平成25年1月31日判決言渡平成23年(行ウ)第322号事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求公正取引委員会が株式会社a(以下「本件申請者」という。)に対し平成23年5月9日付けでした平成○年(判)第○号事件に係る事件記録(以下「本件事件記録」という。)の謄写に応ずる旨の決定(公官審第○号。以下「本件決定」という。)のうち査第○号証,第○号証及び第○号証に係る部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,音楽の著作物の著作権に係る管理事業を営む一般社団法人である原告が,公正取引委員会から私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)7条1項の規定に基づく排除措置命令(以下「本件排除措置命令」という。)を受け,同法49条6項の規定に基づく審判請求をし,審判手続が進んでいたところ,公正取引委員会において,原告の競争事業者である本件申請者から同法70条の15第1項の規定に基づく本件事件記録の謄写の申請を受け,これに応ずる旨の本件決定をした(ただし,同委員会においても個人に関する情報又は事業者の秘密が記載されておりその謄写を拒む「正当な理由」があるとした部分については不開示とされている。)ため,本件事件記録のうち査第○号証,第○号証及び第○号証の開示部分についてはその謄写を拒む「正当な理由」があり,本件決定のうち上記各書証の開示部分に係る部分(以下「本件開示決定」という。)は公正取引委員会がその裁量権の範囲を逸脱してした違法な処分であると主張し,同委員会の所属する国を被告として,本件開示決定の取消しを求める事案である。 1 法令の定め本件に関係する法令 引委員会がその裁量権の範囲を逸脱してした違法な処分であると主張し,同委員会の所属する国を被告として,本件開示決定の取消しを求める事案である。 1 法令の定め本件に関係する法令の定めは別紙(関係法令の定め)のとおりである。なお,同別紙の中で定めた言葉の意味は,以下の本文中においても同一の意味であるものとする。 2 前提事実(顕著な事実,争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,肩書地に主たる事務所を置き,音楽の著作物(以下「音楽著作物」という。)の著作権(以下「音楽著作権」という。)に係る著作権等管理事業法(以下「管理事業法」という。)2条2項の著作権等管理事業を営む一般社団法人である。 音楽著作権に係る著作権等管理事業(以下「管理事業」ということがあり,管理事業を営む者を「管理事業者」ということがある。)とは,我が国において,音楽著作権を有する著作者(作曲者,作詞者,編曲者,訳詞者)及び著作者から音楽著作権の譲渡を受けた音楽出版者から音楽著作権の管理委託を受け,当該管理委託を受けて著作権を管理する音楽著作物(以下「管理楽曲」という。)の利用を利用者に許諾し,その対価として当該利用者から使用料を徴収し,管理手数料を控除した上,上記著作者及び音楽出版者に分配する事業である。 イ公正取引委員会は,内閣府設置法49条3項の規定に基づいて,独占禁止法27条1項の規定により,同法1条の目的を達成することを任務として設置された独立行政委員会である。 ウ本件申請者は,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む株式会社であり,原告の競争事業者である。 (2) 本件排除措置命令公正取引委員会は,平成21 委員会である。 ウ本件申請者は,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む株式会社であり,原告の競争事業者である。 (2) 本件排除措置命令公正取引委員会は,平成21年2月27日,独占禁止法7条1項の規定に基づいて,原告に対し,本件排除措置命令(平成○年(措)第○号)をし,同命令は,同年3月2日に排除措置命令書の謄本が原告に送達されたことにより,その効力を生じた。(甲1)本件排除措置命令は,原告に対し,① 放送事業者であって音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む者から音楽著作物の利用許諾を受け放送等利用を行うもの(以下,単に「放送事業者」という。)から徴収する放送等利用に係る使用料(以下「放送等使用料」という。)の算定において放送等利用割合が反映されない方法を採用することにより,当該放送事業者が他の管理事業者にも放送等使用料を支払う場合には当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額がその分だけ増加することとなるようにしている行為を取りやめること(上記の「放送等利用」とは,放送又は放送のための複製その他放送に伴う音楽著作物の利用を,「放送等利用割合」とは,放送事業者が放送番組で利用した音楽著作物の総数に占める当該管理事業者の放送等利用に係る管理楽曲の割合を,「放送等利用割合が反映されない方法」とは,放送事業者に対し当該管理事業者の放送等利用に係る管理楽曲全体の利用を包括的に許諾し(以下「包括許諾」という。),当該放送事業者の放送事業収入に一定割合を乗ずるなどして放送等使用料を包括的に算定する方法を,それぞれいう。以下,そのように算定した使用料を徴収することを「包括徴収」という。),② そのために採った措置を原告と音楽著作物の利用許諾に関する契約(以下「利用許諾契約」という。)を締結している放送 ぞれいう。以下,そのように算定した使用料を徴収することを「包括徴収」という。),② そのために採った措置を原告と音楽著作物の利用許諾に関する契約(以下「利用許諾契約」という。)を締結している放送事業者,他の管理事業者並びに原告に音楽著作権の管理を委託している著作者及び音楽出版者に通知すること等を命ずるものである。 本件排除措置命令は,① 放送事業者の全部が,原告との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする放送等利用に係る音楽著作物の利用許諾契約を締結し,原告の管理楽曲を利用しているところ,原告が放送事業者から徴収する放送等使用料の算定において放送等利用割合が反映されない包括徴収の方法を採用しているため,放送事業者としては,他の管理事業者にも放送等使用料を支払うと放送等使用料の総額がその分だけ増加することとなるので,他の管理事業者の管理楽曲を利用することは見込まれず,著作者及び音楽出版者が他の管理事業者に放送等利用に係る音楽著作権の管理を委託することはなく,他の管理事業者が放送等利用に係る音楽著作権等管理事業を営むことが困難な状態になっている(本件申請者は,株式会社b(以下,同社とその関連会社とを併せて「c社」という。)から放送等利用に係る音楽著作権の管理委託を受け,平成18年10月1日以降,管理を行ったところ,本件申請者がc社から管理委託を受けた音楽著作物(以下「c楽曲」という。)の中には,人気歌手であるdの「e」などの放送等利用が見込まれる音楽著作物が存在したにもかかわらず,ラジオ局を中心とする放送事業者は,原告が放送等使用料の徴収方法を包括徴収としているため,c楽曲を利用すると放送等使用料の追加負担が生ずることとなるので,c楽曲をほとんど利用しなかった。c社と本件申請者は,同月中旬に協議を行い,社団法人f 送等使用料の徴収方法を包括徴収としているため,c楽曲を利用すると放送等使用料の追加負担が生ずることとなるので,c楽曲をほとんど利用しなかった。c社と本件申請者は,同月中旬に協議を行い,社団法人f(以下「f」という。)に加盟する放送事業者については同月1日から同年12月31日までc楽曲の放送等使用料を無料とすることを決定し,同年10月中旬から下旬にかけて,その旨を放送事業者に周知したが,c楽曲の利用状況が改善される見込みはなかったため,c社は本件申請者との間の管理委託契約を解約した。)という事実を認定した上,② 原告は,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,これを実施することによって,他の管理事業者の事業活動を排除することにより,公共の利益に反して,我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限しているものであって,これは,独占禁止法2条5項に規定する私的独占に該当し,同法3条の規定に違反するものであると判断している。 (3) 本件排除措置命令についての審判請求原告は,平成21年4月28日,独占禁止法49条6項の規定に基づいて,公正取引委員会に対し,本件排除措置命令について,その取消しを求める審判請求をし(平成○年(判)第○号事件。以下「本件審判事件」という。),同委員会は,同年5月25日,同法55条1項の規定に基づいて,原告に対し,審判開始通知書を送付した(以下,同通知により開始された審判手続を「本件審判手続」という。)。 (4) 本件審判事件における証拠の採用ア査第○号証,第○号証及び第○号証(以下「本件各書証」という。)は,公正取引委員会が平成20年4月23日に原告の事業所に立入検査を行った際 (4) 本件審判事件における証拠の採用ア査第○号証,第○号証及び第○号証(以下「本件各書証」という。)は,公正取引委員会が平成20年4月23日に原告の事業所に立入検査を行った際に独占禁止法47条1項3号の規定に基づく提出命令により留置したものであり,担当審査官作成の証拠申出書の「文書の標目」欄のうち本件各書証に係る部分の記載は,次のとおりである。(乙2,7)(ア) 査第○号証(甲6)報告書(平成20年4月23日,社団法人g協会理事長提出の「○」と記載のDVD-Rのうち「○」と題する文書に係る審査官作成の平成21年7月13日付け報告書)(イ) 査第○号証(甲7)報告書(平成20年4月23日,社団法人g協会理事長提出の「○」と記載のDVD-Rのうち「○」と題する文書に係る審査官作成の平成21年7月13日付け報告書)(ウ) 査第○号証(甲8)報告書(平成20年4月23日,社団法人g協会理事長提出に係る留置番号○-○「○」のうち「○」と題する文書1枚,「○」と題する文書1枚及び「○」と題する文書4枚(計6枚)に係る審査官作成の平成22年2月10日付け報告書)イ担当審査官は,平成21年7月27日に開かれた本件審判事件の第1回審判期日において,原告の違反行為を立証するため,公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号。以下「審判規則」という。)39条1項の規定に基づいて,査第○号証及び第○号証の証拠申出をした。(乙1,2)原告は,平成21年9月14日,同年10月28日及び同年12月9日にそれぞれ開かれた本件審判事件の第2回から第4回までの各審判期日において,審判規則51条1項の規定に基づいて, 1,2)原告は,平成21年9月14日,同年10月28日及び同年12月9日にそれぞれ開かれた本件審判事件の第2回から第4回までの各審判期日において,審判規則51条1項の規定に基づいて,査第○号証及び第○号証の採否について,これらの書証は取調べの必要がなく,かつ,これらの書証を取り調べることは弁護士と依頼者との間の秘密交通権を侵害するから相当ではないとして,これらの書証を採用すべきではないという意見を述べた。(甲9,乙3ないし5)ウ担当審査官は,平成22年2月23日に開かれた本件審判事件の第5回審判期日において,原告の違反行為を立証するため,審判規則39条1項の規定に基づいて,査第○号証の証拠申出をした。(乙6,7)原告は,査第○号証の採否について,上記審判期日においては意見を留保した上,平成22年4月20日に開かれた本件審判事件の第6回審判期日において,審判規則51条1項の規定に基づいて,「採用についてはしかるべく」という意見を述べた。(乙6,8)エ担当審判官は,平成22年4月20日に開かれた本件審判事件の第6回審判期日において,査第○号証及び第○号証の採否について,担当審査官がこれらの書証により立証しようとする事実は本件審判事件と関連性があるものであり,かつ,原告はその事実を否認しているから,これらの書証は取調べの必要があるとし,さらに,弁護士と依頼者との間の秘密交通権に関する原告の主張は採用することができないとした上,査第○号証,第○号証及び第○号証すなわち本件各書証の採用決定をし,これらを取り調べた。(乙8)オ原告は,平成22年5月13日,審判規則34条1項の規定に基づいて,担当審判官に対し,本件各書証のうち査第○号証及び第○号証の採用決定をしたことについての これらを取り調べた。(乙8)オ原告は,平成22年5月13日,審判規則34条1項の規定に基づいて,担当審判官に対し,本件各書証のうち査第○号証及び第○号証の採用決定をしたことについての異議の申立てをしたが,担当審判官は,同年6月9日に開かれた本件審判事件の第7回審判期日において,この申立てを却下した。(甲10,乙9)(5) 本件事件記録の謄写の申請本件申請者は,前記(1)ウのとおり,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む原告の競争事業者であるところ,平成22年6月9日,独占禁止法70条の15第1項の規定に基づいて,公正取引委員会に対し,本件事件記録のうち,審判調書(第4回から第7回まで),担当審査官又は被審人が提出した主張書面(審判請求書から担当審査官の第6準備書面まで),証拠申出書,証拠の採否に関する意見書,書証(査第○号証から第○号証まで,審第○号証から第○号証まで)等の謄写の申請(以下「本件申請」という。)をした。同申請に係る事件記録謄写申請書の「謄写の目的」欄には「原告に対する将来の損害賠償請求提起の準備のため」という記載があり,「誓約事項」欄には「謄写した事件記録を標記審判事件又は標記審判事件に係る損害賠償請求訴訟以外の目的に使用することはいたしません。謄写した事件記録を申請者以外の者に閲覧させたり,謄写させたりすることはいたしません。」という記載がある。(乙10)(6) 本件決定ア公正取引委員会は,平成22年6月15日付け「審判に係る事件記録について(照会)」と題する書面により,原告に対し,本件申請に係る本件事件記録の謄写に応ずることについて,秘匿を要する特段の事由があるのであれば,秘匿を要する部分を特定し,その必要性について具体的な理由 を付して,書面で回答するよ 告に対し,本件申請に係る本件事件記録の謄写に応ずることについて,秘匿を要する特段の事由があるのであれば,秘匿を要する部分を特定し,その必要性について具体的な理由 を付して,書面で回答するよう求めた。(甲3)原告は,平成22年6月29日付け「事件記録の謄写請求に対する意見書」と題する書面により,公正取引委員会に対し,本件申請に係る本件事件記録から審判調書(第4回から第7回まで)及び書証(査第○号証,第○号証,第○号証,第○号証,審第○号証,第○号証から第○号証まで)を除いたもの(本件各書証はこれに含まれる。)の謄写については独占禁止法70条の15第1項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるので不開示とすべきであるという意見を述べた。(甲4)イ公正取引委員会は,平成23年5月9日,本件申請者に対し,本件申請に係る本件事件記録のうち,違反行為に関しないと認めた個人の氏名及び事業者の秘密に該当すると判断した部分については独占禁止法70条の15第1項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるとして不開示とし,その余の部分については謄写に応ずる旨の本件決定(公官審第○号)をした。本件開示決定は,本件決定のうち本件各書証の開示部分に係る部分であり,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断に基づくものである。本件決定には,謄写した書面を本件申請に係る目的以外に使用すること(本件申請者以外の者に閲覧させ,又は謄写させることを含む。)を禁ずる旨の条件が付されており,また,本件決定に係る決定通知書には,同月23日以降に謄写した書面を交付する に係る目的以外に使用すること(本件申請者以外の者に閲覧させ,又は謄写させることを含む。)を禁ずる旨の条件が付されており,また,本件決定に係る決定通知書には,同月23日以降に謄写した書面を交付する旨付記されている。(乙11)公正取引委員会は,平成23年5月9日付け「審判に係る事件記録の謄写について(通知)」と題する書面により,原告に対し,本件決定をした旨を通知した。(甲5) ウ公正取引委員会は,本件申請者に交付する本件各書証の写しを作成するに当たり,査第○号証の記載中,① 原告が平成14年10月3日に開催した独占禁止法検討会議の第4回会議に出席した弁護士の氏名,② 原告が利用者団体との間で締結した業務協定中の定めについて公正取引委員会に苦情を申し立てた団体の属性,③ 他の著作物の利用許諾分野における新規参入の状況と新規参入事業者が採用している使用料の算定方法の具体的内容,④ 上記分野における既存事業者の名称と新規参入事業者の名称,⑤ 原告がある業態の利用者について採用している基本使用料の算定方法の根拠,⑥ 外国の著作権管理団体の名称,⑦ 著作者の氏名,⑧ 他の著作物の利用許諾分野における管理事業者の名称,⑨ 同管理事業者が大口利用者に対して講じている使用料の優遇措置の控除率について,査第○号証の記載中,① 当該文書の発信人である弁護士の氏名及び所属事務所の名称,② 原告と業務協定を締結して使用料の減額などの措置を講じられている利用者団体の名称,③ 商業用レコードの二次使用料の額について放送事業者等との間で協議して定めるものとされている実演家団体の名称について,査第○号証の記載中,① 原告が利用者団体との間で締結した業務協定中の定めについて公正取引委員会に苦情を申し立てた団体の属性,② 上記業務協定に基 て定めるものとされている実演家団体の名称について,査第○号証の記載中,① 原告が利用者団体との間で締結した業務協定中の定めについて公正取引委員会に苦情を申し立てた団体の属性,② 上記業務協定に基づく使用料の設定に関する勉強会に招かれた者の氏及び肩書について,それぞれ黒く塗りつぶすマスキングを施した。 (乙12ないし14)エ原告は,平成23年5月13日,公正取引委員会に対し,本件開示決定の取消しを求める訴えを提起し本件開示決定の執行停止の申立てを行う予定であることを理由に,執行停止の申立てに対する裁判所の決定が確定するまで本件事件記録の謄写に応じないよう求める上申書を提出した。(乙15)(7) 本件訴えの提起原告は,平成23年5月20日,本件開示決定の取消しを求める本件訴えを提起するとともに,本件開示決定の効力の停止を申し立て,当裁判所は,同年6月9日,本件訴えの第1審判決の言渡しまで本件開示決定の効力を停止する旨の決定をした。(顕著な事実)(8) 本件排除措置命令の取消審決担当審判官は,平成23年6月1日に開かれた本件審判事件の第13回審判期日において,審判手続を終結し,平成24年2月1日,審判規則73条の規定に基づいて,本件排除措置命令を取り消す旨の審決案を作成し,公正取引委員会に提出した(甲28)。