といえる性格のもので 24 はない。これに対し、平成17 年度分から平成20 年度分に関しては、●(省略)●本件期間分とは発明者の貢献割合に相違が存在する。 ウ その他の事情(ア) 原告は、商業系の大学を卒業後、衣服関係の会社での勤務を経て被告に入社し、パチンコ機やパチスロ機の業界団体との折衝、特許管理を行う業務に従事した5後、本件各発明の出願時には、開発本部管理部管理課特許係主任として被告内での特許出願業務を担当していた。 本件各発明は、いずれもパチスロ機の動作に関するものであり、プログラムの制御等、技術的な知見を要するものであるところ、上記のとおり、原告には技術的なバックグラウンドはなく、原告は開発業務に主体的に関わっていない。原告が発明10者として本 るものであり、プログラムの制御等、技術的な知見を要するものであるところ、上記のとおり、原告には技術的なバックグラウンドはなく、原告は開発業務に主体的に関わっていない。原告が発明10者として本件各発明に係る特許出願をなし得たのは、その役職上、原告の下には、被告及び他のパチスロ機製造販売業者が保有する特許に関する情報が集約されるようになっており、また、開発本部には、当時被告が開発した「アラジンⅡ」の検定申請書等をはじめとした被告製品の技術資料が揃っていたことによる。加えて、原告は、被告の特許出願を代理する特許事務所との窓口を務めていたことから、同事務15所の弁理士とも親しくなり、どのような情報があれば弁理士が特許出願し得るかを知り得る状況にあった。原告は、このような環境を利用して、被告製品において用いられている技術の中で未だ特許出願されていないものを自己の発明として被告に届け出ることができる環境にあった。 このように、原告が本件各発明をすることができたのは、専ら被告が与えた職場20環境によるものであって、原告の貢献は乏しい。 (イ) 加えて、被告が原告に対する補償金支払に関して適正な手続を履行していることも考慮すべきである。すなわち、本件旧規程等においては、職務発明に係る補償金は職務発明審査会で決定した金額とする旨が定められており(本件旧規程14 条、本件旧細則1 条4 号)、本件各発明に係る補償金の算定においても、被告から諮問さ25れた同審査会において、補償金の額が決定されている。また、この決定において、 25 同審査会は、発明者の貢献率を●(省略)●%とすることを暫定的に決定した後、発明者に対する手続保障の観点から、意見表明及び不服申立ての機会を与えることとし、原告に対する支払通知の際、被告の判断に異議がある 会は、発明者の貢献率を●(省略)●%とすることを暫定的に決定した後、発明者に対する手続保障の観点から、意見表明及び不服申立ての機会を与えることとし、原告に対する支払通知の際、被告の判断に異議がある場合には意見を述べることができる旨を伝え、提出された意見表明に対しては回答書を送付し、更に不服がある場合には不服申立てを行い得ることとした。その上で、希望者を対象として5同審査会委員による意見聴取会を実施した上で、不服申立てに対する回答を送付することとした。原告については、支払通知後に意見表明書が提出されたことから、これに対する回答書を送付した。しかし、原告から更に不服申立てがされたことから、被告は、職務発明審査会に諮問し、同審査会において内容を審議の上で、回答書を送付した。しかるに、原告が更に同審査会に対する意見陳述の機会を要求した10ことから、被告は同審査会に諮問することとし、同審査会は、原告の要望を踏まえ、同審査会委員と原告との面談を実施した。その結果も踏まえて検討した結果、被告は、最終的に、貢献率についての方針を変更する必要はないと判断し、その旨原告に通知した。 このように、本件各発明に係る本件期間分の補償金の決定手続において、被告は、15原告に対し十分な告知・聴聞の機会を与えた上で、職務発明審査会において補償金の支払額を確定させたものであり、その決定手続には何らの瑕疵もない。 エ 小括本件期間に係る原告に対する補償金の算定にあたっては、上記各事情を踏まえて被告の貢献割合を●(省略)●%と判断したのであって、その判断は手続的にも実20質的にも正当である。したがって、このような職務発明審査会の判断は、「相当の対価」の算定においても尊重されるべきである。 第3 当裁判所の判断1 争点1(原告の補償金請求権の有無- も実20質的にも正当である。したがって、このような職務発明審査会の判断は、「相当の対価」の算定においても尊重されるべきである。 第3 当裁判所の判断1 争点1(原告の補償金請求権の有無-原告の発明者該当性)について(1) 前提事実(前記第2 の1)、証拠(掲記したもの。)及び弁論の全趣旨によ25れば、本件各発明の特許出願に至る経緯に関し、次の事実が認められる。 26 ア 原告は、商業系の大学卒業後、衣服関係の仕事を経て、平成2 年11 月に被告に入社し、被告の顧問であった特許事務所(以下「本件特許事務所」という。)で特許出願に関する一般的事務や発明性等についての研修を受けた(原告本人)。 イ 原告は、平成5 年頃、当時既に発売されていたスロットマシン「アラジン」や原告が被告入社後に発売された「アラジンⅡ」及び乙12 文献を含むその攻略本等5を参考にしてスロットマシンについての発明を検討し、本件特許事務所の弁理士と協議を重ねたり、同弁理士から助言を受けるなどした(原告本人)。 ウ 原告は、本件各発明の特許出願日頃、原告が作成したスロットマシンに係るアイディア等をフローチャート等に表し、これを基に本件特許事務所の弁理士が作成した明細書に基づいて、本件各発明に関し、それぞれ「発明届出書」に所定の事10項を記載した上で、被告名義で特許出願をした(甲1、乙11、原告本人)。 (2) 本件各発明に係る特許請求の範囲の記載及び本件各明細書によれば、本件各発明は、それぞれ、次のような内容のものと認められる。 ア 本件発明1(ア) 従来技術及び発明が解決しようとする課題15従来のスロットマシンには、入賞確率につき、通常確率か、通常確率より高い入賞確率の高確率とするかを変更し得るものがあったが、その際、 明1(ア) 従来技術及び発明が解決しようとする課題15従来のスロットマシンには、入賞確率につき、通常確率か、通常確率より高い入賞確率の高確率とするかを変更し得るものがあったが、その際、スロットマシン内部で入賞確率が変更されるだけで、高確率に移行した事実は表示されないため、遊技者において通常確率か高確率のどちらの状態で遊技中であるのか判断することができず、高確率に移行しても面白味に欠けるという問題点があった。 20本件発明1 は、この問題点に鑑み、入賞確率の変動を遊技者に知らせ、変化に富む、ゲーム性が向上したスロットマシンを提供するものである(【0002】~【0004】)。 (イ) 作用本件発明1 によれば、確率判定手段が、確率抽選手段により抽選された乱数値により通常確率か高確率かの判定を行うとともに、その判定結果を確率判定信号とし25て、特定確率報知手段に出力する。確率判定手段からの高確率判定信号が入力され 27 ると、特定確率報知手段が、通常確率から高確率に変更されたことを遊技者に報知する。これにより、遊技者は現在の遊技状態の設定確率が通常確率又は高確率の何れに設定されているかを即座に知ることができる(【0006】、【0007】)。 (ウ) 発明の効果本件発明1 によれば、特定確率報知手段を設けることで、入賞確率の変動を遊技5者に知らせ、もって変化に富む、ゲーム性が向上したスロットマシンを提供することができる(【0062】)。 イ 本件発明2(ア) 従来技術及び発明が解決しようとする課題従来のスロットマシンにおいては、フロントパネルに設けた表示部に複数の図柄10を順次高速で移動表示した後、図柄の移動表示を停止させ、図柄の停止表示態様が予め定めた一定の図柄の組合せである場合に 従来のスロットマシンにおいては、フロントパネルに設けた表示部に複数の図柄10を順次高速で移動表示した後、図柄の移動表示を停止させ、図柄の停止表示態様が予め定めた一定の図柄の組合せである場合に、遊技者に賞としてメダルを払い出したり特別遊技を行わせたりする。しかし、このような従来のスロットマシンでは、運良く特別遊技が発生して大量のメダルを獲得したとしても、その後、特別遊技が発生する確率に変化がないため、次の特別遊技が発生するまでの間に、獲得したメ15ダルを失ってしまうおそれがあり、遊技の興趣を著しく損ねることとなっていた。 本件発明2 は、上記問題点を解決するものであり、一旦特別遊技が発生した場合には、更に所定回数だけ特別遊技が継続して発生するように特別遊技の発生確率を変動させて、遊技の興趣を高めたスロットマシンを提供するものである(【0002】~【0004】)。 20(イ) 作用本件発明2 によれば、遊技者がスロットマシンにメダルを投入してスタートスイッチを操作すると、フロントパネルに設けた表示部に複数の図柄が順次高速移動表示される。乱数抽出手段では、乱数生成手段で発生した乱数の中から乱数を抽出し、表示部に停止表示する図柄の組合せを決定する。ここで、遊技者がストップスイッ25チを操作すると、表示部に高速移動表示されていた図柄が乱数抽出手段で決定され 28 た組合せに基づいて停止する。図柄判定手段では、停止表示した図柄の組合せを判定し、予め定めた図柄の組合せである場合には、賞としてメダルを払い出す。また、図柄判定手段の判定において、予め定めた特別遊技を行わせるための特定図柄であると判定された場合には、特定図柄判定手段により特定図柄の種類が判定され、判定した特定図柄の種類に基づいて、特定図柄の継続発生回数が決定 の判定において、予め定めた特別遊技を行わせるための特定図柄であると判定された場合には、特定図柄判定手段により特定図柄の種類が判定され、判定した特定図柄の種類に基づいて、特定図柄の継続発生回数が決定される。他方、5確率変更手段では、特定図柄判定手段により決定した継続回数に達するまでの間、特定図柄の発生確率を通常より高確率に変更し、特定図柄が発生しやすくする。