【DRY-RUN】○ 主文 原告及び参加原告Aの訴を却下する。 参加原告Bの請求を棄却する。 訴訟費用は、参加費用を含め原告及び参加原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求める裁判 一 原告及び参加原告ら 訴外
○ 主文原告及び参加原告Aの訴を却下する。 参加原告Bの請求を棄却する。 訴訟費用は、参加費用を含め原告及び参加原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一原告及び参加原告ら訴外<地名略>財産区と被告との間で昭和四九年九月二一日に締結された損失補償契約に基づく同財産区の損失補償債務が、金四〇〇〇万円を超えて存在しないことを確認する。 訴訟費用は、参加費用を含め被告の負担とする。 との判決。 二被告 1 本案前の答弁原告及び参加原告らの訴を却下する。 との判決。 2 本案の答弁原告及び参加原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は、参加費用を含め原告及び参加原告らの負担とする。 との判決。 第二当事者の主張一請求原因 1 原告及び参加原告らは、京都府船井郡<地名略>(以下町ともいう)の住民で、参加原告Aは、<地名略>財産区の、参加原告Bは、<地名略>財産区(以下財産区という)の各住民である。 2 財産区の管理者瑞穂町長訴外C(当時)は、昭和四九年九月二一日、被告との間で、左記(一)の売買契約及び(二)の損失補償契約(以下本件契約という)を締結した。 (一) 財産区は、その所有する<地名略>山林一七万九九一九平方メートル及び<地名略>山林二万七四三一平方メートル(以下合わせて本件山林という)を、町の農業振興に資するため、被告に対し代金合計一億二五〇〇万円で売り渡し、同年一〇月一日までに所有権移転登記手続をして引き渡す。 (二) 被告が、本件山林を農用地に開発し地元の農業発展に寄与するについて、損失を受けたときは、財産区は、被告に対し、次の損失額を補償する。 (1) 被告が、本件山林を農用地に開発して売り渡した価格の合計額が、右売買代金(被告が売渡しまでに負担した借入金の金利を含む)と開発工事の工事費(諸経費を含む)の合計額に満 次の損失額を補償する。 (1) 被告が、本件山林を農用地に開発して売り渡した価格の合計額が、右売買代金(被告が売渡しまでに負担した借入金の金利を含む)と開発工事の工事費(諸経費を含む)の合計額に満たなかつた場合の不足額(2) 被告が、本件山林をやむをえない事情により農用地に開発できず、財産区、町及び被告が協議して当初の事業目的以外に売り渡した価格の合計額が、右売買代金(被告が売渡しまでに負担した借入金の金利を含む)に満たなかつた場合の不足額 3 梅田財産区議会は、本件契約の締結に先立ち、同年三月二〇日、管理者瑞穂町長Cの提案によつて、本件契約の損失補償額の限度を金四〇〇〇万円とする旨議決した。したがつて、管理者瑞穂町長Cの損失補償契約締結の権限は、金四〇〇〇万円を限度とするから、本件契約のうち右議決額金四〇〇〇万円を超える損失補償部分は無効である。 4 財産区は、被告に対し、本件山林を前記売買契約どおり引き渡した。しかし、被告が、買い受けた本件山林の農用地開発について何の具体的施策も実施しない間に、開発期限の五年が経過した。被告は、現在、本件山林の農用地開発をやめ、これを産業廃棄物処理場(以下処理場という)の用地として、訴外京都産業サービス株式会社に売却することを計画している。そして、被告は、財産区が本件契約に基づいて負担すべき損失補償額が金四〇〇〇万円を限度とするものではなく、被告の支出した前記売買代金(被告が売渡しまでに負担した借入金の金利を含む)相当額であるとの立場に立つたうえで、財産区に対し、右計画に反対なら、右金額を補償するよう求め、もしその補償ができないなら、処理場の用地としての売却を認めるよう求めている。そのうえ、現在の管理者瑞穂町長訴外Dは、被告と同様の立場に立ち、住民に対し、昭和五五年九月三〇日の時点で右金額は約金二 、もしその補償ができないなら、処理場の用地としての売却を認めるよう求めている。そのうえ、現在の管理者瑞穂町長訴外Dは、被告と同様の立場に立ち、住民に対し、昭和五五年九月三〇日の時点で右金額は約金二億円になると説明している。 以上の次第で財産区の公金の違法執行のおそれが十分にあるといわなければならない。 