同委員会は,本件事件記録に基づいて,上記審決案を調査し,これを適当と認め,同年6月12日,審判規則78条1項の規定に基づいて,本件排除措置命令を取り消す旨の審決(以下「本件取消審決」という。)をした。(甲29,乙23,24)担当審査官は,本件審判事件において,原告が,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,同契約に基づいて いう。)をした。(甲29,乙23,24)担当審査官は,本件審判事件において,原告が,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,同契約に基づいて放送等使用料を徴収している行為は,放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野において他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有すると主張した。本件取消審決は,① 本件申請者は,c社から放送等利用に係る音楽著作権の管理委託を受け,平成18年10月1日以降,dの「e」等の人気楽曲を含むc楽曲の管理を行ったところ,その後,本件申請者の管理楽曲は利用しないというラジオ局の存在が明らかとなったことから,同月16日頃,c社と協議の上,fに加盟する放送事業者については遡って同月1日から同年12月31日までc楽曲の放送等使用料を無料とすることを決定し,同年10月19日頃,首都圏のラジオ局及びfに無料化措置の通知文書を送付した(首都圏以外のラジオ局には同月25日以降にfが送付した。)が,c楽曲の利用状況は改善されず,c社は本件申請者との間の管理委託契約を解約したという事実を認定した上,② 原告が放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,放送等使用料を徴収している行為は,放送事業者が他の管理事業者の管理楽曲を利用することを抑制する効果を有することは否定することができないが,放送等使用料の負担は放送事業者が音楽著作物を利用する際の考慮要素の一つにすぎず,それをどの程度考慮するかは放送事業者や放送番組により異なる,③ 放送事業者が同月1日から同年12月31日までの間に「e」を利用した729回のうち,同年10月1日から無料化措置の通知文書の作成日の前日である同月17日までの利用回数は128回,その翌日から同月25日までの首都 同月1日から同年12月31日までの間に「e」を利用した729回のうち,同年10月1日から無料化措置の通知文書の作成日の前日である同月17日までの利用回数は128回,その翌日から同月25日までの首都圏以外の放送事業者の利用回数は184回であり,首都圏以外の放送事業者が無料化措置の通知を受けたのは同日以降であるから,放送事業者が無料化措置を知る以前に「e」を利用した回数は312回と上記利用回数の42%にも及ぶのであって,「e」は無料化措置の通知の前後を問わず広く放送事業者に利用されていたと認めることができ,放送事業者が一般的に本件申請者の管理楽曲の利用を回避したと認めることはできない,④ 担当審査官の主張に係る原告の行為が本件申請者の事業活動を困難にした事実を認めるに足りる証拠はなく,原告の行為が放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野において他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有するとまで断ずることは,なお困難であると判断している。 (9) 本件申請者による別件訴訟の提起本件申請者は,平成24年7月10日,本件取消審決の取消し等を求める訴えを第1審の裁判権の属する東京高等裁判所に提起した。同訴えは,現在も,同裁判所に係属している。(甲32)(10) 審査基準の定め公正取引委員会は,「独占禁止法第70条の15の規定に基づく閲覧・謄写に係る審査基準」(以下「本件審査基準」という。)を定め,「利害関係人」の意義,事件記録の閲覧謄写の制限及び複写した事件記録の使用目的の制限等について,次のとおりとしている。(甲11)ア 「利害関係人」の意義(ア) 70条の15の規定に基づく閲覧謄写は,当該事件記録に係る審判事件の「利害関係人」に認められている。ここでいう「利害関係人」は,以下 。(甲11)ア 「利害関係人」の意義(ア) 70条の15の規定に基づく閲覧謄写は,当該事件記録に係る審判事件の「利害関係人」に認められている。ここでいう「利害関係人」は,以下の者である。 a 当該審判事件の被審人b 70条の3及び70条の4の規定に基づき当該審判事件に参加し得る者c 当該審判事件の対象を成す違反行為の被害者(イ) 請求者が被害者に該当するかどうかについては,個別の請求ごとに判断する。例えば,① 入札談合の違反行為における発注者,② 違反行為によって市場から排除された競争事業者であって,違反行為者に対して国内の裁判所において損害賠償請求訴訟を提起するものなどが被害者に当たる。 イ事件記録の閲覧謄写の制限(ア) 利害関係人の閲覧謄写の請求の目的は一様でなく,各請求者の閲覧謄写請求の目的に応じ,具体的事件ごとに「第三者の利益を害するおそれがあるとき」,「その他正当な理由があるとき」に該当する情報を開示するか否かを判断する。 (イ) 被害者からの請求があった場合において,以下の情報については不開示とする。 a 個人に関する情報(a) 不開示とする個人に関する情報は,例えば,以下のようなものをいう。 ⅰ 個人の生年月日,住所,学歴,病歴等ⅱ 違反行為に関しないと認められる個人の氏名ⅲ その他個人の私生活上の情報(b) なお,上記ⅱ以外の個人の氏名については,訴訟の提起,維持の便宜を図る観点から明らかにされる必要性が高いことなどから,不開示としない。また,速記録,審判調書に記載されている個人の氏名は,公開の審判廷で実際に陳述されたも の氏名については,訴訟の提起,維持の便宜を図る観点から明らかにされる必要性が高いことなどから,不開示としない。また,速記録,審判調書に記載されている個人の氏名は,公開の審判廷で実際に陳述されたものであり,70条の15の規定に基づく閲覧謄写において秘匿すべき必要性が低いと考えられる。このため,このような個人の氏名については,当該速記録,審判調書中において,不開示としない。 b 事業者の秘密(a) 事業者の秘密とは,① 非公知の事実であって,② 事業者が秘匿を望み,③ 客観的にもそれを秘匿することにつき合理的な理由があるものをいう。例えば,事業者の製造原価,仕入価格を明らかにする情報,営業上のノウハウ等がこれに該当するものと考えられる。なお,これらの情報であっても,速記録,審判調書に記載されているものについては,不開示としない。 (b) 公正取引委員会は,必要に応じて,被審人等に対して,事業者の秘密として不開示を要する部分及び具体的理由について照会することとする。 c 今後の事件処理に著しい支障を及ぼすおそれがある情報例えば,審査活動の端緒となった情報源の特定を可能とする情報等今後の公正取引委員会の事件処理に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるものについては,不開示とする。 d その他公益上不開示とする必要があると認める情報注課徴金減免制度の積極的な利用を促進する観点から,国際カルテル事件における課徴金減免申請事業者の供述調書,報告書等について,それを相当とする特段の事情があると認められるときは,当該供述調書,報告書等の謄写を制限する場合がある。 ウ複写した事件記録の使用目的の制限等(ア) 閲覧謄写の請求 て,それを相当とする特段の事情があると認められるときは,当該供述調書,報告書等の謄写を制限する場合がある。 ウ複写した事件記録の使用目的の制限等(ア) 閲覧謄写の請求の方式に基づき,70条の15の規定に基づく謄写の請求をした者で,事件記録の謄写を認められたものは,その謄写した事件記録を請求した目的以外に使用してはならないものとする。謄写を認める決定の際に,書面で,当該請求者に対し,請求した目的以外の使用を制限する旨を通知することとする。 (イ) 70条の15第2項に規定する「その他適当と認める条件」については,具体的事件ごとに決定することとする。公正取引委員会は,「その他適当と認める条件」を付する場合には,謄写を認める決定の際に,書面で,当該請求者に対し,当該条件を通知することとする。 3 争点本件の争点は,本件開示決定の適否であり,具体的には,① 独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」該当性(本件申請者は同項の「利害関係人」に該当するか否か)(争点1),② 同項の「正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断におけるその裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無(本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについては同項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断はその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否か)(争点2)である。 4 当事者の主張の要旨(1) 独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」該当性(争点1)についてア原告の主張の要旨独占禁止法70条の15第1項の事件記録の閲覧又は謄写を求める権利は,審判手続における当事者の防御権行使等の 第1項の「利害関係人」該当性(争点1)についてア原告の主張の要旨独占禁止法70条の15第1項の事件記録の閲覧又は謄写を求める権利は,審判手続における当事者の防御権行使等のためだけに認められたものではなく,審判手続に参加し得る者が参加又は意見陳述の要否を検討し,同法に違反する行為の被害者が差止請求訴訟又は損害賠償請求訴訟を提起しあるいは維持するための便宜を図る趣旨をも含むものと解するのが相当であり,同項の「利害関係人」とは,当該事件の被審人のほか,同法59条又は60条により審判手続に参加し得る者及び当該事件の対象を成す違反行為の被害者をもいうと解されるところではあるが,本件取消審決は,原告の行為は同法に違反するものではないとしているのであって,原告の違反行為は存在しないのであるから,その被害者も存在せず,本件申請者は同法70条の15第1項の「利害関係人」ではないということになる。 イ被告の主張の要旨(ア) 独占禁止法70条の15第1項前段の趣旨独占禁止法70条の15第1項前段が規定する事件記録の閲覧及び謄写の制度は,被審人が審判手続において排除措置命令をめぐる攻撃防御を十分に行うことができる状況を整えるため事件記録の閲覧又は謄写をすることができるようにするだけではなく,審決の結果について関係のある第三者等や違反行為の被害者が審判手続への参加や損害賠償請求訴訟の提起を検討することなどを可能にするという意義をも有しているものである。 (イ) 本件申請者が「利害関係人」に該当すること独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」とは,当該事件の被審人のほか,同法70条の3及び70条の4の規定により審判手続に参加し得る者並びに当該事件の対象を成す違反 に該当すること独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」とは,当該事件の被審人のほか,同法70条の3及び70条の4の規定により審判手続に参加し得る者並びに当該事件の対象を成す違反行為の被害者をもいうものであると解される。これを本件についてみると,本件排除措置命令が認定した事実によれば,原告は,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,これを実施することによって,他の管理事業者の事業活動を排除することにより,公共の利益に反して,我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限しているものであるところ,本件申請者は,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む者,すなわち,本件排除措置命令にいう「他の管理事業者」であり,本件審判事件の対象を成す違反行為の被害者であるから,独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」に該当する。 (ウ) 原告の主張の要旨について公正取引委員会は,平成23年5月9日に本件開示決定をしたものであるところ,同時点においては,原告が本件排除措置命令の取消しを求める審判請求をし,本件審判手続が行われていたにすぎず,本件排除措置命令が取り消されることが明白であったという事情も存在しないのであるから,本件排除措置命令を取り消す本件取消審決がされたことは本件開示決定の後に新たに生じた事情にほかならず,本件開示決定の適否の判断に際してこのような事情を考慮することは許されないものというべきである。 (2) 独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断におけるその裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無(争点2)についてア原告の主 (2) 独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断におけるその裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無(争点2)についてア原告の主張の要旨独占禁止法70条の15第1項は,公正取引委員会は「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるときは事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができる旨を定め,同委員会に裁量権を付与しているが,その行使は合理的な判断要素の選択や判断過程を経てされなければならず,それが社会通念に照らして著しく合理性を欠く場合には,裁量権の範囲を逸脱したものとして違法となるところ,本件開示決定は,次の重要な判断要素を考慮しなかったため「正当な理由」があるにもかかわらずされたものであり,公正取引委員会がその裁量権の範囲を逸脱してした違法な処分である。 (ア) 本件各書証の性質及び内容a 査第○号証の性質及び内容査第○号証は,本件排除措置命令で問題とされている放送の分野だけではなく,原告の事業全般について,原告の執行部及び職員と原告が依頼した弁護士(以下「原告の弁護士」という。)とが独占禁止法コンプライアンス(法令遵守)の観点から協議するために平成14年8月9日に開催された原告内部の会議である独占禁止法検討会議の第1回会議の配付資料であり,その開示部分は,議事次第として「1.gにおける独占禁止法に関わる経過」,「2.利用者団体との使用料率についての協議等」,「3.その他」という記載がある配付文書のほか,「○」と題する資料1及び「○」と題する資料3によって構成されている。そして,資料3には,利用者団体に属する事業者等に対する優遇措置,包括使用料と曲別使用料,外国の著作権管理団体との 付文書のほか,「○」と題する資料1及び「○」と題する資料3によって構成されている。そして,資料3には,利用者団体に属する事業者等に対する優遇措置,包括使用料と曲別使用料,外国の著作権管理団体との相互管理契約等に関する独占禁止法上の検討課題が具体的に記載されている。 b 査第○号証の性質及び内容査第○号証は,原告の弁護士との協議を目的として平成14年10月3日に開催された独占禁止法検討会議の第4回会議の議事録であり,その開示部分には,同年9月19日に行われた公正取引委員会の事前ヒアリングの模様及び同委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」のヒアリングに向けて作成された想定問答に関する原告の執行部及び事務局の職員と弁護士との間の質疑応答の内容が記載されている。 c 査第○号証の性質及び内容査第○号証は,独占禁止法検討会議の構成員である原告の弁護士が平成15年3月18日に原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関して検討した結果をまとめたメモランダム(上記弁護士から原告に宛てて発信され,その後,原告において管理していたもの)であり,その開示部分には,原告の管理事業が「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」で取り上げられるに至った事実経緯,原告の管理事業についての同法上の問題点,その問題点に関する上記弁護士の検討内容及びその結果である法的意見が記載されている。 (イ) 本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは弁護士と依頼者との間の秘密交通権を侵害するものであることa 本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,弁護士と依頼者との間の秘密交通権という重大な権利を侵害し,適正手続の保障に係る被審 士と依頼者との間の秘密交通権を侵害するものであることa 本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,弁護士と依頼者との間の秘密交通権という重大な権利を侵害し,適正手続の保障に係る被審人の利益だけではなく,公正取引委員会の審判手続における適正手続の保障に対する信頼をも著しく害するものである。 米国及び欧州の訴訟手続及び行政手続においては,本件各書証のような文書は「弁護士・依頼者秘匿特権」により第三者に開示されることがないものであり,また,弁護士が依頼者のために行った職務の内容を記載した「職務活動の成果(ワークプロダクト)」についても証拠の提出や開示手続での開示を免除されることが法律上認められている。これらの権利ないし利益は,弁護士と依頼者との間の率直かつ十分な意思疎通を確保することにより弁護士から適切な法的助言を受けるという依頼者の基本的権利が保護され,また,そうすることにより依頼者の法令遵守が促進されることから,認められているものであるところ,これらの権利は我が国ではいまだ明文化されていないが,憲法31条の趣旨に照らすと,準司法的手続である公正取引委員会の審判手続においても適正手続が保障されるべきであるから,本件各書証は第三者に開示されるべきではない。 特に,平成22年独占禁止法改正の法案作成の過程で公正取引委員会担当の政務三役が作成した平成21年12月9日付け「独占禁止法の改正等に係る基本方針」と題する資料の中には,弁護士立会権,秘匿特権等の被処分者の適正な防御権を確保するための方策については中立的な検討の場において上記改正に係る附帯決議を踏まえた検討を行い,原則として検討開始から1年以内に結論を得ることとするという説明があり,平成23年度には「弁護士・依頼者秘匿特権」につい いては中立的な検討の場において上記改正に係る附帯決議を踏まえた検討を行い,原則として検討開始から1年以内に結論を得ることとするという説明があり,平成23年度には「弁護士・依頼者秘匿特権」について検討するものとされているのであって,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,上記権利を保護すべきであるとする独占禁止法の改正方向に逆行するものである。 