このため、一旦特別遊技を行わせるための特定図柄が発生すると、継続して特定図柄が発生し易くなり、遊技の興趣を著しく高めることができる(【0006】~【0008】)。 また、本件明細書2 には、本件発明2 の実施例として、予め定めた特別遊技を行10わせるための特定図柄を「7」「7」「7」の組合せとし、この組合せには、全ての「7」が青色で表示されたものか、全ての「7」が赤色で表示されたもの、全ての「7」が金色で表示されたものの3 種類があるものが示されている。この実施例では、特定図柄判定手段において上記3 種類のいずれであるかを判定し、その判定結果に基づいて、特定図柄の継続発生回数を決定し、青色の「7」が3 つ揃った場合には特定図15柄の継続発生回数は1回、すなわち特別遊技である大ボーナス遊技を1回のみとし、赤色の「7」が3 つ揃った場合には大ボーナス遊技を2 回、金色の「7」が3 つ揃った場合には大ボーナス遊技を3 回継続させる。また、赤色の「7」が3 つ揃った場合及び金色の「7」が3 つ揃った場合には、確率変更手段により、特定図柄が発生する確率を通常遊技における確率よりも高確率とする。したがって、特別遊技である大20ボーナス遊技が終了した後、次の大ボーナス遊技が発生する確率が高くなり、継続して大ボーナス遊戯を行うことが可能となる(【0017】~【0019】)。 (ウ) 。したがって、特別遊技である大20ボーナス遊技が終了した後、次の大ボーナス遊技が発生する確率が高くなり、継続して大ボーナス遊戯を行うことが可能となる(【0017】~【0019】)。 (ウ) 発明の効果本件発明2 によれば、一旦、特別遊技を行わせるための特定図柄が発生すると、継続して特定図柄が発生しやすくなるので、遊技者は、特別遊技で獲得した大量の25メダルを失うことなく、更に特別遊技を行う可能性が高まり、遊技の興趣を著しく 29 高めることができる(【0024】)。 ウ 本件発明3(ア) 従来技術及び発明が解決しようとする課題従来のスロットマシンでは、入賞確率が通常確率から高確率へ変更された際、スロットマシンの内部で入賞確率が変更されるだけで、高確率に移行した事実は表示5されなかった。そのため、遊技者は通常確率又は高確率の何れの状態で遊技中なのかを判断することができず、高確率に移行しても面白みに欠けるという問題点があった。 本件発明3 は、このような問題点に鑑み、入賞確率の変動を遊技者に知らせ、もって、変化に富みゲーム性が向上したスロットマシンを提供しようとするものであ10る(【0002】~【0004】)。 (イ) 作用本件発明3 によれば、確率判定手段が、確率抽選手段により抽選された乱数値によって通常確率か高確率かの判定を行うと共に、その判定結果を確率判定信号として特定確率報知手段に出力する。確率判定手段からの高確率判定信号が入力される15と、特定確率報知手段は、入賞判定手段による入賞判定に用いられるデータが通常確率データから通常確率よりも入賞確率の高い高確率データに変更されたことを遊技者に報知する。また、確率判定手段からの通常確率判定信号が入力されると、特定確率報知手段は、入賞判定手段 れるデータが通常確率データから通常確率よりも入賞確率の高い高確率データに変更されたことを遊技者に報知する。また、確率判定手段からの通常確率判定信号が入力されると、特定確率報知手段は、入賞判定手段による入賞判定に用いられるデータが、高確率データから、高確率よりも入賞確率の低い通常確率データに変更されたことを遊技者20に報知する。これにより、遊技者は、現在の遊技状態の設定確率が通常確率又は高確率の何れに設定されているか即座に知ることができる(【0006】、【0007】)。 (ウ) 発明の効果本件発明3 によれば、特定確率報知手段を設けることで、入賞確率の変動を遊技者に知らせ、もって変化に富む、ゲーム性が向上したスロットマシンを提供するこ25とができる(【0062】)。 30 エ 本件発明4(ア) 従来技術及び発明が解決しようとする課題従来のメダル遊技機には、遊技機本体と、遊技機本体に開閉可能に取り付けた扉と、メダルを外部に払い出すホッパーと、このホッパーを駆動させるホッパーモータと、遊技機本体内に収納され、ホッパーモータを駆動し、ホッパー内のメダルを、5ゲームの状況とは無関係に、外部に排出させるためのメダル排出スイッチを備え、管理者以外の者が扉を開放することを防止するために、扉には施錠装置が設けられていた。しかし、このようなメダル遊技機では、遊技機の管理者以外の者が針金等の異物を挿入し、扉を開放せずに遊技機内部のメダル排出スイッチを操作してホッパーモータを駆動させることでメダルを払い出させるというメダルの不正払出しが10容易に行えるという問題があった。 本件発明4-1 は、このような問題点に鑑み、扉を開放することなく排出スイッチを不正に操作してメダルを払い出させるという遊技者によるメダルの不正払出しを が10容易に行えるという問題があった。 本件発明4-1 は、このような問題点に鑑み、扉を開放することなく排出スイッチを不正に操作してメダルを払い出させるという遊技者によるメダルの不正払出しを簡易に防止することのできるメダル遊技機を提供するものである(【0002】~【0005】)。 (イ) 課題を解決するための手段15本件発明4-1 のメダル遊技機は、扉の開閉状態を検出するドアセンサーと、このドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において、メダル排出スイッチが操作された際に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。また、本件発明4-2 のメダル遊技機は、本件発明4-1 の上記特徴に加え、報知手段がスピーカーであることを特徴とし、本件発明4-3 のメダル遊技機は、報知20手段が点灯ランプであることを特徴とする(【0006】、【0007】)。 (ウ) 作用本件発明4-1 のメダル遊技機によれば、メダル遊技機の扉を開放せずにメダル排出スイッチを操作すると、ドアセンサーからドア開放信号が出力されていないことから、報知手段によって不正状態の発生が外部に報知される。また、本件発明4-2 の25メダル遊技機によれば、不正状態の発生がスピーカーからの音声の出力により報知 31 される。本件発明4-3 のメダル遊技機によれば、不正状態の発生が点灯ランプの点灯により報知される(【0008】~【0010】)。 (エ) 発明の効果本件発明4-1 のメダル遊技機によれば、扉を開放せずに、遊技者が外部から針金などを用いてメダル排出スイッチを操作してメダルを得ようとすると、不正報知手5段によって、メダルの不正払出し状態を外部に報知することで、メダルの不正払出しを防止することができるメダル遊技機を提 などを用いてメダル排出スイッチを操作してメダルを得ようとすると、不正報知手5段によって、メダルの不正払出し状態を外部に報知することで、メダルの不正払出しを防止することができるメダル遊技機を提供することができる。また、本件発明4-2 又は4-3 のメダル遊技機によれば、スピーカーの音声の出力又は点灯ランプの点灯によって、不正状態の発生が外部に報知される(【0023】、【0024】)。 (3) 原告の発明者性の有無10特許法上、「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいい(特許法2 条1 項)、産業上利用することができる発明をした者は、その発明について特許を受けることができる(同法29 条1 項柱書)。また、発明は、その技術内容が当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成された15ときに、完成したと解すべきである(最高裁昭和52 年10 月13 日判決・民集31 巻6 号805 頁参照)。したがって、「発明者」とは、自然法則を利用した高度な技術的思想の創作に関与した者、すなわち、当該技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者をいうと解される。 前提事実並びに上記(1)及び(2)の各認定事実によれば、原告は、その経歴において20技術的・専門的なバックグラウンドを有しないものの、被告入社後、本件特許事務所における研修や被告において特許出願事務を担当して蓄積した知識経験を基礎として、当時の既存のスロットマシンやその攻略本を参考に、従来のスロットマシンに係る課題やその課題の解決方法を検討し、検討の結果得られた着想について、本件特許事務所の弁理士とも協議の上で 経験を基礎として、当時の既存のスロットマシンやその攻略本を参考に、従来のスロットマシンに係る課題やその課題の解決方法を検討し、検討の結果得られた着想について、本件特許事務所の弁理士とも協議の上ではあるものの自ら具体化したことにより、本25件各発明に係る被告の特許出願と特許権の設定登録に至ったことがうかがわれる。 32 そうすると、原告は、本件各発明について、自然法則を利用した高度な技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者ということができる。 したがって、原告は、本件各発明のいずれについても「発明者」と認められる。 (4) 被告の主張について5これに対し、被告は、本件発明1~3 はその特許出願前に存在する乙12 文献及び乙15 文献又はこれらの文献に係る実機である「アラジン」等により公然実施をされた発明と同一であること、本件発明4 は本件先願発明と同一であることから、原告は本件各発明の真の発明者ではないと主張する。 ア 本件発明1 と乙12 発明との同一性の有無10(ア) 乙12 発明の内容乙12 文献は、スロットマシン「アラジン」の攻略本として平成2 年8 月30 日に発行されたものであるところ、同文献には、以下の趣旨の記載がある。 ・「アラジン」の役に「小役」として「チェリー」があるところ、チェリーが左リールのみに表示される「単チェリー」の場合、2 枚か4 枚の払出しになる。 