5 原告は、同年一二月二〇日、瑞穂町監査委員に対し、瑞穂町長が本件契約に基づく損失補償債務を履行することの制限又は禁止に関する措置を求める監査請求をした。しかし、同委員は、右のような措置を講ずる必要はないとの理由で右請求を却下した。この却下は、昭和五六年二月一六日、原告に通知された。 参加原告らは、同年三月四日、同委員に対し、同様の監査請求をしたが、同委員は、同様の理由で右請求を却下した。この却下は、同月一七日、参加原告らに通知された。 6 結論原告及び参加原告らは、財産区に代位して、本件契約に基づく財産区の損失補償債務が、金四〇〇〇万円を超えて存在しないことの確認を求める。 二被告の本案前の主張 1 地方自治法(以下法という)二四二条の二に規定する住民訴訟は、本件のような特別地方公共団体である財産区について、次の理由で提起できない。 (一) 住民訴訟は、いわゆる客観訴訟であるから、法律の明文の規定がある場合にのみ、例外的に提起できるものであるが、財産区について、法二四二条の二を準用する旨の明文の規定はない。 (二) 法は、財産区の財産の管理処分等については、財産区管理会及び都道府県知事を監督機関として、財産区の財産的基礎の確保を図るという建前をとつている(法二九六条の二、三、六)から、住民訴訟による住民の監督は必要がない。 (三) 財産区には、原則として固有の機関を置かない旨を明らかにしたにすぎない法二九四条一項を根拠として、財産区に法二 つている(法二九六条の二、三、六)から、住民訴訟による住民の監督は必要がない。 (三) 財産区には、原則として固有の機関を置かない旨を明らかにしたにすぎない法二九四条一項を根拠として、財産区に法二四二条の二の規定を準用することはできない。 2 仮に、財産区について住民訴訟を提起できるとしても、原告及び参加原告Aは、財産区の住民ではないから、本件住民訴訟の原告適格がない。 3 住民訴訟は、地方公共団体の執行機関又は職員の違法な行為あるいは違法に怠る事実によつて、地方公共団体が積極消極の損害を受けた場合又は受けるおそれがある場合でなければ、法律上の必要又は利益がなく、提起できない。 ところで、本件では、本件契約の損失補償の要件は具備されておらず、損失が未発生、未確定で、その損失額が特定できず、これが金四〇〇〇万円を超えるかどうかが不確実であること、瑞穂町議会の土地利用対策調査特別委員会の結果報告書には、本件問題の処理につき慎重審議の必要性が説かれ、早急な損失補償による解決を戒めていること、これを受けて、町、財産区及び被告は、本件問題解決の協議に当たつていること、被告がこれまで財産区に対し損失補償請求を具体的、現実的にしたことはなく、また、する意思がないこと、以上のことなどを総合すると、財産区が、被告から本件契約に基づき金四〇〇〇万円を超える損失補償請求を受ける可能性は、現時点ではほとんどない。 そうすると、財産区が積極消極の損害を受けたことはなく、また、受けるおそれがないから、原告及び参加原告らの本件請求は、法律上の必要又は利益を欠き、不適法である。 三被告の本案前の主張に対する原告及び参加原告らの反論 1 財産区の財産の管理処分等については、普通地方公共団体の財産の管理処分等に関する規定が適用されるのであつて(法二九四条一項)、財産区の財務 三被告の本案前の主張に対する原告及び参加原告らの反論 1 財産区の財産の管理処分等については、普通地方公共団体の財産の管理処分等に関する規定が適用されるのであつて(法二九四条一項)、財産区の財務に関する行為についても、その公正な運営を期し財産区に居住する住民の一般的利益を保護するために、住民訴訟を認めるべき必要があることは、普通地方公共団体の場合と異ならない。したがつて、法二四二条の二の規定は、財産区に準用される。 2 財産区は、その財産又は公の施設の管理及び処分につき、その限りで法人格が認められるが、もともと市町村の一部であつて、破産能力がない。また、財産区が財産全部を失ない、その管理事務が終了したとき、財産区は当然に消滅する。したがつて、財産区がその財産で支払うことのできない多額の債務を負つた場合、財産区の財産で支払えない債務分は、その財産区の所在する市町村の負担となる。 そうすると、財産区の管理者である市町村長がどのような財産管理をしたかは、市町村の住民全体の利益にかかわつてくるから、財産区の住民だけでなく財産区の所在する市町村の住民も、財産区に関する住民訴訟の原告適格を認めるべきである。 