b 「弁護士・依頼者秘匿特権」は,弁護士という職業が成立するための前提条件であり,弁護士制度の根幹を成すものであるとともに,市民社会に法の支配を貫徹するための有力な手段でもある。すなわち,弁護士は,依頼者の権利利益を保護するため依頼者に法的助言を行うところ,依頼者は,弁護士との間のコミュニケーションの内容が外部に漏洩することはないという前提があるからこそ,全ての事実を包み隠さずに打ち明けることができるのであって,上記漏洩の可能性があるのであれば,依頼者は,重要な情報を隠して相談するか,又は弁護士に相談すること自体を回避するようになり,弁護士が事案の本質を把握した上で法的助言を行うことができなくなる結果,依頼者の法的助言を受ける機会が失われるとともに,法秩序全体に悪影響が生ずることとなる。 「弁護士・依頼者秘匿特権」は,英米法系か大陸法系かを問うことなく,立憲的な法システムを承認する諸国において例外なく承認されている普遍的原理であり,我が国においても,憲法21条2項(通信の秘密の保障),32条(裁判を受ける権利),34条及び37条3項(弁護人依頼権の保障),35条(不当な捜索押収の禁止)等の前提を成す基本原理として,憲法31条による適正手続の保障に含まれるものであると解されるところ,同条による保障は独占禁止法の規定に基づく審査手続及び審判手続にも適用 5条(不当な捜索押収の禁止)等の前提を成す基本原理として,憲法31条による適正手続の保障に含まれるものであると解されるところ,同条による保障は独占禁止法の規定に基づく審査手続及び審判手続にも適用又は類推適用があるのであって,本件各書証は本件排除措置命令に係る審査手続及び本件審判手続において絶対的に保護されなければならないものであり,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは憲法上認められている「弁護士・依頼者秘匿特権」を侵害するものである。 c 弁護士又は弁護士であった者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負う(弁護士法23条)。弁護士がその職務上知り得た秘密を他に漏らさないことは,依頼者との間の信頼関係の基盤であり,その職務に対する国民の信頼の源泉でもある。また,弁護士又は弁護士の職にあった者が,正当な理由がないのに,その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは,秘密漏示罪を構成するし(刑法134条1項),同じく弁護士等を対象として,刑事訴訟法上,職務上知り得た事実等で他人の秘密に関するものについての証言拒絶権(149条)や押収拒絶権(105条)の定めが置かれており,民事訴訟法上も,職務上知り得た事実についての証言拒絶権(197条1項2号)や文書提出拒絶権(220条4号ハ)の定めが置かれている。 このように,我が国の法制度は,弁護士が職務上知り得た秘密は保持されなければならないという弁護士及び依頼者の権利ないし利益について,刑罰規定で担保するほどに重大なものと捉えた上,訴訟法上もそれを保障しているところ,本件各書証の開示部分には,弁護士が職務上知り得た秘密が記載されているのであって,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,弁護士法23条の規定に基づく原 法上もそれを保障しているところ,本件各書証の開示部分には,弁護士が職務上知り得た秘密が記載されているのであって,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,弁護士法23条の規定に基づく原告の弁護士の権利を侵害するとともに,秘密保持に関する原告及びその弁護士の重大な利益を侵害するものである。 d 本件各書証は,公正取引委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」のヒアリングを契機として作成されたものであり,原告の弁護士が依頼者である原告のために行った職務活動の成果であるから,「職務活動の成果」の法理により開示を免れるべきものである。担当審判官は本件各書証についての証拠申出を却下すべきであったものであり,このような書証が誤って採用され,競争事業者である本件申請者に開示されることにより,原告の重大な利益が侵害されることは明らかである。 本件各書証は,民事訴訟法220条4号ニの自己利用文書に該当し,また,弁護士が職務上知り得た事実で黙秘すべきものが記載されているものであるから,同号ハの規定により文書提出義務の対象から除外されるのであって,本件申請者が,原告に対する損害賠償請求訴訟を提起し,本件各書証について文書提出命令を申し立てたものであれば,原告は,上記の点を根拠として提出を拒否することができたものである。本件各書証は,原告の意思に反して開示されることがおよそ想定されていないものであるのに,公正取引委員会がこれを留置した上,担当審査官が証拠申出をし,担当審査官が誤って採用決定をしたために,本件事件記録となったものであり,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,本件申請者が独占禁止法70条の15の規定に基づく事件記録の謄写の申請という方法により民事訴訟法の規定を潜脱することを認め 本件事件記録となったものであり,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,本件申請者が独占禁止法70条の15の規定に基づく事件記録の謄写の申請という方法により民事訴訟法の規定を潜脱することを認めるものにほかならない。文書提出命令の問題と事件記録の閲覧又は謄写の問題とは,同じ証拠や事実の開示に関する問題であり,法は,文書提出命令が認められる範囲と事件記録の閲覧又は謄写が認められる範囲に差が生ずることを予定していないにもかかわらず,独占禁止法70条の15の規定に基づいて本件各書証の開示部分の謄写に応ずるのであれば,民事訴訟法によって保護されている原告の正当な利益が侵害されることとなる。 e そして,本件各書証の開示部分の謄写に応ずるのであれば,次のような弁護士の独立等に対する重大な問題を生じさせる。 第1に,弁護士から適切な法的助言を受けるという基本的権利が侵害される。すなわち,弁護士が忌憚のない法的助言を行うことに躊躇を覚え,その結果,弁護士が率直に法的助言を行うことが極めて困難になる。弁護士が第三者の介入を受けることなく独立して依頼者に法的助言を行うことができなくなることが弁護士の独立に悪影響を及ぼすことは必定である。 第2に,弁護士から適切な法的助言を受けることにより事業者の法令遵守が促進されるという社会公共の利益が損なわれる。すなわち,本件各書証は,原告がその弁護士から法的助言を受けることで真摯に独占禁止法コンプライアンスを実施しようとした活動に関連する書面であるところ,そのような文書の謄写に応ずる扱いが定着するようなこととなれば,弁護士は,その意見を依頼者に率直に述べることを差し控えるようになる。これは,独占禁止法の執行機関である公正取引委員会自らが事業者のコンプライアン 書の謄写に応ずる扱いが定着するようなこととなれば,弁護士は,その意見を依頼者に率直に述べることを差し控えるようになる。これは,独占禁止法の執行機関である公正取引委員会自らが事業者のコンプライアンス体制の整備を阻害することと同義である。 第3に,本件各書証のような文書が主要国においては「弁護士・依頼者秘匿特権」又は「職務活動の成果」として保護されていることは,上記aないしdのとおりであるところ,そのような文書が我が国においては審判手続を通じて第三者に開示されてしまうことになれば,我が国の競争行政が「弁護士・依頼者秘匿特権」等の保護という国際的標準から遅れることとなり,グローバルな活動をしている事業者等に,我が国の独占禁止法に基づく課徴金減免制度等の利用を躊躇させるだけではなく,公正取引委員会によるエンフォースメントの信頼性に深い疑念を生じさせることとなる。 f このように,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,上記aないしdのとおり弁護士と依頼者との間の秘密交通権等を侵害し,これにより上記eのような重大な問題を生じさせることからすると,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 (ウ) 本件各書証の開示部分には「事業者の秘密」に該当する不開示情報が記載されていることa 本件審査基準は「事業者の秘密」を不開示情報の一つとしているところ,ここに「事業者の秘密」とは,速記録又は審判調書に記載されているものを除く非公知の事実であって,事業者がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することにつき合理的な理由があるものをいうものであると解される。 b 本件各書証は,原告の企画部に設置されたサーバー(職員専用の端末 って,事業者がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することにつき合理的な理由があるものをいうものであると解される。 b 本件各書証は,原告の企画部に設置されたサーバー(職員専用の端末機からしかアクセスすることができないもの)に「取扱注意・複写禁止」と付記した上で保管されていた電子データを印刷した文書(査第○号証及び第○号証)及び同部内の施錠されたキャビネットに保管されていた文書(査第○号証)であり,これに接する者が秘密として管理されていることを明確に認識することができるような形態で管理されていたものが,公正取引委員会による原告の事業所への立入検査の際に留置され,本件審判手続において証拠申出がされたものである。 本件各書証の開示部分には,使用料の徴収や利用曲目報告に係る事実,管理システムの構造など原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密,ノウハウ等が記載されているところ,これらの情報は,原告が法律専門家である弁護士の厳格な守秘義務を信頼してその事業上の情報を提供した非公知の事実である。 c 本件各書証は,原告が法律専門家である弁護士の厳格な守秘義務を信頼してその事業上の情報を提供し,原告の弁護士がそれに基づいて法的助言を行う過程で作成されたものであるところ,弁護士は,その守秘義務を前提として依頼者から情報の提供を受け,依頼者に対し自由に法的意見を述べるのであり,本件各書証の開示部分に記載された,原告がその弁護士から法的助言を受けるに当たり提供した事業上の情報と,原告の弁護士がこれに基づいて行った法的な検討過程及びその成果である法的意見とは,相互に密接不可分に関連し,全体として一つの事業上の情報になるというべきである。本件各書証は極めて秘密性が高いものであり,これが第三者に開示されるこ た法的な検討過程及びその成果である法的意見とは,相互に密接不可分に関連し,全体として一つの事業上の情報になるというべきである。本件各書証は極めて秘密性が高いものであり,これが第三者に開示されることとなれば,弁護士から適切な法的助言を受けるという基本的権利が侵害され,独占禁止法コンプライアンスが阻害されるなど,原告に看過し難い損害が生ずることとなるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由がある。 また,本件各書証の開示部分には,使用料の徴収や利用曲目報告に係る事実,管理システムの構造など原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密,ノウハウ等が記載されているのであって,これが第三者に開示されることとなれば,原告の今後の使用料や利用曲目報告の徴収,使用料の分配などの業務に支障が生ずるおそれがある。これを具体的にみると,査第○号証には,音楽著作物の利用者団体内部の使用料の負担方法が記載されているところ,この情報は当該利用者団体から第三者に開示しないという前提で開示された情報であるから,これが第三者に開示されることとなれば,原告は,当該利用者団体からクレームを付けられ,場合によっては損害賠償を求められることとなるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由がある。次に,査第○号証には,カラオケ社交場の音楽著作権の管理の方法,着メロ配信の音楽著作権の管理の方法,外国の著作権管理団体の管理の方法,大手レコード会社に対する優遇措置の内容が記載されているところ,これらの情報が第三者に開示されることとなれば,原告のカラオケ社交場や着メロ配信の分野における音楽著作権の管理の方法など原告の管理事業についての営業秘密等が明らかになり, 容が記載されているところ,これらの情報が第三者に開示されることとなれば,原告のカラオケ社交場や着メロ配信の分野における音楽著作権の管理の方法など原告の管理事業についての営業秘密等が明らかになり,原告の今後の使用料や利用曲目報告の徴収,使用料の分配などの業務に支障が生ずるおそれがあるし,外国の著作権管理団体の管理の方法に関する情報は当該著作権管理団体から第三者に開示しないという前提で開示された情報であるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由がある。また,査第○号証には,音楽著作物の利用者団体に対する優遇措置の内容,利用者団体内部の使用料の負担方法,外国の著作権管理団体の管理の方法,原告が業務上用いている各データベースの構成,内容,相互関係が記載されているところ,これらの情報が第三者に開示されることとなれば,使用料の徴収や利用曲目報告に係る事実,管理システムの構造など原告の管理事業についての営業秘密等が明らかになり,原告の今後の使用料や利用曲目報告の徴収,使用料の分配などの業務に支障が生ずるおそれがあるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由がある。 d このように,本件各書証の開示部分には「事業者の秘密」に該当する不開示情報が記載されているにもかかわらず,このことを考慮しないで本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 (エ) 本件各書証の開示部分には「公益上不開示とする必要がある」情報に該当する不開示情報が記載されていることa 本件審査基準は「公益上不開示とする必要があると認める情報」を不開示情報の一つとしているところ,本件各書証の開示部分が第 する必要がある」情報に該当する不開示情報が記載されていることa 本件審査基準は「公益上不開示とする必要があると認める情報」を不開示情報の一つとしているところ,本件各書証の開示部分が第三者に開示されることとなれば,当該第三者が本件各書証の開示部分に記載された情報を前提として取引先と交渉したり,自社のシステム開発に流用したりすることにより,原告が当該第三者等との競争において不利な状況に置かれることとなる可能性がある。また,それだけではなく,本件各書証の開示部分に記載された情報に基づいて審判手続の外で様々な意見が述べられることにより,担当審判官の意思決定の中立性が損なわれ,又は損なわれたという外観を呈する可能性も皆無ではないし,「弁護士・依頼者秘匿特権」が侵害されるという公益上重大な結果を生ずる。 b 本件審査基準は「公益上不開示とする必要があると認める情報」の具体例を挙げていないが,その注の記載によれば,課徴金減免制度の利用促進を含む我が国の独占禁止法の円滑な執行が公益と観念されていることは明らかであるところ,主要国においては「弁護士・依頼者秘匿特権」により第三者に開示されない本件各書証の開示部分が我が国においては開示されるのであれば,グローバルな活動をしている事業者等が我が国の独占禁止法及び公正取引委員会に不信を抱き,同委員会による同法の円滑なエンフォースメントを阻害することにもなることは明らかである。 c このように,本件各書証の開示部分には「公益上不開示とする必要がある」情報が記載されているにもかかわらず,このことを考慮しないで本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 (オ) 本件各書証は裁判手続における記録の閲 わらず,このことを考慮しないで本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 (オ) 本件各書証は裁判手続における記録の閲覧及び謄写の制度では不開示とされるものであることa 我が国の刑事裁判手続においては,当該被告事件の弁護人及び「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」に定める被害者以外の第三者は,終結前の被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写をすることができないものとされ(刑事訴訟法53条1項),上記被害者も,損害賠償請求権の行使その他の正当な理由があり,相当と認められる場合に限り,閲覧又は謄写をすることができるものとされている。また,民事裁判手続においては,第三者は,利害関係を疎明しない限り,訴訟記録の謄写を請求することができず(民事訴訟法91条3項),訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密が記載されていること等につき疎明があった場合には,当該秘密が記載された部分の閲覧又は謄写の請求をすることができる者は当事者に限られる(同法92条1項)。 b 準司法的手続である審判手続における事件記録の閲覧又は謄写の申請についても,上記aと同様に,当該事件記録の閲覧又は謄写を求める者に正当な理由がない場合や相当と認められない場合,当該審判事件や他の審判に及ぼす影響が大きい場合,事件記録に事業者の秘密が記載されている場合等には,閲覧及び謄写を拒む「正当な理由」があるとして閲覧又は謄写に応ずるべきではないところ,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることにより,本件審判事件や他の審判に及ぼす影響が大きく,本件各書証の開示部分には原告の事業上の秘密が記載されているのであるから,本件各書証の開示部分の謄写を拒む「正当な理由 示部分の謄写に応ずることにより,本件審判事件や他の審判に及ぼす影響が大きく,本件各書証の開示部分には原告の事業上の秘密が記載されているのであるから,本件各書証の開示部分の謄写を拒む「正当な理由」があり,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 イ被告の主張の要旨(ア) 独占禁止法70条の15第1項後段及び2項の趣旨a 独占禁止法70条の15第1項後段の事件記録の閲覧及び謄写の対象の制限の規定は,平成21年法律第51号による改正前は置かれていなかった。