15・アラジンのコンピュータは、最初にシングルボーナスの集中役の判定を行い、次に他の役の判定に進む。 ・シングルボーナスの集中役の最中での役のフラグの成立確率は、ビッグチャンス及びレギュラーボーナスは通常時と同程度であるのに対し、シングルボーナスについては通常時の約1 次に他の役の判定に進む。 ・シングルボーナスの集中役の最中での役のフラグの成立確率は、ビッグチャンス及びレギュラーボーナスは通常時と同程度であるのに対し、シングルボーナスについては通常時の約10 倍(約16.66%)、単チェリーについては通常時の約100 倍20(約49.90%)と、シングルボーナスと単チェリーの確率が通常より大きく上昇する。 ・このように、ボーナスフラグが立つと約50%の確率で単チェリーのフラグが立ち、また、シングルボーナスの集中役のフラグが立っても同確率で単チェリーのフラグが立つことから、単チェリーが頻繁に出だしたら、ビックチャンス、レギュラーボーナス、シングルボーナスの集中役のいずれかのフラグが立っている可能性が25高いということになる。 33 ・単チェリーは約0.5%ながら通常ゲーム中にもフラグが立つことがあるが、通常ゲーム中の単チェリーの場合、そう何回も連続して出ることはないため、通常確率かシングルボーナスの集中役のフラグが立っている状態かの区別はできると思われる。 (イ) 上記(2)アによれば、本件発明1 は、従来のスロットマシンでは、通常確率か5高確率かの抽選が内部的に行われ、その抽選結果を遊技者に知らせる手段を有していなかったため、遊技者は、自身が通常確率か高確率のどちらの状態で遊技しているかを知ることができず、面白みに欠けるという課題があったところ、これを解決するため、通常確率から高確率に変更された場合、そのことを遊技者に報知する手段を設け、これによって、入賞確率の変動を遊技者に知らせ、変化に富むゲーム性10の向上したスロットマシンを提供できるという点に技術的特徴がある。 他方、乙12 文献の上記各記載により開示される乙12 発明は、遊技中に単チェリーが頻繁に出てく らせ、変化に富むゲーム性10の向上したスロットマシンを提供できるという点に技術的特徴がある。 他方、乙12 文献の上記各記載により開示される乙12 発明は、遊技中に単チェリーが頻繁に出てくることにより、遊技者は、ビッグチャンス、レギュラーボーナス又はシングルボーナスの集中役のいずれかに該当している可能性が高いことを推知することができるというものである。すなわち、乙12 発明は、あくまで、遊技中に15出現する単チェリーの頻度によって、遊技者において、高確率であるシングルボーナスの集中役に変更された可能性が高いことを推測し得るに過ぎず、シングルボーナスの集中役に変更された事実そのものを知ることができるものではない。また、単チェリーが頻繁に出るようになったとしても、それが「シングルボーナスの集中役」であるとは断定できず、ビッグチャンス、レギュラーボーナス又はシングルボ20ーナスのいずれかである可能性があることを推測し得るにとどまる。 そうすると、乙12 発明は、本件発明1 のように高確率に変動したことを遊技者に報知する手段を備えているとはいえず、本件発明1 と同一の構成を有するとはいえない。 イ 本件発明2 と乙15 発明2 との同一性の有無25(ア) 乙15 発明2 の内容 34 乙15 文献は、「アラジン」の後継機種として被告が平成3 年に販売を開始したスロットマシン「アラジンⅡ」について、被告が平成2 年12 月4 日に風営法20 条2項に規定する国家公安委員会規則に規定する基準に該当しない旨の認定を受けるために公安委員会に提出した「遊技機の遊技方法、構造説明資料」と題する申請書類である。 5乙15 文献には、以下の趣旨の記載がある。 ●(省略)●(イ) 上記(2)イによれば、本件発明2 ために公安委員会に提出した「遊技機の遊技方法、構造説明資料」と題する申請書類である。 5乙15 文献には、以下の趣旨の記載がある。 ●(省略)●(イ) 上記(2)イによれば、本件発明2 は、スロットマシンにおいて、予め定めた特別遊技を行わせるための特定図柄が揃うと、その特定図柄の種類によって、特定図柄の継続発生回数が決定され、特定図柄の種類により決定された継続回数に達する10までの間、特定図柄の発生確率を通常より高確率に変更し、特定図柄を発生しやすくさせ、特別遊技での遊技を行える確率を高くすることによって、遊技の興趣を高めるスロットマシンを提供するものである。 ●(省略)●したがって、本件発明2 は、乙15 発明2 と同一とはいえない。そうである以上、15本件発明2 が公然実施をされた「アラジンⅡ」によって新規性を欠くということもできない。 ウ 本件発明3 と乙15 発明3 との同一性の有無(ア) 乙15 発明3 の内容乙15 文献には、以下の趣旨の記載がある。 20●(省略)●(イ) 上記(2)ウによれば、本件発明3 は、確率抽選手段により抽選された乱数値により通常確率か高確率かの判定が行われ、高確率判定信号が入力されると、入賞判定される確率が通常確率から高確率に変更されたことを遊技者に報知すると共に、通常確率判定信号が入力されると、入賞判定される確率が高確率から通常確率に変25更されたことを遊技者に報知することにより、遊技者は、現在の遊技状態の設定確 35 率が通常確率か高確率かを即座に知ることができ、これによって、変化に富むゲーム性が向上したスロットマシンを提供するものである。 ●(省略)●したがって、本件発明3 は、乙15 発明3 と同一とはいえない。そうである以上、公 知ることができ、これによって、変化に富むゲーム性が向上したスロットマシンを提供するものである。 ●(省略)●したがって、本件発明3 は、乙15 発明3 と同一とはいえない。そうである以上、公然実施をされている「アラジンⅡ」も、本件発明3 の構成と同一とはいえない。 5エ 本件発明4 と本件先願発明との同一性の有無(ア) 本件先願発明の内容本件先願発明に係る公開特許公報(乙41)には、次の趣旨の記載がある。 a 特許請求の範囲【請求項1】10「メダルを払い出すホッパー装置と、このホッパー装置から払い出されたメダルを検出してメダル検出信号を出力する払出メダルセンサーと、ゲームの状況に応じて前記ホッパー装置を作動させて所定枚数のメダルを払い出すためのメダル払出信号を出力する遊技制御手段と、この遊技制御手段からのメダル払出信号にもとづいてホッパー装置を駆動制御するホッパー駆動制御手段とを備えたメダル遊技機にお15いて、/上記メダル遊技機は、払出メダルセンサーからのメダル検出信号にもとづいて、払い出されたメダル枚数をカウントするカウント手段と、このカウント手段からのメダルカウント信号と、上記遊技制御手段からのメダル払出信号とを比較して、カウント手段のカウント値がメダル払出信号にもとづいて払い出される所定枚数を超える場合に、不正検出信号を出力する不正検出手段と、/この不正検出手段20からの不正検出信号にもとづいて作動する不正報知手段とを備えたことを特徴とするメダル遊技機。」【請求項2】「上記不正検出手段は、遊技制御手段からのメダル払出信号の非出力状態において、カウント手段からメダルカウント信号が出力された場合に、不正検出信号を出25力することを特徴とする請求項1 記載のメダル遊技機。」 出手段は、遊技制御手段からのメダル払出信号の非出力状態において、カウント手段からメダルカウント信号が出力された場合に、不正検出信号を出25力することを特徴とする請求項1 記載のメダル遊技機。」 36 b 従来技術及び発明が解決しようとする課題従来のメダル遊技機には、遊技機の管理のため、管理者が、ゲームの状況とは無関係にホッパー装置を作動させてメダルを払い出すことが可能な回収スイッチがメダル遊技機内部に配置されていた。また、メダル遊技機に備えられたメダルを払い出すホッパー装置は、モータと、このモータ軸に固定されて回転する回転ディスク5とを備え、回転ディスクを所定の角度回転させることで所定枚数のメダルを払い出していたが、モータを停止させても回転ディスクが惰性で回転するために、ブレーキなどの物理的手段でモータ軸の回転を停止させて、所定枚数以上のメダルが払い出されるのを防止していた。 しかし、従来のメダル遊技機では、異物を挿入してブレーキの作動を阻止するこ10とで、モータが停止した後も、回転ディスクを慣性で回転させて、所定枚数以上のメダルを払い出させるメダルの不正払出しが容易に行えるといった問題点や、遊技者が針金等の異物を外部から挿入して遊技機内部の回収スイッチを操作することで、ゲームの状況とは無関係にホッパー装置を駆動させ、メダルを払い出させるメダルの不正払出しが容易に行えるといった問題点があった(【0002】~【0005】)。 15c 課題を解決するための手段請求項1 記載のメダル遊技機は、払出メダルセンサーからのメダル検出信号に基づいて、払い出されたメダル枚数をカウントするカウント手段と、このカウント手段からのメダルカウント信号と、遊技制御手段からのメダル払出信号とを比較して、カウント手段のカウント値 のメダル検出信号に基づいて、払い出されたメダル枚数をカウントするカウント手段と、このカウント手段からのメダルカウント信号と、遊技制御手段からのメダル払出信号とを比較して、カウント手段のカウント値がメダル払出信号に基づいて払い出される所定枚数20を超える場合に、不正検出信号を出力する不正検出手段と、この不正検出手段からの不正検出信号に基づいて作動する不正報知手段とを備えた。 また、請求項2 記載のメダル遊技機は、請求項1 記載の特徴点に加え、不正検出手段は、遊技制御手段からのメダル払出信号の非出力状態において、カウント手段からメダルカウント信号が出力された場合に、不正検出信号を出力するものである25(【0007】、【0008】)。 