四請求原因に対する答弁と主張(認否) 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の事実は認める。但し、契約締結の日は、昭和四九年九月一三日である。 3 同3の事実のうち、前段の事実は不知、後段の主張は争う。 4 同4の事実のうち、財産区が被告に対し本件山林を前記売買契約どおり引き渡したこと、被告が現在本件山林の農用地開発をやめていること、以上のことは認めるが、その余の事実は否認する。 5 同5の事実は認める。 (主張) 1 梅田財産区議会が昭和四九年三月二〇日に行なつた議決は、財産区が本件契約に基づく損失補償のための準備金(担保)として訴外京都府信用 が、その余の事実は否認する。 5 同5の事実は認める。 (主張) 1 梅田財産区議会が昭和四九年三月二〇日に行なつた議決は、財産区が本件契約に基づく損失補償のための準備金(担保)として訴外京都府信用農業協同組合連合会(以下府農協連という)に預託する預託金の範囲を、金四〇〇〇万円に限定したものにすぎず、本件契約に基づく損失補償債務の範囲を限定したものではない。 2 仮に、右議決が本件契約に基づく損失補償債務の範囲を限定したものであるとしても、被告が、財産区に対して、本件山林の売買代金及び府農協連に対する右代金支払いのための借入金の金利(年八・五パーセント)の返還を申し入れたのは、本件契約に基づく損失補償の請求としてではなく、本件山林の売買契約及び本件契約を財産区との間で合意解約したうえで、その原状回復を請求しようとしたためである。したがつて、右議決は、被告の右のような原状回復の請求とは無関係である。 3 仮に、右議決が、右のような原状回復の請求の範囲をも限定するものであるとすると、右議決は、民法五四五条一項及び二項に反して無効である。 4 右議決は、対内的に財産区の管理者瑞穂町長Cの代表権を制限するものにすぎない。本件山林の買受けに関する経緯からすると、被告には、本件契約の締結に際して、管理者瑞穂町長Cの代表権の制限につき、その権限ありと信ずべき正当な理由があつたというべきである。したがつて、民法一一〇条の表見代理が成立し、本件契約は、右議決にかかわらず、全部の範囲で有効である。 五被告の主張に対する原告及び参加原告らの反論管理者瑞穂町長Cは、本件契約締結当時、被告の理事をつとめその代表権をもつていたから、梅田財産区議会の議決を知つていた。 仮に、被告が右議決の内容を知らないとしても、本件契約の締結については、被告、財産区とも京都府の指導を 契約締結当時、被告の理事をつとめその代表権をもつていたから、梅田財産区議会の議決を知つていた。 仮に、被告が右議決の内容を知らないとしても、本件契約の締結については、被告、財産区とも京都府の指導を受けていたから、被告には、知らないことに重大な過失がある。 第三証拠(省略)○ 理由一本案前の主張についての判断 1 原告及び参加原告らは町の住民で、参加原告Aは<地名略>財産区の、参加原告Bは<地名略>財産区の各住民でもあること、原告は、昭和五五年一二月二〇日、参加原告らは、昭和五六年三月四日、瑞穂町監査委員に対し、瑞穂町長が本件契約に基づく損失補償債務を履行することの制限又は禁止に関する措置を求める監査請求をしたこと、同委員は右のような措置を講ずる必要がないという理由で、いずれの監査請求も却下したこと、それぞれの却下は、同年二月一六日原告に、同年三月一七日参加原告らにそれぞれ通知されたこと、以上のことは、当事者間に争いがない。 2 当裁判所は、財産区について、法二四二条の二の規定が準用されると解するものであるが、以下にその理由を詳述する。 (一) 特別地方公共団体である財産区についても、財産区の住民が、その個人的な権利や利益にかかわりなく、住民の資格で住民訴訟を提起し、財産区の執行機関らによる違法な財務会計の管理運営をただすことによつて、地方行財政の公正、ひいては住民全体の利益を確保する必要があることは、普通地方公共団体の場合と変わりはないというべきである。そうでないと、財産区に属する財産又は会の施設(以下財産等という)の管理及び処分又は廃止(以下管理等という)と、普通地方公共団体に直接属している財産等の管理等との間に不均衡が生ずることになる。 (二) 財産区について、法二四二条の二の規定を準用する旨の規定はないが、反対に適用又は準用 (以下管理等という)と、普通地方公共団体に直接属している財産等の管理等との間に不均衡が生ずることになる。 (二) 財産区について、法二四二条の二の規定を準用する旨の規定はないが、反対に適用又は準用を禁止又は制限する規定はない。 (三) 住民訴訟が客観訴訟であることを理由に、明文の規定がある場合にだけ住民訴訟が許されるとしても、財産区に住民訴訟の規定を準用することは、むしろ住民訴訟の制度の趣旨を生かすことになりこそすれ、いたずらに住民訴訟の出来る範囲を拡大するものではない。 (四) 財産区の財産等の管理等については、当該財産区が所在する市町村、特別区の長及び議会が、当該財産区の執行機関及び議決機関となり(法九六条一項六、七号、一四八条、一四九条六、七号等)、財産区には原則として固有の機関が置かれていない(法二九四条一項)。また財産区管理会には、条例又は協議に基づき、市町村長等による財産等の管理等に関する同意権、市町村長等から委任された事務の執行権及び財産区の事務処理に関する監査権があり(法二九六条の二、三)、都道府県知事には、財産区の事務の執行権限をもつ市町村長等に対する報告徴収権、監査権及び財産区と所在市町村等との間の紛争裁定権がある(法二九六条の六)。 しかし、財産区管理会や都道府県知事に前述の諸権能があることは、財産区の財務会計の適正を図る手段として住民訴訟を否定する趣旨をも含むものとは解されない。そのうえ、財産区管理会は、常設の機関ではなく、また、その管理会自体が違法な財務会計上の行為をすることも考えられるのである。 3 当裁判所は、財産区の住民に限り、財産区についての住民訴訟を提起することができると解するものであるが、以下にその理由を詳述する。 (一) 財産区の財産等から生ずる収益は、主として財産区の住民に帰するものである。したがつ 住民に限り、財産区についての住民訴訟を提起することができると解するものであるが、以下にその理由を詳述する。 (一) 財産区の財産等から生ずる収益は、主として財産区の住民に帰するものである。したがつて、財産区の財産等の管理等に利害関係をもつのは、主として財産区の住民である。法二九六条の五第二、三項、法施行令二一八条の二は、このことを前提としているものと解される。 (二) 法二四二条の二は、普通地方公共団体の住民に注民訴訟の原告適格を認めているから、これを財産区に準用する場合、原告適格のある者を財産区の住民に限るのが至当である。 (三) 原告は、財産区がその財産で支払うことのできない多額の債務を負つた場合、その財産で支払えない債務分は、その財産区の所在する市町村の負担となることから、その市町村の住民にも原告適格を認めるべきであると主張するが、このような例外的場合を考慮して、住民訴訟の原告適格を拡張すべきではないし、また、右の場合にも、財産区の住民による住民訴訟を通して財産区の違法な債務の負担行為等の是正を図ることが可能である。 この視点に立つで本件をみると、参加原告Bは、財産区の住民であること、参加原告Aは、<地名略>財産区の住民であること、以上のことは、当事者間に争いがないし、原告が、財産区外の<地名略>の住民であることは、原告が明らかに争わないから、自白したものとみなす。 そうすると、参加原告B(以下参加原告という)をのぞく原告及び参加原告Aは、本件住民訴訟の原告適格がないことに帰着する。 4 被告は、財産区が被告から本件契約に基づき金四〇〇〇万円を超える損失補償請求を受ける可能性はほとんとなく、財産区が積極消極の損害を受けたことも、また、受けるおそれもないから、本件請求は、住民訴訟の要件である法律上の必要又は利益を欠き、不適法であると主 を超える損失補償請求を受ける可能性はほとんとなく、財産区が積極消極の損害を受けたことも、また、受けるおそれもないから、本件請求は、住民訴訟の要件である法律上の必要又は利益を欠き、不適法であると主張するから、この点について判断する。 (一) 住民訴訟の対象は、地方公共団体の執行機関らの行政上の違法行為全般にわたるものではなく、地方公共団体に財産上積極消極の損害を与え又は与えるおそれがある財務会計上の行為又は違法に怠る事実に限られる。 (二) ところで、参加原告の主張によると、財産区の管理者瑞穂町長は、梅田財産区議会の議決の範囲を超えて損失補償契約(本件契約)を締結し、かつ、これの有効性を主張しているというのである。そうすると、右行為は、財産区の財務会計上の行為であり、かつ、財産区が債務を負担することを内容とするものであるから、財産区に財産上損害を与えるおそれがある行為に属することが明らかである。 したがつて、その限りでは住民訴訟の対象となるものというべきである。 (三) もつとも、本件請求は、法二四二条の二第一項四号所定の地方公共団体に代位して行なう当該行為に係る相手方に対する法律関係不存在確認の請求であるから、相手方との間に、その点を確認する利益があることが必要であることは、いうまでもない。 そこで、本件請求について、右の意味での確認の利益があるかどうかを検討する。 本件山林の売買契約及び本件契約の内容自体は、当事者間に争いがない。そして、成立に争いがない甲第八ないし第一四号証、同第二六ないし第二八号証、乙第六ないし第一二号証、同第一三号証の一ないし三及び証人Dの証言によると、被告と町は、本件山林の売買契約後山林の農用地としての開発計画について種々協議をしたが、その後の農業情勢の変化等により、ついに農用地としての開発計画を断念せざるを得なか 三及び証人Dの証言によると、被告と町は、本件山林の売買契約後山林の農用地としての開発計画について種々協議をしたが、その後の農業情勢の変化等により、ついに農用地としての開発計画を断念せざるを得なかつたこと、破告の支出した本件山林の売買代金及び借入金利子等の累計額は、昭和五五年の試算で金二億円以上になるのに対し、本件山林の樹木を売却しても、たかだか金四〇〇〇万円ないし五〇〇〇万円が限度であることから、本件契約に従えば、財産区は多額の損失補償債務を負担せざるを得ない計算となること、被告は、本件山林を処理場の用地として転売して損失補償の問題を回避しようとしたが、これについては、財産区の住民が反対したこと、被告は、本件山林の売買を合意解約した場合にも本件契約の適用があり、しかも、損失補償の限度はないとの立場をとつていること、その上で、財産区に対し本件の処分について具体策の提示を迫つていること、以上のことが認められ、この認定に反する証拠はない。 以上認定の事実によると、本件契約に基づく損失補償について、参加原告の主張するような損失補償額の限度の有無を財産区と被告との間で確認する利益があることは明らかである。 (四) したがつて、本件請求が、住民訴訟として不適法であるとの被告の主張は、採用できない。 二参加原告の請求に対する本案の判断 1 参加原告は、梅田財産区議会が昭和四九年三月二〇日本件契約の損失補償の限度を金四〇〇〇万円とする旨議決したから、本件契約のうち金四〇〇〇万円を超える損失補償部分は無効であると主張するので、この点について判断する。 (一) 成立に争いがない甲第五号証、同第七号証、乙第一四、一五号証によると、梅田財産区議会は、昭和四九年三月二〇日、<地名略>地区農用地開発事業に関する損失補償契約についてと題する議案第三号を原案どおり可決 立に争いがない甲第五号証、同第七号証、乙第一四、一五号証によると、梅田財産区議会は、昭和四九年三月二〇日、<地名略>地区農用地開発事業に関する損失補償契約についてと題する議案第三号を原案どおり可決したこと、その議案には、契約の目的、契約の相手方と列挙して「損失補償の額」として四〇〇〇万円と記載されていたこと、三ノ宮財産区議会は、同日、<地名略>地区農用地開発事業に関する損失補償契約についてと題する議案第二号を原案どおり可決したこと、その議案の「損失補償の額」にも六〇〇〇万円と記載されていたこと、右議案の質疑で、三ノ宮財産区議会議員訴外Eから、金六〇〇〇万円を損失としで補償することには反対であるとの発言があつたこと、以上のことが認められる。 そうして、証人Cの証言や参加原告の本人尋問の結果中にも、参加原告主張の事実にそう供述部分がある。 しかし、以下の認定事実と対比したとき、右の認定事実や供述部分を採用して直ちに参加原告主張の趣旨の議決があつたとすることは無理であるし、ほかに、この事実が認められる証拠はない。 (二) 却つて、前掲甲第五号証、同第七号証、乙第一四、一五号証、成立に争いがない甲第一ないし第四号証、乙第一ないし第四号証、同第八号証、同第一六号証、証人D、同F、同G、同Hの各証言によると、次の事実が認められる。 (1) 梅田財産区及び三ノ宮財産区は、昭和四八年一月ころ、町から桧山小学校改築の資金を繰り入れるように求められていたうえ、水道の建設資金なども必要としていた矢先、被告との間で、本件山林等を農用地に開発する目的で売買する話が持ち上がつた。両財産区は、右資金調達の必要から、本件山林等を売り渡すことにし、被告及び町との協議に入つた。 (2) 協議の過程で、売買価格を合わせて金三億円とすることが決められたが、被告は、町及び両財産区 つた。