同規定は,事件記録の閲覧又は謄写を求める者の権利ないし利益の保護(閲覧又は謄写の目的の確保)を重視して,事件記録の閲覧又は謄写に応ずることを原則としつつ,個人のプライバシー,事業者の秘密,審査手法に係る情報,係属中の審判の運営に影響を与える情報等一定の情報を保護すべき必要性の高い場合には,例外的に閲覧又は謄写の範囲を制限することができるとすることで,閲覧又は謄写の申請をした者の権利ないし利益と事件記録に記載された情報の保護との調整を図るという公正取引委員会の取扱いに法的根拠を付与するため,上記改正により置かれたものである。 b 独占禁止法70条の15第2項の規定は,謄写した事件記録が謄写の目的外に使用されると,被審人や第三者の権利ないし利益が害され,又は公正取引委員会の審査活動若しくは審査手続に支障が生ずるおそれがあることから,謄写した事件記録の目的外使用を制限することができるようにしたものである。 (イ) 「正当な理由」の意義事件記録の閲覧及び謄写に関する独占禁止法の規定の構造は,同法70条の15第1項前段で,事件記録の閲覧又は謄写を求める権利を うにしたものである。 (イ) 「正当な理由」の意義事件記録の閲覧及び謄写に関する独占禁止法の規定の構造は,同法70条の15第1項前段で,事件記録の閲覧又は謄写を求める権利を利害関係人のみに付与し,同条2項で,事件記録の謄写に応ずる場合であっても,謄写された事件記録の使用目的を制限することにより,事件記録の内容が無限定に拡散,伝播することを可及的に防止するという前提の下で,広く事件記録の閲覧又は謄写を認め,特に同条1項後段の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるときに限り,閲覧及び謄写を制限することを例外的に許容するというものである。このことに照らせば,上記「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるときとは,事件記録の閲覧又は謄写を受ける者を利害関係人に限定し,謄写された事件記録の目的外使用を制限することにより事件記録の内容が伝播する範囲を可及的に限定したとしても,なお回避することができない不利益ないし不都合が生ずる蓋然性が認められ,かつ,閲覧又は謄写を求めた者の権利ないし利益に優先して上記不利益ないし不都合が生ずることを防止する高度の必要性があるといった特別の事情がある場合を指すものであると解するのが相当である。 (ウ) 本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「正当な理由」があると認めることができないことa 本件各書証の作成過程及び開示部分の内容(a) 「独占禁止法検討会議」の立上げ原告は,公正取引委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」において,同委員会から音楽著作権に係る著作権等管理事業に関する諸問題について意見を述べるよう求められたため,平成14年8 は,公正取引委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」において,同委員会から音楽著作権に係る著作権等管理事業に関する諸問題について意見を述べるよう求められたため,平成14年8月,理事長を始めとする執行部,事務局の職員,弁護士等を構成員として,「独占禁止法検討会議」と称する会議を立ち上げた。この会議は,平成13年10月1日に,管理事業法が施行され,「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(昭和14年法律第67号。以下「仲介業務法」という。)が廃止されたことにより,著作権等管理事業が文化庁長官による許可制から登録制に移行し,新規事業者が音楽著作権に係る著作権等管理事業に参入することに伴い発生する独占禁止法上の問題点について検討を行うものである。 (b) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容原告は,平成14年8月9日に「独占禁止法検討会議」の第1回会議を開催した。査第○号証はその会議の配付資料であり,その開示部分には,包括使用料と曲別使用料について「旧仲介業務法のもとで認可された包括使用料の額を複数の管理事業者が参入した現状において,引き続き適用していくことは,新規事業者の参入を妨げるなど独占禁止法上の問題が生じるおそれはないか。」など原告の問題意識に基づく音楽著作権に係る著作権等管理事業についての同法上の問題点が列挙されている。 (c) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容原告は,平成14年10月3日に「独占禁止法検討会議」の第4回会議を開催した。査第○号証はその会議の議事録であり,その開示部分には,同会議の出席者である原告の執行部,事務局の職員,弁護士等の間でされた,包括徴収を含む原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁 。査第○号証はその会議の議事録であり,その開示部分には,同会議の出席者である原告の執行部,事務局の職員,弁護士等の間でされた,包括徴収を含む原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関する意見交換の内容が記載されている。 (d) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容「独占禁止法検討会議」の構成員である弁護士は,平成15年3月18日,原告に対し,その音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法の問題点に関するメモランダムとして査第○号証を提出した。その開示部分には,「使用料規程では,使用料の徴収方法として包括使用料(ブランケット方式)と曲別使用料が定められているが,この包括使用料の定めは独占禁止法上問題があるか。」という問題点について,私的独占となるおそれがあること,他の管理事業者が出現したことを受け使用料を減額する必要はないものの私的独占等にならないか十分注意して使用料制度を運営することが肝要である旨が記載されている。 b 本件各書証は謄写の目的との関連性が認められること本件申請者は,「原告に対する将来の損害賠償請求提起の準備のため」に本件申請をしたものであるところ,本件各書証は,包括徴収による放送等使用料の徴収を含む原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関し内部的に検討する過程で作成された資料であって,原告が包括徴収による使用料の徴収が同法に違反するものであることを認識していたこと等を証するものであるから,本件申請者が提起することを予定する損害賠償請求訴訟における違反行為や故意,過失等の立証に資するものであるということができるのであって,本件各書証は,本件申請の目的と関連し,その謄写に応 るから,本件申請者が提起することを予定する損害賠償請求訴訟における違反行為や故意,過失等の立証に資するものであるということができるのであって,本件各書証は,本件申請の目的と関連し,その謄写に応ずるべきものである。 c 本件各書証の開示部分には,本件申請者の権利ないし利益を超えて保護されるべき特別の事情がある情報は記載されていないこと本件決定は,本件申請に係る本件事件記録のうち,違反行為に関しない個人の氏名及び事業者の秘密に該当する部分については不開示としており,本件各書証の開示部分には,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関し,単に原告の問題意識が列挙されていたり(査第○号証),弁護士の意見や内部における意見交換の内容が記載されていたり(査第○号証及び第○号証)するにすぎず,本件申請者の権利ないし利益を考慮してもなお秘匿すべき個人に関する情報や,事業者の秘密,今後の事件処理に著しい支障を及ぼすおそれがある情報,その他公益上不開示とする必要がある情報は記載されていない。そして,公正取引委員会は,本件開示決定に,謄写した書面を本件申請に係る目的以外に使用することを禁ずる旨の条件を付している。 d 本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「正当な理由」があると認めることができないこと上記各事情に照らせば,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについては,その謄写を受ける者を本件申請者に限定し,謄写された本件各書証の目的外使用を制限することによりその内容が伝播する範囲を可及的に限定したとしても,なお回避することができない不利益ないし不都合が生ずる蓋然性は認められず,その内容に照らしてみても,本件申請者の権利ないし利益に優先して保護され りその内容が伝播する範囲を可及的に限定したとしても,なお回避することができない不利益ないし不都合が生ずる蓋然性は認められず,その内容に照らしてみても,本件申請者の権利ないし利益に優先して保護されなければならない情報が記載されているということはできないのであって,独占禁止法70条の15第1項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることはできないものというべきである。 (エ) 原告の主張の要旨についてa 原告の主張の要旨(イ)について我が国の法制度において,およそ行政手続や訴訟手続の種類のいかんを問わずに認められる「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理を理由に情報の開示を制限する旨を明示した規定は,独占禁止法はもちろん,その他の法令においても見出すことができず,憲法31条の解釈上もそのような権利を認めることはできないのであって,そのような権利ないし法理を基準に本件開示決定の適否を判断することが相当でないことは明らかである。 本件各書証の開示部分が開示された場合に,弁護士が忌憚のない法的助言を行うことに躊躇を覚え,その結果,弁護士が率直に法的助言を行うことができなくなることについては,何ら具体的な裏付けが示されておらず,原告の主観的な危惧にとどまるし,また,弁護士から適切な法的助言を受けることにより事業者の法令遵守が促進されるという社会公共の利益や,グローバルな活動をしている事業者等による我が国の独占禁止法に基づく課徴金減免制度等の利用,公正取引委員会によるエンフォースメントの信頼性なるものは,弁護士と依頼者との間のやり取り等を示す文書がみだりに開示されないことにより取引社会が派生的に享有し得る一般的抽象的な利益にす 度等の利用,公正取引委員会によるエンフォースメントの信頼性なるものは,弁護士と依頼者との間のやり取り等を示す文書がみだりに開示されないことにより取引社会が派生的に享有し得る一般的抽象的な利益にすぎないのであって,自己の法律上の利益に関係のない違法(行政事件訴訟法10条2項)をいうものにほかならない。 b 原告の主張の要旨(ウ)について本件各書証の開示部分に記載された情報は,次のとおり,既に公にされ,広く知られているか,又は容易に推知し得る事実であり,その内容に照らしても,これが本件申請者に開示されることにより原告に具体的な不利益が生ずるとは考え難く,本件審査基準の「事業者の秘密」に該当するものではない。 (a) 査第○号証について原告の使用料規程に「一般放送事業者をもって構成され,かつ,各構成員の1年間の使用料額を包括的に決定することについて構成員の委任を受けている団体がある場合には,当該団体が定めた額を各構成員が支払うべき1年間の使用料額とすることができる。」という定めがあることは原告のホームページで公開されており,原告の主張に係る利用者団体が上記定めの適用を受けていることは容易に推知し得るから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 (b) 査第○号証についてⅰ カラオケ社交場の音楽著作権の管理の方法について原告がその主張に係る同業者団体に加盟する事業者に対し使用料を一定割合減額する措置を講じていることは広 についてⅰ カラオケ社交場の音楽著作権の管理の方法について原告がその主張に係る同業者団体に加盟する事業者に対し使用料を一定割合減額する措置を講じていることは広く知られている事実であるし,録音における減額措置に係る原告の使用料規程の取扱細則は原告のホームページで公開されているものであるから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅱ 着メロ配信の音楽著作権の管理の方法について著作権等管理事業を営む者であれば,管理事業者が複数ある中で著作権使用料を分配する方法として,管理楽曲数に着目する方法と利用楽曲数に着目する方法とがあり得ることは容易に推知し得るから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅲ 外国の著作権管理団体の管理の方法について原告の主張に係る外国の著作権管理団体の名称については,本件決定において不開示とされているし,仮に査第○号証の開示部分の記載から当該団体の名称が推知され得るとしても,他の記載に照らせば,当該団体の著作権の管理の方法を具体的に推知し得るものではないから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営 管理の方法を具体的に推知し得るものではないから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅳ 大手レコード会社に対する優遇措置の内容について原告が大手レコード会社に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていることは広く知られている事実であるから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 (c) 査第○号証についてⅰ 音楽著作物の利用者団体に対する優遇措置の内容について原告の主張に係る利用者団体の名称については本件決定において不開示とされている上,原告が当該団体に対し前払割引を行っていることや,原告が特定の団体に加盟する事業者に対し使用料を一定割合減額する措置を講じていることは原告のホームページで公開されているものであるから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅱ 音楽著作物の利用者団体内部の使用料の負担方法について原告の使用料規程に「一般放送事業者をもって構成され,かつ,各構成員の1年間の使用料額を ことはできない。 ⅱ 音楽著作物の利用者団体内部の使用料の負担方法について原告の使用料規程に「一般放送事業者をもって構成され,かつ,各構成員の1年間の使用料額を包括的に決定することについて構成員の委任を受けている団体がある場合には,当該団体が定めた額を各構成員が支払うべき1年間の使用料額とすることができる。」という定めがあることは原告のホームページで公開されており,原告の主張に係る利用者団体が上記規定の適用を受けていることは容易に推知し得るから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅲ 外国の著作権管理団体の管理の方法について原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 ⅳ 原告が業務上用いている各データベースの構成,内容,相互関係について原告がhで公開している「作品データベース」のほかにも何らかのデータベースを用いていること,そのデータベースが権利者や使用者に着目したものであることは容易に推知し得るから,原告の主張に係る査第○号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあ 号証の開示部分に記載された情報が本件申請者に開示されたとしても,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密等が明らかになるものということはできず,原告の業務に支障が生ずるおそれがあるということはできない。 c 原告の主張の要旨(エ)について「公益上不開示とする必要がある」情報であるか否かは,原告の権利ないし利益を離れた公益上の観点から不開示とすべき必要性の有無を「正当な理由」の一要素として考慮するものであり,それに該当するという主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法(行政事件訴訟法10条2項)をいうものにほかならないから,本件開示決定の取消事由を構成するものではない。また,原告の主張は総じて抽象的であり,本件各書証の開示部分に記載されたいかなる情報が取引先との交渉に使用されたり,システム開発に流用されたりするのかについては明らかにされておらず,かえって,本件各書証の開示部分に記載された情報は,これを前提として取引先と交渉したり,システム開発に流用したりすることができるようなものではないし,本件申請者がこれを入手すれば直ちに原告の主張に係る弊害が生ずるということもできない。本件各書証の開示部分に記載されたいかなる情報が開示されることにより担当審判官の意思決定の中立性が損なわれるのかも不明というほかなく,かえって,本件各書証の開示部分の内容に照らすと,本件申請者がそれらに基づいて審判手続の外で意見を述べたとしても,そのことにより担当審判官の意思決定の中立性が損なわれることとなるとは解し難い。 d 原告の主張の要旨(オ)について本件で問題になっているのは独占禁止法の規定に基づく事件記録の閲覧及び謄写であり,この制度は民事及び刑事の裁判手続上の訴訟記 し難い。 d 原告の主張の要旨(オ)について本件で問題になっているのは独占禁止法の規定に基づく事件記録の閲覧及び謄写であり,この制度は民事及び刑事の裁判手続上の訴訟記録の閲覧及び謄写とは異なる趣旨及び要件の下に置かれているのであって,当該事件記録が刑事又は民事の裁判手続において謄写に応ずるべきものであるか否かにより,同法70条の15第1項の「正当な理由」の有無が直接左右されることはない。 (3) 本件開示決定の適否ア原告の主張の要旨上記(1)アのとおり,本件申請者は独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」に該当せず,また,上記(2)アのとおり,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについては独占禁止法70条の15第1項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断はその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるから,本件開示決定は違法な処分である。 