37 (イ) 本件発明4-1 は、上記(2)エのとおり、遊技機本体に開閉可能に取り付けられた扉の開閉状態を検出するドアセンサーを設け、このドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において、メダル排出スイッチが操作された際に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段を有することにより、メダルの不正払出しを防止するものである。 5他方、本件先願発明は、メダル払出信号の非出力状態においてメダルカウント信号が出力された場合に、不正状態の発生を外部に報知するものである。すなわち、本件先願発明において、不正状態の発生を外部に報知するのは、メダル払出信号が非出力状態であるにもかかわらずメダルカウント信号が出力されたときであり、本件発明4-1 のように、扉に取り付けられたドアセンサーからのドア開放信号の非出10力状態においてメダル排出スイッチが操作されたことを契機とするものではない。 したがって、本件発明4-1 は、本件先願発明と同一とはいえない。同様に、本件発明4-2 及び4-3 も、本件先 10力状態においてメダル排出スイッチが操作されたことを契機とするものではない。 したがって、本件発明4-1 は、本件先願発明と同一とはいえない。同様に、本件発明4-2 及び4-3 も、本件先願発明と同一とはいえない。 オ 小括以上のとおり、本件各発明については、それぞれ、被告が指摘する各文献記載の15発明、アラジンⅡの公然実施発明ないし本件先願発明と同一とはいえない。これらの点に関する被告の主張は採用できない。 2 争点2-1(「相当の対価」の算定における本件新規程等の適用の可否)について(1) 本件新規程附則1 項によれば、同規程は平成19 年10 月1 日より施行される旨が定められ、この具体的意味につき、本件新細則8 条は、同日以降の発明等の出20願及び登録につき本件新細則が適用される旨定めている。そうすると、本件新規程等は、平成19 年10 月1 日以降に出願された発明、又は同日より前に出願され、同日以降に登録がされた発明に対して適用されるものであり、同日より前に出願及び登録がされた発明に対しては、本件新規程等の適用はないことになる。 本件各発明は、いずれも平成19 年10 月1 日より前に出願及び登録がされたもの25であるから、本件新規程等は適用されず、本件旧規程等の適用を受けることになる。 38 (2) 原告の主張についてア 原告は、本件各発明に係る平成17 年度から平成20 年度分の補償金については本件新規程等所定の発明者の貢献率●(省略)●%を基礎として算定されていることから、本件期間分の補償金についても発明者の貢献率を●(省略)●%として算定することが被告の慣行となっていたなどと主張する。 5イ 証拠(乙33、36、38、39)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら 補償金についても発明者の貢献率を●(省略)●%として算定することが被告の慣行となっていたなどと主張する。 5イ 証拠(乙33、36、38、39)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (ア) 被告において、平成24 年12 月25 日、平成17 年度から平成20 年度分の本件各発明を含む発明に対し支払うべき実績報償について、本件新規程等に基づいて算定した額とする内容の稟議が承認された。ただし、その稟議申請及び添付資料に10は、上記期間の実績報償算定にあたり本件新規程等に基づくことの理由に関する記載はない。 なお、上記期間分の実績報償の対象となった権利99 件のうち、平成19 年9 月30日以前に特許出願及び設定登録されたものは86 件(86.9%)である。 (イ) 被告において、平成26 年3 月5 日、本件期間分の本件各発明を含む発明に15つき支払うべき実績報償について、本件旧規定等に基づいて算定した額とする内容の稟議が承認された。 これに先立ち本件旧規程4 条に基づいて設置された職務発明審査会においては、発明者の貢献率を●(省略)●%とする理由について、被告が日電特許の創設、仕組作り及び管理等に寄与してきたことに鑑み、実施料収入を得る過程においては、20被告の貢献度の方が発明者の貢献度よりも著しく高いと考えた旨の説明がされた。 より具体的には、事務局より、●(省略)●との説明がされた。もっとも、その後の質疑応答において、外部委員から、平成19 年9 月30 日以前の出願・登録に関する補償金算定については本件新規程等を適用させ、実施することが慣行となっていたなどとする意見が述べられた。 25ウ 被告が平成17 年度から平成20 年度分の本件各発明を含む発明の実績報償に 39 つき、本件新 新規程等を適用させ、実施することが慣行となっていたなどとする意見が述べられた。 25ウ 被告が平成17 年度から平成20 年度分の本件各発明を含む発明の実績報償に 39 つき、本件新規程等に基づいて発明者の貢献率を●(省略)●%として算定した理由については、証拠上判然としない。もっとも、この点について、被告は、本来であれば本件各発明に係る平成17 年度から平成20 年度分の実績報償も本件旧規程等に基づいて算定されるべきものであったものの、当該期間分の実績報償の対象となる発明には本件旧規程等が適用されるものと本件新規程等が適用されるものとが混5在しており、これらを区別して本件旧規程等と本件新規程等を適用することとした場合、被告は、各規定に基づきそれぞれ職務発明審査会を設立、開催等しなければならず、事務処理が倍増すること、本件新規程等の適用を受ける平成19 年10 月1日以後に出願又は登録がされた発明については一律に発明者貢献率を●(省略)●%として算定することになり、仮に本件旧規程等の適用を受ける発明について発明者10の貢献率をこれより低くした場合、後者の発明の発明者からの不服申立ての契機となり、これに対応するための事務処理も発生することが予想されたことから、事務処理の便宜を図ると共に、発明者の不利とならないように、一律に発明者貢献率●(省略)●%を適用することとした旨を主張する。このような被告主張に係る取扱いには合理性が認められること及び弁論の全趣旨に鑑みると、上記取扱いは、被告15主張のとおりの考えに基づき行われたものと認められる。 他方、平成17 年度から平成20 年度分に係る実績報償の決定手続が行われたのが平成24 年12 月頃であるのに対し、本件期間分に係る実績報償の決定手続が行われたのはその2 年後 のと認められる。 他方、平成17 年度から平成20 年度分に係る実績報償の決定手続が行われたのが平成24 年12 月頃であるのに対し、本件期間分に係る実績報償の決定手続が行われたのはその2 年後の平成26 年12 月頃であること、平成17 年度から平成20 年度分に係る実績報償の対象となる発明には本件旧規程等の適用を受けるものと本件新規20程等の適用を受けるものとが混在しているのに対し、本件期間分に係る実績報償の対象となる発明はいずれも本件旧規程等の適用を受けるものであることなどに鑑みると、平成17 年度から平成20 年度分に係る発明に対して支払うべき実績報償の算定にあたり平成19 年10 月1 日の前後を問わず本件新規程等を適用したからといって、これにより、以後行われる実績報償の算定にあたっては、平成19 年9 月30 日25以前に特許出願及び設定登録がされた発明に対しても本件新規程等が適用されると 40 の慣行が被告において成立していたとは認められない。 さらに、被告ないし職務発明審査会が原告に対し本件期間に係る本件各発明に対する実績報償の算定にあたり発明者貢献率を●(省略)●%と示したなどといった具体的な事情の存在もうかがわれない。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 53 争点2-2(本件各発明により被告が受けるべき利益の額)(1) 使用者等の発明者に支払うべき「相当の対価」は、発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明につき使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならないところ(旧35 条4 項)、このうち本件各発明により被告が受けるべき利益の額について、証拠(甲10、乙36)によれば、職務発明審査会は、本件期間分10に係る本件各発明について原告に支払うべき実績報償の 旧35 条4 項)、このうち本件各発明により被告が受けるべき利益の額について、証拠(甲10、乙36)によれば、職務発明審査会は、本件期間分10に係る本件各発明について原告に支払うべき実績報償の算定にあたり、本件旧規程等を適用するとしながらも、発明者の貢献率を除くと本件新細則5 条の定める計算式と同じ計算式を用い、また、その際、以下の金額を基礎としたことが認められる。 ア 本件発明1実施料収入●(省略)●円、権利化費用●(省略)●円、権利維持費用●(省略)15●円イ 本件発明2実施料収入●(省略)●円、権利化費用及び権利維持費用●(省略)●円ウ 本件発明3 及び4●(省略)●実施料収入●(省略)●円、権利化費用及び権利維持費用●(省略)20●円(2) 上記認定事実に鑑みると、被告は、本件期間分に係る本件各発明に対し支払うべき実績報償の額の算定にあたり、本件各発明により被告が受けるべき利益の額は、日電特許から分配を受けた本件期間分の実施料のうち本件各発明に割り付けられるべき額から権利化費用及び権利維持費用を控除したものと認識していたことが25うかがわれる。そうすると、これをもって、原告の職務発明に対する「相当の対価」 41 の算定における「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」とするのが相当である。 (3) 被告の主張についてこれに対し、被告は、本件パテントプールから支払われた実施料の分配金から被告が支払ったこれに対応する証紙代を控除すると、本件期間に係る被告の収益は零5であると主張する。 