両財産区は、右資金調達の必要から、本件山林等を売り渡すことにし、被告及び町との協議に入つた。 (2) 協議の過程で、売買価格を合わせて金三億円とすることが決められたが、被告は、町及び両財産区に対し、売買価格が高額であること、農用地の開発経費が相当かかると予想されること、開発した農用地の価格が高額であると入植者難になること、被告が公益的性格の農業開発公社であること、以上のことから、両財産区に対し、本件山林等を農用地として開発、売却していく際に被告に生じる損失を補償し、とりあえず、損失補償準備金として、売買代金のうち金一億円を留保してほしい旨申し入れた。 (3) そこで、財産区では、昭和四八年末から昭和四九年一、二月ころにかけて、悔田財産区議会の全員協議会が開かれ、当時の瑞穂町助役Dや瑞穂町総務課長は、被告の作成した損失補償契約のひな型を財産区議会議貝に示したうえ、損失補償契約を結び売買代金のうち金四〇〇〇万円(金一億円を売買価格によつて三ノ宮財産区との間で按分した額)を留保し、これを損失補償準備金として府農協連に預託しなければ、被告が本件山林の売買契約に応じない意向であると説明した。 梅田財産区議会議員の一部からは、損失補償に際限がないという議論が出たが、結局、議長一任となつた。議長は、後日、被告の意向を確かめたうえで、財産区としてはこれに従わざるをえないとの結論に達した。 三ノ宮財産区でも、全員協議会で損失補償契約や金六〇〇〇万円の預託の問題が議論され、おおむね、これを受け入れるということで意見の一致をみた。 (4) 両財産区とも、こうして被告の申入れを受け入れることにし、被告に対し、売買代金の内金の支払いを求め、昭和四九年二月一五日、被告から、財産区は金三〇〇〇万円、三ノ宮財産区は金五〇〇〇万円をそれぞれ受領した。 (5) 梅田財 被告の申入れを受け入れることにし、被告に対し、売買代金の内金の支払いを求め、昭和四九年二月一五日、被告から、財産区は金三〇〇〇万円、三ノ宮財産区は金五〇〇〇万円をそれぞれ受領した。 (5) 梅田財産区議会は、昭和四九年三月二〇日、<地名略>地区農用地開発事業に関する損失補償契約についてと題する議案第三号(法九六条一項一四号による)を原案どおり可決し、同時に、昭和四八年度梅田財産区特別会計債務負担行為についてと題する議案第四号(法二一五条による)をも原案どおり可決した。右議案第四号(甲第七号証)は、議案第三号で対象となつている損失補償契約に関するもので、その債務負担行為表の限度額欄には、同年九月一三日に締結された本件契約中の損失補償の額を定める条項と同一の記載があるだけで、これを金四〇〇〇万円の限度に限定するとの記載はされていない。三ノ宮財産区でも、一部反対の質疑があつたほか、事情はほぼ同じであつた。 もつとも、右議案第三号には、「損失補償の額」として四〇〇〇万円の記載があるが、この記載は、被告に対する損失補償額を金四〇〇〇万円と見積れば十分ではないかと考えて書かれたもので、損失補償額の限度を金四〇〇〇万円に制限する趣旨ではなかつた。 このことは、右議案第四号の債務負担行為表の限度額の記載と対比したとき、明白である。 (6) 本件契約の第五条及び同日三ノ宮財産区の締結した損失補償契約の第五条には、損失補償準備金として、それぞれ金四〇〇〇万円、金六〇〇〇万円を府農協連に預託すると明記されており、現に、契約締結時にそのように預託された。 (三) 以上の認定事実によると、梅田財産区議会は、昭和四九年三月二〇日、預託する損失補償準備金を金四〇〇〇万円とする旨議決したにすぎないというべきであつて、本件契約の損失補償の限度額を金四〇〇〇万円とする旨議決 認定事実によると、梅田財産区議会は、昭和四九年三月二〇日、預託する損失補償準備金を金四〇〇〇万円とする旨議決したにすぎないというべきであつて、本件契約の損失補償の限度額を金四〇〇〇万円とする旨議決したとすることはできない。 2 まとめ参加原告の本件請求は、本件契約に基つく損失補憤額に金四〇〇〇万円の限度があることを前提にしているところ、その前提事実が認められない以上、本件請求は、その余の点を判断するまでもなく、理由がない。 三むすび原告及び参加原告Aの訴を不適法として却下し、参加原告Bの本件請求を失当として棄却することとし、行訴法七条、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長小田耕治西田眞基)
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