イ被告の主張の要旨上記(1)イのとおり,本件申請者は独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」に該当し,かつ,上記(2)イのとおり,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについては独占禁止法70条の15第1項の「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断はその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものではないのであって,本件開示決定は適法な処分である。 第3 当裁判所の判断 1 独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」該当性(争点1)について(1) 独占禁止法3条(私的独占及び不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為がある る。 第3 当裁判所の判断 1 独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」該当性(争点1)について(1) 独占禁止法3条(私的独占及び不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為があるときは,公正取引委員会は,事業者に対し,当該行為の差止め,事業の一部の譲渡その他上記規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができ(同法7条1項。排除措置命令),排除措置命令に不服がある者は,公正取引委員会に対し,当該排除措置命令について,審判請求をすることができる(同法49条6項。同項に規定する期間内に審判請求がなかったときは排除措置命令は確定する。同条7項)。そして,審判請求があった場合においては,公正取引委員会は,遅滞なく,当該審判請求に係る命令について審判手続を開始しなければならず(同法52条3項),審判は,事業者の事業上の秘密を保つため又は公益上必要があると認められるときを除き,これを公開しなければならない(同法61条1項)ところ,利害関係人は,公正取引委員会に対し,審判手続が開始された後,事件記録の閲覧若しくは謄写又は排除措置命令書,課徴金納付命令書,審判開始決定書若しくは審決書の謄本若しくは抄本の交付を求めることができる(同法70条の15第1項前段)。 独占禁止法は,一般消費者の利益を確保するとともに国民経済の民主的で健全な発達を促進するという同法の目的(1条)の達成に資するという観点から,公正取引委員会は,同法の適正な運用を図るため,事業者の秘密を除いて,必要な事項を一般に公表することができるとし(43条),何人も,同法の規定に違反する事実があると思料するときは,公正取引委員会に対し,その事実を報告し,適当な措置をとるべきことを求めることができ(45条1項),上記報告があったときは,公正取引 3条),何人も,同法の規定に違反する事実があると思料するときは,公正取引委員会に対し,その事実を報告し,適当な措置をとるべきことを求めることができ(45条1項),上記報告があったときは,公正取引委員会は,事件について必要な調査をしなければならないとした(同条2項)上,公正取引委員会は,必要があると認めるときは,職権で,審決の結果について関係のある第三者を当事者として審判手続に参加させることができるとし(70条の3),関係のある公務所又は公共的な団体は,公益上必要があると認めるときは,公正取引委員会の承認を得て,当事者として審判手続に参加することができ(70条の4),公共の利益を保護するため,公正取引委員会に対して意見を述べることもできるとしている(70条の5)。このような同法の規定やその趣旨,目的等に照らせば,同法70条の15第1項の事件記録の閲覧又は謄写を求める権利は,審判手続における当事者の防御権の行使等のためだけに認められたものではなく,審判手続に参加し得る者が参加又は意見陳述の要否を検討し,同法に違反する行為の被害者が差止請求訴訟又は損害賠償請求訴訟を提起しあるいは維持するための便宜を図る趣旨をも含むものであると解するのが相当であって,そうであるとすると,同項にいう利害関係人とは,当該事件の被審人のほか,同法70条の3及び70条の4の規定により審判手続に参加し得る者並びに当該事件の対象を成す違反行為の被害者をいい,被審人に対し上記違反行為の被害者としてその差止め又は損害賠償を請求する者は,たとえ当該事件についての審決が確定する前であっても,同法70条の15第1項にいう利害関係人として事件記録の閲覧又は謄写を請求することができるものというべきである(最高裁昭和46年(行ツ)第82号同50年7月10日第一小法廷判決 定する前であっても,同法70条の15第1項にいう利害関係人として事件記録の閲覧又は謄写を請求することができるものというべきである(最高裁昭和46年(行ツ)第82号同50年7月10日第一小法廷判決・民集29巻6号888頁,最高裁平成14年(行ヒ)第242号同15年9月9日第三小法廷判決・裁判集民事210号595頁参照)。 これを本件についてみると,本件排除措置命令が,原告は,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,これを実施することによって,他の管理事業者の事業活動を排除することにより,公共の利益に反して,我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限しているものであって,これは,独占禁止法2条5項に規定する私的独占に該当し,同法3条の規定に違反するものであると判断していることは,前提事実(2)のとおりであるところ,本件申請者が音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む原告の競争事業者であることは,前提事実(1)ウのとおりであり,前提事実(2)のとおり,本件排除措置命令において,具体的にその管理事業の活動を阻害されたと認定されているのであるから,本件申請者は本件排除措置命令にいう「他の管理事業者」すなわち本件審判事件の対象を成す違反行為である私的独占の被害者であるということができるのであって,本件申請者は同法70条の15第1項にいう利害関係人に該当するものというべきである。 (2) 原告の主張について原告は,本件取消審決は原告の行為は独占禁止法に違反するものではないとしているのであって,原告の違反行為は存在しないのであるから,その被害者も存在せず,本件申請者は同法70条の15第1項の「利害関係人」ではないとい 行為は独占禁止法に違反するものではないとしているのであって,原告の違反行為は存在しないのであるから,その被害者も存在せず,本件申請者は同法70条の15第1項の「利害関係人」ではないということになると主張する。 しかし,独占禁止法70条の15第1項の「利害関係人」が公正取引委員会の審判手続上の概念であることによれば,事件記録の閲覧又は謄写の申請をした者が当該審判事件の対象を成す違反行為が存在するとすればその被害者であるということができる限りは,当該申請者は同項にいう利害関係人に該当するものというべきである。加えて,抗告訴訟における処分の違法性の判断は当該処分がされた当時を基準時としてすべきものである(最高裁昭和26年(オ)第412号同28年10月30日第二小法廷判決・裁判集民事10号331頁,最高裁昭和29年(オ)第132号同34年7月15日第二小法廷判決・民集13巻7号1062頁参照)ところ,本件取消審決は本件開示決定後にされたものであり,しかも,前提事実(9)のとおり,本件取消審決の取消し等を求める訴えが係属中であることをも考慮すると,本件取消審決が,原告が,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,同契約に基づいて放送等使用料を徴収している行為が,放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野において他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有するとまで断ずることは,なお困難であると判断していることは,前提事実(8)のとおりであるからといって,本件申請者が同項にいう利害関係人に該当することは妨げられないものというべきである。 2 独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断におけるその裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無(争 ことは妨げられないものというべきである。 2 独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断におけるその裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無(争点2)について(1) 「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」の有無の判断についてア独占禁止法70条の15第1項後段及び同条2項の趣旨について独占禁止法は,70条の15第1項の事件記録の閲覧又は謄写の申請があった場合において,公正取引委員会は,第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ,事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができないとし(同項後段),公正取引委員会は,謄写をさせる場合においても,謄写した事件記録の使用目的を制限し,その他適当と認める条件を付することができるとしている(同条2項)。 同条1項の事件記録の閲覧又は謄写を求める権利が,審判手続における当事者の防御権の行使等のほか,審判手続に参加し得る者の参加又は意見陳述の要否の検討,同法に違反する行為の被害者の差止請求訴訟又は損害賠償請求訴訟の提起又は維持のための便宜を図る趣旨をも含むものであることは,上記1(1)のとおりである。一方,公正取引委員会の審判手続の事件記録の中には,被審人や第三者のプライバシーに関する情報や事業上の秘密,審査手法に係る情報や係属中の審判の運営に影響を与えるおそれのある情報のように公正取引委員会の事件処理に支障を及ぼすおそれのある情報,その他それを開示することにより公益を害するおそれのある情報が記載されていることがあるため,濫りに,事件記録の閲覧若しくは謄写に応じ,又は謄写した事件記録の無制限な使用を許すときには,被審人や第三者の権利ないし利益を ことにより公益を害するおそれのある情報が記載されていることがあるため,濫りに,事件記録の閲覧若しくは謄写に応じ,又は謄写した事件記録の無制限な使用を許すときには,被審人や第三者の権利ないし利益を侵害し,又は一般消費者の利益を確保するとともに国民経済の民主的で健全な発達を促進するという同法の目的(1条)の達成という公共の利益その他の公益を害することとなる。そこで,同法70条の15第1項後段及び2項の各規定は,このような弊害が生ずることを防止し,利害関係人が有する事件記録の閲覧又は謄写を求める権利と,被審人や第三者の権利ないし利益及び同法の目的の達成という公共の利益その他の公益との合理的調整を図る見地から,事件記録の閲覧又は謄写の申請があった場合には,公正取引委員会は,第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときに限り,事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができ,謄写をさせる場合においても,謄写した事件記録の使用目的を制限し,その他適当と認める条件を付することができることとしたものであると解される。 イ独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」の有無の判断に係る公正取引委員会の裁量について独占禁止法70条の15第1項後段は,上記アのとおり,事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができる場合を具体的に定めることをせず,抽象的に定めるにとどめている。また,事件記録の閲覧又は謄写に応ずることにより第三者の利益を害するおそれがあると認めることができるか否かその他事件記録の閲覧又は謄写を拒む正当な理由があるか否かの判断は,当該申請に係る事件記録の具体的な記載内容,利害関係人が有する利害関係及びその閲覧又は謄写の目的の具体的内容,被審人や第三者が営む事業等の具体的内容,当該申請に係る事件記録の閲 あるか否かの判断は,当該申請に係る事件記録の具体的な記載内容,利害関係人が有する利害関係及びその閲覧又は謄写の目的の具体的内容,被審人や第三者が営む事業等の具体的内容,当該申請に係る事件記録の閲覧又は謄写に応ずることにより被審人や第三者が営む事業等に生ずる具体的影響,審判は原則的にこれを公開しなければならないものであること(同法61条1項)等の公正取引委員会の審判手続の一般的な在り方並びに当該審判手続の具体的な経過及び状況等の諸般の事情を,利害関係人が有する事件記録の閲覧又は謄写を求める権利と,被審人や第三者の権利ないし利益及び同法の目的の達成という公共の利益その他の公益との合理的調整を図る見地から十分に勘案し,同法の目的に適合するように行わなければならないのであって,このような判断は,その性質上,同法の目的を達成することを任務として設置された独立行政委員会である公正取引委員会の裁量に委ねるのでなければ適切な結果を期待することができない。これらのことを併せ考慮すると,同法70条の15第1項に基づく事件記録の閲覧又は謄写の申請があった場合において,その閲覧又は謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があるか否かの判断は,公正取引委員会の合理的な裁量に委ねられているものであると解するのが相当である。 ウ独占禁止法70条の15第1項の「正当な理由」の有無に係る公正取引委員会の裁量判断が違法となる場合について上記イによれば,公正取引委員会がその裁量権の行使としてした,当該事件記録の閲覧又は謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の判断は,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし 該事件記録の閲覧又は謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の判断は,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認められるなど,公正取引委員会に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものである場合に限り,違法となるということとなる。 エ以下では,上記アないしウを前提として,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否かについて検討する。 (2) 認定事実前提事実に加えて,証拠(甲1,6ないし8,28,乙2,7,12ないし14,17ないし22)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ア原告の事業内容(ア) 原告は,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む者である。著作権等管理事業を営むためには,平成13年9月30日以前は,仲介業務法の規定に基づいて文化庁長官の許可を受けることが必要とされ,事実上,原告のみが上記許可を受けて音楽著作権に係る著作権等管理事業を営んでいたところ,同年10月1日に,管理事業法が施行されるとともに,仲介業務法が廃止されたことにより,同日以降は,管理事業法3条の規定に基づいて文化庁長官の登録を受けた者であれば著作権等管理事業を営むことができるようになった。そして,これに伴い,本件申請者等の他の管理事業者も,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営むようになった。(甲1,28)(イ) 管理事業法は,著作権等管理事業者は,所定の事項を記載した管 そして,これに伴い,本件申請者等の他の管理事業者も,音楽著作権に係る著作権等管理事業を営むようになった。(甲1,28)(イ) 管理事業法は,著作権等管理事業者は,所定の事項を記載した管理委託契約約款及び使用料規程を定め,あらかじめ,文化庁長官に届け出なければならないものとして(11条1項,13条1項),著作権等管理事業者に対し,管理委託契約約款及び使用料規程についての作成及び届出義務を課しているところ,原告は,著作権信託契約約款,著作権使用料分配規程,管理手数料規程等の約款及び規程から成る管理委託契約約款並びに使用料規程を定め,文化庁長官に届け出ている。原告が営む音楽著作権に係る著作権等管理事業のうち本件と関連するものの概要は,次のとおりである。(甲28)a 管理委託契約の締結原告は,著作者又は音楽出版者との間で,著作権信託契約約款に基づいて,音楽著作権の管理委託契約を締結する。この契約において,著作者又は音楽出版者は,その有する音楽著作権を契約期間中,信託財産として原告に移転することを約し,原告は,著作者又は音楽出版者のために上記信託に係る音楽著作権を管理し,その管理によって得た著作物使用料等から管理手数料規程に定める管理手数料を控除した上,著作権使用料分配規程の定めに従って,当該著作者又は音楽出版者に分配することを約する。 b 利用許諾契約の締結原告は,利用者である放送事業者との間で,上記aの管理委託契約に係る音楽著作権についての利用許諾契約を締結する。この契約において,原告は,放送事業者に対し,原告の放送等利用に係る管理楽曲の利用を包括的に許諾し(包括許諾),当該放送事業者は,原告に対し,使用料規程の定めに従って,その前年度の放送事業収入に一定 の契約において,原告は,放送事業者に対し,原告の放送等利用に係る管理楽曲の利用を包括的に許諾し(包括許諾),当該放送事業者は,原告に対し,使用料規程の定めに従って,その前年度の放送事業収入に一定の料率を乗ずることにより算定する放送等使用料の徴収に応ずることを約する(包括徴収)。 c 使用料の徴収原告は,使用料規程の定めに従って,放送事業者から,前年度の放送事業収入に一定の料率を乗ずることにより算定する放送等使用料を徴収する。 使用料規程の総則の備考には,「本規程に定める使用料は,著作物の利用の態様に照らし特に必要であると認められる場合に限り,契約の促進,管理の効率化又は利用目的による公平化を図るため,本規程に別段の定めがないときは,別に定める基準に基づき,減額することができる。」という定めがあり,また,放送等の備考には,「一般放送事業者をもって構成され,かつ,各構成員の1年間の使用料額を包括的に決定することについて構成員の委任を受けている団体がある場合には,当該団体が定めた各構成員の使用料額の総額が,各構成員の使用料額の合算額と同じ額になる場合に限り,当該団体が定めた額を各構成員が支払うべき1年間の使用料額とすることができる。」