しかし、本件パテントプールに対して被告を含む本件参加者が支払う証紙代は、本件参加者からそれぞれ拠出された特許権等の全体につき、本件参加者から実施許諾を受けた日電特許から本件参加者が と主張する。 しかし、本件パテントプールに対して被告を含む本件参加者が支払う証紙代は、本件参加者からそれぞれ拠出された特許権等の全体につき、本件参加者から実施許諾を受けた日電特許から本件参加者がそれぞれ(自己の拠出した特許権等を含め)再実施許諾を受けるための対価と理解し得るものであり、被告が本件各発明の実施10料の支払を受けるために直接要した費用とは必ずしもいえない。そもそも、上記認定のとおり、被告は、本件期間分に係る本件各発明に対し支払うべき実績報償の額の算定にあたり、本件各発明により被告が受けるべき利益の額は本件期間分の実施料のうち本件各発明に割り付けられるべき額から権利化費用及び権利維持費用を控除したものと認識していたとみられるにもかかわらず、本件において、被告が本件15期間中に本件パテントプールに支払った証紙代を考慮して算定することを合理的と考えるべき事情は見当たらない。 したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。 (4) 小括そうすると、本件期間において本件各発明により被告が受けるべき利益の額は、20本件発明1 につき●(省略)●円、本件発明2 につき●(省略)●円、本件発明3及び4 につき●(省略)●円と認められる。 4 争点2-3(原告及び被告の貢献割合)(1) 「使用者等が貢献した程度」において考慮し得る事情旧35 条3 項は、職務発明について特許を受ける権利が当該発明をした従業者等25に原始的に帰属することを前提に(特許法29 条1 項参照)、職務発明について特許 42 を受ける権利並びに特許権の帰属及びその利用に関し、当該権利を取得した使用者等が当該発明の実施を独占的に利用することを認める一方で、当該発明の独占的利用によって使用者等が得ることのできる客観的利益のうち一定 権利並びに特許権の帰属及びその利用に関し、当該権利を取得した使用者等が当該発明の実施を独占的に利用することを認める一方で、当該発明の独占的利用によって使用者等が得ることのできる客観的利益のうち一定の範囲の金額を従業者等において確保することができるようにすることで、使用者等と従業者等のそれぞれの利益を保護すると共に、両者間の利害を調整することを図った規定であると5解される。また、同条4 項が、「相当の対価」(同条3 項)の算定に当たっては、前記の「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」に加え、「その発明がされるについて使用者等が貢献した程度」を考慮しなければならないと定めるのは、同条3 項の上記趣旨を具現化するものと理解される。このような同条の趣旨等を踏まえると、「使用者等が貢献した程度」は、使用者等がその発明がされるについて貢献し10た事情のほか、特許の取得、維持、ライセンス契約の締結に要した努力や費用、さらに、使用者等が特許を受ける権利を承継して特許を受けた結果、現実に利益を受けた場合には、その利益を得るにあたり使用者等が行ったこれらの事情その他一切の事情を考慮し得るものと解するのが相当である。 (2) 無効理由の主張の可否及びその存否について15ア 被告は、本件各特許にはいずれも無効理由が存在するにもかかわらず本件各特許権に基づき実施料収入を得られたことは、被告の貢献割合を高く評価すべき事由であると主張する。 特許法によれば、設定登録により発生した特許権については、無効理由が存在するとしても、現実に特許無効審決が確定するまで当該特許権は有効なものとして扱20われ、特許権者は、業として当該特許発明を実施する権利を専有する(68 条本文)。 このため、当該特許権者は、特許無効審決が確定しない限り、実際上当該特 定するまで当該特許権は有効なものとして扱20われ、特許権者は、業として当該特許発明を実施する権利を専有する(68 条本文)。 このため、当該特許権者は、特許無効審決が確定しない限り、実際上当該特許権に基づき独占の利益を享受し得ることとなる。上記旧35 条3 項及び4 項の趣旨並びに禁反言の原則に鑑みれば、仮に特許無効理由が存在していたとしても、使用者が、現に特許権に基づき独占の利益を享受していたにもかかわらず、従業者等から職務25発明に係る相当の対価の支払を請求されたのに対しては、自ら無効理由の存在を主 43 張して従業者等への分配を免れるがごとき態度は許容しがたい。 もっとも、特許無効理由が存在し、又はその存在が疑われる場合、発明の権利化や特許の維持、実施許諾契約の締結及び実施料の設定等のために、特許権者となった使用者等が格別の労力や費用の支出を要することも考えられる。そのような使用者等の負担は使用者等の貢献として考慮すべき事情となり得るというべきである。 5イ 無効理由の存否(ア) 新規性欠如の無効理由について(本件特許1~3)被告は、本件発明1~3 につき、乙12 発明(本件特許1 について)、乙15 発明2ないしこれを実施した「アラジンⅡ」(本件特許2 について)又は乙15 発明3 ないしこれを実施した「アラジンⅡ」(本件特許3 について)と同一であるから、新規性10を欠き無効である旨主張する。 しかし、前記1(4)のとおり、本件特許1~3 は、いずれも上記各引用発明と同一とは認められないから、これらの引用発明により新規性を欠くとはいえない。 (イ) 分割要件違反による新規性の欠如の無効理由について(本件特許3)被告は、本件特許3 に係る特許出願は、本件特許1 に係る特許出願を原出願とす15 発明により新規性を欠くとはいえない。 (イ) 分割要件違反による新規性の欠如の無効理由について(本件特許3)被告は、本件特許3 に係る特許出願は、本件特許1 に係る特許出願を原出願とす15る分割出願であるところ、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L はいずれも本件明細書1 に記載されておらず、平成6 年改正前の特許法44 条1 項の要件を満たさないため、その出願は現実の出願日である平成7 年12 月18 日にされたことになり、そうすると、本件発明3 は原出願の公開公報(本件特許1 公開公報)によって開示された内容と同一であるから、本件特許3 は新規性を欠き無効であると主張する。 20しかし、まず、本件発明3 の構成要件3I(「前記入賞抽選手段により抽選された乱数値と前記入賞確率データ記憶手段の通常入賞確率データ又は高入賞確率データに基づいて、入賞を判定し、入賞信号を出力する入賞判定手段と、を備え」)との関係では、本件明細書1 には、以下の記載がある。 ・「中央制御装置50 は、…通常確率における通常入賞確率データと、高確率にお25ける高入賞確率データとからなる、いわゆる入賞確率データを記憶する入賞確率デ 44 ータ記憶手段55と、前記確率判定手段53からの通常確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段55 に記憶された通常入賞確率データを選択するとともに、高確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段55 に記憶された高入賞確率データを選択する確率選択手段54 と、前記乱数発生手段52 から順次発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する入賞抽選手段56 と、この入賞抽選5手段56 により抽選された乱数値と入賞確率データ記憶手段55 の通常入賞確率データ若しくは高入賞確率データとに 次発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する入賞抽選手段56 と、この入賞抽選5手段56 により抽選された乱数値と入賞確率データ記憶手段55 の通常入賞確率データ若しくは高入賞確率データとに基づいて、入賞を判定し、入賞信号を出力する入賞判定手段59 とを備えている。」(【0014】)この記載によれば、本件明細書1 には、本件発明3 の構成要件3I が特定する「通常入賞確率データ又は高入賞確率データ」を「入賞確率データ記憶手段」が記憶す10る構成及び「入賞抽選手段」による処理に係る構成がいずれも示されているといえる。 次に、本件発明3 の構成要件3J(「前記確率判定手段による入賞確率の判定は、設定条件又は遊技枚数に応じた複数種類の抽選確率データの中から、当該遊技に用いる抽選確率データを当該遊技の設定条件又は遊技枚数に応じて選択し、選択した15当該抽選確率データと前記確率抽選手段により抽選された乱数値とにもとづいて行われ」)との関係では、本件明細書1 には、以下の記載がある。 ・「中央制御装置50 は、…乱数を順次発生させる乱数発生手段52 と、…前記乱数発生手段52 から順次発生される乱数値から一つの乱数値を抽選する確率抽選手段51 と、この確率抽選手段51 により抽選された乱数値により、通常確率か、通常確20率より高い入賞確率の高確率かの判定を行い、当該判定結果が通常確率の場合には通常確率判定信号を出力するとともに、高確率の場合には高確率判定信号を出力する確率判定手段53 と、…を備えている。」(【0014】)・「確率判定手段53 には、現状が通常確率の場合には、高確率に移行するか若しくは現状維持のままかの何れかを選び、一方、現状が高確率の場合には、通常確率25に移行するか若しくは現状維持のままかの何れかを 判定手段53 には、現状が通常確率の場合には、高確率に移行するか若しくは現状維持のままかの何れかを選び、一方、現状が高確率の場合には、通常確率25に移行するか若しくは現状維持のままかの何れかを選ぶ抽選確率データを備えてい 45 る。」(【0015】)・「確率判定手段53 は、入賞抽選手段56 で抽選された乱数値と確率判定手段53の内部に保有する抽選確率データとに基づいて、通常確率か高確率かの判定を行う。 