という定めがある。 d 徴収した使用料の分配原告は,著作者又は音楽出版者に対し,上記cのとおり徴収した放送等使用料から管理手数料規程に定める管理手数料を控除した上,著作権使用料分配規程の定めに従って,当該著作者又は音楽出版者に分配する。 イ原告の事業内容の公示等管理事業法は,著作権等管理事業者は,上記ア(イ)の各規定による届出をした管理委託契約約款及び使用料規程を公示しなければならないものとして(1 イ原告の事業内容の公示等管理事業法は,著作権等管理事業者は,上記ア(イ)の各規定による届出をした管理委託契約約款及び使用料規程を公示しなければならないものとして(15条),著作権等管理事業者に対し,管理委託契約約款及び使用料規程についての公示義務を課しているところ,原告は,上記ア(イ)の管理委託契約約款及び使用料規程の定めを自らが開設するホームページで公示するとともに,原告が営む音楽著作権に係る著作権等管理事業の概要も同ホームページで公表している(この中には,使用料規程のオーディオ録音の定めの運用に当たり適用される減額措置の対象者及び減額率について具体的に定めた使用料規程取扱細則(乙18),原告が使用料の前払をする利用者に適用される音楽著作権使用料の割引制度を採用していること(乙20),上記ア(イ)cの一般放送事業者をもって構成されている団体に適用される措置(乙22)も含まれている。)。また,同法は,著作権等管理事業者は,著作物等の題号又は名称その他の取り扱っている著作物等に関する情報及び当該著作物等ごとの取り扱っている利用方法に関する情報を利用者に提供するように努めなければならないものとして(17条),著作権等管理事業者に対し,その取扱著作物についての情報提供義務を課しているところ,原告は,その管理楽曲についての作品データベース検索サービスである「h」を上記ホームページで提供している。この検索サービスは,作品コード,作品タイトル,権利者名,アーティスト名をその要素とするデータベースを利用したものである。(甲28)ウ利用者団体による公表等i同業組合連合会(旧名称「j同業組合連合会」)及びk同業組合は,原告が同連合会に加盟するl同業組合又は上記k同業組合に加入する利用者に対し使 28)ウ利用者団体による公表等i同業組合連合会(旧名称「j同業組合連合会」)及びk同業組合は,原告が同連合会に加盟するl同業組合又は上記k同業組合に加入する利用者に対し使用料を20%減額する団体割引の措置を講じていることを上記連合会又は上記k同業組合が開設するホームページで公表している(乙17,21)。また,原告が大手レコード会社に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていることは広く知られている。(乙19)エ独占禁止法検討会議の開催原告は,公正取引委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」において,公正取引委員会から音楽著作権に係る著作権等管理事業に関する諸問題について意見を述べるように求められたことを契機として,平成14年8月,理事長を始めとする執行部,事務局の職員,弁護士等を構成員とする独占禁止法検討会議を立ち上げ,著作権等管理事業が文化庁長官による許可制から登録制に移行し,新規事業者が音楽著作権に係る著作権等管理事業に参入することに伴い発生する原告の業務における独占禁止法上の問題点等について検討を行った。公正取引委員会が平成15年3月31日に公表した「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」報告書では,管理事業法の施行により新規参入が認められることとなったにもかかわらず,原告が大口の利用者との間で包括契約を締結しているために管理事業への新規参入が行われない場合には,当該包括契約が管理事業における競争を阻害する要因とも成り得ること等の問題点が指摘されている。(甲1,28)オ本件各書証の作成過程及び開示部分の内容(ア) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容a 査第○号証は,原告が平成14年8月9日に弁護士と れている。(甲1,28)オ本件各書証の作成過程及び開示部分の内容(ア) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容a 査第○号証は,原告が平成14年8月9日に弁護士との協議を目的として開催した独占禁止法検討会議の第1回会議において配付された資料であるところ,その開示部分は,議事次第として「1.gにおける独占禁止法に関わる経過」,「2.利用者団体との使用料率についての協議等」,「3.その他」という記載がある配付文書のほか,「○」と題する資料1及び「○」と題する資料3によって構成され,資料3には,「(1) 利用者団体に属する事業者に対する優遇措置等に関する事項」,「(2) 一定の基準を充たす利用者に対する優遇措置に関する事項」,「(3) 包括使用料と曲別使用料について」,「(4) 利用者に対する応諾義務」,「(5) 外国の著作権管理団体との相互管理契約」に関する検討課題が記載されている。そして,上記(1)の「②b」欄には,利用者団体A(査第○号証ではその名称が明らかにされている。)に加盟する事業者の使用料は,使用料規程の備考に基づいて,加盟事業者の年間使用料の総額を利用者団体Aが割り振り,各事業者から支払われていることが記載されている。(甲8,乙14)b 査第○号証は,原告の企画部内の施錠されたキャビネットに保管されていた文書が,平成20年4月23日に原告の事業所に対する立入検査が行われた際に独占禁止法47条1項3号の規定に基づく提出命令により留置され,本件審判手続において担当審査官から証拠として提出されたものである。担当審査官作成の証拠申出書の「文書の標目」欄のうち査第○号証に係る部分の記載は,前提事実(4)ア(ウ)のとおりであり,その立証趣旨は,「被審人が,『デジタルコンテンツ して提出されたものである。担当審査官作成の証拠申出書の「文書の標目」欄のうち査第○号証に係る部分の記載は,前提事実(4)ア(ウ)のとおりであり,その立証趣旨は,「被審人が,『デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会』からの意見聴取に対応するため,独占禁止法検討会議と称する会議を開催し,著作権等管理事業法の施行により新規事業者が管理事業に参入することに伴い発生する独占禁止法上の問題を検討していたこと等」である。(乙7)(イ) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容a 査第○号証は,原告が平成14年10月3日に弁護士との協議を目的として開催した独占禁止法検討会議の第4回会議の議事録であるところ,その開示部分には,同年9月19日に行われた公正取引委員会の事前ヒアリングの模様及び同委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」のヒアリングに向けて作成された想定問答に関する原告の執行部及び事務局の職員と弁護士との間の質疑応答の内容が記載されている。そして,その中には,① カラオケ社交場の管理を推進するに当たり,利用者団体B(査第○号証ではその名称が明らかにされている。)との間で使用料の減額措置を講ずる旨の協定を締結した経緯,これについて,ある種の団体(査第○号証ではその属性が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)から苦情を申し立てられた公正取引委員会が原告に対し改善を求め,原告が使用料規程の取扱細則として減額措置の適用の基準を明定したこと,② 着メロ配信について,事業者は既に十分な数の配信可能な楽曲を有しており,市場の成長は限界に近いのではないかという見方がされていること,市場が飽和状態に達したときには一定額に限られた使用料総額を各管理事業者に分配する基準が問題 既に十分な数の配信可能な楽曲を有しており,市場の成長は限界に近いのではないかという見方がされていること,市場が飽和状態に達したときには一定額に限られた使用料総額を各管理事業者に分配する基準が問題となるが,その基準としては,各管理事業者の管理楽曲数の比ではなく,利用総曲数に対する各管理事業者の管理楽曲が占めるシェアであるべきであること,③ 外国の著作権管理団体C(査第○号証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)が,支分権又は利用形態の区分を原告よりも細分化しており,管理委託範囲の選択の幅を広げていること,④ 原告が大手レコード会社に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていることが記載されている。(甲6,乙12)b 査第○号証は,原告の企画部に設置されたサーバー(職員専用の端末機からしかアクセスすることができないもの)に「取扱注意・複写禁止」と付記した上で保管されていた電子データが平成20年4月23日に原告の事業所に対する立入検査が行われた際に独占禁止法47条1項3号の規定に基づく提出命令により留置され,それを印刷した文書が本件審判手続において担当審査官から証拠として提出されたものである。担当審査官作成の証拠申出書の「文書の標目」欄のうち査第○号証に係る部分の記載は,前提事実(4)ア(ア)のとおりであり,その立証趣旨は,「原告が『デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会』の意見聴取に対応するため独占禁止法検討会議と称する会議を開催し,包括徴収等諸問題について検討を行っていたこと」,「原告が,包括徴収による放送等使用料の徴収により他の管理事業者が市場から排除されることに関して独占禁止法上問題となり得ることを認識していたこと」,「上記会議において,ストリーム型インタ たこと」,「原告が,包括徴収による放送等使用料の徴収により他の管理事業者が市場から排除されることに関して独占禁止法上問題となり得ることを認識していたこと」,「上記会議において,ストリーム型インタラクティブ配信の使用料を他の管理事業者との間で利用実績に応じて按分せざるを得ない旨の意見,そのような動きはストリーム型インタラクティブ配信に限るべきであり,他の利用形態に敷衍することは阻止しなければならない旨の意見が出されたこと等」である。(乙2)(ウ) 査第○号証の作成過程及び開示部分の内容a 査第○号証は,独占禁止法検討会議の構成員である原告の弁護士が平成15年3月18日に原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関して検討した結果をまとめたメモランダム(上記弁護士から原告に宛てて発信され,その後,原告において管理していたもの)であるところ,その開示部分には,原告の管理事業が「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」で取り上げられるに至った事実経緯,原告の管理事業についての同法上の問題点,その問題点に関する上記弁護士の検討内容及びその結果である法的意見が記載されている。そして,その中には,① 原告が利用者団体Dら(査第○号証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていること,② 利用者団体A(査第○号証ではその名称が明らかにされている。)に加盟する事業者の使用料は,使用料規程の備考に基づいて,加盟事業者の年間使用料の総額を利用者団体Aが割り振り,各事業者から支払われていること,③ 外国の著作権管理団体C(査第○号証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。) 使用料の総額を利用者団体Aが割り振り,各事業者から支払われていること,③ 外国の著作権管理団体C(査第○号証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)が,支分権又は利用形態の区分を原告よりも細分化しており,管理委託範囲の選択の幅を広げていること,④ 原告のデータベースが権利者との信託契約の内容をデータ化した「権利者データベース」,管理委託を受けた作品のデータから成る「作品データベース」,利用許諾に関するデータから成る「使用物データベース」及び「使用者データベース」などから構築されており,「作品データベース」の一部が原告の管理楽曲の利用を希望する者のための作品データベース検索サービスである「h」として公開されているものの,他は外部に公開されていないことが記載されている。(甲7,乙13)b 査第○号証は,原告の企画部に設置されたサーバー(職員専用の端末機からしかアクセスすることができないもの)に「取扱注意・複写禁止」と付記した上で保管されていた電子データが平成20年4月23日に原告の事業所に対する立入検査が行われた際に独占禁止法47条1項3号の規定に基づく提出命令により留置され,それを印刷した文書が本件審判手続において担当審査官から証拠として提出されたものである。担当審査官作成の証拠申出書の「文書の標目」欄のうち査第○号証に係る部分の記載は,前提事実(4)ア(イ)のとおりであり,その立証趣旨は,「原告の弁護士が,原告に対し,原告が楽曲を利用する者から利用する予定のない楽曲の使用料を含む高額な使用料を徴収することによって他の管理事業者の放送等利用を阻止する効果があれば私的独占となるおそれがあることを指摘していたこと等」である。 (乙7)(3) 公正取引委員会の判断が,そ む高額な使用料を徴収することによって他の管理事業者の放送等利用を阻止する効果があれば私的独占となるおそれがあることを指摘していたこと等」である。 (乙7)(3) 公正取引委員会の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否かについてア本件開示決定が本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断に基づくものであることは,前提事実(6)イのとおりであるから,以下,この判断が,公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否かについて検討する。 (ア) ① 査第○号証の開示部分には,原告が平成14年8月9日に弁護士との協議を目的として開催した独占禁止法検討会議の第1回会議の議事次第,原告において従前独占禁止法との関わりが生じた事例としてはどのようなものがあるか,上記会議における検討課題である,利用者団体に属する事業者に対する優遇措置等に関する検討事項,一定の基準を満たす利用者に対する優遇措置に関する検討事項,包括使用料と曲別使用料に関する検討事項,利用者に対する応諾義務に関する検討事項,外国の著作権管理団体との相互管理契約に関する検討事項が,② 査第○号証の開示部分には,原告が同年10月3日に弁護士との協議を目的として開催した独占禁止法検討会議の第4回会議において,同年9月19日に行われた公正取引委員会の事前ヒアリングの模様及び同委員会が主催する「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」のヒアリングに向けて作成された想定問答に関し,原告の執行部及び事務局の職員と弁護士との間で行われた質疑応答の内容が,③ 査第○号証の開示部分には,原告 デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」のヒアリングに向けて作成された想定問答に関し,原告の執行部及び事務局の職員と弁護士との間で行われた質疑応答の内容が,③ 査第○号証の開示部分には,原告の管理事業が「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」で取り上げられるに至った事実経緯,原告の管理事業についての独占禁止法上の問題点,その問題点に関する上記弁護士の検討内容及びその結果である法的意見がそれぞれ記載されていることは,上記(2)オ(ア)ないし(ウ)の各aのとおりであって,本件各書証の開示部分には,本件排除措置命令に係る違反行為(排除型私的独占)の方法である,全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結しこれを実施することに関わる事実のほか,原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての独占禁止法上の問題点に関する原告の執行部及び事務局の職員の認識ないし同認識をうかがわせる事実が記載されているということができる。 (イ) 前記1(1)のとおり,本件申請者は本件審判事件の対象を成す違反行為すなわち本件排除措置命令に係る違反行為である排除型私的独占の被害者であるということができるところ,本件申請は原告に対する将来の損害賠償請求(訴訟)提起の準備をその目的とするものであることは,前提事実(5)のとおりであって,上記各事項が記載されている本件各書証の開示部分は,本件申請者がその提起を準備しようとしている将来の損害賠償請求訴訟における原告の加害行為や故意,過失等の立証に資するものであり,本件申請の目的との間に関連性を有するということができる。 (ウ) 原告は音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む一般社団法人であることは,前提事実(1)アのとおりであるところ,後記イ(イ) 本件申請の目的との間に関連性を有するということができる。 (ウ) 原告は音楽著作権に係る著作権等管理事業を営む一般社団法人であることは,前提事実(1)アのとおりであるところ,後記イ(イ)bないしdのとおり,本件各書証の開示部分の各記載に係る事実は,いずれも,非公知の事実ではないか,又はそれが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障(閲覧又は謄写を求める権利との対比においても重視すべき支障。以下同じ。)を及ぼすものではなく,本件各書証の開示部分に「事業者の秘密」が記載されていると認めることはできない。 (エ) 前提事実(4)ウ及びエのとおり,本件各書証については,本件審判事件の公開の審判廷において,採用決定がされ,その取調べが行われており,査第○号証については,原告は,その採否について,「しかるべく」という意見を述べ,格別反対する意見を述べてはいなかった。 (オ) 前提事実(5)及び(6)イのとおり,本件申請に係る事件記録謄写申請書の「誓約事項」欄には,「謄写した事件記録を標記審判事件又は標記審判事件に係る損害賠償請求訴訟以外の目的に使用することはいたしません。謄写した事件記録を申請者以外の者に閲覧させたり,謄写させたりすることはいたしません。」という記載があり,本件決定には,謄写した書面を本件申請に係る目的以外に使用すること(本件申請者以外の者に閲覧させ,又は謄写させることを含む。)を禁ずる旨の条件が付されている。 これらの事情を考慮すると,公正取引委員会が,上記各事情を始めとする諸般の事情を,利害関係人である本件申請者が有する事件記録の閲覧又は謄写を求める権利と,被審人である原告や第三者の権利ないし利益及び独占禁止法の目的の達成という公共の利益その 上記各事情を始めとする諸般の事情を,利害関係人である本件申請者が有する事件記録の閲覧又は謄写を求める権利と,被審人である原告や第三者の権利ないし利益及び独占禁止法の目的の達成という公共の利益その他の公益との合理的調整を図る見地から勘案した結果,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の判断をし,本件開示決定をしたことについて,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めることはできないのであって,公正取引委員会がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したということはできないものというべきである。 イ原告の主張について(ア) 原告の主張の要旨(イ)について原告は,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは,弁護士と依頼者との間の秘密交通権等を侵害し,これにより重大な問題を生じさせることからすると,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることは公正取引委員会の裁量権の範囲を逸脱すると主張する。 しかし,原告の主張に係る憲法の規定その他関係法令の規定を精査しても,我が国の現行の法制度の下で,弁護士ないしその依頼者が,その間の意思疎通の内容や弁護士が依頼者からの依頼に基づいて作成した成果物で,公正取引委員会の審判事件の事件記録の一部となっているものについて,公正取引委員会が利害関係人による閲覧又は謄写に応ずることを拒否することができる正当な理由となるべき,具体的な権利ないし利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理なるものが存在することを肯認することはできないし,これが慣習法上の権利ないし利益として社会一般に承認されているということができる 利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理なるものが存在することを肯認することはできないし,これが慣習法上の権利ないし利益として社会一般に承認されているということができるか否かという見地からみても,そのような具体的な権利ないし利益が存在するという観念が社会の法的確信によって支持される程度にまで達しているということはできない(甲第21号証及び第22号証によれば,平成21年独占禁止法改正の際の衆議院及び参議院の各経済産業委員会による各附帯決議は,公正取引委員会が行う審尋や任意の事情聴取等における事業者側の十分な防御権の行使を可能なものとするため,諸外国の事例を参考にしつつ,代理人の選任,立会い,供述調書の写しの交付等について,我が国における刑事手続や他の行政手続との整合性を確保しながら前向きに検討することとしており,公正取引委員会担当政務三役の平成21年12月9日付け「独占禁止法の改正等に係る基本方針」は,行政調査手続における手続保障の在り方に関する検討として,「弁護士立会権・秘匿特権」等の被処分者の適正な防御権を確保する方策については,中立的な検討の場において上記附帯決議を踏まえた検討を行い,原則として検討開始後1年以内に結論を得ることとするとしていると認めることができるが,これらの動きは,裏を返せば,何らかの立法的措置が行われない限りは,上記のような具体的な権利ないし利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理なるものが存在することを肯認することはできないことを前提とするものであるといわざるを得ない。もっとも,今後,実務法曹や研究者等の間における議論が更に深まることにより,上記のような具体的な権利ないし利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理の概念が いわざるを得ない。もっとも,今後,実務法曹や研究者等の間における議論が更に深まることにより,上記のような具体的な権利ないし利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」や「職務活動の成果」の法理の概念が我が国においても成熟し,実定法上に定められるに至ることは十分にあり得ることであると考えられる。)。 また,弁護士法は,弁護士又は弁護士であった者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負うものとし(23条),刑事訴訟法及び民事訴訟法上も,弁護士がその職務上知り得た秘密についての証言拒絶権等の規定(刑事訴訟法105条,149条,民事訴訟法197条1項2号,220条4号ハ)が置かれているが,弁護士法の上記規定は,刑事訴訟法や民事訴訟法のような個別の手続法の規定なくして,それ自体から直接に証言拒絶権等を導き出すことはできないものであると解されるし(刑事訴訟法及び民事訴訟法の上記各規定は,そのためにこそ置かれているものであると理解することができる。),刑事訴訟法105条及び149条所定の「他人の秘密に関するもの」とは,非公知性と秘匿利益とを兼ね備え,性質上客観的に秘密とされるものと,委託の趣旨において特に秘密を欲する旨が現れているものとをいい,また,民事訴訟法197条1項2号所定の「黙秘すべきもの」とは,一般に知られていない事実のうち,弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が,これを秘匿することについて,単に主観的利益だけではなく,客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいうのであって(最高裁平成16年(許)第14号同年11月26日第二小法廷決定・民集58巻8号2393頁),弁護士とその依頼者との間の意思疎通の内容の全てが「秘密」に当たるわけではないから,刑事訴訟法及び民事訴訟法の上記各規定により弁護士ないし 年11月26日第二小法廷決定・民集58巻8号2393頁),弁護士とその依頼者との間の意思疎通の内容の全てが「秘密」に当たるわけではないから,刑事訴訟法及び民事訴訟法の上記各規定により弁護士ないしその依頼者に付与された権利ないし利益が,上記のような「秘密」の範囲を超え,また,刑事訴訟手続又は民事訴訟手続と行政審判手続という手続の違いを超えて,弁護士とその依頼者との間の意思疎通の内容や弁護士が依頼者からの依頼に基づいて作成した成果物で,公正取引委員会の審判事件の事件記録の一部となっているものについて,およそ公正取引委員会が利害関係人による閲覧又は謄写に応ずることを拒否することができる正当な理由となるべき,具体的な権利ないし利益にまで昇華していることを肯認することはできないものというべきである。 (イ) 原告の主張の要旨(ウ)について原告は,本件各書証の開示部分に記載された情報は,原告が法律専門家である弁護士の厳格な守秘義務を信頼してその事業上の情報を提供した非公知の事実であるところ,本件各書証の開示部分に記載された,原告がその弁護士から法的助言を受けるに当たり提供した事業上の情報と,原告の弁護士がこれに基づいて行った法的な検討過程及びその成果である法的意見とは,相互に密接不可分に関連し,全体として一つの事業上の情報になるというべきであり,これが第三者に開示されることとなれば,原告に看過し難い損害が生ずることとなるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由があるし,また,本件各書証の開示部分には,使用料の徴収や利用曲目報告に係る事実,管理システムの構造など原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密,ノウハウ等が記載されているのであり,これが第三者 ,本件各書証の開示部分には,使用料の徴収や利用曲目報告に係る事実,管理システムの構造など原告の音楽著作権に係る著作権等管理事業についての営業秘密,ノウハウ等が記載されているのであり,これが第三者に開示されることとなれば,原告の今後の使用料や利用曲目報告の徴収,使用料の分配などの業務に支障が生ずるおそれがあるのであって,原告がその秘匿を望み,客観的にもそれを秘匿することについて合理的な理由があると主張する。 a 「事業者の秘密」について独占禁止法は,公正取引委員会が同法の適正な運用を図るため一般に公表することができる事項から事業者の秘密を除外しており(43条),また,審判は事業者の事業上の秘密を保つため必要があると認めるときはこれを公開しないことができるとしている(61条1項ただし書)のであって,このことによれば,違反行為の被害者がした閲覧又は謄写の申請に係る事件記録に「事業者の秘密」すなわち,非公知の事実であって,事業者が秘匿を望み,客観的にみてもそれを秘匿することにつき合理的な理由があると認められるものが記載されていることは,当該事件記録の閲覧又は謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の公正取引委員会の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであることを肯定する上で重要な積極要素となるということができる。 b 原告の弁護士の法的意見等の「事業者の秘密」性について原告の弁護士が,原告が提供した事業上の情報に基づいて行った法的な検討過程及びその成果である法的意見そのものは,それが本件申請者や第三者に開示されたからといってその性質上当然に原告の事業の遂行に支障を及ぼすこととな 告が提供した事業上の情報に基づいて行った法的な検討過程及びその成果である法的意見そのものは,それが本件申請者や第三者に開示されたからといってその性質上当然に原告の事業の遂行に支障を及ぼすこととなるものであるということはできず,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があると直ちにいうことはできないのであって,ただ,原告が提供した事業上の情報が「事業者の秘密」である場合に,その情報が取り込まれている限度においてのみ,原告の弁護士が行った法的な検討過程及びその成果である法的意見が「事業者の秘密」であることとなるにすぎないものというべきである。 c 本件各書証の具体的記載の「事業者の秘密」性についてそこで,以下,本件各書証の開示部分に記載された原告の事業上の情報が「事業者の秘密」であるか否かについて検討する。 (a) 利用者団体Aの使用料の負担方法について前記(2)オ(ア)a及び(ウ)a②のとおり,査第○号証及び第○号証には,利用者団体A(上記各書証ではその名称が明らかにされている。)に加盟する事業者の使用料は,使用料規程の備考に基づいて,加盟事業者の年間使用料の総額を利用者団体Aが割り振り,各事業者から支払われていることが記載されている。 しかし,原告の使用料規程の放送等の備考には,「一般放送事業者をもって構成され,かつ,各構成員の1年間の使用料額を包括的に決定することについて構成員の委任を受けている団体がある場合には,当該団体が定めた各構成員の使用料額の総額が,各構成員の使用料額の合算額と同じ額になる場合に限り,当該団体が定めた額を各構成員が支払うべき1年間の使用料額とすることができる。」という定めがあり,原告は,使用料規程の定めを自ら 用料額の総額が,各構成員の使用料額の合算額と同じ額になる場合に限り,当該団体が定めた額を各構成員が支払うべき1年間の使用料額とすることができる。」という定めがあり,原告は,使用料規程の定めを自らが開設するホームページで公示するとともに,原告が営む音楽著作権に係る著作権等管理事業の概要も同ホームページで公表しており,この中には,上記一般放送事業者をもって構成されている団体に適用される措置も含まれていることは,上記(2)ア(イ)c及びイのとおりである。 そして,これらによれば,上記(2)オ(ア)a及び(ウ)a②の各記載に係る事実は,非公知の事実ではないか,又はそれが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものではなく,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,いずれも「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 この点について,原告は,この情報は当該利用者団体から第三者に開示しないという前提で開示された情報であるから,これが第三者に開示されることとなれば,原告は,当該利用者団体からクレームを付けられ,場合によっては損害賠償を求められることとなると主張するが,上記主張に係る事実は,本件全証拠によってもこれを認めるに足りない。 (b)カラオケ社交場の管理を推進するに当たっての利用者団体Bとの交渉経緯等について前記(2)オ(イ)a①のとおり,査第○号証には,カラオケ社交場の管理を推進するに当たり,利用者団体B(上記書証ではその名称が明らかにされている。)との間で使用料の減額措置を講ずる旨の協定を締結した経緯,これについて,ある種の団体(上記書証ではその属性が明らかにされているが,本 たり,利用者団体B(上記書証ではその名称が明らかにされている。)との間で使用料の減額措置を講ずる旨の協定を締結した経緯,これについて,ある種の団体(上記書証ではその属性が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)から苦情を申し立てられた公正取引委員会が原告に対し改善を求め,原告が使用料規程の取扱細則として減額措置の適用の基準を明定したことが記載されている。 しかし,原告の使用料規程の総則の備考には,「本規程に定める使用料は,著作物の利用の態様に照らし特に必要であると認められる場合に限り,契約の促進,管理の効率化又は利用目的による公平化を図るため,本規程に別段の定めがないときは,別に定める基準に基づき,減額することができる。」という定めがあり,原告は,使用料規程の定めを自らが開設するホームページで公示するとともに,原告が営む音楽著作権に係る著作権等管理事業の概要も同ホームページで公表しており,この中には,使用料規程のオーディオ録音の定めの運用に当たり適用される減額措置の対象者及び減額率について具体的に定めた使用料規程取扱細則も含まれていることは,上記(2)ア(イ)c及びイのとおりである。また,原告が公正取引委員会から上記指摘を受けたのは平成5年6月のことであり(甲第6号証),その時から本件開示決定までには約18年もの期間が経過している。そして,これらによれば,上記(2)オ(イ)a①記載に係る事実は,それが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものではなく,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 (c) 着メロ配信の なく,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 (c) 着メロ配信の市場の成長についての見方と飽和状態に達した市場における使用料の分配基準について前記(2)オ(イ)a②のとおり,査第○号証には,着メロ配信について,事業者は既に十分な数の配信可能な楽曲を有しており,市場の成長は限界に近いのではないかという見方がされていること,市場が飽和状態に達したときには一定額に限られた使用料総額を各管理事業者に分配する基準が問題となるが,その基準としては,各管理事業者の管理楽曲数の比ではなく,利用総曲数に対する各管理事業者の管理楽曲が占めるシェアであるべきであることが記載されている。 しかし,ある事業分野において今後市場がどのように推移すると予測されるか,飽和状態に達した市場において一定額に限られた使用料総額を各管理事業者に分配する基準としてどのようなものがあるかという点に関する見解は,それが一般的に論じられるところを超えるものであるといった特段の事情がない限り,容易に想定し得るところであって,それを非公知のものということはできず,それを前提としていずれの基準によることが適切であるかという点に関する一定の考え方が本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものと認めることはできないところ,本件において上記特段の事情を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,上記(2)オ(イ)a②の記載に係る事実は,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,「事業者の秘密」であるということはでき そうすると,上記(2)オ(イ)a②の記載に係る事実は,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 (d) 外国の著作権管理団体Cの著作権の管理の方法について前記(2)オ(イ)a③及び(ウ)a③のとおり,査第○号証及び第○号証には,外国の著作権管理団体C(上記各書証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)が,支分権又は利用形態の区分を原告よりも細分化しており,管理委託範囲の選択の幅を広げていることが記載されている。 しかし,上記著作権管理団体Cの名称は本件決定において不開示とされており,仮にその名称が推知され得るとしても,弁論の全趣旨によれば,当該著作権管理団体Cにおいてそのことを殊更に秘密にしているものではないことがうかがわれることからすると,そのことが本件申請者や第三者に開示されたからといって,それによりそのことが第三者に初めて明らかになるわけではなく,開示される事実が上記のようなものにとどまること(しかも,甲第6号証によれば,実際に細分化した区分を利用して委託範囲を選択している権利者はほとんどいない旨の記載もあると認めることができる。)からすれば,その程度のことが原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものと認めることはできない。 そうすると,上記(2)オ(イ)a③及び(ウ)a③の各記載に係る事実は,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,いずれも「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 この点について,原 それを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,いずれも「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 この点について,原告は,この情報は当該著作権管理団体から第三者に開示しないという前提で開示された情報であると主張するが,上記主張に係る事実は,本件全証拠によってもこれを認めるに足りない。 (e)原告が大手レコード会社及び利用者団体Dらに対し優遇措置を講じていることについて前記(2)オ(イ)a④及び(ウ)a①のとおり,査第○号証及び第○号証には,原告が大手レコード会社及び利用者団体Dら(査第○号証ではその名称が明らかにされているが,本件決定においては不開示とされている。)に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていることが記載されている。 しかし,原告の使用料規程の総則の備考には,「本規程に定める使用料は,著作物の利用の態様に照らし特に必要であると認められる場合に限り,契約の促進,管理の効率化又は利用目的による公平化を図るため,本規程に別段の定めがないときは,別に定める基準に基づき,減額することができる。」という定めがあり,原告は,使用料規程の定めを自らが開設するホームページで公示するとともに,原告が営む音楽著作権に係る著作権等管理事業の概要も同ホームページで公表しており,この中には,原告が使用料の前払をする利用者に適用される音楽著作権使用料の割引制度を採用していることも含まれていることは,上記(2)ア(イ)c及びイのとおりである。 また,i同業組合連合会等は,原告が同連合会に加盟するl同業組合等に加入する利用者に対し使用料を20%減額する団体割引の措置を講じていることを上記連合会等が開設するホームページで公表 おりである。 また,i同業組合連合会等は,原告が同連合会に加盟するl同業組合等に加入する利用者に対し使用料を20%減額する団体割引の措置を講じていることを上記連合会等が開設するホームページで公表しており,原告が大手レコード会社に対し使用料の減額を内容とする優遇措置を講じていることは広く知られていることは,上記(2)ウのとおりである。そして,これらによれば,上記(2)オ(イ)a④及び(ウ)a①の各記載に係る事実は,非公知の事実ではないか,又はそれが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものではなく,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,いずれも「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 (f) 原告が業務上用いているデータベースの構成等について前記(2)オ(ウ)a④のとおり,査第○号証には,原告のデータベースが権利者との信託契約の内容をデータ化した「権利者データベース」,管理委託を受けた作品のデータから成る「作品データベース」,利用許諾に関するデータから成る「使用物データベース」及び「使用者データベース」などから構築されており,「作品データベース」の一部が原告の管理楽曲の利用を希望する者のための作品データベース検索サービスである「h」として公開されているものの,他は外部に公開されていないことが記載されている。 しかし,上記(2)イのとおり,原告は,その管理楽曲についての作品データベース検索サービスである「h」を上記ホームページで提供しており,この検索サービスは,作品コード,作品タイトル,権利者名,アーティスト名をその要素とするデータベースを利用したものである。 作品データベース検索サービスである「h」を上記ホームページで提供しており,この検索サービスは,作品コード,作品タイトル,権利者名,アーティスト名をその要素とするデータベースを利用したものである。そして,データベースを構成する具体的な情報そのものとは異なり,データベースを構築する対象(何についてのデータベースを構築しているか)や事項(当該対象のいかなる要素に着目してデータベースを構築しているか)は,それが通常採用されるものとは異なる高度の創作性を有するものであるといった特段の事情がない限り,それを非公知のものということはできず,それが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものと認めることはできないところ,本件において上記特段の事情を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,上記(2)オ(ウ)a④の記載に係る事実は,客観的にみてそれを秘匿することについて合理的な理由があるということはできないものであり,「事業者の秘密」であるということはできないものというべきである。 d 本件各書証の開示部分のその余の記載を精査しても,「事業者の秘密」が記載されていると認めることはできないのであって,本件各書証の開示部分に「事業者の秘密」が記載されていると認めることはできないものというべきである。 (ウ) 原告の主張の要旨(エ)について原告は,本件各書証の開示部分が第三者に開示されることとなれば,当該第三者が本件各書証の開示部分に記載された情報を前提として取引先と交渉したり,自社のシステム開発に流用したりすることにより,原告が当該第三者等との競争において不利な状況に置かれることとなる可能性があるし,また,本件各書証の開示部分に記載された情報に基づい 先と交渉したり,自社のシステム開発に流用したりすることにより,原告が当該第三者等との競争において不利な状況に置かれることとなる可能性があるし,また,本件各書証の開示部分に記載された情報に基づいて審判手続の外で様々な意見が述べられることにより,担当審判官の意思決定の中立性が損なわれ,又は損なわれたという外観を呈する可能性も皆無ではないし,「弁護士・依頼者秘匿特権」が侵害されるという公益上重大な結果を生じ,グローバルな活動をしている事業者等が我が国の独占禁止法及び公正取引委員会に不信を抱き,同委員会による同法の円滑なエンフォースメントを阻害することにもなると主張する。 しかし,本件各書証の開示部分が本件申請者や第三者に開示されることにより,本件申請者や当該第三者が本件各書証の開示部分に記載された情報を前提として取引先と交渉したり,自社のシステム開発に流用したりすることや,本件各書証の開示部分に記載された情報に基づいて審判手続の外で様々な意見が述べられることにより,担当審判官の意思決定の中立性が損なわれ,又は損なわれたという外観を呈する可能性があることは,本件全証拠によってもこれを認めるに足りないし,また,我が国の現行の法制度の下で,弁護士ないしその依頼者が,その間の意思疎通の内容や弁護士が依頼者からの依頼に基づいて作成した成果物で,公正取引委員会の審判事件の事件記録の一部となっているものについて,公正取引委員会が利害関係人による閲覧又は謄写に応ずることを拒否することができる正当な理由となるべき,具体的な権利ないし利益としての「弁護士・依頼者秘匿特権」なるものが存在することを肯認することはできないことは,上記(ア)のとおりであり,原告の上記主張のうち「弁護士・依頼者秘匿特権」に係る部分はその前提を欠くものである しての「弁護士・依頼者秘匿特権」なるものが存在することを肯認することはできないことは,上記(ア)のとおりであり,原告の上記主張のうち「弁護士・依頼者秘匿特権」に係る部分はその前提を欠くものである。 そして,本件各書証の開示部分の記載を精査しても,本件各書証の開示部分に「公益上不開示とする必要がある」情報が記載されていると認めることはできないものというべきである。 (エ) 原告の主張の要旨(オ)について原告は,準司法的手続である審判手続における事件記録の閲覧又は謄写の申請についても,刑事及び民事の裁判手続と同様に,当該事件記録の閲覧又は謄写を求める者に正当な理由がない場合や相当と認められない場合,当該審判事件や他の審判に及ぼす影響が大きい場合,事件記録に事業者の秘密が記載されている場合等には,閲覧及び謄写を拒む「正当な理由」があるとして閲覧又は謄写に応ずるべきではないところ,本件各書証の開示部分の謄写に応ずることにより,本件審判事件や他の審判に及ぼす影響が大きく,本件各書証の開示部分には原告の事業上の秘密が記載されているのであるから,本件各書証の開示部分の謄写を拒む「正当な理由」があると主張する。 しかし,民事及び刑事の裁判手続における訴訟記録の閲覧及び謄写の制度と,公正取引委員会の審判手続における事件記録の閲覧及び謄写の制度との関係については,おくとしても,前記1(1)のとおり,本件申請者は本件審判事件の対象を成す違反行為である私的独占の被害者であるということができること,本件申請は原告に対する将来の損害賠償請求(訴訟)提起の準備をその目的とするものであることは,前提事実(5)のとおりであり,本件申請者は,原告に対する損害賠償請求権の行使を謄写を求める理由としているものであること,上 る将来の損害賠償請求(訴訟)提起の準備をその目的とするものであることは,前提事実(5)のとおりであり,本件申請者は,原告に対する損害賠償請求権の行使を謄写を求める理由としているものであること,上記(イ)bないしdのとおり,本件各書証の開示部分の各記載に係る事実は,いずれも,非公知の事実ではないか,又はそれが本件申請者や第三者に開示されたからといって原告の事業の遂行に具体的な支障を及ぼすものではなく,本件各書証の開示部分に「事業者の秘密」が記載されていると認めることはできないことに加えて,他に本件審判事件の対象を成す違反行為の性質,本件審判事件の審理の状況その他の事情を考慮しても,本件審判事件や他の審判に影響を及ぼすおそれがあるなど本件各書証の開示部分を謄写をさせることが相当でない事情があることをうかがうことはできない。 したがって,本件申請者は,仮に本件審判事件の対象を成す違反行為に係る損害賠償請求訴訟等の民事事件が係属しているのであれば,その訴訟手続において,民事訴訟法91条3項の規定に基づいて,その利害関係を疎明して,裁判所書記官に対し,訴訟記録の謄写を請求することができるものであり(同法92条1項各号の事由があるとは認められない。),また,仮に本件審判事件の対象を成す違反行為に係る刑事被告事件が係属しているのであれば,その訴訟手続において,「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」3条1項の規定に基づいて,当該被告事件の係属する裁判所に対し,当該被告事件の訴訟記録の謄写の申出をすることができるものであるということができる。そして,そうであるとすると,本件各書証の開示部分は民事及び刑事の裁判手続における訴訟記録の閲覧及び謄写の制度において謄写を請求することができないものであることを きるものであるということができる。そして,そうであるとすると,本件各書証の開示部分は民事及び刑事の裁判手続における訴訟記録の閲覧及び謄写の制度において謄写を請求することができないものであることを前提とする原告の上記主張は採用することができないこととなる。 ウ以上のとおり,公正取引委員会が,本件各書証の開示部分の謄写を拒むことについて「第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由」があると認めることができない旨の判断をし,本件開示決定をしたことについて,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めることはできないのであって,公正取引委員会がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したということはできないものというべきである。 3 本件開示決定の適法性について原告は,上記1及び2で検討した点のほかには,本件開示決定の違法を主張しておらず,本件開示決定からは,その余の違法をうかがうこともできないから,本件開示決定は適法な処分であるということができる。 なお,本件排除措置命令は本件取消審決により取り消されているが,抗告訴訟における処分の違法性の判断は当該処分がされた当時を基準時としてすべきものであることは,前記1(2)のとおりであって,このような事情は,本件開示決定の適否に影響を及ぼすものではないというべきである(仮にこのような事情により本件開示決定が不当なものとなるのであれば,公正取引委員会による本件開示決定の職権取消しないし撤回によって具体的妥当性が図られるべきものである。)。 第4 結論よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 )。 第4 結論よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官日暮直子(別紙)関係法令の定め 1 独占禁止法の定め(1) 1条(目的)この法律は,私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し,事業支配力の過度の集中を防止して,結合,協定等の方法による生産,販売,価格,技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより,公正且つ自由な競争を促進し,事業者の創意を発揮させ,事業活動を盛んにし,雇傭及び国民実所得の水準を高め,以て,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。 (2) 2条(定義)この法律において「私的独占」とは,事業者が,単独に,又は他の事業者と結合し,若しくは通謀し,その他いかなる方法をもってするかを問わず,他の事業者の事業活動を排除し,又は支配することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。(5項)(3) 3条(私的独占又は不当な取引制限の禁止)事業者は,私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。 (4) 7条(私的独占等の禁止違反に対する措置)3条(中略)の規定に違反する行為があるときは,公正取引委員会は,第8章第2節に規定する手続に従い,事業者に対し,当該行為の差止 らない。 (4) 7条(私的独占等の禁止違反に対する措置)3条(中略)の規定に違反する行為があるときは,公正取引委員会は,第8章第2節に規定する手続に従い,事業者に対し,当該行為の差止め,事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。(1項)(5) 49条(排除措置命令)ア 7条1項(中略)の規定による命令(以下「排除措置命令」という。)は,文書によってこれを行わなければならない。(1項)イ排除措置命令は,その名あて人に排除措置命令書の謄本を送達することによって,その効力を生ずる。(2項)ウ排除措置命令に不服がある者は,公正取引委員会規則で定めるところにより,排除措置命令書の謄本の送達があった日から60日以内(中略)に,公正取引委員会に対し,当該排除措置命令について,審判を請求することができる。(6項)エ前項に規定する期間内に同項の規定による請求がなかったときは,排除措置命令は,確定する。(7項)(6) 52条(審判請求)ア 49条6項(中略)の規定による審判の請求(以下「審判請求」という。)をする者は,次に掲げる事項を記載した請求書を公正取引委員会に提出しなければならない。(1項)(1号ないし3号は省略)イ審判請求があった場合においては,公正取引委員会は,(中略)遅滞なく,当該審判請求に係る命令について審判手続を開始しなければならない。(3項)(7) 55条(審判開始決定書の記載事項等)ア公正取引委員会は,52条3項の規定により審判手続を開始するときは,審判請求をした者に対し,その旨を記載した審判開始通知書を送付しなければならない。(1項)イ審判手続は,1項の審判請求 ア公正取引委員会は,52条3項の規定により審判手続を開始するときは,審判請求をした者に対し,その旨を記載した審判開始通知書を送付しなければならない。(1項)イ審判手続は,1項の審判請求をした者に審判開始通知書を送付(中略)することにより,開始する。(3項)(8) 70条の15(事件記録の閲覧等)ア利害関係人は,公正取引委員会に対し,審判手続が開始された後,事件記録の閲覧若しくは謄写又は排除措置命令書,課徴金納付命令書,審判開始決定書若しくは審決書の謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。この場合において,公正取引委員会は,第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ,事件記録の閲覧又は謄写を拒むことができない。(1項)イ公正取引委員会は,前項の規定により謄写をさせる場合において,謄写した事件記録の使用目的を制限し,その他適当と認める条件を付することができる。(2項) 2 公正取引委員会の審判に関する規則(平成17年公正取引委員会規則第8号)の定め(1) 34条(審判官に対する異議の申立て)ア審査官,被審人又はその代理人は,審判官の行った審判手続に関する処分(中略)に不服のあるときは,遅滞なく,審判官の合議体(中略)に異議の申立てをすることができる。(1項)イ前項の審判官の合議体は,異議の申立てに理由があると認めるときは,異議を申し立てられた処分を撤回し,取り消し又は変更するものとする。 (2項)ウ 1項の審判官の合議体は,異議の申立てを却下したときは,その理由を示さなければならない。(3項)(2) 39条(証拠の申出の順序)ア審査官は,証拠調べの始めに,事件の審判に必要と認める証拠 判官の合議体は,異議の申立てを却下したときは,その理由を示さなければならない。(3項)(2) 39条(証拠の申出の順序)ア審査官は,証拠調べの始めに,事件の審判に必要と認める証拠の申出をしなければならない。(1項)イ被審人又はその代理人は,前項の申出があった後,事件の審判に必要と認める証拠の申出をすることができる。(2項)(3) 51条(証拠決定)ア証拠の申出があったときは,審査官,被審人又はその代理人は,その採否について意見を述べることができる。(1項)イ審判官は,審査官,被審人又はその代理人が申し出た証拠で,必要がないと認めるものは,採用しないことができる。この場合においては,その理由を示さなければならない。(2項)(4) 73条(審決案の作成)審判官は,審判手続を終結した後,遅滞なく審決案を作成し,これを事件記録とともに委員会に提出し,かつ,審決案の謄本を審査官及び被審人又はその代理人に送達するものとする。 (5) 75条(審決案に対する異議の申立て)審査官及び被審人又はその代理人は,審決案の謄本の送達を受けた日から2週間以内に委員会に対して文書をもって異議の申立てをすることができる。 (6) 78条(審決案に基づく審決)ア委員会は,75条の期間を経過した後(中略),73条の規定に基づいて提出された事件記録並びに75条の規定に基づいて提出された異議の申立書及び前条の規定に基づいて聴取した陳述に基づいて,審決案を調査した結果,審決案を適当と認めるときは,直ちに審決案の内容と同じ審決をすることができる。(1項)イ前項の調査の結果,委員会が異議若しくは陳述を理由あると認めるとき,その他必要があると認めるとき 果,審決案を適当と認めるときは,直ちに審決案の内容と同じ審決をすることができる。(1項)イ前項の調査の結果,委員会が異議若しくは陳述を理由あると認めるとき,その他必要があると認めるときは,審決案の内容と異なる審決をし,又は事件について自ら審判を開き,若しくは審判官に対し更に審理すべき点を指示して審判手続の再開を命ずることができる。(2項)
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