すなわち、具体的には、現状が通常確率の場合には、高確率に移行するか現状を維持するかの判定を行い、現状が高確率の場合には、通常確率に移行するか現状を維5持するかの判定を行う。」(【0018】)・「上記ステップ73 において、「ボーナスゲーム」のフラグが成立していない場合、図3 に示すように、ステップ74 に進み、設定若しくは遊技枚数に対応した役物の抽選確率データの切替抽選をする。具体的には、確率抽選手段51…が乱数発生手段52…から順次発生させる乱数値から一つを抽選することにより行われる。」10(【0028】)これらの記載から、本件明細書1 には、確率判定手段は、通常確率か高確率かを選択する抽選確率データから乱数値を用いて判定を行うこと、抽選確率データは、設定若しくは遊技枚数に対応しており、抽選確率を切り替えることができるよう複数あること、通常確率及び高確率は役物の入賞確率に関するものであることが記載15されていると理解される。そうすると、本件発明3 の構成要件3J は、本件明細書1に記載されているものといえる。 本件発明3 の構成要件3L(「前記確率選択手段は、前記確率判定手段の判定結果に従い、通常入賞確率データ又は高入賞確率データにそれぞれ存在する複数種類の入賞確率データのうち、当該入賞判定に用いる入 本件発明3 の構成要件3L(「前記確率選択手段は、前記確率判定手段の判定結果に従い、通常入賞確率データ又は高入賞確率データにそれぞれ存在する複数種類の入賞確率データのうち、当該入賞判定に用いる入賞確率データの選択を、設定又は20遊技枚数に対応して行うようにし」)に関しては、本件明細書1 に、【0028】のとおり、役物の抽選確率データの切替抽選に関して、通常確率か高確率かは、設定又は遊技枚数に対応して抽選することが記載されている。本件発明3 の構成要件3L の入賞確率データの選択は、通常確率か高確率かに対応して行われるものであるところ、通常確率か高確率かを設定又は遊技枚数のいずれかに対応して抽選するもので25あれば、「設定又は遊技枚数」のいずれかに対応して入賞確率データの選択を行うも 46 のといえる。したがって、本件発明3 の構成要件3L は、本件明細書1 に記載されているといってよい。 以上のとおり、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L はいずれも本件明細書1 に記載されているものといえる。このため、本件発明3 は、本件明細書1 に記載されたものであり、平成6 年改正前の特許法44 条1 項 が規定する特許出願の分割の要5件を満たし、同条2 項の遡及効を有するから、本件特許1 公開公報により新規性を欠くとはいえない。 (ウ) 補正要件違反による新規性欠如の無効理由について(本件特許3)被告は、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L につき、いずれも拒絶理由通知に対する補正により追加されたものであるところ、これらの構成は原出願である本件10特許1 の明細書と全く同じ内容である当初明細書に記載されたものではないとして、補正要件違反を主張する。 しかし、上記(イ)のとおり、本件発明3 の構成要件3I れらの構成は原出願である本件10特許1 の明細書と全く同じ内容である当初明細書に記載されたものではないとして、補正要件違反を主張する。 しかし、上記(イ)のとおり、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L はいずれも本件明細書1 に記載されたものであるから、これと同じ内容の本件発明3 の当初明細書に記載されたものといえる。したがって、上記各構成要件に係る各補正は、平成515年改正前の特許法41 条が規定する要旨変更となる補正には当たらない。そうである以上、本件発明3 に係る特許出願は平成12 年5 月8 日にしたものとはみなされず、本件発明3 は、本件特許1 公開公報により新規性を欠くとはいえない。 (エ) 特許請求の範囲の記載要件違反の無効理由について(本件特許3)被告は、本件発明3 の構成要件3I の入賞抽選手段につき、本件発明3 に係る特許20請求の範囲には、「通常入賞確率データ又は高入賞確率データ」を「入賞確率データ記憶手段」が記憶していることが記載されておらず、本件明細書3 にも記載されていないため、「入賞抽選手段」による処理に係る上記構成要件から発明を把握することができないから、本件発明3 の特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分されたものではない25として、平成5 年改正前の特許法36 条4 項2 号所定の記載要件違反により無効に 47 されるべきものであると主張する。 しかし、本件明細書3 には、「…通常確率における通常入賞確率データと、高確率における高入賞確率データとからなる、いわゆる入賞確率データを記憶する入賞確率データ記憶手段55 と、前記確率判定手段53 からの通常確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段5 高確率における高入賞確率データとからなる、いわゆる入賞確率データを記憶する入賞確率データ記憶手段55 と、前記確率判定手段53 からの通常確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段55 に記憶された通常入賞確率データを選択す5るとともに、高確率判定信号の入力を条件に、前記入賞確率データ記憶手段55 に記憶された高入賞確率データを選択する確率選択手段54」(【0014】)との記載がある。 この記載は、通常入賞確率データ及び高入賞確率データが入賞確率データ記憶手段により記憶されていることを開示しているといえる。 そうすると、本件発明3 の構成要件3I は本件明細書3 に記載されているといえる10から、本件発明3 の特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してあるものではないとはいえず、本件発明3 に上記記載要件違反はない。 (オ) サポート要件違反の無効理由について(本件特許3)被告は、本件明細書3 と本件明細書1 とは全く同じ内容であるところ、本件発明153 の構成要件3I、3J 及び3L について、いずれも本件明細書3 に記載されていないとして、サポート要件違反を主張する。 しかし、上記(イ)のとおり、本件発明3 の構成要件3I、3J 及び3L は、いずれも本件明細書1 に記載されたものであって、これと同じ内容の本件明細書3 にも記載があるといえるから、本件特許3 にサポート要件違反はない。 20(カ) 本件特許4 についてa 被告は、本件特許4 について、乙19 発明に基づく進歩性欠如の無効理由が存在すると主張する。 b 乙19 発明(a) 乙19 文献は、「ステッピングモーターの回転角信号発生機構」を考案の名称25とする について、乙19 発明に基づく進歩性欠如の無効理由が存在すると主張する。 b 乙19 発明(a) 乙19 文献は、「ステッピングモーターの回転角信号発生機構」を考案の名称25とする実用新案登録出願の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD- 48 ROM であるところ、同文献には、以下の記載がある。 ・「本考案を用いたスロットマシンの外観を示す第1 図において、1 は本体、2 はフロントドアーで、本体内部の点検、保守、またはメダルの回収、補充などのために左側面にヒンジを介して…本体1 に開閉自在に取り付けられている。3 は入賞シンボルの組合せ、配当表などが記された表示パネルである」(【0012】)5・「入賞が得られた場合は、払出し制御部61 は、CPU50 の制御に従い、ホッパー62 を駆動して入賞に該当したメダルを払出す。…なお、ドアースイッチ63 が設けられており、本体内部の点検、保守またはメダルの回収、補充などのためのフロントドアー2 が開閉されたことを検出するようになっている。この検出された信号は、CPU を介してRAM にメモリーされ、フロントドアー閉成後の最初のゲームにおい10て、リールが回転され全てのリールが基準位置を通過後に回転位置を検出するプログラムが実行されるよう制御される。」(【0029】)上記各記載によれば、乙19 文献には、以下の乙19 発明が記載されているといえる。 「本体1 と、この本体1 に開閉可能に取り付けたフロントドアー2 と、メダルを15外部に払い出すホッパー62 と、このホッパー62 を駆動する払出し制御部61 とを備えたスロットマシンにおいて、前記スロットマシンは、前記フロントドアー2 の開閉状態を検出するドアースイッチ63 を備え、このドアー パー62 と、このホッパー62 を駆動する払出し制御部61 とを備えたスロットマシンにおいて、前記スロットマシンは、前記フロントドアー2 の開閉状態を検出するドアースイッチ63 を備え、このドアースイッチ63 からのドアー閉成を検出する信号を用いた制御を行うことを特徴とするスロットマシン。」c 本件発明4-1 と乙19 発明との相違点20本件発明4-1 と乙19 発明を対比すると、両者は、以下の点で相違するといえる。 (a) 相違点4-1本件発明4-1 は、遊技機本体内に収納され、ホッパーモータを駆動し、ホッパー内のメダルを外部に排出させるためのメダル排出スイッチを備えているのに対し、乙19 発明は、そのようなメダル排出スイッチを備えていない点。 25(b) 相違点4-2 49 ドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において行う制御につき、本件発明4-1 は、メダル排出スイッチが操作された際に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段を備えているのに対し、乙19 発明は、そのような報知手段を備えていない点。 d 相違点4-2 に係る本件発明4-1 の構成の容易想到性について5(a) 乙21 文献は、その名称を「スロットマシンの不正検出機能付コイン払出し装置」とする考案に係るものであるところ、同文献には、以下の記載がある。 ・「従来の払出し装置では、払出通路の払出し口からピアノ線等を入れて検出手段のスイッチレバーを押すことが可能であった。外部からスイッチレバーを押すと、当りの場合にコインの枚数を計数できなくなり、制御装置からホッパーに停止信号10が送られなくなる。従ってホッパー内のコインがなくなるまで、コインは払出される。」(2 頁14 行~3 頁1 行)・「制御装置6 は検出信号の できなくなり、制御装置からホッパーに停止信号10が送られなくなる。従ってホッパー内のコインがなくなるまで、コインは払出される。」(2 頁14 行~3 頁1 行)・「制御装置6 は検出信号の時間管理を行っている。すなわち、通常のコイン検出時間は約0.1 秒であるが、不正時の検出時間は非常に長くなる。/…制御装置6 では予め検出時間が設定されており、定められた設定時間よりも長い検出信号が入力15されると、ブザーあるいはランプ等の不正指示装置7 が作動する。」(3 頁17 行~4頁4 行)(b) 乙22 文献は、考案の名称を「遊戯機の音声表示装置」とする考案に係るものである。同文献には、以下の記載がある。 ・「本考案はパチンコ、パチスロ等の遊戯機に関し、特に、呼び出し、大当たり、20不正行為を音声で表示することができる遊戯機の音声表示装置に関する。」(1 頁18行~2 頁1 行)・「不正表示手段C は、ドア開放にて作動するドアスイッチD と、磁石接近にて作動するリードスイッチS と、不正検出回路5 とを備えている。…不正にドアが開けられたり、磁石がドアの外部から近づけられると…呼び出しランプLT1 を点灯す25る。さらに、…音声発生回路61 が作動して、不正行為に対応する音声表示がなされ 50 る。」(7 頁13 行~8 頁11 行)(c) 乙23 文献は、考案の名称を「自動販売装置」とする考案に係るものである。 同文献には、以下の記載がある。 ・「本考案は従来のコイン機構ユニットにおけるフリーベンドスイッチに直列にドア連動スイッチを設けた自動販売装置に関する。」(1 頁19 行~2 頁1 行)5・「第1 図および第2 図は従来例を示すものであり、…/…この種の装置においてはフリーベンドスイッチ8 列にドア連動スイッチを設けた自動販売装置に関する。」(1 頁19 行~2 頁1 行)5・「第1 図および第2 図は従来例を示すものであり、…/…この種の装置においてはフリーベンドスイッチ8 がコイン機構ユニット3 に一体に組込まれドア5 に近接して配置されているので、ドア5 を閉成した状態で自動販売機が販売可能な状態となっている時、外部よりドア5 のすき間または釣銭返却口4 等を通して針金等でフリーベンドスイッチ8 を閉成操作されることがあり、商品がコインを投入せずに10取り出される不具合があった。/本考案は外部よりフリーベンドスイッチ8 を操作されてもコイン投入がなされない限りあるいはドアを開放しない限り商品排出動作がなされない自動販売装置を提供することを目的とする。」(2 頁2 行~4 頁2 行)・「第4 図に示すように前記釣銭スイッチ7 には常開形の第1 のドア連動スイッチ9 が、またフリーベンドスイッチ8 には常開形の第2 のドア連動スイッチ10 が15それぞれ直列に接続され、これらのドア連動スイッチ9、10 はいずれも…ドア5 の開放時にのみ閉成するように構成されている。」(5 頁8 行~16 行)・「以上のような構成であるとドア5 が閉成し、自動販売装置が販売可能な状態となっているときコイン機構ユニット3 に一体に組込まれた釣銭払出しスイッチ7あるいはフリーベンドスイッチ8 をドア5 のすき間あるいはコイン返却口4 等を通20して外部より針金等で閉成操作がなされても釣銭払出しスイッチ7 あるいはフリーベンドスイッチ8 に直列に接続された第1 のドア連動スイッチ9 あるいは第2 のドア連動スイッチ10 が開放しているので、釣銭排出あるいは商品排出動作がなされることはない。」(6 頁10 行~7 頁1 行 イッチ8 に直列に接続された第1 のドア連動スイッチ9 あるいは第2 のドア連動スイッチ10 が開放しているので、釣銭排出あるいは商品排出動作がなされることはない。」(6 頁10 行~7 頁1 行)(d) 乙24 文献は、考案の名称を「自動販売機の販売制御回路」とする考案に係25るものである。同文献には、以下の記載がある。 51 ・「本考案は、自動販売機の販売制御回路の改良に関するもので、コインメカニズムのテスト販売スイッチあるいはつり銭回収スイッチの不正行為を防止することを目的の一つとするものである。」(1 頁12 行~15 行)・「1 はコインメカニズムで、テスト販売スイッチ2、つり銭回収スイッチ3 を具備し、自動販売機の扉の裏面等に設けられている。…コード7 の先端には前記自動5販売機の前面開口部を開閉する扉の開閉操作により作動するドアスイッチ8 が接続されている。」(1 頁18 行~2 頁4 行)・「扉の閉塞によりドアスイッチ8 が開路すると、たとえ販売口、あるいは扉と販売機のすき間からワイヤー等にてスイッチ2・3 を操作しても、テスト販売、あるいはつり銭回収が行われないため不正による被害が防止できる。」(2 頁9 行~13 行)10(e) 乙21 文献~乙24 文献により認められる技術的事項乙21 文献及び乙22 文献の上記各記載によれば、スロットマシンにおいて、不正にコインを取得する不正状態が生じた場合に、ランプによる表示やブザー等の音声によってその旨を外部に報知する報知手段を備えることは、当業者において周知の技術的事項(以下「周知技術1」という。)であることが認められる。 15また、乙23 文献及び乙24 文献の上記各記載によれば、自動販売機につき、ドアスイッチがドア開放状態でない状 おいて周知の技術的事項(以下「周知技術1」という。)であることが認められる。 15また、乙23 文献及び乙24 文献の上記各記載によれば、自動販売機につき、ドアスイッチがドア開放状態でない状態において、外部から針金やワイヤー等でスイッチを操作することによりコイン等が排出されることは防止されるべき不正状態であること、このような不正状態を検知して、コイン等を排出しないという制御が行われることは、当業者において周知の技術的事項(以下「周知技術2」という。)であ20ることが認められる。 (f) 相違点4-2 は、ドアセンサーからのドア開放信号の非出力状態において行う制御につき、本件発明4-1 は、メダル排出スイッチが操作された際に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段を備えているのに対し、乙19 発明は、そのような報知手段を備えていない点である。 25乙19 発明は、払出し制御部61 が、CPU50 の制御に従い、ホッパー62 を駆動して 52 入賞に該当したメダルを払い出すものであり、本件発明4-1 と異なり、メダルを外部に排出させるためのメダル排出スイッチを備えていない(相違点4-1)。このため、相違点4-2 に係る本件発明4-1 の構成を想到するには、まず、乙19 発明のスロットマシンに任意にメダルの排出を制御することのできるメダル排出スイッチを設けた上で、メダル排出スイッチが不正に操作された場合に、メダル等が不正に払い出さ5れることを防止する必要があり、このような不正状態を検知してコイン等を排出しないという制御が行われるべきという周知技術2 の課題を認識し、当該課題を解決するために、当該メダル排出スイッチがドア開放信号の非出力状態において操作されている場合に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段(周知技術 われるべきという周知技術2 の課題を認識し、当該課題を解決するために、当該メダル排出スイッチがドア開放信号の非出力状態において操作されている場合に、不正状態の発生を外部に報知する報知手段(周知技術1)の適用を想到することになる。すなわち、乙19 発明につき、相違点4-2 に係る本件発明4-101 の構成を想到することは、周知技術1 及び2 を適用するだけでは容易とはいえず、その前提として、相違点4-1 に係る本件発明4-1 の構成を想到する必要があることになる。 したがって、乙19 発明につき、相違点4-2 に係る本件発明4-1 の構成を想到することは、当業者にとって容易とはいえないから、本件発明4-1 は進歩性を欠くとは15いえない。 e 本件発明4-2 及び4-3 について本件発明4-2 及び4-3 は、いずれも本件発明4-1 の報知手段を特定するものであり、これらの発明に係る請求項2 及び3 は、いずれも本件発明4-1 に係る請求項1の従属項である。そうすると、本件発明4-1 につき進歩性を欠くといえない以上、20本件発明4-2 及び4-3 についても、進歩性を欠くとはいえない。 f 以上より、本件発明4 は、いずれも進歩性を欠くとはいえない。 (キ) 小括以上のとおり、本件各発明には、被告主張に係る無効理由は存しない。この点に関する被告の主張は採用できない。 25なお、本件特許1 については、特許異議申立手続を通じて取消決定が確定してい 53 る。しかし、それまで、被告は、本件特許権1 を含む本件各特許権を本件パテントプールに拠出し、本件特許権1 の分も含めて日電特許から実施料の分配を受けたことから、本件期間分の本件各発明に対し支払うべき実績報償の算定にあたっても、本件特許権1 に割 本件各特許権を本件パテントプールに拠出し、本件特許権1 の分も含めて日電特許から実施料の分配を受けたことから、本件期間分の本件各発明に対し支払うべき実績報償の算定にあたっても、本件特許権1 に割り付けられる実施料分をその算定の基礎に含めている。そうである以上、上記決定の存在をもって、原告の貢献としての考慮対象とせず、その結果、5本件特許権1 に対応する実施料分の全てが被告の貢献によるものとして取り扱うことは相当でない。 (3) アルゼや日電特許との訴訟対応等についてア 前提事実(前記第2 の1)、証拠(乙4~9、31,32、47)及び弁論の全趣旨によれば、本件期間分の本件各発明に対して支払うべき実績報償の原資となる日電特10許から被告に対する実施料の分配に至る経緯について、以下の事実が認められる。 (ア) 本件パテントプールは、被告を含むパチスロ業界において、他社が保有する特許権等の回避やライセンス等の複雑で膨大な権利処理をすることなく、パチスロ機の開発・製造・販売をすることができるようにすることを目的として、平成6 年4 月1 日に創設された。被告は、日電特許に出資すると共に、被告の当時の取締役15社長が日電特許の取締役に就任するなどした。 本件参加者は、製造販売するパチスロ機1 台につき1 枚2000 円で日電特許から証紙を購入してこれをパチスロ機に貼付し、日電特許は、この証紙代のうち1000 円を原資として、本件参加者に対し実施料を分配していたところ、平成6 年度分から平成9 年度分までについては、特許権者等が他の参加者が実施していると考える特20許権等を日電特許に報告し、日電特許が他の参加者に実施の有無を尋ね、その回答に基づいて特許権者等に実施料の支払を行う「アンケート方式」と呼ばれる方式に基づいて実施料 が実施していると考える特20許権等を日電特許に報告し、日電特許が他の参加者に実施の有無を尋ね、その回答に基づいて特許権者等に実施料の支払を行う「アンケート方式」と呼ばれる方式に基づいて実施料が支払われていた。 (イ) アルゼは、本件パテントプールの参加者であったが、実施料の分配にあたり自社の特許権等の実施の有無等が適正に評価されていないことに不満を抱き、平成2510 年度以降、日電特許が本件参加者に対し分配すべき実施料の計算に必要なアンケ 54 ートに対する回答を拒否すると共に、特許権等について個別に権利処理を行う意向を示し、被告を含む他の本件参加者に対して特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求を多数提起し、また、日電特許に対しては、証紙代の支払を拒んだ上で、過去に支払った証紙代の返還を求める訴訟等を提起した。 その結果、日電特許は、実施料の分配に必要な情報が得られず、本件参加者に対5する平成10 年度分以降の分配は停止された。他方、被告を含む他の本件参加者は、所定のルールに従い、日電特許に対し証紙代の支払を続けた。 被告は、平成20 年5 月から同年6 月にかけ、日電特許に対する証紙代の支払が行われているにもかかわらず、同社からの実施料の分配がされていないことに関する問題点とその対応について検討し、日電特許に対し、社長と面談するなどの働き10かけを行った。 (ウ) 平成21 年2 月23 日、日電特許の株主総会において、平成10 年度から平成16 年度までの間に分配されずに日電特許に留保された証紙代収入について、アルゼに対する支払予定分として20%を留保し、残り80%について他の本件参加者に暫定的に分配を行うことが決議された。しかし、同日、アルゼから、日電特許の代表者15に対し、上記暫定的な分配に係 アルゼに対する支払予定分として20%を留保し、残り80%について他の本件参加者に暫定的に分配を行うことが決議された。しかし、同日、アルゼから、日電特許の代表者15に対し、上記暫定的な分配に係る職務執行の停止を求める仮処分命令申立てがされ、同年3 月24 日、これを認める仮処分決定(以下「本件停止決定」という。)がされた。その結果、日電特許からの上記暫定的な分配は停止された。 (エ) 被告を含む本件参加者のうち4 社は、同年5 月12 日、日電特許に対し、平成10 年度から平成16 年度までの証紙代収入からの分配金(実施料)の支払を求め20る訴えを提起した。これに対し、日電特許は、請求原因事実は争わず、本件停止決定の効力により支払うことができないと主張した。しかし、アルゼが平成22 年4 月5 日付けで本件停止決定に係る申立てを取り下げたことにより、上記訴訟については、同年6 月30 日、被告らの請求全部を認容する旨の判決がされた。これを受け、日電特許は、同年8 月30 日、平成10 年度~平成16 年度の間にプールされていた25証紙代収入のうち●(省略)●%を、アルゼを除く本件参加者に分配した。その分 55 配にあたっては、●(省略)●(オ) その後、日電特許とアルゼとの間の係争に係る判決の確定により、日電特許からアルゼに対する支払は不要となり、証紙代収入の残り●(省略)●%を留保しておく必要がなくなった。その分配につき、本件参加者間において、特許権等を保有している本件参加者で均等に分配することで一致し、この分配方法に基づき、平5成26 年1 月31 日、上記●(省略)●%分の分配が実現した。 イ 被告は、被告が原告から特許を受ける権利を承継して特許出願し、特許権を得た本件各特許権を本件パテントプールに拠出 づき、平5成26 年1 月31 日、上記●(省略)●%分の分配が実現した。 イ 被告は、被告が原告から特許を受ける権利を承継して特許出願し、特許権を得た本件各特許権を本件パテントプールに拠出し、その結果、日電特許から実施料の分配という形で現実に利益を得た。そうである以上、この利益を受けたことに対する被告の貢献は、「相当の対価」算定にあたり考慮すべき事情といえる。また、上10記利益は、本件パテントプールがその機能を発揮してこそ実現されるものであることから、その創設のみならず機能正常化に向けて被告が果たした役割や負担も、被告の貢献として考慮すべき事情に当たる。 ただし、上記認定に係る事情のうち、アルゼと日電特許との係争やアルゼの被告に対する訴訟提起への対応は、本件パテントプールの機能確保と関連する面もある15とはいえ、本質的には各当事者間の個別的な紛争と理解される。また、被告を含む本件参加者4 社の日電特許に対する訴訟提起については、事実関係に争いはなく、アルゼの本件停止決定に係る申立取下げにより請求全部の認容判決がされたことに鑑みると、実施料の分配実現につながるものであるとはいえ、被告の負担が多大であったとまではいい難い。 20(4) その他の事情について前記認定の各事実(前記第2 の1、第3 の1(1))によれば、原告は、被告の事業に関係する技術的なバックグラウンドなしに被告に入社したものの、被告入社後に本件特許事務所で研修を受けたり、特許出願に関する事務を担当することで特許に関する知識経験を蓄積し、かつ、本件各発明に係る特許出願に当たっては、本件特25許事務所の弁理士と協議を重ねることを通じて、自己の着想を同弁理士の助力を得 56 ながら本件各明細書等の出願書類を作成し得る程度にまで具体化したものと る特許出願に当たっては、本件特25許事務所の弁理士と協議を重ねることを通じて、自己の着想を同弁理士の助力を得 56 ながら本件各明細書等の出願書類を作成し得る程度にまで具体化したものといえる。 このように、本件各発明については、原告が着想し具体化したものといえるものの、被告がその事業において整備した環境を原告が利用したことにより完成に至ったという側面もあり、このような事情は被告の貢献として考慮するのが相当である。 なお、原告は、本件期間分の本件各発明に対し支払うべき実績報償の算定につき、5手続保障の不備により手続的正当性が欠如しているなどと主張する。しかし、証拠(甲4~10、乙1~3、29、33~36)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、上記実績報償の支払に関し、職務発明審査会における審議、原告に対する異議申立て及び意見表明の機会の付与といった手続を重ねて、最終的にその算定・支払をしたことが認められるのであって、原告に対する手続保障に欠けるところはないといえる。し10たがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 (5) 小括以上の事情を総合的に考慮すると、本件各発明の実施により被告が得た利益に対する被告の貢献の程度は●(省略)●%、原告の貢献の程度は●(省略)●%とするのが相当である。これに反する原告及び被告の主張はいずれも採用できない。 155 原告が受けるべき「相当の対価」の額以上によれば、原告が本件期間における本件各発明に係る「相当の対価」として受けるべき額は、被告の本件期間における本件各発明に係る実施料収入から権利化費用及び権利維持費用を控除した額に原告の貢献割合を乗じ、これに更に●(省略)●%を付加した額である(なお、●(省略)●%の付加は被告による本件報償金額の20算定にあたっても行わ 収入から権利化費用及び権利維持費用を控除した額に原告の貢献割合を乗じ、これに更に●(省略)●%を付加した額である(なお、●(省略)●%の付加は被告による本件報償金額の20算定にあたっても行われたものである。)。具体的には、以下のとおりとなる。 (1) 本件発明1 ●(省略)●円●(省略)●(2) 本件発明2 ●(省略)●円●(省略)●25(3) 本件発明3 及び4 ●(省略)●円 57 ●(省略)●(4) 合計額及び既払額との差額ア 合計額 ●(省略)●円●(省略)●イ 既払額との差額 221 万5657 円5●(省略)●6 まとめ以上より、原告は、被告に対し、旧35 条3 項に基づき、職務発明である本件各発明に係る相当な対価として、221 万5657 円の補償金請求権を有する。 第4 結論10よって、原告の請求は、221 万5657 円を求める限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部15 裁判長裁判官杉 浦 正 樹 20 裁判官小 口 五 大裁判官鈴木美智子は差支えにより署名押印できない。 25 58 裁判長裁判官杉 浦 正 樹 樹
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